IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特開2023-52368皮膚の保湿剤としての5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体の使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052368
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】皮膚の保湿剤としての5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20230404BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230404BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20230404BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/00
C07D413/04 CSP
C07D405/04
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003305
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2020572707の分割
【原出願日】2019-06-19
(31)【優先権主張番号】1856029
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ダルコ
(72)【発明者】
【氏名】アメリー・プレヴォ-ゲギニア
(72)【発明者】
【氏名】マリー-セリーヌ・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ドロップシト
(57)【要約】
【課題】1つには、皮膚保湿の分野で、背景技術の節に記載した欠点を有しない活性薬剤を見出すこと。
【解決手段】本発明は、以下の式(I)に対応する1種以上の5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体並びにその溶媒和物及び/又はその異性体(光学、幾何、互変異性体)及び/又はその塩の、ケラチン物質、好ましくは皮膚の保湿剤としての美容的使用に関する。
[化1]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、好ましくは皮膚の保湿剤としての、以下の式(I)に対応する1種以上の5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体、並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体、並びにその有機若しくは無機塩基又は酸塩の美容的使用
【化1】
(式(I)中で:
- Sは、単糖糖基を示すか、又は2~5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合前記糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルケニル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);
前記単糖基は、場合により、2位で(そのC炭素原子で)脱酸素化されてもおり;
前記単糖又は多糖基は、場合により、R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C~C)アルキル(チオ)カルボニルなど、アミノ官能基の保護基を表す1個以上のアミノ基NRも含み;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
- Rは下記を表す
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基;
iii)少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は(C~C)アルコキシ基により任意選択で置換されている、ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基;
iv)シクロアルキル基)。
【請求項2】
式(I)の化合物が、下記:
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基、とりわけ(C~C)アルキル基、より特にメチル基などの(C~C)アルキル基
から選択される基Rを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が、単糖基を構成する複素環が4又は5個の炭素原子を含む単糖基を表す、以下の式S’の糖基Sを含む、請求項1又は2に記載の使用:
【化2】
(Rは、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基、又はヒドロキシメチル若しくは1,2-ジヒドロキシエチルなどの(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、前記(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキル基の前記ヒドロキシル官能基は、以下に定義されるAにより置換されており;
前記R基が、前記糖単位がピラノース型である場合C位にあるか、又はフラノース型である場合C位にあることが理解され;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素を表し;
は、水素原子、又はいくつかのヒドロキシル官能基の場合同一な、R-C(X’)-など、アミン官能基の保護基を表し、X’は、酸素又は硫黄原子、とりわけ酸素原子を表し、Rは(C~C)アルキル基を表し、Rは、好ましくはアセチル基CH-C(O)-を表し;
は、水素原子又は-CH-O-A基を表し;
Aは、水素原子、(C~C)アルキル基、又はヒドロキシル官能基保護基を表すか、或いは、nが2以上であり2個の基A-Oが連続する場合、2個のA基は、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキレン鎖を共に形成でき;
好ましくは、Aが水素原子とは異なり(C~C)アルキル基とも異なる場合、全ての保護基Aは同一であり;
より優先的には、Aは水素原子を表し、nは、1、2、又は3に等しく、mは、0又は1に等しく;好ましくは、mは0に等しい)。
【請求項4】
式(I)の化合物が、酸素原子(オキシ)、1→4(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→3(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→6(ある糖単位のC→他の糖単位のC)により共に連結した、2~5個の糖単位、とりわけ2~3個の、好ましくは2個の糖単位から構成されている多糖基を表す、以下の式S’’の糖基Sを含み、その各糖単位が4又は5個の炭素原子を含む複素環から構成されている、請求項1又は2に記載の使用:
【化3】
(式S’’中で:
- p及びqは、両端を含む0~4の整数を表し、p+qは両端を含む1~4、特に1~2であり、優先的にはp+q=1であり;
- R、R、R、R、A、m、及びnは、同一でも異なっていてもよく、請求項1~3のいずれかに定義されている通りであり、角括弧q及びpの間の前記2個の糖単位が逆になり得る、すなわち以下:
【化4】
の配列を表し得ることが理解される)。
【請求項5】
式(I)の化合物が、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、リキソース、フコース、アラビノース、ラムノース、リボース、デオキシリボース、キノボース、フルクトース、ソルボース、タロース、2-デオキシグルコース、トレオース、エリトロース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコサミン、及びガラクトサミンから選択される単糖基を表す糖基S又はS’を含み;とりわけ、S又はS’が、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-キシロース、L-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、D-アラビノース、L-ラムノース、L-リボース、D-リボース、2-デオキシ-D-リボース、2-デオキシ-L-リボース、D-キノボース、D-フルクトース、L-ソルボース、D-タロース、2-デオキシ-D-グルコース、D-トレオース、D-エリトロース、L-トレオース、L-エリトロース、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、D-グルコサミン、及びD-ガラクトサミンから選択される単糖基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。好ましくは、S又はS’は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-キシロース、D-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、L-ラムノース、D-リボース、2-デオキシ-D-リボース、D-キノボース、D-フルクトース、L-ソルボース、D-タロース、2-デオキシ-D-グルコース、D-トレオース、D-エリトロース、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、D-グルコサミン、及びD-ガラクトサミンから選択され、好都合には、グルコース、キシロース、ラムノース、マンノース、及びガラクトースから選択される単糖基を示し;とりわけ、S又はS’は、D-グルコース、D-キシロース、L-ラムノース、D-マンノース、及びD-ガラクトースから、より特にD-グルコース又はD-キシロース基から選択される単糖基を示す。
【請求項6】
式(I)の化合物が、グルコース、キシロース、及びラムノースから選択される単糖基を表す糖基S又はS’を含み;特に、S又はS’が、D-グルコース、D-キシロース、及びL-ラムノースから選択される糖基を示し、より特にS又はS’が、グルコース又はキシロース基を示し、優先的には、S又はS’が、D-グルコース又はD-キシロース基を示す、請求項1~2及び5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物が、多糖基、とりわけ、好ましくは、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択され;より特に、D-ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、D-ツラノース、D-セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びD-マルトースから選択される二糖基、とりわけ、ラクトース、マルトース、及びセロビオースから選択される二糖基を表す糖基S又はS’’を含む、請求項1、2及び4のいずれか一項に記載の使用。とりわけ、S及びS’’は、D-ラクトース、D-マルトース、及びD-セロビオースから選択される二糖基を表す。
【請求項8】
