(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052369
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】気化装置およびそれを用いた化合物の送達方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/72 20060101AFI20230404BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230404BHJP
A61K 36/00 20060101ALI20230404BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20230404BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230404BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230404BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230404BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20230404BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20230404BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20230404BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230404BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230404BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230404BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230404BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230404BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230404BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20230404BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20230404BHJP
【FI】
A61K9/72
A61K9/12
A61K36/00
A61K36/81
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P1/08
A61P27/06
A61P25/36
A61P11/06
A61P25/18
A61K36/185
A24F40/20
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/57
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003336
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2019572088の分割
【原出願日】2018-06-19
(31)【優先権主張番号】62/525,773
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/845,501
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516124616
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サービシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ライヒマン,ヨセフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトまたは動物の被験体の障害を治療する目的で、蒸気を被験体に投与するための気化装置および方法を提供する。
【解決手段】ヒトまたは動物の被験体の障害を治療する方法は、化合物を含む材料を1の温度まで加熱して、加熱された材料を形成することを含み得る。この方法は、加熱された材料をより高い第2の温度に加熱して、化合物を含む蒸気を形成することをさらに含み得る。本方法はまた、疼痛などの障害を治療するために被験体に蒸気を投与することを含んでもよい。この方法は、第1の温度まで加熱する前に材料を予備温度まで予熱することをさらに含むことができる。加熱および予熱は、それぞれが導電性材料を含み、それらの間に材料を保持し、抵抗加熱により熱を発生するように構成され2つの被覆層を含むカプセルで実行されてもよい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物材料蒸気を生成する方法であって、
カプセルを気化ユニットに挿入するステップであって、前記カプセルは植物材料と内部加熱器とを含み、前記気化ユニットは、前記カプセルを挿入することが前記気化ユニットの外部から側面開口部を介して前記気化ユニットの内部に至らせることである、前記側面開口部を画定する、ステップと、
前記内部加熱器に電流を流すことにより前記カプセル内の前記植物材料を加熱して前記植物材料蒸気を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記挿入するステップは、前記カプセルが前記気化ユニットの内部に完全に配置されることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセルは、第1の被覆と第2の被覆とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記植物材料と前記内部加熱器は、前記第1の被覆と前記第2の被覆との間に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カプセルは、前記第1の被覆と前記第2の被覆との間に中央収容部をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の被覆は第1の穿孔を画定し、前記第2の被覆は第2の穿孔を画定する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記挿入するステップは、前記カプセルが前記第1の穿孔と前記第2の穿孔のうちのいずれか一方を介した空気の侵入を容易にするとともに、前記第1の穿孔と前記第2の穿孔のうちの他方を介した前記植物材料蒸気の排出を容易にするように方向づけられることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記植物材料がタバコである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記内部加熱器は、平面形状である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記電流を流すことは、前記植物材料の抵抗加熱をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記電流を流すことは、前記カプセルの下側を介して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記気化ユニットは、前記カプセルの前記下側で電気的に係合するように構成された一対の電極を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記内部加熱器に前記電流を流すことにより前記植物材料を加熱して前記植物材料蒸気を生成するステップに先立って、前記内部加熱器に予備電流を流すことにより前記植物材料を予熱するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年6月28日に提出された米国仮特許出願第62/525,773号に対する優先権を主張する、2017年9月14日に出願された国際出願番号PCT/IL2017/051041の一部継続出願である、2017年12月18日に出願された米国出願番号15/845,501に対する優先権を主張し、各内容はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の用途例は、一般に、気化装置および使用方法に関する。具体的には、いくつかの応用例は、被験体への化合物の送達のための気化装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大麻およびその構成カンナビノイド、例えばテトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)の医学的使用には、悪心、痛み、筋肉痙縮、および/または食欲不振に苦しむ患者の治療が含まれる。薬用大麻は、大麻植物の乾燥した芽を蒸発または喫煙させるなど、さまざまな方法で投与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Dussy, et al., "Isolation of Delta9-THCA-A from hemp and analytical aspects concerning the determination of Delta9-THC in cannabis products”, Forensic Sci. Int. 2005 Apr 20;149(1):3-10
【非特許文献2】Veress, et al., "Determination of cannabinoid acids by high-performance liquid chromatography of their neutral derivatives formed by thermal decarboxylation: I. Study of the decarboxylation process in open reactors",Journal of Chromatography A 520:339-347, November 1990
【非特許文献3】Ohlsson A, Lindgren JE, Wahlen A, et al. Plasma delta-9 tetrahydrocannabinol concentrations and clinical effects after oral and intravenous administration and smoking. Clin. Pharmacol. Ther. 1980; 28:409-416.
【非特許文献4】D'Souza DC, Perry E, MacDougall L, et al. The psychotomimetic effects of intravenous delta-9-tetrahydrocannabinol in healthy individuals: implications for psychosis. Neuropsychopharmacology. 2004; 29:1558-1572.
【非特許文献5】Eisenberg E, Oginz M, Almog S, et al. The pharmacokinetics, efficacy, safety, and ease of use of novel portable metered-dose cannabis inhaler in patients with chronic neuropathic pain: a phase la study. Journal of Pain & Palliative Care Pharmacotherapy. 2014; 28:216-225.
【非特許文献6】Abrams DI, Vizoso HP, Shade SB, et al. Vaporization as a smokeless cannabis delivery system: a pilot study. Clin. Pharmacol. Ther. 2007; 82:572-578.
【非特許文献7】Abrams DI, Couey P, Shade SB, Kelly ME, Benowitz NL. Cannabinoids-opioid interaction in chronic pain. Clin. Pharmacol. Ther. 2011; 90:844-851.
【非特許文献8】Abrams DI, Vizoso HP, Shade SB, et al. Vaporization as a smokeless cannabis delivery system: a pilot study. Clin. Pharmacol. Ther. 2007; 82:572-578.
【非特許文献9】Hunault CC, Mensinga TT, de Vries I, et al. Delta-9-tetrahydrocannabinol (THC) serum concentrations and pharmacological effects in males after smoking a combination of tobacco and cannabis containing up to 69 mg THC. Psychopharmacology (Berl). 2008; 201:171-181.
【非特許文献10】Hunault CC, van Eijkeren JC, Mensinga TT, et al. Disposition of smoked cannabis with high Δ9- tetrahydrocannabinol content: a kinetic model. Toxicol. Appl. Pharmacol. 2010; 246:148-153.
【非特許文献11】Abrams DI, Couey P, Shade SB, Kelly ME, Benowitz NL. Cannabinoids-opioid interaction in chronic pain. Clin. Pharmacol. Ther. 2011; 90:844-851.
【非特許文献12】Karschner EL, Darwin WD, Goodwin RS, Wright S, Huestis MA. Plasma cannabinoid pharmacokinetics following controlled oral Δ9-tetrahydrocannabinol and oromucosal cannabis extract administration. Clin. Chem. 2011; 57:66-75.
【非特許文献13】Lile JA, Kelly TH, Charnigo RJ, Stinchcomb AL, Hays LR. Pharmacokinetic and pharmacodynamic profile of superatherapeutic oral doses of Δ9-tetrahydrocannabinol in cannabis subjects. J. Clin. Pharmacol. 2013; 53:680-690.
【非特許文献14】Huestis MA, Sampson AH, Holicky BJ, Henningfield JE, Cone EJ. Characterization of the absorption phase of marijuana smoking. Clin. Pharmacol. Ther. 1992; 52:31-41.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、本明細書に記載の装置で生成された蒸気を被験体に投与することを含む、ヒトまたは動物の被験体の障害を治療する方法を提供する。いくつかの用途では、ヒトまたは動物の被験体の障害を治療する方法は、THC/THCAを含む大麻を140℃から160℃の第1温度に5から15秒間加熱して加熱された大麻を形成することを含む。この方法は、加熱された大麻を190℃から200℃の第2の温度に2から5秒間加熱して、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む蒸気を形成することをさらに含み得る。この方法はまた、蒸気を被験体に投与することを含んでもよい。例えば、痛み(例えば、術後疼痛)などの障害を治療するために、蒸気をヒト被験体に投与してもよい。この方法は、第1の温度に加熱する前に、大麻を90℃から110℃の温度に5から15秒間予熱することをさらに含むことができる。
【0007】
第1の温度への加熱および第2の温度への加熱は、2つの被覆層を含むカプセルを備える装置で実行され得る。それぞれが導電性材料を含む2つの被覆層は、大麻をその間に保持し、抵抗加熱により熱を発生するように構成されている。装置は、カプセルを受け入れるように構成された気化ユニットをさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書の非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を検討することでより明らかになる可能性がある。添付の図面は単に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。添付の図面は、特に明記されていない限り、縮尺通りに描かれているとは見なされない。明確にするために、図面のさまざまな寸法は誇張されている場合がある。
【
図1】
図1は例示的な実施形態による、気化装置の斜視図である。
【
図2】
図2は例示的な実施形態による、
図1の気化装置の再装填ユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は例示的な実施形態による、
図1の気化装置の気化ユニットの斜視図である。
【
図4】
図4Aは例示的な実施形態による、材料を収容するように構成されたカプセルの斜視図であり、
図4Bは例示的な実施形態による、
図4Aのカプセルの断面図であり、
図4Cは例示的な実施形態による、穿孔シートを含むカプセルの断面図であり、
図4Dは例示的な実施形態による、カプセルのメッシュの平面図であり、
