(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052558
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】複合電流センサシステム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/087 20060101AFI20230404BHJP
H02H 3/08 20060101ALI20230404BHJP
H02H 3/20 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H02H3/087
H02H3/08
H02H3/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007549
(22)【出願日】2023-01-20
(62)【分割の表示】P 2021070788の分割
【原出願日】2017-03-10
(31)【優先権主張番号】15/079,531
(32)【優先日】2016-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514037697
【氏名又は名称】リテルヒューズ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ライリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広い範囲の電流をモニタリングするための改善された電流モニタリングシステムを提供する。
【解決手段】制御システム100において、電流モニタは、二以上の電流センサを含む。電流センサの少なくとも二つは、異なる電流測定範囲と異なる電流測定感度を有する。各電流センサは、一以上の電流モニタリング閾値に関連付けることができ、時間遅延または時間閾値が、各電流モニタリング閾値に対応する。各電流センサはさらに、可能な電流値が広い範囲を有する同一の電流をモニタすることができ、対応する時間閾値を超える時間の量の間、所定の電流閾値を超える場合、電流センサによって信号を生成する。生成された信号は、測定された電流が、対応する所定の時間期間のための所定の電流閾値を超えることを示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センシング装置(100)であって:
電源(102);
電源(102)に結合した電磁リレー(104);
電磁リレー(104)に結合した負荷(106)(ここで、電磁リレー(104)がソレノイド(212)を含み、電磁リレー(104)が閉位置にある場合に電磁リレー(104)が負荷(106)を電源(102)に結合する);
電磁リレー(104)に結合した電流モニタ(108)(ここで、電流モニタ(108)が:
電磁リレー(104)の電流を測定する第一電流センサ(216)(ここで、第一の時間の期間、第一電流測定範囲内の第一電流閾値を超える電磁リレー(104)の電流に応答して、第一電流センサ(216)が第一信号を生成する);および
電磁リレー(104)の電流を測定する第二電流センサ(218)(ここで、第二の時間の期間、第二電流測定範囲内の第二電流閾値を超える電磁リレー(104)の電流に応答して、第二電流センサ(218)が第二信号を生成し、第二電流測定範囲が第一電流測定範囲とは異なる)
を含む);および
電流モニタ(108)に結合したコントローラ(110)(ここで、コントローラ(110)が、第一信号または第二信号を受けて、電磁リレー(104)を開いて負荷(106)を電源(102)から切り離す)
を含む、電流センシング装置(100)。
【請求項2】
第一電流センサ(216)が第一電流測定感度を有し、第二電流センサ(218)が第二電流測定感度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第一電流測定範囲が第二電流測定範囲よりも大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第一電流測定感度が第二電流測定感度よりも大きい、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第一の時間の期間が第二の時間の期間未満である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第一信号が通信信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第一信号が制御信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第一信号がアラーム信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)を使用して電力分配および制御システム(100)における電流をモニタする方法(ここで、電力分配および制御システム(100)がソレノイド(212)を有する電磁リレー(104)(ここで、電磁リレー(104)が電源(102)と負荷(106)との間に配置される)を含み)、方法が:
