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特開2023-52714情報処理システム、情報処理装置、端末装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052714
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、端末装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230405BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020042497
(22)【出願日】2020-03-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年2月11日にHilton New York Midtown Hotelで開催されたThirty-Fourth AAAI Conference on Artificial Intelligenceにて発表。
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(独立行政法人情報処理推進機構2019年度未踏アドバンスト事業(メカデザ×機械学習による混雑コントロールシステムCRABの開発)に関する委託契約、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】520085958
【氏名又は名称】池上 慧
(71)【出願人】
【識別番号】520085969
【氏名又は名称】松下 旦
(71)【出願人】
【識別番号】520085970
【氏名又は名称】奥村 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(72)【発明者】
【氏名】池上 慧
(72)【発明者】
【氏名】松下 旦
(72)【発明者】
【氏名】奥村 恭平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うこと。
【解決手段】情報処理システム1は、ユーザ端末10と、サーバ20と、を備える。ユーザ端末10において、UI表示制御部51は、複数の選択対象に対して、ユーザが選択を要求する1または複数の選択対象を表す要求情報を取得する。UI表示制御部51は、要求情報に対応してサーバ20から提示されるレコメンド情報を表示する。サーバ20において、ユーザ情報取得部152は、複数のユーザ端末10から複数のユーザに関する要求情報を受信する。レコメンド情報生成部153は、複数のユーザに関する要求情報が表す選択対象を、複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する。UI画面生成部151は、レコメンド情報生成部153によって取得された均衡問題の解を、要求情報に対する提案としてユーザ端末に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに用いられる端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
複数の選択対象に対して、前記ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得手段と、
前記要求情報に対応して前記サーバから提示されるレコメンド情報を表示するレコメンド情報表示手段と、を備え、
前記サーバは、
複数の前記端末装置から複数のユーザに関する前記要求情報を受信する要求情報受信手段と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を、前記複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する均衡処理手段と、
前記均衡処理手段によって取得された前記均衡問題の解を、前記要求情報に対する提案として前記端末装置に送信するレコメンド情報送信手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記均衡処理手段は、前記要求情報が表す前記選択対象それぞれが、当該選択対象を選択したユーザにとって保有する効用の大きさを要素とする確率に基づいて、複数のユーザをいずれかの前記選択対象に割り当てることにより、前記均衡問題の解を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記均衡処理手段は、前記確率に基づいて、複数のユーザをいずれかの前記選択対象に割り当てる処理を繰り返し、複数のユーザの割り当てが設定された収束条件に合致した場合に、各ユーザが現在割り当てられている選択肢を前記均衡問題の解とすることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記レコメンド情報送信手段によって送信された前記提案に対して前記ユーザが実際に行った行動結果に関する情報を取得する行動結果取得手段を備え、
前記均衡処理手段は、前記行動結果取得手段によって取得された前記行動結果に関する情報に基づいて、以後に前記均衡問題の解を取得する条件を補正することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記均衡処理手段は、前記選択対象に対する前記ユーザの実際の行動が選択結果となる事象において、予想される前記選択対象の競合に関する均衡問題の解を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記均衡処理手段は、前記選択対象に対する前記ユーザの行動予定の表明が選択結果となる事象において、予定されている選択対象の競合に関する均衡問題の解を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
複数の選択対象に対して、ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得手段と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を、前記複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する均衡処理手段と、
