(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052848
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】インサイチュー生成マイクロ流体分離構造、そのキット、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20230404BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230404BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230404BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
C12M1/26
C12Q1/02
G01N37/00 101
G01N35/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023014512
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2021193586の分割
【原出願日】2016-11-22
(31)【優先権主張番号】62/258,957
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/423,627
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514304762
【氏名又は名称】バークレー ライツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビューモント,クリスティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ナン-リンダ
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,ヴォルカー エル.エス.
(72)【発明者】
【氏名】ライオンバーガー,トロイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ランドール,ディー.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】マレオ,ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド,アンドルー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ネビル,ジェイ.タナー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオフア
(57)【要約】
【課題】生物科学及び関連分野では、マイクロ流体デバイスのフロー領域をリアルタイムで再構成する能力を有することが有用であり得る。
【解決手段】
固化ポリマー網目構造を組み込んだインサイチュー生成マイクロ流体分離構造、その準備及び使用の方法、組成物、及びキットが記載される。ペン及びバリアを含む様々な分離構造をリアルタイムで導入可能であることは、マイクロ流体デバイスにおける改善された微小物体操作の方法を提供する。インサイチュー生成分離構造は、永久的又は一時的に設置され得る。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体デバイスであって、エンクロージャを含み、前記エンクロージャは、基板と、前記エンクロージャ内に配置されるフロー領域と、前記基板に配置される少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造とを含み、前記少なくとも1つのインサイチュー生成構造は、固化ポリマー網目構造を含む、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの隔離ペンを更に含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み、前記接続領域は、前記フロー領域への基端開口部と、前記分離領域への先端開口部とを有する、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記フロー領域は、マイクロ流体チャネルを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
複数の隔離ペンを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記インサイチュー生成分離構造は、複数の微小物体の1つ又は複数を保持するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造は、前記フロー領域に配置される複数のインサイチュー生成分離モジュールを含み、前記複数の前記インサイチュー生成分離モジュールは、前記少なくとも1つの分離構造に入る、前記少なくとも1つの分離構造から出る、及び/又は前記少なくとも1つの分離構造を通る微小物体の通過をサイズに応じて実質的に制限するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記複数の各インサイチュー生成分離モジュールは、5ミクロン以上の直径を有する微小物体が前記少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、前記少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は前記少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通ることを実質的に阻止されるように、前記複数のうちの他のインサイチュー生成分離モジュールから離間される、請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
複数のインサイチュー生成分離構造を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
マイクロ流体デバイスであって、エンクロージャを含み、前記エンクロージャは、
マイクロ流体チャネルを含むフロー領域と、
隔離ペンであって、前記マイクロ流体チャネルにおいて開く、隔離ペンと、
基板に配置されるインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造であって、前記インサイチュー生成バリアは、固化ポリマー網目構造を含む、インサイチュー生成分離構造と
を含む、マイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含む、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
前記固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
前記インサイチュー生成バリアは、前記マイクロ流体チャネル及び/又は前記隔離ペンを少なくとも部分的に遮断する、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
前記インサイチュー生成バリアは、前記隔離ペンの接続領域内に配置される、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
前記インサイチュー生成バリアの部分は、前記接続領域から前記マイクロ流体チャネル内に延びる、請求項16に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項18】
前記インサイチュー生成バリアは、前記マイクロ流体チャネルに配置される、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項19】
前記インサイチュー生成バリアは、前記隔離ペンの基端開口部の一縁部に隣接して配置される、請求項18に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項20】
複数の隔離ペンを更に含み、前記複数の隔離ペンは、行を形成し、前記インサイチュー生成バリアは、前記隔離ペンの前記行の端部に配置される隔離ペンの基端開口部の先端縁部に隣接して配置される、請求項18に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項21】
前記インサイチュー生成バリアは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが前記マイクロ流体チャネル内で前記バリアを超えて移動することを阻止し、前記複数の微小物体は、1ミクロン~20ミクロンの範囲の直径を有する、請求項18~20のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項22】
行に配置される第1の複数の隔離ペンであって、前記第1の複数の各隔離ペンは、前記マイクロ流体チャネルの第1の側において開く、第1の複数の隔離ペンと、
行に配置される第2の複数の隔離ペンであって、前記第2の複数の各隔離ペンは、前記マイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開く、第2の複数の隔離ペンと
を更に含み、
前記インサイチュー生成バリアは、前記マイクロ流体チャネルの長さに沿って配置され、前記第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、前記第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとに前記マイクロ流体チャネルを分割し、前記インサイチュー生成バリアは、細胞が前記第1のサブチャネルから前記第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、請求項12~14のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項23】
前記インサイチュー生成バリアは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含む、請求項22に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項24】
前記インサイチュー生成バリアは、流体媒体の流れに対して透過性である、請求項22に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項25】
前記マイクロ流体チャネルの前記第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され、及び前記マイクロ流体チャネルの前記第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成される、請求項22に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項26】
前記インサイチュー生成バリアは、1ミクロンを超える直径を有する微小物体が前記マイクロ流体チャネルの前記第1の側から前記マイクロ流体の前記第2の側に又はその逆に移動することを阻止する、請求項22に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項27】
前記固化ポリマー網目構造は、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項28】
合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを含む、請求項27に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項29】
前記固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項30】
前記固化ポリマー網目構造は、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項31】
前記固化ポリマー網目構造は、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変化、温度変化、又は光学照明による分解を受けやすい、請求項29に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項32】
前記固化ポリマー網目構造は、増大した流体フローによる変位を受けやすい、請求項29に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項33】
前記エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項34】
前記基板は、前記エンクロージャ内に誘電泳動(DEP)力を生成するように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項35】
前記DEP力は、光学的に作動される、請求項34に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項36】
マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法であって、
複数の微小物体を含む第1の流体媒体を前記マイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、前記エンクロージャは、基板及びフロー領域を含む、ステップと、
流動性ポリマーを含む溶液を前記エンクロージャに導入するステップと、
前記フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアにおいて、前記流動性ポリマーの固化を活性化し、それによりインサイチュー生成分離構造を形成するステップと、
前記インサイチュー生成分離構造を用いて、前記複数の微小物体の少なくとも1つを分離するステップと
を含む、方法。
【請求項37】
前記流動性ポリマーの固化を開始する前記ステップは、前記フロー領域の前記少なくとも1つの選択されたエリアを光学的に照明することを含み、更に、前記流動性ポリマーを固化する前記ステップは、前記流動性ポリマーのポリマーを重合化してポリマー網目構造を形成することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記流動性ポリマーを導入する前記ステップは、光活性化可能な重合化開始剤を導入することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の微小物体の残りを処理することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記マイクロ流体デバイスから前記複数の微小物体の残りを搬出することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記フロー領域を通る流体媒体のフローを増大させるか、加水分解剤を前記フロー領域に導入するか、タンパク質分解剤を前記フロー領域に導入するか、前記フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体を前記フロー領域に導入するか、前記インサイチュー生成分離構造の温度を変更するか、又は前記分離構造を光学的に照明することにより、前記分離構造を縮小又は除去するステップと、
それにより、前記少なくとも1つの微小物体を前記インサイチュー生成分離構造から解放するステップと
を更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの解放された微小物体を前記マイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記インサイチュー生成分離構造は、流体媒体のフローに対して少なくとも部分的に透過性である、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、インサイチュー生成分離構造であって、前記インサイチュー生成分離構造に入る、前記インサイチュー生成分離構造から出る、又は前記インサイチュー生成分離構造を通る前記少なくとも1つの微小物体の通過を阻止するように構成されるインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記インサイチュー生成分離構造に入る、前記インサイチュー生成分離構造から出る、又は前記インサイチュー生成分離構造を通る前記複数の微小物体のサブセットの通過を阻止するように構成される複数のインサイチュー生成バリアを形成することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記フロー領域を通る流体媒体の流れを増大させるか、加水分解剤を前記フロー領域に導入するか、タンパク質分解剤を前記フロー領域に導入するか、前記フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体を前記フロー領域に導入するか、前記インサイチュー生成バリアの温度を変更するか、又は前記インサイチュー生成バリアを光学的に照明することにより、前記複数のインサイチュー生成バリアの1つ又は複数を縮小又は除去するステップと、
それにより、前記少なくとも1つの微小物体の1つ又は複数のサブセットを前記インサイチュー生成分離構造から解放するステップと
を更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記マイクロ流体デバイスから、前記少なくとも1つの解放された微小物体の前記1つ又は複数のサブセットを搬出するステップを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記マイクロ流体デバイスの前記エンクロージャは、分離領域及び接続領域を含む少なくとも1つの隔離ペンを更に含み、前記接続領域は、前記フロー領域への基端開口部と、前記分離領域への先端開口部とを有する、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
前記エンクロージャは、複数の隔離ペンを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記フロー領域は、マイクロ流体チャネルを含み、及び前記複数の隔離ペンのそれぞれの前記基端開口部は、前記マイクロ流体チャネルの1つの側において開く、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
固化を活性化する前記ステップは、隔離ペンの内部で実行される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記接続領域にインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を生成する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記インサイチュー生成バリアによって分離されない前記複数の微小物体の残りを前記マイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記フロー領域を通る流体媒体の流れを増大させるか、加水分解剤を前記フロー領域に導入するか、タンパク質分解剤を前記フロー領域に導入するか、前記フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体を前記フロー領域に導入するか、前記インサイチュー生成バリアの温度を変更するか、又は前記インサイチュー生成バリアを光学的に照明することにより、前記インサイチュー生成バリアを縮小又は除去し、それにより前記少なくとも1つの微小物体を前記インサイチュー生成分離構造から解放するステップを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1つの微小物体を前記マイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記マイクロ流体チャネルにインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成する、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記インサイチュー生成バリアを前記複数の隔離ペンの少なくとも1つの隔離ペンの基端開口部に配置する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、少なくとも2つの連続した隔離ペンの前記基端開口部を遮断するサイズのインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記インサイチュー生成バリアによって分離されない前記複数の微小物体の残りを前記マイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、請求項36~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の微小物体を導入する前記ステップは、誘電泳動(DEP)力を使用することを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項63】
前記DEP力を光学的に作動させることを更に含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
マイクロ流体デバイス内でクローン集団の細胞をアッセイする方法であって、
複数の細胞を含む第1の流体媒体を前記マイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、前記エンクロージャは、
基板、
流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域、
各隔離ペンが前記マイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及び
各隔離ペンが前記マイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペン
を含む、ステップと、
前記第1の流体媒体及び前記複数の細胞を前記マイクロ流体デバイスの前記マイクロ流体チャネルに流入させるステップと、
前記第1の複数の隔離ペンの前記隔離ペンのそれぞれに細胞のクローン集団を導入するステップと、
前記第1の複数の隔離ペン内の細胞のクローン集団ごとに、前記第2の複数の隔離ペンのそれぞれの隔離ペンに少なくとも1つの細胞を移動させるステップと、
流動性ポリマーを前記マイクロ流体チャネルに導入するステップと、
前記マイクロ流体チャネルの長さに沿って前記流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより前記第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、前記第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとに前記マイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを形成するステップであって、前記インサイチュー生成バリアは、細胞が前記第1のサブチャネルから前記第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、ステップと、
第2の流体媒体を前記第2のサブチャネルに流入させるステップであって、前記第2の流体媒体は、前記第2の複数の隔離ペンにおける前記細胞をアッセイするための試剤を含む、ステップと、
前記第2の複数の各隔離ペンにおける前記細胞をアッセイするステップと
を含む、方法。
【請求項65】
前記クローン集団を導入する前記ステップは、単一の細胞を前記第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入することを含み、且つ前記単一の細胞を細胞のクローン集団に増殖させることを更に含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のサブチャネルにおける流体媒体及び前記第2のサブチャネルにおける流体媒体を前記マイクロ流体デバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流入させることを更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記アッセイするステップは、遺伝子型判定のために前記第2の複数の隔離ペンにおける前記細胞を準備することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記アッセイするステップは、前記第2の複数の各隔離ペンにおける前記細胞及び/又は前記第1の複数の各隔離ペンにおける前記クローン集団による生物由来物質の生成レベルを特定することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記アッセイのための試薬は、化学試薬、生物学的試薬、フィーダ細胞、刺激細胞、レポーター細胞、レポーター分子、及びビーズを含む群の1つ又は複数を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記アッセイするステップは、前記第2の複数の隔離ペンにおける前記細胞の少なくとも1つの細胞を識別することを更に含み、前記少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記第2の複数の隔離ペンにおける前記細胞の少なくとも1つの細胞を搬出するステップを更に含み、前記少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記第1の複数の隔離ペンの前記それぞれのペンから前記それぞれのクローン集団を搬出するステップを更に含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
選択された特性を含まない、前記第2の複数の隔離ペンにおける前記細胞及び/又は前記第1の複数の隔離ペンにおける細胞のクローン集団を搬出するステップを更に含む、請求項64に記載の方法。
【請求項74】
前記ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記基板の選択されたエリアを光学的に照明し、それにより前記ポリマーを重合化することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項75】
前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、光活性化可能な重合化開始剤を導入することを更に含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記マイクロ流体チャネルの長さに沿って前記流動性ポリマーの固化を活性化する前記ステップは、前記マイクロ流体チャネルの第1の端部から前記マイクロ流体チャネルの第2の端部に延びるバリアのギャップにおいて前記流動性ポリマーの固化を活性化することを含み、前記バリアは、前記マイクロ流体チャネルを前記第1のサブチャネル及び前記第2のサブチャネルに分け、前記ギャップは、前記第1の複数の隔離ペンの各ペンの基端開口部及び前記第2の複数の隔離ペンの前記それぞれのペンの基端開口部と位置合わせされ、それにより細胞が前記第1のサブチャネルから前記第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止するインサイチュー生成バリアを形成する、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項77】
合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項79】
微小物体の前記クローン集団を導入する前記ステップ又は前記1つの細胞を移動させる前記ステップは、誘電泳動(DEP)力を使用して実行される、請求項64~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記DEP力を光学的に作動させることを更に含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項82】
請求項1に記載のマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含むキットであって、前記ポリマーは、重合化及び/又は熱誘導ゲル化が可能である、キット。
【請求項83】
光活性化可能な重合化開始剤を更に含む、請求項82に記載のキット。
【請求項84】
前記流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、請求項82に記載のキット。
【請求項85】
前記修飾合成ポリマーは、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、請求項84に記載のキット。
【請求項86】
前記流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項82に記載のキット。
【請求項89】
前記マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの内面を共有結合的に修飾するように構成される試剤を更に含む、請求項82~88のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
生物科学及び関連分野では、マイクロ流体デバイスのフロー領域をリアルタイムで再構成する能力を有することが有用であり得る。本発明の幾つかの実施形態は、マイクロ流体分離構造のインサイチュー生成のための装置及びプロセスを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の概要
一態様では、マイクロ流体デバイスが提供され、本マイクロ流体デバイスは、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板と、エンクロージャ内に配置されるフロー領域と、基板に配置される少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造とを含み、少なくとも1つのインサイチュー生成構造は、固化ポリマー網目構造を含む。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ケイ素を含まない。固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含み得る。少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造の全て又は少なくとも一部は、固化ポリマー網目構造からなり得る。
【0003】
別の態様では、マイクロ流体デバイスが提供され、本マイクロ流体デバイスは、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板と、マイクロ流体チャネルと、少なくとも1つの隔離ペンと、インサイチュー生成バリアとを有する。隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、マイクロ流体チャネルへの基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネル及び/又は隔離ペンの少なくとも部分的な遮断を提供するように配置され得る。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、固化ポリマー網目構造を含み得る。固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含み得る。
【0004】
更に別の実施形態では、マイクロ流体デバイスが提供され、本マイクロ流体デバイスは、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板と、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域と、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペンと、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンとを有する。マイクロ流体チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され得、及びマイクロ流体チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成され得る。様々な実施形態では、エンクロージャは、バリアを更に含み得る。バリアは、マイクロ流体チャネルを第1のサブチャネルと第2のサブチャネルとに分割するように構成され得、第1のサブチャネルは、第1の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成され、及び第2のサブチャネルは、第2の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される。バリアは、インサイチュー生成バリアを含み得るか、それからなり得るか、又はそれから基本的になり得る。したがって、特定の実施形態では、バリアは、インサイチュー生成バリアである部分を含み得る。様々な実施形態では、バリアは、少なくとも1つのギャップによって中断され得る。ギャップは、第1の複数のペンの最初のペンの基端開口部と、第2の複数のペンの対応する最初のペンの基端開口部との間に位置合わせされ得る。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止し得る。
【0005】
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法が提供され、本方法は、複数の微小物体を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、エンクロージャは、基板及びフロー領域を含む、ステップと、流動性ポリマーを含む溶液をエンクロージャに導入するステップと、フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアにおいて、流動性ポリマーの固化を活性化し、それによりインサイチュー生成分離構造を形成するステップと、インサイチュー生成分離構造を用いて、複数の微小物体の少なくとも1つを分離するステップとを含む。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を開始するステップは、フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアを光学的に照明することを含み得る。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化は、流動性ポリマーのポリマーを重合化してポリマー網目構造にすることを含み得る。流動性ポリマーを導入するステップは、光活性化可能な重合化開始剤を導入することを更に含み得る。
【0006】
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法が提供され、本方法は、基板、マイクロ流体チャネルを含むフロー領域、及び複数の隔離ペンを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、複数の微小物体を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのマイクロ流体チャネルに導入するステップと、複数の微小物体の微小物体を複数の隔離ペンの少なくとも一部に配置し、それにより少なくとも1つの微小物体をそれぞれ含む複数の移入済み隔離ペンを形成するステップと、第2の流体媒体をマイクロ流体チャネルに導入するステップであって、第2の流体媒体は、流動性ポリマーを含む、ステップと、複数の移入済み隔離ペンの少なくとも1つを選択するステップと、少なくとも1つの選択された隔離ペン内の又はそれに隣接する少なくとも第1の選択されたポイントにおいて、流動性ポリマーの重合化を開始するステップであって、流動性ポリマーの重合化ポリマーは、少なくとも1つの微小物体が少なくとも1つの選択された隔離ペンを出ることを阻止する少なくとも部分的なインサイチュー生成バリアを生成する、ステップとを含む。複数の隔離ペンのそれぞれは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、マイクロ流体チャネルへの基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。特定の実施形態では、隔離ペン内の又はそれに隣接する選択されたポイントにおいて流動性ポリマーの重合化を開始することは、隔離ペンの接続領域又は分離領域内で重合化を開始すること、及び/又は接続領域の基端開口部の縁部において若しくはそれに隣接して重合化を開始することを含む。
【0007】
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を集中させる方法が提供され得、本方法は、基板及び流体媒体を含むように構成されるフロー領域を有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、フロー領域の第1のセクタにインサイチュー生成分離構造を導入するステップであって、インサイチュー生成分離構造は、インサイチュー生成分離構造を通して流体媒体を流し、一方、流体媒体中の少なくとも1つの微小物体がインサイチュー生成分離構造に入る、インサイチュー生成分離構造から出る、及び/又はインサイチュー生成分離構造を通ることを阻止するように構成される、ステップと、流体媒体の第1の容量での第1の複数の微小物体をフロー領域の第1のセクタに導入するステップと、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットをフロー領域の第1のセクタに集中させるステップとを含む。様々な実施形態では、流体媒体の第1の容量は、フロー領域の第1のセクタの容量よりも大きい容量であり得る。
【0008】
別の態様では、マイクロ流体デバイス内でクローン集団の細胞をアッセイする方法が提供され、本方法は、複数の細胞を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、エンクロージャは、基板、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及び各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを含む、ステップと、第1の流体媒体及び複数の細胞をマイクロ流体デバイスのマイクロ流体チャネルに流入させるステップと、第1の複数の隔離ペンの隔離ペンのそれぞれに細胞のクローン集団を導入するステップと、第1の複数の隔離ペン内の細胞のクローン集団ごとに、第2の複数の隔離ペンのそれぞれの隔離ペンに少なくとも1つの細胞を移動させるステップと、流動性ポリマーをマイクロ流体チャネルに導入するステップと、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを形成するステップであって、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、ステップと、第2の流体媒体を第2のサブチャネルに流入させるステップであって、第2の流体媒体は、第2の複数の隔離ペンにおける細胞をアッセイするための試剤を含む、ステップと、第2の複数の各隔離ペンにおける細胞をアッセイするステップとを含む。クローン集団を導入するステップは、単一の細胞を第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入することを含み得、且つその単一の細胞を細胞のクローン集団に増殖させることを更に含み得る。
【0009】
別の態様では、マイクロ流体デバイス内の微小物体を分離するキットが提供され、本キットは、基板及びエンクロージャ内に配置されるフロー領域を有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含み、ポリマーは、重合化及び/又は熱誘導ゲル化が可能であり得る。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーは、光開始によって重合化するように構成され得る。幾つかの実施形態では、キットは、光活性化可能な重合化開始剤を更に含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの隔離ペンを更に含み得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。
【0010】
別の態様では、クローン集団の細胞をアッセイするキットが提供され、本キットは、基板、エンクロージャ内に配置されるチャネルを含むフロー領域、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含み、ポリマーは、重合化及び/又は熱誘導ゲル化が可能である。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルの第1の側をマイクロ流体チャネルの第2の側から分離するバリアを更に含み得る。幾つかの実施形態では、バリアは、第1の複数のペンの最初のペンのマイクロ流体チャネルへの基端開口部と、第2の複数のペンの最初のペンのマイクロ流体チャネルへの基端開口部との間で位置合わせされた少なくとも1つのギャップによって中断される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイス及び関連する制御機器と併用されるシステムの例を示す。
【
図1B】本発明の幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスを示す。
【
図1C】本発明の幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスを示す。
【
図2A】本発明の幾つかの実施形態による隔離ペンを示す。
【
図2B】本発明の幾つかの実施形態による隔離ペンを示す。
【
図2C】本発明の幾つかの実施形態による詳細な隔離ペンを示す。
【
図2D】本発明の幾つかの他の実施形態による隔離ペンを示す。
【
図2E】本発明の幾つかの他の実施形態による隔離ペンを示す。
【
図2F】本発明の幾つかの他の実施形態による隔離ペンを示す。
【
図2G】本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスを示す。
【
図2H】本発明の実施形態によるマイクロ流体デバイスの被覆面を示す。
【
図3A】本発明の幾つかの実施形態による、マイクロ流体デバイスと併用されるシステム及び関連する制御機器の具体例を示す。
【
図3B】本発明の幾つかの実施形態による撮像デバイスを示す。
【
図4】インサイチュー生成分離構造の一実施形態の写真表現である。
【
図5A】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態の写真表現である。
【
図5B】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態の写真表現である。
【
図6】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図7】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図8A】分離ペンの基端開口部に配置されたマイクロ流体(又はナノ流体)チャネルにおけるインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図8B】分離ペンの基端開口部に配置されたマイクロ流体(又はナノ流体)チャネルにおけるインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図9A】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図9B】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図9C】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図9D】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図10A】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図10B】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図10C】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図11A】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図11B】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図12A】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図12B】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図13A】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのフロー領域におけるマイクロ流体チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図13B】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのフロー領域におけるマイクロ流体チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図13C】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのフロー領域におけるマイクロ流体チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図14A】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図14B】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図15】マイクロ流体(又はナノ流体)チャネル内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図16】分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図17】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の別の実施形態のグラフ表現である。
【
図18】インサイチュー生成分離構造を使用する高速プロトタイプされたマイクロ流体(又はナノ流体)エンクロージャの写真表現である。
【
図19A】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の他の実施形態のグラフ表現である。
【
図19B】マイクロ流体(又はナノ流体)フロー領域内のインサイチュー生成分離構造の他の実施形態のグラフ表現である。
【
図20A】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスの分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の他の実施形態のグラフ表現である。
【
図20B】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスの分離ペン内のインサイチュー生成分離構造の他の実施形態のグラフ表現である。
【
図21A】本発明の実施形態による、マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのインサイチュー生成分離構造の写真表現である。
【
図21B】本発明の実施形態による、マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのインサイチュー生成分離構造の写真表現である。
【
図21C】本発明の実施形態による、マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのインサイチュー生成分離構造の写真表現である。
【
図22】マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスの隔離ペン内のインサイチュー生成分離構造の実施形態の写真表現である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な記述
本明細書は、本発明の例示的な実施形態及び適用を記載する。しかし、本発明は、これらの例示的な実施形態及び適用又は例示的な実施形態及び適用が動作する様式又は本明細書で記載される様式に限定されない。更に、図は簡易図又は部分図を示し得、図中の要素の寸法は、明確にするために、誇張又は他の方法で一定の縮尺ではないことがある。更に、「上」、「付着される」、又は「結合される」という用語が本明細書で使用される場合、ある要素(例えば、材料、層、基板等)は、直接他の要素上にあるか、付着されるか、若しくは結合されるか、それともある要素と他の要素との間に1つ又は複数の介在要素があるかに関係なく、他の要素「上」にあり、それに「付着され」、又はそれに「結合される」ことができる。また、方向(例えば、上方、下方、頂部、底部、横、アップ、ダウン、下、上、上部、下部、水平、垂直、「x」、「y」、「z」等)は、提供される場合、相対的なものであり、限定としてではなく単なる例として、且つ説明及び考察を容易にするためにのみ提供される。更に、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、それ自体により列挙される要素の任意の1つ、列挙された要素の全て未満の任意の組合せ、及び/又は列挙された要素の全ての組合せを含むことが意図される。
【0013】
本明細書でのセクション分割は、検討を容易にするためのみのものであり、考察される要素のいかなる組合せも限定しない。
【0014】
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図される目的で十分に機能することを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者により予期されるが、全体性能にそれほど影響しない等の絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果等からの小さくわずかな変動を可能にする。数値又は数値として表現することができるパラメータ若しくは特徴に関して使用される場合、「実質的に」は、10%以内を意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「1つ(one)」という用語は2つ以上を意味する。本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれを上回ることができる。
【0016】
本明細書で使用される場合、μmはマイクロメートルを意味し、μm3は立方マイクロメートルを意味し、pLはピコリットルを意味し、nLはナノリットルを意味し、μL(又はuL)はマイクロリットルを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、可視光が透過する際、可視光を実質的に変更せずに透過させる材料を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「配置される」という用語は、その意味内に「位置する」を含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ナノ流体デバイス」又は「ナノ流体装置」は、約1マイクロリットル未満、例えば、約750nL未満、約500nL未満、約250nL未満、約200nL未満、約150nL未満、約100nL未満、約75nL未満、約50nL未満、約25nL未満、約20nL未満、約15nL未満、約10nL未満、約9nL未満、約8nL未満、約7nL未満、約6nL未満、約5nL未満、約4nL未満、約3nL未満、約2nL未満、約1nL未満、又はそれ未満の容量の流体を保持するように構成された、限定ではなく、領域、流路、チャネル、チャンバ、及び/又はペンを含む少なくとも1つ回路要素を含むマイクロ流体回路を有するタイプのマイクロ流体デバイスである。ナノ流体デバイスは、複数の回路要素(例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、50個、75個、100個、150個、200個、250個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、1500個、2000個、2500個、3000個、3500個、4000個、4500個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10,000個、又はこれを超える)を含み得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ又は複数(例えば、全て)は、約20nL~200nL、約100pL~1nL、約100pL~2nL、約100pL~5nL、約250pL~2nL、約250pL~5nL、約250pL~10nL、約500pL~5nL、約500pL~10nL、約500pL~15nL、約750pL~10nL、約750pL~15nL、約750pL~20nL、約1nL~10nL、約1nL~15nL、約1nL~20nL、約1nL~25nL、又は約1nL~50nLの容量の流体を保持するように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ又は複数(例えば、全て)は、約100nL~200nL、約100nL~300nL、約100v~400nL、約100nL~500nL、約200nL~300nL、約200nL~400nL、約200nL~500nL、約200nL~600nL、約200nL~700nL、約250nL~400nL、約250nL~500nL、約250nL~600nL、又は約250nL~750nLの容量の流体を保持するように構成される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「流路」は、媒体の流れの軌道を画定し、媒体の流れの軌道を受ける1つ又は複数の流体的に接続された回路要素(例えば、チャネル、領域、及びチャンバ等)を指す。したがって、流路は、マイクロ流体デバイスの掃引領域の例である。他の回路要素(例えば、非掃引領域)は、流路における媒体の流れを受けることなく、流路を含む回路要素と流体的に接続し得る。
