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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052385
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】腟式アクセスのためのツール及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230404BHJP
   A61B 17/42 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B17/42
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023003611
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2020531834の分割
【原出願日】2018-08-23
(31)【優先権主張番号】62/549,097
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/549,078
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/558,469
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/558,460
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520060483
【氏名又は名称】モーメンティス サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOMENTIS SURGICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】3 YEHADUT CANADA STREET OR-YEHUDA, ISRAEL 6037503
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】コーエン, デヴィア
(72)【発明者】
【氏名】レビンソン, ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】マイモン, エアル
(72)【発明者】
【氏名】ローテム, イダン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トロッカーコンポーネント及び使用方法を提供する。
【解決手段】トロッカーコンポーネントは、外科用のツールに、直腸子宮窩を介した腹腔内空間へのアクセスを提供するように構成され、任意選択で、1又は複数の外科用ロボット部材を含む。外科用のツールは、任意選択で、直径5mm以上である。いくつかの実施形態において、カニューレ部は、複数の外科用のツールに、直腸子宮窩を介した腹腔内空間への同時の経膣アクセスを提供するようなサイズである内腔を有する。いくつかの実施形態において、カニューレの遠位開口部受け入れるようなサイズである切開が形成され、任意選択で1つ又は2つの拡張器が用いられる。拡張器は、長円形の開口部を形成するようなサイズである(任意選択で、直径2mm以下の針による穿刺から始まる)。いくつかの実施形態において、長円形の開口部は、長径の幅が、短径の幅の少なくとも二倍である。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためにトロッカーキットと共に用いるための段階付き拡張器であって、
前記段階付き拡張器は、拡張器本体と、前記拡張器本体の第一のテーパー領域と、前記拡張器本体の第二のテーパー領域とを備え、
前記拡張器本体は、近位方向から遠位方向に長手方向軸を有し、
前記拡張器本体の第一のテーパー領域は、前記拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついており、
前記拡張器本体の第二のテーパー領域は、遠位方向により狭くなるテーパーがついており、前記第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、分離領域によって前記第一のテーパー領域から離されている、
段階付き拡張器。
【請求項2】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記分離領域は、前記第一のテーパー領域と前記第二のテーパー領域との間に延在する長手方向軸に対して垂直な断面が一定である領域を備える、段階付き拡張器。
【請求項3】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記分離領域は前記長手方向軸に対して垂直な断面を含む領域を備え、
前記領域は、いずれの方向においても、前記第一のテーパー領域の、長手方向軸に対して垂直な最大の断面よりも大きい、前記長手方向軸に対して垂直な断面を有しない、
段階付き拡張器。
【請求項4】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、前記分離領域は、少なくとも3mmの長さである、段階付き拡張器。
【請求項5】
請求項4に記載の段階付き拡張器であって、前記分離領域は、20mm以下の長さである、段階付き拡張器。
【請求項6】
請求項5に記載の段階付き拡張器であって、前記分離領域は、5~15mmの長さである、段階付き拡張器。
【請求項7】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記第一のテーパー領域及び前記第二のテーパー領域のうち少なくとも1つのテーパー範囲全体は、その前記長手方向軸に対して垂直な断面の面積が最小となる断面と、その長手方向軸に対して垂直な断面の面積が最大となる断面との間に、15mm以下の長手方向距離に渡るテーパーがついている、段階付き拡張器。
【請求項8】
請求項7に記載の段階付き拡張器であって、
前記第一のテーパー領域及び前記第二のテーパー領域のうち少なくとも1つのテーパー範囲を通じて、前記長手方向軸に対して垂直な段階付き拡張器の直径が、少なくとも7.5mm増加する、段階付き拡張器。
【請求項9】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記長手方向軸に対して垂直な前記第一のテーパー領域の断面であって、最大断面積を有する断面は、少なくとも1つの約10mm以上の長さの軸を有する、段階付き拡張器。
【請求項10】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記第一のテーパー領域の遠位先端部は、4mm以下の前面開口部を備え、少なくとも2.5mmの曲率半径を通って、前記前面開口部から遠位方向に広がっている、段階付き拡張器。
【請求項11】
請求項10に記載の段階付き拡張器であって、
前記前面開口部は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針が、前記開口部を通って長手方向に部分的に前進することを可能にするようなサイズの内腔の開口である、段階付き拡張器。
【請求項12】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記長手方向軸に対して垂直な断面であって、最大断面積を有する、前記第一のテーパー領域の断面は、少なくとも1つの約7.5mm以下の軸を有する、段階付き拡張器。
【請求項13】
請求項1に記載の段階付き拡張器を備えるキットであって、前記キットはハンドル及びトロッカー針を共に備え、
前記段階付き拡張器及びハンドルは共に、前記ハンドルの近位端から前記段階付き拡張器の遠位先端部まで、前記トロッカー針の通過を受け入れるようなサイズである内腔を画定する、キット。
【請求項14】
請求項13に記載のキットであって、
前記トロッカー針は、前記トロッカー針の遠位先端部が、前記段階付き拡張器の遠位先端部を5mm超えて前進するとき、前記ハンドルの近位端を少なくとも5cm超えて延びるハンドルを備える、キット。
【請求項15】
請求項13に記載のキットであって、前記トロッカー針は、拡張された位置及び折りたたまれた位置とできるベレス針として機能するために、鋭利でない先端であり内側にバネを有するスタイレットを備え、
前記スタイレットは、拡張された位置において、前記トロッカー針の鋭利な先端を越えて伸びる鋭利でない端部を備え、前記鋭利な先端が組織を損傷することを防ぎ、
前記スタイレットは、長手方向に十分な力をかけられると、前記スタイレットがもはや前記鋭利な先端を越えて伸びないように、前記折りたたまれた位置に移動し、前記鋭利な先端が、組織を貫通するように動作できるようにする、
キット。
【請求項16】
請求項13に記載のキットであって、
前記トロッカー針の遠位先端部が、前記段階付き拡張器の遠位先端部を越えて5mmより大きく前進することを防ぐように構成される、ストッパーデバイスを備える、キット。
【請求項17】
請求項1に記載の段階付き拡張器であって、
前記第二のテーパー領域の、前記長手方向軸に対して垂直な断面であって、最大断面積を有する断面は、少なくとも1つの約21mm以上の長さの軸を有する、段階付き拡張器。
【請求項18】
体の凹部の壁を横切る腹腔内アクセスを提供するカニューレであって、
前記カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレの内腔の断面は、長軸及び短軸を有し、
前記長軸は、前記短軸の少なくとも2倍の長さである、
カニューレ。
【請求項19】
請求項18に記載のカニューレであって、前記断面の短軸は、5mm~10mmの間である、カニューレ。
【請求項20】
請求項18に記載のカニューレであって、前記断面の長軸は、10mm~30mmの間である、カニューレ。
【請求項21】
請求項18に記載のカニューレであって、カニューレの横断断面を画定する内腔壁は、前記横断断面の対向する両側に湾曲していない部分を備える、カニューレ。
【請求項22】
請求項21に記載のカニューレであって、前記湾曲していない部分は、湾曲部分を介して相互接続されている、カニューレ。
【請求項23】
請求項8に記載のカニューレであって、前記カニューレは、少なくとも5cmの長さである、カニューレ。
【請求項24】
請求項18に記載のカニューレであって、
前記カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部と、前記開口部の別の辺に沿って伸びる第二の端部とを備え、
前記第一の端部は、前記第二の端部よりも、前記長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って伸びる、カニューレ。
【請求項25】
請求項24に記載のカニューレであって、前記第一及び第二の端部は、前記開口部の対向する両側に沿って延在する、カニューレ。
【請求項26】
請求項24に記載のカニューレであって、
前記第一の端部及び前記第二の端部は、前記断面の長軸に沿って延在する、カニューレ。
【請求項27】
請求項18~26のいずれかに記載のカニューレであって、前記カニューレの近位端から少なくとも10cm伸びるハンドルを備える、カニューレ。
【請求項28】
トロッカーとともに用いて、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのカニューレであって、
前記カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、前記開口部の一辺に沿って延在する第一の端部と、前記開口部の別の辺に沿って延在する第二の端部とを備え、
前記第一の端部は、前記第二の端部よりも、長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って伸びるカニューレ。
【請求項29】
請求項28に記載のカニューレであって、前記第一の端部は、前記第二の端部よりも少なくとも5mm、より遠位方向に配置される、カニューレ。
【請求項30】
請求項28又は29に記載のカニューレであって、前記第一の端部及び前記第二の端部はそれぞれ、湾曲していない部分を含む、カニューレ。
【請求項31】
体の凹部を介して体腔への腹腔内アクセスを提供するためのカニューレの使用方法であって、前記方法は、
カニューレの遠位端を経膣アクセスを介して直腸子宮窩の拡張された開口部に挿入する工程を含み、
前記カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部と、前記開口部の対向する側に沿って延在する第二の端部とを備え、前記第一の端部は、前記カニューレに沿って、前記拡張された開口部から前記第二の端部よりもより遠位方向に配置され、
前記カニューレは、前記カニューレの遠位端の開口部が、前記第二の端部の側へ開くように向けられ、直腸子宮窩に隣接する直腸に対して面するように挿入される、
方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
柔軟なロボットアームが、直腸から離れるように向けられた方向で、前記開口部を出るように、柔軟なロボットアームを、前記カニューレを通って、直腸子宮窩へと挿入する工程を含む、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、
前記カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程は、前記カニューレをアウター拡張器上でスライドさせる工程を含み、
前記アウター拡張器は、丸みを帯びた先端を有するテーパー付き遠位挿入端を含むインナー拡張器上で適切にスライドするようなサイズ及び形状であるテーパー付き遠位挿入端を備え、
前記カニューレは、前記アウター拡張器上を適切にスライドし、
少なくとも前記アウター拡張器は、経膣アクセスを介して直腸子宮窩へと挿入される、
方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、
前記インナー拡張器を前記アウター拡張器内に留めながら、前記カニューレをアウター拡張器上でスライドする工程を備える、方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、
前記カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程は、前記カニューレを段階付き拡張器上でスライドする工程を含み、
前記段階付き拡張器は、丸みを帯びた先端を有するテーパー付き遠位挿入端、第二のテーパー領域、及び前記第二のテーパー領域と前記テーパー付き遠位挿入端との間の分離領域を含み、
前記カニューレは前記段階付き拡張器上を適切にスライドし、
前記拡張器は、経膣アクセスを介して直腸子宮窩へと挿入される、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記丸みを帯びた先端は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針を通過させるサイズの穴を有する、方法。
【請求項37】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのキットであって、
前記キットは、カニューレ、段階付き拡張器及びトロッカー針を備え、
前記カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレの内腔の横断断面は、それぞれ少なくとも直径8mmである、少なくとも2つの円柱状の部材の同時挿入を可能にするような十分な長軸長さを有し、
前記段階付き拡張器は、拡張器本体を有し、
前記拡張器本体は、前記拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついた拡張器本体の第一のテーパー領域、及び、遠位方向により狭くなるテーパーがつき、前記第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、前記第一のテーパー領域から分離領域の分だけ離れている拡張器本体の第二のテーパー領域を有し、
前記トロッカー針は、前記トロッカー針の遠位先端部が、前記インナー拡張器の遠位先端部まで前進するとき、前記インナー拡張器の近位端を越えて伸びるハンドル領域を備える、
キット。
【請求項38】
請求項37に記載のキットであって、前記カニューレの内腔の横断断面の長軸は少なくとも21mmである、キット。
【請求項39】
請求項37に記載のキットであって、前記カニューレは、断面の短軸を有し、前記断面の長軸は、少なくとも前記断面の短軸の二倍の長さである、キット。
【請求項40】
請求項37に記載のキットであって、
前記キットは、複数のロボットアームのためのアームシースを備え、
前記アームシースは前記カニューレ内に適合するサイズであり、
前記カニューレは、約10mmの最小直径を有し、かつ、最小直径の少なくとも2倍の最大直径を有する、キット。
【請求項41】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法であって、
直腸子宮窩の壁の開口部を広げるために、段階付き拡張器の第一段階を直腸子宮窩に挿入する工程、及び
前記開口部を広げるために、前記段階付き拡張器の第二段階を直腸子宮窩へと挿入する工程、
を備え、
前記段階付き拡張器の第一及び第二段階は、遠位方向により狭くなるテーパーがついている領域をそれぞれ備え、
前記拡張器の第一及び第二段階は、少なくとも3mmの長さの分離領域の分、離れている、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、
前記方法の前に、
前記段階付き拡張器を経膣的に直腸子宮窩の壁に挿入する工程、及び
直腸子宮窩の壁に開口部を形成するために、前記段階付き拡張器内からトロッカー針を前進させる工程
を含む、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記方法は、
前記開口部が、前記段階付き拡張器によって開いたまま保持される間、
カニューレを、前記段階付き拡張器上で、前記開口部を横切ってスライドする工程によって、前記カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程に続き、
前記カニューレの内腔は、少なくとも1つの、少なくとも20mmの断面軸を有する、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法であって、前記カニューレの内腔は、少なくとも1つの約12mm未満の断面軸を有する、方法。
【請求項45】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法であって、
カメラの視野内の、直腸子宮窩の壁を有する腹腔内空間にカメラを挿入する工程、
腹腔内に配置された照明デバイスを用いて、前記直腸子宮窩の壁を照らす工程、
前記直腸子宮窩の外側から視認可能な前記照明デバイスからの光に基づいて、前記直腸子宮窩の壁のための開口部の位置を選択する工程、
前記直腸子宮窩の壁の選択された位置に対して押しつけるために、前記直腸子宮窩の外側からトロッカー針を前進させる工程、
前記腹腔内空間内のカメラからの1又は複数の画像に基づいて、前記トロッカー針の位置を確認する工程、及び
前記トロッカー針を用いて、前記開口部から直腸子宮窩を穿刺する工程、
を含む、方法。
【請求項46】
身体の開口部に挿入されるカニューレの長手方向軸に沿ったロボットアームシステムの位置を設定するためのキットであって、
前記ロボットアームシステムは、モーターユニット及び少なくとも1つのロボットアームを備え、
少なくとも1つのロボットアームは、配置されたとき、前記モーターユニットから前記長手方向軸に沿って遠位方向に伸び
前記キットは、前記カニューレ及びアセンブリを備え、
前記カニューレは、前記身体の開口部への挿入のために構成されたカニューレ本体、及び、前記カニューレへの取り付けのために構成された取り付けブロックを含み、
前記アセンブリは、前記取り付けブロックに取り付けられ、スペーシングアーム及びアラインアームを含み、収納位置及び展開位置の間を移動可能であり、
前記アセンブリの展開位置は、前記アラインアームの要素を、前記アラインアームの要素が前記長手方向軸に沿って所定の位置を示す位置に配置する、
キット。
【請求項47】
請求項46に記載のキットであって、
前記取り付けブロックは、アクセスデバイスに接続する工程によって前記カニューレに取り付けられ、
前記アクセスデバイスは、前記カニューレをその中に適切に受け入れるようなサイズである内腔を有する、
キット。
【請求項48】
請求項46に記載のキットであって、
前記スペーシングアーム及び前記アラインアームは、複数の停止したヒンジ周りにヒンジ止めされることによって展開し、
停止したヒンジはそれぞれ、少なくとも停止した展開位置、及び停止した収納位置を画定する、キット。
【請求項49】
請求項46に記載のキットであって、
前記キットは、前記モーターユニット、及び前記少なくとも1つのロボットアームをさらに備え、
