(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052372
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】医療用氷スラリーの生成と送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 7/10 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A61F7/10 300Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003448
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2022092675の分割
【原出願日】2017-02-24
(31)【優先権主張番号】62/300,679
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガリビャン リリト
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン リチャード ロックス
(72)【発明者】
【氏名】ファリネッリ ウイリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴォルスキー エミーリア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医療用氷スラリーを生成するための改良されたシステムと方法を提供する。
【解決手段】ハウジングは、アクチュエータと、使い捨てカートリッジに保持された非凍結スラリー組成物を氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するためにハウジングと協働可能な冷却装置と、を備える。医療用氷スラリー生成システムはさらに、小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を針の先端を通して患者に送達するのに十分な大きさまで氷の結晶を小さくするように医療用スラリー組成物を撹拌するためにハウジングのアクチュエータと協働可能な撹拌機と、小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を使い捨てカートリッジから回収又は注入することを許容するように構成され設けられたアクセスポートと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結していない無菌医療用スラリー組成物が閉鎖環境内で自己完結するように、前記無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジと、
前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記凍結していないスラリー組成物を前記使い捨てカートリッジ内の前記医療用スラリー組成物中で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するための冷却装置と、
前記使い捨てカートリッジを支持し、アクチュエータ、および前記冷却装置によって提供される冷却液またはガスを受け取るように構成された通路を備える、ハウジングと、
小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記氷の結晶が小さくなるように前記医療用スラリー組成物を撹拌するために前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機と、
前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収又は注入されることを可能にするように構築され配置されたアクセスポートと
を備え、
前記アクセスポートが前記使い捨てカートリッジ内に画定されており、および
前記使い捨てカートリッジが、前記ハウジング内に取り外し可能に設置されている、
医療用氷スラリー生成システム。
【請求項2】
前記使い捨てカートリッジが、注射器又はキャニスターのうちの1つを備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項3】
前記アクセスポートが、注射器が前記アクセスポートと係合することおよび前記スラリー組成物を回収することを可能にするように構築され配置されている、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項4】
前記アクチュエータが、少なくとも一つの振動装置または回転装置を備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項5】
前記撹拌機が、前後に回転するように構築され配置された回転装置を備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項6】
前記撹拌機が前記使い捨てカートリッジに取り付けられている、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項7】
前記撹拌機が前記ハウジングに支持された前記アクチュエータに取り付けられている、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項8】
前記アクチュエータが、
前記医療用スラリー組成物を患者に注入するために、前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、前記撹拌機に前記使い捨て容器の内側の前記医療用スラリー組成物を撹拌させるように構築され配置された、モーター
を備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項9】
前記アクセスポートが、前記使い捨てカートリッジ内に画定された第1のアクセスポートであり、前記システムが、前記ハウジング内に画定された第2のアクセスポートを備え、前記第1のアクセスポートと前記第2のアクセスポートとが、前記医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記医療用氷スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収されることを可能にするように流体連通している、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項10】
前記冷却装置が、標準的冷凍、磁気的冷凍、電気的冷却、または化学的冷却のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項11】
(i)栓を備えたルアーロック、(ii)圧力弁、(iii)クイックディスコネクト、(iv)ルアーロックを備えた一方向弁、および(v)無菌ゴム栓のうちの少なくとも1つが、無菌医療用スラリー組成物が前記アクセスポートを通して前記使い捨てカートリッジから回収されることを選択的に可能にするために前記アクセスポートと協働可能である、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項12】
前記小さくなった氷の結晶が約1mm未満である、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項13】
前記アクチュエータが、前記撹拌機を約1000回転/分~45000回転/分の回転速度で回転させるように動作可能である、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項14】
前記撹拌機が、それぞれ前記使い捨てカートリッジの直径の約12.5%~約99%の長さを規定するような大きさである1つ以上のブレードを備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項15】
前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を使い捨て送達チューブを通して前記使い捨てカートリッジの前記アクセスポートの外へポンピングするように動作可能なポンプと
をさらに備える、請求項1に記載の医療用氷スラリー生成システム。
【請求項16】
アクチュエータ、および冷却装置によって提供される冷却液またはガスを受け取るように構成された通路を備えたハウジング内に、凍結していない無菌医療用スラリー組成物が閉鎖環境内で自己完結するように、前記無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジを取り外し可能に設置するステップと、
前記冷却装置を用いて、前記使い捨てカートリッジ内の前記医療用スラリー組成物中で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで前記使い捨てカートリッジを冷却するステップと、
前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機を用いて、前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジ内に画定されたアクセスポートを介して針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記医療用スラリー組成物を撹拌するステップと、
を備え、
前記アクセスポートは、前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収または注入されることを可能にするように構築され配置されている、医療用氷スラリーを生成するための方法。
【請求項17】
医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物を使い捨てカートリッジから回収するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物を使い捨てカートリッジからポンピングするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記撹拌するステップが、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、アクチュエータに前記医療用スラリー組成物を撹拌させるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
適用せず。
【0002】
(連邦支援研究に関する声明)
適用せず。
【0003】
本開示は全体的に医療用途の氷スラリーに関し、より具体的には医療用氷スラリーの生産と回収(withdrawal)又は注入のためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医療分野で用いられる氷スラリーは一般的に部分的に凍結された生理食塩水を含む。医療用氷スラリーは外科的用途で用いられて、低体温療法を誘導し、臓器や組織の代謝率を遅くすることによって、外科手術中に患者の臓器を保護する。選択的または非選択的凍結療法および/または冷凍融解のためにも、医療用氷スラリーが患者に注入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は医療用氷スラリーを生成するためのシステムと方法を提供する。具体的には、ポイントオブケアでエンドユーザー/臨床医が無菌医療用氷スラリー組成物を生成して送達することを可能にする医療用氷スラリー生成システム及び方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、本開示は非凍結、無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジを備えた医療用氷スラリー生成システムを提供する。システムはさらに、前記使い捨てカートリッジを支持するハウジングを備える。ハウジングは、アクチュエータと、前記使い捨てカートリッジに保持された前記非凍結スラリー組成物を氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するために前記ハウジングと協働可能な冷却装置と、を備える。医療用氷スラリー生成システムはさらに、小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を針の先端を通して患者に送達するのに十分な大きさまで前記氷の結晶を小さくするように医療用スラリー組成物を撹拌するために前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機と、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、前記小さくなった前記氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物を前記使い捨てカートリッジから回収又は注入することを許容するように構成され設けられたアクセスポートと、を備える。