前記均衡処理手段によって取得された前記均衡問題の解を、前記要求情報に対する提案として出力するレコメンド情報出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
ユーザに用いられる端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置であって、
複数の選択対象に対して、前記ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得手段と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を前記複数の選択対象に対する均衡問題として解を取得した結果であるレコメンド情報を、前記サーバから取得して表示するレコメンド情報表示手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
複数の選択対象に対して、ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得ステップと、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を、前記複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する均衡処理ステップと、
前記均衡処理手段によって取得された前記均衡問題の解を、前記要求情報に対する提案として出力するレコメンド情報出力ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
ユーザに用いられる端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置が実行する情報処理方法であって、
複数の選択対象に対して、前記ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得ステップと、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を前記複数の選択対象に対する均衡問題として解を取得した結果であるレコメンド情報を、前記サーバから取得して表示するレコメンド情報表示ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の選択対象に対して、ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得機能と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を、前記複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する均衡処理機能と、
前記均衡処理機能によって取得された前記均衡問題の解を、前記要求情報に対する提案として出力するレコメンド情報出力機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
ユーザに用いられる端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムにおける端末装置を構成するコンピュータに、
複数の選択対象に対して、前記ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得機能と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を前記複数の選択対象に対する均衡問題として解を取得した結果であるレコメンド情報を、前記サーバから取得して表示するレコメンド情報表示機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、端末装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに対し、レコメンドや案内等のための情報を提供するシステムが知られている。
例えば、ユーザがショッピングサイトで商品を閲覧または購入した場合等には、その履歴に基づいて、ユーザに対し、システムから商品のレコメンド情報が提供される。
また、カーナビゲーションシステムで目的地を設定した場合、道路の混雑状況等を反映させた経路情報がユーザに提供される。
なお、特許文献1には、多数のユーザの行動の全体状況を最適化するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-059099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、システムが提供したレコメンドを受け入れやすいユーザを選択して混雑の緩和等を図っている。
そのため、システムのレコメンドにより達成された状況が、ユーザ全体の満足度として、必ずしも充分に最適化されたものとは限らない場合がある。
即ち、従来の技術においては、複数のユーザ全体としての満足度が高いレコメンドを行うことが困難であった。
【0005】
本発明の課題は、複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、
ユーザに用いられる端末装置と、前記端末装置と通信可能に構成されたサーバとを含む情報処理システムであって、
前記端末装置は、
複数の選択対象に対して、前記ユーザが選択を要求する1または複数の前記選択対象を表す要求情報を取得する要求情報取得手段と、
前記要求情報に対応して前記サーバから提示されるレコメンド情報を表示するレコメンド情報表示手段と、を備え、
前記サーバは、
複数の前記端末装置から複数のユーザに関する前記要求情報を受信する要求情報受信手段と、
複数のユーザに関する前記要求情報が表す前記選択対象を、前記複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する均衡処理手段と、
前記均衡処理手段によって取得された前記均衡問題の解を、前記要求情報に対する提案として前記端末装置に送信するレコメンド情報送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る情報処理システム1全体の構成を示す模式図である。
