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特開2023-52870蛍光顕微鏡検査システム、装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052870
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】蛍光顕微鏡検査システム、装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G01N21/64 E
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014840
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2021545880の分割
【原出願日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】16/399,058
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/802,246
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511289471
【氏名又は名称】ナノトロニクス イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOTRONICS IMAGING,INC.
【住所又は居所原語表記】2251 FRONT STREET,SUITE 110,P.O.BOX 306,CUYAHOGA FALLS,OHIO 44223,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,マシュー シー
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,ジョン ビー
(72)【発明者】
【氏名】ピンスキー,バディム
(72)【発明者】
【氏名】シャロウコフ,デニス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非コヒーレント照明技術を使用する蛍光顕微鏡検査システムを提供する。
【解決手段】蛍光顕微鏡検査システムは、試料が蛍光を発するのを引き起こす光と、試料が蛍光を発するのを引き起こさない光と、を放出できる光源を含む。放出光は、1つまたは複数のフィルタおよび対物レンズチャネルを通して試料に向けて方向付けされる。リング状の光部は、光を試料に傾斜角で暗視野チャネルを通して投射する。フィルタのうちの1つは、試料に関連する所定のバンドギャップエネルギに匹敵するために光を修正でき、別のフィルタは、試料からカメラに反射された光の波長をフィルタリングできる。カメラは、受信された光から画像を作出でき、試料分類および特徴分析は、画像上で実行できる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡システムであって、
フレームと、
受信カメラと、
前記フレームに連結される1つまたは複数の非コヒーレント光源であって、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を少なくとも放出するように構成され、前記放出された光が、前記試料に方向付けされるように構成される、1つまたは複数の非コヒーレント光源と、
前記フレームに連結され、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源からの光をフィルタリングするように構成され、前記フィルタリングされた光が、前記試料に関連する所定のバンドギャップエネルギに匹敵するように構成される、励起フィルタと、
前記フレームに連結され、明視野チャネルおよび暗視野チャネルを含む、対物レンズと、
取付け具を介して前記対物レンズに連結されるノーズピースと、
前記フレームに連結され、前記対物レンズと前記1つまたは複数の非コヒーレント光源との間の光路に沿って配置されるスライダであって、光を傾斜して前記試料に方向付けるように構成される少なくとも前記暗視野チャネルに前記光路に沿って光を伝達するように構成される少なくとも1つの構成を含む、スライダと、
前記フレームに連結され、前記試料から前記受信カメラに、反射された光の選択された波長をフィルタリングするために構成される放出フィルタと、
コントロールモジュールであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
命令を記憶するメモリと、を含み、
前記命令が、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行された結果として、前記顕微鏡システムに、
前記受信カメラから画像データを取得することであって、前記画像データが、前記試料から反射された前記方向付けされた光に基づく、画像データを取得すること、
前記受信された画像データに基づき、トレーニングされた分類器で前記試料を分類すること、
前記試料の前記分類に関連する記憶されたシステム構成を検索すること、
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源、前記励起フィルタ、前記放出フィルタ、または前記受信カメラのうちの1つまたは複数に、前記記憶されたシステム構成を適用すること、
前記受信カメラから追加画像データを取得することであって、前記追加画像データが、前記記憶されたシステム構成が適用された後に取得される、追加画像データを取得すること、
前記取得された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別すること、および
前記試料欠陥に基づき特徴マップを生成すること、を引き起こさせる、コントロールモジュールと、
を含む顕微鏡システム。
【請求項2】
前記スライダの前記少なくとも1つの構成は、前記明視野チャネルおよび前記暗視野チャネルの双方に光を伝達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スライダは、
前記フレームに連結され、暗視野インサートの下方に配置されるフィルタスライダであって、複数タイプの励起フィルタを提供するように構成される、フィルタスライダ、および、
前記明視野チャネルまたは前記暗視野チャネルのうちの1つまたは複数のための1つまたは複数の追加放出フィルタ、
である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記受信カメラのほか、少なくとも第2の受信カメラを更に含み、前記放出光は、前記受信カメラまたは前記第2の受信カメラのうちの1つまたは複数のカメラに方向付けされた可視光および非可視光を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信カメラのほか、前記フレームに連結された1つまたは複数の追加受信カメラを更に含み、追加受信カメラは、光のそれぞれの固有の波長を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源は、
前記フレームに連結され、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源から前記試料に反射光を放出するように構成された第1の光源と、
前記試料の下方の前記フレームに取り付けられ、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源によって放出される光と同時に前記試料に方向付けされた光を放出することによって前記試料上の光の強度を増加させるように構成された追加光源と、を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フレームに連結され、放出光を前記試料に向けて方向付けするように構成されたビームスプリッタを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の非コヒーレント光源から、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を少なくとも放出することであって、前記放出された光を前記試料に向けるように、放出することと、
励起フィルタを通して前記放出光をフィルタリングすることであって、前記フィルタリングされた光は、所定のバンドギャップエネルギに匹敵し、
スライダを通して対物レンズの暗視野チャネルを介して前記試料に傾斜して前記放出光を伝達することと、
放出フィルタを使用して、前記試料から反射された光を受信カメラに方向付けすることであって、前記反射光が前記方向付けされてフィルタリングされた光に応答し、前記試料から反射された前記方向付けされた光が選択された波長を含む、方向付けすることと、
前記受信カメラから、前記試料から反射された前記方向付けされた光に基づく画像データを取得することと、
前記画像データに基づき、トレーニングされた分類器で前記試料を分類することと、
前記試料の分類に関連する記憶されたシステム構成を検索することと、
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源、前記励起フィルタ、前記放出フィルタ、または前記受信カメラのうちの1つまたは複数に、前記記憶されたシステム構成を適用することと、
前記受信カメラから追加画像データを取得することであって、前記追加画像データが、前記記憶されたシステム構成が適用された後に取得される、追加画像データを取得することと、
前記取得された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別することと、
前記試料欠陥に基づき特徴マップを生成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記試料への前記フィルタリングされた光を、前記スライダを通して前記対物レンズの明視野チャネルに伝達することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対物レンズの前記暗視野チャネルの上方に配置され、リング状の光部を含む暗視野インサートは、前記対物レンズの前記暗視野チャネルを介して傾斜して前記試料に光を放出する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記放出光は、可視光および非可視光を含み、第2の受信カメラによって、前記試料から反射された前記方向付けされた光の少なくとも一部を受信することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
1つまたは複数の追加受信カメラによって、前記試料から反射された前記光の固有の波長を受信することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記試料に向けて前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源から第1の光を放出することと、
前記試料の下方から、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの追加光源から前記試料に方向付けされた第2の光を放出することによって、前記試料上の光の強度を増加させることと、
を更に含み、
前記第1の光は、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの前記第1の光源によって放出される光と同時に放出される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記放出光を前記試料に向けてビームスプリッタで方向付けすることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
顕微鏡装置であって、
受信カメラと、
試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を少なくとも放出するように構成され、前記放出された光が、前記試料に方向付けされるように構成される、1つまたは複数の非コヒーレント光源と、
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源からの光をフィルタリングするように構成され、前記フィルタリングされた光が、前記試料に関連する所定のバンドギャップエネルギに匹敵するように構成される、励起フィルタと、
