(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052128
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】搬送装置の健全性評価のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20230404BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20230404BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
B25J19/06
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022210478
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2019560201の分割
【原出願日】2018-05-07
(31)【優先権主張番号】62/502,292
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/971,827
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴーリク、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】モウラ、ジャイロ ティー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】搬送装置を含むシステムの健全性評価の方法を提供する。
【解決手段】方法は、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録すること、出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられるベース値を決定すること、搬送装置から、装置制御装置の現場プロセスモーションコマンドを解明して、搬送装置の他の所定のモーションセットを画定すること、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、プロセッサを用いて、搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられる他の値を決定すること、および、所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットにそれぞれ対応する搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれに対するベース値と他の値とを比較することを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置を含むシステムの健全性評価のための方法であって、前記方法が、
装置制御装置と通信可能に連結された登録システムを用いて、前記搬送装置の所定のベーストルクコマンドの所定のコマンドトルクベースセットをもたらす前記搬送装置の少なくとも1つの装置構成要素によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録すること、
前記登録システムと通信可能に連結されたプロセッサを用いて、前記所定のコマンドトルクベースセットの各トルクコマンドのための、前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられるベース値を決定すること、
前記装置制御装置に通信可能に連結されたレゾルバを用いて、前記少なくとも1つの装置構成要素から前記装置制御装置の現場プロセストルクコマンドを解明して、前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる現場プロセストルクが、前記所定のコマンドトルクベースセットの前記所定のベーストルクコマンドにマッピングされ、マッピングされた現場プロセストルクを用いて、前記所定のコマンドトルクベースセットの前記搬送装置に対応する前記搬送装置の他の所定のコマンドトルクセットを画定すること、
前記登録システムを用いて、前記他の所定のコマンドトルクセットをもたらす前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、前記プロセッサを用いて、前記他の所定のコマンドトルクセットの前記マッピングされた現場プロセストルクをもたらす前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられる他の値を前記ベース値と比較して、前記比較に基づいて前記搬送装置の健全性を評価するために、前記他の値を決定すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記プロセッサを用いて、前記所定のコマンドトルクベースセットと前記他の所定のコマンドトルクセットにそれぞれ対応する前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれに対して、前記他の値と前記ベース値とを比較することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記所定のコマンドトルクベースセットおよび前記他の所定のコマンドトルクセットの両方に共通する固有の搬送装置である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記所定のベースコマンドトルクのそれぞれは、テンプレートコマンドトルクを画定し、各現場プロセストルクは、前記テンプレートコマンドトルクの対応する1つにマッピングする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる現場プロセストルクを含む、前記装置制御装置によって命令されたトルクのヒストグラムを、前記装置制御装置のレジストリに登録することをさらに含み、前記プロセッサは、前記レジストリ内のトルクヒストグラムへの周期的なアクセスから、前記マッピングされた現場プロセストルクを解明する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記所定のコマンドトルクベースセットの前記所定のベースコマンドトルクが、ベースコマンドトルクタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の少なくとも1つの共通のベースコマンドトルクを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記所定のコマンドトルクベースセットの前記所定のベースコマンドトルクが、複数の異なるベースコマンドトルクタイプを含み、前記異なるベースコマンドトルクタイプのそれぞれは、各ベースコマンドトルクタイプについて統計的に特徴付ける数の共通のコマンドトルクにおいて、前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記異なるベースコマンドトルクタイプのそれぞれは、各ベースコマンドトルクタイプにそれぞれ異なる共通のコマンドトルクを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性および位置コマンド特性を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記登録システムを用いて、前記動的性能変数のそれぞれのトレンドデータを登録することをさらに含み、前記トレンドデータが、それぞれの動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記プロセッサを用いて、前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサを用いて、前記動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生の予測の指標を前記搬送装置のオペレータに提供することをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
搬送装置を含むシステムの健全性を評価するための健全性評価装置であって、前記健全性評価装置は、
前記搬送装置の搬送装置制御装置に通信可能に連結された登録システムと、
前記搬送装置制御装置に通信可能に連結されたリゾルバと、
前記登録システムに通信可能に連結されたプロセッサと
を備え、
前記登録システムは、
前記搬送装置の所定のベーストルクコマンドの所定のコマンドトルクベースセットをもたらす前記搬送装置の少なくとも1つの装置構成要素によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、
他の所定のコマンドトルクセットをもたらす前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録するように構成され、
前記リゾルバは、
前記少なくとも1つの装置構成要素から前記搬送装置制御装置の現場プロセストルクコマンドを解明し、前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる現場プロセストルクが、前記所定のトルクコマンドベースセットの前記所定のベーストルクコマンドにマッピングされ、
マッピングされた現場プロセストルクを用いて、前記所定のコマンドトルクベースセットの前記搬送装置に対応する前記搬送装置の前記他の所定のコマンドトルクセットを画定するように構成され、
前記プロセッサは、
前記所定のコマンドトルクベースセットの各トルクコマンドのための、前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられるベース値を決定し、
前記他の所定のコマンドトルクセットの前記マッピングされた現場プロセストルクをもたらす前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられる他の値を前記ベース値と比較して、前記比較に基づいて前記搬送装置の健全性を評価するために、前記他の値を決定するように構成される、装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記所定のコマンドトルクベースセットと前記他の所定のコマンドトルクセットにそれぞれ対応する前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記動的性能変数のそれぞれに対して、前記他の値と前記ベース値とを比較するようにさらに構成される、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記搬送装置は、前記所定のコマンドトルクベースセットおよび前記他の所定のコマンドトルクセットの両方のための共通の搬送装置である、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記所定のベースコマンドトルクのそれぞれは、テンプレートコマンドトルクを画定し、各現場プロセストルクは、前記テンプレートコマンドトルクの対応する1つにマッピングする、請求項12記載の装置。
【請求項16】
前記搬送装置制御装置は、レジストリを備え、前記レジストリは、前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる現場プロセストルクを含む、前記搬送装置制御装置によって命令されるトルクのヒストグラムを登録するように構成され、前記プロセッサは、前記レジストリ内のトルクヒストグラムの周期的なアクセスから、前記マッピングされた現場プロセストルクを解明するようにさらに構成される、請求項12記載の装置。
【請求項17】
前記所定のコマンドトルクベースセットの前記所定のベースコマンドトルクが、ベースコマンドトルクタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の少なくとも1つの共通のベースコマンドトルクを含む、請求項12記載の装置。
【請求項18】
前記所定のコマンドトルクベースセットの前記所定のベースコマンドトルクが、複数の異なるベースコマンドトルクタイプを含み、前記異なるベースコマンドトルクタイプのそれぞれは、各ベースコマンドトルクタイプについて統計的に特徴付ける数の共通のコマンドトルクにおいて、前記少なくとも1つの装置構成要素によってもたらされる、請求項12記載の装置。
【請求項19】
前記異なるベースコマンドトルクタイプのそれぞれは、各ベースコマンドトルクタイプにそれぞれ異なる共通のコマンドトルクを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性および位置コマンド特性を有する、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記登録システムは、前記動的性能変数のそれぞれのためのトレンドデータを登録するようにさらに構成され、前記トレンドデータが、それぞれの動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける、請求項12記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの装置構成要素によって出力される前記少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する前記搬送装置の発生を予測するようにさらに構成される、請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する前記搬送装置の発生の予測の指標を前記搬送装置のオペレータに提供するようにさらに構成される、請求項21記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年5月5日に出願された米国仮特許出願第62/502,292号の優先権を主張する通常出願であって、その開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
例示的な実施形態は、概して自動処理システム、特に、自動処理システムの健全性評価および予測診断に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスを製造するためのロボット化材料ハンドリングプラットフォームなどの自動化製造ツールで使用されるロボットマニピュレータや他のメカトロニクスデバイスの故障による材料損傷および予定外のダウン時間は、多くの場合、製造ツールのエンドユーザの大きなコスト負担を表す共通の問題となっている。
【0004】
多くの健全性モニタリングおよび障害診断(HMFD)方法が、産業、自動車、航空宇宙用途のために開発されてきた。既存のシステムは、典型的には、モニタされているシステムが故障していることを示すために障害を検出し、障害の正確な位置、すなわち、障害のあるコンポーネントを判定するために障害を分離し、および障害の大きさを判定するために障害を識別する。
【0005】
分離および識別作業は共に、しばしば障害診断と呼ばれる。多くの既存のシステムは、障害検出および分離ステージのみを実行する。
【0006】
かかる障害診断方式は、障害の検出、その分離、および適応回復には役立つが、それにもかかわらず、デバイス、ツール、FAB(たとえば、製造設備/プラント)、またはその他の自動化装置を、制限された、または実質的に存在しない予測範囲で実質的に反応する方法で動作するようにさせる。予測方法は、自動化装置の数学的モデリングなどの障害診断システムに対する予測範囲を増加するように求められることが知られていて、自動化装置の変数のセンサ測定値が、(たとえば、自動化装置のニュートン動的モデルまたはニューラルネットワーク動的モデルから生成された)それぞれの変数の分析的計算値と比較され、数学的モデルは、名目上の条件を示す。かかる方法は、分析(公称)値とセンサ測定値からのものとの間に生じた差に予測できない悪影響を与える、信号ノイズやモデリングエラーなどの非保守的要素を被り、かかる非保存的要因を解決するために、処理能力における障害診断システム、および/または重複/冗長センサシステムおよびデータシステムによるさらなる投資を必要とする。
