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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052636
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/88 20060101AFI20230404BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20230404BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20230404BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230404BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
E06B9/88
E06B9/84 D
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E06B7/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009963
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2019045989の分割
【原出願日】2019-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
(57)【要約】
【課題】 浸水によるセンサ不良を軽減する。
【解決手段】
空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体10と、上下方向へ多数並ぶ一対の投光部40a1及び受光部40b1によって物体を感知するための多数の光路Rを形成する多光軸センサとを備えた開閉装置において、開閉体10の下部側には、全閉時に仕切られる一方側の空間を浸水想定領域とみなし、該浸水想定領域に溜まる水が他方側の空間に流れるのを阻むように、所定高さの止水板が設けられ、前記多光軸センサは、一対の投光部40a1及び受光部40b1を、止水板12から離間して前記他方側の空間に配設している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体と、上下方向へ多数並ぶ一対の投光部及び受光部によって物体を感知するための多数の光路を形成する多光軸センサとを備えた開閉装置において、
前記開閉体の下部側には、全閉時に仕切られる一方側の空間を浸水想定領域とみなし、該浸水想定領域に溜まる水が他方側の空間に流れるのを阻むように、所定高さの止水板が設けられ、
前記多光軸センサは、前記一対の投光部及び受光部を、前記止水板から離間して前記他方側の空間に配設していることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記多光軸センサは、前記多数の光路のうち、二以上の一部の光路が閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じた感知信号を出力するブランキング制御モードを有し、
前記止水板には、前記他方側へ突出して前記一部の光路を遮る遮光部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記遮光部を弾性材料により形成したことを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記開閉体の幅方向の両端部を上下方向へ案内するガイドレールと、全閉時の前記開閉体を下方側で受ける下枠部とを備え、
前記止水板の幅方向両端側と下端側には、前記ガイドレール及び前記下枠部に接触して水密性を確保する止水部が設けられ、
前記多光軸センサは、開閉体厚さ方向において前記止水部から前記他方側に離れて位置することを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーバヘッドドア等、空間を仕切るようにして開閉体を閉動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体の下端側に止水板を設け、この止水板によって全閉時に外部からガレージ内に侵入しようとする水を防ぐようにしたガレージ用のシャッター装置がある。
このようなシャッター装置では、開閉体を開放した際の開口部に、人や車等、高さの異なる物体が通過する。このため、前記開口部の上下方向にわたる範囲で物体を感知することが求められる。