明視野チャネルおよび暗視野チャネルを含む対物レンズと、
取付け具を介して前記対物レンズに連結されるノーズピースと、
前記取付け具に締結され、前記対物レンズの前記暗視野チャネルの上方に配置される暗視野インサートであって、前記暗視野インサートが光を前記試料に傾斜して投射するように構成されるリング状の光部を含む、暗視野インサートと、
前記試料から前記受信カメラに、反射された光の選択された波長をフィルタリングするために構成される放出フィルタと、
1つまたは複数のプロセッサと、
命令を記憶するメモリと、を含み、
前記命令が、前記1つまたは複数のプロセッサによる実行時に、前記1つまたは複数のプロセッサに、
前記受信カメラから画像データを受信することであって、前記画像データが、前記試料から反射された前記方向付けされた光に基づく、画像データを受信すること、
前記受信された画像データに基づき、トレーニングされた分類器で前記試料を分類すること、
前記試料の前記分類に関連する記憶されたシステム構成を検索すること、
前記非コヒーレント光源、前記励起フィルタ、前記放出フィルタ、または前記受信カメラのうちの1つまたは複数に、前記記憶されたシステム構成を適用すること、
前記受信カメラから追加画像データを受信することであって、前記追加画像データが、前記記憶されたシステム構成が適用された後に受信される、追加画像データを受信すること、
前記受信された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別すること、および
前記試料欠陥に基づき特徴マップを生成すること、を引き起こさせる、顕微鏡装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月7日に出願された米国仮出願第62/744,478号の利益を主張する、2019年4月30日に出願された米国特許出願第16/399,058号の優先権を主張しており、それらの個々の内容全体は、すべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、非コヒーレント照明技術を使用する蛍光顕微鏡検査システム、装置および方法に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、試料の特定の層または試料に含有された材料を励起するために標的化された可変波長の非コヒーレント光を提供でき、光または他の電磁放射線の吸収によって引き起こされる帰結の蛍光から試料の特徴を自動的に検出できる蛍光顕微鏡検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
非可視光を試料に投射し、試料によって放出された帰結の蛍光/フォトルミネッセンスをキャプチャすることは、試料についての量、タイプ、特徴の場所および形態に関する重要な情報を提供する場合がある。更に、試料の特定の特徴、とりわけ、試料の純度または構造欠陥などは、単に非可視照明を使用して観察されることがある。試料は、当業者に理解されるように、試験の物品(例えば、ウエハまたは生物学的スライド)を指し、特徴は、試料の観察可能な特質を指し、異常および/または欠陥を含む。特徴は、それらに限定されないが、回路、回路基板構成要素、生物学的セル、組織、欠陥(例えば、不純物、構造欠陥、凹凸、積層障害、汚染物質、結晶欠陥、擦過傷、塵埃、指紋)を含む場合がある。
【0004】
留意すべきは、用語「蛍光」(FL)が、本明細書で使用されるとき、半導体材料からの光の放出に一般的に関連するフォトルミネッセンスを含む、ということである。非可視光は、波長が10から400ナノメートル(nm)の間の電磁スペクトルの領域(即ち、可視光およびX線間の領域)を指す。幾つかの実施形態では、例えば、200nmから400nm、300nmから400nmの範囲の光の波長および/または任意の他の適切な波長は、選択される場合がある。その上、試料を励起して光または他の電磁放射線の吸収から試料によって蛍光を引き起こすのに必要な光波長は、10nmから400nmの間の波長範囲に限定されないが、幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるように、試料に所望の励起を提供するために、400nmより上の範囲に選択される場合がある。コヒーレント光は、同じ周波数を有する光エネルギの粒子を指し、それの波は相互に位相が同じである。対照的に、非コヒーレント光の光エネルギの粒子は、同じ周波数を有さず、それの波は相互に位相が異なっている。
【0005】
コヒーレント光源(例えば、レーザ)は、試料蛍光のために一般に使用されるが、そういった光源は、大きな特徴を検出するのに、あるいは、特定タイプの試料(例えば、パターン化されたウエハ)と共に使用するのに、理想的ではない。他方、非コヒーレント光源は、より大きな範囲の特徴(大きな特徴およびパターン化されたウエハ上の特徴を含む)を検出するのにより適している。その上、コヒーレント光源は、視野の小さな部分だけを照明し、これに対して、非コヒーレント光は、視野全体を照明し、試料特徴マップを作成するのにより適したものにしている。試料特徴マップは、試料の特徴を分類し、それらの場所を明示する。留意すべきは、用語「視野」が、当業者に理解されるように、画像センサによって直ちにキャプチャされる試験のエリアを指す、ということである。更に、当業者が容易に理解することは、用語「視野」および「画像」が本明細書で互換的に使用される、ということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、非コヒーレント照明技術を使用する新しい蛍光顕微鏡検査機構は、試料の特定の層または試料に含有された材料を励起してそれらの蛍光を引き起こし、帰結の蛍光から試料の特徴を自動的に検出することが望ましい。その上、同じ機構にとって同じく望ましいことは、蛍光を引き起こさない照明技術を使用して試料の特徴を検査することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの例では、システムは、フレームと、フレームに連結される1つまたは複数の非コヒーレント光源であって、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を少なくとも放出するように構成され、放出された光が、試料に方向付けされるように構成される、1つまたは複数の非コヒーレント光源と、フレームに連結され、1つまたは複数の光源からの光をフィルタリングするように構成され、フィルタリングされた光が、試料に関連する所定のバンドギャップエネルギに匹敵するように構成される、励起フィルタと、フレームに連結される、明視野チャネルおよび暗視野チャネルを含む、対物レンズと、フレームに連結され、対物レンズと1つまたは複数の非コヒーレント光源との間の光路に沿って配置されるスライダであって、光を傾斜して試料に方向付けるように構成される少なくとも暗視野チャネルに光路に沿って光を伝達するように構成される少なくとも1つの構成を含む、スライダと、フレームに連結され、試料から受信カメラに、反射された光の選択された波長をフィルタリングするために構成される放出フィルタと、を含む。
【0008】
幾つかの例では、スライダの少なくとも1つの構成は、明視野チャネルおよび暗視野チャネルの双方に光を伝達するように構成される。
【0009】
幾つかの例では、システムは、フレームに連結されたノイズピースを更に含み、対物レンズは、取付け具を介してノーズピースに連結され、暗視野インサートは、取付け具に締結され、対物レンズの暗視野チャネルの上方に配置され、暗視野インサートは、光を試料に傾斜角で投射するように構成されるリング状の光部を含む。
【0010】
幾つかの例では、スライダは、フレームに連結され暗視野インサートの下方に配置されたフィルタスライダであり、フィルタスライダは、複数タイプの励起フィルタと、明視野チャネルまたは暗視野チャネルのうちの1つまたは複数のための1つまたは複数の追加放出フィルタと、を提供するように構成される。
【0011】
幾つかの例では、システムは、少なくとも第2のカメラを更に含み、放出光は、それぞれのカメラに方向付けされた可視光および非可視光を含む。
【0012】
幾つかの例では、システムは、フレームに連結された1つまたは複数の追加カメラを含み、各追加カメラは、光のそれぞれの固有の波長を受信するように構成される。
【0013】
幾つかの例では、システムは、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶するメモリと、を更に含み、命令が、1つまたは複数のプロセッサによる実行時に、1つまたは複数のプロセッサに、受信カメラから画像データを受信することであって、画像データが、試料からの方向付けされた光に基づく、画像データを受信すること、受信された画像データに基づき、トレーニングされた分類器で試料を分類すること、試料の分類に関連する記憶されたシステム構成を検索すること、および光源、励起フィルタ、放出フィルタ、または受信カメラのうちの1つまたは複数に、システム構成を適用すること、を引き起こさせる。
【0014】
幾つかの例では、メモリは、受信カメラから追加画像データを受信することであって、追加画像データが、システム構成が適用された後に受信される、追加画像データを受信すること、受信された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別すること、および試料欠陥に基づき特徴マップを生成すること、を行う更なる命令を記憶する。
【0015】
幾つかの例では、1つまたは複数の非コヒーレント光源は、フレームに連結され、1つまたは複数の非コヒーレント光源から試料に反射光を放出するように構成された第1の光源と、試料の下方のフレームに取り付けられ、1つまたは複数の非コヒーレント光源によって放出される光と同時に試料に方向付けされた光を放出することによって試料上の光の強度を増加させるように構成された追加光源と、を更に含む。
【0016】
幾つかの例では、システムは、フレームに連結され、放出光を試料に向けて方向付けするように構成されたビームスプリッタを更に含む。
【0017】
1つの例では、方法は、1つまたは複数の非コヒーレント光源から、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を放出することであって、放出された光が試料に方向付けされる、放出することと、励起フィルタを通して放出光をフィルタリングすることであって、フィルタリングされた光が、所定のバンドギャップエネルギに匹敵する、フィルタリングすることと、スライダを通して試料まで対物レンズの暗視野チャネルを介して傾斜角で放出光を伝達することと、試料から反射された光を受信カメラに方向付けすることであって、反射光が方向付けされてフィルタリングされた光に応答し、試料から反射された方向付けされた光が選択された波長を含む、方向付けすることと、を含む。
【0018】
幾つかの例では、方法は、試料へのフィルタリングされた光を、スライダを通して対物レンズの明視野チャネルに伝達することを更に含む。
【0019】
幾つかの例では、方法は、対物レンズの暗視野チャネルの上方に配置され、リング状の光部を含む暗視野インサートを含み、対物レンズの暗視野チャネルを介して傾斜角で試料に光を放出する。
【0020】
幾つかの例では、放出光は、可視光および非可視光を含み、方法は、第2のカメラによって、試料から反射された方向付けされた光の少なくとも一部を受信することを更に含む。
【0021】
幾つかの例では、方法は、1つまたは複数の追加カメラによって、試料から反射された光の固有の波長を受信することを含む。
【0022】
幾つかの例では、方法は、受信カメラから画像データを受信することであって、画像データが、試料から反射された方向付けされた光に基づく、画像データを受信することと、受信された画像データに基づき、トレーニングされた分類器で試料を分類することと、試料の分類に関連する記憶されたシステム構成を検索することと、光源、励起フィルタ、放出フィルタ、または受信カメラのうちの1つまたは複数に、システム構成を適用することと、を含む。
【0023】
幾つかの例では、方法は、受信カメラから追加画像データを受信することであって、追加画像データが、システム構成が適用された後に受信される、追加画像データを受信することと、受信された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別することと、試料欠陥に基づき特徴マップを生成することと、を含む。