図2】各装置を構成する情報処理装置800のハードウェア構成を示す図である。
図3】ユーザ端末10の機能的構成を示すブロック図である。
図4】サーバ20の機能的構成を示すブロック図である。
図5】レコメンド情報を生成するアルゴリズムを説明するための模式図である。
図6】レコメンド情報を生成するアルゴリズムを説明するための模式図である。
図7】ユーザ端末10で実行されるUI表示処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】サーバ20で実行されるレコメンド処理の流れを説明するフローチャートである。
図9】サーバ20で実行される均衡処理の流れを説明するフローチャートである。
図10】本発明を単体の情報処理装置800に実装した場合の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明に係る情報処理システム1全体の構成を示す模式図である。
本実施形態に係る情報処理システム1は、対象となる事象の選択肢の中で、複数のユーザそれぞれが受け入れ可能な選択肢を取得し、各ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率で、各ユーザをいずれかの選択肢に割り当てる。そして、複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致した段階で、各ユーザが割り当てられている選択肢をレコメンド情報として各ユーザに提示する。即ち、情報処理システム1は、各ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率に従って、複数のユーザ間の競合を均衡させる均衡問題の解としてレコメンド情報を提示するものである。
そのため、各ユーザに対して、受け入れ可能な選択肢の中でレコメンドが行われると共に、各ユーザが情報処理システム1によるレコメンド情報に従うことで、複数のユーザ全体としては、最も高い効用を得られる状態から一定範囲(確率的なばらつきの範囲)に収束させることができる。
したがって、情報処理システム1によれば、複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うことが可能となる。
以下、情報処理システム1の構成を具体的に説明する。
【0010】
図1に示すように、情報処理システム1は、複数のユーザ端末10と、サーバ20とを含んで構成され、複数のユーザ端末10とサーバ20とは、インターネット等のネットワーク30を介して通信可能に構成されている。
以下の説明においては、選択の対象となる事象が飲食店であり、情報処理システム1が、飲食店の予想される混雑状況に関する均衡問題の解を取得し、ユーザに対して、訪問する飲食店に関するレコメンド情報を提示する場合を例に挙げて説明する。ただし、宿泊施設の予約、目的地までの案内経路、交通機関の予約、あるいは、イベントのチケット購入等、複数のユーザが競合する各種事象を対象として、本発明を適用することが可能である。
【0011】
ユーザ端末10は、各ユーザが使用する端末装置であり、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末あるいはPC(Personal Computer)等の情報処理装置によって構成される。
また、ユーザ端末10は、ユーザが情報の入力及び出力を行うユーザインターフェース画面(以下、「UI画面」と称する。)を表示し、各種情報を入出力するための処理(後述する「UI表示処理」)を実行する。各ユーザは、UI画面を介して、複数の飲食店の中から、自らが希望する飲食店を選択肢として選択し、サーバ20からレコメンドされた店舗に関する情報を閲覧する。
サーバ20は、複数のユーザ端末10からのアクセスを受け付けるサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される。
【0012】
サーバ20は、選択の対象となる飲食店のデータを記憶すると共に、各ユーザが選択した飲食店のデータを記憶する。なお、サーバ20が、各ユーザ個人の属性(氏名、年齢、性別、趣味、嗜好性あるいは行動履歴等)を記憶することとしてもよい。
また、サーバ20は、飲食店の選択について、複数のユーザにおける競合を最適化するための処理(後述する「レコメンド処理」及び「均衡処理」)を実行することにより、選択されたユーザに対し、訪問する飲食店に関するレコメンド情報を提示する。
【0013】
[ハードウェア構成]
次に、情報処理システム1における各装置のハードウェア構成を説明する。
情報処理システム1において、各装置はPC、サーバコンピュータあるいはタブレット端末等の情報処理装置によって構成され、その基本的構成は同様である。
【0014】
図2は、各装置を構成する情報処理装置800のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、各装置を構成する情報処理装置800は、CPU(Central Processing Unit)811と、ROM(Read Only Memory)812と、RAM(Random Access Memory)813と、バス814と、入力部815と、出力部816と、記憶部817と、通信部818と、ドライブ819と、撮像部820と、を備えている。
【0015】
CPU811は、ROM812に記録されているプログラム、または、記憶部817からRAM813にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM813には、CPU811が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0016】
CPU811、ROM812及びRAM813は、バス814を介して相互に接続されている。バス814には、入力部815、出力部816、記憶部817、通信部818、ドライブ819及び撮像部820が接続されている。
【0017】
入力部815は、各種ボタン等で構成され、指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部816は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、映像や音声を出力する。
