(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052399
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】微小液滴処理装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230404BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230404BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230404BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
G01N37/00 101
G01N21/03 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004068
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2021517886の分割
【原出願日】2019-05-10
(31)【優先権主張番号】201810581405.7
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520481323
【氏名又は名称】洛▲陽▼▲華▼清天木生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王立言
(72)【発明者】
【氏名】段保峰
(72)【発明者】
【氏名】郭肖▲傑▼
(57)【要約】 (修正有)
【課題】微生物のマイクロボリューム、ハイスループット、長期連続培養、リアルタイムのオンライン検出を実現でき、しかも成長性能と特性に基づいて微生物の選択と育種を実現できる微小液的処理装置の提供。
【解決手段】油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムI41と、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムII42とを少なくとも含む微小液滴処理装置に、水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含むマイクロ流体チップシステム46;温度センサーと、温度制御部材とを含む温度制御システム;レーザー光源と光電センサーとを含む液滴識別システム;光ファイバーと、分光計と、ハロゲン光源とを含む液滴検出システム;および、装置における各システムを制御するための制御システム45を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;
基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;
温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;
レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;
光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および
微小液的処理装置における各システムを制御するための制御システム
を含む、微小液滴処理装置。
【請求項2】
前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源により、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴を識別し;
前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源により、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムIと1つのサンプル注入システムIIとを含む、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記サンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記サンプル注入システムIは、液体容器と、動力源と、を含み、
前記サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含み、
前記動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、
前記液体容器は、注入するサンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液体を収容し、
前記動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、
前記緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通している、
請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
マイクロ流体チップシステムは、
基板;および
前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路、
前記第1の管路上に形成された透明領域である、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウ、および
第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉連通している毛管路
を含み、
前記第1の管路は、その両端にそれぞれ第1の接続ポートと第2の接続ポートを含み、
前記第2の管路は、その一端に第3の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
前記第3の管路は、その一端に第4の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第3の管路と第1の管路との第2の連通部の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐しており、
第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウは、第1の管路a上に形成され、
第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、
第2の管路および第3の管路が第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記基板と第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一種または多種で形成され、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)で形成され、
前記毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つであり、
さらに好ましくは、第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である、
請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムは、毛管路と接続ポートを介して接続され、密閉された閉ループ制御構造を形成している、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、
さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含み、
前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御し、
前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシ
ステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体技術分野に属し、特に微小液滴処理装置およびその使用方法に関する。具体的には、当該微小液滴処理装置は、微生物液滴培養装置であることができる。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体チップ技術は、生物学的、化学的、医学的分析などのプロセスにおけるサンプルの調製、反応、分離、および検出等に広範に使用されており、急速に発展しているフロンティア技術と研究の最も活発な分野の一つである。サンプル溶液を処理するマイクロ流体チップは、滅菌とサンプル注入の安定性に対する要求が高い。マイクロ流体チップのサンプル注入は、例えば、pL-nL/sレベルなど、低速である必要があり、液滴マイクロ流体は、サンプル注入の安定性に対する要求がより高く、わずかな変動でも液滴の安定性と均一性に影響を与える。
【0003】
従来の微生物選択と育種では、通常、プレートコーティング培養を使用して単一のコロニーを取得してから、振とうフラスコスケールの発酵培養により検証する。一般的な微生物は、予備選別と再選別などのプロセスを経て生産ニーズを満たしていることを確認するまで、通常、数ヶ月から数年かかり、この選択と育種方法の場合、選別サイクルが長くなる。そして、従来の選択と育種法、振とうフラスコレベルの発酵培養および評価プロセスを採用するには、十分な人員、実験スペース、および培養スペースが必要であり、スクリーニング効率はバッチあたり101~2にしか達せないため、スクリーニングスループットが低くなる。さらに、突然変異誘発スクリーニングの成功は、スクリーニングの数と密接に関係しており、標的形質変異体を取得するには、大量のスクリーニングサンプルが必要であり、研究開発人員の作業負荷が非常に大きい。最後に、従来の選択と育種方法は、固体培養または大量の液体培養に基づいたものであるため、培養と検出のための材料と資源が大量に消費され、実験コストが高くなる。
【0004】
上記の問題を解決するために、マイクロプレート培養およびスクリーニング技術、およびマイクロ流体技術が開発された。マイクロプレートスクリーニング技術は、培養システムを振とうフラスコレベルの50~100ミリリットルから、数ミリリットル乃至数十マイクロリットルに減らし、24、48、96、384、1536などの複数のサンプルの同時培養を実現でき、対応する自動監視装置と組み合わせて、特定のプロセスパラメータのオンライン監視を実現することができる。マイクロプレートのスクリーニング効率を高めるために、マルチウェルプレートシステムを巡って、自動モノクローナル選別装置、自動滅菌培地調製装置、自動培地分配システム、および自動細菌プレート希釈器などを含む専門の支援装置が開発され、作業効率が大幅に向上した。
【0005】
マイクロ流体技術は、20世紀90年代に分析化学の分野で開発された。この技術は、マイクロ管路ネットワーク構造に基づき、微量サンプルの調製、サンプル注入、反応、分離、および検出を一体化したマイクロ分析実験装置である。マイクロ流体技術は非常に高い効率を持ち、構造が小さいため、一度に数百の微生物培養ユニットをチップ上に集成しやすく、大量の培地を節約できる。ソフトウェアによって操作を統合すると、チップ上で実験プロセス操作全体をシミュレーションすることができる。
【0006】
特許文献CN103983794Aは、2014年にマイクロ流体チップを開示した。このマイクロ流体チップは、検出ウィンドウ(検出孔)、電極、分岐構造を有するチャネル、液体注入プール(または液体注入ポート)、完成品プール(または液体排出ポート)
、廃液プール(または廃液ポート)などを含む。液体注入プール(または液体注入ポート)、完成品プール(または液体排出ポート)、および廃液プール(または廃液ポート)はそれぞれチャネルに物理的に接続され、検出ウィンドウ(または検出孔)はチャネルの近くに位置し、電極は分岐部に近いチャネルの両側に固定されている。これにより、液滴の位置の識別、液滴の体積の制御、液滴の単一サンプルのセグメンテーション、液滴内の複数のサンプルの分離、および液滴パラメータの選択の、マイクロ流体における5つの重要な問題を構造上で解決し、マイクロ流体技術の材料担体を実現した。しかしながら、検出機能を実現できず、微生物液滴の培養とスクリーニングをオンラインで制御することもできなかった。
【0007】
特許文献CN104007091Aは、2014年に、液滴マイクロ流体チップに基づくハイスループット検出システムを開示した。このシステムは主に、液滴マイクロ流体チップシステム、光路システム、データ採集分析システムを含む。液滴マイクロ流体チップシステムは、検出対象の微生物を包埋して独立した単一液滴微小反応チャンバーを形成し、単一液滴微小反応チャンバー内の微生物サンプルのレーザー誘起蛍光検出シグナルの送信を光路システムを介して行い、データ採集分析システムは、採集されたシグナルをコンピュータシステムを介して検出分析し、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、サッカロマイセス・セレビシエなど、さまざまな種類の工業用微生物の生産に関連する標的酵素と代謝産物の高効率スクリーニングを実現できたが、微生物のオンライン培養を実現できなかった。
【0008】
微生物の選択と育種は特別な生物学的プロセスであるため、まず播種して培養し、そして検出と評価を行う必要があり、最後に標的微生物を選択することができる。したがって、従来の播種、振とうフラスコ培養、および従来の検出を取って代わり、微生物のマイクロボリューム、ハイスループット、長期連続培養、リアルタイムのオンライン検出を実現でき、しかも成長性能と特性に基づいて微生物の選択と育種を実現できる装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
上記の問題を解決するために、本発明は、微生物液滴の培養に使用することができる微小液滴処理装置を提供する。この装置は、マイクロ流体チップを介して、微生物を含む、0.5~10μLの体積を持つ数百の微小液滴を搭載し、継続的なオンライン培養、検出、および選別を通して、微生物の選択と育種を完成することを実現できる。
【0010】
本発明の目的は、次の技術構成によって実現される。
1、微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;
基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;
温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;
レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;
光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および
微小液滴処理装置における各システムを制御するための制御システム
を含む、微小液滴処理装置。
2、前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過した水相のサンプル液滴を識別し;
前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過した水相のサンプル液滴のスペクトルシ
グナルを検出する、
項1に記載の装置。
3、前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムIと1つのサンプル注入システムIIとを含む、
項1または2に記載の装置。
4、前記サンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む、
項3に記載の装置。
5、前記サンプル注入システムIは、液体容器と、動力源と、を含み、
前記サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含み、
前記動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、
前記液体容器は、注入するサンプル溶液と非相溶且つ非圧縮性の液体を収容し、
前記動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、
前記緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通している、
項3または4に記載の装置。
6、マイクロ流体チップシステムは、
基板;および
前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路、
前記第1の管路上に形成された透明領域である、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウ、および
第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉連通している毛管路
を含み、
前記第1の管路は、その両端にそれぞれ第1の接続ポートと第2の接続ポートを含み、
前記第2の管路は、その一端に第3の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
前記第3の管路は、その一端に第4の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第3の管路と第1の管路との第2の連通部の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである、
項1~5のいずれか一項に記載の装置。
7、前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐し、
第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウは、第1の管路a上に形成され、
第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、
第2の管路および第3の管路がそれぞれ第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される、
項6に記載の装置。
8、前記基板と第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一種または多種で形成され、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)で形成され、
前記毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエー
テルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つであり、
さらに好ましくは、第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である、
項6または7に記載の装置。
9、サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムは、毛管路と接続ポートを介して密閉された閉ループ制御構造を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
10、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、
さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される、
項1に記載の装置。
11、前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである、項10に記載の装置。
12、前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含み、
前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御し、
前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する、
項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【0011】
本発明は、
油相のサンプルを注入するサンプル注入システムIと、水相のサンプルを注入するサンプル注入システムIIとからなるサンプル注入システム;