【0003】
前記のように高さの異なる物体を感知可能するようにしたシャッター装置には、例えば、特許文献2に記載されるものがある。このシャッター装置は、左右のガイドレール内に、上下方向へわたる多光軸センサを具備している。この多光軸センサは、上下方向に並ぶ多数の投光部及び受光部により、上下方向に並ぶ多数の光路を形成し、これら多数の光路のうち、何れかの光路が物体に遮られた場合に感知信号を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-204843号公報
【特許文献2】特開2010-77752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前者のシャッター装置に前記多光軸センサを設けた場合、ガレージの外側で水位が高くなった水が、ガイドレールと開閉体の隙間に流れ込み多光軸センサに付着して、ショートや絶縁不良等の一因になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体と、上下方向へ多数並ぶ一対の投光部及び受光部によって物体を感知するための多数の光路を形成する多光軸センサとを備えた開閉装置において、前記開閉体の下部側には、全閉時に仕切られる一方側の空間を浸水想定領域とみなし、該浸水想定領域に溜まる水が他方側の空間に流れるのを阻むように、所定高さの止水板が設けられ、前記多光軸センサは、前記一対の投光部及び受光部を、前記止水板から離間して前記他方側の空間に配設していることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、浸水によるセンサ不良を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2】同開閉装置の要部縦断面図であり、(a)は全閉前の状態、(b)は全閉状態を示す。
図3】同開閉装置の要部横断面図である。
図4】遮光部材の一例を示す斜視図である。
図5】センサ制御回路の障害物感知動作の一例を示すフローチャートであり、(a)はブランキング制御モードの場合、(b)は通常感知モードの場合を示す。
図6】物体感知センサを収納ケースに収納した態様について、要部を切欠して示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして下方へ閉鎖動作する開閉体と、上下方向へ多数並ぶ一対の投光部及び受光部によって物体を感知するための多数の光路を形成する多光軸センサとを備えた開閉装置において、前記開閉体の下部側には、全閉時に仕切られる一方側の空間を浸水想定領域とみなし、該浸水想定領域に溜まる水が他方側の空間に流れるのを阻むように、所定高さの止水板が設けられ、
前記多光軸センサは、前記一対の投光部及び受光部を、前記止水板から離間して前記他方側の空間に配設している(図1図3参照)。
この構成によれば、浸水想定領域が浸水した場合でも、多光軸センサが浸水するのを防ぐことができる。
【0010】
第二の特徴として、開閉体の撓みよる誤感知を軽減するために、前記多光軸センサは、前記多数の光路のうち、二以上の一部の光路が閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じた感知信号を出力するブランキング制御モードを有し、前記止水板には、前記他方側へ突出して前記一部の光路を遮る遮光部が設けられている(図2及び図5参照)。
【0011】
第三の特徴は、物体等との接触による衝撃を緩和するために、前記遮光部を弾性材料により形成した。
【0012】
第四の特徴は、多光軸センサの浸水をより効果的に防ぐために、前記開閉体の幅方向の両端部を上下方向へ案内するガイドレールと、全閉時の前記開閉体を下方側で受ける下枠部とを備え、前記止水板の幅方向両端側と下端側には、前記ガイドレール及び前記下枠部に接触して水密性を確保する止水部が設けられ、前記多光軸センサは、開閉体厚さ方向において前記止水部から前記他方側に離れて位置する(図2及び図3参照)。
【0013】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0014】
図1は、本発明に係る開閉装置の一例を示す。
この開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉動作する開閉体10と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部20と、開閉体10の横幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで上下方向へ案内する二つのガイドレール30,30と、開閉体10の下端部に対向する下枠部35(図2参照)と、開閉体10近傍の物体を感知する物体感知センサ40(多光軸センサ)と、制御回路50とを備える。