なお、情報処理装置800がスマートフォンやタブレット端末として構成される場合には、入力部815と出力部816のディスプレイとを重ねて配置し、タッチパネルを構成することとしてもよい。
記憶部817は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部818は、ネットワーク30を介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0018】
ドライブ819には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア831が適宜装着される。ドライブ819によってリムーバブルメディア831から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部817にインストールされる。
撮像部820は、レンズ及び撮像素子等を備えた撮像装置によって構成され、被写体のデジタル映像を撮像する。
【0019】
[機能的構成]
次に、情報処理システム1における各装置の機能的構成について説明する。
[ユーザ端末10の機能的構成]
図3は、ユーザ端末10の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ユーザ端末10のCPU811においては、ユーザインターフェース表示制御部(UI表示制御部)51と、ユーザ情報送信部52と、レコメンド情報取得部53と、が機能する。
【0020】
UI表示制御部51は、サーバ20から受信したUI画面を表示するための情報(以下、「UI情報」と称する。)に基づいて、UI表示処理における各種入出力画面(UI画面)の表示を制御する。例えば、UI表示制御部51は、ユーザの属性に関する情報を入力するためのユーザ属性入力画面、ユーザが選択可能な店舗の一覧を表示して店舗の選択に関する情報(以下、「要求情報」と称する。)をサーバ20に送信する店舗選択画面、ユーザに対してサーバ20がレコメンドする店舗に関する情報を表示するレコメンド情報表示画面等の各種画面を表示する。
【0021】
ユーザ情報送信部52は、UI画面に入力されたユーザの属性に関する情報(氏名、年齢、性別、趣味あるいは嗜好性等の属性)、店舗選択画面に入力された要求情報(店舗名、訪問時間等)、あるいは、レコメンド情報表示画面におけるレコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果に関する情報(レコメンドに従ったか否か、従わなかった場合にいずれの店舗・時間に訪問したか等)といったユーザが入力した各種情報を送信する。
【0022】
レコメンド情報取得部53は、レコメンド情報が提示されるタイミングとなっている場合に、サーバ20によってレコメンドされた店舗に関する情報を取得する。例えば、レコメンド情報取得部53は、ランチで訪問する店舗について、ユーザがサーバ20へのレコメンドを要求している場合、ランチの時間帯となる所定時間前(例えば、午後12時にランチの時間帯となる場合に、30分前の午前11:30等)に、レコメンドされた店舗に関する情報を取得する。本実施形態において、サーバ20によってレコメンドされた店舗に関する情報は、レコメンド情報表示画面のUI情報に含めて取得される。
【0023】
[サーバ20の機能的構成]
図4は、サーバ20の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ20のCPU811においては、ユーザインターフェース画面生成部(UI画面生成部)151と、ユーザ情報取得部152と、レコメンド情報生成部153と、が機能する。また、サーバ20の記憶部817には、店舗情報記憶部171と、ユーザ情報記憶部172と、行動結果記憶部173と、が形成される。
【0024】
店舗情報記憶部171には、ユーザが選択可能な各店舗に関する情報(店舗名、所在地、座席数及び座席の形態(テーブルまたはカウンター等)、営業時間、店舗種別(提供する料理の種別)、メニュー等)が記憶される。
ユーザ情報記憶部172には、ユーザ端末10から送信されたユーザに関する情報(ユーザの属性に関する情報、店舗の選択に関する情報(要求情報)等)が記憶される。
行動結果記憶部173には、ユーザの要求情報、及び、サーバ20のレコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果に関する情報(ユーザがレコメンドに従ったか否か、従わなかった場合にいずれの店舗・時間に訪問したか等)が記憶される。
【0025】
UI画面生成部151は、ユーザ端末10からレコメンドが要求された場合に、UI画面を表示するためのUI情報を生成し、生成したUI情報をユーザ端末10に送信する。例えば、UI画面生成部151は、ユーザの属性に関する情報を入力するためのユーザ属性入力画面、ユーザが選択可能な店舗の一覧を表示して店舗の選択に関する情報(要求情報)の入力を受け付ける店舗選択画面、あるいは、ユーザに対してレコメンドする店舗に関する情報を表示するレコメンド情報表示画面等の各種UI情報をユーザ端末10に送信する。
【0026】
ユーザ情報取得部152は、ユーザ端末10において各種UI画面に入力された情報(ユーザの属性に関する情報、ユーザの要求情報、あるいは、行動結果に関する情報等)を取得する。また、ユーザ情報取得部152は、取得したユーザの属性に関する情報をユーザ情報記憶部172に記憶すると共に、ユーザの要求情報及び行動結果に関する情報を行動結果記憶部173に記憶する。
【0027】
レコメンド情報生成部153は、複数のユーザから受け付けたユーザの属性に関する情報及びユーザの要求情報を、レコメンドを行うための均衡問題の解決対象として蓄積する。
また、レコメンド情報生成部153は、レコメンド情報を提示するタイミングとなった場合に、ユーザが選択可能な店舗に関する情報と、蓄積しているユーザの属性に関する情報及びユーザの要求情報とに基づいて、各ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率に従って、複数のユーザ間の競合を均衡させる均衡問題の解として、レコメンド情報を取得する。レコメンド情報生成部153によって取得されたレコメンド情報は、レコメンド情報表示画面に含めて、UI画面生成部151によって各ユーザのユーザ端末10に送信される。