前記少なくとも1つのロボットアームは、前記モーターユニットから遠位方向に、前記モーターユニットのストッパー受け部から所定の距離まで伸び、
前記少なくとも1つのロボットアームの遠位端は、前記少なくとも1つのロボットアームが前記カニューレに挿入されるとき、前記カニューレの遠位端と位置合わせされ、アラインアームのストッパー部は、前記モーターユニットの長手方向の前進を防ぐために、前記モーターユニットのストッパー受け部に接触する、キット。
【請求項50】
請求項46~49のいずれかに記載のキットであって、
前記キットは、前記少なくとも1つのロボットアームを受け入れるようなサイズである内腔を有するアームシース、及び、前記カニューレ内に適合するサイズである外側表面を備える、
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年8月23日に出願された仮特許出願62/549,097号、2017年8月23日に出願された仮特許出願62/549,078号、2017年9月14日に出願された仮特許出願62/558,460号、及び、2017年9月14日に出願された仮特許出願62/558,469号の、米国の35USC§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、これらの出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、同時出願、同時係属及び同時譲渡された、以下の一連の出願の一部でもある。
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題する米国特許出願(代理人整理番号74919)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題するPCT特許出願(代理人整理番号74918)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題するカナダ特許出願(代理人整理番号74920)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題する米国特許出願(代理人整理番号74927)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題するカナダ特許出願(代理人整理番号74928)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題する米国特許出願(代理人整理番号74926)
「腟式アクセスのためのツール及び方法(TOOLS AND METHODS FOR VAGINAL ACCESS)」と題する米国特許出願(代理人整理番号74924)
これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明の技術分野及び背景
本発明は、そのいくつかの実施形態では、腹腔内手術の分野に関し、より具体的には、腹腔内空間への腹腔鏡アクセスのための装置及び方法に関する。
【0004】
骨盤腔鏡検査は、膣後壁を通る骨盤腔鏡の導入によって、直腸子宮窩及び骨盤内臓器を検査するために、実行される内視鏡下処置である。骨盤腔鏡は、改良された腹腔鏡とすることができる。トロッカーは、まず、膣を通り後膣円蓋、子宮頸部の後ろの空間に挿入され、次に、骨盤腔鏡の進入を可能にする。患者の位置により、腸が骨盤臓器から離れ、その後、骨盤臓器を検査できる。骨盤腔鏡検査で診断可能な状態には、卵管癒着(不妊を引き起こす)、子宮外妊娠、及び卵管炎がある。骨盤腔鏡検査は、卵管不妊手術などの比較的簡単な処置の実行を可能にする。
【0005】
発明の概要
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するための、トロッカーキットと共に用いるための段階付き拡張器が提供され、段階付き拡張器は、拡張器本体と、拡張器本体の第一のテーパー領域と、拡張器本体の第二のテーパー領域とを備え、拡張器本体は、近位方向から遠位方向に長手方向軸を有し、拡張器本体の第一のテーパー領域は、拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついており、拡張器本体の第二のテーパー領域は、遠位方向により狭くなるテーパーがついており、第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、分離領域によって前記第一のテーパー領域から離されている。
【0006】
第一のテーパー領域と第二のテーパー領域との間に延在する長手方向軸に対して垂直な断面が一定である領域を備える。
【0007】
分離領域は、長手方向軸に対して垂直な断面を含む領域を備え、領域は、いずれの方向においても、第一のテーパー領域の長手方向軸に対して垂直な最大の断面よりも大きい、長手方向軸に対して垂直な断面を有しない。
【0008】
いくつかの実施形態において、分離領域は、少なくとも3mmの長さである。
【0009】
いくつかの実施形態において、分離領域は、20mm以下の長さである。
【0010】
いくつかの実施形態において、分離領域は、5~15mmの長さである。
【0011】
いくつかの実施形態において、第一のテーパー領域及び第二のテーパー領域のうち少なくとも1つのテーパー範囲全体は、長手方向軸に対して垂直な断面の面積が最小となる断面と、長手方向軸に対して垂直な断面の面積が最大となる断面との間に、15mm以下の長手方向距離に渡るテーパーがついている。
【0012】
いくつかの実施形態において、第一のテーパー領域及び第二のテーパー領域のうち少なくとも1つのテーパー範囲を通じて、長手方向軸に対して垂直な段階付き拡張器の直径が、少なくとも7.5mm増加する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第一のテーパー領域の、長手方向軸に対して垂直な断面であって、最大断面積を有する断面は、少なくとも1つの約10mm以上の長さの軸を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、第一のテーパー領域の遠位先端部は、4mm以下の前面開口部を備え、少なくとも2.5mmの曲率半径を通って、前面開口部から遠位方向に広がっている。
【0015】
いくつかの実施形態において、前面開口部は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針が、開口部を通って長手方向に部分的に前進することを可能にするようなサイズの内腔の開口である。
【0016】
いくつかの実施形態において、長手方向軸に対して垂直な断面であって、最大断面積を有する、第一のテーパー領域の断面は、少なくとも1つの約7.5mm以下の軸を有する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記の段階付き拡張器を備えるキットであって、ハンドル及びトロッカー針を共に備えるキットが提供され、段階付き拡張器及びハンドルは共に、ハンドルの近位端から段階付き拡張器の遠位先端部まで、トロッカー針の通過を受け入れるようなサイズである内腔を画定する。
【0018】
いくつかの実施形態において、トロッカー針は、トロッカー針の遠位先端部が、段階付き拡張器の遠位先端部を5mm超えて前進するとき、ハンドルの近位端を少なくとも5cm超えて延びるハンドルを備える。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記トロッカー針は、拡張された位置及び折りたたまれた位置とできるベレス針として機能するために、鋭利でない先端であり内側にバネを有するスタイレットを備え、スタイレットは、拡張された位置において、トロッカー針の鋭利な先端を越えて伸びる鋭利でない端部を備え、前記鋭利な先端が組織を損傷することを防ぎ、スタイレットは、長手方向に十分な力をかけられると、スタイレットがもはや鋭利な先端を越えて伸びないように、折りたたまれた位置に移動し、鋭利な先端が、組織を貫通するように動作できるようになる。
【0020】
いくつかの実施形態において、トロッカー針の遠位先端部が、段階付き拡張器の遠位先端部を越えて5mmより大きく前進することを防ぐように構成される、ストッパーデバイスを備える。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記長手方向軸に対して垂直な断面であって、最大断面積を有する第二のテーパー領域の断面は、少なくとも1つの約21mm以上の長さの軸を有する。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部の壁を横切る腹腔内アクセスを提供するカニューレが提供され、カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレの内腔の断面は、長軸及び短軸を有し、長軸は、短軸の少なくとも2倍の長さである。
【0023】
いくつかの実施形態において、断面の短軸は、5mm~10mmの間である。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記断面の長軸は、10mm~30mmの間である。
【0025】
いくつかの実施形態において、カニューレの横断断面を画定する内腔壁は、前記横断断面の対向する両側に湾曲していない(ストレートな)部分を備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、湾曲していない部分は、湾曲部分を介して相互接続されている。
【0027】
いくつかの実施形態において、カニューレは、少なくとも5cmの長さである。
【0028】
いくつかの実施形態において、カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部と、開口部の別の辺に沿って伸びる第二の端部とを備え、第一の端部は、第二の端部よりも、長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って伸びている。
【0029】
いくつかの実施形態において、第一及び第二の端部は、開口部の対向する両側に沿って延在する。
【0030】
いくつかの実施形態において、第一の端部及び第二の端部は、断面の長軸に沿って延在する。
【0031】
いくつかの実施形態において、カニューレは、前記カニューレの近位端から少なくとも10cm伸びるハンドルを備える。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トロッカーとともに用いて、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのカニューレが提供され、カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、開口部の一辺に沿って延在する第一の端部と、開口部の別の辺に沿って延在する第二の端部とを備え、第一の端部は、第二の端部よりも、長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って延在する。
【0033】
いくつかの実施形態において、第一の端部は、第二の端部よりも少なくとも5mm、より遠位方向に配置される。
【0034】
いくつかの実施形態において、第一の端部及び第二の端部はそれぞれ、湾曲していない(ストレートな)部分を含む。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して体腔への腹腔内アクセスを提供するためのカニューレの使用方法が提供され、方法は、カニューレの遠位端を経膣アクセスを介して直腸子宮窩の拡張された開口部に挿入する工程を含み、カニューレの遠位端の開口部を画定する端部は、開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部と、開口部の対向する側に沿って延在する第二の端部とを備え、第一の端部は、カニューレに沿って、拡張された開口部から第二の端部よりもより遠位方向に配置され、カニューレは、カニューレの遠位端の開口部が、第二の端部の側へ開くように向けられ、直腸子宮窩に隣接する直腸に対して面するように挿入される。
【0036】
いくつかの実施形態において、方法は、直腸から離れるように向けられた方向で、開口部を出るように、柔軟なロボットアームを、カニューレを通って、直腸子宮窩へと挿入する工程を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程は、カニューレをアウター拡張器上でスライドさせる工程を含み、アウター拡張器は、丸みを帯びた先端を有するテーパー付き遠位挿入端を含むインナー拡張器の上で、適切にスライドするようなサイズ及び形状であるテーパー付き遠位挿入端を備え、カニューレは、アウター拡張器上で適切にスライドし、少なくともアウター拡張器は、経膣アクセスを介して直腸子宮窩へと挿入される。
【0038】
いくつかの実施形態において、方法は、インナー拡張器をアウター拡張器内に留めながら、カニューレをアウター拡張器上でスライドする工程を備える。
【0039】
いくつかの実施形態において、前記カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程は、カニューレを段階付き拡張器上でスライドする工程を含み、段階付き拡張器は、丸みを帯びた先端を有するテーパー付き遠位挿入端、第二のテーパー領域、及び第二のテーパー領域とテーパー付き遠位挿入端との間の分離領域を含み、カニューレは段階付き拡張器上を適切にスライドし、拡張器は、経膣アクセスを介して直腸子宮窩へと挿入される。
【0040】
いくつかの実施形態において、丸みを帯びた先端は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針を通過させるサイズの穴を有する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのキットが提供され、キットは、カニューレ、段階付き拡張器及びトロッカー針を備え、カニューレの長手方向軸を横切るカニューレの内腔の横断断面は、それぞれ少なくとも直径8mmである、少なくとも2つの円柱状の部材の同時挿入を可能にするような十分な長軸長さを有し、段階付き拡張器は、拡張器本体を有し、拡張器本体は、拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついた拡張器本体の第一のテーパー領域、及び、遠位方向により狭くなるテーパーがつき、第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、第一のテーパー領域から分離領域の分だけ離れている拡張器本体の第二のテーパー領域を有し、トロッカー針は、トロッカー針の遠位先端部が、インナー拡張器の遠位先端部まで前進するとき、インナー拡張器の近位端を越えて延在するハンドル領域を備える。
【0042】
いくつかの実施形態において、カニューレ内腔の横断断面の長軸は、少なくとも21mmである。
【0043】
いくつかの実施形態において、カニューレは、断面の短軸を有し、前記断面の長軸は、少なくとも前記断面の短軸の二倍の長さである。
【0044】
いくつかの実施形態において、キットは、複数のロボットアームのためのアームシースを備え、アームシースはカニューレ内に適合するサイズであり、カニューレは、約10mmの最小直径を有し、かつ、最小直径の少なくとも2倍の最大直径を有する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法が提供され、方法は、直腸子宮窩の壁の開口部を広げるために、段階付き拡張器の第一段階を直腸子宮窩に挿入する工程、及び、開口部を広げるために、直腸子宮窩へと前記段階付き拡張器の第二段階を挿入する工程を備え、段階付き拡張器の第一及び第二段階は、遠位方向により狭くなるテーパーがついている領域をそれぞれ備え、拡張器の第一及び第二段階は、少なくとも3mmの長さの分離領域の分、離れている。
【0046】
いくつかの実施形態において、方法の前に、段階付き拡張器を経膣的に直腸子宮窩の壁に挿入する工程、及び、直腸子宮窩の壁に開口部を形成するために、前記段階付き拡張器内からトロッカー針を前進させる工程を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、カニューレの内腔は、少なくとも20mmの断面の軸を少なくとも1つ有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、カニューレの内腔は、少なくとも1つの約12mm未満の断面の軸を有する。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法が提供され、カメラの視野内の、直腸子宮窩の壁を有する腹腔内空間にカメラを挿入する工程、腹腔内に配置された照明デバイスを用いて、直腸子宮窩の壁を照らす工程、直腸子宮窩の外側から視認可能な照明デバイスからの光に基づいて、直腸子宮窩の壁のための開口部の位置を選択する工程、直腸子宮窩の壁の選択された位置に対して押しつけるために、直腸子宮窩の外側からトロッカー針を前進させる工程、腹腔内空間内のカメラからの1又は複数の画像に基づいて、トロッカー針の位置を確認する工程、及び、トロッカー針を用いて、開口部から直腸子宮窩を穿刺する工程、を含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、身体の開口部に挿入されるカニューレの長手方向軸に沿ったロボットアームシステムの位置を設定するためのキットが提供され、ロボットアームシステムは、モーターユニット及び少なくとも1つのロボットアームを備え、少なくとも1つのロボットアームは、配置されたとき、モーターユニットから長手方向軸に沿って遠位方向に伸び、キットは、カニューレ及びアセンブリを備え、カニューレは、身体の開口部への挿入のために構成されたカニューレ本体、及び、カニューレへの取り付けのために構成された取り付けブロックを含み、アセンブリは、取り付けブロックに取り付けられ、スペーシングアーム及びアラインアームを含み、収納位置及び展開位置の間を移動可能であり、アセンブリの展開位置は、アラインアームの要素を、アラインアームの要素が長手方向軸に沿って所定の位置を示す位置に配置する。
【0051】
いくつかの実施形態において、取り付けブロックは、アクセスデバイスに接続する工程によってカニューレに取り付けられ、アクセスデバイスは、カニューレをその中に適切に受け入れるようなサイズである内腔を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、スペーシングアーム及び前記アラインアームは、複数の停止したヒンジ周りにヒンジ止めされることによって展開し、停止したヒンジはそれぞれ、少なくとも停止した展開位置、及び停止した収納位置を画定する。
【0053】
いくつかの実施形態において、キットは、モーターユニット、及び少なくとも1つのロボットアームをさらに備え、少なくとも1つのロボットアームは、モーターユニットからモーターユニットのストッパー受け部から所定の距離まで遠位方向に伸び、少なくとも1つのロボットアームの遠位端は、少なくとも1つのロボットアームがカニューレに挿入されるとき、カニューレの遠位端と位置合わせされ、アラインアームのストッパー部は、モーターユニットの長手方向の前進を防ぐために、モーターユニットのストッパー受け部に接触する。
【0054】
いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも1つのロボットアームを受け入れるようなサイズである内腔を有するアームシース、及び、カニューレ内に適合するサイズである外側表面を備える。
【0055】
本開示のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するための、トロッカーキットと共に用いるためのインナー拡張器が提供され、インナー拡張器は、遠位先端部とインナー拡張器の完全に拡張している断面との間の、15mm以下の長手方向距離に渡るテーパーがついている遠位挿入端を有し、インナー拡張器の完全に拡張している断面は、約10mm以上の少なくとも1つの軸を有し、挿入端の遠位先端部は、4mm以下の前面開口部を備え、挿入端の遠位先端部は、少なくとも2.5mmの曲率半径を通って、テーパーに沿う方向に、前面開口部から広がり、前面開口部は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針が、開口部を通って長手方向に部分的に前進することを可能にするようなサイズの内腔の開口である。
【0056】
いくつかの実施形態において、インナー拡張器の完全に拡張している断面は、少なくとも1つの約7.5mm以下の軸を有する。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上記のインナー拡張器を備えるキットが提供され、キットは、トロッカー針を有し、インナー拡張器は、少なくとも17cmの長さであり、トロッカー針は、トロッカー針の遠位先端部が、インナー拡張器の遠位先端部を5mm超えて前進するとき、インナー拡張器の近位端を少なくとも5cmを超えて伸びるハンドルを備える。
【0058】