この開閉装置1は、例えばガレージや工場等の躯体の開口部に装着され、全閉時に仕切られる一方側(図3によれば屋外側)の空間を浸水想定領域とみなし、該浸水想定領域に溜まる水が他方側(図3によれば屋内側)の空間に流れるのを止水板12によって阻む止水シャッター装置を構成する。
【0015】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下端部に所定高さの止水板12を接続している。
【0016】
止水板12は、止水板本体12aと、ガイドレール30及び下枠部35に接触して水密性を確保する止水部12b,12c(図2及び図3参照)と、前記他方側(図2によれば右側)へ突出して物体感知センサ40による多数の光路Rの一部を遮る遮光部12dとを具備している。
【0017】
止水板本体12aは、厚み方向に貫通する部分のない矩形平板状に構成された部材であり、横幅方向の両端側をガイドレール30,30に嵌め合わせている。
この止水板本体12aは、単数又は複数の金属板を、厚み方向の隙間や孔のないように適宜に加工したものとすればよい。
【0018】
止水部12b,12cは、長尺状のゴム材から構成される。
一方の止水部12bは、止水板本体12aの横幅方向の両端側に、それぞれ、上下方向へ連続する長尺状に配設される。この止水部12bは、図3に示すように、止水板本体12aの幅方向端部に固定されたブラケット12eを介して、止水板本体12aに対し一体的に止着される。
他方の止水部12cは、図2に示すように、止水板12の下端側に、開閉体幅方向へ連続する長尺状に配設される。この止水部12cは、図示しないブラケット等により、止水板12に対し一体的に止着される。
【0019】
遮光部12dは、止水板本体12aの表面から突出して上下に隣接する二つの光路R,Rを塞ぐ部材であり、開閉体幅方向の一端側において止水板本体12a下端よりも若干上側に位置する。
この遮光部12dは、図4に例示するように、上下に傾斜面を有する縦断面台形状であって、所定の横幅寸法に形成される。
この遮光部12dは、本実施の形態の好ましい一例によれば、弾性合成樹脂材料(例えば合成ゴムやエラストマー樹脂を含む)等の弾性材料からなるが、他例としては、硬質合成樹脂材料からなる態様や、金属材料からなる態様とすることも可能である。
この遮光部12dを止水板本体12a表面に固定する手段は、例えば、接着や嵌合、適宜な止着具(例えば、ネジやボルト、リベット、ブラケット等)による止着とすればよい。
【0020】
また、収納部20は、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース21内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸22と、該巻取軸22をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機23と、制御回路50の一部である開閉体制御回路51とを備える(図1参照)。
【0021】
開閉機23は、回転式電動モータ及び制動機構等により構成される。
この開閉機23には、開閉体10の全閉位置と全開位置にて接点信号を出力する全閉全開感知部23aが設けられる。この全閉全開感知部23aは、開閉機23の回転部分の回転量が所定値になった際に接点信号を出力する機械式カウンター構造のスイッチである。
【0022】
開閉体制御回路51は、例えばマイコン等を備えた電子回路であり、予め記憶したプログラムにより機能することで、物体感知センサ40からの閉動作制限信号や、図示しない開放スイッチ、停止スイッチ及び閉鎖スイッチの信号、その他の信号等を処理し、その処理結果に応じて開閉機23を制御する。
【0023】
また、ガイドレール30は、開閉体幅方向の片側と逆側で、開閉体10の幅方向端部を凹状に囲んで上下方向へ案内するように構成される。
このガイドレール30の下端側には、止水板12の幅方向端部に対し凹状にはまり合って、水密性を保持しながら止水板12を上下方向へ案内する止水板ガイド部31が設けられる。また、ガイドレール30の屋内側の面には、物体感知センサ40を収容するセンサ収容部32が設けられる(図3参照)。
そして、このガイドレール30は、図示しないブラケット等を介して、当該開閉装置1の装着対象である躯体の壁面(図示せず)に固定される。