図4Eは例示的な実施形態による、カプセルの穿孔シートの平面図であり、
図4Fは例示的な実施形態による、非穿孔シートと、カプセルのシートを穿刺するように構成された穿孔機構とを含むカプセルの斜視図である。
【
図5】
図5は例示的な実施形態による、気化ユニットおよび気化ユニットへの挿入のために整列されたカプセルの斜視図である。
【
図6】
図6は例示的な実施形態による、
図3の気化ユニットの断面図である。
【
図7】
図7は例示的な実施形態による、カプセルが気化ユニット内の気化位置に配置された
図3の気化ユニットの内部構成要素の斜視図である。
【
図8】
図8A、
図8B、
図8Cは例示的な実施形態による、カプセル装填機構の動作のそれぞれの段階における、蒸発ユニットが内部に配置された再装填ユニットの内部構成要素の斜視図である。
【
図9】
図9A、
図9B、
図9Cは例示的な実施形態による、カプセル装填機構の動作のそれぞれの段階における、再装填ユニットに配置された気化ユニットを含む気化装置の断面図である。
【
図10】
図10は例示的な実施形態による、材料を含むカプセルを加熱するための技術を示すグラフである。
【
図11】
図11は例示的な実施形態による、相変化温度が異なる相変化材料を含むカプセルの加熱曲線を示すグラフである。
【
図12】
図12Aは例示的な実施形態による、気化器を使用して材料を加熱するための2段階技術を示すグラフであり、
図12Bは例示的な実施形態による、気化器を使用して材料を加熱するための3段階技術を示すグラフである。
【
図13】
図13A、
図13Bは例示的な実施形態による、気化器の連続するパフで放出されるパフ粒子質量の割合を示す棒グラフである。
【
図14】
図14は例示的な実施形態による、吸収段階中のΔ9-THCの用量(10mg、15mg)での個人間変動のグラフである。
【
図15】
図15は例示的な実施形態による、吸収段階中のΔ9-THCの用量(20mg、25mg)での個体間変動のグラフである。
【
図16】
図16は例示的実施形態による、投与されたΔ9-THCのmg当たりの血漿Cmaxレベルの棒グラフである。
【
図17】
図17は例示的実施形態による、異なる投与様式の変動係数CV(%)の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
要素または層が別の要素または層に、「上に」、「接続され」、「結合され」、または「覆う」と記載している場合、それはほかの要素または層に直接、上に、接続され、結合され、またはそれらを覆ってもよく、または介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接上に」、「直接接続され」、または「直接結合され」ていると記載している場合、介在する要素または層は存在しない。同一の番号は、本明細書全体を通して同一の要素を指す。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連するリストされたアイテムの1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0010】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分を説明するが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または部分はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、または部分を別の領域、層、または部分から区別するためにのみ使用される。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と呼ぶことができる。
【0011】
本明細書では、図に示されているある要素または別の要素との特徴の関係または特徴を簡単に説明するために、空間的に相対的な用語(例えば「下」、「下方」、「より下」、「上」、「より上」などを使用することがある。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することを意図していることを理解されたい。たとえば、図の装置を裏返した場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」にある要素は、他の要素または特徴の「上」に配置される。したがって、「下」という用語は、上と下の両方の方向を含むことがある。装置は、別の方向に向けられ(90度または他の方向で)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。
【0012】
本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「含む」、「含んでいる」、「備える」、および/または「備えている」という用語は、述べられた機能、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素、ただし、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはグループの存在または追加を排除しない。
【0013】
本明細書では、例示的な実施形態の理想的な実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して、例示的な実施形態を説明する。そのようなものとして、例えば、製造技術および/または公差の結果としてのイラストの形状からの変形が予想される。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に示される領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因する形状の逸脱を含むべきである。
【0014】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されている用語を含む用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、明示的にここで定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されるだろう。
【0015】
特に明記しない限り、または議論から明らかなように、「処理する」または「コンピュータにより処理する」または「計算する」または「決定する」または「表示する」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的な電子量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは同様の情報ストレージ、転送またはディスプレイデバイス内の物理量として同様に表される他のデータに操作および変換するアクションおよびプロセスを指す。
【0016】
以下の説明において、例示的な実施形態は、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりする、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含むプログラムモジュールまたは機能プロセスとして実装する動作および動作の記号表現(例えば、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、ブロック図など)を参照して説明され得る。操作は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DPS)、特定用途向け集積回路(ASIC)、SoC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータなど、既存の電子システムの既存のハードウェアを使用して実装される。
【0017】
1つ以上の例示的な実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを実行するハードウェア、または制御回路と呼ばれるそれらの任意の組み合わせであり得る(または含む)。そのようなハードウェアには、ここで説明する機能およびこれらの要素の他のよく知られている機能を実行する特別な目的のマシンとして構成された1つ以上のマイクロプロセッサ、CPU、SoC、DSP、ASIC、FPGA、コンピュータなどが含まれる。少なくともいくつかの場合、CPU、SoC、DSP、ASIC、およびFPGAは一般に、処理回路、プロセッサ、および/またはマイクロプロセッサと呼ばれる場合がある。
【0018】
プロセスは順次動作に関して説明され得るが、動作の多くは並行して、同時にまたは同時に実行され得る。さらに、操作の順序を変更することもできる。プロセスは、操作が完了すると終了し得るが、図に含まれていない追加のステップもあり得る。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応する。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し元の関数またはメイン関数への関数の戻りに対応する。
【0019】
本明細書で開示されるように、用語「記憶媒体」、「コンピュータ可読記憶媒体」または「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、および/または情報を格納するためのその他の有形の機械可読媒体を含むデータを格納するための1つまたは複数のデバイスを表し得る。「コンピュータ可読媒体」という用語は、ポータブルまたは固定ストレージデバイス、光学ストレージデバイス、および命令および/またはデータを保存、収容、または搬送できるさまざまな他のメディアを含むが、これらに限定されない。
【0020】
さらに、例示的な実施形態の少なくともいくつかの部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実装され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、コンピュータ可読記憶媒体などの機械またはコンピュータ可読媒体に格納され得る。ソフトウェアで実装される場合、プロセッサ、処理回路、または処理ユニットは、必要なタスクを実行するようにプログラムされ、それにより専用プロセッサまたはコンピュータに変換される。
【0021】
コードセグメントは、手順、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または命令、データ構造、またはプログラムステートメントの任意の組み合わせを表してもよい。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、またはメモリの内容を渡したり受け取ったりすることで、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合できる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリ共有、メッセージの受け渡し、トークンの受け渡し、ネットワーク送信などを含む適切な手段を介して、受け渡し、転送、または送信できる。
【0022】
図1は、例示的な実施形態による、再装填ユニット22および気化ユニット21を含む気化装置20の斜視図である。再装填ユニット22および気化ユニット21は、それぞれ
図2および
図3に示されている。気化装置20は、植物材料などの材料内または材料の化合物を気化させるために使用され得る。本明細書で言及される化合物は、本技術の方法の際に気化される1つ以上の化合物、例えば、被験体が吸入、摂取、または他の方法で摂取したときに特定の生理学的または感覚的効果を有する1つ以上の化合物を含む。例えば、被験体は、以下でさらに議論されるように、医学的治療を必要とする患者であり得る。
【0023】
気化装置20は、大麻(例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)および/またはカンナビジオール(CBD))の1つ以上の化合物(例えば、構成カンナビノイド)を気化させるために使用され得る。代替的または追加的に、気化器を使用して、タバコ(例えば、ニコチンなどの天然成分)および/または加熱すると気化する化合物を含む他の植物または化学物質から化合物を気化させることができる。いくつかの用途は、加熱すると気化する1つまたは複数の化合物を含む植物材料に関して説明されていることに注意されたい。しかしながら、本開示の範囲は、必要な変更を加えて、気化に適した化合物(例えば、1つ以上の化合物を含む合成物質)を含む任意の物質の使用を含む。気化装置20は、代替的に「電子気化装置」と呼ばれる場合があり、本出願の文脈では、これらの用語は読み替えることができると解釈されるべきである。同様に、本出願の文脈において、用語「気化ユニット」、「気化器」、および「電子気化装置」は、相互に交換可能であると解釈されるべきである。
【0024】
いくつかの用途では、気化装置20は、再装填ユニット22および気化ユニット21を含む。いくつかの用途では、再装填ユニットは、以下に詳細に示すように、カプセル29、カプセル装填機構56、および電源45を収容する。いくつかの用途では、気化ユニットは、気化位置54、電源33(例えば、内部電源)、および制御回路34を収容する。制御回路は、制御ユニットまたは制御器として機能するように構成され、気化ユニットの機能を制御する。再装填ユニットおよび蒸発ユニットは、互いに可逆的に結合可能であってもよい。気化装置は、以下に詳細に示すように、カプセルを気化ユニットに装填するため、および/または使用済みカプセルを気化ユニットから廃棄するために、カプセル再装填機構を作動させる前に、気化ユニットが再装填ユニットに結合されるように構成される。その後、気化ユニットから気化させるために、気化ユニットは、必要に応じて再装填ユニットから取り外されてもよい。気化ユニット21は、マウスピース25を含むことができる。気化ユニット21の動作中、気化ユニット21は、カプセル29を加熱することにより、カプセル29内に配置される植物材料の1つ以上の化合物を気化することができ、カプセル29は気化位置54に廃棄される。蒸発した化合物は、マウスピース25を介して蒸発ユニット21から引き出される。
【0025】
気化装置20は、使用中に気化ユニット21を片手で保持できるように携帯可能に構成されてもよい。気化ユニット21の寸法は以下の通りであってもよい。
【0026】
再装填ユニット22の高さH1は、5cmより大きく(例えば、6cmより大きく)、および/または15cmより小さく(例えば、12cmより小さく)、例えば、5cmと15cm、または10cmと12cmの間であり得る。
【0027】
蒸発ユニット21の高さH2は、6cmより大きく(例えば、8.3cmより大きく)、および/または12cmより小さく(例えば、10cmより小さく)、例えば、7cmと9cm、または8cmと8.5cmの間であり得る。
【0028】
再装填ユニット22に挿入された気化ユニット21を含む気化装置20の全高HTは、20cm未満、例えば11cm未満であり得る。
【0029】
再装填ユニット22の幅Wは、4cmより大きく(例えば、6cmより大きく)、および/または9cmより小さく(例えば、7cmより小さく)、例えば、4cmと9cmとの間、または6cmと7cmの間であり得る。
【0030】
再装填ユニット22の深さDは、2cmより大きく(例えば、3cmより大きく)、および/または6cmより小さく(例えば、4cmより小さく)、例えば、2cmと6cmの間、または3cmと4cmの間であり得る。
【0031】
蒸発ユニット21が(
図3に示すように)円形断面を有する場合、蒸発ユニットの直径DIは5mmより大きく(例えば6mmより大きく)、および/または35mmより小さく(例えば20mmより小さく)、例えば5mmから35mm、または6mmから20mmの間であり得る。気化ユニットが非円形の断面を有する場合、気化ユニットの断面積は、上記の直径を有する円と同等であってもよい。
【0032】
いくつかの用途では、カプセル装填ボタン23は、再装填ユニット22の外側に配置される。カプセル装填ボタンは、カプセル装填機構56を制御する(
図8AからC)。以下でさらに詳細に説明するように、カプセル装填機構は、(a)未使用カプセルを再装填ユニットの本体内の第1容器53(
図9C)からカプセルが加熱されて化合物を蒸発させる気化ユニット21の本体内の気化位置54(
図6)に個別に移送し、および(b)使用済みカプセルを気化ユニット内の気化位置から再装填ユニットの本体内の第2の容器52(
図9C)に個別に移送するように構成されている。代替的または追加的に、カプセル装填機構56(または本明細書で説明する他のカプセル装填機構)は、電動機(図示せず)によって制御される。
【0033】
ここで、例示的な実施形態による、材料32、例えば1つ以上の化合物を含む植物材料を収容するように構成されたカプセル29の斜視図および断面図である
図4Aおよび
図4Bを参照する。上記のように、いくつかの用途では、植物材料は大麻であり、化合物は大麻の構成カンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)および/またはカンナビジオール(CBD))である。大麻植物材料には、カンナビスサティバ、カンナビスインディカ、カンナビスルデラリスなどの1つまたは複数の大麻種の葉や花の材料が含まれる。一部の用途では、大麻植物材料は、カンナビスサティバ、またはサティバと他の大麻種の組み合わせから得られる。代替的または追加的に、植物材料は、タバコ(および化合物はニコチンを含む)、および/または加熱すると気化する化合物を含む他の植物または化学物質を含む。「タバコ」という用語には、タバコの葉、タバコ栓、再構成タバコ、圧縮タバコ、成形タバコ、または粉末タバコ、およびタバコ種の1つ以上の種、例えばニコチアナルスティカおよびニコチアナタバカムを含むタバコ植物材料が含まれる。
【0034】