【0024】
幾つかの例では、方法は、試料に向けて1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源から第1の光を放出することと、試料の下方から、1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの追加光源から試料に方向付けされた第2の光を放出することによって、試料上の光の強度を増加させることと、を更に含み、追加光は、1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源によって放出される光と同時に放出される。
【0025】
幾つかの例では、方法は、放出された光を試料に向けてビームスプリッタで方向付けすることを更に含む。
【0026】
1つの例では、装置は、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光と、を少なくとも放出するように構成され、放出された光が、試料に方向付けされるように構成される、1つまたは複数の非コヒーレント光源と、1つまたは複数の光源からの光をフィルタリングするように構成され、フィルタリングされた光が、試料に関連する所定のバンドギャップエネルギに匹敵するように構成される、励起フィルタと、明視野チャネルおよび暗視野チャネルを含む対物レンズと、取付け具を介して対物レンズに連結されるノーズピースと、取付け具に締結され、対物レンズの暗視野チャネルの上方に配置される暗視野インサートであって、暗視野インサートが光を試料に傾斜角で投射するように構成されるリング状の光部を含む、暗視野インサートと、試料から受信カメラに反射された光の選択された波長をフィルタリングするために構成される放出フィルタと、1つまたは複数のプロセッサと、命令を記憶するメモリと、を含み、命令が、1つまたは複数のプロセッサによる実行時に、1つまたは複数のプロセッサに、受信カメラから画像データを受信することであって、画像データが、試料から反射された方向付けされた光に基づく、画像データを受信すること、受信された画像データに基づき、トレーニングされた分類器で試料を分類すること、試料の分類に関連する記憶されたシステム構成を検索すること、光源、励起フィルタ、放出フィルタ、または受信カメラのうちの1つまたは複数に、システム構成を適用すること、受信カメラから追加画像データを受信することであって、追加画像データが、システム構成が適用された後に受信される、追加画像データを受信すること、受信された追加画像データに基づき、画像データモデルで試料欠陥を識別すること、および試料欠陥に基づき特徴マップを生成すること、を引き起こさせる。
【0027】
本開示の上に列挙されたおよび他の利点や特徴が得られる方法を説明する目的で、上で簡潔に説明された原理のより詳細な説明は、添付の図面に例証されているそれらの特定の実施形態を参照することによって与えられる。これらの図面が、本開示の例示的な実施形態を単に示し、したがって、それらの範囲を限定するものと考えるべきではない、ということを理解して、本明細書の原理は、添付の図面の使用を通して追加の特異性や詳細を用いて説明および解説される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】開示された技術の幾つかの態様に係る、蛍光顕微鏡検査システムの例を例証する図である。
図1B】開示された技術の幾つかの態様に係る、蛍光顕微鏡検査システムの例を例証する図である。
【0029】
図2】2つの画像化デバイスを含む蛍光顕微鏡検査システムの実施形態例を示す図である。
【0030】
図3A】蛍光顕微鏡検査システムの光路における明視野/暗視野スライダの実施形態例を示す図である。
図3B】蛍光顕微鏡検査システムの光路における明視野/暗視野スライダの実施形態例を示す図である。
【0031】
図3C】明視野/暗視野スライダの実施形態例を示す図である。
図4A】明視野/暗視野スライダの実施形態例を示す図である。
図4B】明視野/暗視野スライダの実施形態例を示す図である。
【0032】
図5A】暗視野インサートを含むシリンダ取付け具を備えた蛍光顕微鏡検査システムの実施形態例を示す図である。
【0033】
図5B】暗視野インサートを含むシリンダ取付け具を備えたノーズピース例を示す図である。
【0034】
図6A】暗視野インサートの実施形態例を示す図である。
【0035】
図6B】シリンダ取付け具の実施形態例を示す図である。
【0036】
図6C】フィルタスライダの実施形態例を示す図である。
【0037】
図7A】開示された技術の幾つかの態様に係る、FM検査システムを使用して試料を照明するための方法例を高いレベルで示す図である。
【0038】
図7B】開示された技術の幾つかの態様に係る、試料分類を識別し、FM検査システムのための光源およびフィルタを自動的に調整するためのプロセス例のステップを例証する図である。
【0039】
図7C】開示された技術の幾つかの態様に係る、試料欠陥を自動的に識別および/または分類するためのプロセス例のステップを例証する図である。
【0040】
図8】開示された主題の幾つかの実施形態に従った、コンピュータ分析システムの実施形態の全体構成を示す図である。
【0041】
図9】画像処理モジュールが試料および試料上の特徴を識別できるように、先ずトレーニングデータでトレーニングされる画像処理アルゴリズムを示す図である。
【0042】
図10】開示された技術の幾つかの態様に係る、畳み込みニューラルネットワーク(CNNs)を使用する分類方法例を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
開示された主題の幾つかの実施形態に従って、蛍光顕微鏡検査のための機構(システム、方法、デバイス、装置等々を含む場合がある)が提供され、非コヒーレント照明技術を使用して、試料の特定の層または試料に含有された材料を励起してそれらの蛍光を引き起こし、帰結の蛍光から試料の特徴を自動的に検出する。同機構は、蛍光を引き起こさない照明技術を使用して、試料の特徴を検査するために、使用することもできる。更に、幾つかの実施形態では、顔料は、試料に添加でき、非コヒーレント照明技術は、顔料を標的化してそれの蛍光を引き起こすために、使用できる。検査(時には試験と呼ぶ)は、蛍光画像化用の開示された非コヒーレント顕微鏡検査機構を使用する試料の走査、画像化、分析、測定および任意の他の適切なレビューを指す。
【0044】
図1Aおよび図1Bは、開示された主題の幾つかの実施形態に係る、試料から放出された蛍光を自動的に分析するための非コヒーレント照明を使用する蛍光顕微鏡検査システムの例(本明細書では「FMIS100」と呼ぶ)を例証する。高いレベルで、幾つかの実施形態に係るFMIS100の基本構成要素は、非コヒーレント光を提供するための1つまたは複数の照明源(例えば、光源25、25aおよび28)と、試料の焦点面を見つけるための焦点調節機構32と、照明器22と、画像化デバイス6と、1つまたは複数の対物レンズ35と、ステージ30と、1つまたは複数のフィルタ機構15と、明視野/暗視野スライダ40と、ハードウエア、ソフトウエア、および/またはファームウエアを含む制御モジュール110と、コンピュータ分析システム115と、を含む。例証されるように、制御モジュール110およびコンピュータ分析システム115は、通信チャネル120を介して検査システム100に結合される。理解されることは、通信チャネル120がバスや無線RFチャネルなどの1つまたは複数の信号伝達手段を含むことができる、ということである。同じく理解されることは、FMIS100が当技術分野でよく知られている追加の顕微鏡構成要素を含むことができる、ということである。例えば、FMIS100は、フレーム(図示せず)を含むことができ、それには、FMIS100の様々な構成要素(例えば、1つまたは複数の照明源、焦点調整機構、照明器、画像化デバイス、1つまたは複数の対物レンズ、ステージ、1つまたは複数のフィルタ機構、明視野/暗視野スライダ、制御モジュール、ノーズピース、ビームスプリッタ)が連結できる(例えば、携帯性、安定性、モジュール式サポート等々のため)。幾つかの実施形態では、コンピュータ分析システムは、フレームに連結されることがあり、幾つかの実施形態では、そうでないことがある。他の顕微鏡構成要素は、本明細書に列挙されていないが、当技術分野ではよく知られており、フレームに連結することもできる。
【0045】
FMIS100は、任意の適切なタイプの顕微鏡の一部として実施できる。例えば、幾つかの実施形態では、FMIS100は、(図1Aに示されたような)反射光および/または(図1Bに示されたような)伝達光を使用する光学顕微鏡の一部として実施できる。より具体的には、FMIS100は、オハイオ州Cuyahoga FallsのNanotronics Imaging, Inc.から入手可能な光学顕微鏡nSpec(登録商標)の一部として実施できる。
【0046】
幾つかの実施形態では、XY並進ステージは、ステージ30のために使用できる。XY並進ステージは、ステッパモータ、サーボモータ、リニアモータ、ピエゾモータ、および/または任意の他の適切な機構によって駆動できる。XY並進ステージは、幾つかの実施形態では、任意の適切なコントローラの制御の下で、X軸方向および/またはY軸方向に試料を移動させるように構成できる。
【0047】
幾つかの実施形態では、ステージ30に結合された焦点機構32は、対物レンズ35に向けるおよび遠ざかるZ方向にステージを調整するために使用できる。焦点機構32は、例えば、0から5mm、0から10mm、0から30mm、および/または任意の他の適切な距離範囲の粗焦点調節を行うために、使用できる。焦点機構32は、異なった厚さの試料をステージ上に配置するのを可能にするために、ステージ30を上および下に移動させるように、使用することもできる。焦点機構32は、例えば、0から50μm、0から100μm、0から200μm、および/または任意の他の適切な距離範囲の微細な焦点を提供するために、幾つかの実施形態では、使用することもできる。幾つかの実施形態では、焦点機構32は、ロケーションデバイスを含むこともできる。ロケーションデバイスは、任意の適切な時点でステージ30の位置を決定するように構成できる。幾つかの実施形態では、任意の適切な位置(例えば、試料が焦点にあるときのステージの位置)は、任意の適切な様式で記憶でき、後にFMIS100のリセット時および/またはパワーサイクリング時でさえステージをその位置に戻すために使用できる。幾つかの実施形態では、ロケーションデバイスは、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダ、あるいは、対物レンズに対するステージ30の絶対位置を追跡するための任意の他の適切な機構にすることができる。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、FMIS100は、1つまたは複数の対物レンズ35を含む場合がある。対物レンズは、異なった拡大倍率を有することができ、ならびに/あるいは、蛍光および明視野/暗視野、微分干渉コントラスト(DIC)、偏光、交差偏光および/または任意の他の適切な形態の照明で動作するように構成できる。試料を検査するために使用される対物レンズおよび/または照明の技術は、幾つかの実施形態では、ソフトウエア、ハードウエア、および/または、ファームウエアによって制御できる。
【0049】
幾つかの実施形態では、第2の焦点機構(図示せず)は、ステージ30に向けるおよび遠ざかるZ方向に対物レンズ35を駆動するために使用できる。第2の焦点機構は、対物レンズ35の粗大または微細な焦点調節のために設計できる。第2の焦点機構は、ステッパモータ、サーボモータ、リニアアクチュエータ、ピエゾモータ、および/または任意の他の適切な機構にできる。例えば、幾つかの実施形態では、ピエゾモータは、使用することができ、対物レンズを、0から50マイクロメートル(μm)、0から100μm、または0から200μm、および/または任意の他の適切な距離範囲だけ駆動できる。
【0050】