【0021】
「マイクロ流体チャネル」又は「フローチャネル」は、本明細書では、水平寸法及び垂直寸法の両方よりもはるかに長い長さを有するマイクロ流体デバイスのフロー領域を指す。例えば、フローチャネルは、水平寸法又は垂直寸法のいずれか一方の長さの少なくとも5倍、例えば、長さの少なくとも10倍、長さの少なくとも25倍、長さの少なくとも100倍、長さの少なくとも200倍、長さの少なくとも500倍、長さの少なくとも1,000倍、長さの少なくとも5,000倍、又はそれを超える長さであり得る。幾つかの実施形態では、フローチャネルの長さは、その間の任意の範囲を含む約10,000ミクロン~約500,000ミクロンの範囲である。幾つかの実施形態では、水平寸法は約100ミクロン~約1000ミクロン(例えば、約150ミクロン~約500ミクロン)の範囲であり、垂直寸法は約25ミクロン~約200ミクロンの範囲、例えば、約40ミクロン~約150ミクロンの範囲である。なお、フローチャネルは、マイクロ流体デバイスにおいて様々な異なる空間構成を有し得、したがって、完全に線形の要素に限定されない。例えば、フローチャネルは、以下の構成を有する1つ又は複数のセクションであり得るか、又はそれを含み得る:曲線、湾曲、螺旋、傾斜、下降、フォーク形(例えば、複数の異なる流路)、及びそれらの任意の組合せ。加えて、フローチャネルは、経路に沿って異なる断面積を有し、広がり及び収縮して所望の流体フローを内部に提供し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「障害物」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイス内の2つの異なる領域又は回路要素間の標的微小物体の移動を部分的に(完全にではなく)妨げるのに十分に大きいバンプ又は同様のタイプの構造物を指す。2つの異なる領域/回路要素は、例えば、マイクロ流体隔離ペンの接続領域及び分離領域であり得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「狭窄」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスでの回路要素(又は2つの回路要素間の界面)の幅の狭まりを指す。狭窄は、例えば、隔離領域と本発明のマイクロ流体隔離ペンの接続領域との間の界面に配置することができる。
【0024】
流体培地を参照して本明細書で使用される場合、「拡散する」及び「拡散」は、濃度勾配の低い方への流体培地の成分の熱力学的運動を指す。
【0025】
「培地のフロー」という語句は、拡散以外の任意の機構に主に起因した流体培地のバルク移動を意味する。例えば、培地のフローは、ある箇所から別の箇所への、箇所間の圧力差に起因した流体培地の移動を含むことができる。そのようなフローは、液体の連続、パルス、周期的、ランダム、断続的、若しくは往復フロー、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。ある流体培地が別の流体培地に流れる場合、培地の乱流又は混合が生じ得る。
【0026】
「実質的にフローがない」という語句は、時間にわたり平均されて、流体培地内への又は流体培地内での材料(例えば、関心のある分析物)の成分の拡散率未満である流体培地の流量を指す。そのような材料の成分の拡散率は、例えば、温度、成分のサイズ、及び成分と流体培地との相互作用の強さに依存し得る。
【0027】
マイクロ流体デバイス内の異なる領域を参照して本明細書で使用される場合、「流体接続される」という語句は、異なる領域が流体培地等の流体で実質的に充填される場合、各領域内の流体が連通して単一の流体を形成することを意味する。これは、異なる領域内の流体(又は流体培地)が必ずしも組成物内で同一であることを意味しない。むしろ、マイクロ流体デバイスの異なる流体接続領域内の流体は、流束内にある異なる組成物(例えば、タンパク質、炭水化物、鉄、又は他の分子等の異なる濃度の溶質)を有することができ、その理由は、溶質が各濃度勾配を下がって移動し、及び/又は流体がデバイスを通って流れるためである。
【0028】
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスは、「掃引」領域及び「非掃引」領域を含むことができる。本明細書で使用される場合、「掃引」領域は、マイクロ流体回路の流体相互接続された1つ又は複数の回路要素で構成され、各回路要素は、流体がマイクロ流体回路を通って流れているとき、培地のフローを経験する。掃引領域の回路要素は、例えば、領域、チャネル、及びチャンバの全て又は部分を含むことができる。本明細書で使用される場合、「非掃引」領域は、マイクロ流体回路の流体的に相互接続された1つ又は複数の回路要素で構成され、各回路要素は、流体がマイクロ流体回路を通って流れているとき、流束を実質的に経験しない。非掃引領域は、流体接続が、拡散を可能にするが、掃引領域と非掃引領域との間で実質的に培地が流れないように構造化される場合、掃引領域に流体接続することができる。したがって、マイクロ流体デバイスは、実質的に掃引領域と非掃引領域との間での拡散連通のみを可能にしながら、非掃引領域を掃引領域での培地のフローから実質的に分離するように構造化することができる。例えば、マイクロ流体デバイスのフローチャネルは掃引領域の例であり、一方、マイクロ流体デバイスの分離領域(更に詳細に後述する)は非掃引領域の例である。
【0029】
そのようなマイクロ流体デバイスにおいて、特定の生物学的材料(例えば、抗体等のタンパク質)を生成する生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の能力をアッセイすることができる。アッセイの特定の実施形態では、対象となる検体の生成についてアッセイされる生物学的微小物体(例えば、細胞)を含む試料材料は、マイクロ流体デバイスの掃引領域に装填することができる。特定の特性について、生物学的微小物体(例えば、ヒト細胞等の哺乳類細胞)の微小物体を選択し、非掃引領域に配置することができる。次に、残りの試料材料を掃引領域から流出させることができ、アッセイ材料を掃引領域に流入させることができる。選択された生物学的微小物体は、非掃引領域にあるため、残りの試料材料の流出又はアッセイ材料の流入による影響を略受けない。選択された生物学的微小物体による対象となる検体の生成を可能にすることができ、検体は非掃引領域から掃引領域中に拡散することができ、掃引領域において、対象となる検体はアッセイ材料と反応して、検出可能な局所反応を生成することができ、各局所反応は特定の非掃引領域に相関付けることができる。選択された反応に関連する任意の非掃引領域を分析して、非掃引領域中の生物学的微小物体のうち、対象となる検体の十分な生産細胞がある場合、それがいずれであるかを特定することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「微小物体」という用語は、一般に、本発明により分離及び/又は操作し得る任意の顕微鏡的物体を指す。微小物体の非限定的な例としては、微粒子;微小ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズ等);磁性ビーズ;微小ロッド;微小ワイヤ;量子ドット等の無生物微小物体、細胞;生物学的細胞小器官;ベシクル又は複合体;合成ベシクル;リポソーム(例えば、合成又は膜標本由来);脂質ナノクラフト(lipid nanocraft)等の生物学的微小物体、又は無生物微小物体と生物学的微小物体との組合せ(例えば、細胞に付着した微小ビーズ、リポソームコーティング微小ビーズ、リポソームコーティング磁性ビーズ等)が挙げられる。ビーズは、蛍光標識、タンパク質、炭水化物、抗原、小分子シグナリング部分、又はアッセイで使用可能な他の化学/生物種等の共有結合又は非共有結合した部分/分子を含み得る。脂質ナノクラフトは、例えば、Ritchieら著、(2009)“Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs”,Methods Enzymol.,464:211-231において説明されている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は「生体細胞」と同義で使用される。生体細胞の非限定的な例としては、真核細胞、植物細胞、哺乳類細胞、爬虫類細胞、鳥類細胞、魚類細胞等の動物細胞、原核細胞、細菌細胞、真菌細胞、原生細胞等、筋肉、軟骨組織、脂肪、皮膚、肝臓、肺、神経組織等の組織から解離された細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ等の免疫細胞、胚(例えば、接合子)、卵母細胞、卵子、精子細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、がん細胞、感染細胞、トランスフェクト細胞及び/又は形質転換細胞、レポーター細胞等が挙げられる。哺乳類細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、霊長類等からの細胞であり得る。
【0032】
生体細胞のコロニーは、生殖可能なコロニー内の生細胞の全てが単一の親細胞由来の娘細胞である場合、「クローン」である。特定の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、10以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、14以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、17以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。他の実施形態では、クローンコロニー内の全ての娘細胞は、20以下の細胞分裂での単一の親細胞からのものである。「クローン細胞」という用語は、同じクローンコロニーの細胞を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、生体細胞の「コロニー」は、2つ以上の細胞(例えば、約2~約20個、約4~約40個、約6~約60個、約8~約80個、約10~約100個、約20~約200個、約40~約400個、約60~約600個、約80~約800個、約100~約1000個、又は約1000個を超える細胞)を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「細胞を維持する」という用語は、細胞を生存した状態に保ち、及び/又は増殖させるのに必要な状況を提供する流体成分及びガス成分の両方並びに任意選択的に表面を含む環境を提供することを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「増殖」という用語は、細胞を指す場合、細胞数の増大を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「処理」という用語は、細胞の処理を指す場合、細胞の培養又は培養の継続、1つ又は複数のアッセイを使用した細胞のアッセイ、及び/又は溶解、融合、形質転換、任意の種類の遺伝子編集(例えば、標的遺伝子編集)、及び/又は遺伝子型判定等であるがこれに限定されない手順への細胞の準備を含み得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「微小物体の分離」という用語は、マイクロ流体デバイス内の画定エリアに微小物体を閉じ込めることを意味する。微小物体は、それでもなお画定リア内(例えば、インサイチュー生成分離構造内)で動くことが可能であり得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「抗体」は、免疫グロブリン(Ig)を指し、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方、霊長類化(例えば、ヒト化)抗体、ネズミ抗体、マウス-ヒト抗体、マウス-霊長類抗体、並びにキメラ抗体を含み、完全な分子、その断片(scFv、Fv、Fd、Fab、Fab’、及びF(ab)’2断片等)、又は完全な分子及び/又は断片の多量体若しくは凝集体であり得、天然に存在するか、又は免疫処置、合成若しくは遺伝子操作等によって製造することができる。本明細書で使用される場合、「抗体断片」は、抗原を結合する、抗体に由来又は抗体に関係する断片を指し、幾つかの実施形態では、例えば、ガラクトース残基の組み入れにより、クリアランス及び取り込みを容易にする構造上の特徴を示すように誘導体化し得る。これには、例えば、F(ab)、F(ab)’2、scFv、軽鎖可変領域(VL)、重鎖可変領域(VH)、及びそれらの組合せが含まれる。
【0039】
流体媒体の「成分」は、溶媒分子、イオン、小分子、抗生物質、ヌクレオチド及びヌクレオシド、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、脂肪酸、コレステロール、代謝産物等を含む、媒体に存在する任意の化学分子又は生物分子である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「捕捉部分」は、微小物体の認識部位を提供する化学種、生物種、機能、又はモチーフである。選択されたクラスの微小物体は、捕捉部分を認識し得、捕捉部分に結合するか、又は捕捉部分への親和性を有し得る。非限定的な例として、抗原、抗体、及び細胞表面結合モチーフが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「流動性ポリマー」は、流体媒体内で溶解可能又は分散可能なポリマーモノマー又はマクロマーである。流動性ポリマーは、マイクロ流体フロー領域に流入し得、内部の流体媒体の他の成分と共に流れ得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「光開始ポリマー」は、光に露出されると共有結合的に架橋し、特定の共有結合を形成し、硬質化化学モチーフの周囲の位置化学を変更し、又は物理的状態を変更させるイオン対を形成し、それによりポリマー網目構造を形成可能なポリマー(又はポリマーの生成に使用することができる単量体分子)を指す。幾つかの場合、光開始ポリマーは、共有結合的に架橋し、特定の共有結合を形成し、硬質化化学モチーフの周囲の位置化学を変更し、又は物理的状態を変更させるイオン対を形成することが可能な1つ又は複数の化学部分に結合するポリマーセグメントを含み得る。幾つかの場合、光開始ポリマーは、ポリマー網目構造の形成を開始する(例えば、ポリマーの重合化を介して)ために、光活性化可能なラジカル開始剤を必要とし得る。
【0043】
マイクロ流体デバイス及びそのようなデバイスを操作し観測するシステム
図1Aは、卵子、及び/又は卵母細胞、及び/又は精子の選択及び評価を含め、インビトロでの胚の生成に使用することができるマイクロ流体デバイス100及びシステム150の例を示す。カバー110を一部切り欠き、マイクロ流体デバイス100内の部分図を提供するマイクロ流体デバイス100の斜視図を示す。マイクロ流体デバイス100は、一般に、流路106を含むマイクロ流体回路120を含み、流路106を通って流体培地180が流れることができ、任意選択的に1つ又は複数の微小物体(図示せず)をマイクロ流体回路120内及び/又はマイクロ流体回路120を通して搬送する。1つのマイクロ流体回路120が
図1Aに示されているが、適するマイクロ流体デバイスは、複数(例えば、2又は3個)のそのようなマイクロ流体回路を含むことができる。それに関係なく、マイクロ流体デバイス100はナノ流体デバイスであるように構成され得る。
図1Aに示されるように、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離ペン124、126、128、及び130を含み得、ここで、各隔離ペンは、流路106に流体接続する1つ又は複数の開口部を有し得る。
図1Aのデバイスの幾つかの実施形態では、隔離ペンは、流路106と流通する1つのみの開口部を有し得る。更に以下で考察するように、マイクロ流体隔離ペンは、培地180が流路106を通って流れているときであっても、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスに微小物体を保持するように最適化された様々な特徴及び構造を含む。しかし、上記を参照する前に、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の概説を提供する。
【0044】
図1Aに概して示されるように、マイクロ流体回路120はエンクロージャ102により画定される。エンクロージャ102は異なる構成で物理的に構造化することができるが、
図1Aに示される例では、エンクロージャ102は、支持構造体104(例えば、基部)、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110を含むものとして示されている。支持構造体104、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110は、互いに取り付けることができる。例えば、マイクロ流体回路構造108は、支持構造体104の内面109に配置することができ、カバー110は、マイクロ流体回路構造108を覆って配置することができる。支持構造体104及びカバー110と一緒に、マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の要素を画定することができる。
【0045】
図1Aに示されるように、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の下部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の上部にあり得る。代替的に、支持構造体104及びカバー110は、他の向きで構成され得る。例えば、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の上部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の下部にあり得る。それに関係なく、それぞれがエンクロージャ102内又は外への通路を含む1つ又は複数のポート107があり得る。通路の例としては、弁、ゲート、貫通孔等が挙げられる。示されるように、ポート107は、マイクロ流体回路構造108のギャップにより作られる貫通孔である。しかし、ポート107は、カバー110等のエンクロージャ102の他の構成要素に配置することができる。1つのみのポート107が
図1Aに示されているが、マイクロ流体回路120は2つ以上のポート107を有することができる。例えば、流体がマイクロ流体回路120に入るための流入口として機能する第1のポート107があり得、流体がマイクロ流体回路120を出るための流出口として機能する第2のポート107があり得る。ポート107が流入口として機能するか、それとも流出口として機能するかは、流体が流路106を通って流れる方向に依存し得る。
【0046】
支持構造体104は、1つ又は複数の電極(図示せず)と、基板又は複数の相互接続された基板を含むことができる。例えば、支持構造体104は、1つ又は複数の半導体基板を含むことができ、各半導体基板は電極に電気的に接続される(例えば、半導体基板の全て又はサブセットは、1つの電極に電気的に接続することができる)。支持構造体104は、プリント回路基板組立体(「PCBA」)を更に含むことができる。例えば、半導体基板はPCBA上に搭載することができる。
【0047】
マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の回路要素を画定することができる。そのような回路要素は、マイクロ流体回路120に流体が充填される場合、流体的に相互接続することができる、フロー領域(1つ又は複数のフローチャネルを含み得る)、チャンバ、ペン、トラップ等の空間又は領域を含むことができる。
図1Aに示されるマイクロ流体回路120では、マイクロ流体回路108は、枠114及びマイクロ流体回路材料116を含む。枠114は、マイクロ流体回路材料116を部分的又は完全に囲むことができる。枠114は、例えば、マイクロ流体回路材料116を実質的に囲む比較的剛性の構造であり得る。例えば、枠114は金属材料を含むことができる。
【0048】
マイクロ流体回路材料116には、キャビティ等をパターニングして、マイクロ流体回路120の回路要素及び相互接続を画定することができる。マイクロ流体回路材料116は、ガス透過可能であり得る可撓性ポリマー(例えば、ゴム、プラスチック、エラストマー、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)等)等の可撓性材料を含むことができる。マイクロ流体回路材料116を構成することができる材料の他の例としては、成形ガラス、シリコーン(フォトパターニング可能シリコーン又は「PPS」)等のエッチング可能材料、フォトレジスト(例えば、SU8)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、そのような材料 - したがって、マイクロ流体回路材料116 - は、剛性及び/又はガスを実質的に不透過であり得る。それに関係なく、マイクロ流体回路材料116は、支持構造体104上及び枠114内部に配置することができる。
【0049】
カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116の一体部分であり得る。代替的に、カバー110は、
図1Aに示されるように、構造的に別個の要素であり得る。カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116と同じ又は異なる材料を含むことができる。同様に、支持構造体104は、示されるように枠114若しくはマイクロ流体回路材料116とは別個の構造であってもよく、又は枠114若しくはマイクロ流体回路材料116の一体部分であってもよい。同様に、枠114及びマイクロ流体回路材料116は、
図1Aに示されるように別個の構造であってもよく、又は同じ構造の一体部分であってもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、カバー110は剛性材料を含むことができる。剛性材料は、ガラス又は同様との特性を有する材料であり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は変形可能材料を含むことができる。変形可能材料は、PDMS等のポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は、剛性材料及び変形可能材料の両方を含むことができる。例えば、カバー110の1つ又は複数の部分(例えば、隔離ペン124、126、128、130上に位置する1つ又は複数の部分)は、カバー110の剛性材料と界面を接する変形可能材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、カバー110は1つ又は複数の電極を更に含むことができる。1つ又は複数の電極は、ガラス又は同様の絶縁材料でコーティングし得る、インジウム-錫-酸化物(ITO)等の導電性酸化物を含むことができる。代替的に、1つ又は複数の電極は、ポリマー(例えば、PDMS)等の変形可能ポリマーに埋め込まれた単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノワイヤ、導電性ナノ粒子のクラスタ、又はそれらの組合せ等の可撓性電極であり得る。マイクロ流体デバイスで使用することができる可撓性電極は、例えば、米国特許出願公開第2012/0325665号(Chiouら)に記載されており、この内容は参照により本明細書に援用される。幾つかの実施形態では、カバー110は、細胞の接着、生存、及び/又は成長を支持するように変更することができる(例えば、マイクロ流体回路120に向かって内側に面する表面の全て又は部分を調整することにより)。変更は、合成ポリマー又は天然ポリマーのコーティングを含み得る。幾つかの実施形態では、カバー110及び/又は支持構造体104は、光を透過することができる。カバー110は、ガス透過可能な少なくとも1つの材料(例えば、PDMS又はPPS)を含むこともできる。
【0051】
図1Aは、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスを動作させ制御するシステム150も示す。システム150は、電源192、撮像デバイス194(撮像モジュール164内に組み込まれ、デバイス194自体は
図1Aに示されていない)、及び傾斜デバイス190(傾斜モジュール166の部分であり、デバイス190は
図1に示されていない)を含む。
【0052】
電源192は、電力をマイクロ流体デバイス100及び/又は傾斜デバイス190に提供し、バイアス電圧又は電流を必要に応じて提供することができる。電源192は、例えば、1つ又は複数の交流(AC)及び/又は直流(DC)電圧源又は電流源を含むことができる。撮像デバイス194(以下で述べられる撮像モジュール164の一部)は、マイクロ流体回路120内部の画像を捕捉する、デジタルカメラ等のデバイスを含むことができる。幾つかの場合、撮像デバイス194は、高速フレームレート及び/又は高感度(例えば、低光用途用)を有する検出器を更に含む。撮像デバイス194は、刺激放射線及び/又は光線をマイクロ流体回路120内に向け、マイクロ流体回路120(又はマイクロ流体回路120内に含まれる微小物体)から反射されるか、又は発せられる放射線及び/又は光線を収集する機構を含むこともできる。発せられる光線は可視スペクトル内であり得、例えば、蛍光放射を含み得る。反射光線は、LED又は水銀灯(例えば、高圧水銀灯)若しくはキセノンアーク灯等の広域スペクトル灯から発せられた反射放射を含み得る。
図3Bに関して考察するように、撮像デバイス194は顕微鏡(又は光学縦列)を更に含み得、これは接眼レンズを含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0053】
システム150は、1つ又は複数の回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100を回転させるように構成される傾斜デバイス190(以下で述べられる傾斜モジュール166の一部)を更に含む。幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、マイクロ流体デバイス100(したがって、マイクロ流体回路120)を水平向き(すなわち、x軸及びy軸に相対して0°)、垂直向き(すなわち、x軸及び/又はy軸に相対して90°)、又はそれらの間の任意の向きで保持することができるように、少なくとも1つの軸の周りでマイクロ流体回路120を含むエンクロージャ102を支持及び/又は保持するように構成される。軸に相対するマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の向きは、本明細書では、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の「傾斜」と呼ばれる。例えば、傾斜デバイス190は、x軸に相対して0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、2°、3°、4°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、90°、又はそれらの間の任意の度数でマイクロ流体デバイス100を傾斜させることができる。水平向き(したがって、x軸及びy軸)は、重力により定義される垂直軸に垂直なものとして定義される。傾斜デバイスは、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸及び/又はy軸に相対して90°よりも大きい任意の角度に傾斜させるか、又はマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸若しくはy軸に相対して180°に傾斜させて、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を真逆にすることもできる。同様に、幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、流路106又はマイクロ流体回路120の何らかの他の部分により定義される回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を傾斜させる。
【0054】
幾つかの場合、マイクロ流体デバイス100は、流路106が1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に位置するように、垂直向きに傾斜する。「上方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも高く位置する(すなわち、流路106の上方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも高い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。「下方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離ペンよりも下に位置する(すなわち、流路106の下方の隔離ペン内の物体が流路内の物体よりも低い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。
【0055】
幾つかの場合、傾斜デバイス190は、流路106と平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に、マイクロ流体デバイス100は、流路106が、隔離ペンの真上又は真下に配置されずに、1つ又は複数の隔離ペンの上方又は下方に配置されるように、90°未満の角度に傾斜することができる。他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に直交する軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に平行でもなく直交もしない軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。
【0056】
システム150は培地源178を更に含むことができる。培地源178(例えば、容器、リザーバ等)は、それぞれが異なる流体培地180を保持する複数のセクション又は容器を含むことができる。したがって、培地源178は、
図1Aに示されるように、マイクロ流体デバイス100の外部にある、マイクロ流体デバイス100とは別個のデバイスであり得る。代替的に、培地源178は、全体的又は部分的に、マイクロ流体デバイス100のエンクロージャ102内部に配置することができる。例えば、培地源178は、マイクロ流体デバイス100の部分であるリザーバを含むことができる。
【0057】
図1Aは、システム150の一部を構成し、マイクロ流体デバイス100と併せて利用することができる制御及び監視機器152の例の簡易ブロック図表現も示す。示されるように、そのような制御及び監視機器152の例は、培地源178を制御する培地モジュール160と、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)及び/又は培地(例えば、培地の液滴)の移動及び/又は選択を制御する原動モジュール162と、画像(例えば、デジタル画像)を捕捉する撮像デバイス194(例えば、カメラ、顕微鏡、光源、又はそれらの任意の組合せ)を制御する撮像モジュール164と、傾斜デバイス190を制御する傾斜モジュール166とを含むマスタコントローラ154を含む。制御機器152は、マイクロ流体デバイス100に関する他の機能を制御、監視、又は実行する他のモジュール168を含むこともできる。示されるように、機器152は、表示デバイス170及び入/出力デバイス172を更に含むことができる。
【0058】
マスタコントローラ154は、制御モジュール156及びデジタルメモリ158を含むことができる。制御モジュール156は、例えば、メモリ158内に非一時的データ又は信号として記憶される機械実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、ソースコード等)に従って動作するように構成されるデジタルプロセッサを含むことができる。代替的に又は追加として、制御モジュール156は、ハードワイヤードデジタル回路及び/又はアナログ回路を含むことができる。培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、同様に構成され得る。したがって、マイクロ流体デバイス100又は任意の他のマイクロ流体装置に関して実行されるものとして本明細書で考察される機能、プロセス、行動、動作、又はプロセスのステップは、上述したように構成されるマスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168の任意の1つ又は複数により実行され得る。同様に、マスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、通信可能に結合されて、本明細書において考察される任意の機能、プロセス、行動、動作、又はステップで使用されるデータを送受信し得る。
【0059】
培地モジュール160は培地源178を制御する。例えば、培地モジュール160は、培地源178を制御して、選択された流体培地180をエンクロージャ102に入れる(例えば、流入口107を介して)ことができる。培地モジュール160は、エンクロージャ102からの培地の取り出し(例えば、流出口(図示せず)を通して)を制御することもできる。したがって、1つ又は複数の培地を選択的にマイクロ流体回路120に入れ、マイクロ流体回路120から搬出することができる。培地モジュール160は、マイクロ流体回路120内部の流路106での流体培地180のフローを制御することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、培地モジュール160は、傾斜モジュール166が傾斜デバイス190に所望の傾斜角までマイクロ流体デバイス100を傾斜させる前に、流路106内及びエンクロージャ102を通る培地180のフローを停止させる。
【0060】
原動モジュール162は、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)の選択、捕捉、及び移動を制御するように構成され得る。
図1B及び
図1Cに関して後述するように、エンクロージャ102は、誘電泳動(DEP)構成、光電子ピンセット(OET)構成、及び/又は光電子ウェッティング(OEW)構成(
図1Aに示されず)を含むことができ、原動モジュール162は、電極及び/又はトランジスタ(例えば、フォトトランジスタ)のアクティブ化を制御して、流路106及び/又は隔離ペン124、126、128、130で微小物体(図示せず)及び/又は培地の液滴(図示せず)を選択し移動させることができる。
【0061】
撮像モジュール164は撮像デバイス194を制御することができる。例えば、撮像モジュール164は、撮像デバイス194から画像データを受信し、処理することができる。撮像デバイス194からの画像データは、撮像デバイス194により捕捉された任意のタイプの情報を含むことができる(例えば、微小物体、培地の液滴、蛍光標識等の標識の蓄積の有無等)。撮像デバイス194により捕捉された情報を使用して、撮像モジュール164は、物体(例えば、微小物体、培地の液滴)の位置及び/又はマイクロ流体デバイス100内のそのような物体の移動速度を更に計算することができる。
【0062】
傾斜モジュール166は、傾斜デバイス190の傾斜移動を制御することができる。代替的に又は追加として、傾斜モジュール166は、重力を介して1つ又は複数の隔離ペンへの微小物体の移送を最適化するように、傾斜率及びタイミングを制御することができる。傾斜モジュール166は、撮像モジュール164と通信可能に結合されて、マイクロ流体回路120での微小物体及び/又は培地の液滴の移動を記述するデータを受信する。このデータを使用して、傾斜モジュール166は、マイクロ流体回路120の傾斜を調整して、マイクロ流体回路120内で微小物体及び/又は培地の液滴が移動する率を調整し得る。傾斜モジュール166は、このデータを使用して、マイクロ流体回路120内での微小物体及び/又は培地の液滴の位置を繰り返し調整することもできる。
【0063】
図1Aに示される例では、マイクロ流体回路120は、マイクロ流体チャネル122及び隔離ペン124、126、128、130を含むものとして示されている。各ペンは、チャネル122への開口部を含むが、ペンがペン内部の微小物体を流体培地180及び/又はチャネル122の流路106又は他のペン内の微小物体から実質的に分離することができるように、その他では閉じられている。隔離ペンの壁は、ベースの内面109からカバー110の内面まで延び、エンクロージャを提供する。マイクロ流体チャネル122へのペンの開口部は、フロー106がペン内に向けられないように、フロー106に対して傾斜して向けられる。フローは、ペンの開口部の平面に対して接線方向にあり得るか又は直交し得る。幾つかの場合、ペン124、126、128、130は、1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体回路120内に物理的に囲い入れるように構成される。本発明による隔離ペンは、以下に詳細に考察し示すように、DEP、OET、OEW、流体フロー、及び/又は重力との併用に最適化された様々な形状、表面、及び特徴を含むことができる。
【0064】
マイクロ流体回路120は、任意の数のマイクロ流体隔離ペンを含み得る。5つの隔離ペンが示されているが、マイクロ流体回路120は、より少数又はより多数の隔離ペンを有し得る。示されるように、マイクロ流体回路120のマイクロ流体隔離ペン124、126、128、及び130は、ある卵子の隣接卵子からの分離等の胚を生成するに当たり有用な1つ又は複数の利点を提供し得る異なる特徴及び形状をそれぞれ含む。テスト、シミュレーション、及び受精は、全て個々単位で実行し得、幾つかの実施形態では、個々のタイムスケールで実行し得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数の同一のマイクロ流体隔離ペンを含む。
【0065】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離ペンを含み、その場合、隔離ペンの2つ以上は、胚の生成において異なる利点を提供する異なる構造及び/又は特徴を含む。非限定的な一例として、あるタイプのペン内に卵子を維持しながら、異なるタイプのペン内に精子を維持することを挙げることができる、別の実施形態では、隔離ペンの少なくとも1つは、卵子に電気活性化を提供するのに適した電気接点を有するように構成される。更に別の実施形態では、異なるタイプの細胞(例えば、子宮細胞、子宮内膜細胞、卵管(uterine tube)(例えば、卵管(oviduct)若しくはファローピウス管)等)由来のPEG(介在)細胞、卵丘細胞、又はそれらの組合わせ)は、卵子を含む隔離ペンに隣接する隔離ペンに配置し得、それにより、周囲の隔離ペンからの分泌物は各ペンから出て、卵子を含むペン中に拡散し得、これは、マクロスケールでのインビトロ培養及び受精では不可能である。胚の生成に有用なマイクロ流体デバイスは、隔離ペン124、126、128、及び130又はそれらの変形形態のいずれかを含み得、及び/又は後述するように、
図2B、
図2C、
図2D、
図2E、及び
図2Fに示されるように構成されるペンを含み得る。
【0066】
図1Aに示される実施形態では、1つのチャネル122及び流路106が示される。しかし、他の実施形態は、それぞれが流路106を含むように構成される複数のチャネル122を含み得る。マイクロ流体回路120は、流路106及び流体培地180と流体連通する流入弁又はポート107を更に含み、それにより、流体培地180は、流入口107を介してチャネル122にアクセスすることができる。幾つかの場合、流路106は1つの経路を含む。幾つかの場合、1つの経路はジグザグパターンで配置され、それにより、流路106は、交互になった方向で2回以上にわたってマイクロ流体デバイス100にわたり移動する。
【0067】
幾つかの場合、マイクロ流体回路120は、複数の平行チャネル122及び流路106を含み、各流路106内の流体培地180は同じ方向に流れる。幾つかの場合、各流路106内の流体培地は、順方向又は逆方向の少なくとも一方で流れる。幾つかの場合、複数の隔離ペンは、隔離ペンが標的微小物体と並列に配置されることができるように構成される(例えば、チャネル122に相対して)。
【0068】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、1つ又は複数の微小物体トラップ132を更に含む。トラップ132は、一般に、チャネル122の境界を形成する壁に形成され、マイクロ流体隔離ペン124、126、128、130の1つ又は複数の開口部の逆に位置し得る。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から1つの微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から複数の微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の容積に概ね等しい容積を含む。
【0069】
トラップ132は、標的微小物体のトラップ132へのフローを支援するように構成される開口部を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の寸法に概ね等しい高さ及び幅を有する開口部を含み、それにより、より大きい微小物体が微小物体トラップに入らないようにされる。トラップ132は、トラップ132内への標的微小物体の保持を支援するように構成される他の特徴を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、微小流体隔離ペンの開口部と位置合わせされ、微小流体隔離ペンの開口部に関してチャネル122の逆側に配置され、それにより、チャネル122に平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜されると、捕捉された微小物体は、微小物体を隔離ペンの開口部に落とす軌道でトラップ132を出る。幾つかの場合、トラップ132は、標的微小物体よりも小さく、トラップ132を通るフローを促進し、それによりトラップ132内への微小物体の捕捉確率を増大させるサイド通路134を含む。
【0070】
幾つかの実施形態では、誘電泳動(DEP)力は、1つ又は複数の電極(図示せず)を介して流体培地180にわたり適用されて(例えば、流路及び/又は隔離ペンにおいて)、内部に配置された微小物体の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、DEP力は、マイクロ流体回路120の1つ又は複数の部分に適用されて、1つの微小物体を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の微小物体が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、本発明の教示により前に収集された微小物体を隔離ペンから選択的に取り出す。幾つかの実施形態では、DEP力は、光電子ピンセット(OET)力を含む。
【0071】
他の実施形態では、光電子ウェッティング(OEW)力が、1つ又は複数の電極(図示せず)を介してマイクロ流体デバイス100の支持構造体104(及び/又はカバー110)での1つ又は複数の位置(例えば、流路及び/又は隔離ペンの画定に役立つ位置)に適用されて、マイクロ流体回路120に配置された液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、OEW力は支持構造体104(及び/又はカバー110)の1つ又は複数の位置に適用されて、1つの液滴を流路106から所望のマイクロ流体隔離ペンに輸送する。幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、隔離ペン(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の液滴が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、本発明の教示により前に収集された液滴を隔離ペンから選択的に取り出す。
【0072】
幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、フロー及び/又は重力等の他の力と組み合わせられて、マイクロ流体回路120内の微小物体及び/又は液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、エンクロージャ102は傾斜して(例えば、傾斜デバイス190により)、流路106及び流路106内に配置された微小物体をマイクロ流体隔離ペンの上に位置決めすることができ、重力は、微小物体及び/又は液滴をペン内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の前に適用することができる。他の実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の後に適用することができる。更に他の場合、DEP力及び/又はOEW力は、他の力と同時に又は他の力と交互に適用することができる。
【0073】
図1B、
図1C及び
図2A~
図2Hは、本発明の実施に使用することができるマイクロ流体デバイスの様々な実施形態を示す。
図1Bは、マイクロ流体デバイス200が光学作動動電学的デバイスとして構成される実施形態を示す。光電子ピンセット(OET)構成を有するデバイス及び光電子ウェッティング(OEW)構成を有するデバイスを含め、様々な光学作動動電学的デバイスが当技術分野で既知である。適するOET構成の例は、以下の米国特許文献に示されており、各文献は全体的に参照により本明細書に援用される:米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された);及び米国特許第7,956,339号(Ohtaら)。OEW構成の例は、米国特許第6,958,132号(Chiouら)及び米国特許出願公開第2012/0024708号(Chiouら)に示されており、これらは両方とも全体的に参照により本明細書に援用される。光学作動動電的デバイスの更に別の例は、OET/OEW結合構成を含み、その例は、米国特許出願公開第20150306598号(Khandrosら)及び同第20150306599号(Khandrosら)並びにそれらの対応するPCT公報である国際公開第2015/164846号及び国際公開第2015/164847号に示されており、これらは全て全体的に参照により本明細書に援用される。
【0074】
卵母細胞、卵子、又は胚を配置し、培養し、及び/又は監視することができる隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号(出願番号14/060,117、2013年10月22日出願)、米国特許出願公開第2015/0151298号(出願番号14/520,568、2014年10月22日出願)、及び米国特許出願公開第2015/0165436号(出願番号14/521,447、2014年10月22日出願)に記載されており、これらはそれぞれ全体的に参照により援用される。米国特許出願公開第14/520,568号及び同第14/521,447号は、マイクロ流体デバイスで培養された細胞の分泌物を分析する例示的な方法についても記載している。上記の各出願は、光電子ツイーザ(OET)等の誘電泳動(DEP)力を生成するように構成されるか、又は光電子ウェッティング(OEW)を提供するように構成されるマイクロ流体デバイスを更に記載している。例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号の
図2に示される光電子ツイーザデバイスは、本発明の実施形態で利用して、個々の生物学的微小物体又は生物学的微小物体のグループを選択し移動させることができるデバイスの例である。
【0075】
原動マイクロ流体デバイス構成
上述したように、システムの制御及び監視機器は、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路において微小物体又は液滴等の物体を選択し移動させる原動モジュールを含むことができる。マイクロ流体デバイスは、移動される物体のタイプ及び他の考慮事項に応じて様々な原動構成を有することができる。例えば、誘電泳動(DEP)構成を利用して、マイクロ流体回路において微小物体を選択し移動させることができる。したがって、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の微小物体に対してDEP力を選択的に誘導し、それにより個々の微小物体又は微小物体群の選択、捕捉、及び/又は移動を行うDEP構成を含むことができる。代替的に、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の液滴に対して電子ウェッティング(EW)力を選択的に誘導し、それにより個々の液滴又は液滴群の選択、捕捉、及び/又は移動を行う電子ウェッティング(EW)構成を含むことができる。
【0076】
DEP構成を含むマイクロ流体デバイス200の一例を
図21B及び
図1Cに示す。簡潔にするために、
図1B及び
図1Cは、開放領域/チャンバ202を有するマイクロ流体デバイス200のエンクロージャ102の部分の側面断面図及び上面断面図をそれぞれ示すが、領域/チャンバ202が、成長チャンバ、隔離ペン、フロー領域、又はフローチャネル等のより詳細な構造を有する流体回路要素の部分であり得ることを理解されたい。更に、マイクロ流体デバイス200は他の流体回路要素を含み得る。例えば、マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体デバイス100に関して本明細書に記載される等の複数の成長チャンバ、或いは隔離ペン及び/又は1つ若しくは複数のフロー領域又はフローチャネルを含むことができる。DEP構成は、マイクロ流体デバイス200の任意のそのような流体回路要素に組み込み得るか、又はその部分を選択し得る。上記又は下記の任意のマイクロ流体デバイス構成要素及びシステム構成要素がマイクロ流体デバイス200内に組みこまれ得、及び/又はマイクロ流体デバイス200と組み合わせて使用し得ることを更に理解されたい。例えば、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び他のモジュール168の1つ又は複数を含む上述した制御及び監視機器152を含むシステム150は、マイクロ流体デバイス200と併用し得る。
【0077】
図1Bにおいて見られるように、マイクロ流体デバイス200は、下部電極204及び下部電極204に重なる電極活性化基板206を有する支持構造体104と、上部電極210を有するカバー110とを含み、上部電極210は下部電極204から離間される。上部電極210及び電極活性化基板206は、領域/チャンバ202の両面を画定する。したがって、領域/チャンバ202に含まれる培地180は、上部電極210と電極活性化基板206との間に抵抗接続を提供する。下部電極204と上部電極210との間に接続され、領域/チャンバ202でのDEP力の生成のために必要に応じて電極間にバイアス電圧を生成するように構成される電源212も示されている。電源212は、例えば、交流(AC)電源であり得る。
【0078】
特定の実施形態では、
図1B及び
