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特開2023-52798パラジウムを含む導電性インク組成物およびその作製法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052798
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】パラジウムを含む導電性インク組成物およびその作製法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/52 20140101AFI20230404BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20230404BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C09D11/52
H01B1/22 A
B22F9/24 E
B22F9/24 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013181
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2020505894の分割
【原出願日】2018-08-03
(31)【優先権主張番号】62/540,829
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516306371
【氏名又は名称】エレクトロニンクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ブレット ウォーカー
(57)【要約】
【課題】 インク組成物を提供すること
【解決手段】 導電性パラジウム構造を作製するためのインク組成物が、本明細書で開示される。例えば、上記インク組成物は、パラジウム塩、ならびに錯化剤および短鎖カルボン酸またはその塩の錯体を含み得る。いくつかの実施形態において、第2のまたは第3の金属塩は、上記組成物に含まれる。このような導電性インク組成物を作製および使用するための方法がまた、本明細書で開示される。一局面では、上記組成物は、元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩をさらに含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本出願は、米国仮特許出願第62/540,829号(2017年8月3日出願。その開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、一般に、導電性インク組成物およびより詳細には、高度に導電性のコーティングもしくはパターン、ならびに触媒活性な薄いフィルムを形成するために沈着され得る、パラジウムを含むインク組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
商業的に生産される導電性インクの大多数は、微細なスケールの特徴を有する大きな領域を短期間で処理するために、インクジェット、スクリーン印刷、またはロールツーロール加工のために特別にデザインされる。これらのインクは、本質的に異なる粘性および合成パラメーターを有する。粒子ベースのインクは、導電性金属粒子に基づき、その粒子は代表的には、別個に合成され、次いで、インク製剤の中に組み込まれる。その得られたインクは、次いで、その特定の粒子プロセスのために調整される。前駆物質ベースのインクは、加熱の際に導電性金属へと還元される熱不安定な前駆物質錯体に基づく。以前の粒子ベースのおよび前駆物質ベースの方法は概して、導電性コーティングを形成するために高温に依拠し、従って、完全性を維持するために低い処理温度を要求する基材とは適合性でないこともある。例えば、カルバメートまたは他の比較的低分子量(ポリマー安定化剤と比較して)の配位子との銀化合物が合成されてきたが、これは、150℃に近い温度で分解し、バルク銀のものに近い導電率を生じる。不運なことに、これらの温度ですら、そのインクを、可撓性の電気的、生物医学および他のタイプのデバイスにおいて使用される多くのプラスチックおよび紙の基材とは不適合にする。
【0004】
前駆物質ベースの銀インクは、既存の印刷媒体とより適合性であるより低い温度で得られている。例えば、米国特許第9,469,773号は、錯化剤および短鎖カルボン酸を使用して、約120℃またはこれより低い温度で銀塩を金属形態へと還元することを開示する。
【0005】
銀は、高価な金属である。より安価な代替物が、より望ましい。銀塩を還元するために必要とされる温度より低い温度で元素状形態へと還元され得る金属塩に基づくインクを有することは望ましい。さらに、銀インク組成物は、2~3日間にわたって室温で貯蔵される場合、銀メッキを形成するかまたは銀粒子を沈殿させる傾向にある。
既存の導電性インク組成物(例えば、銀ベースのインク)のものより低い転換温度において高品質の導電性金属インクを作り出すためのより良好な組成物および方法は、当該分野で必要なものである。室温において安定しかつ貯蔵され得るインク組成物がまた、必要なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,469,773号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
パラジウムを含む導電性構造を形成するための改善されたインク組成物およびその導電性構造を作製する方法が、本明細書で記載される。
【0008】
一局面において、導電性パラジウム構造を作製するためのインク組成物が本明細書で開示され、上記インク組成物は、パラジウム塩;ならびに錯化剤(complexing agent)および短鎖カルボン酸またはその塩を含む錯体(complex)を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記さらなる金属塩は銀塩である。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩の原子百分率は、上記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記短鎖カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、および酪酸からなる群より選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記短鎖カルボン酸はギ酸である。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記錯化剤は、アルキルアミンおよびアンモニアからなる群より選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記アルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、およびメトキシエチルアミンからなる群より選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、複数の錯化剤、例えば、複数のアルキルアミン錯化剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩は、パラジウム(I)塩、パラジウム(II)塩、またはパラジウム(III)塩である。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩は、ギ酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、炭酸パラジウム(II)、フッ化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、亜硝酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、リン酸パラジウム(II)、および酸化パラジウム(II)からなる群より選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、メチレンジアミンまたはエチレンジアミンをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、元素状パラジウムをさらに含み、ここで上記元素状パラジウムは、上記パラジウム塩のうちの一部の還元によって形成される。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記インク組成物は、低剪断条件下で約1mPa・s~