カプセル29は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれているWO16/147188に記載されているカプセルと同様であってもよい。一部の用途では、材料32(1つ以上の化合物を含み、植物材料であり得る)は、上下のメッシュ(例えば、金属メッシュ)30であり得る被覆層の間に収容される。それぞれのメッシュは、15ミクロン超(例えば、20ミクロン超)、および/または80ミクロン未満(例えば、50ミクロン未満)、例えば、15から60ミクロン、または20から50ミクロンの開口部を有する。メッシュ30は、カプセルの中央部分31(例えば、図示のように中央ディスク)に結合されてもよく、中央部分31は穴を画定する。例えば、中央部分31は、セルロース繊維(例えば、木材、麻、タバコ)、プラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、または他の適切な耐熱性絶縁体で形成されてもよい。非限定的な実施形態において、中央部分31は、厚紙で形成され得る。さらに、メッシュ30は、耐熱性接着剤、両面接着剤などの接着剤を介して中央部31に結合するか、中央部31に超音波溶接するか、中央部31に熱圧着してもよい。接着剤は、接着剤が摂氏200度を超える温度などの比較的高い温度にさらされた場合でも、煙を放出しないように構成されてもよい。材料32は、メッシュ30の間およびカプセル29の中央部分31によって画定される穴内に収容されてもよい。
【0035】
材料32(例えば、植物材料)は、(a)材料32がカプセル29内に収まるのに十分小さく、材料32の比較的大きな表面積が気化ユニット21を通過する気流にさらされ、(b)材料32片はメッシュ30を通過しないほど十分に大きく、(c)材料32内の化合物はその効力を保持するように挽かれ得る。用途によっては、材料32は極低温で粉砕および/または粉末化される。
【0036】
一部の用途では、カプセル29の中央部分31は、気化プロセス中,カプセルから周囲領域への熱損失を低減し、周囲領域の加熱を低減するように、高熱容量および/または低熱伝導率を有する材料でできている。いくつかの用途では、メッシュ30のワイヤの少なくとも1つは中空であり、相変化材料は中空ワイヤの内側に配置される。代替的または追加的に、相変化材料は、例えばカプセルを相変化材料でコーティングすることにより、異なる方法でカプセルに結合される。用途によっては、カプセルにカプセルの周囲の領域に対して熱を吸収させることにより、カプセルからの熱損失を減らすように相変化材料が構成されている。代替的または追加的に、カプセルを植物材料の熱分解温度未満に維持し、それによって植物材料の熱分解を低減または防止するように、相変化材料が選択される。例えば、相変化材料は、植物材料の気化温度と熱分解温度との間の温度で相変化し、その結果、相変化材料はこの温度で融解潜熱として熱を吸収する。一部の用途では、以下でさらに詳細に説明するように、気化ユニットの制御回路によるカプセルのタイプの自動識別を容易にするために、相変化材料がカプセルに結合される。
【0037】
ここで
図4Cを参照すると、
図4Cは、例示的な実施形態による、穿孔シート60を有するカプセル29の断面図である。いくつかの用途では、材料32(例えば、植物材料)は、第1および第2の穿孔シートの間のカプセルの中央部分の内側に収容される。
図4Cに示すように、例えば、
図4Bに示すような上部メッシュ30および下部メッシュ30の代わりに、上部および下部穿孔シート60を材料32を覆うための被覆層として使用することができる。一部の用途では、穿孔シート60のそれぞれが、気化プロセス中に所与の気流経路に沿って材料32を通る気流を誘導するように構成された1つまたは複数の穿孔62を画定する。例えば、
図4Cは、穿孔62によって生成される気流経路を示す気流矢印64を示す。穿孔62は、カプセル29内の、流れる空気と材料32との間の接触面積を増加させる気流経路に沿って材料32を通して気流を導くように構成され得る。いくつかの用途では、穿孔シート60は、必要な変更を加えて、メッシュ30に関して本明細書で説明したのと同様の方法で加熱されるように構成されている。例えば、有孔シート60は、抵抗加熱により加熱されるように構成された導電性材料で作られていてもよい。一般に、材料32を覆うための被覆層としてメッシュ30を含むカプセル29に関して本明細書に記載される技術は、必要な変更を加えて、材料32を覆うための被覆層として穴あきシート60を含むカプセル29に関して実施することができる。
【0038】
ここで、例示的な実施形態による、それぞれメッシュ30または穿孔シート60の平面図である
図4Dおよび4Eを参照する。一部の用途では、例えば、
図4Dに示すように、穿孔シート60の穿孔パターン、またはメッシュ30の穴のパターンは、穿孔シート60のそれぞれ、またはメッシュ30のそれぞれの表面にわたって均一である。あるいは、例えば、
図4Eに示すように、穿孔シートの穿孔パターン、またはメッシュの穴のパターンは、穿孔シートのそれぞれ、またはメッシュのそれぞれの表面にわたって不均一である。用途によっては、シートの抵抗および/または抵抗率のパターンを制御するために、穿孔シートの穿孔パターン、またはメッシュの穴のパターンが、穿孔シートまたはメッシュのそれぞれの表面にわたって変化する。例えば、選択的穿孔の使用は、抵抗加熱を穿孔シートまたはメッシュと植物材料との間の接触領域に制限するため、および/またはその領域に抵抗加熱を集中させるために実施され得る。代替的または追加的に、不均一な穿孔間隔を使用して、例えば、穿孔シートまたはメッシュの表面全体の異なる場所で電流密度を制御することができる。この例は
図4Eにこの例を示す。
図4Eには、メッシュ30または穿孔シート60上のスリット65が示されており、スリットは、植物材料が収容されていない領域でメッシュまたはシートを流れる電流を低減または防止するように構成されている。上述のように、いくつかの用途では、気化プロセス中に所与の気流経路に沿って植物材料を通る気流を誘導するように、穿孔62がシート上に配置されて穿孔シート60を形成する。
【0039】
ここで
図4Fを参照すると、
図4Fは、例示的な実施形態による、カプセル29および穿孔機構67の斜視図である。いくつかの用途では、カプセル29は、非穿孔シート66によって覆われたカプセル29内の材料32(例えば、植物材料)を備えるように構成され、非穿孔シート66は材料32を覆うための被覆層として機能する。例えば、非穿孔シート66がカプセル29内の材料32を保持し、および/または材料32内の化合物の効力を維持するように、カプセル29はこの状態で提供されてもよい。材料32が気化器内で加熱される前に、カプセル29を通る気流を可能にするために、非穿孔シート66に穿刺するか突き刺して穿孔シート60を形成することができる。シートは、気化器内にカプセルを設置する前に穿孔を形成される。あるいは、気化器は、材料32が気化器内で加熱される前に、非穿孔シート66を穿刺するか突き刺して穿孔シート60を形成するように構成された穿孔機構67を含む。例えば、
図4Fに示すように(これは、例示の目的で、気化器の他の構成要素がない場合の穿孔機構を示す)、穿孔機構は、ピン69が配置された1つ以上のローラー68を含み得る。いくつかの用途では、穿孔機構67は、非穿孔シート66を穿刺するか突き刺して穿孔シート60を形成するように構成されており、形成される穿孔パターンは、例えば、
図4Dに示すように、穿孔シート60のそれぞれの表面にわたって均一である。あるいは、穿孔機構67は、非穿孔シート66を穿刺するか突き刺して穿孔シート60を形成し、例えば、
図4Cおよび
図4Eに示すように、形成される穿孔パターンが各穿孔シート60の表面にわたって不均一になるように構成される。いくつかの用途では、穿孔されていないシート66は、必要な変更を加えて、メッシュ30を参照して本明細書に記載された方法と同様の方法で加熱されるように構成される。
【0040】
シート(例えば、有孔シート60、非有孔シート66)は、抵抗加熱により加熱されるように構成された導電性材料(例えば、金属箔)で作られてもよい。一部の用途では、シートは導電性材料で構成されている。いくつかの実施形態では、シートは2つ以上の層を含み、そのうちの1つは導電性材料を含む。例えば、シートは、非導電性材料の表面に堆積された金属材料のパターンであり得る、導電性材料(例えば、金属層)で覆われた非導電性材料の層の形態であり得る。そのような非導電性材料は、セルロース繊維(例えば、木材、麻、タバコ)、プラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))を含んでもよい。例えば、非導電性材料は、セルロース紙または厚紙であってもよい。一般に、材料32を覆うための被覆層としてメッシュ30を含むカプセル29を参照して本明細書で説明する技術は、必要な変更を加えて、材料32を覆うための被覆層として、穿孔または非穿孔(および使用前または使用中に穿孔される)シートを含むカプセル29に関して実行することができる。
【0041】
一部の用途では、カプセル29は、使用前に材料32を完全にカプセル化した状態に保つように構成される。たとえば、そのようなカプセル化は、植物材料の汚染を最小限に抑え、植物材料の劣化を防ぐために植物材料を保存するなどの利点を提供する(たとえば、蒸発前の1つ以上の化合物の損失を最小限に抑える)。例えば、カプセル29は、
図4Fを参照して説明したように、穴の開いていないシート66を使用することにより、このように構成することができる。
【0042】
ここで、例示的な実施形態による気化ユニット21の様々な図である
図5から
図7を参照する。いくつかの用途では、気化ユニット21が再装填ユニット22に結合されているために、気化ユニット21はカプセル29を受け取り、カプセル装填機構56はカプセル29を気化ユニット21に装填するために使用される。代替的または追加的に、気化ユニット21は再装填ユニット22のない状態で使用される。例えば、個々のカプセル29を気化ユニット21に挿入することができる。そのようないくつかの用途では、個々のカプセルから化合物が枯渇した後、別のカプセルを挿入する前に、カプセルを蒸発ユニットから取り外す必要がある。あるいは、気化ユニットは、新しいカプセルが気化位置に挿入されることにより、使用済みカプセルが自動的に気化位置から押し出されるように構成される。さらに、代替的に、気化ユニットは、複数の使用済みカプセルを保持するように構成されているため、使用済みカプセルは、定期的に気化ユニットから除去するだけでよい。
【0043】
いくつかの用途では、気化装置の気化ユニットは、複数の異なるタイプのカプセルとともに使用されるように構成される。例えば、それぞれのタイプのカプセルは、異なる量の植物材料、異なる量の化合物を含む植物材料、および/または異なるタイプの植物材料を含んでもよい。代替的または追加的に、それぞれのタイプのカプセルは、それぞれの特性、例えばそれぞれの風味、強度、豊かさなどを有し得る。いくつかの用途では、再充填ユニットは、再充填ユニットに入れるカプセルタイプの選択を可能にするように構成され、再装填ユニットは、そのタイプのカプセルを蒸発ユニットに装填することを可能にするように使用される。あるいは、再装填ユニットには、特定のタイプのカプセルがあらかじめ装填されている場合がある。さらに、代替的に、上記で説明したように、気化ユニットは、カプセルを気化ユニットに直接挿入できるように構成されてもよい。そのような用途の場合、被験者は、気化ユニットに挿入するためにいつでもどのタイプのカプセルが望ましいかを選択することができる。
【0044】
一部の用途では、気化ユニットの制御回路34は、カプセルの加熱プロファイルを、現在加熱されているカプセルタイプに調整するように構成される。いくつかのそのような用途では、制御回路は現在加熱中のカプセルを特定のタイプのカプセルとして自動的に分類し(すなわち、制御回路はカプセルタイプを識別する)、これに従って、制御回路は自動カプセル分類手順を実行し、従ってカプセル加熱プロファイルを指定する。
【0045】
いくつかの用途では、色分けされたカプセルは、異なるカプセルの識別および/または気化ユニットの制御回路による、例えばカラーセンサの使用によるカプセルの自動分類に使用される。例示的な実施形態では、制御回路は、色対プロファイルのルックアップテーブル(LUT)を格納するメモリを含む。このLUTは、対応する色に関連して加熱プロファイルを保存する。さまざまなカプセルの加熱プロファイルは、経験的な調査を通じて決定できる。加熱プロファイルと色の関連付けは、設計上の選択事項となる場合がある。したがって、カプセルを色で分類する場合、制御回路は、カプセルに関連付けられた色を示すカラーセンサからの出力を受け取り、示された色を使用してLUTから対応する加熱プロファイルにアクセスする。
【0046】
いくつかの用途では、カプセルの熱放射率は、例えば、各カプセルの金属メッシュの1つまたは複数をそれぞれの熱放射率定数を有するコーティングでコーティングすることにより、制御回路による異なるカプセルの分類に使用される。いくつかの用途では、カプセルのコーティングが既知の温度である際に、カプセルの上記の熱放射率定数の識別が気化ユニットによって測定される。例えば、制御回路は、カプセルが未使用状態にある間にカプセルコーティングの熱放射率を測定することができ、したがって、ほぼ周囲温度にあると想定することができる。例示的な実施形態では、制御回路は、放射率対プロファイルのルックアップテーブル(LUT)を格納するメモリを含む。このLUTは、対応する熱放射率に関連する加熱プロファイルを保存する。さまざまなカプセルの加熱プロファイルは、経験的な調査を通じて決定できる。加熱プロファイルと熱放射率との関連付けは、設計上の選択事項となる場合がある。したがって、カプセルを熱放射率で分類する場合、制御回路は、カプセルに関連付けられた熱放射率を示す温度センサからの出力を受け取り、示された熱放射率を使用してLUTから対応する加熱プロファイルにアクセスする。
【0047】
いくつかの用途では、標準的な温度センサを使用して、熱放射率またはカプセルコーティングの温度を測定する。一部の用途では、以下で説明する温度センサを使用して、カプセルコーティングの温度を測定する。
【0048】
一部の用途では、制御回路は、各カプセルタイプで使用されるそれぞれの相変化温度を有する相変化材料によってカプセルタイプの分類を実行するように構成される。相変化材料は、カプセル内に少なくとも部分的に配置することができ、カプセルの金属メッシュの1つまたは複数に熱的に結合されている。さらに、相変化材料の相変化温度は、化合物の気化温度より低くてもよい。カプセルの加熱中、相変化材料は相変化温度に達し、相変化が生じる過程において、潜熱を蓄積する。それぞれの用途に従って、カプセルが加熱される温度範囲内で、相変化材料は、固体から液体、液体から気体、ゲルから気体、および/または固体からガスに相変化を受けるように構成されてもよい。相変化材料が相変化する際、相変化材料およびカプセルの測定温度は比較的一定のままであり得る。比較的一定の温度を短時間維持し、その後、相変化材料の相変化転移が完了した後、カプセルの温度を継続的に上昇させることができる。いくつかの用途では、制御回路は、カプセルの加熱中に、カプセルの温度が一定期間一定に維持される温度を検出するように構成されている。この温度は相変化温度を示しているため、制御回路はこの温度の検出に応じてカプセルタイプを分類するように構成されている。たとえば、異なるタイプのカプセルは、異なる相変化温度を持つ相変化材料を使用して分類できる。単に例として、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、および約80℃の相変化温度レベルを持つ相変化材料を使用して、カプセルの5つの異なるタイプを分類できる。上述のように、所与のカプセルタイプの検出に応じて、そのカプセルタイプに適したカプセル加熱プロファイルが適用され得る。例示的な実施形態では、制御回路は、対応する加熱プロファイルに関連する相変化材料の温度値を有するLUTを格納するメモリを含む。 LUTは、上記の他LUTに関して説明したように、経験的研究および設計選択により決定され得る。したがって、カプセルを相変化材料で分類する場合、制御回路は、カプセルが一定時間維持される温度を検出し、検出された温度を使用してLUTから対応する加熱プロファイルにアクセスする。
【0049】
いくつかの用途では、既に気化したカプセルの再使用を禁止することが望まれる場合、制御回路はカプセル内の相変化物質の存在を検出するように構成される。用途によっては使用されているカプセルに応じて、温度が相変化温度を超えて上昇したことによって相変化材料が気化、散逸、および/または相変化特性を失うように構成される。制御回路は、カプセル内の相変化物質の存在、および/またはカプセル内の相変化物質の特性が、カプセルが以前に気化されていないことを示していると解釈し、カプセルがそれに応じてのみ加熱されるように構成される。たとえば、カプセルの再使用により有害物質の放出が増加したり、熱分解が発生したりする可能性がある場合は、制御回路を上記のように構成できる。
【0050】
一部の用途では、カプセル内で相変化材料が植物材料と混合される。代替的または追加的に、相変化材料は薄いプレートとして成形され、相変化材料が植物材料をカプセル化するようにカプセル内に配置される。このようにして、上記の相変化材料の熱相変化特性に加えて、相変化材料は、植物材料が加熱される前に、植物材料の保存を促進し、および/または劣化を低減する。
【0051】
一部の用途では、それぞれのカプセルタイプには、それぞれの抵抗レベルを有するメッシュが提供される。制御回路は、メッシュの抵抗を測定することにより、現在加熱されているカプセルのタイプを識別するように構成される。上述のように、カプセルを所与のカプセルタイプとして分類することに応じて、そのカプセルタイプに適した加熱プロファイルを適用することができる。一部の用途では、それぞれの抵抗を持つメッシュの構築は、それぞれの抵抗を持つ材料を使用することによって、および/または長さ、幅、断面、および/または抵抗に影響を与える可能性があるその他の特性などのメッシュの機械的特性を変更することによって実行される。いくつかの用途では、一般的に同様の手法が実行されるが、たとえばカプセルの本体といった、カプセルの異なる部分の電気抵抗、カプセルに埋め込まれた抵抗器、および/またはカプセル内の材料の抵抗によって識別される。例示的な実施形態では、制御回路は、対応する加熱プロファイルに関連する抵抗値を有するLUTを格納するメモリを含む。LUTは、他のLUTに関して上記で説明したように、経験的研究と設計選択により決定され得る。したがって、カプセルを抵抗で分類する場合、制御回路はカプセルの抵抗を測定し、測定された抵抗を使用してLUTから対応する加熱プロファイルにアクセスする。
【0052】
いくつかの用途では、カプセルのタイプは、他のタイプのコーディングの使用により識別される。たとえば、バーコード、固有の機械的機能(例:穴または溝)、スイッチ、電気光学スイッチ、RFID、またはその他の適用可能なコーディングメカニズムである。
【0053】
一部の用途では、気化ユニット21はグリル26を含み、グリル26は、以下でさらに詳細に説明するように、気化ユニットの本体への気流を可能にするように構成される。いくつかの用途では、カプセル装填および取り出し開口部27は、以下でさらに詳細に説明するように、気化ユニット内の気化位置にカプセルを手動および/または機械で装填および取り出しできるように構成される。