幾つかの実施形態では、制御モジュール(例えば、コントローラおよびコントローラインターフェース)とFMIS100の構成要素との間の通信は、任意の適切な通信技術を使用でき、1つまたは複数の他のデバイスと通信するための、および/または、コンピュータネットワークとデータ取引するための、能力を提供する。例として、実装された通信技術が、それらに限定されないが、含むことのできるものは、アナログ技術(例えば、中継論理)、デジタル技術(例えば、RS232、イーサネット、または無線)、ネットワーク技術(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN))、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、ブルートゥース(登録商標)技術、近距離通信技術、セキュアRF技術、および/または、任意の他の適切な通信技術である。
【0051】
幾つかの実施形態では、オペレータ入力は、任意の適切な入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチ、タッチスクリーン等々)を使用して、制御モジュール110に伝達できる。
【0052】
幾つかの実施形態では、コンピュータ分析システム115は、任意の適切な様式でFMIS100に結合するかまたは包含することができ、任意の適切な通信技術を使用し、アナログ技術(例えば、中継論理)、デジタル技術(例えば、RS232、イーサネット、または無線)、ネットワーク技術(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット)、ブルートゥース(登録商標)技術、近距離通信技術、セキュアRF技術、および/または、任意の他の適切な通信技術、などである。コンピュータ分析システム115、およびコンピュータ分析システム115内のモジュールは、本明細書で更に説明される幾つかの機能を実行するように構成でき、FMIS100によって出力および/またはコンピュータ可読媒体によって記憶される画像を使用する。
【0053】
コンピュータ分析システム115は、任意の適切なハードウエア(幾つかの実施形態ではソフトウエアを実行できる)を含むことができ、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、および、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、(それらのどれもがハードウエアプロセッサと呼ばれる場合がある)、エンコーダ、エンコーダを読むための回路構成、メモリデバイス(1つまたは複数のEPROM、1つまたは複数のEEPROM、ダイナミックランダムアクセスメモリ(「DRAM」)、スタティックランダムアクセスメモリ(「SRAM」)、および/またはフラッシュメモリを含む)、および/または任意の他の適切なハードウエア要素、などである。
【0054】
コンピュータ可読媒体は、任意の非一時的媒体である場合があり、コンピュータによってアクセスでき、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体の双方を含む。例として、限定ではないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含む場合がある。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法や技術で実装された揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含む場合がある。コンピュータ記憶媒体が、それらに限定されないが、含むものは、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置、所望の情報を記憶するために使用できてコンピュータによってアクセスできる任意の他の媒体、である。
【0055】
FMIS100は、1つまたは複数の照明源、例えば、光源25、25aおよび28を含むことができる。幾つかの実施形態では、例えば、図1Aに示されたように、反射照明(即ち、試料の上方から発せられる光)は、使用できる。反射光は、鉛直照明器22を貫いてビームスプリッタ20まで進む。ビームスプリッタ20は、照明源から発せられる光を、90度下方に、ノーズピース23を通して、また、対物レンズ35の明視野チャネル42を通して、試料まで反射させることができる。他の実施形態では、例えば、図IBに示されたように、伝達された照明(即ち、試料の下方から発せられる光)は、使用できる。異なった照明源は、相互に異なっている波長で照明を提供するように構成できる。異なった照明源は、単位面積当たりに提供される強度を制御するために調整することもできる。
【0056】
ビームスプリッタは、本明細書で使用されるとき、ミラー、ダイクロイクス、フィルタ、または、既知の特定の波長の光を伝達して伝達光を別の既知の特定の波長の光と結合するビームコンバイナ、を指す場合がある。
【0057】
幾つかの実施形態では、図1Bに示されたように、試料上の光の強度を増加させる目的で、照明源25/28からの反射光は、照明源25aからの伝達光と同時に投射できる。幾つかの態様では、様々な照明源は、類似または同等の波長で光を提供できる。他の実施形態では、FMIS100は、様々な波長の範囲の光を提供できる単一の照明源を含む場合がある。
【0058】
幾つかの実施形態では、例えば、第1の照明源25は、非可視光8(例えば、10から400ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する光を投射する)を提供し、他方、第2の照明源28は、可視光9(例えば、400から740ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する光を投射する)を提供する。更なる実施形態では、照明源は、他の適切な波長を提供できる。
【0059】
幾つかの実施形態では、図1Aおよび図1Bに示されたように、照明源25は、それの光が鉛直照明器22に向けて実質上水平方向に投射されるように配置される。照明源25、25aおよび28は、各源の放出光の波長に適した集束レンズを含むことができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、2つの照明源を使用するが、ビームスプリッタ60は、光が鉛直照明器22に進む前に、両方の照明源(例えば、照明源25および28)の光路中に配置される。照明源は、両方が同時にまたは異なる時間に照明を提供するように活動化できる。他の配置の照明源は、開示技術の範囲から逸脱することなく、企図される。留意すべきは、上述のデバイスの組合せが、任意の適切な構成では、所望の照明源および波長を反射および伝達するために使用できる、ということである。幾つかの実施形態では、特定のカットオフ波長を有するビームスプリッタは、照明源28によって放出される光の波長を反射し、照明源25から放出された光の波長が貫くのを可能にする目的で、選択される。ビームスプリッタ60は、45度の入射角のために設計でき、したがって、照明源28からの拒絶された光は、90度の角度で反射されて、照明源25からの光路に平行に進む。他のビームスプリッタの設計は、開示技術の範囲から逸脱することなく、企図される。
【0061】
留意すべきは、幾つかの実施形態では、任意の適切な非コヒーレント照明源が、それらに限定されないが、発光ダイオード(LEDs)、ハロゲンランプおよび/または蛍光灯を含む照明源25、25aおよび28と共に使用できる、ということである。
【0062】
幾つかの実施形態では、フィルタ機構15は、光源25および28からの特定の波長範囲が試料まで貫いて進むのを可能にするために使用できる。フィルタ機構15(励起フィルタとも呼ばれる)は、例えば、異なった帯域フィルタ(例えば、帯域フィルタ16および17)を有するスライドである場合がある。各帯域フィルタは、特定の波長が貫いて進み他のすべての波長をブロックすることを可能にする。モータまたは機械式の機構は、帯域フィルタのうちの1つを選択して配置するために、使用できる。他の実施形態では、整調フィルタは、ソフトウエア、ファームウエア、および/またはハードウエアを含むが、試料まで貫いて進むように所望の波長を制御するために使用できる。幾つかの実施形態では、選択される帯域フィルタは、試料中の1つまたは複数の材料のバンドギャップ特性に基づく場合がある。例として、帯域フィルタは、検査されている試料中の材料のうちの1つの材料のバンドギャップと一致またはそれを超える波長エネルギに対応するように選択できる。換言すると、試料に伝達される波長エネルギは、試料内の標的材料が蛍光を発するのを引き起こすように選択できる。各材料は、他の材料とは異なっている既知のバンドギャップエネルギを有する。バンドギャップエネルギは、価電子帯の頂部と、特定材料の伝導帯の底部と、の間のエネルギ差を指す。蛍光は、材料中の電子が光の波長によって励起されたときに発生し、したがって、それらは、光子を吸収して、励起光を放出する(多くの場合、放出光は、吸収された光よりも長い波長で放出される)。試料を励起するために適切な波長を適用することに加えて、十分な強度は、蛍光が発生できるように、単位面積当たりに、適用しなければならない。単位面積当たりの強度の十分性は、試料の材料組成に依存し、また、一般に1ワット/cmから11ワット/cmの範囲にある。例えば、照明源は、365nmの波長と4ワットの強度で、光を投射するが、蛍光応答を励起するために3.26eVのバンドギャップエネルギを有する炭化ケイ素の試料に適用できる。
【0063】
更なる実施形態では、選択された波長エネルギは、試料中の標的材料および/または標的試料に付加された顔料が蛍光を発するのを引き起こすのに必要な波長エネルギに対応する場合がある。留意すべきは、用語「励起」が、試料または試料に付加された顔料が蛍光を発する(即ち、蛍光を放出する)のを引き起こす波長エネルギを指す、ということである。
【0064】
幾つかの実施形態では、励起フィルタ機構は、実行されるべき所望の顕微鏡検査に基づいて使用でき、例えば、選択された範囲内の波長だけが貫いて進むのを可能にする。例として、フィルタ機構は、非可視範囲内(例えば、照明源25からの紫外光)の波長、または、(例えば、照明源28から)貫いて進むための可視範囲の波長、を選択するために使用できる。他の実施形態では、フィルタ機構は、試料に特定の波長(例えば、検査されている材料のバンドギャップに対応して、材料を励起する波長)の光を伝達するために使用できる。
【0065】
留意すべきは、励起フィルタスライダ15が、実施形態例を表し、1つまたは複数の励起フィルタが、光が試料に到達する前に、光路に沿った任意の適切な位置に配置できる、ということである。幾つかの実施形態では、スライダ40は、励起フィルタを含むことができ、および/または、励起フィルタは、ノーズピース23に包含できる。これらの様々な実施形態は、本明細書で説明される。
【0066】
更なる実施形態では、1つまたは複数の放出フィルタは、適切な波長が試料から画像化デバイスに伝達されるのを可能にするために使用でき、したがって、所望の波長だけが画像化される。励起フィルタと同様に、放出フィルタは、特定の波長が貫くのを可能にし他をブロックする帯域フィルタにすることができる。他の実施形態では、整調フィルタは、ソフトウエア、ファームウエア、および/またはハードウエアを含むが、貫いて進むように所望の波長を制御するために使用できる。
【0067】
1つまたは複数の放出フィルタは、各画像化デバイス(例えば、図2に示された放出フィルタ18および19)の前、管レンズ90(例えば、図1Aに示された放出フィルタ21)の前、および/または、試料の蛍光応答を伝達するためのノーズピース23(例えば、図6Cに示されたフィルタスライダ52の放出フィルタF3)の中、に配置できる。幾つかの実施形態では、放出フィルタホイールは、使用でき、更に、特定の色の波長を、1つまたは複数の画像化デバイスに到着することから、フィルタリングする。放出フィルタは、特定の波長が画像化デバイスに到着するのを可能にするために、選択または制御できる。例えば、異なった波長での炭化ケイ素の蛍光応答を探査するために、異なった範囲の波長(例えば、414~440nm、500~550nm、または590~670nm)が貫くのを可能にする異なった放出帯域フィルタ(または単一の波長)は、使用することができる。これらのフィルタは、1度に1つ、適用でき、あるいは、複数のカメラが存在する場合には、同時に、または、シーケンシャルスライダ(即ち、各画像化デバイスの前で異なった波長範囲を可能にするフィルタを使用する)の一部として、適用できる。
【0068】