式(I)の化合物が、以下の式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の化合物:
【化5】
並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体、並びにその塩から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用
(式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)中で:
- R’は、式(I)の化合物のRの定義と同じ定義を有し;好ましくは、R’は、水素原子;又は(C~C)アルキル基、とりわけメチル基などの(C~C)アルキル基を表し;
- R’は、水素原子又はR’’が以下に定義される通りである基-OR’’を表し;
- R’’は下記を表し
i)(C~C)アルキル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);又は
iv)水素原子;
好ましくは、R’’は、水素原子又はアセチル基、より特に水素原子を表し;
- R’’’は、水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである-CH-OR’’基、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表す)。
【請求項9】
式(I)の化合物が、以下の化合物:
【表1】
【表2】
【表3】
並びに水和物などのその溶媒和物、並びにその有機若しくは無機塩基又は酸塩から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に定義された1種以上の式(I)の化合物、好ましくは、請求項8で定義された(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)から選択される少なくとも1種の式(I)の化合物、並びに請求項9で定義された化合物1a、1b、1c、及び1d並びに1~8を含む組成物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、優先的には0.1質量%~5質量%の範囲の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に定義された1種以上の式(I)の化合物並びに式(I)の化合物以外の1種以上の追加の保湿活性薬剤、好ましくは、グリセロール、尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸、プロパンジオール、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリシン、β-アラニン、タウリン、トリメチルグリシン、及びポリエチレングリコール(PEG)誘導体から選択される1種以上の追加の保湿活性薬剤を含む組成物。
【請求項13】
式(I)の化合物並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体、並びにその有機若しくは無機塩基又は酸塩
【化6】
(式(I)中で:
- Sは、単糖糖基を示すか、又は2~5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合前記糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルケニル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);
前記単糖基は、場合により、2位で(そのC炭素原子で)脱酸素化されてもおり;
前記単糖又は多糖基は、場合により、R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C~C)アルキル(チオ)カルボニルなど、アミノ官能基の保護基を表す1個以上のアミノ基NRも含み;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
- Rは下記を表す
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基;
iii)少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は(C~C)アルコキシ基により任意選択で置換されている、ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基;
iv)シクロアルキル基)。
【請求項14】
下記:
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基、とりわけ、(C~C)アルキル基、より特にメチル基などの(C~C)アルキル基
から選択される基Rを含む、請求項13に記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
ケラチン物質、とりわけ皮膚を保湿する美容的方法であって、前記ケラチン物質に、好ましくは皮膚に、請求項10~12のいずれか一項に定義された組成物を適用することにある美容的方法。
【請求項16】
前記組成物が、乾燥した皮膚及び/又は下記:
- 手、
- 顔、とりわけ、額、頬、又は眼の輪郭(眼球周囲)、とりわけ目じりのしわ、眼の下の領域(たるみ)、又は瞼、
- 首、
- 足、
- 脚、
- 腕及び前腕
から選択される皮膚の領域に適用されることを特徴とする、請求項15に記載の美容的方法。
【請求項17】
以下のスキーム(I)による、請求項1~9のいずれか一項に定義された式(I)の化合物の合成の方法:
【化7】
(式中、(II)は、下記により表される単糖:
【化8】
又は多糖PS-OHを示し、式中、A、R、R、R、R、n、及びmは、上記に定義された通りであり、p’及びq’は、両端を含む0~4の整数を表し、p’+q’は両端を含む0~4、とりわけ0~2であり、好ましくはp’+q’=0又は1であり、角括弧の間の2つの単位が逆になり得ることが理解され;PS-OHは、以下の構造(gg)を有する多糖を示す):
【化9】
- 工程1は、式(II)の単糖又は多糖PS-OHを、バルビツール酸誘導体(III)と、とりわけ、Mがカチオン性対イオンを表すMOHなどの無機塩基若しくは好ましくはとりわけアルカリ金属(重)炭酸塩と共に(重)炭酸塩などの弱塩基の存在下で、又はトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で;
とりわけ、水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で、30℃~100℃、とりわけ80℃の温度で、好ましくは1時間~24時間、とりわけ5時間など3時間~10時間の期間加熱することにより反応させて、糖単位を含む化合物(IV)を与えることにあり;
- 工程2は、化合物(IV)を、過酸化水素などの化学酸化剤又はオキソンなどの過酸化水素発生剤と、或いは、オキシダーゼタイプの酵素などの生物学的作用物質と、とりわけ、アセトン若しくはアセトニトリルなど、大気圧で40℃~100℃の沸点を有する極性溶媒(又は溶媒混合物)又は水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で塩基性媒体中、及び/又は任意選択で塩形態であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤の存在下で反応させて、本発明によるC-グリコシド化合物(I)を与えることにあり、
・Aが水素原子を表し、保護基PGを有することが望まれる場合、保護工程が追加されること
・単糖又は多糖(II)上に任意選択で存在するNRのR及びRが水素原子を表し、アミノ基を保護することが望まれる場合、保護工程が実施されること、
・基Rがこれらの合成工程に感受性がある官能基を含む場合、保護/脱保護シーケンスを加えることが賢明であろうことが理解される。
ここで、工程2の間の特定の反応温度及び時間条件下で、工程2a:
【化10】
により中間体(V)を単離することが可能である。
ここで、工程2bは、化合物(V)を、アセトン若しくはアセトニトリルなど、大気圧で40℃~100℃の沸点を有する極性溶媒(又は溶媒混合物)又は水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で、塩基性である媒体中で、とりわけ、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの無機塩基の添加により、及び/又は任意選択で塩形態であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤の存在下で、及び任意選択で、過酸化水素などの化学酸化剤若しくはオキソンなどの過酸化水素発生剤、或いはオキシダーゼタイプの酵素などの生物学的作用物質の存在下で処理して、本発明によるC-グリコシド化合物(I)を与えることにある。
【請求項18】
以下の一般式を有する、式(V)の化合物並びにその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩
【化11】
(S及びRは請求項1~9に記載の通りである)。
【請求項19】
請求項18に記載の化合物。
【表4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のC-グリコシド化合物、それを含む化粧用組成物、調製方法、ケラチン物質、とりわけ皮膚の処理のための前記C-グリコシドの使用、並びに前記C-グリコシドを使用してケラチン物質を処理する方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、皮膚などのケラチン物質の手入れの分野における、特にケラチン物質、好ましくは皮膚の保湿剤としての5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は、保護バリア及び環境との交換バリア(exchange barrier)であり、強くもあり脆くもあるが、それはそのしなやかさを失うことがあり、水を保持するその能力が減少し、その場合皮膚の乾燥を起こす。
【0004】
角質層(stratum corneum)すなわち角膜層(corneal layer)は、表皮の最も外側にある領域であり、皮膚の保湿に特に関与している。外部環境との界面に位置しており、その機能は、特に、表皮のより深い層から生じる過度の水分損失を遅延させることである。角質層は、機械的攻撃に対しても保護する。それは、紫外線に対する防御の最前線も構成する。
【0005】
それは、10μmの厚さであり、脂質に富んだ膜のマトリックスに囲まれた垂直に積み重なった角質細胞から構成されている。そのため、それは、無核細胞(「レンガ」)及び細胞間ラメラ膜(「セメント」)で構成されたレンガの壁に例えられ得る2成分系である。この密な層化構造のおかげで、角質層は、経皮的な水分損失を妨害することにより、そのバリア機能を発揮する。このように、それは、主に細胞間の空間に位置する水を吸収し保持するその能力により皮膚の保湿に効率よく貢献している。
【0006】
明白な理由のため、そのしなやかさ、柔らかさ、弾力性、及び/又は外観を維持するために、充分なレベルの皮膚保湿を確実にすることが重要である。一般に、この保湿のレベルの低下は、保湿剤、例えばこの分野における基準の活性薬剤であるグリセロールにより角質層に対して作用することにより予防又は処置することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この種類の活性薬剤による欠点が観察される。