約10mPa・sの間の粘性を有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩は、酢酸パラジウム(II)であり、ここで上記錯化剤は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、メトキシエチルアミン、およびアンモニアからなる群より選択され、上記短鎖カルボン酸は、ギ酸である。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、エチレンジアミンをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒をさらに含む。
【0026】
別の局面において、パラジウムを含む導電性構造を作製するためのインク組成物が本明細書で開示される。上記インク組成物は、パラジウム塩を含む金属塩組成物;上記パラジウム塩を溶解するための錯化剤であって、上記錯化剤は、上記パラジウム塩のための還元剤ではない錯化剤;および上記錯化剤と錯化しかつ上記パラジウム塩を還元するための酸;を含み、ここで上記錯化剤および上記酸の各々は、約120℃またはこれより低い沸点を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記金属塩組成物は、元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩をさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記さらなる金属塩は、銀塩である。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩の原子百分率は、上記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、約120℃またはこれより低い沸点を有する溶媒をさらに含む。
【0031】
なお別の局面において、パラジウムを含む導電性構造を作製する方法が本明細書で開示される。上記方法は、パラジウム塩を含む金属塩組成物および錯化剤を合わせる工程;短鎖カルボン酸または上記短鎖カルボン酸の塩を、上記合わせた金属塩組成物および錯化剤に添加して、インク組成物を形成する工程;必要に応じて、上記錯化剤を上記インク組成物から部分的にエバポレートして、濃縮した製剤を形成する工程;および上記金属塩組成物を還元して、パラジウムを含む導電性構造を形成する工程を包含し、ここで上記濃縮した製剤および上記パラジウムを含む導電性構造は、約120℃またはこれより低い温度で形成される。
【0032】
いくつかの実施形態において、さらなる金属塩は、上記金属塩組成物に含まれ、その金属塩は、元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記さらなる金属塩は、銀塩である。
【0034】
いくつかの実施形態において、上記パラジウム塩の原子百分率は、上記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記温度は、約90℃またはこれより低い。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記短鎖カルボン酸または上記短鎖カルボン酸の塩は、
上記パラジウム塩が上記錯化剤に溶解した後まで添加されない。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記インク組成物を基材上に沈着させる工程をさらに包含する。
【0038】
いくつかの実施形態において、上記インク組成物は、スプレー加工(spray processing)、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、およびe-ジェット印刷(e-jet printing)からなる群より選択される方法によって、上記基材上に沈着される。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記濃縮した製剤を基材上に沈着させる工程をさらに包含する。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記濃縮した製剤は、スクリーン印刷、ロールツーロール加工、および直接インク書き込み(direct ink writing)からなる群より選択される方法によって上記基材上に沈着される。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記導電性構造は、約2×10-5Ω・cmまたはこれより低い抵抗率を含む。
【0042】
当業者は、適用可能である場合、本明細書で開示される任意の実施形態が、任意の局面において適用され得ることを理解する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の詳細な説明
以下の特徴のうちの1またはこれより多くを有する前駆物質ベースのパラジウム導電性インク組成物が、本明細書で開示される。第1に、そのインク合成手順は、単純かつ高収量であり得る。第2に、そのインクは、広い範囲のパターン形成技術(直接インク書き込み、インクジェット印刷、およびエアブラシスプレーが挙げられる)と適合性であるように、低い粘性を有し得る。第3に、そのインクによって形成されるパターン形成された特徴は、室温において高度に導電性であり得、温和な温度(例えば、<100℃)での焼きなましの際にバルク導電性を達成し得る。最後に、そのインクは、粒子沈殿なしで数カ月間にわたって室温で安定なままであり得る。
【0044】
銀は、エレクトロニクスにおいて一般に使用されている。しばしばそれは、半田付けまたは他の特性(例えば、酸化または他の過酷な環境に対する耐性)のために、より多くの希少元素(例えば、パラジウム)との合金として使用される。しかし、今日まで、パラジウム塩またはパラジウム塩を含む混合金属塩は、導電性インクを形成するための前駆物質として使用されてこなかった。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「導電性インク組成物」、「導電性インク」、「インク組成物」、「インク」、またはこれらのバリエーションは、交換可能に使用され得る。いくつかの実施形態において、パラジウムインク中の唯一の導電性材料は、パラジウムである。いくつかの実施形態において、複数の導電性材料が、パラジウムインクの中に含まれる;例えば、パラジウムは、別の金属(例えば、銀)に基づく導電性インク中の安定化添加剤として使用され得る。いくつかの実施形態において、パラジウムは、主要な導電性材料として使用され、1またはこれより多くのさらなる導電性材料が、所望の特徴のために添加され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、そのインクは、室温で高度に導電性の特徴(>10