図1Cに示されるマイクロ流体デバイス200は、光学作動DEP構成を有することができる。したがって、原動モジュール162により制御し得る光源216からの光218の変更パターンは、電極活性化基板206の内面208の領域214においてDEP電極の変更パターンを選択的に活性化又は非活性化することができる。(以下ではDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの領域214を「DEP電極領域」と呼ぶ)。
図1Cに示されるように、電極活性化基板206の内面208に向けられる光パターン218は、正方形等のパターンで、選択されたDEP電極領域214a(白色で示される)を照明することができる。照明されないDEP電極領域214(斜線が付される)を以下では「暗」DEP電極領域214と呼ぶ。DEP電極活性化基板206を通る相対電気インピーダンス(すなわち、下部電極204から、フロー領域106において培地180と界面を接する電極活性化基板206の内面208まで)は、各暗DEP電極領域214での領域/チャンバ202において培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対電気インピーダンスよりも大きい。しかし、照明DEP電極領域214aは、各照明DEP電極領域214aでの領域/チャンバ202での培地180を通る相対インピーダンス未満である電極活性化基板206を通る相対インピーダンスの低減を示す。
【0079】
電源212が活性化されている場合、上記のDEP構成は、照明DEP電極領域214aと隣接する暗DEP電極領域214との間に流体培地180内で電場勾配を生じさせ、次に、電場勾配は、流体培地180内の付近の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥する局所DEP力を生成する。したがって、流体培地180内の微小物体を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光源216からマイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218を変更することにより、領域/チャンバ202の内面208での多くの異なるそのようなDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。DEP力が付近の微小物体を引き寄せるか、それとも排斥するかは、電源212の周波数並びに培地180及び/又は微小物体(図示せず)の誘電特性等のパラメータに依存し得る。
【0080】
図1Cに示される照明DEP電極領域214aの正方形パターン220は単なる例である。デバイス200に投射される光パターン218により、任意のパターンのDEP電極領域214を照明する(それにより活性化する)ことができ、照明/活性化されるDEP電極領域214のパターンは、光パターン218を変更又は移動させることにより繰り返し変更することができる。
【0081】
幾つかの実施形態では、電極活性化基板206は、光伝導性材料を含むか、又は光導電性材料からなることができる。そのような実施形態では、電極活性化基板206の内面208は、特徴を有さないことができる。例えば、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a-Si:H)の層を含むか、又はa-Si:Hの層からなることができる。a-Si:Hは、例えば、約8%~40%の水素を含むことができる(水素原子の数/水素及びケイ素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a-Si:Hの層は厚さ約500nm~約2.0μmを有することができる。そのような実施形態では、DEP電極領域214は、光パターン218により、電極活性化基板206の内面208上の任意の場所に任意のパターンで作成することができる。したがって、DEP電極領域214の数及びパターンは、固定される必要がなく、光パターン218に対応することができる。上述したような光伝導層を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0082】
他の実施形態では、電極活性化基板206は、半導体分野で既知等の半導体集積回路を形成する複数のドープ層、絶縁層(又は領域)、及び導電層を含む基板を含むことができる。例えば、電極活性化基板206は、例えば、横型バイポーラフォトトランジスタを含む複数のフォトトランジスタを含むことができ、各フォトトランジスタはDEP電極領域214に対応する。代替的に、電極活性化基板206は、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができ、そのような各電極はDEP電極領域214に対応する。電極活性化基板206は、パターンになったそのようなフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極を含むことができる。パターンは、例えば、
図2Bに示される等、行列に配置された実質的に正方形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する実質的に六角形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、電気回路素子は、電極活性化基板206の内面208におけるDEP電極領域214と下部電極210との間に電気接続を形成することができ、それらの電気接続(すなわち、フォトトランジスタ又は電極)は、光パターン218により選択的に活性化又は非活性化することができる。活性化されない場合、各電気接続は、電極活性化基板206を通る(すなわち、下部電極204から、領域/チャンバ202内の培地180と界面を接する電極活性化電極206の内面208まで)相対インピーダンスが、対応するDEP電極領域214における培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対インピーダンスよりも大きいような高いインピーダンスを有することができる。しかし、光パターン218内の光により活性化される場合、電極活性化基板206を通る相対インピーダンスは、各照明DEP電極領域214での培地180を通る相対インピーダンス未満であり、それにより、上述したように、対応するDEP電極領域214でのDEP電極を活性化する。したがって、培地180内の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光パターン218により決まるように、領域/チャンバ202での電極活性化基板206の内面208での多くの異なるDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。
【0083】
フォトトランジスタを含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第7,956,339号(Ohtaら)に記載されており(例えば、
図21及び
図22に示されるデバイス300並びにその説明を参照されたい)、この内容全体は参照により本明細書に援用される。フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)に記載されており(例えば、図面全体を通して示されるデバイス200、400、500、600、及び900並びにその説明を参照されたい)、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0084】
DEP構成のマイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態では、上部電極210はエンクロージャ102の第1の壁(又はカバー110)の一部であり、電極活性化基板206及び下部電極204は、エンクロージャ102の第2の壁(又は支持構造体104)の一部である。領域/チャンバ202は、第1の壁と第2の壁との間にあり得る。他の実施形態では、電極210は第2の壁(又は支持構造体104)の一部であり、電極活性化基板206及び/又は電極210の一方又は両方は、第1の壁(又はカバー110)の一部である。更に、光源216は代替的に、下からエンクロージャ102を照明するのに使用することができる。
【0085】
DEP構成を有する
図1B及び
図1Cのマイクロ流体デバイス200を用いて、原動モジュール162は、光パターン218をデバイス200に投射して、微小物体を囲み捕捉するパターン(例えば、正方形パターン220)で電極活性化基板206の内面208のDEP電極領域214aでの第1の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、領域/チャンバ202での培地180内の微小物体(図示せず)を選択することができる。次に、原動モジュール162は、光パターン218をデバイス200に相対して移動させて、DEP電極領域214での第2の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、捕捉された微小物体を移動させることができる。代替的に、デバイス200を光パターン218に相対して移動させることができる。
【0086】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、電極活性化基板206の内面208でのDEP電極の光活性化に依存しないDEP構成を有することができる。例えば、電極活性化基板206は、少なくとも1つの電極を含む表面(例えば、カバー110)とは逆に位置する、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)を選択的に開閉して、DEP電極領域214でのDEP電極を活性化又は非活性化し得、それにより、活性化されたDEP電極の近傍での領域/チャンバ202内の微小物体(図示せず)に対する正味DEP力を生成する。電源212の周波数及び培地(図示せず)及び/又は領域/チャンバ202内の微小物体の誘電特性等の特徴に応じて、DEP力は、付近の微小物体を引き寄せるか、又は排斥することができる。DEP電極の組(例えば、正方形パターン220を形成するDEP電極領域214の組における)を選択的に活性化又は非活性化することにより、領域/チャンバ202における1つ又は複数の微小物体を捕捉し、領域/チャンバ202内で移動させることができる。
図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御し、したがって、DEP電極の個々の電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲の特定の微小物体(図示せず)を選択、捕捉、及び移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,294,063号(Beckerら)及び同第6,942,776号(Medoro)に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0087】
更なる別例として、マイクロ流体デバイス200は電子ウェッティング(EW)構成を有することができ、EW構成は、DEP構成の代わりであってもよく、又はDEP構成を有する部分とは別個のマイクロ流体デバイス200の部分に配置されてもよい。EW構成は、光電子ウェッティング構成又は誘電体上の電子ウェッティング(EWOD)構成であり得、これらは両方とも当技術分野で既知である。幾つかのEW構成では、支持構造体104は、以下に記載するように、誘電層(図示せず)と下部電極204との間に挟まれた電極活性化基板206を有する。誘電層は、疎水性材料を含むことができ、及び/又は疎水性材料でコーティングすることができる。EW構成を有するマイクロ流体デバイス200の場合、支持構造体104の内面208は、誘電層の内面又はその疎水性コーティングである。
【0088】
誘電層(図示せず)は、1つ又は複数の酸化物層を含むことができ、厚さ約50nm~約250nm(例えば、約125nm~約175nm)を有することができる。特定の実施形態では、誘電層は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム)等の酸化物の層を含むことができる。特定の実施形態では、誘電層は、酸化ケイ素又は窒化物等の金属酸化物以外の誘電材料を含むことができる。厳密な組成及び厚さに関係なく、誘電層は約10kオーム~約50kオームのインピーダンスを有することができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、領域/チャンバ202に向かって内側に面した誘電層の表面は、疎水性材料でコーティングされる。疎水性材料は、例えば、フッ素化炭素分子を含むことができる。フッ素化炭素分子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)又はポリ(2,3-ジフルオロメチレニル-ペルフルオロテトラヒドロフラン)(例えば、CYTOP(商標))などのパーフルオロポリマーが挙げられる。疎水性材料を構成する分子は、誘電層の表面に共有結合され得る。例えば、疎水性材料の分子は、シロキサン基、ホスホン酸基、又はチオール基等のリンカーにより、誘電層の表面に共有結合され得る。したがって、幾つかの実施形態では、疎水性材料は、アルキル末端シロキサン、アルキル末端ホスホン酸、又はアルキル末端チオールを含むことができる。アルキル基は長鎖炭化水素(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも16個、18個、20個、22個、若しくはそれを超える個数の炭素の鎖を有する)であり得る。代替的に、フッ素化(又はパーフルオロ化)炭素鎖をアルキル基の代わりに使用することができる。したがって、例えば、疎水性材料は、フルオロアルキル末端シロキサン、フルオロアルキル末端ホスホン酸、又はフルオロアルキル末端チオールを含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性コーティングは約10nm~約50nmの厚さを有する。他の実施形態では、疎水性コーティングは厚さ10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5~3.0nm)を有する。
【0090】
幾つかの実施形態では、電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイス200のカバー110も同様に疎水性材料(図示せず)でコーティングされる。疎水性材料は、支持構造体104の誘電層のコーティングに使用されるものと同じ疎水性材料であり得、疎水性コーティングは、支持構造体104の誘電層の疎水性コーティングの厚さと略同じである厚さを有することができる。更に、カバー110は、支持構造体104の様式で、誘電層と上部電極210との間に挟まれた電極活性化基板206を含むことができる。電極活性化基板206及びカバー110の誘電層は、電極活性化基板206及び支持構造体104の誘電層と同じ組成及び/又は寸法を有することができる。したがって、マイクロ流体デバイス200は2つの電子ウェッティング表面を有することができる。
【0091】
幾つかの実施形態では、電子活性化基板206は、上述した光伝導性材料等の光伝導性材料を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a-Si:H)の層を含むか、又はa-Si:Hの層からなることができる。a-Si:Hは、例えば、約8%~40%の水素を含むことができる(水素原子の総数及びケイ素原子の総数/水素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a-Si:Hの層は厚さ約500nm~約2.0μmを有することができる。代替的に、電子活性化基板206は、上述したように、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができる。光電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイスは当技術分野で既知であり、及び/又は当技術分野で既知の電極活性化基板を用いて構築することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,958,132号(Chiouら)には、a-Si:H等の光伝導性材料を有する光電子ウェッティング構成が開示されており、一方、上記で引用した米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)には、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を有する電極活性化基板が開示されている。
【0092】
したがって、マイクロ流体デバイス200は光電子ウェッティング構成を有することができ、光パターン218を使用して、電極活性化基板206での光応答性EW領域又は光応答性EW電極を活性化することができる。電極活性化基板206のそのような活性化されたEW領域又はEW電極は、支持構造体104の内面208(すなわち、重なった誘電層の内面又はその疎水性コーティング)において電子ウェッティング力を生成することができる。電子活性化基板206に入射する光パターン218を変更する(又は光源216に相対してマイクロ流体デバイス200を移動させる)ことにより、支持構造体104の内面208に接触する液滴(例えば、水性培地、水溶液又は水性溶媒を含む)は、領域/チャンバ202内に存在する不混和流体(例えば、油媒体)を通って移動することができる。
【0093】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、EWOD構成を有することができ、電極活性化基板206は、活性化のために光に依存しない、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。したがって、電極活性化基板206は、パターンになったそのような電子ウェッティング(EW)電極を含むことができる。パターンは、例えば、
図2Bに示される等の行列に配置された略正方形のEW電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する略六角形のEW電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、EW電極は、電気スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)により選択的に活性化(又は非活性化)することができる。電極活性化基板206でのEW電極を選択的に活性化及び非活性化することにより、重なった誘電層の内面208又はその疎水性コーティングに接触する液滴(図示せず)は、領域/チャンバ202内で移動することができる。
図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御することができ、したがって、個々のEW電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲で特定の液滴を選択し移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を有するEWOD構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,685,344号(Sundarsanら)に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
【0094】
マイクロ流体デバイス200の構成に関係なく、電源212を使用して、マイクロ流体デバイス200の電気回路に給電する電位(例えば、AC電源電位)を提供することができる。電源212は、
図1で参照される電源192と同じ又は電源192の構成要素であり得る。電源212は、上部電極210及び下部電極204にAC電圧及び/又は電流を提供するように構成され得る。AC電圧の場合、電源212は、上述したように、領域/チャンバ202内の個々の微小物体(図示せず)を捕捉して移動させ、及び/又はこれらも上述したように、領域/チャンバ202内の支持構造体104の内面208(すなわち、誘電層及び/又は誘電層上の疎水性コーティング)のウェッティング特性を変更するのに十分に強い正味DEP力(又は電子ウェッティング力)を生成するのに十分な周波数範囲及び平均又はピーク電力(例えば、電圧又は電流)を提供することができる。そのような周波数範囲及び平均又はピーク電力範囲は、当技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,958,132号(Chiouら)、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)、並びに米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)、同第2015/0306598号(Khandrosら)、及び同第2015/0306599号(Khandrosら)を参照されたい。
【0095】
隔離ペン。一般的な隔離ペン224、226、及び228の非限定的な例は、
図2A~
図2Cに示されるマイクロ流体デバイス230内に示されている。各隔離ペン224、226、及び228は、分離領域240と、分離領域240をチャネル122に流体接続する接続領域236とを画定する分離構造体232を含むことができる。接続領域236は、チャネル122への基端開口部234及び分離領域240への先端開口部238を含むことができる。接続領域236は、チャネル122から隔離ペン224、226、228内に流れる流体培地(図示せず)のフローの最大侵入深さが分離領域240内に及ばないように構成され得る。したがって、接続領域236に起因して、隔離ペン224、226、228の分離領域240内に配置された微小物体(図示せず)又は他の材料(図示せず)は、チャネル122内の培地180のフローから分離され、チャネル122内の培地180のフローにより実質的に影響されないことができる。
【0096】
図2A~
図2Cの隔離ペン224、226、及び228は、チャネル122に対して直接開く単一の開口部をそれぞれ有する。隔離ペンの開口部は、チャネル122から横に開く。電極活性化基板206がチャネル122及び隔離ペン224、226、及び228の両方の下にある。隔離ペンのフロアを形成する、隔離ペンのエンクロージャ内の電極活性化基板206の上面は、マイクロ流体デバイスのフローチャネル(又はそれぞれフロー領域)のフロアを形成する、チャネル122(又はチャネルが存在しない場合、フロー領域)内の電極活性化基板206の上面と同じ高さ又は略同じ高さに配置される。電極活性化基板206は、特徴を有さなくてもよく、又は約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満、約0.1μm未満、又はそれを下回って最高隆起部から最低陥没部まで変化する不規則又はパターン化表面を有してもよい。チャネル122(図示せず)及び隔離ペンの両方にわたる基板の上面の隆起の変動は、隔離ペンの壁の高さ又はマイクロ流体デバイスの壁の高さの約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満であり得る。マイクロ流体デバイス200について詳細に説明したが、これは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイス100、230、250、280、290、320、400、450、500、700にも当てはまる。
【0097】
したがって、チャネル122は掃引領域の例であり得、隔離ペン224、226、228の分離領域240は非掃引領域の例であり得る。述べたように、チャネル122及び隔離ペン224、226、228は、1つ又は複数の流体培地180を含むように構成され得る。
図2A~
図2Bに示される例では、ポート222はチャネル122に接続され、流体培地180がマイクロ流体デバイス230内に導入又は外に取り出せるようにすることができる。流体培地180を導入する前に、マイクロ流体デバイスは、二酸化炭素ガス等のガスでプライミングし得る。マイクロ流体デバイス230が流体培地180を含むと、チャネル122内の流体培地180のフロー242は選択的に生成及び停止させることができる。例えば、示されるように、ポート222はチャネル122の異なる位置(例えば、両端部)に配置することができ、流入口として機能するあるポート222から流出口として機能する別のポート222への培地のフロー242を生成することができる。
【0098】
図2Cは、本発明による隔離ペン224の例の詳細図を示す。微小物体246の例も示されている。
【0099】
既知のように、隔離ペン224の基端開口部234を越えたマイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、隔離ペン224内及び/又は外への培地180の2次フロー244を生じさせることができる。隔離ペン224の分離領域240内の微小物体246を2次フロー244から分離するために、隔離ペン224の接続領域236の長さLcon(すなわち、基端開口部234から先端開口部238まで)は、接続領域236への2次フロー244の侵入深さDpよりも大きい値であるはずである。2次フロー244の侵入深さDpは、チャネル122内を流れる流体培地180の速度並びにチャネル122及びチャネル122への接続領域236の基端開口部234の構成に関連する様々なパラメータに依存する。所与のマイクロ流体デバイスでは、チャネル122及び開口部234の構成は固定され、一方、チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度は可変である。したがって、隔離ペン224毎に、2次フロー244の侵入深さDpが接続領域236の長さLconを超えないことを保証するチャネル122内の流体培地180のフロー242の最高速度Vmaxを識別することができる。チャネル122内の流体培地180のフロー242の流量が最大速度Vmaxを超えない限り、結果として生成される、チャネル122及び接続領域236への2次フロー244を制限することができ、分離領域240に入らないようにすることができる。したがって、チャネル122内の培地180のフロー242は、微小物体246を分離領域240外に引き込まない。むしろ、分離領域240内に配置された微小物体246は、チャネル122内の流体培地180のフロー242に関係なく、分離領域240内に留まる。
【0100】
更に、チャネル122内の培地180のフロー242の流量がVmaxを超えない限り、チャネル122内の流体培地180のフロー242は、様々な粒子(例えば、微粒子及び/又はナノ粒子)をチャネル122から隔離ペン224の分離領域240内に移動させない。したがって、接続領域236の長さL
conを2次フロー244の最大侵入深さD
pよりも大きくすることで、ある隔離ペン224の、チャネル122又は別の隔離ペン(例えば、
図2Dの隔離ペン226、228)からの様々な粒子による汚染を回避することができる。
【0101】
チャネル122及び隔離ペン224、226、228の接続領域236は、チャネル122内の培地180のフロー242により影響を及ぼすことができるため、チャネル122及び接続領域236は、マイクロ流体デバイス230の掃引(又はフロー)領域と見なすことができる。他方、隔離ペン224、226、228の分離領域240は、非掃引(又は非フロー)領域と見なすことができる。例えば、チャネル122内の第1の流体培地180中の成分(図示せず)は、実質的に、チャネル122から接続領域236を通り分離領域240内の第2の流体培地248への第1の培地180の成分の拡散によってのみ、分離領域240内の第2の流体培地248と混合することができる。同様に、分離領域240内の第2の培地248の成分(図示せず)は、実質的に、分離領域240から接続領域236を通り、チャネル122内の第1の培地180への第2の培地248の成分の拡散によってのみ、チャネル122内の第1の培地180と混合することができる。幾つかの実施形態では、拡散による隔離ペンの分離領域とフロー領域との間での流体媒体交換の程度は、流体交換の約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%よりも高い割合である。第1の培地180は、第2の培地248と同じ培地であってもよく、又は異なる培地であってもよい。更に、第1の培地180及び第2の培地248は、同じ培地として開始され、異なるようになることができる(例えば、分離領域240内の1つ又は複数の細胞により又はチャネル122を通って流れる培地180を変更することにより、第2の培地248を調整することを通して)。
【0102】
チャネル122内の流体培地180のフロー242により生じる2次フロー244の最大侵入深さDpは、上述したように、幾つかのパラメータに依存し得る。そのようなパラメータの例としては、チャネル122の形状(例えば、チャネルは、培地を接続領域236に向けることができ、接続領域236から培地を逸らすことができ、又はチャネル122への接続領域236の基端開口部234に実質的に直交する方向に培地を向けることができる)、基端開口部234でのチャネル122の幅Wch(又は断面積)及び基端開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)、チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度V、第1の培地180及び/又は第2の培地248の粘度等が挙げられる。
【0103】
幾つかの実施形態では、チャネル122及び隔離ペン224、226、228の寸法は、チャネル122内の流体培地180のフロー242のベクトルに対して以下のように向けることができる:チャネル幅Wch(又はチャネル122の断面積)は、培地180のフロー242に略直交することができ、開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)は、チャネル122内の培地180のフロー242に略平行であり得、及び/又は接続領域の長さLconは、チャネル122内の培地180のフロー242に略直交することができる。上記は単なる例であり、チャネル122及び隔離ペン224、226、228の相対位置は、互いに対して他の向きであり得る。
【0104】
図2Cに示されるように、接続領域236の幅W
conは、基端開口部234から先端開口部238まで均一であり得る。したがって、先端開口部238での接続領域236の幅W
conは、基端開口部234での接続領域236の幅W
conについて本明細書において識別された任意の範囲内にあり得る。代替的に、先端開口部238での接続領域236の幅W
conは、基端開口部234での接続領域236の幅W
conよりも大きい値であり得る。
【0105】
図2Cに示されるように、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での基端領域236の幅W
conと略同じであり得る。したがって、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅W
conについて本明細書において識別された任意の範囲内であり得る。代替的に、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅W
conよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。更に、先端開口部238は基端開口部234よりも小さくてよく、接続領域236の幅W
conは、基端開口部234と先端開口部238との間で狭め得る。例えば、接続領域236は、様々な異なるジオメトリ(例えば、接続領域を面取りする、接続領域に勾配を付ける)を使用して基端開口部と先端開口部との間で狭め得る。更に、接続領域236の任意の部分又はサブ部分を狭め得る(例えば、基端開口部234に隣接する接続領域の部分)。
【0106】
図2D~
図2Fは、
図1の各マイクロ流体デバイス100、回路132、及びチャネル134の変形形態であるマイクロ流体回路262及びフローチャネル264を含むマイクロ流体デバイス250の別の例示的な実施形態を示す。マイクロ流体デバイス250は、上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228の追加の変形形態である複数の隔離ペン266も有する。特に、
図2D~
図2Fに示されるデバイス250の隔離ペン266をデバイス100、200、230、280、290、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200での上述した隔離ペン124、126、128、130、224、226、又は228のいずれかで置換可能なことを理解されたい。同様に、マイクロ流体デバイス250は、マイクロ流体デバイス100の別の変形形態であり、上述したマイクロ流体デバイス100、200、又はマイクロ流体デバイス230、280、290、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200と同じ又は異なるDEP構成及び本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体システム構成要素を有することもできる。
【0107】
図2D~
図2Fのマイクロ流体デバイス250は、支持構造体(
図2D~
図2Fでは見えないが、
図1Aに示されるデバイス100の支持構造体104と同じ又は概して同様であり得る)、マイクロ流体回路構造256、及びカバー(
図2F~
図2Fでは見えないが、
図1Aに示されるデバイス100のカバー122と同じ又は概して同様であり得る)を含む。マイクロ流体回路構造256は枠252及びマイクロ流体回路材料260を含み、これらは
図1Aに示されるデバイス100の枠114及びマイクロ流体回路材料116と同じ又は概して同様であり得る。
図2Dに示されるように、マイクロ流体回路材料260により画定されるマイクロ流体回路262は複数のチャネル264(2つが示されるが、より多くのチャネルがあり得る)を含むことができ、チャネル264に複数の隔離ペン266が流体接続される。
【0108】
各隔離ペン266は、分離構造272、分離構造272内の分離領域270、及び接続領域268を含むことができる。チャネル264の基端開口部274から分離構造272での先端開口部276まで、接続領域268はチャネル264を分離領域270に流体接続する。一般に、
図2B及び
図2Cの上記考察によれば、チャネル264内の第1の流体培地254のフロー278は、チャネル264から隔離ペン266の各接続領域268内及び/又は外への第1の培地254の2次フロー282をもたらすことができる。
【0109】
図2Eに示されるように、各隔離ペン266の接続領域268は、一般に、チャネル264の基端開口部274と分離構造272の先端開口部276との間に延びるエリアを含む。接続領域268の長さL
conは、2次フロー282の最大侵入深さD
pよりも大きい値であり得、その場合、2次フロー282は、分離領域270に向かってリダイレクトされずに接続領域268内に延びる(
図2Dに示されるように)。代替的に、
図2Fに示されるように、接続領域268は、最大侵入深さD
pよりも小さい長さL
conを有することができ、その場合、2次フロー282は、接続領域268を通って延び、分離領域270に向かってリダイレクトされる。この後者の状況では、接続領域268の長さL
c1及びL
c2との和は最大侵入深さD
pよりも大きく、したがって、2次フロー282は分離領域270内に延びない。接続領域268の長さL
conが侵入深さD
pよりも大きいか否か又は接続領域268の長さL
c1及びL
c2の和が侵入深さD
pよりも大きいか否かに関係なく、最大速度V
maxを超えないチャネル264内の第1の培地254のフロー278は、侵入深さD
pを有する2次フローをもたらし、隔離ペン266の分離領域270内の微小物体(示されていないが、
図2Cに示される微小物体246と同じ又は概して同様であり得る)は、チャネル264内の第1の培地254のフロー278により分離領域270外に引き出されない。チャネル264内のフロー278は、様々な材料(図示せず)もチャネル264から隔離ペン266の分離領域270内に引き込まない。したがって、チャネル264内の第1の培地254内の成分をチャネル264から隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内に移動させることができる唯一の機構は、拡散である。同様に、隔離ペン266の分離領域270内の第2の培地258内の成分を分離領域270からチャネル264内の第1の培地254内に移動させることができる唯一の機構も拡散である。第1の培地254は、第2の培地258と同じ培地であり得、又は第1の培地254は、第2の培地258と異なる培地であり得る。代替的に、第1の培地254及び第2の培地258は、同じ培地から始まり、例えば、分離領域270内の1つ又は複数の細胞により又はチャネル264を通って流れる培地を変更することにより、第2の培地を調整することを通して異なるようになることができる。
【0110】
図2Eに示されるように、チャネル264内のチャネル264の幅W
ch(すなわち、
図2Dにおいて矢印278で示されるチャネルを通る流体培地フローの方向を横断してとられる)は、基端開口部274の幅W
con1に略直交することができ、したがって、先端開口部276の幅W
con2に略平行であり得る。しかし、基端開口部274の幅
con1及び先端開口部276の幅W
con2は、互いに略直交する必要はない。例えば、基端開口部274の幅W
con1が向けられる軸(図示せず)と、先端開口部276の幅W
con2が向けられる別の軸との間の角度は、直交以外であり得、したがって、90°以外であり得る。代替的に向けられる角度の例としては、以下の任意の範囲内の角度を含む:約30°~約90°、約45°~約90°、約60°~約90°等。
【0111】
隔離ペンの様々な実施形態(例えば、124、126、128、130、224、226、228、又は266)では、分離領域(例えば、240又は270)は、複数の微小物体を含むように構成される。他の実施形態では、分離領域は、1つのみ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は同様の相対的に少数の微小物体を含むように構成され得る。したがって、分離領域の容積は、例えば、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、又はこれを超える大きさであり得る。
【0112】
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)でのチャネル(例えば、122)の幅Wchは、以下の任意の範囲内であり得る:約50~1000μm、約50~500μm、約50~400μm、約50~300μm、約50~250μm、約50~200μm、約50~150μm、約50~100μm、約70~500μm、約70~400μm、約70~300μm、約70~250μm、約70~200μm、約70~150μm、約90~400μm、90~300μm、約90~250μm、約90~200μm、約90~150μm、約100~300μm、約100~250μm、約100~200μm、約100~150μm、及び約100~120μm。幾つかの他の実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるチャネル(例えば、122)の幅Wchは、約200~800μm、約200~700μm、又は約200~600μmの範囲であり得る。上記は単なる例であり、チャネル122の幅Wchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。更に、チャネル122の幅Wchは、隔離ペンの基端開口部以外のチャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約30~約200μm又は約50~約150μmの高さを有する。幾つかの実施形態では、隔離ペンは、約1×104~約3×106平方μm、約2×104~約2×106平方μm、約4×104~約1×106平方μm、約2×104~約5×105平方μm、約2×104~約1×105平方μm、又は約2×105~約2×106平方μmの断面積を有する。
【0114】
隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるチャネル(例えば、122)の高さHchは、以下の任意の範囲内であり得る:20~100μm、20~90μm、20~80μm、20~70μm、20~60μm、20~50μm、30~100μm、30~90μm、30~80μm、30~70μm、30~60μm、30~50μm、40~100μm、40~90μm、40~80μm、40~70μm、40~60μm、又は40~50μm。上記は単なる例であり、チャネル(例えば、122)の高さHchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。チャネル122の高さHchは、隔離ペンの基端開口部以外のチャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。
【0115】
隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるチャネル(例えば、122)の断面積は、以下の任意の範囲内であり得る:500~50,000平方μm、500~40,000平方μm、500~30,000平方μm、500~25,000平方μm、500~20,000平方μm、500~15,000平方μm、500~10,000平方μm、500~7,500平方μm、500~5,000平方μm、1,000~25,000平方μm、1,000~20,000平方μm、1,000~15,000平方μm、1,000~10,000平方μm、1,000~7,500平方μm、1,000~5,000平方μm、2,000~20,000平方μm、2,000~15,000平方μm、2,000~10,000平方μm、2,000~7,500平方μm、2,000~6,000平方μm、3,000~20,000平方μm、3,000~15,000平方μm、3,000~10,000平方μm、3,000~7,500平方μm、又は3,000~6,000平方μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)におけるチャネル(例えば、122)の断面積は、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。
【0116】
隔離ペンの様々な実施形態では、接続領域(例えば、236)の長さLconは、以下の任意の範囲内であり得る:約1~600μm、5~550μm、10~500μm、15~400μm、20~300μm、20~500μm、40~400μm、60~300μm、80~200μm、又は約100~150μm。上記は単なる例であり、接続領域(例えば、236)の長さLconは、上記例と異なる範囲(例えば、上記列挙される任意の終点により定義される範囲)内であることもできる。
【0117】
隔離ペンの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)での接続領域(例えば、236)の幅Wconは、以下の任意の範囲内であり得る:20~500μm、20~400μm、20~300μm、20~200μm、20~150μm、20~100μm、20~80μm、20~60μm、30~400μm、30~300μm、30~200μm、30~150μm、30~100μm、30~80μm、30~60μm、40~300μm、40~200μm、40~150μm、40~100μm、40~80μm、40~60μm、50~250μm、50~200μm、50~150μm、50~100μm、50~80μm、60~200μm、60~150μm、60~100μm、60~80μm、70~150μm、70~100μm、及び80~100μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)の接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記例と異なることができる(例えば、上記列挙される任意の終点により定義される範囲)。
【0118】
隔離ペンの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、隔離ペンが意図される微小物体(例えば、T細胞、B細胞、卵子、又は胚であり得る生体細胞)の最大寸法と少なくとも同じ大きさであり得る。例えば、卵母細胞、卵子、又は胚が配置される隔離ペンの基端開口部234における接続領域236の幅Wconは、以下の任意の範囲であり得る:約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、約225μm、約250μm、約300μm、又は約100~400μm、約120~350μm、約140~200~200 300μm、又は約140~200μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)における接続領域(例えば、236)の幅Wconは、上記例と異なってもよい(例えば、上記列挙される任意の端点により定義される範囲)。
【0119】
隔離ペンの様々な実施形態において、接続領域の基端開口部の幅Wprは、隔離ペンが意図される微小物体(例えば、細胞等の生物学的微小物体)の最大寸法と少なくとも同じ大きさであり得る。例えば、幅Wprは、約50μm、約60μm、約100μm、約200μm、約300μm、又は約50~300μm、約50~200μm、約50~100μm、約75~150μm、約75~100μm、又は約200~300μmの範囲であり得る。
【0120】
隔離ペンの様々な実施形態において、接続領域(例えば、236)の長さLconと基端開口部234における接続領域(例えば、236)の幅Wconとの比率は、以下の任意の比率以上であり得る:0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、又はこれを超える比率。上記は単なる例であり、接続領域236の長さLconと基端開口部234における接続領域236の幅Wconとの比率は、上記例と異なってもよい。
【0121】
マイクロ流体デバイスの様々な実施形態100、200、230、250、280、290、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200において、Vmaxは、約0.2マイクロリッター/秒、約0.3マイクロリッター/秒、約0.4マイクロリッター/秒、約0.5マイクロリッター/秒、約0.6マイクロリッター/秒、約0.7マイクロリッター/秒、約0.8マイクロリッター/秒、約0.9マイクロリッター/秒、約1.0マイクロリッター/秒、約1.1マイクロリッター/秒、約1.2マイクロリッター/秒、約1.3マイクロリッター/秒、約1.4マイクロリッター/秒、又は約1.5マイクロリッター/秒に設定することができる。
【0122】
隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離ペンの分離領域(例えば、240)の容積は、例えば、少なくとも5×105立方μm、少なくとも8×105立方μm、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、少なくとも8×106立方μm、少なくとも1×107立方μm、少なくとも5×107立方μm、少なくとも1×108立方μm、少なくとも5×108立方μm、少なくとも8×108立方μm、又はそれを超える容積であり得る。隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの様々な実施形態において、隔離ペンの容積は、約5×105立方μm、約6×105立方μm、約8×105立方μm、約1×106立方μm、約2×106立方μm、約4×106立方μm、約8×106立方μm、約1×107立方μm、約3×107立方μm、約5×107立方μm、又は約8×107立方μm、又はそれを超える容積であり得る。幾つかの他の実施形態では、隔離ペンの容積は、約1ナノリットル~約50ナノリットル、2ナノリットル~約25ナノリットル、2ナノリットル~約20ナノリットル、約2ナノリットル~約15ナノリットル、又は約2ナノリットル~約10ナノリットルであり得る。
【0123】
様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意の実施形態でのように構成された隔離ペンを有し、その場合、マイクロ流体デバイスは、約5~約10個の隔離ペン、約10~約50個の隔離ペン、約100~約500個の隔離ペン、約200~約1000個の隔離ペン、約500~約1500個の隔離ペン、約1000~約2000個の隔離ペン、又は約1000~約3500個の隔離ペンを有する。隔離ペンは、全て同じサイズである必要はなく、様々な構成(例えば、異なる幅、隔離ペン内の異なる特徴を含み得る。
【0124】
図2Cは、一実施形態によるマイクロ流体デバイス280を示す。マイクロ流体デバイス280は
図2Gに示され、マイクロ流体デバイス100の定型化された図である。実際には、マイクロ流体デバイス280及びその構成回路要素(例えば、チャネル122及び隔離ペン128)は本明細書で考察された寸法を有する。
図2Gに示されるマイクロ流体回路120は、2つのポート107、4つの別個のチャネル122、及び4つの別個の流路106を有する。マイクロ流体デバイス280は、各チャネル122に通じる複数の隔離ペンを更に含む。
図2Gに示されるマイクロ流体デバイスでは、隔離ペンは、
図2Cに示されるペンと同様のジオメトリを有し、したがって、接続領域及び分離領域の両方を有する。したがって、マイクロ流体回路120は、掃引領域(例えば、チャネル122及び2次フロー244の最大侵入深さD
p内の接続領域236の部分)及び非掃引領域(例えば、分離領域240及び2次フロー244の最大侵入深さD
p内にない接続領域236の部分)の両方を含む。
【0125】
図3A~
図3Bは、本発明によるマイクロ流体デバイス(例えば、100、200、230、250、280、290、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200)を動作させるため及び観測のために使用することができるシステム150の様々な実施形態を示す。
図3Aに示されるように、システム150は、マイクロ流体デバイス100(図示せず)又は本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体デバイスを保持するように構成された構造体(「ネスト」)300を含むことができる。ネスト300は、マイクロ流体デバイス320(例えば、光学的に作動される動電学的デバイス100)と界面を接することができ、電源192からマイクロ流体デバイス320への電気接続を提供することができるソケット302を含むことができる。ネスト300は、一体型電気信号生成サブシステム304を更に含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されているとき、バイアス電圧がマイクロ流体デバイス320内の電極の対にわたり印加されるように、バイアス電圧をソケット302に供給するように構成され得る。したがって、電気信号生成サブシステム304は電源192の部分であり得る。バイアス電圧をマイクロ流体デバイス320に印加する能力は、マイクロ流体デバイス320がソケット302により保持されている場合には常にバイアス電圧が印加されることを意味しない。むしろ、大半の場合、バイアス電圧は、断続的に、例えば、マイクロ流体デバイス320内での電気泳動又は電子ウェッティング等の動電力の生成を促進するために必要な場合にのみ印加される。
【0126】
図3Aに示されるように、ネスト300は、プリント回路基板組立体(PCBA)322を含むことができる。電気信号生成サブシステム304は、PCBA322に搭載され、PCBA322に電気的に集積することができる。例示的な支持体は、同様にPCBA322に搭載されるソケット302も含む。
【0127】
通常、電気信号生成サブシステム304は波形生成器(図示せず)を含む。電気信号生成サブシステム304は、波形生成器から受信される波形を増幅するように構成されたオシロスコープ(図示せず)及び/又は波形増幅回路(図示せず)を更に含むことができる。オシロスコープは、存在する場合、ソケット302により保持されるマイクロ流体デバイス320に供給される波形を測定するように構成され得る。特定の実施形態では、オシロスコープは、マイクロ流体デバイス320の基端位置(及び波形生成器の先端位置)において波形を測定し、それにより、デバイスに実際に印加されている波形を測定するに当たりより大きい精度を保証する。オシロスコープ測定から得られるデータは、例えば、フィードバックとして波形生成器に提供され得、波形生成器は、そのようなフィードバックに基づいて出力を調整するように構成され得る。適する結合された波形生成器及びオシロスコープの例は、Red Pitaya(商標)である。
【0128】
特定の実施形態では、ネスト300は、電気信号生成サブシステム304の検知及び/又は制御に使用される、マイクロプロセッサ等のコントローラ308を更に含む。適するマイクロプロセッサの例としては、Arduino Nano(商標)等のArduino(商標)マイクロプロセッサが挙げられる。コントローラ308を使用して機能及び分析を実行し、又は外部マスタコントローラ154(