【0008】
例えば、グリセロールは、特に高濃度で使用される場合に製剤をべとつかせる欠点を有する。そのため、皮膚保湿の分野で、上述の欠点がない他の活性薬剤を見つける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、以下に記載の一般式(I)の5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体が良好な保湿剤であり、特に、角質層の弾力性の点で有益な作用を有し、且つ/又はバリア機能を改善することを発見した。
【0010】
一般式(I)の5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体は、本発明の主題であり、特に、同時に保湿作用を有する一方で、良好な安定性を有し、且つ/又は消費者にとって心地よいままである、すなわち、あまりべとつかず、心地よい感触があり、且つ/又はつっぱり感(tautness)などの不快な感覚を全く有さない組成物を提供することを可能にする。
【0011】
このように、本発明の主題は、ケラチン物質、好ましくは皮膚の保湿剤としての、特に乾燥した皮膚を処置するための、以下の式(I)に対応する1種以上の5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体並びにその有機若しくは無機塩基又は酸塩の美容的使用である
【化1】
(式(I)において:
- Sは、単糖糖基を示すか、又は2~5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルケニル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);
前記単糖基は、場合により、2位で(そのC炭素原子で)脱酸素化されてもおり;
前記単糖又は多糖基は、場合により、R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C~C)アルキル(チオ)カルボニルなど、アミノ官能基の保護基を表す1個以上のアミノ基NRも含み;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
- Rは、下記を表す
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基;
iii)少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は(C~C)アルコキシ基により任意選択で置換されている、ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基;
iv)シクロアルキル基)。
【0012】
式(I)の化合物は、保湿を維持及び/若しくは刺激し、且つ/又は皮膚などのケラチン物質の乾燥に有効であることが可能である。
【0013】
本発明による式(I)の化合物又はそれらを含む組成物は、1回又は1日あたり1若しくは2回など、好ましくは1日1回、好ましくは少なくとも1週間、より特には少なくとも4週間の期間にわたり繰り返して使用できる。
【0014】
このように定義される式(I)の化合物は、単独又は混合物として、保湿剤として、生理的に許容できる媒体、とりわけ化粧品として許容できる媒体を含む組成物中で使用できる。
【0015】
言い換えると、本発明は、保湿剤としての、単独又は混合物としての、特に生理的に許容できる媒体、とりわけ化粧品として許容できる媒体を含む組成物中での先に定義された1種以上の式(I)の化合物の使用に関する。
【0016】
同様に、本発明は、ケラチン物質、好ましくは皮膚を保湿するための、より特に乾燥した皮膚を処置するための前記組成物の使用に関する。
【0017】
本発明は、生理的に許容できる媒体中に、先に定義された1種以上の式(I)の化合物及び式(I)の化合物以外の1種以上の追加の保湿活性薬剤を含む組成物にも関する。
【0018】
さらに、本発明は、本明細書で以下に定義される式(I)の新規な化合物にも関し、それらを含む組成物、とりわけ生理的に許容できる媒体中の組成物にも関する。
【0019】
本発明の別な主題は、ケラチン物質、とりわけ皮膚を保湿するための美容的方法であって、ケラチン物質に、好ましくは皮膚に、先に定義された組成物の1種を適用することにある方法に関する。好ましくは、皮膚などのケラチン物質はヒトケラチン物質である。
【0020】
本発明の他の特徴、主題、及び利点は、以下の説明及び実施例を読むとより明確に現れるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の文書において、特記されない限り、ある範囲の値の端はその範囲内に含められる。
【0022】
表現「少なくとも1個の」は表現「1個以上の」と等しい。
【0023】
本発明の目的には、用語「生理的に許容できる媒体」は、不快な臭いも外観も全く有さず、局所投与経路と完全に適合性がある媒体を指すものとする。組成物が局所投与向けである、すなわち検討しているケラチン物質の表面への適用による場合、そのような媒体は、とりわけ、ひりひり感又はつっぱり感など、使用者にとって許容できない不快感を起こさない場合、生理的に許容できると考えられる。
【0024】
本発明において、用語「ケラチン物質」は、ケラチン物質、好ましくはヒトケラチン物質、とりわけ皮膚(好ましくはヒト皮膚)、さらにより特に体及び/又は顔の皮膚を意味する。
【0025】
皮膚の領域は、とりわけ下記から選択され得る:
- 手、
- 顔、とりわけ、額、頬、又は眼の輪郭(眼球周囲)、とりわけ目じりのしわ、眼の下の領域(たるみ)、又は瞼、
- 首、
- 足、
- 脚、
- 腕及び前腕。
【0026】
本発明の目的には、特記されない限り:
- 飽和又は不飽和且つ任意選択で縮合した環は、任意選択で置換されていてもよい;
- 「アルキル」基は、飽和で直鎖又は分岐鎖の、一般的にC~C18、特にC~C10の炭化水素系基、好ましくはC~Cアルキル基である;C~C14アルキル基として、とりわけ、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びオクチル基が言及され得る;
- 「アルケニル」基は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、2-メチルプロピレン、プレニル、及びデシレンなど、好ましくは1個以上の共役又は非共役二重結合を含む直鎖又は分岐鎖の不飽和C~C18炭化水素系基であり;
- 「アルキニル」基は、好ましくは1個以上の三重結合を含む直鎖又は分岐鎖の不飽和C~C18炭化水素系基であり;
- 「アリール」基は、優先的には6~30個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式炭素系基であって、その少なくとも1個の環が芳香族であるものであり;アリール基は、優先的には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル、及びテトラヒドロナフチル基から選択され;アリール基は、好ましくはフェニル基であり;
- 「アルコキシ」基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシなど、アルキルが上記で定義された通りであるアルキルオキシ基であり、アルコキシのアルキル部分は、一般的にC~C18、好ましくはC~C10であり;不飽和に言及される場合、これは、アルコキシ基が、アルケニル及びアルキニルが上記で定義された通りであるアルケニルオキシ又はアルキニルオキシ基を表し得ることを意味し;
- 「シクロアルキル」基は、C~Cシクロアルキル基、好ましくはシクロペンチル及びシクロヘキシル基である;シクロアルキル基は、特にアルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、及びケトン基により置換されている、置換シクロアルキル基であり得る;
- 「ヘテロシクロアルキル」基は、とりわけ酸素、硫黄、及び窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を含み4~8個の環員を含む飽和又は部分不飽和の非芳香族複素環式基であり、好ましくは、モルホリノ、ピペラジノ、及びピペリジノ基である;ヘテロシクロアルキル基は、とりわけ、アルキル、アルコキシ、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、及びケトン基により置換されている基でもよい;
- 「アリール」又は「ヘテロアリール」基は、下記から選択される、少なくとも1個の原子又は少なくとも1個の炭素原子を有する基により置換されていてよい:
i)以下の基から選択される1個以上の基により任意選択で置換されているC~C10アルキル、好ましくはC~Cアルキル:ヒドロキシル、任意選択で不飽和の(C~C)アルコキシ、(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ、アシルアミノ、任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有する2個の同一又は異なるC~Cアルキル基により置換されているアミノ、或いは2個の基が、それらが結合している窒素原子と共に、飽和又は不飽和で、任意選択で置換されている5員~7員、好ましくは5員又は6員の、任意選択で別の窒素又は非窒素ヘテロ原子を含む複素環を形成することができる;
ii)ハロゲン;
iii)ヒドロキシル;
iv)C~Cアルコキシ;
v)C~C10アルコキシカルボニル;
vi)(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルコキシ;
vii)C~Cアルキルカルボニルオキシ、優先的には-O-アセチル又はアセチルオキシ;
viii)5員又は6員のヘテロシクロアルキル;
ix)(C~C)アルキル基、優先的にはメチルにより任意選択で置換されている5員又は6員のヘテロアリール;
x)1個又は同一でも異なっていてもよい2個のC~Cアルキル基により置換されているアミノであって、任意選択で少なくとも下記を有するアミノ:a)1個のヒドロキシル基、b)1又は2個の任意選択で置換されているC~Cアルキル基により任意選択で置換されている1個のアミノ基であって、前記アルキル基は、場合により、それらが結合している窒素原子と共に、飽和又は不飽和の、任意選択で少なくとも1個の他の窒素又は非窒素ヘテロ原子を含む任意選択で置換されている5~7環員複素環を形成する、c)1個の四級アンモニウム基-NR’R’’R’’’,Q(R’、R’’、及びR’’’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC~Cアルキル基を表し;Qは、ハライドなどのアニオン性対イオンを表す)d)(C~C)アルキル基、優先的にはメチルにより任意選択で置換されている1個の5員又は6員のヘテロアリール基;
xi)アシルアミノ(-N(R)-C(O)-R’)(式中、基Rは、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキル基であり、R’基はC~Cアルキル基である);
