(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052893
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】スマート腹膜透析装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A61M1/28 130
A61M1/28 110
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015281
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2019540099の分割
【原出願日】2018-02-01
(31)【優先権主張番号】PCT/IL2017/050117
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】62/488,944
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】518271949
【氏名又は名称】リベルディーアイ,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】トソーリー,ヒゼキア
(72)【発明者】
【氏名】ハラリ,シャハル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腹膜透析治療をモニタリング及び/又は修正するための装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの治療プロトコルを記憶するメモリと、メモリに接続された制御回路とを含み、制御回路が、治療の結果が治療プロトコルの所望の結果ではない場合にレポートを生成する及び/又は治療を修正する。
【選択図】
図13N
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析治療をモニタリング及び/又は修正するための装置であって、
少なくとも1つの治療プロトコルを記憶するメモリと、
前記メモリに接続された制御回路を備え、前記制御回路が、以下の
新鮮な腹膜透析液流体を通過する出力光の特性を測定すること、
排出された腹膜透析液流体を通過する出力光の特性を測定すること、
新鮮な腹膜透析液流体を通過した光の前記特性と排出された腹膜透析液流体を通過した光の前記特性とを比較すること、及び
前記比較に基づいて、患者が腹膜炎であるかを判定し、さらに前記比較に基づいて、少なくとも抗菌薬治療を選択すること
を実行するように構成されている、
装置。
【請求項2】
カテーテルへ流体を流すように形状設定及び寸法設定されたチュービングをさらに備え、前記制御回路が、前記流体の流れに基づいて及び/又は前記チュービング内の前記流体の内容物に基づいて前記腹膜透析治療を修正する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チュービングに関連してポンプロータを備え、前記ポンプロータが、前記流体を動かすように構成され、前記制御回路が、前記ポンプロータの回転を修正することにより前記腹膜透析治療を修正する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記比較が、前記装置の自己校正を可能にするべく、測定された排出された腹膜透析液の値及び新鮮な腹膜透析液の値を比較することをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記比較が、前記排出された腹膜透析液流体中で又は前記排出された腹膜透析液流体の選択された体積中で見つかる白血球の数を示すスコア又は差分パラメータ値を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記比較が、各波長に関して又は各波長範囲に関して個別にスコアを生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御回路が、前記比較に基づいて、腹膜炎を検出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの光センサが、500~650nm及び150~350nmの少なくとも1つの範囲における1つ又は複数の波長の前記排出された及び/又は新鮮な腹膜透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように前記制御回路に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記自己校正が、新鮮な腹膜透析液の異なるバッチに起因する変動を最小にするために採用される、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記制御回路が、前記比較に基づいて、前記腹膜透析治療を修正する、又は少なくとも1つの治療パラメータを修正する、又は前記メモリに記憶された異なる治療プロトコルを選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記特性が光の吸収、光の散乱、流体の濁度又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記比較が、被検者の少なくとも1つの臨床パラメータに基づいたスコアを生成する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月1日に出願されたPCT特許出願第PCT/IL2017/050117号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
加えて、本出願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年4月24日に出願された米国仮特許出願第62/488,944号の35USC§119(e)の下での優先権の利益を主張するものである。
【0003】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、透析治療のための装置に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、腹膜透析治療をモニタリングするための装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腹膜透析は、血液から老廃物及び余分な水分を除去するための救命手技である。これは主として、腎不全の患者の健康を維持するために用いられる。腹膜透析は、簡単なプロセスのように思われるが、その身体に対する影響の多くは十分に理解されていない。この知識の欠如は、患者が受ける療法が最適な様態で送達されているかどうかについての問題に移り変わる。
【0005】
腹膜透析は、腹膜を天然の半透膜として用いて体内の血液から老廃物及び余分な水分を除去する。老廃物及び余分な水分は、血液から腹膜を通って腹腔、より詳細には腹膜腔内の透析液と呼ばれる特別な透析溶液へ移動する。除去される老廃物は、尿毒性老廃物、余分な水分、及び余分なミネラルを含む。尿素クリアランスが、透析の妥当性の主要な指標となっている。使用済みの透析液中の尿素レベルが、透析セッションの性能の良好な推定量を与える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態のいくつかの例を以下に列挙する。
【0007】
例1.腹膜透析治療をモニタリング及び/又は修正するための装置であって、
少なくとも1つの治療プロトコルを記憶するメモリと、
前記メモリに接続された制御回路と、
を備え、前記制御回路が、前記治療の結果が前記治療プロトコルの所望の結果ではない場合にレポートを生成する及び/又は前記治療を修正する、装置。
【0008】
例2.インターフェースをさらに備え、前記インターフェースが、前記レポートに基づいて患者及び/又は介護者に警告を送達する、例1に記載の装置。
【0009】
例3.カテーテルへ流体を流すように形状設定及び寸法設定されたチュービングをさらに備え、前記制御回路が、前記流体の前記流れに基づいて及び/又は前記チュービング内の前記流体内容物に基づいて前記治療を修正する、例2に記載の装置。
【0010】
例4.前記チュービングに関連してポンプロータを備え、前記ポンプロータが、前記流体を動かすように構成され、前記制御回路が、前記ポンプロータの回転を修正することにより前記治療を修正する、例3に記載の装置。
【0011】
例5.前記チュービングに流体接続される少なくとも1つの試験経路を備え、前記試験経路が、前記チュービングから前記試験経路へ少なくとも一部の流体を流すように形状設定及び寸法設定される、例3及び例4に記載の装置。
【0012】
例6.前記試験経路内の流体を通過する光の特性を測定するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの光センサを備える、例5に記載の装置。
【0013】
例7.前記試験経路内の流体の色を視覚的に分析するために前記試験経路の近位に少なくとも1つのカラースケールを備える、例5に記載の装置。
【0014】
例8.少なくとも1つの患者臨床パラメータを感知するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの臨床センサを備え、前記治療の前記結果が、前記患者臨床パラメータにより示される臨床結果である、例2に記載の装置。
【0015】
例9.前記患者臨床パラメータが、心拍数、血圧、及び/又は体重からなるリストから選択される、例8に記載の装置。
【0016】
例10.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、患者への及び/又は介護者への警告を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例8又は例9に記載の装置。
【0017】
例11.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に医師に指示を送信するための通信回路をさらに備える、例8~例10のいずれか1つに記載の装置。
【0018】
例12.前記メモリが前記患者臨床パラメータの値を記憶する、例8~例11のいずれか1つに記載の装置。
【0019】
例13.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、前記治療を修正する、又は少なくとも1つの治療パラメータを修正する、又は前記メモリに記憶された異なる治療プロトコルを選択する、例8~例12のいずれか1つに記載の装置。
【0020】
例14.前記少なくとも1つの修正される治療パラメータが、注入される透析液の滞留時間、治療持続時間、及び/又は組成を含む、例13に記載の装置。
【0021】
例15.前記制御回路が、どの透析液バッグを選択するか又はどの透析液バッグをユーザに提供するかを示すべく前記インターフェースに信号を発する、例8~例14に記載の装置。
【0022】
例16.前記チュービング内の透析液流体の化学組成を測定するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの臨床センサを備える、例3に記載の装置。
【0023】
例17.前記臨床センサが、前記透析液流体のイオン強度及び/又は前記透析液流体中のデキストロースレベル及び/又は尿素レベル及び/又はクレアチニンレベルを測定する、例16に記載の装置。
【0024】
例18.前記化学組成が所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、警告指示を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例16又は例17のいずれか1つに記載の装置。
【0025】
例19.前記化学組成が所望の値の範囲内にない場合に医師に指示を送信するための通信回路をさらに備える、例16~例18のいずれか1つに記載の装置。
【0026】
例20.前記化学組成が所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、前記治療を修正する、又は少なくとも1つの治療パラメータを修正する、又は異なる治療プロトコルを選択する、例16~例19のいずれか1つに記載の装置。
【0027】
例21.前記治療の前記少なくとも1つの修正されるパラメータが、注入される透析液の滞留時間、治療持続時間、及び/又は組成を含む、例20に記載の装置。
【0028】
例22.排出プロセス中に排出された透析液の生物学的特性及び/又は化学的特性及び/又は物理的特性を測定するための少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記制御回路が、前記排出された透析液の前記測定された特性に基づいて腹膜炎を検出する、例1に記載の装置。
【0029】
例23.患者及び/又は介護者に指示を送達するためのインターフェースをさらに備え、前記腹膜炎が検出される場合に、前記制御回路が、警告指示を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例22に記載の装置。
【0030】
例24.通信回路をさらに備え、前記通信回路が、前記警告指示を医師に送信する、例23に記載の装置。
【0031】
例25.前記腹膜炎が検出される場合に、前記制御回路が、前記治療プロトコルの少なくとも1つのパラメータを修正する又は前記メモリに記憶された代替的な治療プロトコルを選択する、例22~例24のいずれか1つに記載の装置。
【0032】
例26.前記生物学的特性が、前記排出された透析液中の白血球数を含む、例22~例25のいずれか1つに記載の装置。
【0033】
例27.前記物理的特性が、前記排出された透析液の濁度レベルを含む、例22~例26のいずれか1つに記載の装置。
【0034】
例28.前記センサが、少なくとも1つの波長の前記排出された透析液の光学密度を測定するように構成された光学センサである、例22~例27のいずれか1つに記載の装置。
【0035】
例29.装置を用いて排出された透析液の内容物に基づいて腹膜透析治療を修正するための方法であって、
前記装置の少なくとも1つのセンサ又は手動インジケータにより、前記排出された透析液の前記内容物に関係した少なくとも1つのパラメータを測定することと、
前記測定の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記治療を修正することと、
を含む、方法。
【0036】
例30.前記測定の前記少なくとも1つのパラメータに基づいて腹膜炎を検出することを含む、例29に記載の方法。
【0037】
例31.前記検出することに基づいて前記腹膜炎を治療することを含む、例30に記載の方法。
【0038】
例32.前記治療することが、透析液バッグに抗生物質を添加するように前記装置のユーザに命令することを含む、例31に記載の方法。
【0039】
例33.前記治療することが、透析液バッグを抗生物質が入っているバッグに切り換えることを含む、例32に記載の方法。
【0040】
例34.前記少なくとも1つのパラメータが、炎症に関連するパラメータである、例29~例33のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
例35.前記炎症に関連するパラメータが、前記排出された透析液の濁度レベルを含む、例34に記載の方法。
【0042】
例36.前記炎症に関連するパラメータが、前記排出された透析液中の白血球及び/又は細菌のレベルを含む、例34に記載の方法。
【0043】
例37.前記炎症に関連するパラメータが、前記排出された透析液中の炎症促進性サイトカインのレベルを含む、例34に記載の方法。
【0044】
例38.前記修正することが、腹膜腔に抗生物質溶液を注入することを含む、例31~例37のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
例39.前記修正することが、前記治療を終了することを含む、例30に記載の方法。
【0046】
例40.前記測定の前記少なくとも1つのパラメータの値に基づいて腹膜透析治療効果を判定することを含む、例29に記載の方法。
【0047】
例41.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液のデキストロースレベルを含む、例40に記載の方法。
【0048】
例42.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液のクレアチニンレベルを含む、例40又は例41に記載の方法。
【0049】
例43.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液の尿素レベルを含む、例40~例42のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
例44.前記修正することが、前記効果が所望の効果よりも低い場合に腹膜腔内の透析液の滞留時間を増加させることを含む、例40~例43のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
例45.前記修正することが、前記効果が所望の効果よりも大きい場合に腹膜腔内の透析液の滞留時間を減少させることを含む、例40~例44のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
例46.前記修正することが、注入される透析液のデキストロースレベルを増加させることを含む、例40~例45のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
例47.前記効果が所望の効果ではない場合に患者に及び/又は介護者に指示を送達することを含む、例40~例46のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
例48.前記効果が所望の効果ではない場合に医師に指示を送信することを含む、例40~例46のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
例49.装置を用いて少なくとも1つのパラメータを有する腹膜透析治療プロトコルを修正するための方法であって、
前記装置による前記治療中に前記腹膜透析治療の少なくとも1つの結果を測定することと、
前記少なくとも1つの結果が所望の結果であるかどうかを判定することと、
前記判定により前記結果が所望の結果ではない場合に前記装置により前記少なくとも1つの治療パラメータを修正することと、
を含む、方法。
【0056】
例50.前記少なくとも1つの結果が、臨床結果を含む、例49に記載の方法。
【0057】
例51.前記少なくとも1つの臨床結果が、排出された透析液の体積を含み、前記修正することが、前記排出された透析液の体積に基づいて透析液の滞留時間及び/又は前記透析液の内容物を修正することを含む、例50に記載の方法。
【0058】
例52.前記少なくとも1つの臨床結果が、排出された透析液の化学的及び/又は生物学的内容物を含み、前記修正することが、前記排出された透析液の前記内容物に基づいて透析液の滞留時間及び/又は前記透析液の内容物を修正することを含む、例50に記載の方法。
【0059】
