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特開2023-52164背面封止材に面しているポリオレフィンをベースとする機能層を含むバックシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052164
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】背面封止材に面しているポリオレフィンをベースとする機能層を含むバックシート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20230404BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230404BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20230404BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20230404BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20230404BHJP
   H01G 9/20 20060101ALI20230404BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20230404BHJP
   H01L 31/049 20140101ALI20230404BHJP
【FI】
B32B27/32
C08K3/013
C08L23/06
C08L23/08
C08L101/12
H01G9/20 311
B32B27/20
H01L31/04 562
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211663
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2019524219の分割
【原出願日】2017-11-13
(31)【優先権主張番号】16198384.6
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521561651
【氏名又は名称】エンデュランス ソーラー ソリューションズ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】ENDURANCE SOLAR SOLUTIONS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファン デュインホーフェン, フランシスカス, ジェラルドゥス, ヘンリクス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、機能層を含む太陽電池バックシートに関し、バックシートのエッジにおける湾曲、接着剤層に対する相対的に低い層間接着、ポリエチレンの高い酸素透過率等の不都合を克服したバックシートを提供する。
【解決手段】機能層は、ポリエチレンアロイおよび半結晶性ポリマー、例えば、ポリプロピレンを含む。ポリエチレンアロイは、エチレンアクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマーから選択されるエチレンセグメント(-CH2-CH2-)を含有するコポリマーを含む。機能層は、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、雲母、タルク、カオリン、ガラスマイクロビースおよびガラス繊維から選択される無機充填剤をさらに含む。本発明はまた、本発明によるバックシートを含む光起電力モジュールに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面封止材に面している機能層を含む太陽電池バックシートであって、前記機能層が、140℃超の融点を有するポリエチレンアロイおよび半結晶性ポリマーを含む、太陽電池バックシート。
【請求項2】
前記機能層が、前記機能層中の前記ポリマーの全重量に対して少なくとも5重量%の半結晶性ポリマーを含む、請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項3】
前記機能層が、前記機能層中の前記ポリマーの全重量に対して少なくとも10重量%の半結晶性ポリマーを含む、請求項1または2に記載の太陽電池バックシート。
【請求項4】
前記半結晶性ポリマーが、ポリプロピレン、ポリアミド、またはポリエステルからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽電池バックシート。
【請求項5】
前記半結晶性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される、請求項4に記載の太陽電池バックシート。
【請求項6】
ポリプロピレンの前記コポリマーが、ポリプロピレンランダム、ポリプロピレンブロックコポリマーまたは無水マレイン酸グラフトポリプロピレンから選択される、請求項5に記載の太陽電池バックシート。
