IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディミューン,エルエルシーの特許一覧

特開2023-52693RSV特異的抗体およびその機能的部分
<>
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図1A
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図1B
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図2
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図3A
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図3B
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図4
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図5
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図6
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図7
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図8
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図9
  • 特開-RSV特異的抗体およびその機能的部分 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052693
(43)【公開日】2023-04-11
(54)【発明の名称】RSV特異的抗体およびその機能的部分
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230404BHJP
   C07K 16/08 20060101ALI20230404BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230404BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230404BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230404BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230404BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230404BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230404BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/08
C12P21/08
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/15
C12N1/19
A61K39/395 S
A61P31/12
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010903
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2020020602の分割
【原出願日】2015-01-14
(31)【優先権主張番号】61/927,819
(32)【優先日】2014-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルブラント,ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】カレヴァールト-レライ,ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,アンディ キュー.
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ベッティーナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】RSV感染を和らげるためのおよび/または予防するための手段および方法を提供することが目的である。RSVに対する代替のおよび/もしくは改良型の抗体またはそのような抗体の機能的等価物を提供すること、ならびにRSVに対する抗体またはその機能的等価物を産生することができる安定した細胞を提供することが更なる目的である。
【解決手段】呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができる合成抗体、組み換え抗体もしくは単離抗体またはこれらの機能的部分は、特定の配列を含むアミノ酸配列からなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができ、
a.配列NYIIN(配列番号1)または配列DYIIN(配列番号9)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)または配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と少なくとも75%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)または配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.配列QASQDIVNYLN(配列番号4)と少なくとも85%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.配列VASNLET(配列番号5)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、
f.配列QQYDNLP(配列番号6)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR3配列と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分であって、
前記重鎖中の少なくとも1個のアミノ酸が配列番号7と異なり、前記少なくとも1個のアミノ酸が
から選択される、合成抗体もしくは組み換え抗体またはその機能的部分。
【請求項2】
a.重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
b.重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む、
c.重鎖可変領域CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む、
d.軽鎖可変領域CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
e.軽鎖可変領域CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、および/または
f.軽鎖可変領域CDR3配列が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
請求項1に記載の抗体または機能的部分。
【請求項3】
a.重鎖可変領域CDR1配列がNYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含む、
b.重鎖可変領域CDR2配列がGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む、
c.重鎖可変領域CDR3配列がETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む、
d.軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含む、
e.軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含む、および
f.軽鎖可変領域CDR3配列がQQYDNLP(配列番号6)を含む、
請求項1に記載の抗体または機能的部分。
【請求項4】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項5】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項6】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項7】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項8】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項9】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項10】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項11】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項12】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項13】
前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が配列番号7または配列番号13と少なくとも90%同一であり、前記軽鎖可変領域が配列番号8と少なくとも90%同一である、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項15】
前記重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~14のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項16】
前記重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~15のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項17】
前記重鎖可変領域CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~16のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項18】
前記軽鎖可変領域CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~17のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項19】
前記軽鎖可変領域CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~18のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項20】
前記軽鎖可変領域CDR3が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、請求項1、請求項2または請求項4~19のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項21】
前記重鎖可変領域CDR1配列がNYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含む、請求項1、請求項2または請求項4~14または請求項16~20のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項22】
前記重鎖可変領域CDR2配列がGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む、請求項1、請求項2、請求項4~15または請求項17~21のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項23】
前記重鎖可変領域CDR3配列がETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む、請求項1、請求項2、請求項4~16または請求項18~22のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項24】
前記軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含む、請求項1、請求項2、請求項4~17または請求項19~23のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項25】
前記軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含む、請求項1、請求項2、請求項4~18または請求項20~24のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項26】
前記軽鎖可変領域CDR3がQQYDNLP(配列番号6)を含む、請求項1、請求項2、請求項4~19または請求項21~25のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項27】
前記重鎖可変領域が、配列番号7および配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において95%同一である配列を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項28】
前記重鎖可変領域が、配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において同一である配列を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項29】
前記重鎖可変領域が、配列番号12~21から選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項30】
配列番号8と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域配列を有する請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項31】
