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特開2023-52255酸発生剤、前記酸発生剤を含む硬化性組成物、及びその硬化物
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  • 特開-酸発生剤、前記酸発生剤を含む硬化性組成物、及びその硬化物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052255
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】酸発生剤、前記酸発生剤を含む硬化性組成物、及びその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20230404BHJP
   C08K 5/19 20060101ALI20230404BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20230404BHJP
   C08K 5/56 20060101ALI20230404BHJP
   C07C 217/56 20060101ALI20230404BHJP
   C07F 9/52 20060101ALI20230404BHJP
   C07F 5/00 20060101ALI20230404BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K5/19
C08K5/49
C08K5/56
C07C217/56
C07F9/52
C07F5/00 C
C09K3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023001151
(22)【出願日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2022132431
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000106139
【氏名又は名称】サンアプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】梶原 拓人
(72)【発明者】
【氏名】安井 誠治
(72)【発明者】
【氏名】南里 武
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カチオン硬化性化合物への溶解性に優れる酸発生剤、及び絶縁性に優れた硬化物を形成する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】本発明の酸発生剤は、下記式で表されるカチオンと、リン又はガリウムを含む特定構造のアニオンとの塩を含む。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(c-1)で表されるカチオンと、下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンとの塩(1)を含む酸発生剤。
【化1】
(式(c-1)中、R1、R2、R3は同一又は異なって炭素数1~6のアルキル基を示す。式(a-1)中、R11fはフルオロアルキル基を示し、sは1~5の整数を示す。式(a-2)中、R12fは、フルオロアルキル基、又はフルオロアリール基、又はフルオロアルキル置換アリール基を示し、tは1~4の整数を示し、uは0又は1を示す)
【請求項2】
更に、下記式(c-2)で表されるカチオンと、前記アニオンとの塩(2)を含み、塩(2)の含有率が0.001重量%以上、5重量%以下である請求項1に記載の酸発生剤。
【化2】
(式(c-2)中、nは1以上の整数を示す。R1、R2、R3は前記に同じである)
【請求項3】
請求項1又は2に記載の酸発生剤とカチオン硬化性化合物を含む、硬化性組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化性組成物の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の酸発生剤、前記酸発生剤を含む硬化性組成物、及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱によって酸を発生してカチオン硬化性化合物を硬化させる化合物(所謂、熱酸発生剤)としては、例えばベンジルアニリニウム塩が知られている。
【0003】
特許文献1には、下記式で表されるカチオン部と、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、及び(C654-から選択されるアニオン部を有するベンジルアニリニウム塩と、カチオン重合性化合物を含有する有機EL表示素子用封止剤が記載されている。
【化3】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-51602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体デバイスは電気的信頼性が求められ、イオン性物質の混入は避けなければならない。そのため、有機EL表示素子等の半導体素子の樹脂封止パッケージでは、封止樹脂(封止剤の硬化物)に電気絶縁性が求められる。
【0006】
しかし、封止剤中に酸発生剤が溶解せずに含まれると、所期の硬化性が得られないのはもちろん、封止樹脂にも酸発生剤の不溶分が残存し易く、封止樹脂中に酸発生剤の不溶分が含まれる場合、これは半導体素子の電気的特性を悪化させる原因となる。
【0007】
更に、封止剤中に酸発生剤が溶解せずに含まれると、封止樹脂には酸発生剤が偏在することになるが、このような封止樹脂は、高温環境下に曝した際に着色し易いことが問題であった。とりわけ、光学材料に使用する場合に着色は大きな問題となる。
【0008】
前記問題を解決するためには、酸発生剤を樹脂に完全に溶解させることが重要であるが、特許文献1に記載のベンジルアニリニウム塩は樹脂へ溶解し難く、不溶分が残存していないことを確認するのは極めて困難であるため、十二分な溶解作業でベンジルアニリニウム塩の溶解を担保していた。そのため、溶解作業に多くの時間を費やしており、作業効率が悪かった。
【0009】
従って、本発明の目的は、カチオン硬化性化合物への溶解性に優れる酸発生剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、加熱処理を施すことで速やかに硬化して、絶縁性に優れた硬化物を形成する硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、加熱処理を施すことで速やかに硬化して、耐熱黄変性に優れた硬化物を形成する硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記事項を見出した。
