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特開2023-52414免疫機能を調節するため及び腸の炎症を治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052414
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】免疫機能を調節するため及び腸の炎症を治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/716 20060101AFI20230404BHJP
   A61K 35/68 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61K31/716
A61K35/68
A61P1/04
A61P3/06
A61P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004461
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2021076044の分割
【原出願日】2016-10-27
(31)【優先権主張番号】62/247,629
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/305,875
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500462328
【氏名又は名称】ケミン、インダストリーズ、インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】KEMIN INDUSTRIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト,ジェフリー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】レヴィーン,ロバート・バーナード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ベータ-1,3-グルカン及び人体の免疫を調節するためのその使用を提供する。
【解決手段】高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療するための経口投与用の組成物であって、前記組成物が、50重量%乃至70重量%のベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを含み、前記組成物が発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,6-グリコシド結合を含まないベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、前記有効量が、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療するための経口投与用の組成物であって、
前記組成物が、50重量%乃至70重量%のベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを含み、
前記組成物が発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,6-グリコシド結合を含まないベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、前記有効量が、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月28日に出願された米国仮特許出願第62/247,629号及び2016年3月9日に出願された米国仮特許出願第62/305,875号に基づく優先権を主張し、該仮出願の各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、ベータ-1,3-グルカン及び人体の免疫を調節するためのその使用に関する。さらに、高コレステロール、糖尿病、及びアレルギーを治療及び/又は予防する方法も提供される。本出願はまた、ベータ-1,3-グルカン及び腸の炎症をもつヒトの免疫機能を増強するためのその使用に関する。さらに、腸の炎症を治療及び/又は予防する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
ベータグルカンは、酵母、真菌類、細菌、藻類、エンバク、大麦、及びケルプを含む多様な生物によって作られるベータ-グリコシド結合で結合したD-グルコースの多量体である。さまざまな生物が、相異なる分岐構造、平均分子量、溶解度、及び/又は三次構造をもつベータグルカンを生成する。例えば、酵母由来のベータグルカンは一般に不溶性であり、ベータ-1,3-グリコシド結合と1,6-グリコシド結合の両方を有する(ベータ-1,3-/1,6-グルカン)。他方では、エンバク由来のベータグルカンは典型的により可溶性であり、ベータ-1,3-グリコシド結合と1,4-グリコシド結合の両方を有する(ベータ-1,3-/1,4-グルカン)。対照的にユーグレナ(Euglena)な
どの藻類由来のベータグルカンは、ほぼ独占的に1,3-グリコシド結合だけを有し、1,6-グリコシド結合をもたない。多様なベータグルカン形態の特有のグリコシド結合はそれらの分子の性質に影響を及ぼす。
【0004】
いくつかベータグルカンは健康に利する特性をもつことが認められている。ベータグルカンは典型的に病原性微生物の表面と結合しているので、高等生物の免疫系はベータグルカンを認識し、免疫応答を増強するように進化してきた。例えば、酵母由来のベータグルカンは、マクロファージの補体受容体3又はデクチン-1に結合することによって免疫機能に影響を与えうることが示されている(Brown et al, Journal of Experimental Medicine, vol.196(3), pp.407-412 (2002)を参照されたい)。生理的レベルでは、ベータグルカンは、細胞表面受容体と相互作用して、食作用及びある特定のサイトカインの産生などを含む事象の一連の流れを始動させる。ある特定のベータグルカンを導入することによって、免疫系をプライミングでき、その結果、実際の疾患による攻撃に対する免疫系の応答がより強力になる。
【0005】
疾患に対抗するために個体の免疫機能を調節することは従来の医薬品の投与に代わるものである。調節された免疫機能は、個体の疾患を効果的に治療しうる又は個体の疾患の発症を予防しうる。また、疾患に対抗するための個体の免疫機能の調節又は増強は、従来の医薬品の投与に代わるものを表す。調節又は増強された免疫機能は、個体の疾患を効果的に治療しうる又は個体の疾患の発症を予防しうる。多くの従来の医薬品は、患者に望ましくない副作用を引き起こす。さらに、細菌の抗生物質耐性菌株は健康リスクをより一層増加させる。したがって、仮にあったとしても副作用がより少ない代替的疾患治療が必要とされている。また、疾患の発症を予防するより自然な方法が必要とされている。
【0006】
酵母やエンバクに由来するベータグルカンは広範に研究されてきたのに対して、ユーグレナなどの藻類由来のベータ-1,3-グルカンから生じる健康上の利点はあまり注目されていない。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与することによって個体の免疫機能を調節する方法が本明細書に記載されている。ある特定の疾患は、個体の免疫機能を調節することによって治療及び/又は予防することができる。
【0007】
現在の腸の炎症の治療としては、食事及び/又は生活習慣を変えること、投薬、手術が挙げられる。しかし、腸の炎症のより効果的な治療及び仮にあったとしても副作用がより少ない治療が必要とされている。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与することによって、腸の炎症をもつ個体の免疫機能を増強する方法が本明細書に記載される。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患をもつヒトの前記疾患を治療する方法を提供し、その方法はヒトに、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を経口で投与することを含む。ある実施形態では、疾患は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。
【0009】
ある実施形態では、疾患は高脂血症である。ある実施形態では、組成物の投与はヒトのコレステロールのレベルを減少させる。ある実施形態では、前記組成物の前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。ある実施形態では、前記組成物の前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。ある実施形態では、組成物は、スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤と併用して投与される。
【0010】
ある実施形態では、疾患は、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される。ある実施形態では、疾患は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。ある実施形態では、疾患は大腸炎である。ある実施形態では、疾患は炎症性腸疾患である。ある実施形態では、疾患はクローン病である。ある実施形態では、疾患は結腸がんである。ある実施形態では、前記組成物の前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。ある実施形態では、前記組成物を投与することは、抗炎症性サイトカイン産生を増加させる。ある実施形態では、組成物は、抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質と併用して投与される。
【0011】
ある実施形態では、ユーグレナはユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)である。ある実施形態では、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。ある実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンの形態で存在する。ある実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。ある実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。ある実施形態では、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスはベータ-1,3-グルカンを含む。ある実施形態では、ユーグレナバイオマスは40%以下の含水率に乾燥されている。ある実施形態では、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0012】
ある実施形態では、組成物は毎日、単回投与として投与される。ある実施形態では、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0013】
ある実施形態では、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳
酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。ある実施形態では、追加成分は亜鉛である。
【0014】
ある実施形態では、組成物は金属をさらに含む。ある実施形態では、金属は、鉄、マグネシウム、リチウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデン、マンガン、セレン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される構成要素を含む。ある実施形態では、ベータ-(1,3)-グルカンと金属が複合体を形成する。ある実施形態では、複合体は亜鉛ベータ-(1,3)-グルカン複合体を含む。
【0015】
ある実施形態では、組成物は、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、アスタキサンチン、及び初乳からなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0016】
ある実施形態では、組成物は固体として投与される。ある実施形態では、組成物は懸濁液として投与される。
【0017】
本開示は、本明細書に開示の方法が、対応する使用にも適合されうることを提供する。
【0018】
本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患の治療で用いる発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。ある実施形態では、疾患は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。
【0019】
本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患の治療用薬剤の製造のための、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。ある実施形態では、疾患は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。
【0020】
1つの態様では、本出願は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を、それを必要としているヒトに経口で投与することを含む、該ヒトの免疫機能を調節する方法を開示する。
【0021】
幾つかの実施形態では、組成物の有効1日量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。
【0022】
幾つかの実施形態では、組成物の投与は、自己免疫反応、血糖値、感染症、又は炎症を調節する。1つの実施形態では、炎症はアレルギーに関連する。別の実施形態では、自己免疫反応は糖尿病に関連する。別の実施形態では、感染症は、細菌感染症、真菌感染症、
又はウイルス感染症である。
【0023】
幾つかの実施形態では、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。1つの実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。別の実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。さらなる実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0024】
幾つかの実施形態では、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスはベータ-1,3-グルカンを含む。幾つかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。さらなる実施形態では、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0025】
1つの実施形態では、組成物は毎日、単回投与として投与される。別の実施形態では、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0026】
幾つかの実施形態では、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン
、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。1つの実施形態では、組成物は固体として投与される。別の実施形態では、組成物は懸濁液として投与される。
【0027】
別の態様では、本出願は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を、コレステロールが高いヒト又はコレステロールが高くなるリスクがあるヒトに経口で投与すること含む、該ヒトの免疫機能を調節する方法を提供する。いくつかの態様では、組成物の投与はヒトのコレステロールのレベルを減少させる。
【0028】
1つの実施形態では、前記組成物の前記有効量は0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。別の実施形態では、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。さらなる実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。さらに別の実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。別の実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0029】
幾つかの実施形態では、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスはベータ-1,3-グルカンを含む。さらなる実施形態では、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。幾つかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0030】
1つの実施形態では、組成物は毎日、単回投与として投与される。別の実施形態では、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0031】
1つの実施形態では、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、
乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。その他の実施形態では、組成物は、スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤と併用して投与される。さらなる実施形態では、組成物は固体として投与される。別の実施形態では、組成物は懸濁液として投与される。
【0032】
本開示は、本明細書に開示の方法が、対応する使用にも適合されうることを提供する。
【0033】
本開示は、それを必要としているヒトの免疫機能を調節するのに用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。本開示は、必要としているヒトの免疫機能を調節するための薬剤の製造に用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。
【0034】
本開示は、コレステロールが高いヒト又はコレステロールが高くなるリスクがあるヒトの免疫機能を調節するのに用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。本開示は、コレステロールが高いヒト又はコレステロールが高くなるリスクがあるヒトの免疫機能を調節するための薬剤の製造に用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。
【0035】
また、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与することによって腸の炎症をもつヒトの免疫機能を増強する方法も本明細書に記載されている。これらの方法は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病などの疾患を治療するのに有用である。
【0036】
1つの態様では、本出願は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を、腸の炎症をもつヒトに経口で投与することを含む、該ヒトの免疫機能を増強する方法を開示する。
【0037】
幾つかの実施形態では、組成物の有効1日量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。
【0038】
幾つかの実施形態では、腸の炎症は炎症性腸疾患である。1つの実施形態では、腸の炎症は大腸炎である。別の実施形態では、腸の炎症はクローン病である。
【0039】
幾つかの実施形態では、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。1つの実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。別の実施形態では、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。さらなる実施形態では、ベータ-1
,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0040】
幾つかの実施形態では、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスはベータ-1,3-グルカンを含む。幾つかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。さらなる実施形態では、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0041】
1つの実施形態では、組成物は毎日、単回投与として投与される。別の実施形態では、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0042】
幾つかの実施形態では、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン
、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。1つの実施形態では、組成物は固体として投与される。別の実施形態では、組成物は懸濁液として投与される。
【0043】
幾つかの実施形態では、組成物の投与は抗炎症性サイトカイン産生を増加させる。さらなる実施形態では、組成物は、抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質と併用して投与される。
【0044】
本開示は、本明細書に開示の方法が、対応する使用にも適合されうることを提供する。
【0045】
本開示は、腸の炎症をもつヒトの免疫機能を増強するのに用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。これらの使用は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病などの疾患を治療するのに有用である。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。本開示は、腸の炎症をもつヒトの免疫機能を増強するための薬剤の製造に用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。これらの方法は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病などの疾患を治療するのに有用である。幾つかの実施形態では、組成物は該ヒトに経口で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1Aは、ユーグレナに由来するものなどのベータ-1,3-グルカン鎖の構造を示す。図1Bは、酵母に由来するものなどのベータ-1,6-グルカン側鎖をもつベータ-1,3-グルカン主鎖の構造を示す。
図2図2は、本発明の1つの実施形態による発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを形成するための概略図を示す。
図3図3は、本発明によるユーグレナを培養するための系の第1の実施形態を示す。
図4図4Aは、反復回分法によって発酵を利用して増殖させたユーグレナの1つの実施形態の概略図を示す。図4Bは、本発明の1つの実施形態による反復回培養法から得られたユーグレナ濃度をグラフで示す。
図5図5は、本発明によるユーグレナを培養するための系の第2の実施形態を示す。
図6図6は、本発明によるユーグレナを培養するための系の第3の実施形態を示す。
図7-1】図7Aは、ベータグルカン治療の14日目に末梢血から採取したマウス好中球の食作用指数をグラフで示す。陰性対照にはベータグルカンを与えず、応答は29.8±0.37%であった。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。図7Bは、ベータグルカン治療の14日目に採取したマウス脾細胞のナチュラルキラー細胞(NK)細胞活性をグラフで示す。陰性対照にはベータグルカンを与えず、応答は11.6±0.28%であった。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。
図7-2】図7Cは、マウスにオボアルブミン注射を施し、毎日のベータグルカン治療を23日間施行した後の抗体形成をグラフで示す。陰性対照にはオボアルブミンは与えたがベータグルカンを与えず、応答は49.1±4.6であった。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。
図8図8は、0日目に大腸菌を注射した後のマウスの生存をグラフで示す。大腸菌注射(-2日目)の2日前から、乾燥藻類(すなわちユーグレナ)、精製藻類ベータ-1,3-グルカン、及び酵母由来ベータグルカンを、日々の飼料の振り分けの0.01%に相当する投与量で強制経口投与によって5日間経口で給餌した。PBS対照群にはPBS強制経口投与のみを施行したのに対し、抗生物質治療群には13mg/kgのアンピシリンを0~4日目に経口で与えた。各治療群はn=10頭のマウスから構成された。薄い灰色の破線はアンピシリンを表し、グラフの右端(すなわち7~10日目)を見て最も高い位置の線から最も低い位置の線はそれぞれ、精製藻類ベータ-1,3-グルカン、乾燥藻類、酵母ベータグルカン、及びPBS対照を表す。
図9-1】図9Aは、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンで7日間治療した後のマウス樹状細胞によるサイトカイン産生に対するベータグルカンの効果をグラフで示す。図9Bは、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンで7日間治療した後のマウスマクロファージによるサイトカイン産生に対するベータグルカンの効果をグラフで示す。
図9-2】図9Cは、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンで7日間治療した後のマウスNK細胞によるサイトカイン発現に対するベータグルカンの効果をグラフで示す。図9A~9Cにおいて、ベータ-1,3-グルカンの投与量は、0mg/kg(A)、5mg/kg(B)、20mg/kg(C)、及び200mg/kg(D)である。
図10図10は、ベータグルカンを含まない高コレステロール飼料を14日間給餌した後、ベータグルカン生成物を含有する正常のコレステロールレベルの飼料(又は対照飼料)をさらに30日間給餌したマウスの(A)血清コレステロールレベル及び(B)血清トリグリセリドレベルをグラフで示す。ベータグルカンは20mg/kgの投与量で与えた。絶食の12時間後に血清をマウスから採取した。点線はPBS対照を表し、実線はユーグレナ由来の精製ベータグルカンを表す。
図11図11は、ベータグルカンを含む高コレステロール飼料(又は対照飼料)を14日間給餌した後、ベータグルカン生成物を含有する正常のコレステロールレベルの飼料(又は対照飼料)をさらに30日間給餌したマウスの(A)血清コレステロールレベル及び(B)血清トリグリセリドレベルをグラフで示す。ベータグルカンは20mg/kgの投与量で与えた。絶食の12時間後に血清をマウスから採取した。点線はPBS対照を表し、実線はユーグレナ由来の精製ベータグルカンを表す。
図12図12Aは、DSS誘発大腸炎をもつマウスへのPBS投与(「なし」)の体重に対する効果をグラフで示す。図12Bは、DSS誘発大腸炎をもつマウスへの精製ベータ-1,3-グルカン(>99重量%)の投与(「AG」)の体重に対する効果をグラフで示す。図12Cは、DSS誘発大腸炎をもつマウスへの約50重量%のベータ-1,3-グルカンを含有する乾燥ユーグレナ・グラシリスの投与(「A50」)の体重に対する効果をグラフで示す。図12A~12Cにおいて、線は各々、個々のマウスについての結果を表す。
図13図13は、DSS誘発大腸炎をもつマウスの体重に対するベータ-1,3-グルカンの効果をグラフで示す。グラフは、時間の関数として初期体重の%割合に基づいた、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの結果をまとめたものを示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=10頭のマウス)。
図14図14は、DSS誘発大腸炎をもつマウスの体重に対するベータ-1,3-グルカンの効果をグラフで示す。グラフは、時間の関数として初期体重の%割合に基づいた、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの結果をまとめたものを示す。体重減少スコアは、0(減少なし)、1(1~5%)、2(5~10%)、3(10~20%)、及び4(>20%)のように計算した。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=10頭のマウス)。
図15図15は、DSS誘発大腸炎をもつマウスの便の硬さに対するベータ-1,3-グルカンの効果をグラフで示す。グラフは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの結果をまとめたものを示す。便の硬さは、0(正常な固体)、2(半固体/軟らかい)、3(ゆるい便)、及び4(水様/下痢)のようにスコアをつけた。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=10頭のマウス)。
図16図16は、DSS誘発大腸炎をもつマウスにおけるベータ-1,3-グルカンの便血に対する効果をグラフで示す。グラフは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの結果をまとめたものを示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=10頭のマウス)。
図17図17は、DSS誘発大腸炎をもつマウスにおけるベータ-1,3-グルカンの結腸の長さに対する効果をグラフで示す。グラフは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)でしたマウスの10日目の結腸の長さを示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=7頭のマウス)。
図18図18Aは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの10日目の結腸の炎症の代表的な画像を示す。10倍対物レンズを用いて光学顕微鏡下で画像を得た。図18Bは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したDSS誘発大腸炎をもつマウスにおけるベータ-1,3-グルカンの結腸の炎症の重症度に対する効果をグラフで示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。
図19図19Aは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスの10日目Tヘルパー細胞頻度の代表的なFACS分析画像を示す。図19Bは、DSS誘発大腸炎をもつマウスへのPBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)の投与のサイトカイン陽性細胞産生に対する効果をグラフで示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。
