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特開2023-52760表示装置用基板、表示装置、電子機器および表示装置用基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052760
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】表示装置用基板、表示装置、電子機器および表示装置用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/16755 20190101AFI20230404BHJP
   G02F 1/1681 20190101ALI20230404BHJP
   G02F 1/16756 20190101ALI20230404BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20230404BHJP
【FI】
G02F1/16755
G02F1/1681
G02F1/16756
G02F1/167
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011908
(22)【出願日】2023-01-30
(62)【分割の表示】P 2019161386の分割
【原出願日】2015-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】宮田 崇
(57)【要約】
【課題】基板間に荷重を加えるときにも隔壁が倒れたり潰れたりすることを抑止できる表示装置用基板を提供する。
【解決手段】第1基板2は絶縁層12を有する第1基材10と、絶縁層12上に設置された隔壁5と、を備え、絶縁層12及び隔壁5は樹脂材料で形成され、隔壁5は絶縁層12より硬度が高い。絶縁層12の表面には絶縁層12を保護する保護膜13が設置されている。保護膜13の一部は隔壁5と絶縁層12との間に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を備える基板と、
前記絶縁層の上に設置された隔壁であって、上部と側面とを有する隔壁と、
前記絶縁層を保護する保護膜であって、前記絶縁層の表面、並びに前記隔壁の上部及び側面に形成された保護膜と、
と、を備え、
前記絶縁層及び前記隔壁は樹脂材料で形成され、前記隔壁は前記絶縁層よりもヤング率が高い
表示装置用基板。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置用基板であって、前記基板は1つの画素に対応する1つの画素電極を備え、前記隔壁は前記画素電極を囲んで設置されている表示装置用基板。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置用基板であって、前記画素電極に電気的に接続された回路部が、前記基板と前記絶縁層との間に設置されている表示装置用基板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置用基板であって、前記絶縁層は平坦化層である表示装置用基板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置用基板であって、前記絶縁層は、感光性アクリル樹脂を含有する表示装置用基板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置用基板であって、前記隔壁は、樹脂材料に架橋剤を加えて得られた材料を含有する表示装置用基板。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置用基板であって、前記樹脂材料は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、またはエポキシ樹脂からなる群から選択されたものである表示装置用基板。
【請求項8】
請求項6に記載の表示装置用基板であって、前記樹脂材料は、ネガ型の感光性エポキシ樹脂である表示装置用基板。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置用基板であって、前記保護膜は、SiNを含有する表示装置用基板。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置用基板であって、前記保護膜は、CVD法によって形成されたものである表示装置用基板。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置用基板と、
前記隔壁に支えられた透明封止部材と、
前記透明封止部材上に設置された対向電極と、
前記基板と前記絶縁層との間に位置し、画素電極に接続された回路部と、
前記隔壁と前記透明封止部材と前記基板とで形成される空間に封止された電気泳動分散液と、を備える表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置であって、前記透明封止部材は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素-ポリウレタン、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン、フェノール樹脂またはビニル樹脂を含有する、表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載の表示装置と、前記表示装置を制御する制御部と、を備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用基板、表示装置、電子機器および表示装置用基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電荷を有する粒子が分散媒中を移動する電気泳動表示装置が広く用いられている。電気泳動表示装置は画面のちらつきが少ないので、電子書籍を閲覧する表示装置等に用いられている。この電気泳動表示装置が特許文献1に開示されている。それによると、電気泳動表示装置は電極が設置された一対の基板を備えている。そして、電極間には着色帯電粒子を含む分散媒が設置されている。基板の間には格子状に隔壁が設置され、隔壁により部屋が仕切られている。そして、隔壁により基板間の距離が保たれている。
【0003】
部屋内では着色帯電粒子が帯電されている。そして、対向する基板に設置された一対の電極に電圧を印加することにより、一方の電極に着色帯電粒子が誘引される。次に、電極の電圧を入れ替えることにより、着色帯電粒子の位置が変わる。
【0004】