/cm)を印刷するために作製される。いくつかの実施形態において、そのインクは、安定で、粒子がなく、かつ広い範囲のパターン形成技術に適切であり得る。例えば、パラジウムベースのインク組成物は、目に見える沈殿を形成することなく、6ヶ月超にわたって室温で貯蔵され得る。いくつかの実施形態において、その組成物は、さらに長く、9ヶ月間まで、12ヶ月間まで、または12ヶ月超にわたって、貯蔵され得る。その導電性インク組成物は、高度に透明であり得、高度に可撓性の超微細ノズル(例えば、100nm直径)を通じて直接インク書き込みを経て印刷され得る。90℃での焼きなましの際に、このようなインクから調製された印刷電極は、バルクパラジウムに等しい導電率を示し得る。
【0047】
一局面において、パラジウム塩、錯化剤(例えば、アルキルアミンまたはアンモニア)および短鎖カルボン酸を含む導電性インク組成物が、本明細書で開示される。その錯化剤は、弱塩基として作用し、その短鎖カルボン酸は、還元剤および弱酸として作用する。
【0048】
パラジウム塩は、前駆物質材料としてそのインク中で使用され、それは最終的に、その導電性パラジウムコーティング、ライン、またはパターンにおいてパラジウム金属を生じる。種々の酸化状態の任意の適切なパラジウム前駆物質が使用され得る(Pd(I)、Pd(II)、Pd(III)、またはPd(IV)が挙げられ得る)。いくつかの実施形態において、Pd(II)の塩が使用され得る。いくつかの実施形態において、Pd(I)、Pd(III)、またはPd(IV)の塩が使用され得る。いくつかの実施形態において、そのパラジウム塩は、配位子を含む。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、その配位子の共役酸が、その導電性インクの処理の間に、温和な条件下で除去され得るように、最大で120℃の沸点を有する。いくつかの実施形態において、そのパラジウム塩は、酢酸パラジウム、ギ酸パラジウム、炭酸パラジウム、フッ化パラジウム、硝酸パラジウム、亜硝酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、リン酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、硫酸パラジウム、または酸化パラジウムであり得る。いくつかの実施形態において、そのパラジウム塩は、酢酸パラジウムである。その酢酸イオン配位子の共役酸は、酢酸であり、これは、約117~118℃の沸点を有する。いくつかの実施形態において、そのパラジウム塩は、ギ酸パラジウムである。そのギ酸イオン配位子の共役酸は、ギ酸であり、これは、約100~101℃の沸点を有する。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、180℃までの沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、以下までの沸点を有し得る:150℃もしくはこれより低い、140℃もしくはこれより低い、130℃もしくはこれより低い、120℃もしくはこれより低い、110℃もしくはこれより低い、100℃もしくはこれより低い、90℃もしくはこれより低い、80℃もしくはこれより低い、70℃もしくはこれより低い、または60℃もしくはこれより低い。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約60~120℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約80~100℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約70~90℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約100~120℃の沸点を有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、その短鎖カルボン酸の塩は、その短鎖カルボン酸の代わりに、またはその短鎖カルボン酸に加えて、使用され得る。例えば、その短鎖カルボン酸の塩は、その短鎖カルボン酸のアンモニウム塩であり得る。その導電性インクは、高度に導電性のパラジウムコーティオング、ライン、およびパターンの製作のための前駆物質として働く。その非パラジウム構成要素の低沸点に起因して、その導電性インクは、低温で処理され得、複数の処理技術(例えば、インクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷、スクリーン印刷、ロールツーロール印刷、直接インク書き込み、電気流体力学的ジェット(e-ジェット)印刷、ディップコーティング、スピンコーティング、およびスプレー加
工(例えば、エアブラシによる))との適合性のために操作され得る。理論によって拘束されることは望まないが、そのインクの調製は、その錯化剤とその短鎖カルボン酸との間で形成される酸-塩基錯体を、そしてその錯化剤、その短鎖カルボン酸、および必要に応じた溶媒の各々が、低沸点を、理想的には、最大で120℃という沸点を有するという事実を利用する。このような温度では、その前駆物質金属化合物は、金属元素へと変換され、その副生成物および溶媒は、十分にエバポレートされ得る。
【0050】
よって、導電性パラジウム構造を作製するためのインク組成物がいくつかの実施形態において提供され、そのインク組成物は、パラジウム塩、ならびに錯化剤および短鎖カルボン酸またはその塩を含む錯体を含む。異なる方法でいえば、本開示は、導電性パラジウム構造を作製するためのインク組成物を提供し、そのインク組成物は、パラジウム塩;ならびに(a)錯化剤および短鎖カルボン酸または(b)錯化剤および短鎖カルボン酸の塩、の錯体を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、その溶媒は、180℃までの沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、以下までの沸点を有し得る:150℃もしくはこれより低い、140℃もしくはこれより低い、130℃もしくはこれより低い、120℃もしくはこれより低い、110℃もしくはこれより低い、100℃もしくはこれより低い、90℃もしくはこれより低い、80℃もしくはこれより低い、70℃もしくはこれより低い、または60℃もしくはこれより低い。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約60~120℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約80~100℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約70~90℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約100~120℃の沸点を有し得る。
【0052】
一局面において、パラジウム塩、少なくとも1種のさらなる塩、錯化剤(例えば、アルキルアミンまたはアンモニア)および短鎖カルボン酸を含む導電性インク組成物が、本明細書で開示される。その錯化剤は、弱塩基として作用し、その短鎖カルボン酸は、還元剤および弱酸として作用する。
【0053】
いくつかの実施形態において、その少なくとも1種のさらなる塩は、第2の金属を含む。例えば、その第2の金属の塩(例えば、銀塩)は、合金ベースの導電性インク組成物を得るために混合され得る。例示的な第2の金属としては、銀が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの実施形態において、その第2の金属の塩は、元素状形態に還元される場合、元素状パラジウムとの合金を形成し得る。
【0055】