1.下記式(c-1)で表されるカチオンと下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンとの塩(1)はカチオン硬化性化合物への溶解性に優れること
2.樹脂は酸により黄変し易いが、前記塩(1)が熱分解することで生成する酸は、樹脂の黄変を引き起こし難いこと
3.前記塩(1)を使用すれば、酸発生剤の不溶分が残存しない硬化性組成物を効率よく製造することができること
4.前記塩(1)を使用して得られる硬化性組成物は硬化性に優れ、絶縁性に優れた硬化物を形成できること
5.前記塩(1)を使用して得られる硬化性組成物は酸発生剤を均一に含有し、酸発生剤の偏在が抑制され、耐熱黄変性に優れる硬化物を形成できること
本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、下記式(c-1)で表されるカチオンと、下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンとの塩(1)を含む酸発生剤を提供する。
【化1】
(式(c-1)中、R1、R2、R3は同一又は異なって炭素数1~6のアルキル基を示す。式(a-1)中、R11fはフルオロアルキル基を示し、sは1~5の整数を示す。式(a-2)中、R12fは、フルオロアルキル基、又はフルオロアリール基、又はフルオロアルキル置換アリール基を示し、tは1~4の整数を示し、uは0又は1を示す)
【0012】
本発明は、また、更に、下記式(c-2)で表されるカチオンと、前記アニオンとの塩(2)を含み、塩(2)の含有率が0.001重量%以上、5重量%以下である前記酸発生剤を提供する。
【化2】
(式(c-2)中、nは1以上の整数を示す。R1、R2、R3は前記に同じである)
【0013】
本発明は、また、前記酸発生剤とカチオン硬化性化合物を含む硬化性組成物を提供する。
【0014】
本発明は、また、前記硬化性組成物の硬化物を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の酸発生剤はカチオン硬化性化合物への溶解性に優れる。
そのため、前記酸発生剤をカチオン硬化性化合物と混合し、短時間撹拌するだけで、酸発生剤を完全に溶解させることができ、効率よく硬化性組成物を製造することができる。
また、前記方法で得られる硬化性組成物は保存安定性に優れ、経時で酸発生剤が析出するのを抑制することができる。
更に、前記硬化性組成物は、加熱処理を施すことで速やかに硬化して、絶縁性に優れた硬化物を形成することができる。
更にまた、前記硬化性組成物の硬化物は、酸発生剤を均一に含有する、又は酸発生剤の偏在が抑制される。更に、前記酸発生剤から熱分解により生じる酸(H(R11f)sPF6-s又はH([R12f(O)utGaF4-t)は樹脂の黄変を引き起こし難い性質を有する。そのため、前記硬硬化物は、高温環境下に曝しても着色が抑制され、透明性を長期にわたって安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1で得られた塩(1-1a)の1H-NMR測定結果を示す図である。
図2】実施例1で得られた塩(1-1a)の19F-NMR測定結果を示す図である。
図3】実施例21で得られた塩(1-2a)の1H-NMR測定結果を示す図である。
図4】実施例21で得られた塩(1-2a)の19F-NMR測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[酸発生剤]
本発明の酸発生剤は、下記式(c-1)で表されるカチオンと、下記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンとの塩(1)を含む。
【化4】
【0018】
前記塩(1)には、上記式(c-1)で表されるカチオンと、上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(1-1)と、上記式(c-1)で表されるカチオンと、上記式(a-2)で表されるアニオンとの塩(1-2)が含まれる。
【0019】
式(c-1)中、R1、R2、R3は同一又は異なって炭素数1~6のアルキル基を示す。
【0020】
式(a-1)中、R11fはフルオロアルキル基を示し、sは1~5の整数を示す。
【0021】
式(a-2)中、R12fは、フルオロアルキル基、又はフルオロアリール基、又はフルオロアルキル置換アリール基を示し、tは1~4の整数を示し、uは0又は1を示す。
【0022】
1、R2、R3における炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0023】
1としては、C1-4アルキル基が好ましい。
【0024】
2、R3としては、C1-3アルキル基が好ましく、C1-2アルキル基が特に好ましい。
【0025】
1、R2、R3としては、なかでも、溶解性に優れる点で、下記[1]~[3]の組み合わせが好ましい。
[1]R1がメチル基であり、R2、R3が同一又は異なってC2-4アルキル基である
[2]R1がC2-4アルキル基であり、R2、R3がメチル基である
[3]R1、R2、R3の全てがメチル基である
【0026】
11fにおけるフルオロアルキル基は、アルキル基に結合する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された基である。前記アルキル基としては、例えば炭素数1~5(好ましくは炭素数1~3、特に好ましくは炭素数2~3、最も好ましくは炭素数2)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0027】
11fにおけるフルオロアルキル基としては、なかでもパーフルオロアルキル基(=アルキル基に結合する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基)が好ましく、パーフルオロC1-5アルキル基がより好ましく、パーフルオロC1-3アルキル基が特に好ましく、パーフルオロC2-3アルキル基が最も好ましく、パーフルオロエチル基がとりわけ好ましい。
【0028】
前記sは1~5の整数を示し、好ましくは2~4の整数、特に好ましくは3である。
【0029】
前記式(a-1)で表されるアニオンとしては、トリス(パーフルオロアルキル)トリフルオロホスフェートアニオンが好ましく、なかでも、トリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン、トリス(パーフルオロプロピル)トリフルオロホスフェートアニオン、トリス(パーフルオロブチル)トリフルオロホスフェートアニオンが好ましく、とりわけトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン(=トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン)が好ましい。
【0030】
