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特開2023-52375ファイバセンシングシステムおよびファイバセンシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052375
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】ファイバセンシングシステムおよびファイバセンシング方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/077 20130101AFI20230404BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20230404BHJP
   H04B 10/071 20130101ALI20230404BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H04B10/077
H04J14/02
H04B10/071
G01H9/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003481
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2020540353の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】62/691,143
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/454,054
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ユエ-カイ
(72)【発明者】
【氏名】イプ、 エズラ
(72)【発明者】
【氏名】ジ、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ミン-ファン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共通の光ファイバ上で同時に光通信及び光センシングを提供するシステム、方法及び構造を提供する。
【解決手段】通信チャネルと光ファイバセンシングチャネルとが同じファイバ上に共存するように、同じファイバ伝送帯域と双方向WDMファイバ共用を使用して双方向光ファイバ通信及びセンシングを提供するシステム、方法並びに構造であって、通信チャネルとセンシングの質問パルスとの間の非線形相互作用を大幅に低減または排除する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信用の光信号を送信する光送信装置と、
前記通信用の光信号と、音響、振動、温度の内少なくとも1つのパラメータを用いて周囲の状態を監視するための分散型ファイバセンシング信号とを伝送する光ファイバと、
前記通信用の光信号と前記分散型ファイバセンシング信号とを分岐する光分岐装置と、
前記通信用の光信号を受信する光受信装置と、
前記分散型ファイバセンシング信号を受信するファイバセンシングインタロゲータと、
を備えるファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記通信用の光信号と、前記分散型ファイバセンシング信号とは、前記光ファイバを対向伝搬することを特徴とする、請求項1に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項3】
前記光分岐装置は前記通信用の光信号と前記分散型ファイバセンシング信号とを波長毎に分波することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項4】
前記ファイバインタロゲータから送信されるセンシング用の信号を終端するダイプレクサをさらに備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項5】
前記光ファイバは車道に沿って設置され、
前記分散型ファイバセンシング信号は、交通情報に関する振動データを含むことを特徴する、請求項1~4のいずれか1項に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項6】
前記ファイバセンシングインタロゲータは、前記分散型ファイバセンシング信号に含まれるデータを処理するデータ処理部を含むことを特徴とする、 請求項1~5のいずれか1項に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項7】
前記データ処理部は、前記分散型ファイバセンシング信号からウォーターフォールデータを生成することを特徴とする、請求項6に記載のファイバセンシングシステム。
【請求項8】
通信用の光信号を送信し、
前記通信用の光信号と、音響、振動、温度の内少なくとも1つのパラメータを用いて周囲の状態を監視するための分散型ファイバセンシング信号とを伝送し、
前記通信用の光信号と前記分散型ファイバセンシング信号とを分岐し、
前記通信用の光信号を受信し、
前記分散型ファイバセンシング信号を受信することを特徴とする、
ファイバセンシング方法。
【請求項9】
前記通信用の光信号と、前記分散型ファイバセンシング信号とは、光ファイバを対向伝搬することを特徴とする、請求項8に記載のファイバセンシング方法。
【請求項10】
前記通信用の光信号と前記分散型ファイバセンシング信号とを波長毎に分波することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載のファイバセンシング方法。
【請求項11】