図20図20は、DSS誘発大腸炎をもつマウスにおけるベータ-1,3-グルカンの結腸免疫細胞によるサイトカイン産生に対する効果をグラフで示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。グラフは、PBS(「なし」)、精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」)、又は乾燥ユーグレナ・グラシリス(「A50」)で治療したマウスのサイトカインプロファイルを示す。バーは平均±標準誤差を表す(治療群あたりn=3頭のマウス)。
図21図21は、250mgのユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを毎日摂取した後の個人における好塩基球の数の減少をグラフで示す。
図22図22は、250mgのユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを毎日摂取した後の個人における緊急の排便又は下痢に対する効果をグラフで示す。
図23図23は、250mgのユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを毎日摂取した後の個人における酵素スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)のレベルに対する効果をグラフで示す。
図24図24は、250mgのユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを毎日摂取した後の個人におけるマロンジアルデヒドのレベルに対する効果をグラフで示す。
図25図25は、ベータグルカンと微量金属の複合体を調製するための発酵過程の実施形態の概略図である。
図26図26は、ベータグルカンと微量金属の複合体を調製するための発酵過程の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療する方法を提供し、その方法は、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量をヒトに経口で投与することを含む。ある実施形態では、疾患は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。ある実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物は、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせを含むことができる。組成物は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物は高脂血症を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物はメタボリックシンドロームを治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物は炎症性腸疾患を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物は大腸炎を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物はクローン病を治療するために使用することができる。ある実施形態では、組成物は結腸がんを治療するために使用することができる。
【0048】
本出願は、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン及びその使用を対象とする。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは個体の免疫機能を調節することができる。本出願はまた、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン及び腸の炎症をもつヒトの免疫機能を調節又は増強するためのその使用を対象とする。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症をもつ個体の免疫機能を調節又は増強することができる。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、ユーグレナバイオマス又はユーグレナから精製されたベータ-1,3-グルカンのいずれかを含有する食用組成物として経口で投与することができる。また、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、経口又は静脈内投与されうる医薬製剤として投与することができる。
【0049】
発明者らは、発酵を利用して増殖させたユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの投与が、ヒトを含む動物における免疫系の健康な状態を助長するために且つ疾患を治療及び/又は予防するために使用できることを発見した。例えば、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、自己免疫反応、血糖値、感染症、又は炎症を調節するために使用することができる。また、発酵によって増殖させたユーグレナ由来のベータ-1,3-グル
カンの投与は、ヒトを含む動物における血清コレステロールの低下又は血清トリグリセリドの低下をもたらす。
【0050】
発明者らはまた、驚くべきことに、発酵を利用して増殖させたユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの投与が、ヒトを含む動物における免疫系の健康状態を助長するため且つ腸の炎症を治療及び/又は予防するために使用できることも示した。例えば、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、炎症性腸疾患、大腸炎、又はクローン病をもつヒトの免疫機能を調節又は増強するために使用することができる。また、発酵によって増殖させたユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの投与は、ヒトを含む動物の抗炎症性サイトカインのさらなる産生をもたらす。
【0051】
ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを使用することにいくつかの利点がある。第1に、ベータ-1,3-グルカンは、発酵を利用して増殖させたユーグレナによって効率的に作られる。本明細書に記載の発酵によって増殖させたユーグレナは、ベータ-1,3-グルカンを総ユーグレナ細胞マスの約30%~約70%まで蓄積する。対照的に、例えば酵母由来ベータグルカンが占めるのは総酵母細胞マスの15%未満である。第2に、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは容易に抽出及び精製することができる。これに対し、酵母に由来するベータグルカンは酵母細胞壁に結合しており、抽出を難しく且つコストが高いものにする。下で論ずるように、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナの顆粒に蓄積する。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、分離しにくい可能性がある細胞壁構成成分と結合していないので、その顆粒への蓄積は精製過程を容易にする。第3に、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、ユーグレナ細胞をほとんど又は全く加工することなく容易に生物学的に利用可能である。これにより、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンが、ユーグレナバイオマスとして、精製する必要なく、効果的に投与できるようになる。さらに、例えば、医薬製剤において、精製されたベータ-1,3-グルカン望ましい場合には、本明細書に記載の安全で且つ費用対効果が高い方法を用いて容易に精製することができる。対照的に、エンバク又は酵母によって作られるベータグルカンは、細胞壁から抽出しなければならず、危険な化学薬品や高価な酵素の使用を必要とする。
【0052】
ユーグレナは、免疫機能を調節する又は高脂血症を治療若しくは予防的に治療するのに特に有用である独自のベータグルカンを産生する。また、ユーグレナは、腸の炎症を治療又は予防的に治療するのに特に有用である独自のベータグルカンを産生する。ユーグレナによって作られるベータ-1,3-グルカンのかなりの部分は、ベータ-1,3-グルカンの水に不溶性の顆粒であるパラミロン体として生物のピレノイド又は細胞質に位置している。この独自のベータグルカンは一般にパラミロンと呼ばれる。他の多くの微生物、例えば、エンバク又は真菌類ベータグルカンと比較して、ユーグレナによって作られるベータグルカンは、実質的により直鎖状であり主にベータ-1,3-結合を含有する。ベータ-1,3-グルカン形態は、免疫機能を調節し、且つ血清コレステロール及びトリグリセリドレベルを低下させるのに特に効果的である。また、ベータ-1,3-グルカン形態は、腸の炎症を治療又は予防するのに特に有効である。
【0053】
定義
化合物又は組成物の使用の文脈において使用された場合に、「有効量」という用語は、その結果が、感染症又は疾患状態の予防又は治療に関係するにしても、そうでない場合は本明細書に記載の通りであるにしても、意図される結果を生み出す又は達成する化合物又は組成物の量を表す。
【0054】
「調節する」、「調節すること」、「調節」、「増強する」、「増強すること」、及び「増強」という用語は、本明細書において同義語として使用され、いずれのヒト又は動物
(限定されないが、イヌ、ネコ、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ロバ、ニワトリ、若しくはウサギを含む)の免疫応答を高める能力の向上を記述する。
【0055】
ユーグレナという用語は、別段特に規定がない限り、ユーグレナ属のいずれかの種又は株を意味すると解される。好ましい実施形態では、ユーグレナはユーグレナ・グラシリスであるが、他のユーグレナ属の種も企図される。
【0056】
「バイオマス」という用語はユーグレナ細胞材料を記述するために使用される。生成物は加工されてもよく、未加工であってもよい。例えば、ユーグレナバイオマスは乾燥されてもよく、湿った細胞マスとして提供されてもよい。
【0057】
「由来する」という用語は、特定の供給源に由来する化合物又は材料を意味する。例えば、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、ベータ-1,3-グルカンがユーグレナを供給源にもつことを示す。ベータ-1,3-グルカンはユーグレナと結合していてもよく、精製されてそれゆえにユーグレナと分離していてもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される」という用語は、化合物又は組成物が、疾患の重症度や治療の必要性に照らして過度に有害な副作用なしに、本明細書に記載の治療を達成するための、ヒト患者を含む対象への投与に適していることを意味する。
【0059】
「被験者」、「患者」、及び「個体」という用語は、本明細書において同義語として使用され、任意のヒト又は動物(限定されないが、イヌ、ネコ、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ロバ、ニワトリ、若しくはウサギを含む)を記述する。幾つかの実施形態では、「被験体」、「患者」、及び「個体」という用語は、本明細書において同義語として使用され、任意のヒト又は動物(限定されないが、イヌ、ネコ、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ロバ、ラマ、魚、ニワトリ、若しくはウサギを含む)を記述する。
【0060】
「治療する」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、本明細書において同義語として使用され、少なくとも1つの症状を軽減、阻害、抑制、若しくは排除すること、疾患の進行を遅らせること、又は疾患を阻害することを含む、疾患状態若しくは疾患のリスクがある又は疾患状態若しくは疾患に罹患している患者に利するいずれかの行為を指す。
【0061】
「予防的投与」又は「予防的治療」という用語は、疾患の発生の可能性を低下させるための疾患の発生前のいずれかの行為又は対象におけるその後の疾患の発生の可能性を減少させるいずれかの行為を指す。
【0062】
「約」という用語は、値又はパラメーターそれ自体を包含及び表現する。例えば、「約x」は「x」それ自体を包含及び表現する。ある特定の実施形態では、測定に関連して使用される場合、又は値、単位、定数、若しくは値の範囲を変更するために使用される場合、「約」という用語は、±1~10%の変動を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定に関連して使用される場合、又は値、単位、定数、若しくは値の範囲を変更するために使用される場合、±5%の変動を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定に関連して使用される場合、又は値、単位、定数、若しくは値の範囲を変更するために使用される場合、±10%の変動を指す。
【0063】
「及び/又は」という用語は、対象を選択的にも含み且つ対象を一緒にも含む。例えば、「x及び/又はy」は、「x又はy」及び「x及びy」を含む。
【0064】
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「からなること」及び/又は「から本質的になること」を含むことが理解される。
【0065】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、複数形への参照が含まれる。
【0066】
ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの性質
ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、その炭水化物分岐構造、三次元構造、溶解度、及び生物学的利用能の点で、その他の微生物によって作られるベータグルカンと構造的に異なる。
【0067】
炭水化物分岐構造
相異なる生物によって作られるベータグルカンは、ポリマーの炭水化物分岐構造が実質的に異なりうる。例えば、ユーグレナなどの藻類に由来するベータグルカンは、ほぼ独占的に1,3-グリコシド結合だけを有し、1,6-グリコシド結合をもたない(図1A)。対照的に、酵母に由来するベータグルカンは、ベータ-1,3-グリコシド結合とベータ-1,6-グリコシド結合が混在し、一般には、10~30個のグルコース単量体ごとにベータ-1,6-側鎖(2~3のグルコース単位の長さ)を含むベータ-1,3-グルカン主鎖をもつ(図1B)。エンバクや大麦に由来するベータグルカンは、ベータ-1,3-グリコシド結合とベータ-1,4-グリコシド結合が混在する。ケルプ(例えば、コンブ属)に由来するベータグルカンは、ベータ-1,3-グリコシド結合とベータ-1,6-グリコシド結合が混在する。
【0068】
ユーグレナによって作られるベータグルカンのかなりの部分は、藻類の細胞質中のパラミロン体として位置し、一般に「パラミロン」と呼ばれる。ユーグレナに由来するパラミロンは、ほぼ独占的にベータ-1,3-グルカンだけを含みベータ-1,6-側鎖分岐がない直鎖状構造をもつ。パラミロンの分岐がないという性質は、免疫をサポートする用途におけるその使用を考えたとき、他のベータグルカン供給源と比べて重要な違いである。
【0069】
パラミロンの分岐構造の研究はその独自の構造を明らかにし、米国特許出願公開第2013/0216586号に開示されている。全ユーグレナ細胞からパラミロンを単離した後に、連鎖解析を行って、グルコース単量体間の各結合型の相対的な量を決定した。結果を表1にまとめる。
【0070】
【表1】
この連鎖解析は、両パラミロン試料が3-結合グルコピラノシル残基から構成されることを示す。少量の4-結合及び2,3-結合グルコピラノシル残基にくわえて、無視できるほど少量の3,6-結合グルコピラノシル残基、末端グルコピラノシル残基、及び2,3,4-結合グルコピラノシル残基が見られる。これらのデータは、パラミロンが主として直鎖状の分岐していないベータ-1,3-グルカンからなることを裏付ける。
【0071】
ベータ-1,3-グルカンは、デクチン-1(マクロファージ受容体)や補体受容体3などの免疫系細胞の表面の受容体に主に結合するベータグルカンの形態である。ベータ-1,3-グルカンはまた、個体の腸内の細菌叢によって発酵でき、動物の健康に影響を与えうる短鎖脂肪酸のような有益な代謝産物の生成をもたらしうる。ベータ-1,3-グルカンはまた、個体の腸内の細菌叢によって発酵でき、個体の健康に影響を与えうる短鎖脂肪酸などの有益な代謝産物の生成をもたらしうる。
【0072】
本明細書に記載の方法に有用な、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、約85%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、約87%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、約90%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、約91%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、約92%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、約93%以上のベータ-1,3-グリコシド結合、又は約94%以上のベータ-1,3-グリコシド結合を含有する。
【0073】
三次元構造
ベータ-1,3-グルカンの三次元構造及びフォールディングは、免疫刺激用途における生物学的利用能、表面積、及び全体的な有効性に影響を与える可能性がある。直鎖ベータ-1,3-グルカン鎖において、その構造はグリコシド結合部分によって左右される。グルコピラノシルの椅子型環はかなり硬いので、グルカン鎖の柔軟性の大部分はグリコシド結合の周りの回転に起因する。X線結晶学及び分光法は、直鎖グルカンが固体状態で三重らせん骨格を有することを示す。ユーグレナによって作られるパラミロンは、グリコシル側鎖がほとんどない、構造的により単純なベータグルカンの1つと考えられている。これは、ヘリカル構造の外側に向かって露出した1,4-結合側鎖又は1,6-結合側鎖を有するラミナラン、レンチナン、スクレログルカン、シゾフィラン、又は酵母由来ベータグルカンと全く対照的である。
【0074】
三重らせん構造は、中性のpHで広い範囲の温度にわたって安定であり、水に不溶性の
ポリマーをもたらす。しかし、水素結合は、さまざまな手段によって不安定化されて、パラミロンポリマーのコンフォメーションを変化させることができる。例えば、パラミロンは、強力なカオトロピック剤(例えば、尿素)の存在下又は三重らせん融解温度(-135℃)を超える温度に昇温することによって、アルカリ溶液(例えば、0.2M以上のNaOH)、DMSOのような非プロトン性極性溶媒に溶解することができる。さまざまな免疫学的効果を得ることができ、それらは、天然の状態のコンフォメーション、変性されたコンフォメーション、又は変性及び復元されたベータ-1,3-グルカンコンホメーションに関連する。これら3つのコンフォメーションのいずれかのベータ-1,3-グルカンは、その機能性を付加又は改善するさらなる反応の構成単位としての役割を果たすことができる。機能をもたせたベータ-1,3-グルカンを産生するためのこれらのいくつかの改変及びそれらグルカンそれぞれの用途のいくつかが本明細書で論じられる。ベータグルカンのコンフォメーション及びその結果としての溶解度もまた、ベータグルカンがどのように送達されるかに影響を及ぼしうる。例えば、水溶性のベータ-1,3-グルカンは静脈内に注射することができる。
【0075】
粒径
粒径は、ベータ-1,3-グルカン粒子の機能及び生物学的利用能に影響を及ぼす因子である。ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン粒子は、本明細書に記載の方法に有用である。一般に、ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン粒子は、平均直径が約7ミクロン以下、約6ミクロン以下、約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2.5ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1.5ミクロン以下、約1ミクロン以下、約0.5ミクロン以下、約0.4ミクロン以下、約0.3ミクロン以下、約0.2ミクロン以下、又は約0.1ミクロン以下である。
【0076】
ベータ-1,3-グルカンの純度レベル
ベータグルカン化合物の純度レベルが有効性に対して影響があることが判っており、恐らくベータグルカンと免疫細胞の間の相互作用を阻害する他の物質の存在が原因である。本明細書に記載の方法を使用して、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナ細胞の顆粒の形で容易に単離することができる。結果として、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの純度は、酵母及び他の生物由来のベータグルカンの一般的な調製物に比べて非常に高い。例えば、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、酵母及び他の生物由来のベータグルカンの場合のように細胞壁構成成分と結合していない。より正確に言えば、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは水に不溶性の顆粒の形態で主に抽出される。したがって、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの精製は、ベータグルカンと細胞壁構成成分との結合のせいで複雑になるものではない。本明細書に記載の方法を使用して、95重量%を超える純度レベルが受け入れたままの状態で得ることができる。幾つかの実施形態では、99重量%を超える純度レベルが受け入れたままの状態で得ることができる。これと比較して、最高級の酵母由来ベータグルカンはまれにしか90%以上の純度を達成できず、ほとんどが約70~80%の純度である。そのうえ、ユーグレナが細胞壁を欠くことに起因して分離が容易であるという理由及びベータ-1,3-グルカン顆粒の回収が容易であるという理由から、酵母由来グルカンを用いた場合と比べてユーグレナによって生産する場合のほうが、より高い費用効果で高純度のベータ-1,3-グルカンを得ることができる。最後に、刺激が強い化学薬品(例えば、強酸及び塩基又は溶媒)がユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを回収するのに必要ではないので、ベータ-1,3-グルカンはその化学組成及び構造を変えずにその天然の形で回収することができる。一つには、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの生物学的利用能がより高いので、ユーグレナ由来の純粋で改変されていないベータ-1,3-グルカンの使用は、抽出及び/又は精製過程の間に改変を受ける、他の生物から得られる可溶化改変ベータグルカンと比べて有利である。幾つかの実施形態では、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、純度が85%を超える、純度が90%を超える、純度が92%を超える、純
度が94%を超える、純度が95%を超える、純度が96%を超える、純度が97%を超える、純度が98%を超える、又は純度が99%を超える。
【0077】
高脂血症を治療する方法
アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidiumpullulans)に由来するベータグルカンの経口投与は、マウスの高脂肪飼料(HFD)誘発脂肪肝の発症を予防することが最近判明した(Aoki, S. et al. Scientific Reports 2015, 5, 10457)。アウレオバシジウ
ム・プルランスに由来するベータグルカンは、ベータ-1,3-グリコシド結合とベータ-1,6-グリコシド結合の両方からなる。その研究では、コレステロール合成、HMGR、及びコレステロール分解、CYP7A1、のための律速酵素がマウスにおいて有意に上方制御されていた。その研究の著者は、脂肪肝、肝臓障害、及びコレステロールレベルの改善が見られたことについて考えられる分子基盤として、CYP7A1 mRNA発現
の上方制御を具体的に指摘した。またIL-6の誘発も、マウスにおけるHFD誘発脂肪肝の予防に関与していた。酵母由来のベータグルカンにかかわる別の研究では、マウスのコレステロール血漿レベルの低下がマクロファージによって媒介されることが提案された(Vetvicka, V. et al. J. of Immunotoxicology, 2009, 6, 30-35)。明らかに、ベータグルカンが免疫系を調節し、そして次にコレステロールレベルを調節する正確な分子メカニズムは複雑であり、ベータグルカンの正確な構造に依存しうる。
【0078】
高脂血症又は異常に高い血中コレステロール若しくはトリグリセリドのレベルは、心臓発作や心血管疾患のリスクを大きくする。高脂血症は、高脂肪又は高コレステロールの食事、肥満、又は定期的な運動の不足を含む、遺伝的要因又はある特定の健康若しくは生活習慣要因に起因しうる。高脂血症は、血中コレステロール(すなわち、高コレステロール血症)又は血中トリグリセリド(高トリグリセリド血症)レベルの上昇をもたらすいずれの疾患も含む。コレステロール及びトリグリセリドは、低密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク質(HDL)を含むリポタンパク質と結合している。LDLは、しばしば「悪い」コレステロールと呼ばれ、血管の壁に集まり、プラークの成長及びアテローム性動脈硬化症を引き起こしうる。対照的に、HDL(しばしば「良い」コレステロールと呼ばれる)は、血流を通して脂肪を、細胞、動脈壁、及び組織から移動させる。HDL粒子の濃度が増加すると、動脈壁内のアテローム性動脈硬化症の蓄積が減少する。発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、高脂血症を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる又は高脂血症のリスクがある対象に予防的に投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナ由来に由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、LDLを低下させるためにヒトを含む対象に投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナ由来に由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、HDLを増加させるためにヒトを含む対象に投与することができる。高脂血症のリスクがある人としては、以前に高脂血症と診断されたことがある人、食事が高脂肪若しくは高コレステロールである人、又は親の一方若しくは両親が高脂血症をもつ人が挙げられるが、それらに限定されない。
【0079】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる又はNAFLDのリスクがある対象に予防的に投与することができる。NAFLDは、肥満及び
2型糖尿病と密接に関連し、心血管疾患の主要な危険因子であることが知られている。
【0080】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、メタボリックシンドロームを治療するためにヒトを含む対象に投与することができる又はメタボリックシンドロームのリスクがある対象に予防的に投与することができる。メタボリックシンドロームは、血圧の上昇、高い血糖値、過剰な体脂肪、異常なコレステロールレベルを含む、同時に起こって心疾患、脳卒中、及び糖尿病のリスクを高める一連の状態を指す。
【0081】
本明細書に記載の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)の投与は、血中コレステロール及びトリグリセリドレベルを低下させることが示されている(実施例7を参照されたい)。そのような投与は、例えば、食用組成物若しくは経口医薬製剤を投与することによって経口であることもでき、又は例えば、静脈内医薬製剤を投与することによって静脈内注射であることもできる。吸入などの代替的な投与経路も企図される。経口食用組成物又は経口医薬製剤は、本明細書に記載の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製又は非精製ベータ-1,3-グルカンのいずれかを含む。一般に、静脈内医薬製剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製ベータ-1,3-グルカンを含む。典型的には、吸入に適した医薬製剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製ベータ-1,3-グルカンを含み、例えば、鼻スプレーによって投与することができる。食用組成物又は医薬製剤は、高脂血症の治療を増強するために、スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤の1つ以上と併用して投与することができる。
【0082】
高脂血症の治療のためのベータ-1,3-グルカンを作るのに有用な発酵ユーグレナは一般に、増殖及びベータ-1,3-グルカンの産生のための栄養素を提供する増殖培地に依存する。ユーグレナは完全又は部分的な光曝露で増殖しうることが企図されるが、発酵を利用して増殖させるユーグレナは従属栄養的に増殖させることが一般に好ましい。発酵の間に、増殖しているユーグレナはベータ-1,3-グルカンを効率的に産生する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンでベータ-1,3-グルカンを蓄積する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約55重量%のベータ-1,3-グルカンでベータ-1,3-グルカンを蓄積する。
【0083】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、高脂血症を治療するために精製された形又は未精製の形で対象に投与される。例えば、発酵を利用して増殖させたユーグレナバイオマスは、高脂血症を治療するために対象に経口で投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナは有効量のベータ-1,3-グルカンを含有するので、ユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンを精製しなくても血中コレステロールレベル又は血中トリグリセリドレベルを低下させるのに有効である。これは、発酵によって増殖させたユーグレナによって作られるベータ-1,3-グルカンの高い生物学的利用能に一部起因する。対照的に、酵母によって作られるベータグルカンは酵母の細胞壁と密に結合し、生物学的に利用可能なベータグルカンの量がより少ない。
【0084】
例えば、ユーグレナバイオマスは、血中コレステロール値及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させるための経口で投与される食用組成物の形で提供される。食用組成物は、食品であってもよく、栄養補助食品であってもよい。摂取を助けるために、ユーグレナバイオマスは、シート、ペースト、クリーム、粉末、カプセル、錠剤、又は他の食用固体若しくは液体(懸濁液など)に加工され、単独でまた別の食品と組み合わせて摂取することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアルの形で投与される。
【0085】