【0054】
用途によっては、気化ユニット21は、溝28を画定することにより、所定の位置合わせで気化ユニットを再装填ユニット22に挿入しやすくするように構成される。例えば、カプセル装填および取り出し開口部27が再装填ユニットの第1の収容部53からカプセルを受け取り、再装填ユニットの第2の収容部52に挿入するように正確に整列するように、再装填ユニットへの気化ユニットの挿入を容易にするように溝を構成し得る。
【0055】
一部の用途では、マウスピース25(および/または気化器の他の部分)の内面は、化合物の気化による生成物がマウスピースの内面に付着するのを低減または防止するように構成される疎油性または疎水性コーティングを含む。代替的または追加的に、フィルター(たとえば、酢酸セルロースフィルター)を使用して、マウスピースを通過する蒸気の少なくとも一部をろ過する。
【0056】
上述のように、気化ユニット21は、新しいカプセルを気化ユニット21に(例えば、気化ユニットの気化位置に)装填する目的で、再装填ユニット22に挿入されてもよい。代替的または追加的に、再装填ユニット22は電源45を含む(
図8AからCおよび
図9AからC)。気化ユニット21の電源33(例えば、内部電源)は、気化ユニット21が再装填ユニット22に結合されることにより、再装填ユニット22の電源45によって充電されるように構成される。一部の用途では、再装填ユニット22の電源45および/または気化ユニット21の電源33は、商用電源などの外部電源から電力を受け取るように構成される。気化ユニット21を使用して植物材料の化合物を気化させる前に、気化ユニット21を再装填ユニット22から切り離すことができる。気化ユニット21の動作中、気化ユニット21は把持されて電子タバコまたは蒸気を出す装置として機能してもよい。
【0057】
図6を再度参照すると、
図6は、例示的な実施形態による、蒸発ユニット21の断面図である。
図7も参照すると、
図7は、例示的な実施形態による、気化ユニット21の内部構成要素の斜視図である。気化ユニット21は、カプセル29内の植物材料を加熱する(植物材料内の化合物を気化させるなど)ように構成された1つまたは複数の加熱要素を含み得る。いくつかの用途では、電極(例えば、第1電極36、第3電極37、第4電極38、および第2電極39)は、カプセルに電流を流すことでカプセル29内の植物材料を加熱することによって、加熱要素として機能するように構成される。上記で説明したように、いくつかの用途では、カプセル29は1つまたは複数の金属メッシュ30を含む(
図4A,
図4B)。電極は、1つ以上のメッシュに電流を流すことによる抵抗加熱によって1つ以上のメッシュを加熱し、カプセル内部の材料を加熱する。代替的または追加的に、電極は、内部加熱要素に電流を流すことにより、カプセル内に収容された内部加熱要素を加熱する。流される電流は、例えば、カプセルの加熱が、電極とカプセルのメッシュとの間の接触度の変動の影響を受けないように制御され得る。
【0058】
いくつかの用途では、カプセル29の上部メッシュは下部メッシュに電気的に接続され、少なくとも2つの電極がカプセル29への電流を流すために使用される。
図6、7に示されるように、上部メッシュおよび下部メッシュは、第1電極36および第3電極37を介してカプセル29の一端で互いに電気的に接続されてもよく、上部メッシュおよび下部メッシュは、第4電極38および第2電極39を介してカプセル29の他端で互いに電気的に接続されてもよい。いくつかの用途では、下部メッシュおよび/または上部メッシュは、一対の電極間の回路を完成させるために使用されているメッシュによって加熱される。例えば、カプセル内に含まれる植物材料は、カプセル29の下部メッシュを介して第1電極36から第2電極39へ電流を駆動することにより加熱され得る。代替的にまたは追加的に、カプセル内に含まれる植物材料は、カプセル29の上部メッシュを介して第3の電極37から第4の電極38まで電流を流すことにより加熱され得る。いくつかの用途では、前述の方法で植物材料を加熱することにより、カプセル内の植物材料は、例えば単極電極により電流を上側または下側のメッシュ上の位置に流すことよりも均一に加熱される。いくつかの用途では、カプセル29は、上部メッシュおよび下部メッシュの代替として、または追加として、内部加熱要素(たとえば内部メッシュ(図示せず))を含む。内部加熱要素は、上部メッシュおよび下部メッシュに関して説明した方法と同様の方法で加熱され、伝導加熱を介してカプセルを加熱するように構成される。
【0059】
いくつかの用途のために、ばね40は、少なくともいくつかの電極、例えば
図7に示される第3の電極37および第4の電極38に結合される。ばねは、電極とカプセル間の電気的結合を改善するために、電極をカプセル29に向かって押すように構成される。一部の用途では、電極にはカプセルへの電気接点として機能する刃先が含まれる。電極の先端は、0.05mmを超える(例えば、0.1mmを超える)、および/または0.4mmを下回る(例えば、0.3mmを下回る)、例えば、0.05mmと0.4mmの間、または0.1mmと0.3mmの間の厚さを有することができる。
【0060】
いくつかの用途では、電極移動機構(図示せず)は、カプセル29のメッシュに対して電極の少なくとも一部を移動するように構成されている。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている特許文献1に記載されている電極移動機構を使用することができる。たとえば、電極移動機構は、電極をメッシュに近づけたり、および/または電極がメッシュに接触した状態で(たとえば、電極をメッシュの表面全体にスライドさせることにより)電極をメッシュに対して移動させ得る。このようにして、電極は、メッシュの表面上に広げられたコーティングの少なくとも一部を除去し、および/またはコーティングを貫通し得る。いくつかの用途では、電極移動機構は、例えば、気化位置へのカプセルの挿入、または気化位置からのカプセルの除去を促進するために、カプセルと電極間の摩擦が減少または除去される方法で、電極をメッシュから遠ざけるように構成される。
【0061】
蒸発ユニット21は、カプセル29を加熱するために第1電極36、第3電極37、第4電極38、および/または第2電極39の抵抗加熱を使用するものとして説明されたが、いくつかの用途では、代替または追加の加熱要素と加熱技術が、カプセルを加熱するために使用される。例えば、レーザーエミッターは、カプセルを加熱するためにカプセルにレーザービームを向けることにより、加熱要素として機能し得る。いくつかの用途では、カプセルに伝導、対流、および/または放射加熱を提供するために、気化ユニットの内部に収容された別個の加熱要素が気化位置の近くで加熱される。
【0062】
気化ユニットを使用中、被験体はマウスピース25から吸引または吸入する。これにより、
図6の破線の空気流の矢印で示されるように、空気がカプセルを介してグリル26(
図5)を通ってマウスピースに流れる。カプセルは、上部メッシュと下部メッシュによって規定される平面が気化位置で気化器を通る気流の方向に垂直になるように、気化ユニット内の気化位置に配置されるように構成され得る。一部の用途では、封止ガスケット41を使用して、気化ユニットの外部からの空気がカプセル29を通過することなくマウスピース25に流入するのを低減または防止する。非限定的な実施形態では、制御回路34は、吸引または吸入を検出するための、よく知られた吹かし(puff)センサを含む。
【0063】
電源33(例えば、バッテリー)および制御回路34は、蒸発ユニット21の本体内に収容されてもよい。電源33および/または制御回路34は、接着剤、ネジ、クリップ、ピンなどの結合要素によって、蒸発ユニット21の本体に結合されてもよい。いくつかの用途では、制御回路34は、電源33によって供給される電力を使用して、第1電極36、第3電極37、第4電極38、および/または第2電極39を介してカプセル29に電流を流すように構成される。
【0064】
制御回路34は、前述のようなものであってもよく、および/または抵抗器、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、およびダイオードなどの電子部品を備えてもよい。いくつかの用途では、制御回路34はコンピュータプロセッサおよび関連するメモリを含む。コンピュータプロセッサは、メモリに保存されたコードを実行することにより、特殊な目的の蒸発制御コンピュータプロセッサとして機能し得る。そのようなコンピュータプロセッサによって実行される本明細書で説明される動作により、メモリのデータにアクセスし、および/またはデータをメモリに格納し、したがって、実際の物理的物品であるメモリの物理的状態を、使用されるメモリの技術に応じて異なる磁気極性、電荷などを持つように変換し得る。
【0065】
いくつかの用途では、気化ユニット21は、例えば、加熱されているカプセルの温度を測定することにより、加熱されている材料の温度の兆候を測定するように構成された温度センサ35を含む。例えば、温度センサ35は、カプセルに接触することなくカプセルの温度を測定するように構成された赤外線温度センサなどの光学温度センサであってもよい。
図6、
図7は、カプセル29(カプセル29は加熱されている)からの光ビームを受け取るように位置合わせされた温度センサ35を示している。温度センサ35は、受け取った光に基づいてカプセル29の温度を測定するように構成される。このようにして、光学温度センサは、カプセル29から熱を引き出すことによりカプセル29の温度に影響を与えることなく、カプセル29の温度を測定する。いくつかの用途では、温度センサ35は、温度センサ35上に堆積する気化による生成物から温度センサ35を保護するための疎油性または疎水性コーティングで覆われる。温度センサ35は、制御回路が気流の変化による温度変化を測定でき、以下に説明する方法で、被験体の知覚に関して効果的に即座にそのような変化に対応するために、「ゼロに近い」応答時間を有してもよい。例えば、温度センサは、そのような変化の例えば0.01秒以内(例えば1ミリ秒以内)に温度の変化をリアルタイムで検出するように構成されてもよい。いくつかの用途では、そのような温度センサを備えているため、制御回路は、そのような変化の0.01秒以内(例えば1ミリ秒以内)など、気流によって引き起こされる温度の変化にリアルタイムで応答するように構成されている。
【0066】
いくつかの用途では、気化ユニット21は、温度センサ35とカプセル29との間の空間を換気することにより、加熱プロセス中に蒸気を排出するように構成されたファン48(
図6)を含む。植物材用を加熱する間、物質、蒸気が放出され得る。場合によっては、ファン48がなければ、蒸気が温度センサ35からカプセル29および/または植物材料を遮る可能性があります。これにより、温度センサ35(および特に温度センサ35が赤外線温度センサである場合)によって測定された温度にエラーが生じ得る。例えば、温度センサ35は、植物材料の温度を実際よりも低いものとして測定することがあり、これにより、植物材料が過熱し、植物材料の損傷、熱分解、および/または発火を引き起こす可能性がある。したがって、いくつかの用途において、加熱プロセスの少なくとも一部の間、気化ユニットに空気を出し入れすることにより、ファン48が気化ユニット21から蒸気を排出する。代替的または追加的に、温度センサ35と植物材料との間に蒸気の蓄積を低減または防止するのに十分な空気の流れを可能にするような寸法の装置の内部通路を設計することにより、装置内の望ましくない蒸気の蓄積を低減することができる。
【0067】
いくつかの用途では、異なる温度センサが使用される。例えば、制御回路34は、第1電極36、第3電極37、第4電極を使用してカプセル29の構成要素(例えば、カプセル29のメッシュ30)の抵抗の変化を検出することによりカプセル29の温度を検出し得る。例示的な実施形態では、制御回路は、LUTを記憶するメモリを含む。LUTは、抵抗値を対応する温度値と関連付けて保存する。LUTは、経験的な調査を通じて決定できる。したがって、動作中に、制御回路はカプセルの抵抗を測定し、測定された抵抗を使用してLUTから対応する温度値にアクセスする。測定された抵抗がLUTの2つの隣接する抵抗値の間にある場合、制御回路はLUTの最初の隣接する抵抗値を第1のインデックスとして使用し、LUTの第2の隣接する抵抗値を第2のインデックスとして使用するように構成する。第1インデックスと第2インデックス間の測定抵抗の相対位置に基づいて、制御回路は、(たとえば、加重平均または直線平均を実行することにより)第1インデックスと第2インデックスを使用してアクセスした温度から対応する温度を補間します。
【0068】
いくつかの用途では、気化装置20は、気化装置20が外部電源および/またはデータ入力に接続されるポート(図示せず)を含む。例えば、再装填ユニット22の電源45は、気化装置を上述のポートを介して外部電源(例えば、主電源)に接続することにより再充電されるように構成され得る。代替的または追加的に、制御回路34は、上述のポートを介してデータ、例えばプログラミング命令を受信してもよい。
【0069】
いくつかの用途では、カプセルを通る気流の所定の速度に対して適用される熱の量を制御する制御回路に命令を入力することができる。例えば、命令は、制御回路に結合された
図3に示されるユーザインターフェース10(タッチスクリーンディスプレイ、またはボタンなど)を介して入力されてもよい。代替的または追加的に、命令は、有線通信プロトコルまたは無線通信プロトコルを介して制御回路と通信するコンピュータ、タブレットデバイス、電話、および/または異なる電気通信デバイスを介して入力され得る。例えば、所望の加熱プロファイルが示されてもよく、制御回路は、それに応じて、カプセルを通る所定の気流速度に適用される熱量を制御してもよい。いくつかの用途では、制御回路は、以下でさらに詳細に説明するように、気化ユニットを通る(例えば、カプセルを通る)気流の速度に基づいて、加熱プロファイルを自動的に決定するように構成される。カプセルを通る所定の気流速度に適用される熱の量を制御することにより、気化器を通る単位気流速度当たりに気化される化合物の量を制御することができる。いくつかの用途では、気化ユニット21は気流センサー(図示せず)を含む。いくつかの用途では、制御回路は、以下でさらに詳細に説明するように、カプセルの温度を検出することにより、気化器を通る気流の速度を自動的に決定するように構成される。
【0070】
いくつかの用途(図示せず)では、気化ユニット21は、気化されているカプセル(図示せず)を介してではなくマウスピース25からの気流を提供する補助気流チャネルを画定するように成形される。このようにして、比較的大きな吸入に応じて、気化器は化合物の投与量を増やすことなく空気を提供することができる。
【0071】
いくつかの用途では、気化ユニットの制御回路34または再装填ユニットの制御回路(図示せず)は、アラートを生成するための1つまたは複数のインジケータを含む。例えば、制御回路は、インジケータライトを点灯し、蒸発ユニットを振動させ、および/または音声信号(例えば、ビープ音)を発してもよい。あるいは、気化ユニットは、ディスプレイ(例えば、LEDまたはLCDディスプレイ)を含むことができるユーザインターフェース10を含むことができ、制御回路はディスプレイ上にアラートを生成することができる。いくつかの用途では、制御回路は、気化器からの吸入または吸引中に、植物材料の温度が所定のしきい値温度よりも低いことを検知したことに応答してアラートを生成するように構成されている。代替的または追加的に、制御回路は、材料が熱分解または発火し得る、植物材料の温度が所定の閾値温度(たとえば、摂氏300度から摂氏350度を超える温度)よりも高いことを検知したことに応答して指示を生成するように構成される。いくつかの用途では、予想される目標温度に関してしきい値が設定される。たとえば、予想される目標温度よりも摂氏50度低い温度を検知したことに応答して、アラートが生成されてもよい。さらに、代替的または追加的に、制御回路は、加熱プロセス中に、所定の閾値未満の温度を測定することに応じて、カプセルが故障している、誤って配置されている、および/または紛失していることを表示する表示情報を生成するように構成される。
【0072】
ここで、例示的な実施形態による、カプセル装填機構56の動作の各段階における、蒸発ユニット21が内部に配置された再装填ユニット22の内部構成要素の斜視図である、
図8Aから
図8Cを参照する。例示的実施形態による、カプセル装填機構56の動作のそれぞれの段階で、再装填ユニット22の一部に配置された蒸発ユニット21を示す、蒸発装置20の断面図である、
図9Aから
図9Cも参照する。
【0073】
気化装置20の再装填ユニット22は、カプセル29を収容するように構成された第1の収容部53および第2の収容部52(
図9Cに示す)を含むことができる。未使用のカプセルは、第1の収容部53内に積み上げた構成で(すなわち、気化装置が直立方向にあるときにカプセルが上下に配置されるように)収容され、使用済みカプセルは第2の収容部52内に積み上げた構成で収容される。ばね46および押し部材47は、第1の収納部53の底部に結合され得る。ばねおよび押し部材は、カプセルを再装填ユニット内の第1の収納部の上部に向かって押すことにより、第1容器内のカプセルの積み重ねられた構成を維持するように構成される。いくつかの用途では、カプセルを積み重ねられた構成で保管することにより、気化装置20の幅および深さの寸法は、気化装置を容易に把持出来る(例えば、片手で)か、ポケットに入れることが出来る程度であり得る。
【0074】
いくつかの用途では、カプセル29は円形断面を有し、第1の収納部53および第2の収納部52は、カプセルを収容する円筒管を画定する。あるいは、カプセル29は異なる形状を有してもよく、第1の収納部53および第2の収納部52は、カプセルの形状に適合するように形作られた中空空間を画定してもよい。例えば、
図4Aに示されるように、カプセルは競技トラックの形状の断面を有してもよい。
【0075】
カプセル装填機構56は、(a)再装填ユニット22内の第1の収納部53から未使用カプセルを個別に気化ユニット21内の気化位置54(
図6)に移し、その位置において植物材料の化合物を気化させるようにカプセルは加熱され、および(b)使用済みカプセルを気化位置から再装填ユニット22内にある第2の収納部52に個別に移すように構成されてもよい。
【0076】