【0028】
本実施形態において、レコメンド情報生成部153は、各ユーザに対するレコメンド情報を複数のユーザ間の競合を均衡させる均衡問題の解として取得する際に、そのユーザが現在割り当てられている選択肢(ここでは店舗)に居残った場合の効用の大きさと、他の選択肢(店舗)に移動させた場合の効用の大きさとを要素とする確率を算出し、算出した確率に応じて、そのユーザを割り当てる選択肢を選択する。そして、レコメンド情報生成部153は、複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致した段階で、各ユーザが割り当てられている選択肢をレコメンド情報として各ユーザに提示する。なお、ここで用いられる収束条件としては、各ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率で、全てのユーザをいずれかの選択肢に割り当てる試行を複数回実行し、直近の所定回数(例えば、50回あるいは100回等)において、ほぼ同じ割合で各選択肢にユーザが割り当てられている状態となっていることと定義することができる。
【0029】
図5及び図6は、レコメンド情報を生成するアルゴリズムを説明するための模式図である。
なお、以下の説明において、ユーザiが選択肢kを選択した場合の効用をui,kと表記する。このとき、ui,kは、式(1)のように表される。
【0030】
【数1】
【0031】
なお、λ、tについては、ユーザの属性に関する情報、店舗に関する情報として予め登録されているものとする。
ここで、本実施形態においては、各ユーザが選択肢kに持つ金銭的価値v(k)について、
(k)=0:ユーザが選択肢kを選択している場合
(k)=-∞:ユーザが選択肢kを選択していない場合
と設定されるものとする。
この場合、ユーザは、選択肢全体の中から、順位付けせずに許容し得る選択肢を選択していることとなる。
【0032】
図5に示すように、初期状態では、ユーザU1が選択肢として、店舗A,Bを選択しており、店舗Aを選択肢に含めたユーザがユーザU2,U3、店舗Bを選択肢に含めたユーザがユーザU4である状態とする。また、各ユーザが、現在割り当てられた店舗に持つ金銭的価値を1000、各ユーザの単位時間あたりの金銭的価値を800、店舗Aが単位時間で処理できる人数を2人、店舗Bが単位時間で処理できる人数を5人とする。この場合、各ユーザが選んだ選択肢の組x={A,A,A,B}、店舗Aを選んでいる人数n({A,A,A,B})=3、店舗Bを選んでいる人数n({A,A,A,B})=1となる。
【0033】
このとき、式(1)に基づく各ユーザの効用は、
ユーザU1:1000-800×3/2=-200
ユーザU2:1000-800×3/2=-200
ユーザU3:1000-800×3/2=-200
ユーザU4:1000-800×1/5=840
となる。
本実施形態においては、以下のようなルールに従って、ユーザを割り当てる選択肢を選択するものとする。
・選択肢k∈{1,・・・,K}それぞれがvだけの価値を持つ。
・以下の式(2)で定義される確率pで各選択肢を選ぶ。
【0034】
【数2】
【0035】
即ち、本願発明においては、ユーザをいずれかの選択肢に割り当てる際に、式(2)で定義される確率pで各選択肢を選択するルール(以下、「ロジット選択ルール」と称する。)を用いたベストレスポンスダイナミクスを採用している。
本実施形態のベストレスポンスダイナミクスによれば、図5に示す初期状態において、レコメンドを行う場合、図6に示すように、ユーザU1が店舗Aに居残る確率Pは、P=e-200/(e-200+e680)、ユーザU1が店舗Bに移動する確率Pは、P=e680/(e-200+e680)となる。
【0036】
上記確率P,Pが、店舗A,Bを選択肢として許容したユーザU1にとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率となり、レコメンド情報生成部153は、上記確率P,Pに従ってユーザU1に選択肢を割り当てる試行を繰り返す。そして、レコメンド情報生成部153は、複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致した段階で割り当てられている選択肢を均衡問題の解として、ユーザU1に対するレコメンド情報を生成する。
なお、ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率で選択肢に割り当てる処理を収束条件に合致するまで繰り返すことから、初期状態(各ユーザの選択肢への割り当て)は任意に設定することができる。
【0037】
[動作]
次に、情報処理システム1の動作を説明する。
[UI表示処理]
図7は、ユーザ端末10で実行されるUI表示処理の流れを説明するフローチャートである。
UI表示処理は、ユーザ端末10の入力部815を介してUI表示処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0038】
UI表示処理が開始されると、ステップS1において、UI表示制御部51は、サーバ20にアクセスし、店舗に関するレコメンドを要求する。
ステップS2において、UI表示制御部51は、ユーザの属性に関する情報を入力するためのユーザ属性入力画面のUI情報をサーバ20から受信し、ユーザ属性入力画面を表示する。これにより、ユーザは、ユーザの属性に関する情報を入力可能な状態となる。
ステップS3において、ユーザ情報送信部52は、ユーザ属性入力画面に入力されたユーザの属性に関する情報(氏名、年齢、性別、趣味あるいは嗜好性等の属性)をサーバ20に送信する。
【0039】
ステップS4において、UI表示制御部51は、ユーザが選択可能な店舗の一覧を表示する店舗選択画面のUI情報をサーバ20から受信し、店舗選択画面を表示する。これにより、ユーザは、店舗の選択に関する要求情報を入力可能な状態となる。
ステップS5において、ユーザ情報送信部52は、店舗選択画面に入力された要求情報(店舗名、訪問時間等)をサーバ20に送信する。