1つの例示的な実施形態では、ユーグレナバイオマスを乾燥させて、それを経口投与用に調製する。例えば、ユーグレナバイオマスは、バイオマスを凍結乾燥させること、オーブン、ダブルドラム乾燥機、若しくは同様の乾燥装置でバイオマスを加熱すること、又はバイオマスに真空を適用することによって、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の含水率に乾燥することができる。随意に、ユーグレナバイオマスを乾燥させる前又は乾燥させた後に、バイオマスは粉末に加工される。例えば、ユーグレナ細胞は溶液中に懸濁され、せん断ミキサーで粉砕され、乾燥されて粉末が作られる。幾つかの実施形態では、粉末ユーグレナバイオマスは、平均粒径が、約1000ミクロン以下、約900ミクロン以下、約800ミクロン以下、約700ミクロン以下、約600ミクロン以下、約500ミクロン以下、約400ミクロン以下、約300ミクロン以下、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約100ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約15ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1ミクロン以下、又は約0.5ミクロン以下に加工される。次いで、乾燥及び/又は粉末ユーグレナバイオマスを、対象の血中コレステロールレベル及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させるために、直接又は別の食用組成物と混合することによって対象に経口で投与することができる。
【0086】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンにくわえて栄養補助剤をさらに含むことができる。栄養補助剤は、ユーグレナバイオマスに予め存在していてもよく、ユーグレナバイオマスに添加されてもよい。例示的な追加補助剤としては、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン
酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンが挙げられる。これらの追加補助剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンとは独立して又は相乗的に機能して、血中コレステロールレベル及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させることができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0087】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。医薬的に許容可能な賦形剤の例としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マ
ンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。医薬的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、又はソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、又は酒石酸塩が挙げられる。
【0088】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、血中コレステロールレベル及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させるために精製した形態で対象に投与することもできる。幾つかの実施形態では、ベータ-1,3-グルカンは、純度が85%を超える、純度が90%を超える、純度が92%を超える、純度が94%を超える、純度が95%を超える、純度が96%を超える、純度が97%を超える、純度が98%を超える、又は純度が99%を超えるようにユーグレナから精製される。一般に、ベータ-1,3-グルカンは、ユーグレナ細胞を溶解し、ベータ-1,3-グルカンを単離することによって抽出される。ユーグレナ細胞は、超音波処理又は高圧ホモジナイゼーションを用いて溶解することができる。随意に、溶解を助けるために、溶解ステップの間に追加の化学薬品が含まれるが、そのような化学薬品は必ずしも必要ではない。溶解ステップの間に含まれる例示的な追加化学薬品としては、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、酵素、塩基(水酸化ナトリウムなど)、又は酸(酢酸若しくは塩酸など)が挙げられる。ベータ-1,3-グルカンは、ろ過又は重力分離(重力沈降若しくは遠心分離など)を用いて、溶解したユーグレナ細胞から単離することができる。より高いレベルの純度を得るために、単離されたベータ-1,3-グルカンは、例えば、水溶液又はエタノールで洗浄される。
【0089】
さらに、精製ベータ-1,3-グルカンは、血清コレステロールレベル又は血清トリグリセリドレベルを低下させるその効力を高めるように改変することもできる。例えば、ベータ-1,3-グルカンは、硫酸化、ピリジニウム部分と結合させる、又はカチオン性部分(ジメチルエタノールアミン(DMAE)など)と結合させることができる。
【0090】
ユーグレナバイオマスと同様に、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、血中コレステロール値及び/又は血中トリグリセリド値を低下させるための食品や栄養補助食品などの食用組成物の形で経口投与することができる。精製ベータ-1,3-グルカンは、ペースト、粉末、カプセル、錠剤、又は液体(懸濁液など)として提供することができ、単独で投与されうる又は別の食品と混合されうる。例えば、精製ベータ-1,3-グルカンは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアルの形で経口投与される。
【0091】
組成物中の経口で投与される精製ベータ-1,3-グルカンは、1つ以上の追加補助剤、例えば、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ
-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティク
ス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンをさらに含むことができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0092】
また、精製ベータ-1,3-グルカンは、血中コレステロールレベル及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させるためのヒトなどの対象に投与される医薬製剤の形でも用いることができる。医薬製剤は医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例示的医薬的に許容可能な賦形剤としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。医薬的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、又はソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、又は酒石酸塩が挙げられる。
【0093】
医薬製剤は、血中コレステロールレベル及び/又は血中トリグリセリドレベルを低下させるために、対象に経口投与又は対象に静脈内投与することができる。経口で投与される医薬製剤は、錠剤、カプセル、又はシロップなどで固体又は液体として投与することができる。静脈内に投与される医薬製剤については、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、生理食塩水などの水溶液に懸濁又は溶解される。
【0094】
発酵を利用して増殖させたユーグレナ由来に由来するベータ-1,3-グルカンを含有する食用組成物又は医薬製剤の有効量の投与は、投与レジメンの経過後に血清コレステロールレベルを低下させることができる。例えば、血清コレステロールレベルの低下は、7日後、14日後、21日後、30日後、又は60日後に測定することができる。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの投与は、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約5%以上の減少、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約10%以上の減少、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約15%以上の減少、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約20%以上の減少、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約25%以上の減少、有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約30%以上の減少、又は有効量の30日後の血清コレステロールレベルの約35%以上の減少をもたらす。
【0095】
同様に、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを
含有する食用組成物又は医薬製剤の有効量の投与は、投与レジメンの経過後に血清トリグリセリドレベルを低下させることができる。幾つかの実施形態では、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの投与は、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約5%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約10%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約15%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約20%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約25%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約30%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約35%以上の減少、有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約40%以上の減少、又は有効量の30日後の血清トリグリセリドレベルの約45%以上の減少をもたらす。
【0096】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される組成物、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される医薬製剤、及び発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する静脈内投与される医薬製剤の各々は、血清コレステロールレベル及び/又は血清トリグリセリドレベルを低下させるのに有効な投与量で投与される。そのような投与レジメンは一般に、組成物又は医薬製剤のそれぞれに関する体重1kgあたりのベータ-1,3-グルカンの量として理解される。幾つかの実施形態では、組成物又は医薬製剤は、体重1kgあたり約0.1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.25mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約2mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約5mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約10mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約15mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約25mg以上のベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約50mg以上のベータ-1,3-グルカンの有効量で対象に投与される。幾つかの実施形態では、組成物又は医薬組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.2mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約15mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカンである。本明細書において記載されているように、有効量の組成物又は医薬製剤は1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。
【0097】
幾つかの実施形態では、組成物又は医薬組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.2mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約15mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mgのベ
ータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカンである。本明細書において記載されているように、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。
【0098】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤の有効量は、血清コレステロールレベル及び/又は血清トリグリセリドレベルを低下させるために1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与される。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与される。
【0099】
免疫機能を調節する方法
ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、免疫機能を調節するためにヒトなどの対象に投与することができる。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの対象への投与は、サイトカイン産生、抗体価、並びに免疫系細胞の活性(例えば、食作用及びナチュラルキラー細胞の細胞傷害性の速度)の測定可能な増加をもたらし、免疫機能の調節を示す。また、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与された対象は感染症に対する反応の増強も示す。
【0100】
免疫機能を調節するのに有用なユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、本明細書に記載の方法によってユーグレナを発酵させることによって増やされる。発酵ユーグレナは一般に、増殖及びベータ-1,3-グルカンの産生のための栄養素を提供する増殖培地に依存する。ユーグレナは完全又は部分的な光曝露で増殖しうることが企図されるが、発酵を利用して増殖させるユーグレナは従属栄養的に増殖させることが一般に好ましい。発酵の間に、増殖しているユーグレナはベータ-1,3-グルカンを効率的に産生する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンでベータ-1,3-グルカンを蓄積する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約55重量%のベータ-1,3-グルカンで
ベータ-1,3-グルカンを蓄積する。
【0101】
ユーグレナに由来し、発酵を利用して増殖させたベータ-1,3-グルカンは、免疫機能を調節するために精製された形又は未精製の形で対象に投与される。例えば、発酵を利用して増殖させたユーグレナバイオマスは、免疫機能を調節するために対象に経口で投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナは有効量のベータ-1,3-グルカンを含有するので、ユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンを精製しなくても有効である。これは、ユーグレナによって作られるベータ-1,3-グルカンの高い生物学的利用能に一部起因する。対照的に、酵母によって作られるベータグルカンは酵母の細胞壁と密に結合し、容易に生物学的に利用できるベータグルカンの量がより少ない。
【0102】
ユーグレナバイオマスは、免疫機能を調節するために経口で投与される食用組成物の形で提供される。食用組成物は、食品であってもよく、栄養補助食品であってもよい。摂取を助けるために、ユーグレナバイオマスは、シート、ペースト、クリーム、粉末、カプセル、錠剤、又は他の食用固体若しくは液体(懸濁液など)に加工され、単独で又はいくつかの別の食品と組み合わせて摂取することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアルの形で投与される。
【0103】
1つの例示的な実施形態では、ユーグレナバイオマスは乾燥されて、それを経口投与用に調製する。例えば、ユーグレナバイオマスは、バイオマスを凍結乾燥させること、オーブン、バイオマスを加熱すること、又はバイオマスに真空を適用することによって、40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の含水率に乾燥することができる。随意に、ユーグレナバイオマスを乾燥させる前又は後に、バイオマスは粉末に加工することができる。例えば、ユーグレナ細胞は溶液中に懸濁され、せん断ミキサーで粉砕され、乾燥されて粉末を生じる。粉末ユーグレナバイオマスは、約1000ミクロン以下、約900ミクロン以下、約800ミクロン以下、約700ミクロン以下、約600ミクロン以下、約500ミクロン以下、約400ミクロン以下、約300ミクロン以下、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約100ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約15ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1ミクロン以下、又は約0.5ミクロン以下の平均粒径を有するように加工することができる。次いで、乾燥及び/又は粉末ユーグレナバイオマスは、対象の免疫機能を調節するために、直接又は別の食用組成物と混合することによって、対象に経口で投与することができる。
【0104】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンにくわえて栄養補助剤をさらに含むことができる。栄養補助剤は、ユーグレナバイオマスに予め存在していてもよく、ユーグレナバイオマスに添加されてもよい。例示的な追加補助剤としては、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン
酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンが挙
げられる。これらの追加補助剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンとは独立して又は相乗的に機能して、免疫機能を調節することができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0105】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例示的医薬的に許容可能な賦形剤としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。医薬的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、又はソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、又は酒石酸塩が挙げられる。
【0106】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、機能を調節するために精製した形で対象に投与することもできる。幾つかの実施形態では、ベータ-1,3-グルカンは、純度が85%を超える、純度が90%を超える、純度が92%を超える、純度が94%を超える、純度が95%を超える、純度が96%を超える、純度が97%を超える、純度が98%を超える、又は純度が99%を超えるようにユーグレナから精製される。一般に、ベータ-1,3-グルカンは、ユーグレナ細胞を溶解し、ベータ-1,3-グルカンを単離することによって抽出される。ユーグレナ細胞は、超音波処理又は高圧ホモジナイゼーションを用いて溶解することができる。随意に、溶解を助けるために溶解ステップの間に追加の化学薬品が含まれるが、そのような化学薬品は必ずしも必要ではない。溶解ステップの間に含まれる例示的な追加化学薬品としては、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、酵素、塩基(水酸化ナトリウムなど)、又は酸(酢酸若しくは塩酸など)が挙げられる。ベータ-1,3-グルカンは、ろ過又は重力分離(重力沈降若しくは遠心分離など)を用いて、溶解したユーグレナ細胞から単離することができる。より高いレベルの純度を得るために、単離されたベータ-1,3-グルカンは、例えば、水溶液又はエタノールで洗浄される。
【0107】
さらに、精製ベータ-1,3-グルカンは、免疫機能の調節因子としてのその効力を高めるように改変することもできる。例えば、ベータ-1,3-グルカンは、硫酸化、ピリジニウム部分と結合、又はカチオン性部分(ジメチルエタノールアミン(DMAE)など)と結合させることができる。
【0108】
ユーグレナバイオマスと同様に、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、免疫機能を調節するために食品や栄養補助食品などの食用組成物の形で経口投与することができる。精製ベータ-1,3-グルカンは、ペースト、粉末、カプセル、錠剤、又は液体(懸濁液など)として提供することができ、単独で投与されうる又は別の食品と混合さ
れうる。例えば、精製ベータ-1,3-グルカンは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアルの形で経口投与することができる。
【0109】
組成物中の経口投与される精製ベータ-1,3-グルカンは、1つ以上の追加補助剤、例えば、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-
リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンをさらに含むことができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0110】
また、精製ベータ-1,3-グルカンは、免疫機能を調節するためのヒトなどの対象に投与される医薬製剤の形でも用いることができる。医薬製剤は医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例示的医薬的に許容可能な賦形剤としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。医薬的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、又はソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、又は酒石酸塩が挙げられる。
【0111】
医薬製剤は、免疫機能を調節するために、対象に経口投与又は対象に静脈内投与することができる。吸入などの代替的な投与経路も企図される。経口で投与される医薬製剤は、錠剤、カプセル、又はシロップなどで固体又は液体として投与することができる。静脈内に投与される医薬製剤については、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、生理食塩水などの水溶液に懸濁又は溶解される。吸入に適した医薬製剤は、例えば、鼻スプレーによって投与することができる。食用組成物又は医薬製剤は、アレルギー、糖尿病、又は感染症の治療を増強するために、1つ以上の薬物と併用して投与することができる。例えば、食用組成物又は医薬製剤は、抗ヒスタミン剤、インスリン、又は抗生物質と併用して投与することができる。
【0112】
有効量の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを投与することによって、例えば、本明細書に記載の食用組成物又は医薬製剤を投与するこ
とによって、対象の免疫機能を調節することは、多くの健康上の利益をもたらす。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを含有する組成物及び製剤は、疾患の治療又は予防的治療のために免疫機能を調節するように投与することができる。例えば、組成物又は医薬製剤の投与は、対象の自己免疫反応を調節する、対象の血糖値を調節する、対象の感染症を調節する、又は対象の炎症を調節するのに用いることができる。
【0113】
ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)を含有する組成物又は医薬製剤は、糖尿病、クローン病、関節リウマチ、線維筋痛、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、硬皮症、又は多発性硬化症に関連する自己免疫反応を調節するためにヒトを含む対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、食用組成物又は医薬組成物は、糖尿病、クローン病、関節リウマチ、線維筋痛、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、硬皮症、又は多発性硬化症の進行を抑えるために予防的に投与される。
【0114】
また、本明細書に記載の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)を含有する組成物又は医薬製剤は、対象の血糖値を調節するために対象に投与することができる。ベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤の投与後、食後血糖はベータ-1,3-グルカンの投与がない場合と比べて概して低い。血糖、特に食後血糖の調節は、1型及び2型糖尿病患者の両方における一般的な糖尿病治療及び管理にとって重要である。血糖値は、過去2~3ヶ月の平均血糖値を反映するA1C検査を用いて測定することができる。具体的には、A1C検査は糖でコーティングされた(すなわち糖化された)ヘモグロビンの%割合を測定する。したがって、本明細書に記載のユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する組成物及び医薬組成物は、糖尿病患者の高血糖症を治療するのに有用である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する食用組成物又は医薬製剤は、高血糖症を抑えるために対象に予防的に投与される。
【0115】
また、組成物又は医薬製剤中の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、被験者における細菌感染症、真菌感染症、又はウイルス感染症などの感染症を調節するために対象に投与することができる。本明細書に記載のベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤の投与は、自然免疫機能及び適応免疫機能の両方の活性の増加をもたらす。例えば、組成物又は医薬製剤の投与は、好中球の食作用、ナチュラルキラー細胞の細胞傷害性、及び抗体産生の増加をもたらす。これらの調節された免疫機能のそれぞれが感染症に影響を及ぼす。発酵によって増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤は、感染症を治療するために感染症をもつ対象に投与することができ、又は感染症のリスクを限定するために対象に予防的に投与することができる。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む抗生物質耐性菌のリスクがあるので、感染症の治療又は予防的治療におけるこれらの進歩は細菌感染症にとって特に重要である。
【0116】
本明細書に記載の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)を含む組成物又は医薬製剤の投与は、対象における炎症を調節するためにヒトを含む対象に投与することができる。投与されたベータ-1,3-グルカンは、炎症性サイトカインの産生
を抑制するように機能し、対象における炎症反応の調節をもたらす。幾つかの実施形態では、炎症はアレルギー又は喘息に関連する。本明細書に記載のユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物又は医薬製剤は、アレルギー又は喘息などの炎症を治療するために対象に投与することができる。くわえて、本明細書に記載のユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物又は医薬製剤は、アレルギー又は喘息などの炎症を抑えるために対象に予防的に投与することができる。
【0117】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される組成物、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される医薬製剤、及び発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する静脈内投与される医薬製剤の各々は、免疫機能を調節するのに有効な投与量で投与される。そのような投与レジメンは一般に、組成物又は医薬製剤のそれぞれに関する体重1kgあたりのベータ-1,3-グルカンの量として理解される。幾つかの実施形態では、組成物又は医薬製剤は、体重1kgあたり約0.1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.25mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約2mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約5mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約10mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約15mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約25mg以上のベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約50mg以上のベータ-1,3-グルカンの有効量で対象に投与される。その他の実施形態では、対象の免疫機能を調節するため、疾患を治療するため、予防的投与のために使用される組成物又は医薬組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.2mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約15mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカンであることができる。本明細書において記載されているように、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。