【請求項7】
前記ポリエチレンアロイが、エチレンセグメント(-CH2-CH2-)を含有するコポリマーを含む、請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項8】
前記エチレンセグメント(-CH2-CH2-)を含有する前記コポリマーが、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンメタクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマーまたはエチレン-酢酸ビニルコポリマーの1つまたは複数から選択される、請求項7に記載の太陽電池バックシート。
【請求項9】
前記コポリマーが、エチレンアクリレートコポリマーを含有する、請求項8に記載の太陽電池バックシート。
【請求項10】
前記機能層が、無機充填剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の太陽電池バックシート。
【請求項11】
前記無機充填剤が、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、雲母、タルク、カオリン、ガラスマイクロビースおよびガラス繊維の1つから選択される、請求項10に記載の太陽電池バックシート。
【請求項12】
構造的補強層および/または耐候性層および/または接着剤層をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の太陽電池バックシート。
【請求項13】
前記耐候性層が、フッ素樹脂またはポリアミドを含む、請求項12に記載の太陽電池バックシート。
【請求項14】
前記構造的補強層が、ポリプロピレン、改質ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、PET、PBT、または別のエンジニアリングプラスチックとのそのブレンドの群から選択される層を含む、請求項12に記載の太陽電池バックシート。
【請求項15】
前記接着剤層が、無水マレイン酸グラフトポリオレフィンを含む、請求項12に記載の太陽電池バックシート。
【請求項16】
前記構造的補強層および/または前記耐候性層および/または前記接着剤層が、無機充填剤をさらに含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の太陽電池バックシート。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のバックシートを含む光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールのためのバックシートに関する。本発明は特に、背面封止材に直接面しているポリオレフィンをベースとする機能層を含むバックシートに関する。本発明はさらに、バックシートを含む光起電力モジュールに関する。
【0002】
太陽電池または光起電力モジュールを使用して、太陽光から電気エネルギーを生じさせる。光起電力モジュールは、再生可能エネルギーの重要な源である。特に、これらは、太陽光に曝露されたとき電子を放出する太陽電池を含む。通常脆弱であり得る半導体材料であるこれらの太陽電池は典型的には、これらを物理的衝撃およびかき傷から保護するポリマー材料で封止されている。封止されている太陽電池は一般に、風化、摩耗または他の物理的侵襲に対して耐性であるガラスまたは別の外層によってさらに保護されている。
【0003】
光起電力モジュールは、太陽光へのそれらの曝露が最大化される、屋上または広く開放的な空間における屋外に従来取り付けられている。太陽光の強度が増加するとき、光起電力モジュールからの電気出力もまた増加する。しかし、光起電力モジュールが太陽光を電気に変換する効率は通常、約20%のみである。太陽光の残りの約80%は反射されるか、またはモジュールによって吸収される。吸収されたエネルギーは、モジュールの作動温度の増加をもたらす。過剰な熱は、光起電力モジュールが太陽光を電気に変換する効率を減少させる。
【0004】
太陽電池モジュールは、その上に太陽光が当たっている側上に配置された前面表面の保護シートを有し、表面を保護する。この層は、例えば、光エネルギーが通過して、電気に変換されることを可能にする一方で、PV電池および電子機器を環境から保護する剛性の外層である、ガラス層である。太陽電池モジュールはまた、反対側上に配置されて、発電電池を保護するバックシートと称される太陽電池背面表面保護シートを有する。
【0005】