いくつかの用途では、気化ユニット21は、再装填ユニット22に結合されるように構成され、再装填ユニット22内の第1の収容部53の上部および第2の収容部52の上部及び気化ユニット21内の蒸発位置54が(例えば、
図9AからCに示すように、気化装置の幅を横切って)互いに直線的に整列する。いくつかのそのような用途では、カプセル装填機構56は線形カプセル装填機構であり、線形に移動することにより各カプセルを移動するように構成される。カプセル装填機構は、未使用のカプセルを第1の収納部53からカプセルが加熱される蒸発位置54(
図6)に、また蒸発位置から再装填ユニット22内の第2の収納部52に押すように構成される。
【0077】
上述のように、いくつかの用途では、再装填ユニット22の第1の収納部53は、押し部材47と、押し部材に連結されたバネ46とを収容する。いくつかの用途では、上部カプセル停止部50が第1の収納部53の上部に使用される。上部カプセル停止部50は、第1の収納部53内のスタックの上部カプセルの最上位位置を制限するように構成され、上部カプセルが、カプセル装填機構56の動きをブロックまたは妨害する恐れを低減または防止される。
【0078】
いくつかの用途では、カプセル装填機構56を直線的に動かすためにカプセル装填ボタン23が使用される。代替的または追加的に、カプセル装填機構56は、再装填ユニット22内の制御回路によって制御される電気モーター(図示せず)によって動かされるように構成される。
【0079】
ここで、その初期静止段階におけるカプセル装填機構56を示す
図8Aおよび
図9Aを参照する。この段階で、ばね42は、カプセル装填機構56のカプセル係合板44に力を加え、カプセル係合板44をその直線移動経路の開始点(
図8Aおよび
図9Aのように最も右の位置)に配置させる。この位置で、カプセル係合板は、第1の収容部53内のカプセルのスタックの一番上のカプセルと係合し、新しいカプセル装填サイクルの開始の準備ができるように構成される。
【0080】
ここで、再装填ユニット22内の第1の収納部53の上部から気化ユニット21内の気化位置54(
図6)への未使用カプセルの装填動作の第2段階におけるカプセル装填機構56を示す
図8Bおよび9Bを参照する。いくつかの用途では、新しい未使用カプセルを気化ユニット21に再装填するために、カプセル装填ボタン23が下向きに押される。いくつかのそのような用途では、カプセル装填ボタン23はピニオンギア43に連結され、カプセル装填ボタン23が押されると、その下向きの直線運動によりピニオンギア43が回転するように構成される。ラックギア49がカプセル係合板44に配置され、ピニオンギア43と係合するように構成され、ピニオンギア43の円形運動がその初期位置から蒸発ユニット21内部の蒸発位置54(
図6)へのカプセル係合板44の直線運動に変換される。カプセル係合板44の上述の動きは、第1の収納部53内の最上部の未使用カプセルを、蒸発ユニット21内部の蒸発位置54(
図6)に押し込む。場合によっては、以前の気化からの使用済みカプセル51が、新しい未使用カプセルの再装填の前に気化位置に配置される。カプセル装填機構56は、カプセル装填機構56による気化位置54への未使用カプセルの挿入が、使用済みカプセル51を気化位置54から第2の収納部52に向かって押すように構成され得る。
【0081】
いくつかの用途では、図示のように、ピニオンギア43は、カプセル係合板44を初期位置から終了位置まで移動させるため、カプセル装填ボタン23が移動しなければならない下方距離を、単一の円形歯車を使用する場合に比べて、減少させる変換比を作成するために、異なる半径の2つの円形歯車の組み合わせを含む。
【0082】
ここで、動作の最終段階におけるカプセル装填機構56を示している
図8Cおよび
図9Cを参照する。この段階で、図示のように、カプセル装填ボタン23を完全に押して、カプセル係合板44が新しい未使用のカプセルを蒸発位置54(
図6)に完全に置き、加熱の準備ができるようにする。以前に使用されたカプセル51は、蒸発ユニット21から第2の収容部52内に完全に放出され、ばね42は完全に圧縮される。いくつかの用途では、カプセル装填ボタン23が解放されると、(
図8Aおよび9Aに示すように)バネ42がカプセル係合板44をその初期静止点に押し戻す。上述のラックギアとピニオンギアによりカプセル係合プレート44に連結されたカプセル装填ボタン23は、ラックギアとピニオンギアによりその初期位置に自動的に押し戻され、新しいカプセル装填サイクルの準備が整う。
【0083】
いくつかの用途では、再装填ユニット22は、再装填ユニット22内にいくつの未使用カプセルが収容されているかを示すインジケータ58(
図1)を含む。いくつかの用途では、再装填ユニットが詰め替えられるように構成されるのではなく、気化装置20の構成要素のいくつかはリサイクル可能であり、未使用の再装填ユニットに移動可能である。例えば、単一の気化ユニット21を複数の再装填ユニットと共に使用することができ、各再装填ユニットは単一使用のために構成される。いくつかのの用途(例:医療目的で投与される大麻と一緒に装置を使用する用途)では、カプセルのサイズおよび/または提供される各カプセル内の植物材料の量は、医療機関によって決定される場合がある。加えて、上述のように、気化装置はプログラム可能であってもよく、それにより、例えば、使用ごと、パフごと、または所与の期間内に特定の用量の化合物のみが放出され得る。このようにして、気化装置の内部で使用される植物材料が規制された物質(例えば、大麻)である場合、物質の使用に対する制御を維持することができる。いくつかの用途では、気化装置、再装填ユニット、気化ユニット、および/またはカプセルは、気化装置およびカプセルの使用の調整および制御を容易にするために、識別マークまたはタグ(たとえば、RFIDまたはバーコード)を含む。
【0084】
いくつかの用途では、再装填ユニット22は第2の収納部52を含まず、以前に使用されたカプセルは、再装填ユニット内に保管されることなく気化ユニットの外へ気化位置から排出される。いくつかの用途では、カプセル装填のための直線運動を生成するために、カプセル装填ボタン23およびピニオンギア43は使用されず、電気モーターがカプセル係合板44に結合される。いくつかの用途では、必要な変更を加えて、異なるタイプのカプセル装填機構が使用される。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている特許文献1に記載されているカプセル移送機構のいずれか1つと概ね同様のカプセル装填機構を使用することができる。
【0085】
例示的な実施形態による、気化ユニット21などの気化器を使用して材料(例えば、植物材料)を加熱するためのそれぞれの技術を示すそれぞれの曲線のグラフである
図10を参照する。グラフのx軸は、正規化された気流流量(パーセンテージとして測定)を示し、y軸は、制御回路が特定の気流流量でカプセルの加熱を制御する温度(摂氏温度で測定)を示す。気流流量の割合は、(たとえば、被験体が気化器から吸引または吸入する場合)上限または最大気流量を基準にして測定されてもよい。一例として、気流流量は、毎分0.8から1.2リットルの気流流量の割合として測定されてもよい。例示的な実施形態では、制御回路は、カプセルが加熱される温度値にインデックス付けする気流値を有するLUTを格納するメモリを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定できる。たとえば、LUTは
図10に示す曲線の1つを実装し得る。したがって、動作中、制御回路はカプセルを通る空気流の値を(たとえば、空気流センサから)受け取り、気流値を用いてLUTから対応する温度値にアクセスする。次に、制御回路が加熱器を制御して、カプセルをアクセスした温度まで加熱する。測定された気流値がLUTの2つの隣接する気流値の間にある場合、前述の通り、制御回路は、(たとえば、加重平均または直線平均を実行することにより)2つのアクセスされた温度からカプセルが加熱される温度を補間する。
【0086】
上述のように、いくつかの用途では、気化ユニット21を使用して、大麻内の化合物を気化させる。他の例では、気化ユニット21は、タバコ内の化合物を蒸発させるために使用される。タバコの蒸発温度は摂氏150から230℃で、摂氏250℃で熱分解し始める場合がある。したがって、タバコを摂氏150℃から摂氏230℃の間の温度に加熱することが望ましい場合がある。さらに、タバコの熱分解を低減または防止するために、タバコを摂氏230℃を超える温度に加熱しないことが望ましい場合がある。気化器をタバコ以外の材料で使用する場合、同様の考慮事項が適用される場合があるが、材料を加熱する望ましい温度は、気化ユニットで使用されている材料の特性によって異なる。
【0087】
こく味は、口の中の蒸気の質感および感触に関連する属性である。吸引率または吸入率を制御することにより、被験体は自分の好みや嗜好に応じてこく味を調整できる。
【0088】
いくつかの用途では、吸引または吸入率を示している、気化器を通る気流流量(例えば、
図6に示すカプセル29を通る気流)の関数としてカプセル内の植物材料を加熱することにより、気化器(例えば、気化ユニット21)を使用するときにこく味の感覚が少なくとも部分的に再現される。これにより、生成された蒸気の特性の少なくとも一部を制御できる。
【0089】
いくつかの材料(例えば、タバコおよび大麻)では、カプセルの温度を上げると、化合物の気化速度が増加し、温度が高く設定されるにつれてより多くの蒸気が放出される。いくつかの材料では、気化温度の上昇は生成される蒸気の味に影響する。一部の材料(たとえば、さまざまな種類のタバコ)は、蒸発温度範囲の下端まで加熱されると、軽い味の蒸気を生成し、蒸発温度範囲内の高温まで加熱されると、より重く、豊かで、ウッディ、またはスモーキー等の異なる味の蒸気を生成する。
【0090】
いくつかの用途では、植物材料は、最初に植物材料の気化温度範囲の下端の温度点まで加熱される。温度は、気化器を介して(たとえば、気化器のカプセルを介して)検出された吸入空気流の関数に従って、気化温度範囲内で上昇し、カプセルが加熱される最高温度は、植物材料の熱分解温度を超えないようにするためにいくつかの用途では制限される。一部のアプリケーションでは、植物材料は、低い気流流量が検出されると低い温度に、高い気流流量が検出されると高い温度に加熱される。例えば、カプセルが加熱される温度は、
図10の実線の曲線で示されるように、気化器を通る正規化された気流の増加に正比例して増加し得る。また、
図10の実線の曲線で示されるように、いくつかの用途では、カプセルが最高温度(
図10に示すように摂氏約230℃)に加熱されると、植物材料の熱分解温度に達するのを避けるために、追加の加熱は控えられます。
【0091】
いくつかの用途では、植物材料を含むカプセルは、植物材料の気化温度範囲の下端より低い温度点まで最初に加熱される。カプセルに空気がほとんどまたはまったく流れていない場合、植物材料のサブ気化温度は化合物の気化を低減または防止する。気流速度の増加を検出すると、制御回路は植物材料の温度を植物材料の気化温度範囲内のある温度まで急速に上昇させる。吸入空気流量の追加の増加が検出されると、検出された気流流量に応じてカプセルの温度が調整される。
【0092】
いくつかの用途では、気化器での第1の入力の受信に応じて(例えば、気化器のオンスイッチの押下に応じて)、気化器の制御回路が予熱ステップを開始する。予熱ステップは、急速加熱ステップ(例えば、植物材料を含むカプセルが毎秒摂氏50℃を超える、または毎秒摂氏100℃を超える速度で加熱される加熱ステップ)であってもよい。さらに、気化器の制御回路は、カプセルの温度(植物材料の温度を示す)が第1の温度に到達したことを検出したことに応じて、第1の加熱ステップを終了し、それによりカプセルのさらなる温度上昇を中止するように構成されてもよい。第1の温度は、植物材料の気化範囲の下限の80パーセント超120パーセント未満、例えば、使用される気化温度範囲の下限の、90パーセント超110パーセント未満、または85パーセント超95パーセント未満、または105パーセント超115パーセント未満であり得る。例えば、気化器を使用してタバコを気化させる場合、気化器の制御回路は、カプセルの温度が摂氏170℃未満の温度(例えば、摂氏150℃未満)、例えば、摂氏120℃から130℃度の間、または摂氏130℃から140℃度の間の温度に達したことの検出に応じて、カプセルの温度上昇を停止するように構成されてもよい。いくつかの用途では、植物材料を通る気流の検出に応じて、気流流量の増加の割合あたり0.5から10℃の割合で、たとえば、または気流流量の1%あたり0.5℃から2℃の温度上昇、2℃から8℃、または5℃から10℃、植物材料の温度が上昇する。
【0093】
非限定的な実施形態において、制御回路は、第2の入力(例えば、吸引または吸入)が一定期間内に検出されない場合、蒸発器をスタンバイモードにするように構成されてもよい。この期間は、経験的調査を通じて決定された設計パラメータであってもよい。
【0094】
いくつかの用途では、植物材料の気流流量に関連する加熱の実行を可能にするために、気化器(例えば気化ユニット21)は、吸入中の気流流量を変化させるように植物の温度を迅速に調整するために植物材料の高速加熱、毎秒摂氏20℃以上(例えば、毎秒摂氏50℃以上または摂氏100℃以上)の温度上昇、を可能にするように構成される。いくつかのの用途では、加熱プロファイルに従って気化温度と気化流量を調整するために、植物材料が加熱される目標温度が動的に更新される。いくつかの用途では、植物材料が加熱される目標温度が連続的に動的に更新される。いくつかの用途では、カプセルは、検出された空気流量の連続関数として導出される目標温度まで加熱される。例えば、連続関数は、多項式関数、単調増加関数、単調減少関数であってもよい。あるいは、植物材料が加熱される目標温度は、パフごとに動的に更新、すなわち、吸入ごとに、制御回路は、その吸入のためにカプセルが加熱されるべき目標温度を計算する。いくつかの用途では、制御回路は再装填ユニットまたは気化ユニットにあるインターフェースを介した入力に基づいて、吸引または吸入を検出する。代替的または追加的に、制御回路は、カプセルの温度を検出することにより、および/またはカプセルの温度を一定に維持するのに必要なエネルギー量を検出することにより、吸引または吸入を検出する。たとえば、カプセルの温度を一定に維持するために必要なエネルギー量がしきい値を超える場合、制御回路は吸引または吸入を検出する。閾値は、経験的調査を通じて決定された設計パラメータであり得る。
【0095】
いくつかの用途では、気化器の制御回路は、植物材料を収容するカプセルを所望の温度に維持するのに必要な電力を測定することにより、カプセルを通る気流流量を計算する。例示的な実施形態では、制御回路は、対応する気流値に関連して記憶された電力値とともにLUTを記憶するメモリを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定され得る。したがって、動作中、制御回路はカプセルの温度を維持するために必要な電力レベルを測定し、LUTからの対応する気流値にアクセスする。測定された電力レベルがLUTの2つの隣接する電力レベルの間にある場合、制御回路は、第1のインデックスとして隣接する電力レベルの第1の電力レベルを使用し、第2のインデックスとして隣接する電力レベルの第2の電力レベルを使用するように構成される。第1と第2のインデックス間の測定電力レベルの相対位置に基づいて、制御回路は、第1と第2のインデックスを使用してLUTからアクセスされる気流を使用して、(たとえば、加重平均または直線平均を実行することにより)カプセルを通る気流を補間する。
【0096】
気流測定のためのこの技術の使用を可能にするために、植物材料は、周囲温度より高い温度、例えば、最初に、摂氏50℃以上に加熱されてもよく(
図10の破線の曲線で示されるように)、または摂氏120℃以上に加熱されてもよい(
図10の実線の曲線で示されるように)。カプセルが周囲温度以上に加熱され、吸引または吸入の結果として周囲空気がカプセル内を流れるようになると、カプセルを所定の温度に維持するために必要な電力は気流速度とカプセルと流れる周囲空気との間の温度勾配に関係し得る。したがって、制御回路は、カプセルの現在の温度、およびカプセルをその温度に維持するために必要な電力に基づいて、空気流量を決定するように構成される。例えば、制御回路は、カプセルを加熱するために使用されるデューティサイクルの変動を検出することにより、カプセルを温度に維持するために必要な電力を決定してもよい。
【0097】
例示的な実施形態では、制御回路は、カプセル温度を維持するために必要な対応する電力値に関連して格納されたデューティサイクル変動値とともにLUTを格納するメモリを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定され得る。したがって、デューティサイクルが下限しきい値を超えることが検出されると、制御回路はデバイスが動作中であると判断し、デューティサイクルの変動を測定し、LUTから対応する電力値にアクセスする。測定されたデューティサイクル変動がLUTの2つの隣接するデューティサイクル変動値の間にある場合、制御回路は、第1のインデックスとして隣接するデューティサイクル変動値の第1のデューティサイクル変動値を使用し、第2のインデックスとして隣接するデューティサイクル変動値の第2のデューティサイクル変動値を使用するように構成される。第1インデックスと第2インデックス間の測定されたデューティサイクル変動の相対位置に基づいて、制御回路は、第1と第2のインデックスを使用してLUTからアクセスされる電力値を使用して(たとえば、加重平均または直線平均を実行することにより)カプセル温度を維持するために必要な電力レベルを補完する。
【0098】
別の例示的な実施形態では、制御回路は、カプセルを通る対応する気流値に関連して記憶された温度および電力値とともにLUTを記憶するメモリを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定され得る。したがって、デューティサイクルが下限しきい値を超えることが検出されると、制御回路はデバイスが動作中であると判断し、温度と電力の値を測定し、これらを入力として使用してLUTから対応するエアフロー値にアクセスする。
【0099】