基板と、基板上に形成されたマイクロチャネルと、検出ウィンドウとからなるマイクロ流体チップシステム;
マイクロ流体チップに接続された管路からなる培養システム;
温度センサーと、温度制御部材とからなる温度制御システム;
光ファイバー分光計と、光電センサーと、レーザー光源と、ハロゲン光源とを含む、液滴識別および検出システム;および
サンプル注入システム、温度制御システム、および検出システムにそれぞれ接続され、デジタル回路を制御するコントローラーと、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、および検出システムの情報を表示、保存、および分析するPCディスプレイ制御システムとを含む、制御システム
を含む、微小液滴処理装置であって、
前記光電センサーは、レーザー光源と組み合わせて使用され、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウで微小液滴の状態を識別し、前記光ファイバー分光計は、ハロゲン光源と組み合わせて使用され、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウで収容された微小液滴のサンプルを検出する、微小液滴処理装置に係る。
【0012】
前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つの油相サンプル注入システムと1つの水相サンプル注入システムとを含む;前記サンプル注入システムは、複数の油相サンプル注入システムと、複数の水相サンプル注入システムとを含んでもよい;前記サンプ
ル注入動力源は、圧力ポンプまたはシリンジポンプである;
マイクロ流体チップシステムは、微小液滴の生成、分割、融合、検出、および分離などの操作を実現できる;
培養システムは、軟質の中空管路で構成され、管路の一端はチップのマイクロチャネルに接続され、管路の他端は、チップのマイクロチャネルに接続されてもよいし、動力装置に直接に接続されてもよい;前記装置内の微小液滴は、チップから管路へ、または管路からチップへ流れることができる;前記培養システムの管路は、ガス透過性であってもよいし、ガス不透過性であってもよい;前記培養システムで使用される管路の内径は0.1~2mmである;
微生物を含む微小液滴を培養した後、チップ上で定量的な分割を行うことができ、分割された微小液滴は新しい微小液滴と融合することができ、融合してなる新しい微小液滴を培養し続けることができる;前記分割および融合プロセス、その前または後に、微小液滴を検出することができる;
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、培養システム、および付属の動力装置は、管路、接続ポートなどを介して接続され、密閉された無菌構造を形成する;
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、および培養システムは、いずれも温度制御可能な箱内に配置され、箱内の温度は、温度制御システムによって制御される;前記温度制御システムは、温度センサーと温度制御部材で構成される;前記温度制御部材の温度は高くとも50℃、低くとも10℃に達することができ、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される。
【0013】
前記温度制御箱は滅菌装置を含み、前記滅菌装置は紫外線ランプである。
【0014】
下記のステップを含む、微生物液滴培養装置の使用方法:
1)装置の電源をオンにし、PCディスプレイ制御システムをオンにする;
2)装置の管路を排気させ、温度制御システムをオンにし、5~30分間予熱する;
3)PCディスプレイ制御システムを使用して、管路液体、光ファイバー分光計、および光電センサーを初期化する;
4)機能モードを選択し、例えば、マイクロ流体チップシステムでの液滴生成、液滴分割と融合、液滴培養、液滴選別などのプログラムを選択し、装置パラメータを設定して操作を起動する;
5)標的の液滴を取得し、データをエクスポートする。
【0015】
本発明では、微生物の培養は最大90日間連続培養することができる。
【0016】
本発明の技術的効果は以下の通りである:
サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムにより、微小液滴処理装置において、1個あたりの体積が0.5~10μLである、1~500個の微小液滴を生成することを制御でき、このような微小液滴処理装置を使用する場合、振とうフラスコやディープウェルプレートの場合よりもスループットがはるかに多く、培地の消費が少ない;制御システムは、新鮮な培地の定期的且つ定量的な交換、および化学的因子の追加を実現でき、種子液を採取する従来の継代培養よりもはるかに便利であり、時間と労力を節約できる。検出システムにより、各微小液滴中の微生物の成長をリアルタイムでオンラインで検出することができ、従来のサンプリング検出よりもはるかに便利であり、中断のない培養を真に実現できる;また、インテリジェントにスクリーニングし、スクリーニング特性を設定し、適切な株を自動的にスクリーニングし、効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の微小液滴処理装置の機能概略図である。
【
図2】本発明の微小液滴処理装置の一実施形態の斜視図である。
【
図3】本発明の微小液滴処理装置で使用されるマイクロ流体チップの機能概略図である。
【
図4】本発明の微小液滴処理装置で使用されるマイクロ流体チップシステムの概略図である。
【
図5】微小液滴の定量的分割および融合に使用される、本発明のマイクロ流体チップの機能の構造概略図である。
【
図6】本発明のマイクロ流体チップシステムと、微小液滴処理装置に係る動力源およびバルブとの接続の構造概略図である。
【
図7】本発明のサンプル注入システムIの概略図である。
【
図8】本発明の微小液滴処理装置で使用される場合のチップシステムと、動力源およびバルブとの接続を示す概略図である。
【
図9】本発明の微小液滴温度制御ディスプレイの温度変化図である。
【
図10】本発明の微生物液滴培養装置によって測定された大腸菌の46時間成長曲線図である。
【0018】
符号の説明:
1(1a、1b、1c、1d) 第1の管路;2 第2の管路;3 第3の管路;4 基板;5 電極;6 電極;7 孔;8 孔;11(11’、11’’、11’’’) 第1の接続ポート;12 第2の接続ポート;21 第3の接続ポート;31 第4の接続ポート;13 第1の連通部;14 第2の連通部;15 分岐部;
41 サンプル注入システムI;42 サンプル注入システムII;43 温度制御システム;44 検出システム(液滴識別システムと液滴検出システムを含む);45 制御システム;46 マイクロ流体チップシステム;47 容器ボトルa;48 サンプル注入動力源a;49 容器ボトルb;50 サンプル注入動力源b;51 容器ボトルc;52 EPチューブ;53 金属浴;54 温度コントローラー;55 レーザー光源;56 光電センサー;57 光ファイバー;58 分光計;59 ハロゲン光源;60
オイルボトル;61 サンプル注入緩衝用ボトル;62 廃液ボトル;63 シリンジポンプ;64 冷却ファン;65 回転バルブ;66 紫外線ランプ;67 温度プローブ;68 照明ランプ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。本発明の具体的な実施形態が図面に示されているが、本発明は様々な形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの実施形態は、本発明をよりよく理解できるように、しかも本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されるものである。
【0020】
なお、明細書および請求の範囲では、特定のコンポーネントを指すために特定の用語が使用されている。同じコンポーネントを指すために異なる用語を使用する場合があることを、当業者は理解できるのであろう。本明細書および請求の範囲は、コンポーネントを区別する方法として、用語の違いを使用せず、コンポーネントの機能の違いを区別付けの基準として使用する。明細書および請求の範囲全般で言及されている「含有する」または「含む」はオープンな用語であり、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書の以下の説明は、本発明を実施するための好ましい実施形態であるが、その説明は、明細書の一般原則を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって定義されるものと見なされる。
【0021】
本発明の実施例に対する理解を容易にするために、いくつかの具体的な実施形態を例として、図面と併せてさらに説明し、それぞれの図面は、本発明の実施形態に対する限定を
構成しない。
【0022】
図1および
図2に示されるように、本発明は、微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および微小液的処理装置における各システムを制御するための制御システムを含む、微小液滴処理装置に係る。
【0023】
具体的には、
図1に示すように、本発明の微生物液滴培養装置は、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、検出システム(液滴識別システムと液滴検出システムであってもいい)、および制御システムを含む。
【0024】
サンプル注入システムは、サンプル注入システムIとサンプル注入システムIIとからなり、前記サンプル注入システムIは油相のサンプルを注入し、サンプル注入システムIIは水相のサンプルを注入する;前記サンプル注入システムIは、容器ボトルa、サンプル注入動力源a、および相互接続された導管を含む;サンプル注入システムIIは、容器ボトルb、サンプル注入動力源b、容器ボトルc、および相互接続された導管を含む;前記サンプル注入システムIIの容器ボトルbは、容器ボトルcの中の液体と非相容および非反応性、且つ非圧縮性の液体を収容し、前記サンプル注入動力源aは、容器ボトルaの中の液体を駆動して導管を経由して安定して制御可能にマイクロ流体チップシステムに送り込む;容器ボトルcの底部は、注入される生体サンプルを収容し、サンプル注入動力源bにより駆動されると、容器ボトルbの中の液体は導管を経由して容器ボトルcに入って液圧が上昇し、これによって容器ボトルcの底部の生体サンプルは安定して制御可能にマイクロ流体チップに入る;前記動力装置はサンプル注入動力源であり、圧力ポンプまたはシリンジポンプであることが好ましい。
【0025】
本発明の装置において、サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムI(本発明において油相サンプル注入システムと呼ばれることもある)と1つのサンプル注入システムII(本発明において水相サンプル注入システムと呼ばれることもある)とを含み、サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含む;前記サンプル注入システムIは、油相容器と、動力源とを含み、動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、液体容器は、注入するサンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液体を収容し、動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通し、前記油相容器は媒体油を収容する。
【0026】
一つの具体的な実施形態では、本発明の装置のサンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む。
【0027】
サンプル注入システムIIの一例は
図7に示される。
図7から分かるように、サンプル注入システムIIは、前記サンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液圧液体を収容する液体容器71(例えば、上記容器ボトルb)を含み、液体容器71は液圧液体輸出管路を介して動力源72に接続され、動力源72は前記液圧液体を駆動して、輸入管路73を経由し
て緩衝用ボトル74に押し込む。
図7に示す具体的な実施形態では、選択された液圧液体の密度はサンプル溶液の密度より低く、緩衝用ボトル74(例えば、容器ボトルc)の上部は液圧液体を収容し、底部はサンプル溶液を収容する。輸入管路73は緩衝用ボトル74の口に接続され、輸出管路75は緩衝用ボトル74の底部に接続される。動力源72が駆動する時、前記液体は輸入管路73を経由して緩衝用ボトル74に入り、これによってサンプル溶液を輸出管路75を経由してマイクロ流体チップシステム76に押し込む。ここで、液圧液体は油相であってもよく、輸出管路や輸入管路などはいずれも、後述する本発明の毛管路を採用することができる。
【0028】
一つの具体的な実施形態では、上記の液体容器は、剛性材料からなり、サンプル注入の過程において液体容器の可撓性変化を避けることができる。前記剛性材料は、プラスチック材料または金属材料である。前記プラスチック材料は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数であり、前記金属材料は、金属単体、金属酸化物、または金属合金であってもよく、前記金属材料は、鉄、アルミニウム、銅、酸化鉄、酸化アルミニウム、および酸化銅からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数であり、また、鉄、アルミニウム、銅、酸化鉄、酸化アルミニウム、および酸化銅からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数で形成された合金、または他の材料と一緒に形成された合金であってもよい。
【0029】
マイクロ流体チップシステムは、基板、基板上に形成されたマイクロチャネル、第1の検出ウィンドウ、および第2の検出ウィンドウで構成され、マイクロ流体チップシステムとサンプル注入システムは、管路を介して密閉された無菌構造を形成する。
【0030】
図3と
図4はそれぞれ、本発明で使用されるマイクロ流体チップシステムの機能概略図と具体的な構造図の例を示す。
図3は、本発明のマイクロ流体チップの構造概略図を示し、マイクロ流体チップは、少なくとも基板4、および基板内に形成された第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3を含む。
【0031】
具体的には、本発明のマイクロ流体チップにおいて、前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、基板の内部に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路を指す。
【0032】
前記基板4はマイクロ流体チップ基板であり、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)で形成され、第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3は、基板4の内部に形成され、本発明の一つの具体的な実施形態では、基板と管路は一体彫刻成形される。
【0033】
本実施形態では、前記管路の材料は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくは、構成材料がポリメチルメタクリレートである。前記管路の断面形状は限定されず、円形、長方形、楕円形など、成形および液滴の流れにて適合する任意の形状であってもよい。前記管路の断面積の範囲は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である。さらに好ましくは、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積が同じである。当業者は、チップ基板のサイズ、培養、検出および選別される液滴の要求に従って、管路の太さを合理的に設定することができる。
【0034】
一つの具体的な実施形態では、本発明の管路の断面は正方形であり、辺の長さは0.5~2mmの範囲である。
【0035】
一つの具体的な実施形態では、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の管路、第2の管路、および第3の管路の直径が変化してもよく、つまり、第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積は一定ではない。本発明において、第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積の範囲が上記の制限を満たせばよい。
【0036】
図3に示すように、基板4内には第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3が形成される。前記第1の管路1は、その両端にそれぞれ第1の接続ポート11と第2の接続ポート12を含む。第1の管路1は、切断および融合する前に、分割される液滴aおよび融合される液滴bを収容し、切断および融合する時、第1の管路1は、第2の部分の液滴aと新しい液滴cを収容することができる。第2の管路2は、その一端に第3の接続ポート21を含み、他端が第1の管路1と連通する。第2の管路2は、切断された第1の部分の液滴a1を収容する。第3の管路3は、その一端に第4の接続ポート31を含み、他端が第1の管路1と連通する。第3の管路3は、切断された第2の部分の液滴a2を収容する。第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13は、第3の管路3と第1の管路1との第2の連通部14の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。
【0037】
第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、液滴のサイズおよび管路の断面積に関係している。本発明では、前記距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。具体的には、前記距離は、600μm、700μm、800μm、900μm、1100μm、1200μm、1300μm、1400μm、1600μm、1700μm、1900μmであってもよい。
【0038】
本発明のチップは、第1の管路1上に形成された第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10とをさらに含む。第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は、その位置でチップ管路内に移動する微小液滴を監視および検出することができる限り、検出ウィンドウの具体的な形式には制限はない。チップと管路自身が透明な材料で形成されている場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は第1の管路1上の2つの検出サイトとなる。チップと管路の材料が透明ではない場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10として、管路自体に2つの透明な部位を形成する必要がある。
【0039】
一つの具体的な実施形態では、形成される第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10のサイズには具体的な制限はない。2つの検出ウィンドウは第1の管路上の一つの領域であるため、管路上のこの領域の長さとして、例えば、200μm~1mmであってもよく、好ましくは500μm~1mmであり、このような長さの検出ウィンドウを使用すると、管路内に移動する微小液滴をより効果的且つ正確に監視および検出することができる。
【0040】
チップ使用時、微小液滴がチップ内に輸送される場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10をそれぞれ液滴識別サイトと液滴検出サイトとして使用することができる。例えば、液滴識別サイトはレーザーシステムに基づいて、液滴が当該検出ウィンドウを通過するかどうかを検出することができ、液滴検出サイトは、分光システムを通じて、当該検出ウィンドウを通過する液滴のスペクトル情報を検出することができる。