基板の一方には画素電極が設置され、画素電極が1つの画素となっている。そして、画素毎に着色帯電粒子の位置を制御することで所定の図形を表示することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-240679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では一方の基板表面に無機材料で覆った絶縁膜が設置されている。そして、絶縁膜上には隔壁が設置されている。隔壁の材料はカルドポリマーであり樹脂材料の一種である。隔壁内の部屋に分散媒を設置した後で一対の基板を一体化している。一対の基板を一体化するときには基板間に荷重を加える。このとき、隔壁と絶縁膜とが異なる性質の材料なので強固に接着されない。従って、隔壁に荷重が加わるときに隔壁と絶縁膜とが剥がれたりずれたりすることがある。このとき、隔壁が倒れたり潰れたりするので、基板間に荷重を加えるときにも隔壁が倒れたり潰れたりすることが抑制された表示装置用基板が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる表示装置用基板であって、絶縁層を備えた基板と、前記絶縁層上に設置された隔壁と、を備え、前記絶縁層及び前記隔壁は樹脂材料で形成され、前記隔壁は前記絶縁層より硬度が高いことを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、表示装置用基板は基板を備え、基板には絶縁層が設置されている。そして、絶縁層上には隔壁が設置されている。絶縁層及び隔壁は樹脂材料で形成されている。従って、絶縁層と隔壁との一方が無機材料である時に比べて絶縁層と隔壁とを高い強度で固定することができる。さらに、隔壁は絶縁層より硬度が高いので強度がある。その結果、隔壁に荷重が加わるときにも隔壁が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0010】
[適用例2]
上記適用例にかかる表示装置用基板において、前記絶縁層の表面には前記絶縁層を保護する保護膜が設置されていることが好ましい。
【0011】
本適用例によれば、絶縁層の表面には絶縁層を保護する保護膜が設置されている。従って、絶縁層と表示装置を構成する薬液とが接触しない為、薬液や絶縁層が損傷を受けることを防止することができる。
【0012】
[適用例3]
上記適用例にかかる表示装置用基板において、前記保護膜は開口部を有し、前記隔壁は前記開口部を塞ぐように設置されていることが好ましい。
【0013】
本適用例によれば、保護膜の開口部を塞ぐように隔壁が設置されていることによって、表示装置を構成する薬液が絶縁層に接触することが保護膜により抑制されると共に樹脂の隔壁と樹脂の絶縁層とを接して固定することができる。
【0014】
[適用例4]
上記適用例にかかる表示装置用基板において、前記基板は1つの画素に対応する1つの画素電極を備え、前記隔壁は前記画素電極を囲んで設置されていることが好ましい。
【0015】
本適用例によれば、基板は1つの画素に対して1つの画素電極が設置されている。そして、隔壁は画素電極を囲んで設置されている。このとき、隔壁が複数の画素電極を囲むときに比べて、隔壁が囲む面積が小さくなる。従って、隔壁内の面積が小さいので隔壁の強度を高くすることができる。その結果、隔壁に荷重が加わっても隔壁が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0016】
[適用例5]
上記適用例にかかる表示装置用基板において、前記画素電極に電気的に接続された回路部が、前記基板と前記絶縁層との間に設置されていることが好ましい。
【0017】
本適用例によれば、画素電極に電気的に接続された回路部が、基板と絶縁層との間に設けられている。従って、回路部が表示装置を構成する薬液等などに浸食されることを抑制することができる。
【0018】
[適用例6]
上記適用例にかかる表示装置用基板において、前記絶縁層は、平坦化層であることが好ましい。
【0019】
本適用例によれば、絶縁層が平坦化層であることにより、画素電極を平坦な形状にすることができ、表示の品質向上を図ることができる。
【0020】
[適用例7]
本適用例にかかる表示装置は、上記に記載の表示装置用基板と、前記隔壁に支えられる透明封止部材と、前記透明封止部材上に設置された対向電極と、前記基板と前記絶縁層との間の前記画素電極に接続された回路部と、前記隔壁と前記透明封止部材と前記基板とで形成される空間に封止された電気泳動分散液と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、表示装置は表示装置用基板を備え、透明封止部材が隔壁に支えられている。そして、透明封止部材上には対向電極が設置されている。表示装置用基板には隔壁が設置され、隔壁に囲まれた画素領域には電気泳動分散液が設置されている。従って、表示装置用基板と対向電極との間には隔壁が位置している。この隔壁は荷重が加わっても倒れたり潰れたりし難いので、表示装置用基板と透明封止部材及び対向電極とを容易に組み立てることができる。
【0022】
[適用例8]
本適用例にかかる電子機器であって、上記に記載の表示装置と、前記表示装置を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本適用例によれば、電子機器では制御部が表示装置を制御する。そして、表示装置は隔壁に荷重が加わっても倒れたり潰れたりし難いので、表示装置用基板と透明封止部材とを容易に組み立てられる装置である。従って、電子機器は表示装置用基板と透明封止部材とを容易に組み立てられる表示装置を備えた装置とすることができる。
【0024】
[適用例9]
本適用例にかかる表示装置用基板の製造方法は、基板に樹脂材料の絶縁層を設置し、前記絶縁層上に保護膜を設置し、前記保護膜の一部を除去し、前記保護膜の一部を除去した場所において前記絶縁層を覆って樹脂材料の隔壁を設置することを特徴とする。
【0025】
本適用例によれば、基板に樹脂材料の絶縁層を設置している。そして、絶縁層上に保護膜を設置し、保護膜の一部を除去している。従って、絶縁層の一部が露出している。この露出した絶縁層を覆って樹脂材料の隔壁を設置している。従って樹脂材料の絶縁層と樹脂材料の隔壁とを接続しているので、絶縁層と隔壁とを強固に接続することができる。その結果、後工程で隔壁に荷重を加えても隔壁が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施形態にかかわる電気泳動表示装置の構造を示す概略斜視図。
図2】電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図。
図3】電気泳動表示装置の構造を示す部分概略分解斜視図。
図4】電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図。
図5】画素と隔壁との関係を説明するための要部模式平面図。
図6】電気泳動表示装置の電気制御ブロック図。