【0118】
幾つかの実施形態では、組成物又は医薬組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.2mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約15mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体
重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカンである。本明細書において記載されているように、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。
【0119】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤の有効量は、免疫機能を調節するために1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与される。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与される。
【0120】
腸の炎症を治療する方法
炎症はベータ-1,3-グルカンによって調節される可能性がある。最近の研究では、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンであるパラミロンの経口投与が、マウスのアトピー性皮膚炎様皮膚病変の発症を抑制することが判明した(J. Vet. Med. Sci. 2010, 72(2), 755-763)。ヒトにおいて、アトピー性皮膚炎は皮膚の慢性及び再発性の炎症を特徴とする一般的な皮膚疾患であり、かゆみ、赤み、腫れ、皮膚のひび割れをもたらす。アトピー性皮膚炎の正確な原因は不明であるが、考えられる因子としては、遺伝、免疫系の機能不全、環境曝露が挙げられる。該マウス研究の著者らは、パラミロンの経口投与が血清中のIL-4及びIFN-γレベルを低下させ、また皮膚病変におけるIL-18及びIL-12レベルを低下させることを見出した。これらの結果は、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンが、ある特定のサイトカイン経路の活性化によってマウスのアトピー性皮膚炎様皮膚病変を抑制しうることを示唆している。しかし、ベータ-1,3-グルカンが炎症一般を調節する厳密なメカニズムは依然として解明されていない。くわえて、ベータ-1,3-グルカンは、さまざまな経路によってさまざまな身体器官の炎症を調節しうる。
【0121】
腸の炎症は消化管の全部又は一部を冒す可能性がある。腸の炎症は、自己免疫疾患の一種であり、小腸、大腸、腸、又はそれらのいずれかの組み合わせの炎症を指す。腸の炎症症状としては、重度又は慢性の腹痛、下痢、突然の体重減少、食欲不振、及び直腸出血が挙げられる。くわえて、腸炎症を有する個人は、関節痛、皮膚発疹、眼の痛み、口の痛み、及び発熱などの消化管とは無関係の症状も有しうる。腸の炎症は、生命を脅かす合併症を引き起こしうるだけでなく、個人の結腸がんのリスクを増加させうる。腸の炎症の正確な根本的な生理的原因は不明であるが、一般には、遺伝的及び環境的要因が個人の免疫応答をシフトさせ、異常な免疫応答が生じると考えられている。
【0122】
炎症性腸疾患は、大腸炎及びクローン病を含む大腸及び小腸の炎症疾患の群である。クローン病は腸壁の全厚に影響を与えるのに対して、大腸炎は結腸の上皮内層に限定される
。大腸炎の具体例としては、潰瘍性大腸炎、巨視的大腸炎(macroscopic colitis)、リ
ンパ球性大腸炎、膠原線維性大腸炎、空置大腸炎、化学性大腸炎(chemical colitis)、虚血性大腸炎、及び感染性大腸炎が挙げられる。本明細書で論じられるように、腸の炎症を治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病を治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用を同様に指す。また、本明細書で論じられるように、腸の炎症を治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用は、腸炎症を予防的に治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用を同様に指す。同様に、本明細書で論じられるように、腸の炎症を予防的に治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病を予防的に治療するためのベータ-1,3-グルカンの使用を同様に指す。
【0123】
潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)の主要な形態の1つである。これは、結腸の内層に炎症及び潰瘍を引き起こす慢性疾患である。他の主要な形態であるが、クローン病は小腸(回腸)の終わりの部分及び結腸の始まりの部分を冒すことが最も多く、潰瘍性大腸炎は典型的には結腸に限定される。潰瘍性大腸炎は、ほとんどの場合ゆっくりと進行し、時間とともに悪化する可能性がある。症状は軽度から重度でありうる。ほとんどの人には、数週間又は数年間続きうる寛解の期間がある。ヒト大腸炎を研究するための理想的な動物モデルはないが、化学的に誘発されたさまざまな大腸炎動物モデルの中で、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルは、その単純さと主にヒトの潰瘍性大腸炎との類似性のために最も広く使用されている(Comp. Clin. Pathol. 2010, 19, 235-239)。
【0124】
DSSは主に大腸、特に結腸の中間位及び遠位の3分の1に影響する。腸上皮バリアの破壊、それによる管腔内細菌又は細菌抗原の粘膜への進入及び免疫活性化がヒト大腸炎の主要な事象である。同様の現象がDSS大腸炎で起こるが、その場合、結腸上皮に直接的に有害な硫酸化多糖類は上皮細胞損傷を引き起こし、結果として生じる免疫応答は結腸上皮全体の粘膜バリア機能を変化させる。DSSを飲料水中でマウスに短時間投与すると、結腸に限定され、且つ潰瘍、陰窩の喪失、及び顆粒球の浸潤を特徴とする非常に再現性のある急性炎症が誘発される。DSS大腸炎モデルは、長期にわたる潰瘍性大腸炎の患者に起こるような、結腸の炎症に関連して発症する結腸がんの研究にも広く使用されている。DSS誘発大腸炎は、主に、上皮の破壊並びに獲得免疫の非存在下でのマクロファージ及び好中球の活性化によって引き起こされるが、T細胞応答は炎症反応を悪化させる可能性がある。実際、強力なT細胞応答がヒトの潰瘍性大腸炎に関与している。したがって、DSSモデルを用いてげっ歯類で試験された組成物又は医薬に関する良い方向の治療結果は、ヒト潰瘍性大腸炎の治療に対する治療上の価値を示唆しうる。重要なことに、薬剤が抗炎症性を有し、DSS誘発性大腸炎からの保護をもたらす場合、その薬剤は他のIBDにおいて治療上の価値がある可能性がある。
【0125】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカン(例えば、ユーグレナバイオマス、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン、又はユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカン、又はそれらの組み合わせ)は、腸の炎症を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる、又は腸の炎症のリスクがある対象に予防的に投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、炎症性腸疾患を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、大腸炎を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、クローン病を治療するためにヒトを含む対象に投与することができる。腸の炎症のリスクがある人としては、以前に腸の炎症と診断されたことがある人又は親の一方若しくは両親が腸の炎症をもつ人が挙げられるが、それらに限定されない。
【0126】
本明細書において記載されているように、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの投与は、化学的に誘発された大腸炎からの保護をもたらす(実施例12~19を参照されたい)。そのような投与は、例えば、食用組成物若しくは経口医薬製剤を投与することによって経口であることもでき、又は例えば、静脈内医薬製剤を投与することによって静脈内注射であることもできる。吸入などの代替的な投与経路も企図される。経口食用組成物又は経口医薬製剤は、本明細書に記載の発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製又は非精製ベータ-1,3-グルカンのいずれかを含む。静脈内医薬製剤は一般に、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製ベータ-1,3-グルカンを含む。典型的には、吸入に適した医薬製剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来する精製ベータ-1,3-グルカンを含み、例えば、鼻スプレーによって投与することができる。食用組成物又は医薬製剤は、腸の炎症の治療を増強するために、抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質の1つ以上と併用して投与することができる。適切な薬物の例としては、メサラジン、ブデソニド、シクロスポリン、及びインフリキシマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
腸の炎症の治療のためのベータ-1,3-グルカンを作るのに有用な発酵ユーグレナは一般に、増殖及びベータ-1,3-グルカンの産生のための栄養素を提供する増殖培地に依存する。ユーグレナは完全又は部分的な光曝露で増殖しうることが企図されるが、発酵を利用して増殖させるユーグレナは従属栄養的に増殖させることが一般に好ましい。発酵の間に、増殖しているユーグレナはベータ-1,3-グルカンを効率的に産生する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンでベータ-1,3-グルカンを蓄積する。幾つかの実施形態では、ユーグレナ細胞は、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約55重量%のベータ-1,3-グルカンでベータ-1,3-グルカンを蓄積する。
【0128】
ユーグレナに由来し、発酵を利用して増殖させたベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症を治療するために精製された形又は未精製の形で対象に投与される。例えば、発酵を利用して増殖させたユーグレナバイオマスは、腸の炎症を治療するために対象に経口で投与することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナは有効量のベータ-1,3-グルカンを含有するので、ユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンを精製しなくても腸の炎症を治療するのに有効である。これは、発酵によって増殖させたユーグレナによって作られるベータ-1,3-グルカンの高い生物学的利用能に一部起因する。具体的には、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは水に不溶性の顆粒に蓄積し、細胞壁構成成分と結合していない。対照的に、酵母によって作られるベータグルカンは酵母の細胞壁と密に結合し、生物学的に利用可能なベータグルカンの量がより少ない。幾つかの実施形態では、精製ベータ-1,3-グルカンと比べて、未精製ベータ-1,3-グルカンを含有する乾燥ユーグレナバイオマスのほうが、本明細書に記載の方法を用いて対象の腸の炎症を治療するのに有効である。
【0129】
ユーグレナバイオマスは、腸の炎症を治療するために経口で投与される食用組成物の形で提供される。食用組成物は、食品であってもよく、栄養補助食品であってもよい。摂取を助けるために、ユーグレナバイオマスは、シート、ペースト、クリーム、粉末、カプセル、錠剤、又は他の食用固体若しくは液体(懸濁液など)に加工され、単独で又はいくつかの別の食品と組み合わせて摂取することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーグレナバイオマスは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアル
の形で投与される。
【0130】
1つの例示的な実施形態では、ユーグレナバイオマスは乾燥されて、それを経口投与用に調製する。例えば、ユーグレナバイオマスは、バイオマスを凍結乾燥させること、オーブン、ダブルドラム乾燥機若しくは同様の乾燥装置でバイオマスを加熱すること、又はバイオマスに真空を適用することによって、40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の含水率に乾燥することができる。随意に、ユーグレナバイオマスを乾燥させる間又は後に、バイオマスは粉末に加工することができる。例えば、ユーグレナ細胞は乾燥され、次いでせん断ミキサー又はハンマーミルで粉砕されて粉末が作られる。幾つかの実施形態では、粉末ユーグレナバイオマスは、約1000ミクロン以下、約900ミクロン以下、約800ミクロン以下、約700ミクロン以下、約600ミクロン以下、約500ミクロン以下、約400ミクロン以下、約300ミクロン以下、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約100ミクロン以下、約50ミクロン以下、約25ミクロン以下、約15ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1ミクロン以下、又は約0.5ミクロン以下の平均粒径に加工される。幾つかの実施形態では、ユーグレナバイオマスを乾燥させる前にユーグレナ細胞は破壊又は溶解される。例えば、ユーグレナ細胞は、乾燥前に水溶液中に懸濁され、細胞を破壊する高剪断力に曝され、次いで乾燥させることができる。随意に、乾燥バイオマスは上記のようにさらに粉砕されて、約1000ミクロン以下の平均粒径を達成することができる。次いで、乾燥及び/又は粉末ユーグレナバイオマスは、対象の腸の炎症を治療するために、直接又は別の食用組成物と混合することによって、対象に経口で投与することができる。
【0131】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、ベータ-1,3-グルカンにくわえて栄養補助剤をさらに含むことができる。栄養補助剤は、ユーグレナバイオマスに予め存在していてもよく、ユーグレナバイオマスに添加されてもよい。例えば、追加補助剤としては、金属、アミノ酸、酵素、プロバイオティクス、脂肪酸、オリゴ糖、ビタミン、及び免疫刺激物質が挙げられうる。例示的な追加補助剤としては、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカ
ロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンが挙げられる。これらの追加補助剤は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンとは独立して又は相乗的に機能して、腸の炎症を治療することができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0132】
経口で投与されるユーグレナバイオマスは、医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例示的医薬的に許容可能な賦形剤としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピ
ロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。医薬的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、及びソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、及び酒石酸塩が挙げられる。
【0133】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症を治療するために精製した形態で対象に投与することもできる。幾つかの実施形態では、ベータ-1,3-グルカンは、純度が85%を超える、純度が90%を超える、純度が92%を超える、純度が94%を超える、純度が95%を超える、純度が96%を超える、純度が97%を超える、純度が98%を超える、又は純度が99%を超えるようにユーグレナから精製される。一般に、ベータ-1,3-グルカンは、ユーグレナ細胞を溶解し、ベータ-1,3-グルカンを単離することによって抽出される。ユーグレナ細胞は、超音波処理又は高圧ホモジナイゼーションを用いて溶解することができる。随意に、溶解を助けるために溶解ステップの間に追加の化学薬品が含まれるが、そのような化学薬品は必ずしも必要ではない。溶解ステップの間に含まれる例示的な追加化学薬品としては、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、酵素、塩基(水酸化ナトリウムなど)、又は酸(酢酸若しくは塩酸など)が挙げられる。ベータ-1,3-グルカンは、ろ過又は重力分離(重力沈降若しくは遠心分離など)を用いて、溶解したユーグレナ細胞から単離することができる。より高いレベルの純度を得るために、単離されたベータ-1,3-グルカンは、例えば、水溶液又はエタノールで洗浄される。
【0134】
さらに、精製ベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症の調節におけるその効力を高めるように改変することもできる。例えば、ベータ-1,3-グルカンは、硫酸化、ピリジニウム部分と結合、又はカチオン性部分(ジメチルエタノールアミン(DMAE)など)と結合させることができる。
【0135】
ユーグレナバイオマスと同様に、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症を治療するために食品や栄養補助食品などの食用組成物の形で経口投与することができる。精製ベータ-1,3-グルカンは、ペースト、ゲル剤、粉末、カプセル、錠剤、又は液体(懸濁液など)として提供することができ、単独で投与されうる又は別の食品と混合されうる。例えば、精製ベータ-1,3-グルカンは、栄養シェイクなどの飲料、栄養バー、焼き菓子、又はシリアルの形で経口投与することができる。
【0136】
組成物中の経口投与される精製ベータ-1,3-グルカンは、1つ以上の追加補助剤、例えば、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-
リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、
マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、並びにプテロスチルベンをさらに含むことができる。さらなる成分としては、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳のいずれかが挙げられる。
【0137】
また、精製ベータ-1,3-グルカンは、腸の炎症を治療するためのヒトなどの対象に投与される医薬製剤の形でも用いることができる。医薬製剤は医薬的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例示的医薬的に許容可能な賦形剤としては、充填剤、結合剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、香料、甘味料、着色剤、界面活性剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、又は安定剤が挙げられる。医薬的に許容される充填剤の例としては、セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アルファ化デンプン、コーンスターチ、及びポテトデンプンが挙げられる。医薬的に許容される結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、及びセルロースが挙げられる。医薬的に許容されるコーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、及びゼラチンが挙げられる。医薬的に許容される崩壊剤の例としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。薬理学的に許容される潤滑剤の例としては、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。医薬的に許容される防腐剤の例としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、及びソルビン酸が挙げられる。医薬的に許容される甘味料の例としては、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、及びソルビトールが挙げられる。医薬的に許容される緩衝剤の例としては、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、及び酒石酸塩が挙げられる。
【0138】
医薬製剤は、腸の炎症を治療するために、対象に経口投与又は対象に静脈内投与することができる。経口で投与される医薬製剤は、錠剤、カプセル、又はシロップなどで固体又は液体として投与することができる。静脈内に投与される医薬製剤については、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、生理食塩水などの水溶液に懸濁又は溶解される。
【0139】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する食用組成物又は医薬製剤の有効量の投与は、投与レジメンの経過後に腸の炎症を治療することができる。例えば、腸の炎症に伴う症状の減少は、7日後、14日後、21日後、30日後、又は60日後に測定することができる。腸の炎症に伴う症状の減少としては、腹痛の減少、下痢の減少、体重減少の減少、食欲不振の減少、及び直腸出血の減少が挙げられる。これらの症状は、体重、便の硬さ、便血、及び結腸の長さによって測定することができる。腸の炎症に伴う症状の減少はまた、病理によって決定される免疫細胞の浸潤及び結腸への損傷の減少によっても測定される。本明細書において記載されているように、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの投与は、有効量の30日後の、腹痛の減少、下痢の減少、体重減少の減少、食欲不振の減少、及び/又は直腸出血の減少をもたらす。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの投与は、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約5%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約10%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約15%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約20%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約25%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約30%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約35%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約40%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約45%以上
の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約50%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約55%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約60%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約65%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約70%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約75%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約80%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約85%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約90%以上の減少、有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約95%以上の減少、又は有効量の30日後の腸の炎症に伴う症状の約99%以上の減少をもたらす。
【0140】
くわえて、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する食用組成物又は医薬製剤の有効量の投与は、投与レジメンの経過後に抗炎症性サイトカイン産生を増加させることができる。例えば、IL-10は、炎症反応を抑えて終わらせることに関与している(Asadullah, K. et al., Pharm. Rev. 2003, 55, 241-269)。さらなる抗炎症性サイトカインとしては、IL-1受容体拮抗剤、IL-4、IL
-6、及びIL-11、及びIL-13が挙げられる。IL-1、腫瘍壊死因子-α、及びIL-18に特異的なサイトカイン受容体が炎症促進性サイトカイン阻害剤として機能しうる(Opal, S. M. et al. CHEST 2000, 117, 1162-1 172)。
【0141】
抗炎症性サイトカイン産生の増加は、例えば、7日後、14日後、21日後、30日後、又は60日後に測定することができる。個体における抗炎症性サイトカイン産生の増加は、例えば、個体から得られる血液又は組織試料の分析によって測定することができる。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの投与は、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約5%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約10%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約15%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約20%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約25%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約30%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約35%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約40%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約45%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約50%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約55%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約60%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約65%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約70%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約75%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約80%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約85%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約90%以上の増加、有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約95%以上の増加、又は有効量の30日後の抗炎症性サイトカイン産生の約100%以上の増加をもたらす。
【0142】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される組成物、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する経口投与される医薬製剤、及び発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する静脈内投与される医薬製剤は各々、腸の炎症を治療するのに有効な投与量で投与される。そのような投与レジメンは一般に、組成物又は医薬製剤のそれぞれに関する体重1kgあたりのベータ-1,3-グルカンの量として理解される。幾つかの実施形態では、組成物又は医薬製剤は、体重1kgあたり約0.1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.25mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mg以上のベータ-1,3-グルカ
ン、体重1kgあたり約1mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約2mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約5mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約10mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約15mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約25mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mg以上のベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約75mg以上のベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約100mg以上のベータ-1,3-グルカンの有効量で対象に投与される。幾つかの実施形態では、組成物又は医薬組成物の有効量は、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.2mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約15mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約0.5mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約1mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約10mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約100mgのベータ-1,3-グルカン、体重1kgあたり約50mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカン、又は体重1kgあたり約25mgのベータ-1,3-グルカン~体重1kgあたり約75mgのベータ-1,3-グルカンである。本明細書において記載されているように、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、有効量の組成物又は医薬製剤は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与することができる。