図1Aに示される)と通信して機能及び分析を実行し得る。
図3Aに示される実施形態では、コントローラ308は、インタフェース310(例えば、プラグ又はコネクタ)を通してマスタコントローラ154と通信する。
【0129】
幾つかの実施形態では、ネスト300は、Red Pitaya(商標)波形生成器/オシロスコープユニット(「Red Pitayaユニット」)を含む電気信号生成サブシステム304と、Red Pitayaユニットにより生成された波形を増幅し、増幅電圧をマイクロ流体デバイス100に渡す波形増幅回路とを含むことができる。幾つかの実施形態では、Red Pitayaユニットは、マイクロ流体デバイス320での増幅電圧を測定し、次に、マイクロ流体デバイス320での測定電圧が所望の値であるように、必要に応じてそれ自体の出力電圧を調整するように構成される。幾つかの実施形態では、波形増幅回路は、PCBA322に搭載されるDC-DCコンバータの対により生成される+6.5V~-6.5V電源を有することができ、その結果、マイクロ流体デバイス100において13Vppまでの信号が生成される。
【0130】
図3Aに示されるように、支持構造体300は、熱制御サブシステム306を更に含むことができる。熱制御サブシステム306は、支持構造体300により保持されるマイクロ流体デバイス320の温度を調整するように構成され得る。例えば、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイス(図示せず)及び冷却ユニット(図示せず)を含むことができる。ペルチェ熱電デバイスは、マイクロ流体デバイス320の少なくとも1つの表面と界面を接するように構成された第1の表面を有することができる。冷却ユニットは、例えば、液冷アルミニウムブロック等の冷却ブロック(図示せず)であり得る。ペルチェ熱電デバイスの第2の表面(例えば、第1の表面とは逆の表面)は、そのような冷却ブロックの表面と界面を接するように構成され得る。冷却ブロックは、冷却ブロックを通して冷却流体を循環させるように構成された流体路314に接続することができる。
図3Aに示される実施形態では、支持構造体300は、流入口316及び流出口318を含む、外部リザーバ(図示せず)から冷却された流体を受け取り、冷却された流体を流体路314に導入し、冷却ブロックを通し、次に、冷却された流体を外部リザーバに戻す。幾つかの実施形態では、ペルチェ熱電デバイス、冷却ユニット、及び/又は流体路314は、支持構造体300のケース312に搭載することができる。幾つかの実施形態では、熱制御サブシステム306は、ペルチェ熱電デバイスの温度を調整して、マイクロ流体デバイス320の標的温度を達成するように構成される。ペルチェ熱電デバイスの温度調整は、例えば、Pololu(商標)熱電電源(Pololu Robotics and Electronics Corp.)等の熱電電源により達成することができる。熱制御サブシステム306は、アナログ回路により提供される温度値等のフィードバック回路を含むことができる。代替的に、フィードバック回路はデジタル回路により提供され得る。
【0131】
幾つかの実施形態では、ネスト300は、抵抗(例えば、抵抗1kオーム+/-0.1%、温度係数+/-0.02ppm/C0)及びNTCサーミスタ(例えば、公称抵抗1kオーム+/-0.01%を有する)を含むアナログ分圧回路(図示せず)であるフィードバック回路を有する熱制御サブシステム306を含むことができる。幾つかの場合、熱制御サブシステム306は、フィードバック回路からの電圧を測定し、次に、計算された温度値をオンボードPID制御ループアルゴリズムへの入力として使用する。PID制御ループアルゴリズムからの出力は、例えば、Pololu(商標)モーター駆動デバイス(図示せず)上の方向信号及びパルス幅変調信号ピンの両方を駆動して熱電電源を作動させることができ、それにより、ペルチェ熱電デバイスを制御する。
【0132】
ネスト300はシリアルポート350を含むことができ、シリアルポート324により、コントローラ308のマイクロプロセッサは、インタフェース310(図示せず)を介して外部マスタコントローラ154と通信することができる。加えて、コントローラ308のマイクロプロセッサは、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306と通信することができる(例えば、Plinkツール(図示せず)を介して)。したがって、コントローラ308、インタフェース310、及びシリアルポート324の組合せを介して、電気信号生成サブシステム304及び熱制御サブシステム306は、外部マスタコントローラ154と通信することができる。このようにして、マスタコントローラ154は、特に、出力電圧調整のためにスケーリング計算を実行することにより電気信号生成サブシステム304を支援することができる。外部マスタコントローラ154に結合された表示デバイス170を介して提供されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)(図示せず)は、熱制御サブシステム306及び電気信号生成サブシステム304からそれぞれ得られる温度データ及び波形データをプロットするように構成され得る。代替的に又は追加として、GUIは、コントローラ308、熱制御サブシステム306、及び電気信号生成サブシステム304への更新を可能にすることができる。
【0133】
上述したように、システム150は撮像デバイス194を含むことができる。幾つかの実施形態では、撮像デバイス194は光変調サブシステム330(
図3B参照)を含む。光変調サブシステム330は、デジタルミラーデバイス(DMD)又はマイクロシャッタアレイシステム(MSA)を含むことができ、これらのいずれかは、光源332から光を受け取り、受け取った光のサブセットを顕微鏡350の光学縦列に送るように構成され得る。代替的に、光変調サブシステム330は、有機発行ダイオードディスプレイ(OLED)、液晶オンシリコン(LCOS)デバイス、強誘電性液晶オンシリコンデバイス(FLCOS)、又は透過型液晶ディスプレイ(LCD)等のそれ自体の光を生成する(したがって、光源332の必要性をなくす)デバイスを含むことができる。光変調サブシステム330は、例えば、プロジェクタであり得る。したがって、光変調サブシステム330は、構造化光及び非構造化光の両方を発することが可能であり得る。適する光変調サブシステム422の一例は、Andor Technologies(商標)のMosaic(商標)システムである。特定の実施形態では、システム150の撮像モジュール164及び/又は原動モジュール162は、光変調サブシステム330を制御することができる。
【0134】
特定の実施形態では、撮像デバイス194は顕微鏡350を更に含む。そのような実施形態では、ネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350に搭載されるように個々に構成され得る。顕微鏡350は、例えば、標準の研究等級の光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡であるように構成され得る。したがって、ネスト300は、顕微鏡350のステージ344に搭載するように構成され得、及び/又は光変調サブシステム330は、顕微鏡350のポートに搭載されるように構成され得る。他の実施形態では、本明細書に記載されるネスト300及び光変調サブシステム330は、顕微鏡350の一体構成要素であり得る。
【0135】
特定の実施形態では、顕微鏡350は1つ又は複数の検出器348を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、検出器348は撮像モジュール164により制御される。検出器348は、接眼レンズ、電荷結合素子(CCD)、カメラ(例えば、デジタルカメラ)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。少なくとも2つの検出器348が存在する場合、1つの検出器は、例えば、高速フレームレートカメラであり得、一方、他の検出器は高感度カメラであり得る。更に、顕微鏡350は、マイクロ流体デバイス320から反射された光及び/又は発せられた光を受け取り、反射光及び/又は放射光の少なくとも部分を1つ又は複数の検出器348に結像するように構成された光学縦列を含むことができる。顕微鏡の光学縦列は、各検出器での最終倍率が異なることができるように、異なる検出器で異なるチューブレンズ(図示せず)を含むこともできる。
【0136】
特定の実施形態では、撮像デバイス194は、少なくとも2つの光源を使用するように構成される。例えば、第1の光源332は構造化光の生成(例えば、光変調サブシステム330を介した)に使用することができ、第2の光源334は非構造化光の提供に使用することができる。第1の光源332は、光学的に作動される動電学的及び/又は蛍光励起のために構造化光を生成することができ、第2の光源334は、明視野照明の提供に使用することができる。これらの実施形態では、原動モジュール164を使用して第1の光源332を制御することができ、撮像モジュール164を使用して第2の光源334を制御することができる。顕微鏡350の光学縦列は、(1)デバイスがネスト300により保持されているとき、構造化光を光変調サブシステム330から受け取り、構造化光を光学作動式動電学的デバイス等のマイクロ流体デバイス内の少なくとも第1の領域で結像し、(2)マイクロ流体デバイスから反射された光及び/又は発せられた光を受け取り、そのような反射光及び/又は放射光の少なくとも部分を検出器348上に結像するように構成され得る。光学縦列は、デバイスがネスト300により保持されているとき、非構造化光を第2の光源から受け取り、非構造化光をマイクロ流体デバイスの少なくとも第2の領域で結像するように更に構成され得る。特定の実施形態では、マイクロ流体デバイスの第1及び第2の領域は重複領域であり得る。例えば、第1の領域は、第2の領域のサブセットであり得る。
【0137】
図3Bでは、光を光変調サブシステム330に供給している第1の光源332が示されており、光変調サブシステム330は構造化光をシステム355(図示せず)の顕微鏡350の光学縦列に提供する。ビームスプリッタ336を介して非構造化光を光学縦列に提供している第2の光源334が示される。光変調サブシステム330からの構造化光及びに示されるように、第2の光源334からの非構造化光は、ビームスプリッタ336から光学縦列を通って一緒に移動して、第2のビームスプリッタ(又は光変調サブシステム330によって提供される光に応じて、ダイクロイックフィルタ338)に到達し、ここで、光は反射し、対物レンズ336を通して試料面342まで下がる。次に、試料面342からの反射光及び/又は放射光は再び対物レンズ340を通って移動し、ビームスプリッタ及び/又はダイクロイックフィルタ338を通り、ダイクロイックフィルタ346に到達する。ダイクロイックフィルタ346に達する光の一部のみが透過され、検出器348に到達する。
【0138】
幾つかの実施形態では、第2の光源334は青色光を発する。適切なダイクロイックフィルタ346を用いて、試料面342から反射された青色光は、ダイクロイックフィルタ346を透過し、検出器348に到達することが可能である。これとは対照的に、光変調サブシステム330から来る構造化光は、試料面342で反射されるが、ダイクロイックフィルタ346を透過しない。この例では、ダイクロイックフィルタ346は、495nmよりも長い波長を有する可視光を濾波して除外する。光変調サブシステム330からの光のそのような濾波は、光変調サブシステムから発せられる光が495nmよりも短いいかなる波長も含まない場合にのみ完了する(示されるように)。実際には、光変調サブシステム330から来る光が495nmよりも短い波長(例えば、青色波長)を含む場合、光変調サブシステムからの光の幾らかがフィルタ346を透過して検出器348に到達する。そのような実施形態では、フィルタ346は、第1の光源332から検出器348に到達する光の量と第2の光源334から検出器348に到達する光の量とのバランスを変更する役割を果たす。これは、第1の光源332が第2の光源334よりもはるかに強力な場合、有益であり得る。他の実施形態では、第2の光源334は、赤色光を発することができ、ダイクロイックフィルタ346は、赤色光以外の可視光(例えば、650nmよりも短い波長を有する可視光)を濾波して除外することができる。
【0139】
被覆溶液及び被覆剤
理論による限定を意図せずに、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成及び/又はEW構成マイクロ流体デバイス)内での生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の維持は、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つ又は複数の内面が、マイクロ流体デバイスと内部に維持される生物学的微小物体との間の主な界面を提供する有機分子及び/又は親水性分子の層を提示するように調整又は被覆される場合に促進し得る(すなわち、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイス内で生存率の増大、より大きい増殖、及び/又はより大きい可搬性を示す)。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの内面の1つ又は複数(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイスの電極活性化基板の内面、マイクロ流体のカバー、及び/又は回路材料の表面)は、有機分子及び/又は親水性分子の所望の層を生成するように、被覆溶液及び/又は被覆剤により処理又は修飾し得る。
【0140】
被覆は、生物学的微小物体を導入する前又は後に塗布してもよく、又は生物学的微小物体と同時に導入してもよい。幾つかの実施形態では、生物学的微小物体は、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の被覆剤を含む流体媒体中に搬入し得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイス(例えば、DEP構成マイクロ流体デバイス)の内面は、生物学的微小物体をマイクロ流体デバイスに導入する前に、被覆剤を含む被覆溶液を用いて処理又は「プライミング」される。
【0141】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの表面は、生物学的微小物体の維持及び/又は増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供する(例えば、後述するような調整面を提供する)被覆剤を含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの略全ての内面は被覆材料を含む。被覆された内面は、フロー領域(例えば、チャネル)の表面、チャンバの表面、隔離ペンの表面、又はそれらの組合わせを含み得る。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。他の実施形態では、複数のフロー領域又はチャネルのそれぞれは、被覆材料で被覆された少なくとも1つの内面を有する。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンのそれぞれ及び複数のチャネルのそれぞれの少なくとも1つの内面は、被覆材料で被覆される。
【0142】
被覆剤/溶液
限定ではなく、血清又は血清因子、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリマー、洗剤、酵素、及びそれらの任意の組合わせを含む任意の従来の被覆剤/被覆溶液を使用することができる。
【0143】
ポリマーベースの被覆材料
少なくとも1つの内面は、ポリマーを含む被覆材料を含み得る。ポリマーは、少なくとも1つの表面に共有結合又は非共有結合し得る(又は非特異的に付着し得る)。ポリマーは、ブロックポリマー(及びコポリマー)、星型ポリマー(星型コポリマー)、並びにグラフト又は櫛形ポリマー(グラフトコポリマー)に見られる等の多種多様な構造モチーフを有し得、これらは全て本明細書に開示される方法に適し得る。
【0144】
ポリマーは、アルキレンエーテル部分を含むポリマーを含み得る。広範囲のアルキレンエーテル含有ポリマーが、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスでの使用に適し得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの非限定的で例示的な一クラスは、ポリマー鎖内で異なる比率及び異なる場所にあるポリエチレンオキシド(PEO)サブユニット及びポリプロピレンオキシド(PPO)サブユニットのブロックを含む両親媒性非イオンブロックコポリマーである。Pluronic(登録商標)ポリマー(BASF)は、このタイプのブロックコポリマーであり、生細胞と接触する場合の使用に適することが当技術分野で既知である。ポリマーは、平均分子質量MWで、約2000Da~約20KDaの範囲であり得る。幾つかの実施形態では、PEO-PPOブロックコポリマーは、約10よりも大きい(例えば、12~18)の親水性親油性バランス(HLB)を有することができる。被覆された表面をもたらすのに有用な特定のPluronic(登録商標)ポリマーは、Pluronic(登録商標)L44、L64、P85、及びF127(F127NFを含む)を含む。別のクラスのアルキレンエーテル含有ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG MW<100,000Da)又は代替的にポリエチレンオキシド(PEO、MW>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、5000Da、10,000Da、又は20,000DaのMWを有し得る。
【0145】
他の実施形態では、被覆材料は、カルボン酸部分を含むポリマーを含み得る。カルボン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリ乳酸(PLA)である。他の実施形態では、被覆材料は、ポリマー骨格の末端又はポリマー骨格からのペンダントのいずれかにリン酸部分を含むポリマーを含み得る。更に他の実施形態では、被覆材料は、スルホン酸部分を含むポリマーを含み得る。スルホン酸サブユニットは、アルキル、アルケニル、又は芳香族部分含有サブユニットであり得る。非限定的な一例はポリスチレンスルホン酸(PSSA)又はポリアネトールスルホン酸である。更なる実施形態では、被覆材料はアミン部分を含むポリマーを含み得る。ポリアミノポリマーは、天然ポリアミンポリマー又は合成ポリアミンポリマーを含み得る。天然ポリアミンの例としては、スペルミン、スペルミジン、及びプトレッシンが挙げられる。
【0146】
他の実施形態では、被覆材料は、糖類部分を含むポリマーを含み得る。非限定的な例では、キサンタンガム又はデキストラン等のポリサッカリドが、マイクロ流体デバイスにおける細胞の突き刺しを低減又は阻止し得る材料を形成するのに適し得る。例えば、約3kDaのサイズを有するデキストランポリマーを使用して、マイクロ流体デバイス内の表面に被覆材料を提供し得る。
【0147】
他の実施形態では、被覆材料は、リボヌクレオチド部分又はデオキシリボヌクレオチド部分を有し、高分子電解質表面を提供し得る、ヌクレオチド部分、すなわち、核酸を含むポリマーを含み得る。核酸は、天然ヌクレオチド部分のみを含んでもよく、又は限定ではなく、7-デアザアデニン、ペントース、メチルホスホン酸、又はホスホロチオエート部分等の核酸塩基、リボース、リン酸塩部分類似物を含む非天然ヌクレオチド部分を含んでもよい。
【0148】
更に他の実施形態では、被覆材料は、アミノ酸部分を含むポリマーを含み得る。アミノ酸部分を含むポリマーは、天然アミノ酸含有ポリマー又は非天然アミノ酸含有ポリマーを含み得、これらのいずれかはペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質を含み得る。非限定的な一例では、被覆剤として、タンパク質は、ウシ血清アルブミン(BSA)並びに/或いはアルブミン及び/又は1つ又は複数の他の同様のタンパク質を含む血清(又は複数の異なる血清の組合わせ)であり得る。血清は、限定ではなく、ウシ胎仔血清、ヒツジ血清、ヤギ血清、ウマ血清等を含む任意の好都合のソースからのものであり得る。特定の実施形態では、被覆溶液中のBSAは、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約1mg/mL~約100mg/mLの範囲で存在する。特定の実施形態では、被覆溶液中の血清は、25%、30%、35%、40%、45%、又はそれを超えるか、若しくはそれらの間の任意の値を含め、約20%(v/v)~約50%v/vの範囲で存在し得る。幾つかの実施形態では、BSAは、5mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得、一方、他の実施形態では、BSAは、70mg/mLで被覆溶液中に被覆剤として存在し得る。特定の実施形態では、血清は、30%で被覆溶液中に被覆剤として存在する。幾つかの実施形態では、フォスター細胞成長への細胞の付着を最適化するために、細胞外基質(ECM)タンパク質を被覆材料内に提供し得る。被覆材料に包含し得る細胞基質タンパク質としては、限定ではなく、コラーゲン、エラスチン、RGD含有ペプチド(例えば、フィブロネクチン)、又はラミニンを挙げることができる。更に他の実施形態では、成長因子、サイトカイン、ホルモン、又は他の細胞シグナリング種をマイクロ流体デバイスの被覆材料内に提供し得る。
【0149】
幾つかの実施形態では、被覆材料は、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、又はアミノ酸部分の2つ以上を含むポリマーを含み得る。他の実施形態では、ポリマーの調整された表面は、被覆材料に独立して又は同時に組み込み得る、アルキレンオキシド部分、カルボン酸部分、スルホン酸部分、リン酸塩部分、サッカリド部分、ヌクレオチド部分、及び/又はアミノ酸部分をそれぞれ有する2つ以上のポリマーの混合物を含み得る。
【0150】
共有結合される被覆材料
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの内面は、マイクロ流体デバイス内の生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供して、そのような細胞に調整面を提供する共有結合分子を含む。
【0151】
共有結合分子は結合基を含み、結合基は、後述するように、マイクロ流体デバイスの1つ又は複数の表面に共有結合する。結合基は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分にも共有結合する。
【0152】
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル又はフルオロアルキル(ペルフルオロアルキルを含む)部分;モノ又はポリサッカリド(デキストランを含み得るが、これに限定されない);アルコール(プロパルギルアルコールを含むが、これに限定されない);ポリビニルアルコールを含むが、これに限定されないポリアルコール;ポリエチレングリコールを含み得るが、これに限定されないアルキレンエーテル;高分子電解質(ポリアクリル酸又はポリビニルホスホン酸を含むが、これに限定されない);アミノ基(アルキル化アミン、モルホルニル又はピペラジニル等であるが、これらに限定されない非芳香族化された窒素環原子を含むヒドロキシアルキル化されたアミノ基、グアニジニウム基、及びヘテロ環基等であるが、これらに限定されないその誘導体);プロピオル酸(カルボン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないカルボン酸;エチニルホスホン酸(ホスホン酸塩アニオン表面を提供し得る)を含むが、これに限定されないホスホン酸;スルホン酸アニオン;カルボキシベタイン;スルホベタイン;スルファミン酸;又はアミノ酸を含み得る。
【0153】
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される共有結合部分は、アルキル部分、フルオロアルキル部分(ペルフルオロアルキル部分を含むが、これに限定されない)等の置換アルキル部分、アミノ酸部分、アルコール部分、アミノ部分、カルボン酸部分、ホスホン酸部分、スルホン酸部分、スルファミン酸部分、又はサッカリド部分等の非ポリマー部分を含み得る。代替的には、共有結合部分は、上述した任意の部分であり得るポリマー部分を含み得る。
【0154】
幾つかの実施形態では、共有結合部分は、線状鎖(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも14、16、18、20、22、若しくはそれを超える個数の炭素の線状鎖)を形成する炭素原子を含むことができ、且つ直鎖アルキル部分であり得る。幾つかの実施形態では、アルキル基は置換アルキル基を含み得る(例えば、アルキル基の炭素の幾つかはフッ素化又はパーフルオロ化することができる)。幾つかの実施形態では、アルキル基は、非置換アルキル基を含み得る第2のセグメントに結合される、ペルフルオロアルキル基を含み得る第1のセグメントを含み得る。第1及び第2のセグメントは、直接又は間接的(例えば、エーテル結合により)に結合され得、ここで、アルキル基の第1のセグメントは、結合基の先端部に配置し得、アルキル基の第2のセグメントは、結合基の基端部に配置し得る。
【0155】
他の実施形態では、共有結合部分は、2つ以上の種類のアミノ酸を含み得る少なくとも1つのアミノ酸を含み得る。したがって、共有結合部分は、ペプチド又はタンパク質を含み得る。幾つかの実施形態では、共有結合部分は、双性イオン性表面を提供して、細胞成長、生存、可搬性、又はそれらの任意の組合せを支持し得るアミノ酸を含み得る。
【0156】
他の実施形態では、共有結合部分は、少なくとも1つのアルキレンオキシド部分を含み得、上述した任意のアルキレンオキシドポリマーを含み得る。アルキレンエーテル含有ポリマーの有用な1クラスは、ポリエチレングリコール(PEG Mw<100,000Da)又は代替的にはポリエチレンオキシド(PEO、Mw>100,000)である。幾つかの実施形態では、PEGは約1000Da、約5000Da、約10,000Da、又は約20,000DaのMwを有し得る。
【0157】
共有結合部分は1つ又は複数のサッカリドを含み得る。共有結合サッカリドはモノ、ジ、又はポリサッカリドであり得る。共有結合サッカリドは、表面に付着するような結合又は加工を可能にする反応ペア部分を導入するように修飾し得る。例示的な反応ペア部分は、アルデヒド、アルキン、又はハロ部分を含み得る。ポリサッカリドは、ランダムに修飾し得、各サッカリドモノマーが修飾されてもよく、又はポリサッカリド内のサッカリドモノマーの一部のみが、表面に直接若しくは間接的に結合され得る反応ペア部分を提供するように修飾される。一例は、直鎖リンカーを介して表面に間接的に結合され得るデキストランポリサッカリドを含み得る。
【0158】
共有結合部分は1つ又は複数のアミノ基を含み得る。アミノ基は、置換アミン部分、グアニジン部分、窒素含有ヘテロ環部分又はヘテロアリール部分であり得る。アミノ含有部分は、マイクロ流体デバイス内及び任意選択的に隔離ペン及び/又はフロー領域(例えば、チャネル)内の環境のpH変更を可能にする構造を有し得る。
【0159】
調整面を提供する被覆材料は、一種のみの共有結合部分を含んでもよく、又は2つ以上の異なる種類の共有結合部分を含んでもよい。例えば、フルオロアルキル調整面(ペルフルオロアルキルを含む)は、全て同じ、例えば、表面への同じ結合基及び共有結合、同じ全体長、及びフルオロアルキル部分を含む同数のフルオロメチレン単位を有する複数の共有結合部分を有し得る。代替的には、被覆材料は、表面に付着する2種類以上の共有結合部分を有し得る。例えば、被覆材料は、指定された数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有する共有結合アルキル又はフルオロアルキル部分を有する分子を含み得、被覆面においてより嵩張った部分を提示する能力をお提供し得る、より多数のメチレン又はフルオロメチレン単位を有するアルキル又はフルオロアルキル鎖に共有結合した荷電部分を有する更なる組の分子を更に含み得る。この場合、異なる、立体的に要求が余り厳しくない末端及びより少数の骨格原子を有する第1の組の分子は、基板表面全体を官能化し、それにより基板自体を構成するケイ素/酸化ケイ素、酸化ハフニウム、又はアルミナへの望ましくない付着又は接触を回避するのに役立つことができる。別の例では、共有結合部分は、表面上でランダムに交流電荷を提示する両性イオン表面を提供し得る。
【0160】
調整面特性
調整された表面の組成以外で、疎水性材料の物理的厚さ等の他の要因がDEP力に影響し得る。調整された表面が基板に形成される様式(例えば、蒸着、液相堆積、スピンコーティング、フラッディング、及び静電コーティング)等の様々な要因が調整された表面の物理的厚さを変更し得る。幾つかの実施形態では、調整面は、約1nm~約10nm、約1nm~約7nm、約1nm~約5nm、又はそれらの間の任意の個々の値の厚さを有する。他の実施形態では、共有結合部分により形成される調整面は、約10nm~約50nmの厚さを有し得る。様々な実施形態では、本明細書において記載されるように準備される調整面は、10nm未満の厚さを有する。幾つかの実施形態では、調整面の共有結合部分は、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、DEP構成基板表面)に共有結合した場合、単層を形成し得、10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5nm~3.0nm)の厚さを有し得る。これらの値は、約30nmの範囲の厚さを有するCYTOP(登録商標)(Asahi Glass Co., Ltd.、日本)フルオロポリマースピンコーティングの厚さとは対照的である。幾つかの実施形態では、調整面は、DEP構成マイクロ流体デバイス内での動作に適宜機能的であるために、完全に形成された単層を必要としない。
【0161】
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスの調整面を提供する被覆材料は、所望の電気特性を提供し得る。理論による限定を意図せずに、特定の被覆材料が被覆された表面の堅牢性に影響する一因子は、本質的に電荷捕獲である。異なる被覆材料は電子を捕獲し得、これは被覆材料の破壊に繋がる恐れがある。被覆材料の欠陥は、電荷捕獲を増大させ、被覆材料の更なる破壊に繋がる恐れがある。同様に、異なる被覆材料は異なる絶縁耐力(すなわち、絶縁破壊が生じる最小印加電場)を有し、これは電荷捕獲に影響を有し得る。特定の実施形態では、被覆材料は、その電荷捕獲量を低減又は制限する全体構造(例えば、高密度単層構造)を有することができる。
【0162】
調整された表面は、その電気特性に加えて、生体分子との併用に有利な特性を有することもできる。例えば、フッ化(又はパーフルオロ化)炭素鎖を含む調整された表面は、表面ファウリング量を低減するに当たり、アルキル末端鎖と比較して利点を提供し得る。表面ファウリングは、本明細書で使用される場合、タンパク質及びその老廃物、核酸及び各老廃物等のバイオ材料の永久的又は半永久的な堆積を含み得る、マイクロ流体デバイスの表面への無差別材料堆積量を指す。
【0163】
単一又は複数パートの調整面
共有結合被覆材料は、後述するように、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を既に含む分子の反応により形成し得る。代替的には、共有結合被覆材料は、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分を、それ自体が表面に共有結合した表面修飾リガンドに結合することにより、2部シーケンスで形成し得る。
【0164】
共有結合された被覆材料を準備する方法
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの表面(例えば、隔離ペン及び/又はフロー領域の少なくとも1つの表面を含む)に共有結合した被覆材料は、式1又は式2の構造を有する。被覆材料は、表面に1ステップで導入される場合、式1の構造を有し、一方、被覆材料は、複数ステッププロセッサで導入される場合、式2の構造を有する。
【化1】
【0165】
被覆材料は、DEP構成又はEW構成基板の表面の酸化物に供給結合し得る。DEP又はEW構成基板は、ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、又は酸化ハフニウムを含み得る。酸化物は、基板の元の化学構造の一部として存在してもよく、又は後述するように導入し得る。
【0166】
被覆材料は、結合基(「LG」)を介して酸化物に結合し得、LGは、シロキサン基又はホスホン酸基と酸化物との反応から形成されるシロキシ又はホスホネートエステル基であり得る。マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、本明細書に記載される任意の部分であり得る。結合基LGは、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に直接又は間接的に接続し得る。結合基LGがその部分に直接接続される場合、任意選択的なリンカーLは存在せず、nは0である。結合基LGが部分に間接的に接続される場合、リンカーLが存在し、nは1である。リンカーLは、線状部の骨格が、当技術分野で既知の化学結合制約を受けるケイ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びリン原子の任意の組合せから選択される1~200個の非水素原子を含み得る線状部を有し得る。それは、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、アミド基、又はリン酸基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、又はヘテロ環基からなる群から選択される1つ又は複数の部分の任意の組合せで中断され得る。幾つかの実施形態では、リンカーLの骨格は10~20個の炭素を含み得る。他の実施形態では、リンカーLの骨格は約5原子~約200原子、約10原子~約80原子、約10原子~約50原子、又は約10原子~約40原子を含み得る。幾つかの実施形態では、骨格原子は全て炭素原子である。
【0167】
幾つかの実施形態では、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分は、複数ステッププロセスで基板の表面に追加し得、上で示された式2の構造を有する。この部分は、上述した任意の部分であり得る。
【0168】
幾つかの実施形態では、結合基CGは、反応部分Rxとペアとなる反応部分Rpx(すなわち、反応部分Rxと反応するように構成される部分)との反応の結果生成される基を表す。例えば、典型的な1つの結合基CGはカルボキサミジル(carboxamidyl)基を含み得、これは、アミノ基と、活性化エステル、酸クロリド等のカルボン酸の誘導体との反応の結果である。他のCGは、トリアゾリレン(triazolylene)基、カルボキサミジル(carboxamidyl)、チオアミジル、オキシム、メルカプチル(mercaptyl)、二硫化物、エーテル、又はアルケニル基、又は反応部分とペアとなる各反応部分との反応時に形成し得る任意の他の適する基を含み得、結合基CGは、リンカーLの第2の端部(すなわち、マイクロ流体デバイスにおける生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分に近い端部)に配置し得、これは上述した要素の任意の組合せを含み得る。幾つかの他の実施形態では、結合基CGは、リンカーLの骨格を中断し得る。結合基CGは、トリアゾリレン(triazolylene)である場合、クリック結合反応からの結果である産物であり得、更に置換し得る(例えば、ジベンゾシクロオクチル溶融トリアゾリレン(triazolylene)基)。
【0169】
幾つかの実施形態では、被覆材料(又は表面修飾リガンド)は、化学蒸着を使用してマイクロ流体デバイスの内面に堆積する。蒸着プロセスは任意選択的に、例えば、溶媒浴への露出、超音波処理、又はそれらの組合せにより、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板(例えば、DEP構成基板の電極活性化基板206の内面208又はEW構成基板の支持構造体104の誘電層)を予めクリーニングすることにより改善することができる。代替又は追加として、そのような事前クリーニングは、カバー110、マイクロ流体回路材料116、及び/又は基板を酸素プラズマクリーナにおいて処理することを含むことができ、酸素プラズマクリーナは、様々な不純物を除去することができ、それと同時に酸化表面(例えば、表面における酸化物、本明細書に記載されるように共有結合的に修飾し得る)を導入することができる。代替的には、塩酸と過酸化水素との混合物又は硫酸と過酸化水素との混合物(例えば、硫酸と過酸化水素との比率が約3:1~約7:1であり得るピラニア溶液)等の液相処理を酸素プラズマクリーナの代わりに使用することもできる。
【0170】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス200が組み立てられて、マイクロ流体回路120を画定するエンクロージャ102を形成した後、蒸着を使用して、マイクロ流体デバイス200の内面を被覆し得る。理論による限定を意図せずに、そのような被覆材料を完全に組み立てられたマイクロ流体回路120に堆積させることは、マイクロ流体回路材料116と電極活性化基板206の誘電層及び/又はカバー110との結合の弱化により生じる剥離を回避するに当たり有利であり得る。2ステッププロセスが利用される実施形態では、表面修飾リガンドは、上述したように蒸着を介して導入し得、続けて、生物学的微小物体の維持/増殖に適した有機分子及び/又は親水性分子の層を提供するように構成される部分が導入される。続く反応は、表面修飾マイクロ流体デバイスを溶液中の適する結合試薬に露出させることにより実行し得る。
【0171】
図2Hは、調整面を提供する例示的な共有結合被覆材料を有するマイクロ流体デバイス290の断面図を示す。示されるように、被覆材料298(概略的に示される)は、マイクロ流体デバイス290の基板286の内面294及びカバー288の内面292の両方に共有結合した高密度分子の単層を含むことができる。被覆材料298は、幾つかの実施形態では、上述したように、マイクロ流体デバイス290内の回路要素及び/又は構造の画定に使用されるマイクロ流体回路材料(図示せず)の表面を含む、マイクロ流体デバイス290のエンクロージャ284に近くエンクロージャ284に向かって内側に面する略全ての内面294、292に配置することができる。代替の実施形態では、被覆材料298は、マイクロ流体デバイス290の内面の1つのみ又は幾つかに配置することができる。
【0172】
図2Hに示される実施形態では、被覆材料298は、オルガノシロキサン分子の単層を含むことができ、各分子は、シロキシリンカー296を介してマイクロ流体デバイス290の内面292、294に共有結合する。上記の被覆材料298のいずれかを使用することができ(例えば、アルキル末端、フルオロアルキル末端部分、PEG末端部分、デキストラン末端部分、又はオルガノシロキサン部分に正電荷又は負電荷を含む末端部分)、末端部分は、エンクロージャに面する末端に配置される(すなわち、内面292、294に結合されず、エンクロージャ284に近い被覆材料298の単層の部分)。
【0173】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイス290の内面292、294の被覆に使用される被覆材料298はアニオン部分、カチオン部分、両性イオン部分、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。理論による限定を意図せずに、カチオン部分、アニオン部分、及び/又は両性イオン部分をマイクロ流体回路120のエンクロージャ284の内面に提示することにより、被覆材料298は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。加えて、被覆材料298が被覆剤と併用される実施形態では、被覆材料298のアニオン、カチオン、又は両性イオンは、エンクロージャ284内の媒体180(例えば、被覆溶液)中に存在する非共有結合被覆剤(例えば、溶液中のタンパク質)の荷電部分とイオン結合を形成することができる。
【0174】
更に他の実施形態では、被覆材料は、エンクロージャに面した末端において親水性被覆剤を含み得るか、又は提示するように化学的に修飾し得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、PEG等のアルキレンエーテル含有ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、被覆材料は、デキストラン等のポリサッカリドを含み得る。上述した荷電部分(例えば、アニオン部分、カチオン部分、及び両性イオン部分)のように、親水性被覆剤は、その結果生成される水和の水が、生物学的微小物体を非生物学的分子(例えば、基板のケイ素及び/又は酸化ケイ素)との相互作用から分離する層(又は「シールド」)として機能するような、強力な水との水素結合を形成することができる。
【0175】
適切な被覆処理及び修飾の更なる詳細については、2016年4月22日に出願された米国特許出願公開第15/135,707号において見出し得、この特許出願は全体的に参照により本明細書に援用される。
【0176】
マイクロ流体デバイスの隔離ペン内の細胞の生存性を維持する追加のシステム構成要素
細胞集団の成長及び/又は増殖を促進するために、システムの追加の構成要素により、機能的な細胞の維持を促す環境状況を提供し得る。例えば、そのような追加の構成要素は、栄養素、細胞成長シグナリング種、pH調整、ガス交換、温度制御、及び細胞からの老廃物の除去を提供することができる。
【0177】
インサイチュー生成分離構造
マイクロ流体細胞操作の多くの用途では、そのような微小物体、細胞、ビーズ等マイクロ流体内容物の光学フィードバックに基づいて、マイクロ流体環境内で構造を変更する能力を有することが有用である。リアルタイム情報を使用して、マイクロ流体フィールド内で弁機能を変更し、培地フローを向け、マイクロ流体チップの選択された部分に細胞を向け、細胞を選択するようにマイクロ流体デバイスに変更を加えることは困難であった。加えて、微小物体を処理する方法の一環として、構造を除去することが望ましいことがある。光学的に作動する誘電泳動又はオプトエレクトロウェッティング細胞及び流体操作モードは、これらの機能の多くにとって非常に有用であるが、マイクロ流体デバイス内のマイクロ流体フロー領域及びペン環境を変更し、内部の細胞及び流体を選択し、分離し、方向付けるリアルタイムの能力を提供する更に別の微小物体及び培地フロー操作モードが望ましい。
【0178】
本明細書に記載のように、驚くべきことに、多種多様な分離構造をマイクロ流体(又はナノ流体)デバイス内においてインサイチューで生成可能なことが発見された。多くの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、全体的な生存性を妨げずに、生体細胞が存在する状態で製作し得る。これらのインサイチュー分離構造は、特に、マイクロ流体デバイス内の細胞の組から1つの細胞を選択的に分離するか、培地フロー、試料含有フロー、若しくは試薬フローを選択的且つ可逆的に弁で調節するか、希釈入力ソースから細胞を濃縮させるか、同じデバイス内のクローン集団からの細胞をアッセイするか、層流を制御するか、層流を選択的に混合するか、又は細胞株の開発を指示するのに使用し得る。本出願人は、インサイチュー生成分離構造を有するこれらのクラスのデバイスのマイクロ流体デバイス、組成物、及び使用方法について説明する。
【0179】
基板、エンクロージャ内に配置されるフロー領域、及び基板に配置される少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を含むエンクロージャを含むマイクロ流体(又はナノ流体)デバイスが提供される。インサイチュー生成分離構造は、固化ポリマー網目構造を含み得る。固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ケイ素を含まない。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、感熱性ポリマーを含み得る。固化ポリマー網目構造は、インサイチューで固化し得る。インサイチュー生成分離構造の全て又は一部は、固化ポリマー網目構造からなり得る。
【0180】
インサイチュー生成分離構造は、完全に閉じられた構造、微小物体の通過を許容するのに十分に大きい開口部を周縁の一部に有する構造、バリア、又はそれらの任意の組合せであり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、ペンのように構成され得る。幾つかの非限定的な例を
図9C、
図9D、及び
図11Bに示す。インサイチュー生成分離構造は、1つ又は複数の微小物体又は複数の微小物体のサブセットの分離に都合のよい任意の形状で構成され得る。インサイチュー生成分離構造は、単一の細胞を含むサイズであってもよく、又は複数の細胞を含んでもよい。インサイチュー生成分離構造は、分離領域及び接続領域を有し、接続領域がフロー領域(フローチャネルであり得る)への基端開口部を有し、且つ分離領域への先端開口部を有する、隔離ペンのように構成され得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、フロー領域/チャネルへの開口部を有するペンであり得るが、インサイチュー生成ペンは、隔離ペンの接続領域を必ずしも有する必要はない。
【0181】
インサイチュー生成分離構造は、インサイチュー生成バリアであることもできる。インサイチュー生成ペン又はバリアは、一緒になってペン又はバリアを形成する複数のインサイチュー生成モジュールを含み得る。様々な実施形態では、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造は、フロー領域に配置される複数のインサイチュー生成分離モジュールを含み得、インサイチュー生成分離モジュールは、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通る微小物体の通過をサイズに応じて実質的に制限するように構成され得る。幾つかの実施形態では、複数のインサイチュー生成分離モジュールのそれぞれは、5ミクロン以上の直径を有する微小物体が少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通ることを実質的に阻止し得るように互いから離間され得る。幾つかの実施形態では、複数のインサイチュー生成分離モジュールは、2つの異なるタイプの生物学的微小物体を区別し、第1のタイプの生物学的微小物体を少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造内外に通し、第2のタイプの生物学的微小物体が少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通ることを実質的に阻止するように構成され得る。様々な実施形態では、複数のインサイチュー生成分離モジュールは、微小ビーズが少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通ることを実質的に阻止するように構成され得る。
【0182】
幾つかの実施形態では、2つ以上のインサイチュー生成分離構造をマイクロ流体デバイス内に生成し得る。マイクロ流体デバイスは、複数のインサイチュー生成分離構造を有し得る。2つ以上のインサイチュー生成分離構造がマイクロ流体デバイスにおいて生成される場合、2種類以上のインサイチュー生成分離構造を任意の組合せで生成し得る。
【0183】
インサイチュー生成分離構造は、一時的であるように設計してもよく、又はマイクロ流体デバイスで実行中の実験/アッセイ/ソート/クローン化プロセスが終わるまで定位置に保持してもよい。インサイチュー生成分離構造の固化ポリマー網目構造は、フロー領域を通る増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明の適用により、少なくとも部分的に除去可能であり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造の少なくとも一部は、非限定的な一例として、フロー領域中の流体媒体のフローを使用して除去可能であり得る。
【0184】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、複数のインサイチュー生成ペンを更に含み得る。複数のインサイチュー生成ペンのそれぞれは、互いに隣接して配置されるように配置し得る。複数のインサイチュー生成ペンのそれぞれは、互いに連続して配置される基端開口部を有し得る。幾つかの実施形態では、2つ以上の複数のインサイチュー生成ペンをフロー領域内に形成し得、又は各チャネルに沿って配置されるインサイチュー生成ペンを有する複数のチャネルがあり得る。
図9C、
図9D、及び
図11Bは、様々なインサイチュー生成ペンを示す。
【0185】
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスは、少なくとも1つの隔離ペンを更に含み得、隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。幾つかの実施形態では、隔離ペンは、インサイチュー生成分離構造であり得る。様々な実施形態では、少なくとも1つの隔離ペンは、インサイチュー生成分離構造ではない。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、インサイチュー生成バリアを含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、複数の隔離ペンを更に含み得る。デバイスは、マイクロ流体チャネルを更に含み得る。複数の隔離ペンは、チャネルに沿って互いに隣接して配置し得る。複数の隔離ペンのそれぞれは、行に並べられ得、複数の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの1つの側において開く(例えば、マイクロ流体チャネルを画定する壁から共通の方向において開く)。幾つかの実施形態では、2つ以上の複数の隔離ペンがフロー領域内に存在してもよく、又は各チャネルに沿って配置される隔離ペンを有する複数のチャネルがあり得る。2つ以上の複数の隔離ペンがマイクロ流体デバイスのフロー領域内に存在する場合、複数の隔離ペンの1つ又は複数は、インサイチュー生成分離構造内にあり得る。代替的には、それぞれ複数の隔離ペン内において、隔離ペンの幾つか又は全ては、インサイチュー生成隔離ペン内にあり得る。
【0186】
フロー領域への隔離ペンの基端開口部は、フロー領域における流体媒体のフローに略平行して向け得る。幾つかの実施形態では、フロー領域への隔離ペンの基端開口部は、流体媒体のフローを直接受け取らないように向け得る。フロー領域(又はフローチャネル)における流体媒体は、実質的に拡散のみにより隔離ペンの分離領域内の流体媒体と交換し得る。基端開口部は、微小物体が、いくらかの流れを受け取る場合であっても隔離ペンから出ることを阻止するように、流体フローに対して傾斜して向け得る。インサイチュー生成分離構造はリアルタイムで生成し得るため、向きは、フローに対して直角でなくてよく、又はフローに対して直角ではないように選択し得る。
【0187】
幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、微小物体のフローに対して透過性であるように構成され得る。固化ポリマー網目構造は、複数の微小物体の少なくともサブセットに対して透過性でなくてよい。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、約500nm超、約600nm超、約700nm超、約800nm超、約900nm超、約1ミクロン超、約2ミクロン超、約3ミクロン超、約4ミクロン超、約5ミクロン超、約6ミクロン超、約7ミクロン超、約8ミクロン超、約9ミクロン超、約10ミクロン超、約11ミクロン超、約12ミクロン超、約13ミクロン超、約14ミクロン超、約15ミクロン超、又はそれよりも大きい直径を有する微小物体に対して略透過性ではない。
【0188】
固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーから形成された少なくとも一部を更に有し得る。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造の全ては、光開始ポリマーから形成し得る。他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、感熱性ポリマーから形成された少なくとも一部を有し得る。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造のポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーであり得る。生体ポリマーは、光又は温度で活性化可能であり得る。合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、又は細胞認識モチーフを含み得る。幾つかの実施形態では、ポリマーは、修飾ポリエチレングリコールであり得る。固化ポリマー網目構造は、本明細書に記載され、より十分に後述する任意の適するポリマーであり得る。