前記ファイバインタロゲータから送信されるセンシング用の信号を終端することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載のファイバセンシング方法。
【請求項12】
前記分散型ファイバセンシング信号は、交通情報に関する振動データを含むことを特徴する、請求項8~11のいずれか1項に記載のファイバセンシング方法。
【請求項13】
前記分散型ファイバセンシング信号からウォーターフォールデータを生成することを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載のファイバセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月28日出願の米国仮特許出願第62/691,143号の優先権を主張するものであり、それらの全内容は、本書で詳細に記載されているかのように参照により援用される。
【0002】
本開示は、概して、光学システム、方法、および構造に関する。より具体的には、本開示は、双方向光ファイバ通信および同一のファイバ伝送帯域を用いたセンシングWDMアーキテクチャを記載する。
【背景技術】
【0003】
光学技術、分散型ファイバセンシング(DFS)システム、方法、および構造-分散振動センシング(DVS)、分散音響センシング(DTS)、およびブリルアン光時間領域リフレクトメトリ(BOTDR)を含む-で知られているように、光ファイバの変化は、光パルス質問法を使用することによって検出され、位置決めされてもよい。そのような動作では、単一光ファイバは、単一センシングシステムによる使用のために専用化されるか、または連続的なリアルタイム更新が必要とされない場合、異なる時間にシステム間で切り替えられる。
【0004】
現在、光ファイバセンシングを実行するための、サービス中の、商業的な光通信システムに対する需要が高まっている。しかし、通信チャネルが連続動作を必要とするため、通信システムとセンシングシステムを共通の(同一の)光ファイバ上に統合することは非常に困難なままである。このような困難さの1つの理由は、ファイバセンシングシステムにおける光パルスリフレクトメトリの瞬間的な動作パワーが、通信チャネルと比較してかなり高く、したがって、任意のファイバの非線形性の試験結果として通信性能を劣化させることである。その結果、当技術分野では、光通信および光センシングのために、共通のファイバ束に含まれ得る別個の光ファイバを採用し、それによって干渉問題を完全に回避している。
【0005】
従って、共通の光ファイバ上で同時に光通信及び光センシングを提供するシステム、方法、及び構造に対する継続的なニーズが当該技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題が解決され、本開示の態様に従って、同一のファイバ伝送帯域を使用する双方向光ファイバ通信およびセンシングWDMアーキテクチャに向けられた、当該技術における前進がなされる。従来技術とは対照的に、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、通信チャネルおよび光ファイバセンシングチャネルが同じファイバ上に共存し得るように、双方向WDMファイバ共有を採用する。本開示によって教示され、説明される双方向伝搬のために、通信チャネルとセンシングの質問パルスとの間の非線形相互作用は、大幅に低減または排除される。
【0007】
特に有利なことに、本開示によるシステム、方法、および構造は、標準的なWDMマルチプレクサおよびデマルチプレクサを使用して、同一のファイバにおける2つのシステムを有利に組み合わせることができる。本開示によるこのような構成では、分散型ファイバセンシング(DFS)システムのためのリターンセンシング信号は、通信チャネルと同じ方向に光ファイバを通って伝搬する。このような構成では、DFS信号は通信に使用されるインラインエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)からの任意の非同期自然放出(ASE)雑音の影響を受ける可能性がある。したがって、本開示は、有利には、驚くべきことに、標準WDM光学系を使用して、帯域内ASE雑音を抑制するための構造および技法を提供する。
【0008】
当業者には容易に理解されるように、標準的なWDM光学系を使用するファイバ通信システム及びDFSシステムを組み合わせることは、多くの利点を提示する。より詳細には、本開示によるシステム、方法および構造は、通信およびセンシングのための複数のファイバの必要性を排除する。当業者であれば容易に分かり、理解するように、光ファイバは、光ネットワークにおける限られたリソースであり、したがって、複数の必要性を排除することは、従来技術よりも非常に有利である。加えて、従来技術と比較して、本開示による装置、方法、および構造は、標準的なWDM構成要素が、追加の計算および/またはデジタル信号処理(DSP)リソースを必要とすることなく採用されてもよいので、はるかに単純な構成を提示する。
【0009】
より詳細に説明するように、本開示によるシステム、方法、および構造は、従来技術と比較して、通信動作およびセンシング動作の両方のために、最低のファイバ損失(典型的にはC帯域)を有する帯域を使用することができるので、著しく良好な性能特性を示す。最後に、ますます多くの現代の通信システムは、ネットワーク容量要求の増大に起因して、複数のファイバ帯域を使用するので、DFSシステムのために別個の帯域を使用することは、将来、禁止になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現され得る。
【0011】
図1図1は、本開示の態様による、単一ファイバ対上のデュアルユース光ファイバ通信/センシングシステムを示す概略図である。