脆弱な太陽電池は、いわゆる封止材の使用によってさらに保護される。封止材を使用して、PVモジュールの太陽電池、前面表面および背面表面またはバックシートの間の接着を実現する。太陽電池封止材のための適切なポリマー材料は典型的には、特徴、例えば、高い耐衝撃性、高い耐透過性、良好な耐紫外線(UV)性、良好な長期の熱安定性、ガラスおよび/または他の剛性ポリマーシートへの適当な接着強さ、高い耐湿性、ならびに良好な長期風化に耐えうることの組合せを有する。封止材の例は、アイオノマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン、ポリオレフィンブロックエラストマー、ポリ(エチレン-co-メチルアクリレート)およびポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート)、シリコーンエラストマーまたはエポキシ樹脂である。EVAは、最も一般に使用される封止材材料である。EVAシートは通常、太陽電池および上部表面(前面封止材と称される)の間、および太陽電池および背面表面(背面封止材と称される)の間に挿入される。
【0006】
バックシートは、電気絶縁体として作用している間に、PVモジュールをUV、湿気および天候から保護する光起電力ラミネートである。バックシートは、上記の特性を提供し、かつ太陽電池モジュールの長期性能における劣化を最小化するいくつかのポリマー層を含むことが多い。いくつかのポリマー層は、バックシートにおいてそれら自体の機能を有する。通常は、バックシートは、電池に面している機能層、構造的補強層、耐候性層、ならびに機能層および構造的補強層の間ならびに/または構造的補強層および耐候性層の間の接着剤層を含む。上記の層において使用されるポリマーの例は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、例えば、PETまたはPBT、フッ素樹脂、例えば、PTFEまたはPVDFおよびアクリル樹脂である。
【0007】
背面封止材に直接面しているポリオレフィン層を含むバックシートは、当技術分野において公知である。これらのバックシートは、例えば、国際公開第2014083604号パンフレットにおいて開示されている。国際公開第2014083604号パンフレットは、全天候性層、第1の接続層、構造補強層および反射層からなる耐高温多湿性太陽電池バックシートを開示している。反射層は、電池に面しており、ポリエチレン、エチレン鎖セグメント-CH-CH-を含有するコポリマー、UV耐性安定剤および白色無機顔料を含む。エチレン鎖セグメント(-CH-CH-)を含有するポリエチレンおよびコポリマーをベースとするこの反射層を含む記載されているバックシートの不都合は、貼合せの間の不十分な完全性であり、過剰な縮みをもたらし、したがって、貼合せの後の冷却によって応力を与え、これはバックシートのエッジにおける湾曲をもたらし得る。さらに、これらのバックシートは、構造的補強層に付着している接着剤層に対する相対的に低い層間接着を示す。別の不都合は、ポリエチレンの高い酸素透過率であり、これはPVモジュールにおける接触子における腐食をもたらし得る。
【0008】
本発明の目的は、上記の不都合を克服することである。
【0009】
太陽電池バックシートは、背面封止材に面している機能層と共に提供し、ここで、機能層は、140℃超の融点を有するポリエチレンアロイおよび半結晶性ポリマーを含むという点で本発明の目的は達成される。
【0010】
貼合せの間の完全性は増加し、このように低減した残留応力を実現し、したがって改善された耐久性が達成されることが見出されてきた。改善された耐久性は、表面平面性の欠陥、例えば、湾曲またはうねりの形成を防止し、ケイ素電池およびハンダ付けにおける微小亀裂成長の形成を防止する。機能層中の半結晶性ポリマーの添加は、構造的補強層に付着している接着剤層に対する層間接着を改善させることがさらに見出されてきた。驚いたことに、背面封止材への半結晶性ポリマーを含む機能層の接着は、良好なままである。
【0011】
PVモジュールの貼合せの間に、通常、バックシートは、ベルトに面しているARコーティングしたガラスを有するラミネーター中のベルト上に位置しているPVモジュールスタックを突出させる。高温にて圧力がスタック上に加えられているとき、バックシートはベルトに対して押し付けられ、したがって、機能層はベルトに接触し得る。機能層および構造的層の間の接着が低すぎるとき、機能層の部分がベルト上に残存し、次の貼合せサイクルにおいてARコーティングしたガラスの前面側を汚染する。このような汚染は除去する必要があり、クリーニングの間にARコーティングを損傷し得る。構造的層および機能層の間の接着の増加はこの汚染を防止し、クリーニングは必要なく、ARコーティングが損傷されることを防止する。
【0012】
半結晶性ポリマーは好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミド、またはポリエステルからなる群から選択される。
【0013】
半結晶性ポリオレフィンの例は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンならびに/またはポリブチレンであり、ポリプロピレンコポリマーが最も好ましい。
【0014】
ポリプロピレンコポリマーの場合、プロピレンは、他のアルファ-オレフィン、例えば、エチレンおよびブテン-1を含有し得る主要なモノマー単位である。これらのポリプロピレンは、チーグラー-ナッタまたはメタロセン触媒を使用して得てもよい。
【0015】