【0041】
第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3は、チップ基板4の内部に形成され、前記第1の管路の第1の接続ポート11と第2の接続ポート12、第2の管路の第3の接続ポート21、第3の管路の第4の接続ポート31は、いずれも基板4の縁に位置する。
【0042】
勿論、当業者が完全に理解できるように、
図3は本発明に係るチップの一例を例示的に示しただけであり、当業者に知られている任意の方法を使用してチップ内の各構成要素を構築することができる。
【0043】
具体的には、本発明のチップは、微小液滴の分割および融合操作を実現するために使用することができる。また、
図3は、切断される液滴aと、融合される液滴bが、切断および融合するために、第1の接続ポート11から第1の管路1に入るときの接続構造を示している。
【0044】
一つの具体的な実施形態では、例えば、第1の管路1は、第1の接続ポート11と毛管路を介してチップ外部の第1の動力源と連通し、第1の管路1は、第2の接続ポート12と毛管路を介してチップ外部の第1のバルブと連通し、第2の管路2は、第3の接続ポート21と毛管路を介してそれぞれチップ外部の第2の動力源およびチップ外部の第2のバルブと連通し、第3の管路3は、第4の接続ポート31と毛管路を介してチップ外部の第3のバルブと連通する。本実施形態では、毛管路の一端は、基板の縁にある第1の管路、第2の管路、および第3の管路の接続ポートに挿入されて接続され、もう一端は動力源とバルブと連通する。具体的な連通方式を
図6に示す。
【0045】
本発明では、動力源を使用することにより、高精度で安定した脈動のない液体輸送を実現することができる。本発明の具体的な実施形態では、第1の動力源と第2の動力源はそれぞれ独立して、シリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプから選ばれるいずれか一つであり、好ましくは、第1の動力源と第2の動力源はシリンジポンプである。本発明において、動力源の範囲の大きさに制限はなく、当業者は、注入するサンプルの数に応じて、適切な範囲を有するシリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプを選択することができる。
【0046】
本発明において、バルブの使用、およびバルブの開閉により各密閉された管路内の圧力を変え、圧力の変化により各管路内の液滴の流れ方向を制御する。本発明において、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはそれぞれ独立して、ソレノイドバルブ、ロータリーバルブ、ロッカーバルブ、およびピンチオフバルブからなる群より選ばれるいずれか一つである。好ましくは、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはロータリーバルブである。
【0047】
一部の具体的な実施形態では、当業者は、バルブを他の形態の機構または構成要素で置き換えることもできることを理解できる。例えば、その開閉により、密閉された管路内の圧力を変えることができる限り、動力源としてのシリンジポンプをバルブとして使用することもできる。
【0048】
本発明において、第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、異なるタイプの管路を示すためにのみ使用され、管路の数を制限することを目的としていない。第1の管路は、複数の第1の管路であってもよく、第2の管路は、複数の第2の管路であってもよく、第3の管路は、複数の第3の管路であってもよい。
【0049】
本発明において、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブは、異なる役割を果たすバルブを示すためにのみ使用され、バルブの数を制限することを目的としていない。第1のバルブは、複数の第1のバルブであってもよく、第2のバルブは、複数の第2のバルブであってもよく、第3のバルブは、複数の第3のバルブであってもよい。
【0050】
本発明において、第1の動力源および第2の動力源は、異なる役割を果たす動力源を示すためにのみ使用され、動力源の数を制限することを目的としていない。第1の動力源は、複数の第1の動力源であってもよく、第2の動力源は、複数の第2の動力源であってもよい。
【0051】
本発明のチップを使用する場合、チップを、下記の毛管路を介して動力源とバルブに接続することができる。本発明の具体的な実施形態では、以下に記載するように、毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である。
【0052】
前記管路の接続ポートは毛管路に接続され、接続箇所をシールしてから、毛管路を介して動力源および/またはバルブと連通する。動力源の圧力を安定して伝導させるために、前記毛管路は硬質チューブであり、管路には可撓性の変化はない。より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つである。
【0053】
本発明の一つの具体的な実施形態では、第1の管路は、第1の接続ポートと毛管路を介して第1の動力源と連通し、第1の動力源が駆動すると、第1の管路の第1の接続ポートを介して管路内に圧力を発生させ、これによって液滴aまたは液滴bを第1の接続ポートを介して第1の管路内に押し込み、管路内の液滴の移動を制御して液滴を培養する。
【0054】
第2の管路は、第3の接続ポートと毛管路を介して第2のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第2のバルブのみが開かれると、第1の管路内の液滴aが第2の管路内へ流れるように制御することができる。第3の管路は、第4の接続ポートと毛管路を介して第3のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第3のバルブのみが開かれると、第1の管路内の液滴aが第3の管路へ流れるように制御することができる。第2のバルブと第3のバルブを交互に開くことにより、液滴aの切断を完成することができる。
【0055】
第2の管路は、第3の接続ポートと毛管路を介して第2の動力源と連通し、第2の動力源が駆動すると、第2の管路の第3の接続ポートを介して管路内に圧力を発生させ、これによって、融合される液滴a1を、第1の管路と第2の管路との第1の連通部に留まっている液滴bへ押し込み、液滴の融合を完成する。
【0056】
第1の管路は、第2の接続ポートと毛管路を介して第1のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第1のバルブのみが開かれると、融合された液体cを第2の接続ポートから押し出すことができる。
【0057】
チップ基板内の第1の管路は、例えば、分割される液滴aと融合される液滴bを収容するために使用される。前記分割される液滴aと融合される液滴bの液滴体積は、0.5~10μl、好ましくは0.6~8μl、より好ましくは0.7~7μl、さらに好ましくは0.8~6μl、さらに好ましくは0.9~5μl、さらに好ましくは1~3μlである。
【0058】
本発明の一つの実施形態では、
図4に示すように、前記チップ基板上に2つの孔(7と8)があり、前記孔(7と8)は、第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13の近くにあり、その位置は固定されていなく、第2の管路2の両側、または第1の管路1の両側にそれぞれ配置されることができる。前記孔(7と8)は、前記第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13との間の距離は、0.1mm~1cm、好ましくは0.3mm~5mmであり、より好ましくは0.5mm~2mmである。前記孔(7と8)は、別途に設置された融合電極の正極と負極を収容するために使用され、当業者は、チップのデザインの要求に従って上記範囲内で孔(7と8)の位置を決めることができる。前記融合電極に印加される電圧の周波数は0~20000Hz、好ましくは1000~10000Hzであり、前記電極電圧は1~5000V、好ましくは500~1000Vである。前記融合電極を電源に接続すると、第1の連通部にある液滴に作用する電界が発生し、この電界は、交流電界または恒常電界のいずれかである。電極に印加される電圧は1~5000V、好ましくは500~1000Vである。このような電界を印加することにより、融合される液滴a1と、第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13に留まっている液滴bとの融合をさらに促進することができる。
【0059】
また、本発明では、孔(7と8)の具体的な形状及び孔のサイズに対して、別途設置された融合電極を収容するために使用できる限り、特に制限はない。融合電極は通常、正極と負極を含む。
【0060】
当業者による実施の過程において、本発明の原理によって、異なる液体の切断融合のためにチップ上に複数の第1の管路、第2の管路、および第3の管路を設けることもできるし、第1の管路の第1の接続ポート、第2の管路の第3の接続ポートを複数に増やしてそれぞれ異なる動力源に接続し、分割される異なるタイプの液滴aと融合される異なるタイプの液滴bを第1の管路内に押し込むこともできる。
【0061】
複数の第1の管路1と複数の第2の管路2を使用することにより、異なるタイプの分割される液滴aと融合される液滴bを第1の管路1または第2の管路2内に押し込むことができる。当業者は、液滴の切断および融合の要求に従って、本発明に記載の切断融合装置の接続原理を使用して、対応する液滴切断と融合装置を設計することができる。同様に、上記の第1の管路1a、第1の管路1b、および第1の管路1c、第2の管路2a、第2の管路2b、および第2の管路acは、例示的なものに過ぎず、第1の管路1はn個の異なる分岐管路で構成でき、第2の管路はm個の異なる分岐管路で構成できる。ここで、nとmは同じでも異なっていてもよく、nとmはそれぞれ、1~20から選ばれる整数であってもよい。
【0062】
同様に、分割される液滴aa、分割される液滴ab、分割される液滴ac、融合される液滴ba、融合される液滴bb、および融合される液滴bcも例示的なものである。n個の第1の管路とm個の第2の管路に基づいて、分割されるn個の異なる液滴a、および融合されるm個の異なる液滴bのサンプル注入に使用できる。
【0063】
さらに、m個の第1の管路1とn個の第2の管路2に対しても、m個の第1の動力源とn個の第2の動力源を使用してそれぞれ異なる液滴を制御して押すことができる。勿論、設計が合理的であれば、その中の一部の動力源を合併して、それぞれ分割されるn個の異なる液滴a、および融合されるm個の異なる液滴bを押すことも考えられる。
【0064】
本発明の一つの具体的な実施形態では、本発明は、マイクロ流体チップに係り、
図4に示すように、基板4内には、第1の管路1a、第1の管路1b、第1の管路1c、第1の管路1d、第2の管路2、および第3の管路3が形成されている。前記第1の管路1aは
、その両端にそれぞれ第1の接続ポート11と第2の接続ポート12を含む。第1の管路1bは、その一端に第1の接続ポート11’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第1の管路1cは、その一端に第1の接続ポート11’’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第1の管路1dは、その一端に第1の接続ポート11’’’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第2の管路2は、その一端に第3の接続ポート21を含み、他端が第1の管路1と連通し、第2の管路2は、切断された第1の部分の液滴a1を収容するために使用される。第3の管路3は、その一端に第4の接続ポート31を含み、他端が第1の管路1と連通し、第3の管路3は、切断された第2の部分の液滴a2を収容するために使用される。第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13は、第3の管路3と第1の管路1との第2の連通部14の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。
【0065】
さらに、分岐部15は、第1の連通部13の上流に位置し、分岐部15と第1の連通部13との間の距離は、500μm~5000μm、好ましくは1000μm~3000μm、好ましくは2000μm~3000μmである。
【0066】
上記の具体的な実施形態では、
図4に示すように、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は第1の管路1a上に形成される。
【0067】
図4に示すように、第1の接続ポート11’、11’’、11’’’、第3の接続ポート21、および第4の接続ポート31は、油相と水相のサンプル注入を実現するために、それぞれ異なる動力源とバルブに接続することができる。ここで、水相と油相のサンプル注入システムを切り替えることができる。例えば、チップを起動したばかりの場合、油相サンプル注入システムが上記接続ポートに接続され、チップ内部に媒体油を充填する。微生物液滴の注入を開始する時、一部のサンプル注入システムは、例えば、培養のための微生物液滴、反応のための酵素反応システム、および培養のための新鮮な培地、化学的因子、基質反応液など、水相サンプルを注入することができる。
【0068】
本発明の一つの具体的な実施形態では、例えば、油相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’に接続され、水相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’’に接続され、水相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’’’に接続され、水相サンプル注入システムが第3の接続ポート21に接続され、バルブシステムが第4の接続ポート31に接続される。
【0069】
本発明のチップおよび/チップシステムの使用中、例えば、第1の接続ポート11’に接続されている油相サンプル注入システムはチップに油相サンプルを注入し、それと共に、第1の接続ポート11’’に接続されている水相サンプル注入システムは、必要に応じて、所定のサンプル注入時間で水相サンプルをパルス注入し、それによって第1の管路1bと第1の管路1cとの連通部に油中水の微小液滴を形成し、例えば、
図4と
図8を参照できるように、細菌溶液の播種に使用される新鮮な培地または酵素反応のための基質溶液を形成する。
【0070】
動力源は、上記形成された微小液滴を右へ押し続けて第1の管路1dと第1の管路1bとの連通部に移動させ、そして、微小液滴を押すことを止めて、第1の接続ポート11’’’に接続されている動力源は別の水相溶液(例えば、添加のためのある化学的因子溶液、または反応のための、別の基質を含む溶液)を、第1の管路1dと第1の管路1bに留まっている微小液滴に押し込み、上記の融合される液滴bを形成する。具体的には、この融合される液滴bは、ある化学的因子が添加された新鮮な培地、または異なる反応基質(
またはマトリックス)を組み合わせた反応物溶液であることができる。
【0071】
チップを使用し始める場合、
図4に示す第1の管路1b内に油相(例えば、媒体として使用される鉱物油)が収容され、第2の管路2内には、播種される細菌液または反応する酵素溶液などの水相が収容される。油中水の液滴、すなわち、分割される液滴a、例えば、播種される菌液、または反応物と反応する酵素溶液は、第1の管路1aと第2の管路2との第1の連通部13で形成される。
【0072】
チップおよび/またはチップシステムを使用し始めると、まず、分割される液滴aが形成され、次にそれが第1の管路で培養され、次いで、切断と融合を実現できる本発明の上記構造を使用して融合される液滴bを形成し、そして、切断および融合により、分割される液滴aと切断および融合して新しい液滴cを形成する。また、第2の管路2は水相を収容し始め、菌液がすべて油中水の液滴を形成した後、油相を補充し、第2の管路はチップの操作中において上記の第2の管路として切断と融合を行う。
【0073】
よって、上述のように、本発明の
図3と
図6は、切断および融合のための基本的なチップ構造を示し、
図4と
図8は、本発明のチップおよび/またはチップシステムの一つの具体的な実施形態を示す。当業者が理解できるように、
図4に示すチップにおいて、その部分構造が
図3の構造と同じであり、その動力源とバルブの構造は、
図6に示す構造により実現できる場合、液滴の融合と切断を実現でき、
図4に示すチップを使用して操作する場合、チップ内でまず媒体油により囲まれた、切断される液滴aを形成するか、媒体油によりかこまれた、融合される液滴bを形成するか、いずれも
図3と
図6に示す基本的な構造により実現できる。実現された後、
図4に示すチップは、
図3と
図6に示す基本的な構造を使用して、媒体油に囲まれる新しい液滴cを形成することができる。上記のプロセスを繰り返すことにより、数個から数百個の新しい液滴cを形成することができる。
【0074】
勿論、サンプル注入システムとバルブシステムは、上述のようなサンプル注入口と密閉的に接続された毛管路を介して接続される。上述のように、サンプル注入システムは通常、主に、注入される液体を収容するための容器、サンプル注入のための管路と動力源を含む。動力源は上述のように、シリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプからなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくはシリンジポンプである。バルブも上述のように、ソレノイドバルブ、ロータリーバルブ、ロッカーバルブ、およびピンチオフバルブからなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくはロータリーバルブである。
【0075】
当業者が理解できるように、第1の接続ポート11’、11’’、11’’’、および第3の接続ポート21、第4の接続ポート31に接続された上記のサンプル注入システムとバルブは例に過ぎない。チップの状態に応じて、これらのサンプル注入システムとバルブの関係を置き換えることができる。
【0076】
本発明では、マイクロ流体チップに接続された毛管路から構成される培養システムが装置内にあると考えることもできる。例えば、
図4に示す本発明のチップでは、第1の接続ポート11は毛管路を介して第1の培養管路に接続され、第2の接続ポート12は毛管路を介して第2の培養管路に接続される。第1の培養管路と第2の培養管路は、毛管路で構成されてもよく、培養や反応システムが培養時間および反応時間に対する要求に従って第1の培養管路と第2の培養管路の長さを設計することができる。
【0077】
それと共に、本発明のチップに接続された動力源などを制御することにより、チップ内を流れる微小液滴の方向を逆転することができる。上述のように、形成された数個から数百個の新しい液滴cを第1の培養管路内で培養することができ、必要に応じて、動力源の
制御により微小液滴の移動方向を逆にすることができ、これによって、管路内の微小液滴の往復運動を実現することができる。
【0078】
図4に示すように、一つの具体的な実施形態では、本発明のチップ上の第1の管路1aの上に、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10が設けられており、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10についての説明は、上記の通りである。
【0079】
また、第1の管路1a上の、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10との間の距離は、管路内を流れる微小液滴の識別および検出がそれぞれ実現できる限り、特に限定はない。例えば、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10との間の距離(管路に沿った距離を例として)は、1cm~10cmであってもよく、好ましくは3cm~5cmである。第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は、それぞれ微小液滴の識別ウィンドウと微小液滴の検出ウィンドウとして使用することができる。