配列番号8と同一である配列を含む軽鎖配列可変領域を有する請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項32】
RSV F抗原に特異的に結合することができ、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分。
【請求項33】
RSV F抗原に特異的に結合することができ、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分。
【請求項34】
前記抗体または機能的部分が完全ヒト、ヒト化抗体またはキメラである、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項35】
前記機能的部分が、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、Fab断片またはF(ab')2断片である、請求項1~34のいずれか一項に記載の機能的部分。
【請求項36】
前記抗体または機能的部分は、RSV A2の中和アッセイにおいてIC50が5.0ng/ml以下である、請求項1~35のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項37】
前記抗体または機能的部分は、RSV B9320の中和アッセイにおいてIC50が3.0ng/ml以下である、請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項38】
前記抗体または機能的部分が、252Y位でYを有し、254T位でTを有し、256位でEを有するFc領域を有し、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
【請求項39】
対象のRSV感染を抑制する方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項40】
前記対象がヒト患者である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、早産であったヒト患者である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分をコードする合成核酸配列、組み換え核酸配列または単離核酸配列。
【請求項43】
対象のRSV感染を抑制する方法であって、請求項42に記載の核酸を対象に投与することを含む方法。
【請求項44】
請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分を産生することができる、単離されている抗体産生細胞。
【請求項45】
少なくとも9週にわたり安定である請求項44に記載の抗体産生細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続出願データ
本出願は、2014年1月15日に出願された米国仮特許出願第61/927,819号明細書の利益を主張し、その明細書は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は生物工学および医学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory Syncytial Virus)(RSV)は、パラミクソウイルス科に属する一般的な風邪ウイルスである。RSVは伝染性が強く、容易に感染し、2歳未満の子供における下気道疾患の最も一般的な原因である。デイケアに通院している子供の最大98%が1度のRSVシーズン中に感染するだろう。RSVに感染している子供の0.5%と3.2%との間が入院を必要とする。米国では、年間約90,000例の入院および4,500例の死亡が報告された。RSVを原因とする入院の主な危険因子は、早産、慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫力の低下(compromised immunity)およびその他の点では健康な子供での6週未満の年齢である。RSV陽性細気管支炎には、十分な栄養および酸素療法という形での支持療法に加えて更なる処置が必要とされている。RSV感染ではリバビリン等の抗ウイルス療法が有効であることは証明されていない。RSV感染の予防用に、一モノクローナル抗体であるパリビズマブ(Synagis(登録商標)とも呼ばれる)が登録されている。パリビズマブは、RSVの融合タンパク質に対する遺伝子操作(ヒト化)モノクローナル抗体である。パリビズマブは非常に有効な予防薬ではあるが、代替の抗体および療法がRSVに対する更なる適用範囲を提供することが有利であるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RSV感染を和らげるためのおよび/または予防するための手段および方法を提供することが目的である。RSVに対する代替のおよび/もしくは改良型の抗体またはそのような抗体の機能的等価物を提供すること、ならびにRSVに対する抗体またはその機能的等価物を産生することができる安定した細胞を提供することが更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に従って、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができる合成抗体、組み換え抗体もしくは単離抗体またはこれらの機能的部分は、
a.配列NYIIN(配列番号1)または配列DYIIN(配列番号9)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)または配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と少なくとも75%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)または配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.配列QASQDIVNYLN(配列番号4)と少なくとも85%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.配列VASNLET(配列番号5)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、
f.配列QQYDNLP(配列番号6)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR3配列と
を含み、
重鎖中の少なくとも1個のアミノ酸が配列番号7と異なり、前記少なくとも1個のアミノ酸が下記から選択される。
【0006】
【0007】
別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、
a.重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、
b.重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、
c.重鎖可変領域CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、
d.軽鎖可変領域CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、
e.軽鎖可変領域CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、および/または
f.軽鎖可変領域CDR3配列が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと
を含む。
【0008】
別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、
a.重鎖可変領域CDR1配列がNYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含むこと、
b.重鎖可変領域CDR2配列がGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含むこと、
c.重鎖可変領域CDR3配列がETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含むこと、
d.軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含むこと、 e.軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含むこと、および
f.軽鎖可変領域CDR3配列がQQYDNLP(配列番号6)を含むこと
を含む。
【0009】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0010】
【0011】
追加の実施形態では、重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる。
【0012】
【0013】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0014】
【0015】
追加の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0016】
【0017】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0018】
【0019】
追加の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を含む。
【0020】
【0021】
追加の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0022】
【0023】
追加の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0024】
【0025】
更なる実施施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0026】
【0027】
追加の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0028】
【0029】
更なる実施形態では、重鎖可変領域CDR1配列は、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、重鎖可変領域CDR2配列は、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む、および/または重鎖可変領域CDR3配列は、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む。
【0030】
更なる実施形態では、軽鎖可変領域CDR1配列は、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、軽鎖可変領域CDR2配列は、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、および/または軽鎖可変領域CDR3は、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む。
【0031】
更なる実施形態では、重鎖可変領域CDR1配列はNYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)を含む、重鎖可変領域CDR2配列はGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む、および/または重鎖可変領域CDR3配列はETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む。
【0032】
追加の実施形態では、軽鎖可変領域CDR1配列はQASQDIVNYLN(配列番号4)を含む、軽鎖可変領域CDR2配列はVASNLET(配列番号5)を含む、および/または軽鎖可変領域CDR3はQQYDNLP(配列番号6)を含む。
【0033】
一実施形態では、RSV F抗原に特異的に結合することができる合成抗体、組み換え抗体もしくは単離抗体またはこれらの機能的部分は、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む。
【0034】
別の実施形態では、RSV F抗原に特異的に結合することができる合成抗体、組み換え抗体もしくは単離抗体またはこれらの機能的部分は、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む。
【0035】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、252Y位でYを有し、254T位でTを有し、256位でEを有するFc領域を有し、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する。
【0036】
更なる実施形態では、対象のRSV感染を抑制する方法であって、本明細書に記載した抗体または機能的部分を対象に投与することを含む方法。
【0037】
更なる実施形態では、合成核酸配列、組み換え核酸配列または単離核酸配列は、本明細書に記載した抗体または機能的部分をコードする。
【0038】
追加の目的および利点が、下記に続く説明にある程度は記載されるだろう、この説明からある程度は自明であるだろう、または実践により習得される場合がある。この目的および利点は、添付した特許請求の範囲で具体的に指摘した構成要素および組み合わせにより実現され得る、および達成され得る。
【0039】
上述の概要および下記の詳細な説明は両方とも単に例示および説明のためであり特許請求の範囲を限定するものではないことを理解しなければならない。
【0040】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、一実施形態またはいくつかの実施形態を説明し、本明細書と共に、本明細書に記載した原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】D25重鎖ならびにいくつかの重鎖バリアント(変異体)(J、LおよびLA)の配列を表す図である。
図1B】D25重鎖ならびにいくつかの重鎖バリアント(変異体)(J、LおよびLA)の配列を表す図である。
図2】いくつかの最適化されたバリアント(多様体)(1G7、1F5、2D10)の重鎖の配列を表す図である。