【0007】
非保守的要因に関連する数学的モデリングなしに障害の予測を提供する障害診断システムを有することは有利となろう。
【発明の概要】
【0008】
開示される実施形態の上述の態様および他の特徴を、以下の記載において、添付の図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】開示される実施形態の態様による自動化材料ハンドリングプラットフォームなどの自動化装置の制御装置の概略図である。
【
図2】開示される実施形態の態様による自動化材料ハンドリングプラットフォームの概略図である。
【
図2A】開示される実施形態の態様による多数の異なる固有の装置を含むシステムの概略図である。
【
図3】開示される実施形態の態様による自動化材料ハンドリング装置の搬送ロボットなどの装置の概略図である。
【
図4A】開示される実施形態の態様による
図3の装置のためのアーム構成の概略図である。
【
図4B】開示される実施形態の態様による
図3の装置のためのアーム構成の概略図である。
【
図4C】開示される実施形態の態様による
図3の装置のためのアーム構成の概略図である。
【
図4D】開示される実施形態の態様による
図3の装置のためのアーム構成の概略図である。
【
図4E】開示される実施形態の態様による
図3の装置のためのアーム構成の概略図である。
【
図5A】開示される実施形態の態様によるベース移動および現場プロセス移動を示す自動化材料ハンドリングプラットフォームの一部分の概略図である。
【
図5B】開示される実施形態の態様による単純な移動および複合移動の概略図である。
【
図5C】開示される実施形態の態様による単純な移動および複合移動の概略図である。
【
図6】開示される実施形態の態様による
図3の装置によって実行される移動のサンプルの統計的収束を示す例示チャートである。
【
図7】開示される実施形態の態様による例示的な移動ヒストグラムである。
【
図8A】開示される実施形態の態様による例示的なプロセスの流れの概略図である。
【
図8A1】開示される実施形態の態様による例示的なプロセスの流れの概略図である。
【
図8A2】開示される実施形態の態様による例示的なプロセスの流れの概略図である。
【
図8B】開示される実施形態の態様による
図8Aの例示的なプロセスの流れの一部分の概略図である。
【
図9】開示される実施形態の態様による上限および下限を示すサンプル移動の例示的なガウス分布を示す図である。
【
図10】開示される実施形態の態様によるベースライン値と現場プロセス移動から生成された別の値との比較を示すグラフ図である。
【
図11】開示される実施形態の態様による、予測診断に関する
図3の装置の健全性評価のアプリケーションを示す例示図である。
【
図12】開示される実施形態の態様による健全性評価を示す例示図である。
【
図13】開示される実施形態の態様による例示的なフローチャートである。
【
図14】開示される実施形態の態様によるフローチャートである。
【
図15】開示される実施形態の態様によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示される実施形態の態様は、図面に関連して説明されるが、開示される実施形態の態様は、多くの形態で具体化され得ることが理解されるべきである。加えて、任意の適切なサイズ、形状、または種類の、要素または材料が使用され得る。
【0011】
本明細書に記載された、開示された実施形態の態様は、自動化システムの任意の適切な制御装置によってモニタされている利用可能な変数を用いて、自動化システムのための健全性の状態および予測診断(たとえば、
図1~4に関して本明細書に記載されたものなど)を定量化するための方法および装置を提供する(制御装置は、開示された実施形態の態様を実行するための非一時的なコンピュータソフトウェアコードを含む)。健全状態のメトリックは、いくつかの装置の所与の装置および/またはシステムのために、所与の装置および/またはシステムの予測診断を提供する健康状態量に固有に相関し、健全状態量を特徴付ける、収集された変数のための固有の統計データ処理によって、開示された実施形態の態様により達成される。開示された実施形態の態様は、「ベースライン」(本明細書に記載されるようにベース値および/またはベース移動を含む)の概念を用いて、さらにかかるベースラインに対する将来の性能を比較して、自動化システムの制御装置が(固有のデバイスの)モニタされた変数の統計シグネチャ(signature)(固有のデバイスの固有の特性)を決定することを可能にする。結果として、開示された実施形態の方法および装置は、自動化システムの制御装置が傾向分析に基づいて予測を実行することを可能にし、自動化システムの制御装置が、モニタされている自動化システムからの固有のデータに基づいて、予防保守のための勧告を行うことができるようにしてもよい。開示された実施形態の態様はまた、許容され得る実用的な仕様を決定することが困難である変数のための操作の予想される限界の同定を可能にし得る。
【0012】
開示された実施形態の態様は、3自由度(シータ回転、R伸長およびZ昇降運動)を有する半導体ロボット(本明細書では、ロボットマニピュレータとも呼ぶ)に関して本明細書で説明されるが、他の態様では、半導体ロボットは、3自由度より多いかまたは少ない自由度を有していてもよい。さらに他の態様では、開示された実施形態は、単一の自由度の運動を有する半導体処理システムの他の構成要素(たとえばロボット搬送、ロードポート、アライナ、ポンプ、ファン、バルブ、など)に適用することができる。また、開示された実施形態の態様は、各固有の装置、デバイスおよび/またはシステムに固有に相関し、各固有の装置、デバイスおよび/またはシステムを特徴付ける、同様の、または関連する性能モニタリングデータをサンプリング可能な任意の(1つまたは複数の)自動化および/もしくは電動デバイスまたはシステム(たとえば前述の装置および/またはデバイスの組合せを含む)のために使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0013】
開示された実施形態の態様は、ピークトルク対温度などの異なる物理的意味の変数の直接比較を可能にする統計的パラメータに基づいて正規化されたメトリックのタイプを提供する。かかる比較は、モニタされている自動化システムの全体的な健全性状態に関する、かかる無関係の変数の影響の計算を可能にする。
【0014】
図1は、開示された実施形態の態様による自動化装置の健全性評価および予測診断を組み込んだ自動装置のための例示的な制御装置100を示す。開示された実施形態の態様は、ハードウェアまたはソフトウェアで操作することができる。たとえば、開示された実施形態の態様は、構成要素制御装置、多数の構成要素の動作を指示する制御装置、サブシステムを制御する制御装置、またはシステム制御装置に存在していてもよい。開示された実施形態の態様は、専用のハードウェアまたはソフトウェアで実行されてもよい。
【0015】
制御装置100は、自動化装置の任意の適切な制御装置(
図3に示す自動化材料ハンドリングプラットフォーム300など)であり、概して、プロセッサ105、読み出し専用メモリ110、ランダムアクセスメモリ115、プログラム記憶部120、ユーザインターフェース125およびネットワークインターフェース130を含んでいてもよい。プロセッサ105は、オンボードキャッシュ135を含んでもよく、概して、コンピュータプログラム製品、たとえば、オンボードキャッシュ135、読み出し専用メモリ110、ランダムアクセスメモリ115およびプログラム記憶部120からの情報やプログラムを読み出すように動作可能である。
【0016】
電源投入時には、プロセッサ105が、読み出し専用メモリ110内に見られるプログラムの作動を開始することができ、初期化後に、ランダムアクセスメモリ115にプログラム記憶部120からの命令をロードすることができ、これらのプログラムの制御下で動作することができる。頻繁に使用される命令は、一時的にオンボードキャッシュ135内に格納されてもよい。読み出し専用メモリ110およびランダムアクセスメモリ115の両方が半導体技術または任意の他の適切な材料および技術を利用することができる。プログラム記憶部120は、ディスケット、コンピュータのハードドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、光ディスク、チップ、半導体、またはコンピュータ読み取り可能コードの形態でプログラムを格納することができる任意の他のデバイスを含むことができる。
【0017】
オンボードキャッシュ135、読み出し専用メモリ110、ランダムアクセスメモリ115、およびプログラム記憶部120は、個別にまたは任意の組合せで、オペレーティングシステムプログラムを含むことができる。オペレーティングシステムプログラムは、機能性制御装置100によって提供されるデータの品質を改善し、機能性制御装置100が、保証された応答時間を提供することを可能にするために、オプションのリアルタイムオペレーティングシステムで補充されてもよい。
【0018】
特に、オンボードキャッシュ135、読み出し専用メモリ110、ランダムアクセスメモリ115、およびプログラム記憶部120は、個別にまたは任意の組合せで、本明細書に記載のように、開示された実施形態の態様による障害診断および障害予測をプロセッサ105に実行させるためのプログラムを含んでいてもよい。ネットワークインターフェース130は、概して、制御装置100と他の制御装置または他のシステムとの間のインターフェースを提供するように適合されてもよい。ネットワークインターフェース130は、1つのまたは複数の追加の機能性制御装置からデータを受信し、同じかまたは他の機能性制御装置にデータを伝達するように動作することができる。ネットワークインターフェース130はまた、遠隔モニタリングおよび診断サービスを提供することができるグローバル診断システムへのインターフェースを提供することができる。
【0019】
通信ネットワーク190は、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット、無線ネットワーク、有線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)などを含んでいてもよく、さらにX.25、TCP/IP、ATMなどを含む他のタイプのネットワークを含んでいてもよい。
【0020】
制御装置100は、ディスプレイ140およびキーボード155またはマウス145などの入力デバイスを有するユーザインターフェース125を含んでいてもよい。ユーザインターフェースは、プロセッサ105の制御下でユーザインターフェース制御装置150によって操作されてもよく、健全性のモニタリングおよび障害診断の結果を視覚化するためのグラフィカルユーザインターフェースをユーザに提供することができる。ユーザインターフェースはまた、トラブルシューティングルーチンまたは修復プロセスを介してサービス担当者を案内するために使用されてもよい。また、ユーザインターフェース制御装置は、他の機能性制御装置、外部ネットワーク、他の制御システム、またはホストコンピュータと通信するための接続またはインターフェース155を提供することができる。
【0021】
開示された実施形態の態様を実行することができる半導体デバイスを製造するための例示的な材料ハンドリングプラットフォームは、
図2に概略示され、表1に列挙されている主要な構成要素を説明するための注釈が付いている。
図2の材料ハンドリングプラットフォームの1つまたは複数の制御装置は、
図1に関連して本明細書に記載されるような制御装置を含んでいてもよい。
【0022】
【0023】
自動化材料ハンドリングプラットフォーム300は、大気部301、真空部302および1つまたは複数のプロセスモジュール303を有している。
【0024】
大気部301は、エンクロージャ304、1つまたは複数のロードポート305、1つまたは複数のロボットマニピュレータ306、1つまたは複数の基板アライナ307、ならびにファンフィルタユニット308を含んでいてもよい。大気部301はまた、1つまたは複数のイオン化ユニット(図示せず)を含んでいてもよい。真空部は、真空チャンバ309、1つまたは複数のロードロック310、1つまたは複数のロボットマニピュレータ311、1つまたは複数の真空ポンプ312、ならびに複数のスリットバルブ313を含んでいてもよく、それらは、典型的には、ロードロック310と真空チャンバ309との間、および真空チャンバ309とプロセスモジュール303との間で、大気部301のロードロック310とのインターフェースに配置される。
【0025】
プラットフォームの操作は、大気部制御装置315、真空部制御装置316および1つまたは複数のプロセス制御装置317を統括するツール制御装置314によって調整される。大気部制御装置315は、1つまたは複数のロードポート制御装置318、1つまたは複数の大気ロボット制御装置319、1つまたは複数のアライナ制御装置320、およびファンフィルタユニット制御装置321を担当する。ロードポート制御装置318、大気ロボット制御装置319およびアライナ制御装置320の各々は、1つまたは複数のモータ制御装置322を順番に担当する。真空部制御装置316は、1つまたは複数の真空ロボット制御装置323を担当し、真空ポンプ312を制御して、スリット弁313を操作する。プロセス制御装置317の役割は、プロセスモジュール303内で行われる操作に依存する。
【0026】
いくつかの場合において、単一の制御装置に2つ以上の制御レイヤーを組み合わせることが実用的であり得る。たとえば、大気ロボット制御装置319および対応するモータ制御装置322は、単一の集中型ロボット制御装置で組み合わせることができるか、または大気部制御装置315は、2つの別個の制御装置ユニットの必要性を排除するために大気ロボット制御装置319と組み合わせることができる。
【0027】
5軸ダイレクトドライブロボットマニピュレータ400は、
図2の自動化材料ハンドリングプラットフォーム300に用いることができ、大気ロボットマニピュレータ306および真空ロボットマニピュレータ311のうち1つまたは複数は、実質的にロボットマニピュレータ400に類似している。かかるロボットマニピュレータ400の簡略概略図が
図3に提供される。主要な構成要素の注釈が、表2に列挙されている。一態様では、開示された実施形態の態様は、ロボットマニピュレータ400内で実行されてもよい。しかしながら、開示された実施形態の態様は、ロボットマニピュレータに関して説明されるが、開示された実施形態の態様は、搬送ロボット、ロードポート、アライナ、ポンプ、ファン、バルブなどを含むがそれらに限定されない、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切な自動化された部分で実現され得ることが理解されるべきであって、
図8Aの制御装置800は、上述の自動化機器のいずれかのための制御装置を示すことに留意する。ロボットマニピュレータ400は、例示的な目的のみのために5軸ダイレクトドライブロボットマニピュレータとして示されていることに留意されたい。他の態様では、ロボットマニピュレータ(または開示された実施形態の態様を含む処理ツールの他の自動化された部分)は、任意の適切な数の自由度および直接または間接駆動システムを有する、任意の適切な数の駆動軸を有していてもよい。
【0028】
【0029】