【0080】
一つの具体的な実施形態では、第1の検出ウィンドウ9は、微小液滴の識別ウィンドウとして使用され、第2の検出ウィンドウ10は、微小液滴の光学検出ウィンドウとして使用される。
【0081】
上述のように、微小液滴の識別は、チップの外部に設置されるレーザーシステム(例えば、本発明の微小液滴処理装置上に設置される)と協力して実現できる。レーザーシステムが持続的にレーザーを発射して第1の検出ウィンドウ9に照射する時、微小液滴が第1の検出ウィンドウ9を通過すると、レーザービームは一時的にブロックされ、外部の記録システムはレーザービームの変化を記録することができる。
【0082】
微小液滴の検出は、チップの外部に設置される分光システム(例えば、本発明の微小液滴処理装置上に設置される)と協力して実現できる。例えば、分光検出器を設けて、第2の検出ウィンドウ10を通過する微小液滴の吸光度を検出することができる。この吸光度は、例えば、微生物培養システムの微生物の成長の程度を反映でき、または、色の変化を伴う反応系の色変化を反映することができる。
【0083】
図5は、本発明のマイクロ流体チップシステムの概略図であり、
図5には、チップの基板外部の管路は毛管路を示す。
図4に示す構造と同様に、前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐し、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウが、第1の管路a上に形成され、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、第2の管路および第3の管路は第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される。
【0084】
第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2であり、さらに好ましくは、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積が同じである。第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉接続された毛管路の密閉接続部は、前記基板内部に位置する。
【0085】
本発明では、上記密閉接続には特に限定はなく、例えば、チップ構造の設計後、彫刻機で加工し、次にチップ基板をホットプレスによってプレスし、毛管路をチップの側面の深い孔内に形成させ、接着剤を注入して密閉接合する。
【0086】
本発明のチップシステムにおける毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプ
ロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つである。
【0087】
さらに、温度制御システムは、温度センサーと温度制御部材を含む。前記温度制御部材は、昇温部材と降温部材とをさらに含み、前記昇温部材は温度コントローラーと金属浴を含み、容器ボトルおよび/または液圧緩衝用ボトルは金属浴に入れられ、温度コントローラーにはファンが付けられている。
【0088】
本発明の一つの具体的な実施形態では、前記昇温部材は、温度コントローラーと金属浴を含み、容器ボトルおよび/または液圧緩衝用ボトルは金属浴に入れられ、温度コントローラーにはファンが付けられている。前記温度制御システムには、設備の動作環境の温度を低め、さらに微生物培養の温度を低めるための降温装置であるファンが配置されている。
【0089】
本発明の一つの具体的な実施形態では、前記昇温および降温部材はさらに、排水温度制御システムを含むことができる。排水温度制御システムとしての排水温度制御板は、微小液滴処理装置に設けられ、排水温度制御板の給水口と排水口は、外部の恒温水浴装置に連通し、恒温水浴装置の恒温原理により排水温度制御板の温度を制御し、システムの昇温恒温制御を行い、これによって装置内の温度を調節する効果を収める。
【0090】
温度センサーは、本発明の培養システムの温度をオンラインで測定することができる。制御システムのホストコンピュータソフトウェアを介して温度制御スイッチをオンにすると、回路基板プログラムは温度制御機能をオンにしてファンをオンにし、温度が検出された後、段階的に加熱し始める。温度が目標値に達したことが検出されると、一部のパラメータを自動的に調整し、ファンの自動制御機能をオンにし、温度センサーと組み合わせて機能し、温度を目標値である(10~50)℃±0.2℃の範囲内に保つ。40℃で測定した温度を
図9に示す。
【0091】
本発明は、1~500の微小液滴、好ましくは5~400の微小液滴、好ましくは10~300の微小液滴、好ましくは20~200の微小液滴の生成を制御でき、各微小液滴の体積は0.5~10μLであり、振とうフラスコやディープウェルプレートの場合よりもスループットがはるかに多く、培地の消費が少ない;新鮮な培地の定期的且つ定量的な交換、および化学的因子の追加を実現でき、種子液を抽出する従来の継代培養よりもはるかに便利であり、時間と労力を節約できる;各微小液滴中の微生物の成長をリアルタイムでオンラインで検出することができ、従来のサンプリング検出よりもはるかに便利であり、中断のない培養を真に実現できる;また、インテリジェントにスクリーニングし、スクリーニング特性を設定し、適切な株を自動的にスクリーニングし、効率を向上させることができる。
【0092】
さらに、液滴識別システムは、レーザー光源と光電センサーとを含み、液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源とを含む。
【0093】
なお、前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴を識別し、前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する。
【0094】
本発明の一つの実施形態では、
図2に示すように、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、温度制御システム内の昇温および降温部材として、エアヒーターとファンが使用され、エアヒーターとファンはいずれも箱内に設置されている。本発明のもう一つの実施形態(図示されていない)では、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、温度制御システムにおける昇温および降温部材として、排水温度制御システムとファンが使用され、排水温度制御板は箱内に設置され、排水温度制御板の給水口と排水口はそれぞれ外部の恒温水浴装置と連通し、外部の恒温水浴装置を介して排水温度制御板の温度を制御し、これによって箱内の温度を調節する。ファンは箱内に設置され、装置の動作環境の温度を低める。
【0095】
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される。前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである。
【0096】
本発明の装置において、制御システムは、微小液滴処理装置内の各システムを制御する。
【0097】
前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含む。前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御する。前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する。
実施例
【0098】
実施例1
第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、チップ基板内に形成された管路であり、チップ基板のサイズは3cm*5cm*4mm(長さ*幅*厚さ)であり、チップ基板の材料はPMMAであり、チップ基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、断面が正方形である管路であり、その断面積は1mm2(一辺の長さが1mm)である。第1の管路はそれぞれ第2の管路と第3の管路に連通し、第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第1の管路と第3の管路との第2の連通部の上流にあり、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は1.5mmである。管路内に媒体油が充満した。
【0099】
第1の管路の第1の接続ポートには、シリンジポンプAが接続され、第2の接続ポートには第1のロータリーバルブが接続され、第2の管路の第3の接続ポートには、シリンジポンプBと第2のロータリーバルブが接続され、第3の管路の第4の接続ポートには、第3のロータリーバルブが接続され、管路とシリンジポンプおよびロータリーバルブは、毛管路を介して接続され、毛管路の内径は1.0mmであり、材料はポリテトラフルオロエチレンである。
【0100】
本実施例では、使用されたシリンジポンプAとシリンジポンプBはいずれも工業用シリンジポンプであり、シリンジポンプに付いたバルブは3ポートバルブである。第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはいずれも高圧2ポートバルブである。
【0101】
シリンジポンプAをオンにし、第1のロータリーバルブを開き、2μl体積の分割される液滴aと2μl体積の融合される液滴bを第1の管路内に押し込んだ。液滴aと液滴b
は管路内の油性媒体油相により中断された。本実施例では、分割される液滴は、大腸菌BL21を含有する微生物培養液であり、液滴bは新鮮なLB培地である。媒体油相は鉱物油である。
【0102】
第1のロータリーバルブを閉じて、第2のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴aを押して第1の管路と第2の管路との第1の連通部に移動させた。aの70%は液滴a1であり、つまり、約1.4ミリリットルが第2の管路に入った。この時、第2のロータリーバルブを閉じて、第3のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴aの残りの30%、すなわち、約0.6ミリリットルの液滴a2がすべて第3の管路に入り、最終的に液滴aは、液滴a1と液滴a2との2つの部分に切断された。液滴a1は第2の管路内に保持され、液滴a2は第3の管路に入り、第3のロータリーバルブを閉じて、液滴の分割を完成した。液滴aの分割は主に、液滴aの底面が管路Aと平行になるように液滴aを切断し、中間間隔の油相の量を減らしてから、切断された液滴aの一部の溶液を、融合される液滴bに定量的に注入し、これによって注入量の高精度を実現する。液滴aは管路内の油相によって切断されたため、液滴bの一端と第1の管路のチャネルが揃っているようになり、その後の正確な定量サンプル注入の基礎を築く。
【0103】
第1のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴bを押して第2の管路と第1の管路との接合部に移動させた後、押すことを止めて、シリンジポンプBを駆動して液滴aの部分(a1)を液滴bに定量的に押し込んで新しい液滴cを形成した。
【0104】
シリンジポンプAをオンにし、新しい液滴cを押して前方に移動させ、残りの液滴a1部分はBチャネルに留まり、液滴aと液滴bとの定量的物質交換が完了した。
【0105】
大腸菌BL21を含有する複数の培養液を新鮮なLB培地に播種するように、上記のステップを繰り返した。
【0106】
実施例2
図4に示すように、実施例1と同じ材料を使用してマイクロ流体チップを形成した。実施例2では、基板の長さは7.5cmであり、幅は5cmである。
【0107】
また、実施例2において、サンプル注入システムの構成は、
図8に示すように、マイクロ流体チップには、3つのサンプル注入システムIおよび3つのサンプル注入システムIIが接続されており、動力源およびバルブは、実施例1と同じ方法が採用された。
【0108】
実施例2では、チップを使用する前に、サンプル注入システムIはチップを油相で満たし、そして、第2の管路2に接続されたサンプル注入システムIIが滅菌の状態下で第2の管路2に播種用の細菌液を注入することにより、第1の連通部13に油中水の微小液滴を形成した。サンプル注入が完了した後、第2の管路は再び油相で満たされた。次に、サンプル注入システムIの動力源の作用により、第1の連通部13で形成された油中水の微小液滴は、第1の管路1a内を往復し、液滴中の細菌培養が行われ、培養後に、分割される液滴aとなった。第1の検出ウィンドウ9は、液滴識別サイトとして、液滴を識別するサイトとなり、第2の検出ウィンドウ10は、細菌濃度のOD検出のための液滴検出サイトとなった。
【0109】
そして、サンプル注入システムIを介して第1の接続ポート11’から油相をチップに導入し、サンプル注入システムIIによって、必要に応じて第1の接続ポート11’’を介してサンプル注入時間帯を制御し、これによって、水相の培地を断続的にチップに注入
して、第1の管路1bと第1の管路1cとの連通部で油中水の培地液滴を形成した。次のステップを選択できる。すなわち、微小液滴が右へ移動して第1の管路1dと第1の管路1bとの連通部までに移動した後、微小液滴を押すのを止めて、第1の接続ポート11’’’に接続されたサンプル注入システムIIは、塩化ナトリウム溶液を、第1の管路1bと第1の管路1dに留まっている培地液滴(培地中の培地因子の濃度を変える)に押し込み、融合される液滴bを形成し、第1の管路に入らせ、分割される液滴aの左側に位置させ、第1の管路1aにおいて、液体を押して第1の接続ポート11から第2の接続ポート12へと移動させた。
【0110】
分割される液滴aおよび融合される液滴bに対して、上記実施例1における分割および融合のプロセスを繰り返した。すべての液滴の分割および融合を完成した後、微生物の新しい液滴培養を再び行い、第2の検出ウィンドウ10を介して液滴のOD値を再び検出することができる。
【0111】
実施例3
実施例3では、
図2に示すように、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、培養システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムは、いずれも一つの箱内に配置されている。
図2に示す設置方法により、実施例2のマイクロ流体チップシステムを使用して、液滴分割、融合、および微生物の新しい液滴培養を実現した。
【0112】
その中で、サンプル注入システムは、
図8に示すように、3つのサンプル注入システムI、3つのサンプル注入システムII、バルブ、および廃液ボトルを含み、サンプル注入システムIは、動力ポンプと油相ボトルとからなり、サンプル注入システムIIは、動力ポンプ、油相ボトル、およびサンプル注入緩衝用ボトルからなり、サンプル注入システムIに使用された油相ボトルに収容された油相媒体は、サンプル注入システムIIの油相ボトルに収容された油相媒体と同じである。具体的な実施形態では、油相ボトルを共有することができる。本実施例では、
図2に示すように、3つのサンプル注入システムIと3つのサンプル注入システムIIは、油相媒体を収容するためのオイルボトル60を共有し、3つのサンプル注入緩衝用ボトル61はそれぞれ、水相の細菌液、培地、および添加のための化学的因子を収容する。6つのシリンジポンプ63は、サンプル注入システムの動力源であり、6つのシリンジポンプ63はいずれもオイルボトル60に接続され、その中の3つのシリンジポンプは、オイルボトル60の油相媒体をマイクロ流体チップシステム46に押し込み、
図8に示す3つのサンプル注入システムIを形成した。他の3つのシリンジポンプは、オイルボトル60の油相媒体をそれぞれ3つのサンプル注入緩衝用ボトル61に押し込み、油相媒体の液体圧力によってサンプル注入緩衝用ボトル61内の水相液体をマイクロ流体チップシステム46に押し込んで、
図8に示す3つのサンプル注入システムIIを形成した。シリンジポンプ63、オイルボトル60、サンプル注入緩衝用ボトル61、ロータリーバルブ65、廃液ボトル62、およびマイクロ流体チップシステム46は、実施例2の接続方式に従って、毛管路(図示されていない)を介して接続されている。上記のサンプル注入システムおよびバルブの制御の協力により、培養される細菌液はマイクロ流体チップシステム46内で分割および融合されて複数の油中水の微生物液滴を形成し、シリンジポンプ63の作用下でマイクロ流体チップシステム46の管路内で往復して培養された。
【0113】
温度制御システムは、昇温部材、降温部材、および温度制御部材を含む。
図2に示すように、昇温部材は、エアヒーター54と金属浴53を含み、サンプル注入緩衝用ボトル61は金属浴53内に放置され、エアヒーター54は加熱ファンを介して、装置の箱内の微生物の培養環境を加熱する。降温部材は、それぞれ装置の動作環境の温度降下および微生物の培養環境の温度降下のための2つのファン64を含み、温度プローブ67は、箱内の
微生物の培養環境の温度を測定し、装置の制御システムにフィードバックし、これによって昇温部材と降温部材の動作を制御し、マイクロ流体チップ内の液滴を昇温加熱および恒温制御する。本実施例では、温度制御曲線は
図9に示される。
【0114】
液滴識別システムは、レーザー光源55と光電センサー56とを含む。
図2に示すように、レーザー光源55は、マイクロ流体チップシステム46の第1の検出ウィンドウを照射し、第1の検出ウィンドウを通過する水相サンプル液滴を識別し、光電センサー56を介して液滴の位置情報を装置の制御デバイスに送り返す。
【0115】
液滴検出システムは、光ファイバー57、分光計58、およびハロゲン光源59を含む。
図2に示すように、光ファイバー57は、マイクロ流体チップシステム46の第2の検出ウィンドウに合わせ、分光計58を介して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相サンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する。
【0116】
検出システムでは、光電センサー56とレーザー光源とを組み合わせて使用して、マイクロ流体チップシステム46の第1の検出ウィンドウで微小液滴の状態を識別し、これによって液滴の往復と培養を制御することができる。前記光ファイバー57、分光計58、およびハロゲン光源59を組み合わせて使用して、マイクロ流体チップシステム46の第2の検出ウィンドウで、収容された微小液滴中のサンプルを検出する。EPチューブ52は、培養された微生物の液滴を収容し、紫外線ランプ66は、装置内の微生物の培養環境を滅菌することができる。
【0117】
微生物培養のステップは次の通りである:
1)機器は紫外線ランプをオンにして30分間滅菌した;
2)装置管路を排気させ、温度制御システムをオンにして、30分間予熱した;
3)播種した細菌液(上述のように、大腸菌BL21)1mLを1つのサンプル注入緩衝用ボトルに加え、真空脱気箱に入れて30分間脱気処理をし、培養用の新鮮な培地(LB培地)を1つのサンプル注入緩衝用ボトルに入れて、添加用の化学的因子、すなわちアスコルビン酸溶液をもう1つのサンプル注入緩衝用ボトルに入れた;
4)チップをブラケットに取り付け、サンプル注入緩衝用ボトルおよびオイルボトルの入口に接続した;
5)機器ソフトウェアを開き、「成長曲線」測定モードを選択し、基本パラメータを、検出サイクル0.5時間、液滴数100、検出波長620nmのように設定した;
6)実行ボタンをクリックした;
7)46時間実行した後、データを取得し、結果を
図10に示す。
【0118】
本発明は、正確な温度制御を実現し、結果の信頼性を高くし、微生物を円滑に成長させることができ、最大90日間の連続培養を実現することができる。
産業上の利用可能性
【0119】
本発明の全自動ハイスループット微生物液滴培養装置および使用方法は、ハイスループット微生物培養の分野で製造および使用することができる。