いくつかの実施形態において、トロッカー針は、ベレス針として機能するために、鋭利でない先端であり内側にバネを有するスタイレットを備え、スタイレットは、その拡張された位置において、針の鋭利な先端が組織を損傷することを防ぎ、しかし、鋭利な先端が、長手方向に十分な力をかけられると、組織を貫通するように動作できるように折りたたまれる。
【0059】
いくつかの実施形態において、ストッパーデバイスが備えられ、ストッパーデバイスは、トロッカー針の遠位先端部が、インナー拡張器の遠位先端部を越えて5mmより大きく前進することを防ぐように構成される。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上記のインナー拡張器を備えるキットが提供され、キットは、アウター拡張器を有し、アウター拡張器は、遠位開口とアウター拡張器の完全に拡張している断面との間に、15mm以下の長手方向距離に渡るテーパーがついている遠位挿入端を有し、インナー拡張器の完全に拡張している断面は、少なくとも1つの約21mm以上の軸を有する。
【0061】
いくつかの実施形態において、遠位開口は、インナー拡張器の完全に拡張している断面を適切に囲むようなサイズである内腔を有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、キットは、アウター拡張器の遠位先端部が、インナー拡張器の遠位先端部を超えて15mmより大きく前進することを防ぐように構成されるストッパーを備える。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのトロッカーキットが提供され、トロッカーキットは、カニューレ、インナー拡張器、トロッカー針、及びアウター拡張器を備え、
カニューレの長手方向軸を横切るカニューレの内腔の横断断面は、それぞれ少なくとも直径8mmである、少なくとも2つの円柱状の部材の同時挿入を可能にするような十分な長さの長軸を有し、
インナー拡張器は、本体開口部に7cmの長さ完全に挿入されながら、約10cmの外部ハンドル領域を残すのに少なくとも十分な長さであり、4mm以下の面積の遠位先端部とインナー拡張器の完全に拡張している断面との間の移動の、15mm以下の範囲内の第一段階の完全な拡張に到達するのに十分に短い長手方向距離に渡ってテーパーがついている遠位挿入端を有し、インナー拡張器の完全に拡張している断面は、カニューレ断面の長軸の約半分の長さの軸を少なくとも1つ有し、
トロッカー針は、トロッカー針の遠位先端部が、インナー拡張器の遠位先端部まで前進するとき、インナー拡張器の近位端を越えて伸びるハンドル領域を備え、
アウター拡張器は、インナー拡張器の完全に拡張している断面を適切に囲むようなサイズである遠位開口と、アウター拡張器の完全に拡張している断面との間の15mm以下の長手方向距離に渡ってテーパーがついた遠位挿入端を有し、アウター拡張器の完全に拡張している断面は、カニューレの内腔によって適切に囲まれるサイズである。
【0064】
いくつかの実施形態において、カニューレ内腔の断面の長軸は、少なくとも21mmである。
【0065】
いくつかの実施形態において、カニューレは、断面の短軸を有し、断面の長軸は、断面の短軸の、少なくとも二倍の長さである。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのトロッカーキットが提供され、トロッカーキットは、インナー拡張器、アウター拡張器、及びカニューレを備え、アウター拡張器は、インナー拡張器上に適切に入れ子となるサイズ及び形状であり、カニューレは、アウター拡張器上に適切に入れ子となるサイズ及び形状であり、インナー拡張器は、約2mm以下の直径を有するトロッカー針部の長手方向の通過のためのサイズである穴を有する、丸みを帯びた遠位先端部を備え、カニューレの内腔は、少なくとも20mmの断面軸を少なくとも1つ有し、カニューレの内腔は、少なくとも1つの約12mm未満の断面軸を有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、インナー拡張器とアウター拡張器は、長手方向軸に沿って15mm以内の、それぞれより狭くなる遠位挿入端から、それぞれのフルサイズの断面まで、それぞれテーパーがついている。
【0068】
本開示のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法が提供され、方法は、
インナー拡張器を、経膣的に直腸子宮窩の壁へと挿入する工程、
直腸子宮窩の壁の開口部を形成するために、インナー拡張器の中からトロッカー針を前進させる工程、
開口部を広げるために、インナー拡張器を15mm以下だけ直腸子宮窩内へと挿入する工程、
インナー拡張器によって開口部を開いたまま保持しながら、アウター拡張器をインナー拡張器上で、開口部を横切ってスライドする工程によって、アウター拡張器を15mm以下直腸子宮窩へと挿入する工程、
アウター拡張器によって開口部を開いたまま保持しながら、アウター拡張器上で、開口部を横切ってカニューレをスライドする工程によって、カニューレの遠位端を直腸子宮窩へと挿入する工程を備え、
カニューレの内腔は、少なくとも20mmの断面軸を少なくとも1つ有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、カニューレの内腔は、少なくとも1つの約12mm未満の断面軸を有する。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態によれば、体の凹部を介して腹腔内アクセスを得る方法が提供され、方法は、
カメラの視野内の、直腸子宮窩の壁を有する腹腔内空間にカメラを挿入する工程、
腹腔内に配置された照明デバイスを用いて、直腸子宮窩の壁を照らす工程、
直腸子宮窩の外側から視認可能な照明デバイスからの光に基づいて、直腸子宮窩の壁の開口部のための位置を選択する工程、
直腸子宮窩の壁の選択された位置に対して押しつけるために、直腸子宮窩の外側からトロッカー針を前進させる工程、
腹腔内空間内のカメラからの1又は複数の画像に基づいて、トロッカー針の位置を確認する工程、及び
トロッカー針を用いて、開口部から直腸子宮窩を穿刺する工程を含む。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態によれば、身体の開口部に挿入されるカニューレの長手方向軸に沿ったロボットアームシステムの長手方向の位置を設定するためのキットが提供され、
ロボットアームシステムは、モーターユニット、及び、長手方向軸に沿ってモーターユニットから遠位方向に伸びる少なくとも1つのロボットアームを備え、
キットは、カニューレ、取り付けブロック、モーターユニットストッパー及びアセンブリを備え、
カニューレは、身体の開口部への挿入のために構成されたカニューレ本体、カニューレの長手方向軸に沿って近位方向に伸びるカニューレハンドルを含み、
取り付けブロックは、ブロック本体、及び、ブロック本体に対して選択された長手方向位置でカニューレハンドルをクランプするように構成されるクランプを含み、
モーターユニットストッパーは、ブロック本体に取り付けられた、長手方向に伸びた部材を含み、ブロック本体からモーターユニットストッパーの近位端までの所定の長さ伸びている第一の位置と第二の位置との間を移動可能であり、
第一の位置におけるモーターストッパーユニットの近位端は、少なくとも1つのロボットアームがカニューレに挿入されると、接触し、モーターユニットの長手方向の前進を妨げるように配置され、それによって、カニューレに対するロボットアームシステムの所定の長手方向の位置を画定し、
モーターユニットストッパーの第二の位置は、モーターユニットストッパー近位端を、所定の長手方向の位置からのモーターユニットの長手方向の前進を妨げる位置から取り除く。
【0072】
いくつかの実施形態において、モーターユニットストッパーは、ヒンジによって、ブロック本体に取り付けられ、第一の位置は、カニューレの長手方向軸に沿うモーターユニットストッパーの向きを有し、第一の位置と第二の位置との間の移動は、ヒンジ上のモーターユニットストッパーの回転を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、モーターユニットストッパーは、少なくとも1つのロボットアームがカニューレに挿入されるとき、カニューレの位置も、モーターユニットの位置も乱すことなく、第一の位置と第二の位置と間を移動可能である。
【0074】
いくつかの実施形態において、キットは、モーターユニットと、少なくとも1つのロボットアームをさらに備え、少なくとも1つのロボットアームは、モーターユニットのストッパー受け部から所定の距離まで、モーターユニットから遠位方向に伸び、少なくとも1つのロボットアームがカニューレに挿入されるとき、少なくとも1つのロボットアームの遠位端カニューレの遠位端と位置合わせされ、モーターユニットストッパーは、モーターユニットのストッパー受け部と接触し、モーターユニットの長手方向の前進を妨げる。
【0075】
いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも7mmの断面軸を有するロボットアームを受け入れるようなサイズである内腔断面を有し、ストッパーの近位端からブロック本体の長手方向位置に対して遠位の位置まで長手方向に伸びるような大きさである長さを有するチューブをそれぞれ備える複数の延長部を備える。
【0076】
いくつかの実施形態において、ブロック本体は、長手方向軸に沿うカニューレ本体の開口部へのロボットアームの誘導を可能にする位置及び向きの、複数の延長部を受け入れるようなスロットを備える。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態によれば、キットが提供され、キットは、部分的に切開を拡張するようなサイズである遠位先端部を有するインナー拡張器、及び、インナー拡張器上を遠位方向にスライドしてアウター拡張器の遠位先端部で切開をさらに拡張するようなサイズであるアウター拡張器を備え、
インナー及びアウター拡張器の全拡張は、少なくとも約8mmの直径をそれぞれ有する少なくとも2つの円柱状の部材の同時挿入を可能にするのに少なくとも十分であり、同時にインナー及びアウター拡張器のそれぞれに沿った、拡張が生じる長手方向距離は、約20mm未満であり、
インナー拡張器とアウター拡張器のうち少なくとも1つは、近位端の近くにマークがつけられ、2つの拡張器が配置されている相対位置を示し、2つの拡張器の遠位端のアラインメントを示すマークを少なくとも含み、マークは、拡張が生じる分に渡る長手方向距離を有する一方の拡張器と比較した、他方の拡張器の長手方向の位置の差を示す。
【0078】
いくつかの実施形態において、インナー及びアウター拡張器の両方は、各拡張器に沿ってその遠位端までの距離を示す距離スケールのマークが付けられている。
【0079】
いくつかの実施形態において、インナー及びアウター拡張器の距離スケールは、それぞれの遠位端が位置合わせされるときに数値的に位置合わせされる。
【0080】
いくつかの実施形態において、キットは、インナー及びアウター拡張器の相対的な長手方向位置に応じて、インナー及びアウター拡張器を互いに長手方向に渡って並進させるのに必要な力を変更するように構成される指示インデクサを備える。
【0081】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似、又は均等の方法、及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、例示的な方法、及び/又は材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び例は、単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本開示のいくつかの実施形態が、単に例として、添付の図面を参照して説明される。図面の詳細な具体的な参照に関して、示されている詳細は例としてのものであり、例示的な議論の目的のためのものであることが強調される。これに関して、図面と共に行われる説明は、当業者に対し、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを明らかにする。
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、本明細書の説明によって参照される、ヒトの女性の骨盤の解剖学的構造の部分の概略図である。
図2A図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネントのキットを概略的に表す。
図2B図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネントのキットにおけるコンポーネントの遠位部分を概略的に示す。
図3A-3H】図3A~3Hは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネントを使用して、直腸子宮窩又は別の体壁を通る腹腔内アクセスを確立する方法を概略的に表す。
図3I図3Iは、本開示のいくつかの実施形態に係る、挿入されたツールに沿った、図3Hのカニューレ構成を概略的に表す。
図3J図3Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーを使用した腹腔鏡処置の準備を概説する概略的フローチャートである。
図3K図3Kは、本開示のいくつかの実施形態に係る、直腸子宮窩へのアクセス切開を拡張し、アクセス切開にカニューレ挿入する方法を表す概略フローチャートである。
図3L図3Lは、本開示のいくつかの実施形態に係る、女性の下腹部/骨盤領域の解剖学的構造に対するカニューレの位置決めに関する、より広視野の図(図3Hと比較して)を概略的に表す。
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、直腸子宮窩への経膣アクセスを提供するための切開部の位置を特定する二重検証方法を概略的に表す。
図5A-5C】図5A~5Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネントで使用するための様々なストッパー機構を概略的に表す。
図5D-5F】図5D~5Fは、本開示のいくつかの実施形態に係る、針、針ホルダー、及び針ハンドルを概略的に示す。
図5G-5I】図5G~5Iは、本開示のいくつかの実施形態に係る、インナー拡張器、アウター拡張器、及び針の相対的な位置決めを制御するための機構を概略的に示す。
図5J図5Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、インジケータを使用して、トロッカー針、拡張器、及び/又はカニューレ部品の既知の穿刺深さを確立及び維持する方法を概略的に示すフローチャートである。
図5K図5Kは、本開示のいくつかの実施形態に係る、例えば図3A-3I及び5D-5Iに説明及び図示されている部材を含む、拡張及びカニューレキットの製造例を示す。
図6A-6E】図6A~6Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、単一の拡張器トロッカーキットを使用した拡張を概略的に表す。
図7A-7B】図7A~7Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、図3Iの構成と同様の構成でカニューレを介して挿入されたロボットアームの、気体で膨張させた腹部の内側から撮影された画像である。け
図8A-8B】図8A~8Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、アウター拡張器及びインナー拡張器のスケール機能を示す図である。
図9A-9D】図9A~9Dは、本開示のいくつかの実施形態に係る、カニューレ用の器具ホルダー及びその使用形態を表す図を含み、器具ホルダーは、初期ロボットアーム位置を設定する際に使用するためのモーターユニットストッパーを含む。
図10A-10C】図10A~10Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、カニューレに対する初期ロボットアーム位置を設定する際に使用するための、カニューレ用の折り畳み器具ホルダー及びその構成を表す図を概略的に示す。
図10D-10E】図10D~10Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、カニューレに対する初期ロボットアーム位置を設定する際に使用するための、カニューレ用の折り畳み器具ホルダー及びその構成を表す図を概略的に示す。
図10F-10J】図10F~10Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、折りたたみ器具ホルダーの構成要素を概略的に表す。
図11A-11E】図11A~11Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、段階付き拡張器、拡張器ハンドル、及びトロッカー針を概略的に表す。
図12A-12C】図12A~12Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、アクセスデバイスの近位開口部へのアクセスをシールするために使用されるダックビルガスケットを概略的に表す。
【0083】
本発明の特定の実施形態の説明
本発明は、そのいくつかの実施形態において、腹腔内手術の分野に関し、より具体的には、腹腔内空間への腹腔鏡のアクセスのためのデバイス及び方法に関する。
【0084】
概要
本発明のいくつかの実施形態の広範な態様は、手術ツール用の直腸子宮窩を介した腹腔内空間へのアクセスを提供するように構成されたトロッカーコンポーネント(個別形態及び/又はキット形態で提供される)に関し、任意選択で、1つ又は複数の手術ロボット部材(本明細書においては、「ロボットアーム」)を含む。例えば、腹腔内空間への臍部からの進入と比較して、腹膜腔への直腸子宮窩アクセスは、侵襲性の低減、患者の外傷の低減、目に見える瘢痕の低減、及び/又は手術の速度に関し、潜在的な利点を提供する。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、長円形断面の内腔を有し、内腔に沿って並んで延在する2つ以上の実質的に円柱状のツールを同時に受け入れるように構成されたカニューレに関する。
【0086】
いくつかの実施形態では、直腸子宮窩の壁と膣への入口近くの位置、例えば約7~15cmの長さの間延在するのに十分な長手方向の長さを有するカニューレ部品が提供される。任意選択で、カニューレを追加の部品(例えば、入れ子式に嵌合可能であるトロッカー部品)とともに使用することにより、カニューレ挿入の膣内長が選択可能に延長される(例えば、7から約15cmの間)。あるいは、いくつかの実施形態では、様々なカニューレ長の選択が提供される(例えば、7から15cmの長さ範囲、例えば、この範囲の少なくとも3つのカニューレ、任意選択で、カニューレのサイズが、互いから約1cm又は2cmの長さ増加する)。これは、2つの入れ子式カニューレ部品の間に挟持される可能性を回避する、潜在的な利点を提供する。
【0087】
任意選択で、カニューレ内腔断面は、約8.6mmの直径を有し、実質的に円柱状(例えば、管状)の2つのツールに対して、同時の並列の腹腔内アクセスを提供するようなサイズである。いくつかの実施形態では、実質的に円柱状のツールは、管状形状のロボットアームを含む。カニューレ内腔断面は、いくつかの実施形態では、最短軸の少なくとも2倍の長さの最長軸を有する。任意選択で、カニューレ断面は、最大軸長が約6mm以下の断面を有する第3のツールのための余地もあるようなサイズである。このような、円筒状ツールが2つ以上通過できるようなサイズの円形断面と比較すると、このような長円形の断面により、カニューレの全周囲長をより小さくすることができ、それに相応してカニューレを受け入れるのに必要とされる切開をより小さくすることができるという潜在的な利点が提供される。
【0088】
いくつかの実施形態では、カニューレは、直腸子宮窩に挿入されると、腹腔内空間の方向に向かって開くような、カニューレの長手方向軸に対して傾斜した遠位開口部を有する。これは、ロボット部材及び/又は他のツールが、曲がって腹腔内空間に入るための空間を提供するのに役立つ可能性がある。
【0089】
任意選択で、カニューレは、ステンレス鋼又は外科的使用基準に合わせて滅菌及び再滅菌が可能である別の材料から構成される。任意選択で、カニューレは使い捨てであり、滅菌された状態で提供される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、直腸子宮窩近くのデリケートな組織への外傷を回避するために、長手方向への前進距離を短く維持し、及び/又は制御しながら、切開拡張を達成するように構成される、拡張器の幾何学的形状に関する。そして、本発明のいくつかの実施形態の態様は、拡張器の幾何学的形状に合わせて調整された拡張方法に関する。
【0091】