【0007】
また別の態様では、本開示は非凍結、無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジを備えた医療用氷スラリー生成システムを提供する。使い捨てカートリッジはアクセスポートを備える。医療用氷スラリー生成システムはさらに、前記使い捨てカートリッジを支持するハウジングを備える。ハウジングはアクチュエータを備える。医療用氷スラリー生成システムはさらに、前記使い捨てカートリッジに保持された前記非凍結スラリー組成物を前記組成物内で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するために前記ハウジングと協働可能な冷却装置と、小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を針の先端を通して患者に送達するのに十分な大きさまで前記氷の結晶を小さくするように医療用スラリー組成物を撹拌するために前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機と、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、使い捨て供給チューブを通して前記使い捨てカートリッジの前記アクセスポートの外へ前記小さくなった前記氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物をポンピングするように動作可能なポンプと、を備える。
【0008】
さらにまた別の態様では、本開示はハウジング内に非凍結、無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジを設けるステップと、前記ハウジング内に設けている間に、前記使い捨てカートリッジ内で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで前記使い捨てカートリッジを冷却するステップと、を備えた医療用氷スラリー生成方法を提供する。医療用氷スラリー生成方法はさらに、小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を針の先端を通して患者に送達するのに十分な大きさまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶を小さくするように前記使い捨てカートリッジに保持された前記医療用スラリー組成物を撹拌するステップを備える。
【0009】
[本発明1001]
凍結していない無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジと、
前記使い捨てカートリッジを支持し、アクチュエータを備える、ハウジングと、
前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記凍結していないスラリー組成物を前記使い捨てカートリッジ内で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するために前記ハウジングと協働可能な冷却装置と、
小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記氷の結晶が小さくなるように前記医療用スラリー組成物を撹拌するために前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機と、
前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収又は注入されることを可能にするように構築され配置されたアクセスポートと
を備える、医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1002]
前記使い捨てカートリッジが、注射器又はキャニスターのうちの1つを備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1003]
前記アクセスポートが、注射器が前記アクセスポートと係合することおよび前記スラリー組成物を回収することを可能にするように構築され配置されている、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1004]
前記撹拌機が少なくとも一つの振動装置または回転装置を備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1005]
前記撹拌機が、前後に回転するように構築され配置された回転装置を備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1006]
前記撹拌機が前記使い捨てカートリッジに取り付けられている、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1007]
前記撹拌機が前記ハウジングに支持された前記アクチュエータに取り付けられている、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1008]
前記アクチュエータが、
前記医療用スラリー組成物を患者に注入するために、前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、前記撹拌機に前記使い捨て容器の内側の前記医療用スラリー組成物を撹拌させるように構築され配置された、モーター
を備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1009]
前記アクセスポートが前記使い捨てカートリッジ内に画定されている、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1010]
前記アクセスポートが、前記使い捨てカートリッジ内に画定された第1のアクセスポートであり、前記システムが、前記ハウジング内に画定された第2のアクセスポートを備え、前記第1のアクセスポートと前記第2のアクセスポートとが、前記医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記医療用氷スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収されることを可能にするように流体連通している、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1011]
前記冷却装置が、標準的冷凍、磁気的冷凍、電気的冷却、または化学的冷却のうちの少なくとも1つを備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1012]
(i)栓を備えたルアーロック、(ii)圧力弁、(iii)クイックディスコネクト、(iv)ルアーロックを備えた一方向弁、および(v)無菌ゴム栓のうちの少なくとも1つが、無菌医療用スラリー組成物が前記アクセスポートを通して前記使い捨てカートリッジから回収されることを選択的に可能にするために前記アクセスポートと協働可能である、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1013]
前記小さくなった氷の結晶が約1mm未満である、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1014]
前記アクチュエータが、前記撹拌機を約1000回転/分~45000回転/分の回転速度で回転させるように動作可能である、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1015]
前記撹拌機が、それぞれ前記使い捨てカートリッジの直径の約12.5%~約99%の長さを規定するような大きさである1つ以上のブレードを備える、本発明1001の医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1016]
凍結していない無菌医療用スラリー組成物を保持し、アクセスポートを備える、使い捨てカートリッジと、
前記使い捨てカートリッジを支持し、アクチュエータを備える、ハウジングと、
前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記凍結していないスラリー組成物を前記使い捨てカートリッジ内で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで冷却するために前記ハウジングと協働可能な冷却装置と、
小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記氷の結晶が小さくなるように前記医療用スラリー組成物を撹拌するために前記ハウジングの前記アクチュエータと協働可能な撹拌機と、
前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記小さくなった氷の結晶を含む医療用スラリー組成物を使い捨て送達チューブを通して前記使い捨てカートリッジの前記アクセスポートの外へポンピングするように動作可能なポンプと
を備える、医療用氷スラリー生成システム。
[本発明1017]
凍結していない無菌医療用スラリー組成物を保持する使い捨てカートリッジをハウジング内に設置するステップと、
前記ハウジング内に設置されている間に、前記使い捨てカートリッジ内で氷の結晶が形成されるのに十分な温度まで前記使い捨てカートリッジを冷却するステップと、
小さくなった前記氷の結晶を含む医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記医療用スラリー組成物を撹拌するステップと
を含む、医療用氷スラリー生成方法。
[本発明1018]
医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物を使い捨てカートリッジから回収するステップを含む、本発明1017の医療用スラリー生成方法。
[本発明1019]
医療用スラリー組成物の無菌性を維持しながら、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物を使い捨てカートリッジからポンピングするステップを含む、本発明1017の医療用スラリー生成方法。
[本発明1020]
前記撹拌するステップが、小さくなった氷の結晶を含む前記医療用スラリー組成物が針の先端を通して患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記氷の結晶が小さくなるように、アクチュエータに前記医療用スラリー組成物を撹拌させるステップを含む、本発明1017の医療用スラリー生成方法。
本発明の前述の態様と他の態様と利点は、以下の説明から明らかになるであろう。明細書では添付の図面が参照され、これは本明細書の一部を形成し、本発明の好ましい実施形態は、例示のためにそこに示されている。そのような実施形態は、必ずしも本発明の全範囲を表すものではないが、しかししたがって本明細書においては本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲が参照される。
【0010】
以下の詳細な説明を考慮することで、本発明はより良く理解され、上記記載以外の特徴、態様、長所は明らかになるであろう。このような詳細な説明は、以下の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一つの非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図2】カバー付きの