図2図2は、本開示の態様による55kmのDWDM双方向通信およびセンシングアーキテクチャを試験するための実験装置を示す概略図である。
図3図3は、本開示の態様による双方向通信/センシングシステム信号スペクトルマップを示す一対のスペクトルプロットを示す図である。
図4図4は、本開示の態様によるPS-144QAMプロトタイプトランシーバを含む双方向テスト構成を示す概略図である。
図5図5は、本開示の態様による、図4のPS-144QAMプロトタイプトランシーバ配置からの受信信号点配置を示す一対の信号点配置プロットである。
図6図6は、本開示の態様による、ケーブルルートに沿った周囲の振動特徴を示す、分散型振動センシング(DVS)によって得られたウォーターフォールトレースのプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具現化されてもよく、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【0013】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者であれば、本明細書では明示的に説明または図示されていなくても、本開示の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることを理解されたい。
【0014】
さらに、本明細書に列挙されたすべての実施例および条件付き用語は、読者が本開示の原理および本技術を促進するために本発明者によって寄与された概念を理解するのを助けるための教育目的のためだけのものであることが意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0015】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべてのステートメントは、その構造的および機能的同等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素との両方を含むことが意図される。
【0016】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されよう。
【0017】
本明細書で特に明記しない限り、図面を構成する図は、一定の縮尺で描かれていない。
【0018】
いくつかのさらなる背景として、本発明者らは、それらが供用中ファイバ監視及び故障検出に適用できるように、光パルスリフレクトメトリシステムの瞬時動作パワーを低減することに向けられた先行技術の試みが存在することに気付くことから始める。そのようなシステムの例示的な例は、一般に、センシング性能を犠牲にすることなく、呼掛け信号の瞬時電力を低下させることができるように、長い相関符号または掃引光周波数を使用する。残念ながら、当業者には知られ、理解されるように、このような従来技術のアプローチは、従来のパルスOTDRと比較して、インタロゲータにおいてはるかに多くの信号処理を必要とする。その結果、これらの従来技術のアプローチには、より高い実装コストを有するかなり多くの計算資源が必要とされる。
【0019】
図1は、本開示の態様による単一ファイバ対上のデュアルユース光ファイバ通信/センシングシステムを示す概略図である。その図を参照すると、通信チャネルおよびDFSシステム信号が、同じ光ファイバ上で搬送されることが観察され得る。
【0020】
動作上、システム全体は、2つのノード間の双方向通信をサポートするファイバ対を含む。典型的な構成では、1つのファイバケーブルに対して1つのファイバセンシングインタロゲータのみがDFSに必要であるが、しかしながら、2つのDFSシステムは、ファイバ対が同じケーブル内の2つのファイバを含む場合、バックアップ目的のために、本発明者らの設計に実装することができる。2つのDFSシステムは、例えば、音響、振動、温度などの異なるパラメータセンシングにも使用できる。ファイバが異なる経路を有する異なるケーブルの一部である場合、2つのDFSシステムを使用して、異なる経路に沿ってセンシングデータを捕捉することができる。
【0021】
前述したように、DFSシステムにおける光質問パルスは高いピークパワーを示すため、ファイバの非線形性のためにそれらが一緒に共伝搬される場合、それらは通信チャネルと干渉する。本開示の態様による我々の双方向発射アーキテクチャでは、通信チャネルおよびセンシングパルスは、対向伝搬(counter-propagated)される。この発明のやり方では、通信信号とセンシングパルスとの間の有効な相互作用時間/長さは極端に短く、従って、ファイバの非線形性による信号干渉を劇的に減少させる。
【0022】
図から分かるように、DFSシステム内の反射センシング信号は、通信チャネルと同じ方向に進むが、弱い光パワー(ナノ秒パルスあたり-80dB~)は、有利には、通信チャネルの性能に影響を及ぼさない。
【0023】
さらなる利点のうちに、本開示によるシステム、方法、および構造は、有利には、(通信チャネルのための)送信端および受信端において、標準WDMダイプレクサを使用して、2つのシステムを結合する。さらに、DFSインタロゲータによる波長使用は、ダイプレクサの設計に応じて、帯域内または帯域外のいずれであってもよいが、しかしながら、一般に、より低いコストコンポーネントおよびより良い性能のために(Cバンドにおいて)信号と同じ帯域を使用することが好ましい。
【0024】