腹腔内空間への直腸子宮窩切開を行うことに関する重大な潜在的合併症は、直腸への損傷である。損傷は、例えば、最初の穿刺及び/又は切開の拡張中に、穿刺、擦過、及び/又は圧潰を引き起こす、過剰な侵入によるものである場合がある。いくつかの実施形態では、長手方向への前進の最大限度に関する制約は、直腸子宮窩の幅、及び近くの内臓(例えば、直腸)への偶発的な損傷の可能性を低減する必要性によって設定される。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、トロッカーキット及び/又はその使用方法の特徴は、カニューレ挿入中の過剰な侵入による損傷のリスクを低減するように作用する可能性がある。特に、いくつかの実施形態では、標的挿入深さ(例えば、完全拡張時の最小深さ)は小さく保たれる(例えば、約10~20mmの長手方向挿入深さ(例えば、13mm、15mm、17mm、19mm、又は20mm)に渡って、最大約7.5~15mmの拡張が生じる。)。いくつかの実施形態において、拡張は、最大約30mm、40mm、又は50mmまでの挿入深さに渡って生じる。
【0093】
拡張自体が完了後、拡張器による全挿入深さは、任意選択的に、これよりいくらか大きくなる(例えば、最大約2~5.5cm)。しかし、損傷を与える可能性が高い力の適用は、拡張器の拡張部が切開を通って前進している拡張段階の間で、特に起こりやすい。これは、追加の力の使用による抵抗に打ち勝つことが予想される正常な拡張器操作の段階であるためである。
【0094】
任意選択で、操作の拡張段階における過度の深さへの挿入は、拡張深さをより短くすることによる機械的利点の減少の結果生じ得る挿入力の最大値の上昇よりも、それ自体がより高い損傷誘発リスク(例えば、デリケートな組織の内部近接による)を有するものとして扱われる。
【0095】
いくつかの実施形態では、拡張器は一対の拡張器として提供される。いくつかの実施形態では、一対の拡張器は、第一の拡張器及び第二の拡張器を備え、第一の拡張器は第二の拡張器よりも小さい断面を有する。任意選択で、第一の拡張器は、第二の、より大きい、「アウター」拡張器に対して、「インナー」拡張器として提供される。インナー及びアウター拡張器は、互いに対して長手方向にスライドするように構成される。
【0096】
いくつかの実施形態では、拡張器は、階段状の複数の段階的な拡張器の拡張(例えば、2つ又は3つ)を用いて拡張する、単一の拡張器として提供される。
【0097】
いくつかの実施形態において、各拡張器又は拡張器の段階は、各段階毎に長手方向に約15mm以内の範囲で前進し、初期切開幅(拡張段階の最小断面積)から最終切開幅(拡張段階の最大断面積)への拡張を提供する。任意選択で、拡張は、長手方向の別の前進距離(例えば約10~20mm(例えば13mm、15mm、17mm、19mm、又は20mm))の範囲内から生じる。
【0098】
拡張段階の移動に渡る広がりの量は、任意選択で、それ自体が、約7.5~15mmの範囲(例えば、約7.5mm、10mm、12mm、12.5mm、又は15mm)の範囲である。長手方向への前進の関数としての、このかなり急激な拡張割合は、拡張を完成するために必要とされる挿入深さの低減と引き換えに、機械的利点の損失を許容する。拡張時の総挿入深さは、複数の拡張器を使用する場合、およそ1ステップの段階の長さ(任意選択で、拡張器の拡張部分を超え数ミリメートルを加えることができ、例えば、5-10ミリメートル加えることができる)とできる。ここで、後続の拡張器が先行の拡張器の上に入れ子にされる。単一の(階段状に拡張する)拡張器を使用する場合、拡張時の挿入深さは、個々の拡張段階の長さの合計となる場合があり、任意選択で、例えば、約5~15mmの長さを有する拡張段階間の分離領域を加えることができ、任意選択で、拡張器の拡張部分を越え数ミリメートル(例えば、5-10mm)を加えることができる。例えば、総挿入深さは、約50mmとできる。いくつかの実施形態において、分離領域は少なくとも3mmの長さである。追加的又は代替的には、分離領域は、約20mm未満の長さである。
【0099】
これに関連して、本発明者らは、ポーチ(直腸子宮窩)の壁の、拡張への抵抗に関連する、組織の機械的特性(例えば、引き裂き及び/又は伸張に対する耐性)は、他の腹腔内のアクセス位置の壁(例えば、臍部領域の皮膚、脂肪、及び/又は筋肉層の機械的特性)の機械的特性よりも、低い機械的利点に関してより寛容である可能性があることに気づいた。これにより、より短い拡張器挿入深さ、及び/又は、より少ない数の拡張段階などの潜在的な利点と引き換えに、機械的利点の少ない(より性能の低い)拡張器設計の使用が可能となった。
【0100】
拡張を段階に分割する(例えば、複数の拡張器及び/又は複数の分離した拡張段階を使用する)ことにより、中間拡張の停止点を提供され、これにより拡張をより強力に制御できる可能性がある。これにより、拡張中の制御不能な断裂の機会が減少する可能性があり、及び/又は初期拡張の精査が可能になり、さらなる拡張により悪化する可能性のある予期しない損傷(例えば、過度の出血)がないことを保証することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、第一の拡張器及び/又は拡張器段階は、鋭利でない丸みを帯びた最遠位部を有する。最遠位部は、任意選択で、トロッカーニードルを延長できるポートを有する。任意選択で、最遠位部は近位方向に湾曲し、少なくとも約2.5mmの半径を通って、幅と高さの両方が拡大し、次に主に幅が拡張して、最遠位部に対して約15mm近位の幅広長円形断面を形成する(又は別の距離、例えば、約10~20mmの範囲)。
【0102】
いくつかの実施形態において、第二の拡張器及び/又は拡張器の段階は、第一の拡張器上で適切にスライドするようなサイズである内腔を画定する最遠位部を有する。最遠位断面の外周は、第一の拡張器の拡張断面領域の近位端の楕円断面よりわずかに大きいだけである。そこから、第二の拡張器の断面もまた、近位方向に向かって約15mm拡張する(又は別の距離、例えば約10-20mmの範囲)。さらなる拡張の最大値は、例えば、約5mm、7.5、mm、10mm、又は12.5mmである。任意選択で、切開断面の1つの軸に沿って、別の軸に沿うものよりも大きな拡張がある。例えば、約1:1.5、1:2、又は1:3の相対的な拡張係数である場合がある。
【0103】
いくつかの実施形態において、カニューレは、第二の拡張器の上で適切にスライドし、その遠位開口部が直腸子宮窩内に挿入される位置に到達するようなサイズである。
【0104】
いくつかの実施形態において、第一の拡張器と共に使用されるトロッカー針は、ホルダー及び/又はハンドルを共に備え、これらは、トロッカー針の最大遠位前進がハンドル及び/又はホルダーとの間の干渉によって制限されるようなサイズである。いくつかの実施形態において、拡張器は、ストッパー、及び/又は、指示インデクサを備え、これらは、それらの相対位置の追跡を可能にし、及び/又は、一方に対する他方の拡張器の過剰な前進を阻止、表示及び/又は防止する。
【0105】
任意選択で、拡張器、拡張器、ハンドル、ホルダー、及び/又はトロッカー針は、ステンレス鋼又は別の適切な材料で構成され、これらは、外科用使用基準に(例えば、オートクレーブによって)滅菌及び再滅菌できる。
任意選択で、これらの部品の1又は複数は使い捨てで、滅菌された状態で提供される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、拡張器の前進のモニタリングの役に立つフィードバック機能及び/又は方法によって、維持及び/又は強化される拡張器の安全性能に関する。
【0107】
いくつかの実施形態において、位置の制御が失われる可能性(例えば、組織が崩れるとき、及び/又は拡張器の拡張領域の端に到達するときの突然の偶発的な過剰前進)は、固定された(例えば、患者の手術台にクランプされた)基準に対して各拡張器を動かすことによって低減される。例えば、第一の拡張器は、その初期位置及び/又は既に挿入された針を基準にして移動され、及び/又は第二の拡張器は、第一の拡張器の挿入された位置を基準にして動かされる。固定された基準位置に対する位置のモニタリングは、拡張器の標的位置に近づいたとき、拡張器のユーザーが力を和らげるのを促す可能性がある。
【0108】
いくつかの実施形態において、ストッパーの配置は、拡張器の標的前進限界に近づくか、及び/又は、到達したりするときに、2つのコンポーネント間の相対的な移動におけるスライド抵抗を変化(例えば、増加)させる。変化は、ユーザーに対し標的位置への到達を示し、及び/又は、標的位置を超える前進に、機械的に抵抗することができる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、直腸子宮壁を横切って伝達される情報を使用して、進入をモニタリングしながら、直腸子宮窩壁にカニューレ挿入する方法に関する。いくつかの実施形態において、最初の直腸子宮窩への進入(例えば、トロッカー針を使用)は、別の場所(例えば、臍)から腹腔内空間に既に挿入されたカメラ及び/又は光源を使用することから、視覚化される。針が接触すると、実際の穿刺前に、くぼみ領域が内部で観察される場合がある。代替的又は追加的に、腹腔内に配置された光源による直腸子宮窩壁の透過照明は、最初の貫通に使用される針の配置を助けるために、ポーチ(直腸子宮窩)の外側から観察される。直腸子宮壁が、直接アクセスすることが困難な領域(それが膣内の深い位置であるため)であり、かつ、カニューレ挿入中に損傷した場合に外科的合併症を引き起こす可能性がある敏感な内部構造の近くであるという両方である場合、この方法には潜在的な利点がある。内側から外側への、及び外側から内側への、二重の針の位置検証により、標的ポート位置(最初の開口部を形成するために針が目的とする)が標的とすべき/避けるべき内部構造に対して適切な位置にあることを、外側から(照明によって)確認することができ、それから、針が形成する実際のポート位置が、実際に目的の位置にあることを確認する。
【0110】
直腸子宮窩に関して記載された方法は、他の領域のカニューレ化に適合させることができ、ここで、カメラ及び光源の最初の導入は、最初のポートから体内空間へのものであり、カニューレ化は、おそらくいくつかの利点(例えば、より大きなツールに必要とされる、より大きな切開を受けるのにより適している、及び/又は、ツールによるアクセスの好ましい方向及び/又は位置を提供する)を提供する領域の別のポートを形成するために実行され、しかし、その形成中に複雑さに関するリスクがより大きくなる場合もある(例えば、外部をターゲットにすることがより困難な領域にあるため、及び/又は、不適切に実行された場合、特定の安全性リスクに関連するため)ことに留意されたい。より一般的には、いくつかの実施形態において、複数のポートが使用される場合、カメラ及び照明が第一のポート内で確立された後、第二及び後続のポートが、二つの側の観察下で開かれる場合がある。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、信頼性が高く、好ましくは迅速な、カニューレ式外科用アクセスウェイに関するロボットアームの初期位置決めの達成に関する。カニューレは、内部だけでなく、限定的なトンネルの端に配置されている外科的作業領域へのアクセスを提供するのに役立つ。ロボットアーム自体は、ロボットアームの開始位置がカニューレ、及び/又はロボットアームが作動する体内空間の内部の幾何学的構造によって呈される運動に関する潜在的な制限に関連することに正確に応じて、命令された運動の結果が異なるように、その長手に沿って、関節運動できる。
【0112】
特に重要な2つのパラメーターは、カニューレの内腔を通る1又は複数のロボットアームの長手方向の前進距離と、1又は複数のロボットアームの接近角度である。不正確な長手方向の前進の距離は、予期せず動きが制限される可能性(例えば、関節式アーム部分が期待される分、カニューレから前進しなかったため)、又は、損傷(例えば、過度の前進による体組織との衝突)さえ起こす可能性がある。不正確な接近角度は、ロボットアームが前進するときの相互干渉により、ロボットアームやカニューレにトルクを与える可能性がある。さらに極端な場合には、これにより、ロボットアームの前進が困難になったり、及び/又は、カニューレの位置が乱れたりする可能性がある。位置合わせが、外科作業領域へのロボットアームの安全な導入を達成できるよう十分に正しい場合であっても、横方向の干渉力のため、ロボットアームが期待されるとおりには、機能しないことがある。そのような力は、目視検査で判断して修正又は補償を可能にすることが、困難である可能性がある。
【0113】
これらの懸念は、完全なる外科医の直接誘導下のロボットアームの動き、及び、少なくとも部分的に自動制御下にあるロボットアームの動きのうち、1つ又は両方に当てはまる可能性がある。さらに、意図されたデバイス操作のために必要とされる、接近の角度と初期の長手方向前進距離とを判断することが困難である可能性があり、手術が開始可能となる前に、反復の、及び/又は、骨の折れるセットアップ期間が生じる可能性がある。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態では、カニューレに取り付けられた装置要素は、ロボットアームデバイスが配置されるべき場所の表示を提供するために展開される。いくつかの実施形態では、これらの要素は、スペーシングデバイス及び/又はガイドを含み、これらは、展開されると、ロボットアーム-カニューレの位置合わせが正しいかどうかの明確な表示を提供し、及び/又は、不正確な位置合わせを防止するのに役立つ。
【0115】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載される、及び/又は、図面に示される、構成の詳細及び構成要素の配置及び/又は方法及び/又は方法に、必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施又は実行することができる。
【0116】
直腸子宮窩アクセスのための拡張器とカニューレ
ここで図1を参照すると、図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、本明細書の説明によって参照される、女性の骨盤の解剖学的構造の部分の概略図である。
【0117】
本明細書の説明によって特に言及されるのは、膣17からアクセス可能な直腸子宮窩壁3の一部を含む直腸子宮窩19である。図1には、膀胱15、子宮13、直腸11も示されている。示されるように、子宮13は前傾した位置にある(すなわち、膀胱に向かって前方に傾いている)。かなりの数の患者においては、子宮13は後傾している(すなわち、後方に傾いている)又は別の位置にある場合がある。いくつかの実施形態において、後傾した子宮は、例えば、子宮マニピュレーターの使用によって、直腸子宮窩3を介した腹腔内アクセスを改善する位置に操作することができる。
【0118】
図2Aを参照すると、図2Aは本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネント200のキットを概略的に表している。
【0119】
いくつかの実施形態において、トロッカーコンポーネント200は、膣17を介して経膣的に、直腸子宮窩19の腹腔内開口部を開くようなサイズ及び形状である。
【0120】
いくつかの実施形態では、トロッカーコンポーネント200は、トロッカー針207、インナー拡張器205、アウター拡張器203、及び/又はカニューレ201、1010を含む。コンポーネントは、任意選択で、順に並べられると1つが次の中に入れ子にはいるように、サイズと形状である。例えば、本明細書の図5A-5Cに関して説明するように、任意選択で、トロッカーコンポーネント200の長手方向の互いに沿った前進距離は、ストッパー及び/又は指示インデクサ(例えば、リーフスプリングデバイス503又は別のデバイス)の使用によって、示され、及び/又は制限される。
【0121】
ここで図2Bを参照すると、図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネント200のキット内のコンポーネントの遠位部を概略的に表す。図3A~3Hも参照すると、図3A~3Hは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネント200を使用して、直腸子宮窩壁3又は別の体壁を通り腹腔内アクセスを確立する方法を概略的に表す。
【0122】
図3A~3Hは、2つの拡張器の拡張手順を示すが、より多くの拡張器(例えば、3、4、5、又はそれ以上)が任意選択で使用されることを理解されたい。より多くの拡張器の使用は、任意選択で、より急勾配の拡張器先端の設計(つまり、前進1mmあたりの拡張がより少ない)と組み合わされ、挿入抵抗を減らすのに役立つことができる。任意選択で、1つの拡張器のみが使用される(例えば、本明細書の図6A~6Eに関連して説明するように)。発明者は、約15mmの長手方向の距離に沿ってそれぞれ拡張する2つの拡張器が、過度の挿入力の使用及び/又は患者の損傷のリスクを上昇させることなく、約30mm×10mmの完全拡張サイズに到達するのに明らかに十分であることを発見した。特に、15mmは、膣壁3を通り直腸子宮窩19に直接侵入する安全な距離であると思われ、隣接する直腸19への偶発的な損傷に関する重大なリスクをもたらさない。
【0123】
図3Aでは、インナー拡張器205の遠位端が、直腸子宮窩19の壁3まで前進した状態で示されており、例えば、鋭利でない(丸い)先端215が壁3と接触して配置されている。いくつかの実施形態では、前進は経膣的に行われる。膣17は、図3A-3Hのシーケンスには示されていないが、直腸子宮窩壁3近くのトロッカーコンポーネントの遠位部を囲むと理解することができる。
【0124】
図3Bでは、トロッカー針207の鋭利な先端217が、壁3を穿刺し、直腸子宮窩19に進入するのに十分なように、インナー拡張器205の遠位ポート216から前進する。
【0125】
任意選択で、トロッカー針207は2mm以下の直径である(遠位ポート216は、トロッカー針207を通すのに十分な大きさである。例えば、遠位ポート216は、直径2mmのトロッカー針207を通すように、直径約2.1mmとできる)。この直径の制限は、直腸11へ偶発的に侵入した場合に発生する深刻な合併症のリスクを低減するのに役立つ可能性がある。任意選択で、トロッカー針207は、鋭利でない、バネ付きの中央スタイレットを有するベレス針を備え、その拡張された位置においては、針の鋭利な先端が組織を損傷することを防ぎ、しかし、長手方向に十分な力がかかると折り畳め、その鋭利な先端が組織を穿刺するよう動作できる。そのような針は、直腸子宮窩19の壁3の穿刺中の意図しない損傷(例えば、直腸11への穿刺)を防ぐのに役立つ可能性がある。
【0126】
いくつかの実施形態では、トロッカー針207は、ストッパーデバイス(例えば、ストッパー及び/又は指示インデクサ)によって、インナー拡張器205の遠位先端部から数ミリメートル(例えば、約3mm、5mm、8mm、又は10mm以下)より突出しないように制限されている。突出の制限により、拡張のために外部組織壁に過度に進入することや、内部組織表面を傷つけることによって、針が損傷を引き起こす機会が減少する可能性がある。選択された穿刺距離(例えば5mm)は、外部組織壁を超える、より深い組織層のいずれの穿刺をも防止するのに十分短いと同時に、トロッカー針207を、インナー拡張器205が押し当てられた組織を有する外部組織壁に伸ばして、穿刺するのに十分なものとできる。穿刺のためにトロッカー針207を配置する方法は、例えば、本明細書の図4に関連して説明される。
【0127】
図3Cの位置では、インナー拡張器205は、トロッカー針207によって開けられた穴を通り、インナー拡張器205の遠位領域の幅広断面219の付近まで前進する。前進中、インナー拡張器205の鋭利でない(丸い)先端215は、最初に針207によって形成された壁3の穴に押し込まれる。拡張器205のさらなる前進は、丸い先端215と幅広断面219との間の、拡張器205のテーパー領域218を通る先端の拡張に従って、壁3の穴を広げる。いくつかの実施形態では、段階付き拡張器1100の第一(遠位)拡張段階(すなわち、遠位テーパー領域1121を備える拡張器1100の一部)がこれらの操作に使用される。
【0128】
いくつかの実施形態では、幅広断面219と丸い先端215の最遠位プロファイル(遠位ポート216)との間の総距離は約15mmである。この距離は、インナー拡張器205が穿刺する壁3と対向する直腸子宮窩19の壁の損傷を防ぐのに十分短い(例えば、直腸の損傷を防ぐのに十分短い)可能性がある。しかしながら、ある程度の拡張距離を設けることにより、拡張器の先端の傾斜が広がり、挿入中に穿刺部の組織が徐々に広くなるという機械的な利点がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、別の長さ(例えば、約10mm、12mm、14mm、16mm、又は18mm)の拡張器先端が使用される。
【0129】
いくつかの実施形態では、丸い先端215は、実質的に平坦な最遠位プロファイルから、約2.5mmの曲率半径で丸みを帯びて後退する。丸いプロファイルは、インナー拡張器205の前進に対する初期の抵抗を高くする可能性がある一方で、丸い先端プロファイルには、インナー拡張器205が穿刺する壁3と対向する直腸子宮窩19の壁への損傷の可能性を低減する潜在的な利点がある(例えば、直腸の損傷を防ぐのに十分に短い)。