図1の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図3】ハウジングによって画定される内部空洞内に液体を伴う
図1の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図4】医療氷スラリー生成システムのアクセスポートに隣接して配置した注射器付きの
図1の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図5】医療氷スラリー生成システムのハウジングに連結された注射器ホルダー付きの
図1の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図6】医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジ内に配置された1つまたは複数のフィルタ付きの
図4の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図7】注射器内に配置された1つまたは複数のフィルタ付きの
図4の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図8】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図1の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図9】撹拌機のまた別の非限定的な例付きの
図1の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図10】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図1の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図11】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図1の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図12】追加のポート付きの
図1の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図13】本開示の別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図14】使い捨てチューブとそれに結合された針付きの
図11の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図15】使い捨てチューブと同一線上に位置するポンプ付きの
図12の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図16】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図11の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図17】撹拌機のまた別の非限定的な例付きの
図11の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図18】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図11の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図19】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図11の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図20】本開示のまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図21】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図22】撹拌機のまた別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図23】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図24】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図25】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図26】撹拌機のまた別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図27】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図28】撹拌機のさらにまた別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図29】その側面に配置された撹拌機を有する使い捨てカートリッジ付きの
図20の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図30】その側面に配置された撹拌機を有する1つ超の使い捨てカートリッジ付きの
図20の医療氷スラリー生成システムを示す。
【
図31】その側面に配置された撹拌機のさらに別の非限定的な例付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図32】その中に配置された1つ以上のフィルタ付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図33】追加のポート付きの
図20の医療氷スラリー生成システムの使い捨てカートリッジを示す。
【
図34】本開示の別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図35】本開示のまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図36】本開示のさらにまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図37】本開示のさらにまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図38】撹拌機の別の非限定的な例付きの
図37の医療用氷スラリー生成システムを示す。
【
図39】撹拌機のまた別の非限定的な例付きの
図37の医療用氷スラリー生成システムを示す。
【
図40】本開示のさらにまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図41】本開示のさらにまた別の非限定的な例に係る医療用氷スラリー生成システムの概略図である。
【
図42】
図41の医療用氷スラリー生成システムの製氷皿を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
オフサイトで(即ちポイントオブケアでない場所で)製造された医療用氷スラリーは、ポイントオブケアに氷スラリーを輸送するためにコールドチェーン輸送が必要である。オフサイト生成は、患者に氷スラリーを投与するエンドユーザー/臨床医にかなりの負担を課す。例えば、患者の安全性を確保するために氷スラリーは無菌性を保たなければならない。スラリーの氷の結晶サイズ、結晶形状、及び氷含量を保つために、またその冷却性能および針を通して注入するための能力をスラリーが維持すること(即ち安定性)を保証するために、氷スラリーは適切な温度で維持されていることも必要である。従ってオフサイト氷スラリー製造は、氷スラリーの末端臨床医による操作を要求することがあり、それは潜在的に患者の安全性および/または氷スラリーの有効性を危うくする可能性がある。
【0013】
従って、エンドユーザーがポイントオブケアで無菌医療用氷スラリーを生成し、供給することを可能にする医療用氷スラリー生成システムを所有することが望ましい。スラリーの無菌性および安定性(例えば、氷の結晶サイズ、形状、氷含量)を維持しつつ、ポイントオブケアで医療用氷スラリーを生成するシステムは、エンドユーザーに課せられた負担を軽減でき、医療用氷スラリーを生産して患者へ提供するプロセス全体を簡素化できる。
【0014】
図1は、医療用氷スラリー生成システム100の非限定的な1つの例を示す。医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104内に支持されるように構成された使い捨てカートリッジ102を備える。図示の使い捨てカートリッジ102は、無菌の予め充填されたキャニスターの形状をしている。使い捨てカートリッジ102は、無菌のスラリー組成物106で予め充填されている。例えば、使い捨てカートリッジ102は、国際特許出願第PCT/US2015/047301号明細書に記載のスラリー組成物の1つで予め充填されていてもよく、この明細書はその全体が本明細書に参考として組み込まれる。例えばPCT/US2015/047301に記載のように、そのようなスラリー組成物は、好ましい氷含有量範囲と温度範囲を有することができ、1つ以上の追加された氷粒子平滑化剤および/または生体適合性界面活性剤(例えばグリセロール)を含むことができ、それは例えばスラリーをより注入しやすくすることができる。本明細書に記載のシステムのいずれにおいても、(後述のように)システムが医療氷スラリーを攪拌、ブレンド、混合、又は粉砕した後、そしてスラリーを注入する直前に、そのような薬剤または界面活性剤を添加することが好ましい。無菌のスラリー組成物106を使い捨てカートリッジ102に予め充填することは、無菌スラリー組成物106が閉じた環境内で自己完結型であることを保証する。これは使い捨てカートリッジ102を取扱いながらスラリー組成物106の無菌性を維持しようとするエンドユーザーの負担を軽減するのに役立つ。いくつかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ102は、熱的安定性を改善するために、断熱材(図示せず)によって囲むことができる。
【0015】
使い捨てカートリッジ102は、プラスチック、ガラス、又は金属材料から製作することができる。使い捨てカートリッジ102は、医療用途に応じて、約1立方センチメートル(cc)~約1リットル(L)のスラリー体積を保持するための寸法にできる。使い捨てカートリッジ102は、撹拌機108に回転結合されている。撹拌機108は、使い捨てカートリッジ102内に配置された撹拌軸110とフィン112を備える。フィン112は、撹拌軸110に連結され、軸110に沿って長さ方向に螺旋状になっている。撹拌軸110は、部分的に使い捨てカートリッジ102内に収容されている。すなわち、撹拌軸110の遠位端116が使い捨てカートリッジ102の第1端部114から突出するように、撹拌軸110は使い捨てカートリッジ102の第1の側面114に収容されている。撹拌軸110が使い捨てカートリッジ102の第1端部114に対して回転シールされて、無菌スラリー組成物106と周囲の環境との間のシールを維持しながら使い捨てカートリッジ102に対する撹拌軸110の回転を可能にする。撹拌軸110と使い捨てカートリッジ102の第1端部114との間のシールは、例えば静水圧シール、流体力学的シール、流体軸受、またはOリングの少なくとも1つを利用することによって得ることができる。
【0016】
使い捨てカートリッジ102は、使い捨てカートリッジ102の第2の側120に配置されたアクセスポート118を備える。アクセスポート118は、スラリー組成物106の無菌性を維持しながら医療氷スラリー組成物106を使い捨てカートリッジ102から回収することを可能にするように、構成され配置されている。例えば、アクセスポート118は、注射器を使用して医療氷スラリー組成物をアクセスポートから回収することを可能にするように構成することができる。代替的に又は付加的に、詳細は後述するが、ユーザーは、ポンプと使い捨ての供給チューブを使用して、アクセスポートから医療用氷スラリー組成物の流体をポンピングできる。特定の実装形態では、ポンプまたはポンプを操作するように構成された制御装置は、供給チューブ、供給針またはカニューレの端部における最大許容圧力耐性を有するように構成することができる。ポンプは、調整可能な定容積ポンプを含むことができ、ポンプ又はポンプを動作させるように構成された制御装置は、スラリーの所定量が供給された場合にユーザー指定の停止が起こるように構成されることができる。ユーザーはまた、医療氷スラリー組成物が重力流を介してアクセスポートから回収されるのを可能にすることができる。当然のことながら、使い捨てカートリッジ102のアクセスポート18の位置を限定することは決して意図されておらず、アクセスポート118は、使い捨てカートリッジ102上の他の場所に配置することができる。