例53.前記少なくとも1つの臨床結果が、排出された透析液のイオン強度を含み、前記修正することが、前記排出された透析液の前記イオン強度に基づいて透析液の滞留時間及び/又は前記透析液のデキストロースレベルを修正することを含む、例50に記載の方法。
【0060】
例54.前記装置のユーザに関係した入力を受信することを含み、前記入力が、前記ユーザの臨床入力及び/又は前記ユーザによる前記装置の作動に関係した入力を含む、例49~例53のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
例55.前記入力が、前記ユーザによる前記装置の作動に関する入力を含む、例54に記載の方法。
【0062】
例56.前記判定することが、前記入力に基づく前記装置の前記作動が、決定された治療プロトコルに従っているかどうかを判定することを含む、例55に記載の方法。
【0063】
例57.前記判定に基づいて治療コンプライアンスレポートを生成することを含む、例56に記載の方法。
【0064】
例58.前記治療コンプライアンスレポートを医師又は専門家に送信することを含む、例57に記載の方法。
【0065】
例59.例56~例58のいずれか1つに記載の方法であって、前記装置の前記作動が前記決定された治療プロトコルに従っていない場合に前記ユーザに警告することを含む、方法。
【0066】
例60.腹膜透析装置の取り外し可能なユニットであって、
取り外し可能なハウジングと、
前記ハウジング内のポンプロータと部分的に関連付けられるように形状設定及び寸法設定された2つの開口部を有するチュービングと、
少なくとも2つのコネクタと、
を備え、前記2つのコネクタのそれぞれが、前記チュービングに前記2つの開口部のうちの1つで接続され、前記2つのコネクタが、前記ハウジングの同じ側部に固定される、ユニット。
【0067】
例61.前記2つのコネクタのうちの少なくとも1つが消毒コネクタであり、前記チュービングが、前記消毒コネクタの近位に消毒流体を備える、例60に記載のユニット。
【0068】
例62.前記消毒コネクタが、外部コネクタにより破られるように形状設定及び寸法設定された少なくとも1つのホイルを備える、例61に記載のユニット。
【0069】
例63.前記コネクタの付近で前記チュービングを取り囲む少なくとも2つの流量調整器を備え、前記流量調整器が、前記チュービングと前記コネクタとの間で流体を流すように形状設定及び寸法設定される、例60~例62のいずれか1つに記載のユニット。
【0070】
以下は、本発明のいくつかの実施形態のいくつかのさらなる例である。
【0071】
例1.腹膜透析治療をモニタリング及び/又は修正するための装置であって、
少なくとも1つの治療プロトコルを記憶するメモリと、
前記メモリに接続された制御回路と、
を備え、前記制御回路が、前記治療の結果が前記治療プロトコルの所望の結果ではない場合にレポートを生成する及び/又は前記治療を修正する、装置。
【0072】
例2.インターフェースをさらに備え、前記インターフェースが、前記レポートに基づいて患者及び/又は介護者に警告を送達する、例1に記載の装置。
【0073】
例3.カテーテルへ流体を流すように形状設定及び寸法設定されたチュービングをさらに備え、前記制御回路が、前記流体の前記流れに基づいて及び/又は前記チュービング内の前記流体内容物に基づいて前記治療を修正する、例2に記載の装置。
【0074】
例4.前記チュービングに関連してポンプロータを備え、前記ポンプロータが、前記流体を動かすように構成され、前記制御回路が、前記ポンプロータの回転を修正することにより前記治療を修正する、例3に記載の装置。
【0075】
例5.前記チュービングに流体接続される少なくとも1つの試験経路を備え、前記試験経路が、前記チュービングから前記試験経路へ少なくとも一部の流体を流すように形状設定及び寸法設定される、例3及び例4のいずれか1つに記載の装置。
【0076】
例6.前記チュービング内の流体を通過する光の特性を測定するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの光センサを備える、例3~例5のいずれか1つに記載の装置。
【0077】
例7.前記試験経路内の流体の色を視覚的に分析するために前記試験経路の近位に少なくとも1つのカラースケールを備え、前記カラースケールが、透析液の色又はその指示を含む、例5に記載の装置。
【0078】
例8.少なくとも1つの患者臨床パラメータを感知するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの臨床センサを備え、前記治療の前記結果が、前記患者臨床パラメータにより示される臨床結果である、例2に記載の装置。
【0079】
例9.前記患者臨床パラメータが、心拍数、血圧、及び/又は体重からなるリストから選択される、例8に記載の装置。
【0080】
例10.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、患者への及び/又は介護者への警告を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例8又は例9のいずれか1つに記載の装置。
【0081】
例11.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に医師に指示を送信するための通信回路をさらに備える、例8~例10のいずれか1つに記載の装置。
【0082】
例12.前記メモリが前記患者臨床パラメータの値を記憶する、例8~例11のいずれか1つに記載の装置。
【0083】
例13.前記患者臨床パラメータが所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、前記治療を修正し、又は少なくとも1つの治療パラメータを修正し、又は前記メモリに記憶された異なる治療プロトコルを選択し、前記少なくとも1つの修正される治療パラメータが、注入される透析液の滞留時間、治療持続時間、及び/又は組成を含む、例8~例12のいずれか1つに記載の装置。
【0084】
例14.前記チュービング内の透析液流体の化学組成を測定するために前記制御回路に接続される少なくとも1つの臨床センサを備える、例3に記載の装置。
【0085】
例15.前記臨床センサが、前記透析液流体のイオン強度及び/又は前記透析液流体中のデキストロースレベル及び/又は尿素レベル及び/又はクレアチニンレベルを測定する、例14に記載の装置。
【0086】
例16.前記化学組成が所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、警告指示を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例14又は例15のいずれか1つに記載の装置。
【0087】
例17.前記化学組成が所望の値の範囲内にない場合に、前記制御回路が、前記治療を修正し、又は少なくとも1つの治療パラメータを修正し、又は異なる治療プロトコルを選択し、前記治療の前記少なくとも1つの修正されるパラメータが、注入される透析液の滞留時間、治療持続時間、及び/又は組成を含む、例14~例16のいずれか1つに記載の装置。
【0088】
例18.排出プロセス中に排出された透析液の生物学的特性及び/又は化学的特性及び/又は物理的特性を測定するための少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記制御回路が、前記排出された透析液の前記測定された特性に基づいて腹膜炎を検出する、例1に記載の装置。
【0089】
例19.患者及び/又は介護者に指示を送達するためのインターフェースをさらに備え、前記腹膜炎が検出される場合に、前記制御回路が、警告指示を生成するべく前記インターフェースに信号を発する、例18に記載の装置。
【0090】
例20.通信回路をさらに備え、前記通信回路が、前記警告指示を医師に送信する、例19に記載の装置。
【0091】
例21.前記腹膜炎が検出される場合に、前記制御回路が、前記治療プロトコルの少なくとも1つのパラメータを修正する又は前記メモリに記憶された代替的な治療プロトコルを選択する、例18~例20のいずれか1つに記載の装置。
【0092】
例22.前記物理的特性が、前記排出された透析液の濁度レベルを含む、例18~例21のいずれか1つに記載の装置。
【0093】
例23.前記少なくとも1つのセンサが、1つ又は複数の波長の前記排出された透析液の少なくとも1つの光学パラメータを測定するように構成された光学センサである、例18~例22のいずれか1つに記載の装置。
【0094】
例24.前記少なくとも1つのセンサが、500~650nmの範囲内及び/又は150~350nmの範囲内の1つ又は複数の波長の前記排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成される、例23に記載の装置。
【0095】
例25.前記少なくとも1つのセンサが、500~650nmの波長範囲内の1つ又は複数の波長の前記排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成された第1のセンサと、150~350nmの波長範囲内の1つ又は複数の波長の前記排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成された第2のセンサを含む、例18に記載の装置。
【0096】
例26.前記少なくとも1つのセンサが、500~650nmの波長範囲内の前記排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成された第1のセンサと、可視光波長の前記排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成された第2のセンサを含む、例18に記載の装置。
【0097】
例27.前記制御回路が、前記光吸収及び/又は光散乱測定に基づいて腹膜炎を検出する、例24~例26のいずれか1つに記載の装置。
【0098】
例28.前記制御回路に電気的に接続されるバッテリを備える、前記例のいずれか1つに記載の装置。
【0099】
例29.腹膜透析システムであって、
電気モータと、前記電気モータに電気的に接続され、前記電気モータに電力を提供するように構成されたバッテリとを備える、耐久ユニットと、
前記モータに接続可能なロータと、前記ロータと少なくとも部分的に接触しているチュービングとを備える、前記耐久ユニットに取り付けられるように構成された、取り外し可能なユニットと、
を備え、前記システム重量が4000grを下回る、システム。
【0100】
例30.前記システムが透析液ヒータを備えない、例29に記載のシステム。
【0101】
例31.排出された透析液で生理的状態を検出するための方法であって、
腹膜透析装置の少なくとも1つのセンサ又は手動インジケータにより、前記排出された透析液の前記内容物に関係した少なくとも1つのパラメータを測定することと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて生理的状態を検出することと、
を含む、方法。
【0102】
例32.前記生理的状態が、腹膜炎、前腹膜炎、又は後腹膜炎を含む、例31に記載の方法。
【0103】
例33.前記検出することに基づいて前記生理的状態に関する治療を示すことを含む、例31に記載の方法。
【0104】
例34.前記示すことが、透析液バッグに抗生物質を添加することを前記装置のユーザに示すことを含む、例33に記載の方法。
【0105】
例35.前記示すことが、透析液バッグを抗生物質が入っているバッグに切り換えることを示すことを含む、例33又は例34のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
例36.前記少なくとも1つのパラメータが炎症に関連するパラメータであり、前記生理的状態が炎症を含む、例32~例35のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
例37.前記炎症に関連するパラメータが、前記排出された透析液の濁度レベルを含む、例36に記載の方法。
【0108】
例38.前記炎症に関連するパラメータが、前記排出された透析液中の白血球及び/又は細菌のレベルを含む、例36に記載の方法。
【0109】
例39.前記示すことが、腹膜腔に抗生物質溶液を注入することを示すことを含む、例32~例38のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
例40.前記測定の前記少なくとも1つのパラメータの値に基づいて腹膜透析治療効果を判定することを含む、例31~例39のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
例41.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液のデキストロースレベルを含む、例40に記載の方法。
【0112】
例42.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液のクレアチニンレベルを含む、例40又は例41のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
例43.前記少なくとも1つのパラメータが、前記排出された透析液の尿素レベルを含む、例40~例42のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
例44.前記示すことが、前記効果が所望の効果よりも低い場合に腹膜腔内の透析液の滞留時間を増加させることを示すことを含む、例40~例43のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
例45.前記示すことが、前記効果が所望の効果ではない場合に又は腹膜炎が検出される場合に患者及び/又は介護者に示すことを含む、例40~例44のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
例46.前記効果が所望の効果ではない場合に又は腹膜炎が検出される場合に医師に指示を送信することを含む、例40~例45のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
例47.腹膜透析装置の取り外し可能なユニットであって、
前記取り外し可能なユニットを入れる取り外し可能なハウジングと、
前記ハウジング内のポンプロータと部分的に関連付けられるように形状設定及び寸法設定された2つの開口部を有するチュービングと、
少なくとも2つのコネクタと、
を備え、前記2つのコネクタのそれぞれが、前記チュービングに前記2つの開口部のうちの1つで接続され、前記2つのコネクタが、前記ハウジングの同じ側部に固定される、ユニット。
【0118】
例48.前記2つのコネクタのうちの少なくとも1つが消毒コネクタであり、前記チュービングが、前記消毒コネクタの近位に消毒流体を備える、例47に記載のユニット。
【0119】
例49.前記消毒コネクタが、外部コネクタにより破られるように形状設定及び寸法設定された少なくとも1つのホイルを備える、例48に記載のユニット。
【0120】
例50.前記コネクタの付近で前記チュービングを取り囲む少なくとも2つの流量調整器を備え、前記流量調整器が、前記チュービングと前記コネクタとの間で流体を流すように形状設定及び寸法設定される、例47~例49のいずれか1つに記載のユニット。
【0121】
他に定めのない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明に関係のある当該技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味をもつ。本明細書で説明されるのと類似した又は等価な方法及び材料を本発明の実施形態の実施及び試験に用いることができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に説明する。抵触する場合、定義を含む特許明細書が抑制することになる。加えて、材料、方法、及び例は、単なる例示であって、必ずしも限定することを意図していない。
【0122】
当業者には分かるように、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法、又はコンピュータプログラム製品として具体化され得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書ですべて概して「回路」、「モジュール」、又は「システム」として言及され得る、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせる実施形態の形態をとり得る。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、そこで具体化されるコンピュータ可読プログラムコードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具体化されるコンピュータプログラム製品の形態をとり得る。本発明のいくつかの実施形態の方法及び/又はシステムの実装は、選択されたタスクを手動で、自動的に、又はこれらの組み合わせで行うこと及び/又は完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法及び/又はシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアにより、ソフトウェアにより、又はファームウェアにより、及び/又はそれらの組み合わせにより、例えば、オペレーティングシステムを用いて実装することもできる。
【0123】
例えば、本発明のいくつかの実施形態に係る選択されたタスクを行うためのハードウェアは、チップ又は回路として実装することもできる。ソフトウェアとして、本発明のいくつかの実施形態に係る選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを用いてコンピュータにより実行される複数のソフトウェア命令として実装することもできる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明される方法及び/又はシステムのいくつかの例示的な実施形態に係る1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行するための計算プラットフォームなどのデータプロセッサにより行われる。随意的に、データプロセッサは、命令及び/又はデータを記憶するための揮発性メモリ、及び/又は、命令及び/又はデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/又はリムーバブルメディアを含む。随意的に、ネットワーク接続が同様に提供される。ディスプレイ及び/又はキーボード又はマウスなどのユーザ入力装置が随意的に同様に提供される。