12fにおけるフルオロアルキル基としては、R11fにおけるフルオロアルキル基と同様の例が挙げられる。
【0031】
12fにおけるフルオロアルキル基としては、なかでもパーフルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロC1-5アルキル基が特に好ましく、パーフルオロC1-3アルキル基が最も好ましい。
【0032】
12fにおけるフルオロアリール基は、アリール基に結合する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された基である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~14のアリール基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
【0033】
12fにおけるフルオロアリール基としては、なかでもパーフルオロアリール基が好ましく、パーフルオロC6-14アリール基が特に好ましく、パーフルオロフェニル基が最も好ましい。
【0034】
12fにおけるフルオロアルキル置換アリール基は、アルキル基に結合する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換された基を置換基として備えるアリール基である。前記アルキル基及びアリール基としては、上記と同様の例が挙げられる。
【0035】
12fにおけるフルオロアルキル置換アリール基としては、なかでもパーフルオロアルキル置換アリール基が好ましく、パーフルオロC1-5アルキル置換アリール基がより好ましく、パーフルオロC1-3アルキル置換アリール基が特に好ましく、パーフルオロC1-3アルキル置換C6-14アリール基が最も好ましく、パーフルオロC1-3アルキル置換フェニル基がとりわけ好ましい。
【0036】
また、R12fにおけるフルオロアルキル置換アリール基が有するフルオロアルキル基の数は、例えば1~5個、好ましくは1~3個、特に好ましくは1個又は2個である。
【0037】
式(a-2)中、tは1~4の整数を示し、好ましくは2~4の整数、特に好ましくは3又は4、最も好ましくは4である。
【0038】
式(a-2)中、uは0又は1を示す。
【0039】
前記式(a-2)で表されるアニオンとしては、例えば、テトラフルオロガリウム酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸アニオン;テトラキス(4-フルオロフェニル)ガリウム酸アニオン等のテトラキス[フルオロフェニル]ガリウム酸アニオン;テトラキス(3,5-ジフルオロフェニル)ガリウム酸アニオン等のテトラキス[ジフルオロフェニル]ガリウム酸アニオン;トリス(ペンタフルオロフェニル)フルオロガリウム酸アニオン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジフルオロガリウム酸アニオン、(ペンタフルオロフェニル)トリフルオロガリウム酸アニオン;テトラキス[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ガリウム酸アニオン等のテトラキス[(C1-5ハロアルキル)フェニル]ガリウム酸アニオン;テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ガリウム酸アニオン等のテトラキス[ビス(C1-5ハロアルキル)フェニル]ガリウム酸アニオン;トリス[4-(トリフルオロメチル)フェニル]フルオロガリウム酸アニオン等のトリス[(C1-5ハロアルキル)フェニル]フルオロガリウム酸アニオン等;トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]フルオロガリウム酸アニオン等のトリス[ビス(C1-5ハロアルキル)フェニル]フルオロガリウム酸アニオン等;ビス[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ジフルオロガリウム酸アニオン等のビス[(C1-5ハロアルキル)フェニル]ジフルオロガリウム酸アニオン;ビス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ジフルオロガリウム酸アニオン等のビス[ビス(C1-5ハロアルキル)フェニル]ジフルオロジフルオロガリウム酸アニオン;[4-(トリフルオロメチル)フェニル]トリフルオロガリウム酸アニオン等の[(C1-5ハロアルキル)フェニル]トリフルオロガリウム酸アニオン;[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]トリフルオロガリウム酸アニオン等の[ビス(C1-5ハロアルキル)フェニル]トリフルオロガリウム酸アニオン等が挙げられる。
【0040】
前記酸発生剤が、上記式(c-1)で表されるカチオンと、上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(1-1)を含む場合、カチオン硬化性化合物への溶解性が一層向上する傾向がある。
【0041】
また、前記酸発生剤が、上記式(c-1)で表されるカチオンと、上記式(a-2)で表されるアニオンとの塩(1-2)を含む場合、前記酸発生剤を使用して得られた硬化物は、耐熱黄変性が向上する傾向がある。
【0042】
前記酸発生剤は、塩(1)以外にも他の塩(=熱分解により酸を発生する化合物)を含有していても良く、例えば下記式(c-2)で表されるカチオンと、上記式(a-1)又は(a-2)で表されるアニオンとの塩(2)を含んでいても良い。
【化5】
【0043】
前記塩(2)には、上記式(c-2)で表されるカチオンと上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(2-1)と、上記式(c-2)で表されるカチオンと上記式(a-2)で表されるアニオンとの塩(2-2)が含まれる。
【0044】
前記酸発生剤は、上記式(c-1)で表されるカチオンと上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(1-1)と共に、上記式(c-2)で表されるカチオンと上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(2-1)を含んでいても良い。
【0045】
また、前記酸発生剤は、上記式(c-1)で表されるカチオンと上記式(a-2)で表されるアニオンとの塩(2-1)と共に、上記式(c-2)で表されるカチオンと上記式(a-2)で表されるアニオンとの塩(2-2)を含んでいても良い。
【0046】
上記式(c-2)中、nは1以上の整数を示す。R1、R2、R3は前記に同じである。
【0047】
nは1以上の整数であり、例えば1~3の整数、好ましくは1又は2である。
【0048】
前記酸発生剤が塩(1)と塩(2)を共に含有すると、カチオン硬化性化合物への溶解性を向上し、及び/又は、得られる硬化物の耐熱黄変性が向上する傾向がある。
