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特開2023-52727無線通信における構成可能なMIMO処理の方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052727
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】無線通信における構成可能なMIMO処理の方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20230405BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20230405BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
H04B7/0413
H04L27/00 Z
H04L1/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170144
(22)【出願日】2022-10-24
(62)【分割の表示】P 2018128140の分割
【原出願日】2018-07-05
(31)【優先権主張番号】62/529,140
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518240233
【氏名又は名称】ペラソ、テクノロジーズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PERASO TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリー、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、アンドニフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー、ロバート、リンチ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、ジェームズ、ハンセン
【テーマコード(参考)】
5K014
【Fターム(参考)】
5K014BA05
5K014FA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多種多様な環境で動作し、多種多様な機能を有する複数出力(MIMO)処理の方法および送信局を提供する。
【解決手段】送信局における方法は、送信局の複数のアンテナを介して受信局に送信するためのペイロードデータを生成するステップと、ペイロードデータを送信するために、いくつかの送信ストリームを選択するステップと、送信ストリームのそれぞれについて、それぞれの変調方式を選択するステップと、変調方式と、単一符号化モードおよびストリーム毎符号化モードのうちのアクティブなモードとに応じて、いくつかの符号化変調送信ストリームを生成するステップと、を含む。各符号化変調送信ストリームは、ペイロードデータの一部を含む。方法はさらに、受信局に送信するために符号化変調送信ストリームを各アンテナに提供するステップを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信局における方法であって、
前記送信局の複数のアンテナを介して受信局に送信するためのペイロードデータを生成するステップと、
前記ペイロードデータを送信するために、いくつかの送信ストリームを選択するステップと、
前記送信ストリームのそれぞれについて、それぞれの変調方式を選択するステップと、 前記変調方式と、(i)単一符号化モードおよび(ii)ストリーム毎符号化モードのうちのアクティブなモードとに応じて、前記いくつかの符号化変調送信ストリームを生成するステップであって、
前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードがストリーム毎符号化モードである場合、
いくつかの非符号化送信ストリームを生成するために前記ペイロードデータをストリームパーサに提供し、
いくつかの符号化送信ストリームを生成するために、前記非符号化送信ストリームを各符号器に供給し、
前記符号化変調送信ストリームを生成するために、前記符号化送信ストリームを各変調器に供給する、
ことによって前記符号化変調送信ストリームを生成し、
各符号化変調送信ストリームが前記ペイロードデータの一部を含む、ステップと、
前記受信局に送信するために前記符号化変調送信ストリームを前記各アンテナに提供するステップと、
を備え、
前記方法は、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードが前記単一符号化モードである場合、
符号化されたペイロードデータを生成するために前記ペイロードデータを単一符号器に供給するステップと、
前記符号化されたペイロードデータを前記いくつかの符号化送信ストリームを生成するために前記ストリームパーサに供給するステップと、
前記符号化変調送信ストリームを生成するために、前記符号化送信ストリームを前記各変調器に供給するステップと、
をさらに備える、方法。
【請求項2】