【0124】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが、本発明のいくつかの実施形態に関して用いられ得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、又はデバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(網羅的でないリスト)は、1つ又は複数の配線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能でプログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むであろう。本明細書との関連での、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスにより又はこれと関連して用いるためのプログラムを格納又は記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0125】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドにおいて又は搬送波の一部として、そこで具体化されるコンピュータ可読プログラムコードを有する伝搬されるデータ信号を含み得る。このような伝搬される信号は、電磁気、光学、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な形態のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスにより又はこれと関連して用いるためのプログラムを通信する、伝搬する、又は輸送することができる、コンピュータ可読記憶媒体ではない、任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0126】
コンピュータ可読媒体上で具体化されるプログラムコード及び/又はそれにより用いられるデータは、無線、ワイヤライン、光ファイバケーブル、RFなど、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を用いて伝送され得る。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態に関する動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で独立型のソフトウェアパッケージとして、及び部分的に遠隔コンピュータ上で、又は完全に遠隔コンピュータ又はサーバ上で実行し得る。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含むあらゆるタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてよく、又は接続は、外部コンピュータとなされてよい(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを通じて)。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態が、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して以下に説明され得る。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実装することができることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令がフローチャート図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/動作を実装するための手段を生み出すようにマシンを作製するべく、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。
【0129】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令がフローチャート図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/動作を実装する命令を含む製品をもたらすようにコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスに特定の様態で機能するように誘導することができるコンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0130】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行する命令がフローチャート図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/動作を実装するためのプロセスを提供するようにコンピュータで実装されるプロセスをもたらすべく一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で行われるように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされ得る。
【0131】
本明細書で説明される方法のうちのいくつかは、概してコンピュータによる使用に限られるように設計され、人間専門家により手動だけで行うことが実行可能又は実施可能ではない場合がある。腹膜透析治療のモニタリングなどの同様のタスクを手動で行うことを望む人間専門家は、例えば、専門知識及び/又は人間の脳のパターン認識能力を活用して全く異なる方法を用いることが期待され、これは本明細書で説明される方法のステップを手動で進めるよりも大いに効率的であろう。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態が、添付図を参照しながら単なる例として本明細書で説明される。ここで図面を具体的に詳細に参照すると、具体的に示されているのは、本発明の実施形態を例示的に説明する目的での単なる例であることが強調される。これに関して、図面と共にとられる説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、透析治療をモニタリング及び調節するためのシステムのブロック図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、透析治療をモニタリング及び調節するための装置のブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、治療セッション中に透析治療を修正するための一般的なプロセスの流れ図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態に係る、治療セッション前に透析治療を修正するための一般的なプロセスの流れ図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、実際の治療の変動に従って透析治療を修正するための一般的なプロセスの流れ図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、透析治療との患者コンプライアンスをモニタリングするためのプロセスの流れ図である。
【
図7A】本発明のいくつかの実施形態に係る、排出された透析液の内容物に基づいて臨床状態を判定するためのプロセスの流れ図である。
【
図7B】本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜炎を検出するためのプロセスの流れ図である。
【
図7C】本発明のいくつかの実施形態に係る、吸収及び/又は散乱を測定することにより腹膜炎を検出するためのプロセスの流れ図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療を最適化するためのプロセスの流れ図である。
【
図9A-9B】
図9A及び9Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析装置の作動のためのプロセスの流れ図である。
【
図10】本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析装置との対話の概略図である。
【
図11】本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療の送達のためのシステムの概略図である。
【
図12】本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療をモニタリングする及び/又は制御するためのシステムの概略図である。
【
図13A-13G】
図13A~13Gは、本発明のいくつかの実施形態に係る、透析液試験手段を有する腹膜透析装置及びシステムの概略図である。
【
図13H-13L】
図13H~13Lは、本発明のいくつかの実施形態に係る、使い捨てユニットの概略図である。
【
図13M】
図13Mは、本発明のいくつかの実施形態に係る、組み立てられた使い捨てユニットの概略図である。
【
図13N-13P】
図13N~13Pは、本発明のいくつかの実施形態に係る、組み立てられた透析システムの概略図である
【
図14A-14D】
図14A~14Dは、本発明のいくつかの実施形態に係る、取り外し可能なポータブル腹膜透析装置及び腹膜透析サイクラーベースを有する腹膜透析システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、治療をモニタリングするための装置に関し、より具体的には、しかし排他的にではなく、腹膜透析治療をモニタリングするための装置に関する。
【0135】
いくつかの実施形態の広い態様は、治療の少なくとも1つの影響に基づいて腹膜透析治療の種々のパラメータを調整することに関係する。随意的に、腹膜透析装置により治療パラメータの修正が適用される。いくつかの実施形態では、調整は、腹膜腔内の透析液の注入プロセスの持続時間及び/又は排出プロセスの持続時間及び/又は滞留時間を修正することを含む。いくつかの実施形態では、調整は、例えば、腹膜炎を治療するべく、注入される透析液の組成を修正すること及び/又は異なるプロトコル計画を選択することを含む。いくつかの実施形態では、調整は、望ましくない治療効果に従って治療プロトコルの少なくとも1つのパラメータを修正することを含む。いくつかの実施形態では、治療が延期される又は提議される。いくつかの実施形態では、一日当たりの透析液の量が修正される。いくつかの実施形態では、治療スケジュール及び/又は治療タイプが修正される。
【0136】
いくつかの実施形態の一態様は、治療セッション中に腹膜透析治療を修正することに関係する。いくつかの実施形態では、治療は、治療セッション中にユーザからのフィードバック又は入力に基づいて自動的に修正される。いくつかの実施形態では、入力は、治療持続時間及び/又は治療開始タイミングの変化を含む。代替的に又は加えて、治療は、治療セッション中に行われた測定に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、治療は、治療セッション間に行われる測定、例えば、患者の臨床測定に基づいて修正される。
【0137】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療は、治療が安全ではない場合に修正される。いくつかの実施形態では、治療は、少なくとも1つのパラメータ値が結果的に安全でない治療をもたらす場合に修正される。いくつかの実施形態では、治療は、透析液バッグの内容物及び/又は透析液バッグの識別情報及び/又は透析液バッグの使用期限が有効ではないときに修正される又は遅延される。代替的に又は加えて、治療は、例えば、透析液バッグの内容物の妥当性に関する、治療セッションの前に受信した情報に基づいて修正される。
【0138】
いくつかの実施形態では、治療は、炎症を示すパラメータの測定、例えば、体温測定及び/又は排出された透析液の濁度レベルに基づいて修正される。いくつかの実施形態では、炎症を示すパラメータは、排出された透析液中の白血球(WBC)のレベルを含む。いくつかの実施形態では、決定されたレベルよりも高い白血球カウント、例えば、40WBC/ml、例えば、50、55、60、65WBC/ml、又は任意の中間値又はより大きい値よりも高い白血球カウントは、炎症を示す。いくつかの実施形態では、WBCカウントは、例えば、治療前のベースライン又は参照カウントに対するものである。代替的に、WBCカウントは、例えば、臨床変動を検出するべく、既知の臨床基準と比較され、又はいくつかの実施形態では、治療は、患者の一般的な臨床状態、例えば、心臓の脈拍、血圧、及び/又は体温、及び/又は体重、又は体重の変化に関する指示を提供する測定に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、治療は、治療効果、例えば、排出された透析液中のデキストロースレベル、クレアチニンレベル、尿素レベル、カリウムレベル、リンレベル、又は任意の化学物質、ミネラル、又は生物学的物質に関する指示を提供する測定に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、排出された透析液中の流体の量も、治療効果に関する指標である。いくつかの実施形態では、食品の摂取後に、予想される排出される透析液が計算され、随意的に、排出される透析液の実際の体積と予想される体積との関係性に基づいて治療効果が判定される。
【0139】
いくつかの実施形態では、測定は、ベースライン又は参照測定に対するものである。いくつかの実施形態では、測定値は、例えば、臨床変動を判定するべく、既知の基準と比較される。いくつかの実施形態では、排出される透析液中のデキストロースレベル、クレアチニンレベル、尿素レベル、カリウムレベル、リンレベル、又は任意の化学物質、ミネラル、又は生物学的物質は、腹膜腔内の透析液の特定の滞留時間に関係する。いくつかの実施形態では、装置のメモリは、特定の滞留時間内に測定される化学パラメータ及び/又は生物学的パラメータに関する値の範囲を格納する。
【0140】
いくつかの実施形態の一態様は、治療中の計画された腹膜透析治療の変動を補償することに関係する。いくつかの実施形態では、腹膜透析装置は、例えば、透析液バッグが有効なバッグではないときに、患者及び/又は介護者により又はコンピュータ自体により導入された治療の修正に従って腹膜透析治療プロトコルを変更する。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、治療セッションが時期尚早に終了されるときに、若しくはカテーテルが接続解除される又は時期尚早に接続解除されるときに、若しくは事前に決定された治療プロトコルと一致しない何らかのアクション時に、装置により修正される。代替的に又は加えて、腹膜透析治療装置は、少なくとも1つの臨床パラメータの測定に従って腹膜透析治療プロトコルを変更する。
【0141】
いくつかの実施形態の一態様は、治療中に腹膜透析治療をモニタリングすることに関係する。いくつかの実施形態では、装置は、治療のモニタリングに基づいて患者に指示及び/又は警告を送達する。いくつかの実施形態では、腹膜透析装置は、治療の異なるステップ、例えば、患者カテーテルへの流体経路の生成及び/又は消毒、透析液のポンプによる送り込み及び/又は排出をモニタリングする。いくつかの実施形態では、装置は、患者の臨床パラメータ、例えば、脈拍、血圧、及び/又は体温を測定する。いくつかの実施形態では、装置は、実際の治療が事前に決定された治療計画に従うかどうかを判定する。
【0142】
いくつかの実施形態の一態様は、腹膜炎の検出及び/又は治療、及び/又は腹膜炎の進行のモニタリングに関係する。いくつかの実施形態では、腹膜炎は、腹膜透析治療セッション中に検出及び/又は治療される。いくつかの実施形態では、腹膜炎は、治療セッション中に排出された透析液を分析することにより検出される。随意的に、排出された透析液の内容物は、治療セッション中に継続的に分析される。代替的に、排出された透析液の内容物は、透析治療の排出手技中に少なくとも2回分析される。いくつかの実施形態では、例えば、腹膜炎の検出を可能にするべく、排出された透析液内の白血球及び/又は炎症促進性サイトカインのレベル及び/又は生きている又は死んだ細菌レベル及び/又は真菌レベルが測定される。いくつかの実施形態では、腹膜炎の検出後に、患者は、特定の交換サイクル数で新鮮な透析液バッグに抗生物質を注入する命令を受信する。
【0143】
いくつかの実施形態では、患者の臨床パラメータ測定に基づいて腹膜炎が検出される。いくつかの実施形態では、臨床パラメータは、治療セッション中に測定される。随意的に、臨床パラメータ測定と排出された透析液内容物の分析との組み合わせに基づいて腹膜炎が検出される。いくつかの実施形態では、測定された臨床パラメータ及び/又は排出された透析液の分析に基づいて腹膜炎が検出される場合に、指示が提供される。いくつかの実施形態では、指示は、患者に及び/又は医師に及び/又は介護者に送達される。
【0144】
いくつかの実施形態では、臨床パラメータの測定値及び/又は排出された透析液の分析結果が、腹膜炎を検出するために、意思決定者、例えば、医師又は装置又は遠隔コンピュータに送達される。いくつかの実施形態では、臨床パラメータの測定値及び/又は排出された透析液の分析結果は、腹膜炎の進行をモニタリングするために意思決定者に送達される。
【0145】
いくつかの実施形態では、排出された透析液の濁度レベル又は濁度の変化に基づいて腹膜炎又は腹膜炎指示が判定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液の濁度レベルは、炎症レベルの指標である。いくつかの実施形態では、排出された透析液の濁度レベルは、腹膜スペース内の細菌及び/又は真菌のレベルの指標である。いくつかの実施形態では、測定された濁度レベルが所望の濁度閾値を超える場合、患者に及び/又は医師に及び/又は介護者に指示が提供される。
【0146】
いくつかの実施形態では、腹膜炎が検出される場合、腹膜透析治療が終了される又は修正される。いくつかの実施形態では、腹膜炎が検出される場合、腹膜炎治療計画が提案される。いくつかの実施形態では、腹膜炎治療計画は、抗生物質又は抗炎症溶液での腹膜腔の少なくとも1回の洗浄を含む。代替的に又は加えて、腹膜炎治療計画は、抗生物質及び/又は抗炎症薬を含む透析液溶液の注入を含む。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、腹膜炎のリスクを低減するために、腹膜透析装置は、患者のカテーテルへの及び/又は患者のカテーテルからの流路を接続及び消毒する。いくつかの実施形態では、腹膜炎を検出する、随意的に早期に検出するために、装置は、排出された透析液溶液中の粒子を測定及び検出する。いくつかの実施形態では、例えば、白色又は単色の光源が、排出された透析液が流れる流体流路の近くに配置される。随意的に、センサ、例えば、光学センサが、1つ又は複数の光学パラメータ、例えば、1つ又は複数の波長の排出された透析液を通って移動する光の光吸収、光散乱を測定する。随意的に、光学センサは、排出された透析液を通って光が移動する間の光の強度の減少を測定する。いくつかの実施形態では、装置が、排出された透析液を通って移動する光の吸収及び/又は散乱を測定する。いくつかの実施形態では、装置の分光光度計が、排出された透析液中の粒子の存在を識別する。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、排出された透析液の一部の分流部分を測定することにより腹膜炎が検出される。いくつかの実施形態では、排出された透析液は、試験経路、例えば、試験チューブへ分流される。いくつかの実施形態では、試験チューブの中で、排出された透析液は、装置に収容された試薬と反応して、例えば、排出された透析液中の細菌又はWBC又は粒子の存在に関する人間が検出可能な指示を生成することになる化学反応を生じる。いくつかの実施形態では、人間が検出可能な指示は、随意的に特定の波長の又は波長範囲内の吸光度を測定することにより検出される色指示である。いくつかの実施形態では、装置の比色計により色の変化が検出される。随意的に、チューブは、取り外し可能であり、又は、本明細書では使い捨てユニットとも呼ばれるPPDD装置の取り外し可能なユニットの一部である。いくつかの実施形態では、チューブは、試験紙又は試薬を備える。いくつかの実施形態では、腹膜透析装置は、例えば、試験チューブが再使用される場合に逆流を防ぐ機構を備える。