図3を参照すると、ロボットマニピュレータ400は、円形の取付けフランジ402から吊り下げられた開放筒状フレーム401の周りに構築される。フレーム401は、ボールねじ機構407を介してブラシレスDCモータ406によって駆動されるキャリッジ405にガイダンスを提供するために、線形軸受404を有する垂直レール403を組み込んでいる。キャリッジ405は、光学エンコーダ410、411を備えた一対の同軸ブラシレスDCモータ408、409を収容する。上側モータ408は、ロボットアームの第1リンク414に接続された中空の外側シャフト412を駆動する。下側モータ409は、ベルト駆動部415を介して第2リンク416に連結されている同軸の内側シャフト413に接続されている。第1リンク414は、2ステージベルト装置418A、419Aを介して上側エンドエフェクタ420Aを駆動するブラシレスDCモータ417Aを収容する。別のDCブラシレスモータ417Bと2ステージベルト駆動部418B、419Bは、下側エンドエフェクタ420Bを作動させるために使用される。ステージ418A、418B、419Aおよび419Bの各々は、入力プーリと出力プーリとの間で1:2の比で設計される。基板421Aおよび421Bは、真空作動エッジコンタクトグリッパー、表面接触吸引グリッパーまたは受動グリッパーによって、それぞれ、エンドエフェクタ420Aおよび420Bに取り付けられて保持される。
【0030】
第1リンク414、第2リンク416、上側エンドエフェクタ420Aおよび下側エンドエフェクタ420Bはまた、本明細書全体を通して、それぞれ、アッパーアーム、フォアアーム、エンドエフェクタAおよびエンドエフェクタBと呼ばれる。点A、BおよびCは、それぞれ、肩、肘および手首の関節と呼ばれる、回転カップリングを示す。点Dは、対応するエンドエフェクタ上の基板の中心の所望の位置を示す基準点を示す。
【0031】
例示的なロボットマニピュレータの制御システムは、分散型であってもよい。これは、電源429、マスター制御装置422ならびにモータ制御装置423A、423Bおよび423Cを含む。マスター制御装置422は、監視タスクや軌道計画を担当している。モータ制御装置423A、423Bおよび423Cの各々は、1つまたは2つのモータの位置および電流フィードバックループを実行する。
図3において、制御装置423Aは、モータ408および409を制御し、制御装置423Bは、モータ417Aおよび417Bを制御し、制御装置423Cは、モータ406を制御する。フィードバックループを実行することに加えて、モータ制御装置はまた、モータ電流、モータ位置およびモータ速度などのデータを収集し、データをマスター制御装置に流す。モータ制御装置423A、423Bおよび423Cは、高速通信ネットワーク425を介してマスター制御装置に接続される。関節Aは、無限の回転関節であるので、通信ネットワーク425は、スリップリング426を介してルーティングされる。追加の電子ユニット424Aおよび424Bは、それぞれ、エンドエフェクタ420Aおよび420Bのエッジコンタクトグリッパーをサポートするために使用されてもよい。
【0032】
図4~4Eを参照すると、
図3のロボットマニピュレータ400は、任意の適切な(1つまたは複数の)アームリンク機構を含んでいてもよい。アームリンク機構の適切な例としては、たとえば、2009年8月25日に発行された米国特許第7,578,649号明細書、1998年8月18日に発行された米国特許第5,794,487号明細書、2011年5月24日に発行された米国特許第7,946,800号明細書、2002年11月26日に発行された米国特許第6,485,250号明細書、2011年2月22日に発行された米国特許第7,891,935号明細書、2013年4月16日に発行された米国特許第8,419,341号明細書、「Dual Arm Robot」と題され、2011年11月10日に出願された米国特許出願第13/293,717号明細書、および「Linear Vacuum Robot with Z Motoin and Articulated Arm」と題され、2013年9月5日に出願された米国特許出願第13/861,693号明細書に見出すことができ、その開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。開示された実施形態の態様において、各搬送ユニットモジュール104の少なくとも1つの移送アーム、ブームアーム143および/または線形スライド144は、アッパーアーム315U、バンド駆動フォアアーム315Fおよび帯域制約エンドエフェクタ315Eを含む従来のスカラアーム315(水平多関節ロボットアーム)(
図4C)型の設計に由来してもよく、または、伸縮アームもしくは直角座標線形スライドアーム314(
図4B)などの他の任意の適切なアーム設計に由来してもよい。搬送アームの好適な例としては、たとえば、2008年5月8日に出願された「Substrate Transport Apparatus with Multiple Movable Arms Utilizing a Mechanical Switch Mechanism」と題する米国特許出願第12/117415号明細書、および2010年1月19日に発行された米国特許第7648327号明細書に見出すことができ、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。移送アームの動作は、互いに独立していてもよいし(たとえば、各アームの伸長/後退が他のアームから独立している)、ロストモーションスイッチを介して操作されてもよいし、アームが少なくとも1つの共通駆動軸を共有するような任意の適切な方法で動作可能に連結されていてもよい。さらに他の態様では、搬送アームは、フロッグレッグアーム316(
図4A)構成、リープフロッグアーム317(
図4E)構成、双対称アーム318(
図4D)構成などの任意の他の所望の配置を有していてもよい。搬送アームの適切な例としては、2001年5月15日に発行された米国特許第6,231,297号明細書、1993年1月19日に発行された米国特許第5,180,276号明細書、2002年10月15日に発行された米国特許第6,464,448号明細書、2001年5月1日に発行された米国特許第6,224,319号明細書、1995年9月5日に発行された米国特許第5,447,409号明細書、2009年8月25日に発行された米国特許第7,578,649号明細書、1998年8月18日に発行された米国特許第5,794,487号明細書、2011年5月24日に発行された米国特許第7,946,800号明細書、2002年11月26日に発行された米国特許第6,485,250号明細書、2011年2月22日に発行された米国特許第7,891,935号明細書、および「Dual Arm Robot」と題され、2011年11月10日に出願された米国特許出願第13/293,717号明細書および「Coaxial Drive Vacuum Robot」と題され、2011年10月11日に出願された米国特許出願第13/270,844号明細書に見出すことができ、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
さらに
図2~
図4Eを参照すると、本明細書に記載のロボットマニピュレータ306、311、400は、基板S(
図4、
図4B参照)を、
図5Aに示す基板保持ステーションSTN1~STN6などの空間の点の間で搬送する。基板Sの搬送を達成するために、ロボットマニピュレータ306、311、400に接続されているロボット制御装置(ロボットマニピュレータ制御装置とも称される)319、323、422、423A~423C、810(
図2、
図3および
図8Aを参照)などの、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切な制御装置において、動作制御アルゴリズムが実行される。動作制御アルゴリズムは、空間内の所望の基板の通路を画定し、位置制御ループは、それぞれのロボットの空間での自由度の移動を担当する各ロボットのアクチュエータに適用するために所望の制御トルク(または力)を算出する。
【0034】
ロボットマニピュレータ306、311、400(自動化システムと呼ばれることもある)は、基板Sを連続して移送する繰り返しタスクを実行することが予期され、ロボットマニピュレータは、かかる基板の処理に関連する環境条件にさらされる。開示された実施形態の態様により提供される方法および装置を有し、経時的にロボットマニピュレータ(または自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の他の自動化装置)の性能をモニタし、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400が、基板保持ステーションSTN1~STN6間で基板を運搬および移送するなどの、その主要なタスクを処理するために、予期されるパラメータ内で動作することが可能かどうかを判定(予測診断)することが有利である。
【0035】
開示された実施形態の態様によれば、たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400の健全性評価が、ベース統計シグネチャ(たとえば、典型的な環境条件下において動作する所与の変数の挙動のベースラインまたは統計的表示)を生成することによって実行され、ベース統計シグネチャは、ロボットマニピュレータ306、311、400の一組のベース移動(move)/モーション(motion)(移動およびモーションという用語は本明細書において互換的に使用されている)820、820A、820B、820C(
図8A参照)のための、ロボットマニピュレータ306、311、400によって出力される各動的性能変数を特徴付ける。ベース統計シグネチャは、たとえば、制御装置319、323、422、423A、423B、423C、810などの、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切な制御装置に通信可能に連結された(ストレージ801などの任意の適切なストレージにより形成することができるか、またはストレージに属することができる)登録システム801Rを用いて、所定のベースモーションの所定のモーションベースセットをもたらすロボットマニピュレータ306、311、400によって出力された少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録することにより生成される。
【0036】
動的性能変数の各々は、動的性能変数が取得された異なる自動化システムのグループ(たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300を形成する自動化システムのグループ)にあってもよい自動化システム(ロボットマニピュレータ306、311、400など)に固有である。このように、動的性能変数のそれぞれは、(自動化システムのグループの)自動化システムのそれぞれの1つに固有であるので、それぞれの自動化システムのベース統計シグネチャは、それぞれの自動化システムと共に移動する。たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の大気部301に位置するロボットマニピュレータ306は、それぞれのベース統計シグネチャを有し、真空部302に位置するロボットマニピュレータ311は、それぞれのベース統計シグネチャを有している。ロボットマニピュレータ311が、大気部301内に配置された場合、ロボットマニピュレータ311のベース統計シグネチャは、大気部301内に配置されたとき、依然として、ロボットマニピュレータ311に適用されることになる。一態様では、ベース統計シグネチャは、メモリ内のそれぞれの自動化システムおよび/または自動化システムの制御装置に関連付けられている。さらに、各ロボットマニピュレータは、それぞれのロボットマニピュレータのベース統計シグネチャに影響を与える固有の動作特性を有していてもよい。たとえば、ロボットマニピュレータ311および他のロボットマニピュレータは、同じ構造およびモデルのロボットマニピュレータとして製造することができる。しかしながら、たとえば、ロボットの駆動システムとアーム構造における製造公差に起因して、ロボットマニピュレータ311のベース統計シグネチャは、他の同様のロボットマニピュレータに適用可能でなくてもよく、その逆も同様である。このように、各ロボットマニピュレータのベース統計シグネチャは、それぞれのロボットマニピュレータと共に移動する(たとえば、ロボットマニピュレータ311のベース統計シグネチャC
pkbaseは、ロボットマニピュレータ311と共に移動し、ロボットマニピュレータ311に固有であり、ロボットマニピュレータ306のベース統計シグネチャC
pkbaseは、ロボットマニピュレータ306と共に移動し、ロボットマニピュレータ306に固有である)。したがって、ロボットマニピュレータ311などの各装置は、固有であり、所定のモーションベースセット820、820A~820Cのそれぞれ所定のベース移動501、502、503のためのそれぞれの正規化値またはベース統計シグネチャ/値C
pkbase、および他の所定のモーションセット830、830A~830Cのそれぞれのマッピングされた、現場(in-situ)プロセス移動501’、502’、503’のためのそれぞれの他の値C
pkotherは、固有の装置のみと固有に相関されていて、判定された性能劣化率(たとえば、線形トレンドモデルLTMで示されるもの、
図11参照)は、固有の装置のみと固有に相関する。
【0037】
一態様では、システム(たとえば、
図3に示した自動化材料ハンドリングプラットフォーム300)は、互いに接続された多数の異なる固有の装置(たとえば、表1に記載され、
図2に示されるアライナ307、ロボットマニピュレータ306、ファンフィルタユニット308など)、およびたとえば搬送装置311を含むか、または、さもなければ設けられており、多数の異なる固有の装置App(i)(App1~Appnとして概略的に
図2Aに示される)のうちそれぞれ異なる固有の装置は、所定のモーションベースセット820、820A~820Cの各ベース移動501、502、503のための異なる対応する正規化値C
pkBasei(C
pkBase(1~n)を含む)、および多数の異なる固有の装置App(i)のうち異なる対応する固有の装置App1~Appnに対してそれ以下で固有に相関する他の所定のモーションセット830、830A~830Cのそれぞれのマッピングされた現場プロセス移動501’、502’、503’のための他の正規化値C
pkOtheriを有する。一態様では、多数の異なる固有の装置App(i)のうちそれぞれの(または少なくとも1つの)異なる固有の装置App1~Appnは、異なる固有の装置App1~Appnの別の1つと共通の構成のものである。たとえば、ロボットマニピュレータ306は、ロボットマニピュレータ311と共通の構成を有していてもよい。他の態様において、多数の異なる固有の装置App(i)のうちそれぞれの(または少なくとも1つの)異なる固有の装置App1~Appnは、異なる固有の装置App(i)の別の1つとは異なる構成のものである。たとえば、アライナ307は、ロボットマニピュレータ306とは異なる構成を有している。
【0038】
各自動化装置および/またはシステムの動的性能変数は、直接測定することができるか(すなわち、連続モニタリング変数)、または利用可能な測定から導き出すことができる(すなわち、派生変数)。動的性能変数の例としては、以下のものを含む。
【0039】
機械力または電力;
【0040】
機械的作業;
【0041】
ロボットエンドエフェクタの加速;
【0042】
モータPWMデューティ:モータのPWMデューティは、任意の所定の時点で各モータ相に供給される入力電圧の割合である。モータ相のそれぞれにおけるデューティサイクルは、健全性モニタリングおよび障害診断システムに利用可能である;