【0017】
ハウジング104は、使い捨てカートリッジ102を収容する寸法の内部空洞122を画定し、基部126から延びる一対の対向する側壁124を備える。側壁124は、実質的に開いた上面128に基部126から延びている。別の非限定的な例では、
図2に示すように、ハウジング104は、周囲環境から内部空洞122をさらに断熱するために、実質的に開いた上面128に取り付けられる取り外し可能なカバー129を備えることができる。
【0018】
引き続き
図1を参照すると、ハウジング104の基部126は、アクチュエータ軸132に連結されたアクチュエータ130を備える。アクチュエータ軸132は、ハウジング104の内部空洞122内に延びて、撹拌軸110に動作可能に結合するように構成されている。図示のアクチュエータ130は、モーターの形状とすることができる。代替的に又は付加的に、アクチュエータはアクチュエータ軸132とそれによって使い捨てカートリッジ102を所定の周波数(例えば超音波周波数)で振動又は撹拌するように構成することができる。別の非限定的な例では、アクチュエータ130は当技術分野で周知の別の回転又は振動機構の形状とすることができる。アクチュエータ130は、選択的にアクチュエータ軸132を回転させるように構成され、撹拌軸110と結合した場合には、使い捨てカートリッジ102内で無菌スラリー組成物106の乱流撹拌または混合を誘導する。
【0019】
医療用氷スラリー生成システム100は、冷却装置134を備える。1つの例では、冷却装置134は、少なくとも部分的にハウジング104内に支持されている。
図1に図示した非限定的な例では、ハウジング104の側壁124は上面128と基部126の間に延びる通路136を画定する。1つの非限定的な例では、通路136は側壁124を通る実質的に螺旋の経路を画定することができる。通路136は、冷却装置134によって提供される冷却液またはガスを収容するように構成されている。代替的に又は付加的に、冷却装置134によって提供された冷却液またはガスは、通路136内に収容することができるコイル(例えば銅製コイル)に供給することができる。冷却装置134は、例えば凝縮器、圧縮機、及び蒸発器を備えることができる。別の非限定的な例では、冷却装置134は、磁気冷凍、電気冷却、化学冷却、従来の冷凍、圧縮ガス(Joule-Thompson)冷却、熱電(ペルチェ)冷却、又は無菌スラリー組成物106以外の別のスラリーを利用することができる。ハウジング104は、高い熱伝導率を有する材料(例えばステンレス鋼、銅、アルミニウム)から製作することができて、使い捨てカートリッジ102内の無菌スラリー組成物106と通路136内の冷却液またはガスとの間の熱抵抗を減少させる。当然のことながら、幾つかの非限定的な例では、ハウジング104は、1つ以上の材料から製作することができる。例えば、使い捨てカートリッジ102に隣接するハウジング104の内側部分は、高い熱伝導率を有する材料から製作することができ、ハウジング104の外側部分は、断熱材料(例えばプラスチック又は発泡材)から製作することができる。
【0020】
電源138は電力を冷却装置134、アクチュエータ130、及び制御装置140に供給する。電源138は、AC壁面コンセントの形態にすることができる。代替的に又は付加的に、電源138を携帯型DC電源(例えば電池)の形態にすることができ、医療用氷スラリー生成システム100の可搬性を促進する。制御装置140は、アクチュエータ130及び冷却装置134と電気的に連通し、所望の回転速度でアクチュエータ軸132を回転させるためにアクチュエータ130に選択的に指示するように構成されている。制御装置140はさらに、冷却装置134を制御するように構成され、それによって通路136内の冷却液またはガスの温度を制御する。1つ以上のセンサ(図示せず)が制御装置140と通信して、例えば通路136内の冷却液またはガスの温度、及び使い捨てカートリッジ102内の無菌スラリー組成物106の温度を感知することができる。通路136内の冷却液またはガスの温度、及び無菌スラリー組成物106の温度は、熱電対、サーミスタ、または当技術分野で公知の他の電気温度センサを用いて測定することができる。代替的に又は付加的に、赤外線検出器および焦電センサなどの放射温度センサを実装することができる。制御装置140が能動的に冷却装置134を制御して無菌医療用氷スラリー組成物106の所望の温度を達成し維持できるようにするために、1つ以上のセンサは、制御装置140にフィードバックを提供することができる。
【0021】
操作時には、医療用氷スラリー生成システム100のハウジング104は、ポイントオブケアの場所(例えば患者の近く)に配置される。次に、予め充填された非凍結無菌スラリー組成物106を有する使い捨てカートリッジ102は、ハウジング104の内部空洞122内に配置され、撹拌軸110が共に回転するためにアクチュエータ軸132に連結される。幾つかの非限定的な例では、ハウジング104の内部空洞122は、ガスまたは空気を含む。別の非限定的な例では、
図3に示すように、内部空洞122は液体で満たされることができる。制御装置140は、所望の温度(即ち、使い捨てカートリッジ102内に保持されたスラリー組成物内に氷の結晶を形成させる温度)に通路136内の液体又は気体を冷却するよう冷却装置134に命令するように構成されている。1つの非限定的な例では、無菌スラリー組成物106の所望の温度は、制御装置140に入力され、制御装置140は、所望のスラリーの温度に達し維持するように冷却装置134を自動的に制御することができる。幾つかの非限定的な例では、無菌スラリー組成物の所望の温度は、約-10℃と約4℃の間である。
【0022】
冷却装置134が使い捨てカートリッジ102内の無菌スラリー組成物106の温度を下げている間、制御装置140は、アクチュエータ軸132とそれによって撹拌軸110を回転させるようアクチュエータ130に命令するように構成されている。当然のことながら、冷却装置134が使い捨てカートリッジ102を冷却し始める前に、又はそれと同時に、又はその後に、アクチュエータ130はアクチュエータ軸132を回転させるように命令されることができる。代替的に又は付加的に、使い捨てカートリッジ102はハウジング104から離れたところで予備冷却させることができ、次にハウジング104内でさらに冷却されて氷の結晶を形成することができる。アクチュエータ130によって提供される所望の回転速度又は力の大きさを、制御装置140に入力することができる。幾つかの非限定的な例では、アクチュエータ130によって提供される所望の回転速度は、約100回転/分(rpm)~45,000rpm、又は、約5000rpm~40,000rpm、又は約10,000rpm~30,000rpmである。撹拌軸110の回転は、無菌スラリー組成物106内のフィン112の回転をもたらす。回転するフィン112は、無菌スラリー組成物106を乱流混合するように作用して、複数の目的を果たす。第一に、乱流混合は、無菌のスラリー組成物106内の均一な温度分布を促進する。第二に、フィン112の回転は、無菌スラリー組成物106が冷却される(即ち、無菌スラリー組成物106が、液体組成物から固体氷の結晶と液体から成る氷スラリーへ遷移する)につれて無菌スラリー組成物中で形成される氷の結晶を砕くように作用する。代替的に又は付加的に、制御装置140は、スラリーが分離するのを防止するために、氷の結晶が形成された後、無菌スラリー組成物106の均質性を維持するように構成することができる。制御装置140は、無菌スラリー組成物106の均質性を維持するために約60rpm~5000rpm、又は約500rpm~4000rpm、又は約1500rpm~2500rpmの回転を与えるようアクチュエータ130に命令するように構成されている。
【0023】
撹拌機108は、無菌スラリー組成物106内に形成された氷結晶が特定の氷晶サイズに分割されていることを確実にするように構成することができる。1つの非限定的な例では、無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を約1ミリメートル(mm)未満のサイズまで砕くことができる。別の非限定的かつ最適な例では、無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を約0.1mm未満のサイズまで砕くことができる。無菌スラリー組成物106内の氷結晶のサイズを、例えば(i)光/レーザー回折法(ii)顕微鏡で直接測定及び/又は(iii)超音波又は音響法を用いて確認することができる。幾つかの非限定的な例では、無菌スラリー組成物106内の氷結晶のこの測定されたサイズは、制御装置140に通信される。
【0024】
特定の実施形態では、制御装置140又は本明細書に記載の残りの任意の実施形態のための残りの任意の制御装置も、撹拌の二つの異なるサイクルに応じて実行するように構成することができる。第1のサイクルでは、本明細書の任意の実施形態の制御装置は、注射可能な品質であるために十分な小ささのサイズ(例えば約1mm未満又は好ましくは約0.1mm未満)に氷の結晶が破壊または粉砕されるように攪拌するようアクチュエータおよびしたがってアクチュエータ軸と撹拌軸(又は本明細書に記載の他の任意の撹拌素子)に命令するように、構成されることができる。第1のサイクルの前でも後でもよい第2のサイクルでは、制御装置は、スラリーを十分に混合するように攪拌するようアクチュエータおよびしたがってアクチュエータ軸と撹拌軸(又は本明細書に記載の他の任意の撹拌素子)に命令するように構成されることができる。例えば、スラリーの十分な混合又は均質性を確実にする又は維持するために、約60rpm~5000rpm、又は約500rpm~4000rpm又は約1500rpm~2500rpm、又は撹拌素子の任意の他の適切な速度及び/又は回転数で撹拌機又は撹拌素子の回転を提供する制御装置を用いて本明細書に記載の任意のシステムを構成できる。
【0025】
幾つかの非限定的な例では、冷却装置134は、さらに、無菌スラリー組成物106への冷却と加熱の両方を提供するための冷却兼加熱装置として構成することができる。これは、最初に無菌スラリー組成物106内に氷の結晶を形成し、次に均質で球状で非樹枝状の氷結晶の形成を確実にするために注射の前に熱を供給するような医療用氷スラリー生成システム100を、可能にする。
【0026】
ひとたび無菌スラリー組成物106が所望のスラリー温度まで冷却され、無菌スラリー組成物106内の氷の結晶が所望のサイズになると、無菌スラリー組成物106は、患者での所望の医療用途で使用するためにアクセスポート118を介して使い捨てカートリッジ102から回収される。その後、使い捨てカートリッジ102は、捨てることができ、上述したプロセスは、新しい使い捨てカートリッジ102を用いて繰り返すことができる。
【0027】
上述のように、エンドユーザーまたは臨床医には、ハウジング104の内部空洞122内に、予め充填された使い捨てカートリッジ102を配置することと、スラリー組成物が所望の氷結晶サイズを伴い所望の温度に達した後に、患者に送達するためにアクセスポート118から無菌スラリー組成物106を回収することのみが求められる。従って、無菌氷スラリー組成物106が患者に使用するために回収されるまで(例えば注射器のような他の無菌送達機構で用いるために回収されるまで)無菌スラリー組成物106は、氷スラリーの製造プロセス全体を通して、使い捨てカートリッジ102内に維持される。従って当然のことながら、無菌スラリー組成物106は、医療用氷スラリーの製造プロセス全体を通して自己完結型(self-contained)であるので、スラリー組成物106の無菌性を維持するという臨床医の負担を軽減する。また、所与の医療用途のための無菌スラリー組成物106の製造(すなわち、冷却、および、適切なサイズの氷の結晶の形成)は、制御装置140、冷却装置134、及びアクチュエータ130を一緒に動作させることにより、実質的に自動化される。
【0028】