【0049】
前記酸発生剤が、塩(1)と塩(2)を含有する場合、塩(1)の含有率(若しくは、塩(1)と塩(2)の合計100重量%における、塩(1)の占める割合)は、例えば95重量%を超え、99.999重量%以下である。前記塩(1)の含有率は、分解効率に優れ、硬化性に優れる点で、96重量%以上が好ましく、96.5重量%以上がより好ましく、97重量%以上が特に好ましく、98重量%以上が最も好ましく、98.5重量%以上がとりわけ好ましい。また、前記塩(1)の含有率は、溶解性をより一層向上する観点から、99.99重量%以下が好ましく、99.9重量%以下が更に好ましく、99.8重量%以下が更に好ましく、99.7重量%以下が特に好ましく、99.5重量%以下が最も好ましく、99.3重量%以下がとりわけ好ましい。
【0050】
前記酸発生剤が、塩(1)と塩(2)を含有する場合、前記酸発生剤全量における塩(2)の含有率(若しくは、塩(1)と塩(2)の合計100重量%における、塩(2)の占める割合)は、例えば0.001重量%以上、5重量%以下である。前記塩(2)の含有率の下限値は、カチオン硬化性化合物への溶解性を向上し、及び/又は、得られる硬化物の耐熱黄変性が向上する観点から、0.005重量%が好ましく、0.01重量%がより好ましく、0.02重量%が更に好ましく、0.1重量%が更に好ましく、0.2重量%が更に好ましく、0.3重量%が特に好ましく、0.5重量%が最も好ましく、0.7重量%がとりわけ好ましい。前記塩(2)の含有率は、分解効率に優れ、硬化性に優れる点、及び絶縁性に優れた硬化物が得られる点で、4重量%以下が好ましく、3.5重量%以下がより好ましく、3重量%未満がより好ましく、2重量%以下が特に好ましく、1.5重量%以下が最も好ましく、1重量%以下がとりわけ好ましい。
【0051】
前記酸発生剤が、塩(1)と塩(2)を含有する場合において、塩(1)と塩(2)の含有率は、例えば、HPLCを用いて求められるピーク面積比から算出することができる。
【0052】
前記酸発生剤は、前記塩(1)と塩(2)以外に、更に他の塩を含有していても良いが、前記酸発生剤に含まれる熱分解により酸を発生する塩全量において、塩(1)と塩(2)の合計含有量の占める割合は、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは99重量%以上、とりわけ好ましくは99.9重量%以上である。尚、前記合計含有量の上限値は100重量%である。
【0053】
前記酸発生剤は、カチオン硬化性化合物への溶解性に優れ、例えば、25℃において、カチオン硬化性化合物としての3’,4’-エポキシシクロへキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)70重量部とビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(商品名「jER828」、三菱ケミカル(株)製)30重量部の混合物に、前記酸発生剤2重量部を添加して、長さ2cmのスターラーチップで攪拌速度100rpmの条件で撹拌した時に、前記酸発生剤が完全に溶解までに要する時間は、例えば5分以下、好ましくは3分以下、更に好ましくは2分以下である。前記酸発生剤が完全に溶解までに要する時間の下限値は、例えば0.1分である。
【0054】
前記酸発生剤が、塩(1)を単独で含有する場合に比べ、塩(1)と塩(2)を含有する場合は、カチオン硬化性化合物への溶解性がより一層向上し、溶解に要する時間は短縮される傾向がある。前記カチオン硬化性化合物の混合物に前記割合で添加し、前記条件で撹拌した時の酸発生剤が完全に溶解までに要する時間は、例えば1分未満、好ましくは0.5分以下である。
【0055】
酸発生剤の組成が異なる以外は全く同じ条件下において、酸発生剤がカチオン硬化性化合物に完全に溶解までに要する時間は、酸発生剤が塩(1)を単独で含有する場合に比べて、酸発生剤が塩(1)と塩(2)を含有する場合は短縮される傾向があり、短縮率は例えば20%以上、好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。短縮率の上限値は、例えば80%である。
【0056】
前記酸発生剤は熱感応性に優れ、加熱処理(例えば、70~120℃の温度で30~120分加熱する処理)を行えば、速やかに分解して、酸(H(R11f)sPF6-s又はH([R12f(O)utGaF4-t)を発生する。従って、前記酸発生剤は熱感応性酸発生剤として好適に使用することができる。
【0057】
[酸発生剤の製造方法]
上記式(c-1)で表されるカチオンと上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(1-1)を含有する酸発生剤の製造方法、及び前記塩(1-1)と、上記式(c-2)で表されるカチオンと上記式(a-1)で表されるアニオンとの塩(2-1)を含有する酸発生剤の製造方法の一例を以下に示す。尚、上記式(a-1)で表されるアニオンに代えて上記式(a-2)で表されるアニオンを含む酸発生剤も同様の方法で製造することができる。
【0058】
前記塩(1-1)は、例えば、下記工程I、IIを経て製造することができる。また、前記塩(2-1)は、例えば、下記工程I、III、IVを経て製造することができる。下記式中、Aはハロゲン原子を示し、Mはアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)を示す。R1,R2,R3,R11f,s,nは前記に同じである。
【化6】
【0059】
前記塩(1-1)を含有する酸発生剤は、例えば上記工程I、IIを経て製造することができる。また、塩(1-1)と塩(2-1)を含有する酸発生剤は、例えば上記工程I、IIを経て塩(1-1)を製造し、上記工程I、III、IVを経て塩(2-1)を製造し、得られた塩(1-1)と前記塩(2-1)を配合することによって製造することができる。さらに、上記工程Iの反応と工程IIIの反応を同時に進行させて上記式(3)で表される化合物と上記式(5)で表される化合物の混合物を得、得られた混合物を塩交換反応に付すことにより、塩(1-1)と塩(2-1)の混合物を生成させても良い。
【0060】
(工程I)
工程Iは、式(1)で表される化合物(=化合物(1))と式(2)で表される化合物(=化合物(2))とを反応させて、式(3)で表される化合物(=化合物(3))を得る工程である。
【0061】
前記反応に付する化合物(1)と化合物(2)のモル比(化合物(1)/化合物(2))は、例えば1/3~3/1、好ましくは1/2~2/1である。
【0062】
前記反応は、溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤としては、例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
前記反応温度は、例えば25~50℃である。
【0064】