【0043】
モータ電流:モータ電流は、モータのそれぞれの三相のそれぞれに流れる電流を表わす。モータ電流は、絶対値として、または最大電流の割合として得ることができる。絶対値として得られる場合、それはアンペアの単位を有する。モータ電流値は、順番に、モータ-トルク電流関係を用いてモータトルクを計算するために用いることができる;
【0044】
実際の位置、速度および加速度:これらは、モータ軸のそれぞれの位置、速度および加速度である。回転軸については、位置、速度および加速度の値は、それぞれ、deg、deg/sec、deg/sec2の単位である。並進軸については、位置、速度および加速度の値は、それぞれ、mm、mm/secおよびmm/sec2の単位である;
【0045】
所望の位置、速度および加速度:これらは、制御装置がモータに有するように命令する、位置、速度および加速度の値である。これらの特性は、上記の実際の位置、速度および加速度と同様の単位を有する;
【0046】
位置および速度トラッキングエラー:これらは、それぞれの所望の値と実際値との間の差である。これらの特性は、上記の実際の位置、速度、加速度と同様の単位を有する;
【0047】
整定時間:これは、位置および速度トラッキングエラーが動作の終了時に指定されたウィンドウ内で整定されるのに要する時間である;
【0048】
エンコーダのアナログおよび絶対位置出力:モータ位置は、2つのタイプの信号、すなわちアナログ信号および絶対位置信号を出力するエンコーダによって決定される。アナログ信号は、ミリボルト単位の正弦および余弦信号である。絶対位置信号は、アナログ正弦サイクル数または経過したアナログ正弦サイクルの整数倍を示す不揮発整数値である。典型的には、デジタル出力は、パワーアップ時に読み出され、その後、軸の位置が、アナログ信号から単独で決定される;
【0049】
グリッパー状態:これは、グリッパーの開放または閉鎖の状態である。真空作動エッジコンタクトグリッパーの場合には、1つまたは複数のセンサの遮断/非遮断状態である;
【0050】
真空システム圧力:これは、真空センサによって測定された真空レベルである。これは、出力がアナログ-デジタル変換器によってデジタル化されるアナログセンサである。吸引グリッパーの場合には、真空レベルは、ウエハが把持されたかどうかを示す;
【0051】
基板存在センサ状態:受動グリップエンドエフェクタにおいて、ウエハ存在センサ出力は、バイナリ出力である。真空作動エッジコンタクトグリップエンドエフェクタにおいて、ウエハの存在は、それぞれがバイナリである2つの以上のセンサの出力状態から判定される;
【0052】
マッパーセンサ状態:これは、任意の所定の時点でのマッパーセンサの遮断または非遮断状態である;
【0053】
基板マッパー/アライナ検出器光強度:これは、基板マッパーまたはアライナの光検出器によって検出された光の強度の尺度である。この信号は、典型的には整数値(例として、0~1024の範囲を有していてもよい)として使用可能である;
【0054】
基板マッパーセンサ位置捕捉データ:これは、マッパーセンサが状態を変更するロボット軸位置の値の配列である;
【0055】
真空バルブ状態:これは、真空バルブの指令された状態である。真空バルブを作動させるソレノイドが通電されているかどうかを特定する;
【0056】
ヒューズの出力端子の電圧:モータ制御回路内のヒューズのそれぞれの出力端子の電圧がモニタされる。ヒューズが切れると低出力端子電圧になる;
【0057】
基板アライメントデータ:これらは、アライナによって報告された基板のアライメント基準の角度方向と基板偏心ベクトルである;
【0058】
外部基板センサの移行時の位置データ:いくつかのケースでは、ツールの大気部と真空部は、ロボットによって運搬される基板の前縁および後縁を検出する光センサを備えていてもよい。これらのイベントに対応するロボット位置データは、ロボットエンドエフェクタ上の基板の偏心をオンザフライ(on-the-fly)で認識するために使用される;
【0059】
基板サイクル時間:これは、単一の基板がツールによって処理されるのにかかる時間であり、典型的には、定常流条件下で測定される;
【0060】
ミニ環境圧力:これは、ツールの大気部の圧力センサによって測定される圧力である。
【0061】
連続モニタリング変数の特定の例は、以下のものを含む。
【0062】
【0063】
T1およびT2は、ロボットマニピュレータの駆動回転軸であり(2つより多いかまたは少ない回転駆動軸が存在してもよい);Zは、ロボット駆動Z軸であり;CPUは、ロボット制御装置(たとえば、制御装置319、323、422、423A~423C、800)であり;ファン0、ファン1は、ロボットマニピュレータの各種ファンであり;シータは、ロボットマニピュレータアームの回転であり;そしてRは、ロボットマニピュレータアームの伸張である。
【0064】
派生変数の特定の例は以下のものを含む。
【0065】
【0066】
かかる動的性能変数は、モータの位置、速度、加速度および制御トルクなどの生の測定値または直接の測定値から計算される。
【0067】
所定のモーションベースセット820、820A~820Cの所定のベース移動501、502、503は、ベースモーションタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の少なくとも1つの共通のベース移動(たとえば、ベースラインを形成し、統計的に有意のバッチを画定するために収集される十分なサンプルの移動から作成される移動)を含む。たとえば、それぞれのベース移動501、502、503(たとえば、ベース移動501は、モーションベースセット820Aを有し、ベース移動502は、モーションベースセット820Bを有し、ベース移動503は、モーションベースセット820Cを有している)の(それぞれの)モーションベースセット820、820A~820C(
図8A参照)は、特定のロボットマニピュレータ306、311、400用のモーションベースセット(または移動セット)820、820A~820Cを特徴付けるために、所定の収束基準に基づいて、統計的に有意の標準偏差を提供するのに十分な、実質的に最小移動数N
min(
図6参照)(たとえば、サンプルサイズ)である。このように、各動的性能変数は、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400に特有のものであって、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400によって出力される。
【0068】
それぞれの所定のモーションベースセット820、820A~820Cの所定のベース移動501、502、503は、多数の異なるベースモーションタイプを含み、そのそれぞれが、統計的に特徴付ける数の各ベースモーションタイプに対する共通のモーションにおいて、搬送装置306、311、400によりもたらされる。異なるベースモーションタイプのそれぞれは、それぞれのベースモーションタイプそれぞれに異なる共通の動作を画定する異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性と位置コマンド特性を有している。一態様では、所定のベースモーションセット820、820A~820Cは、1つまたは複数の移動/モーションタイプのものであってもよい。たとえば、ベースモーションセット820、820A~820Cにおける、それぞれの移動501、502、503は、それぞれの移動を画定するトルクおよび位置コマンドによって特徴付けられる単純な移動または複合(たとえば、ブレンド)移動であってもよい。
【0069】
単純な移動は、2点間の直線の移動(
図5Cに示すように点0から点1に)であるか、またはロボットマニピュレータ306、311、400のシータ軸、伸長軸またはZ軸の1つに沿った2点間(
図5Cに示すように点1から点2に)の円弧状の移動である(たとえば、1自由度の移動)。
【0070】
複合またはブレンド移動は、
図5Bに示すように、2つを超える単純な移動が一緒にブレンドされた移動であって、移動は、ロボットマニピュレータ306、311、400のシータ軸、伸長軸またはZ軸の少なくとも2つに沿った(たとえば、2以上の自由度の移動)、点0から点1へのおよび点1から点2への2つの直線移動をブレンドする、点1に隣接したブレンド経路を有して、点0から点2に延びる。
【0071】
モーションベースセット820、820A~820Cのそれぞれはまた、セット内の移動の位置(たとえば、移動の始点および終点)、セット内の移動の負荷パラメータ(たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400は、負荷され(基板を担持する)、または負荷されず(基板を担持しない))、ならびに/または移動の初期および/もしくは最終位置での動的状態(たとえば、動作/停止、停止/停止、停止/動作、動作/動作、など)によって特徴付けることができる。たとえば、
図5Bの複合移動を参照すると、点0の動的状態は停止され、点2での動的状態は停止される。
図5Cの2つの単純な移動を参照すると、点0での動的状態が停止され、点1での動的状態が移動していて;一方、点2における動的状態が停止される。上述したように、移動タイプが、1、2、または3の自由度におけるロボットマニピュレータアームの動作に関して説明してきたが、移動タイプが、任意の適切な数の自由度または単一の自由度で(たとえば真空ポンプ、基板アライナなどによって)生成された移動を含んでいてもよいことが理解されるべきである。
【0072】
それぞれの移動タイプは、統計的にそれぞれの移動タイプを特徴付ける最小移動数Nminをもたらす。たとえば、それぞれの動的性能変数またはモーションタイプが、以下の式のような履歴的方法で表すことができる。
【0073】
【0074】
Sは、表5~7に提供されたベース移動/モーション信号である。信号S0~Snは、スカラー出力を有する信号であり、異なるテンプレート移動(また、ベース移動とも呼ばれる場合もある)にわたって比較することができる、すなわち、異なる移動タイプにわたってベースラインに対してモータエネルギーを比較する。信号Sn+1~Sn+1+miは、表8からのベクトル出力信号であり、iで示される、異なるテンプレート移動のタイプにわたって比較することができない。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
これらのベクトル出力信号は、軌道に沿って、各時間サンプルでの信号を有し、したがって、これらの信号の数は、異なる移動の間で異なり、1つの移動対別の移動における時間サンプルでの評価への物理的意義はない。ベース移動(タイプ)インデックスは、iで示され、所定のインデックスの履歴は、jで示されている。
【0080】
この例における最後の評価ベース移動は、以下の式である。
【0081】
【0082】
この例における3番目の最後の評価ベース移動は、以下の式である。
【0083】
【0084】
図5A~
図5Cを参照すると、ベース移動のそれぞれのセット820、820A~820Cにおけるベース移動501、502、503などのベース移動は、テンプレート移動とも呼ばれ得る。ベース移動501、502、503は、固有の経路に沿って繰り返される移動である。ベース移動501、502、503は、単純な移動、または上述のような複合移動で構成することができる。
【0085】
特性データは、システムの性能低下や性能の傾向を評価するために、ベースラインに対するベース移動の固有の経路に沿って分析される。ベース移動501、502、503は、理論的および/または経験的に定義することができる。たとえば、理論ベース移動は、プロセスツールの予期される設計構成およびプロセスに基づいて、操作中に予期される移動を解析し、そして、現場プロセスツールのインストールの前または後に、任意の時間に実行される。
【0086】
経験的ベース移動は、
図6に示すように、所定の変化率収束境界の間で定まる有意の統計値を有するように、生成された十分な統計的特性に対する所望の発生の共通性を有する移動として、現場プロセス移動コマンドから生成されてもよい(ここで、
図6中のN
minは、所与の収束基準に基づいて統計的に有意の標準偏差を提供するのに十分な最小数の移動(たとえば、サンプルサイズ)である)。経験的ベース移動の生成は、2つの部分からなるプロセスであってもよい(ベース統計シグネチャの経験的な生成と同様に適用される)。たとえば、経験的ベース移動を生成することは、現場移動コマンドヒストグラム700(
図7参照)にアクセスし、ベース移動501、502、503にマッピングするコマンド(たとえば、トルク、位置、境界パラメータ、コマンド軌道経路(速度と移動時間を包含する)、負荷条件など)を使用して現場移動を識別すること(たとえば、現場移動が、構成可能な許容範囲内でベース移動と一致する);および、他の所定のモーションセット830の決定(後述)をもたらすために、ロボットマニピュレータによって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録する、任意の適切な登録システム801Rのレジストリ840から、マッピングされたモーションのために、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400によって出力される各動的性能変数にアクセスすることを含むことができる。
【0087】
経験的ベース移動の生成が、準リアルタイムで行われ、バックグラウンドで実行され、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の制御装置319、323、422、423A、423B、423C、800および関連する双方向の通信/データチャネルにアクセスせずに、レジストリ840にアクセスすることができる。現場移動コマンドヒストグラム700は、各ロボットマニピュレータ306、311、400によってもたらされる現場プロセスモーションを含む、ロボットマニピュレータ制御装置(たとえば、制御装置319、323、422、423A、423B、423C、800)によって命令されたモーションを含む。現場移動コマンドヒストグラム700は、たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300のロボットマニピュレータ制御装置(たとえば、制御装置319、323、422、423A、423B、423C、800)または任意の他の適切な制御装置の任意の適切なレジストリ700R(
図8A参照)に登録されてもよい。本明細書に記載されるように、ロボットマニピュレータ制御装置は、レジストリ700R内のモーションヒストグラム700の定期的なアクセスから、マッピングされたモーションを解明する。
【0088】
たとえば、また
図8Aを参照すると、モーションリゾルバ800は、ロボットマニピュレータ306、311、400から(
図2および3を参照)、ロボット制御装置319、323、422,423A~423C、810の現場プロセスモーションコマンドを解明し、ここで、搬送装置によってもたらされた現場プロセスモーション501’、502’、503’ (
図5A参照)は、所定のモーションベースセットの所定のベースモーション501、502、503(それぞれが対応するテンプレートモーションを画定し、それによって、現場プロセスモーションが各テンプレートモーションにマッピングされる)にマッピングされ(後述)、制御装置319、323、422、423A~423C、810の他の所定のモーションセット(後述)を、マッピングされた現場プロセスモーション501’、502’、503’を用いて画定する。なお、上記と同様に、各現場プロセスモーション501’~503’は、装置の制御装置からのトルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つによって特徴付けられ、トルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つが、ロボットマニピュレータ306、311、400の動作の少なくとも1の自由度の現場プロセスモーションを特徴付ける。