【0143】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含有する組成物又は医薬製剤の有効量は、腸の炎症を治療するために1日1回対象に投与することができる。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、1日複数回の投与として、例えば、1日2回若しくはより頻回に、1日3回若しくはより頻回に、又は1日4回若しくはより頻回に、対象に投与される。幾つかの実施形態では、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む食用又は医薬組成物の有効量は、週に1回若しくはより頻回に、週に2回若しくはより頻回に、週に3回若しくはより頻回に、週に4回若しくはより頻回に、週に5回若しくはより頻回に、又は週に6回若しくはより頻回に、対象に投与される。
【0144】
微量金属との複合体
幾つかの実施形態では、ベータグルカンは、全体的な免疫系活性を増進しつつ微量金属生物学的利用能を上げるように同時に用いられる複合体を作り出すために、微量金属と複合体を形成することができる。微量金属としては、銅、亜鉛、鉄、コバルト、マグネシウム、モリブデン、マンガン、リチウム、クロム、ニッケル、バナジウム、セレン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ベータグルカンと微量金属の複合体は、溶液中での可溶性無機微量金属塩とベータグルカンの複合体形成の結果でありうる。
【0145】
ベータグルカン多糖類は、乾燥若しくは湿全細胞藻類懸濁液中に存在するパラミロン顆
粒又は乾燥若しくは湿潤全細胞酵母中に存在するベータグルカンなどの生物学的に利用可能な形態のベータグルカン、又は藻類、酵母若しくは他の生物のベータグルカンの抽出源のいずれかである。該多糖類は、1つ以上の滅菌バイオリアクターにおいて従属栄養的に増殖されたユーグレナ・グラシリスの懸濁液又はペーストで構成することができる。ユーグレナはまた、乾燥重量ベースで測定して、藻類生成物のベータグルカン部分が20%を超える藻類バイオマスを構成するように、最適な方法で増殖させることができる。そのような生成物を増殖させて作り出すための過程の例が図5及び図6に示されている。
【0146】
図25を参照すると、発酵過程の実施形態が示されている。藻類バイオマスは、無菌条件下において合成培地で発酵槽(1)で作られる。発酵槽(1)で所望の時間が経過した後、発酵槽発酵液を遠心分離機(2)に移し、発酵液を脱水して、約75%の水分を含有する湿潤藻類食(wet algae meal)と使用済み培地の2つのプロセスの流れ(process stream)が生じる。湿潤藻類食は、全藻類細胞、藻類細胞断片、及び多糖類顆粒の混合物を含有する。湿潤藻類食は、乾燥重量で50%を超えるベータグルカン、非消化性多糖類を含有する多糖溶液でありうる。湿潤藻類食は、混合タンク又は混合を可能にするいずれかの装置(例えば、リボンブレンダー)などのミキサー(3)に移される。随意に、多糖溶液のpHは、酸又は塩基(A)の添加によって調整することができる。
【0147】
ZnSO-HOなどの可溶性金属塩(B)の濃縮溶液をミキサー(3)に加え、多糖溶液と1~120分間激しく混ぜることができる。いずれの水溶性金属塩(B)を使用してもよい。例えば、最終の生成物が、銅多糖複合体、亜鉛多糖複合体、鉄多糖複合体、コバルト多糖複合体、マグネシウム多糖複合体、マンガン多糖複合体、及びそれらの組み合わせであるように、金属塩(B)はベータグルカンと混合することができる。可溶性金属塩(B)溶液の調製は、水中の金属塩(B)の混合物を混ぜながら加熱することを含みうる。随意に、このミキサー(3)を加熱又は冷却してもよい。随意に、材料を低温殺菌し、酵素活性を不活性化するのに必要な温度にミキサー(3)を加熱してもよい。多糖溶液と金属塩(B)溶液の混合中に、金属イオンと湿潤藻類食に存在する多糖類との間にいくらかの量の複合体形成が起こることになり、その結果最終生成物が金属多糖複合体と見なされうる。
【0148】
所望の量の混合後、混合物は、物質を乾燥できるいずれかの装置である脱水装置(4)に移される。例えば、脱水装置(4)は、トレイ乾燥機、ベルト乾燥機、回転ドラム乾燥機などでありうる。材料が含む水分が10%未満になったら、ミル(5)に移し、そこでその粒径を500μm未満に減らす。その粒径を250μm未満に減らすことがより好ましい。材料を粉砕したら、適切なサイズの容器に包装し(6)、ラベルを付ける。随意に、湿潤藻類食への金属塩(B)溶液の添加は省かれてもよく、結果として得られる生成物が藻類食であることになる。
【0149】
図26を参照すると、発酵過程の別の実施形態が示されている。藻類バイオマスは、無菌条件下において合成培地で発酵槽(7)中で作られる。随意に、藻類バイオマスは、飼料等級の材料のみを含有し、有害物質(例えば、重金属、毒素、危険な化学薬品)を含まないいずれかの培地を用いて、無菌ではない条件下において培養タンク内で作られうる。発酵槽又は培養タンク(7)内で所望の時間が経過した後、発酵槽発酵液は、混合タンク又は混合を可能にするいずれかの装置(例えば、リボンブレンダー)などのミキサー(8)に移される。発酵槽発酵液は、全藻類細胞、藻類細胞断片、及び多糖類顆粒の混合物を含有する。無菌ではない培養タンクの場合、低レベルの非藻類バイオマスも存在しうる。
【0150】
随意に、発酵槽発酵液のpHは、酸性又は塩基性の化学物質(C)をミキサー(8)に添加して調整されて細胞を溶解させ、それによって大部分の多糖顆粒を細胞内から放出される。これは、発酵槽発酵液に塩基(例えば、NaOH)を加えることによって達成され
うる。随意に、発酵液を高圧ホモジナイザー又は超音波細胞破砕機を通して機械的に処理して細胞を溶解させてもよい。随意に、発酵液をアルカリ性pHに調整した後、遠心分離前に中和してもよい。すべてではないにしても大部分の細胞が溶解されるのに十分な時間が経過した後、結果として得られた混合物を遠心分離機(9)に移し、発酵液を脱水して、粗多糖溶液(D)他のバイオマス材料(E)の混合物の2つのプロセスの流れが生じる。
【0151】
粗多糖溶液(D)は、混合タンク又は混合を可能にするいずれかの装置(例えば、リボンブレンダー)などのミキサー(10)に移される。随意に、粗多糖溶液(D)は、非多糖材料を除去するために、水又は適切なアルコール(エタノール、イソプロパノール)で洗浄してもよい。さらなる洗浄を、非多糖材料を除去するのに適したいずれかの化学薬品を用いて行ってもよい。粗多糖溶液(D)のpHは随意に酸又は塩基(F)で調整されうる。
【0152】
ZnSO・HOなどの可溶性金属塩(G)の濃縮溶液を調製し、混合タンク(10)に加え、多糖溶液と1~120分間激しく混ぜる。例えば、最終の生成物が、銅多糖複合体、亜鉛多糖複合体、鉄多糖複合体、コバルト多糖複合体、マグネシウム多糖複合体、又はマンガン多糖複合体であることができるようないずれの水溶性金属塩も使用することがでる。可溶性金属塩溶液の調製は、水中の金属塩の混合物を混ぜながら加熱することを含みうる。随意に、ミキサー(10)を加熱又は冷却してもよい。随意に、材料を低温殺菌し、酵素活性を不活性化するのに必要な温度にミキサー(10)を加熱してもよい。多糖溶液と金属塩溶液が混合されているとき、金属イオンと存在する多糖類との間にいくらかの量の複合体形成が起こることになり、その結果、最終生成物が金属多糖複合体と見なされうる。
【0153】
所望の量の混合後に、混合物は、物質を乾燥できるいずれかの装置である脱水装置(11)に移される。例えば、脱水装置(11)は、トレイ乾燥機、ベルト乾燥機、回転ドラム乾燥機などであってよい。材料が含む水分が10%未満になったら、ミル(12)に移し、そこでその粒径を500μm未満に減らす。その粒径を250μm未満に減らすことがより好ましい。材料を粉砕したら、適切なサイズの袋に入れ(13)、ラベルを付ける。
【0154】
非多糖材料(E)は部分的に加水分解されたタンパク質とアミノ酸を含み、混合タンクや混合を可能にするいずれかの装置(例えば、リボンブレンダー)などのミキサー14に移される。非多糖物質(E)のpHは、随意に酸又は塩基(H)で調整することができる。ZnSO・HOなどの可溶性金属塩(I)の濃縮溶液を調製し、ミキサー(14)に加え、アミノ酸に富む材料と1~120分間激しく混ぜる。最終の生成物が、例えば、銅タンパク質化合物、亜鉛タンパク質化合物、鉄タンパク質化合物、コバルトタンパク質化合物、マグネシウムタンパク質化合物、マンガンタンパク質化合物、及びそれらの組み合わせでありうるように、いずれかの水溶性金属塩が使用されうる。可溶性金属塩溶液の調製は、水中の金属塩の混合物を混ぜながら加熱することを含みうる。随意に、ミキサー(14)を加熱又は冷却してもよい。随意に、材料を低温殺菌し、酵素活性を不活性化するのに必要な温度にミキサー(14)を加熱してもよい。非多糖溶液及び金属塩溶液が混合されているとき、金属イオンと、存在する部分的に加水分解されたタンパク質及びアミノ酸との間にいくらかの量の複合体形成が起こり、その結果、最終生成物が金属タンパク質化合物とみなされうる。
【0155】
所望の量の混合後、混合物は、材料を乾燥できるいずれかの装置である脱水器(15)に移される。例えば、脱水装置(15)は、トレイ乾燥機、ベルト乾燥機、回転ドラム乾燥機、多重効用蒸発器などであってよい。材料が含む水分が10%未満になったら、ミル
(16)に移され、そこでその粒径を500μm未満に減らす。その粒径を250μm未満に減らすことがより好ましい。材料を粉砕したら、適切なサイズの袋に入れ(17)、ラベルを付ける。随意に、プロセスの流れ(D、E)各々への金属塩溶液の添加を省いてもよく、結果として得られる生成物は、比較的純粋な多糖類及び部分的に加水分解されたタンパク質食であることになる。
【0156】
微量金属とベータグルカンの複合体形成の利点としては、免疫系を調製するベータグルカンの特徴とあいまって微量金属の生物学的利用能が増加することが挙げられる。ベータグルカンは腸内では難消化性であり、微量金属が作動薬に結合するのを、例えば腸内で放出されるまで防ぐことができる。
【0157】
さらに、最適な免疫系機能を得るためには、亜鉛などのいくつかの微量元素が飼料中に典型的に必要とされるので、ベータグルカンなどの免疫増強化合物との組み合わせは、同じ痕跡量の金属を、別の製品として提供できる他の供給源、例えばアミノ酸又はタンパク質と組み合わせることに比べて、動物用飼料又はビタミンプレミックス混合物に組み合わせることがより好ましい場合がありうる。本発明の方法は、ユーグレナ由来のベータグルカンが、十分に高い濃度の亜鉛及び他の微量金属に結合又は吸収して、動物飼料中で有意な濃度の微量金属を送達する能力を示す。
【0158】
金属ベータグルカン複合体の幾つかの実施形態は、銅ベータグルカン複合体、亜鉛ベータグルカン複合体、鉄ベータグルカン複合体、コバルトベータグルカン複合体、マグネシウムベータグルカン複合体、モリブデンベータグルカン複合体、マンガンベータグルカン複合体、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される構成要素を含む。
【0159】
いずれの微量金属含有無機塩を使用してもよく、塩のいくつかの例としては、すでに飼料成分として商業的に使われている商品であるものが挙げられる。そのような無機塩の例としては、金属硫酸塩、金属酸化物、金属塩化物、水和金属塩、金属酢酸塩、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属リン酸塩、金属亜セレン酸塩、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。塩の部分としては、鉄、マグネシウム、リチウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデン、マンガン、セレン、タングステン、ヨウ素、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
幾つかの実施形態では、結果として得られる金属多糖複合体は、3重量%~25重量%の金属及び少なくとも25重量%のベータグルカンを含む。ある特定の場合では、生成物の多糖部分は、少なくとも50重量%のベータグルカンから構成することができる。ある特定の場合では、生成物の多糖部分は、約50重量%~60重量%のベータグルカンから構成することができる。亜鉛ベータグルカン複合体を作るための微量金属含有塩として硫酸亜鉛又は酸化亜鉛が使用でき、亜鉛ベータグルカン複合体は乾燥重量基準で少なくとも1重量%の亜鉛を含むことができ、動物飼料中の総含有物の3重量%未満で投与できる。
【0161】
ある特定の場合では、生成物の多糖部分は、約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンから構成することができる。幾つかの実施形態では、生成物の多糖部分は、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約55重量%のベータ-1,3-グルカンから構成することができる。
【0162】
ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物を作製する方法
ユーグレナは光合成状態で自然に増殖及び繁殖する緑藻類の属であり、したがって生存は日光に依存している。しかし、光合成を利用して増殖させたユーグレナの大規模な培養は困難であり、費用対効果に優れない。そのうえ、光合成を利用して増殖させたユーグレナは、生じるベータグルカンの量が少ない(すなわち、総ユーグレナ細胞マスの20%未満)。したがって、本明細書に記載の方法及び組成物に有用なユーグレナは大きな発酵タンクでの発酵によって培養される。一般に、発酵ユーグレナ培養物は、ほとんど又は全く環境光なしに従属栄養的に増殖し、提供された栄養素に依存してベータ-1,3-グルカン及び他の細胞成分を合成する。発酵を利用して増殖させたユーグレナは、自然発生又は光合成ユーグレナ培養物よりも高い細胞密度に培養することができ、それによってより多くの量のベータ-1,3-グルカンを生産することができる。本明細書に記載の発酵ユーグレナは米国特許出願公開第2013/0303752号に記載の方法を用いて得ることができる。
【0163】
好ましくは、本明細書に開示の方法に有用なユーグレナは、ユーグレナがその環境において優占な微生物である状態を保つように制御される環境で培養される。多くの混入生物が同じ生物学的資源(例えば、栄養素、微量栄養素、ミネラル、及び/又は有機エネルギー)を競合できるので、どの生物の増殖も制御することは困難である。これらの微生物の多くは増殖速度が速く、ユーグレナに有利に働くいくつかの制御された増殖機構を欠くユーグレナとの競合に勝つことができる。これらの増殖過程には、ユーグレナに有利な増殖培地の採用、ユーグレナに有利な温度での操作、ユーグレナに有利なpHレベル、ユーグレナ以外の競合生物に有毒な化合物の添加、及びユーグレナの選択的なろ過又は分離などの方法の1つ以上を含むことができる。これらの方法は各々、増殖速度及びエネルギーをベータ-1,3-グルカンに変換するユーグレナの能力に影響する。一般に、非制御環境で増殖されたユーグレナは、より制御された増殖環境で生産されるベータ-1,3-グルカンが示すことになる、高いベータ-1,3-グルカン濃度、速い増殖速度、及び効率的なユーグレナの増殖といった同様の有益な特性を示さないであろう。
【0164】
効率的にベータ-1,3-グルカンを生産する、費用対効果が高い大規模なユーグレナ培養を実現するために、該生物は一般に大型の好気発酵タンクで培養される。増殖培地は、ユーグレナ増殖及びベータ-1,3-グルカン産生のための炭素源、窒素源、及び他の成長栄養素を提供する。培養培地、収穫スケジュール、及び発酵条件は、最適なベータ-1,3-グルカン生産を確実にするように注意深く制御される。幾つかの実施形態では、生産方法は、約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンをもつユーグレナを大量に作り出す。
【0165】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの効率的な生産は、ベータ-1,3-グルカン生産のコストをいくつかの点で削減する。第1に、ユーグレナによって作られるベータ-1,3-グルカンは、生物の細胞壁に含有されておらず、ベータグルカンを作ることが知られている他の生物に必要であるような、精巧な且つ/又は高価な分画方法又は抽出過程を必要としない。第2に、ユーグレナ生物は比較的大きく、遠心分離機、フィルター、又は他の分離装置を使用することによって比較的迅速に水から分離することができる。第3に、個々のユーグレナ細胞は、他の生物と比較して、より大きな割合のベータ-1,3-グルカン(総細胞マスのパーセント割合として)から構成され、結果としてベータ-1,3-グルカンの回収がより容易なものになる。幾つかの実施形態では、ユーグレナ増殖は光暴露によって補われる。
【0166】
ユーグレナの発酵増殖
本明細書に記載の組成物及び方法に有用なユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、発酵を利用してユーグレナを増殖させることによって作られる。一般に、培養培地は培養物が従属栄養的に増殖するようにユーグレナに与えられる。しかし、ユーグレナは少なくとも部分的に光を当てて培養できることが企図される。ユーグレナが光合成を利用して増殖するのではなく従属栄養的に発酵される場合、ベータ-1,3-グルカンの大規模な生産は、藻類のための光合成増殖条件の大規模な設定及び発酵を利用した増殖中に得られる細胞密度に一部起因して、実質的に費用効果がより高い。
【0167】
発酵を利用してユーグレナを増殖させる例示的な方法は、本明細書及び米国特許公開第2013/0303752号に記載されている。これらの効率的で且つ費用効果が高い方法は、ユーグレナバイオマスとして投与又はさらに精製できるユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの生産を含む、本明細書に記載の方法及び組成物に有用なユーグレナの培養を可能にする。ユーグレナバイオマスは、例えば、食用組成物に用いることができる。ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンは、食用組成物として、又は経口投与若しくは静脈内投与できる医薬製剤として投与することができる。
【0168】
発酵を利用して増殖させるユーグレナは、増殖培地を用いて培養される。増殖培地は、炭素源、窒素源、及び他の微量栄養素を含む、増殖中のユーグレナ培養物に栄養素を供給する。増殖培地はまた、増殖培養物のpHを維持するための緩衝液を含む。望ましくない生物(細菌など)の増殖を防ぐために、増殖培地は発酵タンクに添加する前に滅菌される。増殖培地は、例えば、フィルター、蒸気、オートクレーブ、又はそれらの組み合わせを使用することによって滅菌することができる。随意に、培地の相異なる構成成分は、保管中の完全な増殖培地の形成及び増殖培地の異物混入を防止するために別々の保管場所に保持される。
【0169】
発酵ユーグレナは、増殖培地に存在する炭素源に依存する。炭素源の例としては、グルコース、デキストロース、若しくは他の糖類、酢酸塩、又はエタノールが挙げられる。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、約50g/L以下、約40g/L以下、約30g/L以下、約25g/L以下、約20g/L以下、約15g/L以下、約10g/L以下、約5g/L以下、約4g/L以下、約3g/L以下、約2g/L以下、約1g/L以下、約0.5g/L以下、又は約0.1g/L以下で炭素源を含む増殖培地で培養される。随意に、増殖培地には増殖過程の間に追加の炭素源が補充される。例えば、炭素源は、ユーグレナ培養物の増殖過程の間に、増殖培地に2回以上、増殖培地に3回以上、又は増殖培地に4回以上添加することができる。炭素源は半連続的に添加することができる。炭素源はまた、増殖培地に連続的に添加することもできる。
【0170】
また、発酵によってユーグレナを増殖させるのに有用な増殖培地は、水酸化アンモニウム、アンモニアガス、硫酸アンモニウム、又はグルタミン酸などの窒素源も含む。幾つかの実施形態では、増殖培地は、約0.1g/L~約3g/Lの窒素源、約0.2g/L~約2g/Lの窒素源、又は約0.5g/L~約1g/Lの窒素源を含む。好ましくは、窒素源は水酸化アンモニウムである。
【0171】
増殖培地はユーグレナ培養物に必要な追加の栄養素をさらに含む。例えば、増殖培地は、リン酸カリウム(約0.25g/L~約5g/Lのリン酸カリウム、約0.5g/L~約4g/Lのリン酸カリウム、若しくは約1g/L~約3g/Lのリン酸カリウムなど)、硫酸マグネシウム(約0.25g/L~約5g/Lの硫酸マグネシウム、約0.5g/L~約4g/Lの硫酸マグネシウム、若しくは約1g/L~約3g/Lの硫酸マグネシウムなど)、塩化カルシウム(約0.005g/L~約0.5g/Lの塩化カルシウム、約0.01g/L~約0.4g/Lの塩化カルシウム、若しくは0.1g/L~約0.25
g/Lの塩化カルシウムなど)、又は微量栄養素を含む微量金属ストック溶液を含むことができる。
【0172】
増殖培地のpHを維持することにより、効率的なベータ-1,3-グルカン生産、ユーグレナ細胞増殖が可能になり、望ましくない細菌の増殖を制限する助けとなる。約3~約4のpHはユーグレナに好都合であるが、大部分の細菌にとって最適に及ばない増殖条件をもたらす。幾つかの実施形態では、増殖培地のpHは、約2~約7、約2~約6、約3~約5、約3~約4、又は約3~約3.5である。増殖培地のpHを所望の範囲に維持するために、緩衝液、例えばクエン酸塩及び/又はクエン酸を増殖培地に含めることができる。
【0173】
増殖培地の所望のpHはいくつかの方法で達成又は維持することができる。増殖培地のpHを手動でモニターし、酸又は塩基を定期的に手動で添加して、増殖培地の所望のpHを達成することができる。代替的又は付加的に、増殖培地のpHは自動制御システムに接続されたpHセンサーで測定することができ、自動制御システムは酸又は塩基を自動的に添加するポンプ、ホッパー又は他の装置を制御して、自動制御システムにプログラムされた増殖培地の所望のpHを達成する。幾つかの実施形態では、ユーグレナの代謝過程が増殖培地のpHを所望の範囲内に十分に調節する。
【0174】
発酵中にユーグレナに十分な酸素を供給するために、増殖培地は、例えば、約0.5mg/L~約4mg/Lの酸素、約1mg/L~約3mg/Lの酸素、又は約2mg/Lの酸素に、随意に酸素供給することができる。細胞培地は発酵タンク投入前に酸素供給を受けることができ、又は発酵ユーグレナ培養物は周囲の酸素を増殖培地に容易に溶解させるように混ぜることができる。
【0175】
ユーグレナを発酵させる系は1つ以上のバイオリアクターを含むことができる。ユーグレナ培養物は、特定の細胞密度又は特定の長さの時間までバイオリアクターで培養され、その後培養物は収穫される又はより大きなバイオリアクターに接種するために使用される。随意に、ユーグレナ培養物の一部をバイオリアクターに残して、バイオリアクターに添加された新鮮な増殖培地に接種することができる。発酵を利用して増殖させたユーグレナは、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上のバイオリアクターを必要としうる多段階法で増殖させることができ、前にあるバイオリアクターの内容物は後ろのバイオリアクターに移されて、そこで希釈される。ユーグレナを発酵させる別の例では、ユーグレナ細胞培養物は流加法を用いて培養され、ユーグレナ培養物が増殖するにつれて、新鮮な増殖培地又は特定の培地成分がバイオリアクターに連続的に加えられる。また、反復回分法もユーグレナを発酵させるのに使用でき、ユーグレナ培養物は規則的な間隔で又は連続的に収穫され、新鮮な増殖培地と交換される。
【0176】
1つの例では、ユーグレナは単一のバイオリアクター又は発酵タンクで培養される。細胞増殖培地はバイオリアクターに加えられ、ユーグレナ培養物が接種される。ユーグレナ培養物は、例えば、異なるバイオリアクターからの培養物又は増殖プレートから選択されたユーグレナコロニーでありうる。幾つかの実施形態では、単一のバイオリアクターは、約100リットル以上、約200リットル以上、約300リットル以上、約500リットル以上、約750リットル以上、又は約1000リットル以上である。幾つかの実施形態では、単一のバイオリアクターは、約100リットル以上、約200リットル以上、約300リットル以上、約500リットル以上、約750リットル以上、約1,000リットル以上、約5,000リットル以上、約10,000リットル以上、約15,000リットル以上、又は約20,000リットル以上である。収穫前バイオリアクター内ユーグレナ発酵。
【0177】
また、ユーグレナ培養物は、複数のバイオリアクターが順番に使用される多段階発酵過程でも増殖することができる。多段階発酵過程では、各バイオリアクターは、先行するバイオリアクター内のバイオリアクターよりも大きなバイオリアクター容積を有する。ユーグレナ培養物は、まずある特定の細胞密度に達するように培養される。次いで、この培養物を使用して、次の後続のバイオリアクターに接種される。
【0178】
図2は、本明細書に開示の方法及び組成物に有用な多段階法で発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを形成する例示的な実施形態の概要を示す。図3は、多段階法で発酵を利用してユーグレナを増殖させるために使用することができる例示的なバイオリアクターを示す。200において、増殖培地を第1のバイオリアクター段階に加え、ユーグレナ細胞が接種される。第1のバイオリアクター段階は、スターター培養に有用な任意の小さい容器、例えば、回転式又は旋回式シェーカーテーブル又はマグネチックスターラーバー上で表面拡散によって酸素供給される三角フラスコ又は斜面培地であることができる。図3は、第1のバイオリアクター段階の1つの実施形態を示しており、この図では「斜面培地」と表記されている。この第1のバイオリアクターは、加熱台(heated table)を用いて加熱することができる。第1のバイオリアクターは環境制御雰囲気を有することもできる。New Brunswick Scientific Innova 4000 Heated Desktop Incubatorなどの加熱シェーカー台は、加熱と、増殖培地の表面を激しく動かすのに
十分な動きをもたらすことによってフラスコに酸素を送り込む能力とを兼ね備えた装置の一例である。増殖培地の接種後、ユーグレナ培養物は、所定の時点又は所定の細胞密度が得られるまで、第1のバイオリアクターで培養される。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、第1のバイオリアクター内で、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、約60時間以上、約72時間以上、約84時間以上、約96時間以上、約108時間以上、又は約120時間以上培養される。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、該バイオリアクター内で、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度に達するまで増殖する。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、該バイオリアクター内で、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで増殖する。必要又は所望の場合、ユーグレナが増殖している間に、第1のバイオリアクターには新鮮な増殖培地が補充される。
【0179】
ステップ205では、第1のバイオリアクターの内容物又は第1のバイオリアクターの内容物の一部が第2のバイオリアクターに移される。随意に、ステップ210では、第1のバイオリアクターの内容物又は第1のバイオリアクターの内容物の一部がさらなる工程のために収穫される。第1のバイオリアクターの内容物の一部は、異なる培養のための接種材料として保持することができる。随意に、210でユーグレナが第2段階に移される前に、第1のバイオリアクター段階の内容物は200でろ過されるか、又はユーグレナはその他の方法で濃縮される。
【0180】
第1のバイオリアクターからのユーグレナ培養物は、ユーグレナのさらなる培養を開始するために、第2のバイオリアクターの増殖培地に接種するのに使用される。一般に、第2のバイオリアクターは第1のバイオリアクターより大きい。図3は、第2のバイオリア
クター段階の1つの例を示しており、この図では「フラスコ」と表記されている。第1のバイオリアクターの内容物は、希釈後の第2のバイオリアクター内のユーグレナの濃度が1リットルあたり約0.1グラムの乾燥重量~1リットルあたり約10グラムの乾燥重量となるように第2のバイオリアクターで希釈される。第2のバイオリアクターは、第1のバイオリアクター段階より最高で約10倍大きく、第1のバイオリアクター段階より最高で約20倍大きく、第1のバイオリアクター段階より最高で約30倍大きく、第1のバイオリアクター段階より最高で約50倍大きく、第1のバイオリアクター段階より最高で約75倍大きく、又は第1のバイオリアクター段階より最高で約100倍大きくすることができる。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、第2のバイオリアクター内で、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、約60時間以上、約72時間以上、約84時間以上、約96時間以上、約108時間以上、又は約120時間以上発酵することによって増殖する。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、該バイオリアクター内で、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度に達するまで発酵する。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、該バイオリアクター内で、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで発酵する。必要又は所望の場合、ユーグレナが増殖している間に、第2のバイオリアクターには新鮮な増殖培地が補充される。
【0181】
図2にさらに図示されるように、第2のバイオリアクターの内容物又は内容物の一部はステップ215で第3のバイオリアクターに移される。図3は、第1のバイオリアクター段階の1つの実施形態を示しており、この図では「種発酵槽(Seed Fermenter)」と表記されている。随意に、第2のバイオリアクターの内容物又は一部はステップ220で第2のバイオリアクターから収穫される。一般に、第3のバイオリアクターは、第2のバイオリアクターの約1~約100倍大きく、約100リットル以上、約250リットル以上、約500リットル以上、約1000リットル以上、約2500リットル以上、約5000リットル以上、約7500リットル以上、約10,000リットル以上、約15,000リットル以上、約25,000リットル以上、約50,000リットル以上、又は約100,000リットル以上であることができる。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、第3のバイオリアクター内で、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、約60時間以上、約72時間以上、約84時間以上、約96時間以上、約108時間以上、又は約120時間以上発酵することによって増殖して、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度に達する。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、第3のバイオリアクター内で、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重