【0130】
任意選択で、断面219は、その最長軸に渡って約20mmであり、その最短軸に渡って約10mmである。任意選択で、断面219におけるインナー拡張器205の最大軸は、例えば、約15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、又は20mmである。任意選択で、断面219の最短軸は、例えば、約5mm、7mm、8mm、10mm、11mm又は13mmである。任意選択で、最長軸と最短軸の比率は、例えば約1.5、2、2.5、3又は3.5である。いくつかの実施形態では、断面219の最長軸及び最短軸の一方又は両方の拡張には、拡張器先端の利用可能な全長を使用する。いくつかの実施形態では、最短断面軸に渡る近位方向への拡張は、例えば、約2.5mm、3mm、又は4mmの長手方向の移動の距離に渡って生じ、その後横ばいになる。任意選択で、最長断面軸に渡る近位方向への拡張は、例えば、約8mm、10mm、12mm、13mm、15mm、又は18mmの距離に渡って生じる。
【0131】
任意選択で、テーパー領域218を通る最長断面軸の拡張は、幅広断面219に至るインナー拡張器205の一部の長手方向の距離の関数として、実質的に線形的である。任意選択的に、拡張は非線形的であり、例えば、壁3への侵入穴の全周が大きくなるにつれて、より速く及び/又はより遅く拡張するようにカーブする。例えば、比較的丸い先端は、初期は小さな侵入切開の周りの弾力性による組織の伸展性を利用する可能性があるが、一方で、非弾力性の拡張(例えば、断裂によるもの)が支配的な場合は、より緩やかな断面拡張が用いられる。
【0132】
任意選択で、さらに近位方向に移動するにつれて拡張率(勾配)が徐々に増加する。これにより、穴周囲伸長率を、長手方向の前進の関数が、同じ距離に渡ってより線形的に拡張することによって生成されるであろう関数よりも、より低い初期値で維持されるようにできる可能性がある。これにより、挿入に対する抵抗が低下し、外傷のリスクが低下する可能性がある。任意選択で、アウター拡張器203のテーパー領域213を介して、線形又は非線形の拡張のいずれかが用いられる。
【0133】
いくつかの実施形態では、インナー拡張器205が前進する前、及び/又は前進するとき、針207が引っ込められ、対向する壁に対する損傷のリスクを潜在的に低減する。いくつかの実施形態では、インナー拡張器205の前進距離は、針穿刺時のインナー拡張器205の位置を記録し、その位置をより進んだ位置と比較することにより制御される。任意選択で、針207による最初の穿刺後にストッパーが位置決めされ、所定の総前進距離(例えば、15mm)以下の距離が許容されるように、患者に対して所定の位置にロックされる(例えば、位置決めアームによって手術台にロックされる)。
【0134】
図3Dでは、アウター拡張器203は、直腸子宮窩19の壁3に到達する(例えば、アウター拡張器203の遠位端212が壁3に接触するように)までインナー拡張器205上を長手方向に前進しているのが示される。図3Eでは、アウター拡張器203を、アウター拡張器203の幅広プロファイル214のレベルまで、さらに進めている。図3Eの前進は、アウター拡張器203の遠位端212が、インナー拡張器205の最遠位プロファイルと同じ長手方向位置となることを示すことに注意されたい。いくつかの実施形態では、段階付き拡張器1100の第二(近位)拡張段階(すなわち、近位テーパー領域1117を含む図11A~11Eの拡張器1100の一部)がこれらの操作に使用される。ただし、インナー拡張器上を前進する代わりに、近位テーパー領域1117は、図11A-11Eに関連して本明細書で説明されるように、遠位テーパー領域1121の後に続き、任意選択で介在する分離領域1119の後に続く。
【0135】
図3A~3Dは、最初にインナー拡張器205を挿入し、次にインナー拡張器205上にアウター拡張器203を挿入することを示す。いくつかの実施形態では、アウター拡張器203は、任意選択で、最初に挿入される拡張器として(又はインナー拡張器205とともに挿入)使用され、続いてトロッカー針203を使用した穿刺、アウター拡張器203内から遠位方向にスライドするインナー拡張器205による拡張が続き、最後にインナー拡張器205上を遠位方向にスライドするアウター拡張器203によるが拡張が続く。これは、例えば、針207の穿刺標的位置である位置に、潜在的な利点を提供し、ここで、その位置は、直腸子宮窩19の壁3の透過照明時に、アウター拡張器203の比較的開いた内腔を通して見ることができる。挿入順序の違いは、挿入及び/又は拡張中に様々な拡張コンポーネントの相対距離を決定するために使用されるストッパー/指示インデクサの配置にも影響する可能性がある(例えば、図5Α-5Fに関連して説明される)。
【0136】
任意選択で、アウター拡張器203の遠位開口部220は、インナー拡張器205の幅広断面219に適切に適合するサイズである。遠位端212の外周は、遠位開口部220よりごくわずかに大きくてもよい(すなわち、遠位端212は任意選択で、鋭利である)。任意選択で、遠位端212は、鋭利ではなく、及び/又は丸く、例えば、初期壁厚(又は丸い端部の場合は直径)約100μm、200μm、500μm、又は1mmを有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、遠位端212と幅広プロファイル214との間の距離は約15mmである。特に、距離は、任意選択で、インナー拡張器205の最遠位プロファイルと幅広断面219との間の距離に関連して説明される任意の距離である。任意選択で、これらの2つの距離はほぼ同じである。任意選択で、アウター拡張器203の距離はわずかに短く(例えば、約0.5mm、1mm、又は1.5mm短く)、これにより、遠位端212との組織接触による損傷の可能性が減少する可能性がある。任意選択で、インナー拡張器205に対するアウター拡張器203の前進距離は、例えば図5A-5Cに関連して本明細書で説明したように、ストッパー及び/又は指示インデクサの使用により制御される。
【0138】
任意選択で、幅広断面214の最長軸は、例えば、約20mm、23mm、25mm、27mm、33mm、又は35mmである。任意選択で、幅広断面214の最短軸は、例えば、約5mm、7mm、8mm、10mm、11mm、又は13mmである。任意選択で、最長軸と最短軸の比率は、例えば約1.5、2、2.5、3又は3.5である。寸法の説明は、カニューレ201、1010の傾斜遠位開口部209及びカニューレ201、1010の内部の内腔にも当てはまり、カニューレ201、1010の内部の内腔は、アウター拡張器203上で適切な連携でスライドするようなサイズである(例えば、約1mm以下の相対寸法公差を有する)。カニューレ201、1010の内部の内腔は、並列に配置された複数の(典型的には管状の、管状に被覆された及び/又は円筒状の)ツールを受け入れるサイズである(例えば、直径8mm以上の2つのツールと、直径約5~6mm以上の1つのツール)。いくつかの実施形態では、カニューレ201、1010及び拡張器203、205の断面は(例えば、図2B及び5Kに示されるように)、丸みを帯びた端部を有し、実質的に長方形である(例えば、短辺が実質的に円弧の部分として形成されるように丸みを帯びている)。
【0139】
丸みを帯びた端部形状には、無駄なコーナースペースを最小限に抑えながら、最も外側のツール側面を断面の外側に対してパッキングできるようにするため、複数の並列の円筒状ツールを囲むことについて潜在的な利点がある。(カニューレの内部に関する「無駄」は、切開穴が必要とされるより大きく形成される可能性に関する「無駄」ほどは、それほど重要ではない)。丸い角(鋭利な角とは対照的に)は、挿入中に潜在的な利点をも提供し、そうでなければコーナーに対して切断が集中する傾向になるであろう力を分散させるのを助け、それによって、予測不能な拡張、及び/又は、さらに治癒が予測できない切開を低減させる。円弧状の端部間の直線(湾曲していない)部分(一部の実施形態で使用される)は、内部の円筒状ツールが使用する必要のないスペースを形成するであろう余分な拡張なしで、それの周囲の拡張された組織との完全な周囲接触を保つために適したアウタープロファイルを維持する(例えば、テンションシールを維持する)潜在的な利点がある。いくつかの実施形態では、断面の長辺に沿ってわずかに外向きの湾曲が生じ(例えば、周囲5mmあたり1mm未満の湾曲)、拡張器及び/又はカニューレと、それらが進入する組織壁の開口縁のとの間の張力接触を潜在的に高める。
【0140】
本明細書に示された例(例えば、図2B、5K)では、示された拡張器とカニューレの断面は、長軸と短軸の両方の周りに鏡面対称を示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、断面形状は、特定の対称配置を有する必要はなく、様々なサイズのツールの配置の収容に適合するような他の形状(例えば、角が丸い不規則な三角形のような)とすることができる。
【0141】
図3Fでは、膣カニューレ201は、その最遠位端211が壁3の位置までついた状態で示されている。図3Gでは、カニューレ201は、最遠位端211がアウター拡張器203の最遠位部とほぼ同じになるように、直腸子宮窩19内に前進した状態で示されている。図3Hは、インナー拡張器203とアウター拡張器205が取り外された状態のカニューレ201を示している。任意選択で、アウター拡張器203が設置された後はいつでも、インナー拡張器205を取り外すことができる。任意選択で、2つの拡張器203、205は一緒に取り外される。
【0142】
いくつかの実施形態では、カニューレ201の内腔断面は、幅広断面214のサイズであるアウター拡張器203の部分上で適切にスライドするようなサイズである。任意選択で、カニューレ201の前進は、ハンドル202の使用によって実行される。任意選択で、カニューレ201のアウター拡張器203に対する最大前進は、ストッパー及び/又は指示インデクサの使用により制御される。
【0143】
いくつかの実施形態では、カニューレ201の内腔は約7cmであるか、又は直腸子宮窩内の最遠位位置と、膣口又はその外側の近位位置との間に渡るのに十分な長さ(例えば、最大約15cm)である。任意選択で、カニューレ201の内腔の近位端に、フランジ221が提供される。カニューレ201(次に説明するハンドル202を備える)を図3F~3Iに示すが、いくつかの実施形態では、カニューレ201の前述の説明は、図10Bのカニューレ1010の使用に対しても適用されることを理解されたい。
【0144】
いくつかの実施形態では、カニューレ201のハンドル202は、拡張器203、205が挿入されている間、拡張器203、205のいずれかを超えて延びるのに十分長く、かつ、把持領域を提供するのに十分な長さを超えるものである(例えば、約10cmの把持領域であって、全長は、任意選択で少なくとも約37cm)。いくつかの実施形態では、インナー拡張器205は、ハンドルを提供すると同時に、完全に挿入された位置に到達するのに少なくとも十分に長く(例えば、全体で約17cm)、アウター拡張器203は、少なくともさらに10cm長い(例えば、全体で約27cm)。
【0145】
図3Lを参照すると、図3Lは、本開示のいくつかの実施形態に係り、女性の下腹部/骨盤領域の解剖学的構造に対するカニューレ201、1010の位置決めを、より広い視野(図3Hと比較して)で概略的に表している。解剖学的構造の中には、図1にも示されるように、子宮15、膣17、膀胱15、直腸11、及び直腸子宮窩19が示されている。カニューレ201、1010のハンドル、及び任意の関連デバイス(例えば、膣開口部に設けることができる通気シール、及び/又は、カニューレ201、1010の長さを伸ばすために入れ子式に取り付けられてもよいトロッカー部品等)は示されていない。
【0146】
いくつかの実施形態では、カニューレ201、1010の傾斜遠位開口部209は、先導する最遠位端部211と、後続のより近位の端部210との間、ある角度で傾斜している。いくつかの実施形態では、最遠位端部211と最近位端部210との間の長手方向の距離は約15mmである。いくつかの実施形態では、距離は、例えば、約10mm、12mm、14mm、16mm、又は18mmである。遠位開口部209の傾斜の潜在的な利点は、そうでなければ偶発的に直腸11を傷つけるように配置される可能性のある、カニューレの保護されていない側で、カニューレの端部を比較的引っ込めることができることである。開口部211のより突出した先導する端部側に関しては、(1)通気時に、組織は一般に直腸から持ち上げられ、この端部側によってもたらされる接触リスクを低減する(2)ロボットアームは、ロボットアームがカニューレを出る場合、腹膜腔のより奥深くに到達するにつれて、先導する端部の平面に沿って一般的に湾曲する。これにより、先導する端部が繊細な内部組織と接触することを防ぐことができる可能性がある。ロボットアームの位置は、例えば、本明細書の図7A-7Bで確認できる。
【0147】
図3Iを参照すると、図3Iは、本開示のいくつかの実施形態に係る、図3Hのカニューレ構成を挿入されたツールとともに、概略的に表している。図7A~7Bも参照すると、図7A~7Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、図3Iの構成と同様の構成で、カニューレ201を通って挿入されたロボットアームの画像(気体で膨張させた腹部内部の視点から)である。図3I及び7A-7Bのカニューレ201に関する説明は、図10Bのカニューレ1010にも適用される。
【0148】
図3Iでは、カニューレ201の内腔は、2つの実質的に円柱状の部材、例えば、ロボットアーム305(例えば、約8.6mmの直径を有する)と、ツール307(例えば、腹腔鏡照明器、カメラ、クランプ、カッター、及び/又は別のツール)を備える他の円柱状(例えば、管状)の部材とが占めているのが示されている。いくつかの実施形態では、カニューレ201の内腔断面は、それぞれが少なくとも約8mmの直径を有する複数の実質的に円柱状の部材(例えば、ロボットアーム)と、任意で少なくとも約5mmの直径を有するチューブを通って作動する別のツールとを収容するサイズである。
【0149】
図3Iに示すように、直腸子宮窩19内に配置されたカニューレ201の傾斜遠位開口部209を出るツールは、任意選択で、下向きに湾曲し、開口部から出て、腹腔鏡下処置の手術が行われる残りの腹膜腔へとするように方向付けられる(例えば、子宮摘出術の準備における靭帯のクリッピング)。任意選択で、この方向づけは、本明細書の図3F~3Hに関連して説明した遠位開口部209の傾斜スロットによって補助される。
【0150】
図7A~7Bでは、ロボットアーム305は、各ロボットアーム305の遠位端に配置された手術ツール704を含む。ロボットアーム305は、カニューレ201から傾斜遠位開口部209を通って気体で膨張させた腹腔に入ることが示されている。また、画像には、拡張切開702も示されており、拡張切開を通り、カニューレ201が腹腔に入っている。
【0151】
ここで図3Jを参照すると、図3Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカー200を使用する腹腔鏡処置のための準備を概説する概略フローチャートである。示されている手順は、より大きな手順(例えば、子宮摘出術)のセットアップ部分を表しており、図3A~3Iに関連して説明した方法の要素を含む。
【0152】
任意選択で、いくつかの実施形態では、ブロック110で、腹腔鏡下に取り付けられるカメラは、例えば臍部から、腹膜腔に挿入される。任意選択で、カメラは照明源と一緒に提供される。任意選択で、別途取り付けられる照明源も臍部から挿入される。
【0153】
ブロック112において、いくつかの実施形態では、例えばCOで膨らませることにより、腹膜腔を気体で膨張させる。気体による膨張は、処置中のアクセスや視認性を高めるために、行われる。
【0154】
ブロック114で、いくつかの実施形態では、スリーブが経膣的に挿入される。スリーブは、残りの処置中の視覚化及び/又はアクセスために使用される送気圧(疑似腹膜)の維持に役立つ可能性がある。スリーブは、例えば、Alexis(登録商標)ナイロンスリーブ(Applied Medical Resources Corporation)、又はGelPOINT(登録商標)Pathトランスアナルアクセスプラットフォーム(Applied Medical Resource Corporation)の一部とできる。いくつかの実施形態では、スリーブは後の段階(例えば、ブロック122でシーリングユニットを取り付ける直前)で挿入される。
【0155】
ブロック116では、いくつかの実施形態では、視覚化を補助するために膣に検鏡が挿入される(任意選択で又は追加的に、テナキュラムが使用される)。
【0156】
ブロック118において、いくつかの実施形態では、子宮マニピュレーターが経膣的に子宮に挿入される。子宮マニピュレーターは、例えば、カールストルツ子宮筋マニピュレーターとできる。子宮マニピュレーターは、処置中に子宮を動かすために使用され、例えば、他の器具を操作する余地を提供するのに役立ち、及び/又は、安全性を高めるために子宮を直腸から遠ざけるのに役立つ。テナキュラムが使用された場合、この時点で、テナキュラムは取り除くことができる。
【0157】
ブロック120では、いくつかの実施形態において、例えば、本明細書で図3A-3G、図3K図6A-6E、及び/又は、図11A-11Eに関して説明したように、拡張及びカニューレの導入が実行される。検鏡は、例えば検鏡が拡張を妨げるようになった場合、拡張中に、又はその後に、取り除くことができる。
【0158】
ブロック122において、いくつかの実施形態では、シーリングユニットがカニューレ201に、(又は、例えば、本明細書の図10A~10Cに関連して本明細書で説明されるように、カニューレ1010に、)取り付けられる。シーリングユニットは、任意選択で、GelPOINT(登録商標)システムの要素を備え、任意選択で、カニューレ201との使用のために特に適合した要素と組み合わせられる。任意選択で、子宮マニピュレーターは、シーリングユニットを通過するように再配置される。
【0159】
いくつかの実施形態におけるブロック124では、固定が実行される。固定は、カニューレ及び/又はシーリングユニットを、患者に対して静止しているプラットフォーム(手術台など)に固定する工程を含む。
【0160】
ブロック125において、いくつかの実施形態では、例えば、図9A-9D、又は図10C-10Jに関連して本明細書で説明したように、カニューレ201、1010への導入に備えて、一又は複数のロボットアームがカニューレ201、1010に位置合わせされる。
【0161】
ブロック126において、いくつかの実施形態では、例えば、図3Hに関連して本明細書の説明されるように、1又は複数のロボットアーム、及び/又は、他のツールが、カニューレ201、1010を通って導入される。
【0162】
ここで図3Kを参照すると、図3Kは、本開示のいくつかの実施形態に係る、直腸子宮窩へのアクセス切開を拡張及びカニューレ挿入する方法を表す概略フローチャートである。いくつかの実施形態において、図3Kの方法は、図3Jのブロック120の動作を詳述する。
【0163】
この方法の概要を簡単に説明する。図3Kの操作に関する追加の詳細は、図3~3Gに関連して、本明細書で説明される。
【0164】
ブロック130において、いくつかの実施形態では、インナー拡張器205(あるいは、いくつかの実施形態では、図11A~11Eの段階付き拡張器1100)が、直腸子宮窩19の壁3に到達するように経膣的に挿入される(例えば、図3Aに関連して本明細書に記載されるように)。ブロック132において、いくつかの実施形態では、針の先端(インナー拡張器207を通して挿入される)は、アクセス切開が行われる場所に配置される(例えば、図4に関連して詳述されるように)。ブロック134では、いくつかの実施形態おいて、直腸子宮窩が穿刺される(例えば、図3Bに関連して説明されるように)。ブロック136では、いくつかの実施形態において、ポーチ壁3は、第一拡張器の段階、例えば、インナー拡張器205の先端と交差する(例えば、図3Cに関連して説明されるように)。あるいは、いくつかの実施形態において、ポーチ壁3は、段階付き拡張器1100の第一(遠位)拡張段階と交差する。ブロック138において、いくつかの実施形態では、ポーチ壁3は、第二拡張器段階、例えば、アウター拡張器203と交差する(例えば、図3D~3Eに関して説明されるように)。あるいは、いくつかの実施形態において、ポーチ壁3は、段階付き拡張器1100の第二(近位)拡張段階と交差する。ブロック140では、いくつかの実施形態においては、ポーチ壁はカニューレ201、1010と交差する(例えば、図3F~3Gに関連して説明されるように)。ブロック142では、いくつかの実施形態においては、拡張器203、205及び/又はトロッカー針207が取り除かれ、フローチャートは終了する。
【0165】
ここで図4を参照すると、図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、直腸子宮窩19への経膣アクセスを提供するための切開の位置を特定する二重検証方法を概略的に表す。