【0089】
モーションレゾルバ800は、モジュールとして、ロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810に含まれていてもよく、モーションリゾルバ800は、ロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810に通信可能に連結された遠隔プロセッサであってもよく、またはモーションリゾルバ800は、ロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810に通信可能にリンクされた別個のプロセッサであってもよい。
【0090】
モーションレゾルバ800は、現場プロセス移動501’、502’、503’を通して反復して、たとえば
図6に示す標準偏差の収束により決定されるような、必要な最小移動数N
minを用いて、それらの現場プロセス移動501’、502’、503’を識別する。たとえば、上述のように、ベースラインを作成する(たとえば、ベース移動501、502、503を確立する)ために、統計的に有意のバッチを画定するために収集された十分なサンプルが存在しなければならない。ベースラインを作成するために必要なサンプルの数は、分析される変数の物理的性質に依存する。たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400の動作の所与の軸の機械的な作業のための典型的な(平均および標準偏差)統計情報を画定するために、同じ動作を実行する同じ軸のピーク制御トルクよりも、時間がかかることがある。この状況を改善するために、ベースラインのサイズは、収集されたデータの統計的分析に基づいて画定される。たとえば、標準偏差は、
図6に示すように、その値が、いくつかの範囲内に安定するポイントまでベースラインデータを収集する間に計算することができる。
図6において、所与の変数の標準偏差が、サンプルサイズに対してプロットされている。サンプルサイズが増加すると、標準偏差が特定の範囲内に収束する傾向がある。たとえば、プロットの変化率が約+/-10%の変量である場合、これらの範囲は、実際のデータセットの観点から、演繹的に画定されるか、または計算することができる。しかしながら、任意の適当な収束方法および/または変量の割合を使用することができる。
【0091】
図8Aならびに
図5および
図8Bをさらに参照すると、少なくとも要求される最小移動数N
minを構成する移動(たとえば、ベースラインを画定するために使用される移動)は、所定のモーションベースセット820と呼ぶことができる。ベース移動501、502、503の各々は、そのベース移動501、502、503に固有のそれぞれの所定のモーションベースセット820A、820B、820Cを有する。それぞれ所定のモーションベースセット820A、820B、820Cを決定し、更新するための例示的なプロセスの流れは、
図8Aおよび
図8Bに示されている。
【0092】
さらに
図5、8Aおよび8Bを参照すると、一態様では、モーションリゾルバ800が、それぞれのベース移動501、502、503用の所定のモーションベースセット820A、820B、820Cを識別し、分析すると、ベース移動501、502、503のそれぞれにマッピング(上述したように)される現場プロセス移動501’、502’、503’は、それぞれの所定のモーションベースセット820A、820B、820Cを更新するために、それぞれの所定のモーションベースセット820A、820B、820Cに含まれる。他の態様において、ベース移動501、502、503のそれぞれの1つの所定のモーションベースセット820A、820B、820Cにマッピングされる現場プロセスモーション501’、502’、503’は、所定のモーションベースセット820A、820B、820Cとは異なる、異なるセットのモーションタイプセットを形成することができる。更新された所定のモーションベースセットおよび/または異なるセットのモーションタイプセットは、別の所定のモーションセット830と呼ぶことができる。本明細書に記載されるように、それぞれの現場プロセス移動501’、502’、503’のための他の所定のモーションベースセット830A、830B、830Cは、ロボットマニピュレータ300などのモニタされる自動化システムの健全性評価および予測診断に関して、それぞれのベース移動501、502、503用のモーションベースセット820A、820B、820Cと比較される(本明細書に記載されるように)。
【0093】
上述のように、たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400(または自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の他の適切な自動化装置)の健全性評価は、ロボットマニピュレータ306、311、400のベース移動のセット820、820A、820B~820C(
図8A参照)ための、ロボットマニピュレータ306、311、400によって出力される各動的性能変数を特徴付けるベース統計シグネチャ(たとえば、典型的な環境条件で動作する所定の変数の挙動のベースラインまたは統計的表示)を生成することによって行われる。
【0094】
一態様では、ベースラインメトリックは、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切なプロセッサ810P(一態様では、プロセッサ105と実質的に類似する)によって捕捉/決定される。プロセッサ810Pは、モジュールとしてロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810に含まれていてもよいか、プロセッサ810Pは、ロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810(およびモーションレゾルバ800)に通信可能に連結された遠隔プロセッサであってもよいか、またはプロセッサ810Pは、ロボット制御装置319、323、422、423A~423C、810(およびモーションレゾルバ800)に通信可能にリンクされた別個のプロセッサであってもよい。プロセッサ810Pは、任意の適切な方法で登録システム801Rに連結されているが、一方、他の態様において、プロセッサ810Pは、登録システム801Rを含む。
【0095】
ベースラインメトリックは、たとえば、ベース統計シグネチャの確率密度関数(PDF)を計算することによって捕捉/決定され、確率関数は、次のように表すことができる。
【0096】
【0097】
ここで、μは、データセットの平均値であり、xは、動的性能変数であり、σは、標準偏差である。
図9は、平均および標準偏差を有する典型的なガウス分布を示す。また、
図9には、仕様上限および下限(それぞれ、USLおよびLSL)が画定される。
【0098】
それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400(
図2および
図3を参照)の各動的性能変数のベース統計シグネチャは、各異なるベース移動タイプ/移動タイプセットのための、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400に特定の各動的性能変数の公称/ベースラインを特徴付けるそれぞれの異なるベース移動タイプ(ベース値への移動タイプセット)のために正規化される。たとえば、所定のモーションベースセットの各モーションのためにそれぞれのロボットマニピュレータ306、311、400によって出力されたそれぞれの動的性能変数のそれぞれの確率密度関数PDFによって特徴付けられたベース値(プロセス能力指数C
pkBaseなど)が、決定される。
【0099】
一般に、プロセス能力指数Cpkは、以下のように定義することができる。
【0100】
【0101】
ここで、σは、標準偏差であり、μは、それぞれの変数について収集されたサンプルの平均値である。プロセス能力指数Cpkは、プロセス能力指数Cpkが、有意の統計データを提供するために十分な大きさである母集団サンプルの平均と標準偏差を捕捉するので、それぞれの動的性能変数のベースラインを表示するためのメトリックとして使用することができる。仕様上限および仕様下限USL、LSLは、測定されるそれぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の測定された標準偏差の関数として仕様上限および仕様下限USL、LSLを画定することなどの任意の適切な方法で決定することができる。たとえば:
【0102】
【0103】
【0104】
ここで、Nは、Cpkが1よりも大きい数であり得るように、3よりも大きい整数であり得る。一例として、N=6のとき、ベースラインプロセス能力指数CpkBaseは、以下のように定義することができる。
【0105】
【0106】
一態様では、C
pkBaseは、2.0に設定されてもよく、(
図9および10に示されるように)サンプリングされた移動の99.9%が捕捉されるように、仕様上限および仕様下限USL、LSLを識別するために、+/-6σであるベースラインのデータセットの平均値μに理論的または経験的に基づいていてもよい。他の態様では、仕様上限および仕様下限USL、LSLは、たとえば、ピークトルク限界、最大整定時間などの限界がよく確立されたときに、信号毎に構成されてもよい。
【0107】
一態様では、
図2Aも参照すると、それぞれの異なる固有の装置App1~Appnのための対応する正規化値C
pkBase(1-n)および他の値C
pkOther(1-n)は、装置App1~Appnのそれぞれの1つの制御装置などの任意の適当な制御装置に登録される。異なる固有の装置App1~Appnのそれぞれの1つに対して互いに固有に関連する正規化値C
pkBase(1-n)と他の値C
pkOther(1-n)は、本明細書でより詳細に説明するように、異なる固有の装置App1~Appnのそれぞれに対して、装置毎に、対応する性能劣化率(たとえば、それぞれの線形トレンドモデルLTMで示される、
図11を参照)を決定するために比較される。
図11に示すように、たとえば、それぞれの装置App1~Appnは、それぞれの線形トレンドモデルLTM1~LTMnを有する。
【0108】
各測定変数(未加工および派生)についてベースラインメトリックが確立されると、現場プロセス移動501’~503’のバッチは、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の操作中にサンプリングされる。たとえば、現場プロセス移動501’、502’、503’は、モニタされているロボットマニピュレータ306、311、400に特定の別の統計シグネチャを識別するために、制御装置319、323、422、423A、423B、423C、810などの制御装置によって生成される。上述したように、現場プロセス移動のセットのための各動的性能変数は、それぞれのベース移動(たとえば、ベース移動タイプ/(1つまたは複数の)タイプセット、式1、2および3を参照)にマッピングされる。上述したように、マッピングされた現場プロセスモーション501’、502’、503’は、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の他の所定のモーションセット830、830A~830Cを画定するために使用される。
【0109】
ベースライン移動501~503と同様に、現場プロセス移動501’~503’は、異なる現場(別の)移動タイプ/(1つまたは複数の)タイプセット(たとえば、他の所定のモーションセット830、830A~830C)のそれぞれのためのそれぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の各動的性能変数の統計シグネチャを処理し、それぞれの所定のモーションベースセット820、830A~830Cにマッピングされ、異なる現場移動タイプ(単純な移動または複合移動であってもよい)のそれぞれのために、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の各動的性能変数の現場性能を特徴付ける現場(別の)値C
pkOtherに正規化される。現場(別の)値C
pkOtherは、他の所定のモーションセット830、830A~830Cのマッピングされた現場プロセス移動501’~503’をもたらすロボットマニピュレータ306、311、400によって出力された動的性能変数のそれぞれの確率密度関数PDFによって特徴付けられるプロセス能力指数である。現場(他の)値C
pkOtherは、
図10に示すように、所定のモーションベースセットに対して他の所定のモーションセットを位置付けるために、ベースラインの上限および下限USL、LSLを参照する(他の所定のモーションセットは、「新規バッチ」として識別され、所定のモーションベースセットは、「ベースライン」として識別される)。C
pkOtherは、プロセス能力指数であって、以下のように定義することができる。
【0110】
【0111】
ここで、iは、評価されるCpkOtherの反復である。正規化された現場(別の)値CpkOtherは、各移動タイプおよび交差移動タイプのためなどの、モニタされるそれぞれの動的性能変数のための正規化されたベース値CpkBaseと比較される。
【0112】
現場(別の)値C
pkOtherと基準値C
pkBaseとの比較は、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300のプロセッサ810Pまたは他の任意の適切な制御装置によって行うことができ、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400は、所定のモーションベースセット820、820A~820Cと他の所定のモーションセット830、830A~830C(および対応する現場(別の)値C
pkOtherとベース値C
pkBase)の両方のための共通の搬送装置である。現場(別の)値C
pkOtherとベース値C
pkBaseとの比較は、各動的性能変数がそのベースラインからどれだけずれるかやドリフトするかの追跡を提供することにより(
図10参照)、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400などの特定の装置のためにモニタリングされる各動的性能変数の健全性評価をもたらす。性能変数の各々についての健全性評価は、以下のように、ベースラインからの相対偏差として定義することができる。
【0113】
【0114】
これは、100%の評価が、現場(別の)値C
pkOtherとベース値C
pkBaseとの間の完全な統計的整合を意味する。上記の式(10)は、所与の動的性能変数の評価の一例を表している。他の態様では、ベースラインの上限および下限USLおよびLSLから外れる発生数を測定するなどの、測定評価の他の方法を使用することができる。
図10は、その統計の観点から所与の動的性能変数のための健全性評価の計算の一例を示す。
図10に示す例では、バッチデータサンプルの20%がベースライン範囲の外部にあり、現場(別の)値C
pkOtherは、ペナルティが科される。
【0115】
さらに
図10だけでなく
図11および12も参照すると、それぞれのロボットマニピュレータ306、311、400の各動的性能変数の健全性評価は、現場(別の)値C
pkOtherがベース値C
pkBaseからずれる程度の観点から定義することができる。変量の程度は、「警告」および「エラー」などの所定の閾値の観点から定義することができ、以下に説明するように、「警告」とは、「注意が必要である」ことを意味することができ、「エラー」とは、「即時のアクションが必要である」こと意味することができる。現場(別の)値C