図3A】最適化されたバリアント1G7の4種の更なるバリアントの重鎖の配列を表す図である。これらのバリアント(1G7-GLM、B12-1、E3-5およびE9-2)を、生殖細胞系残基を組み込むことによりpIを変更するように作成した。
図3B】最適化されたバリアント1G7の4種の更なるバリアントの重鎖の配列を表す図である。これらのバリアント(1G7-GLM、B12-1、E3-5およびE9-2)を、生殖細胞系残基を組み込むことによりpIを変更するように作成した。
図4】マイクロ中和アッセイにおけるD25およびいくつかのバリアントのインビトロでの活性を示すグラフである。
図5】D25およびいくつかのバリアントがRSV A2サブタイプおよびRSV Bサブタイプのチャレンジに対する防御を付与することを示すグラフである。
図6】1G7で処理した動物、1F5で処理した動物、D25で処理した動物(図中においてD25wtと命名する)または抗体で処理しなかった動物における、コットンラットRSV A2チャレンジの結果を示すグラフである。
図7】1G7がRSV A2およびRSV B9320の両方に対して防御することを示すグラフである。RSVの肺力価を摘出時でのヒトIgGの血清濃度の関数としてプロットする。
図8】様々な抗体によるRSV A2およびRSV B9320の両方の中和を示すグラフである。
図9】モノクローナル抗体耐性変異体により定義される、1G7の結合用エピトープを示す図である。
図10】RSVの臨床単離株に対する中和アッセイの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
配列の説明
下記の表1には、本実施形態で参照するいくつかの配列のリストが記載されている。
【0043】
【表1】
【0044】
【0045】
実施形態の説明
I.抗体またはその機能的部分
その他の抗体と比較して特性が改良されている改良型RSV特異的抗体またはその機能的部分が提供される。抗体または機能的部分、例えば抗体もしくは抗原結合断片、バリアントまたはこれらの誘導体として、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合断片、例えばFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、Fvs、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VLドメインもしくはVHドメインを含む断片、Fab発現ライブラリにより生成された断片が挙げられるがこれらに限定されない。ScFv分子は当分野で既知であり、例えば米国特許第5,892,019号明細書に記載されている。本開示に包含される免疫グロブリン分子または抗体分子は、あらゆるタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)の、あらゆるクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のまたはあらゆるサブクラスの免疫グロブリン分子であることができる。
【0046】
例えば、本発明者らは、RSV AサブタイプおよびRSV Bサブタイプに対する改良された防御、改良された中和およびより低いIC50値等の、これまでのRSV特異的抗体と比較して改良された特性を有するRSV特異的抗体の生成に成功している。そのような抗体はRSVに対する特に高いまたは強い親和性を有しており、従って、RSV感染および/またはRSV感染の悪影響を和らげるおよび/または少なくともある程度は予防するのに特に好適である。抗体およびその機能的部分はRSV特異的結合分子と同義であり、該抗体およびその機能的部分として、RSVに特異的に結合することができるあらゆる完全長抗体または抗体部分が挙げられる。
【0047】
A.非生殖細胞系残基が生殖細胞系残基に変更されている抗体または機能的部分
一実施形態では、D25(配列番号7)の重鎖可変領域の少なくとも1個の非生殖細胞系残基が生殖細胞系残基に変更されている。別の実施形態では、D25残基の重鎖可変領域の少なくとも2個の、3個の、4個の、5個の、6個の、7個の、8個の、9個の、10個の、11個のまたは12個の非生殖細胞系残基が生殖細胞系残基に再び交換されている。更なる実施形態では、少なくとも1個の非生殖細胞系残基を生殖細胞系残基に変更することができ、配列番号7と比べてCDRの少なくとも1箇所を改変することができる。
【0048】
一実施形態は、呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができ、
a)配列NYIIN(配列番号1)または配列DYIIN(配列番号9)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む重鎖CDR1配列と、
b)配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)または配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む重鎖CDR2配列と、
c)配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)または配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む重鎖CDR3配列と、
d)配列QASQDIVNYLN(配列番号4)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列と、
e)配列VASNLET(配列番号5)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列と、
f)配列QQYDNLP(配列番号6)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%または94%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列と
を含む単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分であって、
重鎖中の少なくとも1個のアミノ酸が配列番号7と異なり、前記少なくとも1個のアミノ酸が下記から選択される、単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分を含む。
【0049】
【表2】
【0050】
「重鎖可変領域中の少なくとも1個のアミノ酸が配列番号7と異なる」とは、本抗体または本機能的部分は配列番号7との少なくとも1個のアミノ酸の相違を含まなければならないが、いくつかの実施形態では、本抗体または本機能的部分は配列番号7との複数個の相違を含むことができることを意味する。いくつかの実施形態では、本抗体または本機能的部分は、表2で概説した置換、表2に列挙した位置での欠失もしくは代替アミノ酸、または表2に列挙していない位置での相違(欠失、置換もしくは付加等)を含む。表2における位置番号は配列番号7に対して相対的に記載されており、この位置番号は、目的の抗体または機能的部分におけるアミノ酸の連続的な番号付けに基づく位置番号とは最終的には同じではない場合がある。その代わりに、位置番号は、配列番号7との配列比較に基づいて割り当てられている。
【0051】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は重鎖および/または軽鎖を含み、重鎖可変領域は配列番号7または配列番号15と少なくとも90%同一であり、軽鎖可変領域は配列番号8と少なくとも90%同一である。別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7または配列番号15と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。別の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号8と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。
【0052】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むことを含む。
【0053】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含むことを含む。
【0054】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含む重鎖可変領域CDR3配列を含む。
【0055】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む軽鎖可変領域CDR1配列を含む。
【0056】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む軽鎖可変領域CDR2配列を含む。
【0057】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、軽鎖可変領域CDR3がQQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むことを含む。
【0058】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む重鎖可変領域CDR1配列、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む重鎖可変領域CDR2配列、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む重鎖可変領域CDR3配列、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む軽鎖可変領域CDR1配列、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む軽鎖可変領域CDR2配列、および/またはQQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む軽鎖可変領域CDR3配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、本抗体または本機能的部分は、少なくとも1個のまたは最大で全てのCDRが配列番号7(重鎖)および/または配列番号8(軽鎖)と同一である。
【0060】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、NYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列を含む。
【0061】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列を含む。
【0062】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列を含む。
【0063】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列、および/またはETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列を含む。
【0064】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含むことを含む。
【0065】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含むことを含む。
【0066】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、軽鎖可変領域CDR3がQQYDNLP(配列番号6)を含むことを含む。
【0067】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含むこと、軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含むこと、および/または軽鎖可変領域CDR3がQQYDNLP(配列番号6)を含むことを含む。
【0068】
更なる実施形態では、本抗体または本機能的部分は、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列、QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列、VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列、および/またはQQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3配列を含む。
【0069】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において95%同一である配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0070】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において同一である配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0071】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0072】
【表3】
【0073】
別の実施形態では、表3に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表3に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0074】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0075】
【表4】
【0076】
別の実施形態では、表4に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表4に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0077】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0078】
【表5】
【0079】
別の実施形態では、表5に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表5に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0080】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0081】