図4に、1つの非限定的な例における、滅菌スラリー組成物106を回収するためにアクセスポート118に結合されるように構成された無菌抽出注射器200を示す。幾つかの非限定的な例では、アクセスポート118はゴム栓、遮断弁、および/または取り外し可能な無菌カバー付きルアーロックを備える。無菌抽出注射器200は、患者への無菌のスラリー組成物106の注入を容易にするための針(図示せず)を備えることができる。幾つかの非限定的な例では、針(図示せず)は19ゲージか、又はそれより細いことができる。撹拌機108は、無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を、スラリーが滅菌抽出注射器200の針の直径を通って流れることを可能にするサイズまで砕くように、構成されることができる。1つの非限定的な例では、氷の結晶のサイズは例えば約1mm未満又は約0.3mm未満にすることができる。
【0029】
図5に移って、幾つかの非限定的な例では、医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104に連結された注射器ホルダー300を備える。別の非限定的な例では、注射器ホルダー300はハウジング104から分離することができる。無菌抽出注射器200は、無菌抽出注射器200内の無菌スラリー組成物106を断熱するように注射器ホルダー300内に配置することができる。幾つかの非限定的な例では、所望のスラリー温度で無菌抽出注射器200内の無菌スラリー組成物106を保持するために、例えば注射器ホルダー300を冷却装置134と結合させることによって、注射器ホルダー300が能動的に冷却される。代替的に又は付加的に、注射器ホルダー300は、注射前の滅菌抽出注射器200内の無菌スラリー組成物106の分離を防止するために、攪拌機を含むことができる。注射器ホルダー300は、本明細書に記載の医療氷スラリー生成システム100の任意の構成に組み込むことができることを、知っておくべきである。
【0030】
図6に示すように、幾つかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ102は、、アクセスポート118に隣接して配置された1つまたは複数のフィルタ400を備える。1つ以上のフィルタ400は、所望の大きさの氷晶が無菌抽出注射器200によって回収され続いて患者に注入されることを、確実にする。図示の非限定的な例では、1つまたは複数のフィルタ400は、第1フィルタ402、第2のフィルタ404、及び第3のフィルタ406を含み、第2のフィルタ404は、第1のフィルタ402と第3のフィルタ406の間に配置されている。第1のフィルタ402は第1サイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成されている。第2のフィルタ404は、第1サイズよりも小さい第2のサイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成され、第3のフィルタ406は、第2のサイズよりも小さい第3のサイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成されている。当業者によって認識されるように、第1、第2、および第3のフィルタ402、404、および406でフィルタリングされた氷の結晶のサイズは、患者に注入する無菌スラリー組成物106内の氷の結晶のサイズを制御するために使用することができる。例えば、1つの非限定的な例では、第1のサイズは約500マイクロメートル(μm)、第2のサイズは約250μm、そして第3のサイズは約100μmである。別の非限定的な例では、使い捨てカートリッジ102は、必要に応じて、任意のサイズの氷の結晶をフィルタリングするフィルタ400を任意の数だけ含むことができる。
【0031】
別の非限定的な例では、
図7に示すように、1つ以上のフィルタ400は代わりに無菌抽出注射器200内に配置される。
【0032】
図8~11に、氷の結晶を砕いて無菌スラリー組成物106を混合又は攪拌するためにアクチュエータ130と協働可能な使い捨てカートリッジ102の撹拌機108の追加の非限定的な例を示す。
図8は、
図1のフィン112無しの撹拌機108を示す。
図9は、使い捨てカートリッジ102の内部に沿って軸方向に配置された複数の隆起突起700を備えた攪拌機108を示す。各隆起突起700は、撹拌軸110と撹拌軸110に結合したフィン112に向かって延びている。複数の隆起突起700は、無菌スラリー組成物106中の氷の結晶の破砕ならびに無菌スラリー組成物106の混合を容易にする。
【0033】
図10は、撹拌軸110に連結された複数のブレード800を備えた攪拌機108を示す。ブレード800は、氷の結晶の破砕と無菌スラリー組成物106の混合を容易にするためのテーパーエッジを備える。無菌スラリー組成物106内でブレード800を回転させることによって形成される氷の結晶のサイズは、各ブレードのエッジのテーパー度合及び/又は各ブレード800の長さによって調整できる。1つの非限定的な例では、各ブレード800は、使い捨てカートリッジの直径の約12.5%~99%の間の長さにできる。
【0034】
図11は、使い捨てカートリッジ102の内部に沿って軸方向に配置された隆起ブレード突起900を複数有する撹拌機108を示す。複数の隆起ブレード突起900のそれぞれが径方向内側に延びている。ここで、撹拌軸110が使い捨てカートリッジ102の第1の側114に堅固に結合されて、アクチュエータ130によって提供される回転または振動に応答して使い捨てカートリッジ102全体が攪拌されることを可能にしている。
図1と8~11に示された撹拌機108の各構成の1つ以上の様々な組み合わせは、本開示の範囲内であることを知るべきである。
【0035】
図12は、使い捨てカートリッジ102の別の非限定的な例を示す。
図12に示すように、使い捨てカートリッジ102は、使い捨てカートリッジ102の第2の側120に配置された追加ポート1000を備える。例えば治療剤または治療ガスのマイクロバブルが、例えば追加注射器1002で使い捨てカートリッジ102内の無菌スラリー組成物106に注入されることを可能にするように、追加ポート1000は構成され配置されている。追加ポート1000は、例えば針によって貫通されるように構成されたゴム栓、遮断弁、および/または取り外し可能な無菌カバー付きルアーロック機構を備えることができる。代替的に又は付加的に、患者への注射に適した滑らかな氷の結晶を形成するために、無菌スラリー組成物106の周期的な加熱および冷却を容易にするように、追加注射器1002を無菌スラリー組成物106に熱剤を注入することができる。
【0036】
図13は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図13の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図13に示すように、使い捨てカートリッジ102は、使い捨てカートリッジ102の第1側部114に配置されたアクセスポート1100を備える。アクセスポート1100は、ハウジング104によって支持されたポンプ装置1104にアクセスポート1100を流体接続する延長部1102を有する。図示のポンプ装置1104は、ハウジング104の基部126に統合され、使い捨てカートリッジ102から無菌スラリー組成物106を供給するように構成される。別の非限定的な例では、ポンプ装置1104は、ハウジング104から離れて配置することができる。様々な例においてポンプ装置1104は、容積注入ポンプまたは当技術分野で公知の他のポンピング機構を含むことができる。ポンプ装置1104は、例えば無菌の取り外し可能なキャップとのルアーロック接続、針によって穿孔されるように構成されたゴム栓、及び/又は遮断弁を用いて、延長部1102に結合することができる。制御装置140は、ポンプ装置1104と通信し、注入するために使い捨てカートリッジ102から無菌スラリー組成物106を供給するようにポンプ装置1104に選択的に指示するように構成されている。制御装置140はさらに、ポンプ装置1104によって提供される流量を制御するように構成されている。1つの非限定的な例では、ポンプ装置1104は、使い捨ての容器から医療用スラリー組成物を引き出すのに適した、注入ポンプ、膜ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ロータリーベーンポンプ又は他のポンプとすることができる。これも当然のことながら、代替的な実施例では、ポート1100は、ハウジング内に画定された他の第2のポートと直接流体連通するか、ポンプと直接流体連通することができる(即ち延長部1102無しに)。
【0037】
1つの非限定的な例として、
図14は、使い捨てチューブ1200および針1204で動作するポンプ装置1104を示す。針1204は、針カップリング1202を介して、使い捨てチューブ1200に着脱可能に結合することができる。使い捨てチューブ1200は、例えば針によって貫通されるように構成されたゴム栓、無菌取り外し可能なキャップとのルアーロック接続、および/または遮断弁を用いてポンプ装置1104に結合することができる。
図13、14の医療用氷スラリー生成システム100の動作は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1の医療用氷スラリー生成システム100と同等である。ひとたび使い捨てカートリッジ102内の無菌スラリー組成物106が(冷却装置134を介して組成物が所望の温度に冷却されることによって)氷の結晶を形成すると、そして(アジテータ108の作動に起因して)氷の結晶が所望のサイズであると、針1204は、治療位置にある患者に注入することができる。次に制御装置140は、所定時間の間に所望の流量で患者に無菌スラリー組成物106をポンピングするためにポンプ装置1104を指示するように構成されている。従って当然のことながら、無菌スラリー組成物106は、プロセスを通して自己完結型であるので、無菌スラリー組成物106の無菌性を維持するためのエンドユーザーの負担を低減することができる。また、所与の医療用途のための無菌スラリー組成物106の生産(即ち、冷却、および、適切なサイズの氷の結晶の形成)及び送達(即ち注入)が、制御装置140、冷却装置134、アクチュエータ130、及びポンプ装置1104の一体操作によって実質的に自動化されている。
【0038】
図15に示すように、別の非限定的な例では、ポンプ装置1104は、使い捨てチューブ1200とインラインで配置することができ、そこでは使い捨てチューブ1104はポンプ装置1104を貫通(threads through)している。このように、ポンプ装置1104は、直接ポンプ装置1104に接触していない。
【0039】
幾つかの実施形態では、ポンプ装置1104は、送達又は使い捨てチューブ1200の端部において、又は送達針1204またはカニューレの端部において、最大許容圧力耐性を有するように構成することができる。またポンプ装置1104は調整可能な定容積型ポンプを備えることができ、スラリーの所定量が送達されたときにユーザー指定の停止が起こるように構成されることができる。
【0040】
図16~19に使い捨てカートリッジ102と協働可能な撹拌機108の追加の非限定的な例を示す。
図16~19に示した撹拌機108とカートリッジ102は、
図16~19のカートリッジ102内の(ポート1100の)延長部1102が、
図13、14に示す例の垂直向きではなく、全体的に水平向きでカートリッジ102の異なる側部から側壁124に向けて延びている点を除き、
図8~11及び13,14に示した撹拌機108とカートリッジ102とそれぞれ実質的に同一である。
【0041】
図20は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図20の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1の医療用氷スラリー生成システム100と同等である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図20に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104内に支持されるように構成された使い捨てカートリッジ1700を含む。図示の使い捨てカートリッジ1700は、無菌の予め充填された注射器の形状をしている。使い捨てカートリッジ1700は、無菌、非凍結スラリー組成物106で予め充填されている。使い捨てカートリッジ1700を無菌、非凍結スラリー組成物106で予め充填することは、無菌スラリー組成物106が閉じた環境内で自己完結していることを確実にする。これは、使い捨てカートリッジ1700を取扱いながら、スラリー組成物106の無菌性を維持しようとするエンドユーザーの負担を軽減するのに役立つ。幾つかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ1700は、熱安定性を向上させるために断熱材(図示せず)に囲まれている。