第一電流センサ(216)の第一電流閾値を決定すること(ここで、第一電流センサ(216)が第一電流測定範囲および第一電流測定感度を有する);
第二電流センサ(218)の第二電流閾値を決定すること(ここで、第二電流センサ(218)が第二電流測定範囲および第二電流測定感度を有し、第一電流閾値が第二電流閾値とは異なり、第一電流測定範囲が第二電流測定範囲とは異なり、かつ、第一電流測定感度が第二電流測定感度とは異なる);
第一電流センサ(216)の第一電流閾値に対応する第一時間期間を決定すること;
第二電流センサ(218)の第二電流閾値に対応する第二時間期間を決定すること(ここで、第二時間期間が第一時間期間とは異なる);
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)を使用して電力分配および制御システム(100)における電流を連続的にモニタリングすること;
少なくとも第一時間期間の間、第一電流閾値を超える電流に応答して第一信号を生成すること;
少なくとも第二時間期間の間、第二電流閾値を超える電流に応答して第二信号を生成すること;および
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)に結合したコントローラ(110)によって、第一信号および第二信号の一以上を受け取ることに応答して、電力分配および制御システム(100)における電磁リレー(104)を開くこと(ここで、電磁リレー(104)が、開いたときに、負荷(106)を電源(102)から切り離す)
を含む方法。
【請求項10】
第一信号を生成することがさらに第一アラーム信号を生成することを含み、かつ、第二信号を生成することがさらに第二アラーム信号を生成することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、センサシステムの分野に関し、より詳細には、複合電流センサを用いる電流モニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来の電流モニタリングシステムでは、広い範囲の一以上の電流がモニタされることが多い。大電流範囲を扱うために、高電流センサがしばしば使用される。しかし、これらの高電流センサは、一般に、より低い値の電流を正確に測定するのに十分に感度が高くない。より大きな感度の電流センサが代わりに使用される場合、高電流状態のため飽和状態となる高感度電流センサのリスクが増大する。全体的に、広い範囲の電流を正確に測定することは、多くの従来の電流モニタリングシステムでは不十分であることが多い。
【発明の概要】
【0003】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念を簡略化した形で紹介するために提供される。この要約は、特許請求の範囲における主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲を決定する助けとなるものでもない。
【0004】
したがって、より大きな電流範囲にわたって改善された正確性および信頼性を有する電流モニタリングシステムが必要とされている。
【0005】
いくつかの実施形態は、概して、二以上の電流センサを有する電流モニタに関する。電流センサの少なくとも二つは、異なる電流測定範囲および異なる電流測定感度を有することができる。各センサは、一以上の電流モニタリング閾値に関連付けることができる。時間遅延または時間閾値は、各電流モニタリング閾値に対応することができる。各センサは、可能な電流値の広い範囲を有する同じ電流をモニタすることができる。対応する時間閾値を超える時間の量、所定の電流閾値を超えると、電流センサによって信号を生成することができる。生成された信号は、測定された電流が対応する所定の時間の期間のための所定の電流閾値を超えたことを示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
例として、添付の図面を参照して、開示された装置の特定の実施形態を説明する。
【0007】
図1は、例示的な電力分配および制御システムを示す。
【0008】
【0009】
図3は、
図2に示された電流モニタリングシステムの第一斜視図を示す。
【0010】
図4は、
図2に示された電流モニタリングシステムの第二斜視図を示す。
【0011】
図5は、
図2に示された電流モニタリングシステムの底面図を示す。
【0012】
図6は、
図2に示された電流モニタリングシステムの上面図を示す。
【0013】
図7は、二以上の電流センサを使用して電流をモニタリングする方法の例示的なフローダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により十分に記載される。しかし、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完成してあり、開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。図面において、全体を通して、同様の参照番号は同様の成分を参照する。
【0015】