図7】電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図。
図8】電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図。
図9】電気泳動表示装置の製造方法のフローチャート。
図10】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図11】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図12】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図13】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図14】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図15】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図16】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図17】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図18】電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図。
図19】第2の実施形態にかかわる電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図。
図20】第3の実施形態にかかわる電子ブックの構造を示す概略斜視図。
図21】腕時計の構造を示す概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施形態では、電気泳動表示装置と、この電気泳動表示装置を製造する特徴的な例について、図に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかわる電気泳動表示装置について図1図18に従って説明する。図1は、電気泳動表示装置の構造を示す概略斜視図であり、図2は電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図である。
【0028】
図1に示すように、表示装置としての電気泳動表示装置1は表示装置用基板としての第1基板2と第2基板3とが重なった構造になっている。第1基板2及び第2基板3の厚み方向をZ方向とし、第1基板2の側面に沿う方向をX方向及びY方向とする。+Z方向側に第2基板3が位置する。観察者が電気泳動表示装置1を見るときには+Z方向側から見ることとする。第2基板3の+Z方向側の面が画像表示面3aである。第1基板2は第2基板3より-Y方向に長い形状になっている。第1基板2の-Y方向側では+Z方向側の面にフレキシブルケーブル4が設置されている。フレキシブルケーブル4は図示しない駆動回路に接続され、フレキシブルケーブル4を介して電源と駆動信号が供給される。
【0029】
図2に示すように、電気泳動表示装置1は第1基板2と第2基板3との間に隔壁5が設置されている。隔壁5は格子状の形状を有し画素領域6を区画する。隔壁5の寸法は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、幅が3~5μm、高さが30μmになっている。
【0030】
図中画素領域6は図を見易くするためにX方向に15個、Y方向に10個並べて配置されている。画素領域6の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、X方向に320個、Y方向に250個並べて配置されている。画素領域6の大きさは特に限定されないが本実施形態では、例えば、X方向の長さが50~100μm、Y方向の長さが50~100μmになっている。電気泳動表示装置1の大きさも特に限定されないが本実施形態では、例えば、第1基板2はX方向の長さが30~50mmであり、Y方向の長さが20~40mmになっている。
【0031】
第1基板2には各画素領域6に回路部としての第1半導体素子7が設置されている。第1半導体素子7はスイッチングを行う素子であり画素領域6に印加される電圧を切り替える。第1半導体素子7は各画素領域6にあるので第1半導体素子7の個数は画素領域6の個数と同じ個数になっている。そして、画像表示面3aに所定のパターンを表示するときには1つの画素領域6が1つの画素8になる。第1基板2の+Z方向側の面には第2基板3とフレキシブルケーブル4との間に信号分配部9が設置されている。信号分配部9は第1半導体素子7に出力する信号を切り替える。
【0032】
図3は電気泳動表示装置の構造を示す部分概略分解斜視図であり、電気泳動表示装置1の一部分をZ方向に分解した図である。図3に示すように、第1基板2は第1基材10を有する。第1基材10の材質には、ガラス、プラスチック、セラミック、シリコン等を用いることができる。第1基材10は+Z方向から見える画像表示面3aの反対側に配置されるため不透明な材質でもよい。
【0033】
第1基材10上には素子層11が設置されている。素子層11には電圧供給線7a、制御信号線7b、第1半導体素子7及び第1貫通電極7d等が設置されている。第1半導体素子7はTFT(Thin Film Transistor)素子であり、スイッチングを行う素子である。素子層11の上には絶縁層12が設置され、絶縁層12の上には保護膜13及び画素電極14がこの順に重ねて設置されている。絶縁層12は素子層11と画素電極14とを絶縁する層である。保護膜13は絶縁層12を保護する層である。素子層11の第1貫通電極7dは画素電極14と接続されている。画素電極14は画素領域6毎に分離されている。隔壁5、第1基材10、素子層11、絶縁層12、保護膜13及び画素電極14等により第1基板2が構成されている。
【0034】
素子層11の材質は半導体が形成できる材質であれば良く特に限定されず、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム、炭化珪素、等を用いることができる。絶縁層12の材質は絶縁性があり成形しやすい材質であれば良く特に限定されず、樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、絶縁層12の材質にはポジ型の感光性アクリル樹脂を用いている。ポジ型にすることにより容易に 絶縁層12の一部を露出させる開口部を形成することができる。また、絶縁層12は素子層11の凹凸を画素領域6に反映させないための平坦化層の機能を有する。
【0035】
画素電極14の材質は導電性のある材質であれば良く特に限定されず、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ITO(インジウム錫酸化物)の他、銅箔上にニッケル膜や金膜を積層した物、アルミニウム箔上にニッケル膜や金膜を積層した物を用いることができる。本実施形態では、例えば、画素電極14の材質はITOになっている。