用語「半結晶化度」とは、ポリマーが、典型的には、10~80%の範囲の結晶化度を有すると理解される。好ましくは、ポリマーの結晶化度は、30%超である。ポリマーの結晶化度のアセスメントは、試料が加熱されるか、冷却されるか、または定温下に置かれているときに、試料へのもしくは試料からの熱流を測定する示差走査熱量測定(DSC)を使用して最も容易に行うことができる。
【0016】
PerkinElmerからのDSCであるPyris6は、例えば、熱可塑性材料の結晶化度パーセントを測定する手段を提供する。DSC測定は、当技術分野で周知である。
【0017】
どの程度に結晶性ポリプロピレンの結晶化度の程度が測定されるかにも関わらず、所与のポリマーが「半結晶性」であるかどうかを決定するのは、この用語が本明細書において使用されるようにポリマーの特性である。第1の特性は、融点である。半結晶性ポリプロピレンがチーグラー-ナッタ触媒を使用して調製される場合、これらは、140℃超の融点を有し得る。好ましくは、融点は、145℃超であり、最も好ましくは、融点は、150~170℃である。第2の決定特性は、融解熱である。ポリプロピレンがチーグラー-ナッタに由来するポリマーであるとき、これらは少なくとも100ジュール/g、少なくとも115ジュール/gまたは少なくとも120ジュール/gの融解熱を有し得る。融解熱は、示差走査熱量計、および、例えば、ASTM D-3417-99に記載されているものなどの方法を使用して決定し、ここで、5~10mgの試料を、10摂氏温度の速度で加熱し、冷却する。
【0018】
半結晶性ポリプロピレンがメタロセン触媒を使用することによって得られる場合、ポリプロピレンは、少なくとも約158℃の融点および少なくとも90ジュール/gの融解熱を有する。チーグラー-ナッタに由来するポリプロピレンに関して、メタロセン触媒ポリプロピレンの結晶性特性はまた、DSCを使用してアセスメントし得る。本発明において有用な半結晶性ポリプロピレンの例は、ATOFINA(商標)、BP(商標)Accpro9346、BASELLADSTIF(商標)HA722J、Sinopec K8003およびSUNOCO(商標)PPF-050-HCである。
【0019】
機能層は、機能層中のポリマーの全重量に対して、少なくとも5重量%の半結晶性ポリマー、好ましくは、少なくとも10重量%の半結晶性ポリマーを含む。より好ましくは、機能層は、機能層中のポリマーの全重量に対して10~49重量%の半結晶性ポリマーを含む。
【0020】
本発明の機能層におけるポリエチレン(PE)アロイまたはブレンドは好ましくは、ポリエチレンおよび「極性」ポリエチレンを含む。極性ポリエチレンは、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルまたはエチルヘキシルアクリレートから選択される極性コモノマーと共重合されているエチレンを意味する。好ましくは、ポリエチレン(PE)アロイは、ポリエチレンおよびエチレン-メタクリレートコポリマーおよび/またはエチレン-酢酸ビニルコポリマーのブレンドである。
【0021】
半結晶性ポリアミドは、熱下での高い寸法安定性、より低い水の吸収、加水分解に対する改善された安定性、および湿気の作用下での寸法安定性の増加を有する。低い吸湿は、高湿度環境においてまた良好な電気絶縁を保証する。半結晶性ポリアミドの例は、ポリアミド6;ポリアミド6,6;ポリアミド4,6;ポリアミド4,10、ポリアミド6,10;ポリアミド6,12;ポリアミド6,14;ポリアミド6,13;ポリアミド6,15;ポリアミド6,16;ポリアミド11;ポリアミド12;ポリアミド10;ポリアミド9,12;ポリアミド9,13;ポリアミド9,14;ポリアミド9,15;ポリアミド6,16;ポリアミド10,10;ポリアミド10,12;ポリアミド10,13;ポリアミド10,14;ポリアミド12,10;ポリアミド12,12;ポリアミド12,13;ポリアミド12,14;アジポアミドポリエチレンテレフタレート(adipamide polyethylene terephthalate)、ポリエチレンテレフタレートアゼライン酸アミド(polyethylene terephthalate azelaic acid amide)、ポリエチレンセバシン酸アミド、ポリエチレンテレフタレート12ジアミド(polyethylene terephthalate twelve diamide)、アジピン酸アジポアミド/テレフタル酸アジポアミドコポリアミド(adipic adipamide/terephthalic adipamide copolyamide)、アジポアミドテレフタレート/イソフタレート共重合アジポアミドアミド(adipamide terephthalate/isophthalate copolymerized adipamide amide)、m-キシレンポリアジペートアミド(m-xylene polyadipates amide)、テレフタル酸アジポアミド/テレフタル酸メチルグルタルアミド(terephthalic acid adipamide/terephthalic acid methyl glutaramido)、アジピン酸アジポアミド/テレフタレートアジポアミド/イソフタレートコポリアミドアジポアミド(adipic adipamide/terephthalate adipamide/isophthalate copolyamides adipamide)、ポリカプロラクタム-テレフタレートアジポアミドポリアミド12(polycaprolactam-terephthalate adipamide.polyamide 12)および任意のこれらの混合物である。限られた吸湿を伴う好ましいポリアミド、例えば、ポリアミド11、12または4,10が選択される。