【0120】
本発明の実施形態について、添付の図面を組み合わせて説明したが、本発明は、上記の具体的な実施形態および応用分野に限定されない。上記の具体的な実施形態は単に例示的、指導的であり、限定的ではない。本明細書の教示の下で、当業者は本発明の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、多くの形態をすることができ、それらはすべて本発明の保護範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;
基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;
温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;
レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;
光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および
微小液的処理装置における各システムを制御するための制御システム
を含む、微小液滴処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体技術分野に属し、特に微小液滴処理装置およびその使用方法に関する。具体的には、当該微小液滴処理装置は、微生物液滴培養装置であることができる。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体チップ技術は、生物学的、化学的、医学的分析などのプロセスにおけるサンプルの調製、反応、分離、および検出等に広範に使用されており、急速に発展しているフロンティア技術と研究の最も活発な分野の一つである。サンプル溶液を処理するマイクロ流体チップは、滅菌とサンプル注入の安定性に対する要求が高い。マイクロ流体チップのサンプル注入は、例えば、pL-nL/sレベルなど、低速である必要があり、液滴マイクロ流体は、サンプル注入の安定性に対する要求がより高く、わずかな変動でも液滴の安定性と均一性に影響を与える。
【0003】
従来の微生物選択と育種では、通常、プレートコーティング培養を使用して単一のコロニーを取得してから、振とうフラスコスケールの発酵培養により検証する。一般的な微生物は、予備選別と再選別などのプロセスを経て生産ニーズを満たしていることを確認するまで、通常、数ヶ月から数年かかり、この選択と育種方法の場合、選別サイクルが長くなる。そして、従来の選択と育種法、振とうフラスコレベルの発酵培養および評価プロセスを採用するには、十分な人員、実験スペース、および培養スペースが必要であり、スクリーニング効率はバッチあたり101~2にしか達せないため、スクリーニングスループットが低くなる。さらに、突然変異誘発スクリーニングの成功は、スクリーニングの数と密接に関係しており、標的形質変異体を取得するには、大量のスクリーニングサンプルが必要であり、研究開発人員の作業負荷が非常に大きい。最後に、従来の選択と育種方法は、固体培養または大量の液体培養に基づいたものであるため、培養と検出のための材料と資源が大量に消費され、実験コストが高くなる。
【0004】
上記の問題を解決するために、マイクロプレート培養およびスクリーニング技術、およびマイクロ流体技術が開発された。マイクロプレートスクリーニング技術は、培養システムを振とうフラスコレベルの50~100ミリリットルから、数ミリリットル乃至数十マイクロリットルに減らし、24、48、96、384、1536などの複数のサンプルの同時培養を実現でき、対応する自動監視装置と組み合わせて、特定のプロセスパラメータのオンライン監視を実現することができる。マイクロプレートのスクリーニング効率を高めるために、マルチウェルプレートシステムを巡って、自動モノクローナル選別装置、自動滅菌培地調製装置、自動培地分配システム、および自動細菌プレート希釈器などを含む専門の支援装置が開発され、作業効率が大幅に向上した。
【0005】
マイクロ流体技術は、20世紀90年代に分析化学の分野で開発された。この技術は、マイクロ管路ネットワーク構造に基づき、微量サンプルの調製、サンプル注入、反応、分離、および検出を一体化したマイクロ分析実験装置である。マイクロ流体技術は非常に高い効率を持ち、構造が小さいため、一度に数百の微生物培養ユニットをチップ上に集成しやすく、大量の培地を節約できる。ソフトウェアによって操作を統合すると、チップ上で実験プロセス操作全体をシミュレーションすることができる。
【0006】
特許文献CN103983794Aは、2014年にマイクロ流体チップを開示した。このマイクロ流体チップは、検出ウィンドウ(検出孔)、電極、分岐構造を有するチャネル、液体注入プール(または液体注入ポート)、完成品プール(または液体排出ポート)、廃液プール(または廃液ポート)などを含む。液体注入プール(または液体注入ポート)、完成品プール(または液体排出ポート)、および廃液プール(または廃液ポート)はそれぞれチャネルに物理的に接続され、検出ウィンドウ(または検出孔)はチャネルの近くに位置し、電極は分岐部に近いチャネルの両側に固定されている。これにより、液滴の位置の識別、液滴の体積の制御、液滴の単一サンプルのセグメンテーション、液滴内の複数のサンプルの分離、および液滴パラメータの選択の、マイクロ流体における5つの重要な問題を構造上で解決し、マイクロ流体技術の材料担体を実現した。しかしながら、検出機能を実現できず、微生物液滴の培養とスクリーニングをオンラインで制御することもできなかった。
【0007】
特許文献CN104007091Aは、2014年に、液滴マイクロ流体チップに基づくハイスループット検出システムを開示した。このシステムは主に、液滴マイクロ流体チップシステム、光路システム、データ採集分析システムを含む。液滴マイクロ流体チップシステムは、検出対象の微生物を包埋して独立した単一液滴微小反応チャンバーを形成し、単一液滴微小反応チャンバー内の微生物サンプルのレーザー誘起蛍光検出シグナルの送信を光路システムを介して行い、データ採集分析システムは、採集されたシグナルをコンピュータシステムを介して検出分析し、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、サッカロマイセス・セレビシエなど、さまざまな種類の工業用微生物の生産に関連する標的酵素と代謝産物の高効率スクリーニングを実現できたが、微生物のオンライン培養を実現できなかった。
【0008】
微生物の選択と育種は特別な生物学的プロセスであるため、まず播種して培養し、そして検出と評価を行う必要があり、最後に標的微生物を選択することができる。したがって、従来の播種、振とうフラスコ培養、および従来の検出を取って代わり、微生物のマイクロボリューム、ハイスループット、長期連続培養、リアルタイムのオンライン検出を実現でき、しかも成長性能と特性に基づいて微生物の選択と育種を実現できる装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
上記の問題を解決するために、本発明は、微生物液滴の培養に使用することができる微小液滴処理装置を提供する。この装置は、マイクロ流体チップを介して、微生物を含む、0.5~10μLの体積を持つ数百の微小液滴を搭載し、継続的なオンライン培養、検出、および選別を通して、微生物の選択と育種を完成することを実現できる。
【0010】
本発明の目的は、次の技術構成によって実現される。
1、微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;
基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;
温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;
レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;
光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および
微小液滴処理装置における各システムを制御するための制御システム
を含む、微小液滴処理装置。
2、前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過した水相のサンプル液滴を識別し;
前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過した水相のサンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する、
項1に記載の装置。
3、前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムIと1つのサンプル注入システムIIとを含む、
項1または2に記載の装置。
4、前記サンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む、
項3に記載の装置。
5、前記サンプル注入システムIは、液体容器と、動力源と、を含み、
前記サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含み、
前記動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、
前記液体容器は、注入するサンプル溶液と非相溶且つ非圧縮性の液体を収容し、
前記動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、
前記緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通している、
項3または4に記載の装置。
6、マイクロ流体チップシステムは、
基板;および
前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路、
前記第1の管路上に形成された透明領域である、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウ、および
第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉連通している毛管路
を含み、
前記第1の管路は、その両端にそれぞれ第1の接続ポートと第2の接続ポートを含み、
前記第2の管路は、その一端に第3の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
前記第3の管路は、その一端に第4の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第3の管路と第1の管路との第2の連通部の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである、
項1~5のいずれか一項に記載の装置。
7、前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐し、
第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウは、第1の管路a上に形成され、
第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、
第2の管路および第3の管路がそれぞれ第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される、
項6に記載の装置。
8、前記基板と第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一種または多種で形成され、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)で形成され、
前記毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つであり、
さらに好ましくは、第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である、
項6または7に記載の装置。
9、サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムは、毛管路と接続ポートを介して密閉された閉ループ制御構造を形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
10、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、
さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される、
項1に記載の装置。
11、前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである、項10に記載の装置。
12、前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含み、
前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御し、
前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する、
項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【0011】
本発明は、
油相のサンプルを注入するサンプル注入システムIと、水相のサンプルを注入するサンプル注入システムIIとからなるサンプル注入システム;
基板と、基板上に形成されたマイクロチャネルと、検出ウィンドウとからなるマイクロ流体チップシステム;
マイクロ流体チップに接続された管路からなる培養システム;
温度センサーと、温度制御部材とからなる温度制御システム;
光ファイバー分光計と、光電センサーと、レーザー光源と、ハロゲン光源とを含む、液滴識別および検出システム;および
サンプル注入システム、温度制御システム、および検出システムにそれぞれ接続され、デジタル回路を制御するコントローラーと、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、および検出システムの情報を表示、保存、および分析するPCディスプレイ制御システムとを含む、制御システム
を含む、微小液滴処理装置であって、
前記光電センサーは、レーザー光源と組み合わせて使用され、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウで微小液滴の状態を識別し、前記光ファイバー分光計は、ハロゲン光源と組み合わせて使用され、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウで収容された微小液滴のサンプルを検出する、微小液滴処理装置に係る。
【0012】
前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つの油相サンプル注入システムと1つの水相サンプル注入システムとを含む;前記サンプル注入システムは、複数の油相サンプル注入システムと、複数の水相サンプル注入システムとを含んでもよい;前記サンプル注入動力源は、圧力ポンプまたはシリンジポンプである;
マイクロ流体チップシステムは、微小液滴の生成、分割、融合、検出、および分離などの操作を実現できる;
培養システムは、軟質の中空管路で構成され、管路の一端はチップのマイクロチャネルに接続され、管路の他端は、チップのマイクロチャネルに接続されてもよいし、動力装置に直接に接続されてもよい;前記装置内の微小液滴は、チップから管路へ、または管路からチップへ流れることができる;前記培養システムの管路は、ガス透過性であってもよいし、ガス不透過性であってもよい;前記培養システムで使用される管路の内径は0.1~2mmである;
微生物を含む微小液滴を培養した後、チップ上で定量的な分割を行うことができ、分割された微小液滴は新しい微小液滴と融合することができ、融合してなる新しい微小液滴を培養し続けることができる;前記分割および融合プロセス、その前または後に、微小液滴を検出することができる;
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、培養システム、および付属の動力装置は、管路、接続ポートなどを介して接続され、密閉された無菌構造を形成する;
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、および培養システムは、いずれも温度制御可能な箱内に配置され、箱内の温度は、温度制御システムによって制御される;前記温度制御システムは、温度センサーと温度制御部材で構成される;前記温度制御部材の温度は高くとも50℃、低くとも10℃に達することができ、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される。
【0013】
前記温度制御箱は滅菌装置を含み、前記滅菌装置は紫外線ランプである。
【0014】
下記のステップを含む、微生物液滴培養装置の使用方法:
1)装置の電源をオンにし、PCディスプレイ制御システムをオンにする;
2)装置の管路を排気させ、温度制御システムをオンにし、5~30分間予熱する;
3)PCディスプレイ制御システムを使用して、管路液体、光ファイバー分光計、および光電センサーを初期化する;
4)機能モードを選択し、例えば、マイクロ流体チップシステムでの液滴生成、液滴分割と融合、液滴培養、液滴選別などのプログラムを選択し、装置パラメータを設定して操作を起動する;
5)標的の液滴を取得し、データをエクスポートする。
【0015】
本発明では、微生物の培養は最大90日間連続培養することができる。
【0016】
本発明の技術的効果は以下の通りである:
サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムにより、微小液滴処理装置において、1個あたりの体積が0.5~10μLである、1~500個の微小液滴を生成することを制御でき、このような微小液滴処理装置を使用する場合、振とうフラスコやディープウェルプレートの場合よりもスループットがはるかに多く、培地の消費が少ない;制御システムは、新鮮な培地の定期的且つ定量的な交換、および化学的因子の追加を実現でき、種子液を採取する従来の継代培養よりもはるかに便利であり、時間と労力を節約できる。検出システムにより、各微小液滴中の微生物の成長をリアルタイムでオンラインで検出することができ、従来のサンプリング検出よりもはるかに便利であり、中断のない培養を真に実現できる;また、インテリジェントにスクリーニングし、スクリーニング特性を設定し、適切な株を自動的にスクリーニングし、効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の微小液滴処理装置の機能概略図である。
【
図2】本発明の微小液滴処理装置の一実施形態の斜視図である。
【
図3】本発明の微小液滴処理装置で使用されるマイクロ流体チップの機能概略図である。
【
図4】本発明の微小液滴処理装置で使用されるマイクロ流体チップシステムの概略図である。
【
図5】微小液滴の定量的分割および融合に使用される、本発明のマイクロ流体チップの機能の構造概略図である。
【
図6】本発明のマイクロ流体チップシステムと、微小液滴処理装置に係る動力源およびバルブとの接続の構造概略図である。
【
図7】本発明のサンプル注入システムIの概略図である。
【
図8】本発明の微小液滴処理装置で使用される場合のチップシステムと、動力源およびバルブとの接続を示す概略図である。
【
図9】本発明の微小液滴温度制御ディスプレイの温度変化図である。
【
図10】本発明の微生物液滴培養装置によって測定された大腸菌の46時間成長曲線図である。
【0018】
符号の説明:
1(1a、1b、1c、1d) 第1の管路;2 第2の管路;3 第3の管路;4 基板;5 電極;6 電極;7 孔;8 孔;11(11’、11’’、11’’’) 第1の接続ポート;12 第2の接続ポート;21 第3の接続ポート;31 第4の接続ポート;13 第1の連通部;14 第2の連通部;15 分岐部;