【0166】
図4には、直腸拡張窩19の概略図が示されており、これには直腸拡張窩19の膣壁3が含まれ、膣壁3にはインナー拡張器205が接近し、トロッカー針207は部分的に伸びた状態である。腹腔内に挿入された(例えば、臍部から)カメラ402及び照明源401もまた、示されている。カメラ402及び照明源401は、同じ腹腔鏡器具400上に示されている。任意選択で、これらは別々に提供される。カメラ402は、関連する視野402Aを有し、照明源401は、関連する照明視野401Aを有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、針207の先端は、壁3の領域に対する穿刺の前に配置され、領域は、外部から視認可能である照明器401からの光の外部観察に基づいて選択される(例えば、視認性を高めるために、任意選択で検鏡及び/又は子宮マニピュレーターを使用して、経膣的に観察されるように)。任意選択で、選択される領域は、周囲の領域に比べて、透過照明の光強度が比較的強く観察される領域である。そのような十分に透過照明された壁領域は、針207がアクセス可能である壁3の、最も薄い部分、最も容易に貫通される部分の中にある可能性がある。
【0168】
いくつかの実施形態では、針207が壁3に押し付けられて壁3を穿刺するとき、カメラ402を使用して結果を視覚化する。カメラ画像においては、例えば、穿刺部位で、突起、他の組織の歪み、及び/又は他の変化(例えば、組織への圧力による色の変化)が最初に視認可能となり(例えば、針に接触する側に対向する壁3の側から、視認可能となる歪)、その後、針自体が視認可能となる場合がある。任意選択で、視覚化は、意図された領域が穿刺されていること(例えば、貫通されている領域が腹腔内アクセスを提供するのに適していること)を確認するのに役立ち、及び/又は、差し迫った直腸穿刺又は別の挿入ミスの識別及び/又は防止に役立つ。壁3自体が穿刺される前であっても、直腸壁3を横切って伝達される視覚的な合図を使用することにより、合併症を潜在的に回避できる可能性がある。
【0169】
ここで、図5A~5Cを参照すると、図5A~5Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、トロッカーコンポーネント200と共に使用するための様々なストッパー及び/又は移動干渉デバイスを概略的に表す。
【0170】
図5Aは、ストッパーデバイスのストッパー-と-ショルダーを模式的に示している。この実施形態では、アウター拡張器203が最初に挿入されるか、又はインナー拡張器205とともに挿入される。図5Aの図は、アウター拡張器203の一部を切り取って、インナー拡張器205と近位ストッパ501との間の接続が見えるようにしている。
【0171】
近位ストッパー501は、インナー拡張器205に沿った位置に配置され、その位置では面501Aはアウター拡張器203の近位表面(図5Aで切り取られた)に当接し、その位置では、インナー拡張器203は、アウター拡張器205に対して、それが離れることを許容されるべき距離、遠くにある(例えば、アウター拡張器203の最遠位部の15mm前にインナー拡張器205の最遠位部が配置される)。次に、アウター拡張器203が進められるターンのとき、表面501Aとアウター拡張器203の近位表面との間の距離を測定して、前進距離を決定できる。任意選択で、別のストッパーデバイス(例えば、図5B及び/又は5Cのストッパーデバイス)は、インナー拡張器205に対するアウター拡張器203の遠位の過度の前進を防止及び/又は指示する。
【0172】
図5Bは、リーフスプリングベースのストッパー及び/又は移動干渉デバイスを示す。デバイスは、アウター拡張器203の遠位部に取り付けられたブラケット504を備え、これは、次に、インナー拡張器205の本体を上から下方向に押さえつけるように構成されたリーフスプリング505を支持する。この相互作用は、任意選択で、アウター拡張器203に対するインナー拡張器205の自由なスライド(例えば、重力による)を妨げるのに十分な力に設定される。
【0173】
任意選択で、インナー拡張器205は、リーフスプリング505と接触し、インナー拡張器205に対するアウター拡張器203のさらなる長手方向の移動を妨げるように配置された受け形状505A(リーフスプリング505によって隠されている)を含む。ストッパーデバイスは、インナー拡張器205とアウター拡張器203のいずれか又は両方が互いに対して過度に前進するのを防ぐために使用できる。複数の様々な受け形状505Aがあってもよく、様々な配置とできることに注意されたい。「ストッパー」と呼ばれているが、図5Bのストッパーデバイスは、任意選択で、さらなる長手方向の移動を完全に防ぐのではなく、抵抗するために干渉する形状及び/又は表面摩擦を用いて構成される。そのような実施形態における図5Bのストッパーデバイスは、あるいは、指示インデクサとして説明されてもよい。任意選択で、指示インデクサはその位置により相対的な拡張器の位置を示し、位置は、さらなる長手方向の移動に抵抗する位置、及び/又は、2つの拡張器が所定の位置に到達するとクリックする位置(可聴式及び/又は触覚式フィードバックを介して示されるような)である。
【0174】
干渉は、2つの拡張器203、205の1又は複数の相対的な長手方向の位置(例えば、図3Eに示されるように、2つが、それぞれの最遠位部を揃えた状態で配置されているとき)で、発生する。受け形状505Aは、例えば、2つの部品が整列したときにリーフスプリング505が入る挿入部分を備えることができる。追加的又は代替的に、受け形状505Aは、隆起部を備える。この場合、アウター拡張器203の内腔は、リーフスプリング505が受け形状505Aの隆起部分出会うまで、隆起部分を通過するような形状としてもよい。あるいは、アウター拡張器203の内腔は、受け形状の通過を防止するような形状であってもよく、それによって、それは、一種のストッパー-と-ショルダー配置タイプとしても作用する。デバイスは、2つの入れ子式拡張器に関して示されているが、代替的に又は追加的に、カニューレと拡張器との間に実装され得ることを理解されたい。
【0175】
図5Cは、リーフスプリングベースの様々なストッパーデバイスを表している。この例では、任意選択で、アウター拡張器203の本体に取り付けられた複数のリーフスプリング503が提供される。インナー拡張器205は、その長手に沿ったどこかに、受け形状(図示せず)を有し、受け形状は、くぼみ及び/又は隆起部を含み、くぼみ及び/又は隆起部分は、2つの拡張器203、205の長手方向の相対的な特定の位置でリーフスプリング503に接触する(例えば、図3Eに示されるように、2つがそれらの最遠位部を揃えて配置されている場合)。図5Cのリーフスプリングデバイスは、アウター拡張器203の本体に沿った任意の適切な場所に配置できるが、使用中は体腔の外側に残る場所に配置することが好ましい。複数のそのようなデバイスをアウター拡張器203に提供することができ、及び/又は、複数の受け形状をインナー拡張器205に提供することができる。任意選択で、リーフスプリングデバイスはインナー拡張器205上に提供され、アウター拡張器は適切な受け形状を備える。
【0176】
いくつかの実施形態では、ストッパー及び/又は移動干渉デバイスは、リーフスプリングを別の機構に置き換える。例えば、いくつかの実施形態では、プランジャーが提供される(例えば、図8A-8Bに関連して説明されるような、ボールベアリングなどのばね式押圧部材)。プランジャーは、下方向に押しつけられ、摩擦力によって、及び/又は、プランジャーと1つ又は複数のストッパー/指示インデックス形状との間の干渉によって、及び/又は、そのような干渉及び/又は摩擦の解放によって、2つの入れ子式部品(例えば、2つの拡張器、拡張器とカニューレ)を相対位置に保持するか、及び/又は、特定の相対位置に到達したことを示す。
【0177】
ここで、図5D~5Fを参照すると、図5D~5Fは、本開示のいくつかの実施形態に係る、針207、針通過拡張器ハンドル510、及び針ハンドル511を概略的に示す。
【0178】
図5Dでは、拡張器ハンドル510の中空本体内に部分的に挿入された針207が示されている。任意選択で、拡張器ハンドル510は、インナー拡張器205のハンドルとして機能する。例えば、ネジ山又は他の取り付け手段を介して取り付けられる。針207の近位端512は、例えば図5Fに示されるように、図5Eの針ハンドル511に取り付けるように適合されている。いくつかの実施形態では、針207及び拡張器ハンドル510の相対的な長さ(及び針207上のハンドル511の相対位置)は、インナー拡張器205に対する針207の遠位前進の最大距離の制御を助けるように構成される(例えば、図5G-5Iに関連して説明されるように)。
【0179】
ここで、図5G~5Iを参照すると、図5G~5Iは、本開示のいくつかの実施形態に係る、インナー拡張器205、アウター拡張器205、及び針207の相対的な位置決めを制御するためのデバイスを概略的に示す。図8A~8Bも参照すると、図8A~8Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、アウター拡張器203及びインナー拡張器205のスケールの特徴を示す。
【0180】
図5G及び図8A~8Bでは、統合されたスケールウィンドウ515を備えたアウター拡張器203が示されている。スケールウィンドウ515は、任意選択で、アウター拡張器203の一部に形成された(例えば、近位端に切り込まれた)長手方向のウインドウに沿って、少なくとも1つの基準マークを備える。いくつかの実施形態では、アウター拡張器203は、直腸子宮窩19の壁3の現在位置の推定を可能にする基準位置を定めるために使用される。アウター拡張器は、それが簡単に通過できるまで、奥に挿入できる。壁3を穿刺するにはあまりにも鋭利ではないため、通常は、最遠位端が壁3に接した状態で、停止する。これは、例えば検鏡を使用して観察することで確認できる。
【0181】
いくつかの実施形態では、例えば、アウター拡張器203のスケール811、及びインナー拡張器205のスケール813のように、インナー拡張器205及びアウター拡張器203の一方又は両方に距離スケールが(例えば、遠位端からセンチメートル刻みで)マークされる(図8A-8B)。
【0182】
図8A-8Bには、ボールストップデバイス815もまた示され、これは指示インデクサの例である。いくつかの実施形態では、ボールストップデバイス815は、弾性圧力下で、インナー拡張器205の近位端の近くから外向きに突出するように構成されたばね式ボールベアリングを含む。アウター拡張器203の内腔は、それが押され込み、そして、ボールストップデバイス815に沿って前方にスライドできるようなサイズである。この動作中にボールストップデバイス815のボールが内側に押される。これは、(外側に押し続けることにより)アウター拡張器203をインナー拡張器205上の中心に配置するのに役立つように作用し、任意選択で、(例えば、アウター拡張器205の重量による)2つの拡張器の自発的な相対的並進(スライド)に抵抗するように作用する。アウター拡張器203が十分に前進すると、ボールストップデバイス815はアウター拡張器203の近位側から解放され、触覚可能及び/又は可聴なクリックを起こすことができ、及び/又は、拡張器203、205の機械的処理に変化を生じさせ、アウター拡張器203が完全に前進したことをユーザーに示すことができる。任意選択で、アウター拡張器203は、ボールストップデバイス815が拡張器203、205の相対的な長手方向の並進を妨げる力を変化させる位置に、その内腔に沿って1つ又は複数のくぼみ及び/又は隆起を含む。あるいは、ボールストップデバイス815は、アウター拡張器203上の、インナー拡張器205(及び任意選択で、その隆起及び/又はくぼみ)とスライドしながら相互作用する位置に設けられてもよいことを理解されたい。指示インデクサは、トロッカーキットの要素の他のペア(例えば、インナー拡張器205と針207との間、及び/又はアウター拡張器203とカニューレ201、1010との間)の相対的な長手方向の位置の表示及び/又は制御のために任意選択で提供される。いくつかの実施形態では、ロックされたときに、段階付き拡張器1100とカニューレ201、1010との間の相対運動を制御するボールストップが提供される。いくつかの実施形態では、ロックされたときに、カニューレ1010とアクセスデバイス1001(図10A)との間の相対移動を制御するボールストップが提供される。
【0183】
図8Bでは、ボールストップデバイス815はまだアウター拡張器203によって押し縮められている。図8Aでは、ボールストップデバイスは押し縮められていない。ボールストップデバイス815が押し縮められなくなり解放されると、ボールはその移動範囲全体まで外側に押され、その結果、(アウター拡張器203の近位表面817に接触するときに)インナー拡張器205を、偶発的に拡張器203に対して遠位側に押すことに対する抵抗が増加する。
【0184】
図5Hでは、アウター拡張器203に部分的に挿入されたインナー拡張器205が示されている。インナー拡張器205上のスケールマーキング517によって、例えば、アウター拡張器203の遠位端と遠位方向で同じ位置(針穿刺の準備の際の)まで、及び/又は、初期拡張中のアウター拡張器205より遠位方向に数ミリメートル(例えば、15mm)前進した位置まで、アウター拡張器203に対するインナー拡張器205の遠位前進のモニタリングが可能になる。
【0185】
図5Hにおいても、針207が示されており、針207は、ハンドル510及び拡張器203、205に対して、まだ部分的にしか前進していない。いくつかの実施形態では、拡張器ハンドル510は、インナー拡張器205のソケットに適合し(例えば、ねじ込み)、インナー拡張器205の遠位端から所定の距離で保持される。
【0186】
図5Iでは、示されているコンポーネントの相対位置は、針207が直腸子宮窩19の壁3を穿刺した直後に発生する可能性がある。
【0187】
スケールウィンドウ515とマーキング517の相対位置からモニタリングされるように、インナー拡張器205の最遠位端はアウター拡張器203の最遠位端と同じだけ前進した。ハンドル511は、拡張器ハンドル510の近位端に当接するように、前方に押されており、ニードル207のさらなる前進を防いでいる。針207、インナー拡張器203、及び拡張器ハンドル510の長さは、針207がインナー拡張器203の前面から所定の量だけ突出するように設定される。ここで所定の量は、直腸子宮窩19の壁3を貫通するのに十分な距離の範囲内に入るように決定されるが、直腸11の壁を穿刺するリスクを回避する。
【0188】
任意選択で、インナー拡張器205の最遠位端は、針207の最大前進を制御するために、ある距離だけ、アウター拡張器203の最遠位端から長手方向に(例えば遠位に)離れたままである。任意選択で、インナー拡張器205に対する針207の最大前進は、壁3を穿刺する前進の前に最初に実行される。これは、ウインドウ515及びスケール517のマークされた相対位置が針の前進距離を詳細に示すことを可能にするという潜在的な利点を提供する。
【0189】
拡張中、いくつかの実施形態では、インナー拡張器205に対するアウター拡張器203の遠位前進は、アウター拡張器203が最初に確立する長手方向の基準フレームを混乱させる可能性がある。いくつかの実施形態では、アウター拡張器が直腸拡張窩内に前進すると、インナー拡張器205をアウター拡張器を所定の位置にクランプすることにより、基準フレームが維持される。
【0190】
ここで、図5Kを参照すると、図5Kは、例えば、本開示のいくつかの実施形態による、図3A~3I及び5D~5Iに説明及び図示される部材を備える、拡張及びカニューレ挿入キットの製造例を示している。アイテムは互いに応じた大きさに拡大縮小され、針207を除き、その全長に沿って表示される。針207は、右側(尖った、遠位)が切り取られている。上から下に以下が示されている:
・ハンドル511を含むニードル207。
・ハンドル202及び傾斜遠位開口部209を含むカニューレ201であって、傾斜遠位開口部209は近位端部210及び最遠位端部211を含む、カニューレ201。
・スケールウィンドウ515、遠位端212、テーパー領域213、及びテーパー領域213の近位側の幅広プロファイル214を含む、アウター拡張器203。
・鋭利でない先端215に配置された遠位ポート216、テーパー領域218、及びテーパー領域218の近位側にある幅広断面219を含む、インナー拡張器205。
・拡張器ハンドル510であって、任意選択で、インナー拡張器205に取り付けられ(例えば、ねじ込み式に取り付けられ)、その近位側ハンドルとして機能し得る、拡張器ハンドル510。
【0191】
ここで、図6A~6Eを参照すると、図6A~6Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、単一の拡張器トロッカーキットを使用する拡張を概略的に表している。
【0192】
図6Aは、体腔(例えば、膣17)の概略図を、例えば、送気圧力の維持を補助するために任意選択で使用されるアクセスデバイス601とともに、示している。図6Bでは、子宮マニピュレーター603が任意選択で追加され(不完全に挿入された状態で表示)、これにより、トロッカー標的領域(これは、直腸子宮窩19の壁3とできる、図示せず)の視認性が向上するように操作できる可能性がある。図6Cでは、カニューレ605(任意選択で、カニューレ201又はカニューレ1010に関連して本明細書で説明されるように構成される)が標的領域に挿入される。カニューレ605は、カニューレ605の内腔領域の操作を可能にするハンドル605Aを備える。
【0193】
図6Dでは、任意選択で、ハンドル607Aを使用して、拡張器607がカニューレ605に挿入されている。拡張器607の先端は、任意選択で、切断先端でその長手方向の最遠位位置が始まるような形状である。あるいは、拡張器607の先端は丸みを帯びている(例えば、インナー拡張器205の先端のような形状である)。任意選択で、拡張器607は、開口部を介してトロッカー針の遠位方向への通過を可能にする。任意選択で、初期穿刺は、例えばカニューレ605の内腔(図示せず)に通された針によって別に行われ、その後に拡張器607が挿入される。
【0194】
いくつかの実施形態では、拡張器607の先端は、任意の適切な断面サイズまで拡張する(例えば、幅広断面219に関連して説明した任意の断面)。任意選択で、最遠位位置と最大拡張の断面の先端との間の長手方向の距離は、約15mm又はその他の適切な距離である(例えば、拡張器203、205の拡張器先端に関連して説明したように)。2つ以上の拡張器の使用に比べて、同じ最大拡張器先端距離に渡りワンステップ拡張は、コンポーネントの交換と操作の観点から、より簡易である可能性がある。しかしながら、穿刺長の増加(例えば、拡張角度が維持される場合)、及び/又は(例えば、拡張角度が増加する場合)穿刺抵抗の増加に関するトレードオフがある可能性がある。
【0195】
図6Eでは、拡張器607の先端が最大限に前進し、拡張が完了している。トロッカー化を完了するために、カニューレ605は、拡張開口部を通って前進させ、拡張器607を取り外してもよい。
【0196】
ここで図5Jを参照すると、図5Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、インジケータを使用して、トロッカー針207、拡張器203、205、及び/又はカニューレ201、1010部品の既知の挿入深さを一時的に確立及び維持する方法の概要を示すフローチャートである。
【0197】
ブロック551で、いくつかの実施形態では、第一の拡張器(例えば、インナー拡張器205)は、その丸みを帯びた先端が直腸子宮窩の外壁に当たる位置とされる。この位置は、例えば、直接可視化(例えば、検鏡を使用して)することによって、挿入抵抗が発生した場所に注目することすることによって、及び/又は、間接的に、例えば拡張器内腔を通して光を当て、腹腔内空間内に配置されたカメラを使用して、直腸子宮窩壁を通過する投光された光のスポット(例えば、スポットがその最小の、最も鮮明に輪郭が示される形状に到達する位置)をモニタリングすることによって、確立できる。任意選択で、第一の拡張器は、例えば、台に取り付けられたクランプアームによって所定の位置にクランプされた状態で保持される。任意選択で、ブロック552で、自然孔の開口部に対する穿刺の深さが記録され、トロッカー部品の位置を確立する推移的な方法とは別に用いることができる膣の全長(TVL)を提供し、及び/又は、推移的な方法によって設定された挿入深さを検証する。
【0198】
ブロック553で、いくつかの実施形態では、トロッカー針207が、例えばホルダー210を介して拡張器205に挿入される。ホルダー210自体が第一の拡張器に対して所定の長手方向位置に挿入するサイズである限り、トロッカー針207の視認可能なシャフトの量は、針先端が第一の拡張器の遠位端に対して配置されている位置の表示を、任意選択で提供する。これは、トロッカー針207の前進距離を制御するために用いることができ、任意選択で、トロッカー針207の過度の前進を防ぐストッパーデバイス(ショルダーストッパー等)とともに用いることができる。任意選択で、少なくとも第一の拡張器がその上を進むまで、針は所定の位置に残る。