前記送信局は、単一符号器のみを含み、前記単一符号化モードが、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードとして予め設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードのインジケータを含むヘッダデータを前記ペイロードデータと連結するステップ、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数のアンテナと、
前記複数のアンテナに接続するコントローラと、
を備え、
前記コントローラが、
前記複数のアンテナを介して受信局に送信するためのペイロードデータを生成し、
前記ペイロードデータを送信するために、いくつかの送信ストリームを選択し、
前記送信ストリームのそれぞれについて、各変調方式を選択し、
前記変調方式と、(i)単一符号化モードおよび(ii)ストリーム毎符号化モードのうちのアクティブなモードとに応じて、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードがストリーム毎符号化モードである場合、それぞれが前記ペイロードデータの一部を含む前記いくつかの符号化変調送信ストリームを生成するために、
いくつかの非符号化送信ストリームを生成するために前記ペイロードデータをストリームパーサに提供し、
いくつかの符号化送信ストリームを生成するために、前記非符号化送信ストリームを各符号器に供給し、
前記符号化変調送信ストリームを生成するために、前記符号化送信ストリームを各変調器に供給し、
前記受信局に送信するために前記符号化変調送信ストリームを前記各アンテナに提供する、
よう構成され、
前記送信局は、前記コントローラが、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードが前記単一符号化モードである場合に、
符号化されたペイロードデータを生成するために前記ペイロードデータを単一符号器に供給し、
前記符号化されたペイロードデータを前記いくつかの符号化送信ストリームを生成するために前記ストリームパーサに供給し、
前記符号化変調送信ストリームを生成するために、前記符号化送信ストリームを前記各変調器に供給するようさらに構成される、送信局。
【請求項5】
前記送信局が、単一符号器のみを含み、前記単一符号化モードが、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードとして予め設定される、請求項4に記載の送信局。
【請求項6】
前記コントローラが、前記単一符号化モードおよび前記ストリーム毎符号化モードのうちの前記アクティブなモードのインジケータを含むヘッダデータを前記ペイロードデータと連結するようさらに構成される、
請求項4に記載の送信局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年7月6日に出願された米国仮特許出願第62/529140号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書は、一般に、無線通信に関し、具体的には、無線通信における構成可能な複数入力、複数出力(MIMO)処理のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
無線デバイスは、多種多様な環境で動作し、多種多様な機能(例えば、利用可能な計算資源)を有することができる。したがって、共有通信規格を実装するデバイスは、異なる動作上の制約の下で動作することがある。ある動作上の制約に適した技術的適応は、他のものにはあまり適していない可能性があり、したがって、共有規格に従って動作するデバイスがそのような適応を実装する場合、結果として、上記のデバイスのいくつかは、互いに通信する場合に、または通信を確立することができないことにより性能が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の一態様は、送信局における方法を提供し、本方法は、送信局の複数のアンテナを介して受信局に送信するためのペイロードデータを生成するステップと、ペイロードデータを送信するために、いくつかの送信ストリームを選択するステップと、送信ストリームのそれぞれについて、それぞれの変調方式を選択するステップと、変調方式と、(i)単一符号化モードおよび(ii)ストリーム毎符号化モードのうちのアクティブなモードとに応じて、いくつかの符号化変調送信ストリームを生成するステップであって、各符号化変調送信ストリームがペイロードデータの一部を含む、ステップと、符号化変調送信ストリームを受信局に送信するために各アンテナに提供するステップと、を備える。
【0005】
実施形態は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】無線通信システムを示す図である。
図2】構成可能なMIMO処理の方法を示す図である。
図3図2の方法の機能を実現する送信器アーキテクチャを示す図である。
図4図2の方法の別の機能を実現する送信器アーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、無線局とも呼ばれる複数の無線デバイスを含む無線通信システム100を示す。特に、図1は、第2のデバイス108に接続された第1のデバイス104を示す。システム100は、他の実施形態では、追加のデバイスを含むことができる。デバイス104および108のそれぞれは、無線アクセスポイント(例えば、ルータ)、スマートフォンもしくは他のモバイルデバイス、メディアサーバ、またはホームコンピュータなどとして実現することができる。この例では、デバイス104は、送信デバイスと呼ばれ、無線リンク112を介してデバイス104からデバイス108へのデータの送信に関連する機能(例えば、直接リンク、または無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を介して実現されるリンクなど)については後述する。したがって、デバイス108は、受信デバイス108とも称する。当業者には明らかであるように、デバイス104は、典型的には、データを受信するようにも構成され、デバイス108は、典型的には、データを送信するようにも構成される。