【0040】
ステップS6において、レコメンド情報取得部53は、レコメンド情報が提示されるタイミングとなっている場合に、サーバ20によってレコメンドされた店舗に関する情報を含むレコメンド情報表示画面のUI情報を受信し、レコメンド情報表示画面を表示する。
ステップS7において、ユーザ情報送信部52は、レコメンド情報表示画面におけるレコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果に関する情報(レコメンドに従ったか否か、従わなかった場合にいずれの店舗・時間に訪問したか等)をサーバ20に送信する。なお、レコメンド情報表示画面におけるレコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果は、レコメンドに対する行動を行ったユーザによって入力される。
ステップS7の後、UI表示処理は終了となる。
【0041】
[レコメンド処理]
図8は、サーバ20で実行されるレコメンド処理の流れを説明するフローチャートである。
レコメンド処理は、サーバ20の起動と共に開始され、繰り返し実行される。
レコメンド処理が開始されると、ステップS11において、ユーザ端末10から、店舗に関するレコメンドを要求するためのアクセスが行われたか否かの判定を行う。
ユーザ端末10から、店舗に関するレコメンドを要求するためのアクセスが行われていない場合、ステップS11においてNOと判定されて、ステップS11の処理が繰り返される。
一方、ユーザ端末10から、店舗に関するレコメンドを要求するためのアクセスが行われた場合、ステップS11においてYESと判定されて、処理はステップS12に移行する。
【0042】
ステップS12において、UI画面生成部151は、ユーザの属性に関する情報を入力するためのユーザ属性入力画面のUI情報を生成し、ユーザ端末10に送信する。
ステップS13において、ユーザ情報取得部152は、ユーザ端末10からユーザの属性に関する情報を取得する。このとき取得されたユーザの属性に関する情報は、ユーザ情報記憶部172に記憶される。
ステップS14において、UI画面生成部151は、ユーザが選択可能な店舗の一覧を表示して店舗の選択に関する情報(要求情報)の入力を受け付ける店舗選択画面のUI情報を生成し、ユーザ端末10に送信する。
【0043】
ステップS15において、ユーザ情報取得部152は、ユーザによる店舗の選択に関する要求情報を取得する。このとき取得されたユーザの要求情報は、行動結果記憶部173に記憶される。
ステップS16において、レコメンド情報生成部153は、複数のユーザから受け付けたユーザの属性に関する情報及びユーザの要求情報を、レコメンドを行うための均衡問題の解決対象として蓄積する。
【0044】
ステップS17において、レコメンド情報生成部153は、レコメンド情報を提示するタイミングとなっているか否かの判定を行う。
レコメンド情報を提示するタイミングとなっていない場合、ステップS17においてNOと判定されて、処理はステップS11に移行する。
一方、レコメンド情報を提示するタイミングとなっている場合、ステップS17においてYESと判定されて、処理はステップS18に移行する。
【0045】
ステップS18において、レコメンド情報生成部153は、各ユーザにとっての選択肢の効用の大きさに応じた確率に従って、複数のユーザ間の競合を均衡させる均衡処理を実行する。均衡処理が実行されることにより、各ユーザへのレコメンド情報が取得される。
ステップS19において、ユーザに対してレコメンドする店舗に関する情報を表示するレコメンド情報表示画面のUI情報を生成し、ユーザ端末10に送信する。レコメンド情報表示画面のUI情報には、レコメンド情報生成部153によって取得されたレコメンド情報が含まれている。
ステップS19の後、レコメンド処理が繰り返される。
【0046】
[均衡処理]
図9は、サーバ20で実行される均衡処理の流れを説明するフローチャートである。
均衡処理は、レコメンド処理のステップS18において、サブフローとして実行される。
均衡処理が開始されると、ステップS21において、レコメンド情報生成部153は、蓄積されているユーザの属性に関する情報及びユーザの要求情報を取得する。
ステップS22において、レコメンド情報生成部153は、各ユーザの選択肢それぞれについて、各ユーザの効用の大きさを反映させた確率p(式(2)参照)を算出する。
ステップS23において、レコメンド情報生成部153は、算出した確率pに基づいて、各ユーザをいずれかの選択肢に割り当てる。
【0047】
ステップS24において、レコメンド情報生成部153は、複数のユーザの要求情報が均衡している(複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致している)か否かの判定を行う。
複数のユーザの要求情報が均衡していない(複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致していない)場合、ステップS24においてNOと判定されて、処理はステップS23に移行する。
一方、複数のユーザの要求情報が均衡している(複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致している)場合、ステップS24においてYESと判定されて、処理はステップS25に移行する。
【0048】
ステップS25において、レコメンド情報生成部153は、各ユーザが現在割り当てられている選択肢を各ユーザへのレコメンド内容として決定する。
ステップS25の後、レコメンド処理に戻る。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1は、飲食店等、ユーザが希望する選択肢の選択を受け付け、各ユーザがそれぞれの選択肢に持つ金銭的価値、ユーザの単位時間あたりの金銭的価値、選択肢(店舗等)が単位時間で処理できる人数、ユーザが選んだ選択肢の組、及び、各選択肢を選んでいる人数に基づいて、ユーザが各選択肢を選択した場合の効用を算出する。また、情報処理システム1は、算出した効用の大きさを要素とする確率を算出し、算出した確率に応じて、そのユーザを割り当てる選択肢を選択する。情報処理システム1は、このような選択肢の選択を繰り返し、複数のユーザ全体の割り当てが収束条件に合致した段階で、各ユーザが割り当てられている選択肢をレコメンド情報として各ユーザに提示する。