【0022】
半結晶性ポリエステルの例は、ポリ(trans-1,4-シクロへキシレンアルカンジカルボキシレート)、例えば、ポリ(trans-1,4-シクロへキシレンスクシネート)およびポリ(trans-1,4-シクロヘキシレンアジペート)、ポリ(cisもしくはtrans-1,4-シクロヘキサンジメチレン)、アルカンジカルボキシレート、例えば、ポリ(cis1,4-シクロヘキサンジメチレン)オキサレートおよびポリ(cis1,4-シクロヘキサンジメチレン)スクシネート、ポリ(アルキレンテレフタレート)、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(アルキレンイソフタレート)、例えば、ポリエチレンイソフタレートおよびポリテトラメチレンイソフタレート、ポリ(p-フェニレンアルカンジカルボキシレート、例えば、ポリ(p-フェニレングルタレート)およびポリ(p-フェニレンアジペート)、ポリ(p-キシレンオキサレート)、ポリ(o-キシレンオキサレート)、ポリ(p-フェニレンジアルキレンテレフタレート)、例えば、ポリ(p-フェニレンジメチレンテレフタレート)およびポリ(p-フェニレン-ジ-1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリ(アルキレン-1,2-エチレンジオキシ-4,4’-ジベンゾエート)、例えば、ポリ(エチレン-1,2-エチレンジオキシ-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(テトラメチレン-1,2-エチレンジオキシ-4,4’-ジベンゾエート)およびポリ(ヘキサメチレン-1,2-エチレンジオキシ-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(アルキレン-4,4’-ジベンゾエート)、例えば、ポリ(ペンタメチレン-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(ヘキサメチレン-4,4’-ジベンゾエート)およびポリ(デカメチレン-4,4’-ジベンゾエート)、ポリ(アルキレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、例えば、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)およびポリ(テトラメチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、およびポリ(アルキレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)、例えば、ポリ(オクタメチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)およびポリ-(デカメチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエート)を含む。好ましいポリエステルは、ポリ(アルキレンテレフタレート)、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0023】
本発明による機能層は、無機充填剤および他の添加物をさらに含み得る。これらの無機充填剤の例は、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、雲母、タルク、カオリン、ZnO、ZnS、ガラスマイクロビースおよびガラス繊維である。このような充填剤が使用されるとき、機能層は、機能層中のポリマーの全重量に対して0.05~20重量%の充填剤を含み、好ましくは、機能層は、機能層中のポリマーの全重量に対して5~15重量%の充填剤を含む。添加物の例は、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、熱安定剤および/または加水分解安定剤から選択される。このような安定剤が使用されるとき、機能層は、機能層中のポリマーの全重量に対して0.05~10重量%、より好ましくは、5重量%までの添加物を含む。
【0024】
白色顔料、例えば、TiO2、ZnOまたはZnSを、機能層に加えて、太陽光の後方散乱を増加させ、ソーラーモジュールの効率の増加をもたらし得る。黒色顔料、例えば、カーボンブラックはまた、審美的な理由のために加え得る。
【0025】
本発明によるソーラーバックシートは、他の層、例えば、構造的補強層および/または耐候性層をさらに含み得る。構造的補強層および/または耐候性層は、上記のパラグラフにおいて言及したような無機充填剤または添加物をさらに含み得る。