量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで発酵する。必要又は所望の場合、ユーグレナが増殖している間に、第3のバイオリアクターには新鮮な増殖培地が補充される。
【0182】
図2にさらに図示されるように、ステップ225で第3のバイオリアクターの内容物又は内容物の一部は第4のバイオリアクターに移される。図3は、第4のバイオリアクター段階の1つの実施形態を示しており、この図では、「生産発酵槽(Production Fermenter)」と表記されている。随意に、第3のバイオリアクターの内容物又は一部はステップ230で第3のバイオリアクターから収穫される。一般に、第4のバイオリアクターは、第3のバイオリアクター段階より約1~約100倍大きい容積を有し、容積は、約100リットル以上、約250リットル以上、約500リットル以上、約1000リットル以上、約2500リットル以上、約5000リットル以上、約7500リットル以上、約10,000リットル以上、約15,000リットル以上、約25,000リットル以上、約50,000リットル以上、約100,000リットル以上、約200,000リットル以上、約400,000リットル以上、約600,000リットル以上、約800,000リットル以上、又は約1,000,000リットル以上である。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、第4のバイオリアクター内で、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、約60時間以上、約72時間以上、約84時間以上、約96時間以上、約108時間以上、又は約120時間以上発酵することによって増殖し、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度に達する。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで発酵する。ユーグレナが増殖している間に、第4のバイオリアクターには新鮮な増殖培地を補充することができる。図2は、第4のバイオリアクターの内容物がステップ240で収穫されることを図示するが、後続のバイオリアクターが使用される可能性があることがさらに企図される。図3は遠心分離機を使用して収穫する1つの方法を図示する。
【0183】
反復バッチ法も発酵を利用してユーグレナを培養するために使用することができる。反復バッチ法では、バイオリアクター内で増殖したユーグレナの一部を収穫し且つ/又は異なるバイオリアクターに移し、ユーグレナの一部を、後のユーグレナ成長のための接種材料としてバイオリアクターに残す。次いで、接種材料は、新鮮な増殖培地をバイオリアクターに加えることによって希釈される。図4Aは、反復回分法による発酵を利用して増殖させたユーグレナ1つの例示的な実施形態を図示する。ステップ400では、増殖培地をバイオリアクターに加え、ユーグレナ細胞を接種する。ユーグレナは、発酵によってバイオリアクター内で、ユーグレナ細胞密度が、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以
上の乾燥重量所定の細胞密度に達するまで増殖させることができる。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、バイオリアクター内で、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで発酵する。ユーグレナの増殖は、所望の細胞密度に達するのに、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、又は約60時間以上続きうる。
【0184】
ステップ410では、バイオリアクターの内容物の第1の部分が収穫される。バイオリアクターの内容物の第2の部分はバイオリアクターに残り、次の培養物を接種する。したがって、バイオリアクターの内容物の第1の部分が収穫された後、細胞密度を薄めるために新鮮な培地が420でバイオリアクターに加えられる。所望の量のユーグレナ生産に達するまで、又は混入生物が最終的にバイオリアクターのかなりの部分を占め、バイオリアクターを空にして消毒する理由になるまで該過程を続けることができる。ユーグレナ成長対時間の反復バッチ収穫の一例を図4Bに示す。図4Bに見られるように、いったんユーグレナが所定の細胞密度まで発酵すると、内容物の一部を収穫し、残ったものを新鮮な培地で希釈して新しい培養物を接種する。
【0185】
定流量流加法などの流加法も、発酵を利用してユーグレナを培養するために使用することができる。流加法では、ユーグレナ培養物は、所望の細胞密度に達するまで接種増殖培地中で増殖させる。この初期増殖期は一般に「バッチ段階」と呼ばれる。バッチ段階は、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、又は約60時間以上でありうる。その間にユーグレナ培養物は、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度に達する。例えば、ユーグレナは、バッチ段階の間にバイオリアクター内で、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度に達するまで増殖することができる。バッチ段階が完了した後、ユーグレナ細胞は連続的に収穫され、新鮮な増殖培地と交換される。この収穫及び交換過程は連続段階と呼ばれる。連続段階の間、栄養素レベル、pH、溶存酸素、又は他のパラメーターは、例えば、1つ以上のセンサーを使用してモニターされる。
【0186】
1つの実施形態では、反復回分過程は最高で30日間行われる。別の実施形態では、反復回分過程は最高で60日間行われる。さらに別の実施形態では、反復回分過程は最高で90日間行われる。さらに別の実施形態では、反復回分過程は最高で120日間行われる。
【0187】
(多段階過程における第1のバイオリアクター、第2のバイオリアクター、第3のバイオリアクター、第4のバイオリアクター、若しくは後続のバイオリアクターであっても、反復回分過程におけるバイオリアクターであっても、又は流加過程におけるバイオリアクターであっても)バイオリアクターのいずれか1つは、増殖中にユーグレナを入れるため
の金属製又はガラス製の発酵タンクであることができる。図5及び図6は、発酵によってユーグレナを増殖させるのに有用な例示的なバイオリアクターを図示する。
【0188】
一般に、バイオリアクターは、1つ以上の制御された通気口、通気用又は酸素供給用の1つ以上の投入口、又は追加の増殖培地を供給するための1つ以上の投入口を除いて、操作中は雰囲気に対して閉じられている。これにより、発酵状態をより良好に制御し、コンタミネーションを制限することができる。増殖培地を供給するための投入口は、望ましくない非ユーグレナ微生物がチャンバーに入るのを防ぐために、除菌フィルター、例えば孔径が0.2ミクロン未満のフィルターを含むことができる。コンタミネーションをさらに制限するために、バイオリアクターのいずれか1つをバッチ間で洗浄又は消毒することができる。バイオリアクターの洗浄又は消毒には、蒸気、熱、又はエタノール、漂白剤、又は他の化学薬品などの消毒剤が含むことができる。
【0189】
発酵中のユーグレナ増殖及びベータ-1,3-グルカン産生を刺激するのを助けるために、増殖培地は酸素供給を受ける又は混合することができる。例えば、増殖培地を通気すること又は加圧酸素が液体に予め溶解されている追加の液体を受けることによって、さらなる酸素をユーグレナ培養物に供給することができる。増殖培地は、例えば、増殖中に増殖培地に酸素を豊富に含む空気を供給することによって、又は培養物を1つ以上の混合装置で混合して培養物を攪拌することによって通気することができる。
【0190】
ユーグレナを発酵させるために使用されるバイオリアクターの1つ以上は、ユーグレナを混合する又は増殖培地を通気するためのエアリフト又はバブルカラムシステムを含むことができる。図6は、エアリフトを用いた発酵を利用してユーグレナを増殖させるためのバイオリアクターの一例を示す。エアリフト反応器は、増殖中の細胞に対するより少ないせん断応力で、十分に混合及び通気することができる。
【0191】
1つ以上のバイオリアクターは、増殖中にユーグレナを混合又は通気するための混合ブレードを備えた機械的攪拌装置を含むことができる。図5は、機械的攪拌装置、例えば、マリンブレード(marine blade)又は固定角ブレードなどの低せん断混合ブレードを含む例示的なバイオリアクターを示す。低せん断混合ブレードは、増殖中のユーグレナ細胞の損傷を制限する。
【0192】
ユーグレナは、第1のバイオリアクター、第2のバイオリアクター、第3のバイオリアクター、第4のバイオリアクター、又は後続のバイオリアクターであるかどうかに関わらず、最後のバイオリアクターで増殖させた後に収穫又は移動される。幾つかの実施形態では、ユーグレナは、バイオリアクター内で、約12時間以上、約24時間以上、約36時間以上、約48時間以上、約60時間以上、約72時間以上、約84時間以上、約96時間以上、約108時間以上、又は約120時間以上発酵した後に、収穫される又は新しいバイオリアクターに移される。例えば、ユーグレナは、収穫される前又は新しいバイオリアクターに移される前に約12~約120時間、例えば、収穫される前又は新しいバイオリアクターに移される前に約24時間~約96時間、約36時間~約72時間、又は約48時間~約60時間培養することができる。ユーグレナ細胞培養物の収穫において、最終バイオリアクターの全内容物を採取してもよく、細胞培養物の一部を取っておいてもよい。取っておいた細胞培養物は、異なるバイオリアクター又は同じバイオリアクターにおける接種材料として使用することができる。
【0193】
幾つかの実施形態では、発酵を利用してユーグレナを増殖させる方法は、ユーグレナを、1リットルあたり約20グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約30グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約40グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約50グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約75グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約
100グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約125グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約150グラム以上の乾燥重量、1リットルあたり約175グラム以上の乾燥重量、又は1リットルあたり約200グラム以上の乾燥重量の細胞密度で生産する。その他の実施形態では、ユーグレナを増殖させる方法は、ユーグレナを、1リットルあたり約10グラムの乾燥重量~1リットルあたり約200グラムの乾燥重量、1リットルあたり約15グラムの乾燥重量~1リットルあたり約150グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約100グラムの乾燥重量、1リットルあたり約20グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量、又は1リットルあたり約40グラムの乾燥重量~1リットルあたり約60グラムの乾燥重量の細胞密度で生産する。さらに他の実施形態では、ユーグレナは、約30重量%~約40重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約50重量%のベータ-1,3-グルカン、約50重量%~約60重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約60重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、約40重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカン、又は約50重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンなどの約30重量%~約70重量%のベータ-1,3-グルカンを有する。
【0194】
ユーグレナがバイオリアクターから収穫された後、ユーグレナバイオマスは、例えば、遠心分離、タンジェンシャルフローろ過、フィルタープレス、ベルトプレス、又は他の固液分離装置によって増殖培地から分離される。一般に、ユーグレナバイオマスは、組成物が約20重量%以上の固形分、約25重量%以上の固形分、約30重量%以上の固形分、約35重量%以上の固形分、又は約40重量%固形分以上に達するまで増殖培地から分離される。
【0195】
次いで、収穫されたユーグレナバイオマスはさらに加工される前に乾燥させることができる。ユーグレナバイオマスは、ベルト乾燥機、スプレードライヤー乾燥機、ドラム乾燥機、炉を使用して、又は広い表面積にバイオマスを広げて蒸発乾燥を利用することによって乾燥させることができる。熱又は真空を適用して乾燥過程を助けることができる。また、ユーグレナバイオマスは凍結乾燥されて、乾燥バイオマスを作ることもできる。ユーグレナバイオマスは、40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、又は約1%以下の含水率に達するまで乾燥させることができる。
【0196】
乾燥ユーグレナバイオマスは、血清コレステロールレベル若しくは血清トリグリセリドレベルを低下させるための食用組成物として投与することができ、又は対象の免疫機能を調節するために投与することができる。また、ユーグレナバイオマスはさらに加工されて、血清コレステロールレベル若しくは血清トリグリセリドレベルを低下させる又は対象の免疫機能を調節するために投与される医薬製剤の食用組成物で用いるユーグレナ由来ベータ-1,3-グルカンを精製することもできる。
【0197】
乾燥ユーグレナバイオマスは、対象の腸の炎症を治療するための食用組成物として投与することができる。また、ユーグレナバイオマスはさらに加工されて、対象の腸の炎症を治療するために投与される医薬製剤の食用組成物で用いるユーグレナ由来ベータ-1,3-グルカンを精製することもできる。
【0198】
発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンの精製
ベータグルカンは、ユーグレナから液/固分離、物理的分離法、又は別の方法によって抽出することができる。ユーグレナによって産生されるベータ-1,3-グルカンのかなりの部分はパラミロンの形態である。パラミロンは一般に、約0.5~約2ミクロンの水に不溶性の顆粒の形でユーグレナに存在し、ユーグレナ細胞内に位置する。したがって、ベータ-1,3-グルカンは一般に、ユーグレナ細胞を溶解し、ベータ-1,3-グルカ
ンを残留バイオマスから単離することによって精製される。随意に、ベータ-1,3-グルカンはメタノールを用いて精製される。ベータ-1,3-グルカンはクロロホルムを用いることなく精製するのが好ましい。
【0199】
ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンは、細胞を溶解し、ベータ-1,3-グルカンを単離することによって抽出される。ユーグレナ細胞は、超音波処理又は高圧ホモジナイゼーションを用いて溶解することができる。随意に、溶解化学物質が溶解ステップ中に含まれる。しかし、溶解化学物質を加えずにユーグレナ細胞を溶解することが可能である。溶解ステップ中に含まれうる例示的な溶解化学物質としては、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、酵素、塩基(水酸化ナトリウムなど)、又は酸(酢酸若しくは塩酸など)が挙げられる。ユーグレナ細胞を溶解した後、ベータ-1,3-グルカンは、ろ過又は重力分離(重力沈降若しくは遠心分離など)を用いて単離される。次いで、より高い純度を得るために、単離されたベータ-1,3-グルカンは、例えば水溶液又はエタノールで洗浄することができる。
【0200】
ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの精製後に、さらなる加工ステップが精製ベータ-1,3-グルカンを改変することができる。改変ベータ-1,3-グルカンは、ベータグルカン受容体として同定されているタンパク質であるデクチン-1などの免疫系受容体に対する結合親和性の増加を示す。例えば、硫酸化多糖類が抗HIV活性を示すことが実証されている(例えば、米国特許第5,861,383号)。硫酸化ベータ-1,3-グルカンを調製する1つの例示的な方法では、精製ベータ-1,3-グルカンをジメチルスルホキシドに溶解し、乾燥ピリジンとクロロスルホン酸の混合物と混ぜる。次いで、混合物を加熱し、上清をデカンテーションで移す。続いて、ベータ-1,3-グルカン硫酸ピリジニウムを沈殿させるために蒸留水又はメタノールを上清に加え、次に該塩をろ過によって集めることができる。代替的に、塩化ナトリウムを上清に加えて、pHを9に上げて、ベータ-1,3-グルカン硫酸ナトリウムをアセトン溶液中に沈殿させることができる(Sakagami et al, In vivo 3:243-248 (1989)を参照されたい)。
【0201】
また、ユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを改変してカチオン性にすることもできる。カチオン性ベータグルカンは、デクチン-1及び補体受容体3などのベータグルカン受容体との増加した結合親和性を有するので、免疫調節物質としてより生物学的に活性であることができる(Sakagami et al, Antiviral Research, 21:1-14 (1993)を参照されたい)。発酵によって増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンは、ジメチルエタノールアミン(DMAE)で改変して、カチオン性ベータ-1,3-グルカンを作ることができる。DMAEベータ-1,3-グルカンを生成する1つの例示的な方法は、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを塩基溶液(NaOHを含む溶液など)に溶解させること及びDMAE塩化物(溶液又は乾燥粉末として)を加えることを含む。結果として起こる反応はDMAEベータ-1,3-グルカンを生成する。
【0202】
例示的な実施形態
実施形態I-1.本開示は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を、それを必要としているヒトに経口で投与することを含むヒトの免疫機能を調節する方法を提供する。
【0203】
実施形態I-2.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。
【0204】
実施形態I-3.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物の投与は、自己免疫反応、血糖値、感染症、又は炎症を調節する。
【0205】
実施形態I-4.本開示は実施形態I-3の方法を提供し、そこにおいて、炎症はアレルギーに関連する。
【0206】
実施形態I-5.本開示は実施形態I-3の方法を提供し、そこにおいて、自己免疫反応は糖尿病に関連する。
【0207】
実施形態I-6.本開示は実施形態I-3の方法を提供し、そこにおいて、感染症は、細菌感染症、真菌感染症、又はウイルス感染症である。
【0208】
実施形態I-7.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナは従属栄養的に培養される。
【0209】
実施形態I-8.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。
【0210】
実施形態I-9.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。
【0211】
実施形態I-10.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0212】
実施形態I-11.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスは前記ベータ-1,3-グルカンを含む。
【0213】
実施形態I-12.本開示は実施形態I-11の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。
【0214】
実施形態I-13.本開示は実施形態I-12の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工される。
【0215】
実施形態I-14.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は毎日、単回投与として投与される。
【0216】
実施形態I-15.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0217】
実施形態I-16.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレ
ン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0218】
実施形態I-17.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は固体として投与される。
【0219】
実施形態I-18.本開示は実施形態I-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は懸濁液として投与される。
【0220】
実施形態I-19.本開示は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量をコレステロールが高いヒト又はコレステロールが高くなるリスクがあるヒトに経口で投与することを含む、該ヒトの免疫機能を調節する方法を提供する。
【0221】
実施形態I-20.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物の投与はヒトのコレステロールのレベルを減少させる。
【0222】
実施形態I-21.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。
【0223】
実施形態I-22.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。
【0224】
実施形態I-23.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。
【0225】
実施形態I-24.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。
【0226】
実施形態I-25.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0227】
実施形態I-26.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスはベータ-1,3-グルカンを含む。
【0228】
実施形態I-27.本開示は実施形態I-26の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。
【0229】
実施形態I-28.本開示は実施形態I-27の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0230】
実施形態I-29.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は毎日、単回投与として投与される。
【0231】
実施形態I-30.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0232】
実施形態I-31.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピ
ルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノ
レン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0233】
実施形態I-32.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は、スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤と併用して投与される。
【0234】
実施形態I-33.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は固体として投与される。
【0235】
実施形態I-34.本開示は実施形態I-19の方法を提供し、そこにおいて、組成物は懸濁液として投与される。
【0236】
実施形態II-1.本開示は、発酵を利用して増殖させたユーグレナに由来するベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を腸の炎症をもつヒトに経口で投与することを含む、該ヒトの免疫機能を増強する方法を提供する。
【0237】
実施形態II-2.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である。
【0238】
実施形態II-3.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、腸の炎症は炎症性腸疾患である。
【0239】
実施形態II-4.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、腸の炎症は大腸炎である。
【0240】
実施形態II-5.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、腸の炎症はクローン病である。
【0241】
実施形態II-6.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。
【0242】
実施形態II-7.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはパラミロンを含む。
【0243】
実施形態II-8.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはベータ-(1,6)-グリコシド結合を含まない。
【0244】
実施形態II-9.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0245】
実施形態II-10.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成
物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスは前記ベータ-1,3-グルカンを含む。
【0246】
実施形態II-11.本開示は実施形態II-10の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは乾燥されている。
【0247】
実施形態II-12.本開示は実施形態II-11の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0248】
実施形態II-13.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は毎日、単回投与として投与される。
【0249】
実施形態II-14.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0250】
実施形態II-15.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リ
ノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0251】
実施形態II-16.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は固体として投与される。
【0252】
実施形態II-17.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は懸濁液として投与される。
【0253】
実施形態II-18.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物を投与することは抗炎症性サイトカイン産生を増加させる。
【0254】
実施形態II-19.本開示は実施形態II-1の方法を提供し、そこにおいて、組成物は、抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質と併用して投与される。
【0255】
実施形態III-1.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療する方法を提供し、その方法は、ヒトに、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンふぇを含む組成物の有効量を経口で投与することを含む。
【0256】
実施形態III-2.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患をもつヒトの前記疾患を治療する方法を提供し、その方法は、該ヒトに、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の有効量を経口で投与することを含む。
【0257】
実施形態III-3.本開示は実施形態III-1~III-2のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、疾患は高脂血症である。
【0258】
実施形態III-4.本開示は実施形態III-3の方法を提供し、そこにおいて、組成物の投与はヒトのコレステロールのレベルを減少させる。
【0259】
実施形態III-5.本開示は実施形態III-3~III-4のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。
【0260】
実施形態III-6.本開示は実施形態III-3~III-4のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。
【0261】
実施形態III-7.本開示は実施形態III-3~III-6のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は、スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤と併用して投与される。
【0262】
実施形態III-8.本開示は実施形態III-1の方法を提供し、そこにおいて、疾患は、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される。
【0263】
実施形態III-9.本開示は実施形態III-1の方法を提供し、そこにおいて、疾患は、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される。
【0264】
実施形態III-10.本開示は実施形態III-8~III-9のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、疾患は大腸炎である。