【0199】
ブロック555において、いくつかの実施形態では、第二の拡張器(例えば、アウター拡張器203)は、第二の拡張器の一部(例えば、その近位端、又はインデックスマーク)まで、第一の拡張器上を前進し、第二の拡張器の一部(例えば、スケール上のインデックスマーク)に適切に合わせられる。インデックススケールを使用する場合、第一及び第二の拡張器のいずれか又は両方の上とできる。方法の説明のために、第一と第二の拡張器の遠位端は、揃えられた位置で互いに位置合わせされていると想定される。任意選択で、これらは幾分の既知の量だけずらされる。追加的に又は代替的に、膣の全長に対する第二の拡張器の挿入深さが、第二の拡張器の長手方向の位置決め及び/又は位置の検証に用いられる。
【0200】
この段階では、第一の拡張器と第二の拡張器の遠位端の長手方向の位置は両方とも、拡張される直腸子宮窩壁の位置に対して既知である。任意選択で、いずれかの拡張器を他方の拡張器に対して任意の適切なシークエンスで前進又は後退させることができ、移動のシークエンスとその距離が追跡される限り、直腸子宮窩壁に対するそれらの位置は既知のままである。
【0201】
例えば、ブロック557において、いくつかの実施形態では、第二の拡張器は固定されたままであり(例えば、クランプされている)、第一の拡張器は直腸子宮窩内に進められる。相対てきな移動は、拡張器の近位端のスケールマーキングの動きを見ることにより、任意選択でモニタリングされる。ブロック559において、第一の拡張器が十分に前進して(例えば、15mm)、完全に第一段階の拡張が達成されると、第二の拡張器が前進する(例えば、2つの元の相対的な配置が復元される)。追加的に又は代替的に、挿入深さの変更は、膣の全長に対して制御/モニタリングされる。
【0202】
追加的に又は代替的に(ブロック558及び/又は560において)、ブロック552で決定されたTVLを参照することにより、前進距離が制御される。
【0203】
この位置から、ブロック561で、第一の拡張器(及びまだ引き出されていない場合はトロッカー針207)を取り除くことができる。そして、第二の拡張器は、ブロック563において、カニューレ201を位置決めするための長手方向の位置決め基準としてとどまることができる。任意選択で、カニューレ201は、カニューレ201が特定の場所に配置されたときに、第二の拡張器のいくつかの視認可能部分(スケールマーク、遠位端、又はインジケータマーク)と位置合わせされたスケール及び/又は基準マークを支持するのに十分な長さのハンドルを有する。追加的に又は代替的に、カニューレ挿入深さは、膣の全長に対して制御/モニタリングされる。
【0204】
ブロック565において、第二の拡張器が取り除かれる。ここで、カニューレ201は、直腸壁を横切り、直腸壁に対して既知の長手方向の深さに配置される。
【0205】
任意選択で、図11A-11Eの段階付き拡張器1100は、この方法で使用され、図6Eの挿入を伴い、図6Eの挿入は、2つの段階において任意選択で発生し、これは遠位テーパー領域1121及び近位テーパー領域1117のそれぞれに対応し、任意選択で、医師に遠位テーパー領域1121から分離領域1119への移行時の挿入抵抗の変化を感知することを可能にすることによって、2つの段階は間の休止が可能である。
【0206】
カニューレの固定とカニューレへのロボットのアラインメント
自由配置アラインメントシステム
ここで、図9A~9Dを参照すると、図9A~9Dは、カニューレ201のための器具ホルダー900及びその使用形態を示す図を含む。ここで、器具ホルダー900は、本開示のいくつかの実施形態に係る、初期ロボットアーム位置の設定に使用するモーターユニットストッパー902を含む。
【0207】
図9Aは、取り付けブロック901とストッパーアーム902を備えた器具ホルダー900を模式的に示している。いくつかの実施形態において、ストッパーアーム902は、ヒンジ904にヒンジ留めされて、取り付けブロック901に対して異なる向きに回転する。
【0208】
図9Bは、カニューレ201と、取り付けブロック901に取り付けられた関連するハンドル202を示している。いくつかの実施形態において、取り付け工程には、取り付けブロック901に対して、ハンドル202の近位端を、明確に定義された位置に配置する工程が含まれる。例えば、ハンドル202を受け入れるようなサイズ及び形状であるブロック901内の内腔の開口部903と同一平面にある。ブロック901に対するカニューレ201の固定は、任意選択で締め付けハンドル905を締め付けることによって、確実にされる。
【0209】
図9Cは、取り付けアームアセンブ910の全体を示し、台取り付けブロック911(例えば、台又は他の安定化表面への堅固な取り付けを補助するクランプ及び締め付けハンドルを備えて構成される)と、取り付けブロック911から、取り付けブロック901に対する遠位側にあるアタッチメントに遠位方向に延びるジョイントアーム912とを備える。
【0210】
図9Dは、モーターユニットストッパー902を備えた器具ホルダー900を示しており、モーターユニットストッパー902は、モーターユニット930の初期作動距離を設定するように構成されている。モーターユニットストッパー902は、ブロック901から横方向に突出するように配置されている場合に、その遠位端が、一定の距離をマークするようなサイズであり、ここで一定の距離は、モーターユニット930が、カニューレ201が、取り付けブロック901に対して図9Bに示すように配置される場合に(カニューレは図9Dには示されていない)、モーターユニット930が、そのアームが(アーム自身が、既知の所定長さを有する)カニューレ201内の規定された(かつ、安全な)初期最遠位位置に到達するように(例えば、カニューレの遠位端で)設定されるべき距離である。ロボットアーム305(図示せず)は、モーターユニット930から、延長部920内を遠位方向に通っている。延長部920は、ロボットアーム305を通過させるサイズの内腔(例えば、少なくとも7mm、8mm、9mm、又は、10mmの内腔)を有するチューブを備える。延長部920は、ロボットアーム305をカニューレ201に誘導するように、位置を調整することもできる(例えば、図9Bのスロット921内に配置されるように)。
【0211】
部品をマークされた所定の位置に適切に配置することにより、カニューレ201と、ハンドル202と、モーターユニットストッパー902(モーターユニットストッパー902は、任意選択で、延長部920及び/又はモーターユニット930及び関連するアーム305を含む)を含む器具ホルダー900とを備えるキットは、カニューレ201の遠位端と、ロボットアーム305の遠位端との間の明確に規定された初期関係(例えば、2つの端部の位置合わせ)を提供する、迅速で再現可能な初期セットアップを達成するのに役に立つ可能性がある。
【0212】
遠位方向におけるロボットアームの動きを開始できるようにするためには、モーターユニットストッパー902を、その横方向の位置から離れるように(例えば、下向きに)スイングして動かし、それによってモーターユニット930が干渉することなく遠位方向に前進できるようにすることができる。好ましくは、モーターユニットストッパー902のブロック901への取り付けは、その両側の構造物の位置を乱すことなく、(例えば、カニューレ201の位置も、モーターユニット930の位置も乱すことなく、)モーターユニット930の前進を妨げる第一の位置と、モーターユニット930の前進を可能にする第二の位置との間の切り替えを可能にするように構成される。り付けは必ずしもヒンジによるものではない(例えば、ストッパー902は、入れ子式、ブロック901内でスライド可能なもの、又は他の方法で移動可能なものとできる)。ヒンジは、ストッパーが水平な(カニューレの長手方向軸に向いた)位置にあるときに再現可能な長手方向のストッパーの位置を得ることができることによって潜在的な利点を提供し、同時に、長手方向の力をかけてストッパー902をスライドさせることも、留め具にトルクをかけてストッパー902を解放することもなく、非停止位置へ容易に変換できるという
【0213】
ロック位置調整システム
ここで、図10A~10Eを参照すると、図10A~10Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、カニューレ1010に対する折りたたみ器具ホルダー1000、及びカニューレ1010に対する初期ロボットアーム位置を設定する際に使用するその構成を表す図を概略的に示している。
図10F~10Jも参照すると、図10F~10Jは、本開示のいくつかの実施形態に係る、折りたたみ器具ホルダー1000の構成要素を概略的に表している。
さらに、図12A~12Cを参照すると、図12A~12Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る、アクセスデバイス1001の近位開口部へのアクセスをシールするために使用されるダックビルガスケット1050を概略的に表している。
【0214】
図10Aは、ゲルシール1003への挿入のための形状であるアクセス装置1001を示す(例えば、図10B~10Cに示された位置における)。使用中、ゲルシール1003は膣の入り口に配置され、保護されたアクセスを提供し、したがって、ゲルシール1003の右側に配置された要素は処置中に膣内に配置され、左側に配置された要素は膣外に配置される。
【0215】
アクセスデバイス1001のトランスシール領域1001Aは、両側にフランジが付けられ、ゲルシール1003のゲル膜内に配置される。アクセスデバイス1001の外部(近位)側1001B(本明細書では「トロッカー」とも呼ばれる)は、いくつかの実施形態において、取り付け突起1002が設けられている。アクセスデバイス1001の内腔1004は、段階付き拡張器1100(例えば、図10Bに示すように)又は任意選択で、別の拡張器/拡張器システム(例えば、インナー拡張器205とアウター拡張器203を備える、ツーピースの拡張器)を挿入できるサイズである。図10Bには、段階付き拡張器1100と一緒に組み立てられた針207の針ハンドル511及び拡張器ハンドル510も示されている。
【0216】
アクセスデバイス1001の内腔1004もまた、カニューレ1010を段階付き拡張器1100(又は他の拡張システム)上に挿入できるサイズである。いくつかの実施形態において、内腔1004に挿入されると、カニューレ1010はアクセスデバイス1001に適切に収容され、任意選択でそれとロックされる。カニューレ1010は、いくつかの実施形態において、例えば図3Lに関連して説明したように、傾斜した遠位開口部209を有する細長い(例えば、楕円形)断面を持つ本体、及びその近位側にフランジ221を含む。いくつかの実施形態において、フランジ221には、ロック時にカニューレ1010とアクセスデバイス1001の間の相対移動を制御するアクセスデバイス1001に設けられたボールストップ1006の受入くぼみを備える。
【0217】
いくつかの実施形態において、カニューレ1010の位置決め後、2シールの「ダックビル」ガスケット1050(図10C及び図12A-12Cに示される)がアクセスデバイス1001の近位開口部に挿入される。カニューレ1010に何も挿入されていない場合、ガスケット1050の第一のシール部材1050Aは、通常シールされる(対向する2つの面が接触しあって押される)。ロボットアームガイド1032を挿入すると(図10D-10Eに関連してさらに説明する)、第一のシール部材1050Aは強制的に開かれ、同時に、通常開いている第二のシール部材1050Bは、ロボットアームガイド1032の周りをシールするような形状である。シール部材1050A、1050Bは、柔らかい弾性材料、例えば、シリコーンゴムで作られている。いくつかの実施形態において、ガスケット本体1050Cは、剛性ポリマー又は金属材料を含み、剛性ポリマー又は金属材料は、シーリング部材1050A、1050Bを支持し、ガスケット1050の全体形状の維持を補助する。いくつかの実施形態において、シール部材1050A、1050Bは、それぞれ長軸と短軸を持つような形状であり、長軸は短軸の少なくとも2倍の長さを有する。
【0218】
上記の要素の配置は、一般的に、いくつかの実施形態において、図3Jのブロック120(拡張及びカニューレの導入)及びブロック122(ユニットのシーリング)の操作に対応する。
【0219】
いくつかの実施形態において、図3Jのブロック124の操作に対応する固定は、取り付け突起1002を取り付けブロック1020に取り付ける工程を含む。取り付けブロック1020自体は、例えば、患者に対して静止しているプラットフォーム(例えば、手術台)に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、取り付けは、取り付けブロック1020の受容開口部1061(図10Jに示す)に取り付け突起1002を挿入する工程を含む。いくつかの実施形態において、ノッチ1005又は取り付け突起1002の別の形状は、受容開口部1061内のロックに係合する。任意選択で、ボタン1021を押して、取り付け突起1002の係合及び/又はロックからの解放を補助及び/又は起動する。
【0220】
取り付けブロック1020は、器具ホルダー1000の構成要素である。取り付けブロック1020に取り付けられた器具ホルダー1000は、スペーシングアーム1024と位置合わせアーム1030を追加で備える。いくつかの実施形態において、スペーシングアーム1024は、停止したヒンジ1022によって取り付けブロック1020に取り付けられ、アラインアーム1030が次に停止したヒンジ1028によって取り付けられる。いくつかの実施形態において、スペーシングアーム1024は入れ子式である(可逆的に伸ばすことができ、縮めることができる)。任意選択で、入れ子の解放及び/又はロックは、ボタン1026又は他の制御部材によって制御される。
【0221】
スペーシングアーム1024及びアラインアーム1030を配置するための停止したヒンジ1022、1028及びボタン1026の使用は、図10D~10Eにさらに示されている。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態では、カニューレ1010を使用して、1つ又は複数のロボットアーム、例えば図31及び7A~7Bに関連して説明した、ロボットアーム305に、腹腔内アクセスを提供する。本明細書の概要においても説明されているように、ロボットアームが、カニューレ1010を通り既知の長手方向の前進距離で開始し、かつ、既知の接近角度(一般的にはカニューレと軸方向に揃えられた接近角度1010)で開始するように、これらのロボットアームを配置できることは潜在的な利点である。
【0223】
図10D-10Eでは、カニューレ1010に導入されるロボットアームの開始位置の設定を支援するために、スペーシングアーム1024及びアラインアーム1030は完全に展開されて示される(展開位置にある)アセンブリを備える。いくつかの実施形態において、これは以下を含む:
・スペーシングアーム1024を、その垂直下向きの収納位置(図10Cを参照)から水平展開位置まで90°回転する工程
・ボタン1026を押して、スペーシングアーム1024を伸ばして、スペーシング距離を設定し、引き出し入れ子アーム部1024Aを露出する工程
・アラインアーム130を、スペーシングアーム1024に対して(図10Cのように)、収納位置から垂直展開位置に回転する工程
【0224】
任意選択で、スペーシングアーム1024及びアラインアーム1030は、使用後に収納位置に戻り、ロボットアームを正しく配置する。使用後の収納の潜在的な利点は、ロボットアームのそれ以上の移動を妨げないようになることである(例えば、腹腔内へとより深く前進すること)。
【0225】
図10F-10Jは、これらの構成要素をより詳細に示す。図10F-10Hは、折りたたまれた(伸ばされていない)形態のスペーシングアーム1024を示している。これらの任意の実施形態の詳細を含む、停止したヒンジ1022、1028を確認できる。例えば、停止したヒンジ1022の場合、突起1063のそれぞれ(任意選択で4つ)は、停止したヒンジ1022の周囲まわりに間隔をあけて配置される。各突起1063は、プレート1022Aのそれぞれのノッチ内に延在している。突起1063は、ブロック1020(図10J)の向きに固定され、プレート1022Aはスペーシングアーム1024に固定されている。したがって、突起1063がプレート1022Aのノッチに係合する限り、スペーシングアーム1024は向きが固定される。ボタン1062を作動させると、突起1063はそれらのノッチから引っ込められ、スペーシングアーム1024が自由に回転できるようになる。任意選択で、突起1063は、ノッチが突起との位置合わせから外れると、プレート1022Aによって所定の位置に保持され、そのため、スペーシングアーム1024が自由に動き続ける間、ボタン1022Aを解放することができる。
【0226】
スペーシングアーム1024が完全に90°展開されると、プレート1022Aのノッチと突起1063が位置合わせされた位置に戻り、突起1063は元の位置にはね戻ることができ、スペーシングアーム1024を新しい方向にロックする。このメカニズムには、(1)スペーシングアーム1024の展開方向を1つだけ可能にすること、及び(2)折りたたむことなくスペーシングアーム1024及びアラインアーム1030の水平に展開された重量を保持できるのに十分な強度であるという潜在的な利点がある。
【0227】
いくつかの実施形態において、停止されたヒンジ1028は、突起1065、ボタン1067、及びノッチ付きプレート1066を含む、同様のメカニズムを備える。ノッチ付きプレート1066は再びスペーシングアーム1024に固定され、突起1065はアラインアーム1030の方向に固定される。
【0228】
図10D-10Eの完全に展開された位置では、アラインアーム1030の水平バー1068(図10I)は、カニューレ1010を目指す間、カニューレ1010の長手方向軸と水平になるために、ロボットアームを水平方向に通過させるような高度を設定するよう作用する。同様に、ロボットアームは、その中央の長手方向軸に沿ってカニューレ1010に接近するために、垂直バー1064の間の空間を通過すべきである。さらに、いくつかの実施形態において、モーターユニット又は位置決めされているロボットアームを保持する他のハウジングは、その指定されたある部分(「ストッパー受け部」)がストッパーとして機能するアラインアーム1030の一部に押し付けられているとき(例えば、アラインアーム1030の垂直方向に伸びるメインバー1069に押し付けられているとき)、所定の位置にある。
【0229】
ここで図10D-10Eに戻ると、いくつかの実施形態において、ロボットアーム305は、カニューレ1010内を通る前に(例えば、図3Jのブロック126の操作を実行するとき)に、アームシース1032を使用して、(例えば、2つの丸いアームを並べて)シースされる(覆われる)。いくつかの実施形態において、アームシース1032は、約8.6mmの最小外径を有する少なくとも2つのロボットアームがそれを通過できるサイズの内腔を備える。いくつかの実施形態において、例えば、アームシース1032の内腔の最小直径は約9mm、10mm、又は11mmである。
【0230】
シース1032の潜在的な利点は、アームが真っ直ぐであることを保証することであり、さらにカニューレ1010へ入り、カニューレ1010を通って通過する間、アームの一部が偶発的に引っ掛かることがないことを保証することである。いくつかの実施形態において、さらに、ガスケット1034が提供され、ガスケットは、2つのロボットアームのそれぞれがガスケットを通ることができるように適合された穴を備える。ガスケット1034は、アームシース1032の近位端に適切に取り付けられ、別の保護シールとして機能する。任意選択で、アームシース1032はステンレス鋼で構成される。任意選択で、ガスケット1034は、シリコーンゴムなどの柔軟なポリマーから製造される。
【0231】
段階付き拡張器
図11A~11Eを参照すると、図11A~11Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、段階付き拡張器1100、拡張器ハンドル510、及びトロッカー針207を概略的に表す。
参照
【0232】
拡張器ハンドル510及びトロッカー針207は、いくつかの実施形態において、例えば、実質的に、図5D~5F、5H、5I、及び5Kに関して記載されているようなものである。
【0233】
いくつかの実施形態において、段階付き拡張器1100は、単一の拡張器の遠位作業端部1115に沿って、遠位及び近位テーパー領域1121及び1117を含む(図11B、11C)。
いくつかの実施形態において、遠位及び近位テーパー領域1121、1117は、実質的に、例えば、図2A-3I及び5Kに関連して本明細書に記載されている2つの拡張器の組み合わせのテーパー領域213及び218の実施形態について記載されているような、形状である。しかしながら、明確にするために、テーパー領域の形状のいくつかの特定の詳細を、ここで繰り返す。
【0234】