そのため、各ユーザに対して、受け入れ可能な選択肢の中でレコメンドが行われると共に、各ユーザが情報処理システム1によるレコメンド情報に従うことで、複数のユーザ全体としては、最も高い効用を得られる状態から一定範囲(確率的なばらつきの範囲)に収束させることができる。
したがって、情報処理システム1によれば、複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うことが可能となる。
【0050】
本実施形態に係る情報処理システム1は、投票あるいは選好(ユーザによる選択肢への事前の選択投票)を伴うレコメンドシステムである点を特徴の1つとしている。なお、複数のユーザの投票あるいは選好に関する十分なデータを確保できれば、ユーザによる投票あるいは選好を統計的に予測することも可能である。
【0051】
本実施形態に係る情報処理システム1において、ユーザの投票あるいは選好からユーザにレコメンドが行われるまでには、他のユーザの投票または選好を受け付ける一定の時間を確保しているが、ユーザの投票または選好に対して、即時にレコメンドを行うことも可能である。例えば、ランチで訪問する店舗や電車の乗り換え等において、ユーザが即時にレコメンドを求めている場合には、情報処理システム1において、現在与えられている条件の下、即時にレコメンドを行うこととしてもよい。また、他のユーザの投票または選好を受け付ける一定の時間を確保した後にレコメンドを行う方式と、ユーザの投票または選好に対して即時にレコメンドを行う方式を併存させることが可能である。
【0052】
本実施形態に係る情報処理システム1において、ユーザにレコメンドを行う場合、他のユーザの投票あるいは選好結果を集計した混雑状況の予測結果と、レコメンド結果に各ユーザが従った場合の混雑状況の予測結果の両方を表示したり、これらを切り替えて表示したりすることとしてもよい。これにより、ユーザは、レコメンドに納得感を持って意思決定することができる。
【0053】
本実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザに対して現在行われるレコメンド内容を取得するために、現在の他のユーザの情報(投票あるいは選好内容)を用いるレコメンドシステムである点で、既存のレコメンドシステムに対する新規性を有している。そのため、ユーザ自身が同じ情報を提供した(投票あるいは選好を行った)としても、他のユーザの行動が変わることで、ユーザ自身へのレコメンドが変化することとなる。
【0054】
本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理システム1のユーザでない参加者と情報処理システム1のユーザである参加者とが混在する状況においても、情報処理システム1からのレコメンドに従うことで、より適切な選択肢を選ぶことを可能としている。これは、いずれの参加者も、他者の投票あるいは選好に関する情報を考慮した行動を取らず、自らが最も選択したい選択肢を選ぶ場合と比べて、少なくとも一部の参加者に関する均衡問題の解としてレコメンドが行われているためである。
【0055】
[変形例1]
上述の実施形態において、ユーザにレコメンド情報を提示した後、レコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果に関する情報を取得するものとしたが、このとき取得された行動結果に関する情報を基に、レコメンド処理で用いられる各種パラメータ(均衡問題の解を取得する条件)を補正することとしてもよい。
例えば、レコメンドに対してユーザが実際に行った行動結果が、高い割合でレコメンドと一致しない場合、ユーザが選択肢を選択した場合の効用が適切な値となっていない可能性があることから、ユーザの単位時間あたりの金銭的価値を高くする(あるいは低くする)といった補正を行うことができる。
これにより、情報処理システム1によってユーザがレコメンドを受け、行動を繰り返す毎に、ユーザにとってより適切なレコメンドが行われることとなり、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0056】
[変形例2]
上述の実施形態において、本発明を情報処理システム1として構成する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、本発明を単体の情報処理装置800に実装することが可能である。
図10は、本発明を単体の情報処理装置800に実装した場合の機能的構成を示すブロック図である。
図10に示すように、本発明を単体の情報処理装置800に実装する場合、ユーザ端末10のUI表示制御部51、サーバ20のUI画面生成部151、ユーザ情報取得部152、レコメンド情報生成部153の機能をCPU811に備えると共に、サーバ20が備える店舗情報記憶部171、ユーザ情報記憶部172及び行動結果記憶部173を記憶部817に備えることとすればよい。
【0057】
以上のように構成される情報処理システム1は、ユーザ端末10と、サーバ20と、を備える。ユーザ端末10は、UI表示制御部51を備える。
UI表示制御部51は、複数の選択対象に対して、ユーザが選択を要求する1または複数の選択対象を表す要求情報を取得する。
UI表示制御部51は、要求情報に対応してサーバ20から提示されるレコメンド情報を表示する。
サーバ20は、UI画面生成部151と、ユーザ情報取得部152と、レコメンド情報生成部153と、を備える。
ユーザ情報取得部152は、複数のユーザ端末10から複数のユーザに関する要求情報を受信する。
レコメンド情報生成部153は、複数のユーザに関する要求情報が表す選択対象を、複数の選択対象に対する均衡問題として、当該均衡問題の解を取得する。
UI画面生成部151は、レコメンド情報生成部153によって取得された均衡問題の解を、要求情報に対する提案としてユーザ端末10に送信する。
これにより、各ユーザに対して、受け入れ可能な選択肢の中でレコメンドが行われると共に、各ユーザが情報処理システム1によるレコメンド情報に従うことで、複数のユーザ全体としては、競合が均衡された状態とすることができる。