【0024】
止水板ガイド部31は、止水板12の幅方向端部を囲む横断面凹状に形成され(図3参照)、上下方向へ延設されている。この止水板ガイド部31内の下端側において、止水板12の浸水想定領域側の面に対向する内面には、止水板12の下端側に摺接して止水板12を傾斜面により下方へ導くガイド部31aが設けられる。
【0025】
センサ収容部32は、ガイドレール30の屋内側面に沿って開閉体開閉方向へ連続する長尺状の部材であり、ガイドレール30に対し、ねじやリベット等の止着具によって固定される。
このセンサ収容部32は、屋内側を向く開口を有する横断面凹状の収容ケース部32aと、前記開口を塞ぐようにして着脱可能に装着されるカバー部32bとから構成される。
【0026】
収容ケース部32aは、開閉体幅方向における開閉体中心方向側の側壁に、上下方向に間隔を置いて並ぶ複数の貫通孔32a1を有する。各貫通孔32a1は、後述する物体感知センサ40の光線を通過させるための孔である(図3参照)。
【0027】
カバー部32bは、開閉体幅方向の一端側を収容ケース部32aに着脱可能に嵌合するとともに、他端側を、ねじやボルト等の着脱可能な止着具によって収容ケース部32aに止着している(図3参照)。
【0028】
また、下枠部35は、開閉体10によって開閉される開口部の下端側で、左右のガイドレール30,30間にわたり連続しており、全閉時の開閉体10の下端面に対向して設けられる。
この下枠部35には、開閉体10よりも屋内側で上方へ突出する突片部35aが設けられる。この突片部35aは、開閉体10に沿って開閉体幅方向へ連続している。この突片部35aは、全閉時における開閉体10下端側の止水部12cに水密に接触する(図2(b)参照)。
【0029】
したがって、開閉体10が全閉すると、横幅方向の端部側で止水部12bが止水板ガイド部31内面に圧接され(図3参照)、下端側では止水部12cが下枠部35に圧接されて(図2参照)、止水板12の両側及び下端側の隙間が略塞がれる。このため、浸水想定領域側(図示例によれば屋外側)に、雨水等が溜まった場合でも、この水は、屋内側へ侵入するのを阻まれる。
【0030】
物体感知センサ40は、屋内側から止水板12に近接して上下方向へ多数並ぶ一対の投光部40a1及び受光部40b1(光電センサ)を備え、止水部12b,12cから図示の屋内側へ離れて配設される。
この物体感知センサ40は、投光部40a1及び受光部40b1によって多数の光路Rを形成し、これら多数の光路のうち、少なくとも一部を物体が遮るのを感知する。
【0031】
詳細に説明すれば、この物体感知センサ40は、片側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第一のユニット40aと、逆側のガイドレール30内で上下方向へ延設された第二のユニット40bとを備え、開閉体10の開閉経路中に、上下方向へ間隔を置いて並ぶ多数の光路Rを形成する。
この物体感知センサ40から出力される信号は、開閉体10の閉動作を制限するための閉動作制限信号として扱われる。
【0032】
第一のユニット40aと第二のユニット40bは、それぞれ、全閉時の開閉体10の着座対象部位G(例えば、下枠や床面、地面等)から開放方向側に所定寸法H離れて位置し、センサ収容部32内に固定される。
所定寸法Hは、150~1500mmの範囲内に設定され、より好ましくは、150~500mmの範囲内に設定される。
【0033】
第一のユニット40aは、上下方向へ長尺な立方体状に構成され、その長手方向に略一定の間隔を置いて多数の投光部40a1を有する。これら投光部40a1は、センサ収容部32内の電気配線e1から電力供給されて、障害物感知媒体としての光(例えば赤外線)を発する。
電気配線e1と第一のユニット40aの接続部分40a2は、全閉位置にある止水板12の上端よりも上側に位置する。
【0034】
第二のユニット40bは、上下方向へ長尺な立方体状に構成され、その長手方向に略一定の間隔を置いた多数の受光部40b1と、これら受光部40b1の感知状態に応じて信号出力するセンサ制御回路41とを備え、センサ制御回路41の出力信号を電気配線e2によって収納部20内の制御回路50へ導く。
電気配線e2と第二のユニット40bの接続部分40b2、及びセンサ制御回路41は、全閉位置にある止水板12の上端よりも上側に位置する。
【0035】
さらに、第一のユニット40a及び/又は第二のユニット40bに、電力を供給する電源回路やアンプ、その他の電子回路等(図示せず)も、全閉位置にある止水板12の上端よりも上側に配置する。