(工程II)
工程IIは、工程Iを経て得られた化合物(3)にM(R11f)sPF6-sを反応させて塩交換を行い、式(4)で表される化合物(=塩(1-1))を得る工程である。
【0065】
前記反応に付する化合物(3)とM(R11f)sPF6-sのモル比(化合物(3)/M(R11f)sPF6-s)は、例えば1/3~3/1、好ましくは1/2~2/1である。
【0066】
前記反応は、溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤としては、例えば、水、酢酸エチル、ジクロロメタン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
前記反応温度は、例えば15~35℃である。
【0068】
(工程III)
工程IIIは、工程Iを経て得られた化合物(3)に化合物(2)を反応させて、式(5)で表される化合物を得る工程である。
【0069】
化合物(3)と化合物(2)のモル比(化合物(3)/化合物(2))は、例えば2/1~1/3、好ましくは1/1~1/2である。
【0070】
前記反応は、溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤としては、例えば、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0071】
前記反応温度は、例えば40~70℃である。
【0072】
(工程IV)
工程IVは、工程IIIを経て得られた化合物(5)にM(R11f)sPF6-sを反応させて塩交換を行い、式(6)で表される化合物(=塩(2-1))を得る工程である。
【0073】
前記反応に付する化合物(5)とM(R11f)sPF6-sのモル比(化合物(5)/M(R11f)sPF6-s)は、例えば1/3~3/1、好ましくは1/2~2/1である。
【0074】
前記反応は、溶剤の存在下で行うことができる。前記溶剤としては、例えば、水、酢酸エチル、ジクロロメタン等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
前記反応温度は、例えば15~35℃である。
【0076】
前記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。また、前記反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
【0077】
各工程の反応終了後は、得られた反応生成物を、一般的な分離精製処理(例えば、沈殿、洗浄、濾過等)に付しても良い。
【0078】
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、前記酸発生剤とカチオン硬化性化合物を含む。前記酸発生剤とカチオン硬化性化合物はそれぞれ1種を単独で含有しても良いし、2種以上を組み合わせて含有しても良い。
【0079】
前記酸発生剤の含有量は、カチオン硬化性化合物100重量部に対して、例えば0.05~20重量部、好ましくは0.1~10重量部である。
【0080】
前記カチオン硬化性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等から選択される1種又は2種以上のカチオン硬化性基を有する化合物である。尚、前記エポキシ基とは3員の環状エーテル骨格を含む基であり、オキセタニル基とは4員の環状エーテル骨格を含む基である。
【0081】
前記カチオン硬化性化合物の1分子中のカチオン硬化性基数は1個以上であり、前記酸発生剤の溶解性に優れる点で、好ましくは1~4個、より好ましくは2~4個、特に好ましくは2~3個である。
【0082】
前記カチオン硬化性化合物のカチオン硬化性基1個当たりの分子量(例えば、エポキシ当量、オキセタン当量などのカチオン硬化性基当量)は、例えば50~500g/eq、好ましくは100~400g/eq、さらに好ましくは100~300g/eqである。
【0083】
前記カチオン硬化性化合物としては、例えば、カチオン硬化性基としてエポキシ基を有する化合物(=エポキシ化合物)、カチオン硬化性基としてオキセタニル基を有する化合物(=オキセタン化合物)、カチオン硬化性基としてビニルエーテル基を有する化合物(=ビニルエーテル化合物)、カチオン硬化性基としてエポキシ基とオキセタニル基を有する化合物、カチオン硬化性基としてエポキシ基とビニルエーテル基を有する化合物、カチオン硬化性基としてオキセタニル基とビニルエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
【0084】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物には、例えば、エポキシ変性シロキサン化合物、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)等が含まれる。
【0085】
<エポキシ変性シロキサン化合物>
前記エポキシ変性シロキサン化合物としては、例えば、エポキシ変性シリコーンやエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサン等が挙げられる。
【0086】
<脂環式エポキシ化合物>
上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
(1)脂環エポキシ基(=分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を有する化合物
(2)脂環とグリシジルエーテル基を有する化合物
【0087】
前記脂環エポキシ基を有する化合物(1)としては、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)等が挙げられる。
【0088】
前記脂環とグリシジルエーテル基を有する化合物(2)としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパンなどのビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタンなどのビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタン型エポキシ化合物の水添物等が挙げられる。
【0089】
<芳香族エポキシ化合物>
前記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。
【0090】
<脂肪族エポキシ化合物>
前記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。尚、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
【0091】
(オキセタン化合物)