【0149】
いくつかの実施形態の一態様は、治療中に腹膜透析治療を最適化することに関係する。いくつかの実施形態では、治療は、排出された透析液の分析に基づいて治療中に最適化される。いくつかの実施形態では、排出された透析液は、腹膜の機能レベルの指標である。いくつかの実施形態では、腹膜の機能が所望の閾値を下回る場合、透析治療の少なくとも1つのパラメータ及び/又は透析液溶液の内容物が修正される。
【0150】
いくつかの実施形態では、排出された透析液内の化学化合物及び/又は生物学的化合物、例えば、デキストロース、クレアチニン、及び/又は尿素のレベルが測定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液内のデキストロースレベルが、新鮮な透析液中のデキストロースレベルと比較される。いくつかの実施形態では、腹膜の機能レベルが閾値レベルよりも低い場合、腹膜腔内の透析液の滞留時間が増加される。いくつかの実施形態では、腹膜の機能レベルが閾値レベルよりも高い場合、滞留時間が減少される。
【0151】
いくつかの実施形態では、排出された透析液中のデキストロースのレベルは、腹膜の劣化レベルの指標である。いくつかの実施形態では、排出された透析液中の高レベルのデキストロースは、腹膜がアポトーシス又は硬化を起こすことを示す。いくつかの実施形態では、腹膜は、随意的に膜の感染及び/又は炎症プロセスにより生じるコラーゲンの変性(blockade)に起因して劣化する。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、排出された透析液中のクレアチニンのレベルが測定される。いくつかの実施形態では、クレアチニンレベルは、腹膜透析治療の効果に関する指示を提供する。いくつかの実施形態では、より低いクレアチニンレベル、例えば、0~7mg/dclの範囲内のクレアチニンレベルは、治療が低い効果を有することを示す。
【0153】
いくつかの実施形態では、クレアチニンレベルは、排出される透析液の流れを、排出される透析液の流路外の装置の特定の領域へ分流することにより測定される。いくつかの実施形態では、この領域において、排出された透析液流体は、装置に収容された少なくとも1つの試薬と反応する。いくつかの実施形態では、反応は色を生じ、生じた色の強度は、排出された透析液中のクレアチニンの量に比例する。いくつかの実施形態では、白色又は単色の光源と装置の少なくとも1つの光センサ配列が、排出される透析液の流路の近くに配置される。いくつかの実施形態では、光センサは、光源からの排出された透析液を通って移動する光の強度を感知する。いくつかの実施形態では、装置が、光の強度の低下を測定する。
【0154】
いくつかの実施形態では、例えば、クレアチニンがアルカリ性溶液中にピクリン酸との黄色がかっているオレンジの錯体を形成する熱量測定手技のJaffe反応である、色反応の測定は、最後の透析セッション中に除去されるクレアチニンの量を示す。この有色の錯体は、光度測定により判定される。いくつかの実施形態では、生じた色の強度は、サンプル中のクレアチニンの量に正比例する。代替的に、装置に収容された酵素が、クレアチニンレベルの指標である比色反応を生じる。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、排出された透析液中の尿素のレベルが測定される。いくつかの実施形態では、尿素レベルは、腹膜透析治療の効果に関する指示を提供する。いくつかの実施形態では、より低い尿素レベル、例えば、0~15mg/dclの範囲内の尿素レベルは、治療が低い効果を有することを示す。
【0156】
いくつかの実施形態では、尿素レベルは、排出される透析液の流れを、排出される透析液の流路外の装置の特定の領域へ分流することにより測定される。いくつかの実施形態では、この領域において、排出された透析液流体は、装置に収容された少なくとも1つの試薬と反応する。いくつかの実施形態では、反応は色を生じ、生じた色の強度は、排出された透析液中のクレアチニンの量に比例する。
【0157】
いくつかの実施形態では、ジアセチルモノオキシム比色法及びベルトロー反応が、尿素レベルを測定するのに用いられる。いくつかの実施形態では、この方法では、尿素が、ウレアーゼと呼ばれる酵素によりアンモニアに変換される。生じたアンモニアは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)の存在下で2-オキソグルタレート及びNADHと組み合わされてL-グルタミン及びNADを生じる。NADH吸光度の減少は、尿素濃度に比例する。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、排出された透析液中のデキストロースのレベルが測定される。いくつかの実施形態では、デキストロースレベルは、腹膜透析治療の効果に関する指示を提供する。いくつかの実施形態では、高いデキストロースレベル、例えば、「新鮮な」透析液溶液中の元の濃度の30%を超えるデキストロースレベルは、治療が低い効果を有することを示す。
【0159】
いくつかの実施形態では、デキストロースレベルは、排出される透析液の流れを、排出される透析液の流路外の装置の特定の領域へ分流することにより測定される。いくつかの実施形態では、この領域において、排出された透析液流体は、装置に収容された少なくとも1つの試薬と反応する。いくつかの実施形態では、反応は色を生じ、生じた色の強度は、排出された透析液中のデキストロースの量に比例する。
【0160】
いくつかの実施形態では、白色又は単色の光源と装置の少なくとも1つの光センサ配列が、排出される透析液の流路の近くに配置される。いくつかの実施形態では、光センサは、光源からの排出された透析液を通って移動する光の強度を感知する。いくつかの実施形態では、装置が、光の強度の低下を測定する。いくつかの実施形態では、色反応の測定は、排出された透析液中のデキストロースの量を示す。いくつかの実施形態では、排出された透析液中のデキストロースのレベルが、例えば、治療効果及び/又は腹膜によるデキストロースの吸収を判定するべく、新鮮な透析液中のデキストロースレベルと比較される。
【0161】
いくつかの実施形態の一態様は、腹膜透析治療との患者コンプライアンスを自動的に判定することに関係する。いくつかの実施形態では、患者は家で治療される。いくつかの実施形態では、治療との患者コンプライアンスが治療セッション中に測定される。いくつかの実施形態では、各治療セッション後にコンプライアンスレポートが生成され、随意的にメモリに記憶される。いくつかの実施形態では、要求時に又は特定の時間内にコンプライアンス指示が患者に送達される。いくつかの実施形態では、コンプライアンス指示は、医師又は介護者に送達される。随意的に、コンプライアンスレポートは、医師の遠隔コンピュータに伝送される。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、腹膜透析装置は、交換リマインダを提供し、患者エラーを減少させ、患者カテーテルへの及び患者カテーテルからの流路を自動的に消毒することにより治療との患者のコンプライアンスを増加させる。いくつかの実施形態では、交換リマインダは、注入プロセス及び/又は排出プロセスに関するリマインダを含む。いくつかの実施形態では、日中の所定の時間内に交換処置が行われる。いくつかの実施形態では、リマインダは、装置のタイマーにより提供される。いくつかの実施形態では、例えば、医療スタッフ又は患者により、装置に所定の交換スケジュールが入力される。いくつかの実施形態では、このスケジュールに基づいて、装置は、スケジュールされた交換、及び/又は遅延した交換(事前定義される場合に)及び/又はミスした交換を患者に警告する。いくつかの実施形態では、装置は、遅延した及び/又はミスした交換に関する通信により医療スタッフに警告する。随意的に、医療スタッフに送達される警告は、患者ID並びにミスした交換情報、(例えば)John Smith、ID、日付、1日の交換回数-遅延した及び時間を含む。随意的に、医療スタッフ又は他の要件からの要求時にさらなる情報が表示される。いくつかの実施形態では、交換サイクルをミスした場合、例えば、不従順を補償するべく、代替的な治療計画が選択される又は少なくとも1つの治療パラメータが修正される。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、腹膜透析装置は、患者エラーを減少させることにより治療との患者のコンプライアンス及び安全性を増加させる。いくつかの実施形態では、装置は、正しい手順を通じて患者をガイドする。いくつかの実施形態では、患者は、例えば、プロセスの遵守をステップ毎に確認するべく、装置と対話する。いくつかの実施形態では、装置は、自動サイクル制御をアクティブ化する。いくつかの実施形態では、装置は、例えば、患者が使用を命令される透析液溶液のタイプを含む治療プロトコルをアクティブ化する。いくつかの実施形態では、異なるタイプの溶液、例えば、間違ったデキストロースレベルの溶液が用いられる場合に、装置は、警告を送達する及び/又はプロセスを終了する又はプロセスの開始を防ぐ。いくつかの実施形態では、デキストロースレベルは、分光光度計を用いることにより、又は溶液と相互作用して少なくとも1つの波長の光吸収を変化させる装置に収容された試薬を用いることにより、又はバッグ上のラベル、例えば、バーコードを読み取ることにより測定される。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、腹膜透析装置は、流路を自動的に接続及び消毒する。加えて、装置は、排出プロセス、フラッシングプロセス、及び透析液充填プロセスを自動的に行うのにコントローラ及びポンプを用いる。いくつかの実施形態では、装置は、交換プロセスの進行をモニタリングする。いくつかの実施形態では、所定の交換体積が、医療スタッフにより装置メモリに入力される。いくつかの実施形態では、装置は、測定した流量に基づいて、排出された透析液の体積及び/又は注入される透析液の体積及び/又はプロセスの完了に関する残り時間を計算する。いくつかの実施形態では、装置は、患者に又は介護者にプロセスを完了するのに予想される時間及び/又は体積に関する指示を送達する、及び随意的に状態、例えば、プロセス完了のパーセンテージ及び/又は残り時間を表示する。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、装置は、流路外に配置されたセンサを用いて、例えば、超音波トランジットタイム原理を用いて透析液の流れを測定する。いくつかの実施形態では、原理は、流体の流れ方向に移動する超音波パルスが加速され、一方、流れ方向とは反対方向に移動する超音波パルスは減速されることである。いくつかの実施形態では、少なくとも4つの圧電要素が流路の近くにxパターンに配列される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの送信器が、透析液流路を通って流れる透析液流体を通じて一方の側部から別の側部へ所定の周波数のパルス超音波を送信する。いくつかの実施形態では、トランジットタイムの差は、平均流体速度に比例する。いくつかの実施形態では、この技術を用いると、+/-2%又はより高い、例えば、+/-1%のセンサ精度が達成される。代替的に、流体の流れは、流体注入中のポンプの回転をカウントすること、随意的に気泡体積を差し引くことにより測定される。
【0166】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置は、患者のカテーテルに溶液が注入される前に、注入される透析液溶液の温度を測定する。いくつかの実施形態では、測定した温度が所望の温度範囲、例えば、37+/-2℃内にない場合、指示が送達される及び/又は治療が終了される。いくつかの実施形態では、温度センサは、例えば、IRセンサにより流体流路外に配置される。代替的に、センサは、流体流路チュービングの外壁と接触している。いくつかの実施形態では、装置は、例えば、透析液溶液の温度の閉ループ制御を可能にするべく、加熱装置と及び/又は外部温度センサと通信する。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、装置は、排出された透析液の量を測定するためのスケールを備える。いくつかの実施形態では、装置は、例えば、流体流路から気泡を解放できるようにするべく、チルト機構を備える。いくつかの実施形態では、装置は、例えば、移動時の透析液バッグを保温するべく、保温コンテナを備える。
【0168】
いくつかの実施形態の一態様は、異なる流体間で自動的に切り換えることに関係する。いくつかの実施形態では、異なる流体バッグが、流体切換え装置を通じて患者カテーテルに接続される。いくつかの実施形態では、流体切換え装置は、バッグを患者カテーテルに接続する又は患者カテーテルから接続解除する必要なしに異なる流体バッグ間で切り換える。いくつかの実施形態では、流体切換え装置は、治療計画に従って又は既存の治療計画の修正後に異なる流体間で切り換える。いくつかの実施形態では、腹膜透析装置は、例えば、その後に用いるために、少なくとも1つの流体バッグをアクティブ化する。
【0169】
いくつかの実施形態では、腹膜炎の検出時に、透析液流体が、抗生物質又は抗炎症溶液と切り換えられる。代替的に、透析液バッグが、透析液及び抗生物質溶液が入っている透析液バッグと切り換えられる。いくつかの実施形態では、流体切換え装置は、腹膜機能の分析後に様々なデキストロース濃度の透析液流体間で切り換えられる。いくつかの実施形態では、流体切換え装置は、治療セッション中に透析液流体と排出される透析液の貯蔵バッグとの間で切り換えられる。いくつかの実施形態では、腹膜炎が検出され、随意的に透析液バッグが切り換えられるときに、病状及び適用される治療に基づいて少なくとも1つのプロトコルパラメータが修正される。いくつかの実施形態では、修正されるプロトコルパラメータは、治療の持続時間又は注入持続時間及び/又は一日当たりの交換回数を含む。
【0170】
いくつかの実施形態の一態様は、同じ側部に少なくとも2つのコネクタを有する腹膜透析装置又はシステムの、本明細書でいくつかの実施形態において使い捨てユニットとも呼ばれる、取り外し可能なユニットに関係する。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのコネクタは、カテーテルコネクタと透析液バッグコネクタを含む。随意的に、透析液バッグコネクタはYコネクタである。いくつかの実施形態では、2つのコネクタは、コネクタのそれぞれの近くに消毒流体を有する消毒コネクタである。いくつかの実施形態では、コネクタのそれぞれは、外部コネクタの穿通及び/又は消毒流体の放出を可能にするように形状及びサイズ設定されるホイルを備える。いくつかの実施形態では、コネクタのそれぞれは、消毒コネクタと外部コネクタとの間の流れを制御するべく流量調整器、例えば、取り外し可能なクリップを備える。
【0171】
腹膜透析治療をモニタリング及び/又は修正するための装置を用いることの可能な利点は、腹膜炎の早期検出、より良好なコンプライアンス、及び腹膜腔への流体取り込みに関連した流体抽出及び食事情報に基づいて予想されるさらなる流体をモニタリングする経験や知識に基づく融通性を含む。さらなる利点は、実際の測定(インライン)に基づいて、随意的に、排出された溶液中の尿素、クレアチニン、及びデキストロースレベルに基づいて治療を最適化し、より長期間にわたって腹膜機能を保護する(高める)ことを含む。装置は、例えば、腹膜炎の炎症を早期に検出すること及び/又は腹膜の機能障害を早期に検出することにより、治療効果を低下させるプロセスを検出する及び随意的に治療することを可能にする。
【0172】
前述のように、装置の可能な利点は、腹膜炎を早期に検出及び随意的に治療できるようにすることである。腹膜炎の治療の目標は、原因菌の根絶による炎症の迅速な解決と腹膜機能の保護を含む。腹膜炎の単独のエピソードは、長期的な腹膜機能に対して顕著な影響を有さなかったが、感染の再発又は群発は、クレアチニンの透析液/血漿比の増加と、限外濾過の低下を引き起こし、その重大さはエピソードの数と共に増加したことが実証されているので、早期検出と迅速な解決は重要である。さらに、PDで時間と共に溶質移動が増加し、限外濾過は低減することが実証された。このプロセスは、腹膜炎により悪化及び加速され、関連する炎症の程度及び直近の感染回数に比例すると思われる。
【0173】
カテーテルが残存する重い長引くPD腹膜炎は、腹膜機能不全につながることがあり、PDでの技術離脱(HDへ移行する)の最も一般的な要因である。本明細書で説明した腹膜透析装置を用いると、PDに起因する腹膜炎は、透析液培養の結果を待つ間は経験的に治療されないが、治療中に検出する及び随意的に治療することができる。抗生物質が、感染部位に最大濃度が確実に送達される腹膜ルートを経由して優先的に送達される。しかしながら、腹腔内に投与された薬剤は体循環へ吸収されることがあることに留意しなければならない。
【0174】
前述のように、装置の可能な利点は、治療効率(効果)の増加にある。治療効率は、(1)患者の健康状態、他の指示の中でも特に、バイタルサイン、すなわち、脈拍、BP、及び体重、(2)血液から抽出される老廃物、すなわち、尿素、クレアチニン、(3)血液からの余分な水分の除去、に関係する。
【0175】
いくつかの実施形態によれば、患者は、1つ又は複数の治療サイクル中に、透析システム、例えば、ポータブル腹膜透析システム(PPDS)に接続される。いくつかの実施形態では、治療サイクルは、新鮮な透析液の注入、患者の腹膜腔内の透析液の滞留、及び透析液の排出、又は、透析液の排出、新鮮な透析液の注入、及び腹膜腔内の透析液の滞留を含む。代替的に、PPDSは、滞留時間中は患者から接続解除される。いくつかの実施形態では、PPDSが患者に接続されるときに、例えば、患者の生理的状態及び/又は治療効果をモニタリングするべく、透析液の一部が排出される。いくつかの実施形態では、滞留時間中に透析液の部分置換が行われ、例えば、腹膜内の透析液の10%、20%、30%、50%、60%、70%、又は任意の中間パーセンテージ、より小さいパーセンテージ、又はより大きいパーセンテージが排出され、随意的に新鮮な透析液と置換される。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、透析システムは、ポータブルであり、ベルト、ハーネス、又は任意のアダプタにより患者の身体部分に固定されるように構成される。いくつかの実施形態では、透析システムは、モータ、例えば、電気モータと、バッテリ、随意的に、ロータに電気的に接続される再充電可能なバッテリとを含む、耐久ユニットを備える。いくつかの実施形態では、耐久ユニットは、モータに及びバッテリに電気的に接続される制御回路を備える。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、バッテリの電力レベルに従ってモータの作動を制御する。いくつかの実施形態では、耐久ユニットは、少なくとも1つの人間が検出可能な指示、例えば、光指示及び/又は音指示による警告信号を提供するように構成された、制御回路に接続されるインターフェースを備える。いくつかの実施形態では、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときに、制御回路が、警告信号、例えば、バッテリを充電すること又はバッテリを交換することを示す信号を生成するべくインターフェースに信号を発する。代替的に又は加えて、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときに、制御回路はモータの動作を止める。