【0042】
使い捨てカートリッジ1700は、プラスチック、ガラス、又は金属材料から製作することができる。使い捨てカートリッジ1700は、医療用途に応じて約1立方センチメートル(cc)~約1リットル(L)の間のスラリーの体積を保持するような寸法にすることができる。図示の使い捨てカートリッジ1700は、攪拌機108に回転結合されている。使い捨てカートリッジ1700は、撹拌機1702に回転結合されている。撹拌機1702は、使い捨てカートリッジ1700と動作可能に構成されていることを除き、上述した
図1の撹拌機108に動作が類似している。撹拌機1702は、撹拌軸1704及び使い捨てカートリッジ1700内に配置され撹拌軸1704と結合したフィン1706を備える。フィン1706は、撹拌軸1704に沿って長さ方向に螺旋状である。撹拌軸1704は、使い捨てカートリッジ1700内に収容される。撹拌軸1704は、使い捨てカートリッジ1700のテーパー状先端1708に対して回転シールされて、無菌スラリー組成物106と周囲の環境の間のシールを維持しながら使い捨てカートリッジ1700に対する撹拌軸1704の回転を可能にする。例えば静水圧シール、流体力学的シール、流体軸受、およびOリングの少なくとも1つを利用することによって、撹拌軸1704はテーパー状先端1708に対して回転シールすることができる。
【0043】
使い捨てカートリッジ1700は、テーパー状先端1708の遠位端1712に設けられたアクセスポート1710と、プランジャ1712を備える。アクセスポート1710は、医療用氷スラリー組成物106が使い捨てカートリッジ1700から患者に注入されることを可能にするように構成され配置されている。例えば、アクセスポート1710は、針に結合するように構成することができる。プランジャ1712は、使い捨てカートリッジ1700のテーパーチップ1708と反対側の第2面1714内に摺動可能に収容される。プランジャ1712は、使い捨てカートリッジ1700内に無菌スラリー組成物106を注入するために、使い捨てカートリッジ1700に対して軸方向に変位するように構成されている。
【0044】
図20の医療用氷スラリー生成システム100の動作は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1の医療用氷スラリー生成システム100と同等である。ひとたび使い捨てカートリッジ1700内の無菌スラリー組成物106が、冷却装置134を介して所望の温度に冷却され、撹拌機1702による所望の大きさの氷の結晶を含むと、使い捨てカートリッジ1700はハウジング104から取り外され、針が使い捨てカートリッジ1700のテーパー状先端1708に結合される。代替的に又は付加的に、注入前に安全に保管しておくために、使い捨てカートリッジ1700は
図5の注射器ホルダー300と類似の注射器ホルダー内に配置することができる。次に無菌スラリー組成物106は、治療部位のところで患者に注入される。このように、無菌スラリー組成物106は、医療用氷スラリーの製造プロセスを通して自己完結型であるので、送達および製造中の無菌スラリー組成物106の無菌性を維持するための臨床医の負担を軽減する。再び繰り返すと、所与の医療用途のための無菌スラリー組成物106の製造(すなわち、冷却、および、適切なサイズの氷の結晶の形成)は、一緒に動作する制御装置140、冷却装置134、及びアクチュエータ130を介して実質的に自動化されている。無菌組成物106を送達するために使い捨て容器1700を使用すると、製造後のスラリー組成物106を移動する必要性もなくなる。
【0045】
図21~28は、氷の結晶を砕き無菌スラリー組成物106を混合するためにアクチュエータ130と協働可能な使い捨てカートリッジ1700の撹拌機1702の追加の非限定的な例を示す。
図21に示すように、撹拌機108は、使い捨てカートリッジ1700の内部に沿って軸方向に配置された複数の隆起突起1800を含む。複数の隆起突起1800の各々は、撹拌軸1704とそれに結合されたフィン1706に向かって延びている。動作時には、撹拌軸1704とそれによるフィン1706の回転は、氷の結晶の破砕と無菌スラリー組成物106の混合を容易にするために、複数の隆起突起1800を通り過ぎるようにフィン1706を回転させる。
【0046】
図22に示すように、撹拌機1702は、撹拌軸1704に連結された複数のブレード1900を備える。ブレード1900は、氷の結晶の破砕と無菌スラリー組成物106の混合を容易にする複数のテーパーエッジを含む。ブレード800は、氷の結晶の破砕と無菌スラリー組成物106の混合を容易にするためのテーパーエッジを備える。無菌スラリー組成物106内でブレード800を回転させることによって形成される氷の結晶のサイズは、各ブレードのエッジのテーパー度合及び/又は各ブレード800の長さによって調整できる。1つの非限定的な例では、各ブレード800は、使い捨てカートリッジの直径の約12.5%~99%の間の長さにできる。
【0047】
図23に示すように、撹拌機1702は使い捨てカートリッジ1700の内部に沿って軸方向に配置された複数の隆起ブレード突起2000を含む。複数の隆起ブレード突起2000のそれぞれは、径方向内側に延びている。この非限定的な例では、撹拌機1702が使い捨てカートリッジ1700のテーパー状先端1708とアクチュエータ130に堅固に結合するように構成されたキャップ2002を備え、使い捨てカートリッジ1700全体がアクチュエータ130によって提供される回転及び/又は振動に応答して攪拌されることを可能にしている。
【0048】
図24に示すように、撹拌機1702は無菌スラリー組成物106と共に使い捨てカートリッジ1700に予め充填された複数の粒子2100を備える。この非限定的な例では、使い捨てカートリッジ1700はキャップ2002と協働可能で、複数の粒子2100はアクチュエータ130によって提供される回転及び/又は振動に応答して使い捨てカートリッジ1700内での乱流混合撹拌を容易にする。
図25に示すように、撹拌機1702は複数のブレード2200を含む。複数のブレード2200のそれぞれは、氷の結晶の破砕と無菌スラリー組成物106の混合を容易にするためのテーパーエッジを備える。無菌スラリー組成物106内でブレード2200を回転させることによって形成される氷の結晶のサイズは、各ブレード2200のテーパー状エッジのテーパー度合及び/又は各ブレード2200の長さによって調整できる。1つの非限定的な例では、各ブレード2200は、使い捨てカートリッジの直径の約12.5%~99%の間の長さにできる。加えて、複数のブレード2200の各々は、互いに対して逆回転するように構成することができる。
【0049】
図26に示すように、撹拌機1702は撹拌軸1704と共に回転するために撹拌軸1704と結合したパドル2300を備える。
図27に示すように、撹拌機1702は、パドル2300とパドル2300の内部表面に結合された複数のフィン2400を備える。
図28に示すように、撹拌機1702は、撹拌軸1704と共に回転するために撹拌軸1704に連結された泡立て器(whisk)2500を含む。
図20~28に示す撹拌機1702の構成の様々な組み合わせは、本開示の範囲内であることを知るべきである。
【0050】
図29に示すように、1つの非限定的な例では、撹拌機1702が使い捨てカートリッジ1700の側面に配置されている。具体的には、撹拌軸1704は、使い捨てカートリッジ1700の側面から突出しており、撹拌軸1704と結合したブレード1900を備えている。当然のことながら、この構成では、撹拌機1702は本明細書に記載の任意の構成の撹拌機1702の形状にすることができる。撹拌機1702のこの配置に対応して、アクチュエータ130は、ハウジング104の側壁124のうちの対応する1つの中に配置されている。アクチュエータ軸132は、撹拌軸1704に向かって、対応する側壁124から突出している。
【0051】
別の非限定的な例では、
図30に示すように、ハウジング104の側壁124の各々は、対応するアクチュエータ130とアクチュエータ軸132を含むことができる。これは、複数の使い捨てカートリッジ1700を支持するハウジング104を可能にし、それにより患者へ注射するための複数の無菌スラリー組成物106を生成することができる。
【0052】
図31に示すように、撹拌機1702が使い捨てカートリッジ1700の側面に設けられた別の非限定的な例では、撹拌機1702は、それぞれ互いに対して逆回転するように構成された複数のブレード2800を含むことができる。
【0053】
図32に示すように、幾つかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ1700は、アクセスポート1710に隣接して配置された1つ以上のフィルタ2900を含む。1つ以上のフィルタ2900は、所望の大きさの氷晶が使い捨てカートリッジ1700によって注入されることを確実にする。図示の非限定的な例では、1つ以上のフィルタ2900は、第1のフィルタ2902、第2のフィルタ2904及び第3のフィルタ2906を含み、第2のフィルタ2904は、第1のフィルタ2902及び第3のフィルタ2906の間に配置される。第1のフィルタ2902は第1サイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成されている。第2のフィルタ2904は、第1サイズよりも小さい第2のサイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成され、第3のフィルタ2906は、第2のサイズよりも小さい第3のサイズの氷の結晶をフィルタリングするように構成されている。当業者によって認識されるように、第1、第2、第3のフィルタ2902、2904、2906でフィルタリングされた氷の結晶のサイズは、患者に注入する無菌スラリー組成物106内の氷の結晶のサイズを制御するために使用することができる。例えば、1つの非限定的な例では、第1のサイズは約500μm、第2のサイズは約250μm、そして第3のサイズは約100μmである。別の非限定的な例では、使い捨てカートリッジ102は、必要に応じて、任意のサイズの氷の結晶をフィルタリングするフィルタ400を任意の数だけ含むことができる。
【0054】
図33は、使い捨てカートリッジ1700の別の非限定的な例を示す。
図33に示すように、使い捨てカートリッジ1700はその側面に設けられた追加ポート3000を備える。追加ポート3000は、追加注射器3002が例えば治療薬を使い捨てカートリッジ1700内の無菌スラリー組成物106に注入することを可能にするように構成され配置されている。アクセスポート3000は、例えば針によって貫通されるように構成されたゴム栓、無菌取り外し可能なキャップ付きルアーロック接続、および/または遮断弁を備えることができる。代替的に又は付加的に、滑らかな氷の結晶を形成するために必要な無菌スラリー組成物106の周期的な加熱および冷却を容易にするように、追加注射器3002を無菌スラリー組成物106に熱剤を注入することができる。
【0055】