例えば、その第2の金属塩は、酢酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、フッ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトネート、硫酸塩、または酸化物であり得る。いくつかの実施形態において、その第2の金属塩は、酢酸銀である。酢酸イオン配位子の共役酸は酢酸であり、これは、約117~118℃の沸点を有する。いくつかの実施形態において、その第2の金属塩は、ギ酸パラジウムである。ギ酸イオン配位子の共役酸はギ酸であり、これは、約100~101℃の沸点を有する。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、180℃までの沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、以下までの沸点を有し得る:150℃もしくはこれより低い、140℃もしくはこれより低い、130℃もしくはこれより低い、120℃もしくはこれより低い、110℃もしくはこれより低い、100℃もしくはこれより低い、90℃もしくはこれより低い、80℃もしくはこれより低い、70℃もしくはこれより低い、または60℃もしくはこれより低い。いくつかの実施形態にお
いて、その配位子の共役酸は、約60~120℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約80~100℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約70~90℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その配位子の共役酸は、約100~120℃の沸点を有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、その導電性インク組成物は、第3の金属塩を含み得る。
【0057】
驚くべきことに、パラジウムを含む導電性インク組成物は、極めて安定である。例えば、アンモニアの溶液およびPd(II)塩溶液(例えば、4:1モル比での)は、化学量論的に過剰なホルメートとともに、かつ目に見える沈殿も溶液の変化もなしに、室温で、周囲光の中で数カ月間にわたって安定であり得る。銀の類似の溶液の場合には、2日間または3日間で、銀メッキし始めるかまたは銀粒子を沈殿させ始める。
【0058】
インク安定性におけるこの予測外の改善は、純粋パラジウムベースのインクにおいてまたはパラジウム塩を含む混合金属塩を有するインク組成物において観察され得る。本明細書で開示されるように、増強された安定性は、インク組成物(例えば、インク溶液)中のパラジウム塩の原子百分率が、1またはこれより多くのさらなる金属塩(例えば、銀塩)の原子百分率より大きい場合に観察され得る。例えば、溶液中のパラジウムイオンの、銀イオンに対して3%超の原子百分率が一旦達成されると、溶液安定性の顕著な増大が起こる。
【0059】
本明細書で開示されるように、導電性「パラジウムインク」とは、パラジウム塩を含むが、これに限定されないインク組成物をいう。例えば、概してパラジウム塩に言及する溶媒および錯化剤に関する説明が、提供される場合、それは決してそのインク組成物を、パラジウム塩を唯一の金属源として含む組成物のみに限定するべきではない。
【0060】
一実施形態において、その錯化剤は、アルキルアミンである。導電性インクを形成するために、パラジウム塩、またはその混合金属塩組成物は、そのアルキルアミン中に溶解される。アルキルアミンは、少なくとも1個のC1-8アルキル基によって置換されたアミノ基であり、ここでアルキル基とは、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C1-8は、1~8個の炭素原子を意味する)、直線状、環式、もしくは分枝状またはこれらの組み合わせであり得る炭化水素基をいう。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルなどが挙げられる。アルキルアミンは、一級アミン、二級アミンまたは三級アミン、好ましくは、一級アミンであり得る。一部の場合、そのアルキル基における炭素原子のうちの1個またはこれより多くが、ヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、または窒素)で置換され得る。
【0061】
そのアルキルアミン(これは弱塩基である)は、パラジウム塩のための安定化剤および溶媒として作用する。そのアルキルアミンは、パラジウム塩またはその混合金属塩組成物のための還元剤として作用することは意図されない(すなわち、それは、パラジウム塩またはさらなる金属塩を認識できる程度に還元しない)。パラジウム塩またはさらなる金属塩を安定化させる任意の適切なアルキルアミンが、使用され得る。好ましくは、そのアルキルアミンは、約120℃またはこれより低い沸点を有する。約120℃またはこれより低い沸点を有するアルキルアミンの例としては、C15Nの異性体、C13Nの異性体、C11Nの異性体、CNの異性体、CNの異性体、およびCHNの異性体が挙げられるが、これらに限定されない。取り扱いにおける便宜上、そのアルキルアミンが約40℃またはこれより高い沸点を有することは、望ましいことであり得る。約40℃~120℃の間の沸点を有するアルキルアミンの例としては、プロピルアミン、n-ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、s-ブチルアミン、ジエチル
アミン、トリエチルアミン、イソブチルアミン、イソペンチルアミン、1-メチルブチルアミン、1-アミノ-2-メチルブタン、およびN-メチルジエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。代わりに、またはさらに、そのアルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、アニリン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、アミルアミン、s-ブチルアミン、イソブチルアミン、イソペンチルアミン、1-メチルブチルアミン、1-アミノ-2-メチルブタン、N-メチルジエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、またはジペンチルアミンであり得る。エーテル連結を含むアルキルアミン、例えば、メトキシエチルアミンなどはまた、本発明の組成物における使用に適していると考えられる。好ましくは、そのアミンは、プロピルアミン、n-ブチルアミン、またはアミルアミン;より好ましくは、プロピルアミンまたはn-ブチルアミンである。
【0062】
いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、およびメトキシエチルアミンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、およびアミルアミンからなる群より選択される。
【0063】
そのアルキルアミンは、特定の適用のためにその沸点に基づいて選択され得る。沈着方法(例えば、インクジェット印刷またはe-ジェット)に関しては、より大きな安定性が概して好ましく、従って、より高い沸点を有するアルキルアミン(例えば、アミルアミン(これは、約104℃の沸点を有する))を使用することは、好ましいことであり得る。いくつかの局面において、アルキルアミンに加えて短鎖ジアミン(例えば、メチレンジアミンまたはエチレンジアミン)を添加して、さらにより高い安定性を提供することは、望ましいことであり得る。しかし、エチレンジアミンが単独で使用される場合、その得られるパラジウム含有生成物の導電率は、所望されるほど高くないこともある。従って、アルキルアミンおよびエチレンジアミンの組み合わせ(例えば、銀ベースのインクを調製するために所定の比のアミルアミンとエチレンジアミン)を使用することは、有利であり得る。アルキルアミン 対 エチレンジアミンの比は、容積:容積ベースで、約4:1~約1:4の範囲に入り得、そして好ましくは、約1:1である。別の短鎖ジアミン(例えば、メチレンジアミンのような)は、エチレンジアミンの代わりに、またはエチレンジアミンに加えて、使用され得る。