いくつかの実施形態において、遠位(第一の)テーパー領域1121は、鋭利でない最遠位部を有する。最遠位部は、任意選択で、ポートを有し、トロッカーニードル207はそれを通って伸ばすことができる。任意選択で、最遠位部分は近位側に湾曲し、半径約2.5mmを通る幅と高さの両方で広がり、主に幅が拡大して、最遠位部に対し近位方向に約15mmの幅広の長円形の断面を形成する(又は別の距離、例えば約10~20mmの範囲)。
【0235】
いくつかの実施形態において、非拡張性分離領域1119は、遠位テーパー領域と近位テーパー領域の間に長手方向に延在している。好ましくは、分離領域1119は、挿入する医師が遠位テーパー領域1121の近位側を通過する際に挿入抵抗の減少を感知させ、それに応じて拡張が一時停止されるように挿入力を減少させるのに十分な長さである。この距離は、任意選択で、約5~15mmの範囲である。いくつかの実施形態において、分離領域1119は、分離領域1119の遠位側から近位テーパー領域1117の遠位側に到達するまで近位方向に延在する一定の断面を有する。あるいは、いくつかの実施形態において、分離領域1119A(図11C)は、遠位テーパー領域1121の近位側断面に関するくびれ(例えば、テーパーくびれ)を備え、これは、医師に対する挿入抵抗が減少する感覚を強調するデタント(緊張緩和)として機能できる。くびれにより、医師は、最初の拡張(ここで、最初の拡張の後、拡張した組織の周囲は弾性を保つ(拡張した開口部を再び閉ざす傾向がある))と、断裂が誘発される拡張との違いを感じることによって検知することもでき、拡張された開口部に関する、拡張器に内向きの力がかかる傾向を減少させる可能性がある。
【0236】
いくつかの実施形態において、近位(第二)のテーパー領域1117は、分離領域1119の最近位部から生じる最遠位の断面を有する。そこから、第二の拡張器の断面は約15mm(又は別の距離、例えば約10~20mmの範囲)で近位方向に向かって拡張する。さらなる拡張の最大は、例えば、約5mm、7.5、mm、10mm、又は12.5mmの拡張である。任意選択で、切開断面の1つの軸に沿った拡張は、別の軸に沿った拡張よりも大きく、例えば、約1:1.5、1:2、又は1:3の相対拡張係数となる場合がある。
【0237】
いくつかの実施形態において、拡張器1100の本体1111は、滅菌及び再滅菌可能な(例えば、オートクレーブ対応可能)材料(例えばステンレス鋼)で構成される。任意選択で、ボディ1111の片側又は両側に挿入領域1113が備えられる。これにより、拡張器1100の重量が低減される可能性がある(例えば、本体1111が金属の固体片で構成される実施形態において)。
【0238】
いくつかの実施形態において、拡張器1100は、ハンドル510のない状態で、全長が少なくとも17cmである。いくつかの実施形態において、ねじ込み領域1102Aは、ハンドル510のネジ山を受け入れるようにネジ込加工されている。ハンドル510の長さは、任意選択で少なくとも20cmの長さである。
【0239】
全般
量又は値に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は「その±10%以内」を意味する。
【0240】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの変化形は、「含むこと」を意味し、「限定すること」ことを意味するものではない。
【0241】
「から成る(consisting of)」という用語は、「含み、かつ、限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0242】
「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法又は構造が追加の成分、ステップ及び/又は部品を含むことができることを意味する。ただし、追加の成分、ステップ及び/又は部品が、クレームされた組成物、方法又は構造の、基本的及び新規の特性を実質的に変更しない場合に限る。
【0243】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に要しない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0244】
「例(example)」及び「例示的(exemplary)」という言葉は、本明細書では「例、事例、又は例証として機能する(serving as an example, instance or illustration)」ことを意味するために用いられる。「例」又は「例示的」として説明される実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではなく、及び/又は、他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するものではない。
【0245】
「任意選択(optionally)」という言葉は、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない(is provided in some embodiments and not provided in other embodiments)」ことを意味するために本明細書で用いられる。
任意の特定の実施形態は、そのような機能が矛盾する場合を除き、複数の「任意選択(optional)」の機能を含むことができる。
【0246】
本明細書で用いられる「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術、及び手順を指し、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学分野の実務家にとって、既知の方法、手段、技術、及び手順、又は、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学分野の実務家にとって、既知の手段、技術、及び手順から容易に開発される方法、手段、技術、及び手順を含むがこれらに限定されない。
【0247】
本明細書で用いる「治療する、処置する(treating)」という用語は、状態の進行を抑止、実質的に阻害、減速又は逆転させ、状態の臨床的又は審美的症状を実質的に改善するか、状態の臨床的又は審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0248】
本出願を通して、本開示の実施形態は、範囲形式を参照して提示される場合がある。範囲形式での説明は単に便宜上のもの及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、「1~6」などの範囲の説明は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」「2~6」「3~6」などの部分範囲と同様に、その範囲内の個々の数値(例えば、1、2、3、4、5、及び6)を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0249】
本明細書で数値範囲が示されている場合(例えば、「10-15」、「10から15」、又はこれらの別のこのような範囲表示によってつながれた数字のペア)、数値範囲は、前後の文章にそうでないことが明確に指示されていない限り、範囲の限界を含む、示された範囲の限界内の任意の数字(小数又は整数)を含むことを意味する。第一に示された数値と第二に示された数値の間の「範囲/範囲にわたる/範囲(range/ranging/ranges)」というフレーズ、及び、第一に示された数値から第二に示された数値まで(to、up to、until又はthrough)の「範囲/範囲にわたる/範囲(range/ranging/ranges)」は、本明細書で互換的に用いられ、第一及び第二の示された数値ならびにそれらの間のすべての小数及び整数を含むことを意味する。
【0250】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替、変更、及び変形が当業者には明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲内にあるそのようなすべての代替、変更、及び変形を包含することが意図されている。
【0251】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同程度に、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は識別は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される範囲において、それらは必ずしも限定的と解釈されるべきではない。
【0252】
明確にするために、本開示内の別個の実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、別個に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は本開示の任意の他の説明される実施形態で適切に提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A-3H】
図3I
図3J
図3K
図3L
図4
図5A-5C】
図5D-5F】
図5G-5I】
図5J
図5K
図6A-6E】
図7A-7B】
図8A-8B】
図9A-9D】
図10A-10C】
図10D-10E】
図10F-10J】
図11A-11E】
図12A-12C】
【手続補正書】
【提出日】2023-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するための手術システムであって、
前記手術システムは、
a.段階付き拡張器1100
b.トロッカー針207
c.カニューレ(201又は1010)
を備え、
前記段階付き拡張器1100は、拡張器本体と、前記拡張器本体の第一のテーパー領域1121と、前記拡張器本体の第二のテーパー領域1117とを備え、
前記拡張器本体は、近位方向から遠位方向に長手方向軸を有し、
前記拡張器本体の第一のテーパー領域1121は、前記拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついており、前記第一のテーパー領域1121は、鋭利でない最遠位部を有し、前記最遠位部はポートを有し、
前記拡張器本体の第二のテーパー領域1117は、遠位方向により狭くなるテーパーがついており、前記第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、介在する分離領域1119によって前記第一のテーパー領域から離されており、前記分離領域は少なくとも3mmの長さであり、
前記トロッカー針207は、前記段階付き拡張器の前記拡張器本体の前記第一のテーパー領域1121の前記最遠位部のポートを通過し、それによって前記針の先端217は前記ポートから伸び、
前記カニューレ201又は1010は、前記段階付き拡張器1100上に配置され、前記カニューレは、前記カニューレの長手方向軸に対して傾斜した遠位開口部209を有し、前記開口部の端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部211と、前記開口部の別の辺に沿って伸びる第二の端部210とを備え、前記第一の端部211は、前記第二の端部よりも、前記カニューレの長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って伸びる、
手術システム。
【請求項2】
請求項1に記載の手術システムであって、前記カニューレは、前記段階付き拡張器上をスライドするように配置される、手術システム。
【請求項3】
請求項1に記載の手術システムであって、前記カニューレは、前記段階付き拡張器上を適切にスライドするように配置される、手術システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の手術システムであって、アクセスデバイス1001をさらに備え、前記アクセスデバイス1001は、内腔1004を画定し、前記内腔は、前記カニューレ1010を適切に保持し、前記カニューレはそこへとロックされる、手術システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の手術システムであって、前記カニューレは手術台に固定され、それによって前記カニューレは、前記手術台に対して静止を保持する、手術システム。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の手術システムであって、ロボットアームシステムを用いるように構成され、
前記ロボットアームシステムは、モーターユニット及び少なくとも1つのロボットアーム305を備え、
前記手術システムは、前記少なくとも1つのロボットアーム305が、前記カニューレ1010の長手方向軸に沿って、前記モニターユニットから遠位に伸びると、前記ロボットアームの位置を前記カニューレ1010の長手方向軸に沿って設定するように構成され、
前記手術システムは、取り付けブロック1020、アセンブリをさらに備え、
前記取り付けブロック1020は、前記カニューレ1010に取り付けられ、
前記アセンブリは前記取り付けブロックに取り付けられ、スペーシングアーム1024及びアラインアーム1030を含み、収納位置及び展開位置の間を移動可能であり、
前記アセンブリの展開位置は、前記アラインアーム1030の要素を、前記アラインアームの要素が前記カニューレの長手方向軸に沿って所定の位置を示す位置に配置する、
手術システム。
【請求項7】
体の凹部を介して腹腔内アクセスを提供するためのキットであって、
前記キットは、カニューレ、段階付き拡張器及びトロッカー針を備え、
前記カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレの内腔の横断断面は、それぞれ少なくとも直径8mmである、少なくとも2つの円柱状の部材の同時挿入を可能にするような十分な長軸長さを有し、前記カニューレは、遠位開口部209を有し、前記カニューレは、前記カニューレの長手方向軸に対して傾斜した遠位開口部209を有し、前記開口部の端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部211と、前記開口部の別の辺に沿って伸びる第二の端部210とを備え、前記第一の端部211は、前記第二の端部よりも、前記カニューレの長手方向軸に沿ってより遠位側に沿って伸び、
前記段階付き拡張器は、拡張器本体を有し、
前記拡張器本体は、前記拡張器本体の遠位端に向かってより狭くなるテーパーがついた拡張器本体の第一のテーパー領域1121、及び、遠位方向により狭くなるテーパーがつき、前記第一のテーパー領域に対して近位方向に位置し、前記第一のテーパー領域から分離領域の分だけ離れている拡張器本体の第二のテーパー領域1117を有し、前記分離領域は少なくとも3mmの長さであり、
前記トロッカー針はハンドル領域を備え、前記ハンドル領域は、前記トロッカー針207の遠位先端部217が、前記拡張器本体の第一のテーパー領域1121の遠位先端部まで前進するとき、前記拡張器本体の第一のテーパー領域1121の近位端を越えて近位方向に伸びる、キット。
【請求項8】
入れ子式構成に組み立てられた請求項7に記載のキットであって、それによって、前記カニューレは前記段階付き拡張器上に配置され、前記段階付き拡張器は、前記トロッカー針上に配置され、前記トロッカー針先端は、前記拡張器本体の第一のテーパー領域1121の先端へと前進する、キット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載のキット又は手術システムであって、前記カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレ1010の内腔の横断断面は長軸及び短軸を有し、前記長軸は、前記短軸の少なくとも2倍の長さである、キット又は手術システム。
【請求項10】
腹腔内アクセスを提供するためのシステムであって、
前記システムは、カニューレ1010、複数の柔軟なロボットアーム305、アームシース1032、第1のガスケット1034、アクセスデバイス1001、2シールのガスケット1050を備え、
前記カニューレ1010は、遠位端を有し、前記遠位端は経膣アクセスを介して直腸子宮窩の拡張された開口部に挿入可能であり、
前記アームシース1032に関し、前記ロボットアーム305は、前記アームシース1032によって、並んだ構成で覆われ、前記アームシース1032は、前記カニューレ1010内に適合するサイズである外側表面を備え、覆われた前記ロボットアームは、前記カニューレ1010を通過し、
前記第1のガスケット1034は、複数のガスケット開口部を有し、前記第1のガスケット1034は、前記アームシース1032の近位端に適切に取付可能であり、保護シールとして機能し、各ロボットアームはそれぞれ近位で前記ガスケット1034のそれぞれ異なるガスケット開口部を介して前記アームシース1032に入り、
前記アクセスデバイス1001は、アクセスデバイス内腔1004を有し、前記アクセスデバイス内腔1004は、前記カニューレ1010をその中に適切に受け入れるようなサイズであり、前記カニューレが1010、前記アクセスデバイス内腔1004を通ることが可能であり、
前記2シールのガスケット1050は、前記アクセスデバイス1001の前記アクセスデバイス内腔1004へのアクセスを近位でシールし、前記2シールのガスケット1050は、カニューレ1010の一部が前記アクセスデバイス内腔1004の近位に配置されるとき、前記アクセスデバイス1001の前記アクセスデバイス内腔1004に挿入され、前記2シールのガスケット1050は、第1の/外側シール部材1050A及び第2の内側シール部材1050Bを有し、これらは以下のように構成される、システム。
i アクセスデバイス内腔1004に何も挿入されていない場合、前記第2の/内側部材1050Bが開き、2シールガスケット1050の第1の/外側シール部材1050Aは、互いに押されるこれらの対向する2つの面によって、シールされ、及び
ii ロボットアームガイド1032を前記2シールガスケット1050に挿入すると、前記2シールガスケット1050の第一のシール部材1050Aは強制的に開かれ、前記第二のシール部材1050Bは、前記アームシースの周りをシールする
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、内腔1004は、前記カニューレ1010に適切に保持され、それによって、前記カニューレ1010へとロックされる、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、前記カニューレ1010の前記遠位端の開口部209を画定する端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部211と、前記開口部の対向する辺に沿って伸びる第二の端部210とを備え、前記第一の端部211は、前記第二の端部210よりも、前記カニューレに沿ってより遠位側に配置される、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記複数のロボットアーム305は、前記カニューレ1010の内腔に沿って並んで伸び、前記カニューレ1010の遠位端に配置されたカニューレ開口部209を介して前記カニューレ1010の内腔を出、
前記カニューレ1010の前記遠位端の前記カニューレ開口部209を出る前記複数の柔軟なロボットアーム305の所与のロボットアームの各遠位端に対して、前記所与のロボットアームの少なくとも遠位端は、前記カニューレ開口部209の前記第1の端部211の面を横切って曲がり、前記カニューレ1010の前記遠位端が配置される前記カニューレ開口部209を出る、システム。
【請求項14】
腹腔内アクセスを提供するためのシステムであって、
カニューレ1010を備え、
前記カニューレは、遠位端を有し、前記遠位端は経膣アクセスを介して直腸子宮窩の拡張された開口部に挿入可能であり、前記カニューレ1010の内腔は、複数のロボットアーム305を受け入れそこを通るようなサイズであり、
前記カニューレの前記遠位端における開口部209を画定する端部は、前記開口部の一辺に沿って伸びる第一の端部211と、前記開口部の対向する辺に沿って伸びる第二の端部210とを備え、前記第一の端部211は、前記第二の端部よりも、前記カニューレに沿ってより遠位側に配置され、
前記複数の柔軟なロボットアームは、前記カニューレ1010を通過し、前記複数のロボットアーム305は、前記カニューレ1010の前記内腔にそって並んで伸び、
前記カニューレ1010の前記遠位端の前記カニューレ開口部209に伸びる前記複数の柔軟なロボットアーム305の各所与の前記ロボットアームに対して、少なくとも前記所与のロボットアームの遠位端が前記カニューレ開口部209の前記第1の端部211の面を横切って曲がり、前記カニューレ1010の前記遠位端が配置される前記カニューレ開口部209を出る、システム。
【請求項15】
前記カニューレの長手方向軸を横切る前記カニューレ1010の内腔の横断断面は長軸及び短軸を有し、前記長軸は、前記短軸の少なくとも2倍の長さである、システム。
【外国語明細書】