pkOther(およびベース値C
pkBase)の追跡の別の態様は、この追跡がトレンド分析を提供し、すなわち、対応する動的性能変数が変動の程度の異なるレベルに達すると予期される場合、推定または外挿できることである。
【0116】
各動的性能変数の、そのベースラインからのずれやドリフトの量の決定は、各動的性能変数のためのトレンドデータTDを提供し、トレンドデータTDは、各動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける。トレンドデータTDは、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切なレジスタTDRに登録され得る。
図11は、例示的な動的性能変数の例示的なトレンドデータのチャートを示し、ここでは、異なるバッチ試料から所定の時点についての現場(別の)値C
pkOtherとベース値C
pkBaseとの比較からの各評価A1~Anが、チャート上にプロットされている。
【0117】
図11の傾斜線は、最小二乗法を使用するなど、任意の適切な方法で得ることができる線形トレンドモデルLTM、LTM1~LTMnを表わすが、他の態様においては、任意の適切なトレンドモデルを使用することができる。たとえば、ロボットマニピュレータ306(または自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の他の適切な装置(
図2参照)および自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の多数の異なる固有の装置App1~Appn(
図2A参照))の性能劣化傾向を特徴付けるトレンドデータは、たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切な制御装置/プロセッサ(たとえば、それぞれの装置の制御装置またはツール制御装置314もしくはプロセッサ810P)のレジストリに登録される。一態様では、プロセッサ810Pは、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の性能劣化を特徴付けるシステムの性能劣化傾向を決定するために、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の搬送装置306などの搬送装置および多数の異なる固有の装置App1~Appnの各々に対応する性能劣化傾向を組み合わせる。
【0118】
線形トレンドモデルLTMを参照すると、この線形トレンドモデルLTM(自動化材料ハンドリングプラットフォーム300のロボットマニピュレータ306、ロボットマニピュレータ311、アライナ304、電源PSなどの1つの固有の装置を表し得る)は、評価尺度が所定の警告しきい値に到達するまでの推定時間(またはサイクル)としての時間t
warnを予測するために使用することができる。同様に、時間t
errorが、ロボットマニピュレータ306、311、400の操作を続行することが推奨されない点に到達する時間(またはサイクル)として推定することができる。
図11に見られるように、線形トレンドモデルLTM1~LTMnは、それぞれの異なる固有の装置App1~Appnのために決定される。線形トレンドモデルLTM1~LTMnは、システム(たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300など)の全体的な健全性だけでなく、異なる固有の装置App1~Appnのそれぞれの健全性を示し得る。また、
図2を参照すると、たとえば、線形トレンドモデルLTM1は、電源PSに対応していてもよく、線形トレンドモデルLTM2は、ロボットマニピュレータ306に対応していてもよく、線形トレンドモデルLTM3は、ロボットマニピュレータ311に対応していてもよく、および線形トレンドモデルLTMnは、アライナ307に対応していてもよい。
【0119】
図11および
図12に見ることができるように、トレンドデータTDはまた、たとえば、任意の適切なディスプレイ140を通して、たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400のオペレータに提供される健全性評価警告を提供してもよい。たとえば、制御装置319、323、422、423A、423B、423C、810から分離されているか、またはそれらに含まれていてもよいプロセッサ810Pなどの、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の任意の適切な制御装置は、ロボットマニピュレータ306、311、400の健全性評価をオペレータに示すために、所定の信号を送信するように構成されているトレンド/評価ユニット870(
図8A)を含んでいてもよい。他の態様では、トレンド/評価ユニット870は、コントローラ319、323、422、423A、423B、423C、810の一部であってもよい。たとえば、プロセッサ810Pは、トレンドデータTDが第1の所定の評価値WSに達したときに、「警告」の表示を送信するか、または、たとえば黄色で視覚的に表示させてもよく、トレンドデータTDが第2の所定の評価値ES(たとえば、第1の所定の評価値WSよりも低い)に到達するときに、「エラー」表示が赤い色で提示されてもよく、およびトレンドデータが第1の所定の評価値WSより大きいときに、「通常」の表示(たとえば、すべての動的性能変数が所定の操作限界内にある)が緑色で提示されてもよい。他の態様では、自動化システムの操作状態(たとえば正常、警告およびエラー)が聴覚的に、視覚的に、または任意の他の適切な方法で提示されてもよい。
【0120】
一態様では、プロセッサ810Pは、搬送装置によって出力された少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向(たとえば最小パーセント評価)を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測する。たとえば、ロボットマニピュレータ306、311、400の全体的な健全性は、データサンプルの所与のバッチでモニタされたすべての動的性能変数に亘る最悪の場合の評価として測定することができる。たとえば、5つの動的性能変数Var1~Var5(たとえば、比較される異なる変数を表示するための、実際のT1位置、実際のZ加速度、バスモータ電圧、T2温度およびシータコマンド位置など)が、それぞれのベースラインに対して測定されて比較される場合、結果の評価値は、以下のとおりである。
【0121】
【0122】
上記の例において、動的性能変数Var5のための評価は、5つの動的性能変数Var1~Var5のうちの最も低い評価であり、健全性が5つのダイナミック性能変数Var1~Var5のすべてによってモニタされるロボットマニピュレータ306、311、400の全体の現在の健全性評価を表すために使用することができる。評価が、それぞれのベースラインに対する相対的な測定値であるという事実に基づいて、すべてのこれらの全体にわたって直接比較することができるので、この評価は、これらの動的性能変数Var1~Var5のそれぞれの物理的性質および意味から独立して行うことができる。
【0123】
上述の性能変数の比較の例としては、プロセッサ810Pは、搬送装置306の性能劣化傾向を、多数の異なる固有の装置App1~Appnの各々の性能劣化傾向と比較し、搬送装置306の性能劣化傾向または別の異なる固有の装置App1~Appnの性能劣化傾向が、制御性能劣化傾向であるかどうか、および制御性能劣化傾向が、システムの性能劣化傾向の決定要因であるかどうかを判定する。たとえば、時間tsにおいて、ロボットマニピュレータ306のための線形トレンドモデルLTM2は、最低評価を有し、この最低評価は、表9に関して説明されるように、自動化材料ハンドリングプラットフォーム300の全体的な健全性であると考えられる。時間が進行するにつれて、線形トレンドモデルLTM1などの他の線形トレンドモデルは、より急速な性能劣化率を示し得る。この場合には、たとえば、自動化材料ハンドリングプラットフォームの全体的な健全性は、たとえば、時間t0における線形トレンドモデルLTM1に基づいて判断することができ、警告が、時間TwarnLTM1における線形トレンドモデルLTM1に基づいて生成され、エラーが、時間TerrorLTM1における線形トレンドモデルLTM1に基づいて生成される。
【0124】
自動化材料ハンドリングシステムの全体的な健全性は、任意の所与の時間に対して最小評価値を有する線形トレンドモデルによって決定され得るが、線形トレンドモデルはまた、どの装置App1~Appnがシステムエラーまたは警告の原因または主な要因であるかについて、フィンガープリントまたは表示を提供する。たとえば、電源PSは、たとえば、ロボットマニピュレータ306(線形トレンドモデルLTM2に対応する)に十分な電圧を供給しないことなどによって他の装置App1~Appnに影響を及ぼし得る。
図11に見られるように、警告が、電源PSの性能劣化の結果として、時間t
warnLTM1で生成されてもよい。警告は、ロボットマニピュレータ306の性能の劣化のために時間t
warnLTM2において生成され得るが、しかしながら、電源PSによってロボットマニピュレータ306に供給される不適当な電圧がなければ、ロボットマニピュレータ306が適切に機能し得る。これらの2つの警告は、電源PSとロボットマニピュレータ306が、修理のためにチェックされるべきであり、電源PSの性能の劣化とロボットマニピュレータ306の性能の低下との間に何らかの相関関係が存在し得ることを示唆する指標である。
【0125】
別の態様では、
図5Aおよび
図8Aを参照すると、開示された実施形態の態様は、組み合わされた集約特性および健全性予測として、システムの健全性を提供し得る。なお、システムの組み合わされた集約特性および健全性予測は、システム全体の劣化傾向を判定するために、システムの構成要素の異なる劣化傾向を組み合わせること/集約することとは異なる。たとえば、組み合わされた集約特性および健全性予測は、μ個のデバイスを有するシステムの劣化傾向を判定することと類似すると考えられ得るが、上述したように、システムの固有の各デバイスのための劣化の傾向を個別に判定しながら、システムとその複数のデバイスが単一の固有の装置として扱われる。この態様では、上述したように、ベース移動501~503および現場プロセス移動501’~503’は、それぞれの固有の装置と固有に相関している。ベース移動501~503および現場プロセス移動501’~503’は、共通のタイプの各異なる装置のために異なっていてもよい(たとえば、ロボットマニピュレータ306のベース移動501~503および現場プロセス移動501’~503’は、ロボットマニピュレータ311のベース移動501~503および現場プロセス移動501’~503’ と異なっていてもよい)。固有のシステム(自動化材料ハンドリングプラットフォーム300など)のためのベース移動セット820、820A~820Cおよび他の所定の移動セット830、830A~830Cは、ベース移動セット890(
図8A参照)によって判定することができ、ベースモーションセット890のベースモーションは、1つまたは複数のベースモーション501~503を組み合わせることによって判定することができ、ここでは、1つまたは複数のベースモーションのそれぞれは、単一の集約モーション890AGを形成するために、通信可能に接続されている(たとえば、電源、ロボットマニピュレータ、ウエハセンサなど)固有のデバイス(上記の表1および表2に記載されているものなど)に固有に相関する。単一の集約モーションは、固有のシステム(自動化材料ハンドリングプラットフォーム300など)および(単一の集約モーションで動作する各デバイスの)関連し、組み合わされ、関連付けられたμ個の動的性能変数
に固有に相関し、ここでは、μ個のデバイスのシステムに固有に関連するシステム性能正規化値C
pkbase(
system μ device)およびマッピングされたモーションに対する別の値C
pkothersystem μ device)を生成するように、S
0,μは、スカラー値であり、Sμ
+1は、ベクトル値である。
【0126】
一態様では、
図14を参照すると、デバイス(たとえば、表1および表2に列挙されたものなど)が、システム(自動化材料ハンドリングプラットフォーム300など)内で取り換えられ、システムの健全性判定を繰り返すことにより、システムの健全性判定が生成されてもよく(
図14、ブロック1400)、ここでは、システムの健全性判定を繰り返すことは、(1)システムの各デバイスの(または少なくとも交換されたデバイスのための)劣化傾向(線形トレンドモデルLTM、LTM1~LTMnによって示される)の判定を繰り返し、たとえば、表9に関して説明したように、劣化傾向の制御しているものからシステム全体の健全性を判定するために、デバイスの劣化傾向を組み合わせること(
図14、ブロック1401);(2)上述したように、組み合わされた集約特性の新しいシステム集約劣化傾向を判定すること(
図14、ブロック1402);(3)交換デバイスがシステム全体の劣化傾向を改善または低減したかを識別し、新しいデバイスが劣化傾向を低減した場合、再度デバイスを取り換え、および/またはシステム全体の劣化傾向を改善するために、デバイスを混合し、およびマッチングすること(
図14、ブロック1403)を含む。
【0127】
一態様において、劣化傾向の重み付け(
図15、ブロック1500)は、システムの任意の適切なプロセッサ(ツール制御装置314など)によってシステムの各装置の線形トレンドモデルLTM、LTM1~LTMnに適用されてもよい。たとえば、重み付けを適用する場合は、ツール制御装置314は、任意の1つまたは複数のデバイスの劣化傾向(たとえば最大劣化)を制御しているか、またはそうでなければ、故障までの所望の時間の所定の時間の範囲外の故障の予測時間を示しているかどうかを判定することができ(
図15、ブロック1501);または、そうでなければ、複数のデバイスのいずれかが、故障すると予測される最初のデバイスであると識別されてもよく、および範囲(たとえば時間範囲)が、故障すると予測される最初のデバイスと故障すると予測される最後のデバイスとの間で判定することができる(
図15、ブロック1502)。どのデバイス(もしあれば)が最初に故障する傾向にあるかを判定するために、過去の故障の履歴(もしあれば)が判定され、システムのメモリに記憶され、ツール制御装置314によってレビューされてもよい(
図15、ブロック1503)。上記の判定から、デバイスの故障の頻度が、システム(たとえば他のデバイスの故障の頻度)と矛盾しているかどうかは、ツール制御装置314によって判定することができる(
図15、ブロック1504)。ツール制御装置314はまた、システム性能に関連するデバイスの特性(たとえば、システムが、故障したデバイスで動作可能または動作不能であるか否か)を識別することができる(
図15、ブロック1505)。一態様では、システム性能に関するデバイス特性は、クリティカル(システムが、デバイスなしで機能できないような場合)として分類することができるか、またはルーチン(システムがデバイスなしで機能することができる)として分類することができる。デバイス特性は、デバイスの優位性、デバイスの代替を見つけることの困難さ、システム内のデバイスのアクセス容易性(デバイスは、交換するために容易にアクセス可能であるか/アクセス困難で交換困難か否か)、デバイスのパッケージング(たとえば、電源が故障した場合は、電源のみを交換することが必要となる一方、ロボットマニピュレータのモータが故障した場合は、ロボットマニピュレータの交換が必要となる)、またはシステムのダウンタイムおよび/もしくは交換デバイスの入手可能性に影響を与え得る他の要因を含み得るが、それらに限定されるものではない。