【表6】
【0082】
別の実施形態では、表6に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表6に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0083】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0084】
【表7】
【0085】
別の実施形態では、表7に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表7に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0086】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0087】
【表8】
【0088】
別の実施形態では、表8に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表8に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0089】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0090】
【表9】
【0091】
別の実施形態では、表9に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表9に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0092】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0093】
【表10】
【0094】
別の実施形態では、表10に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表10に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0095】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0096】
【表11】
【0097】
別の実施形態では、表11に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表11に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0098】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7と異なる重鎖可変領域中の下記のアミノ酸を少なくとも含む。
【0099】
【表12】
【0100】
別の実施形態では、表12に記載した相違は配列番号7との唯一の相違である。一実施形態では、表12に記載した相違は配列番号7との唯一の相違ではない。別の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号8を含む。
【0101】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む重鎖可変領域配列を含む。別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21のフレームワーク(即ち非CDR)配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む重鎖配列可変領域を含む。
【0102】
別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列DIQMTQSPSSLSAAVGDRVTITCQASQDIVNYLNWYQQKPGKAPKLLIYVASNLETGVPSRFSGSGSGTDFSLTISSLQPEDVATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTV(配列番号8)と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む軽鎖可変領域配列を含む。
【0103】
別の実施形態では保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換として、全体の機能が深刻な影響を受けそうにないような1個のアミノ酸の、概して特性(大きさ、疎水性等)が類似している別のものへの置換が挙げられる。
【0104】
B.CDRが改良されている抗体または機能的部分
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、配列番号7中に存在するCDRと比べて少なくとも1個のCDR変異を含むことができる。一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、表13中の変更の内の少なくとも1個を含むことができる。別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、表13中の変更の内の1個、2個または3個全てを含むことができる。
【0105】
【表13】
【0106】
別の実施形態は、RSV F抗原に特異的に結合することができ、アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分を含む。
【0107】
別の実施形態は、RSV F抗原に特異的に結合することができ、アミノ酸配列NYIIN(配列番号1)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分を含む。
【0108】
別の実施形態は、RSV F抗原に特異的に結合することができ、アミノ酸配列NYIIN(配列番号1)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分を含む。
【0109】
別の実施形態では、単離抗体、合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分は、重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む軽鎖とを含み、少なくとも1個の、2個のまたは3個全ての重鎖CDRは表14中の列Aから選択され、残りの重鎖CDR(存在する場合)は列Bから選択され、軽鎖CDRは列Cを含む。そのため、一実施形態では、軽鎖CDRは表14の列Cに記載されており、重鎖がCDR1、CDR2およびCDR3を1個ずつ有する限りにおいて列Aおよび列Bから重鎖CDRを混ぜて組み合わせることができる。
【0110】
【表14】
【0111】
様々な代替CDRの実施形態が、第I.A節において上記で論じた非生殖細胞系から生殖細胞系への変異をいずれも必ずしも含まないが、これらの変異のいずれかまたは全てが任意選択的に存在することができる。
【0112】
一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、表14からの代替重鎖CDRの内の少なくとも1個を含むことができ、少なくとも1個のその他のCDR改変を有することができる。具体的には、更に別の実施形態において、本抗体または本機能的部分は、NYIIN(配列番号1)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む重鎖CDR1配列、重鎖CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、重鎖CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、軽鎖CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、軽鎖CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むこと、および/または軽鎖CDR3配列が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含むことを含み、少なくとも1個の重鎖CDR1がDYIIN配列番号9)である、重鎖CDR2がGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)である、または重鎖CDR3がETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)である。
【0113】
C.半減期が改良されている抗体または機能的部分
一実施形態では、本明細書に記載した抗体または機能的部分に更なる改変を行って、該抗体または機能的部分の半減期を改良することができる。一実施形態では、該抗体または本機能的部分に、欠失変異、付加変異または置換変異等の変異を行って、該抗体または本機能的部分の半減期を改良することができる。一実施形態では、Fc領域を変異させて下記の置換M252Y、S254TおよびT256Eの内の1個、2個または3個全てを含ませることができ、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する。一実施形態では、Fc領域を変異させて下記の置換M252Y、S254TおよびT256Eの全てを含ませることができ、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する。Dall’Acqua et al.,Properties of Human IgG1s Engineered for Enhanced Binding to the Neonatal Fc Receptor(FcRn),J Biol Chem 281(33):23514-23524(2006)。3個全ての置換を有する実施形態をYTEバリアントと表す。別に表すと、一実施形態では、本抗体または本機能的部分は、252Y位でYを有し、254T位でTを有し、256位でEを有するFc領域を有し、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する。
【0114】
D.抗体およびその機能的部分のその他の特性
ある実施形態では、本抗体または本機能的部分は、Hep-2細胞がRSVと本抗体または本機能的部分とに感染するインビトロでの中和アッセイにおいてIC50値が10ng/ml未満である。別の実施形態では、このIC50は、RSVサブタイプAおよび/またはRSVサブタイプBの場合に9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6ng/ml、5ng/ml、4ng/ml、3ng/mlもしくは2ng/mlまたはそれ未満である。一実施形態では、このIC50を、実施例で記載したインビトロでの中和アッセイで測定し、任意選択的にRSV A2および/またはRSV B9320の場合の実施例で記載したインビトロでの中和アッセイで測定する。
【0115】
一実施形態では、本抗体およびその機能的部分は、RSVサブタイプA株を中和するのに効果的である。一実施形態では、本抗体およびその機能的部分は、RSVサブタイプB株を中和するのに効果的である。別の実施形態では、本抗体およびその機能的部分は、RSVサブタイプA株およびRSVサブタイプB株の両方を中和するのに効果的である。
【0116】
本明細書で使用する場合、用語抗体またはその機能的部分は最も広い意義で使用される。用語抗体またはその機能的部分は、従来のハイブリドーマ技術、組み換え技術により生成されたモノクローナル抗体(mAb)等の人工物および/またはその機能的断片であることができる。用語抗体またはその機能的部分には、インタクトな免疫グロブリン分子、例えばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、単一特異性抗体(monospecific antibody)、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、動物抗体(例えばラクダ抗体)、キメラ抗体と、これらの一部、断片、領域、ペプチドおよび誘導体(酵素的切断、ペプチド合成または組み換え技術(これらに限定されない)等のあらゆる既知の技法により生成される)、例えば軽鎖を欠いている免疫グロブリン、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、抗体断片、ダイアボディ、Fd、CDR領域、または抗原もしくはエピトープに結合することができる抗体の任意の部分もしくはペプチド配列等との両方が含まれ得る。一実施形態では、本機能的部分は、単鎖抗体、単鎖可変断片(scFv)、Fab断片またはF(ab’)2断片である。
【0117】
抗体または機能的部分は、該抗体または機能的部分が分子と特異的に反応し、それにより該分子を該抗体に結合させることができる場合に、該分子に「結合することができる」と言われる。抗体の断片または一部はインタクトな抗体のFc断片を欠くことができ、循環からより急速に除去さえ得、インタクトな抗体と比べて非特異的組織結合を少なくすることができる。当分野で公知の方法を使用して、例えばパパイン(Fab断片の生成用)またはペプシン(F(ab’)2断片の生成用)等の酵素によるタンパク質分解的切断により、インタクトな抗体から抗体の例を生成することができる。抗体の一部を、上記方法のいずれかにより製造することができる、または組み換え分子の一部を発現させることにより製造することができる。例えば、組み換え抗体のCDR領域を単離して適切な発現ベクターにサブクローニングすることができる。
【0118】
一実施形態では、抗体または機能的部分はヒト抗体である。ヒトの治療を目的とするヒト抗体の使用により、非ヒト配列に対するヒト個体中の免疫学的反応に起因する副作用の可能性を低減させることができる。別の実施形態では、本抗体または本機能的部分はヒト化されている。別の実施形態では、抗体または機能的部分はキメラ抗体である。このようにして、目的の配列、例えば目的の結合部位等を抗体または機能的部分に含ませることができる。
【0119】
一実施形態では、本抗体は、IgGアイソタイプ、IgAアイソタイプ、IgMアイソタイプまたはIgEアイソタイプを有することができる。一実施形態では、本抗体はIgGである。
【0120】
II.抗体およびその機能的部分をコードする核酸
本実施形態は、上記の第I.A節または第I.B節に記載した抗体または機能的部分のいずれかをコードする単離核酸配列、合成核酸配列または組み換え核酸配列を更に提供する。そのような核酸は例えば、抗体または機能的部分を産生することができるB細胞から単離される。そのような核酸は、本明細書に記載した重鎖配列および軽鎖配列をコードする。あるいは、そのような核酸は、本明細書に記載した重鎖CDRおよび軽鎖CDRをそれぞれ含む重鎖配列および軽鎖配列をコードする。いくつかの実施形態では、該核酸は、本明細書に記載した抗体の機能的部分をコードすることができる。核酸コードの縮重に起因して複数の核酸が同じアミノ酸をコードすることができ、全てが本出願に包含される。