【0036】
保護膜13及び絶縁層12上には隔壁5が設置され、隔壁5によって区画された画素領域6には電気泳動分散液15が充填されている。隔壁5の材質は 適切な強度があり形成しやすく、電気泳動分散液15に溶出しない材質であれば良く特に限定されない。ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂材料に架橋剤を加えた材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、隔壁5の材料にはネガ型の感光性エポキシ樹脂を用いている。ネガ型にすることにより凸形状を容易に形成することができる。隔壁5は、保護膜13の開口部を塞ぐように設置される。図3から分かるように保護膜13の開口部の幅は隔壁5の底部の幅よりも狭い。これにより、隔壁5と絶縁層12とが保護膜13を介さずに接合する部分ができ、その接合を強固なものにすることができる。また、隔壁5と絶縁層12とは、開口部の両側においては保護膜13を介して接合されることになり、絶縁層12が開口部から電気泳動分散液15による損傷を受けることを防ぐことができる。
【0037】
保護膜13の材質は絶縁性があり電気泳動分散液15に溶出しない材質であれば良く特に限定されない。本実施形態では、例えば、保護膜13の材料には窒化シリコンを用いている。保護膜13は絶縁層12が電気泳動分散液15に溶出することを防止する。これにより、電気泳動分散液15が変質することを防止し、絶縁層12が劣化することを防止する。
【0038】
電気泳動分散液15は荷電粒子としての白色荷電粒子16及び荷電粒子としての黒色荷電粒子17を有し、白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17が分散媒18に分散している。白色荷電粒子16の材料は、白色で帯電可能であり微細な粒子に形成可能であれば良く特に限定されない。白色荷電粒子16の材料は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子、高分子、コロイドを用いることができる。本実施形態では、例えば、白色荷電粒子16は二酸化チタンの粒子を正に帯電させて用いている。
【0039】
黒色荷電粒子17は、黒色で帯電可能であり微細な粒子に形成可能であれば良く特に限定されない。黒色荷電粒子17の材料は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、酸窒化チタン等の黒色顔料からなる粒子、高分子、コロイドを用いることができる。本実施形態では、例えば、黒色荷電粒子17は酸窒化チタンを負に帯電させて用いている。白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17にはこれらの粒子に必要に応じて電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の帯電制御剤を用いることができる。他にも、白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17にはチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0040】
分散媒18は流動性があって変質し難い材質であれば良く特に限定されない。分散媒18の材質には水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素を用いることができる。他にも分散媒18の材質にはベンゼン、トルエン、キシレン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素を用いることができる。長鎖アルキル基を有するベンゼン類としてはヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等を用いることができる。他にも分散媒18としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素を用いることができる。他にも、分散媒18の材質には油類やシリコーンオイルを用いることができる。これらの物質は単独または混合物として用いることができ、さらに、カルボン酸塩のような界面活性剤等を配合してもよい。
【0041】
隔壁5及び電気泳動分散液15上には第2基板3が設置されている。第2基板3は第2基材21を有する。第2基材21上には対向電極としての共通電極22が設置され、共通電極22上には電気泳動分散液15を封止する透明封止部材としての封止層23が設置されている。共通電極22は複数の画素領域6に渡って設置される共通電極である。従って、共通電極22は複数の画素電極14と対向する。第2基板3は、封止層23側が隔壁5と接合される。さらに、封止層23は隔壁5と共通電極22とを絶縁する機能を備えている。
【0042】
第2基材21の材質は光透過性、強度及び絶縁性があれば良く特に限定されない。第2基材21の材質にガラスや樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、第2基材21の材質にガラス板を用いている。
【0043】
共通電極22は、透明導電膜であれば良く特に限定されない。例えば、共通電極22にはMgAg、IGO(Indium-gallium oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、ICO(Indium-cerium oxide)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)等を用いることができる。本実施形態では、例えば、共通電極22にITOを用いている。
【0044】
封止層23の材質は隔壁5と接合が可能であり、光透過性があって絶縁性を有し、電気泳動分散液15を変質させない材質であれば良く特に限定されない。例えば、封止層23の材質にはポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素-ポリウレタン、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン、フェノール樹脂、ビニル樹脂等が用いることができる。本実施形態では、例えば、紫外性硬化型のアクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いている。
【0045】
図4は電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図である。図4に示すように、電気泳動表示装置1は画素電極14と共通電極22との間に電圧を印加して用いられる。そして、画素電極14と共通電極22との間で電圧を切り替えて用いられる。