【0189】
マイクロ流体デバイスは熱パッドを更に含み得る。熱パッドは、基板のインサイチュー生成分離構造の位置に配置し得る。熱パッドは、高い熱伝導性を有し、任意選択的に可視及び/又は赤外線電磁放射線を吸収する材料を含み得る。熱パッドは、金属形状を基板上に退陣することにより製作し得る。熱パッドは、光源により励起して熱を生成することができる任意のタイプの金属を含むことができる。適する金属としては、クロム、金、銀、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。複数の金属、例えば、クロムの層、チタンの層、金の層は、多層熱パッドにおいて組み合せ得る。他の金属(及び合金)も当技術分野で既知である。熱パッドは、連続金属表面を含むこともでき、又は金属のパターン(例えば、ドット、正方形、線、円錐、不規則形等の金属形状)を含むこともできる。幾つかの実施形態では、熱パッドは、インサイチュー生成分離構造が生成されることになる/生成された位置の全て又は一部の下に配置し得る。熱パッドを使用して、インサイチュー生成分離構造をゲル化、膨張、縮小、又は除去するための熱を生成し得る。熱は、そのようなゲル化、膨張、縮小、又は除去が望まれるマイクロ流体デバイスの位置に光を向けることにより生成し得る。代替的には、熱は、電気的に(例えば、熱パッドの一部又は熱パッドに結合される電気抵抗により)生成し得る。
【0190】
マイクロ流体デバイスはカバーを含み得、カバーは、インサイチュー生成分離構造の固化ポリマー網目構造を形成するためにポリマーを光活性化する範囲内の波長を有する照明を実質的に透過し得る。カバーは、インサイチュー生成分離構造の光切断及び光分解に適した範囲の照明を実質的に透過することもでき、それにより構造の縮小及び/又は削除を可能にする。様々な実施形態では、カバーは、カバーに向けられた光の約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、又は約90%超を透過し得る。カバーは、より低い光透過率を有してもよく、それもなお露出時間を増大させることにより利用することができる。
【0191】
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスのエンクロージャは、選択セクタを更に含み得る。幾つかの実施形態では、エンクロージャは分離セクタを含むこともできる。フロー領域は、選択セクタの部分であり得、分離セクタ内に更に延在し得る。フロー領域は、選択セクタ、分離セクタ、又は両方に配置し得るチャネルとして構成され得る。幾つかの実施形態では、フロー領域は、選択セクタにチャネルを有さず、分離セクタにチャネルを有し得る。他の実施形態では、フロー領域は、選択セクタ及び分離セクタの両方を占める。インサイチュー生成分離構造は選択セクタに配置し得る。
図5A、
図5B、
図6、
図7、
図8、
図9A、
図9B、
図11B、
図13A~
図13C、及び
図17は、選択セクタにおけるインサイチュー生成分離構造の幾つかの例である。
【0192】
他の実施形態では、インサイチュー生成分離構造は分離セクタに配置し得る。
図9C、
図9D、
図10C、
図12B、
図16、及び
図19Bは、分離セクタに配置された分離構造の非限定的な例を示す。分離セクタは、チャネルに沿って更に配置し得る少なくとも1つの隔離ペンを含み得る。幾つかの実施形態では、分離セクションは複数の隔離ペンを含み得る。分離セクタ内の1つ又は複数の隔離ペンは、インサイチュー生成分離構造内にあり得る。例えば、
図9D又は
図11Bのインサイチュー生成分離構造の構成及び寸法に応じて、これらの構造は隔離ペンと見なし得る。分離セクタは、インサイチュー生成分離構造内にない少なくとも1つの隔離ペンを含み得る。
【0193】
インサイチュー生成分離構造は、フロー領域に配置され、複数の微小物体の少なくとも1つが出ることを阻止するように構成される複数のインサイチュー生成分離モジュールを有し得る。複数のインサイチュー生成分離モジュールは、インサイチュー生成バリアモジュールと同義で呼ばれ得、インサイチュー生成分離モジュールにより形成される全体的なインサイチュー生成分離構造は、本明細書ではインサイチュー生成バリアと呼ばれるインサイチュー生成分離構造のグループのメンバであり得る。
図6、
図7、
図8A、
図8B、
図9A~
図9Cは非限定的な例を示す。インサイチュー生成分離モジュールを使用して、より大きい微小物体(例えば、生体細胞)を保持しながら、より小さい微小物体を差別的に透過させ得る。例えば、ビーズ又は微小ビーズ等の微小物体は、約1ミクロン~約5ミクロン、約5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約15ミクロンの範囲の直径を有し得る。これとは対照的に、生体細胞は、例えば、細菌細胞の場合、約2ミクロン~約5ミクロン、真核動物体細胞の場合、約9ミクロン~約30ミクロン、真核植物細胞の場合、約10ミクロン~約100ミクロン、及びヒト卵母細胞の場合、約100ミクロンの直径を有し得る。各複数のインサイチュー生成分離モジュールは、特定の直径の微小物体が、そうして形成されたインサイチュー生成バリアに入る、インサイチュー生成バリアから出る、及び/又はインサイチュー生成バリアを通ることを阻止する距離で互いから離間され得る。インサイチュー生成バリアモジュール間の開口部のサイズは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがインサイチュー生成分離構造から出ることを阻止するようなサイズであり得る。非限定的な一例では、約10ミクロン未満の直径を有するビーズ又は微小ビーズは、約10ミクロン離間されたモジュールを有するインサイチュー生成バリアを通過し得、一方、10ミクロン以上の直径を有するヒト細胞は、インサイチュー生成バリアモジュールに入る、インサイチュー生成バリアモジュールから出る、及び/又はインサイチュー生成バリアモジュールを通ることを阻止され得る。したがって、インサイチュー生成分離構造は、あるタイプの微小物体を第2のタイプの微小物体からソートするように機能するインサイチュー生成バリアであり得、ここで、微小物体は約1ミクロン~約20ミクロンの範囲の直径を有する。例えば、サイズの異なる生体細胞を含む複数のタイプの微小物体を含む試料は、試料をマイクロ流体デバイスのフロー領域の、バリアモジュールを含むインサイチュー生成バリアを有するセクタに導入することによりソートし得る。バリアは、より大きい細胞がインサイチュー生成バリアを通過することを阻止しながら、より小さい細胞にバリアのギャップを透過させるようなサイズであり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアを通ることができる一種の微小物体は、生体細胞ではなくビーズであり得る。インサイチュー生成バリアモジュールを有するインサイチュー生成バリアは、選択セクタに配置し得る。
【0194】
【0195】
インサイチュー生成バリアは、エンクロージャ内の、選択セクタ又は分離セクタがある場合には選択セクタ又は分離セクタ内に配置されて、マイクロ流体チャネル又は隔離ペンの一方の少なくとも部分的な遮断を提供し得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの分離領域に配置し得る。
図10A~
図10C及び
図12Bは、隔離ペンの分離領域におけるインサイチュー生成バリアの非限定的な例を示す。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの幅は、分離領域の幅の約1/4~約3/4、約1/4~約1/2、又は1/4約~約5/8である。分離領域にわたるインサイチュー生成バリアの幅は、約3ミクロン~約50ミクロン、約5ミクロン~約40ミクロン、約5ミクロン~約30ミクロン、約5ミクロン~約20ミクロン、又は約7ミクロン~約2ミクロンであり得る。分離領域の幅は、約30ミクロン~約50ミクロン、約20ミクロン~約40ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、約30ミクロン~約90ミクロン、約30ミクロン~約120ミクロン、又は約30ミクロン~約250ミクロンであり得る。インサイチュー生成バリアのサイズは、分離された微小物体が、低減されたインサイチュー生成バリアを通って出られるようにするのに十分な温度変更又は光学照明により低減し得る。
【0196】
バリアは、隔離ペン内又はバリアが囲むセクタに配置された微小物体の少なくとも1つのサブセットを捕捉する方向された捕捉部分を更に含み得る。
図10A~
図10Cは、内部に組み込まれた捕捉部分を有するバリアの非限定的な一例を示し、捕捉部分は、限定ではなく、抗体、結合モチーフを含むペプチド/タンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0197】
他の実施形態では、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの接続領域内に配置し得る。
図4、
図16、
図21、及び
図22は、そのようなインサイチュー生成バリアの非限定的な例を示す。インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの接続領域の幅にわたり、隔離ペンの分離領域に配置される複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットの流出を遮断するサイズの寸法を有し得る。微小物体の少なくとも1つのサブセットは、生体細胞であり得、更に、インサイチュー生成バリアにより遮断される一種の生体細胞であり得る。他の実施形態では、バリアは、ビーズを流出させるサイズであり得る。バリアは、隔離ペン内(若しくはその接続領域内)又はバリアが囲むセクタ内に配置される微小物体の少なくとも1つのサブセットを捕捉するように構成される捕捉部分を更に含み得、捕捉部分は、抗体、結合モチーフを含むペプチド/タンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
図10A~
図10Cは内部に組み込まれた捕捉部分を有するバリアの非限定的な一例を示す。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの部分は、接続領域内からマイクロ流体チャネルに延在し得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体チャネルに延在するインサイチュー生成バリアの部分は、インサイチュー生成バリアの容積の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、又は約5%未満を含む。
【0198】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの幅は、接続領域の幅の約1/4~約3/4、約1/4~約1/2、又は1/4約~約5/8である。接続領域にわたるインサイチュー生成バリアの幅は、約3ミクロン~約50ミクロン、約5ミクロン~約40ミクロン、約5ミクロン~約30ミクロン、約5ミクロン~約20ミクロン、又は約7ミクロン~約25ミクロンであり得る。接続領域の幅は、約30ミクロン~約50ミクロン、約20ミクロン~約40ミクロン、約30ミクロン~約60ミクロン、又は約30ミクロン~約90ミクロンであり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、第1の状態及び第2の状態を有するように構成され得、インサイチュー生成バリアは、第1の状態である場合、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが隔離ペンから出ることを阻止するように構成され、第2の状態である場合、少なくとも1つのサブセットを隔離ペンから出るように通過させるように構成される。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、第1の状態及び第2の状態を有するように構成され、インサイチュー生成バリアは、第1の状態である場合、1ミクロン~20ミクロンの直径を有する複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが隔離ペンから出ることを阻止するように構成されるサイズを有し、第2の状態である場合、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットを隔離ペンから出るように通過させるサイズを有する。インサイチュー生成バリアのサイズは、分離された微小物体が、低減されたバリアを通って出られるようにするのに十分な温度変更又は光学照明により低減し得る。
図4、
図21、及び
図22は、隔離ペンの接続領域におけるインサイチュー生成バリアの非限定的な例を示す。インサイチュー生成バリアの寸法の1つのサイズは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが出られるようにするのに十分に低減可能であるように構成され得る。インサイチュー生成バリアのサイズは、フロー領域を通る増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明の適用により低減可能であり得る。
図16は非限定的な一例を示す。
【0199】
【0200】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの基端開口部に又はその近傍に配置し得る。
図5A、
図5B、
図21A~
図21C、及び
図22は非限定的な例を示す。インサイチュー生成バリアは、複数の隔離ペンの選択された隔離ペンの基端開口部の縁部に配置し得る。縁部は先端縁部(フロー領域/チャネル内の媒体の意図されるフロー方向に対して決められる)であり得る。非限定的な一例は
図8A~
図8Cであり、
図8A~
図8Cでは、インサイチュー生成モジュール822を有し、各インサイチュー生成バリアモジュール間にギャップ824を有するインサイチュー生成バリア820を使用して、より大きい微小物体630を保持しながら、より小さい微小物体632、634にギャップ824を通過させ、それにより所望の微小物体630を濃縮及び/又はソートし得る。インサイチュー生成バリアの固化部位として選択されるペンは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンであり得る。
【0201】
複数の隔離ペンが存在する幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンはチャネルに沿って行を形成し得る。インサイチュー生成バリアは、1ミクロン~20ミクロンの直径を有する複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがチャネル内のインサイチュー生成バリアを超えて移動することを阻止し得る。
図5A、
図5B、
図8A、
図8B、
図13A~
図13C、
図14B、及び
図15は、非限定的な例を示す。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンの基端開口部の先端縁部に配置される。
【0202】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、チャネルに配置される複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得る。インサイチュー生成バリアは、流体媒体のフローに対して透過性であり得るが、それでもなお微小物体の少なくとも1つのサブセットがバリアを超えて移動することを阻止し得る。インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルに配置される複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得、複数のインサイチュー生成バリアモジュールは、複数のインサイチュー生成バリアモジュール間のギャップを通して流体媒体を通過させる。代替的には、バリアは、流体媒体に対して透過性でありながら、マイクロ流体チャネル(又は隔離ペンの基端開口部)のある壁からマイクロ流体チャネルの対向する壁に延在し得る。
図7は1つのそのようなインサイチュー生成バリアを示す。インサイチュー生成バリア720は、流体媒体に対して透過性であり得るが、少なくとも一種の微小物体がインサイチュー生成バリア720に入る、インサイチュー生成バリア720から出る、及び/又はインサイチュー生成バリア720を通ることを許容しない。インサイチュー生成バリアの孔は、
図7に示されるように、インサイチュー生成多孔性インサイチュー生成バリアに隣接して隔離ペンがないマイクロ流体チャネル264内に配置し得、多孔性インサイチュー生成バリアは、異なるサイズの複数の微小物体を含む試料を濃縮及び/又はソートし得る。多孔性インサイチュー生成バリアはまた、マイクロ流体チャネルの1つの側(又は両側)において開いた1つ又は複数の隔離ペンを有するマイクロ流体チャネル内に配置することもでき、その場合、多孔性バリアは、微小物体を濃縮及び/又はソートし得、マイクロ流体チャネルに沿ってその多孔性インサイチュー生成バリアの位置の真上にある隔離ペン内に続けて配置するために、微小物体のサブセットを更に保持し得る。
【0203】
インサイチュー生成バリアは、複数のペンの選択されたペンの基端開口部の一縁部に配置し得る。
図8A及び
図8Bは非限定的な例を示す。代替的には、インサイチュー生成バリアは、ペンの行の最初(又は最も外側)の隔離ペンの基端開口部の先端縁部に配置し得る。
図13A~
図13Cは、ペンの行中の最初の隔離ペン及び最後の隔離ペンの両方の基端開口部の先端縁部に配置される。
【0204】
幾つかの実施形態では、第1の複数のペン及び第1のチャネルがあり得、更に、第2のチャネルに沿って配置される少なくとも第2の複数のペンがあり得る。
図13A~
図13Cは非限定的な一例を示す。インサイチュー生成バリアは、第1のチャネル内の第1の複数のペンの最初の隔離ペンの先端縁部に配置し得、任意選択的に、非多孔性であり、第1のチャネル全体への流入を遮断し得る。バリアは、全てのフローをフロー領域内の第2の(又は第3以上の)チャネルに向け、したがって、フロー及びフローに含まれるあらゆる微小物体をエンクロージャの異なる部分に向け得る。このインサイチュー生成バリアは、フローを第1のチャネルから離れて向けることができ、もはや必要がない場合、除去し得る。第1のインサイチュー生成バリアが除去される前又は後、新しいインサイチュー生成バリアをフロー領域の別の部分(例えば、第2、第3等のチャネル)に導入して、フロー領域の別の部分にフローをリダイレクトし得る。微小物体を含む試料フローを含むフローをマイクロ流体デバイスのフロー領域又はチャネル内で方向付ける機構として、多くの他の構成がインサイチュー生成バリアの使用に可能である。
【0205】
他の実施形態では、インサイチュー生成バリアは、少なくとも2つの連続した隔離ペンの基端開口部を遮断し得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの一部は、チャネルから接続領域に延在し得る。
図5A及び
図5Bは非限定的な一例を示す。
【0206】
基端開口部を遮断するインサイチュー生成バリアは、少なくとも50ミクロン~約500ミクロン、50ミクロン~約300ミクロン、50ミクロン~約200ミクロン、70ミクロン~約500ミクロン、又は約70ミクロン~約400ミクロンの直径を有し得る。幾つかの実施形態では、バリアは、約50ミクロン、約70ミクロン、約90ミクロン、約100ミクロン、約120ミクロン、約140ミクロン、約160ミクロン、約180ミクロン、約200ミクロン、約220ミクロン、約250ミクロン、約290ミクロン、約300ミクロン、約320ミクロン、約340ミクロン、約360ミクロン、約380ミクロン、約400ミクロン、約420ミクロン、約440ミクロン、約460ミクロン、約480ミクロン、約500ミクロン、又は上記の寸法の2つにより定義される任意の範囲の直径を有し得る。
【0207】
様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスが提供され、このマイクロ流体デバイスは、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板と、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域と、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペンと、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンとを有する。非限定的な一例を
図14Aに示す。第1の複数の及び第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含むことができ、接続領域は、マイクロ流体チャネルへの基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。マイクロ流体チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され得、及びマイクロ流体チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成され得る。第1の流体媒体は、第1の流体流入口を介してマイクロ流体チャネルの第1の側に導入され得、及び第2の流体媒体は、第2の流体流入口を介してマイクロ流体チャネルの第2の側に導入される。第1の流体媒体は、第1の流出口を介してマイクロ流体チャネルの第1の側から流出し得、及び第2の流体媒体は、第2の流出口を介してマイクロ流体チャネルの第2の側から流出し得、代替的には、第1及び第2の流体媒体は1つの共通の流出口から流出し得る。第1の流体媒体及び第2の流体媒体は、マイクロ流体チャネルに沿って同じ方向に流れ得る。マイクロ流体チャネルへの各隔離ペンの基端開口部は、マイクロ流体チャネル内の流体媒体のフローに対して略平行に向け得る。
【0208】
そうして構成されるマイクロ流体デバイスは、細胞のクローン集団の培養及びアッセイに使用し得るが、そのように限定されず、任意の培養、ソート、又はアッセイの方法に使用し得る。マイクロ流体デバイスは、クローン集団を第1の複数のペンの隔離ペンの少なくとも1つに配置し得、クローン集団の1つ又は複数の細胞を第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンに配置し得るように構成される。
【0209】
マイクロ流体デバイスは、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するバリアを更に含み得、バリアは、第1の複数のペンの最初のペンの基端開口部(第1のサブチャネルへの)と、第2の複数のペンの最初のペンの基端開口部(第2のサブチャネルへの)との間に位置合わせされた少なくとも1つのギャップによって中断される。バリアは、マイクロ流体チャネル内のバリアの長さに沿って複数のギャップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、各ギャップは、第1の複数のペンの各ペンの基端開口部(第1のサブチャネルへの)と、第2の複数のペンの各ペンの基端開口部(第2のサブチャネルへの)との間に位置合わせし得る。バリアの長さに沿った複数のギャップの他の配置も可能である。例えば、バリアに沿った複数のギャップのそれぞれは、第1の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部(第1のサブチャネルへの)及び第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部(第2のサブチャネルへの)からオフセットし得る。バリアは、チャネルの第1の端部からチャネルの第2の端部に延びる長さを有し得る。バリアは、永続的なバリアであってもよく、又は隔離ペン及び/若しくはチャネル壁を形成する同じマイクロ流体回路材料から形成してもよい。クローン集団の1つ又は複数の細胞は、第1の複数のペン及び第2の複数のペンと位置合わせされたギャップを通して輸送されることにより、親クローン集団の隔離ペンから第2の複数の隔離ペンの各ペンに移動させ得る。バリアが、チャネルにおいて長さに沿って1つ又は複数のギャップを有する永続的なバリアである場合、重合化を1つ又は複数のギャップにおいて活性化させて、その長さに沿った1つ又は複数のギャップを閉じる1つ又は複数のインサイチュー生成バリアを導入し得、インサイチュー生成バリアは、本明細書に記載される任意の固化ポリマー網目構造のような固化ポリマー網目構造を含み得る。1つ又は複数のギャップの固化は、第1のサブチャネルを第2のサブチャネルから分離し、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止し得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、複数のギャップによって中断されたバリア内の複数のギャップを閉じる複数のインサイチュー生成バリアを含む。
【0210】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイスはインサイチュー生成バリアを含み、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って配置され、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割する。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する。
図14Bは非限定的な一例を示す。他の実施形態では、インサイチュー生成バリアは、永続的なバリアに関して上述したように、1つ又は複数のギャップを含む。
図15は非限定的な一例を示す。
【0211】
1つ又は複数の細胞(例えば、クローン集団からとられた1つ又は複数の細胞)の処理は、第2の複数の隔離ペンの隔離ペンにおいて実行し得る。処理は、第1の複数の隔離ペンの対応する隔離ペンに配置された親クローン集団の進行中の培養状況を妨げることなく実行し得る。
【0212】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイスが提供され、このマイクロ流体デバイスは、エンクロージャを有し、エンクロージャは、基板と、チャネルと、少なくとも1つの隔離ペンと、インサイチュー生成バリアとを有する。隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、チャネルへの基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。
図4、
図5、
図8A、
図8B、
図10A~
図10C、
図13A~
図13C、
図14A、
図14B、
図15、
図16、
図19A、
図19B、
図21A~
図21C、及び
図22は、非限定的な例を示す。インサイチュー生成バリアは、エンクロージャ内に配置されて、チャネル及び/又は少なくとも1つの隔離ペンの1つ又は複数の少なくとも部分的な遮断を提供し得る。インサイチュー生成バリアは、インサイチュー生成固化ポリマー網目構造を含み得る。固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含み得る。固化ポリマー網目構造は、感熱性ポリマーを含み得る。デバイスは、固化ポリマー網目構造の下の位置において基板上に配置された熱パッドを有する基板を更に含み得る。熱パッドを使用して、バリアのゲル化、膨張、縮小、又は除去を支援し得る。非限定的な一例では、
図13A~
図13Cに示されるデバイスは、金等の1つ又は複数の金属パッドを含み、示されるインサイチュー生成バリアの形成及び除去を支援し得る。
【0213】
インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの分離領域に配置し得る。隔離ペンの分離領域に配置されたインサイチュー生成バリアは、上述したようなサイズを有し得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアのサイズは、温度変更又は光学照明により低減し得る。インサイチュー生成バリアは、隔離ペンに配置された少なくとも1つの微小物体を捕捉するように構成される捕捉部分を更に含み得る。
図10Cはそのような1つの例示バリアを示す。
【0214】
インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの接続領域内に配置し得る。インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの接続領域の幅にわたり、隔離ペンの分離領域に配置された複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが出るのを遮断するサイズの寸法を有し得る。インサイチュー生成バリアは、生物学的微小物体の流出を遮断するサイズであり得る。インサイチュー生成バリアは、ビーズを流出させるサイズであり得る。インサイチュー生成バリアは、隔離ペンに配置された少なくとも1つの微小物体を捕捉するように構成される捕捉部分を更に含み得る。隔離ペンの接続領域に配置されたインサイチュー生成バリアは、上述したようなサイズを有し得る。インサイチュー生成バリアの部分は、接続領域からチャネルに延在し得る。チャネルに延在するインサイチュー生成バリアの部分は、バリアの容積の50%未満であり得る。
【0215】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、第1の状態及び第2の状態を有するように構成され得、インサイチュー生成バリアは、第1の状態である場合、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットが隔離ペンから出ることを阻止するように構成され、第2の状態である場合、少なくとも1つのサブセットを隔離ペンから出るように通過させるように構成される。第1の状態では、インサイチュー生成バリアは、より大きいサイズを有して、微小物体のサブセットの流出を阻止し得る。第2の状態では、インサイチュー生成バリアのサイズは、少なくとも複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットを流出させるように低減し得る。インサイチュー生成バリアのサイズは、少なくとも、フロー領域を通る増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明の適用により縮小し得る。
【0216】
様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルに配置し得る。バリアは、隔離ペンの基端開口部の一縁部に配置し得、基端開口部からマイクロ流体チャネルにわたり延在し得る。インサイチュー生成バリアは、1ミクロン~20ミクロンの直径を有する複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがマイクロ流体チャネル内のバリアを超えて移動することを阻止し得る。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルに配置された複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得る。インサイチュー生成バリアは、流体媒体に対して透過性であり得る。少なくとも1つの隔離ペンは、複数の隔離ペンを更に含み得る。複数の隔離ペンは、マイクロ流体チャネルに沿った行を形成し得る。インサイチュー生成バリアは、複数の隔離ペンの選択された隔離ペンの基端開口部の先端縁部に配置し得る。インサイチュー生成バリアの固化部位として選択されるペンは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンであり得る。バリアは、複数の隔離ペンの最初の隔離ペンの基端開口部の先端縁部に配置し得る。バリアは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがマイクロ流体内のバリアに入る、バリアから出る、及び/又はバリアを通ることを阻止し得る。
【0217】
インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルに配置された複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得、複数のインサイチュー生成バリアモジュールは、流体媒体を複数のインサイチュー生成バリアモジュール間のギャップに通す。
【0218】
複数のペンは、第1の複数のペンであり得、チャネルは、第1のチャネルであり、デバイスは、第2のチャネルに沿って配置される第2の複数のペンを更に含む。インサイチュー生成バリアは、複数の第1の隔離ペンの最初の隔離ペンの基端開口部の先端縁部に配置し得る。このように構成される場合、バリアは、第1のチャネルへのいかなる微小物体の流入も遮断し、流体媒体のフロー及びそれに含まれるいかなる微小物体もエンクロージャの異なる部分に向け得る。インサイチュー生成バリアは、追加又は代替として、第2の複数の隔離ペンの最初のペンの近傍に形成してもよく、その場合、バリアは、第2のチャネルへのいかなる微小物体の流入も遮断し得る。
【0219】
インサイチュー生成バリアは、少なくとも2つの連続隔離ペンの基端開口部を遮断し得る。基端開口部を遮断するバリアは、基端開口部にわたり少なくとも50ミクロン~約500ミクロンの寸法を有し得る。
図5A及び
図5Bは非限定的な一例を示す。
【0220】
更に別の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、行に配置される第1の複数の隔離ペンであって、第1の複数の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの第1の側において開く、第1の複数の隔離ペンと、行に配置される第2の複数の隔離ペンであって、第2の複数の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの第2の側において開く、第2の複数の隔離ペンとを含み得、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って配置され、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割し、バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する。インサイチュー生成バリアは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得る。インサイチュー生成バリアモジュールは、2つのモジュール間の開口部が、約1ミクロン~約20ミクロンのサイズを有し得る選択された微小物体のサイズよりも小さくなるように互いから離間され得る。インサイチュー生成バリアは、流体媒体のフローに対して透過性であり得る。インサイチュー生成バリアは、流体媒体に対して透過性であり得るが、少なくとも1つの種類の微小物体がバリアに入る、バリアから出る、及び/又はバリアを通ることを許容しない。
図14Bは非限定的な一例を示す。チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され得、チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成され得、第1の流体媒体及び第2の流体媒体はそれぞれ、インサイチュー生成バリアに沿ってデバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流れ得る。インサイチュー生成バリアは、微小物体が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに移動することを阻止するように構成され得る。インサイチュー生成バリアは、インサイチュー生成バリア又はその内部の部分を侵食し得る、フロー領域を通る増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明の適用により縮小し得る。
図15は非限定的な一例を示す。例えば、タンパク質分解は、バリアの外側を分解させ、浸食を生じさせ得る。バリアは、アリアのサイズを縮小することにより縮小可能であり得る。バリアがバリアモジュールで構成される場合、バリアは、モジュールの1つ又は複数を除去することにより縮小可能であり得る。バリアは、フロー領域を通る増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明の適用により収縮可能であり得る。個々のバリアモジュールを選択的に除去し、より制限性の低いバリアを所定位置に残し得る。インサイチュー生成バリアの部分/モジュールの縮小又は除去により、インサイチュー生成バリアを超えて、流体媒体の異なる成分を交換することが可能になり得、又は微小物体の異なるサブセットを交換することが可能になり得る。
【0221】
少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を有するマイクロ流体デバイスの任意の実施形態では、基板は、マイクロ流体デバイス100、200、230、250、28、290、300等について本明細書で説明したように、エンクロージャ内に誘電泳動(DEP)力を生成するように構成され得る。DEP力は光学的に作動させ得る。他の実施形態では、マイクロ流体デバイスの基板は、本明細書に記載され、且つ2016年10月27日に出願された国際出願PCT/米国特許出願公開第2016/059234号により詳細に説明されているように、オプトエレクトロウェッティング表面を含むように構成され得、この国際出願は全体的に参照により本明細書に援用される。オプトエレクトロウェッティング表面は、光応答性を有し得、光学的に作動し得る。幾つかの実施形態では、オプトエレクトロウェッティング表面は光伝導性を有し得る。
【0222】
任意の実施形態において、マイクロ流体デバイスのエンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含み得る。少なくとも1つの内面は、基板の表面を含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャの全ての内面は、調整面を含み得る。様々な実施形態では、調整面は共有結合的に修飾された表面であり得る。様々な実施形態では、共有結合的に修飾された表面は親水性であり得る。
【0223】
以下の図において説明される実施形態の幾つかを参照することにより、本発明のより完全な理解を有し得る。
【0224】
図4は、分離、ソート、又はアッセイの方法に利用し得る、ペンの上部から短い距離以内に配置し得るマイクロ流体デバイス400の各隔離ペンの内部に配置される形成されたバリアを精密に示す。幾つかの場合、バリアは、その接続領域内に導入し得る。ポリマーバリアをマイクロ流体デバイス内に導入するプロセスの一例では、10%w/v PEGDA(5Kd)及び1%光開始剤(IRGACURE 2959、200Da)を含む溶液をデバイスに流入させた。10分未満にわたり平衡させた後、400mW/cm
2の電力を有する約340nm(+/-20nm)のUV光で所望の領域を1秒間にわたり照明して、示されるもの等のバリアを作製する重合化を開始した。精密に形成されたバリアの幾つかは、白い円内に示されている(強調のため)。精密な位置にバリアを形成することは、インサイチュー生成バリアが存在している状態で、ペンを出ない第2の組の細胞の存在下において、選択された細胞を重力により搬出するのに特に有用であり得る。この別の変形形態は、チャネル内に突出したポリマーバリの小さい部分を含むこともでき、それにより、第1の組の細胞を搬出した後、チャネル内のフローを増大することにより除去することができる。幾つかの実施形態では、バリアは、あらゆるペン内に形成されるわけではなく、選択された隔離ペン内のみに形成し得る。これは、選択された隔離ペンの開口部内のみ又は選択された隔離ペンの開口部の近傍のみにインサイチュー生成バリアを生成することにより、デバイスの隔離ペン内に存在する複数の微小物体の選択された微小物体のみを分離するのに使用し得る。幾つかの実施形態では、分離されたペン(例えば、インサイチュー生成バリアを有するペン)は、微小物体の生物学的産物の生成又は分泌等の所望の特性を有さない微小物体を分離する。残りの非分離隔離ペン内に残っている微小物体は、隔離ペンから搬出し、マイクロ流体デバイスから更に搬出し得る。他の実施形態では、微小物体を分離するインサイチュー生成バリアを有する1つ又は複数の隔離ペン内の微小物体は、選択された特性を有する微小物体であり得る。この実施形態では、残りの非選択隔離ペン内に残っている微小物体は、非分離隔離ペンから搬出し得、マイクロ流体デバイスから更に搬出し得る。そのような搬出後、インサイチュー生成バリアを除去し得、前に分離された微小物体を更に処理できるようにする。
【0225】
図5A及び
図5Bは、幾つかの連続ペンにわたり生成されたインサイチュー生成バリア520を示し、これらの図では、バリアはマイクロ流体チャネル内の白い円内に示されている。重合化可能ポリマーを導入するために、
図4に示される実施形態と同じ状況を使用したが、この例での露出時間は7.5秒であり、UV光の電力は100マイクロW/cm
2であり、重合化可能ポリマーを導入する状況は以下の実施例1に更に詳細に考察されており、生体細胞数が各ペン内で増大した
図5Bに示されるように、ポリマーインサイチュー生成バリア520を導入し、数日間、定位置に維持することができ、その間、それでもなお、インサイチュー生成バリアによって分離された隔離ペンのグループ内で細胞を成長させることが可能であったことを実証した。
図5A及び
図5Bのようなインサイチュー生成バリアは、生体細胞の選択的に選ばれたグループを分離、ソート、又はアッセイする多種多様な方法で使用し得る。
【0226】
図6は、マイクロ流体デバイス600のチャネル壁610により画定されるチャネル264内に配置されたインサイチュー生成バリアモジュール622を有するインサイチュー生成バリア620の例を示す。各バリアモジュール622とそれと隣接するモジュール622との間にギャップ624を残すように、バリアモジュール622の固化を実行することができる。流動性ポリマーをマイクロ流体チャネル264内に導入し、マイクロ流体チャネル264内の選択されたポイントを照明して、インサイチュー生成バリア620のポリマー網目構造を固化することにより固化し得る。バリア620に向かうフロー278を用いて、微小物体630と共に望ましくない材料632及び634を含む試料をマイクロ流体デバイス600に導入し得る。ギャップのサイズは、微小物体の幾つかの種にギャップ624を通過させながら、細胞630等のより大きい微小物体のバリア620の通過を阻止するように選択することができ、それにより細胞630をバリアの背後に分離する。より小さい微小物体は、ビーズ(図示せず)、より小さい微小物体(図示せず)、細胞残屑632、又は細胞小器官、不溶性タンパク質、核酸等の微小物体634を含み得る。したがって、バリア620は、マイクロ流体デバイス600に装填された試料を濃縮させる篩い/ソート構造として使用し得る。試料が濃縮されると、例えば、所望の微小物体630がバリア620に収集されると、バリアは、更に培養又は処理するために、DEP力等のフロー、重力、又は動電学的力の任意の組合せにより微小物体630をマイクロ流体デバイスの別の部分に移動できるようにするのに十分な程度に除去又は縮小し得る。代替的には、濃縮された微小物体630の組は、任意の適する原動手段によりマイクロ流体デバイス600から搬出し得る。微小物体の濃縮は、微小物体630のみがバリア620により保持されることを必要とせず、望ましくない632、634材料の割合がマイクロ流体デバイス600に導入された試料と比較して低減されることのみを必要とする。更に、幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス600に導入される材料の混合物は、望ましくない微小物体632、634を有さず、単純にかなり希釈されていることがある。バリア620は、例えば、希な細胞を含む希釈された試料を濃縮し、所望の微小物体の濃縮試料を分離又は搬出できるようにし得る。
【0227】
図7は、マイクロ流体デバイス700においてチャンバ壁710により画定されたチャネル264に実質的にわたり伸びるインサイチュー生成バリア720の例を示す。バリア720は、
図6の実施形態と同様に行うが、違いとして、バリア720がギャップを有するバリアモジュールを有さず、代わりに、画定された多孔性を有し、フロー278と共に流れる試料の幾つかの成分(例えば、上記で定義した材料632、634)を、バリア720を超えて流すが、対象となる選択された微小物体630(例えば、生体細胞)はバリア720を超えて流さず、それにより所望の微小物体630を試料の他の成分から濃縮又はソートする。
【0228】
図6及び/又は
図7の実施形態では、所望の細胞630がインサイチュー生成バリアに隣接する領域に濃縮された後、インサイチュー生成バリアを除去し得る。例えば、インサイチュー生成バリアの固化ポリマー網目構造は、固化ポリマー網目構造の部分を切断するように構成される波長の光で照明された場合、光切断を受けやすいことができる。インサイチュー生成バリアの除去後、DEP力(光学作動DEP(OET)を含む)、重力、又は流体フローを含め、任意の適する原動手段を使用して、濃縮された細胞630を選択的に移動させ得る。
【0229】
図8A~
図8Cは、希釈試料を濃縮し、更にマイクロ流体デバイス800における選択された隔離ペン830への微小物体630の選択的配置を支援することができるインサイチュー生成バリア820の別の例を示す。インサイチュー生成バリア820は、上述した
図4~
図7と同様に、チャネル壁810及び隔離ペン壁材料812により画定されるチャネル264内にインサイチューで生成される。バリア820は、ギャップ824により互いから離間されたインサイチュー生成バリアモジュール822を含み、ギャップ824は、望ましくない材料632、634(ギャップ822のサイズよりも小さいサイズを有する、試料内の望ましくない任意の材料であり得る)を許容するように選択される。希釈試料は、フロー278と共にマイクロ流体チャネル264内に流入し、細胞はインサイチュー生成バリア820において濃縮される。フローは停止させることができ、次に、濃縮された細胞630は、例えば、フロー、重力、OET力、又は任意の他の適する方法によりバリア820近くの隔離ペン830に装填することができる。チャネルを通るフローを再開して、バリアモジュール822を取り除くことができ、又はバリアモジュール822は、光学照明、加水分解、タンパク質分解、又は温度変更のいずれかにより除去することができる。このプロセスは、第1の組のペンの位置と異なる第2以上の組のペンに配置される第2の新しく生成されたバリア820’(図示せず)に対して繰り返して、細胞含有試料を装填し、複数の希釈アリコートを濃縮することができる。細胞含有試料の複数のアリコートは、全て同じソース(例えば、同じ哺乳類、同じ細胞株等)由来であってもよく、又はそれぞれ哺乳類、細胞株等の異なるソース由来であってもよい。
【0230】
図9A~
図9Dは、流体流入口930及び流体流出口932を有するマイクロ流体デバイス900を示す。流動性ポリマーは、流入口930において導入され、基板内のポイントまで流れる。バリアを形成するインサイチュー生成分離構造920が、基板208の選択された部分を照明することにより、各バリアモジュールと隣接するバリアモジュールとの間にギャップ924を有する複数のバリアモジュール922の固化を活性化させることで提供される。間隔は、細胞残屑632等の材料又は細胞小器官、不溶性タンパク質、核酸等の微小物体634を許容するように選択し得る。試料は、流入口930において導入し得る。フロー278がバリア920を通して続く際、バリアモジュール922間のギャップよりも小さいサイズを有する望ましくない材料632及び634は、分離構造920を通過し得、
図9Bに示されるように、流体流出口932を介してマイクロ流体デバイスから更に搬出し得る。更なる実施形態では、インサイチュー生成ペン940は、
図9Cに示されるように導入し得る。ペン940の寸法に応じて、ペン940はインサイチュー生成分離ペンであり得る。分離構造920は、光学照明(バリアモジュールの固化ポリマー網目構造が光切断を受けやすい場合)等の任意の適する方法により除去し得る。解放された微小物体630を選択し、更に処理するために、インサイチュー生成ペン940内に分離されるように移動させ得る。
【0231】
図10は、予め選択されたトラップとして機能する、小さい局所化されたインサイチュー生成バリア1020の使用を示す。バリアトラップは、抗体又はRGDモチーフペプチド等の他の細胞表面認識モチーフ等の捕捉部分1024を有すことができる官能化インサイチュー生成バリアであり得る。簡明にするために、捕捉部分1024は抗体として示されているが、インサイチュー生成バリアトラップはそのように限定されない。望ましい細胞630及び他の望ましくない細胞636を含む試料は、マイクロ流体チャネル264内の流体フロー278に導入することができ、細胞のサブセット、例えば、捕捉部分1024に結合することができる細胞636は、局所化インサイチュー生成バリア1020上の捕捉部分1024との相互作用により不動化することができる。インサイチュー生成バリアトラップ(1020+1024)は、ペン内のチャネルへの基端開口部の近く又は接続領域のより先端部分若しくはペンの分離領域内のいずれかに配置することができる。インサイチュー生成バリアトラップ(1020+1024)に結合することができるいかなる細胞表面モチーフも有さない残りの細胞(例えば、細胞630)は、チャネル内の流量を上げることによりマイクロ流体デバイスから搬出することができ、又は更に処理するために、マイクロ流体デバイス内の別の領域に移し得る。他の実施形態では、細胞636は、導入された試料フローの所望の部分であり得、説明したように細胞636を分離した後、望ましくない細胞630は、マイクロ流体チャネルから及び任意選択的にマイクロ流体デバイスから搬出し得る。
【0232】
インサイチュー生成バリアトラップ(1020+1024)は、一方が、例えばRGDペプチドモチーフを有する2つのポリマーを共重合化することにより、又はそのようなモチーフを有するように前駆体プレポリマーを修飾することにより形成することができる。別の代替は、バリアトラップが形成された後、インサイチュー生成バリアトラップ内で抗体を不動化させる、又は抗体を不動化させることである。一例では、ビオチン化又はストレプトアビジン部位をトラップ全体又はインサイチュー生成バリア1020の表面に導入することができ、ストレプトアビジン又はビオチン標識抗体をビオチンに関連付け得る。代替的には、インサイチュー生成バリアの形成と同時に又は形成後、ポリマーバリアの表面への光開始挿入を受け得る、ベンゾフェノン等の光活性化可能な機能を含む、修飾された抗体を考案し得る。
【0233】
図11A及び
図11Bは、マイクロ流体デバイス1100の壁1110により囲まれたフロー領域1114への細胞630の装填時、要求に応じて作られたペンを示す。細胞630の導入前に、導入と同時に、又は導入後に流動性ポリマーも導入される。インサイチュー生成分離構造1122及びインサイチュー生成ペン1120は、基板208の表面上の所望の位置を照明して、重合化を開始することにより形成し得る。インサイチュー生成ペン1120及び構造1122は、典型的なフロー方向278が、細胞を新しく包含しているペン/構造から細胞630を妨げないように向け得る。インサイチュー生成ペン1120又は構造1122において分離された細胞630に対して、テスト、ソート、及び培養を実行し得る。しかし、各細胞630の周囲に作られたペン1120又は構造1122のそれぞれの共通する一方向は開かれ得、したがって細胞をインサイチュー生成ペンから流し出すようにフロー方向を変更して、各細胞630を搬出できるようにする。代替的には、各細胞630は、例えば、光学的に作動し得るDEP力を使用して個々に選択し移動させ得る。
【0234】
図12A及び
図12Bは、分離領域を細分するようにマイクロ流体デバイス1200の隔離ペン830内に導入されたインサイチュー生成バリア1220を示す。例示的な一使用例は、他のサブセット630がペン内に保持されることを保証しながら、細胞集団636のサブセットを制御可能に除去することであり得る。細胞630及び636がフロー領域1214に導入され、次に隔離ペン内に配置される前に、導入及び配置と同時に、又は導入及び配置後に流動性ポリマーを隔離ペン830の分離領域に導入する。所望の位置における基板208の選択された部分を照明することにより、インサイチュー生成バリアの光開始重合化を実行する。熱可逆性(光作動熱可逆性を含むことができる)又は光切断可能なポリマーを利用して、インサイチュー生成バリアの部分を選択的に除去し得、それにより選択的な細胞の搬出を可能にする。
【0235】
図13A~