【0121】
III.使用方法
A.抗体または機能的部分の使用方法
一実施形態では、抗体または機能的部分を処置方法でまたは医薬として使用することができる。該方法を、RSV感染を和らげるためにもしくは少なくともある程度は予防するために、またはRSV感染の悪影響を和らげるためにもしくは少なくともある程度は予防するために使用することができる。該方法はまた、本明細書に記載した治療上有効な量の抗体または機能的部分を、必要とする個体に投与することも含む。一実施形態では、必要とする個体はヒト患者である。
【0122】
一実施形態では、RSVを和らげるために、抗体または機能的部分を、RSV感染が起こる前に個体に投与することができ、換言すると予防薬として個体に投与することができる。あるいは、個体が既にRSVに感染している場合に抗体または機能的部分を投与することができる。前記抗体または機能的部分を、RSV感染のリスクが増大している個体、例えば早産の子供、慢性肺疾患を有する、先天性心疾患を有するおよび/または免疫力が低下している個体、6週未満の年齢の子供に投与することができる。早産の子供には、1歳の乳児と、RSV感染のリスクが残っている2歳の子供およびより年上の子供との両方が含まれる。また、高齢者もRSV感染のリスクが高く、そのためリスクに応じて投与の対象となり得る。本抗体または本機能的部分を、過去にRSV感染している個体に投与することもできる。
【0123】
治療用途の場合、抗体または機能的部分は概して、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤および/または賦形剤と組み合わされる。一実施形態では、本抗体または本機能的部分は注射用水と組み合わされる。別の実施形態では、本抗体または本機能的部分は、無菌で防腐剤が入っていない、ヒスチジン、グリシンおよび塩化物との液体溶液で調製される。別の実施形態では、好適な担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えばBSAまたはRSA)およびオボアルブミンを例えば含む。別の実施形態では、前記好適な担体は例えば生理食塩水のような溶液を含む。その他の実施形態では、本抗体または機能的部分は凍結乾燥形態で提供され、投与前に注射用水と混合される。
【0124】
B.抗体または機能的部分をコードする核酸の使用方法
更に別の実施形態では、抗体または機能的部分をコードする核酸を投与することができる。そのような核酸を投与すると、宿主の機構により抗体または機能的部分が産生される。産生された抗体または機能的部分は、RSV感染および/またはRSV感染の悪影響を予防することができる、および/または和らげることができる。
【0125】
抗体の機能的部分をコードする核酸とは、抗体をコードする核酸としての少なくとも1つの発現特性(種類であり必ずしも量ではない)を含む、少なくとも30塩基対長の、少なくとも50塩基対長のまたは少なくとも100塩基対長の核酸を意味する。一実施形態では、抗体の機能的部分をコードする核酸は、本明細書に記載した抗体の2個のまたは任意選択的に3個のCDRを含むアミノ酸配列を少なくともコードする。
【0126】
IV.抗体および機能的部分を製造する方法
抗体または機能的部分を産生することができる、単離されている抗体産生細胞も提供される。本明細書に記載した抗体または機能的部分を、抗体を分泌するハイブリドーマから製造することができる、または本抗体もしくは本機能的部分をコードする遺伝子により形質転換されているもしくは形質移入されている組み換え生成細胞から製造することができる。
【0127】
一実施形態は、核酸が発現されて本抗体が産生される条件下で宿主細胞を培養し、続いて本抗体を回収することにより本抗体または本機能的部分を製造する方法を含む。様々な細胞系を使用して本抗体または本機能的部分を発現させることができ、該細胞系として哺乳動物細胞株が挙げられるがこれに限定されない。一実施形態では、該細胞系はヒトであることができる。別の実施形態では、細菌または昆虫の細胞系を使用することができる。一実施形態では、該細胞系として、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO細胞のバリアント(例えばDG44)、293細胞およびNSO細胞が挙げられる。別の実施形態では、細胞系として、VERY細胞、BHK細胞、Hela細胞、COS細胞、MDCK細胞、293F細胞、293T細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT2O細胞およびT47D細胞、CRL7O3O細胞およびHsS78Bst細胞が挙げられる。
【0128】
組み換え発現では、本抗体または本機能的部分をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築物を利用する。ポリヌクレオチドを得ると、当分野で公知の組み換えDNA技術により本抗体の産生用ベクターを生成することができる。発現ベクターは、適切な転写調節シグナルおよび翻訳調節シグナルを含むことができる。このことを、インビトロでの組み換えDNA技術、合成技術およびインビボでの遺伝子組み換えを使用して達成することができる。一実施形態では、複製可能なベクターは、異種プロモータに作動可能に連結されている抗体または機能的部分をコードする核酸配列を含む。
【0129】
米国特許第5,807,715号明細書に記載されているように、様々な宿主発現ベクター系を利用して抗体または機能的部分を発現させることができる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)等の哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期(intermediate early)遺伝子プロモータ要素等のベクターと共に、抗体の効果的な発現系である(Foecking et al.,Gene,45:101(1986)およびCockett et al.,Bio/Technology,8:2(1990))。加えて、目的の配列の発現を調節するまたは所望される特定の様式で遺伝子産物を改変するおよびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。そのようなタンパク質産物の改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(例えば切断)がタンパク質の機能にとって重要な場合がある。様々な宿主細胞が、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変のための特徴的で特有の機構を有している。本発明のタンパク質の正確な改変およびプロセシングを確かなものとするために、適切な細胞系または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転写産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞を使用することができる。
【0130】
細菌系では、発現される抗体または機能的部分に関して意図される用途に応じて、多数の発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体または機能的部分を含む医薬組成物を生成するために、そのような抗体または機能的部分を大量に製造しようとする場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を導くベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとして、融合タンパク質が産生されるようにlacZコード領域によりインフレームでコード配列をベクター中に個々にライゲートすることができる大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR278(Ruther et al.,EMBO,12:1791(1983))、pINベクター(Inouye & Inouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101-3109(1985)、Van Heeke & Schuster,1989,J.Biol.Chem.,24:5503-5509(1989))等が挙げられるがこれらに限定されない。pGEXベクターを使用して、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロースアフィニティマトリクスへの吸着および結合とその後の遊離グルタチオンの存在下での溶出とにより、溶解細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビンプロテアーゼ切断部位および/または第Xa因子プロテアーゼ切断部位を発現ポリペプチドに導入するように設計されている。
【0131】
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa californica)核多角体ウイルス(AcNPV)を、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用する。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。タンパク質コード配列をウイルスの非必須領域(例えばポリへドリン遺伝子)に個々にクローン化してAcNPVプロモータ(例えばポリへドリンプロモータ)の制御下に置くことができる。
【0132】
哺乳動物宿主細胞では、多数のウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的のコード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体にライゲートすることができ、例えば後期プロモータおよび3連リーダー配列(tripartite leader sequence)にライゲートさせることができる。次いで、このキメラ遺伝子を、インビトロでのまたはインビボでの組み換えによりアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域E1または領域E3)への挿入により、感染した宿主中において、生存可能であり本抗体または本機能的部分を発現することができる組み換えウイルスが生じ得る(例えば、Logan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:355-359(1984)を参照されたい)。挿入された抗体または機能的部分をコードする配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルも必要である。該シグナルはATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは通常、挿入物全体の翻訳を確かなものとするために、所望のコード配列のリーディングフレームを有するフレーム内でなければならない。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは様々な起源(天然および合成の両方)であることができる。適切な転写エンハンサ要素、転写ターミネータ等の包含により発現の効率を高めることができる(例えば、Bittner et al.,Methods in Enzymol.,153:51-544(1987)を参照されたい)。
【0133】
安定発現を使用して、組み換えタンパク質を長期にわたり高収率で産生することができる。例えば、該タンパク質分子を安定的に発現する細胞系を生成することができる。宿主細胞を、発現制御要素(例えば、プロモータ、エンハンサ、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位等)と選択可能なマーカー遺伝子とを含む、適切に操作されたベクターで形質転換させることができる。外来性DNAの導入後、細胞を栄養強化培地中で1~2日にわたり増殖させることができ、次いで選択培地に切り換える。組み換えプラスミド中の選択可能なマーカーは選択に対する耐性を付与し、プラスミドが染色体に安定的に組み込まれた細胞を増殖させてフォーカスを形成させることができ、次いでクローン化して細胞系に拡張することができる。抗体または機能的部分をコードするプラスミドを使用して、遺伝子/cDNAを、培養下での産生に好適なあらゆる細胞系に導入することができる。
【0134】
多数の選択系を使用することができ、選択系として、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,Cell,11:223(1977))遺伝子、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,48:202(1992))遺伝子およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,Cell,22:8-17(1980))遺伝子が挙げられるがこれらに限定されず、これらをtk細胞、hgprt細胞またはaprT細胞でそれぞれ利用することができる。また、代謝拮抗物質耐性を下記の遺伝子の選択の基礎として使用することもできる:dhfr(メトトレキサートに対する耐性を付与する)(Wigler et al.,Natl.Acad.Sci.USA,77:357(1980)、O’Hare et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:1527(1981))、gpt(ミコフェノール酸に対する耐性を付与する)(Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:2072(1981))、neo(アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与する(Wu and Wu,Biotherapy 3:87-95(1991)、Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596(1993)、Mulligan,Science 260:926-932(1993)およびMorgan and Anderson,Ann.Rev.Biochem.62:191-217(1993);May,TIB TECH 11(5):155-215(1993))、ならびにhygro(ハイグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerre et al.,Gene,30:147(1984))。組み換えDNA技術の分野で一般に知られている方法を所望の組み換えクローンの選択に機械的に適用させることができ、そのような方法は、例えばAusubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993)、Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)ならびに第12章および第13章、Dracopoli et al.(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994)、Colberre-Garapin et al.,1981,J.Mol.Biol.,150:1に記載されている。