【0046】
画素電極14に対して共通電極22を低い電圧にする。このとき黒色荷電粒子17は負の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子17は画素電極14に誘引される。白色荷電粒子16は正の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子16は共通電極22に誘引される。その結果、第1基板2には黒色荷電粒子17が集合し、第2基板3には白色荷電粒子16が集合する。第2基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき第2基板3を通して白色荷電粒子16を見ることができる。従って、画素領域6では白色の表示となる。
【0047】
素子層11には第1半導体素子7が設置されている。第1半導体素子7は半導体膜7eを有し、半導体膜7eにはソース領域7h、チャネル形成領域7k、ドレイン領域7jがこの順に並んで形成されている。半導体膜7e上にはゲート絶縁膜7fが設置され、ゲート絶縁膜7f上にはゲート電極7gが設置されている。ソース領域7hにはソース電極7nが接続され、ソース電極7nは電圧供給線7aが接続されている。ドレイン領域7jと接続して第1ドレイン電極7pが設置され、第1ドレイン電極7pと接続して第1貫通電極7dが設置されている。第1貫通電極7dは画素電極14と接続するので、第1半導体素子7は画素電極14と電気的に接続されている。ゲート電極7gは制御信号線7bが接続されている。
【0048】
隔壁5の主な材質はエポキシ系樹脂であり、絶縁層12の主な材質はアクリル樹脂である。そして、絶縁層12と隔壁5との一部が接合している。従って、絶縁層12と隔壁5との接合は同じ樹脂材料同士の接合であり、絶縁層12と隔壁5との一方が無機材料である時に比べて絶縁層12と隔壁5とを高い強度で固定することができる。隔壁5の硬度は2GPaであり、絶縁層12の硬度は0.5GPaである。隔壁5は絶縁層12より硬度が高いので強度がある。このため、第1基板2と第2基板3とを組み立てる工程で隔壁5に荷重が加わるときにも隔壁5の変形等を防ぐとともに絶縁層12側に食い込む形となることから、絶縁層12から隔壁5が剥がれ難くなっている。その結果、隔壁5が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0049】
絶縁層12の硬化前の硬さは約15mPa/sであり、隔壁5の硬化前の硬さは約2000mPa/sである。この為、絶縁層12の材料は隔壁5の材料に比べて薄く成膜することが容易にできる。しかし、絶縁層12は隔壁5に比べて電気泳動分散液15に溶出し易いので、絶縁層12を覆って保護膜13が設置されている。保護膜13により絶縁層12と電気泳動分散液15とが接触しない為、電気泳動分散液15や絶縁層12が損傷を受けることを防止することができる。
【0050】
保護膜13の一部は隔壁5と絶縁層12との間に位置している。詳しくは、絶縁層12側の隔壁5の幅を第1幅5aとする。そして、隔壁5の幅方向において隔壁5の中央で隔壁5は絶縁層12と接合されている。隔壁5が絶縁層12と接合する幅を第2幅5bとする。例えば、第2幅5bは第1幅5aの1/3の長さになっている。そして、保護膜13は隔壁5の両側の側面から隔壁5と絶縁層12との間に入る。保護膜13が隔壁5の側面から隔壁5と絶縁層12との間に入る部分の長さを第3幅5cとする。例えば、第3幅5cは第1幅5aの1/3の長さになっている。このとき、絶縁層12上に保護膜13が位置し、保護膜13上に隔壁5の一部が位置する。従って、絶縁層12は隔壁5と保護膜13とに覆われるので電気泳動分散液15と接する面では絶縁層12が露出しない。その結果、絶縁層12が電気泳動分散液15に接触することを抑制することができる。
【0051】
図5は画素と隔壁との関係を説明するための要部模式平面図であり、第1基板2を画像表示面3a側から見た図である。図5に示すように、第1基板2は1つの画素8に対応して1つの画素電極14を備えている。そして、隔壁5は、ひとつの画素8に対して画素電極14を囲んで設置されている。尚、隔壁5は画素電極14の全周を囲まずに一部が欠損しても良い。そして、欠損した場所では画素8間を電気泳動分散液15が移動できるようにしても良い。隔壁5は画素電極14を囲んで設置されている。このとき、隔壁5が複数の画素電極14を囲むときに比べて、隔壁5が囲む面積を狭くできる。そして、隔壁5の強度を高くすることができる。従って、隔壁5に荷重が加わっても隔壁5が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0052】
図6は電気泳動表示装置の電気制御ブロック図である。図6に示すように、電気泳動表示装置1は制御装置24と接続して用いられる。制御装置24は入力部25を備え、入力部25は電気泳動表示装置1に表示する画像を示す画像信号を出力する装置に接続され、画像信号を入力する。入力部25は制御部26と接続されている。そして、制御部26は記憶部27、第1波形形成部28、第2波形形成部29及び信号分配部9と接続されている。
【0053】
制御部26は第1波形形成部28、第2波形形成部29及び信号分配部9を制御する部位である。記憶部27は画像信号の他、画像信号から電気泳動表示装置1に出力する信号を形成するときに用いる情報を記憶する。第1波形形成部28はフレキシブルケーブル4、信号分配部9及び制御信号線7bを介して第1半導体素子7と接続され、第1半導体素子7に画素毎のデータ信号を出力する。第1半導体素子7は画素電極14と接続され、データ信号に対応する電圧を画素電極14に出力する。第2波形形成部29はフレキシブルケーブル4及び信号分配部9を介して共通電極22と接続され、共通電極22に電圧波形を出力する。
【0054】
信号分配部9は第1半導体素子7に駆動信号を分配し画素電極14に出力する電圧波形を切り替える。さらに、信号分配部9は共通電極22に出力する電圧波形を伝達する。
【0055】
図7及び図8は電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図である。図7に示すように、画素電極14に対して共通電極22を低い電圧にする。このとき黒色荷電粒子17は負の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子17は画素電極14に誘引される。白色荷電粒子16は正の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子16は共通電極22に誘引される。その結果、第1基板2には黒色荷電粒子17が集合し、第2基板3には白色荷電粒子16が集合する。第2基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき第2基板3を通して白色荷電粒子16を見ることができる。従って、画素領域6では白色の表示となる。