xii)カルバモイル((R)N-C(O)-)(式中、R基は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキル基を表す);
xiii)アルキルスルホニルアミノ(R’S(O)-N(R)-)(式中、基Rは、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキル基を表し、基R’は、C~Cアルキル基、又はフェニル基を表す);
xiv)アミノスルホニル((R)N-S(O)-)(式中、基Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアルキル基を表す);
xv)酸形態又は塩化された形態(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換のアンモニウムにより塩化される)のカルボキシル;
xvi)シアノ;
xvii)ベンジルオキシカルボニル;
xviii)ポリハロアルキル、優先的にはトリフルオロメチル;
xix)1個以上のヒドロキシル基により任意選択で置換されているフェニルカルボニルオキシ基;並びに
xx)1個以上のヒドロキシル基により任意選択で置換されているフェニル基;
- 「ヘテロアリール」基は、少なくとも1個の環中に、とりわけO、N、及びSから選択された1個以上のヘテロ原子、好ましくはO又はNを含み、とりわけ1個以上のアルキル、アルコキシ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミン、又はケトン基により任意選択で置換されており、その環のうち少なくとも1個が芳香族である基である。これらの環は、1個以上のオキソ基を、ヘテロアリールの炭素原子上に含み得る;使用できる複素環式基のうち、とりわけ、フリル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、チエニル、及びピリミジニル基が言及され得る;任意選択で、複素環基は、ベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、クロマニル、イソクロマニル、インドリニル、イソインドリニル、クマリニル、又はイソクマリニル基などの縮合基であり、これらの基がとりわけ1個以上のOH基により置換されることが可能である;
- 「ヒドロキシル」又は「アミノ」官能基の「保護基」又は「PG」は当業者により知られている;2冊の本“Protective Groups in Organic Synthesis”,T.W.Greene,John Wiley & Sons,NYにより出版,1981,pp.193-217;“Protecting Groups”,P.Kocienski,Thieme,3rd ed.,2005が言及され得る。
【0027】
とりわけ、保護基は下記から選択される:
・ホルミル、アセチル、又はt-ブチルカルボニルなどの(C~C)アルキル(チオ)カルボニル;
・トリフルオロアセチル(TFA)などの(ジ)(トリ)ハロ(C~C)アルキル(チオ)カルボニル;
・メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル(BOC)、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルなどの(C~C)アルコキシ(チオ)カルボニル;
・2,2,2-トリクロロエチルカルボニルなどの(ジ)(トリ)ハロ(C~C)アルコキシ(チオ)カルボニル;
・(C~C)アルキルチオ-チオカルボニル;
・(ジ)(トリ)ハロ(C~C)アルキルチオチオカルボニル;
・(ジ)(C~C)(アルキル)アミノカルボニル;
・(ジ)(C~C)(アルキル)アミノチオカルボニル;
・フェニルカルボニル又は2,4,6-トリメチルフェニルカルボニルなどの任意選択で置換されているアリールカルボニル;
・p-ニトロフェノキシカルボニルなどの任意選択で置換されているアリールオキシカルボニル;
・ベンジルオキシカルボニル又はCbz、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(2-ブロモ-Z)及び2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-クロロ-Z)、4-ニトロベンジルオキシカルボニル(ニトロ-Z)などの任意選択で置換されているアリール(C~C)アルコキシカルボニル、
・9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)又はニコチノイルなどのヘテロアリール(C~C)アルコキシカルボニル;
・(ジ)(C~C)(アルキル)アミノカルボニル、例えばジメチルアミノカルボニル;
・(C~C)(アルキル)アリールアミノカルボニル;
・カルボキシル;
・フェニル、ジベンゾスベリル、又は1,3,5-シクロヘプタトリエニルなどの任意選択で置換されているアリール;
・任意選択で置換されているヘテロアリール;とりわけ1~4個のヘテロ原子を含む以下のカチオン性又は非カチオン性ヘテロアリールを含む:
i)5員、6員、又は7員の単環式基、例えば、フラニル又はフリル、ピロリル又はピリル、チオフェニル又はチエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサゾリウム、イソオキサゾリル、イソオキサゾリウム、チアゾリル、チアゾリウム、イソチアゾリル、イソチアゾリウム、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリウム、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3-トリアゾリウム、1,2,4-オキサゾリル、1,2,4-オキサゾリウム、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリウム、ピリリウム、チオピリジル、ピリジニウム、ピリミジニル、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニル、ピリダジニウム、トリアジニル、トリアジニウム、テトラジニル、テトラジニウム、アゼピン、アゼピニウム、オキサゼピニル、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウム、イミダゾリル、イミダゾリウムなど;
ii)8員~11員の二環式基、例えば、インドリル、インドリニウム、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリウム、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリウム、ピリドイミダゾリル、ピリドイミダゾリウム、チエノシクロヘプタジエニルなど、これらの単環式又は二環式基は、(C~C)アルキル、例えばメチル、又はポリハロ(C~C)アルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1個以上の基により任意選択で置換されている;
iii)又は以下の三環式ABC基:
【化2】
(式中、2個の環及び環は、任意選択でヘテロ原子を含み、環は、5員、6員、又は7員環、特に6員環であり、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、例えばピペリジル又はピラニルである);
・任意選択でカチオン性の、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルであって、とりわけ、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含む飽和又は部分飽和の、5員、6員、又は7員の単環式基を表すもの、例えば、ジ/テトラヒドロフラニル、ジ/テトラヒドロチオフェニル、ジ/テトラヒドロピロリル、ジ/テトラヒドロピラニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロチオピラニル、ジヒドロピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラメチルピペリジル、モルホリニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロアゼピニル、ジ/テトラヒドロピリミジニルなど、これらの基は、(C~C)アルキル、オキソ又はチオキソなどの1個以上の基により任意選択で置換されており、好ましくはテトラヒドロピラニルTHPであり;或いは、複素環は以下の基を表す:
【化3】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’、及びR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表すか、或いは2個の基R’はR’と、且つ/又はR’はR’と、オキソ又はチオキソ基を形成するか、或いは、R’はR’と共にシクロアルキルを形成し;vは、両端を含む1~3の整数を表し;優先的には、R’からR’は水素原子を表し;且つ、Anは対イオンを表す);
・イソチオウロニウム-C(NR’R’)=NR’R’;An(式中、R’、R’、R’、及びR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し;優先的には、R’からR’は水素原子を表し;且つ、Anは対イオンを表す);
・イソチオウレア-C(NR’R’)=NR’;(式中、R’、R’、及びR’は先に定義の通り);
・任意選択で置換されている(ジ)アリール(C~C)アルキル又はトリアリール(C~C)アルキル、例えば、とりわけ、ハロゲン、(C~C)アルキル、メトキシなどの(C~C)アルコキシ、ヒドロキシル、(C~C)アルキルカルボニル、ジメチルアミノなどの(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、ニトロから選択される1個以上の基により任意選択で置換されている、9-アントラセニルメチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、又はトリフェニルメチルなど;
・任意選択で置換されている(ジ)ヘテロアリール(C~C)アルキル又はトリヘテロアリール(C~C)アルキルであって、ヘテロアリール基が、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む、カチオン性又は非カチオン性の、5員又は6員の単環式であるもの、例えば、アルキル、特にメチルなどの1個以上の基により任意選択で置換されている、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、4-ピリジル若しくは2-ピリジル-N-オキシドなどのピリジルN-オキシド、ピリリウム、ピリジニウム、又はトリアジニル基など;好都合には、(ジ)ヘテロアリール(C~C)アルキルは、(ジ)ヘテロアリールメチル又は(ジ)ヘテロアリールエチルである;
・CR(式中、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を表すか(2,2,2-トリクロロエチルなどの(トリ)(ジ)ハロ(C~C)アルキルなど)、又は下記から選択される基を表す):
- メチルなどの(C~C)アルキル;
- (C~C)アルコキシ;
- 1個以上の基、例えば(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ又はヒドロキシルにより任意選択で置換されているフェニルなど、任意選択で置換されているアリール;