図13Cは、インサイチュー生成バリア1320の別の形態は弁型構造を含むことができることを示す。インサイチュー生成バリア1320を使用して、細胞を含むフローを、非選択領域への流れを遮断しながら、チップの予め選択された領域に向けることができる。インサイチュー生成バリア1320の選択的導入及び除去は、マイクロ流体デバイス1300内で複数の実験を実行するのに有用であり得る。任意の細胞の導入前に流動性ポリマーを流入口930において導入し得る。全てが第1のチャネル1302に対して開く、隔離ペン1312の最初の行の最初のペン830の開口部の先端縁部及び隔離ペン830のその行の最後のペンの開口部の縁部における基板表面208の選択されたポイントにおける重合化の光開始により、インサイチュー生成バリア1320の組を形成し、第1のチャネル1302への細胞の流入を除外する。同様に、インサイチュー生成バリア1320は、第3の複数の(行に配置された)隔離ペン1316を有する第3のチャネル1306の入口及び出口にも導入される。
図13Aに示されるように、細胞630のフローを導入し得、第2のチャネル1304に流入するように向けられる。細胞は、第1のチャネル1302及び第3のチャネル1306に入ることを阻止される。細胞630は、非遮断チャネル1304に入るように強いられ、チャネル1304内のペン830内に配置される。細胞630の送達が完了すると、第2の組のインサイチュー生成バリア1320を第2のチャネル1304の両端部に作製し得る。次に、本明細書に記載される任意の方法において、チャネル1302及び1306を遮断する第1の組のインサイチュー生成バリア1320を除去し得る。次に、流入口930を介して、細胞636を含む第2の流体フローを導入し得る。
図13Bに示されるように、細胞636は、チャネル1302及び1306に入るように強いられ得るが、チャネル1304に入ることはできない。いかなるチャネルにも入らない細胞は、流体フローを用いて流出口932に掃引し得る。チャネル1302及び1306における第1の組のインサイチュー生成バリア1320を除去し、チャネル1304を遮断する第2の組のインサイチュー生成バリア1320を生成する順序は逆にし得る。他の変形形態では、マイクロ流体デバイス1300に流入する細胞が各チャネル1302、1304、106のそれぞれにアクセス可能であるようにし得る。
【0236】
別の変形形態では、マイクロ流体デバイス1300は、チャネル1302、1304、1306においてインサイチュー生成バリア1320を導入することを望むポイントに熱パッド(図示せず)を含み得る。感熱性ポリマーの存在下でレーザを用いて熱パッドを加熱して温度を上げることにより、熱パッド及びレーザにより画定されるエリアにヒドロゲルを形成することができる。光が除かれると、熱パッドは冷め、ヒドロゲルは溶解し得る。
【0237】
図13Cは、選択されたように、各チャネル内に異なる細胞を有する別様に装填されたチャネルを有するマイクロ流体デバイス1300を示す。各チャネルの異なる細胞は、異なる試料から、例えば、異なる生検試料、異なるクローン集団、又は任意の種類の複合試料を由来とし得、マイクロ流体デバイス1300に特に配置された細胞636に対して任意の種類の処理を実行し得る。
【0238】
図14A及び
図14Bは、マイクロ流体デバイス1400における層流をより精密に分割するのに使用し得るインサイチュー生成バリアの別の使用を示す。層流に伴う既知の問題は、フローの層の性質が距離に伴ってなくなることであり、とにかく機能するために厳格な性能基準が必要であり得ることである。層流依存方法を使用する場合、インサイチュー生成バリアがどのように利点を提供し得るかの非限定的な一例におけるものである。マイクロ流体デバイス1400では、
図14Aに示されるように、基板208;流体媒体フロー278を含むように構成されるマイクロ流体チャネル122を含むフロー領域;各隔離ペンがマイクロ流体チャネル122の第1の側において開くように互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン(830、831、832);各隔離ペンがマイクロ流体チャネル122の第2の逆の側において開くように互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペン(830’、831’、832’)があり得る。第1及び第2の複数のペン並びにマイクロ流体回路は、マイクロ流体回路材料1460で作られ得る。マイクロ流体チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され得、マイクロ流体チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成され得る。第1の流体媒体は、第1の流体流入口930を介してマイクロ流体チャネルの第1の側に導入し得、第2の流体媒体は、第2の流体流入口930’を介してマイクロ流体チャネルの第2の側に導入される。1つ又は複数の細胞を第1の複数の隔離ペンのペン830、831、832に導入し得る。
図14Aでは、細胞の第1のクローン集団631を隔離ペン830に配置し得、細胞の第2のクローン集団633を第2の隔離ペン831に配置し得、細胞の第3のクローン集団635を隔離ペン832に配置し得る。幾つかの実施形態では、1つのみの細胞631、633、635を各ペン830、82、833に提供し得、各細胞を培養して、各クローン集団を提供し得る。各クローン集団の1つ(又は任意選択的により多数)の細胞を選択し、次にマイクロ流体チャネル122を横切ってマイクロ流体デバイスの逆側にある対応するペンに送り得る。例えば、隔離ペン830内の細胞のクローン集団630から細胞631’を選択し、DEP力(光学的に作動し得る)を含む任意の適する原動手段を使用して、第2の複数の隔離ペンの対応する隔離ペン830’に移し得る。これは、ペン831内の細胞のクローン集団633の1つ又は複数の細胞633’のそれぞれに対して繰り返し得、細胞633’をペン831’に送り得、以下同様である。流動性ポリマーは、その時点で又は任意の先の時点でマイクロ流体チャネル122に導入し得る。次に、インサイチュー生成バリア1420をマイクロ流体チャネル122の長さに沿って導入して、第1の複数の隔離ペン830、831、832に隣接する第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペン830’、831’、832’に隣接する第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割し、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に渡ることを阻止し得る。インサイチュー生成バリア1420は多孔性でなくてよく、第2の媒体を第2のフロー278’に導入できるようにし得、第2の媒体は、第1のサブチャネルにおける第1のフロー278内の第1の媒体と幾つかの点で異なり得る。第2の流体媒体は、第2の複数の隔離ペンの各ペン内の1つ又は複数のみの細胞に導入し得、クローン集団の残りには導入されない。第2の媒体は、細胞631’、633’、635’を評価するアッセイ試薬を含み得る。1つ若しくは複数のアッセイを第2の複数の隔離ペン内の細胞631’、633’、635’の組に対して実行し得、又は細胞631’、633’、635’の1つ若しくは複数を搬出し得る。細胞631’、633’、635’に対して、細胞631’、633’、635’が由来するクローン集団の選択された特性を識別し得る任意の種類の更なる処理を実行し得る。
【0239】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアを除去し得、第1の複数の隔離ペンの各クローン集団又は選択された数のクローン集団を由来とする1つ又は複数の細胞の第2の組を対向するペンに導入し得る。第2のインサイチュー生成バリアを導入し、続けてアッセイ又は他の処理を細胞に対して実行し得る。
【0240】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、細胞が導入されるときに存在するバリアを有し得、その場合、バリアは1つ又は複数のギャップ(図示せず)で中断される。1つ又は複数のギャップで中断されるバリアは、インサイチュー生成バリアではなく、隔離ペン及びマイクロ流体チャネル壁を形成するものと同じマイクロ流体回路から形成し得る。ギャップは、第1の複数の隔離ペンの最初のペン(例えば、830)の開口部に隣接して位置合わせされ、且つ第2の複数の隔離ペンの最初の各ペン(例えば、830’)の開口部とも位置合わせされる。1つ又は複数のギャップは、第1のクローン集団の1つ又は複数の細胞を選択し、マイクロ流体チャネルの第1の側にある第1の複数のペンの最初のペンから、マイクロ流体チャネルの第2の逆の側にある第2の複数のペンの最初のペンに移せるように構成されるサイズを有する。細胞631’、633’、635’を送った後、1つ又は複数のギャップは、上述したように、1つ又は複数のインサイチュー生成バリアで閉じ得る。細胞631’、633’、635’は、本明細書に記載される任意の適する方法で更に処理し得、アッセイされて、細胞の所望のクローン集団を識別し得る。細胞の所望のクローン集団は、更に増殖又は成長させるために搬出し得、又はマイクロ流体デバイス1400の隔離ペンの所定位置で培養し得る。望ましくないと識別されたクローン集団は、隔離ペンから搬出し得、更にマイクロ流体デバイス1400から搬出し得る。
【0241】
図15は、マイクロ流体デバイス1400の別の変形形態であるマイクロ流体デバイス1500を示す。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリア1500は、バリア1520の小さい断裂又はバリア1520自体の多孔性の増大のいずれかにより達成される様々な程度の多孔性を更に有し得る。インサイチュー生成バリアは、間隔を増大させたインサイチュー生成バリアモジュール1522、1524、1526、1528を有するように中断し得る。この手法では、異なる量の、第1の流入口930において導入され、媒体フロー278で第1のサブチャネルに流入する第1の媒体及び第2の流入口930’において導入され、媒体フロー278’で第2のサブチャネルに流入する第2の媒体がバリアに浸透し、拡散を介してバリアの両側にあるペン内の細胞対631、631’;633、633’;635、635’に影響を及ぼすことができる。
【0242】
これらの任意の層流インサイチュー生成バリア(
図14B又は
図15)は、指定された細胞株の成長に有用であり得る。
【0243】
図16は、媒体又は溶媒の変更を使用して膨張又は縮小し得るインサイチュー生成バリアを示す。細胞630がマイクロ流体回路材料1660(チャネル壁1620を形成するマイクロ流体回路材料と同じ又は異なる材料であり得る)で作られた隔離ペン830内に配置され、流動性ポリマーを流体チャネル264に導入した後、例えば、基板208上の選択されたポイントを照明することにより、バリア1620の重合化を達成することにより、インサイチュー生成バリア1620を導入し得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイス1600内の他のペン(図示せず)に対して他のソート又は処理ステップを実行している間、光開始固化ポリマー網目構造を状態1620’まで膨張させ、細胞630の流出を阻止する。バリアは、また、処理ステップ中、可溶性媒体がペン830に入ることを阻止し、細胞630をシールドし得る。インサイチュー生成バリアは、状態1620に縮小し、細胞630が出られるようにし得る。
【0244】
図17は、微小物体630及び微小物体636の導入前又は導入後、複数のインサイチュー生成バリアモジュール1720~1732を有するマイクロ流体デバイス1700を示す。マイクロ流体デバイスのフィールドの各セクションは、所望の微小物体630について調べられ且つテストされ得る。本明細書に記載の適する方法により個々のバリアモジュールを除去し得、微小物体をマイクロ流体デバイス1700の異なる部分にソートし得る。
【0245】
図18は、マイクロ流体デバイス1800の特徴の試作に使用されるインサイチュー生成分離構造の例を示す。フロー領域壁1810、分離構造サブユニット1820及び1822、並びに試作されたチャネルユニット1864、1865等の要素を導入し、インサイチュー生成バリア/分離構造を介して新しい設計態様を追加することにより、高速で再結合して、新しい設計をテストし得る。これは、高価な実験マスクへの代替であり得る。
【0246】
図19A及び
図19Bは、選択された細胞636を画定し分離するマイクロ流体デバイス1900の隔離ペン内のインサイチュー生成エンクロージャ1920の例を示す。これは、形質転換を開始する試薬と細胞との分離に使用することもできる。幾つかの実施形態では、エンクロージャは、本明細書に記載されるように、膨張状態1920’まで膨張し得、任意選択的に、細胞636’’を透過可能になるまで十分に膨張し得る。
図20A及び
図20Bは、任意の隔離ペン外部で同様のエンクロージャ2020を利用して、細胞を分離してその位置を識別し、任意選択的に膨張して(2020’)細胞636’’を透過可能になるマイクロ流体デバイス2000を示す。
【0247】
マイクロ流体デバイス400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000は、マイクロ流体デバイス100、200、230、250、280、290、300について記載された特徴、構成要素、又は寸法の任意の組合せを有し得、記載される任意の方法に適宜使用し得る。マイクロ流体デバイス400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000は、任意の適する組み合わせにおいて、それぞれ他のマイクロ流体デバイス400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200について記載された任意の特徴と更に組み合せ得、当業者が選択する本明細書に記載される任意の適する方法で使用し得る。
【0248】
インサイチュー生成分離構造の固化ポリマー網目構造で使用されるポリマー
分離構造の固化ポリマー網目構造の様々な実施形態において、固化ポリマー網目構造は、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は光若しくは温度活性化可能な生体ポリマーであり得る。生体ポリマーは、温度又は光活性化可能であり、それにより固化ポリマー網目構造を形成するように構成され得る。幾つかの実施形態では、生体ポリマーは、温度又は光活性化可能である能力を提供する部分を組み込むように修飾し得る。合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを含み得る。
【0249】
分離構造の固化ポリマー網目構造の幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。更に他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造はシリコーンポリマーを含まない。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリ乳酸(PLA)又は修飾ポリ乳酸ポリマーを含まなくてよい。他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリグリコール酸(PGA)又は修飾ポリグリコール酸ポリマーを含まなくてよい。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリアクリルアミド又は修飾ポリアクリルアミドポリマーを含まなくてよい。更に他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリビニルアルコール(PVA)又は修飾ポリビニルアルコールポリマーを含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリアクリル酸(PAA)又は修飾ポリアクリル酸ポリマーを含まなくてもよい。幾つかの他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ポリカプロラクトン(PCL)又は修飾ポリカプロラクトンポリマーを含まなくてもよい。他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、フィブロネクチン又は修飾フィブロネクチンポリマーから形成しなくてよい。幾つかの他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、コラーゲン又は修飾コラーゲンポリマーから形成しなくてよい。幾つかの他の実施形態では、固化ポリマー網目構造は、ラミニン又は修飾ラミニンポリマーから形成しなくてよい。
【0250】
固化ポリマー網目構造で使用するポリマーの安定性を決める物理的特性及び化学的特性としては、分子量、疎水性、可溶性、拡散速度、粘度(例えば、媒体の)、励起、及び/又は放射範囲(例えば、内部で不動化された蛍光試薬の)、既知の背景蛍光、重合化に影響する特性、及び固化ポリマー網目構造の孔のサイズを挙げ得る。固化ポリマー網目構造は、流動性ポリマー(例えば、プレポリマー溶液)が重合化又は熱ゲル化されることで形成される。
【0251】
使用し得る多くのポリマーの中でも特に、1つのタイプのポリマーは、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)である。光開始重合化のメカニズムを式1に示す。非常に効率的であり、無黄変ラジカルであり、αヒドロキシケトン光開始剤である遊離基開始剤Igracure(登録商標)2959(BASF)は通常、UV領域(例えば、365nm)の波長での開始に使用されるが、他の開始剤を使用することも可能である。重合化反応に有用な別の光開始剤クラスの例は、リチウムアシルホスフィン酸塩(lithium acyl phosphinate salt)のグループであり、そのリチウムフェニル2,4,6,-トリメチルベンゾイルホスフィン酸塩は、αヒドロキシケトンクラスよりも長い波長(例えば、405nm)でのより効率的な吸収に起因して、特定の有用性を有する。
【化2】
【0252】
光重合化し得る他のタイプのPEGとしては、PEGジメチルアクリラート及び/又はマルチアームPEG(n-PEG)アクリラート(n-PEG-Acr)が挙げられる。使用し得る他のポリマークラスとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリカプロラクトン(PCL)が挙げられる。
【0253】
ポリマーの分子量範囲は、本発明の分離構造の性能の必要性に応じて様々であり得る。ポリマーの構造に応じて、広範囲の分子量の流動性ポリマーが適し得る。有用な星型ポリマーは、約500Da~約20kDa(例えば、4アームポリマー)の範囲のMw(重量平均分子量)、又は各アーム若しくは線状ポリマーに最高で約5kDa、又はそれらの間の任意の値を有し得る。幾つかの実施形態では、高い分子量範囲を有するポリマーほど、低い濃度で流動性ポリマーにおいて使用し得、それでもなお、本明細書に記載される方法で使用し得るインサイチュー生成バリア又は分離構造を提供し得る。
【0254】
限定ではなく、上記で列挙したポリマー又はフィブロネクチン、コラーゲン、若しくはラミニン等の生体ポリマーを含め、様々なコポリマークラスが使用可能である。デキストラン又は修飾コラーゲン等のポリサッカリドが使用可能である。重合化に光活性化可能な機能を有する生体ポリマーを使用することも可能である。
【0255】
架橋は、線状又は分岐PEGポリマーの放射、PRGアクリラートの遊離基重合化、及びマイケル付加、凝縮、クリック化学、ネイティブケミカルライゲーション、及び/又は酵素反応等の特に適合された化学反応により実行し得る。
【0256】
ポリマーは、ポリマーの性質(星型、マルチアーム、又は櫛形ポリマー等の流動性ポリマーの構成、架橋可能な官能基間のポリマーセグメント長)及び重合化状況(温度又は光開始の程度、存在する光活性化開始剤の量、存在するラジカル停止種の量等)に基づいて、所望の範囲の架橋を有するように選択し得る。
【0257】
幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造のポリマーは修飾PEGポリマーであり得る。このポリマーは、星型、4アーム、又は2アームPEGジアクリレートポリマーであり得る。
【0258】
膨張可能ポリマー
PEGポリマーは、様々な条件下で膨張可能であり得、元の媒体/温度に戻すことにより元に戻し得る。ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)は、温度を上げることにより膨張し、冷却により収縮し得る。
【0259】
サイズ変更モチーフ
ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)又はポリアクリルアミド(PAM)を含む幾つかのヒドロゲルは、官能化ポリマーの表面が光に露出されると、シス/トランス配向を変化させるアゾベンゼン等の特定の部分を組み込むこともできる。このシフトは、ペン内の分離構造等のポリマーの部分のサイズの大幅な変更を提供することができる。これらのポリマーは代替的に、UV光に露出されると架橋する桂皮酸官能基を含み得、これは光をなくすと元に戻すことができる。架橋ポリマーは、非架橋状態と比較して細長い。これらのポリマーに導入し得る別の部分は、トリフェニルロイコメタン(triphenyl leucomethane)を含み、これは、光が適用されると、光に露出されると可逆的にイオン対を形成する。活性化光の波長は、三ナトリウム銅クロロフィリンがポリマーに組み込まれる場合、可視範囲にすることができる。
【0260】
官能化のための他の修飾
ポリマー(例えば、PEG)は、1つ又は複数の異なるモチーフを(PEG)ポリマー内に組み込むことにより修飾し得る。モチーフは、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを任意の組合せで含み得る。サイズ変更モチーフは、固化ポリマー網目構造の物理的サイズを変更させ、それにより物理構造のサイズを変更させ得る、周囲媒体の温度、イオン強度、又はpHの変化の受けやすさを含み得る。非限定的な例としては、ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)等の下限臨界溶解温度(LCST)ポリマー又は上限臨界溶解温度(UCST)ポリマーを挙げ得る。別の例は、PEB等のポリマー内へのジスルフィド結合の組み込みである。
【0261】
切断モチーフは、限定ではなく、細胞外基質分解酵素、コラーゲン分解酵素、又はプロテイナーゼK等のセリンプロテイナーゼを含む1つ又は複数のプロテアーゼの基板であるポリマーに挿入されるペプチド配列を含み得る。別のクラスの切断モチーフは、プレポリマーの選択された位置に挿入し得るニトロベンジル光切断可能リンカー等の光切断可能モチーフを含み得る。幾つかの実施形態では、ニトロベンジル光切断可能リンカーは、光切断可能なように構成される1-メチニル,2-ニトロベンジル部分を含み得る。他の実施形態では、光切断可能リンカーは、ベンゾイン部分、1,3ニトロフェノリル部分、クマリン-4-イルメチル部分、又は1-ヒドロキシ2-シンナモイル部分を含み得る。切断モチーフを利用して、分離構造の固化ポリマー網目構造を除去し得る。他の実施形態では、ポリマーは、インテグリンにより認識されるRGDペプチドモチーフを含むが、これに限定されない細胞認識モチーフを含み得る。
【0262】
インサイチュー生成分離構造の逆化/除去/最小化
インサイチュー生成分離構造に対する更なる目的がない場合、幾つかのメカニズムを使用して、インサイチュー生成分離構造を除去又は縮小し得る。例えば、アッセイが完了し、望ましい生体細胞が識別されると、望ましい活動又は特性を示している生体細胞を引き続き培養し増殖させるために、分離構造を除去することが有用であり得る。
【0263】
機械力.分離構造の少なくとも一部がペンの分離領域とは対照的にフロー領域内に配置される場合、フローの増大を使用することができる。例えば、少なくとも1つの分離構造は、隔離ペンの分離領域内に配置し得、アッセイ完了後、隔離ペン又は隔離ペン内の分離領域は、分離領域を通って流れるように変更し得る。
【0264】
加水分解への感受性:分離構造形成時、光開始ポリマーに化学的に結合することができないポリマーを含む粒子集合体が含まれ得る。形成されたヒドロゲル内の開口部の程度/サイズは、分離構造内のアクセス可能性を介して加水分解速度をカスタマイズすることができる)。他の実施形態では、形成された孔を利用して、分離構造に分泌材料又は化学試薬を透過させるが、分離構造に入る、分離構造から出る、及び/又は分離構造を通る細胞の移動を阻止し得る。他の実施形態では、ポリエステル、アセタール、フマル酸塩、ポリ(フマル酸プロピレン)、又はポリヒドロキシ酸等の分解可能なセグメントをポリマー(例えば、PEGポリマー)に導入することにより、これらのポリマーの分解性を上げることができる。
【0265】
還元剤:PEGは、ランダム又は所定であり得る、マクロマーに沿った間隔でジスルフィド結合を用いて形成し得る。ジスルフィド結合は、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、又はTCEPにより破り得る。
【0266】
熱:ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)又は他の適するLCSTポリマーを使用して、加熱して分離構造を導入し得る。これらは、形成されたポリマー分離構造の温度を下げることにより除去し得る。ポリマーは、加水分解又はタンパク質分解等の他のメカニズムによる除去も可能にするELP又は他のモチーフを含み得る。特に、PNIPAmを使用して、付着細胞への表面を作製し得るが、次に搬出を可能にするように切り替え得る。
【0267】
タンパク質分解への感受性:ヒドロゲルは、選択されたプロテアーゼによる選択されたモチーフへの選択的タンパク質分解がヒドロゲル分離構造を除去/逆化/又は最小化することができるように改変された任意に種類のペプチド配列を有し得る。幾つかのクラスの修飾PEGは、エラスチン様ペプチド(ELP)モチーフ及び/又は様々なタンパク質分解感受性ペプチドモチーフ(酵素感受性ペプチドESP)を有するPEGを含む。多数のこれらのモチーフが既知である。1つの有用なモチーフは、環式であるように制約し得るRGDである。
【0268】
浸透圧変化感受性:カルシウム濃度/他の浸透圧方策を利用して、分離構造を分解及び除去することができる。上記のように、チャネル又はフロー領域を通って流れる媒体の変更は、分離構造を寸法的に膨張又は縮小させ得る。
【0269】
光切断:上述したように、固化ポリマー網目構造のポリマーが光切断部分を含む場合、励起波長の照明を固化ポリマー網目構造に向けることにより、固化ポリマー網目構造のセクション内に切断を生じさせる。この切断は、固化ポリマー網目構造の完全又は部分的な崩壊を提供し得、それにより分離構造を除去又は縮小し得る。固化ポリマー網目構造の部分的な崩壊が光切断により提供される場合、流体媒体をチャネル又はフロー領域に流して、固化ポリマー網目構造の部分的に崩壊した部分を分離された1つ又は複数の微小物体から離れて掃引することにより、完全な崩壊(例えば、この分離構造の完全な除去)を達成し得る。
【0270】
幾つかの用途では、分離構造は、除去されず、光又は媒体/溶媒の変更を使用して単に膨張又は縮小し得る。幾つかのタイプのヒドロゲルは、光に対して可逆的に応答する部分(例えば、剛性結合についての位置化学の変更、ポリマー内での可逆的架橋の形成、又はイオン対の形成/破断)を組み込み得る。
【0271】
マイクロ流体(又はナノ流体)デバイス支援の加熱
マイクロ流体デバイスは、基板のインサイチュー生成分離構造の位置に配置された金属パッドを更に含み得る。金属パッドは、連続金属形状又は金属形状のパターンを基板上に退陣させることにより作製し得る。熱パッドは、光源により励起して、発熱することができる任意のタイプの金属を含むことができる。適する金属としては、クロム、金、銀、アルミニウム、インジウムスズ酸化物、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。複数の金属、例えば、クロムの層、チタンの層、金の層は、多層熱パッドにおいて組み合せ得る。他の金属(及び合金)も当技術分野で既知である。熱パッドは、連続金属表面を含むこともでき、又は金属のパターン(例えば、ドット、正方形、線、円錐、不規則形等の金属形状)を含むこともできる。幾つかの実施形態では、金パッドを基板のインサイチュー生成分離構造が生成されることになる/生成された位置に配置し得る。熱パッドを使用して、インサイチュー生成分離構造をゲル化、膨張、縮小、又は除去するための熱を生成し得る。熱は、そのようなゲル化、膨張、縮小、又は除去が望まれるマイクロ流体デバイスの位置に光を向けることにより生成し得る。幾つかの実施形態では、固化ポリマー網目構造は感熱性ポリマーを含み得る。分離構造の固化ポリマー網目構造が感熱性ポリマーを含む場合、デバイスは、基板の、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造が導入されることになる位置の下に配置された熱パッドを更に含み得る。
【0272】
方法
マイクロ流体デバイス内の領域を完全に囲むか、又はペン若しくは隔離ペンのように領域を部分的に囲み得、インサイチュー生成バリであり得るインサイチュー生成分離構造は、マイクロ流体(又はナノ流体)デバイスに細胞を導入する前又は後に導入し得る。インサイチュー生成分離構造は、一時的であるように設計することもでき、又は少なくとも、ソート及び/又は濃縮及び/又は処理手順の持続時間にわたり定位置に維持し得る。
【0273】
インサイチュー生成分離構造は、マイクロ流体内に存在するポリマー溶液に、生体細胞又はビーズが分離構造を超えることを阻止し得る分離構造を形成させることができる光活性化、温度変更、又は浸透圧変更により導入し得る。ポリマーインサイチュー生成分離構造のメッシュサイズに応じて異なるカテゴリの化学種をバリアに通し得る。メッシュサイズが約2nmであるように選ばれる場合、小さい分子成分のみが通過可能であり得るが、タンパク質等は分離構造/バリアにより隔離し得る。インサイチュー生成分離構造/バリアは、タンパク質、核酸、細胞小器官、又はシグナリング分子等のより小さい物質がバリアを渡ることを阻止しないより大きいメッシュサイズを有するポリマーで構成され得る。インサイチュー生成分離構造/バリアは、細胞又はビーズがインサイチュー生成構造/バリアに入る、インサイチュー生成構造/バリアから出る、インサイチュー生成構造/バリアを通ることを許容せずに、媒体を透過させ得る。インサイチュー生成分離構造/バリアは、ビーズ(限定ではなく、磁性ビーズ、ポリスチレンビーズ、又はガラスビーズを含む)を分離構造/バリア内へ、外へ、及び/又は分離構造/バリアを通して透過させながら、生体細胞を保持するメッシュサイズ(架橋されたポリマーストランド間の開口部又は空間の実効サイズ)を有し得る。
【0274】
光活性化重合化を導入するプロセスは、マイクロ流体デバイス内で実行することができ、更に細胞の存在下で実行し得る。光活性化重合化開始剤は、流動性ポリマーの追加前に、それと同時に、又はその後に導入し得る。拡散は重合化プロセスと競合し得、したがって遊離基を迅速に作成する能力が有用であり得る。更に、遊離基は遊離酸素と迅速に結合することができる。光重合化は、媒体中に酸素がない場合、非常に有効で高速であり得るが、生体細胞が存在する(したがって酸素の存在を必要とする)場合、補償するように開始ラジカルの数への調整を行い得る。実際には、マイクロ流体デバイス内で有用な多くのタイプのバリアの導入のために、特に限られた量のポリマーを導入して、ペン又はチャネルを全体的には遮断しない小さいバリアを形成する場合、連鎖停止反応をより迅速に生じ得、形成される余分なポリマー量を制限し得るため、酸素の効果を制限することが役立ち得る。
【0275】
本明細書に記載される任意の変形形態を含め、インサイチュー生成分離構造を用いて微小物体を分離する方法において、微小物体をソート、濃縮、及び/又はマイクロ流体デバイスの予め選択された領域又は隔離ペンに選択的に配置し得るマイクロ流体デバイスが提供される。本明細書に記載されるインサイチュー生成分離構造によって分離される微小物体は、マイクロ流体デバイス内に選択的に保持し得、一方、分離されない微小物体は搬出され、分離された微小物体は、その後、分離プロセスにより選択されない微小物体が存在しない状態で更に処理するために選択的に更に解放され得る。更に、分離された微小物体又は分離されなかった微小物体は、マイクロ流体デバイスにおいて選択的に更に処理し得、この処理は、任意のタイプのアッセイ又は溶解、遺伝子編集、若しくは遺伝子型判定等の更なる処理への準備を含み得る。
【0276】
一態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法が提供され、この方法は、基板及びフロー領域を含むエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップと、流体媒体中の複数の微小物体をエンクロージャに導入するステップと、複数の微小物体の導入前又は後、流動性ポリマーをエンクロージャに導入するステップと、フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアにおける流動性ポリマーの固化を活性化し、それによりインサイチュー生成分離構造を形成するステップと、インサイチュー生成分離構造を用いて複数の微小物体の少なくとも1つを分離するステップとを含む。
【0277】
方法の様々な実施形態では、方法は、複数の微小物体の残りをマイクロ流体デバイスから搬出することを更に含み得る。複数の微小物体の残りは、複数の微小物体の選択された部分であり得る。他の実施形態では、インサイチュー生成分離構造によって分離される少なくとも1つの微小物体は、複数の微小物体の選択された部分であり得る。
【0278】
方法の様々な実施形態では、方法は、流体媒体のフローの増大、加水分解剤の導入、タンパク質分解剤の導入、流体媒体の浸透圧の増大/低減、インサイチュー生成分離構造の温度の変更、又はインサイチュー生成分離構造の光学的な照明により、インサイチュー生成分離構造(インサイチュー生成分バリア、1つ又は複数のインサイチュー生成バリアモジュール、及び/又は1つ又は複数のインサイチュー生成分離モジュールを含み得る)を縮小又は除去し、それにより少なくとも1つの微小物体を分離から解放するステップを更に含み得る。温度を変更するステップは、インサイチュー生成分離構造に隣接する又はインサイチュー生成分離構造の下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、解放された少なくとも1つの微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスから複数の微小物体の選択された部分を搬出することは、複数の微小物体の選択された部分をマイクロ流体デバイスの基板の異なる部分に移すことを更に含み得る。
【0279】
方法の様々な実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、流体媒体のフローに対して透過性であり得るが、一方で微小物体の幾つか又は全てのサブセットがインサイチュー生成分離構造に入る、インサイチュー生成分離構造から出る、及び/又はインサイチュー生成分離構造を通ることを阻止し得る。
【0280】
方法の様々な実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、インサイチュー生成ペンであり得るインサイチュー生成分離構造を形成し得る。
図9Cは非限定的な一例を示す。インサイチュー生成ペンは、分離領域及び接続領域を含むインサイチュー生成隔離ペンであって、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する、インサイチュー生成隔離ペン;少なくとも1つの微小物体を完全に囲むインサイチュー生成壁;並びに少なくとも1つの微小物体を部分的に囲むインサイチュー生成ペンであって、少なくとも1つの微小物体の流入/流出を許容するのに十分に大きい1つの開口部を周縁に有する、インサイチュー生成ペンからなる群から選択し得る。幾つかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの分離された微小物体の周りにインサイチュー生成ペンを膨張させ、それにより微小物体圧力を加え、微小物体を透過させるステップを更に含み得る。
図20Aは非限定的な例を示す。
【0281】
流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数のインサイチュー生成ペンモジュールを有するインサイチュー生成ペンを形成することを更に含み得、複数のサブユニットのそれぞれは、少なくとも1つの分離された微小物体がペンから出ることを阻止する距離で互いから離間される。幾つかの実施形態では、複数のインサイチュー生成ペンモジュールは、複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つのサブセットがインサイチュー生成ペンから出ることを阻止する距離で互いから離間され得る。微小物体は、約1ミクロン~約20ミクロンの直径を有し得る。幾つかの実施形態では、微小物体の少なくとも1つのサブセットは、少なくとも1つのタイプの生体細胞を含む。
【0282】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、少なくとも1つの微小物体がバリアを通過することを阻止するように構成されるインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成し得る。幾つかの実施形態では、複数のバリアを導入し得、複数のバリアは、複数の微小物体の少なくとも1つの微小物体の各サブセットを分離できるようにするように構成され得る。方法は、インサイチュー生成分離構造のサイズを低減又はインサイチュー生成分離構造を除去し、それにより少なくとも1つの微小物体を解放するステップを含み得る。
【0283】
方法の様々な実施形態では、方法は、少なくとも1つの解放された微小物体の1つ又は複数のサブセットをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。少なくとも1つの微小物体の1つ又は複数のサブセットを搬出することは、少なくとも1つの微小物体の1つ又は複数のサブセットをマイクロ流体デバイスの異なる部分に移すことを含み得る。マイクロ流体デバイスの他の部分は隔離ペンを含み得る。
【0284】
方法の様々な実施形態では、固化を活性化するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを有するインサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得、複数のインサイチュー生成モジュールのそれぞれは、少なくとも1つの微小物体がインサイチュー生成バリアを透過することを阻止する距離で互いから離間される。方法の様々な実施形態では、方法は、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを互いから離間させるステップであって、それにより、インサイチュー生成バリアは、複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つのサブセットがインサイチュー生成バリアを透過することを阻止するインサイチュー生成バリアを形成する、ステップを更に含み得る。微小物体の少なくとも1つのサブセットは、少なくとも1つのタイプの生体細胞を含み得る。
【0285】
方法の様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、分離領域及び接続領域を含む少なくとも1つの隔離ペンを更に含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する。エンクロージャは複数の隔離ペンを含み得る。複数の隔離ペンは、行に位置合わせし得、複数のそれぞれの隔離ペンの基端開口部は、互いと連続して配置し得る。幾つかの実施形態では、フロー領域はチャネルを含み得、複数のそれぞれの隔離ペンの基端開口部は、チャネルの1つの側において開き得る。
【0286】
方法の様々な実施形態では、固化を活性化するステップは、隔離ペンの内部で実行し得る。幾つかの実施形態では、固化を活性化するステップは、分離領域又は接続領域内で実行し得る。
図4、
図10A~
図10C、
図12B、
図16、
図19、
図21A~
図21C、及び
図22は非限定的な例を示す。幾つかの実施形態では、隔離ペン内で固化を活性化するステップは、インサイチュー生成ペンを形成し得る。インサイチュー生成ペンは、1つの生物学的微小物体を包含し得る。幾つかの実施形態では、方法は、インサイチュー生成ペンを膨張させ、それにより1つの生体細胞をより隙間なく囲むステップを更に含み得る。方法は、1つの生体細胞を透過可能になるまでインサイチュー生成ペンを膨張させるステップを更に含み得る。
図20Aは非限定的な一例を示す。方法の様々な実施形態では、隔離ペン内の流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、インサイチュー生成バリアを形成し得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの分離領域に配置し得る。インサイチュー生成バリアは、分離領域の幅の約1/4~約3/4であり得る分離領域にわたる幅を有し得る。分離領域にわたるインサイチュー生成バリアの幅は、約5ミクロン~約20ミクロンであり得る。分離領域の幅は、約30ミクロン~約50ミクロンであり得る。
図12A及び
図12Bは非限定的な一例を示す。方法は、マイクロ流体デバイスからバリアによって分離されない複数の微小物体の残りを搬出するステップを含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、インサイチュー生成バリアを光学的に照明するか又はその周囲の温度を変更することにより、インサイチュー生成バリアを縮小又は除去し、それにより少なくとも1つの微小物体を解放するステップを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、少なくとも1つの微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。
【0287】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、接続領域においてインサイチュー生成バリアを生成し得る。方法は、隔離ペンに配置された少なくとも1つの微小物体を捕捉するように構成される捕捉部分を含むように、インサイチュー生成バリアを修飾するステップを更に含み得る。インサイチュー生成バリアは、接続領域の約1/4~約3/4であり得る接続領域にわたる幅を有し得る。幾つかの実施形態では、接続領域にわたるインサイチュー生成バリアの幅は、約5ミクロン~約20ミクロンであり得る。
図10A~
図10Cは非限定的な一例を示す。様々な実施形態では、接続領域は、約30ミクロン~約5ミクロンの幅を有し得る。
【0288】
幾つかの実施形態では、方法は、インサイチュー生成バリアによって分離されない複数の微小物体の残りをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。
【0289】
方法の様々な実施形態では、方法は、複数のインサイチュー生成バリアの1つ又は複数を縮小又は除去し、それにより少なくとも1つの微小物体を分離から解放するステップを更に含み得る。様々な実施形態では、方法は、インサイチュー生成バリアによる分離から解放された後、少なくとも1つの微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。
【0290】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、チャネル内にインサイチュー生成バリアを形成し得る。様々な実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数の隔離ペンの少なくとも1つの隔離ペンの基端開口部に隣接してインサイチュー生成バリアを配置し得る。複数の隔離ペンが存在し得、複数の隔離ペンが行を形成する幾つかの実施形態では、及び流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンの基端開口部の先端縁部に隣接してインサイチュー生成バリアを配置し得る。方法の幾つかの実施形態では、分離ステップは、複数の微小物体の少なくとも1つの微小物体がチャネル内のインサイチュー生成バリアを超えて移動することを阻止することを含み得る。他の実施形態では、分離ステップは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがチャネル内のインサイチュー生成バリアを超えて移動することを阻止することを含み得る。
図6、
図7、
図8、及び
図13A~
図13Cは非限定的な例を示す。
【0291】
方法の様々な実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを有するインサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得る。複数のモジュールのそれぞれは、複数の微小物体の少なくとも1つの微小物体がチャネル内のバリアを超えて移動することを阻止する距離で互いから離間される。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つサブセットがバリアを超えて移動することを阻止する距離に複数のインサイチュー生成バリアモジュールを形成することを更に含み得る。複数の隔離ペンが存在し得、複数の隔離ペンが行を形成する幾つかの実施形態では、及び流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンの基端開口部の先端縁部に隣接してバリアを配置し得る。様々な実施形態では、分離するステップは、少なくとも1つの微小物体が選択された隔離ペンを超えることを阻止することを含み得る。
図9A~
図9Dは非限定的な例を示す。幾つかの実施形態では、分離ステップは、少なくとも1つの微小物体を選択された隔離ペンに配置することを更に含み得る。少なくとも1つの微小物体は、複数の微小物体の全てであり得る。
【0292】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、少なくとも2つの連続した隔離ペンの基端開口部を遮断するサイズのインサイチュー生成バリアを形成し得る。基端開口部を遮断するインサイチュー生成バリアは、少なくとも50ミクロン~約500ミクロンの寸法を有し得る。
図5A及び
図5Bは非限定的な一例を示す。様々な実施形態では、方法は、バリアによって分離されない複数の微小物体の残りの残りをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。
【0293】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数のペンの最初の隔離ペンの基端開口部の先端縁部にバリアを形成し得る。
図13A~
図13Cは非限定的な一例を示す。幾つかの実施形態では、複数の隔離ペンは第1の複数の隔離ペンであり得、チャネルは第1のチャネルであり得、マイクロ流体デバイスは、第2のチャネルに沿って配置された第2の複数の隔離ペンを更に含み得、バリアは、少なくとも1つの微小物体がインサイチュー生成バリアを超えて第1のチャネルに入ることを阻止し得る。バリアは、流体媒体のフローをエンクロージャの別の部分に向け得る。幾つかの実施形態では、バリアは、複数の微小物体の全てがバリアを超えて第1のチャネルに入ることを阻止し得る。幾つかの実施形態では、分離するステップは、複数の微小物体を第2のチャネルに向けることを更に含み得る。幾つかの実施形態では、分離するステップは、複数の微小物体を第2のチャネル内の第2の複数の隔離ペンに配置することを更に含み得る。
【0294】
方法の様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、チャネルの第1の側に互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペンを含み得、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネルの第2の逆の側に互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを更に含む。
図14A、
図14B、及び
図15は非限定的な例を示す。幾つかの実施形態では、複数の微小物体を導入するステップは、複数の微小物体を第1の流体媒体において第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入することを含み得る。複数の微小物体のそれぞれは、生物学的微小物体のクローン集団であり得る。方法の様々な実施形態では、導入するステップは、第1のクローン集団の第1の生物学的微小物体を第1の流体媒体において第2の複数の隔離ペンの最初の隔離ペンに導入することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、導入するステップは、第1の複数の隔離ペンの各隔離ペン内の各クローン集団の第1の生物学的微小物体を第1の流体媒体において第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンに導入することを更に含み得る。
【0295】
幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化することであって、それにより第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数のペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割する、インサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成し、インサイチュー生成バリアは、微小物体が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、活性化することを含み得る。
【0296】
他の実施形態では、マイクロ流体デバイスは、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数のペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するバリアを更に含み得、バリアは、第1の複数の隔離ペンの最初の隔離ペンの第1のサブチャネルの基端開口部及び第2の複数の隔離ペンの最初のペンの第2のサブチャネルへの基端開口部への基端開口部と位置合わせされた少なくとも1つのギャップで中断され、更に、重合化を活性化するステップは、少なくとも1つのギャップにおいて重合化を活性化して、少なくとも1つのギャップに少なくとも1つのインサイチュー生成バリアを形成し、それにより微小物体が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止することを含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスが、少なくとも1つのギャップで中断されたバリアを含む場合、第1の複数の隔離ペン内の各クローン集団の少なくとも1つの細胞を移すステップは、少なくとも1つの細胞を、少なくとも1つのギャップを通して第2の複数のペンの各隔離ペンに移すことを含む。幾つかの実施形態では、バリアは複数のギャップを有する。各ギャップは、第1の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部(マイクロ流体チャネルへの)からわたり位置合わせし得、且つ任意選択的に、マイクロ流体チャネルへの第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部とも位置合わせし得る。固化を活性化するステップは、複数のギャップの1つ又は複数を閉じる1つ又は複数のインサイチュー生成バリアを形成することを含むことができる。方法の様々な実施形態では、方法は、第2の流体媒体を第2のサブチャネルに導入するステップを更に含み得る。方法は、インサイチュー生成バリアに沿って、第1のサブチャネル内の第1の流体媒体及び第2のサブチャネル内の第2の流体媒体をデバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流すステップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、分離するステップは、第1の媒体が第2のサブチャネル内の第2の媒体と混合することを阻止することを更に含み得る。更なる実施形態では、分離するステップは、第2の流体媒体において各クローン集団の第1の生物学的微小物体のそれぞれを成長させることであって、それにより、第2の複数の隔離ペン内の第1の生物学的微小物体は、第1の複数の隔離ペン内の各クローン集団とは別様に成長する、成長させることを更に含み得る。方法は、第2の複数の隔離ペンのそれぞれ内の第1の生物学的微小物体のそれぞれを増殖させ、それにより生物学的微小物体の新しいクローン集団を提供するステップを更に含み得る。様々な実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを有するバリアを形成することを更に含み得、複数のモジュールのそれぞれは、少なくとも1つの微小物体がバリアを透過することを阻止する距離で互いから離間される。流動性ポリマーの固化を活性するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを互いから離間することであって、それにより複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つのサブセットがバリアを透過することを阻止するインサイチュー生成バリアを形成する、離間することを更に含み得る。インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルに沿った長さを有する。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、インサイチュー生成バリアの長さの少なくとも40%の長さを有する複数のインサイチュー生成モジュールの第1のモジュールを形成することを更に含み得る。