【0064】
その導電性インクを形成するために、短鎖カルボン酸がアルキルアミンと錯体を形成するように、十分なアルキルアミンが添加され得る。理論によって拘束されることは望まないが、その錯体は、その短鎖カルボン酸とそのアルキルアミンとの間の酸塩基反応を介して形成されると考えられる。簡潔には、四級アンモニウム反応生成物が、その短鎖カルボン酸およびそのアルキルアミンの反応によって形成される。好ましくは、短鎖カルボン酸と比べて過剰なアルキルアミンは、その短鎖カルボン酸が錯体化され、それによって還元剤として作用するために利用できないことを担保するために使用される。アルキルアミン
対 短鎖カルボン酸のモル比は、少なくとも約1:1、好ましくは少なくとも約2:1、より好ましくは少なくとも約4:1である。操作性の容易さのために、十分なアミンを添加して、パラジウム塩または任意のさらなる金属塩を溶解することは、望ましいことであり得る。必要とされるアルキルアミンの量は、アルキルアミンをパラジウム塩および任意のさらなる金属塩にゆっくりと添加すること、ならびにそのパラジウム塩および任意のさらなる金属塩の溶解をモニターすることによって決定され得る。いくつかの局面において、約2mLのアルキルアミンは、約1gのパラジウム塩または任意のさらなる金属塩を溶解するために使用され得る。溶媒または他の構成要素(例えば、より高分子量のアルキルアミンまたはジアミン)を添加して溶解を補助することを含む、そのパラジウム塩および任意のさらなる金属塩の溶解を補助する当業者に公知の他の方法がまた、企図される。
【0065】
いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、180℃までの沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、以下までの沸点を有し得る:150℃もしくはこれより低い、140℃もしくはこれより低い、130℃もしくはこれより低い、120℃もしくはこれより低い、110℃もしくはこれより低い、100℃もしくはこれより低い、90℃もしくはこれより低い、80℃もしくはこれより低い、70℃もしくはこれより低い、または60℃またはこれより低い。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、約60~120℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、約80~100℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、約70~90℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、そのアルキルアミンは、約100~120℃の沸点を有し得る。
【0066】
いくつかの局面において、そのアルキルアミンおよびパラジウム塩(および任意のさらなる金属塩)の混合物に溶媒を添加することは、望ましいことであり得る。その溶媒は、好ましくは、最大で120℃の沸点を有する。適切な溶媒の例としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、および2-プロパノールが挙げられる)、エステル、ケトン、およびエーテルが挙げられる。好ましくはその溶媒は、水、エタノール、ブタノール、またはプロピレングリコールである。いくつかの局面において、その溶媒は、2種またはこれより多くの共溶媒を含み得る。例えば、その溶媒は、水および別の共溶媒(例えば、ブタノールまたはプロピレングリコール)を含み得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約60~120℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約80~100℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約70~90℃の沸点を有し得る。いくつかの実施形態において、その溶媒は、約100~120℃の沸点を有し得る。
【0067】
別の実施形態において、その錯化剤は、水酸化アンモニウム(例えば、アンモニアまたは水性アンモニア)である。その導電性インクを形成するために、パラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)は、その水酸化アンモニウムに溶解される。その水酸化アンモニウム(これは弱塩基である)は、パラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)のための安定化剤および溶媒として作用する。その水酸化アンモニウムは、そのパラジウムインク組成物のための還元剤として作用することは意図されない(すなわち、それは、パラジウム塩または適用可能である場合には、任意のさらなる塩を認識できる程度に還元しない)。
【0068】
その導電性インクを形成するために、短鎖カルボン酸が水酸化アンモニウムと錯体を形成するように、十分な水酸化アンモニウムが添加され得る。理論に拘束されることは望まないが、その錯体は、その短鎖カルボン酸とその水酸化アンモニウムとの間の酸塩基反応を介して形成されると考えられる。短鎖カルボン酸と比べて過剰な水酸化アンモニウムは、その短鎖カルボン酸が錯体化され、それによって、還元剤として作用するために利用可能でないように使用され得る。溶液中の過剰なアンモニアは、ギ酸と優先的に錯体化するように作用し、ギ酸アンモニウムのインサイチュ合成を生じる。水酸化アンモニウム 対
短鎖カルボン酸のモル比は、少なくとも約1:1、好ましくは少なくとも約2:1、より好ましくは少なくとも約4:1であり得る。操作性の容易さのために、十分な水酸化アンモニウムを添加して、パラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)を溶解することは、望ましいことであり得る。必要とされる水酸化アンモニウムの量は、水酸化アンモニウムをパラジウム塩にゆっくりと添加すること、およびそのパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)の溶解をモニターすることによって決定され得る。いくつかの局面において、約2.5mLの水酸化アンモニウムは、約1gのパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)を溶解するために使用され得る。パラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩
)の溶解を補助する当業者に公知の他の方法がまた、企図される。
【0069】
いくつかの局面において、水酸化アンモニウムおよびパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)の混合物に溶媒を添加することは、望ましいことであり得る。その溶媒は、好ましくは、最大で120℃の沸点を有する。適切な溶媒の例としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、および2-プロパノールが挙げられる)、エステル、ケトン、およびエーテルが挙げられる。好ましくはその溶媒は、水またはエタノールである。
【0070】