図2は、2つの画像化デバイス6および7を含む実施形態例を示す。幾つかの実施形態では、画像化デバイス6および7は、画像センサ5および4をそれぞれ含むカメラにすることができる。画像化デバイス6および7は、試料の画像をキャプチャするために使用できる。画像センサ5および4は、例えば、CCD、CMOS画像センサ、および/または、光を1つまたは複数の電気信号に変換する任意の他の適切な電子デバイス、にすることができる。そういった電気信号は、試料の画像および/またはビデオ(蛍光画像および/またはビデオを含む)を形成するために使用できる。幾つかの実施形態では、画像化デバイスは、入射光子から電子電荷を生成するのに有効である高量子効率カメラにすることができる。幾つかの実施形態では、そういった電気信号は、FMIS100に連結された表示スクリーン上の表示のために伝達される。幾つかの実施形態では、画像化デバイスは、試料を見るために使用される接眼鏡もしくはアイピースで、または、試料からのスペクトル放出を測定するために使用される分光計で、置換えまたは補充できる。
【0069】
画像化デバイスは、FMIS100の共役焦点面上に配置できる。幾つかの実施形態では、画像化デバイスは、選択された場所をシステムの光学特質に適合させるために、適切な構成要素を使用して他の場所に実装できる。更なる実施形態では、2つ以上の画像化デバイスが使用できる。幾つかの実施形態では、画像化デバイスは、カメラが試料、ステージ、および/または、試料上の特徴、に位置合わせされるのを可能にするように構成された、画像センサを含む回転式カメラにすることができる。FMIS100によって使用され得るカメラを回転させるための幾つかの方法例は、「Camera and Object Alignment to Facilitate Large Area Imaging in Microscopy」という名称の米国特許第10,048,477号で説明されており、ここにおいて参照によって本明細書にそれの全体が組み込まれる。
【0070】
図2は、個々がそれぞれの画像化デバイスに結合されている放出フィルタリングデバイス18および19を含む。各フィルタリングデバイスは、試料に反射したか/または試料から放出された特定の波長が、関連する画像化デバイスによって受信されるのを可能にし、すべての他の波長をブロックする。図2は、試料に反射したか/または試料から放出された光の光路内の照明器22の上方に配置されているビームスプリッタ24を含む。ビームスプリッタは、特定の範囲の波長が1つの画像化デバイスに向けて方向付けされ、別の範囲の光の波長が第2の画像化デバイスに向けて方向付けされるように配置できる。
【0071】
FMIS100による試料の画像化は、明視野、暗視野、微分干渉コントラスト(DIC)、および、当業者に知られている他のものを含む様々な観察モードを使用して、実行できる。
【0072】
幾つかの実施形態では、FMIS100は、同時にまたは別々に、明視野照明および暗視野照明の双方を提供できる。暗視野照明は、見本を照明するために、直交光というよりも寧ろ斜位採光を使用する照明技術を指す。対物レンズは、光が90度より小さく、0度より大きく、典型的には、25度から80度の入射角で見本に伝達されるのを可能にする、明視野チャネルのまわりの環状の暗視野チャネルを含む場合がある。幾つかの実施形態では、FMIS100は、明視野/暗視野スライダ40または他の適切な機構(例えば、ケージキューブ)を含む場合があり、暗視野照明だけ、明視野照明だけ、明視野/暗視野照明の組合せ、または、他のタイプの照明(例えば、DIC)が見本に到達するのを可能にする。明視野/暗視野スライダ40の異なった構成は、図2図5に関連して議論される。他の実施形態では、明視野/暗視野照明は、暗視野チャネルの上に光源を結合すること、および、暗視野照明を見本に提供するために制御モジュール110を介して光源を活動化させること、によって達成できる。幾つかの実施形態例は、図2図5に関連して議論される。
【0073】
幾つかの実施形態では、図3A図3Bおよび図3Cに示されたように、FMIS100は、明視野/暗視野スライダ40、明視野構成43および暗視野構成44を含む一種のスライダを使用する。明視野/暗視野スライダ40は、試料まで進む光路10に沿ったどこかに配置できる(例えば、鉛直照明器内で、ビームスプリッタ20の前にあるいはノーズピース23の上または下に結合される)。明視野/暗視野スライダ40は、2つの構成、43および44を含む。第1の位置では、図3Aに示されたように、構成43が光路内に配置されるとき、構成43の中央のアパーチャは、光10aが、対物レンズ35の中央の明視野チャネルを通って、ビームスプリッタ20を貫いて進み反射するのを可能にし、試料への明視野照明を提供し、暗視野チャネル41まで貫いて進む光をブロックする。更に、幾つかの実施形態では、構成43の中央のアパーチャは、特定の波長だけが(ビームスプリッタ20の反射を介して)試料に到達するのを可能にする励起フィルタと交換できる。
【0074】
第2の位置では、図3Bに示されたように、構成44が光路内に配置されるとき、中心アパーチャは、閉じられて、光が明視野チャネル42に伝達されるのをブロックし、ビームスプリッタ20の反射を介して暗視野チャネルリング41を通して光10bを伝達して、試料への斜位照明を提供する。モータまたは機械式の機構は、明視野/暗視野スライダ構成の一方を選択して配置するために使用できる。試料から反射された光10cは、次いで、対物レンズ35を貫いて画像化デバイスまで進む。
【0075】
明視野/暗視野スライダ40の他の構成は、例えば、図4A(明視野/暗視野スライダ40a)および図4B(明視野/暗視野スライダ40b)に示されたように、可能である。
【0076】
明視野/暗視野スライダ40aは、構成45(閉じた中心のまわりのリング状の光部46(例えば、LED光リング)を含む)と、構成43(図3A図3Cに関連して説明される)と、を含むことができる。構成45が光路に配置されてLED光部46が活動化されるとき、斜位照明は、暗視野チャネル41(ビームスプリッタ20からの反射によって)を介して試料に伝達できる。リングの中心が閉じられて光が(ビームスプリッタ20の反射を介して)明視野チャネルに進入するのをブロックするという理由で、明視野光は、試料に伝達されない。
【0077】
図4Bに示されたように、明視野/暗視野スライダ40bは、構成47(アパーチャのまわりのリング状のLED光部46を含む)と、構成43(図3Aおよび図3Bに関連して説明される)と、を含むことができる。構成47が光路に配置されてリング状のLED光部46が活動化されるとき、斜位照明は、投射されて試料に(ビームスプリッタ20の反射を介して)伝達でき、他方、同時に明視野照明は、中央のアパーチャを通過して、(図5Bに示されたように)対物レンズ35の明視野チャネル42を通して試料に伝達できる。
【0078】
幾つかの実施形態では、図5A(FMIS100の例を示す)、図5B(ノーズピース23の例の詳細を示す)、図6A(暗視野インサート51の例を示す)、および、図6B(シリンダ29の例を示す)に示されたように、シリンダ29(本明細書では、「取付け具」または「シリンダ取付け具」とも呼ばれる)は、(例えば、ねじや他の締結体を介して)FMIS100のノーズピース23に締結でき、対物レンズ35(環状の暗視野チャネル41および明視野チャネル42を含む)は、暗視野チャネル41の上方でシリンダ29に締結できる。更に、リング状の光部46(例えば、LED光部46)を有する暗視野インサート51は、暗視野チャネル41の上方でシリンダ29に締結できる。そういった構成は、シリンダ29が、任意のノーズピースに締結されることおよび任意の対物レンズで使用されること、を可能にする。留意すべきは、シリンダ29が任意の適切な形状にできる、ということである。更に、暗視野インサート51に含まれるリング状の光部は、1つまたは複数の波長を放出する任意の適切な光を含むことができ、また、異なったタイプの光を含んで異なった波長(または波長のセット)を放出するリング状の光部を有する別のインサート51と柔軟に交換できる。
【0079】
幾つかの実施形態では、フィルタスライダ52、複数の放出/励起フィルタFI、F2、F3、...FNを有する一種のスライダは、暗視野インサート51の下方でシリンダ29に結合できる。幾つかの実施形態では、スライダ52のフィルタFIは、光部46からの光が、活動化されたときに、非フィルタリングで暗視野チャネル41を介して貫いて試料まで進むのを可能にするアパーチャを含む。スライダ52のフィルタF2は、特定の暗視野および明視野波長だけが試料に到達するのを可能にする励起フィルタを含む。幾つかの実施形態では、励起フィルタは、中央にアパーチャを含み、試料に到達する暗視野光だけをフィルタリングできる。更なる実施形態では、フィルタF3は、明視野チャネルおよび暗視野チャネルのための異なったフィルタを含むことができる。例えば、暗視野フィルタは、暗視野の励起光をフィルタリングするように構成でき、他方、明視野フィルタは、それが1つまたは複数の画像化デバイスに到達する前に、試料から放出された光をフィルタリングするための放出フィルタとして構成できる。スライダ52は、試料への到達から特定の励起波長を標的化するおよび/または1つまたは複数の画像化デバイスへの到達から特定の放出波長を標的化する他の適切なフィルタを含む場合がある。
【0080】
留意すべきは、上述の励起フィルタおよび放出フィルタの組合せが、任意の適切な構成で、所望の照明源および波長を反射して伝達するために、使用できる、ということである。
【0081】
図7Aは、高いレベルで、試料を照明するための方法例700を示しており、開示された主題の幾つかの実施形態に係る、所望のスペクトル放出および他の所望の画像キャプチャ用の照明を達成するために、FM検査システムを使用している。幾つかの実施形態では、方法700は、FMIS100を使用する場合がある。
【0082】
710で、試験されるべき試料は、試料ステージ30上に配置できる。幾つかの実施形態では、試料は、FMIS100の光源およびフィルタが選択される前に、焦点合わせされる。
【0083】
720で、FMIS100の設定は、画像キャプチャのために調整できる。これは、例えば、試験されている試料の特徴、または、試料の材料組成、に基づいて、(例えば、コンピュータアルゴリズムを使用して)手動でまたは自動的に実行できる。幾つかの実施形態では、制御モジュール110は、特定の試料、試料クラス、および/または、任意の他の適切な分類グループのための記憶情報に従って、光源からの光の波長および強度、ならびに、対応する励起フィルタおよび放出フィルタを活動化および調整できる。記憶情報は、試料についての既知の特徴のタイプおよび場所を識別するマップ(「試料特徴マップ」または「特徴マップ」)を含むことができる。また、記憶情報は、試料の材料組成や、(例えば、試料に方向付けるために、光の波長および強度を指定することによって、適切な励起フィルタおよび/または放出フィルタを選択および調整することによって)異なる関心領域で試料の異なった画像をキャプチャするための最適なFM検査システム設定も含むことができる。更に、記憶情報は、試料の既知または予想される欠陥のタイプおよび場所についての情報を含むことができる。適切な記憶情報を選択するための方法は、図8に関連して更に議論される。
【0084】
730で、幾つかの実施形態によれば、試料の1つまたは複数の画像は、FMIS100によってキャプチャされる。ステップ720および730は、試料の異なった画像をキャプチャするのに必要な回数だけ反復できる。例えば、調整を行うことができるのは、光源25、25aおよび/または28ならびに対応する励起フィルタおよび放出フィルタの強度および波長であり、試料の異なった画像をキャプチャするためである。光源の調整は、例えば、試料のための記憶情報に基づいて行うことができ、試料の組成、試料の既知または予想される欠陥、および/または、試料特徴マップを含む。更に、光源25、25aおよび/または28ならびに対応するフィルタの波長は、(試料特徴マップまたは別な方法によって示されるように)試料の異なった関心領域のために調整でき、画像は、各関心領域のためにキャプチャできる。幾つかの実施形態では、光源25、25aおよび/または28ならびに対応するフィルタの波長は、所望の励起を試料および/または関心領域に提供するのに適切な範囲内で選択できる。更に、試料の異なった画像は、明視野、暗視野、明視野および暗視野の組合せを適用すること、および/または、DIC照明など、試料に提供される照明のタイプを調整することによって、キャプチャできる。
【0085】