【0008】
以下に説明する例では、デバイス104および108のそれぞれは、共有無線通信規格を実装するよう構成された無線通信アセンブリを含む。より具体的には、システム100のデバイスは、(WiGigとも呼ばれる)約60GHzの周波数を使用する無線規格に従って通信するようそれぞれ構成される。そのような規格の例は、IEEE802.11ad規格およびその拡張(例えば、802.11ay)である。したがって、明らかなように、システム100のデバイスは、搬送周波数の共通セットを使用する。例えば、802.11adおよび802.11ay規格は、58.32GHz、60.48GHz、62.64GHz、および64.8GHzの中心周波数、ならびに2.16GHzの帯域幅を有する4つのチャネルを規定する。送信のためのデータの処理に用いられるデバイス104のある特定の構成要素は、以下でより詳細に説明される。当業者には明らかであるように、そのような構成要素もデバイス108に含むことができ、両方のデバイス104および108は、受信信号の処理に使用されるさらなる構成要素(図示せず)も含むことができる。
【0009】
デバイス104は、プロセッサ120とも称する中央処理装置(CPU)を含む。プロセッサ120は、様々な動作を実行するための様々なコンピュータ可読命令が格納された、メモリ124などの、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、デバイス108へのストリーミングメディア)と相互接続される。メモリ124は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ、すなわち、RAM)および不揮発性メモリ(例えば、リードオンリメモリ、すなわち、ROM、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ、すなわち、EEPROM、フラッシュメモリ)の適切な組み合わせを含む。プロセッサ120およびメモリ124のそれぞれは、1つまたは複数の集積回路を備える。
【0010】
デバイス104はまた、一般に入力/出力デバイス128として示される、1つまたは複数の入力デバイスと、1つまたは複数の出力デバイスとを含む。入出力デバイス128は、デバイス104の動作を制御し、情報を、例えば、デバイス104のオペレータに提示するためのコマンドを受信するよう機能する。したがって、入出力デバイス128は、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、およびマイクロフォンなどを含むデバイスの任意の適切な組み合わせを含む。他の実施形態では、入出力デバイスは、ネットワークを介してプロセッサ120に接続してもよく、または単に省略してもよい。
【0011】
デバイス104は、プロセッサ120と相互接続された無線通信アセンブリ132をさらに含む。アセンブリ132は、デバイス104が他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする。この例では、前述したように、アセンブリ132は、IEEE802.11ay規格に従って通信を可能にし、したがって、約60GHzの周波数でデータを送受信する。
【0012】
通信アセンブリ132は、他のデバイス(例えば、リンク112)との通信リンクを確立および維持するよう構成された1つまたは複数の集積回路の形態のコントローラ136を含む。コントローラ136は、ベースバンドプロセッサと、別個のハードウェア要素として実施されるか、単一の回路上に統合され得る1つまたは複数のトランシーバとを含む。コントローラ136は、複数のアンテナ140を介して送信するために出力データを処理するよう構成され、4つの例140-1、140-2、140-3、および140-4(総称してアンテナ140と称し、一般にアンテナ140と称する)が図1に示される。
各アンテナ140は、例えば、アンテナ素子のフェーズドアレイを含むことができる。言い換えれば、デバイス104は、複数入力および出力ストリームを使用してデータを送信および受信するために複数入力、複数出力(MIMO)機能を使用することが可能であり、送信データまたは受信データの一部が別個のアンテナ140を介して送信または受信される。以下により詳細に説明するように、コントローラ136は、処理されたデータをアンテナ140にもたらす前に、選択可能な符号化モードおよび変調方式に従って送信するために送信データを処理するよう構成される。
【0013】