【0036】
また、制御回路50は、上記した開閉体制御回路51とセンサ制御回路41により構成され、これら二つの制御回路51,41の連携により、開閉装置1の動作を制御する。
なお、この制御回路50は、全閉位置にある止水板12よりも上方側に配置すれば、単数又は三以上の構成(図示せず)とすることが可能である。
制御回路50を複数とした場合、後述するブランキングモードや、通常感知モード、その他の制御等の機能分担は、任意に設定することが可能である。
また、制御回路50を単数とした場合には、この単数の制御回路(例えば開閉体制御回路51)が、後述するブランキングモード、通常感知モード等の制御を全て行うようにする。
【0037】
次に、センサ制御回路41と開閉体制御回路51の基本動作について説明する。
センサ制御回路41は、ブランキング制御モードと通常感知モードとのうち、いずれか一方のモードを、所定の条件に応じて実行する。
【0038】
<ブランキング制御モードについて>
ブランキング制御モードは、開閉体10の閉動作中に遮光部12dが物体感知センサ40の多数の光路Rを通過するときに実行されるモードである。
このブランキング制御モードにおいて、センサ制御回路41は、多数の光路のうち、二以上の一部の光路が遮光部12dによって閉鎖方向の順番で遮断される毎に、これら遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路について遮断の有無を無視するとともに、この無視された光路よりも閉鎖方向側の光路について遮断の有無に応じて、後述する閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
ここで、前記「遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路」とは、図1に示す一例によれば、遮光部12dによって閉鎖方向の順番で遮断される二つの光路の下方側に隣接する光路R1以上の全ての光路である。
【0039】
なお、図示例以外の他例としては、前記「遮断された光路を含んで開放方向寄りに位置する光路」を、前記光路R1は含まずに、前記光路R1よりも上側に位置する全ての光路とすることも可能である。
【0040】
上記閉動作制限信号は、開閉体10の閉動作を制限するための信号であり、例えば、OFF状態とON状態の間を変化する接点信号、又は有電圧信号等とすればよい。
【0041】
ブランキング制御モードにおける障害物感知動作について、具体的に説明すれば、図5(a)に例示すように、センサ制御回路41は、遮光部12d直下の光路R1よりも下側の所定の複数の光路Rのうち、少なくとも一つが遮断されたか否かを判断し(ステップS1)、遮断されていれば閉動作制限信号の出力をONにし(ステップS2)、遮断されていなければ閉動作制限信号の出力をOFFにする(ステップS3)。その後、処理をステップS1へ戻す。
なお、本実施の形態の一例では、複数の光路Rのうち、一番下側の二つの光路Rを、遮光部12dが物体感知センサ40の下端側に達したことの感知専用とし、障害物感知しないようにしているが、他例としては、これら二つの光路Rも障害物感知に用いることが可能である。
【0042】
<通常感知モードについて>
通常感知モードは、所定の条件でリセット動作が行われた際に、実行されるモードである。前記所定の条件は、例えば、電源投入時の信号や、一番上側の二つの光路Rが閉鎖方向へ順番に遮られた際の信号等とすればよい。
この通常感知モードにおいて、センサ制御回路41は、閉鎖方向の順番に拘わらずに、多数の通常感知用光路Rについて、少なくとも一部の遮断の有無に応じて閉動作制限信号の出力をON又はOFFにする。
ここで、前記「通常感知用光路R」は、最も開放方向寄りの上下二つの光路R,Rと、最も閉鎖方向寄りの上下二つの光路R,Rとの間に位置する複数の光路Rである。なお、最も開放方向寄りの上下二つの光路R,Rと、最も閉鎖方向寄りの上下二つの光路R,Rは、遮光部12dが物体感知センサ40の感知領域に入出したのを感知するのに用いられる。
【0043】
図5(b)のフローチャートに示すように、通常感知モードにおいて、センサ制御回路41は、複数の通常感知用光路Rのうち、少なくともその一部が遮断されたか否かを判断し、遮断れていればステップS22へ処理を進めて閉動作制限信号の出力をONにし、そうでなければ、ステップS23へ処理を移行して閉動作制限信号の出力をOFFにする。そして、この後、処理はステップS21に戻される。
【0044】