図7Bは、開示された技術の幾つかの態様に係る、試料分類を識別してFMIS100のための光源およびフィルタを自動的に調整するためのプロセス例705のステップを例証する。プロセス705は、例えば、画像処理システム、例えば、(図8に示されたような)画像処理モジュール834によって、画像データが受信されるステップ740で開始する。幾つかのアプローチでは、画像データは、FMIS100の一部として、画像化デバイスによって撮られる試料の受信画像に含めることができる。画像データは、FMIS100のステージ上に配設される試料の全部または一部を含むことができる。
【0086】
ステップ750では、画像データは、試料の分類を識別するために分析される。幾つかの例では、画像分析は、試料内の特定の領域、特徴または材料など、試料のサブセットを識別するために実行できる。下で議論されるように、機械学習分類器、コンピュータビジョン、および/または、人工知能は、試料および試料上の特徴を識別/分類するために使用できる。畳み込みニューラルネットワーク(CNNs)を使用する分類方法例は、図10に示される。
【0087】
その後に、記憶情報は、試料(または特徴)分類に基づいて自動的に選択できる(ステップ760)。試料/特徴分類は、試料、試料の材料組成、試料特徴のタイプ、および/または、他の適切な分類グループに関連する記憶情報を包含するデータベース(例えば、記憶情報データベース836)を照会するために使用できる。ステップ750で決定された試料分類を参照することによって、試料に適した記憶情報は、自動的に識別および検索できる。上で議論されたように、記憶情報は、観察される試料、特徴、および/または材料のための最適照明および画像キャプチャを達成するために使用できるFMIS100の構成を説明する様々な設定データを包含できる。
【0088】
図7Cは、開示された技術の幾つかの態様に係る、試料欠陥を自動的に識別および/または分類するためのプロセス例710のステップを例証する。幾つかの実装形態では、ステップ780は、図7Bに関して上で議論されたステップ770に従うことができる。しかしながら、理解されることは、プロセス710が上で議論されたプロセス700および705の様々なステップと独立に実行できる、ということである。
【0089】
ステップ780では、蛍光を含む画像データは、FM検査システムの調整/設定の適用に続いて、画像化デバイスから受信される。幾つかのアプローチでは、ステップ780は、上のステップ770で説明されたように、試料の自動分類に続いて、実行できる。そういうことで、ステップ780で受信された画像データは、FM検査システムのために実行される設定選択によって実現されるように、最適化または改善された照明条件の下で撮られた試料の画像を代表できる。
【0090】
ステップ785では、蛍光を含む新しい画像データは、試料の欠陥/特徴を自動的に識別/検出および/または分類するように構成される欠陥検出分類器に提供される。欠陥/特徴の検出および分類は、試料分類またはタイプの知識なしに実行できる。しかしながら、幾つかの実施形態では、試料分類および/または関連する記憶情報は、欠陥検出分類器への入力として使用でき、それによって、欠陥/特徴の検出および識別のプロセスを通知するために使用できる。
【0091】
ステップ790では、試料の1つまたは複数の欠陥/特徴は、識別および/または分類される。試料欠陥/特徴を識別および/または分類するプロセスは、所望の実装に応じて異なった方法で実行できる。例えば、欠陥/特徴の識別は、所与の試料および/または試料分類に関連する特徴マップおよび/または記憶情報を自動的に生成または更新するために使用できる(ステップ795)。そういうことで、新しい欠陥/特徴の識別は、プロセス705で説明されたように、将来の欠陥/特徴の分類計算を改善(トレーニング)、ならびに、FM検査システム設定を調整する自動化プロセスを改善、するために使用できる。幾つかの態様では、欠陥/特徴の識別および/または分類は、警報をトリガ起動するために、例えば、検出された欠陥/特徴および/または欠陥/特徴のタイプ(分類)の存在についてFM検査システムのユーザに通知するために、使用できる。
【0092】
理解されることは、本明細書で説明される方法700、705および710の少なくとも幾つかの部分が、幾つかの実施形態では、図7A図7Bおよび図7Cに関連して示され説明された順序およびシーケンスに限定されない任意の順序またはシーケンスで実行できる、ということである。また、本明細書で説明されるプロセス700、705および710の幾つかの部分は、適切な場合には実質上同時に、または幾つかの実施形態では並行して、実行できる。追加的にまたは代替的に、プロセス700、705および710の幾つかの部分は、幾つかの実施形態では省略できる。方法700、705および710は、任意の適切なハードウエアおよび/またはソフトウエアで実施できる。例えば、幾つかの実施形態では、方法700、705および710は、FM検査システム100で実施できる。
【0093】
図8は、開示された主題の幾つかの実施形態に従ったコンピュータ分析システム115の実施形態の全体構成を示す。コンピュータ分析システム115は、バス805を介して様々な構成要素が結合される局在型計算システムとして例証されているが、理解されることは、様々な構成要素および機能的計算ユニット(モジュール)が別々の物理システムまたは仮想システムとして実装できる、ということである。例えば、1つまたは複数の構成要素および/またはモジュールは、クラウド環境において例示化された仮想プロセス(例えば、仮想マシンまたはコンテナ)を使用するなどして、物理的に離れた遠隔のデバイスにおいて実装できる。
【0094】
コンピュータ分析システム115は、処理ユニット(例えば、1つまたは複数のCPUおよび/または1つまたは複数のプロセッサ)810と、リードオンリーメモリ(ROM)820およびランダムアクセスメモリ(RAM)825などのシステムメモリ815を含む様々なシステム構成要素を1つまたは複数のプロセッサ810に結合するバス805と、を含む。
【0095】
メモリ815は、メモリキャッシュ812などの異なった性能の特質を備えた様々なメモリタイプを含む場合がある。プロセッサ810は、記憶デバイス830に結合され、記憶デバイス830は、記憶情報データベース836などの1つまたは複数の機能モジュールおよび/またはデータベースシステムを実装するために必要なソフトウエアおよび命令を記憶するように構成される。これらのモジュールおよび/またはデータベースシステムの個々は、プロセッサ810、ならびに、実際のプロセッサ設計にソフトウエア命令が組み込まれる特殊用途プロセッサを制御するように構成できる。そういうことで、画像処理モジュール834および記憶情報データベース836は、完全な自己包含型のシステムである場合がある。例えば、画像処理モジュール834は、開示技術の範囲から逸脱することなく、離散型の画像処理システムとして実現できる。
【0096】
コンピュータ分析システム115とのユーザ対話を可能にするために、入力デバイス845は、音声用マイクロフォン、ジェスチャまたはグラフィカル入力用のタッチ感応スクリーン、キーボード、マウス、モーション入力等々などの任意の数の入力機構を代表する場合がある。出力デバイス835は、当業者に知られている幾つかの出力機構のうちの1つまたは複数である場合もある。幾つかの例では、マルチモーダルシステムは、ユーザが複数のタイプの入力を提供して、コンピュータ分析システム115と通信すること、例えば、試料タイプ/分類または他の特質に関する試料情報を運ぶこと、を可能にすることができる。通信インターフェース840は、ユーザ入力およびシステム出力を一般的に統治および管理できる。制限は、任意の特定のハードウエア構成上での動作について存在せず、したがって、ここでの基本的な特徴は、それらが展開されるときに、改善されたハードウエア構成またはファームウエア構成のために、容易に取り換えることができる。
【0097】
記憶デバイス830は、非一時的メモリであり、また、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶できるハードディスクや他のタイプのコンピュータ可読媒体である場合があり、磁気カセット、フラッシュメモリカード、固体メモリデバイス、デジタル汎用ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)825、リードオンリーメモリ(ROM)820、およびそれらのハイブリッド、などである。
【0098】
実際には、記憶情報データベース836は、試料、試料クラスおよび/または他の適切な試料分類と関連するコンテキストデータを受信、記憶、および更新するように構成できる。各試料/試料クラス/試料分類のためのコンテキストデータが、それらに限定されないが、含むことのできるものは、試料および/または試料の特徴のコンピュータ支援設計(CAD)ファイル、特徴およびそれらの位置を識別する特徴マップ、FMIS100によってキャプチャされた試料/試料の特徴の画像、既知の試料および/または特徴の画像、既知の寸法、材料組成、試料の機械的特性および/または物理的特性、既知の材料または試料のためのスペクトル変化マップ、一般的な積層障害、構造欠陥または試料に関連する他の欠陥、試料の特徴のための最適なFM検査設定、試料または試料分類、関心領域/または試験のための関心材料の識別、である。幾つかの実施形態では、関心領域は、特徴マップ上で識別できる。記憶情報データベース836は、画像処理モジュール834に結合でき、また、画像処理モジュール834にデータを伝達およびそこからデータを受信できる。更に、コンテキストデータは、試料を検査するために使用されているFMIS100に関するデータを含む場合があり、FMIS100に関する、光源の数、各光源の波長範囲および強度、画像化デバイスの数、および、異なったタイプの励起フィルタ/放出フィルタおよびそれらの場所;試料ステージ30および対物レンズ35間の可能な距離の範囲、などである。
【0099】
プロセッサ810は、画像処理モジュール834を含むことができる。画像処理モジュール834は、記憶情報データベース836と共に使用でき、試料を分類するために基づくものは、試料画像に受信された蛍光を含む画像データ、記憶情報データベース836から検索されたコンテキストデータ、および/または、ユーザによって、例えば、入力845を介して、手動で提供されるものなどの他の受信される試料の特質、である。追加的に、画像処理モジュールは、特定の試料特徴を分類し、他の物理的および/または機械的な試料特性(例えば、試料反射率、試料寸法、試料材料組成)を決定するように構成できる。試料タイプ、および試料特徴/特性の分類は、記憶情報データベース836に記憶できる。
【0100】
幾つかの実施形態では、いったん試料タイプ、試料の特定の特徴および/または材料組成が(例えば、画像処理モジュール834によって)決定されると、決定された試料タイプ/特徴に関連する追加のコンテキストデータは、記憶情報データベース836から検索され、制御モジュール110に送出され、FMIS100の設定を調整し、特定の試料画像をキャプチャ、および/または、FMIS100によって試料の検査を案内できる(例えば、特定の特徴および/または関心領域の画像をキャプチャすることによって)。
【0101】
幾つかの実施形態では、画像処理モジュール834は、試料スキャンの全体、または試料の1つまたは複数の画像を受信できる。画像処理モジュール834は、図9に示されたように、試料タイプならびに試料上の特徴を分類するために、1つまたは複数の人工知能アルゴリズムを適用できる。
【0102】
当業者に理解されるように、人工知能/機械学習ベースの分類技術は、開示技術から逸脱することなく、所望の実装に応じて多様である場合がある。例えば、機械学習分類スキームは、単独でまたは組合せて、次のもののうちの1つまたは複数を利用でき:隠れマルコフモデル;リカレントニューラルネットワーク;畳み込みニューラルネットワーク(CNNs);深層学習;ベイジアンシンボリック法;敵対的生成ネットワーク;サポートベクターマシン;画像レジストレーション法;適用可能ルールベースシステム、である。回帰アルゴリズムが使用される場合、それらに限定されないが、確率勾配降下リグレッサ、および/または、受動的攻撃リグレッサ等々を含むこと、を含むことがある。
【0103】
機械学習分類モデルは、クラスタリングアルゴリズム(例えば、ミニバッチk-meansクラスタリングアルゴリズム)、推奨アルゴリズム(例えば、ミニワイズハッシュアルゴリズム、またはユークリッドLSHアルゴリズム)、および/または、局所外れ値因子法などの異常検出アルゴリズムに基づく場合もある。追加的に、機械学習モデルは、ミニバッチ辞書学習アルゴリズム、インクリメンタル主成分分析(PCA)アルゴリズム、潜在的ディリクレ割当アルゴリズム、および/または、ミニバッチk-meansアルゴリズム等々のうちの1つまたは複数などの次元削減アプローチを採用できる。