図15は非限定的な一例を示す。他の実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、バリアの長さの20%以下の長さを有する複数のインサイチュー生成バリアモジュールの残りのそれぞれを形成することを更に含み得る。インサイチュー生成バリアは、第1の上流端部(例えば、流体流入口に近い)及び第2の下流端部(例えば、流体流出口に近い)並びにそれらの間の長さを有し得る。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、バリアを形成することを更に含み得、インサイチュー生成バリアは、第1の端部において第1又は第2の流体媒体のフローを透過せず、インサイチュー生成バリアの長さの少なくとも40%であるポイントにおいて、第1又は第2の流体媒体のフローの少なくとも一部を透過し得る。
【0297】
方法の様々な実施形態では、方法は、インサイチュー生成バリアの寸法を低減又はインサイチュー生成バリアを除去するステップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアが複数のモジュールを含む場合、インサイチュー生成バリアは、複数のバリアモジュールの少なくとも一部を除去することにより縮小し得る。インサイチュー生成バリアモジュールのより少数又はより多数のモジュールを除去して、バリアを縮小し得る。方法の様々な実施形態では、方法は、第1の流体媒体と第2の流体媒体との混合の程度に応じて、異なる組成の流体媒体内で各クローン集団の第1の生物学的微小物体のそれぞれを成長させるステップを更に含み得る。
【0298】
方法の任意の実施形態において、方法は、分離された微小物体を処理するステップを含み得る。代替的には、方法は、マイクロ流体デバイス内の別の微小物体は分離される一方、分離されなかった微小物体を処理するステップを含み得る。
【0299】
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法が提供され、この方法は、基板、チャネルを含むフロー領域、及び複数の隔離ペンを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、複数の微小物体を含む流体媒体をマイクロ流体デバイスのチャネルに配置するステップであって、流体媒体は、流動性ポリマーを含む、ステップと、複数の微小物体の選択された微小物体を複数の隔離ペンの少なくとも一部に配置し、それにより少なくとも1つの微小物体をそれぞれ含む複数の移入済み隔離ペンを形成するステップと、複数の移入済み隔離ペンの少なくとも1つを選択するステップと、接続領域内、分離領域内、又は少なくとも1つの選択された隔離ペンの接続領域の基端開口部内の選択されたポイントにおいて、流動性ポリマーの重合化を開始するステップであって、流動性ポリマーの重合化ポリマーは少なくとも部分的なインサイチュー生成バリアを生成する、ステップと、少なくとも1つの微小物体が少なくとも1つの選択された隔離ペンから出ることを阻止するステップとを含む。
図4及び
図5はこの方法の非限定的な例である。複数の隔離ペンのそれぞれは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、チャネルへの基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーの重合化は、固化ポリマー網目構造を形成する。様々な実施形態では、方法は、1つ又は複数の選択されていない移入済み隔離ペンから複数の微小物体の少なくとも1つを除去するステップを更に含み得る。方法は、続けて、少なくとも1つの微小物体を少なくとも1つの選択された隔離ペンから出せるようにするステップを更に含み得る。
【0300】
方法は、少なくとも1つの微小物体を少なくとも1つの選択された隔離ペンから出せるようにするステップを更に含み得、少なくとも部分的にインサイチュー生成バリアを少なくとも縮小することであって、それにより少なくとも1つの微小物体を解放する、少なくとも縮小することを更に含む。インサイチュー生成バリアを縮小することは、インサイチュー生成バリアのサイズを縮めることを含むことができ、又はより小さいサイズを有する第2の状態にインサイチュー生成バリアをシフトすることを含むことができる。縮小することは、バリアの残りの部分の多孔性を増大させることを含むこともできる。縮小することは、収縮したインサイチュー生成バリアにより、より多くのタイプの微小物体を縮小したインサイチュー生成バリア内外に透過させ得るように、インサイチュー生成バリアのモジュールの一部を除去することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、方法は、流体媒体のフローの増大、加水分解剤の導入、タンパク質分解剤の導入、流体媒体の浸透圧の増大/低減、少なくとも部分的なバリアの温度の変更、又はインサイチュー生成バリアの光学的照明により、少なくとも部分的なインサイチュー生成バリアを縮小又は除去し、それにより少なくとも1つの微小物体を分離から解放するステップを更に含み得る。温度を変更するステップは、バリアに隣接するか又はバリアの下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアを形成するステップは、実質的に完全なインサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得る。様々な実施形態では、実質的に完全なインサイチュー生成バリアは、少なくとも1つの隔離ペンのチャネルへの基端開口部に形成し得る。形成するステップは、2つ以上の隔離ペンの基端開口部に実質的に完全なインサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、複数の連続した隔離ペンを更に含み得る。様々な実施形態では、実質的に完全なインサイチュー生成バリアは、チャネル内の流体媒体のフローの増大により除去し得る。
【0301】
微小物体を含み得る流体フローの方向付け
別の態様では、マイクロ流体デバイス内で流体フローを方向付ける方法が提供され、この方法は、基板と、少なくとも第1のフロー領域及び第2のフロー領域に分かれる、流体媒体を含むように構成されるフロー領域とを有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1のフロー領域への流体フローを遮断するインサイチュー生成バリアをインサイチューで生成するステップと、流体媒体をフロー領域に導入するステップと、インサイチュー生成バリアが第2のフロー領域を通るように流体媒体のフローを向けるように、流体媒体をエンクロージャに通して流すステップとを含む。様々な実施形態では、流体媒体は少なくとも1つの微小物体を含み得る。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの微小物体は、第2のフロー領域に向けられ得る。
図13A~
図13Cはこの方法の非限定的な一例を示す。
【0302】
方法の様々な実施形態において、方法は、少なくとも1つの微小物体を第2のフロー領域内に配置された隔離ペン内に配置するステップを更に含み得る。隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、第2のフロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する。少なくとも第1の微小物体は、隔離ペンの分離領域内に配置し得る。
【0303】
方法の様々な実施形態では、方法は、インサイチュー生成バリアを除去して、第1のフロー領域を実質的に遮断解除するステップを更に含み得る。フロー領域の第1の部分を実質的に遮断解除するステップは、微小物体を含む流体媒体を第1のフロー領域に流すことを更に含み得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの少なくとも一部は、フロー領域でのフローの増大、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、バリアの温度変更、又は光学照明の適用により除去可能であり得る。
【0304】
方法の様々な実施形態では、方法は、第2のフロー領域を遮断するように構成される第2のインサイチュー生成バリアを導入するステップを更に含み得る。
【0305】
幾つかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの微小物体を第1のフロー領域に導入するステップを更に含み得る。方法は、フロー領域に流体媒体を流し、それにより少なくとも1つの微小物体を第1のフロー領域に向けるステップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、向けるステップは、少なくとも1つの微小物体を第1のフロー領域内に配置される隔離ペン内に配置することを更に含み得る。隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有し、更に、少なくとも1つの微小物体は、隔離ペンの分離領域内に配置される。方法の様々な実施形態では、方法は、第2のインサイチュー生成バリアを除去するステップを更に含み得る。
【0306】
方法の様々な実施形態では、方法は、少なくとも1つの微小物体を処理するステップを更に含み得る。更なる処理するステップは、少なくとも1つの微小物体のアッセイ、ソート、透過化、形質転換、又は搬出を含み得る。
【0307】
様々な実施形態では、生成するステップは、流体媒体に存在する流動性ポリマーの固化を開始することを含み得る。
【0308】
方法の様々な実施形態では、少なくとも第1の微小物体及び/又は少なくとも第2の微小物体は生物学的微小物体であり得る。
【0309】
生体細胞の濃縮を含み得る微小物体の濃縮
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を濃縮する方法を提供し得、この方法は、基板及び流体媒体を含むように構成されるフロー領域を有するエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスを提供するステップと、フロー領域の第1のセクタにインサイチュー生成分離構造を導入するステップであって、インサイチュー生成分離構造は、流体媒体を、インサイチュー生成分離構造を通して流すが、流体媒体中の少なくとも1つの微小物体が分離構造を透過することを阻止するように構成される、ステップと、第1の容量の流体媒体中の第1の複数の微小物体をフロー領域の第1のセクタに導入するステップと、フロー領域の第1のセクタにおいて、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを濃縮するステップとを含む。
図6、
図7、
図8A、
図8B、
図9A~
図9D、
図10A~
図10Cは、方法の幾つかの実施形態を示す。様々な実施形態では、第1の容量の流体媒体は、フロー領域の第1のセクタの容量よりも大きい容量であり得る。
【0310】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、第1の複数の微小物体の第1のサブセットを透過させず、第1の複数の微小物体の第2のサブセットを透過させ得る。幾つかの実施形態では、第1のセクタにおいて第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを濃縮するステップは、第1の複数の微小物体の微小物体の第1のサブセットから微小物体の第2のサブセットをソートすることを更に含み得る。
【0311】
方法の様々な実施形態では、方法は、第1のセクタ内に配置された少なくとも1つの隔離ペン内において、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを配置するステップを更に含み得る。各隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み得、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する。
【0312】
方法の様々な実施形態では、方法は、第2の複数の微小物体をフロー領域に導入し、第2の容量の流体媒体をフロー領域の第1のセクタに通して流すステップと、フロー領域の第1のセクタにおいて、第1の複数のうちの少なくとも第1のサブセットと共に第2の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを濃縮するステップを更に含み得る。方法は、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセット及び第2の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを第1のセクタ内に配置された少なくとも1つの隔離ペン内に配置するステップを更に含み得る。
【0313】
方法の様々な実施形態では、方法は、第2の容量の流体媒体で第2の複数の微小物体をフロー領域の第1のセクタに導入し、それにより微小物体の第1のサブセットを第2の複数の微小物体の微小物体の第2のサブセットからソートするステップと、基板の第1のセクタにおいて、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセット及び第2の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを濃縮するステップとを更に含み得る。
【0314】
幾つかの実施形態では、方法は、第1の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセット及び第2の複数の微小物体の第1のサブセットを第1のセクタ内に配置された少なくとも1つの隔離ペンに配置するステップを更に含み得、各隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する。
【0315】
方法の様々な実施形態では、方法は、分離構造の少なくとも一部を除去又は縮小し、それにより微小物体を含むある容量の流体媒体にフロー領域の少なくとも第2のセクタを透過させるステップを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、第2のインサイチュー生成分離構造をフロー領域の第2のセクタに導入するステップを更に含み得る。方法の幾つかの実施形態では、方法は、第2の複数の微小物体を第2の容量の流体媒体でフロー領域の第1のセクタに導入するステップと、フロー領域の第2のセクタにおいて、複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットを濃縮するステップとを更に含み得る。方法は、第2の複数の微小物体の少なくとも第1のサブセットをフロー領域の第2のセクタ内に配置された少なくとも1つの隔離ペン内に配置するステップを更に含み得る。方法は、第2の分離構造の少なくとも一部を除去又は縮小し、それにより制限のないフローにフロー領域全体を透過させるステップを更に含み得る。
【0316】
方法の様々な実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、選択された微小物体を包含する完全包囲ペン、微小物体の通過を許容するのに十分に大きい、周縁の一部におけるペン開口部、分離領域及び接続領域を含み、接続領域はフロー領域への基端開口部及び分離領域又はバリアへの先端開口部を有する隔離ペンであり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含み得、各モジュールは、2つのインサイチュー生成モジュール間の開口部が、選択された微小物体のサイズよりも小さくなるように、複数のバリアモジュールの残りから離間される。微小物体は、約1ミクロン~約20ミクロンの直径を有し得る。
【0317】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、インサイチュー生成バリア内にあり得、隔離ペンの分離領域又は接続領域内に実質的に配置し得る。他の実施形態では、インサイチュー生成分離構造は、インサイチュー生成バリア内にあり得、フロー領域内に実質的に配置し得る。
【0318】
様々な実施形態では、第1の複数の微小物体は生物学的微小物体を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の複数の微小物体の第1のサブセット及び第2のサブセットは、異なるタイプの微小物体を含み得る。様々な実施形態では、第2の複数の微小物体は、生物学的微小物体を含み得る。両方の複数の微小物体が生物学的微小物体である場合、第2の複数の微小物体の第1のサブセット及び第2のサブセットは、異なるタイプの微小物体を含み得る。
【0319】
クローン集団の細胞のアッセイ
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおいてクローン集団の細胞をアッセイする方法が提供され、この方法は、複数の細胞を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、エンクロージャは、基板と、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域と、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペンと、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンとを含む、ステップと、第1の流体媒体及び複数の細胞をマイクロ流体デバイスのチャネルに流すステップと、細胞のクローン集団を第1の複数の隔離ペンの各隔離ペンに導入するステップと、第1の複数の隔離ペン内の細胞のクローン集団ごとに、少なくとも1つの細胞を第2の複数の隔離ペンのそれぞれの隔離ペンに移すステップと、流動性ポリマーをチャネルに導入するステップと、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより第1の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを形成するステップであって、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、ステップと、第2の流体媒体を第2のサブチャネルに流すステップであって、第2の流体媒体は、第2の複数の隔離ペン内の細胞をアッセイする試薬を含む、ステップと、第2の複数の各隔離ペン内の細胞をアッセイするステップとを含む。
図14A~
図14Cは一実施形態を示す。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアは、チャネルの第1の端部からマイクロ流体チャネルの第2の端部までの長さを有し得る。第1の複数の隔離ペン及び第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの各側への基端開口部を有し得る。
【0320】
様々な実施形態では、流動性ポリマーは、複数の細胞を第1の複数の隔離ペンに導入するステップの前又は後に導入し得る。
【0321】
幾つかの実施形態では、クローン集団を導入するステップは、単一の細胞を第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入することを含み得、且つその単一の細胞を増殖して細胞のクローン集団にすることを更に含み得る。
【0322】
方法の様々な実施形態では、方法は、流体媒体を第1のサブチャネル及び第2のサブチャネルにおいてマイクロ流体デバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流すことを更に含み得る。第1のサブチャネルにおける流体媒体は、第2のサブチャネルにおける流体媒体と異なり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアは、第1のサブチャネルにおける流体媒体の第1のサブフローが第2のサブチャネルにおける流体媒体の第2のサブフローと混合することを阻止し得る。
【0323】
幾つかの実施形態では、アッセイするステップは、遺伝子型判定のために第2の複数の隔離ペン内の細胞を準備することを含み得る。幾つかの他の実施形態では、アッセイするステップは、第2の複数の各隔離ペン内の細胞及び/又は第1の複数の各隔離ペン内のクローン集団による生物学的産物の生成レベルを特定することを含み得る。
【0324】
幾つかの実施形態では、アッセイのための試薬は、化学試薬、生物学的試薬、フィーダ細胞、刺激細胞、レポーター細胞、レポーター分子、及びビーズを含む群の1つ又は複数を含み得る。ビーズは、化学試薬、生物学的試薬、刺激試薬、又はレポーター分子を含み得る。
【0325】
様々な実施形態では、アッセイするステップは、第2の複数の隔離ペンにおける細胞の少なくとも1つの細胞を識別することを更に含み、少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む。方法は、第2の複数の隔離ペンにおける細胞の少なくとも1つの細胞を搬出するステップを更に含み得、少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む。様々な実施形態では、方法は、第1の複数の隔離ペンの各ペンから、クローン集団のそれぞれを搬出するステップを更に含み得る。他の実施形態では、方法は、選択された特性を含まない、第2の複数の隔離ペンにおける細胞及び/又は第1の複数の隔離ペンにおける細胞のクローン集団を搬出するステップを更に含み得る。
【0326】
方法の様々な実施形態では、方法は、細胞を搬出する前にインサイチュー生成バリアを除去するステップを更に含み得る。
【0327】
様々な実施形態では、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、マイクロ流体チャネルの第1の端部からマイクロ流体チャネルの第2の端部に延在するバリアのギャップにおいて、流動性ポリマーの固化を活性化することを含み、バリアは、マイクロ流体チャネルを第1のサブチャネル及び第2のサブチャネルに分け、ギャップは、第1の複数の隔離ペンの各ペンの基端開口部及び第2の複数の隔離ペンのそれぞれのペンの基端開口部と位置合わせされ、それにより細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止するインサイチュー生成バリアを形成する。バリアは、第1の複数の隔離ペンの1つのペンの基端開口部及び第2の複数の隔離ペンのそれぞれのペンの基端開口部と位置合わせされた少なくとも1つのギャップを有し得る。幾つかの実施形態では、バリアは複数のギャップを有する。各ギャップは、第1の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部(マイクロ流体チャネルへの)からわたり位置合わせされ得、且つ任意選択的に、マイクロ流体チャネルへの第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンの基端開口部とも位置合わせされ得る。
【0328】
細胞株の進化
別の態様では、マイクロ流体デバイスにおける細胞株進化の方法が提供され、この方法は、マイクロ流体デバイスを提供するステップであって、デバイスは、基板と、流体媒体を含むように構成されるチャネルを含むフロー領域と、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペンと、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンとを含むエンクロージャを含む、ステップと、第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのチャネルに導入するステップと、クローン集団の1つ又は複数の細胞を第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入するステップと、クローン集団の1つ又は複数の細胞を第2の複数の隔離ペンのそれぞれに導入するステップと、流動性ポリマーをチャネルに導入するステップと、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより第1の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超えた流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを形成するステップであって、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、ステップと、第2の流体媒体をチャネルの第2の側に導入するステップと、第2の流体媒体の存在下において、第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンにおいて1つ又は複数の細胞のそれぞれを成長させるステップとを含む。流動性ポリマーを導入するステップは、細胞の導入前又は後に実行し得る。
【0329】
幾つかの実施形態では、第2の流体媒体は、第1の流体媒体の化学的又は生物学的成分と異なる化学的又は生物学的成分を含み得る。第2の流体媒体の化学的又は生物学的成分は、第2の複数の隔離ペンのそれぞれにおけるクローン集団の1つ又は複数の細胞の成長に選択的圧力をかけ得る。
【0330】
方法の様々な実施形態では、方法は、チャネルの第1の側における第1の流体媒体及びチャネルの第2の側における第2の流体媒体をインサイチュー生成バリアに沿ってデバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流すステップを更に含み得る。幾つかの実施形態では、分離するステップは、第1の媒体がチャネルの第2の側における第2の媒体と混合することを阻止することを更に含み得る。
【0331】
方法の様々な実施形態では、方法は、第2の複数の隔離ペンのそれぞれにおける1つの細胞のそれぞれを増殖させ、それにより第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンにおいて新しいクローン集団を提供するステップを更に含み得る。
【0332】
幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアを形成するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを有するインサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得、複数のインサイチュー生成モジュールは、それぞれ少なくとも1つの微小物体がバリアを透過することを阻止する距離で互いから離間される。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアの透過を阻止される微小物体は、1~20ミクロンの直径を有し得る。他の実施形態では、インサイチュー生成バリアを形成するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを互いから離間し、それにより複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つサブセットがインサイチュー生成バリアを透過することを阻止することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、パターン化するステップは、インサイチュー生成バリアの長さの少なくとも40%の長さを有する複数のインサイチュー生成モジュールの第1のモジュールを形成することを更に含み得、インサイチュー生成バリアは、チャネルの長さに沿った長さを有し得る。インサイチュー生成バリアは、第1の端部及び第2の端部を更に有する。インサイチュー生成バリアの第1の端部は、第1の流体流入口及び/又は第2の流体流入口の近くにあり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成バリアを形成するステップは、インサイチュー生成バリアの長さの20%以下の長さを有する複数のインサイチュー生成バリアモジュールの残りのそれぞれを形成することを更に含む。更に他の実施形態では、インサイチュー生成バリアを形成するステップは、インサイチュー生成バリアを形成することを更に含み得、インサイチュー生成バリアは、第1の端部において第1又は第2の流体媒体のフローを透過せず、インサイチュー生成バリアの長さの少なくとも40%であるポイントにおいて、第1又は第2の流体媒体のフローを透過する。
【0333】
方法の様々な実施形態では、方法は、フロー領域における増大した流体フロー、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、インサイチュー生成バリアの温度変更、又は光学照明の適用により、インサイチュー生成バリアの少なくとも一部を縮小するステップを更に含み得る。インサイチュー生成バリアの少なくとも一部は、バリアのサイズを低減することにより縮小し得る。様々な実施形態では、インサイチュー生成バリアが複数のインサイチュー生成モジュールを含む場合、インサイチュー生成バリアは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールの少なくとも一部を除去することにより少なくとも縮小し得る。複数のインサイチュー生成バリアモジュールの少なくとも一部を除去することは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールの1つ又は任意の数のモジュールを除去することを含み得る。
【0334】
方法の様々な実施形態では、方法は、マイクロ流体チャネルに沿った位置に応じた程度で第1の流体媒体と第2の流体媒体とを混合し、それにより第1の流体媒体及び第2の流体媒体のそれぞれの複数の異なる組成物を形成することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、方法は、マイクロ流体チャネルに沿った1つ又は複数の細胞の位置に応じて異なる組成の流体媒体の存在下において、第1の複数の隔離ペン及び第2の複数の隔離ペンのそれぞれにおいて1つ又は複数の細胞のそれぞれを成長させるステップを更に含み得る。
【0335】
方法の様々な実施形態では、方法は、第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンにおいて1つ又は複数の細胞をアッセイするステップを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンにおいて新しいクローン集団をアッセイするステップを更に含み得る。
【0336】
アッセイするステップは、第3の流体媒体をチャネルの第2の側に流すことを更に含み得、第3の流体媒体は、第2の複数の隔離ペンの各ペンにおいて1つ又は複数の細胞をアッセイするための試薬を含む。アッセイするための試薬は、化学試薬、生物学的試薬、フィーダ細胞、刺激細胞、レポーター細胞、レポーター分子、及びビーズの1つ又は複数を含み得る。ビーズは、化学試薬、生物学的試薬、刺激試薬、又はレポーター分子を含み得る。
【0337】
様々な実施形態では、アッセイするステップは、第2の複数の隔離ペンにおいて、選択された特性を有する少なくとも1つの細胞を識別することを更に含み得る。他の実施形態では、アッセイするステップは、選択された特性を有する少なくとも1つの新しいクローン集団を識別することと、そうして識別された新しいクローン集団を搬出することとを更に含み得る。
【0338】
方法の様々な実施形態では、方法は、選択された特性を有する少なくとも1つの細胞をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。方法は、第1の複数の隔離ペンのペンからマイクロ流体デバイスにクローン集団を搬出することを更に含み得る。方法は、第2の複数の隔離ペンにおいて選択された特性を有さない細胞をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含み得る。方法の様々な実施形態では、方法は、細胞を搬出する前にインサイチュー生成バリアを除去するステップを更に含み得る。
【0339】
プロトタイピング
別の態様では、高速マイクロ流体デバイスプロトタイピングの方法が提供され、この方法は、マイクロ流体デバイスを提供するステップであって、デバイスは、基板及びフロー領域を含むエンクロージャを含む、ステップと、第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップと、流動性ポリマーをエンクロージャに導入するステップと、エンクロージャの少なくとも1つのエリアを選択するステップと、活性化のパターンによりインサイチュー生成テスト構造が形成されるように、選択された各エリアにおいてポリマーの固化を活性化するステップと、マイクロ流体デバイスにおける微小物体の操作での使用について、インサイチュー生成テスト構造をテストするステップとを含む。幾つかの実施形態では、テスト構造がテストに合格しない場合、テスト構造を除去し得る。幾つかの実施形態では、テスト構造の少なくとも一部は、フロー領域でのフローの増大、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、テスト構造への温度変更、又は光学照明の適用により除去可能であり得る。幾つかの実施形態では、テスト構造の少なくとも一部が温度変更により除去可能である場合、温度変更は、インサイチュー生成テスト構造の下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することにより実行し得る。方法の様々な実施形態では、方法は、テストするステップの結果に基づいて調整された特性を有する第2のインサイチュー生成テスト構造をパターン化するステップを更に含み得る。
【0340】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含み得る。生体ポリマーは、光又は温度活性化可能であり得る。合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを任意の組合せで含み得る。様々な実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。
【0341】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、流動性ポリマーは修飾ポリエチレングリコールポリマーを含み得る。他の実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーは星型ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーはジアクリレート部分を含み得る。様々な実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーは光切断可能部分を含み得る。
【0342】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、基板の選択されたエリアを光学的に照明し、それによりポリマーを重合化することを含み得る。流動性ポリマーの重合化により、固化ポリマー網目構造を形成し得る。流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、光活性化可能重合化開始剤を導入することを更に含み得る。
【0343】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、基板の選択されたエリアにおいて温度を変更し、それによりポリマーをゲル化することを含み得る。流動性ポリマーのゲル化により、固化ポリマー網目構造を形成し得る。基板の選択されたエリアにおいて温度を変更するステップは、基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含み得る。
【0344】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、インサイチュー生成分離構造/分離モジュール/バリア/バリアモジュールの少なくとも一部は、フロー領域を通る流体媒体のフローの増大、加水分解剤のフロー領域への導入、タンパク質分解剤のフロー領域への導入、フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体のフロー領域への導入、インサイチュー生成分離構造の温度の変更、又は分離構造の光学的照明により除去可能であり得る。幾つかの実施形態では、インサイチュー生成分離構造/分離モジュール/バリア/バリアモジュールの少なくとも一部が温度変更により除去可能である場合、温度は、バリアの下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することにより変更し得る。
【0345】
全ての方法について、本明細書に記載される任意の方法の様々な実施形態において、基板は、エンクロージャ内の流体媒体中の微小物体に対して誘電泳動(DEP)力を生成するように構成され得る。DEP力を生成するように構成される基板は、光学的に作動し得る。方法の様々な実施形態では、基板は、エンクロージャ内の液滴に対してエレクトロウェッティング力を生成するように構成され得る。エレクトロウェッティング力は光学的に作動し得る。
【0346】
全ての方法について、様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスのエンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含み得る。少なくとも1つの内面は、基板の表面を含み得る。幾つかの実施形態では、エンクロージャの略全ての内面は、調整面を含み得る。調整面は共有結合的に修飾された表面であり得る。幾つかの実施形態では、共有結合的に修飾された表面は親水性であり得る。方法の幾つかの実施形態では、方法は、エンクロージャの少なくとも1つの内面に調整面を提供するステップを更に含み得る。調整面を提供するステップは、いかなる微小物体、生体細胞、又は流動性ポリマーも導入する前に実行し得る。
【0347】
キット.更に別の実施形態において、マイクロ流体デバイス内で微小物体を分離するキットが提供され、このキットは、基板及びエンクロージャ内に配置されたフロー領域を含むエンクロージャを含むマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含み、ポリマーは、重合化及び/又は熱的誘導ゲル化が可能である。マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイスであり得、特徴、構成要素、及び寸法の任意の組合せを有し得る。キットは、光活性化可能な重合化開始剤を更に含み得る。
【0348】
別の態様では、クローン集団の細胞をアッセイするキットが提供され、このキットは、基板、エンクロージャ内に配置されるチャネルを含むフロー領域、チャネルの第1の側において互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及びチャネルの第2の逆の側において互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを有するエンクロージャを有するマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含み、ポリマーは、重合化及び/又は熱的誘導ゲル化が可能である。様々な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、チャネルの第1の側をチャネルの第2の側から分離するアリアを更に含み得る。バリアはインサイチュー生成バリアであり得る。様々な実施形態では、バリアは、インサイチュー生成バリアではなく、第1の複数のペンの最初のペンのチャネルへの基端開口部と、第2の複数のペンの最初のペンのチャネルへの基端開口部との間に位置合わせされた少なくとも1つのギャップによって中断し得る。基板、基板、エンクロージャ内に配置されるチャネルを含むフロー領域、チャネルの第1の側において互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及びチャネルの第2の逆の側において互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスを含むキットは、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスの特徴、構成要素、又は寸法の任意の組合せを有し得る。
【0349】
本明細書に記載される任意のキットの様々な実施形態では、ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含み得る。生体ポリマーは、光又は温度活性化可能であり得る。合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを任意の組合せで含み得る。様々な実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。他の実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施形態では、流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含み得る。
【0350】
本明細書に記載される任意のキットの様々な実施形態では、流動性ポリマーは修飾ポリエチレングリコールポリマーを含み得る。他の実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーは星型ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーはジアクリレート部分を含み得る。様々な実施形態では、修飾ポリエチレングリコールポリマーは光切断可能部分を含み得る。
【0351】
本明細書に記載される任意のキットの様々な実施形態では、キットは、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの内面を共有結合的に修飾するように構成される試薬を更に含み得、試薬は、本明細書に記載される任意の共有結合的に修飾された内面を生成し得る。キットの様々な構成要素は、別個の容器に包装し得る。
【実施例0352】
実験
システム及びマイクロ流体デバイス:システム及びマイクロ流体デバイス:Berkeley Lights, Inc.製。システムは、少なくともフローコントローラ、温度コントローラ、流体媒体調整及びポンプ構成要素、光活性化DEP構成用の光源、マイクロ流体デバイス、搭載ステージ、及びカメラを含んだ。隔離ペンは約2×107立方ミクロンの容積を有する。
【0353】
プライミング手順:250マイクロリットルの100%二酸化炭素を3マイクロリットル/秒の流量で流入させた。この後、250マイクロリットルのPBSを3マイクロリットル/秒の流量で流入させた。プライミングの最終ステップは、0.1%のPluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含む250マイクロリットルの培地を3マイクロリットル/秒の流量で流入させた。
【0354】
例1.幾つかのペンにわたる分離構造の設置
ヒドロゲル準備:ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、5kDa(Laysan Bio、カタログ番号ACRL-PEG_ACRL-5000-1g)、10%w/v、及び1.2%w/v IGRACURE(登録商標)2959(Ciba(登録商標)、Sigma Aldrichカタログ番号410896)光開始剤をDulbeccoのリン酸緩衝食塩水中で混合して、プレポリマー溶液を作製した。
【0355】
培地:ハイブリドーマ-SFM(Life Technologies、カタログ番号12045-076);10%ウシ胎仔血清;1%ペニシリン-ストレプトマイシン(100000U/mL、Life Technologiesカタログ番号15140-163);1mM MEM非必須アミノ酸(Life Technologiesカタログ番号10370-088);2mM GlutaMAX(Life Technologiesカタログ番号35050-079);1mMのピルビン酸ナトリウム(Life Technologiesカタログ番号11360-070)。
【0356】
上記の一般手順に従ってマイクロ流体デバイスをプライミングした。次に、培地を5分間にわたり流した。細胞をマイクロ流体デバイスに装填し、次に重力を使用して隔離ペン内に導入した。
【0357】
プレポリマー溶液(60マイクロリットル)を2マイクロリットル/秒でマイクロ流体デバイスに流入させ、5分間、隔離ペン内に存在する媒体と交換させた。100マイクロWを340nm+/マイナス20nmにおいて使用して、細胞を含む、選択された隔離ペンの真上のチャネル内の選択された領域(25ミクロン×600ミクロン)の光開始重合化を実行し、7.5秒間、幾つかのペンの開口部にわたる分離構造を導入した。光重合化の完了後、培地を1マイクロリットル/秒で10分間にわたり灌流させて、残留プレポリマーを隔離ペン及びフローチャネルから除去した。
図5Aは、分離構造520が導入された領域の明視野像を示す。固化ポリマー網目構造520は、この照明下では見えないが、細胞530は明らかに分離構造によって分離されたペン内に存在している。
【0358】
次に、媒体を0.02マイクロリットル/秒で灌流し続けた状態でマイクロ流体デバイス全体を2日間維持した。培養期間の終了時、明視野照明にFITCオーバーレイを使用して、ペン内の細胞の流出を阻止する分離構造を有する隔離ペンを再び可視化し、これは
図5Bに示されている。この照明状況下で分離構造520は明確に見えた。分離構造は、ペン内のいかなる細胞も流出から阻止した。隔離ペン内の細胞530は、なおも可視であり、成長し分割する能力を引き続き示した。
【0359】
例2.マイクロ流体デバイス内の光切断可能なヒドロゲルバリアの導入及び除去
式1の構造を有する光切断可能なPEGジアクリレートを合成した。
【化3】
【0360】
Kloxinらの合成プロトコル(Kloxin, A. M.; Tibbitt, M. W.; Anseth, K. S. Synthesis of photodegradable hydrogels as dynamically tunable cell culture platforms. Nat. Protoc. 2010, 5 (12), 1867?1887)を使用して、より厳しく酸素を除外するように変更して式Iの化合物を合成した。光切断可能なPEGジアクリレート溶液の準備及び処理は、全ての実験において低光状況下で実行された。全ての手順で反応産物をそのまま使用した。
【0361】
プレポリマー溶液:7.5%w/vのPEGジアクリレートMn700(Sigma Aldrichカタログ番号455008)、3.5%w/vの光分解可能なPEGジアクリレート(式I);及び1%v/vのH-NU 605 IL光開始剤(Spectra group Ltd)をリン酸緩衝食塩水/脱イオン水(比率1:3)で使用して、プレポリマー溶液を準備した。
【0362】
バリアの導入:プレポリマー溶液の導入前に、上述したような隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスをプライミングした。プレポリマー溶液をフローチャネルから隔離ペン内に流入させ、拡散させた。約4.5nW/cm
2の電力を用いて、458nm照明(フィルタリングされた458可視光)への露出を使用して、精密且つ選択的に配置されたインサイチュー生成バリアの導入を実行した。
図21Aに示されるように、露出時間を増大させると、選択されたペンの接続領域の部分を遮断し、フローチャネル内に延びる一層密なインサイチュー生成バリアが生成された。
図21Aの左から右へのインサイチュー生成バリア2120~2128は,以下の露出時間を有する。
【0363】
【0364】
細胞がペンから出ることを阻止するように十分に形成されたゲルが、10秒を超える露出の全ての時点で観測された。約60秒の露出で形成されたゲルは非常に高密度であった。
【0365】
バリアの除去:マイクロ流体デバイス内で上記のように形成され、4Cで一晩貯蔵したバリアを、2分間露出で、383ショートパスフィルタが設置されたOmnicure Series 2000ランプからの照明に露出した。
図21B及び
図21Cに示されるように、30秒露出(例えば、バリア2128(コントロール)及び2129)を使用して形成されたバリアは、2分間露出(2129’’、バリア残留なし)を使用して完全に分解し、一方、コントロールバリア2128はなお残った。露出を長くすることにより、一層高密度のバリアが除去可能であった(データ図示せず)。
【0366】
例3.細胞の存在下での光切断可能なヒドロゲルバリアの導入
細胞。OKT3マウス骨髄腫(ATCC(登録商標)、CRL-8001TM)。
【0367】
培地。IMDM(LifeTech(商標)、12440-061)、20%FBS(Seradigm)、10000U/mlペニシリン-ストレプトマイシン(LifeTech(商標)、15140-163)。
【0368】
細胞ペニング。OKT3細胞をプライミングされたマイクロ流体デバイスに導入し、8ミクロン/秒で移動する光学作動誘電泳動力(光電子ツイーザ(OET))、5ボルト印加場を使用して隔離ペン内に配置した。プレポリマー導入の開始までデバイスを37℃に維持した。マイクロ流体デバイスを培地で3回、洗い流した(3マイクロリットル/秒で250マイクロリットル)。
【0369】
プレポリマー溶液の準備。全ての感光性化合物は低光状況下で準備した。160マイクロリットルのプレポリマーヒドロゲル溶液を0.1%Pluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含む培地で最終濃度3.75%w/v Ac星型PEG星型固体(Laysan Bioからの4アームPEGアクリラート(10k MW)(#4arm-PEG-ACRYL-10k-1g)、1.25%w/v光分解可能PEGジアクリレート(式I、例2において上述したように合成された);及び1%v/v H-NU 605 IL光開始剤(Spectra group Ltd)で準備した。
【0370】
0.1%Pluronic(登録商標)F27(Life Technologies(登録商標)カタログ番号P6866)を含む培地での1%v/vでのH-NU 605 IL光開始剤の溶液を完全に可溶化するまでボルテックス及び35℃で暖めることにより作製した。
【0371】
選択された細胞の分離のためのインサイチュー生成バリアの導入。低光状況において、プライミングしたマイクロ流体デバイスに140マイクロリットルのプレポリマー溶液を0.05マイクロリットル/秒で装填した。この速度は、マイクロ流体デバイスのペン内へのプレポリマーの拡散を許容した。プレポリマーの装填後、UV光(Omnicure(登録商標)Series 2000、Lumen Dynamics)への60秒又は120秒の露出を使用して、細胞を含む選択されたペンの上部においてポリマー固化を開始した。
【0372】
固化が開始された後、0.1%Pluronic(登録商標)F27(Life Technologies登録商標カタログ番号P6866)を含む培地を有するリンス剤の組を使用して、室温での3マイクロリットル/秒で1×250マイクロリットル、37℃での3マイクロリットル/秒で3×250マイクロリットルを含め、マイクロ流体デバイスのチャネルにおける余分な可溶性ポリマー及び開始剤を除去した。
図22の写真をこの時点で撮影した。
【0373】
図22に示されるように、インサイチュー生成分離構造は、細胞膜を妨げずに、特に隔離ペン開口部に選択的に設置された。幾つかの細胞は、分離された隔離ペン内で白い円で強調表示された。
【0374】
マイクロ流体デバイス、方法、及びキットの幾つかの実施形態の記載
1.マイクロ流体デバイスであって、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板と、エンクロージャ内に配置されるフロー領域と、基板に配置される少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造とを含み、少なくとも1つのインサイチュー生成構造は、固化ポリマー網目構造を含む、マイクロ流体デバイス。
【0375】
2.固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含む、実施形態1に記載のマイクロ流体デバイス。
【0376】