【0056】
図8に示すように、画素電極14に対して共通電極22を高い電圧にする。このとき黒色荷電粒子17は負の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子17は共通電極22に誘引される。白色荷電粒子16は正の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子16は画素電極14に誘引される。その結果、第1基板2には白色荷電粒子16が集合し、第2基板3には黒色荷電粒子17が集合する。第2基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき第2基板3を通して黒色荷電粒子17を見ることができる。従って、画素領域6では黒色の表示となる。
【0057】
次に上述した電気泳動表示装置1の製造方法について図9図18にて説明する。図9は、電気泳動表示装置の製造方法のフローチャートであり、図10図18は電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。図9のフローチャートにおいて、ステップS1は上部電極設置工程に相当する。この工程は、第2基材21上に共通電極22及び封止層23を設置する工程である 。
【0058】
次にステップS2に移行する。ステップS2は素子設置工程である。この工程は、第1基材10上に素子層11を設置する工程である。
【0059】
次にステップS3に移行する。ステップS3は絶縁層設置工程である。この工程は、素子層11上に絶縁層12を設置する工程である。
【0060】
次にステップS4に移行する。ステップS4は保護膜設置工程である。この工程は、絶縁層12上に保護膜13を設置する工程である。
【0061】
次にステップS5に移行する。ステップS5は下部電極設置工程である。この工程は、保護膜13上に第1貫通電極7d及び画素電極14を設置する工程である。
【0062】
次にステップS6に移行する。ステップS6は隔壁設置工程である。この工程は、第1基板2上に隔壁5を設置する工程である。
【0063】
次にステップS7に移行する。ステップS7は分散液充填工程である。この工程は、画素領域6に電気泳動分散液15を充填する工程である。
【0064】
次にステップS8に移行する。ステップS8は基板組立工程である。この工程は、隔壁5と第2基板3とを接着する工程である。
【0065】
以上の工程により電気泳動表示装置1を製造する工程を終了する。
【0066】
次に、図10図18を用いて、図9に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
【0067】
まず、第2基板3を製造する。図10はステップS1の上部電極設置工程に対応する図である。図10に示すように、第2基材21を用意する。第2基材21にはガラス板を所定の厚みに研削及び研磨して表面粗さを小さくした板を用いる。次に、第2基材21上に共通電極22を設置する。スパッタリング法等の成膜法を用いて膜厚100nm程度のITO膜を第2基材21上に形成する。次に、フォトリソグラフィー法及びエッチング法によってITO膜をパターニングして、共通電極22を形成する。
【0068】
次に、共通電極22上に封止層23を設置する。封止層23はインクジェット法、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の凸版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷等の各種印刷法を用いて設置することができる。他にも、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スリットコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、ディップコート法等を用いても良い。
【0069】
続いて、第1基板2を製造する。図11はステップS2の素子設置工程に対応する図である。図11に示すように、ステップS2において、第1基材10を用意する。第1基材10もガラス板を所定の厚みに研削及び研磨して表面粗さを小さくした板を用いる。第1基材10上に素子層11を形成する。素子層11の形成方法は公知であるので詳細の説明は省略し、概略の製造方法を説明する。素子層11の形成方法は複数存在し特に限定されない。
【0070】
まず、CVD法(chemical vapor deposition)によって第1基材10上に図示しないSiO2の下地絶縁膜30を形成する。次に、下地絶縁膜上に、CVD法等によって膜厚50nm程度の非晶質シリコン膜を形成する。その非晶質シリコン膜をレーザー結晶化法等によって結晶化して、多結晶シリコン膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって島状の多結晶シリコン膜である半導体膜7eを形成する。
【0071】
次に、半導体膜7e及び下地絶縁膜を覆うように、CVD法等によって膜厚100nm程度のSiO2を形成し、ゲート絶縁膜7fとする。スパッタリング法等によって、ゲート絶縁膜7f上に膜厚500nm程度のMo膜を形成し、フォトリソグラフィー法及びエッチング法によって島状のゲート電極7gを形成する。イオン注入法によって半導体膜に不純物イオンを注入し、ソース領域7h、ドレイン領域7j及びチャネル形成領域7kを形成する。ゲート絶縁膜7f及びゲート電極7gを覆うように、膜厚800nm程度のSiO2膜を形成し、第1層間絶縁膜11mとする。
【0072】
次に、第1層間絶縁膜11mにソース領域7hに達するコンタクトホールとドレイン領域7jに達するコンタクトホールを形成する。その後、第1層間絶縁膜11m上とコンタクトホール及びコンタクトホール内に、スパッタリング法等によって膜厚500nm程度のMo膜を形成し、フォトリソグラフィー法及びエッチング法によってパターニングして、ソース電極7n、第1ドレイン電極7p及び図示しない配線を形成する。
【0073】
第1層間絶縁膜11mとソース電極7n、第1ドレイン電極7p及び配線とを覆うように、膜厚800nm程度のSi34膜を形成し、第2層間絶縁膜11rとする。フォトリソグラフィー法及びエッチング法によってパターニングして、第2層間絶縁膜11rにコンタクトホールを形成する。
【0074】