前記オキセタン化合物としては、例えば、3,3-ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス([1-エチル(3-オキセタニル)]メチル)エーテル、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、4,4’-ビス[3-エチル-(3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4-ビス([(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル)ベンゼン、3-エチル-3([(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等を挙げることができる。
【0092】
(ビニルエーテル化合物)
前記ビニルエーテル化合物としては、例えば、フェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル;n-ブチルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル;2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシル基を有するビニルエーテル;ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等の多官能ビニルエーテルなどが挙げられる。
【0093】
前記カチオン硬化性化合物としては、脂環エポキシ基を1個以上(好ましくは1~4個)有する脂環式エポキシ化合物(特に、脂環エポキシ基を2個以上(好ましくは2~4個)有する多官能脂環式エポキシ化合物)を少なくとも含有することが好ましい。
【0094】
前記カチオン硬化性化合物は、前記脂環式エポキシ化合物と、グリシジルエーテル基を1個以上(好ましくは1~4個)有するグリシジルエーテル型エポキシ化合物及び/又はオキセタニル基を1個以上(好ましくは1~4個)有するオキセタン化合物を併用しても良い。併用する場合、これらの配合割合[脂環式エポキシ化合物/(グリシジルエーテル型エポキシ化合物及びオキセタン化合物);重量比]は、例えば95/5~5/95、好ましくは95/5~30/70、より好ましくは95/5~40/60、更に好ましくは95/5~60/40、特に好ましくは90/10~65/35、最も好ましくは85/15~65/35である。
【0095】
前記硬化性組成物は、上記成分以外にも必要に応じて他の成分を1種又は2種以上含有することができる。他の成分としては、例えば、増感剤、増感助剤、酸化防止剤、安定化剤、界面活性剤、溶剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、シランカップリング剤、充填材、導電性粒子、重合禁止剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、発泡剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、硬化遅延剤、イオン吸着体、顔料、染料、蛍光体、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、ラジカル硬化性化合物、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、SBS、SEBS等を挙げることができる。これらの含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、硬化性組成物全量(100重量%)の、例えば50重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。これらの含有量は、硬化性組成物全量(100重量%)の、例えば0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上である。
【0096】
前記硬化性組成物は、前記酸発生剤とカチオン硬化性化合物と、必要に応じて添加される他の成分を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
【0097】
前記硬化性組成物が含有する酸発生剤は、カチオン硬化性化合物への溶解性に優れ、短時間の溶解作業により確実に溶解させることができる。また、経時での析出を抑制することもできる。そのため、前記硬化性組成物は効率よく調製することができ、調製後は、使用するまでに時間的余裕があり、取り扱い性にも優れる。
【0098】
前記硬化性組成物は酸発生剤を完全に溶解した状態で含有するため硬化性に優れ、得られる硬化物は電気絶縁性に優れ、酸発生剤の不溶分が原因となる帯電性を有さない。また、前記硬化物は耐熱黄変性に優れ、高温環境下に曝しても、透明性を安定的に維持することができる。
【0099】
前記硬化性組成物の用途は特に制限がなく、例えば、塗料、コーティング剤、インキ、ポジ型レジスト、レジストフィルム、液状レジスト、感光性材料、接着剤、成形材料、注型材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め材、シーリング材、封止剤、光造形用材料などが挙げられる。
【0100】
前記硬化性組成物は、上記の通り耐熱黄変性に優れた硬化物を形成することができるため、光学材料の原料として好適に使用することができる。尚、前記光学材料には、眼鏡レンズ、(デジタル)カメラ用撮像レンズ、光ビーム集光レンズ、光拡散用レンズ等のレンズ;LED用封止材、光学用接着剤、光伝送用接合材料、プリズム、フィルター、回折格子、表示装置用のカバーガラス等が含まれる。
【0101】
[硬化物]
本発明の硬化物は、前記硬化性組成物の硬化物である。
【0102】
前記硬化物は前記硬化性組成物を硬化させることにより得られる。
【0103】
前記硬化性組成物は、加熱処理を施すことにより硬化させることができる。加熱温度は例えば70~120℃である。加熱時間は例えば0.5~2時間である。
【0104】
前記硬化物は、酸発生剤の不溶分が残存しない/或いは酸発生剤の不溶分の残存量が極めて低いので、前記硬化物中に含まれるイオン成分を水で抽出して得られる抽出水(より具体的には、実施例に記載の方法で得られる抽出水)の電気伝導度は、例えば50μS/cm未満、好ましくは40μS/cm以下、特に好ましくは30μS/cm以下、最も好ましくは25μS/cm未満である。
【0105】
前記硬化物は、上記の通り電気伝導度が低く、絶縁性に優れる。そのため、前記硬化物を封止用途に使用すれば、短絡防止性に優れ、高い信頼性を有する半導体素子が得られる。
【0106】
また、前記硬化物中に酸発生剤が偏在する場合、高温環境下に曝すと、酸発生剤が分解して不均一に酸を発生し、硬化物を黄変させる。しかし、前記硬化物は酸発生剤を均一に含有する/或いは酸発生剤の偏在が抑制されているので、高温環境下に曝しても酸による黄変が抑制され、硬化物の色相を安定的に保持することができる。
【0107】