【0104】
幾つかの例では、機械学習モデルは、試料、試料内の材料、試料の特徴、および/または、他の試料の特質の分類を実行するために使用できる。
【0105】
幾つかの態様では、試料画像からの画像データは、例えば、画像処理モジュール834によって、機械学習分類システムへの入力として提供できる。分類器出力は、その後に使用できる見本または特徴分類を特定することができ、FMIS100による更なる検査のために試料上の特定の関心領域を識別し、それらの関心エリアを検査するために使用されるべき光源およびフィルタのタイプに従って、FMIS100の制御モジュール110に命令を提供する。
【0106】
そういったアルゴリズム、ネットワーク、機械およびシステムは、任意の「人工知能を使用して試料の特徴を決定するための手段」または「人工知能を使用して更に検査するために試料の関心領域を決定するための手段」または「人工知能を使用して試料の特徴を決定するための手段」に関して使用される構造の例を提供する。
【0107】
更に、試料上の各特徴のためにまたは関心領域のために、画像処理モジュールは、1つまたは複数の人工知能アルゴリズムを適用して、i)特徴を検出し、ii)特徴タイプを分類し、iii)試料上の特徴の場所を決定し、iv)試料/特徴の材料組成を決定し、v)特徴/試料/材料を検査するためにFMIS100用の最適設定(例えば、波長励起設定、波長放出設定、適用される照明技術)を決定することができる。幾つかの実施形態では、画像処理モジュール834によって使用されるアルゴリズムは、試料上の特徴の場所、検査される試料のタイプ、検査される試料の物理的および機械的な特性、同一または類似の試料上の類似の特徴、検査済み試料用の基準特徴マップ、試料走査または試料画像を生成するために使用されるFM検査システム設定のようなコンテキストデータを考慮できる。
【0108】
画像処理モジュール834によって使用され得る機械学習人工知能ベースの画像処理アルゴリズムの例は、Barbara Zitovaの「Image Registration Methods: A Survey」、Image and Vision Computing、2003年10月11日、21巻、11月号、977~1000頁によって説明されたような画像登録であり、ここに参照によって本明細書にそれの全体が組み込まれる。開示された方法は、単なる例であり、限定であることを意図していない。例として、機械学習/人工知能モデルは、トレーニングデータの複数の源を使用してトレーニングでき、それらに限定されないが含むものは、試料および/または試料の特徴のコンピュータ支援設計(CAD)ファイル、特徴と試料上のそれらの場所とを識別する試料特徴マップ、既知の試料および/または特徴の画像、および/または、既知の試料についての情報(例えば、試料の寸法、試料の材料組成、試料の機械的および/または物理的な特性、既知の材料または試料のためのスペクトル変化マップ、通常の積層障害、構造欠陥、試料分類内の特徴が通常位置する場所を識別する特徴マップ)である。
【0109】
幾つかの実施形態では、図9に示されたように、画像処理アルゴリズム905は、画像処理モジュール834が試料を認識および分類して試料上の特徴を検出および認識できるように、先ずトレーニングデータ920を用いてトレーニングされる。複数のトレーニング技術は、使用することができ、また、使用される特定の分類器モデルに依存することがある。1つの例では、13層CNN等々などのCNNは、それぞれのエラー空間を探査するために、確率的勾配降下を使用して、複数のエポックにわたってトレーニングされることがある。1つの例では、80個のエポックは、トレーニングのために使用され、確率的勾配降下は、モメンタムファクタを含む場合がある。追加的に、適応学習率は、例えば、および、限定とみなさずに、初期エポック中の(例えば、確率的勾配降下におけるステップ値として)0.1から後期エポックにおける0.01にの学習率を調整することなど、使用することができる。
【0110】
トレーニングデータ920は、既知のタイプの試料および特徴のラベル付けされた例を含むことができる。(例えば、特徴、特徴タイプ、欠陥のタイプ等々)のためにトレーニングされる各分類に関して、トレーニングデータ920は、異形特徴(これらは、実際の異形特徴や事前定義されたパラメータに従ってシミュレートされた異形特徴である場合がある)のラベル付き画像を更に含むことができ、トレーニングデータ920は、そういった異形特徴のラベル付き画像を含むことができる。トレーニングデータ920は、0~360度回転した各欠陥タイプのラベル付き画像を含むこともできる。トレーニングデータ920は、異なったサイズで生成された各欠陥タイプのラベル付き画像を含むこともできる。トレーニングデータ920の1つの例は、異なった構造、形状およびサイズを有するラベル付き積層障害と、積層障害の各タイプのための対応する蛍光放出と、を含む画像である。更に、ラベル付き画像は、FMIS100用の設定を特定する情報(例えば、波長励起設定、波長放出設定、適用される照明技術)、特徴または試料の材料組成、試料上の特徴の場所、特徴の物理的/機械的な特性、および/または、任意の他の適切な特質、のような追加のコンテキストデータを含むこともできる。幾つかの実施形態では、トレーニングデータは、ラベル付けされていないデータを含むこともできる。
【0111】
いったん画像処理アルゴリズムがトレーニングされると、画像処理モジュール834によって、受信された試料走査または試料の画像に、適用され得るのは、試料タイプを分類し、特徴を検出し、障害タイプを分類し、特徴および/または障害場所を決定し、試料組成を決定し、特徴/試料を検出するための最適なFM検査システム設定を決定することである。出力データは、視覚的に表示、印刷またはファイル形式で生成でき、データベース836に記憶または更なる処理のために他の構成要素に伝達できる。
【0112】
幾つかの実施形態では、出力データは、試料のための特徴マップを生成するために、特徴マップ生成モジュール832に送信できる。幾つかの実施形態では、出力データは、複数の画像を含むことができる。生成された特徴マップは、試料上の特徴を識別および位置付けできる。生成された特徴マップは、視覚的に表示、印刷、または、ファイル形式で生成でき、記憶情報データベース836に記憶または更なる処理のために他のモジュールに伝達できる。
【0113】
更に、生成された特徴マップは、試料の特定の特徴および/または領域上にFMIS100による更なる検査の焦点を合わせるために使用できる。特徴および領域の特質に基づいて、記憶情報は、記憶情報データベース836から検索できる。例えば、各特徴および/または関心領域のために、命令は、異なった画像をキャプチャして制御モジュール110に伝達するために異なった励起フィルタ/放出フィルタを使用して異なった波長および強度レベルで、異なった光源および照明技術を適用するために、記憶情報データベース836から検索できる。例えば、1つまたは複数の画像化デバイスの前に異なった帯域放出フィルタを適用することによって、異なった蛍光放出は、検出でき、試料の異なった特徴は、識別できる(試料の、例えば、表面の凹凸や欠陥)。
【0114】
図10は、深層畳み込みネットワーク分類器1005を使用する画像処理モジュール834をトレーニングするための1つの実施形態を説明する。分類器1005は、シミュレートされた拡張データ1007を使用してトレーニングできる。例えば、異なったタイプの試料のための既知の欠陥は、異なった配向、異なったサイズ、異なった画素強度、試料上の異なった場所で生成できる(1006および1009)。これらの既知の欠陥の形状は、不鮮明および/または歪曲している場合がある。いったんトレーニングされると、FMIS100の1つまたは複数の候補画像は、分類器の中に入力できる(1009)。幾つかの実施形態では、画像(1001)は、ある種の領域を検出することおよびそれらの領域から特徴を抽出することによって、先ず処理される(1002および1003)。分類器1005は、次いで、抽出した特徴を分析して、特徴をタイプに分類してそれらの特徴を試料上に位置させるために、使用される(1010)。留意すべきは、FMIS100によって使用され得る試料上に特徴を位置させるための幾つかの方法例が、「Macro Inspection Systems, Apparatus and Methods」という名称の米国特許出願第16/262,017号で説明されており、ここにおいて参照によって本明細書にそれの全体が組み込まれる、ということである。幾つかの実施形態では、既知の欠陥は、異なった構造、サイズおよび形状を有する積層障害を含む。
【0115】
幾つかの実施形態では、任意の適切なコンピュータ可読媒体は、本明細書で説明される機能および/またはプロセスを実行するための命令を記憶するために使用できる。例えば、幾つかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、一時的または非一時的である場合がある。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体は、非一時的な磁気媒体(ハードディスク、フロッピディスク等々など)、非一時的な光学的媒体(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク等々など)、非一時的な半導体媒体(フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的に消去可能でプログラム可能なリードオンリーメモリ(EEPROM)等々など)、伝送中に泡沫的でないかまたは任意の類似の永続性を欠いていない任意の適切な媒体、および/または任意の適切な有形媒体、などの媒体を含む場合がある。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の信号、ワイヤ、導体、光ファイバ、回路、および伝送中に泡沫的であり任意の類似の永続性を欠いている任意の適切な媒体、および/または任意の適切な無形媒体の中の信号を含む場合がある。
【0116】
本明細書で説明される様々なシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体は、クラウドネットワーク環境の一部として実装できる。本明細書で使用されるように、クラウドベースの計算システムは、仮想化された計算資源、ソフトウエアおよび/または情報をクライアントデバイスに提供するシステムである。計算資源、ソフトウエアおよび/または情報は、ネットワークなどの通信インターフェースを介してエッジデバイスがアクセスできる集権的サービスおよびリソースを維持することによって仮想化できる。クラウドは、サービスとしてのソフトウエア(SaaS)(例えば、コラボレーションサービス、電子メールサービス、企業リソース計画サービス、コンテンツサービス、通信サービス等々)、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)(例えば、セキュリティサービス、ネットワークサービス、システム管理サービス等々)、サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)(例えば、ウエブサービス、ストリーミングサービス、アプリケーション開発サービス等々)、および、サービスとしてのデスクトップ(DaaS)、サービスとしての情報技術管理(ITaaS)、サービスとしての管理されるソフトウエア(MSaaS)、サービスとしてのモバイルバックエンド(MBaaS)等々などのサービスの他のタイプなど、クラウド要素を介して様々なクラウド計算サービスを提供できる。
【0117】
本明細書で説明される例の規定(ならびに、「などの」、「例えば」、「含む」、および同種のものとして言い表された成句)は、権利請求された主題を特定例に限定するものとして解釈するべきではなく、寧ろ、例は、多くの可能な態様のうちの単なる幾つかを例証することが意図される。当業者が理解することは、用語「機構」がハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、または任意の適切なそれらの組合せを包含できる、ということである。
【0118】