コントローラ136は、上記の機能を実行するための制御アプリケーション144の形態で、(例えば、コントローラ136と一体化されたメモリ要素に格納されるか、またはアセンブリ132の個別のハードウェア構成要素として実装され、コントローラ136に接続される)様々なコンピュータ可読命令を実行するよう構成される。制御アプリケーション144は、例えば、プロセッサ120を介して、アセンブリ132に配備されたソフトウェアドライバとして実現することができる。アプリケーション144を実行することにより、コントローラ136は、無線通信アセンブリ132を動作させて、デバイス108に送信されるべきペイロードデータを処理する際に使用する構成を選択し、選択された構成に従って処理を実行するよう構成される。
【0014】
アンテナ140を介して送信するためのデータの処理は、当業者には明らかであるように、データに順方向誤り訂正(FEC)動作を適用して、受信デバイス108がデバイス104から受信した信号において破損または欠損しているデータの部分を回復することを可能にすることができるある程度の冗長さを含む符号化データを生成することを含む。特に、後述するように、コントローラ136は、少なくとも1つの符号化モードに従って上述の符号化を実行するよう構成される。すなわち、いくつかの実施形態では、コントローラ136は、2つの異なる符号化モードのいずれかを選択するよう構成される。符号化モードは、(i)すべてのペイロードデータが単一のFEC符号器(例えば、低密度パリティチェック、すなわち、LDPC、符号器)によって処理される単一符号化モード、および(ii)ペイロードデータが、(それぞれ別個のアンテナ140によって送信される)ストリームに分解され、各ストリームが別個のFEC符号器によって符号化される、ストリーム毎符号化モード、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、(アプリケーション144を介して実装された機能の全体まで)コントローラ136でアプリケーション144を実行することによって実装される機能性の特定の態様は、別個のハードウェア構成要素として、コントローラ136の副構成要素としてまたはコントローラ136から離れていてコントローラ136と通信する回路として、実現される。
【0016】
図2を参照すると、構成可能なMIMO処理のための方法200が示される。方法200は、図1に示すように、デバイス104でのその機能に関連して説明される。方法200のブロックは、アプリケーション144を実行することを介して、無線通信アセンブリ132のコントローラ136によって実行される。
【0017】
ブロック205において、コントローラ136は、(例えば、デバイス108の対応するコントローラを用いて)機能データをデバイス108と交換するよう構成される。当業者には明らかなように、機能データの交換は、通信リンク(例えば、図1に示すリンク112)の確立中に行うことができる。例えば、デバイス104および108は、リンク112の確立中に、それぞれのデバイスにおいて様々な構成パラメータを示す1つまたは複数の機能フィールドを含むメッセージを交換することができる。この機能には、サポートされるデータ速度、サポートされる通信チャネル、およびアンテナ構成(例えば、デバイスによってサポートされるいくつかの同時MIMOストリーム)などを含むことができる。
【0018】
さらに、ブロック205で交換される機能データは、各デバイスが上記の符号化モードの一方または両方をサポートするかどうかについての指示である。すなわち、デバイス104は、デバイス104が単一符号化モードおよびストリーム毎符号化モードの一方または両方をサポートするかどうかについての指示をデバイス108に送信するよう構成される。デバイス104はまた、デバイス108が両方のモードをサポートしているか、またはどちらか一方をサポートしているかどうかを示す、デバイス108からの同様のインジケータを受信するよう構成される。インジケータの性質は特に限定されない。例えば、インジケータは、メッセージの拡張指向性マルチギガビット(EDMG)機能フィールドまたはサブフィールドに含めることができる。
【0019】
ブロック210において、コントローラ136は、デバイス104自体およびデバイス108の両方が選択可能な符号化をサポートしているかどうかを判定するよう構成される。言い換えれば、コントローラ136は、デバイス104および108の両方が上記符号化モードの両方をサポートするかどうかを判定するよう構成される。判定が否定的である場合、例えば、デバイス108が、上記の符号化モードの1つのみをサポートする場合、方法200の実行はブロック215に進む。
【0020】
ブロック215において、コントローラ136は、アクティブな符号化モードとして共有符号化モード、すなわち、デバイス104とデバイス108との両方によってサポートされる符号化モードを選択するよう構成される。例えば、デバイス104が両方の符号化モードをサポートし、デバイス108が単一符号化モードのみをサポートする場合、ブロック215で単一の符号化モードが選択される。いくつかの例では、デバイス104自体は、符号化モードのうちの1つのみをサポートすることができる。例えば、デバイス104が単一符号化モードのみをサポートする場合、ブロック210の判定は、デバイス108から受信したインジケータに関係なく、自動的に否定となる可能性がある。すなわち、判定の結果が事前に分かっており、単一符号化モードをアクティブモードとして予め構成することができるので、ブロック210における判定は効果的に省略することができる。
このように、方法200の実行は、(唯一の利用可能モードとして)単一符号化モードが(例えば、デバイス108がどのモードをサポートしているかを全く考慮することなく)自動的に選択されるブロック215に自動的に進むことができる。デバイス104および108が共有符号化モードをサポートしていない場合、方法200の実行は終了することができる。