41 サンプル注入システムI;42 サンプル注入システムII;43 温度制御システム;44 検出システム(液滴識別システムと液滴検出システムを含む);45 制御システム;46 マイクロ流体チップシステム;47 容器ボトルa;48 サンプル注入動力源a;49 容器ボトルb;50 サンプル注入動力源b;51 容器ボトルc;52 EPチューブ;53 金属浴;54 温度コントローラー;55 レーザー光源;56 光電センサー;57 光ファイバー;58 分光計;59 ハロゲン光源;60
オイルボトル;61 サンプル注入緩衝用ボトル;62 廃液ボトル;63 シリンジポンプ;64 冷却ファン;65 回転バルブ;66 紫外線ランプ;67 温度プローブ;68 照明ランプ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。本発明の具体的な実施形態が図面に示されているが、本発明は様々な形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの実施形態は、本発明をよりよく理解できるように、しかも本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されるものである。
【0020】
なお、明細書および請求の範囲では、特定のコンポーネントを指すために特定の用語が使用されている。同じコンポーネントを指すために異なる用語を使用する場合があることを、当業者は理解できるのであろう。本明細書および請求の範囲は、コンポーネントを区別する方法として、用語の違いを使用せず、コンポーネントの機能の違いを区別付けの基準として使用する。明細書および請求の範囲全般で言及されている「含有する」または「含む」はオープンな用語であり、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書の以下の説明は、本発明を実施するための好ましい実施形態であるが、その説明は、明細書の一般原則を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって定義されるものと見なされる。
【0021】
本発明の実施例に対する理解を容易にするために、いくつかの具体的な実施形態を例として、図面と併せてさらに説明し、それぞれの図面は、本発明の実施形態に対する限定を構成しない。
【0022】
図1および
図2に示されるように、本発明は、微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および微小液的処理装置における各システムを制御するための制御システムを含む、微小液滴処理装置に係る。
【0023】
具体的には、
図1に示すように、本発明の微生物液滴培養装置は、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、検出システム(液滴識別システムと液滴検出システムであってもいい)、および制御システムを含む。
【0024】
サンプル注入システムは、サンプル注入システムIとサンプル注入システムIIとからなり、前記サンプル注入システムIは油相のサンプルを注入し、サンプル注入システムIIは水相のサンプルを注入する;前記サンプル注入システムIは、容器ボトルa、サンプル注入動力源a、および相互接続された導管を含む;サンプル注入システムIIは、容器ボトルb、サンプル注入動力源b、容器ボトルc、および相互接続された導管を含む;前記サンプル注入システムIIの容器ボトルbは、容器ボトルcの中の液体と非相容および非反応性、且つ非圧縮性の液体を収容し、前記サンプル注入動力源aは、容器ボトルaの中の液体を駆動して導管を経由して安定して制御可能にマイクロ流体チップシステムに送り込む;容器ボトルcの底部は、注入される生体サンプルを収容し、サンプル注入動力源bにより駆動されると、容器ボトルbの中の液体は導管を経由して容器ボトルcに入って液圧が上昇し、これによって容器ボトルcの底部の生体サンプルは安定して制御可能にマイクロ流体チップに入る;前記動力装置はサンプル注入動力源であり、圧力ポンプまたはシリンジポンプであることが好ましい。
【0025】
本発明の装置において、サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムI(本発明において油相サンプル注入システムと呼ばれることもある)と1つのサンプル注入システムII(本発明において水相サンプル注入システムと呼ばれることもある)とを含み、サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含む;前記サンプル注入システムIは、油相容器と、動力源とを含み、動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、液体容器は、注入するサンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液体を収容し、動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通し、前記油相容器は媒体油を収容する。
【0026】
一つの具体的な実施形態では、本発明の装置のサンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む。
【0027】
サンプル注入システムIIの一例は
図7に示される。
図7から分かるように、サンプル注入システムIIは、前記サンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液圧液体を収容する液体容器71(例えば、上記容器ボトルb)を含み、液体容器71は液圧液体輸出管路を介して動力源72に接続され、動力源72は前記液圧液体を駆動して、輸入管路73を経由して緩衝用ボトル74に押し込む。
図7に示す具体的な実施形態では、選択された液圧液体の密度はサンプル溶液の密度より低く、緩衝用ボトル74(例えば、容器ボトルc)の上部は液圧液体を収容し、底部はサンプル溶液を収容する。輸入管路73は緩衝用ボトル74の口に接続され、輸出管路75は緩衝用ボトル74の底部に接続される。動力源72が駆動する時、前記液体は輸入管路73を経由して緩衝用ボトル74に入り、これによってサンプル溶液を輸出管路75を経由してマイクロ流体チップシステム76に押し込む。ここで、液圧液体は油相であってもよく、輸出管路や輸入管路などはいずれも、後述する本発明の毛管路を採用することができる。
【0028】
一つの具体的な実施形態では、上記の液体容器は、剛性材料からなり、サンプル注入の過程において液体容器の可撓性変化を避けることができる。前記剛性材料は、プラスチック材料または金属材料である。前記プラスチック材料は、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数であり、前記金属材料は、金属単体、金属酸化物、または金属合金であってもよく、前記金属材料は、鉄、アルミニウム、銅、酸化鉄、酸化アルミニウム、および酸化銅からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数であり、また、鉄、アルミニウム、銅、酸化鉄、酸化アルミニウム、および酸化銅からなる群より選ばれるいずれか一つまたは複数で形成された合金、または他の材料と一緒に形成された合金であってもよい。
【0029】
マイクロ流体チップシステムは、基板、基板上に形成されたマイクロチャネル、第1の検出ウィンドウ、および第2の検出ウィンドウで構成され、マイクロ流体チップシステムとサンプル注入システムは、管路を介して密閉された無菌構造を形成する。
【0030】
図3と
図4はそれぞれ、本発明で使用されるマイクロ流体チップシステムの機能概略図と具体的な構造図の例を示す。
図3は、本発明のマイクロ流体チップの構造概略図を示し、マイクロ流体チップは、少なくとも基板4、および基板内に形成された第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3を含む。
【0031】
具体的には、本発明のマイクロ流体チップにおいて、前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、基板の内部に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路を指す。
【0032】
前記基板4はマイクロ流体チップ基板であり、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)で形成され、第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3は、基板4の内部に形成され、本発明の一つの具体的な実施形態では、基板と管路は一体彫刻成形される。
【0033】
本実施形態では、前記管路の材料は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくは、構成材料がポリメチルメタクリレートである。前記管路の断面形状は限定されず、円形、長方形、楕円形など、成形および液滴の流れにて適合する任意の形状であってもよい。前記管路の断面積の範囲は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である。さらに好ましくは、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積が同じである。当業者は、チップ基板のサイズ、培養、検出および選別される液滴の要求に従って、管路の太さを合理的に設定することができる。
【0034】
一つの具体的な実施形態では、本発明の管路の断面は正方形であり、辺の長さは0.5~2mmの範囲である。
【0035】
一つの具体的な実施形態では、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の管路、第2の管路、および第3の管路の直径が変化してもよく、つまり、第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積は一定ではない。本発明において、第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積の範囲が上記の制限を満たせばよい。
【0036】
図3に示すように、基板4内には第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3が形成される。前記第1の管路1は、その両端にそれぞれ第1の接続ポート11と第2の接続ポート12を含む。第1の管路1は、切断および融合する前に、分割される液滴aおよび融合される液滴bを収容し、切断および融合する時、第1の管路1は、第2の部分の液滴aと新しい液滴cを収容することができる。第2の管路2は、その一端に第3の接続ポート21を含み、他端が第1の管路1と連通する。第2の管路2は、切断された第1の部分の液滴a1を収容する。第3の管路3は、その一端に第4の接続ポート31を含み、他端が第1の管路1と連通する。第3の管路3は、切断された第2の部分の液滴a2を収容する。第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13は、第3の管路3と第1の管路1との第2の連通部14の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。
【0037】
第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、液滴のサイズおよび管路の断面積に関係している。本発明では、前記距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。具体的には、前記距離は、600μm、700μm、800μm、900μm、1100μm、1200μm、1300μm、1400μm、1600μm、1700μm、1900μmであってもよい。
【0038】
本発明のチップは、第1の管路1上に形成された第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10とをさらに含む。第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は、その位置でチップ管路内に移動する微小液滴を監視および検出することができる限り、検出ウィンドウの具体的な形式には制限はない。チップと管路自身が透明な材料で形成されている場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は第1の管路1上の2つの検出サイトとなる。チップと管路の材料が透明ではない場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10として、管路自体に2つの透明な部位を形成する必要がある。
【0039】
一つの具体的な実施形態では、形成される第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10のサイズには具体的な制限はない。2つの検出ウィンドウは第1の管路上の一つの領域であるため、管路上のこの領域の長さとして、例えば、200μm~1mmであってもよく、好ましくは500μm~1mmであり、このような長さの検出ウィンドウを使用すると、管路内に移動する微小液滴をより効果的且つ正確に監視および検出することができる。
【0040】
チップ使用時、微小液滴がチップ内に輸送される場合、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10をそれぞれ液滴識別サイトと液滴検出サイトとして使用することができる。例えば、液滴識別サイトはレーザーシステムに基づいて、液滴が当該検出ウィンドウを通過するかどうかを検出することができ、液滴検出サイトは、分光システムを通じて、当該検出ウィンドウを通過する液滴のスペクトル情報を検出することができる。
【0041】
第1の管路1、第2の管路2、および第3の管路3は、チップ基板4の内部に形成され、前記第1の管路の第1の接続ポート11と第2の接続ポート12、第2の管路の第3の接続ポート21、第3の管路の第4の接続ポート31は、いずれも基板4の縁に位置する。
【0042】
勿論、当業者が完全に理解できるように、
図3は本発明に係るチップの一例を例示的に示しただけであり、当業者に知られている任意の方法を使用してチップ内の各構成要素を構築することができる。
【0043】
具体的には、本発明のチップは、微小液滴の分割および融合操作を実現するために使用することができる。また、
図3は、切断される液滴aと、融合される液滴bが、切断および融合するために、第1の接続ポート11から第1の管路1に入るときの接続構造を示している。
【0044】
一つの具体的な実施形態では、例えば、第1の管路1は、第1の接続ポート11と毛管路を介してチップ外部の第1の動力源と連通し、第1の管路1は、第2の接続ポート12と毛管路を介してチップ外部の第1のバルブと連通し、第2の管路2は、第3の接続ポート21と毛管路を介してそれぞれチップ外部の第2の動力源およびチップ外部の第2のバルブと連通し、第3の管路3は、第4の接続ポート31と毛管路を介してチップ外部の第3のバルブと連通する。本実施形態では、毛管路の一端は、基板の縁にある第1の管路、第2の管路、および第3の管路の接続ポートに挿入されて接続され、もう一端は動力源とバルブと連通する。具体的な連通方式を
図6に示す。
【0045】
本発明では、動力源を使用することにより、高精度で安定した脈動のない液体輸送を実現することができる。本発明の具体的な実施形態では、第1の動力源と第2の動力源はそれぞれ独立して、シリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプから選ばれるいずれか一つであり、好ましくは、第1の動力源と第2の動力源はシリンジポンプである。本発明において、動力源の範囲の大きさに制限はなく、当業者は、注入するサンプルの数に応じて、適切な範囲を有するシリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプを選択することができる。
【0046】
本発明において、バルブの使用、およびバルブの開閉により各密閉された管路内の圧力を変え、圧力の変化により各管路内の液滴の流れ方向を制御する。本発明において、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはそれぞれ独立して、ソレノイドバルブ、ロータリーバルブ、ロッカーバルブ、およびピンチオフバルブからなる群より選ばれるいずれか一つである。好ましくは、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはロータリーバルブである。
【0047】
一部の具体的な実施形態では、当業者は、バルブを他の形態の機構または構成要素で置き換えることもできることを理解できる。例えば、その開閉により、密閉された管路内の圧力を変えることができる限り、動力源としてのシリンジポンプをバルブとして使用することもできる。
【0048】
本発明において、第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、異なるタイプの管路を示すためにのみ使用され、管路の数を制限することを目的としていない。第1の管路は、複数の第1の管路であってもよく、第2の管路は、複数の第2の管路であってもよく、第3の管路は、複数の第3の管路であってもよい。
【0049】
本発明において、第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブは、異なる役割を果たすバルブを示すためにのみ使用され、バルブの数を制限することを目的としていない。第1のバルブは、複数の第1のバルブであってもよく、第2のバルブは、複数の第2のバルブであってもよく、第3のバルブは、複数の第3のバルブであってもよい。
【0050】
本発明において、第1の動力源および第2の動力源は、異なる役割を果たす動力源を示すためにのみ使用され、動力源の数を制限することを目的としていない。第1の動力源は、複数の第1の動力源であってもよく、第2の動力源は、複数の第2の動力源であってもよい。
【0051】
本発明のチップを使用する場合、チップを、下記の毛管路を介して動力源とバルブに接続することができる。本発明の具体的な実施形態では、以下に記載するように、毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2である。
【0052】
前記管路の接続ポートは毛管路に接続され、接続箇所をシールしてから、毛管路を介して動力源および/またはバルブと連通する。動力源の圧力を安定して伝導させるために、前記毛管路は硬質チューブであり、管路には可撓性の変化はない。より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つである。
【0053】
本発明の一つの具体的な実施形態では、第1の管路は、第1の接続ポートと毛管路を介して第1の動力源と連通し、第1の動力源が駆動すると、第1の管路の第1の接続ポートを介して管路内に圧力を発生させ、これによって液滴aまたは液滴bを第1の接続ポートを介して第1の管路内に押し込み、管路内の液滴の移動を制御して液滴を培養する。
【0054】
第2の管路は、第3の接続ポートと毛管路を介して第2のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第2のバルブのみが開かれると、第1の管路内の液滴aが第2の管路内へ流れるように制御することができる。第3の管路は、第4の接続ポートと毛管路を介して第3のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第3のバルブのみが開かれると、第1の管路内の液滴aが第3の管路へ流れるように制御することができる。第2のバルブと第3のバルブを交互に開くことにより、液滴aの切断を完成することができる。
【0055】
第2の管路は、第3の接続ポートと毛管路を介して第2の動力源と連通し、第2の動力源が駆動すると、第2の管路の第3の接続ポートを介して管路内に圧力を発生させ、これによって、融合される液滴a1を、第1の管路と第2の管路との第1の連通部に留まっている液滴bへ押し込み、液滴の融合を完成する。
【0056】
第1の管路は、第2の接続ポートと毛管路を介して第1のバルブと連通し、第1の動力源が駆動して第1のバルブのみが開かれると、融合された液体cを第2の接続ポートから押し出すことができる。
【0057】