別途具体的に述べない限り、上の議論から明らかなように、理解されることは、説明全体を通して、「決定する」、「提供する」、「識別する」、「比較する」または同種のものなどの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタあるいは他のそういった情報記憶装置、伝送デバイスまたは表示デバイスの内部で物理(電子)量として表されるデータを操作および変換するコンピュータシステム、または同様の電子計算デバイスの活動およびプロセスを指す。本開示の特定の態様は、アルゴリズムの形式で本明細書で説明されるプロセスステップおよび命令を含む。留意されるべきことは、本開示のプロセスステップおよび命令が、ソフトウエア、ファームウエア、またはハードウエアで具体化でき、また、ソフトウエアで具体化されたときに、リアルタイムネットワークオペレーティングシステムによって使用される異なったプラットフォームに常駐するためにダウンロードされてそこから動作できる、ということである。
【0119】
本開示は、本明細書での動作を実行するための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特別に構築でき、あるいは、コンピュータによってアクセスできるコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に活動化または再構成される汎用コンピュータを備えることができる。そういったコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶でき、それらに限定されないが、任意のタイプのディスクなどであって、フロッピディスク、光ディスク、CD-ROM、磁気光学ディスク、リードオンリーメモリ(ROMs)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードまたは光学カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、あるいは、電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。更にまた、本明細書で言及するコンピュータは、単一のプロセッサを含むことができ、あるいは、計算能力の増大のために複数プロセッサの設計を採用するアーキテクチャにできる。
【0120】
本明細書で提示されるアルゴリズムおよび動作は、任意の特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関係しない。様々な汎用システムは、本明細書の教示に従ってプログラムと共に使用することもでき、あるいは、必要な方法ステップおよびシステム関連動作を実行するために、より特化した装置を構築すると便利なことを証明できる。様々なこれらのシステムのための必要な構造は、等価な変形例と共に、当業者に明らかになる。加えて、本開示は、任意の特定のプログラミング言語に関連して説明されていない。理解されることは、様々なプログラミング言語が、本明細書で説明されるように、本開示の教示を実施するために使用できること、および、特定の言語への任意の言及が、本開示の実施可能性およびベストモードの開示のために提供されること、である。
【0121】
FM検査装置、方法およびシステムは、これらの例証された実施形態を具体的に参照して詳細に説明されてきた。しかしながら、明らかになることは、様々な修正および変更が、上記明細書に記載されたように、本開示の精神および範囲の範囲内で行うことができること、および、そういった修正および変更が、本開示の等価物および部分とみなされるべきであること、である。

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の非コヒーレント光源から、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光とを放出することであり、前記放出された放出光は前記試料に方向付けされる、放出すること、
励起フィルタを通して前記放出光をフィルタリングすることであり、前記フィルタリングされた光は、所定のバンドギャップエネルギに匹敵する、フィルタリングすること、
顕微鏡システムのスライダを通して対物レンズの暗視野チャネルを介して前記試料に傾斜して前記放出光を伝達すること、
前記試料から反射された反射光を受信カメラに方向付けすることであり、
前記反射光が、前記励起フィルタによりフィルタリングされた光の出力に応答して生成され、
前記試料から反射されて方向付けされた前記反射光が選択された波長を含む、方向付けすること、
を含む方法。
【請求項2】
前記試料への前記フィルタリングされた放出光を、前記スライダを通して前記対物レンズの明視野チャネルに伝達することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対物レンズの前記暗視野チャネルの上方に配置され、リング状の光部を含む暗視野インサートを使用し、前記対物レンズの前記暗視野チャネルを介して傾斜して前記試料に放出光を放出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料に向けて前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源から第1の光を放出することと、
前記試料の下方から、前記試料に方向付けされた第2の光を放出することによって、前記試料上の光の強度を増加させることと、
をさらに含み、
前記第2の光は、前記第1の光と同時に放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記放出光を前記試料に向けてビームスプリッタで方向付けすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放出光は可視光及び非可視光を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数の追加カメラによって、前記試料から反射された前記反射光の固有の波長を受信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
顕微鏡システムの制御モジュールであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
命令を記憶するメモリとを含み、前記命令が、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記顕微鏡システムに操作を実行させ、前記操作は、
1つまたは複数の非コヒーレント光源を作動することであり、前記1つまたは複数の非コヒーレント光源に、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光とを前記試料に方向付けさせる、作動することと、
励起フィルタを通して前記放出光をフィルタリングすることであり、前記フィルタリングされた放出光は、所定のバンドギャップエネルギに匹敵する、フィルタリングすることと、
顕微鏡システムのスライダを位置付けることであり、前記スライダを通して対物レンズの暗視野チャネルを介して前記試料に傾斜して前記放出光を伝達し、前記試料から反射された反射光を受信カメラに方向付け、
前記反射光が、前記励起フィルタによるフィルタリングされた前記放出光の出力に応答して生成され、
前記試料から反射されて方向付けされた前記反射光が選択された波長を含む、位置付けることと、を含む制御モジュール。
【請求項9】
前記命令は、さらに、前記顕微鏡システムに、前記スライダを位置付けさせ、前記試料への前記フィルタリングされた光を前記対物レンズの明視野チャネルに伝達させる、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項10】
前記操作は、
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源を作動することであり、第1の光を前記試料に向けて放出する、作動することと、
前記試料の下方から、第2の光源を作動させることであり、第2の光を前記試料に方向付けて、前記試料上の光の強度を増加させる、作動させることと、をさらに含む、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項11】
前記操作は、
前記スライダを位置付け、前記スライダを通して前記対物レンズの前記暗視野チャネルを介して前記試料に傾斜して前記放出光を伝達することは、さらに前記顕微鏡システムにビームスプリッタを作動させ、前記放出光を前記試料に向けて方向付けることをさらに含む、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項12】
前記操作は、
リング状の光部を含む暗視野インサートを、前記対物レンズの前記暗視野チャネル上方に位置付けることと、
前記暗視野インサートを作動することであり、前記暗視野インサートに、前記対物レンズの前記暗視野チャネルを介して傾斜して前記試料に前記放出光を放出させる、作動することと、をさらに含む、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項13】
前記放出光は可視光及び非可視光を含む、請求項8に記載の制御モジュール。
【請求項14】
実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、顕微鏡システムの制御モジュールの1つまたは複数のプロセッサによって実行される結果として、前記命令が前記制御モジュールに操作を実行させ、前記操作は、
前記顕微鏡システムの1つまたは複数の非コヒーレント光源を作動することであり、試料が蛍光を発するのを引き起こす第1の波長の光と、前記試料が蛍光を発するのを引き起こさない第2の波長の光とを前記試料に方向付ける、作動することと、
前記顕微鏡システムの励起フィルタを通して前記光をフィルタリングすることであり、前記フィルタリングされた放出光は、所定のバンドギャップエネルギに匹敵する、フィルタリングすることと、
前記顕微鏡システムのスライダを位置付けすることであり、前記スライダを通して対物レンズの暗視野チャネルを介して前記試料に傾斜して前記放出光を伝達し、前記試料から反射された反射光を受信カメラに方向付け、
前記反射光が、前記励起フィルタによるフィルタリングされた前記放出光の出力に応答して生成されており、
前記試料から反射されて方向付けされた前記反射光が、選択された波長を含む、位置付けすることと、
を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記実行可能な命令は、さらに、前記制御モジュールに、前記顕微鏡システムのビームスプリッタを位置付けさせ、前記光を前記試料に向けて方向付ける、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記操作は、
リング状の光部を含む暗視野インサートを、前記対物レンズの前記暗視野チャネル上方に位置付けることと、
前記暗視野インサートを作動することであり、前記対物レンズの前記暗視野チャネルを介して傾斜して前記試料に光を放出することと、
をさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記光は可視光及び非可視光を含む、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記操作は、
前記1つまたは複数の非コヒーレント光源のうちの第1の光源を作動することであり、第1の光を試料に向けて放出する、作動することと、
前記試料の下方から、第2の光源を作動することであり、第2の光を前記試料に方向付けて、前記試料上の光の強度を増加させる、作動することと、
をさらに含む、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記実行可能な命令は、さらに、前記制御モジュールに、前記スライダを位置付けさせ、前記試料への前記フィルタリングされた前記放出光を、前記対物レンズの明視野チャネルに伝達する、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記スライダは、
前記顕微鏡システムのフレームに連結され、複数タイプの励起フィルタを提供するように構成されるフィルタスライダと、
前記暗視野チャネルまたは明視野チャネルのうちの1つまたは複数のための1つまたは複数の放出フィルタと、
を含む、請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体。