図12はステップS3の絶縁層設置工程に対応する図である。図12に示すように、ステップS3において、第2層間絶縁膜11r上に絶縁層12を設置する。まず、絶縁層12の材料となる樹脂膜を設置する。素子層11の上にアクリル樹脂を溶解した溶液を素子層11上に塗布し乾燥させて固化する。樹脂膜はインクジェット法、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の凸版印刷、グラビア印刷等の凹版印刷等の各種印刷法を用いて設置することができる。他にも、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スリットコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、ディップコート法等を用いても良い。次に、樹脂膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法によってパターニングする。これにより、絶縁層12の外形形状及び貫通孔12aの形状をパターニングする。続いて、エッチング液を用いて絶縁層12をエッチングして貫通孔12aを形成する。
【0075】
図13及び図14はステップS4の保護膜設置工程に対応する図である。図13に示すように、ステップS4において、絶縁層12上と貫通孔12a内に蒸着またはCVD法等の成膜法を用いて膜厚500nm程度のSiN膜を形成する。次に、図14に示すように、SiN膜をパターニング及びエッチングして保護膜13を形成する。貫通孔12aでは第1ドレイン電極7pを露出させる。さらに、隔壁5を設置する場所では絶縁層12を露出させる。エッチング法は特に限定されないが本実施形態ではドライエッチング法を用いた。
【0076】
図15はステップS5の下部電極設置工程に対応する図である。図15に示すように、ステップS5において絶縁層12、保護膜13上及び貫通孔12a内に、スパッタリング法等の成膜法を用いて膜厚500nm程度のITO膜を形成する。さらに、フォトリソグラフィー法及びエッチング法によってITO膜をエッチングして画素電極14及び第1貫通電極7dを形成する。隔壁5を設置する予定の場所では絶縁層12及び保護膜13を露出させる。エッチング法は特に限定されないが本実施形態ではドライエッチング法を用いた。
【0077】
図16はステップS6の隔壁設置工程に対応する図である。図16に示すように、ステップS6において、露出する絶縁層12及び保護膜13上に隔壁5を設置する。まず、画素電極14上に隔壁5の材料となる感光性樹脂材料を塗布する。塗布方法はオフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷等の各種印刷法を用いて設置することができる。他にも、スピンコート法やロールコート法等のコート法を用いても良い。続いて、感光性樹脂材料を加熱乾燥して固化する。次に、感光性樹脂材料をフォトリソグラフィー法によってパターニングしエッチングして隔壁5を成形する。保護膜13の一部を除去した場所において絶縁層12を覆って樹脂材料の隔壁5を設置する。この工程で第1基板2が完成する。
【0078】
図17はステップS7の分散液充填工程に対応する図である。図17に示すように、ステップS7において、隔壁5が設置された第1基板2を図示しない容器内に設置する。そして、分散媒18に白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17を加えて撹拌し電気泳動分散液15を用意する。次に、シリンジ等の供給器具を用いて画素領域6に電気泳動分散液15を供給する。電気泳動分散液15の供給方法は各種印刷法やインクジェット法を用いても良い。電気泳動分散液15は画素領域6から溢れる程度に供給される。
【0079】
図18はステップS8の基板組立工程に対応する図である。図18に示すように、ステップS8において、隔壁5上に第2基板3を設置する。まず、電気泳動分散液15が供給された第1基板2を減圧チャンバー内に設置する。次に、隔壁5上に第2基板3を搭載する。続いて、減圧チャンバー内を減圧し第1基板2に第2基板3を加圧する。この状態を維持しながら封止層23に紫外線を照射する。封止層23は紫外線硬化型で接着剤としても機能し、隔壁5と第2基板3とが仮固定される。次に、第2基板3が設置された第1基板2を加熱し封止層23を固化することにより第2基板3が隔壁5に固定される。以上の工程により電気泳動表示装置1が完成する。
【0080】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第1基材10には絶縁層12が設置されている。そして、絶縁層12上には隔壁5が設置されている。絶縁層12及び隔壁5はともに樹脂材料で形成されている。従って、絶縁層12と隔壁5との一方が無機材料で他方が樹脂材料である時に比べて絶縁層12と隔壁5とを高い強度で固定することができる。さらに、隔壁5は絶縁層12より硬度が高いので強度が高い。その結果、隔壁5に荷重が加わるときにも隔壁5が絶縁層12から剥がれて倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0081】
(2)本実施形態によれば、絶縁層12の表面には絶縁層12を保護する保護膜13が設置されている。従って、電気泳動分散液15が絶縁層12に接触することを防止する。そして、電気泳動分散液15や絶縁層12が互いに損傷を受けることを防止することができる。
【0082】
(3)本実施形態によれば、隔壁5と絶縁層12との間に保護膜13の一部が位置している。すなわち、保護膜13の開口部を隔壁5が塞ぐ形となっている。従って画素領域6においては絶縁層12が露出しない。その結果、絶縁層12に電気泳動分散液15が接触することを抑制することができる。
【0083】
(4)本実施形態によれば、第1基板2には1つの画素8に対応して1つの画素電極14が設置されている。そして、隔壁5は画素電極14を囲んで設置されている。このとき、隔壁5が複数の画素電極14を囲むときに比べて、隔壁5が囲む場所の面積が狭いので隔壁5の強度を高くすることができる。従って、隔壁5に荷重が加わっても隔壁5が倒れたり潰れたりすることを抑制することができる。
【0084】
(5)本実施形態によれば、絶縁層12及び隔壁5は樹脂材料からなり熱膨張係数が近い値になっている。従って、電気泳動表示装置1の製造工程において温度の変化が大きいときにも絶縁層12に対して隔壁5が剥離し難くすることができる。
【0085】
(6)本実施形態によれば、絶縁層12と隔壁5との密着力が高い。従って、電気泳動分散液15が加熱されて膨張するときにも、絶縁層12から隔壁5が剥がれることを抑制することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、電気泳動表示装置の一実施形態について図19を用いて説明する。図19は電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、保護膜13が絶縁層12と隔壁5との間に位置していない点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0087】