図1は、例示的な電力分配および制御システム100を示す。電力分配および制御システム100は、電源102、リレー104、負荷106、電流モニタ108、およびコントローラ110を含むことができる。
【0016】
電源102は、例えば、バッテリーとすることができる。いくつかの実施形態において、電源102は、自動車バッテリーであってもよい。負荷106は、電源102の下流にある電子回路および/またはデバイスを表すことができる。負荷106によって表されるこれらの電子要素は、電力分配および制御システム100の通常動作中に電源102から電力を受け取ることができる。
【0017】
負荷106は、リレー104によって電源102に結合することができる。
図1に示すように、リレー104は電源102に結合され、負荷106はリレー104に結合される。リレー104は、電磁リレーおよび/または電気的に作動されるスイッチであり得る。リレー104は、保護リレーおよび/またはスイッチとして動作することができる。一例として、リレー104は、故障状態の発生時に負荷106の損傷を防止または制限するように動作することができる。故障状態は、例えば、負荷106に対する過電圧または過電流状態を含むことができる。
【0018】
通常動作中、故障状態が検出または発生しない場合、リレー104は、電源102から負荷106へ電力を供給することができる。故障状態が検出または発生すると、リレー104は、負荷106を電源102から切り離すことができる。このような状況の間、リレー104は、負荷106と電源102との間の電気的接続を遮断することができる。そうして、リレー104は、過電圧または過電流状態が検出または発生しない場合に負荷106に電力が供給されることを保証することができ(例えば、リレー104が閉位置(閉状態)にある場合)、過電圧または過電流状態が検出または発生する場合に負荷106を絶縁して保護することができる(例えば、リレー104が開位置にある場合)。
【0019】
電流モニタ108は、リレー104に結合することができる。電流モニタ108は、リレー104内の電流をモニタおよび/または測定することができる。電流モニタ108は、二以上の電流センサを含むことができる。電流モニタ108の二以上の電流センサは、電源102からリレー104を通って負荷106に流れる電流とほぼ同じ電流をモニタおよび/または測定するように配置または配置することができる(例えば、リレー104が電源102と負荷106との間に接続性を供給するときに電源102によって供給電流が供給される)。
【0020】
電流モニタ108の二以上の電流センサは、異なる電流測定範囲および電流測定感度を有することができる。電流センサの電流測定範囲は、電流センサが電流を正確に検出、測定、またはモニタすることができる電流の範囲とすることができる。電流センサの電流測定感度は、電流センサの精度または測定グラデーション(gradation)のレベルとすることができる。一例として、電流モニタ108の電流センサの一つは、-300アンペア(A)~300Aの電流測定範囲と1Aの電流測定感度を有することができる。このように、この例では、電流モニタ108は、-300Aから300Aの間の任意の値を1Aの精度(例えば、1A間隔)でリレー内の電流を測定することができる。
【0021】
電流モニタ108内の二以上のセンサは、リレー104の電流が一以上の閾値を超えるときを判定することができる。リレー104の電流が所定の閾値を超えたことを検出すると、電流モニタ108は、閾値を超えたことを示す信号を生成することができる。生成した信号はコントローラ110に供給されることができる。コントローラ110は、電力分配および制御システム100の動作を制御およびモニタすることができる。例えば、コントローラ110は、リレー104の動作を制御することができる。具体的には、コントローラ110は、リレー104が電源102と負荷106との間に電気的接続を供給するときおよびリレー104が負荷106を電源102から切り離すときを制御する。
【0022】
コントローラ110は、電流モニタ108からの信号の受信に基づいて、リレー104を制御することができる。例えば、電流モニタ108からの信号を受けて、リレー104内の電流によって一以上の電流閾値が超過された場合、コントローラ110は、負荷106が電源102から切り離されるように、リレー104を開くことを決定することができる。このようにして、過電圧または過電流状態からの保護を負荷106に供給することができる。
【0023】
これに代えてまたはそれに加えて、電流閾値モニタリングに基づいて電流モニタ108によって生成された任意の信号は、リレー104を直接制御することができ(例えば、リレー104を開くことができる)、またはアラーム信号を含むことができる。電流モニタ108によって生成されたアラーム信号は、可聴および/または視覚的な方法で、直接的または間接的にアラーム状態(例えば、電流閾値を超過)を信号することができる。
【0024】
一般に、電流モニタ108は、通信信号、制御信号、またはアラーム信号、またはそれらの任意の組み合わせを生成することができる。電流モニタ108によって生成される任意の信号は、リレー104の電流が前述のように所定の電流閾値を超えるという検出に基づくことができる。