【0128】
各デバイスの劣化傾向に与えられる重みは、たとえば、デバイスの故障の頻度およびシステム性能に関連するデバイス特性に基づいて、ツール制御装置314によって判定することができる。デバイスの劣化傾向の重み付けは、デバイスの劣化傾向がシステム全体の劣化傾向に及ぼす影響を増加または減少させ、システム全体の健全性の評価は、システムの各デバイスの重み付けされた劣化傾向に基づく。
【0129】
非限定的な例としては、最近取り換えられた/修理されたデバイスがより長い期間使用されてきたデバイスよりもシステム全体の健全性判定への影響が少ないように、最近取り換えられた/修理されたデバイスに対応する線形トレンドモデルは、ある時間使用されてきたデバイスよりも少ない重みを有し得る。別の態様では、線形トレンドモデルLTM、LTM1~LTMnは、頻繁に故障することが知られているデバイスのための線形トレンドモデルがシステム全体の健全性判定に寄与しないか、または、限られた範囲で寄与するように、重み付けされ得る。他の態様では、システムの健全性評価は、線形トレンドモデルLTM、LTM1~LTMnに適用される重み付け係数を含まなくてもよい。
【0130】
図2、
図3、
図5A、
図8A、
図8Bおよび
図13を参照すると、例示的な健全性評価操作は、開示された実施形態の態様に従って説明される。所定の操作データは、装置制御装置319、323、422、423A~423C、810に通信可能に連結された登録システム801Rで登録される(
図13、ブロック1300)。所定の操作データは、所定のベースモーションの所定のモーションベースセット820、820A、820B、820Cをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する。ベース値C
pkBaseは、たとえば、登録システム801Rに通信可能に連結されたプロセッサ810Pを用いて判定される(
図13、ブロック1310)。ベース値C
pkBaseは、所定のモーションベースセット820、820A、820B、820Cのそれぞれのモーションのための、搬送装置306、311、400によって出力された動的性能変数のそれぞれの確率密度関数PDFによって特徴付けられる。
【0131】
たとえば、装置制御装置319、323、422、423A~423C、810に通信可能に連結されたモーションリゾルバ800によって、現場プロセスモーション501’~503’のためのコマンドが解明される(
図13、ブロック1320)。解明された現場プロセスモーションコマンドに対応し、搬送装置306、311、400によってもたらされる現場プロセスモーション501’~503’は、所定のモーションベースセット820、820A、820B、820Cの所定のベースモーション501~503にマッピングされる。搬送装置の別の所定のモーションセット830、830A、830B、830Cは、マッピングされた現場プロセスモーション501’~503’で画定される(
図13、ブロック1330)。
【0132】
他の所定のモーションセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データが、たとえば、登録システム801Rによって登録される(
図13、ブロック1340)。プロセッサ810Pは、他の所定のモーションセット830、830A~830Cのマッピングされた現場プロセスモーション501’~503’をもたらす搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数PDFによって特徴付けられる別の値C
pkOtherを決定する(
図13、ブロック1350)。
【0133】
他の値C
pkOtherおよびベース値C
pkBaseは、たとえば、所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットに対応する、搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれにについて、プロセッサ810Pによって比較され(
図13、ブロック1360)、ここで、搬送装置は、所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットの両方のための共通の搬送装置である。搬送装置の健全性は、上述のように、比較に基づいて評価され、上述したように、任意の適切な健全性評価通知が自動化材料ハンドリングプラットフォーム300のオペレータに送られ得る。
【0134】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置を含むシステムの健全性評価のための方法であって、方法が、
【0135】
装置制御装置と通信可能に連結された登録システムを用いて、所定のベースモーションの所定のモーションベースセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録すること、
【0136】
登録システムと通信可能に連結されたプロセッサを用いて、所定のモーションベースセットの各モーションのための、搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられるベース値(CpkBase)を決定すること、
【0137】
装置制御装置に通信可能に連結されたモーションレゾルバを用いて、搬送装置から装置制御装置の現場プロセスモーションコマンドを解明して、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションが、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションにマッピングされ、マッピングされた現場プロセスモーションを用いて、搬送装置の他の所定のモーションセットを画定すること、
【0138】
登録システムを用いて、他の所定のモーションセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、プロセッサを用いて、他の所定のモーションセットのマッピングされた現場プロセスモーションをもたらす搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられる別の値(CpkOther)を決定すること、および
【0139】
所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットにそれぞれ対応する搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれに対するベース値(CpkBase)と他の値とを比較し、比較に基づいて、搬送装置の健全性を評価すること
を含み、
搬送装置は、所定のモーションベースセットおよび他の所定のモーションセットの両方に共通する固有の搬送装置である。
【0140】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のベースモーションのそれぞれは、テンプレートモーションを画定し、各現場プロセスモーションは、テンプレートモーションの対応する1つに実質的にマッピングする。
【0141】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、各テンプレートモーションが、装置制御装置からのトルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つによって特徴付けられる。
【0142】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、トルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つが、搬送装置の少なくとも1の自由度の動作において、テンプレートモーションを特徴付ける。
【0143】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションを含む、装置制御装置によって命令されたモーションのヒストグラムを、装置制御装置のレジストリに登録することをさらに含み、プロセッサは、レジストリ内のモーションヒストグラムへの周期的なアクセスから、マッピングされたモーションを解明する。
【0144】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、ベースモーションタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の少なくとも1つの共通のベースモーションを含む。
【0145】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、複数の異なるベースモーションタイプを含み、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプについて統計的に特徴付ける数の共通のモーションにおいて、搬送装置によってもたらされる。
【0146】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプにそれぞれ異なる共通のモーションを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性と位置コマンド特性を有する。
【0147】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、登録システムを用いて、動的性能変数のそれぞれのトレンドデータを登録することをさらに含み、トレンドデータが、それぞれの動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける。
【0148】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測することをさらに含む。
【0149】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生の予測の指標を搬送装置のオペレータに提供することをさらに含む。
【0150】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置を含むシステムの健全性評価のための方法が提供される。方法は、
【0151】
装置制御装置と通信可能に連結された登録システムを用いて、所定のベースモーションの統計的特徴付けを画定するように配置される所定のモーションベースセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録すること、
【0152】
登録システムと通信可能に連結されたプロセッサを用いて、所定のモーションベースセットの各モーションについて搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの公称性能を特徴付ける正規化値を決定すること、
【0153】
装置制御装置に通信可能に連結されたモーションレゾルバを用いて、搬送装置から装置制御装置の現場プロセスモーションコマンドを解明して、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションが、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションにマッピングされ、マッピングされた現場プロセスモーションを用いて、搬送装置の他の所定のモーションセットを画定すること、
【0154】
登録システムを用いて、他の所定のモーションセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、プロセッサを用いて、他の所定のモーションセットのマッピングされた現場プロセスモーションをもたらす搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの現場プロセス性能を統計的に特徴付ける他の正規化値を決定すること、および
【0155】
所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットにそれぞれ対応する搬送装置の動的性能変数のそれぞれに対する正規化値と他の正規化値とを比較し、比較に基づいて、公称性能から搬送装置の性能劣化速度を決定することを含み、
装置は、固有であり、所定のモーションベースセットの各所定のベースモーションのための各正規化値(CPKBase)と、他の所定のモーションセットの各マッピングされた現場プロセスモーションのための各他の値(CpkOther)とは、固有の装置のみと固有に相関され、決定された性能劣化率は、固有の装置のみと固有に相関する。
【0156】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、互いに接続された複数の異なる固有の装置および搬送装置をシステムに提供することをさらにみ、複数の異なる固有の装置(i)のうち各異なる固有の装置は、所定のベースモーションセットの各ベースモーションのための異なる対応する正規化値(CpkBasei)と、複数の異なる固有の装置のうち異なる対応する固有の装置(i)にそれ以下で固有に相関する他の所定のモーションセットの各マッピングされた現場プロセスモーションのための他の正規化値(CpkOtheri)とを有する。
【0157】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、各異なる固有の装置(i)について、異なる対応する固有の装置にそれぞれ連結された制御装置を用いて、対応する正規化値(CpkBasei)および他の正規化値(CpkOtheri)を登録すること、および各異なる固有の装置について、異なる対応する固有の装置(i)の固有に相関する正規化値(CpkBasei)および他の正規化値(CpkOtheri)との比較から、異なる固有の装置(i)の対応する性能劣化率を、装置ごとに(i=1・・・n)決定することをさらに含む。
【0158】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、複数の異なる固有の装置のうち各異なる固有の装置が、搬送装置と共通の構成である。
【0159】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、複数の異なる固有の装置のうち各異なる固有の装置が、搬送装置と異なる構成である。
【0160】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、システムの搬送装置および複数の異なる固有の装置のそれぞれの性能劣化傾向を特徴付けるトレンドデータを制御装置のレジストリに登録することをさらに含む。
【0161】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、システムの性能劣化を特徴付けるシステム性能劣化傾向を判定するために、システムの搬送装置および複数の異なる固有の装置のそれぞれに対応する性能劣化傾向を組み合わせることをさらに含む。
【0162】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、搬送装置の性能劣化傾向と複数の異なる固有の装置のそれぞれの性能劣化傾向とを比較すること、ならびにプロセッサを用いて、搬送装置の性能劣化傾向または他の複数の異なる固有の装置の性能劣化傾向が制御性能劣化傾向であるかどうか、および制御性能劣化傾向がシステムの性能劣化傾向の決定要因であるかどうかを決定することをさらに含む。
【0163】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のベースモーションのそれぞれがテンプレートモーションを画定し、各現場プロセスモーションが、テンプレートモーションの対応する1つに実質的にマッピングする。