チップ基板内の第1の管路は、例えば、分割される液滴aと融合される液滴bを収容するために使用される。前記分割される液滴aと融合される液滴bの液滴体積は、0.5~10μl、好ましくは0.6~8μl、より好ましくは0.7~7μl、さらに好ましくは0.8~6μl、さらに好ましくは0.9~5μl、さらに好ましくは1~3μlである。
【0058】
本発明の一つの実施形態では、
図4に示すように、前記チップ基板上に2つの孔(7と8)があり、前記孔(7と8)は、第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13の近くにあり、その位置は固定されていなく、第2の管路2の両側、または第1の管路1の両側にそれぞれ配置されることができる。前記孔(7と8)は、前記第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13との間の距離は、0.1mm~1cm、好ましくは0.3mm~5mmであり、より好ましくは0.5mm~2mmである。前記孔(7と8)は、別途に設置された融合電極の正極と負極を収容するために使用され、当業者は、チップのデザインの要求に従って上記範囲内で孔(7と8)の位置を決めることができる。前記融合電極に印加される電圧の周波数は0~20000Hz、好ましくは1000~10000Hzであり、前記電極電圧は1~5000V、好ましくは500~1000Vである。前記融合電極を電源に接続すると、第1の連通部にある液滴に作用する電界が発生し、この電界は、交流電界または恒常電界のいずれかである。電極に印加される電圧は1~5000V、好ましくは500~1000Vである。このような電界を印加することにより、融合される液滴a1と、第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13に留まっている液滴bとの融合をさらに促進することができる。
【0059】
また、本発明では、孔(7と8)の具体的な形状及び孔のサイズに対して、別途設置された融合電極を収容するために使用できる限り、特に制限はない。融合電極は通常、正極と負極を含む。
【0060】
当業者による実施の過程において、本発明の原理によって、異なる液体の切断融合のためにチップ上に複数の第1の管路、第2の管路、および第3の管路を設けることもできるし、第1の管路の第1の接続ポート、第2の管路の第3の接続ポートを複数に増やしてそれぞれ異なる動力源に接続し、分割される異なるタイプの液滴aと融合される異なるタイプの液滴bを第1の管路内に押し込むこともできる。
【0061】
複数の第1の管路1と複数の第2の管路2を使用することにより、異なるタイプの分割される液滴aと融合される液滴bを第1の管路1または第2の管路2内に押し込むことができる。当業者は、液滴の切断および融合の要求に従って、本発明に記載の切断融合装置の接続原理を使用して、対応する液滴切断と融合装置を設計することができる。同様に、上記の第1の管路1a、第1の管路1b、および第1の管路1c、第2の管路2a、第2の管路2b、および第2の管路acは、例示的なものに過ぎず、第1の管路1はn個の異なる分岐管路で構成でき、第2の管路はm個の異なる分岐管路で構成できる。ここで、nとmは同じでも異なっていてもよく、nとmはそれぞれ、1~20から選ばれる整数であってもよい。
【0062】
同様に、分割される液滴aa、分割される液滴ab、分割される液滴ac、融合される液滴ba、融合される液滴bb、および融合される液滴bcも例示的なものである。n個の第1の管路とm個の第2の管路に基づいて、分割されるn個の異なる液滴a、および融合されるm個の異なる液滴bのサンプル注入に使用できる。
【0063】
さらに、m個の第1の管路1とn個の第2の管路2に対しても、m個の第1の動力源とn個の第2の動力源を使用してそれぞれ異なる液滴を制御して押すことができる。勿論、設計が合理的であれば、その中の一部の動力源を合併して、それぞれ分割されるn個の異なる液滴a、および融合されるm個の異なる液滴bを押すことも考えられる。
【0064】
本発明の一つの具体的な実施形態では、本発明は、マイクロ流体チップに係り、
図4に示すように、基板4内には、第1の管路1a、第1の管路1b、第1の管路1c、第1の管路1d、第2の管路2、および第3の管路3が形成されている。前記第1の管路1aは、その両端にそれぞれ第1の接続ポート11と第2の接続ポート12を含む。第1の管路1bは、その一端に第1の接続ポート11’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第1の管路1cは、その一端に第1の接続ポート11’’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第1の管路1dは、その一端に第1の接続ポート11’’’を含み、他端が、分岐部15で第1の管路1aと合流する。第2の管路2は、その一端に第3の接続ポート21を含み、他端が第1の管路1と連通し、第2の管路2は、切断された第1の部分の液滴a1を収容するために使用される。第3の管路3は、その一端に第4の接続ポート31を含み、他端が第1の管路1と連通し、第3の管路3は、切断された第2の部分の液滴a2を収容するために使用される。第1の管路1と第2の管路2との第1の連通部13は、第3の管路3と第1の管路1との第2の連通部14の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部13と第2の連通部14との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである。
【0065】
さらに、分岐部15は、第1の連通部13の上流に位置し、分岐部15と第1の連通部13との間の距離は、500μm~5000μm、好ましくは1000μm~3000μm、好ましくは2000μm~3000μmである。
【0066】
上記の具体的な実施形態では、
図4に示すように、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は第1の管路1a上に形成される。
【0067】
図4に示すように、第1の接続ポート11’、11’’、11’’’、第3の接続ポート21、および第4の接続ポート31は、油相と水相のサンプル注入を実現するために、それぞれ異なる動力源とバルブに接続することができる。ここで、水相と油相のサンプル注入システムを切り替えることができる。例えば、チップを起動したばかりの場合、油相サンプル注入システムが上記接続ポートに接続され、チップ内部に媒体油を充填する。微生物液滴の注入を開始する時、一部のサンプル注入システムは、例えば、培養のための微生物液滴、反応のための酵素反応システム、および培養のための新鮮な培地、化学的因子、基質反応液など、水相サンプルを注入することができる。
【0068】
本発明の一つの具体的な実施形態では、例えば、油相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’に接続され、水相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’’に接続され、水相サンプル注入システムが第1の接続ポート11’’’に接続され、水相サンプル注入システムが第3の接続ポート21に接続され、バルブシステムが第4の接続ポート31に接続される。
【0069】
本発明のチップおよび/チップシステムの使用中、例えば、第1の接続ポート11’に接続されている油相サンプル注入システムはチップに油相サンプルを注入し、それと共に、第1の接続ポート11’’に接続されている水相サンプル注入システムは、必要に応じて、所定のサンプル注入時間で水相サンプルをパルス注入し、それによって第1の管路1bと第1の管路1cとの連通部に油中水の微小液滴を形成し、例えば、
図4と
図8を参照できるように、細菌溶液の播種に使用される新鮮な培地または酵素反応のための基質溶液を形成する。
【0070】
動力源は、上記形成された微小液滴を右へ押し続けて第1の管路1dと第1の管路1bとの連通部に移動させ、そして、微小液滴を押すことを止めて、第1の接続ポート11’’’に接続されている動力源は別の水相溶液(例えば、添加のためのある化学的因子溶液、または反応のための、別の基質を含む溶液)を、第1の管路1dと第1の管路1bに留まっている微小液滴に押し込み、上記の融合される液滴bを形成する。具体的には、この融合される液滴bは、ある化学的因子が添加された新鮮な培地、または異なる反応基質(またはマトリックス)を組み合わせた反応物溶液であることができる。
【0071】
チップを使用し始める場合、
図4に示す第1の管路1b内に油相(例えば、媒体として使用される鉱物油)が収容され、第2の管路2内には、播種される細菌液または反応する酵素溶液などの水相が収容される。油中水の液滴、すなわち、分割される液滴a、例えば、播種される菌液、または反応物と反応する酵素溶液は、第1の管路1aと第2の管路2との第1の連通部13で形成される。
【0072】
チップおよび/またはチップシステムを使用し始めると、まず、分割される液滴aが形成され、次にそれが第1の管路で培養され、次いで、切断と融合を実現できる本発明の上記構造を使用して融合される液滴bを形成し、そして、切断および融合により、分割される液滴aと切断および融合して新しい液滴cを形成する。また、第2の管路2は水相を収容し始め、菌液がすべて油中水の液滴を形成した後、油相を補充し、第2の管路はチップの操作中において上記の第2の管路として切断と融合を行う。
【0073】
よって、上述のように、本発明の
図3と
図6は、切断および融合のための基本的なチップ構造を示し、
図4と
図8は、本発明のチップおよび/またはチップシステムの一つの具体的な実施形態を示す。当業者が理解できるように、
図4に示すチップにおいて、その部分構造が
図3の構造と同じであり、その動力源とバルブの構造は、
図6に示す構造により実現できる場合、液滴の融合と切断を実現でき、
図4に示すチップを使用して操作する場合、チップ内でまず媒体油により囲まれた、切断される液滴aを形成するか、媒体油によりかこまれた、融合される液滴bを形成するか、いずれも
図3と
図6に示す基本的な構造により実現できる。実現された後、
図4に示すチップは、
図3と
図6に示す基本的な構造を使用して、媒体油に囲まれる新しい液滴cを形成することができる。上記のプロセスを繰り返すことにより、数個から数百個の新しい液滴cを形成することができる。
【0074】
勿論、サンプル注入システムとバルブシステムは、上述のようなサンプル注入口と密閉的に接続された毛管路を介して接続される。上述のように、サンプル注入システムは通常、主に、注入される液体を収容するための容器、サンプル注入のための管路と動力源を含む。動力源は上述のように、シリンジポンプ、圧力ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプからなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくはシリンジポンプである。バルブも上述のように、ソレノイドバルブ、ロータリーバルブ、ロッカーバルブ、およびピンチオフバルブからなる群より選ばれるいずれか一つであり、好ましくはロータリーバルブである。
【0075】
当業者が理解できるように、第1の接続ポート11’、11’’、11’’’、および第3の接続ポート21、第4の接続ポート31に接続された上記のサンプル注入システムとバルブは例に過ぎない。チップの状態に応じて、これらのサンプル注入システムとバルブの関係を置き換えることができる。
【0076】
本発明では、マイクロ流体チップに接続された毛管路から構成される培養システムが装置内にあると考えることもできる。例えば、
図4に示す本発明のチップでは、第1の接続ポート11は毛管路を介して第1の培養管路に接続され、第2の接続ポート12は毛管路を介して第2の培養管路に接続される。第1の培養管路と第2の培養管路は、毛管路で構成されてもよく、培養や反応システムが培養時間および反応時間に対する要求に従って第1の培養管路と第2の培養管路の長さを設計することができる。
【0077】
それと共に、本発明のチップに接続された動力源などを制御することにより、チップ内を流れる微小液滴の方向を逆転することができる。上述のように、形成された数個から数百個の新しい液滴cを第1の培養管路内で培養することができ、必要に応じて、動力源の制御により微小液滴の移動方向を逆にすることができ、これによって、管路内の微小液滴の往復運動を実現することができる。
【0078】
図4に示すように、一つの具体的な実施形態では、本発明のチップ上の第1の管路1aの上に、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10が設けられており、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10についての説明は、上記の通りである。
【0079】
また、第1の管路1a上の、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10との間の距離は、管路内を流れる微小液滴の識別および検出がそれぞれ実現できる限り、特に限定はない。例えば、第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10との間の距離(管路に沿った距離を例として)は、1cm~10cmであってもよく、好ましくは3cm~5cmである。第1の検出ウィンドウ9と第2の検出ウィンドウ10は、それぞれ微小液滴の識別ウィンドウと微小液滴の検出ウィンドウとして使用することができる。
【0080】
一つの具体的な実施形態では、第1の検出ウィンドウ9は、微小液滴の識別ウィンドウとして使用され、第2の検出ウィンドウ10は、微小液滴の光学検出ウィンドウとして使用される。
【0081】
上述のように、微小液滴の識別は、チップの外部に設置されるレーザーシステム(例えば、本発明の微小液滴処理装置上に設置される)と協力して実現できる。レーザーシステムが持続的にレーザーを発射して第1の検出ウィンドウ9に照射する時、微小液滴が第1の検出ウィンドウ9を通過すると、レーザービームは一時的にブロックされ、外部の記録システムはレーザービームの変化を記録することができる。
【0082】
微小液滴の検出は、チップの外部に設置される分光システム(例えば、本発明の微小液滴処理装置上に設置される)と協力して実現できる。例えば、分光検出器を設けて、第2の検出ウィンドウ10を通過する微小液滴の吸光度を検出することができる。この吸光度は、例えば、微生物培養システムの微生物の成長の程度を反映でき、または、色の変化を伴う反応系の色変化を反映することができる。
【0083】
図5は、本発明のマイクロ流体チップシステムの概略図であり、
図5には、チップの基板外部の管路は毛管路を示す。
図4に示す構造と同様に、前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐し、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウが、第1の管路a上に形成され、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、第2の管路および第3の管路は第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される。
【0084】
第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10-3mm2~4mm2、好ましくは0.01~3mm2、より好ましくは0.1~2.5mm2、さらに好ましくは0.25~1mm2であり、さらに好ましくは、前記第1の管路、第2の管路、および第3の管路の断面積が同じである。第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉接続された毛管路の密閉接続部は、前記基板内部に位置する。
【0085】
本発明では、上記密閉接続には特に限定はなく、例えば、チップ構造の設計後、彫刻機で加工し、次にチップ基板をホットプレスによってプレスし、毛管路をチップの側面の深い孔内に形成させ、接着剤を注入して密閉接合する。
【0086】
本発明のチップシステムにおける毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つである。
【0087】
さらに、温度制御システムは、温度センサーと温度制御部材を含む。前記温度制御部材は、昇温部材と降温部材とをさらに含み、前記昇温部材は温度コントローラーと金属浴を含み、容器ボトルおよび/または液圧緩衝用ボトルは金属浴に入れられ、温度コントローラーにはファンが付けられている。
【0088】
本発明の一つの具体的な実施形態では、前記昇温部材は、温度コントローラーと金属浴を含み、容器ボトルおよび/または液圧緩衝用ボトルは金属浴に入れられ、温度コントローラーにはファンが付けられている。前記温度制御システムには、設備の動作環境の温度を低め、さらに微生物培養の温度を低めるための降温装置であるファンが配置されている。
【0089】
本発明の一つの具体的な実施形態では、前記昇温および降温部材はさらに、排水温度制御システムを含むことができる。排水温度制御システムとしての排水温度制御板は、微小液滴処理装置に設けられ、排水温度制御板の給水口と排水口は、外部の恒温水浴装置に連通し、恒温水浴装置の恒温原理により排水温度制御板の温度を制御し、システムの昇温恒温制御を行い、これによって装置内の温度を調節する効果を収める。
【0090】
温度センサーは、本発明の培養システムの温度をオンラインで測定することができる。制御システムのホストコンピュータソフトウェアを介して温度制御スイッチをオンにすると、回路基板プログラムは温度制御機能をオンにしてファンをオンにし、温度が検出された後、段階的に加熱し始める。温度が目標値に達したことが検出されると、一部のパラメータを自動的に調整し、ファンの自動制御機能をオンにし、温度センサーと組み合わせて機能し、温度を目標値である(10~50)℃±0.2℃の範囲内に保つ。40℃で測定した温度を
図9に示す。
【0091】
本発明は、1~500の微小液滴、好ましくは5~400の微小液滴、好ましくは10~300の微小液滴、好ましくは20~200の微小液滴の生成を制御でき、各微小液滴の体積は0.5~10μLであり、振とうフラスコやディープウェルプレートの場合よりもスループットがはるかに多く、培地の消費が少ない;新鮮な培地の定期的且つ定量的な交換、および化学的因子の追加を実現でき、種子液を抽出する従来の継代培養よりもはるかに便利であり、時間と労力を節約できる;各微小液滴中の微生物の成長をリアルタイムでオンラインで検出することができ、従来のサンプリング検出よりもはるかに便利であり、中断のない培養を真に実現できる;また、インテリジェントにスクリーニングし、スクリーニング特性を設定し、適切な株を自動的にスクリーニングし、効率を向上させることができる。
【0092】
さらに、液滴識別システムは、レーザー光源と光電センサーとを含み、液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源とを含む。
【0093】
なお、前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴を識別し、前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源を使用して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する。
【0094】
本発明の一つの実施形態では、
図2に示すように、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、温度制御システム内の昇温および降温部材として、エアヒーターとファンが使用され、エアヒーターとファンはいずれも箱内に設置されている。本発明のもう一つの実施形態(図示されていない)では、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、温度制御システムにおける昇温および降温部材として、排水温度制御システムとファンが使用され、排水温度制御板は箱内に設置され、排水温度制御板の給水口と排水口はそれぞれ外部の恒温水浴装置と連通し、外部の恒温水浴装置を介して排水温度制御板の温度を制御し、これによって箱内の温度を調節する。ファンは箱内に設置され、装置の動作環境の温度を低める。