【0265】
実施形態III-11.本開示は実施形態III-8~III-9のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、疾患は炎症性腸疾患である。
【0266】
実施形態III-12.本開示は実施形態III-8~III-9のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、疾患はクローン病である。
【0267】
実施形態III-13.本開示は実施形態III-8の方法を提供し、そこにおいて、疾患は結腸がんである。
【0268】
実施形態III-14.本開示は実施形態III-8~III-13のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物の有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重~100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重を含む。
【0269】
実施形態III-15.本開示は実施形態III-8~III-14のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物を投与することは、抗炎症性サイトカイン産生を増加させる。
【0270】
実施形態III-16.本開示は実施形態III-8~III-15のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は、抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質と併用して投与される。
【0271】
実施形態III-17.本開示は実施形態III-1~III-16のいずれか1つの
方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナはユーグレナ・グラシリスである。
【0272】
実施形態III-18.本開示は実施形態III-1~III-17のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナは従属栄養的に増殖する。
【0273】
実施形態III-19.本開示は実施形態III-1~III-18のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、前記ベータ-1,3-グルカンはパラミロンの形態で存在する。
【0274】
実施形態III-20.本開示は実施形態III-1~III-19のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まない。
【0275】
実施形態III-21.本開示は実施形態III-1~III-20のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、ベータ-1,3-グルカンはユーグレナから精製される。
【0276】
実施形態III-22.本開示は実施形態III-1~III-20のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物はユーグレナバイオマスを含み、ユーグレナバイオマスは前記ベータ-1,3-グルカンを含む。
【0277】
実施形態III-23.本開示は実施形態III-22の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは40%以下の含水率に乾燥されている。
【0278】
実施形態III-24.本開示は実施形態III-23の方法を提供し、そこにおいて、ユーグレナバイオマスは1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている。
【0279】
実施形態III-25.本開示は実施形態III-1~III-24のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は毎日、単回投与として投与される。
【0280】
実施形態III-26.本開示は実施形態III-1~III-24のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は1日に複数回に分かれた投与として投与される。
【0281】
実施形態III-27.本開示は実施形態III-1~III-26のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は、アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテ
イン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0282】
実施形態III-28.本開示は実施形態III-27の方法を提供し、そこにおいて、追加成分は亜鉛である。
【0283】
実施形態III-29.本開示は実施形態III-1~III-27のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は金属をさらに含む。
【0284】
実施形態III-30.本開示は実施形態III-29の方法を提供し、そこにおいて、金属は、鉄、マグネシウム、リチウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデン、マンガン、セレン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される構成要素を含む。
【0285】
実施形態III-31.本開示は実施形態III-30の方法を提供し、そこにおいて、ベータ-(1,3)-グルカンと金属は複合体を形成する。
【0286】
実施形態III-32.本開示は実施形態III-31の方法を提供し、そこにおいて、複合体は亜鉛ベータ-(1,3)-グルカン複合体を含む。
【0287】
実施形態III-33.本開示は実施形態III-1~III-26のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は、ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳からなる群より選択される追加成分をさらに含む。
【0288】
実施形態III-34.本開示は実施形態III-1~III-33のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は固体として投与される。
【0289】
実施形態III-35.本開示は実施形態III-1~III-33のいずれか1つの方法を提供し、そこにおいて、組成物は懸濁液として投与される。
【0290】
実施形態III-36.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患の治療で用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。
【0291】
実施形態III-37.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患の治療で用いる、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物を提供する。
【0292】
実施形態III-38.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、クローン病、及び結腸がんからなる群より選択される疾患の治療用薬剤の製造のための、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。
【0293】
実施形態III-39.本開示は、高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患の治療用薬剤の製造のための、発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,3-グルカンを含む組成物の使用を提供する。
【0294】
以下の例は本出願の実施形態をさらに説明する。これらの例は本出願の実施形態を例示することを意図するにすぎず、本出願を限定すると解釈されるべきではない。
【0295】
実施例
免疫応答/高脂血症
実施例1:ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスの経口投与
反復回分法を用いてバイオリアクターで発酵を利用してユーグレナを培養する。最後の
ステップでは、ユーグレナを約40グラムの乾燥重量/リットル~約80グラムの乾燥重量/リットルの細胞密度まで培養し、収穫する。ユーグレナ細胞はベータ-1,3-グルカン含有率が約70重量%である。タンジェンシャルフローろ過を用いてユーグレナ細胞培養物をろ過し、使用済み増殖培地を廃棄し、細胞を水で洗浄する。結果として得られるユーグレナバイオマスを薄いシートに圧延し、含水率10%未満に乾燥する。次いでユーグレナバイオマスをヒトに経口投与して免疫機能を調節する。
【0296】
実施例2:栄養補助食品としてのベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスの経口投与
反復回分法を用いてバイオリアクターで発酵を利用してユーグレナを培養する。最後のステップでは、ユーグレナを約40グラムの乾燥重量/リットル~約80グラムの乾燥重量/リットルの細胞密度まで培養し、収穫する。ユーグレナ細胞はベータ-1,3-グルカン含有率が約70重量%である。タンジェンシャルフローろ過を用いてユーグレナ細胞培養物をろ過し、使用済み増殖培地を廃棄し、細胞を水で洗浄する。次いで、ユーグレナバイオマスをドラム乾燥機で含水率5%未満に乾燥させる。ハンマーミルを使用して、乾燥フレークを平均粒径が250ミクロン未満の粉末に加工する。次いで、粉末を経口投与向けの錠剤に成形して、免疫機能を調節し、高脂血症を治療し、又は高脂血症を予防的に治療する。代替的に、粉末を食品と混合し、食品と共に経口投与して免疫機能を調節する。代替的に、粉末を経口投与用カプセルに入れ、免疫機能を調節し、高脂血症を治療し、又は高脂血症を予防的に治療する。
【0297】
実施例3:ユーグレナからのベータ-1,3-グルカンの精製
1つの例示的な実施形態では、本明細書に記載の発酵によって増殖させたユーグレナを1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液中で加熱し、その溶液を遠心分離し、ペレットを水及びエタノールで洗浄することによって、ユーグレナからベータ-1,3-グルカンを精製する。約1部のユーグレナバイオマス(乾燥重量基準)を5部の1%(重量/体積)ドデシル硫酸ナトリウム溶液に懸濁する。この懸濁液を混ぜた後に約100℃に約30分間加熱する。次いで、溶液を冷却し、>500RCFで約5分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを10部の水に再懸濁して洗浄し、激しく混ぜ、>500RCFで5分間遠心分離する。この洗浄過程を10部の95%エタノールでさらに2回繰り返して、純度が95%のベータグルカンペレットに達することができる。ペレットをさらに乾燥させて白色粉末にすることができる。
【0298】
別の例示的な実施形態では、本明細書に記載の発酵によって増殖させたユーグレナを、高圧ホモジナイザーを通してポンプ輸送して細胞を溶解することによってベータ-1,3-グルカンを精製する。次いで、溶解した混合物を遠心分離してベータ-1,3-グルカンを回収する。上清を捨て、ペレットを水で再懸濁することによって洗浄し、激しく混ぜ、>500RCFで遠心分離する。洗浄過程を10部の水でさらに2回繰り返して、95%純度のベータ-1,3-グルカンペレットに達することができる。ペレットをさらに乾燥させて白色粉末にすることができる。
【0299】
本明細書に記載の方法は、ベータ-1,3-グルカンの抽出に関してこれまでに記述された幾つかの方法と比べて毒性が低く、食品グレード又は機能食品グレード製品の製造に必要な安全性認証や全天然産物認証を受けるという利点を付加しうる。次いで、結果として得られる精製ベータ-1,3-グルカンを、経口投与用錠剤に成形する又は食品と混合して経口投与する。代替的に、精製ベータ-1,3-グルカンを医薬組成物としての水溶液と混合することができる。医薬組成物は薬理学的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。次いで、医薬組成物を静脈内投与することができる。
【0300】
実施例4:ユーグレナ由来ベータ-1,3-グルカンを投与したマウスの免疫応答
ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを、本明細書に記載の発酵過程を利用して増殖させた。全細胞生成物及び精製ベータグルカン抽出物をマウスの研究において試験した。有機炭素源としてグルコースを用いて増殖させたユーグレナ細胞から全細胞生成物を作製した。全細胞生成物は約50重量%のベータ-1,3-グルカンを含有し、遠心分離した後にさらに加工せずにそのまま乾燥させた。全細胞生成物を分画してベータ-1,3-グルカンを単離し、次いでベータグルカン画分を繰り返し洗浄して非ベータグルカン細胞構成要素を除去して、ベータ-1,3-グルカンの精製試料が得られた。精製試料はベータ-1,3-グルカンを約93重量%含んだ。市販の酵母由来ベータグルカンも比較した。
【0301】
全細胞ユーグレナバイオマス試料、精製ベータ-1,3-グルカンサンプル試料、及び酵母由来ベータグルカン製品を乾燥させ、500ミクロン未満の粒径に粉砕した。次いで、これらの乾燥粉末をPBSバッファーと混合し、適切な濃度に希釈した後にBALB/cマウスに強制経口投与によって投与した。非特異的免疫系活性を測定するために各マウスから採血した。次のパラメーターを評価した:食作用活性(外来粒子を取り込むマクロファージの能力)、ナチュラルキラー細胞(NK)細胞活性(外来細胞又は感染細胞を破壊するNK細胞の能力)、及び抗体価。
【0302】
食作用
食作用は、潜在的に有害な粒子(例えば細菌)を捕獲して破壊する免疫系による1つの応答である。食作用指数は、標識された粒子を能動的に捕捉して貪食した好中球のパーセント割合として測定される(図7A)。9頭のBALB/cマウスを各治療群に割り当て、ベータグルカン生成物(20mg/kgマウス)を強制経口投与によって毎日給餌した。対照群はPBSによる強制経口投与のみを受けた。1日目、7日目、及び14日目に各治療群から3頭のマウスを犠牲にして分析用材料を採取した。食作用指数は、割り当てられた時間に標識された粒子を能動的に捕捉して貪食する好中球細胞のパーセント割合として測定される。PBS対照のみを与えられたマウスは30%の貪食指数を有した一方で、ユーグレナ由来の精製ベータグルカンの最高投与量を摂取したマウスは2倍近い食作用活性(59%)を示した。精製された藻類ベータグルカン生成物を受けた群は各投与量レベルで最も良好に食作用を行った。全ユーグレナバイオマスと酵母由来のベータグルカンを与えたマウスは、2つの最低投与量レベルで同様の食作用活性を示したが、2つの最高投与量レベルで酵母由来のベータグルカンを与えたマウスはわずかに高い食作用活性を示した。
【0303】
ナチュラルキラー細胞の細胞傷害性
ナチュラルキラー(NK)細胞活性(外来細胞又は感染細胞を破壊するNK細胞の能力)を測定して、投与したベータグルカンに起因する免疫機能調節の度合いを決定した(図7B)。NK細胞の細胞傷害性は、潜在的に病原性がある生物を死滅させるためのNK細胞による非特異的免疫応答の指標である。9頭のBALB/cマウスを各治療群に割り当て、ベータグルカン生成物(20mg/kgマウス)を強制経口投与によって毎日給餌した。対照群はPBSによる強制経口投与のみを受けた。1日目、7日目、及び14日目に、各治療群から3頭のマウスを犠牲にして分析用材料を採取した。PBS対照を与えたマウスが12%の細胞傷害性指数を示した一方で、全ユーグレナバイオマス又は精製ユーグレナベータグルカンのいずれかを10mg/kgの低投与量で与えられたマウスは、3倍以上の細胞傷害性指数(36~50%)を示した。20mg/kg以上の投与量では、全ユーグレナバイオマス治療及び精製ユーグレナベータグルカン治療の両方が、酵母由来ベータグルカン生成物よりも強い細胞傷害性応答を誘発した。
【0304】
抗体価
抗体形成は、ベータグルカンがワクチンのアジュバント(調節因子)として作用できる
ことを示す。3頭のBALB/cマウスを各治療群に割り当て、0日目から開始して、4、10、20、及び40mg/kgに相当するベータグルカン生成物を毎日経口で投与した。3日目及び16日目に腹腔内注射によって抗原(オボアルブミン)を与え、23日目にELISAアッセイを用いて抗体価を測定した。陰性対照としてPBS強制経口投与を用いた(図7C)。抗体価の有意な増加は、ベータグルカンのような生成物がワクチンのアジュバント(エンハンサー)として働く可能性を示している。ベータグルカン治療群のすべてが、陰性対照に比べて抗体産生の増加を誘発し、この効果はより高い投与量で増強された。精製藻類ベータグルカンでの治療は、治療レベルの各々で最も多くの抗体を産生し、僅差で全ユーグレナバイオマス治療群が続いた。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを適度な投与量(10及び20mg/kg)で投与したものと比較して、酵母ベータグルカン生成物を与えたマウスは、実質的に低い抗体価(15~50%低い)を示したが、最も高い投与量率(dosage rate)で全ユーグレナバイオマス生成物を与えたマウ
スと同様の力価を示した。
【0305】
まとめ
特異的免疫応答(すなわち、抗体産生)及び非特異的免疫応答(NK細胞の細胞傷害性及び食作用活性)はともに、ベータグルカン生成物のいずれかを与えられた治療群で有意に増加した。すべての免疫測定基準について、精製藻類ベータ-1,3-グルカンは、全ての治療レベルで最も強い免疫応答を誘発した。全ユーグレナバイオマス全体及び精製藻類ベータ-1,3-グルカンは、陰性対照で見られた力価よりも数倍高い非常に強い抗体反応を誘発した。これらのデータは、これらの生成物がアジュバントとして作用する可能性を示している。
【0306】
全ユーグレナバイオマスは、抗体産生とNK細胞の細胞傷害性アッセイの両方において、ほぼすべての治療レベルで酵母由来のベータグルカン生成物と同程度かそれより良好に機能した。ほとんどの場合、酵母由来の生成物と比較して、全ユーグレナバイオマスは、投与量レベルのわずか4分の1から2分の1でほぼ同程度又はより良好な応答を誘導した。
【0307】
酵母由来ベータグルカン生成物は、精製藻類ベータグルカンよりも低い食作用反応を引き出したが、このカテゴリーの全ユーグレナバイオマス生成物と同程度又はより良好に機能した。一般的に、NK細胞の細胞傷害性及び抗体産生に比べて、食作用に対するすべてのベータグルカン生成物の全体的な影響は抑えられている。
【0308】
実施例5:ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与したマウスの大腸菌攻撃投与(challenge)
ユーグレナを本明細書に記載のように滅菌発酵槽で培養した。発酵槽内でユーグレナバイオマスが標的密度に達したら、細胞を遠心分離し、結果として得られたペーストを-20℃で凍結保存した。凍結したペーストを解凍し、乾燥フレークが形成するまで65℃で乾燥させた後、粒径250ミクロン未満に粉砕して、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを含む組成物を作製した。ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンを、ユーグレナ細胞を溶解し、ベータグルカンを>90%含み、粒径が250ミクロン未満の抽出物を生じさせる方法を通してベータ-1,3-グルカンを単離することによって作製した。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの試料と酵母由来の精製ベータグルカンの試料とを比較するために、各乾燥生成物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と混合し、適切な濃度に希釈した後、所定の投薬レベルでマウスに強制経口投与によって与えた。
【0309】
10頭のBALB/cマウスを各治療群に割り当て、名目致死量(3×10)の大腸菌を0日目に筋肉内注射によって投与した。ベータグルカン生成物(20mg/kgマウ
ス)を、大腸菌注射の2日前(-2日目)から始めて注射の2日後(+2日目)まで毎日マウスに強制経口投与によって経口投与した。対照群はPBS強制経口投与のみを受けたのに対して、抗生物質治療群は、0、1、2、3、及び4日目にアンピシリン(13mg/kg)の経口投与を受けた。マウスを10日目まで毎日評価した。
【0310】
図8は大腸菌チャレンジ実験の結果をまとめたものである。PBSのみを投与された対照群のマウスはすべて、大腸菌注射の7日以内に死亡した。対照的に、10日目の死亡率はすべての治療群において少なくとも40%減少した。注目すべきことに、ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンを受けたマウスの70%が大腸菌注射の10日後に生存した。この治療群とアンピシリンを受けた群は、時間とともに非常によく似た生存率を示し、藻類ベータ-1,3-グルカン治療が、一般的な抗生物質アンピシリンと同様のマウスにおける細菌感染に対する防御をもたらしたことを示唆している。約50%のベータグルカンを含むユーグレナバイオマス製品を受けたマウスも、対照群と比較して死亡率の有意な低下を示した。この治療群ではマウスの50%が大腸菌注射の10日後に生存した。これに対して酵母由来のベータグルカン抽出物を与えた群では40%が生存した。
【0311】
実施例6:ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与したマウスにおけるサイトカイン発現
ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを本明細書に記載のように発酵法を用いて培養した。全細胞生成物を分画してベータグルカンを単離し、次いでベータグルカン画分を繰り返し洗浄して非ベータ-1,3-グルカン細胞構成要素を除去した。精製した試料は約93重量%のベータ-1,3-グルカンを含んだ。精製ベータグルカン生成物を使用して、ベータ-1,3-グルカンのサイトカイン発現に対する効果を評価した。サイトカインは、免疫系において重要な役割を果たし、感染症及び炎症に対する宿主反応に関与する。
【0312】
BALB/cマウス(6頭/群)に、精製ベータ-1,3-グルカン生成物を7日間、強制経口投与によって与えた。マウスへの投与量は、0mg/kg(A)、5mg/kg(B)、20mg/kg(C)、及び200mg/kg(D)であった。8日目に、コラゲナーゼで消化した小腸から磁気選別によって樹状細胞(DC;CD11c+細胞)を単離し、一晩培養した。上清をルミネックスマルチプレックスアッセイによってさまざまなサイトカイン及びケモカイン因子について試験した。図9Aに示されるように、ベータ-1,3-グルカンの量の増加が、IL-1b、TNF-a、IL-10、IL-18、IP-10、及びMCP-1の産生を増加させた。これらのケモカインのレベルは高く、5、20、及び200mg/kgの投与量で投与されたベータ-1,3-グルカンについては相対的に変化がなかったので、Rantes及びMIP-1aの投与量効果はあまり顕著でなかった。IFN-g、IL-12、IL-6、IL-9、IL-2、IL-23、GMCSF、IL-4、及びIL-5の発現は検出できなかった。
【0313】
BALB/cマウス(6頭/群)に精製ベータ-1,3-グルカン生成物を7日間、強制経口投与によって与えた。マウスへの投与量は、0mg/kg(A)、5mg/kg(B)、20mg/kg(C)、及び200mg/kg(D)であった。8日目に、コラゲナーゼで消化した小腸から磁気選別によってマクロファージ(F4/80細胞)を単離し、一晩培養した。ルミネックスマルチプレックスアッセイによってさまざまなサイトカイン及びケモカイン因子について上清を分析した。図9Bは、ベータ-1,3-グルカンの量の増加が、IL-6、IL-1b、TNF-a、IL-10、IL-18、Rantes、MIP-1a、IP-10、及びMCP-1を増加させたことを示す。IFN-g、IL-17、IL-22、IL-4、IL-9、IL-18、IL-2、IL-23、及びGMCSFの発現は検出できなかった。
【0314】
BALB/cマウス(6頭/群)に精製ベータ-1,3-グルカン生成物を7日間、強制経口投与によって与えた。マウスに、0mg/kg(A)、5mg/kg(B)、20mg/kg(C)、及び200mg/kg(D)の投与量を施した。8日目に、コラゲナーゼで消化した小腸から磁気選別によってNK1.1+細胞(NK細胞)を単離し、一晩培養した。ルミネックスマルチプレックスアッセイによってさまざまなサイトカイン及びケモカイン因子について上清を分析した。図9Cは、ベータ-1,3-グルカンの量の増加が、IFNg、IL-1b、TNF-a、IL-10、IL-22、Rantes、及びIL-17を増加させたことを示す。対照的に、MIP-1a、IP-10、及びMCP-1の発現に対するベータ-1,3-グルカンの効果は、投与されたβグルカンの投与量とは比較的無関係なようである。ベータ-1,3-グルカンの量が増加するにつれてIL-23の産生は減少した。IL-6、IL-4、IL-9、IL-2、及びGMCSFの発現は検出できなかった。
【0315】
実施例7:ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与することによるマウスにおける高脂血症の治療
ユーグレナを本明細書に記載のように滅菌発酵槽で増殖させた。発酵槽内でユーグレナバイオマスが標的密度に達したら、ユーグレナをろ過、溶解し、ベータ-1,3-グルカンを精製した。ユーグレナ由来の精製ベータ-1,3-グルカンを下記のマウス実験に用いた。リン酸緩衝生理食塩水を対照として投与した。
【0316】
第1の実験では、Balb/cマウスにベータグルカンを含まない高コレステロール餌(毎日約16mgのコレステロール)を14日間与えた。この期間の後、マウスに、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン又は対照を含有し、コレステロールのレベルが正常(約110mg/dL)の飼料をさらに30日間与えた。絶食の12時間後に血清を採取し、血中コレステロール及びトリグリセリドを測定した。図10Aに図示するように、マウスの血清コレステロールレベルは、高コレステロール給餌の間に平均が約115mg/dLから約265mg/dLに上昇した。正常量のコレステロールを含む飼料に戻した後にリン酸緩衝化生理食塩水を投与した対照マウスでは、コレステロールレベルは少なくとも34日目まで上昇したままであり、44日目には約181mg/dLに減少した。対照的に、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを投与したマウスでは、血中コレステロールレベルの即時且つ着実な減少がみられた。トリグリセリドレベルについても同様の結果が得られた。図10Bに見られるように、マウスが高コレステロール飼料を摂取した間に血清トリグリセリドレベルは約105mg/dLから約138mg/dLに上昇した。対照マウスは、正常コレステロール飼料での30日後に血清トリグリセリドレベルがわずかに減少しただけであった。対照的に、ベータグルカンを投与したマウスでは、血清トリグリセリドレベルの即時且つ継続的な減少がみられ、44日目には実験の開始時よりも低かった。
【0317】
第2の実験では、精製ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカン又は対照とともに、Balb/cマウスに高コレステロール飼料(毎日約16mgのコレステロール)を14日間給餌した。14日後、マウスに正常コレステロール飼料(約110mg/dL)を与え、同じベータグルカン生成物又は対照をさらに30日間投与した。絶食の12時間後に血清を採取し、血中コレステロール及びトリグリセリドを測定した。図11Aに図示するように、対照のみを投与したマウスの血清コレステロールは、高コレステロール飼料を用いた14日間に最も上昇し、約118mg/dLから約275mg/dLに上昇した。ユーグレナ(ユーグレナ)由来の精製ベータ-1,3-グルカンを投与したマウスは、約118mg/dLから約230mg/dLへの血清コレステロールの小さな増加を示した。トリグリセリドレベルについても同様の結果が得られた。図11Bに見られるように、対照マウスの血清トリグリセリドレベルは、高コレステロール飼料を与えられた間に最も増加した(約105mg/dLから約145mg/dL)。対照マウスは、正常コレステロ
ール飼料での30日間の後に血清トリグリセリドレベルのわずかな減少のみがみられた。対照的に、ベータグルカンを投与したマウスでは、正常コレステロール飼料に戻した後に血清トリグリセリドレベルの即時且つ継続的な減少が見られ、44日目には実験の開始時よりも低かった。
【0318】
実施例8:ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを摂取することによる個人の代謝の健康状態への影響を評価するための臨床試験
治験を利用して、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを摂取することの、コレステロールレベル、血糖値、感染症、及び炎症に対する影響を評価する。(登録施設内審査委員会によって承認された)書面によるインフォームドコンセントと選考過程を予め整えた後に参加者を募集する。試験は4週間の期間であり、評価はベースライン、2及び4週間のベータ-1,3-グルカン摂取時に行われる。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンをカプセルの形で投与して、各個人に250mgの1日投与量を与える。
【0319】
代謝の健康状態に対するベータグルカンの影響は、グルコースや脂質代謝に関するマーカーの空腹時血中レベル、全身の健康状態やウエルネスの評価、及び血圧や血液化学の測定のうちの1つ以上を用いて測定される。血液化学の分析としては、タンパク質カルボニル含量(酸化ストレスのマーカー)、急性期炎症マーカー(C反応性タンパク質や、アルファ-1酸糖タンパク質、フィブリノゲン、血小板第4因子など)、代謝バイオマーカー(C-ペプチドや、コルチゾール、膵臓ポリペプチド、プロインスリン、ペプチドYYなど)、サイトカインパネル、及び抗体分析を挙げることができる。
【0320】
腸の炎症
実施例9:ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスの経口投与
反復回分法を用いてバイオリアクターで発酵を利用してユーグレナを培養する。最後のステップでは、ユーグレナを約40グラムの乾燥重量/リットル~約80グラムの乾燥重量/リットルの細胞密度まで培養し、収穫する。ユーグレナ細胞はベータ-1,3-グルカン含有率が約50重量%である。タンジェンシャルフローろ過を用いてユーグレナ細胞培養物をろ過し、使用済み増殖培地を廃棄し、細胞を水で洗浄する。結果として得られるユーグレナバイオマスを薄いシートに圧延し、含水率10%未満に乾燥させる。乾燥バイオマスを1000ミクロン未満に微粉砕し、次いでユーグレナバイオマスをヒトに経口投与して腸の炎症を治療する。
【0321】
実施例10:ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスの栄養補助食品としての経口投与
反復回分法を用いてバイオリアクターで発酵を利用してユーグレナを培養する。最後のステップでは、ユーグレナを約40グラムの乾燥重量/リットル~約80グラムの乾燥重量/リットルの細胞密度まで培養し、収穫する。ユーグレナ細胞はベータ-1,3-グルカン含有率が約50重量%である。タンジェンシャルフローろ過を用いてユーグレナ細胞培養物をろ過し、使用済み増殖培地を廃棄し、細胞を水で洗浄する。次いで、ユーグレナバイオマスをドラム乾燥機で含水率5%未満に乾燥させる。乾燥フレークを、ハンマーミルを使用して平均粒径が250ミクロン未満の粉末に加工する。次いで、粉末を経口投与向けの錠剤に成形して、腸の炎症を治療する。代替的に、粉末を食品と混合し、食品と共に経口投与して腸の炎症を治療する。代替的に、粉末を経口投与用カプセルに入れ、腸の炎症を治療する。