【0025】
電流モニタ108によって生成された通信信号は、電力分配および制御システム100の別の要素に供給され得る。通信信号は、リレー104における所定の閾値を超える電流に関する情報(例えば、リレー104における電流の状態の通知)を含むことができる。一例として、電流モニタ108は、通信信号を生成することができ、コントローラ110に通信信号を供給することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ110はエンジン制御ユニット(ECU)であり、電流モニタ108はコントローラエリアネットワーク(CAN)またはローカル相互接続ネットワーク(LIN)を介してコントローラ110に生成された通信信号を供給できる。
【0026】
電流モニタ108によって生成された制御信号は、電力分配および制御システム100の他の要素の動作を制御または影響を及ぼすために供給され得る。一例として、電流モニタは、リレー104における所定の閾値を超える電流に応答するリレー104の動作を調節する制御信号を生成する。
【0027】
上述したように、電流モニタ108によって生成されたアラーム信号は、電力分配および制御システム100のユーザにアラーム状態(例えば、所定の閾値を超えるリレー104の電流)をアラームするように意図された視覚的または可聴信号を含むことができる。
【0028】
従来の電力分配および制御システムでは、電流モニタは通常、単一の電流センサを有する。一般に、単一の電流センサは、広い範囲の電流にわたって電流を効果的にモニタすることができない。例えば、より高感度の電流センサの多くは、高電流の状況では飽和状態になるが、高電流の状況に対応するように設計された電流センサは、低電流を効果的に測定するほどには感度がない。その結果、多くの従来の電力分配および制御システムは、効果的にモニタし、広範囲の電流レベルに適切に反応しない。
【0029】
対照的に、電力分配および制御システム100の電流モニタ108では、複合電流センサを使用することができる。例えば、上述したように、電流センサは異なる感度を有することができ、(例えば、単一の電流センサのみを使用する場合と比較して)より大きな感度範囲で電流をモニタリングすることができる。
【0030】
図2は、例示的な電流モニタリングシステム200を示す。電流モニタリングシステム200は、リレー(例えば、リレー104)の一部および電流モニタ(例えば、電流モニタ108)を含むことができる。
図2に示すように、
図2に示すように、電流モニタリングシステム200は、入力接続部またはスタッド202および出力接続部またはスタッド204を含むことができる。入力スタッド202は、電力供給(例えば、電源102)の第一の部分または要素に接続することができる。出力スタッド204は、負荷(例えば、負荷106)の第一の部分または要素に接続することができる。
【0031】
図2に示されるように、電流モニタリングシステム200は、第一固定導体またはバスバー206および第二固定導体またはバスバー208を含むことができる。バスバー206は、入力スタッド202に結合することができ、バスバー208は出力スタッド204に結合することができる。可動バスバーまたは導体210はバスバー206とバスバー208との間に結合することができる。
【0032】
可動バスバーまたは接点210は、バスバー206とバスバー208との間の電気的接続性を決定することができる。電流モニタリングシステム200の通常動作中、電流(例えば、リレー104の電流)は入力スタッド202から、バスバー206、可動導体210、バスバー208、および出力スタッド204へと供給される。過電圧または過電流状態が検出または発生すると、可動導体210はバスバー206およびバスバー208から切断されることができ、それによって入力スタッド202から出力スタッド204への電流の流れを遮断する。一例として、バスバー206およびバスバー208からの切断されるように、可動導体210は(
図2に図示されるように電流モニタリングシステム200の向きに対して)垂直方向に動くことができるなっている。
【0033】
電流モニタリングシステム200は、ソレノイドまたはコイル212をさらに含むことができる。さらに、電流モニタリングシステム200は、その上に電流モニタリングシステム200の構成品要素を搭載することができるプリント回路基板(PCB)214を含むことができる。入力スタッド202、出力スタッド204、バスバー206、バスバー208、可動導体210、およびソレノイドは、リレー(例えば、リレー104)の一部を形成することができる。いくつかの実施形態において、これらの要素は、例えばバッテリー(例えば、自動車バッテリー)などの電源に結合された主切断(メインディスコネクト(main disconenct))の一部を形成することができる。
【0034】
図2に示すように、電流モニタリングシステム200は、第一電流センサ216および第二電流センサ218を含むことができる。第一電流センサ216および第二電流センサ218は、磁気電流センサであり得る。いくつかの実施形態において、第一電流センサ216および第二電流センサ218は、ホールセンサ(Hall sensors)であってもよい。