そして、開閉体制御回路51は、センサ制御回路41から閉動作制限信号が入力された場合に、開閉機23の制御により開閉体10の閉鎖動作を停止したり、閉鎖スイッチ等による閉鎖信号があった場合でも開閉体10の閉鎖動作を禁止したり等、開閉体10の閉動作を制限する。
なお、図示しない停止スイッチの操作による開閉体10の停止は、上述してきたステップの何れの時点でも可能である。
【0045】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
上記構成の開閉装置1によれば、物体感知センサ40が、開閉体厚さ方向において浸水想定領域に対する逆側(図示例によれば屋内側)の空間に、止水部12b,12cから離れて当接対象部位G上方に位置する。このため、開閉体10の全閉状態で浸水想定領域に水が溜まった場合でも、物体感知センサ40が浸水してしまうのを防ぐことができる上、止水部12b,12cの劣化や破損に起因して若干の水が屋内側へ流れた場合でも、物体感知センサ40が浸水するのを阻むことができる。
【0046】
しかも、電気配線e1,e2の接続部分40a2,40b2、センサ制御回路41及び開閉体制御回路51等が、全閉位置にある止水板12の上端よりも上側に位置するため、これら電気配線の接続部分や電子部品等が浸水して、ショートや絶縁不良等が生じるのを防ぐことができる。
【0047】
また、開閉体10の下端側で厚さ方向へ突出する遮光部12dによりブランキング制御を行うようにしたため、開閉体10の撓みによる不具合を軽減することができる。すなわち、仮にブランキング制御を行わない構成とした場合には、風や振動により撓む開閉体10が物体感知センサ40に感知されて開閉体10の閉鎖動作が停止してしまうおそれがあるが、上記開閉装置1によれば、遮光部12dによるブランキング制御を行うので、このような不具合を防ぐことができる。
その上、遮光部12dを弾性材料により形成しているため、この遮光部12dが物体に接触して強い衝撃を与えてしまうようなことも防ぐことができる。
【0048】
<変形例>
上記実施の形態の開閉装置1によれば、物体感知センサ40を構成する第一のユニット40aと第二のユニット40bを、それぞれ、センサ収容部32内に直接装着するようにしたが、他例としては、第一のユニット40aと第二のユニット40bを、それぞれ、図6に示す防水ケース60に収納し、この収納状態で、センサ収容部32内に装着するようにしてもよい。
防水ケース60は、少なくとも全閉位置にある止水板12の上端よりも下側で、第一のユニット40aと第二のユニット40bをそれぞれ水密に覆う中空箱状に形成される。この防水ケース60の外壁部には、光路Rの形成を可能にする透光部61が設けられる。
【0049】
詳細に説明すれば、図示例の防水ケース60は、図6に示すように、上端に開口部60aを有するとともに下端に底部60bを有する有底筒状に形成され、その周壁部分に、投光部61を、物体感知センサ40の投光部40a1又は受光部40b1のピッチに応じて複数設けている。
各投光部61は、例えば、アクリル樹脂板やガラス板等の透光性の材料から形成される。なお、他例としては、上下方向へ長尺な投光部(図示せず)により複数の光路Rを透過させるようにした態様や、防水ケース60全体を透光性の材料から形成した態様とすることも可能である。
【0050】
そして、図示例の防水ケース60は、第一のユニット40a又は第二のユニット40bの上下方向の全長よりも長く形成され、第一のユニット40a又は第二のユニット40b、センサ制御回路41、電気配線e1,e2の接続部分等を内在する。
よって、この防水ケース60を用いれば、物体感知センサ40の防水性能をより向上することができる上、組立性やメンテナンス性も良好である。
【0051】
なお、防水ケース60の他例としては、第一のユニット40a又は第二のユニット40bの下半部側のみを覆う態様とすることも可能であり、この場合、少なくとも、全閉位置にある止水板12の上端よりも下側に対応する部分を覆うことが好ましい。
【0052】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1:開閉装置
10:開閉体
12:止水板
12a:止水板本体
12b,12c:止水部
12d:遮光部
40:物体感知センサ(多光軸センサ)
40a:第一のユニット
40b:第二のユニット
40a2,40b2:接続部分
41:センサ制御回路
50:制御回路
51:開閉体制御回路
60:防水ケース
61:透光部
e1,e2:電気配線
R,R1:光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6