【0135】
抗体または機能的部分が組み換え発現により産生されると、該抗体または機能的部分を、免疫グロブリン分子の精製に関する分野で既知の任意の方法により精製することができ、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に特異的抗原であるプロテインAもしくはプロテインGに対する親和性により、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度(differential solubility)により精製することができる、またはタンパク質の精製用のあらゆるその他の標準的技法により精製することができる。さらに、本発明のタンパク質または断片を、本明細書に記載したまたは当分野で既知の異種ポリペプチド配列に融合させて精製を容易にすることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、少なくとも6ヶ月にわたり安定であるRSV特異的抗体産生細胞が生成される。別の実施形態では、RSV特異的抗体産生細胞は、少なくとも9週間にわたり、少なくとも3ヶ月にわたり、または少なくとも6ヶ月にわたり安定である。別の実施形態では、抗体および機能的部分を製造する代替法が当分野で公知であり、少なくとも米国特許第8,562,996号明細書に記載されている。
【0137】
これより、本例示的実施形態をより詳細に参照し、実施形態の例を添付図面に示す。可能な限り、同じまたは類似の部分に言及するために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用されるだろう。その他の実施形態は、本明細書と本明細書に開示した実行との検討により当業者に明らかであるだろう。実施形態を下記の実施例で更に説明する。実施例は特許請求の範囲を限定せず、いくつかの実施形態を明確にするのに役立つにすぎない。本明細書および実施例は単なる例とみなされ、真の範囲および趣旨は下記の特許請求の範囲で示されることが意図されている。
【実施例0138】
実施例1.モノクローナル抗体の調製および発現
1G7免疫グロブリンの可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)のDNA断片(抗体の効力を高める所望の変異をそれぞれ含む)を、カッパ軽定常領域およびCH1-ヒンジ-CH2-CH3 IgG1重定常領域を含むヒトIgG1発現ベクターに挿入した。1G7抗体を発現させるために、293Fectin(商標)試薬(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して、ヒト胚腎臓293-F細胞を1G7含有ベクターで過度的に形質転換した。細胞を、37℃、120rpm、5%CO2および80%湿度で増殖させた。等体積の培地を添加することにより2日目に培養培地を供給し、形質移入後10日目に回収した。上清を滅菌ろ過して細胞および残屑を除去した。プロテインAカラム(ハイトラッププロテインAカラム、Sigma)を使用してIgGを精製し、溶出したタンパク質を4℃で一晩PBSに対して透析した。NanoDrop(Thermo Scientific)中でのタンパク質定量化によりIgG濃度を測定した。
【0139】
同じアプローチを講じてその他の抗体を産生した。
【0140】
実施例2.インビトロでのマイクロ中和アッセイ
マイクロ中和アッセイを下記のように実施した:簡潔に言うと、MAbの2倍段階希釈液を、15μL/ウェルの体積でHEp-2細胞培養培地により384ウェルマイクロタイタープレート中に導入した。その後、15μLのRSV A2ウイルスまたはRSV B9320ウイルスをHep-2細胞培養培地で80から150pfu/ウェルの範囲の濃度に希釈し、HEp-2細胞培養培地のみを含むコントロールウェルを含む各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%CO2で1.5時間にわたりインキュベートした。HEp-2細胞を30μL中に2.5×105個の細胞/mlで各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%CO2でインキュベートした。RSV A2の場合は3日後に、またはRSV B9320の場合には4日後に培地を除去し、30μLの氷冷80%アセトン/20%PBSを添加して細胞を固定した。
【0141】
ウイルス複製を、RSV FのC部位(1331H)を標的とするセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役抗RSV F MAbを使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定した(Beeler and van Wyke Coelingh,J Virol.63(7):2941-2950(1989)。1331H MAbをPBSで1:6,000に希釈し、30μLを各ウェルに添加した。37℃での2時間のインキュベーション後、プレートをPBS-Tで3回洗浄した。TMBペルオキシダーゼ30μLを各ウェルに添加し、プレートを15分にわたり暗所で室温にてインキュベートした。15μLの2N H2SO4を各ウェルに添加して反応を停止させた。マイクロプレートリーダーを使用して450nmでの吸光度をモニタリングすることにより、基質ターンオーバーを測定した。可変傾斜カーブフィット(variable slope curve fit)によるlog(抑制剤)対反応を使用するGraphpad Prismでの非線形フィットアルゴリズム(non-linear fit algorithm)を使用してIC50値を算出し、このIC50値は、450nmで測定した吸光度の50%減少に必要なMAbの濃度を表す。
【0142】
結果を図4に示し、図4は、マイクロ中和において1G7、1F5、2D10およびD25それぞれがRSV A2およびRSV B9320の複製を抑制したことを示す。1G7が最も効果的であり、続いて1F5、2D10であり、次いでD25であった。
【0143】
実施例3.コットンラットRSVモデル
A)D25バリアント、Jバリアント、LバリアントおよびLAバリアントのRSVチャレンジに対する防御能力の比較
図に示した様々な投与量レベルでの筋肉内注射により、0.1mlの抗体を動物に投与した。24時間後、イソフルラン(isoflourane)チャンバを使用して動物を麻酔し、1×106pfu/動物のRSV株A2を鼻腔内点滴により感染させた。4日後、二酸化炭素窒息により動物を屠殺し、この動物の肺を外科的に取り出して二等分し、液体窒素で凍結させた、または直ちにプロセシングした。屠殺時に心臓穿刺により血液サンプルを得た。
【0144】
コットンラットの肺中でのRSV複製へのMAb投与の影響を評価するために、各投与群に関してコットンラットの肺ホモジネート中のRSVウイルス力価を測定した。この目的のために、室温でTeenALysing Matrixチューブにより20秒にわたりFast Prep 24組織ホモジナイザーを使用して、摘出した肺を10(重量/体積)部のハンクス平衡塩類溶液およびリン酸スクロース中で個々にホモジナイズした。結果として生じた懸濁液を4℃で10分にわたり930×gで遠心分離し、上清を回収して分析するまで-80℃で保存した。肺ホモジネートサンプルを培養培地で1:10および1:100に希釈し、接種の24時間前に、50μLの未希釈肺ホモジネートサンプルまたは希釈済肺ホモジネートサンプルを、24ウェルプレート中に2.5×105個の細胞/ウェルの細胞密度で播種されているHEp-2細胞の2連ウェルに添加した。37℃および5%CO2での1時間のインキュベーション後、接種源を、0.8%メチルセルロースを含む培養培地に置き換え、細胞を37℃および5%CO2でインキュベートした。5日後に上敷きを取り去り、細胞を固定してヤギ抗RSVポリクローナル抗体で免疫染色し、続いて二次抗ヤギHRP抗体で免疫染色した。AEC試薬との反応により溶菌斑を視覚化した。10倍の対物レンズを使用する顕微鏡下で溶菌斑を定量化した。このアッセイの検出限界は組織1g当たり200pfuである。統計的分析のために、ウイルス力価が検出限界未満である(<200pfu/g)サンプルを100pfu/g(検出の下限の半分)とした。結果を図5に示し、この結果から、Jバリアント、LバリアントおよびLAバリアントは全てRSV Aチャレンジに対する防御においてD25よりも効果的であったが、LバリアントおよびLAバリアントはRSV Bサブタイプに対する防御において効果が低かった(Lは1種のB株に対して別のものよりも良好に作用した)ことが明らかである。このデータに基づいて、更なる最適化の出発点としてJを選択した。
【0145】
B)1G7バリアント、1F5バリアントおよびD25バリアントのRSVチャレンジに対する防御能力の比較
本実施例のパート(A)において上記で論じたモデルを使用して、1G7、1F5およびD25のRSVチャレンジに対する防御能力を比較した。動物に2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kgおよび0.25mg/kgで投与した。結果を図6に示す。データは、1G7はRSVチャレンジに対する防御において1F5よりも良好に作用したが、両方ともウイルス力価を検出限界まで低下させることができたことを示す。1G7および1F5の両方がD25よりも良好に作用した。
【0146】
C)1G7バリアントの詳細な評価
上記第(A)節に記載したのと同じコットンラットモデルを使用した。図7で報告したように抗体が様々な濃度で存在する0.1mlの抗体を各動物に投与した。1G7は、RSV A2およびRSV B9320の両方に関してRSV肺力価との用量反応関係を明確に示す。
【0147】
D)バリアントのRSV A2およびRSV B9320を中和する能力の比較
上記第(A)節に記載したのと同じコットンラッドモデルを使用した。
【0148】
肺摘出日のコットラット血清サンプル中におけるヒトIgGの濃度を、ELISA法を使用して測定した。このアッセイでは、ヒト抗体を、マイクロタイタープレートに結合したヤギ抗ヒト抗体で捕捉した。ヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(1×PBS中に0.5μg/ml)を、30μL体積で4℃にて一晩、Nunc Maxisorp 384ウェルマイクロタイタープレート上に塗布した。プレートを洗浄し、次いで室温で1時間にわたり60μLのPBS+3%加熱不活性化ヤギ血清の溶液でブロックした。ブロッキング緩衝液を除去し、サンプルを下記のように適合させた:500ng/mlから0.488ng/mlの濃度範囲の標準曲線用に、アッセイ緩衝液で希釈した標準ヒト抗体の2倍段階希釈液を使用した。4パラメータカーブフィット(4 parameter curve fit)を使用して標準曲線をフィットさせた。
【0149】
結果を図8に示し、この結果は、本明細書に記載したバリアントがRSV A2およびRSV B9320の両方の中和においてD25よりも低いIC50を有することを示す。このことから、A2ウイルスまたはB9320ウイルスに対する活性が喪失せず、E9-2およびB12-1では活性の増加が見られ、1G7 GLMおよびE3-5でのみB9320ウイルスに対する活性がわずかに喪失したことも明らかである。
【0150】
実施例4.モノクローナル抗体耐性変異体により定義されるエピトープ
250ng/mlの1G7-YTEの存在下で3回継代させることにより、RSV Aウイルス変異体およびRSV Bウイルス変異体を単離した。1G7-YTEは、上記第I.C節において上記に記載したYTE変異を有する1G7抗体である。最後の継代後、RSV Fタンパク質の配列を確認した。変異は、RSV Fと親D25抗体との共結晶構造で既に定義された領域に対応する。全ての耐性変異体は、アミノ酸200~213の間のF1領域においてRSV Fタンパク質の領域の変化を含んだ。294位での二次変異は耐性の向上を示さず、領域200~213での単一の変異によるものと同程度の耐性であった。N208S変異バックグラウンドのF2領域での二次変異により耐性が向上した。結果を図9に示す。
【0151】
実施例5.RSVの臨床単離株に対する中和
増殖させた臨床単離ウイルスを抗体の希釈系列と共にプレインキュベートした後にHEp2細胞に感染させることにより、中和アッセイを実施した。細胞の感染を、細胞の表面上でのFタンパク質発現の関数として測定した。中和曲線の非線形フィッティングによりIC50値を算出した。ウイルス複製を実施例2(インビトロでのマイクロ中和アッセイ)と同様に測定した。
【0152】
結果を図10に示す。1G7および1F5のIC50は両方とも、HEp2細胞中でのRSVのA単離株またはB単離株の中和に関してD25よりも低い。
【0153】
参照による援用
本明細書で引用した全ての参考文献、例えば特許、特許出願、論文、テキスト等およびこれらで引用されている参考文献は、参照により既に本明細書に援用されていない限り、この記載により、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0154】
等価物
上述した明細書は、当業者が本実施形態を実施することができるのに十分であると考えられる。上記の説明および実施例はいくつかの実施形態を詳述し、発明者らが予期するベストモードを説明する。しかしながら、上記の説明および実施例が本文中でどれだけ詳述されていても実施形態を多くの方法で実施することができ、特許請求の範囲はこれらのあらゆる等価物を含むことが認識されるだろう。
【0155】
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> MEDIMMUNE, LLC