【0035】
第一電流センサ216および第二電流センサ218は、入力スタッド202と出力スタッド204との間に流れるほぼ同じ電流(例えば、リレーまたは電源電流)を測定するように配置または位置することができる。具体的には、第一電流センサ216はバスバー206を流れる電流を検出および/または測定するように配置され、第二電流センサ218はバスバー208を流れる電流を検出および/または測定するように配置される。
図2に示すように、第一電流センサ216および第二電流センサ218は、バスバー206および208を含む側と反対側のPCB214の同じ側に配置することができる。第一電流センサ216および第二電流センサ218は、第一電流センサ216および第二電流センサ218が、バスバー206およびバスバー208を流れるほぼ同じ電流を測定するように、バスバー206およびバスバー208からそれぞれ同じ距離だけ離れて位置することができる。
【0036】
第一電流センサ216および第二電流センサ218は、電流モニタ(例えば、電流モニタ108)の一部であってもよい。このように、電流モニタリングシステム200は、
図1に示されるようにリレー104および電流モニタ108のすべてまたは一部を表すことができるが、これに限定されない。すなわち、電流モニタリングシステム200のリレー/回路保護要素および機能ならびに電流モニタリングシステム200の電流検出要素および機能は、分離されることができ、
図2に示されるように同じPCB上に組み合わされて配置されない。
【0037】
第一電流センサ216および第二電流センサ218はそれぞれ、電流測定範囲および電流測定感度を有することができる。第一電流センサ216と第二電流センサ218の電流測定範囲と感度は異なっていてもよい。例えば、第一センサ216の電流測定範囲および電流感度は、第二センサ216の電流測定範囲および電流感度よりも大きくすることができる。一実施形態では、第一電流センサ216は、-300A~300Aの電流測定範囲および1Aの電流感度を有し、第二電流センサ218は-100A~100Aの電流測定範囲および0.25Aの電流感度を有することができる。したがって、第一電流センサ216と第二電流センサ218は異なる感度レベルでバスバー206および208を通過する同じ電流を効果的に測定することができる。
【0038】
第一電流センサ216および第二電流センサ218は、それぞれ、モニタリングのための一つまたは複数の所定の電流閾値を含むようにプログラムすることができる。所定の閾値は、それぞれ、第一および第二電流センサ216および218のそれぞれの電流測定範囲内にあることができる。例えば、第一電流センサ216はその電流測定範囲内の第一電流閾値に従って構成またはプログラムすることができ、かつ第二電流センサ218はその電流測定範囲内の第二電流閾値に従って構成またはプログラムすることができる。第一センサ216と第二センサ218の閾値は異なっていてもよい。第一および第二センサ216および218のそれぞれの閾値は、それぞれ、電流センサ216および218のための電流設定点であると考えることができる。
【0039】
さらに、第一および第二電流センサ216および218は、測定される電流が特定の電流閾値を超える時間の量を決定するようにプログラムまたは設計することができる。特定の電流閾値に関連する量または時間の期間は、時間遅延またはトリガ遅延とみなすことができる。例えば、第一電流センサ216は、15秒の関連する時間遅延で250Aの所定の電流閾値をモニタすることができる。したがって、第一電流センサ216は、どれだけの長さ、それが検出または測定している電流が250Aにほぼ等しいかそれを超えるかを決定することができる。検出された電流が少なくとも約15秒間250Aにほぼ等しいかまたはそれを超えると、第一電流センサ216はそれに応答して機能を実行することができる。一例として、第一電流センサ216は、所定の時間の量の間、電流設定点または閾値を超える検出電流を示す信号を生成することができる。
【0040】
同様に、一例として、第二センサ218は、1分の関連する時間遅延で75Aの閾値をモニタすることができる。したがって、第二電流センサ218は、検出電流が約75Aに等しいかまたはそれを超える時間を決定することができる。検出電流が少なくとも1分間、75Aにほぼ等しいかそれを超えると、第二電流センサ218は、これに応答して機能を実行することができる。一例として、第二電流センサ218は、所定の時間の量の間、電流設定点または閾値を超える検出電流を示す信号を生成することができる。
【0041】
上記の例では、第一電流センサ216の第一閾値に対応する第一時間遅延(15秒)は、第二電流センサ218の第二閾値に対応する第二時間遅延(1分)よりも小さく、しかしながら、このような時間遅延に限定されない。一般に、感度の低いセンサ(例えば、高電流センサ)の閾値に関連する時間遅延は、より感度の高いセンサ(例えば、低電流センサ)の閾値に関連する時間遅延より短くてもよい。
【0042】