前記硬化物は、高温暴露による黄変が抑制され、下記式から算出される黄色度(YI)の上昇率は、例えば130%以下、好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下、更に好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下、特に好ましくは50%以下、最も好ましくは25%以下、とりわけ好ましくは10%以下である。尚、黄色度(YI)の上昇率の下限値は、0%である。
黄色度上昇率(%)=[(YIa-YIb)/YIb]×100
(上記式中、YIbは高温暴露前の硬化物の黄色度を示し、YIaは高温暴露後の硬化物の黄色度を示す。尚、前記高温暴露は、JEDEC規格記載のリフロー温度プロファイル(最高温度:270℃)に基づく耐熱試験を連続3回実施することにより行う)
【0108】
また、前記硬化物の高温暴露後の黄色度(YI)は、例えば3.0以下、好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下、最も好ましくは1.2以下、とりわけ好ましくは1.0以下である。尚、黄色度(YI)の下限値は、例えば0である。
【0109】
以上、本発明の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。
【実施例0110】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0111】
実施例1
[塩(1-1a)の調製]
(工程I)
N,N―ジメチルアニリン50.0g、4-メトキシベンジルクロライド64.6g、アセトニトリル16.9gを混合し、50℃に昇温した。この反応溶液の温度(50℃)を5時間維持して反応を完結させた。
反応溶液にアセトン250gを加え、10℃以下に降温し1時間攪拌した。その後、反応液を濾過処理に付して、生じた固体を分取して、N-(4-メトキシベンジル)-N,N-ジメチルアニリ二ウムクロライド81.3gを得た。
【0112】
(工程II)
工程Iで得られたN-(4-メトキシベンジル)-N,N-ジメチルアニリ二ウムクロライド50.0gをイオン交換水200gに溶解させ、ジクロロメタン250g、カリウムトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェート26.4gを順次投入した。
投入完了後、室温下で1時間攪拌し反応を完結させた後、水層を除去し、有機層をイオン交換水300gで3回洗浄した。その後、有機層を脱溶剤して、下記式(c-1-1)で表されるカチオンとトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン((CF3CF23PF3 -)の塩(1-1a)113gを得た。得られた塩(1-1a)の1H-NMRを図1に示し、19F-NMR測定結果を図2に示す。
得られた塩(1-1a)を酸発生剤1とした。
【0113】
【化7】
【0114】
実施例2
[塩(1-1a)の調製]
実施例1と同様の方法で、上記式(c-1-1)で表されるカチオンとトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン((CF3CF23PF3 -)の塩(1-1a)を得た。
【0115】
[塩(2-1a)の調製]
(工程I)
実施例1の工程Iと同様に行って、N-(4-メトキシベンジル)-N,N-ジメチルアニリ二ウムクロライドを得た。
【0116】
(工程III)
得られたN-(4-メトキシベンジル)-N,N-ジメチルアニリ二ウムクロライド10gをアセトニトリル5.31gに溶解させ、4-メトキシベンジルクロライド8.45gを投入した。
投入終了後、70℃まで昇温して5時間攪拌し、反応を完結させた。
反応溶液にイオン交換水30g、酢酸エチル50gを加え室温下30分攪拌した後、水層を除去し、有機層をイオン交換水30gにより3回洗浄し、脱溶剤した。
脱溶媒後、得られた黄色オイル状残渣にメタノール5.0gを加えて溶解してメタノール溶液を得た。得られたメタノール溶液を、攪拌下のメチル-tert-ブチルエーテル30.0gにゆっくり投入して結晶を析出させた。
析出した結晶を濾過処理により分取し、減圧乾燥させることにより、下記式(c-2-1)で表されるカチオン(式中のn1=1)のクロライド塩9.48gを得た。
【0117】
【化8】
【0118】
(工程IV)
得られたクロライド塩7.95gを、実施例1の工程IIと同様の方法でカリウムトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェート9.65gと塩交換して、上記式(c-2-1)で表されるカチオン(式中のn1=1)と、トリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートアニオン((CF3CF23PF3 -)の塩(2-1a)13.8gを得た。
【0119】
[酸発生剤の調製]
得られた塩(1-1a)99.98gと塩(2-1a)0.02gを混合させて、塩(2-1a)の含有率が混合物全量の0.02重量%である酸発生剤2を得た。
【0120】
実施例3
[酸発生剤の調製]工程において、塩(2-1a)の含有率を0.1重量%に変更した以外は実施例2と同様にして酸発生剤3を得た。
【0121】
実施例4
[酸発生剤の調製]工程において、塩(2-1a)の含有率を0.5重量%に変更した以外は実施例2と同様にして酸発生剤4を得た。
【0122】
実施例5
[酸発生剤の調製]工程において、塩(2-1a)の含有率を1重量%に変更した以外は実施例2と同様にして酸発生剤5を得た。
【0123】
実施例6
[酸発生剤の調製]工程において、塩(2-1a)の含有率を3重量%に変更した以外は実施例2と同様にして酸発生剤6を得た。
【0124】
実施例7
[酸発生剤の調製]工程において、塩(2-1a)の含有率を5重量%に変更した以外は実施例2と同様にして酸発生剤7を得た。
【0125】
比較例1
上記式(c-1-1)で表されるカチオンとB(C654 -の塩を酸発生剤10とした。
【0126】
比較例2
上記式(c-1-1)で表されるカチオンとSbF6 -の塩を得、これを酸発生剤11とした。
【0127】
比較例3
上記式(c-1-1)で表されるカチオンとPF6 -の塩を得、これを酸発生剤12とした。
【0128】
実施例8~20、比較例4~6
(硬化性組成物の調製)
ビーカーに、下記表(単位は重量部)に記載の処方に従って各成分を仕込み、撹拌子を入れ20℃、100rpmで撹拌する溶解処理を施して、硬化性組成物を得た。
【0129】
実施例21
[塩(1-2a)の調製]
カリウムトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートに代えて、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にして、上記式(c-1-1)で表されるカチオンとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸アニオン(Ga(C654 -)の塩(1-2a)を得た。得られた塩(1-2a)の1H-NMRを図3に示し、19F-NMR測定結果を図4に示す。