【0177】
いくつかの実施形態によれば、制御回路は、例えば、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときにモータを省電力モードで作動する。いくつかの実施形態では、制御回路は、随意的にモータを省電力モードで作動するときに、モータの少なくとも1つの作動パラメータ、例えば、回転速度及び/又は回転持続時間を修正する。いくつかの実施形態では、制御回路は、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときに、モータの作動を防ぐ。
【0178】
いくつかの実施形態によれば、バッテリが完全に充電されるときのバッテリの電力レベルは、少なくとも1つの透析治療セッション、例えば、2つの治療セッション、3つの治療セッション、4つの治療セッション、又は任意のより小さい数、中間の数、又はより大きい数の治療セッションのために十分なものである。いくつかの実施形態では、治療セッションは、腹膜腔から透析液を少なくとも部分的に排出すること及び腹膜腔に新鮮な透析液を少なくとも部分的に注入することを含む。代替的に、治療セッションは、腹膜腔から透析液を少なくとも部分的に排出すること、腹膜腔に新鮮な透析液を少なくとも部分的に注入すること、及び腹膜腔内の透析液の滞留時間を含む。
【0179】
随意的に、透析システムは、ヒータ、例えば、透析液ヒータを含まない。いくつかの実施形態では、透析システムは、例えば、バッテリ電力を節約するために及び/又は透析システムの総重量を減らすために、ヒータを含まない。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、透析システムの重量は、500gr~5kg(5000gr)の範囲内、例えば、1kg、1.5kg、2kg、2.5kg、又は任意の中間重量、より小さい重量、又はより大きい重量である。随意的に、透析システムの重量は、4000grを下回る。いくつかの実施形態では、装置の長さは、100mm~450mmの範囲内、例えば、100mm、150mm、170mm、200mm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。いくつかの実施形態では、装置の幅は、80mm~300mmの範囲内、例えば、100mm、130mm、150mm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、透析システムは、システムを患者の少なくとも1つの身体部分に、例えば、腰、脚、肩、又は腿に固定するように構成された少なくとも1つの接続部材、例えば、ハーネス、ベルト、又はアダプタを備える。
【0182】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載された及び/又は図面及び/又は実施例に示されたコンポーネントの構成及び配列及び/又は方法の詳細へのその適用に必ずしも限定されないことが理解される。本発明は、他の実施形態が可能である又は種々の方法で実施又は実行することが可能である。
【0183】
例示的な装置
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療のためのシステム又は装置を説明する
図1への参照を行う。
【0184】
いくつかの例示的な実施形態によれば、システム100は、装置102、透析液バッグ124又は排液バッグ、及び患者130に接続される患者カテーテルを備える。いくつかの実施形態では、装置102は、随意的にバッグと患者130との間に消毒される流路を形成するように、透析液バッグ124に及び/又は排液バッグに接続可能である。
【0185】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、コントローラ104と、随意的にポンプを備える流体処理モジュール112とを備える。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、例えば、透析液を腹膜腔に注入するべく流体処理モジュールが作動されるときの又は腹膜腔を排出するべく流体処理モジュールが作動されるときの、流体処理モジュールの動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、装置102への、透析液バッグ124及び/又は排液バッグの接続を制御する。加えて、コントローラ104は、装置102への患者カテーテルの接続を制御する。
【0186】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コントローラ104は、流路に接続された異なるコンポーネントの自動接続及び消毒をモニタリングする及び制御する。いくつかの実施形態では、コンポーネントが流路に接続されるとき及び/又は流路が消毒されるときに指示、例えば、人間が検出可能な指示を送達する。代替的に又は加えて、コントローラは、指示をメモリに記憶する。
【0187】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コントローラ104は、装置102の異なるセンサ、例えば、流体力学センサ116により流路内の流れをモニタリングする。いくつかの実施形態では、流体力学センサは、例えば、流路を通る流体パディングの体積をモニタリングするための少なくとも1つの体積センサを備える。加えて、流体力学センサは、例えば、流路を通過する流体の温度をモニタリングする及び制御するための少なくとも1つの温度制御センサを含む。
【0188】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、例えば、臨床パラメータの変化を感知するための少なくとも1つの臨床センサ114を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの臨床センサは、例えば、クレアチニンセンサ及び/又は尿素センサを用いて、排出された透析液の化学的内容物及び/又は生物学的内容物を感知する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの臨床センサ114は、例えば、排出された透析液中のデキストロースレベルを感知するためのデキストロースセンサ132を備える。随意的に、デキストロースセンサ132は、注入される透析液中のデキストロースレベルを感知する。いくつかの実施形態では、被検者の臨床状態は、測定時間及び/又は被検者の体質量に加えて、排出された透析液中のデキストロースレベルと注入される透析液中のデキストロースレベルとの比較に基づいている。
【0189】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、尿素レベルの検出のための少なくとも1つのセンサ、例えば、尿素センサ134を備える。いくつかの実施形態では、患者の臨床状態は、測定時間及び/又は被検者の体質量と組み合わせて、測定した尿素レベルに基づいて判定される。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、透析液中のグルコースレベルを測定するように構成された少なくとも1つのグルコースセンサ132を備える。いくつかの実施形態では、測定時間及び/又は患者の体質量に加えて、排出された透析液中のグルコースのレベルと新鮮な透析液中のグルコースレベルとの比較に基づいて患者の臨床状態が判定される。代替的に、随意的に注入される透析液又は記憶値と比較される、排出された透析液中のグルコースレベルは、透析効果を示す及び/又は腹膜の状態を示す。いくつかの実施形態では、装置102は、透析液中のクレアチニンレベルを検出するための少なくとも1つのセンサを備える。いくつかの実施形態では、随意的に新鮮な透析液中のクレアチニンレベルと比較される、排出された透析液中のクレアチニンのレベルは、被検者の臨床状態を示す。代替的に、クレアチニンレベルは、透析効果を示す及び/又は腹膜の状態を示す。いくつかの実施形態では、臨床センサ114は、治療セッション中に、例えば、透析液の注入及び/又は排出中に作動される。
【0191】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コントローラは、装置102の近傍の患者に又は介護者に指示及び/又は警告を送達する。代替的に又は加えて、コントローラは、遠隔コンピュータ、例えば、医師のコンピュータに指示及び警告を送信する。いくつかの実施形態では、医師は、例えば、少なくとも1つの治療パラメータを修正するべく又は異なる治療計画を選択するべく、装置102に情報を送信する。
【0192】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、治療ステップを行うべく時間リマインダ及び/又は指示を患者に送達する。いくつかの実施形態では、装置のユーザ、例えば、患者又は介護者は、随意的に少なくとも1つのボタン、例えば、作動ボタン又は治療終了ボタンを備えるユーザインターフェースを通じてユーザ入力を提供する。いくつかの実施形態では、ユーザから受信した入力及びさらなるユーザデータが装置102に記憶される。いくつかの実施形態では、記憶されたユーザデータは、例えば、治療プロセスの全体を通してユーザの状態の遠隔モニタリングを可能にするべく、医師に送信される。加えて、装置102の作動ログファイルも記憶され、随意的に、治療セッション後に患者コンプライアンスレポートを生成するのに用いられる。
【0193】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、コントローラ104、及び/又は流体処理モジュール112に随意的に接続される電気ポンプの作動を可能にするべく、バッテリ106、例えば、再充電可能なバッテリをさらに備える。代替的に、バッテリは、随意的に流体処理モジュール112に接続される電気モータに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、装置102は、例えば、外部電源によるバッテリの充電を可能にするべく、バッテリに電気的に接続される充電ソケット又はプラグを備える。代替的に、バッテリは、交換式のバッテリである。
【0194】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、コンピュータサーバ、例えば、サーバ105に接続される。いくつかの実施形態では、サーバ105は、治療プロトコル及び/又は装置作動ログファイルを記憶する。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、装置の動作に関係したパラメータ及び/又は患者の臨床状態に関係したパラメータの測定値をサーバ105に書き込む。随意的に、医師は、例えば、装置のログファイルを受信するべく及び/又は治療命令又は修正を送達するべく、サーバ105と通信する。いくつかの実施形態では、サーバ105は、例えば、新しい透析液バッグを供給するべく、情報を、介護者、例えば、看護師又は倉庫に送信する。
【0195】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、例えば、介護者に患者の臨床情報及び/又は治療に関係した他の情報を提供するべく、介護者103と通信する。いくつかの実施形態では、装置102は、医師109と通信する。いくつかの実施形態では、装置102は、実際の治療が事前に決定された治療とは異なる場合に医師109に警告を送達する。代替的に又は加えて、装置102は、治療の所望の結果に達していない場合に医師109に警告を送達する。いくつかの実施形態では、医師109は、例えば、命令を送達するべく及び/又は患者からより多くの情報を受信するべく、装置102を通じて患者と通信する。
【0196】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、バッグ切換え器107に接続される又は備える。いくつかの実施形態では、装置102、随意的に、取り外し可能な及び/又はポータブル装置は、腹膜透析治療、例えば、交換プロセス中にバッグ切換え器107に取り付けられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの透析液バッグ、例えば、バッグ124が、バッグ切換え器107に接続される。いくつかの実施形態では、バッグ切換え器107は、随意的にバッグのバーコード又は異なるIDを用いて、正しいバッグが接続されることを検証する。いくつかの実施形態では、バッグ切換え器107は、バッグの温度をモニタリングし、随意的に加熱機構を用いてバッグを加熱する。いくつかの実施形態では、交換セッションが終わるときに、取り外し可能な装置がバッグ切換え器107から接続解除される。
【0197】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置は、加温器、例えば、加温器111を備える。代替的に、加温器は、システム100の一部である及び/又はバッグ切換え器107の一部である。いくつかの実施形態では、加温器は、透析液バッグの温度をモニタリングする及び/又は制御するのに用いられる。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、加温器111から又は透析液の温度に関する温度センサから信号を受信する。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、例えば、透析液バッグを加熱することにより透析液流体を加熱するべく加温器111に信号を発する。代替的に、コントローラ104は、透析液バッグを所望の透析液温度のバッグに切り換えるべくバッグ切換え器107に信号を発する。
【0198】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置102は、ハンドヘルド装置123、例えば、セルラーフォンと通信する。いくつかの実施形態では、装置102は、ハンドヘルド装置123に警告及び/又は指示及び/又は情報を送信する。随意的に、装置102は、装置にインストールされたアプリケーションプログラムを用いてハンドヘルド装置123と通信する。いくつかの実施形態では、装置102は、治療の開始の前に時間警告又は任意の時間警告をハンドヘルド装置123に送達する。いくつかの実施形態では、ハンドヘルド装置は、随意的にアプリケーションプログラムを用いて、装置102の作動を少なくとも部分的に制御する。いくつかの実施形態では、装置102は、ハンドヘルド装置123、例えば、スマートウォッチ又は任意の他の装着可能センサに接続された装置から情報を受信する。
【0199】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療をモニタリング及び修正するための装置のコンポーネントを示す
図2への参照を行う。
【0200】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置202は、随意的にコントローラ104として機能する、コントローラ204を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ204は、装置202を通る流体の流れをモニタリングする及び/又は制御する流体制御部208に接続される。いくつかの実施形態では、流体制御部208は、患者カテーテルにつながる流路への異なるバッグ、例えば、透析液バッグ又は排液バッグの接続をモニタリングする。随意的に、流体制御部208は、流路への患者カテーテルの接続をモニタリングする。いくつかの実施形態では、流体制御部は、患者カテーテルとの間の流路の消毒をモニタリングする及び/又は制御する。
【0201】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置202は、コントローラ204に及び/又は流体制御部208に接続される少なくとも1つのセンサ206を備える。いくつかの実施形態では、センサ206は、流路内の流体の流れパラメータ、例えば、流体の温度、圧力、及び/又は選択された時間内に流路を通過する流体の体積をモニタリングする。代替的に、センサ206は、排出プロセス中に排出された透析液の内容物を感知する。いくつかの実施形態では、センサ206は、排出された透析液の化学内容物及び/又はミネラル内容物及び/又は生物学的内容物、例えば、クレアチニンレベル、デキストロースレベル、及び/又は尿素レベルを感知する。
【0202】
いくつかの例示的な実施形態によれば、センサ206は、炎症プロセスに関連する少なくとも1つのパラメータを感知する。いくつかの実施形態では、センサ206は、排出された透析液の濁度レベルを感知する。いくつかの実施形態では、濁度レベルは、排出された透析液及び腹膜腔内の細菌レベル及び炎症レベルの指標である。代替的に又は加えて、センサ206は、少なくとも1つの生物学的パラメータ、例えば、好中球のような白血球のレベル及び/又は炎症促進性サイトカインのレベルを感知する。
【0203】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ、例えば、センサ206は、1つ又は複数の光学パラメータ、例えば、新鮮な透析液及び/又は排出された透析液を通過する光の光吸収及び/又は光散乱を測定するための光学センサを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光学センサは、500~650nmの範囲内、例えば、500~600nmの範囲内、550~620nmの範囲内、530~630nmの範囲内、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の1つ又は複数の波長の光吸収及び/又は光散乱を測定するように構成される。加えて又は代替的に、少なくとも1つの付加的なセンサは、少なくとも1つの光学パラメータ、例えば、150~350nmの波長範囲内、例えば、150~250nm、200~300nm、250~350nm、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の1つ又は複数の波長の新鮮な透析液及び/又は排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、可視光スペクトル内の吸収及び/又は散乱を測定するためのセンサを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのセンサの組み合わせが、例えば、白血球のレベルを判定するために及び/又は腹膜炎を検出するために用いられる。いくつかの実施形態では、光吸収及び/又は光散乱を測定するように構成された少なくとも1つのセンサは、透析液流体中の気泡を検出するため及び/又は流体の品質及び/又は流速を判定するために用いられる。