いくつかの用途では、カプセルの温度は一定に保たれず、制御回路は、カプセルを通る空気流量の変化から生じるカプセルの測定された温度変化に少なくとも部分的に基づいてカプセルを通る空気流量を決定する。例えば、制御回路は、一定の電力でカプセルを加熱し続け、カプセルの温度の変化を測定する。このような温度の変化は、カプセルを通る気流流量を示している。例示的な実施形態では、制御回路は、対応する気流値に関連して記憶された所与の期間の温度差を有するLUTを記憶するメモリを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定し得る。したがって、動作中、制御回路は、所定の期間にわたってカプセルの温度差を測定し、LUTからの対応する気流値にアクセスする。測定された温度差がLUTの2つの隣接する温度差の場合、制御回路は、第1のインデックスとして隣接する温度差第の1の温度差を、2のインデックスとして隣接する温度差の第2の温度差を使用するように構成される。第1と第2のインデックス間の測定温度差の相対位置に基づいて、制御回路は、第1と第2のインデックスを使用してLUTからアクセスされるエアフローを使用して、(たとえば、加重平均または直線平均を実行することにより)カプセルを通るエアフローを補間する。
【0100】
あるいは、制御回路は、カプセルが所定の温度にあるときにカプセルの加熱を停止し、カプセルの温度の変化を測定してもよい。測定された温度変化は、対流による加熱されたカプセルから周囲空気への誘導熱伝達を示し、これがカプセルを通る気流の速度を示すため、このような温度変化はカプセルを通る気流の速度と相関する場合がある。いくつかの用途では、制御回路は、本明細書で説明される技術に従って気流速度を計算するために周囲温度および/または湿度を測定するように構成される。気流流量を計算するために、制御回路はカプセル(したがって植物の材料)の温度と周囲温度との差を考慮し得る。例示的な実施形態では、制御回路は、対応する気流値に関連して記憶された、所定の期間の温度差、周囲に対する温度差、および湿度値を有するメモリLUTを含む。LUTは、経験的な調査を通じて決定し得る。したがって、動作中、制御回路は、所定の期間にわたるカプセルの温度差を第1の入力として、周囲温度に対するカプセルの温度差を第2の入力として、およびカプセルの湿度を第3の入力として、少なくとも1つを測定する。これらの入力が1つ以上ある場合、制御回路はLUTから対応するエアフロー値にアクセスする。
【0101】
いくつかの用途では、関数またはルックアップテーブル(LUT)を使用して、使用される材料、所望の経験、または他の関連する因子に応じて、検出された気流速度に基づいてカプセルが加熱される目標温度を決定する。いくつかの用途では、気流率の測定に加えて、カプセルを加熱する目標温度を決定するために、追加のソースから制御回路が入力を受け取る。例えば、上述のように、制御回路は、カプセルを所与のカプセルタイプとして分類し、そのカプセルタイプに特に適した加熱プロファイルに基づいてカプセルの加熱を制御するように構成されてもよい。たとえば、異なるタイプのカプセルには、異なる気流速度からターゲットカプセルの温度プロファイルが適用され得る。たとえば、あるタイプのカプセルは、
図10の実線の曲線で示されるプロファイルに従う場合があり、別のカプセルのタイプは、
図10の破線の曲線で示されるプロファイルに従う場合があり、さらに別のカプセルのタイプは、
図10の点線の曲線で示されるプロファイルに従う場合がある。いくつかの用途では、対象のインターフェース10(
図3に示されている)を使用して所望の加熱プロファイルを入力することができる。
【0102】
いくつかの用途では、上述の気流関連プロセスでカプセルの加熱を実行することにより、以下の結果の1つまたは複数が達成される。
1)一部のアプリケーションでは、カプセルが加熱される目標温度は、(吸引または吸入速度を示す)気流流量と相関している。上記の例で説明したように、カプセルは最大温度限界(植物材料の熱分解温度の90パーセント未満の場合がある)を超えて加熱されない。最大温度は、植物材料が植物材料の熱分解温度よりも高い温度に加熱されないように、および/または植物材料が煙および/または不快な味を発生する温度に加熱されないように、制限され得る。上述のように目標蒸発温度を動的に調整することにより、生成された蒸気の味と「こく味」が個々の好みと嗜好に従って調整される。例えば、より長いより遅い吸入を好む被験体は、より遅い吸入のより低い気流速度によって生成される比較的低い気化温度によって、気化した化合物の比較的一定したゆっくりした供給を受けることから恩恵を受け得る。一方、化合物のより速くより強い放出を好む被験体は、吸入気流率が高いために、植物材料が加熱されるより高い気化温度から生じるより高い気化速度を楽しむことができる。
2)上記のように植物材料が加熱される目標温度を動的に調整することは、植物材料の消費率のより高い効率を提供し得る。例えば、いくつかの比較的短い吹かし(puff)を服用することを好む被験体は、制御回路が吹かしの間でカプセルが加熱される目標温度を下げるので、短い吹かしの間で植物材料が失われることはない。
3)上記のようにカプセルが加熱される目標温度を動的に調整することにより、吸入開始前の化合物の損失を減らすことができる。吸入前の気流の欠如は、吸入前の化合物の蒸発を減らすためなど、カプセルが加熱される目標温度を比較的低くする。
4)場合によっては、吹かしごとに一定用量の化合物を送達することが望ましい。植物材料の所定の配置では、気化する化合物の質量は、少なくとも材料の温度と材料を通る空気流量の関数である。いくつかの用途では、前述のように気流関連の加熱プロセスが使用され、気化ユニットの各吹かしに一定用量の化合物を送達するなど、制御回路が測定された気流値に応答する。例えば、気流の増加に応じて気化温度を下げる関数またはLUTを使用し得る。
5)一部のアプリケーションでは、制御回路はさらに、現在加熱されている植物材料の部分から蒸発した化合物の量を考慮します(たとえば、カプセル内に廃棄される植物材料の一部であり得る)。例えば、場合によっては、現在加熱されているカプセルにすでに適用されている気流の流量および温度に基づいて、制御回路はすでに気化されている化合物の量を決定し得る。いくつかの用途では、制御回路が、すでに気化した化合物の量に応じて、カプセルを加熱する目標温度を決定する。いくつかの用途では、制御回路は、(a)すでに気化されている化合物の量、および(b)気化ユニットを通る測定された気流に応じて、カプセルを加熱する目標温度を決定します(例:気化ユニット内で加熱されている植物材料を通して)。例えば、所定の気流流量に対して、制御回路は、より多くの化合物が気化するにつれて、カプセルをより高い温度に加熱してもよい。これは、所定量の化合物が植物材料からすでに気化されている場合、残りの化合物を気化させるために植物材料をより高い温度に加熱する必要がありうるからである。いくつかの用途では、一定量の化合物が植物材料からすでに放出されていると判断した場合、制御回路は植物材料の温度を蒸発温度より低く下げて、化合物のさらなる蒸発を抑えるように構成され得る。これらの制御は、前述のように経験的に導出された関数またはLUTを使用して実装できる。
【0103】
いくつかの用途では、気化器を通る空気流の検出または決定された速度に応じて、制御回路は提供された化合物の用量を計算する。用途によっては(例:薬用に気化器を大麻に使用する場合)、医療専門家は、気化器の各使用中に許可される気化器を通る気流の量および/または所定の期間内(たとえば、1時間ごと、1日ごと、または1吹きごと)に許可される気化器を通る気流の量を制御する指示および/またはLUTを制御回路に入力する。代替的または追加的に、制御回路は、上述のように、単位気流速度当たりの加熱速度を制御してもよい。たとえば、1つ以上の化合物の一定用量を送達するために、制御回路は、
図10の点線の曲線で示されるように、気流の増加の検出に応じて、カプセルが加熱される温度を下げるように構成され得る。いくつかの用途では、温度の低下は一定の気化速度を維持するように設定される。いくつかの用途では、制御回路は前述の温度制御機能と、蒸発器の各吹かしに応じて適用される加熱の時間制限の設定を組み合わせる。このようにして、吹かしの気流流量に関係なく、各吹かしで一定用量の1つ以上の化合物が送達される。
【0104】
いくつかの用途では、所与の期間(例えば、0.5秒から3秒の期間)にわたって吸引または吸入が発生しなかったことの検出に応答して、制御回路はカプセルの温度を植物材料の蒸発温度以下に低下させる。例えば、気化器の使用中、被験体は所定の期間吸入を停止する場合がある。温度を気化温度以下に下げることにより、この期間中の植物成分の消耗が減らされる。
【0105】
再び
図10を参照すると、いくつかの用途では、加熱曲線が実線の曲線で示されるように適用される。たとえば、約0気流流量割合単位と70気流流量割合単位の間では、制御回路によりカプセルの温度が摂氏120℃から230℃の温度範囲に沿って変更される。これは、現在の吸入気流流量を検出し、曲線に従って温度を調整することにより実行される。約70気流流量単位から100気流流量単位まで、カプセルは摂氏230℃の最高温度を維持する。より一般的には、気流が0から所定の気流流量の間で、制御回路は気流速度に比例するように最高温度までカプセルの温度を制御する。いくつかの用途では、最高温度は摂氏200℃から230℃の間です。所定の気流流量を超えると、気流流量が増加しても、制御回路はカプセルを最高温度に維持し得る。
【0106】
いくつかの用途では、
図10の破線の曲線で示されるように加熱曲線が適用される。例えば、0気流流量割合単位と最初に与えられた気流流量割合単位の間で(例えば、
図10に示すように、20気流割合単位)制御回路は、気流流量の増加に応じて、第1の速度でカプセルの温度を上昇させることができる。第1の所定の気流流量と第2の所定の気流流量(例えば、
図10に示されるように70気流流量割合単位)の間で、制御回路は、気流流量の増加に応じて第2の速度でカプセルの温度を上昇させることができる。いくつかの用途では、第2の速度は第1の速度よりも遅く、つまり第2の速度では、気流流量の所定の上昇に応じた温度上昇は、第1の速度での同じ気流流量の上昇に応じた温度上昇よりも小さくなる。いくつかの用途では、第2の所定の気流流量を超えると、気流流量が増加しても、カプセルは所定の最高温度(たとえば、摂氏230℃)に維持される。
【0107】
上述のように、いくつかの用途では、
図10の点線の曲線で示される加熱曲線が適用される。そのような用途では、気流流量の増加に応じて、制御回路によってカプセルが加熱されても温度は下がる。
【0108】
ここで、いくつかの用途に従って、相変化材料を含むカプセルの加熱曲線を示すグラフで
図11を参照する。上記のように、一部の用途では、カプセルの種類を識別するために、気化ユニットの内蔵温度センサを、それぞれのカプセルタイプに含まれるそれぞれの相変化温度を有するように構成された相変化材料と組み合わせて使用する。
【0109】
図11の実線の曲線は、摂氏85℃の相変化温度を有する相変化材料を含むか、熱的に結合したカプセルの加熱曲線を表す。示されているように、比較的一定の電力でカプセルに熱を加えると、カプセルの温度は加えられる加熱の電力に比例して上昇します。(150ミリ秒において)摂氏85℃の相変化材料の相変化温度に達すると、相変化材料によって比較的一定の温度で潜熱の形で比較的大量のエネルギーが蓄積され、カプセルの温度上昇は検出可能な停止となる。いくつかの用途では、温度上昇の一時停止が発生する温度レベルを検出することにより、制御回路はカプセルを特定のタイプのカプセルとして分類し、それに応じて加熱曲線および/またはその他の関連機能を調整する。
図11の200ミリ秒後の実線の曲線に見られるように、ある時点で、相変化材料がその相変化を受けたとき、カプセルの温度は加えられた熱エネルギーにより上昇し続ける。
【0110】
図11の点線の曲線は、摂氏105℃の相変化転移温度を有する相変化材料を含むか、熱的に結合したカプセルの加熱曲線を表す。カプセルの加熱曲線は、一般的に実線の曲線を参照して説明したものと似ているが、温度上昇の一時停止が発生する温度レベルは摂氏105℃の高温である。
【0111】
図11の破線の曲線は、いくつかの用途に従って、複数の異なる相変化材料の組み合わせを含むか、または熱的に結合されたカプセルの加熱曲線を表す。いくつかの用途では、相変化材料は互いに混合されるか、混合されることなく互いに熱的に結合される。
図11の破線の曲線は、相変化転移温度が摂氏65℃、85℃、105℃の3つの相変化材料が使用されている例を示している。カプセルの加熱曲線は一般に、実線の曲線を参照して説明したものと似ているが、3つの異なる相変化転移温度を持つ相変化材料を使用しており、それぞれの相変化材料が相変化温度に達するため、加熱曲線には温度上昇の3つの一時停止が含まれる。温度上昇の一時停止の存在を検出することにより、カプセルのタイプに関する情報がカプセルにコード化され、温度センサ35に加えて蒸発ユニット21内の専用センサの使用を必ずしも必要とせずに制御回路によって読み取られる。このように、それぞれの相変化転移温度が異なる複数の相変化材料の組み合わせを使用すると、制御回路が加熱物質の識別に使用するコーディング方法が容易になる。
【0112】
いくつかの用途では、カプセルは、相変化材料の相変化温度が摂氏50℃より高くおよび/または摂氏150℃より低い、例えば摂氏50℃から150℃、または80℃から120℃で使用される。いくつかの用途では、相変化材料は植物材料に熱的に結合されている。例えば、相変化材料は植物材料と混合されてもよい。いくつかの用途では、相変化材料のシートが植物材料を部分的または完全に覆っている。
【0113】
ここで、いくつかの用途に従って、気化ユニット21などの気化器を使用して植物材料を加熱するためのそれぞれの技術を示すグラフである
図12Aを参照する。グラフのx軸は(任意の時間単位で測定された)時間を示し、y軸は植物材料を含むカプセルの(摂氏温度で測定された)温度(したがってカプセル内の植物材料の温度)を示す。
【0114】
上述のように、いくつかの用途では、制御回路は、(気化ユニット21などの)気化器を制御して、大麻内の1つまたは複数の化合物を気化させる。大麻の気化温度は摂氏180℃で、摂氏220℃で熱分解し始める場合がある。したがって、大麻を190℃から210℃の温度に加熱することが望ましい場合がある。大麻を加熱する所望の温度範囲の上限と下限は、
図12Aのグラフ上で、摂氏190℃と210℃の2本の実線の水平線で示されている。さらに、大麻の熱分解を低減または防止するために、大麻を上記の温度よりも高い温度に加熱しないことが望ましい場合がある。気化器を大麻以外の植物材料(タバコなど)で使用する場合、同様の考慮事項が適用される場合があるが、植物材料を加熱する望ましい温度は、気化器で使用する植物材料の特性によって異なる。
【0115】
植物材料を所望の温度に加熱する1つの可能な方法は、8時間単位より長い期間にわたって植物材料が所望の温度に加熱されていることを示す破線の斜線で示されるように、徐々に加熱することである。植物材料を加熱する別の可能な方法は、
図12Aの点線の曲線で示されるように、急速加熱によるものである。植物材料が比較的急速に加熱される場合、最初は植物材料が加熱される温度に過加熱が生じる場合がある。たとえば、これは、植物材料が所望の温度に到達してから、制御回路が所望の温度に到達したことを検出し、検出された温度に応じて植物材料のさらなる温度上昇を停止するまでに時間差があるためである。これは
図12Aに示されており、
図12Aは、点線の曲線が所望の温度範囲内で安定する前に、最初に摂氏220℃を超えて上昇することを示している。過加熱により、植物材料の一部が熱分解される場合がある。
【0116】
いくつかの用途によれば、例えば
図12Aの実線の曲線によって示されるように、気化器内の材料に2段階加熱プロセスが適用される。気化器での第1の入力の受信に応じて(例えば、気化器のONスイッチの押下に応じて)、気化器の制御回路は、第1の加熱ステップを開始してもよい。第1の加熱工程は、急速加熱工程(例えば、植物材料を含むカプセルが毎秒摂氏50℃を超える、または毎秒摂氏100℃を超える速度で加熱される加熱工程)であってもよい。さらに、気化器の制御回路は、カプセルの温度(植物材料の温度を示す)の第1の温度への到達の検出に応じて、第1の加熱ステップを終了し、それによりカプセルのさらなる温度上昇を中止するように構成されてもよい。第1の温度は、植物材料の蒸発温度の95パーセント未満、例えば、90パーセント未満、または80パーセント未満であり得る。例えば、気化器を使用して大麻を気化させる場合、気化器の制御回路は、カプセルの温度が摂氏170℃(例えば、160℃未満)以下、例えば、摂氏140℃から170℃、または150℃から160℃の第1の温度に達したことの検出に応じて、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成されてもよい。
【0117】
制御回路を上記のように第1の急速加熱段階を終了するように構成することにより、たとえ過加熱があり、カプセルの温度が第1加熱段階が終了するようにプログラムされた温度を超えて上昇しても、温度カプセルの温度は、植物材料の熱分解温度を超えないように適切に制御されてもよい。例えば、
図12Aに示すように、制御回路は、カプセルの温度が摂氏約160℃に達したことの検出に応答して、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成されている。最初(約1時間単位)、過加熱があり、カプセルの温度は摂氏約180℃に達します。ただし、カプセルの温度は約2時間単位で約160℃の安定状態に達します。いくつかの用途では、気化器の制御回路が出力を生成して、加熱の最初の段階が終了したことを示します。例えば、制御回路は、インジケータライトを点灯し、気化器を振動させ、および/または音声信号(例えば、ビープ音)を発してもよい。
【0118】
続いて、気化器への第2の入力に応答して、気化器の制御回路は、第2の加熱ステップを開始する(
図12Aの実線の曲線上に示され、約4時間単位で開始する)。加熱プロセスの第1段階の終了と加熱プロセスの第2段階の開始との間で、制御回路はカプセルの温度を第1温度に維持してもよい。いくつかの用途では、加熱の第2段階は、第2の入力として気化器からの空気の吸入に応じて自動的に開始される。あるいは、加熱プロセスの第2段階は、異なる第2の入力(例えば、ONボタンの2回目の押下)に応じて開始されてもよい。さらに、代替的に、加熱プロセスの第2段階は、加熱の第1段階が完了した後に自動的に開始され、表示(インジケータライト、振動、および/または音声信号(例えば、ビープ音))が第2加熱段階の目標温度に到達したことを示すために生成されてもよい。
【0119】
第2の加熱ステップ中、制御回路は、加熱プロセスの第1段階中よりも遅い速度でカプセルを加熱してもよい。例えば、加熱プロセスの第2段階の間、気化器のカプセルのメッシュは、毎秒50℃未満、例えば毎秒40℃未満の速度で加熱されてもよい。