特に第一および第二電流センサ216および218の異なる電流測定範囲および感度が与えられると、第一および第二電流センサ216および218を異なる電流閾値および対応する時間遅延に関連させることにより、第一および第二電流センサ216,218はより広い範囲の電流にわたって、より広い電流の操作条件範囲で、かつ、改善された感度で、電流の条件をより効果的にモニタすることができる。
【0043】
また、第一および第二電流センサ216および218の一つまたは複数の電流閾値または電流設定点を予め決定することができる。さらに、各電流閾値に関連する時間遅延または時間の量(例えば、時間閾値)も予め決定することができる。いくつかの実施形態では、例えば、第一電流センサ216が、対応する閾値を超える電流に即座に反応する(すなわち、時間遅延がない)ように、時間遅延をほぼ0秒に設定することができる。
【0044】
第一および第二電流センサ216および218は、それぞれ、バスバー206および208内の電流をそれぞれ連続的にモニタおよび測定することができる。この電流の測定値は、第一および第二電流センサ216および218によって(例えば、コントローラ110へ)連続的に報告され、および/またはメモリに格納される。さらに、第一および第二電流センサ216および218は、所定の閾値を超過したときを報告することができる。さらに、上述のように、第一および第二電流センサ216および218は、対応する所定の時間期間のための所定の閾値を超えたときを報告することもできる。
【0045】
第一および第二電流センサ216,218は、上述したように、所定の時間の期間、所定の閾値を超えたことに応答して信号を生成することができる。信号は、
図1に関連して上述したように、通信信号、制御信号、またはアラーム信号、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。一般に、電流モニタリングシステム200は、任意の数のセンサを備えることができ、センサは、任意の数の電流設定点および対応する時間遅延トリガに関連付けることができる。
【0046】
図3~
図6は、いくつかの観点における電流モニタリングシステム200を示す。例えば、
図3は、例示的な電流モニタリングシステム200の第一斜視図を示し、
図4は、例示的な電流モニタリングシステム200の第二斜視図を示す。
図3および
図4は、入力スタッド202、出力スタッド204、バスバー206、バスバー208、可動導体210、ソレノイドまたはコイル212、およびPCB214の例示的な配置を示すために提供されている。
【0047】
図5は、電流モニタリングシステム200の底面図を示す。
図5に示すように、第一電流センサ216および第二電流センサ218は、PCB214の底面に取り付けられまたは実装され得る。第一電流センサ216および第二電流センサ218は、バスバー206および208(
図5には示されていない)が配置される下部に位置することができる。そうすることで、バスバー206および208はほぼ同じ電流を流すかまたは伝導するので、第一電流センサ216および第二電流センサ218は、ほぼ同じ電流を検出および/または測定することができる。
【0048】
図6は、電流モニタリングシステム200の上面図を示す。
図6は、PCB214上のソレノイド212、バスバー206、バスバー208、入力スタッド202、および出力スタッド204の例示的な配置を示す。
【0049】
図7は、二以上の電流センサ700を用いて電流をモニタリングする方法の例示的なフローダイアグラムを示す。
図7に示されるシステムは、電力分配および制御システム100および/または電流モニタリングシステム200を使用して実施することができる。
【0050】
ステップ702では、二以上の電流センサの電流閾値または設定点を決定または設定することができる。各電流センサは、電流測定範囲および電流測定感度を有することができる。少なくとも二つの電流センサの電流測定範囲および電流測定感度は異なることができる。一以上の電流閾値を各電流センサに設定することができる。
【0051】
ステップ704では、各電流センサの各電流閾値に対応する時間期間または時間遅延(または時間閾値)を決定または設定することができる。
【0052】
ステップ706において、それぞれの電流閾値-時間期間ペアリングの応答アクションが、各電流センサに対して決定または設定されることができる。応答アクションは、所定の電流閾値のための対応する所定の時間期間をほぼ超える時間の期間、所定の電流閾値をほぼ超えるときに発生するアクションを指定してよい。応答アクションは、所定の時間期間、所定の電流閾値を超えたことを示す信号を生成することを含むことができる。生成された信号は、上述したように、アラーム信号、通信信号、または制御信号、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0053】
ステップ708で、二以上の電流センサが電流をモニタする。電流をモニタリングすることは、電流を連続的または定期的に測定することを含むことができ、さらに、電流測定値を連続的にまたは定期的に記憶することまたは電流測定値を報告することを含むことができる。二以上の電流センサは、同じ電流をモニタすることができる。例えば、二以上の電流センサは、一つまたは複数の導体を流れる同じ電流をほぼ測定するように配置または配置することができる。その際に、少なくとも電流測定範囲および感度を有する電流センサは、同じ電流の値を測定することができる。