<120> RSV-SPECIFIC ANTIBODIES AND FUNCTIONAL PARTS THEREOF

<130> PA22-645

<150> US 61/927,819
<151> 2014-01-15

<160> 21

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 5
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Heavy Chain CDR1

<400> 1

Asn Tyr Ile Ile Asn
1 5


<210> 2
<211> 17
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Heavy Chain CDR2

<400> 2

Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Ala Pro Lys Phe Gln
1 5 10 15


Gly



<210> 3
<211> 17
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Heavy Chain CDR3

<400> 3

Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr Phe Asp
1 5 10 15


Asn



<210> 4
<211> 11
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Light Chain CDR1

<400> 4

Gln Ala Ser Gln Asp Ile Val Asn Tyr Leu Asn
1 5 10


<210> 5
<211> 7
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Light Chain CDR2

<400> 5

Val Ala Ser Asn Leu Glu Thr
1 5


<210> 6
<211> 7
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 Light Chain CDR3

<400> 6

Gln Gln Tyr Asp Asn Leu Pro
1 5


<210> 7
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 heavy chain variable region


<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (19)..(19)
<223> M can also be K

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (23)..(23)
<223> Q can also be K

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (28)..(28)
<223> P can also be T or L

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (29)..(29)
<223> L can also be F

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (30)..(30)
<223> R can also be S or E

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (31)..(31)
<223> N can also be D

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (37)..(37)
<223> L can also be V

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (45)..(45)
<223> P can also be L

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (61)..(61)
<223> A can also be G

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (77)..(77)
<223> D can also be S

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (81)..(81)
<223> I can also be M

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (82)..(82)
<223> H can also be E or H

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (84)..(84)
<223> I can also be S

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (98)..(98)
<223> T can also be R

<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (109)..(109)
<223> L can also be R

<400> 7

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Pro Leu Arg Asn Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Leu Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Ala Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Ile His Leu Ile Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 8
<211> 110
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> D25 light chain variable region

<400> 8

Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ala Val Gly
1 5 10 15


Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Gln Ala Ser Gln Asp Ile Val Asn Tyr
20 25 30


Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45


Tyr Val Ala Ser Asn Leu Glu Thr Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60


Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Ser Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80


Glu Asp Val Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Asp Asn Leu Pro Leu
85 90 95


Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Thr Val
100 105 110


<210> 9
<211> 5
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> Alternative Heavy Chain CDR1

<400> 9

Asp Tyr Ile Ile Asn
1 5


<210> 10
<211> 17
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> Alternative Heavy Chain CDR2

<400> 10

Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe Gln
1 5 10 15


Gly



<210> 11
<211> 17
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> Alternative Heavy Chain CDR3

<400> 11

Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Arg Pro His Tyr Phe Asp
1 5 10 15


Asn



<210> 12
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> J variant heavy chain variable region

<400> 12

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Pro Leu Arg Asn Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Ala Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 13
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> L variant heavy chain variable region

<400> 13

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Pro Leu Arg Asn Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Ala Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 14
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> LA variant heavy chain variable region

<400> 14

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe Ser Asn Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Ala Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 15
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> 1G7 heavy chain variable region

<400> 15

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Leu Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 16
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> 1F5 heavy chain variable region

<400> 16

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Pro Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 17
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> 2D10 heavy chain variable region

<400> 17

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Met Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Gly Pro Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Arg Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 18
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> 1G7-GLM heavy chain variable region

<400> 18

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Leu Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met His Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Arg Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 19
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> B12-1 heavy chain variable region

<400> 19

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Leu Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met His Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 20
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> E3-5 heavy chain variable region

<400> 20

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Leu Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125


<210> 21
<211> 126
<212> PRT
<213> artificial

<220>
<223> E9-2 heavy chain variable region

<400> 21

Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15


Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Leu Leu Glu Asp Tyr
20 25 30