- 任意選択で置換されているヘテロアリール、例えば、(C~C)アルキル基により任意選択で置換されているチオフェニル、フラニル、ピロリル、ピラニル、又はピリジルなど;
- P(Z)R’R’R’(式中、R’及びR’は、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル、(C~C)アルコキシ又はアルキル基を表し、R’は、ヒドロキシル又は(C~C)アルコキシ基を表し、Zは酸素又は硫黄原子を表す);
・(C~C)アルキレン、とりわけアリルHC=CH-CH-;
・p-トルエンスルホニル(Tos)などの任意選択で置換されているアリールスルホニル;
・アダマンチル基などの立体障害のあるシクロアルキル;
・1-アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)又は1-(アダマンチル)-1-メチルエトキシカルボニル(Adpoc)などの立体障害のあるシクロアルキルオキシ(チオ)カルボニル;
・メトキシメチル(MOM)、エトキシエチル(EOM)、及びイソブトキシメチルなどの任意選択で置換されている(C~C)アルコキシ(C~C)アルキル;
・2,2,2-トリクロロエチルなどの(トリ)(ジ)ハロ(C~C)アルキル;
・RSi-(式中、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、(C~C)アルキル基、任意選択で置換されているアリール基、任意選択で置換されている(ジ)アリール(C~C)アルキル基、任意選択で置換されているトリアリール(C~C)アルキル基、ベンジルなどを表す)とりわけ、トリメチルシリル又はTMS、トリエチルシリル、イソプロピル-ジメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル又はTBDMS、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチル(ジ-t-ブチル)シリル、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリルから選択される;
・或いは、2個の連続するヒドロキシル基は、以下に描かれるアルキレン基-C(R)(R)-(C(R)(R))により保護できる:
【化4】
(式中、R、R、R、及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、又は(C~C)アルキル、(ポリ)ハロ(C~C)アルキル、フェニルなど任意選択で置換されているアリール、ベンジルなどアリール(C~C)アルキル、(ポリ)ハロ(C~C)アルコキシ、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、又はヒドロキシル基を表すか、或いは、2個のRとR及び/又はRとR基は、それらを有する炭素原子と共に、オキソ基又はシクロヘキシル若しくはシクロプロピルなどの(ヘテロ)シクロアルキル基を形成し;qは、0、1、2又は3である)好ましくは-C(R)(R)-(C(R)(R))は、メチレン、エチレン、プロピレン、ジメチルメチレン、-C(CH、又はジフェニル-メチレン-C(Ph)、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ベンジリデン、p-メトキシベンジリデン、2,4-ジメトキシベンジリデン、メトキシメチレン、及びエトキシメチレンを表す;
- 用語「過酸化水素発生系」は、Hではないが過酸化水素を発生させることができ、且つ/又は過酸化水素を含む化学化合物を意味するものとし、a)過酸化尿素;b)とりわけ粉末の形態である、ポリビニルピロリドン/Hなど、過酸化水素を放出できるポリマー錯体並びに米国特許第5008093号明細書、米国特許第3376110号明細書、及び米国特許第5183901号明細書に記載される他のポリマー錯体;c)適切な基質(例えば、グルコースオキシダーゼの場合のグルコース又はウリカーゼの場合の尿酸)の存在下でのオキシダーゼ;d)過酸化カルシウム若しくは過酸化マグネシウムなど、水中で過酸化水素を発生させる金属過酸化物;e)過ホウ酸塩;又はf)ペルカーボレート(percarborates)などであり;とりわけ、それらは、a)過酸化尿素;b)ポリビニルピロリドン/Hから選択される、過酸化水素を放出できるポリマー錯体;c)オキシダーゼ;e)過ホウ酸塩、及びf)ペルカーボレートから選択される。
【0028】
I.5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体
本発明による5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド誘導体は、以下の式(I)、並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体、並びにその有機若しくは無機塩基又は酸塩に対応する
【化5】
(式(I)中で:
- Sは、単糖糖基を示すか、又は2~5個の糖単位を含む多糖糖基を示し、各糖単位(単糖の場合糖単位又は多糖の場合各糖単位)は、下記から選択される基R’により任意選択で置換されている1個以上のヒドロキシル基を含み:
i)(C~C)アルキル若しくは(C~C)アルケニル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);
前記単糖基は、場合により、2位で(そのC炭素原子で)脱酸素化されてもおり;
前記単糖又は多糖基は、場合により、R及びRが同一でも異なっていてもよく、水素原子、又はアセチル基、又は(C~C)アルキル(チオ)カルボニルなど、アミノ官能基の保護基を表す1個以上のアミノ基NRも含み;
前記単糖又は多糖基は、前記単糖又は多糖基の糖の1つのC炭素原子の間の結合により分子の残りに結合しており、この結合は、場合により、α又はβアノメリックであり;
- Rは下記を表す
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基;
iii)少なくとも1個のヒドロキシル及び/又は(C~C)アルコキシ基により任意選択で置換されている、ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基;
iv)シクロアルキル基)。
【0029】
好ましくは、基Sのヒドロキシル基は置換されていないか、又は先に定義された同じ基R’により、とりわけアセチル基により全て置換されている。
【0030】
好ましくは、基Sの任意選択のアミノ基NRは、Rが全て水素原子を示すか、又は全てアセチル基を示すNHRを示す。
【0031】
より優先的には、基Sのヒドロキシル基は置換されておらず、基Sの任意選択のアミノ基NRは、Rが全て水素原子を示すか、又は全てアセチル基を示すNHRを示す。
【0032】
本発明の好ましい一形態によると、基Sのヒドロキシル基は置換されておらず、基Sはアミノ基NRにより置換されていない。
【0033】
好都合な一実施形態によると、Rは、
i)水素原子;
ii)(C~C18)アルキル基、とりわけ(C~C)アルキル基、より特にメチル基などの(C~C)アルキル基
を表す。
【0034】
上記の式(I)の化合物に関して、Sが単糖基を表す場合、それがピラノース型(それを構成する糖の複素環が6個の環員を含む)でもフラノース型(それを構成する糖の複素環が5個の環員を含む)でもよく;Sが多糖基を表す場合、それが、同一でも互いに異なっていてもよく、フラノース型でもピラノース型でもよい連続した2~5個の糖単位を含むことが理解される。
【0035】
先に定義された式(I)の化合物に関して、Sが多糖基を表す場合、多糖が、好ましくは、2個のピラノース単位の連結又はフラノース型の1個の糖単位とピラノース型の1個の単位の連結又はピラノース型の1個の糖単位とフラノース型の1個の単位の連結から生じる二糖であり;
単糖基であろうと多糖基であろうと、各糖単位が、場合により、左旋性L型でも右旋性D型でもあり得て、αアノマー型でもβアノマー型でもあり得ることが理解される。
【0036】
好ましい一実施形態によると、糖基Sは、単糖基を構成する複素環が4又は5個の炭素原子を含む、以下の式S’の単糖基を表す:
【化6】
は、水素原子、メチルなどの(C~C)アルキル基、又はヒドロキシメチル若しくは1,2-ジヒドロキシエチルなどの(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキル基を表し、(ポリ)ヒドロキシ(C~C)アルキル基のヒドロキシル官能基は、以下に定義されるAにより置換されており;
基が、糖単位がピラノース型である場合C位であるか、又はフラノース型である場合C位であることが理解され;
は、水素原子又は(C~C)アルキル基、好ましくは水素を表し;
は、水素原子、又はR-C(X’)-など、いくつかのヒドロキシル官能基の場合同一な、アミン官能基の保護基を表し、X’は、酸素又は硫黄原子、とりわけ酸素原子を表し、Rは(C~C)アルキル基を表し、Rは、好ましくは、アセチル基CH-C(O)-を表し;
は、水素原子又は-CH-O-A基を表し;
Aは、水素原子、(C~C)アルキル基、又は上記で定義されたR-C(X’)-などのヒドロキシル官能基保護基、とりわけアセチルCH-C(O)-を表すか、或いは、nが2以上であり2個の基A-Oが連続する場合、2個のA基は、直鎖又は分岐鎖の(C~C)アルキレン鎖を共に形成することができ;
好ましくは、Aが水素原子とは異なり(C~C)アルキル基とも異なる場合、全ての保護基Aは同一であり;
より優先的には、Aは水素原子を表し;
nは、1、2、又は3に等しく、mは、0又は1に等しい。
【0037】
好ましくは、mは0である。
【0038】
別の好ましい実施形態によると、糖基Sは、1→4(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→3(ある糖単位のC→他の糖単位のC)又は1→6(ある糖単位のC→他の糖単位のC)の酸素原子(オキシ)により連結した2~5個の糖単位、とりわけ2~3個、好ましくは2個の糖単位で構成される多糖基を表し、その各糖単位は、4又は5個の炭素原子を含む以下の式S’’の複素環で構成される:
【化7】
(式中、式S’’、p、及びqは、両端を含む0~4の整数を表し、p+qは両端を含む1~4、特に1~2、優先的にはp+q=1であり;Rは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、Rは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、Aは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、mは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、nは、同一でも異なっていてもよく、上記の通りであり、角括弧qとpの間の2個の糖単位が交換可能であること、すなわち以下の配列を表し得ることが理解される)。
【化8】
【0039】
本発明の好ましい一変形によると、式(I)の化合物は下記のようなものである:
- Sが、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、リキソース、フコース、アラビノース、ラムノース、キノボース、フルクトース、ソルボース、タロース、2-デオキシグルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコサミン、ガラクトサミンから選択される単糖糖基;又はラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、マルトースから選択される二糖を表し;より優先的には、Sが、グルコース、キシロース、ラムノース、ガラクトース、又はマンノースから選択される単糖糖基を表し;さらにより優先的には、Sが、グルコース、キシロース、ラムノース、ガラクトース、又はマンノースから選択される単糖糖基を表し;さらにより優先的には、Sが、グルコース、ラムノース、又はキシロース、とりわけグルコース又はキシロースから選択される単糖糖基を表す。
【0040】
より優先的には、式(I)の化合物は、以下の式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の化合物:
【化9】
並びに水和物などのその溶媒和物、その光学及び幾何異性体並びに互変異性体、並びにその塩から選択され、
式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)中:
- R’は、式(I)の化合物のRの定義と同じ定義を有し;好ましくは、R’は、水素原子;又は(C~C)アルキル、とりわけメチル基などの(C~C)アルキル基を表し;
- R’は、水素原子又はR’’が以下で定義される基-OR’’を表し;
- R’’は下記を表し、
i)(C~C)アルキル;又は
ii)アセチル基;又は
iii)(C~C)アルキル(チオ)カルボニル若しくはベンジルなど、ヒドロキシル官能基の保護基(PG);又は
iv)水素原子;
好ましくは、R’’は、水素原子又はアセチル基、より特に水素原子を表し;
- R’’’は、水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はR’’が先に定義された通りである-CH-OR’’基、とりわけ水素又はアセチル基、好ましくは水素原子を表す。
【0041】
特定の一実施形態によると、本発明の化合物は式(I’)のものである。
【0042】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’)のものである。
【0043】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’’’)のものである。
【0044】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’a)のものである。
【0045】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’a)のものである。
【0046】
本発明の別の特定の実施形態によると、本発明の化合物は式(I’’’’a)のものである。
【0047】
特定の一実施形態によると、S及びS’は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、リキソース、フコース、アラビノース、ラムノース、リボース、デオキシリボース、キノボース、フルクトース、ソルボース、タロース、2-デオキシグルコース、トレオース、エリトロース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコサミン、及びガラクトサミンから選択される単糖基を表し;とりわけ、S及びS’は、グルコース、キシロース、ラムノース、ガラクトース、又はマンノースから選択される単糖基を表し;さらにより特に、S及びS’は、グルコース、キシロース、又はラムノースから選択される単糖基を表し;さらにより特に、S及びS’は、グルコース又はキシロースから選択される単糖基を表す。
【0048】
とりわけ、S及びS’は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-キシロース、L-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、D-アラビノース、L-ラムノース、L-リボース、D-リボース、2-デオキシ-D-リボース、2-デオキシ-L-リボース、D-キノボース、D-フルクトース、L-ソルボース、D-タロース、2-デオキシ-D-グルコース、D-トレオース、D-エリトロース、L-トレオース、L-エリトロース、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、D-グルコサミン、及びD-ガラクトサミンから選択される単糖基を表す。好ましくは、S及びS’は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-キシロース、又はL-ラムノースから選択される単糖基を示し;とりわけ、S及びS’は、D-グルコース、D-キシロース、又はL-ラムノース、より特にD-グルコース又はD-キシロース基から選択される単糖基を表す。
【0049】
別の特定の実施形態によると、S及びS’’は、多糖基、とりわけ、ラクトース、マルツロース、パラチノース、ラクチュロース、アミグダロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、ルチノース、及びマルトースから選択される二糖基を表す。
【0050】
本発明の特定の一形態によると、S及びS’’は、多糖基、とりわけ、ラクトース、マルトース、及びセロビオースから選択される二糖基を表す。とりわけ、S及びS’’は、D-ラクトース、D-マルトース、及びD-セロビオースから選択される二糖基を表す。
【0051】
本発明による式(I)、又は(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の新規化合物の例として、化合物1a2a3a、及び4a、並びに1~8、並びにその異性体及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩及び/又はその互変異性体:
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
並びにとりわけ、化合物及び/又はその溶媒和物及び/又はその塩及び/又はその互変異性体が、言及され得る。
【0056】
本発明に使用される化合物の許容できる溶媒和物は、前記化合物の調製の最終工程の間に溶媒の存在により形成されるものなどの従来の溶媒和物を含む。例としては、水の存在による溶媒和物(水和物)又はエタノール若しくはイソプロパノールなどの直鎖若しくは分岐鎖のアルコールの存在による溶媒和物が言及され得る。
【0057】
少なくとも1個のアミン官能基を含む式(I)の化合物の塩は、クエン酸、乳酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩化水素酸、グリコール酸、又はリンゴ酸などの有機酸の塩であり得る。
【0058】
少なくとも1個の酸官能基を含む式(I)の化合物の塩は、金属塩、例えばアルミニウム(Al3+)、亜鉛(Zn2+)、マンガン(Mn2+)、若しくは銅(Cu2+);アルカリ金属塩、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、若しくはカリウム(K);又はアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム(Ca2+)若しくはマグネシウム(Mg2+)からも選択され得る。それらは、式NH のアンモニウム誘導体又は式YNHのアンモニウムなどの有機塩でもよく、NYは有機アミンを示し、Y基は同一又は異なり、2又は3個のY基が、対になって、それらを有する窒素原子と共に環を形成することが可能であるか、又はNYが芳香族アミンを示すことが可能である。有機アミンは、例えばアルキルアミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、若しくはエチルアミン、又はヒドロキシアルキルアミン、例えば2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン、若しくはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミン、又はシクロアルキルアミン、例えばビシクロヘキシルアミン若しくはグルカミン、ピペリジン、又はピリジンなど、例えばコリジン、キニン、若しくはキノリン、又は本質的に塩基性であるアミノ酸、例えばリジン又はアルギニンである。
【0059】
本発明による化合物が塩形態である場合、アニオン又はカチオンは、当然ながら、式(I)の化合物の電気的中性を確実にする量である。
【0060】
少なくとも1個の酸官能基を含む本発明による式(I)の化合物の塩は、好都合には、金属塩Cu2+、Mn2+、及びZn2+、アルカリ金属塩Li、Na、及びK、並びにアルカリ土類金属塩Ca2+及びMg2+から選択できる。
【0061】
別の変形によると、少なくとも1個の酸官能基を含む本発明による式(I)の化合物の塩は、好都合には、アンモニウムから、好ましくは本質的に塩基性であるアミノ酸、例えばリジン若しくはアルギニンの塩から、又はジエタノールアミン塩若しくはトリエタノールアミン塩から選択できる。
【0062】
II.5-オキサゾリジン-2,4-ジオンC-グリコシド化合物を得ること
1)式(I)の新規化合物の合成のプロセス
式(I)の化合物は、以下に記載の合成経路により得ることができる:
【化10】
(式中、(II)は、下記により表される単糖:
【化11】
又は多糖PS-OHを示すが、式中、A、R、R、R、R、n、及びmは、上記で定義された通りであり、p’及びq’は、両端を含む(inclusively)0~4の整数を表し、p’+q’は両端を含む0~4、とりわけ0~2であり、好ましくはp’+q’=0又は1であり、角括弧の間の2個の単位が逆になり得ることが理解され;PS-OHは、以下の構造(gg)を有する多糖を示す):
【化12】
- 工程1は、式(II)の単糖又は多糖PS-OHを、バルビツール酸誘導体(III)と、とりわけ、Mがカチオン性対イオンを表すMOHなどの無機塩基若しくは好ましくはとりわけアルカリ金属(重)炭酸塩と共に(重)炭酸塩などの弱塩基の存在下で、又はトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で;
とりわけ、水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で、30℃~100℃、とりわけ80℃の温度で、好ましくは1時間~24時間、とりわけ5時間など3時間~10時間の期間加熱することにより反応させて、糖単位を含む化合物(IV)を与えることにあり;
- 工程2は、化合物(IV)を、過酸化水素などの化学酸化剤又はオキソンなどの過酸化水素発生剤と、或いは、オキシダーゼタイプの酵素などの生物学的作用物質と、とりわけ、アセトン若しくはアセトニトリルなど、大気圧で40℃~100℃の沸点を有する極性溶媒(又は溶媒混合物)又は水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で塩基性媒体中、及び/又は任意選択で塩形態であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤の存在下で反応させて、本発明によるC-グリコシド化合物(I)を与えることにあり、
・Aが水素原子を表し、保護基PGを有することが望まれる場合、保護工程が追加されること