【0095】
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される。前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである。
【0096】
本発明の装置において、制御システムは、微小液滴処理装置内の各システムを制御する。
【0097】
前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含む。前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御する。前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する。
実施例
【0098】
実施例1
第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、チップ基板内に形成された管路であり、チップ基板のサイズは3cm*5cm*4mm(長さ*幅*厚さ)であり、チップ基板の材料はPMMAであり、チップ基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、断面が正方形である管路であり、その断面積は1mm2(一辺の長さが1mm)である。第1の管路はそれぞれ第2の管路と第3の管路に連通し、第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第1の管路と第3の管路との第2の連通部の上流にあり、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は1.5mmである。管路内に媒体油が充満した。
【0099】
第1の管路の第1の接続ポートには、シリンジポンプAが接続され、第2の接続ポートには第1のロータリーバルブが接続され、第2の管路の第3の接続ポートには、シリンジポンプBと第2のロータリーバルブが接続され、第3の管路の第4の接続ポートには、第3のロータリーバルブが接続され、管路とシリンジポンプおよびロータリーバルブは、毛管路を介して接続され、毛管路の内径は1.0mmであり、材料はポリテトラフルオロエチレンである。
【0100】
本実施例では、使用されたシリンジポンプAとシリンジポンプBはいずれも工業用シリンジポンプであり、シリンジポンプに付いたバルブは3ポートバルブである。第1のバルブ、第2のバルブ、および第3のバルブはいずれも高圧2ポートバルブである。
【0101】
シリンジポンプAをオンにし、第1のロータリーバルブを開き、2μl体積の分割される液滴aと2μl体積の融合される液滴bを第1の管路内に押し込んだ。液滴aと液滴bは管路内の油性媒体油相により中断された。本実施例では、分割される液滴は、大腸菌BL21を含有する微生物培養液であり、液滴bは新鮮なLB培地である。媒体油相は鉱物油である。
【0102】
第1のロータリーバルブを閉じて、第2のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴aを押して第1の管路と第2の管路との第1の連通部に移動させた。aの70%は液滴a1であり、つまり、約1.4ミリリットルが第2の管路に入った。この時、第2のロータリーバルブを閉じて、第3のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴aの残りの30%、すなわち、約0.6ミリリットルの液滴a2がすべて第3の管路に入り、最終的に液滴aは、液滴a1と液滴a2との2つの部分に切断された。液滴a1は第2の管路内に保持され、液滴a2は第3の管路に入り、第3のロータリーバルブを閉じて、液滴の分割を完成した。液滴aの分割は主に、液滴aの底面が管路Aと平行になるように液滴aを切断し、中間間隔の油相の量を減らしてから、切断された液滴aの一部の溶液を、融合される液滴bに定量的に注入し、これによって注入量の高精度を実現する。液滴aは管路内の油相によって切断されたため、液滴bの一端と第1の管路のチャネルが揃っているようになり、その後の正確な定量サンプル注入の基礎を築く。
【0103】
第1のロータリーバルブを開き、シリンジポンプAを駆動し続けて、液滴bを押して第2の管路と第1の管路との接合部に移動させた後、押すことを止めて、シリンジポンプBを駆動して液滴aの部分(a1)を液滴bに定量的に押し込んで新しい液滴cを形成した。
【0104】
シリンジポンプAをオンにし、新しい液滴cを押して前方に移動させ、残りの液滴a1部分はBチャネルに留まり、液滴aと液滴bとの定量的物質交換が完了した。
【0105】
大腸菌BL21を含有する複数の培養液を新鮮なLB培地に播種するように、上記のステップを繰り返した。
【0106】
実施例2
図4に示すように、実施例1と同じ材料を使用してマイクロ流体チップを形成した。実施例2では、基板の長さは7.5cmであり、幅は5cmである。
【0107】
また、実施例2において、サンプル注入システムの構成は、
図8に示すように、マイクロ流体チップには、3つのサンプル注入システムIおよび3つのサンプル注入システムIIが接続されており、動力源およびバルブは、実施例1と同じ方法が採用された。
【0108】
実施例2では、チップを使用する前に、サンプル注入システムIはチップを油相で満たし、そして、第2の管路2に接続されたサンプル注入システムIIが滅菌の状態下で第2の管路2に播種用の細菌液を注入することにより、第1の連通部13に油中水の微小液滴を形成した。サンプル注入が完了した後、第2の管路は再び油相で満たされた。次に、サンプル注入システムIの動力源の作用により、第1の連通部13で形成された油中水の微小液滴は、第1の管路1a内を往復し、液滴中の細菌培養が行われ、培養後に、分割される液滴aとなった。第1の検出ウィンドウ9は、液滴識別サイトとして、液滴を識別するサイトとなり、第2の検出ウィンドウ10は、細菌濃度のOD検出のための液滴検出サイトとなった。
【0109】
そして、サンプル注入システムIを介して第1の接続ポート11’から油相をチップに導入し、サンプル注入システムIIによって、必要に応じて第1の接続ポート11’’を介してサンプル注入時間帯を制御し、これによって、水相の培地を断続的にチップに注入して、第1の管路1bと第1の管路1cとの連通部で油中水の培地液滴を形成した。次のステップを選択できる。すなわち、微小液滴が右へ移動して第1の管路1dと第1の管路1bとの連通部までに移動した後、微小液滴を押すのを止めて、第1の接続ポート11’’’に接続されたサンプル注入システムIIは、塩化ナトリウム溶液を、第1の管路1bと第1の管路1dに留まっている培地液滴(培地中の培地因子の濃度を変える)に押し込み、融合される液滴bを形成し、第1の管路に入らせ、分割される液滴aの左側に位置させ、第1の管路1aにおいて、液体を押して第1の接続ポート11から第2の接続ポート12へと移動させた。
【0110】
分割される液滴aおよび融合される液滴bに対して、上記実施例1における分割および融合のプロセスを繰り返した。すべての液滴の分割および融合を完成した後、微生物の新しい液滴培養を再び行い、第2の検出ウィンドウ10を介して液滴のOD値を再び検出することができる。
【0111】
実施例3
実施例3では、
図2に示すように、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、培養システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムは、いずれも一つの箱内に配置されている。
図2に示す設置方法により、実施例2のマイクロ流体チップシステムを使用して、液滴分割、融合、および微生物の新しい液滴培養を実現した。
【0112】
その中で、サンプル注入システムは、
図8に示すように、3つのサンプル注入システムI、3つのサンプル注入システムII、バルブ、および廃液ボトルを含み、サンプル注入システムIは、動力ポンプと油相ボトルとからなり、サンプル注入システムIIは、動力ポンプ、油相ボトル、およびサンプル注入緩衝用ボトルからなり、サンプル注入システムIに使用された油相ボトルに収容された油相媒体は、サンプル注入システムIIの油相ボトルに収容された油相媒体と同じである。具体的な実施形態では、油相ボトルを共有することができる。本実施例では、
図2に示すように、3つのサンプル注入システムIと3つのサンプル注入システムIIは、油相媒体を収容するためのオイルボトル60を共有し、3つのサンプル注入緩衝用ボトル61はそれぞれ、水相の細菌液、培地、および添加のための化学的因子を収容する。6つのシリンジポンプ63は、サンプル注入システムの動力源であり、6つのシリンジポンプ63はいずれもオイルボトル60に接続され、その中の3つのシリンジポンプは、オイルボトル60の油相媒体をマイクロ流体チップシステム46に押し込み、
図8に示す3つのサンプル注入システムIを形成した。他の3つのシリンジポンプは、オイルボトル60の油相媒体をそれぞれ3つのサンプル注入緩衝用ボトル61に押し込み、油相媒体の液体圧力によってサンプル注入緩衝用ボトル61内の水相液体をマイクロ流体チップシステム46に押し込んで、
図8に示す3つのサンプル注入システムIIを形成した。シリンジポンプ63、オイルボトル60、サンプル注入緩衝用ボトル61、ロータリーバルブ65、廃液ボトル62、およびマイクロ流体チップシステム46は、実施例2の接続方式に従って、毛管路(図示されていない)を介して接続されている。上記のサンプル注入システムおよびバルブの制御の協力により、培養される細菌液はマイクロ流体チップシステム46内で分割および融合されて複数の油中水の微生物液滴を形成し、シリンジポンプ63の作用下でマイクロ流体チップシステム46の管路内で往復して培養された。
【0113】
温度制御システムは、昇温部材、降温部材、および温度制御部材を含む。
図2に示すように、昇温部材は、エアヒーター54と金属浴53を含み、サンプル注入緩衝用ボトル61は金属浴53内に放置され、エアヒーター54は加熱ファンを介して、装置の箱内の微生物の培養環境を加熱する。降温部材は、それぞれ装置の動作環境の温度降下および微生物の培養環境の温度降下のための2つのファン64を含み、温度プローブ67は、箱内の微生物の培養環境の温度を測定し、装置の制御システムにフィードバックし、これによって昇温部材と降温部材の動作を制御し、マイクロ流体チップ内の液滴を昇温加熱および恒温制御する。本実施例では、温度制御曲線は
図9に示される。
【0114】
液滴識別システムは、レーザー光源55と光電センサー56とを含む。
図2に示すように、レーザー光源55は、マイクロ流体チップシステム46の第1の検出ウィンドウを照射し、第1の検出ウィンドウを通過する水相サンプル液滴を識別し、光電センサー56を介して液滴の位置情報を装置の制御デバイスに送り返す。
【0115】
液滴検出システムは、光ファイバー57、分光計58、およびハロゲン光源59を含む。
図2に示すように、光ファイバー57は、マイクロ流体チップシステム46の第2の検出ウィンドウに合わせ、分光計58を介して、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相サンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する。
【0116】
検出システムでは、光電センサー56とレーザー光源とを組み合わせて使用して、マイクロ流体チップシステム46の第1の検出ウィンドウで微小液滴の状態を識別し、これによって液滴の往復と培養を制御することができる。前記光ファイバー57、分光計58、およびハロゲン光源59を組み合わせて使用して、マイクロ流体チップシステム46の第2の検出ウィンドウで、収容された微小液滴中のサンプルを検出する。EPチューブ52は、培養された微生物の液滴を収容し、紫外線ランプ66は、装置内の微生物の培養環境を滅菌することができる。
【0117】
微生物培養のステップは次の通りである:
1)機器は紫外線ランプをオンにして30分間滅菌した;
2)装置管路を排気させ、温度制御システムをオンにして、30分間予熱した;
3)播種した細菌液(上述のように、大腸菌BL21)1mLを1つのサンプル注入緩衝用ボトルに加え、真空脱気箱に入れて30分間脱気処理をし、培養用の新鮮な培地(LB培地)を1つのサンプル注入緩衝用ボトルに入れて、添加用の化学的因子、すなわちアスコルビン酸溶液をもう1つのサンプル注入緩衝用ボトルに入れた;
4)チップをブラケットに取り付け、サンプル注入緩衝用ボトルおよびオイルボトルの入口に接続した;
5)機器ソフトウェアを開き、「成長曲線」測定モードを選択し、基本パラメータを、検出サイクル0.5時間、液滴数100、検出波長620nmのように設定した;
6)実行ボタンをクリックした;
7)46時間実行した後、データを取得し、結果を
図10に示す。
【0118】
本発明は、正確な温度制御を実現し、結果の信頼性を高くし、微生物を円滑に成長させることができ、最大90日間の連続培養を実現することができる。
産業上の利用可能性
【0119】
本発明の全自動ハイスループット微生物液滴培養装置および使用方法は、ハイスループット微生物培養の分野で製造および使用することができる。
【0120】
本発明の実施形態について、添付の図面を組み合わせて説明したが、本発明は、上記の具体的な実施形態および応用分野に限定されない。上記の具体的な実施形態は単に例示的、指導的であり、限定的ではない。本明細書の教示の下で、当業者は本発明の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、多くの形態をすることができ、それらはすべて本発明の保護範囲内である。
【0121】
(1)
微小液滴処理装置に油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIと、微小液滴処理装置に水相のサンプルを注入するためのサンプル注入システムIIとを少なくとも含む、微小液滴処理装置に水相および油相のサンプルを注入するためのサンプル注入システム;
基板と、基板内に形成された管路と、第1の検出ウィンドウと、第2の検出ウィンドウとを含む、マイクロ流体チップシステム;
温度センサーと、温度制御部材とを含む、温度制御システム;
レーザー光源と、光電センサーとを含む、液滴識別システム;
光ファイバー分光計と、ハロゲン光源とを含む、液滴検出システム;および
微小液的処理装置における各システムを制御するための制御システム
を含む、微小液滴処理装置。
(2)
前記液滴識別システムは、光電センサーとレーザー光源により、マイクロ流体チップシステムの第1の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴を識別し;
前記液滴検出システムは、光ファイバー分光計とハロゲン光源により、マイクロ流体チップシステムの第2の検出ウィンドウを通過する水相のサンプル液滴のスペクトルシグナルを検出する、
(1)に記載の装置。
(3)
前記サンプル注入システムは、それぞれ少なくとも2つのサンプル注入システムIと1つのサンプル注入システムIIとを含む、
(1)または(2)に記載の装置。
(4)
前記サンプル注入システムは、3つのサンプル注入システムIと、3つのサンプル注入システムIIとを含む、
(3)に記載の装置。
(5)
前記サンプル注入システムIは、液体容器と、動力源と、を含み、
前記サンプル注入システムIIは、液体容器と、動力源と、緩衝用ボトルとを含み、
前記動力源は、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプおよび/またはプランジャーポンプであり、好ましくはシリンジポンプであり、
前記液体容器は、注入するサンプル溶液と非相容且つ非圧縮性の液体を収容し、
前記動力源は、前記液体を駆動して輸入管路を経由して緩衝用ボトルに送り込み、
前記緩衝用ボトルは前記サンプル溶液を収容し、動力源により駆動されると、前記液体は輸入管路を経由して緩衝用ボトルに入り、これによって輸出管路を経由してサンプル溶液を前記マイクロ流体チップシステムに押し込み、前記液体容器、動力源、および緩衝用ボトルは毛管路を介して連通している、
(3)または(4)に記載の装置。
(6)
マイクロ流体チップシステムは、
基板;および
前記基板内に形成された第1の管路、第2の管路、および第3の管路、
前記第1の管路上に形成された透明領域である、第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウ、および
第1の管路、第2の管路、および第3の管路に密閉連通している毛管路
を含み、
前記第1の管路は、その両端にそれぞれ第1の接続ポートと第2の接続ポートを含み、
前記第2の管路は、その一端に第3の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
前記第3の管路は、その一端に第4の接続ポートを含み、他端が第1の管路と連通し、
第1の管路と第2の管路との第1の連通部は、第3の管路と第1の管路との第2の連通部の液滴移動方向の上流に位置し、第1の連通部と第2の連通部との間の距離は、500μm~2000μm、好ましくは750μm~1800μm、好ましくは1000μm~1500μmである、
(1)~(5)のいずれか一項に記載の装置。
(7)
前記第1の管路は、第1の連通部の上流において、第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dに分岐しており、
第1の検出ウィンドウと第2の検出ウィンドウは、第1の管路a上に形成され、
第1の管路a、第1の管路b、第1の管路c、および第1の管路dがその上の第1の接続ポートと第2の接続ポートを介して毛管路に密閉接続され、
第2の管路および第3の管路が第3の接続ポートと第4の接続ポートを介して毛管路に密閉接続される、
(6)に記載の装置。
(8)
前記基板と第1の管路、第2の管路、および第3の管路は、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)からなる群より選ばれるいずれか一種または多種で形成され、好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA)で形成され、
前記毛管路は硬質チューブであり、より好ましくは、前記毛管路は、ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFEチューブ)、パーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルとポリテトラフルオロエチレンの共重合体チューブ(PFAチューブ)、ポリエーテルエーテルケトンチューブ(PEEKチューブ)、ポリカーボネートチューブ(PCチューブ)、ポリスチレンチューブ(PSチューブ)からなる群より選ばれるいずれか1つであり、
さらに好ましくは、第1の管路、第2の管路、第3の管路、および前記毛管路の断面積は、2.5×10
-3
mm
2
~4mm
2
、好ましくは0.01~3mm
2
、より好ましくは0.1~2.5mm
2
、さらに好ましくは0.25~1mm
2
である、
(6)または(7)に記載の装置。
(9)
サンプル注入システムとマイクロ流体チップシステムは、毛管路と接続ポートを介して接続され、密閉された閉ループ制御構造を形成している、(1)~(8)のいずれか一項に記載の装置。
(10)
サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、液滴識別システム、および液滴検出システムはすべて1つの箱内に設けられており、
前記箱内の温度は、温度制御システムによって制御され、
さらに好ましくは、前記箱内の温度は10℃~50℃の範囲内に制御され、温度変動範囲は±0.5℃の範囲内に制御される、
(1)に記載の装置。
(11)
前記箱はさらに滅菌装置を含み、好ましくは滅菌装置は紫外線ランプである、(10)に記載の装置。
(12)
前記制御システムは、コントローラーと、PCディスプレイ制御システムとを含み、
前記コントローラーは、サンプル注入システム、温度制御システム、液滴識別システム、および液滴検出システムにそれぞれ接続され、制御システムのデジタル回路を介して制御し、
前記PCディスプレイ制御システムは、サンプル注入システム、マイクロ流体チップシステム、温度制御システム、液滴識別システム、液滴検出システムの情報を表示、保存、および分析する、
(1)~(11)のいずれか一項に記載の装置。