本明細書で記載される実施形態のうちのいずれかにおいて、好ましくは、錯化剤中にパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)を溶解した後に、短鎖カルボン酸は、インク製剤を形成するために添加される。その短鎖カルボン酸は、そのパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)のための還元剤として機能する。代わりに、またはさらに、その短鎖カルボン酸の塩(例えば、アンモニウム塩)は、そのインク製剤を形成するために添加され得る。その短鎖カルボン酸の塩は、概してその短鎖カルボン酸に言及して本明細書で記載されるように、そのパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)のための還元剤として機能し得る。理論に拘束されることは望まないが、短鎖カルボン酸を錯化剤の存在下で添加することによって、酸塩基錯体がその短鎖カルボン酸とその錯化剤との間で形成され、それによって、その短鎖カルボン酸が、そのパラジウム塩(および適用可能である場合には、任意のさらなる塩)を直ぐに還元することを妨げると考えられる。そのインク製剤が濃縮されかつその錯化剤がエバポレーションを含む適切な条件によって除去されるにつれて、その短鎖カルボン酸は遊離され、その短鎖カルボン酸による元素状パラジウム(酸化状態ゼロのパラジウム)へのパラジウム塩の還元が起こり得る。1種またはこれより多くのさらなる金属塩が存在する場合(例えば、銀塩)、そのさらなる金属塩は、それらの対応する元素状金属形態へも還元される。
【0071】
好ましくは、金属粒子形成は、エバポレーションが続くときに、パターン形成後にのみ起こる。高度に導電性のパラジウム構造は、還元後に、低い処理温度であっても残る。なぜなら非パラジウム構成成分の低沸点が、その非パラジウム構成成分の、制御されかつ完全またはほぼ完全な除去を可能にするからである。酢酸パラジウムは、その酢酸イオン配位子の共役酸である酢酸の揮発性に起因して、パラジウム塩として有利には選択される。いくつかの実施形態において、ギ酸パラジウムがまた、使用され得る。さらに、酢酸パラジウムは、非可燃性または非爆発性と一般に考えられる、通常は安定な化合物である。酢酸パラジウムの使用は、安定な非爆発性のパラジウム前駆物質インクの作製を可能にし得る。
【0072】
短鎖カルボン酸は、7個の炭素またはこれより少ない鎖長を有し得、代表的には、5個の炭素またはこれより少ない鎖長を有する。短鎖カルボン酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、およびペンタン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、その短鎖カルボン酸は、2個の炭素またはこれより少ない鎖長を有する。より好ましくはその短鎖カルボン酸は、ギ酸である。ギ酸は、その低沸点および揮発性の副生成物に起因して、特に有利であることが見出されている。ギ酸は、アルデヒド官能性を含み、これは、その還元能力を増強する。パラジウム塩は元素状パラジウムに還元されるにつれて、ギ酸は、次に、カルボン酸へと酸化され、これは次に、二酸化炭素および水を形成し、これらはともに揮発性の副生成物である。よって、アルデヒド官能性を含む短鎖カルボン酸は、好ましい短鎖カルボン酸である。さらに、ギ酸を使用すると、二酸化炭素および水の形成が生じ、残留還元剤を残さない。
【0073】
その短鎖カルボン酸は、パラジウム塩(または適用可能である場合には、任意のさらな
る金属塩)のための還元剤であるが、その短鎖カルボン酸を混合物に添加する際に起こるその錯化剤との錯体化に起因して、その酸は、パラジウム塩を還元することから実質的に妨げられる。一般に、そのパラジウム塩の還元は、その錯化剤がインク製剤から部分的にまたは完全にエバポレートされるまで起こらない。その錯化剤は、所望の基材上にそのインク製剤を沈着させた後にエバポレートされ得る。その時点で、その酸は、そのパラジウム塩を還元して、その基材上に、導電性パラジウムコーティングまたは他のパラジウム構造を形成する。あるいは、その錯化剤は、そのインクの粘性を増大させ、そして印刷技術(例えば、直接インク書き込み)における使用のための濃縮した製剤を形成するために、さらなる処理工程の間にそのインクから部分的にエバポレートされ得る。この場合に、沈着させる前に、そのパラジウム塩の部分的還元が起こり、その結果、そのインクは、その部分的還元の間に形成された導電性パラジウム粒子(例えば、ナノ結晶)とともに、反応していないパラジウム塩の混合物を含む複合構造を有する。このような複合インクの粘性は、そのインクが三次元構造の製作の間に隙間に拡がらなければならない直接インク書き込みのような印刷技術に合わせて調整され得る。その錯化剤のエバポレーションは、代表的には、約150℃未満の高温で、約50℃~100℃の間で、約80℃~140℃の間で、約80℃~120℃の間で、約80℃~100℃の間で、約90℃~110℃の間で、約70℃~100℃の間で、または約60℃~90℃の間で起こる。そのエバポレーションは、その錯化剤の揮発性およびそのエバポレーションが実施される温度に依存して、数分または数時間の期間にわたって起こり得る。その錯化剤はまた、より長い期間にわたって室温でエバポレートされ得る。いくつかの局面において、そのエバポレーションは、減圧下で行われ得る。銀塩がさらなる金属塩として存在する実施形態において、UV光はまた、UV光が銀塩を還元し得ることから、熱の代わりにその反応を加速させるために使用され得る。
【0074】
本明細書で記載される方法および適用に対する他の適切な改変および適合が、本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなく行われ得ることは、関連分野の当業者に容易に明らかである。今や本発明は詳細に記載されているが、以下の実施例を参照することによって、本発明はより明確に理解される。実施例は、例証目的でのみここで含められ、本発明の限定であるとは意図されない。
【実施例0075】
以下の非限定的な例は、本明細書で開示される発明の実施形態をさらに例証するために提供される。以下に続く実施例の中で開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが見出されたアプローチを表し、従って、その実施のための態様の例を構成すると考えられ得ることは、当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、多くの変更が開示される具体的実施形態の中で行われ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同様のもしくは類似の結果をなお得ることができることを認識するべきである。
【0076】
実施例1.パラジウム-銀インク組成物
反応性銀インク化学に類似のパラジウム前駆物質ベースのインクを、二価のPd2+イオンに対して4:1のアンモニア、一級アミン、または二級アミン比を使用して合成し得る。さらに、Agについての3:1比に対して、2:1比のPd2+ 対 ホルメート比が要求されるに過ぎない。なぜならPd2+は、Agより、ホルメートの分解に関して遙かに効率的な触媒であるからである。この錯体は、上述の窒素含有化学物質のうちのいずれかでのパラジウムの完全な溶解およびキレート化の際に顕著に透明または半透明であり、Agでの対応する溶液と比較して著しく安定である。
【0077】
一級アミン錯体(すなわち、イソアミルアミン)および短鎖カルボン酸(すなわち、ギ酸)を使用するPd2+酢酸塩の還元を図示する例示的な化学反応は、スキームIに提供
される:
【化1】
【0078】