【0026】
本発明によるソーラーバックシートは、機能層および構造的補強層の間ならびに/または構造的補強層および耐候性層の間に配置し得る接着剤層をさらに含み得る。接着剤層は、例えば、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレンまたは無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、エチレン-アクリル酸コポリマーまたはエチレン-アクリル酸エステル-無水マレイン酸ターポリマーを含む。好ましくは、接着剤層は、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレンまたは無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを含む。
【0027】
耐候性層は、例えば、ポリアミドまたはフッ素樹脂、例えば、PTFEもしくはPVDFを含む。ポリアミドは、例えば、下記の材料の1つまたは複数から選択される。ポリアミド6、ポリアミド6,6;ポリアミド4,6;ポリアミド4,10、ポリアミド6,10;ポリアミド6,12;ポリアミド6,14;ポリアミド6,13;ポリアミド6,15;ポリアミド6,16;ポリアミド11;ポリアミド12、ポリアミド10、ポリアミド9,12、ポリアミド9,13、ポリアミド9,14、ポリアミド9,15、ポリアミド6,16、ポリアミド10,10、ポリアミド10,12、ポリアミド10,13、ポリアミド10,14、ポリアミド12,10、ポリアミド12,12、ポリアミド12,13、ポリアミド12,14、アジピン酸アジポアミド/テレフタル酸アジポアミドコポリアミド、テレフタル酸アジポアミド/イソフタル酸アジポアミドコポリアミド(terephthalic adipamide/isophthalic adipamide copolyamide)、ポリ(アジピン酸メタ-ジメチルベンズアミド)(poly(adipic acid meta-dimethylbenzamide))、テレフタル酸アジポアミド/テレフタル酸2-メチルグルタルアミド(terephthalic adipamide/terephthalic 2-methylglutaramide)、アジピン酸アジポアミド/テレフタル酸アジポアミド/イソフタル酸アジポアミドコポリアミド(adipic adipamide/terephthalic adipamide/isophthalic adipamide copolyamide)およびポリカプロラクタム-テレフタル酸アジポアミド(polycaprolactam-terephthalic adipamide)。耐候性層は、二酸化チタンまたは硫酸バリウム、紫外線安定剤および熱安定剤をさらに含み得る。
【0028】
構造的補強層は、例えば、エンジニアリングプラスチック、例えば、ポリプロピレンまたはポリプロピレンのブレンドまたは改質ポリプロピレン、ポリエステル、例えば、上記のようなPETまたはポリアミドを含む。
【0029】
構造的補強層および/または耐候性層および/または接着剤層を含む本発明のバックシートは、無機充填剤および他の添加物をさらに含み得る。充填剤および添加物ならびに可能な量の例は、上記で記載する。
【0030】
本発明によるソーラーバックシートは、多層共押出プロセスを使用して調製し得る。このプロセスは、下記のステップ、無機充填剤、添加物および安定剤を含めた、機能層ならびに他の層、例えば、構造的補強層および/または耐候性層および/または接着剤層の個々の配合物を配合するステップと、それに続く異なる層の押出、ならびにこれらを貼り合わせするステップを含む。
【0031】
代わりに、本発明によるソーラーバックシートはまた、下記の方法によって製造し得る:
第1の方法は、下記のステップ:(1)全天候性層材料、接着剤層材料、構造補強層材料および機能層材料をそれぞれ押出機においてペレット化し、全天候性層プラスチック粒子、接着層プラスチック粒子、構造補強層プラスチック粒子および機能層プラスチック粒子を得るステップと、(2)ステップ(1)において調製した全天候性層プラスチック粒子、接着剤層プラスチック粒子、構造補強層プラスチック粒子および機能層プラスチック粒子を多層共押出成形フィルムへと融合および共押し出しするステップとを含む。
【0032】
別の方法は、下記のステップ:(1)接着剤層材料、構造補強層材料および機能層材料をそれぞれ押出機においてペレット化し、接着層プラスチック粒子、構造補強層プラスチック粒子および機能層プラスチック粒子を得るステップと、(2)ステップ(1)において調製した接着層プラスチック粒子、構造補強層プラスチック粒子および機能層プラスチック粒子を、押出機を通して融合および共押し出しし、全天候性層上に共押出多層フィルムを押出貼り合わせするステップとを含む。
【0033】
バックシートは、バックシートの別々の層を押し出し、層を接着剤、例えば、エポキシ、アクリレートまたはポリウレタン接着剤で貼り合わせすることによって得られることがまた可能である。