【0322】
実施例11:ユーグレナからのベータ-1,3-グルカンの精製
1つの例示的な実施形態では、本明細書に記載のように発酵によって増殖させたユーグレナを1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液中で加熱し、その溶液を遠心分離し、ペレットを水及びエタノールで洗浄することによって、ユーグレナからベータ-1,3-グルカンを
精製する。約1部のユーグレナバイオマス(乾燥重量基準)を5部の1%(重量/体積)ドデシル硫酸ナトリウム溶液に懸濁する。この懸濁液をかき混ぜ、次いで約100℃に約30分間加熱する。次いで、溶液を冷却し、>500RCFで約5分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを10部の水に再懸濁して洗浄し、激しく混ぜ、>500RCFで5分間遠心分離する。この洗浄過程を10部の95%エタノールでさらに2回繰り返して、純度95%のベータグルカンペレットに達することができる。ペレットをさらに乾燥させて白色粉末にすることができる。
【0323】
別の例示的な実施形態では、本明細書に記載の発酵によって増殖させたユーグレナを、高圧ホモジナイザーを通してポンプ輸送して細胞を溶解することによってベータ-1,3-グルカンを精製する。次いで、溶解した混合物を遠心分離してベータ-1,3-グルカンを回収する。上清を捨て、ペレットを水で再懸濁することによって洗浄し、激しく混ぜ、>500RCFで遠心分離する。洗浄過程を10部の水でさらに2回繰り返して、純度95%のベータ-1,3-グルカンペレットに達することができる。ペレットをさらに乾燥させて白色粉末にすることができる。
【0324】
本明細書に記載の方法は、ベータ-1,3-グルカンの抽出に関してこれまでに記述された幾つかの方法と比べて毒性が低く、食品グレード又は機能食品グレード製品の製造に必要な安全性認証や全天然産物認証を受けるという利点を付加しうる。次いで、結果として得られる精製ベータ-1,3-グルカンを経口投与用錠剤に成形する又は食品と混合して経口投与する。代替的に、精製ベータ-1,3-グルカンを医薬組成物としての水溶液と混合することができる。医薬組成物は、薬理学的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。次いで、医薬組成物を静脈内投与することができる。
【0325】
実施例12:化学的に誘発された急性大腸炎に対するユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前処理の効果を決定するための生体内研究
ベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを、本明細書に記載のように発酵過程を用いて増殖させた。乾燥ユーグレナバイオマス及び精製ベータグルカン抽出物をマウスの研究においてテストした。有機炭素源としてグルコースを用いて増殖させたユーグレナ細胞から乾燥ユーグレナバイオマスを作製した。ユーグレナバイオマスは約50重量%のベータ-1,3-グルカンを含有し、遠心分離した後に、さらなる処理なしで乾燥させた。ユーグレナバイオマス生成物を分画してベータ-1,3-グルカンを単離し、次いでベータグルカン画分を繰り返し洗浄して非ベータグルカン細胞構成要素を除去すると、ベータ-1,3-グルカンの精製試料が得られた。精製試料はベータ-1,3-グルカンを約95重量%含んだ。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を陰性対照として投与した。
【0326】
乾燥ユーグレナバイオマス試料及び精製ベータ-1,3-グルカン試料を乾燥させ、500ミクロン未満の粒径に粉砕した。次いで、これらの乾燥粉末をPBSバッファーと混合し、適切な濃度に希釈した後に、C57BL/6Jマウスに強制経口投与によって与えた。試験の期間中(15日間)、マウスを、1日1回、絶食の2時間後に、(i)PBS(「なし」)、(ii)乾燥ユーグレナバイオマス(「A50」;250μg/マウス/日)、又は(iii)精製ベータ-1,3-グルカン(「AG」;125μg/マウス/日)のいずれかで治療した。この投薬により、乾燥ユーグレナバイオマスを投与されたマウスが、精製ベータ-1,3-グルカンを投与されたマウスと同等の投与量のベータ-1,3-グルカンを受けることを確実にした。10頭のマウスを各治療群に用いた。5日後(0日目)、マウスに急性大腸炎を誘発することが知られている化合物であるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の飲料水中2.5%溶液を5日目まで投与し、その後通常の水に戻した。体重及び視覚的観察を毎日行った。10日目にマウスを安楽死させた。結腸試料を処理し、免疫細胞をサイトカイン分析のために単離した。さまざまなパラメーターを用いて決定した、化学的に誘発された急性大腸炎に対するユーグレナ由来のベータ-1
,3-グルカンの前治療の効果は実施例13~19に記載されている。
【0327】
実施例13:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスの体重に対するユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療の効果
マウスを実施例12に記載のように治療した。各マウスの体重を実験中毎日記録した。体重の減少は大腸炎の兆候と考えられている。その後の時点の体重のパーセント割合を計算するために初期体重を100%と見なした。初期体重のパーセント割合を、DSS処理後の時間の関数として測定した(図12A~12C)。このデータの統計的有意性を表2に示す。
【0328】
【表2】
リン酸緩衝食塩水(図12A)又は精製ベータ-1,3-グルカン(図12B)のいずれかで治療したマウスは、DSS処理後5日目までの間に体重の急激な減少を示した。10日目までに、PBSで治療したマウスの体重は初期体重の約75%に低下した。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスは、5日目から8日目まで同様の体重減少を示し、初期体重の約80%に低下した。しかし、9日目及び10日目に、精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスの体重は、それぞれ約83%及び85%に増加した。このデータは、精製されたベータ-1,3-グルカンを用いた治療が、特に他の因子(便の硬さ及び便血の存在など)と併せて考慮した場合に、DSS誘発急性大腸炎からの早期回復に有効であることを示唆する。
【0329】
乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスは、DSS処理後6日目までの間に体重の有意な減少を示さず、その時点で体重の漸減が観察された(図12C)。9日目までに、乾燥ユーグレナバイオマスで処理したマウスの体重は初期体重の約92%に減少した。しかし、乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスの体重は10日目にわずかに増加し約95%であった。このデータは、乾燥ユーグレナバイオマスを用いた治療が、マウスにおけるDSSによって誘発された急性大腸炎の重症度を予防又は最小化するのに有効であることを示している。
【0330】
PBS、精製ベータ-1,3-グルカン、又は乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスをまとめた結果を図13に示す。また、PBS、精製ベータ-1,3-グルカン、又は乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスを合わせた結果は、経時的な体重減少スコアの関数として表される(図14)。体重減少スコアは、0(減少なし)、1(1~5%)、2(5~10%)、3(10~20%)、及び4(>20%)のように計算した。このデータの統計的有意性を表3に示す。
【0331】
【表3】
実施例14:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおけるユーグレナ由来のベ
ータ-1,3-グルカンの前処理の便の硬さに対する効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。各マウスの便の硬さを実験中毎日記録した。体重の減少は大腸炎の兆候と考えられている。便の硬さは、0(正常な固体)、2(半固体/柔らかい)、3(ゆるい便)、及び4(水様/下痢)のスコアをつけた。便の硬さはDSS処理後の時間の関数として決定した(図15)。このデータの統計的有意性を表4に示す。
【0332】
【表4】
PBSで治療したマウスは0~3日目に正常な便の硬さを示した。PBSで治療したマウスは4日目からゆるい便が発生するようになった。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスは、0~4日目に正常な便の硬さを示し、5日目からゆるい便が発生するようになった。乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスは、5日目に半固体/軟便が生じ、それまで便の硬さは正常であった。このデータは、乾燥ユーグレナバイオマスを用いた治療が、マウスにおけるDSSによって誘発された急性大腸炎の重症度を予防又は最少化するのに特に有効であることを示す。
【0333】
実施例15:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおけるユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療の便血に対する効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。各マウスの目に見える便血/直腸出血レベルの程度を実験中毎日記録した。0(血液なし)、1(糞便ペレット上の赤み)、2(糞便上のところどころの血液)、3(血で覆われた糞便/血の混じった糞便)、及び4(肉眼的な出血/肛門周囲の血液)のように便血を採点した。便血スコアはDSS処理後の時間の関数として記録した(図16)。このデータの統計的有意性を表5に示す。
【0334】
【表5】
PBSで治療したマウスは0~3日目に便血を示さなかった。PBSで治療したマウスは、4日目から糞便中に血液が生じた。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスは、0~4日目に便血を示さず、5日目に糞便中に血液を呈し始めた。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスに生じた便血の量は、PBSで治療したマウスに生じた量よりも有意に少なかった。乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスは6日目まで便血を生じなかったが、その時点では明らかな少量の便血があった。乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスに生じた便血の量は、精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスに生じた量よりも少なかった。このデータは、乾燥ユーグレナ・グラシリス又は精製ベータ-1,3-グルカンを用いた治療が、マウスにおけるDSSによって誘発された急性大腸炎の重症度を予防又は最少化するのに有効であることを示す。
【0335】
実施例16:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおける結腸の長さに対する
ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療の効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。10日目にマウスを安楽死させ、続いて個々のマウスの結腸の長さを測定した(7頭のマウス/治療群)。データを図17に示す。PBS又は精製ベータ-1,3-グルカンで処置したマウスの結腸の長さは誤差範囲内であるが、乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスの結腸の長さは有意に増加する。具体的には、PBSで治療したマウスの結腸の長さは約5.5cmであるのに対し、乾燥ユーグレナ・グラシリスで治療したマウスの結腸の長さは約6.5である。このデータは、乾燥ユーグレナバイオマスを用いた治療が、マウスにおけるDSSによって誘発された急性大腸炎を予防又は最少化するのに特に有効であることを示している。
【0336】
実施例17:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおけるユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療の結腸の炎症に対する効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。10日目にマウスを安楽死させた後に結腸の炎症の程度を測定した(3頭のマウス/治療群)。遠位結腸片を瞬間凍結し、凍結切片化(6μm切片)して、ヘマトキシリン/エオシン染色に供した。各治療群の代表的な画像を図18Aに示す。また、個々のマウスにおける結腸の炎症の重症度は、免疫細胞の浸潤及び粘膜及び粘粘膜下層の全体的な構造に対する損傷に基づいて病理学者によって等級付け(0~4)された(図18B)。3頭のマウスについて合計15の切片(それぞれ500μm間隔)を調べた。
【0337】
3つの治療群のうち、PBSで治療したマウスは最も高いレベルの結腸の炎症を示した(約3.4と等級付けされた)。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスは、結腸の炎症レベルをわずかに減少させ(約2.8に等級付けされ)、乾燥ユーグレナ・グラシリスで治療したマウスは、最も低いレベルの結腸の炎症を示した(約1.8に等級付けされた)。このデータは、乾燥ユーグレナ・グラシリス又は精製ベータ-1,3-グルカンを用いた治療が、マウスにおけるDSSによって誘発された急性大腸炎の重症度を予防又は最少化するのに有効であることを示す。
【0338】
実施例18:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおけるユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療のTヘルパー細胞応答に対する効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。Tヘルパー細胞機能に関連するサイトカインの頻度を、10日目に個々のマウスにおいて分析した(3頭のマウス/治療群)。腸間膜リンパ節細胞を、PMA/イオノマイシンを用いて活性化し、Tヘルパー細胞機能に関連するサイトカインの有無について染色し、FACSによって分析した(図19A)。サイトカイン陽性細胞のパーセント割合を図19Bに示す。
【0339】
乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスは、PBSで治療したマウスに比べて、CD4+T細胞を産生するTh1(IFN-γ)、Th17(IL-17及びIL-22)、並びにTh9(IL-9)の頻度が有意に低かった。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスは、PBSで治療したマウスに比べて、CD4+T細胞を産生するTh1(IFN-γ)のレベルが相対的に低い。このデータの統計的有意性を表6に示す。
【0340】
【表6】
実施例19:化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスにおけるユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの前治療のTヘルパー細胞サイトカインプロファイルに対する効果
化学的に誘発された急性大腸炎をもつマウスを実施例12に記載のように治療した。10日目に結腸免疫細胞によるサイトカイン産生を個々のマウスにおいて分析した(3頭のマウス/治療群)。磁気分離を用いて結腸組織から免疫細胞を単離し、各マウスから同数の細胞を24時間培養した。自発的に放出された(Tヘルパー細胞特異的)サイトカインのレベルを、マルチプレックスアッセイを用いて3連で測定した(図20)。
【0341】
データは、乾燥ユーグレナバイオマスで治療したマウスにおいてTh1(IFN-γ)及びTh17(IL-17)サイトカインが抑制されたことを示す。精製ベータ-1,3-グルカンで治療したマウスにおいて、炎症促進性(IL-22、IL-9(Th9))と抗炎症性(IL-10、IL-4(Th2))の両方のサイトカインがより高いレベルで結腸免疫細胞によって産生された。乾燥ユーグレナバイオマスを用いた治療による大腸炎からの特に顕著なマウスの保護は、サイトカインIL-10の産生の増加及び炎症性免疫細胞の動員の阻害によるものと思われる。
【0342】
実施例20:個人における腸の炎症に対するユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを摂取することの効果を評価するための臨床研究
治験を利用して、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンを摂取することの腸の炎症の治療に対する効果を評価する。(登録施設内審査委員会によって承認された)書面によるインフォームドコンセントと選考過程を予め整えた後に参加者を募集する。試験は4週間の期間であり、評価はベースライン、2及び4週間のベータ-1,3-グルカン摂取時に行われる。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンをカプセル形態で投与して、各個人に250mgの1日投与量を与える。
【0343】
ベータグルカンの腸の炎症に対する効果は、腹痛の程度、下痢の発生、体重、食欲のレベル、直腸の出血の有無、全身の健康状態やウエルネスの評価、及び血圧や血液化学の測定のうちの1つ以上を用いて測定される。血液化学の分析としては、タンパク質カルボニル含量(酸化ストレスのマーカー)、急性期炎症マーカー(C反応性タンパク質や、アルファ-1酸糖タンパク質、フィブリノゲン、血小板第4因子など)、サイトカインパネル、及び抗体分析を挙げることができる。
【0344】
図21に示すように、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取は個人における炎症性好塩基球の数を減少させる。このデータは、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンが個人の免疫系機能を調節することを示す。
【0345】
図22に示すように、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取は個人における緊急の排便又は下痢の回数に影響する。このデータは、0~2週目の腸障害の統計的に有意な減少(p<0.05、*)及び2~4週目の統計的傾向に達している腸障害の増加(p<0.1、(*))を示す。このデータは、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンが個人の腸の健康状態に関与することを示す。
【0346】
また、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取は、酸化ストレスに対する個人の応答を調節し、炎症に関与しうる。スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は、反応性が高く且つダメージを与えるフリーラジカルであるスーパーオキシドイオンを中和するのに関与する酵素である。SODは酸化的ストレスを減少させるのに非常に重要な役割を果たす。図23に示すように、ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取は個人のSODのレベルを増加させる。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取の最初の2週間に平均SODレベルの有意な増加が見られ、続いて次の2週間に軽度の減少が見られた。本試験の最後の2週間にわたって軽度の減少があったにもかかわらず、4週間にわたる全体的な改善はすべての参加者に関して有意性が非常に高かった(p<0.01、**)。
【0347】
体内のフリーラジカルストレスの別の尺度は脂質過酸化である。脂質過酸化は、酸化的ストレスによって誘発される細胞損傷の主要な機序の1つである。具体的には、マロンジアルデヒドが体内のフリーラジカルストレスのマーカーであり、血流中の脂質に対する酸化的損傷の尺度である。ユーグレナ由来のベータ-1,3-グルカンの経口摂取の最初の2週間に脂質過酸化の有意な減少が見られ、続いて次の2週間に軽度の増加が見られた(図24)。本試験の最後の2週間にわたって軽度の増加があったにもかかわらず、4週間にわたる全体的な改善は有意性が非常に高かった(p<0.01、**)。
【0348】
上記の記載はいくつかの数値範囲を本文や図に含む。本発明の実施形態は開示された数値範囲を通して実施することができるので、正確な範囲限界は明細書に逐語的に述べられてはいないが、数値範囲は開示数値範囲内の任意の範囲又は値を提供する。
【0349】
上記の記載は、当業者が本発明を実施し、使用することを可能にするために提示され、特定の用途及びその要件に関連して提供される。好ましい実施形態に対するさまざまな変形は、当業者ならば容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原則は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び用途に適用されうる。したがって本発明は、示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示の原則及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。本出願で言及された特許及び刊行物の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。最後に、本発明は特許請求の範囲及びその等価物に従って解釈することができる。
[1]高脂血症、メタボリックシンドローム、炎症性腸疾患、大腸炎、及びクローン病からなる群より選択される疾患をもつヒトにおける前記疾患を治療するための経口投与用の組成物であって、
前記組成物が、50重量%乃至70重量%のベータ-1,3-グルカンを含むユーグレナバイオマスを含み、
前記組成物が発酵を利用して増殖させたユーグレナのベータ-1,6-グリコシド結合を含まないベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、前記有効量が、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、
組成物。
[2]前記疾患が高脂血症である、[1]に記載の組成物。
[3]前記組成物の投与が前記ヒトのコレステロールのレベルを減少させる、[2]に記載の組成物。
[4]前記有効量が、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至50mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、[2]または[3]に記載の組成物。
[5]スタチン、ニコチン酸、胆汁酸樹脂、フィブリン酸誘導体、又はコレステロール吸収阻害剤と併用して投与される、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の組成物。
[6]前記疾患が大腸炎である、[1]に記載の組成物。
[7]前記疾患が炎症性腸疾患である、[1]に記載の組成物。
[8]前記疾患がクローン病である、[1]に記載の組成物。
[9]前記組成物の投与が、抗炎症性サイトカイン産生を増加させる、[6]乃至[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10]抗炎症薬、免疫抑制薬、又は抗生物質と併用して投与される、[6]乃至[9]のいずれか一つに記載の組成物。
[11]前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである、[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の組成物。
[12]前記ユーグレナが従属栄養的に増殖する、[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の組成物。
[13]前記ベータ-1,3-グルカンがパラミロンの形態で存在する、[1]乃至[12]のいずれか一つに記載の組成物。
[14]前記ベータ-1,3-グルカンがベータ-1,6-グリコシド結合を含まない、[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の組成物。
[15]前記ユーグレナバイオマスが40%以下の含水率に乾燥されている、[1]乃至[14]のいずれか一つに記載の組成物。
[16]前記ユーグレナバイオマスが1000ミクロン以下の平均粒径を有するように加工されている、[15]に記載の組成物。
[17]毎日、単回投与として投与される、[1]乃至[16]のいずれか一つに記載の組成物。
[18]1日に複数回に分かれた投与として投与される、[1]乃至[16]のいずれか一つに記載の組成物。
[19]アルファトコフェロール、コレカルシフェロール、亜鉛、クロム、セレン、アルギニン、アスコルビン酸、アルキルグリセロール、カフェイン、カヴァカヴァ、ウコン、スピルリナ、クロレラ、ステビア、カルシウムD-グルカレート、コエンザイムQ10、ペプチド、ジメチルグリシン、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アルファ-リノレン酸、アスタキサンチン、ベータカロチン、ルテイン、乳酸菌プロバイオティクス、ビフィドバクテリウムプロバイオティクス、マンノオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、アストラガラス、エキナセア、エスベリトックス、ニンニク、グルタチオン、ケルプ、L-アルギニン、L-オルニチン、レシチン顆粒、マイタケ、レイシ、又はシイタケの抽出物、マンガン、ケルセチン、ブロメライン、オリーブ葉、ニワトコ、ウムカ、パントテン酸、ケルセチン、アルファリポ酸、精油、魚油、香辛料及びその誘導体、プテロスチルベン、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される追加成分をさらに含む、[1]乃至[18]のいずれか一つに記載の組成物。
[20]前記追加成分が亜鉛である、[19]に記載の組成物。
[21]金属をさらに含む、[1]乃至[19]のいずれか一つに記載の組成物。
[22]前記金属が、鉄、マグネシウム、リチウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、コバルト、バナジウム、モリブデン、マンガン、セレン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される構成要素を含む、[21]に記載の組成物。
[23]前記ベータ-(1,3)-グルカンと前記金属が複合体を形成する、[22]に記載の組成物。
[24]前記複合体が亜鉛ベータ-(1,3)-グルカン複合体を含む、[23]に記載の組成物。
[25]ヘマトコッカス・プルビアリス、アスタキサンチン、及び初乳からなる群より選択される追加成分をさらに含む、[1]乃至[18]のいずれか一つに記載の組成物。
[26]固体として投与される、[1]乃至[25]のいずれか一つに記載の組成物。
[27]懸濁液として投与される、[1]乃至[25]のいずれか一つに記載の組成物。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける腸の炎症に伴う症状を軽減するための経口投与用の組成物であって、
前記組成物は、発酵を利用して増殖させたユーグレナの含水率10%未満に乾燥させたベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、
前記ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まず、
前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、
組成物。
【請求項2】
前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ユーグレナが従属栄養的に増殖する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ベータ-1,3-グルカンがパラミロンの形態で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ベータ-1,3-グルカンがユーグレナから精製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
毎日、単回投与として投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
個体の免疫系をプライミングするための組成物であって、
前記組成物は、発酵を利用して増殖させたユーグレナの含水率10%未満に乾燥させたベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、
前記ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まず、
前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、
組成物。
【請求項8】
前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ユーグレナが従属栄養的に増殖する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記ベータ-1,3-グルカンがパラミロンの形態で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記ベータ-1,3-グルカンがユーグレナから精製される、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
毎日、単回経口投与として投与される、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
注射によって投与される、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
個体の免疫系を調節するための経口投与用の組成物であって、
前記組成物は、発酵を利用して増殖させたユーグレナの含水率10%未満に乾燥させたベータ-1,3-グルカンの有効量を含有し、
前記ベータ-1,3-グルカンはベータ-1,6-グリコシド結合を含まず、
前記有効量は、0.1mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重乃至100mgのベータ-1,3-グルカン/kg体重である、
組成物。
【請求項15】
前記個体が腸の炎症を経験している、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記腸の炎症は、腹痛の程度、下痢の発生、体重、食欲のレベル、直腸の出血の有無、または、全身の健康状態やウエルネスの評価、により測定される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
有効量の投与が腸の炎症に伴う症状を減少する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記個体は、腸の炎症の高いリスクがある、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
前記ユーグレナが従属栄養的に増殖する、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
毎日、単回投与として投与される、請求項14に記載の組成物。