したがって、情報処理システム1によれば、複数のユーザ全体としての満足度がより高いレコメンドを行うことが可能となる。
【0058】
また、レコメンド情報生成部153は、要求情報が表す選択対象それぞれが、当該選択対象を選択したユーザにとって保有する効用の大きさを要素とする確率に基づいて、複数のユーザをいずれかの選択対象に割り当てることにより、均衡問題の解を取得する。
これにより、各ユーザが各選択肢に持つ効用を反映させた確率に従って、各ユーザを選択肢に割り当てることが可能となる。
【0059】
また、レコメンド情報生成部153は、上記確率に基づいて、複数のユーザをいずれかの選択対象に割り当てる処理を繰り返し、複数のユーザの割り当てが設定された収束条件に合致した場合に、各ユーザが現在割り当てられている選択肢を均衡問題の解とする。
これにより、複数のユーザ全体として、最も高い効用を得られる状態から一定範囲(確率的なばらつきの範囲)に収束させるレコメンドを行うことが可能となる。
【0060】
また、ユーザ情報取得部152は、UI画面生成部151によって送信された上記提案に対してユーザが実際に行った行動結果に関する情報を取得する。
レコメンド情報生成部153は、ユーザ情報取得部152によって取得された行動結果に関する情報に基づいて、以後に均衡問題の解を取得する条件を補正する。
これにより、情報処理システム1によってユーザがレコメンドを受け、行動を繰り返す毎に、ユーザにとってより適切なレコメンドが行われることとなり、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0061】
また、レコメンド情報生成部153は、選択対象に対するユーザの実際の行動が選択結果となる事象において、予想される前記選択対象の競合に関する均衡問題の解を取得する。
これにより、リアルタイムに複数のユーザの選択が行われるシステムにおいて、情報処理システム1によるレコメンドを行うことが可能となる。
【0062】
また、レコメンド情報生成部153は、選択対象に対する前記ユーザの行動予定の表明が選択結果となる事象において、予定されている選択対象の競合に関する均衡問題の解を取得する。
これにより、レコメンドに対するユーザの選択結果を蓄積可能なシステムにおいて、情報処理システム1によるレコメンドを行うことが可能となる。
【0063】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
即ち、本発明は、ランチの時間帯における店舗の選択やナビゲーションシステムにおける目的地までの経路の選択等、リアルタイムに複数のユーザの選択が行われるシステムに適用することができる。リアルタイムに複数のユーザの選択が行われるシステムでは、情報処理システム1が、予想される選択対象の競合(予想される混雑状況)に関する均衡問題の解を取得し、情報処理システム1からのレコメンドに対して、ユーザの実際の行動が選択結果となる。即ち、情報処理システム1からのレコメンドに対して、ユーザの行動が直接(即ち、レコメンドに対する行動が1回のみ)行われることとなる。
【0064】
また、本発明は、宿泊施設の予約や複数回の公演が行われるイベント(コンサート等)のチケットの申し込み等、レコメンドに対するユーザの選択結果を蓄積可能なシステムに適用することができる。レコメンドに対するユーザの選択結果を蓄積可能なシステムでは、情報処理システム1が、予定されている選択対象の競合(将来的行動の集中度合い)に関する均衡問題の解を取得し、情報処理システム1からのレコメンドに対して、ユーザの選択結果を蓄積し、複数のユーザの選択結果を参照して情報処理システム1から再度のレコメンドを行うことが可能である。即ち、レコメンドに対するユーザの選択結果を蓄積可能なシステムでは、予約や抽選の申し込み等、ユーザの将来的行動が把握される状況において、レコメンドに対するユーザの選択結果(行動予定の表明となる予約や抽選の変更結果等)を蓄積して、均衡問題の解を逐次取得しながら、ユーザに対するレコメンドを複数回行うことができる。
【0065】
また、上述の実施形態において、ユーザに対するレコメンドを行う場合に、レコメンド情報と共に、ユーザに対して付加価値を与える情報(例えば、レコメンドされた店舗で利用可能なクーポンの情報や、レコメンドに従った場合に付与されるポイントの情報等)を提示することとしてもよい。さらに、ユーザに対して付加価値を与える情報をレコメンド情報と共に提示した場合と提示しない場合とで、ユーザの行動結果に変化があるか否かを分析し、分析結果に応じて、ユーザに対して付加価値を与える情報をレコメンドの実行性を制御する情報として用いることとしてもよい。
【0066】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図1及び図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0067】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0068】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されているROM(Read Only Memory)や、記憶部20Bに含まれる半導体メモリ等で構成される。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 情報処理システム、10 ユーザ端末、20 サーバ、30 ネットワーク、51 ユーザインターフェース表示制御部(UI表示制御部)、52 ユーザ情報送信部、53 レコメンド情報取得部、151 ユーザインターフェース画面生成部(UI画面生成部)、152 ユーザ情報取得部、153 レコメンド情報生成部、171 店舗情報記憶部、172 ユーザ情報記憶部、173 行動結果記憶部、800 情報処理装置、811 CPU、812 ROM、813 RAM、814 バス、815 入力部、816 出力部、817 記憶部、818 通信部、819 ドライブ、820 撮像部、831 リムーバブルメディア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10