Ile Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Pro Glu Trp Met
35 40 45


Gly Gly Ile Ile Pro Val Leu Gly Thr Val His Tyr Gly Pro Lys Phe
50 55 60


Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80


Met His Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95


Ala Thr Glu Thr Ala Leu Val Val Ser Thr Thr Tyr Leu Pro His Tyr
100 105 110


Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120 125
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びに、
以下のアミノ酸置換
(a)
及び、
(b) 1のさらなるアミノ酸置換、
により配列番号7のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、
を含み、前記(b)の1のさらなるアミノ酸置換が、相補性決定領域3(HCDR3)に存在する、抗RSV抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合断片が完全ヒト、ヒト化抗体またはキメラである、請求項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
抗体またはその抗原結合断片が、カッパ軽鎖定常領域を含む、請求項1又は2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG1重鎖定常領域を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
抗体またはその抗原結合断片が、アミノ酸位置252におけるチロシン(Y)、アミノ酸位置254におけるトレオニン(T)、及びアミノ酸位置256におけるグルタミン酸(E)を有するFcを含み、位置のナンバリングがEUナンバリングに対応するものである、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
抗原結合断片が、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、Fab断片またはF(ab')2断片である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗原結合断片。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、被験体におけるRSV感染の悪影響を予防するための組成物。
【請求項8】
被験体がヒト患者である、請求項に記載の組成物。
【請求項9】
ヒト患者が、RSV感染に対する増大したリスクを有するヒト患者である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
ヒト患者が、2歳未満の子供である、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
ヒト患者が、6週未満の子供である、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項12】
ヒト患者が、早産であった子供である、請求項8~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ヒト患者が、慢性肺疾患を有する患者である、請求項8~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
ヒト患者が、先天性心疾患を有する患者である、請求項8~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ヒト患者が、免疫力が低下している患者である、請求項8~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
被験体におけるRSV感染の悪影響を防ぐための医薬の製造における、請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片の使用。
【請求項17】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離された核酸。
【請求項18】
請求項17に記載の単離された核酸を含む、被験体におけるRSV感染の悪影響を予防するための組成物。
【請求項19】
請求項17に記載の単離された核酸を含む、ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載のベクターを含む、単離された細胞。
【請求項21】
少なくとも9週にわたり安定である、請求項20に記載の単離された細胞。
【請求項22】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片を製造する方法であって、
請求項20又は21に記載の単離された細胞を、抗体又はその抗原結合断片を発現するために適した条件下で培養すること、及び
それに続き、抗体又はその抗原結合断片を回収することを含む、
前記方法。
【請求項23】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片、並びに、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤及び/又は賦形剤を含む、組成物。
【請求項24】
被験体への筋肉内注射用に製剤化された、請求項23に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
等価物
上述した明細書は、当業者が本実施形態を実施することができるのに十分であると考えられる。上記の説明および実施例はいくつかの実施形態を詳述し、発明者らが予期するベストモードを説明する。しかしながら、上記の説明および実施例が本文中でどれだけ詳述されていても実施形態を多くの方法で実施することができ、特許請求の範囲はこれらのあらゆる等価物を含むことが認識されるだろう。
本発明は以下の実施形態を包含する。
[1] 呼吸器合胞体ウイルスに特異的に結合することができ、
a.配列NYIIN(配列番号1)または配列DYIIN(配列番号9)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.配列GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)または配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と少なくとも75%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)または配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.配列QASQDIVNYLN(配列番号4)と少なくとも85%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.配列VASNLET(配列番号5)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、
f.配列QQYDNLP(配列番号6)と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR3配列と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分であって、
前記重鎖中の少なくとも1個のアミノ酸が配列番号7と異なり、前記少なくとも1個のアミノ酸が
から選択される、合成抗体もしくは組み換え抗体またはその機能的部分。
[2] a.重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)もしくはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
b.重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)もしくはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む、
c.重鎖可変領域CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)もしくはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個もしくは2個のアミノ酸が異なる配列を含む、
d.軽鎖可変領域CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
e.軽鎖可変領域CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、および/または
f.軽鎖可変領域CDR3配列が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、
1に記載の抗体または機能的部分。
[3] a.重鎖可変領域CDR1配列がNYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含む、
b.重鎖可変領域CDR2配列がGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む、
c.重鎖可変領域CDR3配列がETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む、
d.軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含む、
e.軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含む、および
f.軽鎖可変領域CDR3配列がQQYDNLP(配列番号6)を含む、
1に記載の抗体または機能的部分。
[4] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[5] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[6] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[7] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[8] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[9] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[10] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[11] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[12] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[13] 前記重鎖可変領域中の少なくとも下記のアミノ酸が配列番号7と異なる、
1~3のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[14] 前記重鎖可変領域が配列番号7または配列番号13と少なくとも90%同一であり、前記軽鎖可変領域が配列番号8と少なくとも90%同一である、1~13のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[15] 前記重鎖可変領域CDR1配列が、NYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~14のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[16] 前記重鎖可変領域CDR2配列が、GIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~15のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[17] 前記重鎖可変領域CDR3配列が、ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)と1個または2個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~16のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[18] 前記軽鎖可変領域CDR1配列が、QASQDIVNYLN(配列番号4)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~17のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[19] 前記軽鎖可変領域CDR2配列が、VASNLET(配列番号5)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~18のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[20] 前記軽鎖可変領域CDR3が、QQYDNLP(配列番号6)と1個のアミノ酸が異なる配列を含む、1、2または4~19のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[21] 前記重鎖可変領域CDR1配列がNYIIN(配列番号1)またはDYIIN(配列番号9)を含む、1、2または4~14または16~20のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[22] 前記重鎖可変領域CDR2配列がGIIPVLGTVHYAPKFQG(配列番号2)またはGIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む、1、2、4~15または17~21のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[23] 前記重鎖可変領域CDR3配列がETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)またはETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む、1、2、4~16または18~22のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[24] 前記軽鎖可変領域CDR1配列がQASQDIVNYLN(配列番号4)を含む、1、2、4~17または19~23のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[25] 前記軽鎖可変領域CDR2配列がVASNLET(配列番号5)を含む、1、2、4~18または20~24のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[26] 前記軽鎖可変領域CDR3がQQYDNLP(配列番号6)を含む、1、2、4~19または21~25のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[27] 前記重鎖可変領域が、配列番号7および配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において95%同一である配列を含む、1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[28] 前記重鎖可変領域が、配列番号12~21から選択される配列とフレームワーク領域において同一である配列を含む、1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[29] 前記重鎖可変領域が、配列番号12~21から選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む、1~26のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[30] 配列番号8と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖可変領域配列を有する1~29のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[31] 配列番号8と同一である配列を含む軽鎖配列可変領域を有する1~29のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[32] RSV F抗原に特異的に結合することができ、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYRPHYFDN(配列番号11)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分。
[33] RSV F抗原に特異的に結合することができ、
a.アミノ酸配列DYIIN(配列番号9)を含む重鎖可変領域CDR1配列と、
b.アミノ酸配列GIIPVLGTVHYGPKFQG(配列番号10)を含む重鎖可変領域CDR2配列と、
c.アミノ酸配列ETALVVSTTYLPHYFDN(配列番号3)を含む重鎖可変領域CDR3配列と、
d.アミノ酸配列QASQDIVNYLN(配列番号4)を含む軽鎖可変領域CDR1配列と、
e.アミノ酸配列VASNLET(配列番号5)を含む軽鎖可変領域CDR2配列と、 f.アミノ酸配列QQYDNLP(配列番号6)を含む軽鎖可変領域CDR3と
を含む合成抗体もしくは組み換え抗体またはこれらの機能的部分。
[34] 前記抗体または機能的部分が完全ヒト、ヒト化抗体またはキメラである、1~33のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[35] 前記機能的部分が、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、Fab断片またはF(ab') 2 断片である、1~34のいずれか一項に記載の機能的部分。
[36] 前記抗体または機能的部分は、RSV A2の中和アッセイにおいてIC50が5.0ng/ml以下である、1~35のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[37] 前記抗体または機能的部分は、RSV B9320の中和アッセイにおいてIC50が3.0ng/ml以下である、1~36のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[38] 前記抗体または機能的部分が、252Y位でYを有し、254T位でTを有し、256位でEを有するFc領域を有し、この番号付けはKabatでのEUインデックスに対応する、1~37のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分。
[39] 対象のRSV感染を抑制する方法であって、1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分を前記対象に投与することを含む方法。
[40] 前記対象がヒト患者である、39に記載の方法。
[41] 前記対象が、早産であったヒト患者である、40に記載の方法。
[42] 1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分をコードする合成核酸配列、組み換え核酸配列または単離核酸配列。
[43] 対象のRSV感染を抑制する方法であって、42に記載の核酸を対象に投与することを含む方法。
[44] 1~38のいずれか一項に記載の抗体または機能的部分を産生することができる、単離されている抗体産生細胞。
[45] 少なくとも9週にわたり安定である44に記載の抗体産生細胞。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023052693000001.xml