【0204】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コントローラは、有線接続又は無線接続を介して少なくとも1つの外部センサ218に接続される。いくつかの実施形態では、外部センサ218は、患者の少なくとも1つの臨床パラメータ、例えば、血圧、体温、心拍数、又は患者の他の臨床パラメータを測定する。いくつかの実施形態では、外部センサ218は、装着可能センサ、例えば、患者の手首に接続されるセンサである。いくつかの実施形態では、センサ206は、外部センサ218と同様の患者の臨床パラメータを測定するように構成される。
【0205】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コントローラ204は、例えば、患者又は介護者から入力を受信するべく、インターフェース214に接続される。いくつかの実施形態では、インターフェース214は、少なくとも1つのボタン、例えば、作動ボタン又は治療終了ボタンを備える。いくつかの実施形態では、装置202は、インターフェース214を用いて装置の近傍に存在する患者に及び/又は介護者に指示及び警告を送達する。いくつかの実施形態では、インターフェース214は、人間が検出可能な指示、例えば、光指示を送達する。いくつかの実施形態では、インターフェースは、例えば患者に情報を視覚的に送達するべく、ディスプレイ216を備える。いくつかの実施形態では、インターフェース214により送達される指示及び/又はデータは、治療に関連するリマインダ、治療に関連する命令、及び警告、例えば、安全性警告を含む。
【0206】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置202は、例えば、遠隔装置との間で情報を送受信するべく、通信モジュール210を備える。いくつかの実施形態では、通信モジュール210は、無線受信器及び無線送信器を備える。いくつかの実施形態では、通信モジュール210は、指示、警告、及び治療に関連する情報を遠隔コンピュータ又は遠隔ハンドヘルド装置に無線で送信する。いくつかの実施形態では、通信モジュールは、異なる装置、例えば、遠隔コンピュータ、随意的に患者に取り付けられた少なくとも1つのセンサ、又は遠隔ハンドヘルド装置からの無線送信を受信する。いくつかの実施形態では、通信モジュール210は、Wi-Fi信号、赤外線信号、及び/又はBluetooth(登録商標)信号を送受信するように構成される。
【0207】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置202は、電源220、例えば、電力供給部を備える。いくつかの実施形態では、電源220は、少なくとも1つの再充電可能なバッテリ、例えば、装置202から随意的に取り外し可能なリチウムイオンバッテリを備える。いくつかの実施形態では、装置202は、例えば、バッテリを充電するべく及び/又はベースユニットの内部のメモリストレージから情報をダウンロード又はアップロードするべく、治療セッション間にベースユニットに接続される又はクレードル内に配置される。いくつかの実施形態では、装置202は、例えば、外部電源によるバッテリの充電を可能にするべく、充電ソケット又は充電プラグを備える。
【0208】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置202は、治療計画、患者に関連する情報、装置のログファイル、又は患者、治療、及び/又は装置に関係した任意の他の情報を記憶するためのメモリ212を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ204は、治療セッション中に及び/又は治療セッション間に情報をメモリ212に書き込む又はメモリ212から情報を読み出す。
【0209】
治療セッション中に治療を修正するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析治療は、治療セッション中に、例えば、腹膜腔への透析液の注入中に又は透析液の排出中に修正される。いくつかの実施形態では、治療は、治療セッション中の測定及び/又は治療セッション中に受信した入力に従って修正される。治療セッション中に治療を修正することの可能な利点は、例えば、より個別化された治療を可能にするべく、治療セッション自体の間に、事前に決定された治療を患者の臨床状態に合わせることができることである。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、治療セッション中に治療を修正するためのプロセスを示す
図3への参照を行う。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、腹膜腔内の流体を新しくするのに用いられる腹膜透析交換サイクル中に修正される。いくつかの実施形態では、治療は、腹膜腔内の透析液の滞留時間中に修正される。いくつかの実施形態では、腹膜透析濾過プロセスが透析液の滞留時間中に行われ、血液から老廃物及び余分な水分が抽出される。
【0210】
いくつかの例示的な実施形態によれば、302で、腹膜透析治療が開始される。いくつかの実施形態では、治療は、事前に決定された治療、例えば、患者の以前の臨床状態に基づいて医師により選択された治療である。いくつかの実施形態では、302で、透析液注入プロセス又は透析液排出プロセスが開始される。
【0211】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療セッション中にステップ304で異なるパラメータが測定される。いくつかの実施形態では、パラメータは、腹膜透析装置、例えば、装置202により測定される。いくつかの実施形態では、装置は、304で、治療に関係したパラメータ、例えば、流体の流れの持続時間、流体圧力、及び/又は流体体積を測定する。随意的に、装置は、流体の内容物、例えば、流体の化学内容物、ミネラル内容物、及び/又は生物学的内容物を測定する。代替的に又は加えて、装置は、患者の臨床パラメータ、例えば、心拍数、体温、血圧、体重、又は治療に関連した任意の他の臨床パラメータを測定する。
【0212】
いくつかの例示的な実施形態によれば、306で、入力が受信される。いくつかの実施形態では、入力は、例えば、ユーザが現在の治療セッションを終了することを望むとき及び/又は治療セッション中にユーザの具合が良くないときにユーザから受信される入力を含む。代替的に又は加えて、306で受信される入力は、医師又は遠隔の専門家からの入力を含む。
【0213】
いくつかの例示的な実施形態によれば、308で、治療が修正される。いくつかの実施形態では、治療は、304で測定したパラメータに基づいて及び/又は306で受信した入力に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、治療は、治療パラメータを修正することにより又は異なる治療計画を選択することにより修正される。いくつかの実施形態では、事前に決定された治療である治療が、患者の現在の臨床状態に忠実に修正される。代替的に又は加えて、事前に決定された治療は、現在の治療状態に適応するように修正される。いくつかの実施形態では、308で治療が修正された後で、302で修正された治療が開始される。
【0214】
治療セッション間に治療を修正するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析治療は、治療セッション間に、例えば、腹膜腔への透析液の注入と透析液の排出との間に修正される。代替的に又は加えて、治療は、注入及び排出のサイクル間に修正される。いくつかの実施形態では、治療は、治療セッション間の測定及び/又は治療セッション間に受信した入力に従って修正される。治療セッション間に治療を修正することの可能な利点は、例えば、より個別化された治療を可能にするべく、実際の治療中に、事前に決定された治療を患者の臨床状態に合わせることができることである。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、治療セッション間に治療を修正するためのプロセスを示す
図4への参照を行う。
【0215】
いくつかの例示的な実施形態によれば、402で、腹膜透析治療が決定される。いくつかの実施形態では、治療及び/又は治療パラメータは、治療前検査中に患者の臨床状態に基づいて決定される。
【0216】
いくつかの例示的な実施形態によれば、事前に決定された治療パラメータに従って、404で、患者が治療される。いくつかの実施形態では、404で、腹膜腔に透析液が注入される。代替的に又は加えて、404で、透析液が排出される。
【0217】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療が終わるときに、406で、パラメータが測定される。いくつかの実施形態では、パラメータは、腹膜透析装置、例えば、装置202により測定される。いくつかの実施形態では、装置は、406で、治療に関係したパラメータ、例えば、流体の流れの持続時間、流体圧力、及び/又は流体体積を測定する。随意的に、装置は、流体の内容物、例えば、流体の化学内容物、ミネラル内容物、及び/又は生物学的内容物を測定する。代替的に又は加えて、装置は、患者の臨床パラメータ、例えば、心拍数、体温、血圧、体重、又は治療に関連した任意の他の臨床パラメータを測定する。
【0218】
いくつかの例示的な実施形態によれば、408で、入力が受信される。いくつかの実施形態では、入力は、例えば、ユーザが次の治療セッション又は他の治療に関連するイベントのスケジュールを変更することを望むときに及び/又は治療セッション後にユーザの具合が良くないときに、治療後にユーザから受信される入力を含む。代替的に又は加えて、406で受信される入力は、医師又は遠隔の専門家からの入力を含む。いくつかの実施形態では、医師又は専門家は、患者の治療コンプライアンス又は406でのパラメータ測定に基づいて入力を送信する。
【0219】
いくつかの例示的な実施形態によれば、410で、治療が修正される。いくつかの実施形態では、治療は、406での測定に基づいて及び/又は408で受信した入力に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの治療セッション、例えば、透析液注入セッション又は透析液排出セッションが修正される。いくつかの実施形態では、測定後に治療セッションが修正される。代替的に、代替的な治療又は異なる治療計画が選択される。いくつかの実施形態では、404で、修正された治療が開始される。
【0220】
治療変動に起因して治療を修正するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析装置、例えば、装置202は、腹膜透析治療をモニタリングする及び制御する。いくつかの実施形態では、事前に決定された治療パラメータは、治療中に装置により自動的に修正される。いくつかの実施形態では、事前に決定された治療パラメータは、実際の治療と事前に決定された治療との変動が識別されるときに修正される。ここで、治療変動に起因して治療を修正するためのプロセスを示す
図5への参照を行う。いくつかの実施形態では、事前に決定された治療は、例えば、腹膜腔内の流体を新しくするのに用いられる腹膜透析交換サイクルで検出された変動に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、事前に決定された治療は、腹膜腔内の透析液の滞留時間中に検出された変動に基づいて修正される。本明細書で説明されるように、腹膜透析濾過プロセスが透析液の滞留時間中に行われ、血液から老廃物及び余分な水分が抽出される。
【0221】
いくつかの例示的な実施形態によれば、502で、治療計画が決定される。いくつかの実施形態では、治療パラメータ、例えば、透析液注入の持続時間及び/又は透析液排出の持続時間が決定される。加えて、注入される透析液の体積及び透析液内容物が決定される。いくつかの実施形態では、502で、透析液注入間の時間間隔及び透析液も決定される。
【0222】
いくつかの例示的な実施形態によれば、504で、治療が開始される。いくつかの実施形態では、502で、決定された治療パラメータに従って治療が開始される。
【0223】
いくつかの例示的な実施形態によれば、506で、治療変動が識別される。いくつかの実施形態では、腹膜透析装置、例えば、装置202は、事前に決定された治療と実際の治療との変動を識別する。
【0224】
いくつかの例示的な実施形態によれば、508で、指示が送達される。いくつかの実施形態では、506で治療変動が識別される場合に、508で指示が送達される。いくつかの実施形態では、指示は、装置のユーザに、例えば、患者に又は介護者に送達される。代替的に、指示は、医師又は専門家に送達される。
【0225】
いくつかの例示的な実施形態によれば、510で、治療が修正される。いくつかの実施形態では、510で、事前に決定された治療及び/又は事前に決定された治療パラメータが修正される。いくつかの実施形態では、治療のタイミングパラメータ、例えば、透析液注入又は透析液排出の持続時間が修正される。いくつかの実施形態では、注入される透析液及び/又は排出される透析液の体積が修正される。いくつかの実施形態では、治療及び/又は治療パラメータは、装置により自動的に又は半自動的に修正される。
【0226】
いくつかの例示的な実施形態によれば、512で、代替的な治療計画が選択される。いくつかの実施形態では、代替的な治療計画は、装置のメモリ、例えば、メモリ212に記憶される。いくつかの実施形態では、代替的な治療計画は、装置のメモリ、例えば、メモリ212に記憶されたアルゴリズムを用いて選択される。いくつかの実施形態では、510で治療が修正されると、504で、修正された治療が開始される。いくつかの実施形態では、512で、代替的な治療計画が選択されると、504で、代替的な治療計画が開始される。
【0227】
治療コンプライアンスをモニタリングするための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、より良好な疾病管理及び治療管理を可能にするべく、腹膜透析治療への患者のコンプライアンスがモニタリングされる。いくつかの実施形態では、治療コンプライアンスは、腹膜透析装置、例えば、装置202によりモニタリングされる。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る治療コンプライアンスをモニタリングするためのプロセスを示す
図6への参照を行う。
【0228】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療は、前述のように504で開始された後で、602で、モニタリングされる。いくつかの実施形態では、治療は、腹膜透析装置、例えば、装置202によりモニタリングされる。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つのセンサ、例えば、流体の流れに関係したセンサ又は臨床センサを用いて治療をモニタリングする。代替的に又は加えて、装置は、装置の少なくとも1つのコネクタを通じた患者のカテーテルへの透析液バッグ及び/又は排液バッグの接続をモニタリングする。いくつかの実施形態では、装置は、患者のカテーテルにつながる消毒された流路の形成をモニタリングする。いくつかの実施形態では、装置は、ユーザと装置の対話、例えば、装置の作動、装置の作動及び/又は終了をモニタリングする。いくつかの実施形態では、装置は、装置からの透析液バッグ及び/又は排液バッグ及び/又は排出カテーテルの接続解除をモニタリングする。随意的に、装置は、流体処理モジュール112への接続及び接続解除をモニタリングする。
【0229】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置は、治療の持続時間及び/又は各治療セッションの持続時間及び連続する治療セッション間のインターバルをモニタリングする。いくつかの実施形態では、装置は、モニタリングしたデータのうちの少なくともいくつかを装置のメモリ、例えば、メモリ212に記録及び記憶する。
【0230】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置は、事前に決定された治療パラメータからの任意の変動をモニタリングし、604で、そのような変動が検出される場合に記録する。随意的に、変動が検出される場合、装置は、ユーザに及び/又は医師に指示及び/又はレポートを送達する。
【0231】
いくつかの例示的な実施形態によれば、606で、治療、例えば、治療セッションを終了する。いくつかの実施形態では、608で、コンプライアンスレポートが生成される。いくつかの実施形態では、コンプライアンスレポートは、治療中にモニタリングしたイベントのうちの少なくともいくつかの要約を含む。代替的に又は加えて、コンプライアンスレポートは、治療の前及び/又は治療の後にモニタリングしたイベント、例えば、患者への治療指示の送達及びこれらの指示への患者の応答を含む。
【0232】
いくつかの例示的な実施形態によれば、610で、コンプライアンスレポートが記憶される。いくつかの実施形態では、コンプライアンスレポートは、装置のメモリに記憶される。代替的に、コンプライアンスレポートは、外部メモリに、例えば、取り外し可能なメモリに又はインターネットネットワーク遠隔メモリに記憶される。
【0233】
いくつかの例示的な実施形態によれば、612で、コンプライアンスレポートが送達される。いくつかの実施形態では、コンプライアンスレポートは、患者に又は介護者に送達される。代替的に又は加えて、コンプライアンスレポートは、医師に又は専門家に送達される。いくつかの実施形態では、コンプライアンスレポートは、スケジュールされた更新中に送達される。代替的に、コンプライアンスレポートは、要求時に送達される。
【0234】
いくつかの例示的な実施形態によれば、614で、治療及び/又は少なくとも1つの治療パラメータが修正される。いくつかの実施形態では、患者が治療及び/又は治療パラメータに忠実ではないときに治療が修正される。いくつかの実施形態では、コンプライアンスレポートに従って、送達された治療又は治療セッションが事前に決定された治療とは異なる場合に治療が修正される。いくつかの実施形態では、504で、修正された治療が開始される。
【0235】
排出された透析液内容物に基づいて臨床状態を判定するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析液は、定められた滞留時間後に被検者の腹膜から排出される。いくつかの実施形態では、排出された透析液内容物は、例えば、被検者の臨床状態を判定するべく測定され、随意的に分析される。いくつかの実施形態では、排出された透析液内容物、被検者の体質量、及び随意的に、測定時間の分析に基づいて被検者の臨床状態が判定される。
【0236】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る、排出された透析液に基づいて被検者の臨床状態を判定するための一般的なプロセスを示す
図7Aへの参照を行う。
【0237】