【0021】
一方、ブロック210における判定が肯定的である場合、両方のデバイス104および108が上述の符号化モードの両方をサポートすることを示す場合、コントローラ136はブロック220に進むよう構成される。ブロック220において、コントローラ136は、アクティブモードとして符号化モードのうちの1つ(すなわち、単一符号器およびストリーム毎符号化のうちの一方)を選択するよう構成される。ブロック220での選択は、チャネルランク、以前の送信で使用された1つまたは複数のストリームでの信号対雑音比(SNR)比(例えば、SNRは以前の送信に応じた受信デバイス108からのフィードバックに基づいて判定することができる)、パケットエラー率およびリトライ率(例えば、以前の送信から生じるフィードバックにも基づく)、ならびにビーム形成状態情報の任意の1つまたは複数に基づくことができる。
【0022】
ブロック225において、コントローラ136は、デバイス108に送信するためにデバイス104で生成されたペイロードデータを送信するためにいくつかの送信ストリームを選択するよう構成される。ペイロードデータは、プロセッサ120によるアプリケーションの実行などの任意の適切な手段を介して生成される多種多様なデータ(例えば、マルチメディア、電子メールやインスタントメッセージデータなどのメッセージング、およびウェブページなど)のいずれかを含むことができる。いくつかの送信ストリームを選択することは、任意の適切な選択動作に従って行われ、その例は当業者には明らかであろう。
例えば、コントローラ136は、両方のデバイス104および108によってサポートされる最大数のストリームを選択するよう構成することができる。例えば、デバイス108が4つのアンテナを含むと仮定すると、ブロック225において、コントローラ136は、4つの送信ストリームを選択するよう構成することができる。
【0023】
ブロック225において、コントローラ136はまた、各ストリームの変調方式を選択するよう構成される。当業者には明らかなように、変調方式の選択は、ブロック205で交換される機能データおよびリンク112(例えば、1つまたは複数のチャネルのSNRなど)の状態の一方または両方に基づく。多種多様な変調方式のいずれかをブロック225で選択することができ、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)、直交位相シフトキーイング(QPSK)、8-PSKなどの高次位相シフトキーイング、ならびに16-QAMおよび64-QAMなどの直交振幅変調(QAM)方式を含む。コントローラ136は、各ストリームについて単一の変調方式を選択するよう、またはストリームの一部もしくは全部について異なる変調方式を選択するよう構成することができる。
【0024】
ブロック230において、コントローラ136は、デバイス108に送信されるべきデータに含めるための符号化モードおよび変調インジケータを生成するよう構成される。インジケータは、送信前にペイロードデータと連結されるヘッダデータ内のフィールドまたはサブフィールドとして生成することができる。例えば、当業者には明らかなように、ヘッダデータは、各ストリームに対応する変調および符号化方式(MCS)インジケータを含み、ペイロードデータを処理するためにどの変調方式およびFEC符号化率を使用するかを示す。MCSインジケータは、典型的には、構成パラメータのいくつかの予め定義されたセット(例えば、変調タイプ、変調タイプが適用されるいくつかのストリーム、FECコード率、およびデータ率など)の1つに対応するインデックス値である。符号化モードは、例えば、ヘッダデータ内のビットフラグとして示すことができる。例えば、ビットフラグ内の値0は、単一符号化モードがペイロードデータにFEC符号化を適用するために使用されたことを示すことができ、一方、ビットフラグ中の値1は、ストリーム毎符号化モードが使用されたことを示すことができる。他の例では、符号化モードインジケータを上述のMCSインジケータと組み合わせることができる。例えば、構成パラメータの上記の所定のセットは、各MCSインデックスに対応する符号化モードの指示を含むよう拡張することができる。
【0025】
ブロック235において、コントローラ136は、ブロック215または220ならびにブロック225における選択に従って送信するためにペイロードデータを処理するよう構成される。図2から分かるとおり、送信するためにペイロードデータの処理に用いられる動作シーケンスは、ブロック215または220で選択された符号化モードに基づいて変化する。特に、単一符号化モードが選択される場合、方法200の実行はブロック240に進み、さらにブロック245に進む。要約すると、ブロック240において、コントローラ136は、符号化されたペイロードデータ(すなわち、上述のLDPC符号化処理などの適切なFECメカニズムに従って符号化されたペイロードデータ)を生成するよう構成される。ブロック245において、符号化ペイロードデータが選択された数のストリームに分解され、選択された変調方式が符号化ストリームに適用される。言い換えると、ブロック240および245を介して、FEC符号化の適用はストリーミングおよび変調に先行する。
【0026】