・単糖又は多糖(II)上に任意選択で存在するNRのR及びRが水素原子を表し、アミノ基を保護することが望まれる場合、保護工程が実施されること、
・基Rがこれらの合成工程に感受性がある官能基を含む場合、保護/脱保護シーケンスを加えることが賢明であろうこと
が理解される。
【0063】
工程2の間の特定の反応温度及び時間条件下で、工程2aにより中間体(V)を単離することが可能である:
【化13】
【0064】
工程2bは、化合物(V)を、アセトン若しくはアセトニトリルなど、大気圧で40℃~100℃の沸点を有する極性溶媒(又は溶媒混合物)又は水などの極性プロトン性溶媒中で、任意選択で、塩基性である媒体中で、とりわけ、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの無機塩基の添加により、及び/又は任意選択で塩形態であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤の存在下で、及び任意選択で、過酸化水素などの化学酸化剤若しくはオキソンなどの過酸化水素発生剤、或いはオキシダーゼタイプの酵素などの生物学的作用物質の存在下で処理して、本発明によるC-グリコシド化合物(I)を与えることにある。
【0065】
式(V)の化合物、並びにその溶媒和物及び/又は異性体及び/又は塩は新規である。それらは、以下の一般式によっても表すことができる
【化14】
ここで、S及びRは先に記載された通りである。
【0066】
発明の主題は式(V)の化合物でもある。
【0067】
そのため、上述のプロセスがD-グルコースを使用する場合、工程1の後で新規化合物(並びに/又はその溶媒和物及び/若しくはその塩)を単離することが可能であり、次いで、酸化工程2が限定された期間実施される:
【0068】
【表4】
【0069】
試薬は全て、当業者に公知である従来の方法により得られる。とりわけ、化合物(III)は、市販されているか、又は例えば、以下の方法により調製できる:
【化15】
【0070】
アミン(VI)は、イソシアナート(VII)と反応して対称的な尿素を形成し、次いで、それは、マロニルクロリド(Y=Cl)などの活性化されたマロニル誘導体(VIII)と反応して、化合物(III)を与えるが、反応は、ジクロロメタン、THF、エーテル、又はアセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒中で、20℃~160℃の範囲の温度で実施される。
【0071】
当業者は、合成工程に従って、感受性のある官能基を保護又は脱保護するように注意するだろう。
【0072】
IV.組成物
発明の主題は、とりわけ、生理的に許容できる媒体中に、1種以上の式(I)の化合物、とりわけ先に定義された式(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の1種以上の化合物を含む組成物でもある。
【0073】
とりわけ、本発明の主題は、とりわけ、生理的に許容できる媒体中に、1種以上の先に定義された化合物1~8を含む組成物でもある。
【0074】
式(I)の化合物は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、優先的には0.02質量%~6質量%、さらにより特に0.1質量%~5質量%、とりわけ2質量%~7質量%、より特に3質量%~6質量%の量で存在する。
【0075】
先に示された通り、本発明は、1種以上の先に定義された式(I)、又は(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の化合物並びに式(I)の化合物以外の1種以上の追加の保湿活性薬剤を含む組成物にも関する。
【0076】
好ましくは、追加の保湿活性薬剤は、グリセロール、尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒアルロン酸、プロパンジオール、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリシン、β-アラニン、タウリン、トリメチルグリシン、及びポリエチレングリコール(PEG)誘導体から選択される。
【0077】
本発明の別の主題は、生理的に許容できる媒体中に、化合物(1)~(8)並びにその溶媒和物、その異性体、及び/又はその塩から選択される1種以上の化合物を含む組成物であり、前記組成物は、場合により、式(I)、又は(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の化合物以外の1種以上の先に定義された追加の保湿剤も含む。
【0078】
V.処置プロセス
本発明は、ケラチン物質、とりわけ皮膚を保湿する美容的方法であって、ケラチン物質に、好ましくは皮膚に、先に定義された組成物の1種を適用することにある美容的方法にも関する。
【0079】
好ましくは、皮膚などのケラチン物質はヒトケラチン物質である。
【0080】
より特に、本発明は、先に定義された組成物の1種が乾燥した皮膚に適用されることを特徴とする、乾燥した皮膚を保湿するための美容的方法に関する。
【0081】
より特に、本発明による方法は、式(I)又は(I’)、(I’’)、(I’’’’)、(I’a)、(I’’a)、及び(I’’’’a)の化合物、好ましくは化合物1~8を含む本発明による前記組成物が、1回又は1日あたり1~2回、好ましくは1日1回、好ましくは少なくとも1週間、より特に少なくとも4週間の期間にわたり繰り返して適用されることを特徴とする。
【0082】
本発明による式(I)の化合物又はそれらを含む組成物は、1回又は1日あたり1~2回、好ましくは1日1回、好ましくは少なくとも1週間、より特に少なくとも4週間繰り返して使用することができる。
【0083】
より特に、組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚、すなわち下記から選択される皮膚の領域に適用される:
- 手、
- 顔、とりわけ、額、頬、又は眼の輪郭(眼球周囲)、とりわけ目じりのしわ、眼の下の領域(たるみ)、又は瞼、
- 首、
- 足、
- 脚、
- 腕及び前腕。
【0084】
提示形態
本発明に従って使用される化合物が実行され(implemented)得るこれらの組成物は、皮膚の非治療的な手入れに有用である。それらは、とりわけ、皮膚の保湿、とりわけ乾燥した皮膚の処置に有用である。
【0085】
それらは、非治療的な皮膚維持処置、すなわち予防的な処置としてのそれらの有効性を示し得る。それらは、皮膚保湿異常が現れた後の非治療的な皮膚処置としても使用できる。
【0086】
本発明に従って使用される組成物は、好都合には、皮膚への局所適用に好適である。
【0087】
この組成物は、ケア組成物、特に皮膚科用組成物であり得る。好ましくは、それはスキンケア組成物である。
【0088】
皮膚への局所適用には、本発明による組成物は、従来この種の適用向けである任意のガレヌス形態(galenical form)及び特に水性ゲル又は水溶液若しくはアルコール水溶液の形態であり得る。脂肪相又は油相を加えることにより、それらは、ローションタイプの分散液、水相に脂肪相を分散させることにより得られる(O/W)若しくは逆も同様である(W/O)ミルクタイプの液体若しくは半液体の粘稠性のエマルション、又はクリーム若しくはゲルタイプの柔らかい、半固体、若しくは固体の粘稠性の懸濁液若しくはエマルション、或いは多重エマルション(W/O/W又はO/W/O)、マイクロエマルション、イオン性及び/若しくは非イオン性タイプのベシクル分散液、又はワックス/水相分散液の形態でもあり得る。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0089】
水相
美容的使用向けの本発明による組成物は、少なくとも1種の水相を含み得る。それらは、とりわけ、水性ローションとして、又は油中水型若しくは水中油型エマルションとして、又は多重エマルション(油中水中油型又は水中油中水型三重エマルション(そのようなエマルションは公知であり、例えば、C.Foxにより“Cosmetics and Toiletries”-November 1986-Vol.101-pages 101-112に記載されている))として製剤される。
【0090】
前記組成物の水相は、水及び一般的に他の水溶性又は水混和性溶媒を含む。水溶性又は水混和性溶媒は、エタノール及びイソプロパノールなど、短鎖、例えばC1~C4のモノアルコール;ジオール又はポリオールを含む。
【0091】
本発明による組成物は、選択される担体によって、好ましくは3~9の範囲のpHを有する。
【0092】
組成物がエマルション形態である場合、それらは、一般的に、エマルションの性質に応じて、1種以上の乳化界面活性剤を含む。
【0093】
乳化剤の総量は、好ましくは、本発明による組成物中で、組成物の総質量に対して1質量%~8質量%、より特に2質量%~6質量%の範囲の活性物質含量だろう。
【0094】
脂肪相
本発明による組成物は、脂肪相として知られる、少なくとも1つの非水混和性有機液相を含み得る。この相は、一般的に、前記相を非水混和性にする1種以上の疎水性化合物を含む。前記相は、(構造化剤(structuring agent)の非存在下で)周囲温度(20~25℃)で液体である。優先的には、本発明による非水混和性有機液相は、一般的に、少なくとも1種の揮発性油及び/又は不揮発性油並びに任意選択で少なくとも1種の構造化剤を含む。
【0095】
用語「油」は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち1.05×10Pa)で液体である脂肪性物質を意味すると理解される。油は、揮発性でも不揮発性でもあり得る。
【0096】
本発明の目的には、用語「揮発性油」は、周囲温度及び大気圧で、皮膚などのケラチン物質と接触すると1時間未満で蒸発することが可能である油を意味する。本発明の揮発性油は、周囲温度で液体であり、周囲温度及び大気圧で、とりわけ0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、とりわけ1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の0ではない蒸気圧を有する揮発性の化粧用油である。
【0097】
用語「不揮発性油」は、周囲温度及び大気圧で、皮膚などのケラチン物質上に、少なくとも数時間とどまり、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0098】
油は、あらゆる生理的に許容できる油及び特に化粧品として許容できる油、とりわけ、鉱物油、動物油、植物油、又は合成油;特に揮発性又は不揮発性の炭化水素及び/又はシリコーン及び/又はフッ素化された油並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0099】
より具体的には、用語「炭化水素油」は、主に炭素及び水素原子を含み、任意選択でヒドロキシル、エステル、エーテル、又はカルボキシル官能基から選択される1種以上の官能基を含む油を意味すると理解される。一般的に、油は、0.5~100000mPa.s、好ましくは50~50000mPa.s、より好ましくは100~300000mPa.sの粘度を示す。
【0100】
本発明に使用できる揮発性油の例として、下記が言及され得る:
- 8~16個の炭素原子を含む炭化水素系油、特に石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)から選択される揮発性炭化水素系油。
【0101】
本発明に使用できる不揮発性油の例として、下記が言及され得る:
- 4~24個の炭素原子の脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているもの又は名称ミグリオール810、812、及び818でDynamit Nobel社により販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド並びにホホバ油などの炭化水素系植物油、
- 流動パラフィン及びそれらの誘導体、流動ワセリン、ポリデセン、ポリブテン、パールリームなどの水添ポリイソブテン、又はスクアランなどの鉱物又は合成由来の直鎖又は分岐鎖の炭化水素;
- 10~40個の炭素原子を含む合成エーテル;
- イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、又は安息香酸C12~C15アルキルなどの合成のエステル;
- 直鎖(ジメチコン)又は環状(シクロメチコン)不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーンオイル。
【0102】
本発明による組成物は、柔軟剤、乳白剤、安定剤、保存剤、香料、脂肪相の構造化剤から選択される、とりわけ、蝋、糊状化合物、ゲル化剤;有機若しくは無機充填剤;増粘剤若しくは懸濁化剤、又はこの種類の用途で化粧品に通常使用される任意の他の成分から選択される1種以上の化粧品用補助剤も含み得る。
【0103】
言うまでもないが、当業者は、本発明による組成物と本質的に関連する好都合な性質が、想定される追加により、悪影響を受けないか、又は実質的に悪影響を受けないように、この又はこれらの任意選択の追加化合物を注意深く選択するだろう。
【0104】
以下の実施例は、本発明を説明するが、その範囲を限定しない。
【実施例0105】
A)合成実施例
4.1 化合物1、2、3、4、及び9の合成
実施例1:化合物1の合成
【化16】
工程1.バルビツール酸(10.7g、83mmol)を、撹拌しながら、D-グルコース(15g、83mmol)の水(170ml)溶液に加え、次いでNaHCOをpH7まで加える。中和後に、混合物を80℃で5時間加熱する。反応を、ジクロロメタン/MeOH 6:4+1%酢酸中でTLCによりモニターする。反応混合物を、アセトン(850ml)に、激しく(rigourous)撹拌しながら滴加する。得られた沈殿物を濾去し、次いでアセトン中で3回洗浄し、得られた固体10を真空下で乾燥させる。それを黄色の粉末の形態で単離する。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造と一致する。
【0106】
工程2.50%の過酸化水素(137mmol)を、撹拌しながら、化合物10(21.4g、68.5mmol)の水(60ml)溶液に加える。反応混合物を4時間30 70℃にする。反応をTLC(BuOH/HO/AcOH 6:2:2)によりモニターする。次いで、混合物を、周囲温度で600mlのアセトンに滴加する。形成された残渣を濾去し、次いで、水に溶解させ、溶液を濃縮乾固する。得られた粉末をアセトン中で2回洗浄すると、化合物1を薄黄色粉末の形態で与える。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造と一致する。
【0107】
実施例2:化合物2の合成
【化17】
工程1.実施例1に記載された方法に基づいて、中間体11をD-キシロース及びバルビツール酸から得る。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造11と一致する。
【0108】
工程2.35mlの水中の15gの11(0.053mol)を、コンデンサー、アルゴン入口、バブラー、温度計、及びマグネティックスターラーを備えた100ml三口丸底フラスコ中に配置した。次いで、10.9mlの30%過酸化水素の水溶液(0.106mol)を加えた。反応媒体を周囲温度で撹拌し、反応を、水/アセトニトリル 8:2によりTLCによりモニターする。
【0109】
一晩の撹拌の後、出発生成物(starting product)は消費されるが、過酸化物テストは陽性である。反応媒体を80℃で3時間加熱し(過酸化物テスト陰性)、周囲温度に冷却し、次いで、250mlのエタノールを収容している丸底フラスコに注ぎ、ロータリーエバポレーター中で濃縮乾固した。
【0110】
得られたペーストを、乳鉢を使用してアセトンに吸収させると、化合物2を薄茶色粉末の形態で与える。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造と一致する。
【0111】
実施例3:化合物3の合成
【化18】
工程1.実施例1に記載された方法に基づいて、中間体12をD-グルコース及び1,3-ジメチルバルビツール酸から得る。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造12と一致する。
【0112】
工程2.NaEDTAの水溶液(90mlの水中13mg、C=4.10-4M、0.036mmol)を、撹拌しながら、12(10.0g、32.0mmol)の140mlのアセトニトリル中の溶液に加える。数分後、混合物を氷浴中で冷却し、次いで25mlのアセトンを加える。次いで、オキソン(48.0g、78.1mmol)/NaHCO(20.0g、238mmol)混合物をゆっくりと加える。撹拌を一晩周囲温度で継続し、次いで反応混合物を濾過する。真空下での蒸発の後、残渣をメタノールに吸収させ、不溶物を濾去する。濾液を真空下で蒸発させ、次いでシリカゲル(ジクロロメタン/MeOH 8:2)で精製する。化合物3が白色固体の形態で得られる。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造と一致する。
【0113】
実施例4:化合物4の合成
【化19】
工程1.実施例1に記載された方法に基づいて、中間体13をL-ラムノース及び1,3-ジメチルバルビツール酸から得る。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造13と一致する。
【0114】
工程2.NaEDTAの水溶液(46mlの水中の7mg、0.019mmol)を、撹拌しながら、13(5.0g、15.4mmol)の80mlのアセトニトリル中の溶液に加える。数分後、混合物を氷中で冷却し、次いで13mlのアセトンを加える。次いで、オキソン(25.2g、41.0mmol)/NaHCO(10.5g、125mmol)混合物を、10分ごとにスパチュラのおよそ2/3の速度で注意深く加える。pHをおよそ7.3で安定化させる。撹拌を一晩周囲温度で継続し、次いで反応混合物を濾過する。真空下での蒸発の後、残渣を、ジクロロメタン中のMeOHの増加する勾配により溶離してシリカゲルで精製する。化合物4を黄色の油の形態で得る。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造と一致する。
【0115】
実施例5:化合物9の合成
【化20】
NaEDTAの水溶液(0.4mM、1ml、0.35μmol)を、撹拌しながら、12(100mg、0.294mmol)の1.5mlのアセトニトリル中の溶液に加える。数分後、混合物を氷中で冷却し、次いで0.26mlのアセトンを加える。次いで、オキソン(0.5g、0.814mmol)/NaHCO(0.2g、2.38mmol)混合物を、全て1回で注意深く加える。pHをおよそ8で安定化させる。2時間の撹拌後、反応混合物を濾過し、70mgの化合物9を白色のペーストの形態で得るために、真空下で濃縮する。H NMRスペクトル及び質量分析法は、予測される構造9と一致する。
【0116】
B):コルネオメーターによる測定による単離された角質層に対する保湿能の評価
試験を実施して、組成物の総質量に対して5質量%の量に水溶液中に製剤された本発明の化合物の保湿能を評価した。
【0117】
技法により、角質層(SC)の誘電容量(dielectric capacitance)を測定することが可能であり、それは、組織の平均誘電率値に依存する。誘電率は、SCに含まれる水の量により大きく変動する。
【0118】
SC試料を、測定及び処置の前/その間に、75%相対湿度及び25℃で調整する。容量測定は、Corneometer(商標)(Courage & Khazaka、Germany)を使用して実施する。
【0119】
試験した化合物、本発明による化合物1、2、及び3、又はグリセロール(保水剤陽性対照)などの保湿活性薬剤を、水/n-プロパノール混合物(80/20)に溶解させ、溶液を、SCの上に5μl/cmの割合で堆積させ、それに続いて4時間の総継続期間で風乾させる。
【0120】
測定は、処置前のT0hに行い、測定T4hを、処置の完全な乾燥後に行う。
【0121】
T0hとT4hの間の保湿のレベルの変動を、試験した各条件で計算し、基準(担体対照及び陽性対照)及びそのT0hと比較する。実験を、試験する条件あたり、少なくとも2つの異なるバッチのSC及び3つのSCの試料で実施する。
【0122】
処置後のコルネオメーターシグナル(HCM)の変動を、各SC試料で計算する:DHCMi=HCMi(T4h)-HCMi(T0h)。
【0123】
次いで、結果を、基準である、それぞれ0%及び100%のレベルに対応する担体対照及びグリセロール陽性対照と比較した相対的パーセンテージとして表す。
【0124】
そのため、各実験で、下記を測定する:
・担体対照では:DHCMi担体=HCMi担体(T4h)-HCMi担体(T0h)
・陽性対照では:DHCMiグリセロール=HCMiグリセロール(T4h)-HCMiグリセロール(T0h)
・活性薬剤では:DHCMi活性薬剤=HCMi活性薬剤(T4h)-HCMi活性薬剤(T0h)
・%DHCMi活性薬剤=(DHCMi活性薬剤-DHCMi担体)/((DHCMiグリセロール-DHCMi担体
・上記で詳述した通り、この計算モデルに従うと:
〇%DHCMi担体=0%
〇%DHCMiグリセロール=100%
【0125】
したがって、活性薬剤の保湿能を、陽性対照と比較した相対的パーセンテージとして決定する。
【0126】
相対的パーセンテージ%DHCMi活性薬剤の平均を、5%のグリセロールと比べた、5%で試験した化合物1、2、及び3に関して以下の表に列記する:
【0127】
【表5】
【0128】
この試験から、角質層(SC)の誘電容量は、本発明に従って使用した化合物1、2、及び3で高いことが明らかになる。とりわけ、角質層(SC)の誘導容量は、同じ濃度のグリセロールにより得られたものと比較して本発明に従って使用した化合物1でほぼ同じである。
【0129】
C)実施例8:スキンケアクリーム
質量%
- 化合物1 4%
- モノステアリン酸グリセリル 0.8%
- セチルアルコール 2.0%
- ステアリルアルコール 5.0%
- ステアリン酸ポリオキシエチレン(20 OE) 3.0%
- 架橋アクリル酸(カーボポール941) 0.3%
- カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 12.0%
- 保存剤 必要量
- 水必要量 100.0%
【0130】
皮膚に適用されると、説明された化粧製剤は、皮膚の上で良好な保湿作用を示す。
【外国語明細書】