理論によって拘束されることは意図しないが、本発明のパラジウムインク組成物の著しい安定性は、Agと比較して、Pd2+の感光性の欠如から生じると考えられる。例えば、4:1のアンモニア:Pd2+の溶液は、化学量論的に過剰なホルメートとともに、目に見える沈殿または溶液変化なしに、室温で周囲光の中で数カ月間にわたって貯蔵され得る。銀の類似の溶液の場合、2~3日間のうちに銀メッキし始めるかまたは銀粒子を沈殿し始める。
【0079】
化学的な還元の機構は、銀およびパラジウムの両方に関して同じであることから、銀およびパラジウムの合金は、多くの適用における使用のために、必要に応じて作り出され得る。溶液中のパラジウムイオンの、銀イオンに対して3%超の原子百分率がいったん達成されると、溶液安定性の顕著な増大が起こる。類似の溶液は、純銀の2~3日間に対して、金属複合材を沈殿し始めるのに室温で2~3週間かかる。
【0080】
その溶液の分解温度はまた、溶液中のホルメート種の酸化に向かうパラジウムのより大きな触媒活性に起因して、60℃へと下がり得る。
【0081】
実施例2.代替のパラジウムインク組成物
代替のパラジウムインク組成物が、以下のように提供される:1グラムの酢酸Pd(II)を、水と、3:1モル比のメトキシエチルアミンおよびアミルアミンとの1:1比の溶液と混合することによってキレート化する。この溶液に、モル比0.8:1のギ酸アンモニウム 対 Pd(II)塩を添加する。次いで、この半透明の溶液を、120℃へと10分間加熱することによって、金属パラジウム痕跡へと分解し得、金属の反射する導電性フィルムを生じ得る。
【0082】
上記の種々の方法および技術は、本発明を実施するために多くの方法を提供する。当然のことながら、記載される全ての目的または利点が、本明細書で記載される任意の特定の実施形態に従って必ずしも達成され得るわけではないことは、理解されるべきである。従って、例えば、当業者は、その方法が、本明細書で教示または示唆され得るとおりの他の目的または利点を必ず達成するわけではなくても、本明細書で教示されるとおりの1つの利点または利点の群を達成または最適化する様式で行われ得ることを認識する。種々の有利なおよび不利な代替手段は、本明細書で言及される。いくつかの好ましい実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を具体的に含み、その一方で、他のものが、1つの、別の、またはいくつかの不利な特徴を具体的に排除し、その一方でなお他のものが、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴の包含によって、現在の不利な特徴を具体的に軽減し得ることは、理解されるべきである。
【0083】
さらに、当業者は、異なる実施形態から種々の特徴の適用可能性を認識する。同様に、上記で考察される種々の要素、特徴および工程、ならびに各々のこのような要素、特徴または工程の他の公知の均等物は、本明細書で記載される原理に従う方法を実施するために
、当業者によって混合および適合され得る。その種々の要素、特徴および工程の中で、多様な実施形態において、あるものは具体的に含められ、他のものは具体的に排除される。
【0084】
本発明は、ある種の実施形態および例の状況で開示されてきたが、本発明の実施形態が、その具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替の実施形態ならびに/またはその使用および改変および均等物へと拡がることは、当業者によって理解される。
【0085】
多くのバリエーションおよび代替の要素が、本発明の実施形態において開示されている。なおさらなるバリエーションおよび代替の要素は、当業者に明らかである。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明のある種の実施形態を記載し、特許請求するために使用される成分、特性(例えば、分子量、反応条件など)の量を表す数字は、場合によっては、用語「約(about)」によって修飾されていると理解されるべきである。よって、いくつかの実施形態において、書面による説明および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、特定の実施形態によって得ようと努められる所望の特性に依存して変動し得る近似値である。いくつかの実施形態において、その数値パラメーターは、報告された有効数字の数に鑑みて、および通常の丸め技術を適用することによって、解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは概算値であるにも関わらず、その具体例において示される数値は、可能な限り正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態に示される数値は、それらそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるある種のエラーを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、用語「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」および「この、その、上記(the)」および本発明の特定の実施形態を記載する状況において使用される類似の参照(特に、以下の請求項のある種のものの状況において)は、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈され得る。本明細書中の値の範囲の記載は、その範囲内に入る各別個の値に個々に言及する簡便法として役立つことが意図されるに過ぎない。本明細書で別段示されなければ、各個々の値は、本明細書で個々に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別段示されなければ、またはさもなければ状況が明らかに矛盾しなければ、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書のある種の実施形態に関して提供される任意のおよび全ての例、または例示的な文言(例えば、「のような、例えば(such as)」)の使用は、本発明をよりよく例証することが意図されるに過ぎず、別途特許請求される発明の範囲に対する限定を引き起こさない。本明細書中の文言は、発明の実施に必須の任意の特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0088】
本明細書で開示される発明の代替の要素または実施形態の分類は、限定として解釈されるべきではない。各群のメンバーは、個々に、またはその群の他のメンバーもしくは本明細書で見出される他の要素との任意の組み合わせにおいて言及され、特許請求され得る。群の1またはこれより多くのメンバーは、便宜上および/または特許性の理由から、群の中に含められ得るか、または群から削除され得る。任意のこのような包含または削除が起こる場合、本明細書は、改変され、従って、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュグループの書面による記載を満たすとしてその群を含むとこれにおいて見做される。
【0089】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書で記載されている。それら好ましい実施形態に対するバリエーションは、前述の説明を読めば、当業者に明らかになる。当業者は、適切である場合にこのようなバリエーションを使用し得、そして本発明は、本明細書で具体的に記載されるもの以外の他の方法で実施され得ることが企図される。よって、本発明の多くの実施形態は、適用可能な法律によって許容されるように、本明細書に添付される請求