ここで図3を参照して、ブロック240および245の機能についてより詳細に説明する。図3は、ペイロードデータ300と、ヘッダデータ304(上述の変調および符号化インジケータを含む)とを示す。図3はまた、アプリケーション144の様々な構成要素をより詳細に示している(上述したように、1つまたは複数の専用ハードウェア構成要素として実装することもできる)。具体的には、アプリケーション144は、4つの符号器308-1、308-2、308-3、および308-4を含む。この例では、符号器308はLDPC符号器である。各符号器308は、単一の論理符号器を構成する1つまたは複数の並列ハードウェア構成要素または実行可能処理などとして実装してもよい。所与の符号器308が複数の副構成要素(例えば、複数の並列符号器回路)を含む場合、副構成要素の構成可能なサブセットは、例えば、ペイロードデータ300が送信されるデータ率に応じて、使用することができる。例えば、データ率がより高いと、起動することができるそのような副構成要素の数がより多くなる可能性があるが、データ率がより低いと、起動することができるそのような副構成要素の数がより少なくなる可能性がある。
【0027】
アプリケーション144はまた、ストリームパーサ312と、アンテナ140の数に対応するいくつかの変調器316とを含む。したがって、この例では、アプリケーション144は、4つの変調器316-1、316-2、316-3、および316-4を含む。
アプリケーション144はまた、概ね320で示される、インタリーバおよびデジタル/アナログ(DAC)変換器などを含む実行可能処理、ハードウェア構成要素、またはその両方として実装される複数の追加の処理構成要素を含むこともできる。
【0028】
ブロック240において、コントローラ136は、符号化データ324を生成するためにペイロードデータ300およびヘッダ304を単一の符号器(図示の例では符号器308-1)に導くよう構成される。図3から明らかなように、符号化データ324は、単一ストリームからなり、ブロック245で、データの符号化ストリームを生成するために、ストリームパーサ312に供給される。具体的には、図3に示す例では、ストリームパーサ312は、符号化データ324を4つの符号化ストリーム328-1、328-2、328-3、328-4に分割する。各符号化ストリーム328は、符号化された形式のペイロードデータ300の一部を含み、各符号化ストリーム328は、(一般に、追加の処理構成要素320の制御下で)ブロック250でアンテナ140を介した送信に先立って変調のために別個の変調器316に導かれる。すなわち、変調器316は、それぞれのアンテナ140を介した任意の適切なさらなる処理および送信のために、符号化され変調されたストリーム332-1、332-2、332-3、および332-4を生成する。
【0029】
図2に戻って、選択された符号化モードがストリーム毎符号化モードである場合、方法200の実行は、ブロック240ではなくブロック235からブロック255に進む。ブロック255において、コントローラ136は、選択された数の非符号化データのストリーム(すなわち、符号化に先立ってペイロードデータの一部を含む各ストリーム)を生成するよう構成される。ブロック260において、コントローラ136は、非符号化ストリームから、ブロック250で送信するための複数の符号化され変調されたストリームを生成するよう構成される。
【0030】
ここで図4を参照すると、図3のアーキテクチャがブロック255および260の機能と共に示されている。ペイロードデータ300およびヘッダデータ304が図4に示されているが、符号器308-1(図3に図示)ではなくストリームパーサ312に提供される。したがって、ストリームパーサ312は、ブロック255で、ペイロードデータ300から複数の非符号化ストリーム400-1、400-2、400-3、および400-4を生成するよう構成される。次いで、ブロック260で符号化ストリーム328を生成するために、非符号化ストリーム400が各符号器308に提供される。符号化ストリーム328は、図3に関連して上述したように、変調された符号化ストリーム332を生成するために、各変調器316に供給され、ブロック260の機能を決定する。変調符号化ストリーム332が生成されると、変調符号化ストリーム332は、処理構成要素320およびアンテナ140を介して送信される。
【0031】
ここで明らかになるように、デバイス108は、デバイス104から送信されたストリームを受信すると、1つまたは複数の復調器を介してストリームを復調し、ブロック215または220で選択され、1つまたは複数の復号器にストリームを適用し、ヘッダ304でシグナリングされた符号化モードに基づいて、ペイロードデータ300を復号して再構成するよう構成される。例えば、ストリーム毎符号化がデバイス104で使用されたことをヘッダ304が示す場合、受信デバイス108は、各受信されたストリームを別個の復号器に導くよう構成される。ヘッダ304が、単一符号化モードがデバイス104で使用されたことを示す場合、デバイス108は、受信したすべてのストリームを単一復号器に導くよう構成される。
【0032】
上記のような選択可能な符号化モードの実装により、共有規格(例えば、802.11ay)に従って動作する装置が、通信を、環境要因ならびに加入デバイスの機能により良く適合させることが可能になる。
【0033】
特許請求の範囲は、上記例に記載された実施形態に限定されるべきではなく、総じて説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4