【0054】
ステップ710では、所定の応答アクションが実行される。ステップ706で設定することができる所定の応答アクションは、電流センサの所定の電流閾値が所定の時間閾値に対応する時間の量をほぼ超えたときに実行されることができる。
【0055】
概して、本明細書に記載の電流モニタリングシステムおよび方法は、大きな電流範囲にわたってより効果的なモニタリングが達成されるように、異なる電流範囲および感度を有する二以上の電流センサを使用することによって改善された電流モニタリングを供給することができる。二以上の電流センサに対して異なる電流設定点および時間閾値を確立することによって、電流閾値モニタリングおよびそれに対する応答を供給することができる。本明細書に記載の技術は、電気機械ヒューズ、充電状態モニタリングシステム、高電流モニタリングシステム、および広範囲の電流のモニタリングから利益を得る他のシステムに適用することができる。
【0056】
本開示は特定の実施形態を参照するが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の修正、代替および変更が可能である。したがって、本開示は、記載された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有することが意図される。
【0057】
本開示は以下の態様も包含する。
[項1]
電源;
電源に結合したリレー;
リレーに結合した負荷、ここでリレーが閉位置にある場合にリレーが負荷を電源に結合する;
リレーに結合した電流モニタ;および
電流モニタに結合したコントローラ
を有してなり、
電流モニタは、第一電流センサおよび第二電流センサを含み、
第一および第二電流センサのそれぞれは、リレーの電流を測定し、
第一電流センサは、リレーの電流が、第一の時間の期間のための第一電流の測定範囲内の第一電流設定点を超えるときを決定し、第二電流センサは、リレーの電流が、第二の時間の期間のための第二電流測定範囲内の第二電流設定点を超えるときを決定する、装置。
[項2]
第一電流センサは第一電流測定感度を有し、第二電流センサは第二電流測定感度を有する、項1に記載の装置。
[項3]
第一電流測定範囲は、第二電流測定範囲よりも大きい、項2に記載の装置。
[項4]
第一電流測定感度は、第二電流測定感度よりも大きい、項3に記載の装置。
[項5]
第一の時間の期間は、第二の時間の期間未満であることを特徴とする項4に記載の装置。
[項6]
電源はバッテリーである、項1に記載の装置。
[項7]
コントローラは、エンジン制御ユニット(ECU)である、項1に記載の装置。
[項8]
第一電流センサは、リレーの電流が第一の時間の期間のための第一電流設定点を超えるときに第一信号を生成する、項1に記載の装置。
[項9]
第一信号は、コントローラに供給される、項8に記載の装置。
[項10]
コントローラは、第一信号の受信に基づいて、リレーを開いて電源から負荷を切り離す、項9に記載の装置。
[項11]
第一信号は、リレーを開いて負荷から電源を切り離す、項8に記載の装置。
[項12]
第一信号は、リレーの電流が第一の時間の期間のための第一電流設定点を超えることを示すアラーム信号を含む、項8に記載の装置。
[項13]
第二電流センサは、リレーの電流が第二の時間の期間のための第二電流設定点を超えるときに第二信号を生成する、項8に記載の装置。
[項14]
第二信号は、コントローラに供給される、項13に記載の装置。
[項15]
コントローラは、第二信号の受信に基づいて、リレーを開いて電源から負荷を切り離す、項14に記載の装置。
[項16]
第二信号は、リレーを開いて負荷を電源から切り離す、項13に記載の装置。
[項17]
第二信号は、リレーの電流が第二の時間の期間のための第二電流設定点を超えることを示すアラーム信号を含む、項13に記載の装置。
[項18]
第一電流センサの第一電流閾値を決定することであって、第一電流センサが第一電流測定範囲および第一電流測定感度を有する、こと;
第二電流センサの第二電流閾値を決定することであって、第二電流センサが第二電流測定範囲および第二電流測定感度を有し、第一電流閾値、第一電流測定範囲、および第一電流測定感度は、第二電流閾値、第二電流測定範囲、および前記第二電流測定感度よりも大きい、こと;
第一電流センサの第一電流閾値に対応する第一時間期間を決定すること;
第二電流センサの第二電流閾値に対応する第二時間期間を決定することであって、第二時間期間は第一時間期間よりも大きい、こと;
第一電流センサおよび第二電流センサを用いて電流を連続的にモニタリングすること;
第一時間期間を超える時間の量、電流が第一電流閾値を超えるときに第一信号を生成すること;
第二時間期間を超える時間の量、電流が第二電流閾値を超えるときに第二信号を生成すること;および
第一および第二信号の少なくとも一つをコントローラに供すること、を含む方法。
[項19]