図34は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図31の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1及び20の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図34に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104の内部空洞122内に支持された液体(例えばアルコール、イソプロペニル、又はエタノール)の形状の攪拌機3100を含む。使い捨てカートリッジ1700は、撹拌機3100内で浮遊しており、アクセスポート1710と周囲の撹拌機3100との間にシールを提供するように構成されたキャップ3102を備えている。超音波振動子の形状をしたアクチュエータ3104は、使い捨てカートリッジ1700の周囲に配置されている。アクチュエータ3104は、超音波周波数で振動するように構成されている。アクチュエータ3104によって発生した超音波は、撹拌機3104によって使い捨てカートリッジ1700に伝達され、無菌スラリー配合物106内に形成された氷の結晶を所望の氷の結晶の大きさに砕くことを容易にする。制御装置140はアクチュエータ3104と電気的に連通して、撹拌機3100によって伝えられる超音波を発生するようにアクチュエータ3104に選択的に指示するように構成されている。動作時には、制御装置140は、無菌スラリー組成物106内の氷の結晶が所望のサイズになるまで攪拌機3100を介して超音波を伝えるようアクチュエータ3104に指示するように構成されている。1つの非限定的な例では、アクチュエータ3104が使い捨てカートリッジ1700に超音波を伝える時間の長さを、制御装置140に入力することができる。代替的に又は付加的に、制御装置140は、無菌スラリー組成物106内の氷の結晶のサイズを制御するためにアクチュエータ3104の振動周波数を変化させるように構成することができる。
【0056】
図35は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図35の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1及び20の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図35に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104の内部空洞122内に支持された機械的リンク機構3202を有する攪拌機3200を含む。機械的リンク機構3202は、リンク機構が使い捨てカートリッジ1700と取り外し可能に結合するように構成されている。撹拌機3200の機械的リンク機構3202は、機械的リンク機構3202とそれにより使い捨てカートリッジ1700との回転及び/又は振動を容易にするために、アクチュエータ130のアクチュエータ軸132に結合されている。動作時には、エンドユーザーは、使い捨てカートリッジ1700が機械的リンク機構3202に結合されるように、ハウジング104の内部空洞122内に使い捨てカートリッジ1700を配置する。機械的リンク機構3202をアクチュエータ130により回転及び/又は振動させて、注射前に無菌スラリー組成物106の生成中に形成された氷の結晶を破砕する。
【0057】
図36は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図33の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1及び20の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図36に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、ほぼ円筒形状を画定するカートリッジ支持体3300を備える。カートリッジ支持体3300は、一つ以上の使い捨てカートリッジ1700を取り外し可能に結合するように構成されている。カートリッジ支持体3300は、アクチュエータ130のアクチュエータ軸132に連結されて、x方向、y方向、およびz方向の1つ以上へのカートリッジ支持体3300の移動及び/又は回転を容易にする。図示の使い捨てカートリッジ1700は、
図23に示すような使い捨てカートリッジ1700の内部に沿って軸方向に配置した複数の隆起ブレード突起2000を有する撹拌機1702を備える。当然のことながら、本明細書に記載の撹拌の代替的な構成はこの非限定的な例で実施することができる。
【0058】
アクチュエータ130とそれにより使い捨てカートリッジ1700とによって攪拌機に伝えられる動きは、注射前に無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を破砕する。当然のことながら、動きの間に適切に撹拌機3300のバランスをとるために、使い捨てカートリッジ1700は対向した対として撹拌機3300に結合されるべきである。
【0059】
図37は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図37の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1及び20の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図37に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、ハウジング104内に支持されるように構成された使い捨てカートリッジ3400を含む。図示の使い捨てカートリッジ3400は、無菌の予め充填された圧縮袋の形状である。幾つかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ3400は、静注(IV)バッグである。使い捨てカートリッジ3400は無菌スラリー組成物106で予め充填されている。使い捨てカートリッジ3400を無菌スラリー組成物106で予め充填することは、無菌スラリー組成物106が閉鎖された環境内で自己完結していることを保証する。これは、使い捨てカートリッジ3400を取扱っている間の、スラリー組成物106の無菌性を維持しようとするエンドユーザーの負担を軽減するのに役立つ。幾つかの非限定的な例では、使い捨てカートリッジ3400は、熱安定性を向上させるために断熱材(図示せず)に囲まれていてもよい。
【0060】
使い捨てカートリッジ3400は、医療用途に応じて約1立方センチメートル(cc)~約1リットル(L)の間のスラリーの体積を保持するような寸法にすることができる。図示の使い捨てカートリッジ3400はポンプ装置3404に流体結合されたアクセスポート3402を含む。ポンプ装置3404は、
図13のポンプ装置1104と構成および動作が類似している。つまり、制御装置140は、ポンプ装置3404と通信し、注射のために使い捨てカートリッジ3400から無菌スラリー組成物106をポンピングするようポンプ装置3404に選択的に指示するように構成されている。制御装置140はさらに、ポンプ装置3404によって提供される流量を制御するように構成されている。1つの非限定的な例では、ポンプ装置3404は、注入ポンプ又は本明細書に記載の他の任意のポンプとすることができる。加えて、
図14に示すように、ポンプ装置3402は、患者への注入を可能にするために、使い捨てのチューブと針に結合することができる。
【0061】
特定の実施形態では、ポンプ装置3404は、ポンプ装置1104と同様に、送達又は使い捨てチューブの端部において又は送達針またはカニューレの端部において最大許容圧力耐性を有するように、構成させることができる。ポンプ装置3404は、調整可能な定容積型ポンプも備えることができ、スラリーの所定量が送達されたときにユーザー指定の停止が起こるように構成されることもできる。
【0062】
図示の撹拌機3406とアクチュエータ3408は、
図34の撹拌機3100及び3104と同様である。つまり、アクチュエータ3408は、注射前に無菌スラリー組成物106中の氷の結晶を破砕するために使い捨て容器3400に撹拌機3406を介して伝えられる超音波振動を生成するように、構成されている。
【0063】
図38に示すように、別の非限定的な例では、使い捨てカートリッジ3400は、撹拌機3500に結合されている。撹拌機3500は、使い捨てカートリッジ3400内に配置された複数のブレード3504と結合した撹拌軸3502を含む。撹拌軸3502は、ブレード3504が使い捨てカートリッジ3400内で回転することおよび無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を所望の大きさに破砕することを可能にするために、アクチュエータ軸132に連結されている。
【0064】
また別の非限定的な例では、
図39に示すように、使い捨てカートリッジ3400は撹拌機3600と協働可能である。撹拌機3600は、ハウジング104の側壁124のうちの対応する一方に配置されたアクチュエータ3604にそれぞれ結合された対向する1対の支持体3602を含む。対向する1対の支持体3202は、使い捨てカートリッジ3400を圧縮するように、および無菌スラリー組成物106内に形成された氷の結晶を破砕するために撹拌を供給するように、それぞれ移動可能に構成されている。動作時には、制御装置140は、アクチュエータ3604に結合された1つ以上の撹拌機3606を介して使い捨てカートリッジ3400に攪拌を加えるように構成されている。ひとたび無菌スラリー組成物106が所望の温度に達し、所望のサイズの氷の結晶を含んだならば、制御装置140は、使い捨てカートリッジ3400を圧縮しそれによって患者への注入のために無菌スラリー組成物106を強制的にアクセスポート3402に通すように移動させるよう、アクチュエータ3604に指示するように構成されている。
【0065】
図40は、医療用氷スラリー生成システム100の別の非限定的な例を示す。
図40の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図1及び20の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図40に示すように、医療用氷スラリー生成システム100は、第1の冷却装置3700に結合された第1の冷却通路3702と、第2の冷却装置3706に結合された第2の冷却通路3706を含む。第1の冷却通路3702は、ハウジング104内に配置された第1の空洞3710を冷却するためにハウジングの側面124内に配置されている。第2の冷却通路3708は、ハウジング104内に配置された第2の空洞3712を冷却するためにハウジング104の側面124内に配置されている。
【0066】
医療用氷スラリー生成システム100は、使い捨てカートリッジ3714を含む。使い捨てカートリッジ3714は、第1の注射器チャンバ3716、第2の注射器チャンバ3718、及び第1の注射器チャンバ3716と第2の注射器チャンバ3718の間に設けられた微小液滴装置3720を含む。ハウジング104内に配置されるとき、第1の注射器チャンバ3716は、第1の空洞3710内に配置され、第2の注射器チャンバ3718は、第2の空洞3718内に配置される。第1の注射器チャンバ3716は、無菌の第1の液体3722、無菌の第2の液体3724、及び第1の液体3722と第2の液体3724の間に配置された折り畳み式セパレータ3726で、予め充填されている。第2の液体3724は、微小液滴装置3720に隣接して配置されている。プランジャ3728は、摺動可能に第1の注射器チャンバ3716内に収容され、第1の液体3722およびそれによって第2の液体3724(液体は実質的に非圧縮性である)を第2の注射器チャンバ3718に向かって注入するように構成されている。
【0067】
動作時には、制御装置140は、冷たい温度(例えば約2°C)で第1の空洞3710を維持するために第1の冷却装置3700を制御し、実質的に凍結温度未満(例えば-100°C)に第2の空洞3712を維持するために第2の冷却装置3706を制御する。ひとたび第1および第2の空洞3710および3712において所望の温度が達成されたら、プランジャ3728を移動させて、微小液滴装置3720を介して第2の液体3724を第2のチャンバ3718に注入する。微小液滴装置3720及び第2の空洞3712の凍結温度は、第2の注射器空洞3718内での所望の大きさの氷の結晶の形成(微小液滴装置3720によって制御される)を可能にする。次に、折り畳み式セパレータ3726を押しつぶすかまたは移動させて、第1の液体3722が第2の注射器チャンバ3718内に落下することを可能にし、それによって第1の液体3722に先に形成された氷の結晶を懸濁させる(即ち、所望の大きさの氷の結晶と共に所望の温度の無菌スラリー組成物を生成する)。次に、形成された無菌スラリー混合物は、患者に注入することが可能となる。
【0068】