すなわち、本実施形態では、図19に示すように電気泳動表示装置33は第1基板34及び第2基板3を備え、第1基板34と第2基板3とで電気泳動分散液15を挟む構造になっている。第1基板34では、保護膜35は絶縁層12上、隔壁5の上部および隔壁5の側面に設置されている。尚、隔壁5の側面の保護膜35は隔壁5と絶縁層12の境目において絶縁層12が露出しない程度に設置されていればよく、必ずしも隔壁5の側面全面に設置されている必要はない。保護膜35は絶縁層12と隔壁5とに挟まれていない。従って、隔壁5の底面は全面が絶縁層12に接して固定されている。従って、隔壁5の底面が絶縁層12と接する面積が第1の実施形態の第1基板2に比べて広いので、隔壁5はさらに絶縁層12から剥がれ難くすることができる。
【0088】
保護膜35は、絶縁層12に隔壁5が設置された後、CVD法等により形成される。その後、コンタクトホールにおける第1ドレイン電極7pを露出させてから画素電極14を形成する。尚、図19においては隔壁5の上部にも保護膜35が設置されているが、隔壁5の上部の保護膜35は削除してもよい。
【0089】
(第3の実施形態)
次に、電気泳動表示装置を搭載した電子機器の一実施形態について図20及び図21を用いて説明する。図20は電子ブックの構造を示す概略斜視図であり、図21は腕時計の構造を示す概略斜視図である。図20に示すように、電子機器としての電子ブック38は板状のケース39を有する。ケース39には蝶番40を介して蓋部41が設置されている。さらに、ケース39には操作ボタン42と表示装置としての表示部43とが設置されている。操作者は操作ボタン42を操作して表示部43に表示する内容を操作することができる。
【0090】
ケース39の内部には、制御部44と表示部43に対してデータ信号を駆動する信号駆動部45が設置されている。制御部44は信号駆動部45に表示データを出力するとともに、当該表示データをデータ信号に変換するときのタイミング信号も出力する。信号駆動部45は表示データからデータ信号を生成し表示部43に出力する。また、制御部44は、信号駆動部45が出力するデータ信号に同期させた表示制御信号を表示部43に出力する。表示部43は、入力される表示制御信号およびデータ信号から、表示部43内部に有する信号部分配回路において電気泳動表示に必要な信号を生成することで、制御部44が表示部43に出力した表示データに従った表示を行う事ができる。尚、操作ボタン42による操作者の操作は、適時信号化され制御部44に伝達され、制御部44の出力信号に反映される。表示部43には電気泳動表示装置1または電気泳動表示装置33のいずれかが用いられている。従って、電子ブック38は隔壁5が倒れ難く組み立てし易い構造の電気泳動表示装置を表示部43に用いた装置とすることができる。
【0091】
図21に示すように、電子機器としての腕時計48は板状のケース49を有する。ケース49はバンド50を備え、操作者はバンド50を腕に巻いて腕時計48を腕に固定することができる。さらに、ケース49には操作ボタン51と表示装置としての表示部52とが設置されている。操作者は操作ボタン51を操作して表示部52に表示する内容を操作することができる。
【0092】
ケース49の内部には腕時計48を制御する制御部53と表示部52に信号を駆動する信号駆動部54が設置されている。制御部53は信号駆動部54に表示データと必要なタイミング信号を出力する。尚、当該必要なタイミング信号の中には制御部53から表示部52に直接出力される信号があってもよい。信号駆動部54は表示に必要な信号を表示部52に出力することで、表示部52に表示データに対応する内容を表示させることができる。そして、表示部52には電気泳動表示装置1または電気泳動表示装置33のいずれかが用いられている。従って、腕時計48は隔壁5が倒れ難く組み立てし易い構造の電気泳動表示装置を表示部52に用いた装置とすることができる。
【0093】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、電気泳動分散液15に白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17を設置した。白色荷電粒子16及び黒色荷電粒子17に代えて、赤色、緑色、青色等の荷電粒子を用いてもよい。この構成によれば、赤色、緑色、青色等を表示することでカラー表示を行うことができる。他にも、電気泳動分散液15に1色の荷電粒子のみを用いてもよい。
【0094】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、1つの画素領域6に1つの画素電極14が設置された。1つの画素領域6に複数の画素電極14を設置してもよい。表示を細分化することができる。
【0095】
(変形例3)
前記第1の実施形態では白色荷電粒子16を正極に帯電させて、黒色荷電粒子17を負極に帯電させた。白色荷電粒子16を負極に帯電させて、黒色荷電粒子17を正極に帯電させても良い。制御しやすい帯電状態にしてもよい。
【0096】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、画素領域6の形状が四角形であった。画素領域6の形状は円形、楕円形、多角形、円弧と直線を含む形状でもよい。このとき、隔壁5は樹脂材料から形成されているので隔壁5の形状は画素領域6の形状に容易に合わせることができる。
【0097】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、第1基板2の画素領域6に電気泳動分散液15を設置した後に第1基板2と第2基板3とを接合した。他にも、画素領域6を連通させて第1基板2と第2基板3とを接合した後に画素領域6に電気泳動分散液15を設置しても良い。製造し易い工程順にしても良い。
【0098】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、第1基板2に第1半導体素子7が設置された。第1基板2に第1半導体素子7を設置せずに画素電極14だけが設置された構造にしても良い。そして、直接画素電極14に電圧を印加する駆動回路を設けても良い。第1基板2の構造が簡単になるので、製造しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0099】
1…表示装置としての電気泳動表示装置、2…表示装置用基板としての第1基板、5…隔壁、6…画素領域、7…回路部としての第1半導体素子、10…基板としての第1基材、12…絶縁層、13…保護膜、14…画素電極、15…電気泳動分散液、22…対向電極としての共通電極、23…透明封止部材としての封止層、26,44,53…制御部、38…電子機器としての電子ブック、43,52…表示装置としての表示部、45,54…駆動装置としての信号駆動部、48…電子機器としての腕時計。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21