項に記載される主題の全ての改変および均等物を含む。さらに、全ての考えられるそのバリエーションにおける上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段示されなければ、またはさもなければ状況が明らかに矛盾しなければ、本発明によって包含される。
【0090】
さらに、本明細書全体を通じて特許および印刷された刊行物に対して多くの言及が行われてきた。上記で引用した参考文献および印刷された刊行物の各々は、それらの全体において本明細書に参考として個々に援用される。
【0091】
締めくくるに当たって、本明細書で開示される発明の実施形態は、本発明の原理の例証であることは、理解されるべきである。使用され得る他の改変は、本発明の範囲内にあり得る。従って、例示によるが限定ではなく、本発明の代替の構成は、本明細書中の教示に従って利用され得る。よって、本発明の実施形態は、示されかつ記載されるとおりの正確なものに限定されない。
【0092】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
導電性パラジウム構造を作製するためのインク組成物であって、前記インク組成物は、
パラジウム塩;ならびに
錯化剤および短鎖カルボン酸またはその塩を含む錯体、
を含む、インク組成物。
(項2)
元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩、
をさらに含む、上記項1に記載のインク組成物。
(項3)
前記さらなる金属塩は銀塩である、上記項2に記載のインク組成物。
(項4)
前記パラジウム塩の原子百分率は、前記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い、上記項3に記載のインク組成物。
(項5)
前記短鎖カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、および酪酸からなる群より選択される、上記項1に記載のインク組成物。
(項6)
前記短鎖カルボン酸はギ酸である、上記項5に記載のインク組成物。
(項7)
前記錯化剤は、アルキルアミンおよびアンモニアからなる群より選択される、上記項1に記載のインク組成物。
(項8)
前記アルキルアミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、およびメトキシエチルアミンからなる群より選択される、上記項7に記載のインク組成物。
(項9)
前記組成物は、複数の錯化剤を含む、上記項1に記載のインク組成物。
(項10)
前記複数の錯化剤は、複数のアルキルアミン錯化剤である、上記項9に記載のインク組成物。
(項11)
前記パラジウム塩は、パラジウム(I)塩、パラジウム(II)塩、またはパラジウム(III)塩である、上記項1に記載のインク組成物。
(項12)
前記パラジウム塩は、ギ酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、炭酸パラジウム(II)、フッ化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、亜硝酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、リン酸パラジウム(II)、および酸化パラジウム(II)からなる群より選択される、上記項1に記載のインク組成物。
(項13)
メチレンジアミンまたはエチレンジアミンをさらに含む、上記項1に記載のインク組成物。
(項14)
エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒をさらに含む、上記項1に記載のインク組成物。
(項15)
元素状パラジウムをさらに含み、ここで前記元素状パラジウムは、前記パラジウム塩のうちの一部の還元によって形成される、上記項1に記載のインク組成物。
(項16)
前記インク組成物は、低剪断条件下で約1mPa・s~約10 mPa・sの間の粘性を有する、上記項15に記載のインク組成物。
(項17)
前記パラジウム塩は、酢酸パラジウム(II)であり、
前記錯化剤は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、メトキシエチルアミン、およびアンモニアからなる群より選択され、そして
前記短鎖カルボン酸は、ギ酸である、
上記項1に記載のインク組成物。
(項18)
エチレンジアミンをさらに含む、上記項17に記載のインク組成物。
(項19)
エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される溶媒をさらに含む、上記項17に記載のインク組成物。
(項20)
パラジウムを含む導電性構造を作製するためのインク組成物であって、前記インク組成物は、
パラジウム塩を含む金属塩組成物;
前記パラジウム塩を溶解するための錯化剤であって、前記錯化剤は、前記パラジウム塩のための還元剤ではない、錯化剤;および
前記錯化剤と錯化しかつ前記パラジウム塩を還元するための酸;
を含み、ここで前記錯化剤および前記酸の各々は、約120℃またはこれより低い沸点を有する、インク組成物。
(項21)
前記金属塩組成物は、
元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩、
をさらに含む、上記項20に記載のインク組成物。
(項22)
前記さらなる金属塩は銀塩である、上記項21に記載のインク組成物。
(項23)
前記パラジウム塩の原子百分率は、前記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い、上記項22に記載のインク組成物。
(項24)
約120℃またはこれより低い沸点を有する溶媒をさらに含む、上記項20に記載のインク組成物。
(項25)
パラジウムを含む導電性構造を作製する方法であって、前記方法は、
パラジウム塩を含む金属塩組成物および錯化剤を合わせる工程;
短鎖カルボン酸またはその塩を、合わせた前記金属塩組成物および錯化剤に添加して、インク組成物を形成する工程;
必要に応じて、前記錯化剤を前記インク組成物から部分的にエバポレートして、濃縮した製剤を形成する工程;ならびに
前記金属塩組成物を還元して、パラジウムを含む導電性構造を形成する工程、
を包含し、ここで前記濃縮した製剤および前記パラジウムを含む導電性構造は、約120℃またはこれより低い温度で形成される、方法。
(項26)
前記金属塩組成物は、
元素状形態に還元される場合、パラジウムとの合金を形成し得るさらなる金属塩、
をさらに含む、上記項25に記載の方法。
(項27)
前記さらなる金属塩は銀塩である、上記項26に記載の方法。
(項28)
前記パラジウム塩の原子百分率は、前記銀塩の原子百分率よりも3%以上高い、上記項27に記載の方法。
(項29)
前記温度は、約90℃またはこれより低い、上記項25に記載の方法。
(項30)
前記短鎖カルボン酸または前記短鎖カルボン酸の塩は、前記パラジウム塩が前記錯化剤に溶解した後まで添加されない、上記項25に記載の方法。
(項31)
前記インク組成物を基材上に沈着させる工程をさらに包含する、上記項25に記載の方法。
(項32)
前記インク組成物は、スプレー加工、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、およびe-ジェット印刷からなる群より選択される方法によって前記基材上に沈着される、上記項31に記載の方法。
(項33)
前記濃縮した製剤を基材上に沈着させる工程をさらに包含する、上記項25に記載の方法。
(項34)
前記濃縮した製剤は、スクリーン印刷、ロールツーロール加工、および直接インク書き込みからなる群より選択される方法によって前記基材上に沈着される、上記項33に記載の方法。
(項35)
前記導電性構造は、約2×10 -5 Ω・cmまたはこれより低い抵抗率を含む、上記項25に記載の方法。


【外国語明細書】