図41は、医療用氷スラリー生成システム100の1つの非限定的な例を示す。
図41の医療用氷スラリー生成システム100は、以下の記載と図面から明らかなものとを除き、
図40の医療用氷スラリー生成システム100と同様である。同様の構成要素は同様の参照番号で識別される。
図41に示すように、第1の注射器チャンバ3716は、内部に配置された製氷皿3800を含み、第2の注射器チャンバ3718は第1の液体3802で予め充填されている。製氷皿3800は、可撓性材料から製作することができる。
図42に示すように、製氷皿3800は、液体3902でそれぞれ予め充填されかつ所望のサイズと形状の氷の結晶を形成するような寸法である、複数の氷用空洞3900を画定する。
【0069】
動作時には、制御装置140は、凍結温度(例えば約-20°C)で第1の空洞3710を維持するために第1の冷却装置3700を制御し、より高い温度(例えば2°C)に第2の空洞3712を維持するために第2の冷却装置3706を制御する。ひとたび第1および第2の空洞3710および3712において所望の温度が達成され、製氷皿3800に氷の結晶が形成されたら、製氷皿3800を反転させ(
図42)、それぞれの氷用空洞3900から形成された氷の結晶3902を放出する。放出されると、氷の結晶3902は、第2の注射器チャンバ3718に落下し、それによって第1の液体3802に先に形成された氷の結晶を懸濁させる(即ち、所望の大きさの氷の結晶と共に所望の温度の無菌スラリー組成物を生成する)。次に、必要に応じて、形成された無菌スラリー混合物が撹拌され、患者に注入することが可能になる。特定の実施形態では、第1の液体3802は、生理食塩水、乳酸リンゲル液、または、不溶性液滴又は粒子の全体的に微細な分散液であるエマルジョンを作るための溶液を含むことができる。
【0070】
上述の各実施形態において、同じく当然のことながら、医療用氷スラリーの混合チャンバ(例えば、本明細書に記載のキャニスターまたは使い捨てカートリッジのいずれか)内の温度は、均一に冷却された医療用氷スラリーを提供するように、本明細書に記載の冷却装置、液体、又はガスのいずれか1つ以上で平衡化することができる。例えば、
図1~3のシステムを参照して、これらのシステムを、カートリッジ102内の温度が、通路内の冷却液またはガス、又はコイル136、又はキャビティ122内の冷却液またはガスで平衡化するように構成することができる。
【0071】
このように、本発明を上記で特定の実施形態および実施例と関連させて説明してきたが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、数多くの他の実施形態、実施例、使用、ならびに、係る実施形態、実施例、および使用からの変形および展開は、本明細書に添付の請求項によって包含されることを意図している。本明細書で引用した各特許や刊行物の全開示は、このような各特許又は刊行物が個々に参照により本明細書に組み込まれたかのように、参照により組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポートを備える使い捨てカートリッジを収容するステップであって、前記使い捨てカートリッジ内の閉じた環境が、凍結していない無菌スラリー組成物で予め充填されている、ステップと、
ハウジング内に前記使い捨てカートリッジを設置するステップであって、前記ハウジングが、複数の氷の結晶を含む無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するように動作可能な冷却装置を備える、ステップと、
無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記使い捨てカートリッジを冷却するステップと、
前記ハウジングから前記使い捨てカートリッジを取り外すステップと
を含み、
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、前記無菌スラリー組成物の形成の間、前記閉じた環境内で自己完結し、
前記アクセスポートが、前記無菌スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記無菌スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収または注入されることを可能にするように構築され配置されている、
無菌スラリー組成物を生成するための方法。
【請求項2】
ポイントオブケアで使い捨てカートリッジを収容するステップであって、前記使い捨てカートリッジが、凍結していない無菌スラリー組成物で予め充填されており、前記凍結していない無菌スラリー組成物が、前記使い捨てカートリッジの閉じた環境内で自己完結する、ステップと、
複数の氷の結晶を含む無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するステップと、
前記使い捨てカートリッジに動作可能に接続された針の先端を通して前記無菌スラリー組成物が患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記複数の氷の結晶が小さくなるように、前記無菌スラリー組成物を撹拌するステップと
を含む、ポイントオブケアで無菌スラリー組成物を生成するための方法。
【請求項3】
ポイントオブケアで、凍結していない無菌スラリー組成物で予め充填されている使い捨てカートリッジを収容するステップであって、前記使い捨てカートリッジ内にアクセスポートが画定されている、ステップと、
ハウジング内に前記使い捨てカートリッジを設置するステップであって、前記ハウジングが、複数の氷の結晶を含む無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するように動作可能な冷却装置を備える、ステップと、
前記無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するステップと、
前記使い捨てカートリッジ内で前記無菌スラリー組成物を撹拌するステップと、
前記ハウジングから前記使い捨てカートリッジを取り外すステップと
を含む、無菌スラリー組成物を生成するための方法。
【請求項4】
前記使い捨てカートリッジに動作可能に接続された針の先端を通して前記無菌スラリー組成物が患者に送達されることを可能にするのに十分なサイズまで前記複数の氷の結晶が小さくなるように、前記使い捨てカートリッジ内に保持された前記無菌スラリー組成物を撹拌するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記無菌スラリー組成物が、形成されるのに十分な温度が約-10℃~約4℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、作用物質または生体適合性界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記作用物質または生体適合性界面活性剤が、前記無菌スラリー組成物をより注入しやすくするように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、生体適合性界面活性剤を含み、および前記生体適合性界面活性剤が、グリセロールである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記使い捨てカートリッジが、注射器またはキャニスターのうちの1つを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記注射器が、予め充填された注射器である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(i)栓を備えたルアーロック、(ii)圧力弁、(iii)クイックディスコネクト、(iv)ルアーロックを備えた一方向弁、または(v)無菌ゴム栓のうちの少なくとも1つが、前記無菌スラリー組成物が前記アクセスポートを通して前記使い捨てカートリッジから回収されることを選択的に可能にするために前記アクセスポートと協働可能である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項12】
使い捨てカートリッジ内の閉じた環境が、凍結していない無菌スラリー組成物で充填されている、前記使い捨てカートリッジと、
前記使い捨てカートリッジを収容するように構成された内部空洞を画定しているハウジングと、
複数の氷の結晶を含む無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するように前記ハウジング内で動作可能な冷却装置と
を備え、
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、前記無菌スラリー組成物の形成の間、前記使い捨てカートリッジの閉じた環境内に残るように構成されている、
無菌スラリー生成システム。
【請求項13】
凍結していない無菌スラリー組成物を保持している使い捨てカートリッジと、
前記使い捨てカートリッジ内に画定されたアクセスポートと、
撹拌機と、
前記使い捨てカートリッジを収容するように構成された内部空洞を画定しているハウジングと、
複数の氷の結晶を含む無菌スラリー組成物が形成されるのに十分な温度まで前記凍結していない無菌スラリー組成物を冷却するように前記ハウジング内で動作可能な冷却装置であって、前記凍結していない無菌スラリー組成物が、前記無菌スラリー組成物の形成の間、前記使い捨てカートリッジ内で自己完結する、冷却装置と
を備える、無菌スラリー生成システム。
【請求項14】
アクセスポートが、前記使い捨てカートリッジ内に画定されている、請求項12に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項15】
撹拌機をさらに含む、請求項12に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項16】
前記ハウジングがアクチュエータをさらに含み、前記アクチュエータが、前記無菌スラリー組成物の無菌性を維持しながら前記無菌スラリー組成物が前記使い捨てカートリッジから回収又は注入されることを可能にするのに十分なサイズまで前記使い捨てカートリッジの内側の前記複数の氷の結晶が小さくなるように前記無菌スラリー組成物を撹拌するための動きを前記撹拌機に付与するように構成されている、請求項13または15に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項17】
(i)栓を備えたルアーロック、(ii)圧力弁、(iii)クイックディスコネクト、(iv)ルアーロックを備えた一方向弁、または(v)無菌ゴム栓のうちの少なくとも1つが、無菌スラリー組成物が前記アクセスポートを通して前記使い捨てカートリッジから回収されることを選択的に可能にするために前記アクセスポートと協働可能である、請求項13または14に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項18】
前記温度が、約-10℃~約4℃である、請求項12または13に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項19】
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、作用物質または生体適合性界面活性剤を含む、請求項12または13に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項20】
前記作用物質または生体適合性界面活性剤が、前記無菌スラリー組成物をより注入しやすくするように構成されている、請求項19に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項21】
前記凍結していない無菌スラリー組成物が、生体適合性界面活性剤を含み、および前記生体適合性界面活性剤が、グリセロールである、請求項19に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項22】
前記使い捨てカートリッジが、注射器またはキャニスターのうちの1つを備える、請求項12または13に記載の無菌スラリー生成システム。
【請求項23】
前記注射器が、予め充填された注射器である、請求項22に記載の無菌スラリー生成システム。
【外国語明細書】