3.固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない、実施形態1又は2に記載のマイクロ流体デバイス。
【0377】
4.少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造の全て又は少なくとも部分は、固化ポリマー網目構造からなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0378】
5.固化ポリマー網目構造は、感熱性ポリマーを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0379】
6.基板の少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造の下の位置に配置された熱パッドを更に含む、実施形態5に記載のマイクロ流体デバイス。
【0380】
7.デバイスは少なくとも1つの隔離ペンを更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0381】
8.少なくとも1つの隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する、実施形態7に記載のマイクロ流体デバイス。
【0382】
9.フロー領域への隔離ペンの基端開口部は、フロー領域における流体媒体のフローに対して略平行に向けられる、実施形態8に記載のマイクロ流体デバイス。
【0383】
10.フロー領域は、マイクロ流体チャネルを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0384】
11.複数の隔離ペンを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0385】
12.フロー領域は、マイクロ流体チャネルを含み、複数の隔離ペンは、行に位置合わせされ、複数の開口部の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの共通の側において開く、実施形態11に記載のマイクロ流体デバイス。
【0386】
13.インサイチュー生成分離構造は、流体媒体のフローを透過する、実施形態1~12のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0387】
14.インサイチュー生成分離構造は、複数の微小物体の1つ又は複数を保持するように構成される、実施形態1~13のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0388】
15.少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造は、フロー領域に配置された複数のインサイチュー生成分モジュールを含み、複数のインサイチュー生成分離モジュールは、少なくとも1つの分離構造に入る、少なくとも1つの分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つの分離構造を通る微小物体の通過をサイズに応じて実質的に制限するように構成される、実施形態1~14のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0389】
16.複数の各インサイチュー生成分離モジュールは、5ミクロン以上の直径を有する微小物体が少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造に入る、少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造から出る、及び/又は少なくとも1つのインサイチュー生成分離構造を通ることを実質的に阻止されするように、複数のうちの他のインサイチュー生成分離モジュールから離間される、実施形態15に記載のマイクロ流体デバイス。
【0390】
17.複数のインサイチュー生成分離モジュールは、第1のタイプの生物学的微小物体を少なくとも1つの分離構造内へ、その外へ、及び/又はそれを通して移動させ、第2のタイプの生物学的微小物体が少なくとも1つの分離構造内へ、その外へ、及び/又はそれを通して渡ることを実質的に阻止するように構成される、実施形態16に記載のマイクロ流体デバイス。
【0391】
18.複数のインサイチュー生成分離構造を更に含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0392】
19.マイクロ流体デバイスであって、エンクロージャを含み、エンクロージャは、マイクロ流体チャネルを含むフロー領域と、隔離ペンであって、マイクロ流体チャネルにおいて開く、隔離ペンと、基板に配置されるインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造とを含み、インサイチュー生成バリアは、固化ポリマー網目構造を含む、マイクロ流体デバイス。
【0393】
20.固化ポリマー網目構造は、光開始ポリマーを含む、実施形態19に記載のマイクロ流体デバイス。
【0394】
21.固化ポリマー網目構造は、シリコーンポリマーを含まない、実施形態19又は20に記載のマイクロ流体デバイス。
【0395】
22.インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネル及び/又は隔離ペンを少なくとも部分的に遮断する、実施形態19~21のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0396】
23.インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの接続領域内に配置される、実施形態19~22のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0397】
24.インサイチュー生成バリアは、接続領域の幅Wconの少なくとも部分にわたり延在する幅を有し、インサイチュー生成バリアは、少なくとも1つの微小物体が隔離ペン内に入り、及び/又はそれから出ることを実質的に遮断するように構成される、実施形態23に記載のマイクロ流体デバイス。
【0398】
25.インサイチュー生成バリアの幅は、約5ミクロン~約20ミクロンである、実施形態24に記載のマイクロ流体デバイス。
【0399】
26.インサイチュー生成バリアの部分は、接続領域からマイクロ流体チャネルに延在する、実施形態23~25のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0400】
27.チャネルに延在するインサイチュー生成バリアの部分は、バリアの容積の50%未満を含む、実施形態26に記載のマイクロ流体デバイス。
【0401】
28.インサイチュー生成バリアは、チャネルに配置される、実施形態19~27のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0402】
29.インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの基端開口部の一縁部に隣接して配置される、実施形態28に記載のマイクロ流体デバイス。
【0403】
30.複数の隔離ペンを更に含み、複数の隔離ペンは、行を形成し、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの行の端部に配置された隔離ペンの基端開口部の先端縁部に隣接して配置される、実施形態28又は29に記載のマイクロ流体デバイス。
【0404】
31.バリアは、複数の微小物体の少なくとも1つのサブセットがチャネル内のインサイチュー生成バリアを超えて移動することを阻止し、複数の微小物体は、1ミクロン~20ミクロンの範囲の直径を有する、実施形態28~30のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0405】
32.インサイチュー生成バリアは、基板のチャネル内に配置される複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含む、実施形態31に記載のマイクロ流体デバイス。
【0406】
33.インサイチュー生成バリアは、流体媒体のフローを透過する、実施形態19~32のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0407】
34.複数の隔離ペンを更に含み、複数の隔離ペンは、行を形成し、インサイチュー生成バリアは、隔離ペンの行の選択された隔離ペンの基端開口部の縁部に隣接して配置される、実施形態28又は29に記載のマイクロ流体デバイス。
【0408】
35.複数の隔離ペンを更に含み、複数の隔離ペンは、行を形成し、インサイチュー生成バリアは、少なくとも2つの連続した隔離ペンの基端開口部を遮断する、実施形態19~28のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0409】
36.行に配置される第1の複数の隔離ペンであって、第1の複数の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの第1の側において開く、第1の複数の隔離ペンと、行に配置される第2の複数の隔離ペンであって、第2の複数の各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開く、第2の複数の隔離ペンとを更に含み、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って配置され、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割し、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、実施形態19~21のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0410】
37.インサイチュー生成バリアは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含む、実施形態36に記載のマイクロ流体デバイス。
【0411】
38.インサイチュー生成バリアモジュールは、インサイチュー生成されないバリアの1つ又は複数のギャップを充填するように構成される、実施形態37に記載のマイクロ流体デバイス。
【0412】
39.インサイチュー生成バリアは、流体媒体のフローを透過する、実施形態36~38のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0413】
40.マイクロ流体チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され、及びマイクロ流体チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成される、実施形態36~39のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0414】
41.インサイチュー生成バリアは、1ミクロンを超える直径を有する微小物体がマイクロ流体チャネルの第1の側からマイクロ流体の第2の側に又はその逆に移動することを阻止する、実施形態36~40のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0415】
42.固化ポリマー網目構造は、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0416】
43.合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、実施形態42に記載のマイクロ流体デバイス。
【0417】
44.固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0418】
46.固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0419】
47.固化ポリマー網目構造は、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0420】
48.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態47に記載のマイクロ流体デバイス。
【0421】
49.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態47又は48に記載のマイクロ流体デバイス。
【0422】
50.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態47~49のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0423】
51.固化ポリマー網目構造は、加水分解、タンパク質分解、浸透圧変更、温度変更、又は光学照明による分解を受けやすい、実施形態42~50のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0424】
52.固化ポリマー網目構造は、増大した流体フローによる変位を受けやすい、実施形態42~51のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0425】
53.エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、実施形態1~52のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0426】
54.少なくとも1つの内面は、基板の表面を含む、実施形態53に記載のマイクロ流体デバイス。
【0427】
55.調整面は、共有結合的に修飾された表面である、実施形態53又は54に記載のマイクロ流体デバイス。
【0428】
56.共有結合的に修飾された表面は、親水性である、実施形態55に記載のマイクロ流体デバイス。
【0429】
57.基板は、エンクロージャ内に誘電泳動(DEP)力を生成するように構成される、実施形態1~56のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0430】
58.DEP力は、光学的に作動される、実施形態57に記載のマイクロ流体デバイス。
【0431】
59.マイクロ流体デバイスのカバーは、透明である、実施形態1~59のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0432】
60.マイクロ流体デバイスにおいて微小物体を分離する方法であって、複数の微小物体を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、エンクロージャは、基板及びフロー領域を含む、ステップと、流動性ポリマーを含む溶液をエンクロージャに導入するステップと、フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアにおいて、流動性ポリマーの固化を活性化し、それによりインサイチュー生成分離構造を形成するステップと、インサイチュー生成分離構造を用いて、複数の微小物体の少なくとも1つを分離するステップとを含む、方法。
【0433】
61.流動性ポリマーを含む溶液を導入するステップは、複数の微小物体を含む第1の流体媒体を導入するステップの前に実行される、実施形態60に記載の方法。
【0434】
62.流動性ポリマーの固化を開始するステップは、フロー領域の少なくとも1つの選択されたエリアを光学的に照明することを含み、更に、流動性ポリマーを固化するステップは、流動性ポリマーのポリマーを重合化してポリマー網目構造を形成することを含む、実施形態61に記載の方法。
【0435】
63.流動性ポリマーを導入するステップは、光活性化可能な重合化開始剤を導入することを更に含む、実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0436】
64.流動性ポリマーの固化を開始するステップは、基板の少なくとも1つの選択されたエリアにおいて温度を変更することを含み、更に、ポリマーを固化するステップは、ポリマーをゲル化してポリマー網目構造を形成する、実施形態60~62のいずれか1つに記載の方法。
【0437】
65.複数の微小物体の残りを処理することを更に含む、実施形態60~64のいずれか1つに記載の方法。
【0438】
66.複数の微小物体の残りをマイクロ流体デバイスから搬出することを更に含む、実施形態60~65のいずれか1つに記載の方法。
【0439】
67.インサイチュー生成分離構造によって分離される少なくとも1つの微小物体は、複数の微小物体の選択された部分である、実施形態60~66のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
68.フロー領域を通る流体媒体のフローを増大させるか、加水分解剤をフロー領域に導入するか、タンパク質分解剤をフロー領域に導入するか、フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体をフロー領域に導入するか、インサイチュー生成分離構造の温度を変更するか、又は分離構造を光学的に照明することにより、分離構造を縮小又は除去するステップを更に含む、実施形態60~67のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
69.温度を変更するステップは、インサイチュー生成分離構造に隣接する又はインサイチュー生成分離構造の下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含む、実施形態68に記載の方法。
【0442】
70.解放された少なくとも1つの微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、実施形態68又は69に記載の方法。
【0443】
71.インサイチュー生成分離構造は、流体媒体のフローに対して少なくとも部分的に透過性である、実施形態60~70のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
72.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、インサイチュー生成分離構造内、その外、又はそれを通る少なくとも1つの微小物体の通過を阻止するように構成されるインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成することを含む、実施形態60~71のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
73.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数の微小物体のサブセットがインサイチュー生成分離構造内へ、その外へ、又はそれを通る通過を阻止するように構成される複数のインサイチュー生成バリアを形成することを含む、実施形態60~72のいずれか1つに記載の方法。
【0446】
74.フロー領域を通る流体媒体のフローを増大させるか、加水分解剤をフロー領域に導入するか、タンパク質分解剤をフロー領域に導入するか、フロー領域内の浸透圧を増大/低減する流体媒体をフロー領域に導入するか、インサイチュー生成分離構造の温度を変更するか、又は分離構造を光学的に照明することにより、複数のインサイチュー生成バリアの1つ又は複数を縮小又は除去するステップと、それにより少なくとも1つの微小物体の1つ又は複数のサブセットをインサイチュー生成分離構造から解放するステップとを更に含む、実施形態73に記載の方法。
【0447】
75.インサイチュー生成バリアの1つ又は複数を縮小又は除去するステップは、インサイチュー生成バリアを光学的に照明することを含む、実施形態74に記載の方法。
【0448】
76.1つ又は複数のインサイチュー生成バリアの温度を変更するステップは、1つ又は複数のインサイチュー生成バリアに隣接する又はインサイチュー生成バリアの下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含む、実施形態74に記載の方法。
【0449】
77.少なくとも1つの解放された微小物体の1つ又は複数のサブセットをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、実施形態74~76のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
78.固化を活性化するステップは、複数のインサイチュー生成バリアモジュールを含むインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成することを更に含み、複数のインサイチュー生成バリアモジュールのそれぞれは、少なくとも1つの微小物体がインサイチュー生成分離構造を透過することを阻止する距離で互いから離間される、実施形態72~77のいずれか1つに記載の方法。
【0451】
79.複数のインサイチュー生成バリアを離間させ、それにより複数の微小物体の微小物体の少なくとも1つのサブセットがインサイチュー生成分離構造を透過することを阻止するステップを更に含む、実施形態78に記載の方法。
【0452】
80.微小物体の少なくとも1つのサブセットは、少なくとも1つのタイプの生体細胞を含む、実施形態79に記載の方法。
【0453】
81.マイクロ流体デバイスのエンクロージャは、分離領域及び接続領域を含む少なくとも1つの隔離ペンを更に含み、接続領域は、フロー領域への基端開口部及び分離領域への先端開口部を有する、実施形態60~80のいずれか1つに記載の方法。
【0454】
82.エンクロージャは、複数の隔離ペンを含む、実施形態81に記載の方法。
【0455】
83.複数の隔離ペンは、行に配置され、複数の隔離ペンのそれぞれの基端開口部は、互いに連続して配置される、実施形態82に記載の方法。
【0456】
84.フロー領域は、マイクロ流体チャネルを含み、複数の隔離ペンのそれぞれの基端開口部は、マイクロ流体チャネルの1つの側において開く、実施形態82又は83に記載の方法。
【0457】
85.固化を活性化するステップは、隔離ペンの内部で実行される、実施形態81~84のいずれか1つに記載の方法。
【0458】
86.固化を活性化するステップは、分離領域又は接続領域内で実行される、実施形態85に記載の方法。
【0459】
87.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、接続領域にインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を生成する、実施形態85又は86に記載の方法。
【0460】
88.インサイチュー生成バリアによって分離されない複数の微小物体の残りを処理するステップを更に含む、実施形態81~87のいずれか1つに記載の方法。
【0461】
89.インサイチュー生成バリアによって分離されない複数の微小物体の残りをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、実施形態81~87のいずれか1つに記載の方法。
【0462】
90.フロー領域を通る流体媒体のフローを増大させるか、加水分解剤をフロー領域に導入するか、タンパク質分解剤をフロー領域に導入するか、フロー領域内の浸透圧を増大又は低減する流体媒体をフロー領域に導入するか、インサイチュー生成バリアの温度を変更するか、又はバリアを光学的に照明することにより、インサイチュー生成バリアを縮小又は除去するステップと、それにより、少なくとも1つの微小物体を分離から解放するステップとを更に含む、実施形態89に記載の方法。
【0463】
91.インサイチュー生成バリアを縮小又は除去するステップは、インサイチュー生成バリアを光学的に照明することを含む、実施形態90に記載の方法。
【0464】
92.温度を変更することは、インサイチュー生成バリアに隣接する又はインサイチュー生成バリアの下にある基板上の熱パッドを光学的に照明することを更に含む、実施形態90に記載の方法。
【0465】
93.少なくとも1つの微小物体をマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、実施形態90~92のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
94.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、チャネルにインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成する、実施形態84に記載の方法。
【0467】
95.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、複数の隔離ペンの少なくとも1つの隔離ペンの基端開口部においてインサイチュー生成バリアを配置する、実施形態94に記載の方法。
【0468】
96.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、少なくとも2つの連続した隔離ペンの基端開口部を遮断するサイズのインサイチュー生成バリアを形成する、実施形態94又は95に記載の方法。
【0469】
97.インサイチュー生成バリアによって分離されない複数の微小物体の残りをマイクロ流体デバイスから搬出するステップを更に含む、実施形態96に記載の方法。
【0470】
98.マイクロ流体デバイスは、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の側において開くように互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを更に含み、流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数のペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを含むインサイチュー生成分離構造を形成することを更に含み、インサイチュー生成バリアは、微小物体が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、実施形態94に記載の方法。
【0471】
99.マイクロ流体デバイスは、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数のペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するバリアを更に含み、バリアは、第1の複数の隔離ペンの最初の隔離ペンの第1のサブチャネルへの基端開口部と位置合わせされ、且つ第2の複数の隔離ペンの最初のペンの第2のサブチャネルへの基端開口部への基端開口部と位置合わせされた少なくとも1つのギャップによって中断され、更に、重合化を活性化するステップは、少なくとも1つのギャップの重合化を活性化して、少なくとも1つのギャップに少なくとも1つのインサイチュー生成バリアを形成し、それにより微小物体が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止することを含む、実施形態98に記載の方法。
【0472】
100.複数の微小物体を導入するステップは、第1の複数の隔離ペンの各隔離ペンにクローン集団を導入することと、第1の複数の隔離ペン内の細胞のクローン集団ごとに、少なくとも1つの細胞を第2の複数のそれぞれの隔離ペンに移すステップとを更に含む、実施形態98又は99に記載の方法。
【0473】
101.マイクロ流体デバイスが、少なくとも1つのギャップで中断されるバリアを含む場合、第1の複数の隔離ペン内の各クローン集団の少なくとも1つの細胞を移すステップは、少なくとも1つのギャップを通して少なくとも1つの細胞を第2の複数のペンの各隔離ペンに移すことを含む、実施形態100に記載の方法。
【0474】
102.第2の複数の隔離ペン内の細胞を処理するステップを更に含む、実施形態100又は101に記載の方法。
【0475】
103.流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態60~102のいずれか1つに記載の方法。
【0476】
104.合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、実施形態103に記載の方法。
【0477】
105.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態60~104のいずれか1つに記載の方法。
【0478】
106.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態60~105のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
107.固化ポリマー網目構造は、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態60~106のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
108.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態107に記載の方法。
【0481】
109.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態107又は108に記載の方法。
【0482】
110.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態107~109のいずれか1つに記載の方法。
【0483】
111.エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、実施形態60~110のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
112.少なくとも1つの内面は、基板の表面を含む、実施形態111に記載の方法。
【0485】
113.調整面は、共有結合的に修飾された表面である、実施形態110~112のいずれか1つに記載の方法。
【0486】
114.共有結合的に修飾された表面は、親水性である、実施形態113に記載の方法。
【0487】
115.複数の微小物体を導入するステップは、誘電泳動(DEP)力を使用することを更に含む、実施形態60~114のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
116.複数の微小物体の1つ又は複数の微小物体を搬出するステップは、誘電泳動(DEP)力を使用することを更に含む、実施形態66~115のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
117.DEP力を光学的に作動させることを更に含む、実施形態115又は116に記載の方法。
【0490】
118.マイクロ流体デバイス内でクローン集団の細胞をアッセイする方法であって、複数の細胞を含む第1の流体媒体をマイクロ流体デバイスのエンクロージャに導入するステップであって、エンクロージャは、基板、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及び各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを含む、ステップと、第1の流体媒体及び複数の細胞をマイクロ流体デバイスのマイクロ流体チャネルに流入させるステップと、第1の複数の隔離ペンの隔離ペンのそれぞれに細胞のクローン集団を導入するステップと、第1の複数の隔離ペン内の細胞のクローン集団ごとに、第2の複数の隔離ペンのそれぞれの隔離ペンに少なくとも1つの細胞を移動させるステップと、流動性ポリマーをチャネルに導入するステップと、マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化し、それにより第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するインサイチュー生成バリアを形成するステップであって、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、ステップと、第2の流体媒体を第2のサブチャネルに流入させるステップであって、第2の流体媒体は、第2の複数の隔離ペンにおける細胞をアッセイするための試剤を含む、ステップと、第2の複数の各隔離ペンにおける細胞をアッセイするステップとを含む、方法。
【0491】
119.インサイチュー生成バリアは、チャネルの第1の端部からマイクロ流体チャネルの第2の端部までの長さを有する、実施形態118に記載の方法。
【0492】
120.第1の複数の隔離ペン及び第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンは、マイクロ流体チャネルの各側への基端開口部を有する、実施形態118又は119に記載の方法。
【0493】
121.クローン集団を導入するステップは、単一の細胞を第1の複数の隔離ペンのそれぞれに導入することを含み、且つその単一の細胞を増殖させて細胞のクローン集団にすることを更に含む、実施形態118~120のいずれか1つに記載の方法。
【0494】
122.第1のサブチャネル及び第2のサブチャネルにおいて流体媒体をマイクロ流体デバイスのそれぞれの第1及び第2の出力に流入させることを更に含む、実施形態121に記載の方法。
【0495】
123.アッセイするステップは、遺伝子型判定のために第2の複数の隔離ペンにおける細胞を準備することを含む、実施形態118~122のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
124.アッセイするステップは、第2の複数の各隔離ペンにおける細胞及び/又は第1の複数の各隔離ペンにおけるクローン集団による生物由来物質の生成レベルを特定することを含む、実施形態118~123のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
125.インサイチュー生成バリアは、第1のサブチャネルにおける流体媒体の第1のサブフローが第2のサブチャネルにおける流体媒体の第2のサブフローと混合することを阻止する、実施形態118~124のいずれか1つに記載の方法。
【0498】
126.アッセイのための試薬は、化学試薬、生物学的試薬、フィーダ細胞、刺激細胞、レポーター細胞、レポーター分子、及びビーズを含む群の1つ又は複数を含む、実施形態118~125のいずれか1つに記載の方法。
【0499】
127.ビーズは、化学試薬、生物学的試薬、刺激試薬、又はレポーター分子を含む、実施形態126に記載の方法。
【0500】
128.アッセイするステップは、第2の複数の隔離ペンにおける細胞の少なくとも1つの細胞を識別することを更に含み、少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む、実施形態118~127のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
129.第2の複数の隔離ペンにおける細胞の少なくとも1つの細胞を搬出するステップを更に含み得、少なくとも1つの細胞は、選択された特性を含む、実施形態118~128のいずれか1つに記載の方法。
【0502】
130.第1の複数の隔離ペンの各ペンから、各クローン集団を搬出するステップを更に含む、実施形態128又は129に記載の方法。
【0503】
131.選択された特性を含まない、第2の複数の隔離ペンにおける細胞及び/又は第1の複数の隔離ペンにおける細胞のクローン集団を搬出するステップを更に含む、実施形態118~130のいずれか1つに記載の方法。
【0504】
132.細胞を搬出する前にインサイチュー生成バリアを除去するステップを更に含む、実施形態129~131のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
133.ポリマーの固化を活性化するステップは、基板の選択されたエリアを光学的に照明し、それによりポリマーを重合化することを含む、実施形態118~132のいずれか1つに記載の方法。
【0506】
134.流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、光活性化可能重合化開始剤を導入することを更に含む、実施形態133に記載の方法。
【0507】
135.マイクロ流体チャネルの長さに沿って流動性ポリマーの固化を活性化するステップは、マイクロ流体チャネルの第1の端部からマイクロ流体チャネルの第2の端部に延在するバリアのギャップにおいて、流動性ポリマーの固化を活性化することを含み、バリアは、第1のサブチャネル及び第2のサブチャネルにマイクロ流体チャネルを分け、ギャップは、第1の複数の隔離ペンの各ペンの基端開口部及び第2の複数の隔離ペンのそれぞれのペンの基端開口部と位置合わせされ、それにより細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止するインサイチュー生成バリアを形成する、実施形態118~134のいずれか1つに記載の方法。
【0508】
136.ポリマーの固化を活性するステップは、基板の選択されたエリアにおいて温度を変更し、それによりポリマーをゲル化することを含む、実施形態118~130のいずれか1つに記載の方法。
【0509】
137.流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態118~136のいずれか1つに記載の方法。
【0510】
138.合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、及び/又は細胞認識モチーフを含む、実施形態137に記載の方法。
【0511】
139.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態118~138のいずれか1つに記載の方法。
【0512】
140.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態118~139のいずれか1つに記載の方法。
【0513】
141.固化ポリマー網目構造は、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態118~140のいずれか1つに記載の方法。
【0514】
142.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態141に記載の方法。
【0515】
143.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態141又は142に記載の方法。
【0516】
144.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態141~143のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
145.微小物体のクローン集団を導入するステップ又は単一の細胞を移動させるステップは、誘電泳動(DEP)力を使用して実行される、実施形態116~144のいずれか1つに記載の方法。
【0518】
146.DEP力を光学的に作動させることを更に含む、実施形態145に記載の方法。
【0519】
147.エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、実施形態118~146のいずれか1つに記載の方法。
【0520】
148.少なくとも1つの内面は、基板の表面を含む、実施形態147に記載の方法。
【0521】
149.調整面は、共有結合的に修飾された表面である、実施形態147又は148に記載の方法。
【0522】
150.共有結合的に修飾された表面は、親水性である、実施形態149に記載の方法。
【0523】
151.実施形態1~59のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイスと流動性ポリマー溶液とを含むキットであって、ポリマーは、重合化及び/又は熱的誘導ゲル化が可能である、キット。
【0524】
152.光活性化可能な重合化開始剤を更に含む、実施形態151に記載のキット。
【0525】
153.流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態151又は152に記載のキット。
【0526】
154.修飾合成ポリマーは、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、実施形態153に記載のキット。
【0527】
155.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態151~154のいずれか1つに記載のキット。
【0528】
156.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態151~155のいずれか1つに記載のキット。
【0529】
157.流動性ポリマーは、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態151~156のいずれか1つに記載のキット。
【0530】
158.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態157に記載のキット。
【0531】
159.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態157又は158に記載のキット。
【0532】
160.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態153又は154のいずれか1つに記載のキット。
【0533】
161.マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの内面を共有結合的に修飾するように構成される試薬を更に含む、実施形態151~161のいずれか1つに記載のキット。
【0534】
162.マイクロ流体デバイスであって、エンクロージャを含み、エンクロージャは、基板、流体媒体を含むように構成されるマイクロ流体チャネルを含むフロー領域、各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第1の側において開くように、互いに隣接して配置される第1の複数の隔離ペン、及び各隔離ペンがマイクロ流体チャネルの第2の逆の側において開くように、互いに隣接して配置される第2の複数の隔離ペンを含む、マイクロ流体デバイス。
【0535】
163.マイクロ流体チャネルの第1の側は、第1の流体媒体を受け取るように構成され、及びマイクロ流体チャネルの第2の側は、第2の流体媒体を受け取るように構成される、実施形態162に記載のマイクロ流体デバイス。
【0536】
164.第1の流体媒体は、第1の流体流入口を介してマイクロ流体チャネルの第1の側に導入され、及び第2の流体媒体は、第2の流体流入口を介してマイクロ流体チャネルの第2の側に導入される、実施形態163に記載のマイクロ流体デバイス。
【0537】
165.第1の流体媒体は、第1の流出口を介してマイクロ流体チャネルの第1の側から流出し、及び第2の流体媒体は、第2の流出口を介してマイクロ流体チャネルの第2の側から流出する、実施形態163又は164に記載のマイクロ流体デバイス。
【0538】
166.第1の複数の及び第2の複数の隔離ペンの各隔離ペンは、分離領域及び接続領域を含み、接続領域は、チャネルへの基端開口部と、分離領域への先端開口部とを有する、実施形態162~165のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0539】
167.チャネルへの各隔離ペンの基端開口部は、チャネル内の流体媒体のフローに対して略平行に向けられる、実施形態166に記載のマイクロ流体デバイス。
【0540】
168.エンクロージャの少なくとも1つの内面は、調整面を含む、実施形態162~167のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0541】
169.少なくとも1つの内面は、基板の表面を含む、実施形態168に記載のマイクロ流体デバイス。
【0542】
170.調整面は、共有結合的に修飾された表面である、実施形態168又は169に記載のマイクロ流体デバイス。
【0543】
171.共有結合的に修飾された表面は、親水性である、実施形態168又は169に記載のマイクロ流体デバイス。
【0544】
172.基板は、エンクロージャ内に誘電泳動(DEP)力を生成するように構成される、実施形態162~171のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0545】
173.DEP力は、光学的に作動される、実施形態172に記載のマイクロ流体デバイス。
【0546】
174.マイクロ流体デバイスのカバーは、略透明である、実施形態162~173のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0547】
175.第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割するバリアを更に含み、バリアは、第1の複数のペンの最初のペンの基端開口部と、第2の複数のペンの最初のペンの基端開口部との間に位置合わせされた少なくとも1つのギャップによって中断される、実施形態162~174のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0548】
176.バリアは、チャネルの第1の端部からチャネルの第2の端部に延びる長さを有する、実施形態175に記載のマイクロ流体デバイス。
【0549】
177.第1の複数のペンの各ペンの第1のサブチャネルへの基端開口部と、第2の複数のペンの各ペンの第2のサブチャネルへの基端開口部との間に位置合わせされたギャップを更に含み、それにより、バリアは、マイクロ流体チャネルにおいてバリアの長さに沿って複数のギャップを含む、実施形態175又は176に記載のマイクロ流体デバイス。
【0550】
178.第1のサブチャネルを第2のサブチャネルから分けるバリアのギャップを閉じるインサイチュー生成バリアを更に含む、実施形態175又は176に記載のマイクロ流体デバイス。
【0551】
179.第1のサブチャネルを第2のサブチャネルから分けるバリアの複数のギャップのそれぞれを閉じるインサイチュー生成バリアを更に含み、それにより、バリアは、複数のインサイチュー生成バリアを含む、実施形態178に記載のマイクロ流体デバイス。
【0552】
180.インサイチュー生成バリアを更に含み、インサイチュー生成バリアは、マイクロ流体チャネルの長さに沿って配置され、第1の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第1のサブフローを提供するように構成される第1のサブチャネルと、第2の複数の隔離ペンを超える流体媒体の第2のサブフローを提供するように構成される第2のサブチャネルとにマイクロ流体チャネルを分割し、インサイチュー生成バリアは、細胞が第1のサブチャネルから第2のサブチャネルに及びその逆に移動することを阻止する、実施形態162~174のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0553】
181.インサイチュー生成バリアは、固化ポリマー網目構造を含む、実施形態178~180のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0554】
182.固化ポリマー網目構造は、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態181に記載のマイクロ流体デバイス。
【0555】
183.合成ポリマー修飾は、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、実施形態182に記載のマイクロ流体デバイス。
【0556】
184.固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態181~183のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0557】
185.固化ポリマー網目構造は、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態181~184のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0558】
186.固化ポリマー網目構造は、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態176~180のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0559】
187.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態186に記載のマイクロ流体デバイス。
【0560】
188.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態186又は187に記載のマイクロ流体デバイス。
【0561】
189.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態186~188のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【0562】
190.実施形態162~177のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイスと、流動性ポリマー溶液とを含む、クローン集団の細胞をアッセイするキットであって、ポリマーは、重合化及び/又は熱的誘導ゲル化が可能である、キット。
【0563】
191.光活性化可能な重合化開始剤を更に含む、実施形態190に記載のキット。
【0564】
192.流動性ポリマーは、合成ポリマー、修飾合成ポリマー、又は生体ポリマーを含む、実施形態190又は191に記載のキット。
【0565】
193.修飾合成ポリマーは、サイズ変更モチーフ、切断モチーフ、反応末端モチーフ、又は細胞認識モチーフを含む、実施形態192に記載のキット。
【0566】
194.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態190~193のいずれか1つに記載のキット。
【0567】
195.流動性ポリマーは、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、実施形態190~194のいずれか1つに記載のキット。
【0568】
196.流動性ポリマーは、修飾ポリエチレングリコールポリマーを含む、実施形態190~195のいずれか1つに記載のキット。
【0569】
197.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、星型ポリマーを含む、実施形態196に記載のキット。
【0570】
193.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、ジアクリレート部分を含む、実施形態191又は192に記載のキット。
【0571】
194.修飾ポリエチレングリコールポリマーは、光切断可能部分を含む、実施形態191~193のいずれか1つに記載のキット。
【0572】
195.マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの内面を共有結合的に修飾するように構成される試薬を更に含む、実施形態185~194のいずれか1つに記載のキット。
前記インサイチュー生成分離構造が、サイズに応じて、前記隔離ペンへの微小物体の通過、又は前記隔離ペンからの微小物体の通過を制限する、請求項1又は2に記載のマイクロ流体デバイス。
前記固化ポリマー網目構造が、ポリエチレングリコール、修飾ポリエチレングリコール、ポリ乳酸(PLA)、修飾ポリ乳酸、ポリグリコール酸(PGA)、修飾ポリグリコール酸、ポリアクリルアミド(PAM)、修飾ポリアクリルアミド、ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAm)、修飾ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、修飾ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、修飾ポリアクリル酸、ポリカプロラクトン(PCL)、修飾ポリカプロラクトン、フィブロネクチン、修飾フィブロネクチン、コラーゲン、修飾コラーゲン、ラミニン、修飾ラミニン、ポリサッカリド、修飾ポリサッカリド、又は任意の組合わせのコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
前記インサイチュー生成分離構造が、サイズに応じて、前記隔離ペンへの前記微小物体の通過、又は前記隔離ペンからの前記微小物体の通過を制限する、請求項13又は14に記載の方法。
前記インサイチュー生成分離構造を形成することが、前記隔離ペンの少なくとも一部で前記流動性ポリマーを固化することを含む、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。