第一信号を生成することはさらに、第一時間期間を超える時間の量、第一電流閾値を超える電流を示す第一アラーム信号を生成することを含み、
第二信号を生成することはさらに、第二時間期間を超える時間の量、第二電流閾値を超える電流を示す第二アラーム信号を生成することを含む、項18に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流センシング装置(100)であって:
電源(102);
電源(102)に結合した電磁リレー(104);
電磁リレー(104)に結合した負荷(106)(ここで、電磁リレー(104)がソレノイド(212)を含み、電磁リレー(104)が閉位置にある場合に電磁リレー(104)が負荷(106)を電源(102)に結合する);
電磁リレー(104)に結合した電流モニタ(108)(ここで、電流モニタ(108)が:
電磁リレー(104)の電流を測定する第一電流センサ(216)(ここで、第一の時間の期間、第一電流測定範囲内の第一電流閾値を超える電磁リレー(104)の電流に応答して、第一電流センサ(216)が第一信号を生成する);および
電磁リレー(104)の電流を測定する第二電流センサ(218)(ここで、第二の時間の期間、第二電流測定範囲内の第二電流閾値を超える電磁リレー(104)の電流に応答して、第二電流センサ(218)が第二信号を生成し、第二電流測定範囲が第一電流測定範囲とは異なる)
を含む);および
電流モニタ(108)に結合したコントローラ(110)(ここで、コントローラ(110)が、第一信号または第二信号を受けて、電磁リレー(104)を開いて負荷(106)を電源(102)から切り離す)
を含み、
電流モニタ(108)が電磁リレー(104)を介して電源(102)および負荷(106)に間接的に結合する、電流センシング装置(100)。
【請求項2】
第一電流センサ(216)が第一電流測定感度を有し、第二電流センサ(218)が第二電流測定感度を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第一電流測定範囲が第二電流測定範囲よりも大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第一電流測定感度が第二電流測定感度よりも大きい、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第一の時間の期間が第二の時間の期間未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
第一信号が通信信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第一信号が制御信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第一信号がアラーム信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)を使用して電力分配および制御システム(100)における電流をモニタする方法(ここで、電力分配および制御システム(100)がソレノイド(212)を有する電磁リレー(104)(ここで、電磁リレー(104)が電源(102)と負荷(106)との間に配置される)を含む)であって、方法が:
第一電流センサ(216)の第一電流閾値を決定すること(ここで、第一電流センサ(216)が第一電流測定範囲および第一電流測定感度を有する);
第二電流センサ(218)の第二電流閾値を決定すること(ここで、第二電流センサ(218)が第二電流測定範囲および第二電流測定感度を有し、第一電流閾値が第二電流閾値とは異なり、第一電流測定範囲が第二電流測定範囲とは異なり、かつ、第一電流測定感度が第二電流測定感度とは異なる);
第一電流センサ(216)の第一電流閾値に対応する第一の時間の期間を決定すること;
第二電流センサ(218)の第二電流閾値に対応する第二の時間の期間を決定すること(ここで、第二の時間の期間が第一の時間の期間とは異なる);
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)を使用して電力分配および制御システム(100)における電流を連続的にモニタリングすること;
少なくとも第一の時間の期間の間、第一電流閾値を超える電流に応答して第一信号を生成すること;
少なくとも第二の時間の期間の間、第二電流閾値を超える電流に応答して第二信号を生成すること;および
第一電流センサ(216)および第二電流センサ(218)に結合したコントローラ(110)によって、第一信号および第二信号の一以上を受け取ることに応答して、電力分配および制御システム(100)における電磁リレー(104)を開くこと(ここで、電磁リレー(104)が、開いたときに、負荷(106)を電源(102)から切り離す)
を含み、
電流モニタ(108)が電磁リレー(104)を介して電源(102)および負荷(106)に間接的に結合する、方法。
【請求項10】
第一信号を生成することがさらに第一アラーム信号を生成することを含み、かつ、第二信号を生成することがさらに第二アラーム信号を生成することを含む、請求項9に記載の方法。