図12Aに示すように、加熱プロセスの第2段階(4時間単位から6時間単位)の間、カプセルは約160℃から200℃まで加熱される。
【0120】
加熱プロセスの第2段階では、制御回路は、カプセルの温度が植物材料の気化温度と植物材料の熱分解温度との間であることの検出に応答してカプセルのさらなる温度上昇を中断するように構成される。たとえば、気化器を使用して大麻を気化させる場合、気化器の制御回路は、カプセルの温度が摂氏180℃を超える(例えば、190℃以上)、および/または220℃未満(例えば、210℃未満)、例えば、摂氏180℃から220℃、または190℃から210℃の第2の温度に到達したことを検出したことに応答して、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成されている。
【0121】
非限定的な実施形態において、制御回路は、前の第2の入力後の期間内に後続の第2の入力(例えば、引き込みまたは吸入)が検出されない場合、気化器をスタンバイモードにするように構成され得る。
【0122】
いくつかの用途では、上記の2段階プロセスで加熱を実施することにより、以下の結果の1つ以上が達成される。1)カプセルの温度が気化温度の95パーセント未満に達すると、加熱の第1(急速)ステージを終了することにより、加熱が過加熱となっても、植物材料は熱分解温度よりも高い温度に加熱されないため、植物材料は熱分解されない。2)加熱の第2段階はゆっくりと実行されるために加熱プロセスの第2段階での過加熱は無視できるほど小さいため、植物材料は加熱プロセスの第2段階で熱分解されない。3)加熱の第1段階では、植物材料はすでに気化温度に比較的近い温度まで加熱されているため、加熱の第2段階はゆっくりでも、植物材料を第2加熱段階の開始から気化温度まで加熱するのに必要な時間は比較的短い(例えば、2秒未満)。4)植物材料の熱伝導が低いため、植物材料が急速に加熱されると、植物材料が不均一に加熱される可能性がある。これにより、加熱要素(例えば、電極)に近い植物材料が熱分解される可能性があり、および/または加熱要素から遠い植物材料の部分が気化されない可能性がある。最初の温度に達した後、2番目の入力が受信されるまで植物材料のさらなる加熱を保留することにより、熱は、植物材料のいかなる部分も気化温度に加熱される前に(1番目と2番目の加熱段階の期間中に)植物材料を通して放散できる。さらに、第2段階での温度上昇は比較的小さいため、温度上昇は植物材料を比較的迅速に消散できます。従って、植物材料の比較的均一な加熱が達成され、植物材料内の化合物のほとんどが気化し、植物材料の熱分解は実質的にない。
【0123】
いくつかの用途では、気化器からの吸引または吸入は、制御回路によって自動的に検出される。任意の前の実施形態または上記の実施形態と組み合わせ可能な非限定的な実施形態では、制御回路は、吸引または吸入を検出するための任意の周知のパフセンサを含む。
【0124】
加熱の第1段階の後、周囲温度と植物材料を含むカプセルの温度との間に比較的大きな差があり得る。上述のように、加熱プロセスの第1段階の終了と第2段階の開始との間で、制御回路はカプセルの温度を第1温度に維持する。周囲温度とカプセルの最初の温度には比較的大きな差があるため、カプセル(およびその中の植物材料)を一定の温度に維持するために必要なエネルギーは、吸引または吸入があると大きくなる。したがって、いくつかの用途では、制御回路は、カプセル(およびその中の材料)の温度を一定に維持するために必要なエネルギー量を検出することにより、気化器からの吸引または吸入があることを検出する。例示的な実施形態において、制御回路は、カプセルの温度を維持するために必要なエネルギー量がエネルギーの閾値量よりも大きい場合に、吸引または吸入を検出する。閾値は、経験的研究を通じて決定された設計パラメータであり得る。例えば、制御回路は、カプセル(およびその中の植物材料)を加熱するために使用されるデューティ比の変動を検出してもよい。そのような場合、制御回路は、検出されたデューティ比が閾値デューティ比よりも大きいと判断されたときに、吸引または吸入を検出する。閾値は、経験的研究を通じて決定された設計パラメータであり得る。代替的または追加的に、制御回路は、カプセルの温度を直接検出することにより、気化器からの吸入があることを自動的に検出してもよい。加熱の最初の段階の後、周囲温度とカプセルの温度の間に比較的大きな差があるため、カプセルを通る気流がカプセルの温度に測定可能な変化を引き起こす可能性がある。この変化がしきい値を超えると、吸引または吸入が検出される。閾値は、経験的研究を通じて決定された設計パラメータであり得る。上述のように、いくつかの用途では、加熱プロセスの第2段階は、気化器からの吸入の検出に応じて自動的に開始される。
【0125】
いくつかの用途では、所与の期間(例えば、0.5秒から3秒の間の期間)にわたって吸入が発生しなかったことを検出したことに応答して、カプセルの温度は気化温度未満に低下する。植物材料。例えば、気化器の使用中、被験体は所定の期間吸入を停止する場合がある。温度を蒸発温度以下に下げることにより、この期間中の化合物の浪費が減り、その結果、処方された化合物の投与量を受け取ることができるようになる。
【0126】
図12Aの実線の曲線によって示されるように、約8単位時間と10単位時間の間で、制御回路はカプセルの温度を気化温度未満に低下させる。これは、(上記のように)所与の期間にわたって吸入が発生していないことの検出に応じて、および/または被験体の入力に応じて(たとえば、ボタンを押すことに応じて)実行され得る。約10単位時間から13単位時間まで、カプセルは加熱されて気化温度に戻る。これは、吸入が再開されたことの検出に応じて、および/または被験者の入力に応じて(たとえば、ボタンを押すことに応じて)実行され得る。約15単位時間と17単位時間の間で、制御回路は再びカプセルの温度を気化温度以下に下げる。これは、所定の期間にわたって吸入が発生していないことの検出に応じて、および/または入力に応じて(たとえば、ボタンを押すことに応じて)実行され得る。
【0127】
ここで
図12Bを参照すると、
図12Bは、いくつかの用途では、気化器を使用して植物材料を加熱するための技術を示すグラフである。いくつかの用途では、気化器内の植物材料に3段階(または3ステップ)の加熱プロセスが適用される。加熱プロセスの2番目の2つの段階は、
図12Aに示す実線の曲線を参照して説明した段階とほぼ同じである。(
図12Bに関して、これらの段階はそれぞれ、第2および第3加熱段階と呼ばれる。)いくつかの用途では、
図12Bに示すように、植物材料から湿気を除去するために、追加の初期加熱段階が適用される。
【0128】
例えば、気化器が大麻と共に使用される場合、気化器は次の3つの加熱段階を大麻に適用することができる:1)第1温度までの加熱は、摂氏90℃を超える(たとえば摂氏100℃を超える)および/または摂氏120℃未満(たとえば摂氏110℃未満、たとえば摂氏90℃から120℃の間)(または摂氏100から110℃)であり得る。いくつかの用途では、植物材料は、たとえば、後の加熱の間に化合物が気化する前に植物材料から水分を取り除く目的で、一定期間、ほぼ第一温度(たとえば、第1温度のプラス/マイナス摂氏5℃)に維持される。
図12Bでは、最初の加熱段階は約28秒で開始されるように示される。最初は、温度は過加熱するが、次に摂氏95℃および摂氏105℃の間で横ばいになる。いくつかの用途では、植物材料は5秒以上、たとえば5から60秒の間(たとえば、
図12Bに示すように、約25秒)、ほぼ最初の温度に維持される。第1の加熱工程は、急速加熱工程(例えば、植物材料を含むカプセルが毎秒50℃を超える、または毎秒100℃を超える速度で加熱される加熱工程)であってもよい。いくつかの方法では、大麻はさらに加熱する前に5から15秒間90℃から110℃の温度に加熱される。さらに、気化器の制御回路は、カプセルの温度(植物材料の温度を示す)が第1の温度に達したことの検出に応じて、カプセルのさらなる温度上昇を中止するように構成されてもよい。いくつかの用途では、加熱は、材料の水分を所望のレベルに減らすような時間で実行される。例えば、加熱は、植物材料内の水分を植物材料の約10から40重量%(例えば、植物材料の10から15重量%)に減らすために実行されてもよい。2)摂氏140℃を超える(例えば、摂氏150℃を超える)、および/または摂氏170℃を下回る(例えば、摂氏160℃を下回る)、例えば、摂氏140から170℃(または摂氏150から160℃)の第2の温度まで加熱する。これは、
図12Aの実線の曲線で示される第1の加熱段階に対応する。
図12Bでは、この段階は約63秒で開始されるように示されている。最初は、温度が過加熱するが、その後、摂氏約145℃から155℃の間で横ばいになる。いくつかの用途では、植物材料は、所定の期間、ほぼ第2温度(たとえば、第2温度のプラス/マイナス5℃)に維持されます。例えば、植物材料は、5秒を超える期間、例えば5秒から7分の間、第2の温度に維持されてもよい。3)180℃を超える(例えば、摂氏190℃を超える)、および/または摂氏220℃を下回る(例えば、摂氏210℃を下回る)第3の温度、例えば、180℃から220℃、または190から210℃の間の温度まで加熱する。
図12Bに示されるように、加熱の第3段階は約90秒で開始され、約155秒まで続く。
【0129】
いくつかの用途では、方法は、植物材料を加熱して、気化の前に植物材料の化学組成を変更することを含む。そのような変更は、化学反応によるか、材料中の化合物の相対レベルを変更させること、またはその両方によるものであってよい。いくつかの用途では、加熱により化学反応が引き起こされる、開始される、または加速されて前駆体が化合物に変換され、その後の加熱により材料から気化する。そのような方法は、植物材料を第1の温度に加熱して第2の濃度の温度感受性成分を有する加熱された植物材料を形成することにより、第1の濃度の温度感受性成分を含む植物材料から植物材料蒸気を生成することを含んでもよい。いくつかの方法では、第1の濃度は第2の濃度よりも大きい。他の方法では、第1の濃度は第2の濃度よりも低い。この方法は、加熱された植物材料を第2の温度に加熱して、温度感受性成分を含む植物材料蒸気を形成することをさらに含み得る。温度感受性成分は、第1の温度への加熱中に第2の成分に変換され得る。結果として、植物材料蒸気は、第2の成分をさらに含んでもよい。
【0130】
例えば、化合物の初期量および化合物の前駆体の初期量を含む植物材料から、植物材料蒸気を生成する方法は、植物材料を140℃から160℃の第1の温度に5から15秒間加熱することにより前駆体を化合物に変換することを含む。量の減少した前駆体と量の増加した化合物を含む植物材料に変換する。この方法はさらに、変換された化合物を2から5秒間摂氏190℃から200℃の第2の温度に加熱することにより変換された化合物を蒸発させて、植物材料蒸気を生成することを含み得る。
【0131】
いくつかの用途において、加熱は、植物材料の感覚受容性プロファイル(例えば、風味プロファイル)を変化させ得る。植物材料はタバコであってもよい。別の例では、植物材料は大麻であってもよい。いくつかの用途では、加熱は、以下でさらに説明するように、大麻などの植物材料の前駆体を脱炭酸して化合物を形成する場合がある。
【0132】
いくつかの用途において、本技術は、カンナビノイドを含む植物材料を加熱するなど、本明細書に記載のデバイスを使用して生成された蒸気を投与することにより、薬理学的利益を提供する方法を提供する。カンナビノイドは体内のさまざまな受容体と相互作用して、幅広い効果を生み出す。その結果、カンナビノイドはさまざまな医療目的に使用されてきた。注目すべきカンナビノイドには、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)が含まれる。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)はテトラヒドロカンナビノール(THC)の前駆体であり、カンナビジオール酸(CBDA)はカンナビジオール(CBD)の前駆体である。テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)およびカンナビジオール酸(CBDA)は、それぞれテトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)に変換され、本明細書で議論されるデバイスおよび関連する方法に従って投与され得る。
【0133】
本技術によって提供される例示的な治療方法は、疼痛管理の治療、食欲刺激、悪心および嘔吐の治療、緑内障の治療、オピオイドおよび他の薬物依存および離脱の治療、てんかんの治療、喘息の治療、および精神障害の治療を含む。特に、本技術は、本明細書に記載の装置を使用してカンナビノイド含有材料を加熱することにより生成された蒸気を対象に投与することを含む、ヒトまたは他の動物対象の疼痛の治療方法を提供する。植物材料は、任意の適切な大麻種またはそれらの混合物から入手することができる。例えば、いくつかの用途では、植物材料は、約70%のサティバと約30%のインディカの混合物などのカンナビスサティバとカンナビスインディカの混合物である。用途によっては、植物材料が15から30%、または20から22%のTHCを含む場合がある。
【0134】
疼痛の治療には、硬組織および軟組織における様々な疾患および他の障害による疼痛の予防、軽減、または除去が含まれ得る。そのような障害は、急性または慢性障害に関連している可能性があり、侵害受容性、神経障害性、または炎症性であり得る。例えば、本明細書の方法により治療される疼痛は、関節リウマチ、変形性関節症、癌、内臓痛、神経障害、多発性硬化症、外傷、外科的処置、および歯科的処置などの障害に関連し得る。いくつかの用途では、中程度の痛み(視覚アナログスケール(VAS)4-6)または重度の痛み(VAS7-10)を治療するための方法がある。
【0135】
したがって、上記の多段階加熱を含むいくつかの用途では、植物材料は、材料を気化させる前に植物材料中の化合物を脱炭酸するのに十分な温度に加熱される。例えば、大麻は、脱炭酸を引き起こすのに十分な時間、すなわち大麻に存在するテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)をテトラヒドロカンナビノール(THC)に、および/またはカンナビジオール酸(CBDA)をカンナビジオール(CBD)に変換するのに十分な時間、第2温度に維持され得る。一部の用途では、植物材料を第2温度に維持すると、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる、非特許文献1および/または非特許文献2に従って、大麻の脱炭酸が引き起こされる。例えば、
図12Bは、約25秒間、ほぼ第2の温度に維持されている植物材料を示している。
【0136】
第2の加熱ステップは、急速加熱ステップであってもよい(例えば、植物材料を含むカプセルが毎秒50℃を超える、または毎秒100℃を超える速度で加熱される加熱ステップであってもよい。)。さらに、気化器の制御回路は、カプセルの温度(植物材料の温度を示す)が第2の温度に達したことの検出に応答して、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成されてもよい。
【0137】
上述のように、いくつかの用途では、加熱の第3段階(
図12Aの実線で示される第2加熱段階に対応する)は、気化器からの空気の吸入に応答して自動的に開始される。あるいは、加熱プロセスの第3段階は、異なる入力(たとえば、ONボタンの2回目の押下)に応じて開始されてもよい。さらに、代替的に、加熱プロセスの第3段階は、加熱の第2段階が完了した後に自動的に開始され、表示(インジケータライト、振動、および/または音声信号(例えば、ビープ音))が第3加熱段階の目標温度に到達したことを示すために生成され得る。第3の加熱段階中、制御回路は、加熱プロセスの第1および第2段階中よりも遅い速度でカプセルを加熱してもよい。例えば、加熱プロセスの第3段階の間、気化器のカプセルのメッシュは、毎秒50℃未満、例えば毎秒40℃未満の速度で加熱されてもよい。加熱プロセスの第3段階では、制御回路は、カプセルの温度が植物材料の気化温度と植物材料の熱分解温度の間にあることを検出したことに応答して、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成される。たとえば、気化器を使用して大麻を気化させる場合、気化器の制御回路は、カプセルの温度が摂氏180℃を超える(例えば、摂氏190℃を超える)および/または摂氏220℃未満(例えば、摂氏210℃未満)、たとえば、摂氏180℃から220℃、または摂氏190℃から210℃の温度第3の温度に達したことを検出したことに応答して、カプセルのさらなる温度上昇を停止するように構成されている。
【0138】
植物材料として大麻を使用することに関して主に3段階加熱プロセスを説明したが、本開示の範囲は、他の植物材料(例えば、たばこ)に必要な変更を加えた3段階加熱プロセスを適用することを含むことに留意されたい。大麻以外の植物材料に適用される場合、3段階加熱プロセスで使用される温度と期間は、植物材料の特徴的な蒸発温度、熱分解温度、およびその他の化学的特性に応じて異なる。
【0139】
上述のように、カンナビノイドは、痛みを治療するなどの様々な医学的状況のために投与され得る。したがって、例えば、ヒトまたは動物の被験体の疼痛を治療する方法は、THC/THCA含有大麻を、例えば140から160℃の第1温度に5から15秒間加熱して、加熱された大麻を形成することを含み得る。大麻にはテトラヒドロカンナビノール(THC)がすでに含まれている場合があるが、最初の温度まで加熱すると、大麻の量に含まれるテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)が追加のテトラヒドロカンナビノール(THC)に変換される。
【0140】
同様に、ヒトまたは動物の被験体の疼痛を治療する方法は、ある容量のCBD/CBDA含有大麻を、例えば、140℃から160℃の第1温度に5から15秒間加熱して、加熱された大麻を形成することを含み得る。大麻にはすでにいくらかのカンナビジオール(CBD)が含まれている場合がありますが、最初の温度まで加熱すると、大麻内のカンナビジオール酸(CBDA)が追加のカンナビジオール(CBD)に変換される。
【0141】