得られた塩(1-2a)を酸発生剤8とした。
【0130】
実施例22
[塩(1-2a)の調製]
実施例21と同様の方法で、上記式(c-1-1)で表されるカチオンとテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸アニオン(Ga(C654 -)の塩(1-2a)を得た。
【0131】
[塩(2-2a)の調製]
カリウムトリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェートに代えて、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸ナトリウムを使用した以外は実施例2の塩(2-1a)の調製と同様にして、上記式(c-2-1)で表されるカチオン(式中のn1=1)と、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム酸アニオン(Ga(C654 -)の塩(2-2a)を得た。
【0132】
[酸発生剤の調製]
得られた塩(1-2a)99.98gと塩(2-2a)0.02gを混合させて、塩(2-2a)の含有率が混合物全量の0.02重量%である酸発生剤9を得た。
【0133】
実施例23~25
(硬化性組成物の調製)
ビーカーに、下記表(単位は重量部)に記載の処方に従って各成分を仕込み、撹拌子を入れ20℃、100rpmで撹拌する溶解処理を施して、硬化性組成物を得た。
【0134】
(溶解性評価)
実施例8~20、23~25、及び比較例4~6において、酸発生剤が完全に溶解するまでに要した溶解処理時間を測定し、下記基準で溶解性を評価した。
<評価の基準>
◎(優):溶解処理時間が1分未満
○(良):溶解処理時間が1分以上、5分以下
×(不可):溶解処理時間が5分超
【0135】
参考例1、2
ビーカーに、下記表(単位は重量部)に記載の処方に従って各成分を仕込み、撹拌子を入れ20℃、100rpmで0.5分撹拌して、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物には不溶分が残存していた。
【0136】
(硬化性評価)
実施例、比較例、及び参考例で得られた硬化性組成物について、ポリフェニレンエーテル基材上に、バーコーターを用いて厚さが50μmとなるよう塗工した。その後、100℃の熱風式乾燥機で1時間加熱処理を施して、硬化物を得た。
得られた硬化物の表面を、アセトンを浸みこませた綿棒で、300g又は500g荷重で往復10回擦り、擦った面を目視で観察して、以下の基準で硬化性を評価した。
<評価の基準>
◎(優):500g荷重で擦った場合に外観変化全くなし
○(良):500g荷重で擦った場合には殺傷が確認されたが、300g荷重で擦った場合には外観変化なし
△(可):300g荷重で擦った場合に、艶の消失や膜の溶解は確認されなかったが、擦傷が確認された
×(不可):300g荷重で擦った場合に、艶の消失又は膜の溶解が確認された
【0137】
(絶縁性評価)
実施例、比較例、及び参考例で得られた硬化性組成物について、上記(硬化性評価)と同様の方法で硬化性組成物を得、得られた硬化物について、ポリフェニレンエーテル基材から剥がして約0.2gを精秤して試験片とした。
このようにして得られた試験片とイオン交換蒸留水10gを入れたテフロン(登録商標)製のPCT容器をSUS製の圧力容器内に入れて密閉し、141℃、2気圧の条件下に20時間静置した後、室温まで放冷した。
その後、PCT容器内の水分を取り出して導電率を測定し、以下の基準で絶縁性を評価した。
<評価基準>
◎(優):導電率が25μS/cm未満
○(良):導電率が25μS/cm以上50μS/cm未満
△(可):導電率が50μS/cm以上100μS/cm未満
×(不可):導電率が100μS/cm以上
【0138】
(耐熱黄変性評価)
縦20mm×横20mm×厚み0.1mmのスペーサーを作成し、スライドガラスで挟み込んだ。
前記スペーサー内に、実施例、比較例、及び参考例で得られた硬化性組成物を充填し、その後、熱風式乾燥機を用い、130℃で1時間加熱処理を施して、前記硬化性組成物を硬化させ、硬化物を得た。得られた硬化物の黄色度(YIb)を測定した。
その後、得られた硬化物に、JEDEC規格記載のリフロー温度プロファイル(最高温度:270℃)に基づく耐熱試験を連続して3回実施し、耐熱試験後の硬化物の黄色度(YIa)を測定した。尚、YIb、YIaは、D65光源を用いた分光光度計で測定した。そして、下記式から、YIの上昇率(%)を算出した。
YIの上昇率(%)=[(YIa-YIb)/YIb]×100
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
<カチオン硬化性化合物>
2021P:3',4'-エポキシシクロへキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量127g/eq、1分子中のエポキシ基数2、商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製
jER828:ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量189g/eq、1分子中のエポキシ基数2、三菱ケミカル(株)製
jERYX8000:水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量205g/eq、三菱ケミカル(株)製
VG3101L:下記式で表されるエポキシ化合物、エポキシ当量209g/eq、1分子中のエポキシ基数3、商品名「TECHMORE VG3101L」、(株)プリンテック製
【化9】
OXT-121:1,4-ビス[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]ベンゼン、オキセタン当量167g/eq、1分子中のオキセタニル基数2、東亜合成(株)製
OXT-221:3,3’-(オキシビスメチレン)ビス(3-エチルオキセタン)、東亜合成(株)製
EX-146:p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、オキセタン当量107g/eq、1分子中のオキセタニル基数2、商品名「デナコールEX-146」、ナガセケムテックス(株)製
<シランカップリング剤>
KBM-403:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製
<消泡剤>
BYK1790:ビックケミー・ジャパン(株)製
<レベリング剤>
LS-460:エーテル変性シリコーン、楠本化成(株)製
図1
図2
図3
図4