【0164】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、各テンプレートモーションが、装置制御装置からのトルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つによって特徴付けされる。
【0165】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、トルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つが、搬送装置の少なくとも1の自由度の動作において、テンプレートモーションを特徴付ける。
【0166】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションを含む、装置制御装置によって命令されるモーションのヒストグラムを、装置制御装置のレジストリに登録することをさらに含み、プロセッサは、レジストリ内のモーションヒストグラムの周期的なアクセスから、マッピングされたモーションを解明する。
【0167】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、ベースモーションタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の、少なくとも1つの共通のベースモーションを含む。
【0168】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、複数の異なるベースモーションタイプを含み、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプについて統計的に特徴付ける数の共通のモーションにおいて、前記搬送装置によってもたらされる。
【0169】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプにそれぞれ異なる共通のモーションを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性と位置コマンド特性を有する。
【0170】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、登録システムを用いて、動的性能変数のそれぞれのトレンドデータを登録することをさらに含み、トレンドデータが、それぞれの動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける。
【0171】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測することをさらに含む。
【0172】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、方法は、プロセッサを用いて、動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生の予測の指標を搬送装置のオペレータに提供することをさらに含む。
【0173】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置を含むシステムの健全性を評価するための健全性評価装置であって、前記健全性評価装置は、
【0174】
搬送装置の搬送装置制御装置に通信可能に連結された登録システムであって、登録システムは、
【0175】
所定のベースモーションの所定のモーションベースセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、
【0176】
他の所定のモーションセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録するように構成される、登録システムと、
【0177】
搬送装置制御装置に通信可能に連結されたモーションリゾルバであって、モーションリゾルバは、
【0178】
搬送装置から装置制御装置の現場プロセスモーションコマンドを解明し、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションが、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションにマッピングされ、
【0179】
マッピングされた現場プロセスモーションを用いて、搬送装置の他の所定のモーションセットを画定するように構成される、モーションリゾルバと、
【0180】
登録システムに通信可能に連結されたプロセッサであって、プロセッサは、
【0181】
所定のモーションベースセットの各モーションのための、搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられるベース値(CpkBase)を決定し、
【0182】
他の所定のモーションセットのマッピングされた現場プロセスモーションをもたらす搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの確率密度関数によって特徴付けられる他の値(CpkOther)を決定し、
【0183】
所定のモーションベースセットと他の所定のモーションセットにそれぞれ対応する搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれに対するベース値(CpkBase)と他の値とを比較し、
【0184】
比較に基づいて搬送装置の健全性を評価するように構成される、プロセッサとを備え、
【0185】
搬送装置は、所定のモーションベースセットおよび他の所定のモーションセットの両方のための共通の搬送装置である。
【0186】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のベースモーションのそれぞれは、テンプレートモーションを画定し、各現場プロセスモーションは、テンプレートモーションの対応する1つに実質的にマッピングする。
【0187】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、各テンプレートモーションが、装置制御装置からのトルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つによって特徴付けられる。
【0188】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、トルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つが、搬送装置の少なくとも1の自由度の動作において、テンプレートモーションを特徴付ける。
【0189】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置制御装置は、レジストリを備え、レジストリは、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションを含む、装置制御装置によって命令されるモーションのヒストグラムを登録するように構成され、プロセッサは、レジストリ内のモーションヒストグラムの定期的なアクセスから、マッピングされたモーションを解明するようにさらに構成される。
【0190】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、ベースモーションタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の少なくとも1つの共通のベースモーションを含む。
【0191】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、複数の異なるベースモーションタイプを含み、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプについて統計的に特徴付ける数の共通のモーションにおいて、搬送装置によってもたらされる。
【0192】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプにそれぞれ異なる共通のモーションを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性および位置コマンド特性を有する。
【0193】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、登録システムは、動的性能変数のそれぞれのためのトレンドデータを登録するようにさらに構成され、トレンドデータが、それぞれの動的性能変数の劣化傾向を特徴付ける。
【0194】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、プロセッサは、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測するようにさらに構成される。
【0195】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、プロセッサは、動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生の予測の指標を搬送装置のオペレータに提供するように構成される。
【0196】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置を含むシステムの健全性を評価するための健全性評価装置であって、健全性評価装置は、
【0197】
搬送装置の搬送装置制御装置に通信可能に連結された登録システムであって、登録システムは、
【0198】
所定のベースモーションの統計的特徴付けを画定するように配置される所定のモーションベースセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録し、
【0199】
他の所定のモーションセットをもたらす搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数を具現化する所定の操作データを登録するように構成される、登録システムと、
【0200】
搬送装置制御装置に通信可能に連結されたモーションリゾルバであって、モーションリゾルバは、
【0201】
搬送装置から装置制御装置の現場プロセスモーションコマンドを解明し、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションが、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションにマッピングされ、
【0202】
マッピングされた現場プロセスモーションを用いて、搬送装置の他の所定のモーションセットを画定するように構成される、モーションリゾルバと、
【0203】
登録システムに通信可能に連結されたプロセッサであって、プロセッサは、
【0204】
所定のモーションベースセットの各モーションについて搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの公称性能を統計的に特徴付ける正規化値を決定し、
【0205】
他の所定のモーションセットのマッピングされた現場プロセスモーションをもたらす搬送装置によって出力される動的性能変数のそれぞれの現場プロセス性能を統計的に特徴付ける他の正規化値を決定し、
【0206】
所定のベースモーションセットと他の所定のモーションセットにそれぞれ対応する搬送装置の動的性能変数のそれぞれに対応する正規化値と他の正規化値とを比較し、
【0207】
比較に基づいて、公称性能から搬送装置の性能劣化率を決定するように構成される、プロセッサとを備え、
【0208】
搬送装置は、所定のベースモーションセットおよび他の所定のモーションセットの両方のための共通の搬送装置である。
【0209】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のベースモーションのそれぞれが、テンプレートモーションを画定し、各現場プロセスモーションが、テンプレートモーションの対応する1つに実質的にマッピングする。
【0210】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、各テンプレートモーションが、装置制御装置からのトルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つによって特徴付けられる。
【0211】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、トルクコマンドおよび位置コマンドの少なくとも1つが、搬送装置の少なくとも1の自由度の動作において、テンプレートモーションを特徴付ける。
【0212】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、搬送装置制御装置が、レジストリを備え、レジストリは、搬送装置によってもたらされる現場プロセスモーションを含む、装置制御装置によって命令されるモーションのヒストグラムを登録するように構成され、プロセッサは、レジストリ内のモーションヒストグラムの周期的なアクセスから、マッピングされたモーションを解明するようにさらに構成される。
【0213】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、ベースモーションタイプを画定する、統計的に特徴付ける数の、少なくとも1つの共通のベースモーションを含む。
【0214】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、所定のモーションベースセットの所定のベースモーションが、複数の異なるベースモーションタイプを含み、異なるベースモーションタイプのそれぞれが、各ベースモーションタイプのための、統計的に特徴付ける数の共通のモーションにおいて、搬送装置によってもたらされる。
【0215】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、異なるベースモーションタイプのそれぞれは、各ベースモーションタイプにそれぞれ異なる共通のモーションを画定する、異なる対応する少なくとも1つのトルクコマンド特性および位置コマンド特性を有する。
【0216】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、登録システムは、動的性能変数のそれぞれのためのトレンドデータを登録するようにさらに構成され、トレンドデータが、動的性能変数のそれぞれの劣化傾向を特徴付ける。
【0217】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、プロセッサは、搬送装置によって出力される少なくとも1つの動的性能変数のうち、最も高い劣化傾向を有する動的性能変数を集約し、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生を予測するようにさらに構成される。
【0218】
開示された実施形態の1または複数の態様によれば、プロセッサは、動的性能変数の集約に基づいて、所定の性能状態より低い性能を有する搬送装置の発生の予測の指標を搬送装置のオペレータに提供するようにさらに構成される。
【0219】
上述の説明は、開示された実施形態の態様の単なる例示であることが理解されるべきである。種々の代替および修正は、開示された実施形態の態様から逸脱することなく当業者によって考案され得る。したがって、開示された実施形態の態様は、添付の特許請求の範囲内に入るすべてのそのような代替、修正および変形を包含することを意図している。さらに、異なる特徴が相互に異なる従属又は独立請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用できないことを示していない。かかる組み合わせは、本発明の態様の範囲内にある。
【外国語明細書】