方法は、加熱された大麻を190から200℃の第2温度に2から5秒間加熱して、化合物を含む蒸気の用量(例えば、THCまたはCBD)を形成することをさらに含んでもよい。蒸気の用量の化合物には、大麻にすでに存在する化合物と、第1の温度まで加熱した結果として形成される追加の量が含まれる。第2の温度への加熱は、加熱された容積が第1の温度未満に冷却された後(例えば、不活性により周囲温度に冷却された後)、第1の温度から、またはより低い温度から実行され得ることを理解されたい。
【0142】
ヒトまたは動物の被験体の疼痛を治療する方法は、大麻を、量の減少した前駆体と量の増加した化合物を含む大麻の変換された質量を得るために、140から160℃の第1の温度に5から15秒間加熱して、大麻(初期量の化合物および初期量の前駆体を含む大麻)の前駆体を脱炭酸することを含み得る。この方法は、変換された質量を190から200℃の第2の温度に2から5秒間加熱して化合物を含む蒸気の用量を生成することにより変換された質量中の化合物を蒸発させることをさらに含み得る。この方法はまた、蒸気の用量を対象に投与することを含んでもよい。この方法は、脱カルボキシル化の前に5から15秒間、90から110℃などの上記の予備温度で大麻の中の水分を減らすことをさらに含むことができる。化合物はテトラヒドロカンナビノール(THC)であってもよく、前駆体はテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)であってもよい。あるいはまたはさらに、化合物はカンナビジオール(CBD)であってもよく、前駆体はカンナビジオール酸(CBDA)であってもよい。
【0143】
治療方法はまた、治療を必要とするヒトまたは他の動物の被験体に蒸気を投与することを含む。いくつかの用途では、方法は1回以上の蒸気の投与を含む。そのような用量は、本明細書に記載の蒸気装置からの1つまたは複数の吸入(または「パフ」)を含んでもよい。用量は、THCまたはCBDなどの1つまたは複数の化合物の安全かつ有効な量を含むことが好ましい。化合物の「安全で有効な」量は、過度の有害な副作用(毒性、刺激、またはアレルギーなど)を伴わずに、ヒトまたは動物の被験体で望ましい治療効果(痛みの治療など)を得るのに十分な量であり、この技術の方法で使用した場合の合理的な利益/リスク比に見合ったものである。化合物の特定の安全かつ有効な量は、治療される特定の状態、患者の身体状態、併用療法の性質(もしあれば)、使用される特定の化合物、および所望の投与計画などの要因によって異なる。大麻植物材料の気化を含むいくつかの用途では、用量は痛みを緩和するのに十分であるが、認知障害はほとんどまたはまったく生じず、特に、特定の被験体については、治療(痛みの緩和など)に必要な蒸気の最小量(下限しきい値)がある。同時に、被験者に向精神作用を及ぼす蒸気の高用量(上限しきい値)がある。したがって、例示的な実施形態では、治療中の蒸気の用量は、下限閾値を上回るが上限閾値を下回るように調整される。これらのしきい値は、経験的な調査を通じて決定された設計パラメータであってもよい。
【0144】
いくつかの用途において、大麻植物材料25mg当たり少なくとも1mgのテトラヒドロカンナビノール(THC)の気化および投与を可能にするように、方法がTHC含有大麻植物材料で実施される。例えば、大麻植物材料25mgあたり2mgから7.5mg(例えば、大麻植物材料25mgあたり5mgのTHC)のTHCの気化および投与を可能にする方法を実行することができる。方法は、THCの蒸発と投与が大麻の量に対して目標用量の±5%以内(例えば、大麻の量に対して目標用量の±3%以内)になるように制御できる。非限定的な実施形態において、THCの気化および投与は、大麻の体積についての2mgの標的用量の±0.1mg以内であり得る。気化の用量は、1mgから7.5mgのTHC(たとえば、2mgから5mgのTHC)を含む場合がある。蒸気の投与量は、各ドローの長さ/範囲に応じて、(たとえば、より少ないドローの数をより多くまたはより短いドローの数をより多く)1つ以上のドローを介して蒸発デバイスから投与できることを理解されたい。別の例では、蒸気の用量は、少なくとも1:50のTHC:THCA比でテトラヒドロカンナビノール(THC)およびテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)を含み得る。たとえば、THC:比は少なくとも1:2(たとえば1:1)になり得る。さらに、THC/THCA含有大麻のTHCAの少なくとも50%がTHCに変換される可能性がある。たとえば、大麻のTHCAの少なくとも87%をTHCに変換できる。
【0145】
いくつかの用途において、大麻植物材料25mg当たり少なくとも1mgのカンナビジオール(CBD)の蒸発および投与を可能にするように、CBD含有大麻植物材料を使用して方法が実施される。例えば、大麻植物材料25mgあたり少なくとも2mgから7.5mgのCBD(例えば、大麻植物材料25mgあたり5mg)の蒸発と投与を可能にするために、方法を実行してもよい。この方法は、CBDの蒸発と投与が大麻に対して目標用量の±5%以内(例えば、大麻に対して目標用量の±3%以内)になるように制御することもできる。非限定的な実施形態において、CBDの気化および投与は、大麻に対して2mgの標的用量の±0.1mg以内である。蒸気の用量は、1mgから7.5mmのCBD(たとえば、2mgから5mgのCBD)を含み得る。別の例では、蒸気の用量は、少なくとも1:50のCBD:CBDA比でカンナビジオール(CBD)およびカンナビジオール酸(CBDA)を含んでもよい。たとえば、CBD:CBDA比は少なくとも1:2(たとえば1:1)になり得る。さらに、CBD/CBDA含有大麻のCBDAの少なくとも50%がCBDに変換され得る。たとえば、大麻のCBDAの少なくとも87%がCBDに変換される。
【0146】
ここで、いくつかの用途に従って、気化器のそれぞれの連続する吹かし(puff)で植物材料から放出される吹かし粒子質量(例えば、化合物の)を示す棒グラフである
図13Aおよび13Bを参照する。棒グラフのy軸には、植物材料から放出される化合物の吹かし粒子の質量を、特定の任意の質量の割合として測定したものである。棒グラフは、各吹かし中にカプセルを通る総空気流量が互いに同じであると仮定して、各吹かし中に植物材料から放出される化合物の質量を示す。
【0147】
図13Aは、各吹かし中にカプセルが同じ温度に加熱される場合に、各吹かし中に植物材料から放出される化合物の質量の例を示す。示されているように、連続する吹かし中、連続する吹かし中に植物材料から放出される化合物の質量は減少する。これは、連続する吹かしごとに、より多くの化合物が植物材料からすでに放出されているため、放出可能な化合物が少ないためである。
【0148】
上記のように、いくつかの用途について、制御回路は、現在加熱されている植物材料の部分(例えば、カプセル内に配置される植物材料の一部であり得る)からすでに気化されている化合物の量を計上する。例えば、場合によっては、現在加熱されているカプセルにすでに適用されている気流の流量および温度に基づいて、制御回路はすでに気化されている化合物の量を決定してもよい。一部の用途では、制御回路は、すでに気化した化合物の量に応じて、カプセルを加熱する目標温度を決定する。例えば、所定の気流流量に対して、制御回路は、すでに気化されている化合物の量が多いほど、カプセルをより高い温度に加熱してもよい。
【0149】
図13Bは、そのような用途に従って、連続する吹かしの間に植物材料から放出される化合物の質量の例を示す。示されているように、連続する吹かし中に植物材料から放出される化合物の質量は一定のままであり、これは、制御回路が植物材料が加熱される温度を上げるためであって、より多くの化合物がすでに植物材料から放出されている。気化器の制御回路が、連続する吹かしごとに、より多くの化合物が植物材料からすでに放出されているという事実を説明した結果、所定の吸入空気流量に対して、植物材料の一部(カプセルなど)の使用開始から使用終了までの間に気化器によって生成される蒸気の強度、フレーバー、および/またはこく味の変化がない(または無視できる)。
【0150】
本出願の範囲には、2016年3月17日に出願された「活性成分を蒸発させるための気化器」というタイトルの国際出願番号PCT/IL2016/050293(WO2016/147188として公開)に記載された装置および方法も含まれる。優先権を主張し、2015年3月19日に出願された「有効成分を蒸発させる気化器」と題する米国仮特許出願第14/662,607(US2016/0271347として公開)号の一部継続であり、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
本技術の適用は、以下の非限定的な例を通じてさらに説明される。
【0152】
(例)
ヒトの障害を治療するための本技術の気化器デバイスの薬物動態、有効性、安全性、および使いやすさを調査するために研究が行われた。ボランティアは研究への参加のために募集され、以下の選択基準を満たした。(a)30歳以上70歳未満。(b)医学的な問題は知られていない。(c)該当する場合、尿妊娠検査陰性(β絨毛性ゴナドトロピン妊娠検査)。除外基準は、(a)重大な心疾患または肺疾患、(b)精神病または不安障害の病歴、(c)妊娠、妊娠の試みまたは授乳、(d)神経障害性または非神経障害性疼痛障害の存在、(e)低収縮期血圧、(>90mmHg)(f)糖尿病(g)精神病または不安障害の1度の家族歴、(h)薬物中毒の歴史、(i)薬物乱用の歴史、(j)以下の薬物の併用:リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、またはフェノバルビタール、プリミドン、(k)次の植物を使用:セイヨウオトギリ、トログリタゾン、(l)研究の12時間前までのアルコール消費、(m)異常なパラメータなど100BPMを超える心拍数、90mmHg未満の血圧(収縮期)、91パーセント未満の飽和、(n)試験前72時間までの大麻のレクリエーション使用、(o)薬物の慢性使用、および(q)年齢30未満または70を超える。
【0153】
この研究は、単回投与用量設計を有していた。参加者は4つの用量関連グループに分けられ、各グループには3人のボランティアが含まれていた。3回のトレーニング吸入の成功後、各参加者は3秒間の単回吸入を吸入した。用量群は、10±0.1mg、15±0.1mg、20±0.1mg、25±0.1mgのTHCであった。
【0154】
THCおよびその活性代謝産物Δ9カルボキシ-THCの血漿レベルのモニタリングのために、吸入の直前および吸入の2、3、4、10、30分後に血液サンプルを採取した。血液は、EDTAを含む13x75mmの紫色の上部のバキュテナーチューブに収集された。サンプルを氷上に保持し、30分以内に遠心分離した。血漿サンプルを3.6mLポリプロピレンNunc凍結チューブ(ThomasScientific,NJ,USA)に分注し、-20℃で凍結保存し、6週間以内に分析しました。カンナビノイド分析は、Pactox(PacificToxicologyLaboratories)Labsで多次元ガスクロマトグラフィー質量分析法により実施された。
【0155】
有害事象は、吸入後5、15、30、60、および120分で、参加者によって自発的に報告されたものとともに記録された。有害事象は、重症度、頻度、期間、および試験薬との関係の観点から標準化された基準に従って評価された。有害事象は、成人の有害事象の重症度をスコア化するために、NIH Division of AIDSテーブルを使用して等級付けされた。
【0156】
血圧、脈拍数、および酸素飽和度も、吸入後30、60、90、および120分のベースラインで記録された。認知テストは、吸入の30、60分後、および実験の終了時に、実験前にShortBlessedTestを使用して実施された。
【0157】
試験装置は、図に関連して上述したとおりであり、処理された大麻フローの最大80用量を蒸発させ、化合物の肺送達をもたらすように設計された。吸入器は、複数回投与カートリッジ、表示灯、および電源スイッチで構成された。カートリッジには、複数の事前計量済みの10.0±0.1mg、15.0±0.1mg、20.0±0.1mg、および25.0±0.1mgの処理済み大麻フローが事前にロードされた。気化プロセスは分断されており、ボランティアが操作ボタンを押すことでトリガーされた。セグメント蒸発プロセスは、THCAをTHC1に変えることを目的としており、次の方法で実行される。(1)段階I-材料を100℃で9秒間加熱する。(2)段階II-材料を150℃で9秒間加熱します。(3)段階III-3秒間の吸入で材料を190℃から200℃(蒸発温度)に加熱する。次の用量/吸入への移行は、機械的回転ホイールを使用して実行される。この装置は、肺へのカンナビノイド蒸気の完全かつ高効率な送達を保証する自動熱制御を行う。この装置は、「単回吸入」用量分解能、即時投与を可能にし、吸入自体以外の前処理または被験者の介入を必要としなかった。
【0158】
この研究で使用した大麻花は、「ティクン・オラム」によって提供されたアラスカ株のものであった。この株は、サティバ70%とインディカ30%のハイブリッドである。この株は、20-22%のTHCと0%CBDとから成る。本研究で使用した加工大麻花は、誘導体化なしの修正ガスクロマトグラフィー法によりTHCをテストし、その結果、20.08%のΔ9-THC含有量が得られた。治験薬は、適切な投与量を送達する別個のカートリッジに事前装填されて提供された。
【0159】
この研究の主な結果は、吸収段階中のΔ9-THCの個体間変動を特徴付けることであった。副次的結果には、(a)有害作用の監視、(b)血圧、および心拍数、(c)試験装置を使用して単回投与の反応を監視することが含まれる。さらに、被験体の認知状態に対する試験装置の使用の影響を評価した。ShortBlessedTest認知テスト19が、試験の目的のために使用された。
【0160】
以下のパラメータは、研究データから直接導き出された:(1)各アームΔ9テトラヒドロカンナビノール(THC)ピーク濃度(Cmax±SD);(2)ピークTHC濃度に達する時間(Tmax±SD);(3)9-Carboxi THC。Δ9-THCから時間曲線まで、プロットが生成され、曲線下面積(AUC)が線形数値台形非コンパートメント分析または正確な方法によって決定された。特に明記しない限り、結果は平均値±標準偏差として示されている。
【0161】
現在の研究の間、12人の健康なボランティアが実験のために募集された。ボランティアの基本データを以下の表1に示す。
【0162】
【0163】
表1はボランティアのベースライン特性を示し、BMIはボディマス指数である。
【0164】
THCの漸増用量は、AUCの寸法の同じ線形増加を伴う最大濃度の線形増加をもたらし、両方ともそのような濃度に達するのに必要な時間の有意な変化はなかった。以下の表2を参照する。
【0165】
【0166】
表2はさまざまな投与量グループの平均値を示し、THC Cmaxはテトラヒドロカンナビノールの最大濃度、AUCは曲線下面積、Tmaxは最大濃度に達するまでの時間である。
【0167】
図14および15は、各患者の値を伴う吸収段階中のΔ9-THCの個体間変動性の図式描写を示す。
【0168】
研究の時間枠の間、血圧、心拍数、または血中酸素飽和度の有意な変化は観察されなかった。表3は、各用量群の平均値を示す。
【0169】
【0170】
表3は収縮期および拡張期血圧、心拍数、酸素飽和度の平均値を示し、SBPは収縮期血圧、DBPは拡張期血圧、HRは心拍数、SO2は血中酸素飽和度である。
【0171】
ShortBlessedTest、6項目テストは、ボランティアの認知状態評価を可能にする診断ツールとして使用された。各項目にスコアを付け、次のカットオフポイントで合計スコアを計算した:正常または最小の障害:0-8、中程度の障害:9-19、重度の障害:20-33。すべてのボランティアは、表4に示すように、最小限の認知障害を示した。
【0172】
【0173】
表4は線量に関連したShortBlessedTestの平均値を示し、SBTはShortBlessedTestのスコアである。
【0174】
この研究の主な結果は、熱計量式吸入器を上昇用量様式で使用することにより吸入されるΔ9-THCの薬物動態プロファイルを決定することであった。すべてのボランティアは、flosのセグメント化された加熱気化の後、THCの上昇用量を3秒間吸入した。THCの肺吸収は急速であり、血中濃度が二相性に低下する。それに比べて、THCの静脈内投与では、血中の最高濃度、すなわちΔ9-THCのng/mL単位のCmaxが得られる:43.8(非特許文献3)、32.8(非特許文献4)、および23.8(非特許文献5)。さまざまなタイプの肺送達方法により、THCのmgごとに異なるCmaxが得られた。
図17は、吸入器の結果を文献に公開されているデータと比較している。SyqeInhaler(12.3ng/mL/mg、非特許文献5)、Volcano気化器(3.9-9ng/mL/mg、非特許文献6および7)およびスモーク大麻(2.9-4.6ng/mL/mg)(非特許文献6,9,10)の最近公開されたデータと比較しても、吸入器はTHC Cmax(17-18ng/mL/mg)の最大の増加をもたらした。本技術の吸入器を使用したCmaxの結果は、スモーク大麻(非特許文献10および14)と比較して3.9-5.8倍、Syqe吸入器(非特許文献5)と比較して1.3-1.46倍であった。これはおそらく、スモーク大麻と比較した場合の吸入時間が長く、Syqe吸入器と比較してTHCAからTHCに変化したためである。吸入器の温度センサとその効果的なフィードバックおよび熱制御アルゴリズムにより、低い変動係数(CV)が達成された。文献CV値は、スモーク大麻では32%-116%(非特許文献8、9および10)、気化器では47%-85%(非特許文献6および11)、経口摂取では42%-115%(非特許文献8、12、13)、および口腔粘膜投与では59%-67%(非特許文献12および
図16)と報告されている。吸入器の使用は、有害作用を最小限から全く示さず、すべて可逆的であり、急速に消失した。実行された認知テストでは、正常から最小限の障害の認知状態が示された。
【0175】
本開示の例示的な実施形態は、上記で特に示され説明されたものに限定されないことを当業者は理解するであろう。むしろ、本開示の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションの両方、ならびに前述を読んだときに当業者に思い浮かぶ先行技術にないその変形および修正を含む。例えば、
図1および
図2に関して上記で議論した制御方法、
図10、11、12Aまたは12Bなどを組み合わせておよび/または並行して実行することができる。