【0034】
本発明はまた、本発明によるソーラーバックシートを含む光起電力モジュールに関する。光起電力モジュール(PVモジュールと略される)は、前面の太陽に面した側から背面の太陽に面していない側まで位置の順序に少なくとも下記の層を含む。(1)透明なペイン(前面シートを表す)、(2)前面封止材、(3)太陽電池層、(4)背面封止材および(5)本発明によるバックシート。
【0035】
前面シートは典型的には、ガラスプレート、または可撓性モジュールの場合、フッ素化ポリマー、例えば、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)もしくはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)からの層である。
【0036】
本発明はさらに、このような太陽電池モジュールを調製するためのプロセスに関し、このプロセスは、(a)上記の1つまたは複数のポリマー層を含むアセンブリを提供することと、(b)アセンブリを貼り合わせ、太陽電池モジュールを形成させることとを含む。プロセスの貼合せステップは、アセンブリを熱および任意選択で真空または圧力に供することによって行い得る。
【0037】
本発明を、一連の実施例および比較実験によってこれから示す。
【0038】
[実施例]
下方のソーラーバックプレート(lower solar backplate)を製造する方法は、下記のステップを含む:
耐風化性層、接着剤層、構造強化層および機能層の材料を、押出機によってそれぞれペレット化し、プラスチックペレットを得る。
【0039】
バックシートは、それぞれの層のペレットを複数の押出機に加え、高温にて溶融押し出しし、アダプターおよびダイを通して流し、冷却ローラーによって冷却し、成形して、多層バックシートを製造する、多層共押出プロセスによって調製する。多層バックシートにおける異なる層の組成を表1において示す。
【0040】
[測定]
機能層および構造強化層の間、ならびに機能層および封止材としてのEVAの間の剥離強度を測定する。
【0041】
老化を測定する:HAST高圧促進老化試験機における48時間の老化(121℃、100%湿度)の後の外観。
【0042】
外観および黄変は、120KWHの紫外線による老化の後で測定する。
【0043】
比較例IおよびIIの多層バックシート、ならびに実施例1~5についてのこれらの測定の結果を、表2において示す。
【0044】
[比較例I(CE-I)]
PVDFフッ素ポリマーを、耐風化性層として使用し、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンおよびEMAエチレン・アクリル酸メチルのポリマーのブレンドを、フッ素ポリマーおよび無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの両方を接着することができる接着剤層として使用する。半結晶性ポリマーは、機能層に加えない。
【0045】
[比較例II(CE-II)]
ナイロン12(PA12)ポリマーを、耐風化性層として使用し、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを、接着剤層として使用する。半結晶性ポリマーは、機能層に加えない。
【0046】
[実施例1~4]
半結晶性ポリマー、例えば、ポリプロピレンまたは無水マレイン酸グラフトポリプロピレンを、それぞれ、実施例1~4における機能層に加える。
【0047】
【表1】

【0048】
表1において、それぞれの層は多成分層であり、各成分の割合は重量部である。
【0049】
ElvaloyAC1224は、DuPontからのエチレンおよびアクリル酸メチルのコポリマーである。
【0050】
【表2】
【0051】
機能層への5~15部のポリプロピレン(PP)の添加は、機能層および構造的強化層の間の著しく改善された接着力をもたらし、一方、機能層およびEVA封止層の間の接着力は僅かに低減することを表2におけるデータから見ることができる。機能層および構造的強化層の間の接着力は、10重量部のポリプロピレンPPおよび15重量部の無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(MPP)を添加することによって増加する。HASTおよび耐紫外線老化性の試験結果から、機能層におけるポリプロピレンまたは無水マレイン酸グラフトポリプロピレンの添加は、耐加水分解性および耐紫外線老化性に対して硬化をあまり有さないことを見ることができる。
【0052】
表1および2から見ることができるように、実施例1~4のバックシートにおける機能層および構造的強化層の間の接着力は、比較例IおよびIIのバックシートの接着力に対して著しく改善される。さらに、封止層に対する剥離強度はまた、良好なレベルで維持することができ、バックシート層の間の接着力、および封止層への接着力に関して欠点は存在せず、これは、バックシートの全体的な耐久性が改善されることを意味する。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】