有利には、ダイプレクサは、DFSシステムのための動作波長を柔軟に選択するために、波長選択スイッチ(WSS)技術を用いて実装できる。また、DFSの動作波長が固定されていれば、より低い金額コストと挿入損失のために固定光学フィルタを用いて実現することができる。送信端のダイプレクサは、多重化・逆多重化機能以外にも、通信に用いるEDFAで発生する帯域内ASE雑音をフィルタで除去する重要な機能を兼ねている。送信端に光ダイプレクサがなければ、反射されたセンシング信号は雑音に振られることになり、DFSシステムは適切に動作しない。最後に、送信端における多重分離された質問パルスは、双方向増幅器によって増幅された後、後続のファイバスパンに終端されるか、または中継されて、潜在的にセンシング距離を延長することができる。
【0025】
図2は、本開示の態様による、55kmのDWDM双方向通信およびセンシングアーキテクチャを試験するための実験装置を示す概略図である。この図を参照すると、本発明者らは、概念の証明が、示されたセットアップを使用した現場試験において実証されたことに留意する。ファイバ通信システムのために、50GHzのDWDM間隔で400Gb/sのデータ速度の伝送をサポートする確率整形(PS)144QAMトランスポンダプロトタイプを用いた全C帯域DWDMシステムと、伝送スペクトルを埋めるための付加的隣接WDMチャネルを使用した。また、本発明者らは、ファイバケーブルに沿った周囲の振動/障害を監視するために本発明者らの試験双方向アーキテクチャにおいてDVSシステムを使用した。伝送およびセンシングに使用されるファイバは、55kmの長さでサイトAおよびサイトBを接続する顧客のファイバネットワーク内の現場設置ファイバリンクである。DWDM通信のための送信機はサイトBに配置され、受信機およびDVSインタロゲータはサイトAに配置されている。
【0026】
DVSハードウェア設計のためのアーキテクチャは、レーザ、音響光学変調器(AOM)、帯域通過フィルタ(BPF)を備えたEDFA、サーキュレータ、および光検出器から成り、検索されたデータはリアルタイムFPGAによって処理される。評価/試験に対するこのような特異性にもかかわらず、本開示によるシステム、方法、および構造は、異なるDFSシステム設計に適用可能であることに留意されたい。コア/メトロファイバ通信システムでは、市販の再構成可能光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)で使用される事実上の技術である、チャネルを多重化および逆多重化するためにWSSを使用することが典型的である。実験における概念を評価するために、通信システムに対して2つのWSS(各ノードに1つ)を用いた。
【0027】
同じファイバ内で通信およびセンシングシステムを組み合わせる場合、受信WSSは、受信端でセンシング信号を結合するためのダイプレクサとして作用することも有利である。しかし、送信機側では、EDFAによって発生したASE雑音をフィルタ除去する必要があるため、1つの追加WSSをダイプレクサとして使用した。それは、反射センシング信号と比較して、その相対的な高電力レベルのためDVSの動作を損なうことになる。
【0028】
DVS信号は、C帯域でDWDM通信チャネルと多重化される。
【0029】
図3は、本開示の態様による双方向通信/センシングシステム信号スペクトルマップを示す一対のスペクトルプロットを示す。これらのプロットから観察されるように、順方向において、C帯域DWDM通信チャネルは、50GHz間隔で多重化され、1つのチャネルは、DVS信号動作のために開いたままである。反射されたDVS信号は、通信チャネルと比較してパワーがはるかに低く、従って、通信チャネルの伝送性能を劣化させない。PS-144QAMのテストチャネルはセンシング信号から150GHz離れた位置にあった。逆方向では、質問パルススペクトルのみが存在する。サイトBに到達した後、質問パルス信号は、ファイバ端での高い後方反射を防止するために、ダイプレックスWSS後に終端される。
【0030】
図4は、本開示の態様によるPS-144QAMプロトタイプトランシーバを含む双方向テスト配置を示す簡略化された概略図である。
【0031】
DWDM通信システムとDVSシステムの両方が図に従ってセットアップされた後、同じファイバ上で両システムの同時動作を達成することができた。分散型ラマン増幅器を逆方向に適用して、55kmのファイバ長全体をカバーするためにDVSのセンシング距離を延長した。
【0032】
図5は、本開示の態様による、図4のPS-144QAMプロトタイプトランシーバ配置からの受信信号点配置を示す一対の信号点配置プロットである。より具体的には、図5は、コヒーレント検出およびDSP後の受信PS-144QAM信号点配置を示す。誤りのない動作は、400Gb/sデータレートのためのFEC復号後に達成された。DVS信号が挿入される前後で、知覚可能な信号劣化は観察されなかった。
【0033】
図6は、本開示の態様による、ケーブルルートに沿った周囲振動シグネチャを示す、分散型振動センシング(DVS)によって得られたウォーターフォールトレースのプロット図である。図に示すように、周囲の振動強度は、異なる時間(縦軸)および場所(横軸)に沿って示されている。有利には、試験システムは、DWDM通信システムが作動している間、55kmのファイバ長全体に対して全ての振動イベントを捕捉することができた。ウォーターフォールプロット上の斜線は、顧客のファイバーケーブルが隣に設置されている車道に沿って移動する車両を示した。検索したDVSデータを用いて、車両移動方向、道路上の車両数、車両速度、車両間の間隔などの交通情報を決定できる。
【0034】
図6は本開示の態様による、ケーブルルートに沿った周囲振動シグネチャを示す、分散型振動センシング(DVS)によって得られたウォーターフォールトレースのプロット図である。
【0035】
この時点で、いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は、本教示がそのように限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6