いくつかの例示的な実施形態によれば、701で、透析液が排出される。いくつかの実施形態では、透析液は、随意的に所望の滞留時間後に、被検者の腹膜腔から排出される。いくつかの実施形態では、透析液は、腹膜からカテーテルを通って腹膜透析システムのチュービングへ排出される。
【0238】
いくつかの例示的な実施形態によれば、703で、排出された透析液内容物が分析される。いくつかの実施形態では、排出された透析液の内容物は、少なくとも1つのセンサ、例えば、排出された透析液の内容物に関係した少なくとも1つのパラメータを測定することができる光学センサ、電気センサ、又は任意の他のセンサにより測定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液の内容物は、所定の時間中に測定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパラメータは、排出された透析液の濁度レベル、選択された波長での光吸収及び/又は光散乱、排出された透析液中の白血球数、サイトカインのレベル、金属イオンのレベル、化学化合物又は生物学的化合物のレベル、例えば、デキストロース又は尿素、及び/又は生物活性化合物のレベルを含む。いくつかの実施形態では、測定値は、透析システムのコントローラにより分析される。
【0239】
いくつかの例示的な実施形態によれば、705で、被検者の体腔に、例えば、腹膜に新鮮な透析液が注入される。いくつかの実施形態では、新鮮な透析液は、新鮮な透析液をカテーテルにより腹膜に注入する腹膜透析システムに、新鮮な透析液バッグを接続することにより注入される。
【0240】
いくつかの例示的な実施形態によれば、707で、新鮮な透析液内容物が分析される。いくつかの実施形態では、腹膜透析チュービングのチュービングを通過する新鮮な透析液内容物が分析される。代替的に又は加えて、新鮮な透析液バッグ内の新鮮な透析液が分析される。いくつかの実施形態では、新鮮な透析液の内容物に関係したデータのうちの少なくともいくつかが、ウェブサイト、クラウドメモリストレージ、リモートサーバから透析システムのメモリにダウンロードされる。随意的に、データは、新鮮な透析液バッグ、バッグパッケージ、又は新鮮な透析液バッグに付属する何らかのドキュメント上にプリントされたコード、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、又は任意の他のコードをスキャンすることによりメモリにダウンロードされる。
【0241】
いくつかの例示的な実施形態によれば、新鮮な透析液の内容物は、少なくとも1つのセンサ、例えば、新鮮な透析液の内容物に関係した少なくとも1つのパラメータを測定することができる光学センサ、電気センサ、又は任意の他のセンサにより測定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパラメータは、透析液溶液の濁度、選択された波長での光吸収及び/又は光散乱、白血球数、サイトカインのレベル、金属イオンのレベル、化学化合物又は生物学的化合物、例えば、デキストロース又は尿素のレベル、及び/又は生物活性化合物のレベルを含む。
【0242】
いくつかの例示的な実施形態によれば、709で、排出された透析液内容物の分析結果及び/又は測定値が、透析システムのメモリに記憶された値又は指示と比較される。いくつかの実施形態では、排出された透析液内容物の分析結果及び/又は測定値は、注入される透析液内容物の少なくとも1つのパラメータの記憶値と比較される。代替的に、排出された透析液内容物の分析結果及び/又は測定値は、例えば、体の症状の進行を判定するために、以前に排出された透析液の記憶された分析結果及び/又は測定値と比較される。
【0243】
いくつかの例示的な実施形態によれば、711で、被検者の生理的状態が判定される。いくつかの実施形態では、分析結果に基づいて被検者の生理的状態が判定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液内容物の分析結果及び/又は測定値が、新鮮な透析液の分析結果及び/又は測定値と比較される。いくつかの実施形態では、比較結果に基づいて被検者の生理的状態が判定される。いくつかの実施形態では、被検者の生理的状態は、記憶された指示、随意的に、異なる臨床状態に関係した指示との比較に基づいて判定される。代替的に、被検者の生理的状態は、排出された透析液の分析結果及び/又は測定値の識別された変動に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、変動は、分析結果及び/又は測定値と以前に決定されたベースライン及び/又は透析システムのメモリに記憶された少なくとも1つの参照値又はその指示との間でのものである。加えて、生理的状態は、被検者の体質量又は体重及び/又は測定が行われた時間に基づいて判定される。
【0244】
いくつかの例示的な実施形態によれば、生理的状態は、腹膜炎、前腹膜炎、後腹膜炎、炎症、前炎症、糖尿病、前糖尿病、化学化合物及び/又は生物学的化合物の欠乏によって引き起こされる病理学的状態のうちの1つ又は複数を含む。
【0245】
腹膜炎の検出のための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析治療のリスクのうちの1つは、腹膜炎とも呼ばれる炎症プロセスである。いくつかの実施形態では、腹膜炎は、体外から患者のカテーテルを通って腹膜腔に侵入する細菌によって引き起こされる。腹膜炎は腹膜透析治療に影響を及ぼすので、例えば、より効率的な腹膜炎治療を可能にするべく腹膜炎をできるだけ早期に検出することを試みる及び検出することが重要である。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜炎を検出する及び随意的に腹膜炎を治療するためのプロセスを示す
図7Bへの参照を行う。
【0246】
いくつかの例示的な実施形態によれば、702で、患者の臨床パラメータが測定される。いくつかの実施形態では、臨床パラメータは、体温、及び/又は白血球カウント、又は炎症プロセスを示す任意の臨床パラメータを含む。いくつかの実施形態では、患者の臨床パラメータは、治療セッション間に、治療セッション中に、又は透析液排出プロセスの前に測定される。
【0247】
いくつかの例示的な実施形態によれば、704で、透析液が排出される。いくつかの実施形態では、例えば、濾過プロセスの進行をモニタリングするべく、滞留時間中に透析液の一部が排出される。いくつかの実施形態では、透析液の一部は、滞留時間中に少なくとも2回排出される。随意的に、透析液の一部は、滞留時間中の所定の時点で排出される。
【0248】
いくつかの例示的な実施形態によれば、706で、透析液内容物が分析される。いくつかの実施形態では、透析液内容物は、透析液を排出する間に分析される。いくつかの実施形態では、透析液内容物は、継続的に分析される、又は、透析液を排出する間に少なくとも2つの時点で分析される。いくつかの実施形態では、透析液内容物は、透析液の一部を試験チューブに又は試験チャネルに誘導することにより分析される。
【0249】
いくつかの例示的な実施形態によれば、706で、排出された透析液の化学組成及び/又は生物学的組成が分析される。いくつかの実施形態では、排出された透析液は、所定の閾値を上回る白血球の量に関して分析される。代替的に又は加えて、腹膜炎に関する指標である好中球又は任意の他の白血球の数が分析される。随意的に、排出された透析液中の炎症促進性サイトカインの存在及び/又は量が分析される。
【0250】
いくつかの例示的な実施形態によれば、708で、排出された透析液の物理的特徴、例えば、排出された透析液の濁度が分析される。いくつかの実施形態では、排出された透析液の曇り又は霞みの増加は、細菌及び腹膜炎の存在の指示である。いくつかの実施形態では、濁度レベルは、例えば、流体中に懸濁した固体により散乱される光の量を測定する濁度センサにより測定される。随意的に、708で、排出された透析液の光吸収、光散乱、及び/又は色が分析される。
【0251】
いくつかの例示的な実施形態によれば、710で腹膜炎が検出されない場合、712で、排出プロセスが終了する。いくつかの例示的な実施形態によれば、710で腹膜炎が検出される場合、714で、患者に及び/又は介護者に及び/又は医師に指示が送達される。
【0252】
いくつかの例示的な実施形態によれば、716で、排出プロセスが終了する。いくつかの実施形態では、718で、専門家が指示を受信する。いくつかの実施形態では、専門家は、腹膜炎を治療するための及び/又は透析治療を修正するための命令を送信する。
【0253】
いくつかの例示的な実施形態によれば、720で、透析治療が修正される。いくつかの実施形態では、腹膜炎の検出後に透析治療が終了される又は延期される。代替的に、少なくとも1つの治療パラメータが修正される。いくつかの実施形態では、腹膜腔内の透析液の滞留時間が修正される。いくつかの実施形態では、患者は、感染した排出された透析液のサンプルを、例えば、微生物培養による分析のためにクリニック又は実験室にもっていくように命令される。いくつかの実施形態では、透析治療は、腹膜炎の検出後に透析装置により自動的に終了される又は自動的に延期される。代替的に、少なくとも1つの治療パラメータが、透析装置により自動的に修正される。
【0254】
いくつかの例示的な実施形態によれば、722で、腹膜炎が治療される。いくつかの実施形態では、腹膜炎は、腹膜腔への抗生物質が入っている溶液の注入により治療される。随意的に、注入の前に、透析液溶液へ抗生物質が投入される。いくつかの実施形態では、例えば、透析液注入の前に洗浄溶液で腹膜腔を少なくとも1回フラッシングすることにより、腹膜炎が治療される。いくつかの実施形態では、腹膜炎は、透析装置により、例えば、腹膜腔を自動的にフラッシングすること及び/又は抗生物質を腹膜腔へ自動的に注入することにより、自動的に治療される。
【0255】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る、光学パラメータ、例えば、光吸収及び/又は光散乱を測定することにより腹膜炎を検出するためのプロセスを示す
図7Cへの参照を行う。
【0256】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析液は、740で、腹膜腔から排出される。いくつかの実施形態では、透析液は、透析装置のチュービングを通して排出される。
【0257】
いくつかの例示的な実施形態によれば、742で、排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。いくつかの実施形態では、チューブ内の排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。代替的に、排出された透析液貯蔵区画内の排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。随意的に、排出された透析液の測定された吸収値及び/又は散乱値又は値の指示が、メモリ、例えば、メモリ212に記憶される。いくつかの実施形態では、光吸収及び/又は光散乱は、PPDS内に配置された少なくとも1つのセンサにより測定される。随意的に、少なくとも1つのセンサは、耐久ユニットの一部である。代替的に、少なくとも1つのセンサは、使い捨てユニットの一部である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、500~650nmの波長範囲内、例えば、500~600nmの範囲内、550~620nmの範囲内、530~630nmの範囲内、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。加えて又は代替的に、少なくとも1つの付加的なセンサは、150~350nmの波長範囲内、例えば、150~250nm、200~300nm、250~350nm、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の排出された透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。いくつかの実施形態では、付加的なセンサは、可視光スペクトル内の光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、該波長範囲内の各波長に関する又は該波長範囲内の少なくとも1つの選択された波長に関する光の吸収及び/又は散乱が測定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液の排液バッグを通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。
【0258】
いくつかの例示的な実施形態によれば、744で、測定値の変動が識別される。いくつかの実施形態では、識別される変動は、測定値と随意的に透析システム又は装置のメモリに記憶された所定のベースライン、少なくとも1つの参照値、又はその指示との間での変動である。
【0259】
いくつかの例示的な実施形態によれば、746で、新鮮な透析液が腹膜へ導入される。いくつかの実施形態では、新鮮な透析液は、腹膜透析システム、随意的に、ポータブル腹膜透析システム(PPDS)のチューブを通過する。
【0260】
いくつかの例示的な実施形態によれば、750で、光学パラメータ、例えば、新鮮な透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。いくつかの実施形態では、光の吸収及び/又は散乱は、PPDS内に配置された少なくとも1つのセンサにより測定される。随意的に、少なくとも1つのセンサは、PPDSの耐久ユニットの一部である。代替的に、少なくとも1つのセンサは、PPDSの使い捨てユニットの一部である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、500~650nmの波長範囲内、例えば、500~600nmの範囲内、550~620nmの範囲内、530~630nmの範囲内、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の新鮮な透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。加えて又は代替的に、少なくとも1つの付加的なセンサは、150~350nmの波長範囲内、例えば、150~250nm、200~300nm、250~350nm、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の新鮮な透析液を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。いくつかの実施形態では、付加的なセンサは、可視光スペクトル内の光の吸収及び/又は散乱を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、該波長範囲内の各波長に関する又は該波長範囲内の少なくとも1つの選択された波長に関する光の吸収及び/又は散乱が測定される。いくつかの実施形態では、新鮮な透析液バッグを通過する光の吸収及び/又は散乱が測定される。
【0261】
いくつかの例示的な実施形態によれば、744で測定した吸収値及び/又は散乱値が、751でメモリに記憶される。代替的に又は加えて、値の指示がメモリに記憶される。いくつかの実施形態では、メモリは、PPDSの一部である、例えば、
図2に示された装置202のメモリ212である。いくつかの実施形態では、光吸収値及び/又は光散乱値は、新鮮な透析液溶液の製造業者により提供される。随意的に、値は、例えば、新鮮な透析液バッグ/ボックス上のコード又はパッケージ内のコードをスキャンすることにより、製造業者のウェブサイトからメモリにダウンロードされる。
【0262】
いくつかの例示的な実施形態によれば、752で、測定された光吸収値及び/又は光散乱値又は排出された透析液の指示と新鮮な透析液が比較される。代替的に又は加えて、排出された透析液の測定された光吸収値及び/又は光散乱値又は値の指示が、メモリに記憶された指示と及び/又はテーブルと比較される。随意的に、排出された透析液の測定値又は指示は、以前に排出された透析液の記憶値又は指示と比較される。排出された透析液の測定されたパラメータ値を新鮮な透析液の測定されたパラメータ値と比較することは、例えば、新鮮な透析液の異なるバッチに起因する変動を最小にするべく、例えば、自己校正することを可能にする。
【0263】
いくつかの例示的な実施形態によれば、754で、比較結果に基づいて少なくとも1つの差分パラメータ値が計算される。いくつかの実施形態では、差分パラメータは、新鮮な透析液の吸収値及び/又は散乱値と排出された透析液の吸収値及び/又は散乱値との偏差及び/又は平均偏差を含む。
【0264】
いくつかの例示的な実施形態によれば、756で、スコアが生成される。いくつかの実施形態では、スコアは、少なくとも1つの差分パラメータ値に基づいて生成される。代替的に又は加えて、スコアは、排出された透析液の測定された光吸収値及び/又は光散乱値に基づいて生成される。いくつかの実施形態では、スコアは、差分パラメータ値又は測定された光吸収値及び/又は光散乱値と被検者の少なくとも1つの臨床パラメータ、例えば、体温、治療レジメン、投与される薬剤、年齢、血圧、背景疾患、及び/又は白血球カウントに関係した指示との組み合わせに基づいて生成される。いくつかの実施形態では、生成されるスコアは、透析液流体の汚染レベルを示す。代替的に又は加えて、生成されるスコアは、排出された透析液中で又は選択された体積の排出された透析液中で、例えば、1ml、10ml、100ml、1リットルの排出された透析液中で、又は任意の中間体積、より小さい体積、又はより大きい体積の排出された透析液中で見つかる白血球の数を示す。いくつかの実施形態では、スコアは、各波長に関して又は各波長範囲に関して個別に生成される。
【0265】
いくつかの例示的な実施形態によれば、758で、指示が送達される。いくつかの実施形態では、指示、例えば、人間が検出可能な指示は、PPDSのユーザに送達される。代替的に又は加えて、指示は、介護者又は専門家、例えば、医師に送達される。随意的に、指示は、無線信号により遠隔コンピュータ又はハンドヘルド装置に送達される。いくつかの実施形態では、指示は、756で生成されたスコア及び/又は754で計算された差分値に基づいている。いくつかの実施形態では、指示は、排出された透析液の測定された光吸収値及び/又は光散乱値に、又は値の指示に基づいている。
【0266】
いくつかの例示的な実施形態によれば、生成されたスコア又は計算された差分値が、随意的にメモリ212に記憶された所定の値よりも高い又は所定の値の範囲内にない場合に、758で、指示が送達される。
【0267】
いくつかの例示的な実施形態によれば、760で、治療の少なくとも1つのパラメータ値が修正される。代替的に、760で、治療プロトコルの少なくとも一部が修正される。いくつかの実施形態では、パラメータ値及び/又は治療プロトコルは、生成されたスコアに基づいて修正される。代替的に又は加えて、パラメータ値及び/又は治療プロトコルは、計算された差分値に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、腹膜腔の洗浄ステップを含めることにより修正される。代替的に又は加えて、治療は、腹膜腔内の透析液の滞留時間を短くすること又は長くすることにより修正される。いくつかの実施形態では、治療は、プロセスで用いられる新鮮な透析液の組成を、例えば、抗生物質が入っている透析液に、又は抗菌薬又は抗ウィルス生物活性成分又は薬剤を含有する透析液に変えることにより修正される。
【0268】
いくつかの例示的な実施形態によれば、762で、治療が選択される。いくつかの実施形態では、治療は、生成されたスコアに基づいて又は計算された差分値に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、抗菌薬及び/又は抗ウィルス薬治療が選択される。いくつかの実施形態では、例えば、抗生物質又は生物活性剤を投与することにより、透析治療レジメンを変えずに治療が提供される。
【0269】
いくつかの例示的な実施形態によれば、762での治療の選択に関して及び/又は760での治療の修正に関して、光吸収及び/又は光散乱値は、上に示したように500~650nmの範囲内と150~350nmの範囲内との2つの波長範囲内で測定される。代替的に、762での治療の選択に関して及び/又は760での治療の修正に関して、光吸収及び/又は光散乱値は、500~650nmと可視光スペクトル内との2つの波長範囲内で測定される。いくつかの実施形態では、2つの波長範囲内の吸収値及び/又は散乱値は、1つ、2つ、又はそれ以上のセンサにより測定される。
【0270】
透析を最適化するための例示的なプロセス
いくつかの例示的な実施形態によれば、排出された透析液の化学組成及び/又は生物学的組成を測定することにより、透析治療効果を判定することが可能である。いくつかの実施形態では、透析治療が有効ではない場合、少なくとも1つの治療パラメータ、例えば、注入される透析液の内容物が修正される。ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、透析治療を最適化するためのプロセスを示す
図8への参照を行う。
【0271】
いくつかの例示的な実施形態によれば、704で、透析液が腹膜腔から排出される。いくつかの例示的な実施形態によれば、802で、排出された透析液内容物が測定される。いくつかの実施形態では、802で、排出された透析液の化学特性及び/又はミネラル特性及び/又は生物学的特性、例えば、排出された透析液のクレアチニンレベル、尿素レベル、及びイオン強度が測定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液のイオン強度は、排出された溶液中のイオンの濃度の尺度である。いくつかの実施形態では、随意的に注入される透析液と比較した、排出された透析液中のデキストロースのレベル又は濃度は、イオン強度の指標である。
【0272】
いくつかの例示的な実施形態によれば、排出された透析液内容物は、腹膜透析装置、例えば、装置202の少なくとも1つのセンサにより測定される。いくつかの実施形態では、排出手技中に又は手技中の少なくとも2つの時点で、排出された透析液内容物が測定される。
【0273】
いくつかの例示的な実施形態によれば、804で、透析効果が判定される。いくつかの実施形態では、透析効果は、排出された透析内容物の測定結果に基づいて判定される。いくつかの実施形態では、排出された透析液中のクレアチニン及び/又は尿素のレベルが所望の閾値を下回る場合、透析治療は有効ではない。代替的に又は加えて、随意的に注入される透析液中の濃度と比較して、排出された透析液中のデキストロース濃度が所望の閾値を上回る場合、透析治療は低い効果を有する。いくつかの実施形態では、排出された透析液中のクレアチニン及び/又は尿素のレベルが所望の閾値よりも高い場合、透析治療は有効である。代替的に又は加えて、随意的に注入される透析液中の濃度と比較して、排出された透析液中のデキストロース濃度が所望の閾値よりも低い場合、透析治療は有効である。
【0274】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療効果が低い場合、808で、指示が送達される。いくつかの実施形態では、指示は、患者に及び/又は介護者に送達される。代替的に又は加えて、指示は、医師に送達される。
【0275】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析治療効果を高めるために、注入される透析液の組成は、例えば、注入される透析液のイオン濃度を増加させることにより修正される。随意的に、より高いデキストロース濃度の透析液を用いることによりイオン濃度が増加される。いくつかの実施形態では、連続携行式腹膜透析(CAPD)で治療される患者に関する一日当たりの、又は自動腹膜透析(APD)で治療される患者に関する一夜当たりの透析液交換回数が増加される。いくつかの実施形態では、CAPDでの各交換における透析液体積が増加される。いくつかの実施形態では、効果を高めるために、CAPD治療スケジュールに夜間のさらなる透析液交換が追加される。いくつかの実施形態では、効果を高めるために、APD治療スケジュールに日中のさらなる透析液交換が追加される。
【0276】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析治療効果を高めるために、滞留時間が増加される。いくつかの実施形態では、滞留時間は、注入される透析液が排出されるまで腹膜腔内にとどまる時間である。いくつかの実施形態では、腹膜を通る濾過速度が低い場合、滞留時間の増加は、例えば、排出される透析液中のクレアチニン又は尿素の濃度を増加させるべく、濾過プロセスを延長することを可能にする。
【0277】
いくつかの例示的な実施形態によれば、治療効果が所望の効果よりも高い場合、814で、指示が送達される。いくつかの実施形態では、指示は、患者に及び/又は介護者に送達される。代替的に又は加えて、指示は、医師に送達される。
【0278】
いくつかの例示的な実施形態によれば、所望の効果に達するように、注入される透析液の組成が、例えば、注入される透析液のイオン濃度を下げることにより修正される。いくつかの実施形態では、末期腎疾患(ESRD)患者の体から余分な水分を除去することは、限外濾過により行われる。いくつかの実施形態では、透析液中の高いグルコース(デキストロース)濃度は、例えば、水分を血液から透析液流体へ移行させる浸透圧を生み出す。随意的に、このプロセス中に、透析液中のグルコース濃度が減少され、血液中で増加される。
【0279】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析治療の所望の効果に達するように、滞留時間が短くされる。いくつかの実施形態では、滞留時間は、注入される透析液が排出されるまで腹膜腔内にとどまる時間期間である。
【0280】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析効果が所望の範囲内である場合、例えば、クレアチニン及び/又は尿素の濃度が所望の範囲内であるときに、806で、患者及び/又は介護者に及び/又は医師に指示が送達される。
【0281】
いくつかの例示的な実施形態によれば、注入される透析液の組成及び/又は滞留時間の変化は、装置202のメモリに記憶される代替的な治療計画に基づいている。いくつかの実施形態では、装置は、透析治療を最適化するべく少なくとも1つの治療パラメータの及び/又は治療計画の修正を自動的に決定する。代替的に、装置は、少なくとも1つのパラメータの修正又は代替的な治療計画を患者に及び/又は介護者に提案する。
【0282】
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析効果は、Kt/Vの関数に基づいて判定され、式中、Kは、尿素のダイアライザクリアランスであり、tは、透析時間であり、Vは、尿素の分布容積である。随意的に、尿素の分布容積は、患者の総体液量に等しい。いくつかの実施形態では、関数及び/又は異なる関数変数の値又は値の範囲が装置のメモリ、例えば、
図2のメモリ212に記憶される。いくつかの実施形態では、透析効果は、随意的に、テーブル、又は関数変数の異なる閾値、又はKt/V関数又は関数結果に基づく機械学習を用いて装置のコントローラにより判定される。
【0283】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析効果は、ソフトウェアプログラミング及び/又は装置プログラミング及び/又は装置回路を用いて及び/又はニューロンネットワークを用いて判定される。代替的に又は加えて、透析効果は、随意的に装置のメモリに記憶されるテーブル及び/又は関数及び/又はルールに基づいて判定される。
【0284】
例示的な透析治療装置作動プロセス
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析システムの作動のためのプロセスを示す
図9Aへの参照を行う。
【0285】
いくつかの例示的な実施形態によれば、910で、ツインバッグ908のキャップが取り外される。いくつかの実施形態では、例えば、ツインバッグへの及びツインバッグからの流れを制御するべく、ツインバッグに手動クランプ902が付加される。随意的に、ツインバッグの各バッグにつき1つずつの、2つのクランプが付加される。いくつかの実施形態では、使い捨てポンプチュービング904が、ツインバッグに接続される。いくつかの実施形態では、ツインバッグは、装置、例えば、装置202又は装置102に接続される。いくつかの実施形態では、ツインバッグが装置に接続されるときに、例えば、ツインバッグとポンプチュービングとの間の流路を消毒するべく、消毒プロセスが開始される。
【0286】
いくつかの例示的な実施形態によれば、214で、カテーテルキャップが取り外され、916で、カテーテル、例えば、患者のカテーテルが装置に接続される。いくつかの実施形態では、カテーテルの接続中に、例えば、カテーテルとポンプチュービングとの間の流路を消毒するべく、消毒プロセスが開始される。いくつかの実施形態では、918で、ツインバッグの排液側のクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、920で、消毒ユニットが停止される。いくつかの実施形態では、922で、カテーテルフローバルブが開かれる。いくつかの実施形態では、例えば、排出された透析液が排液バッグに入ることを可能にするべく、924で、排液側のクランプが開かれる。
【0287】
いくつかの例示的な実施形態によれば、926で、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、ポンプ、例えば、蠕動ポンプは、ロータを排液バッグに向かう方向に回転させる。いくつかの実施形態では、排出された透析液が排液バッグへ流れる場合、ポンプは作動されたままである。いくつかの実施形態では、排出された透析液が流れない場合、930で、ポンプが停止される。
【0288】
いくつかの例示的な実施形態によれば、932で、カテーテルのクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、934で、シールが破壊される。いくつかの実施形態では、例えば、ポンプチュービングからの排出された透析液の洗浄を可能にするべく、シールが破壊される。いくつかの実施形態では、936で、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、ポンプは、ポンプチュービングを洗浄するのに所望の時間にわたって作動される。いくつかの実施形態では、所望の時間が経過するときに、940で、ポンプが停止される。いくつかの実施形態では、942で、排液側のクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、例えば、新鮮な透析液バッグとカテーテルとの間の流路を可能にするべく、944で、カテーテルフローバルブが開かれる。
【0289】
いくつかの例示的な実施形態によれば、946で、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、ポンプは、透析液がカテーテルへ流れる限り作動されたままである。いくつかの実施形態では、透析液が流れない場合、950で、ポンプが停止される。いくつかの実施形態では、例えば、ポンプチュービングからカテーテルを分離するべく、952で、カテーテルのクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、954で、透析液のクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、例えば、カテーテルへの及びカテーテルからのどのような流れも防ぐべく、956で、カテーテルフローバルブが閉じられる。
【0290】
いくつかの例示的な実施形態によれば、958で、カテーテルのクランプが解除される。いくつかの実施形態では、960で、カテーテルが解放又は接続解除される。いくつかの実施形態では、962で、カテーテルの開口部上にキャップが取り付けられる。いくつかの実施形態では、964で、消毒ユニットが停止される。
【0291】
いくつかの例示的な実施形態によれば、966で、排液側のクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、968で、ツインバッグが取り外される。いくつかの実施形態では、970で、排液バッグが排液される。いくつかの実施形態では、972で、排液バッグが廃棄される。
【0292】
いくつかの例示的な実施形態によれば、使い捨てポンプチュービング904も装置から接続解除される。いくつかの実施形態では、注入プロセスと排出プロセスとの間に新しい使い捨てポンプチュービングが装置に付加される。
【0293】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析システムの作動プロセスを示す
図9Bへの参照を行う。
【0294】
いくつかの例示的な実施形態によれば、901で、ポータブル腹膜透析使い捨て部分(PPDD)がパッキングから持ち出される。いくつかの実施形態では、903で、PPDDパッキングの滅菌が検査及び/又は判定される。いくつかの実施形態では、903で、パッキングの完全性を検査することによりパッキングの滅菌が判定される。いくつかの実施形態では、パッキングが滅菌の場合、905で、PPDDがパッキングから取り出される。
【0295】
いくつかの例示的な実施形態によれば、907で、PPDDがポータブル腹膜透析マシン(PPDM)へロードされる。いくつかの実施形態では、PPDMは、装置の耐久部分であり、PPDDは装置の使い捨て部分である。いくつかの実施形態では、909で、チュービングがパッキング、随意的に、使い捨てパッキングから持ち出される。いくつかの実施形態では、911で、チュービングが検査される。いくつかの実施形態では、913で、「プルリング」が滅菌パッキングから除去される。いくつかの実施形態では、チュービングがPPDDへロードされる。随意的に、チュービングは、PPDDのポンプロータと関連して配置される。
【0296】
いくつかの例示的な実施形態によれば、915で、チュービングがPPDDへロードされる。いくつかの実施形態では、917で、カテーテルキャップ、例えば、患者カテーテルキャップが取り外される。いくつかの実施形態では、919で、カテーテルがPPDDへロードされる。随意的に、カテーテルのロード中に、カテーテルがPPDDの消毒コネクタにより消毒される。
【0297】
いくつかの例示的な実施形態によれば、921で、PPDMの蓋が閉じられる。随意的に、蓋を閉めることでカテーテルの消毒プロセスが開始する。いくつかの実施形態では、923で、カテーテルフローバルブが開かれる。いくつかの実施形態では、925で、シール、例えば、「グリーン」シールが破壊される。随意的に、シールの破壊は、消毒溶液をカテーテルへ放出する。
【0298】
いくつかの例示的な実施形態によれば、927で、消毒タイマーが開始される。いくつかの実施形態では、929で、消毒タイマーが停止される。いくつかの実施形態では、消毒タイマーは、チュービングとカテーテルとの間の流路を消毒するのに十分な所望の時間を設定する。いくつかの実施形態では、931で、排液側のクランプが開かれる。いくつかの実施形態では、933で、例えば、腹膜腔から透析液を排出するべく、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、935で流体が排出される場合、ポンプは作動されたままである。いくつかの実施形態では、排出する流体が存在しない場合、937で、ポンプが停止される。
【0299】
いくつかの例示的な実施形態によれば、939で、カテーテルのクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、例えば、チュービングから残留する排出された透析液を一掃するべく、941で、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、943で、ポンプが随意的にタイマーにより少なくとも2秒間、例えば、2、3、4、5、6、7秒間及び/又は中間の時間、又はより長い時間にわたって作動される。代替的に、ポンプは、チュービング内に残留流体が存在しなくなるまで作動される。いくつかの実施形態では、945で、ポンプが停止される。いくつかの実施形態では、947で、排液側のクランプが閉められる。
【0300】
いくつかの例示的な実施形態によれば、カテーテルのクランプが解放される。いくつかの実施形態では、透析液のクランプが解放される。いくつかの実施形態では、例えば、カテーテルへの透析液の注入を可能にするべく、949で、ポンプが作動される。いくつかの実施形態では、951で、透析液がカテーテルへ流れる。いくつかの実施形態では、ポンプは、透析液がカテーテルへ流れる限り作動されたままである。いくつかの実施形態では、透析液がカテーテルへ流れないときに、953で、ポンプが停止される。随意的に、ポンプは、治療プロトコルの作動パラメータに従って停止される。いくつかの実施形態では、955で、カテーテルのクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、957で、透析液のクランプが閉められる。いくつかの実施形態では、959で、カテーテルフローバルブが閉じられる。
【0301】
いくつかの例示的な実施形態によれば、961で、PPDMの蓋が開かれる。いくつかの実施形態では、963で、すべてのクランプが開かれる。いくつかの実施形態では、965で、PPDDからカテーテルが解放される。いくつかの実施形態では、カテーテルの開口部上にキャップが取り付けられる。
【0302】
いくつかの例示的な実施形態によれば、969で、PPDDがPPDMから取り外される。いくつかの実施形態では、971で、ロータがPPDDから取り外される。いくつかの実施形態では、973で、排液バッグが排液される。いくつかの実施形態では、975で、排液バッグが廃棄される。随意的に、975で、PPDD又はチュービングだけが廃棄される。
【0303】
例示的な装置の対話及び機能
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析装置の対話及び機能を示す
図10への参照を行う。
【0304】
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析システム1002は、PPDMユニット、例えば、耐久ユニット1004と、PPDD使い捨てユニット1006とを備える。いくつかの実施形態では、耐久ユニット1004は、ケース、電源ユニット、例えば、バッテリ、ポンプモータ、例えば、電気ポンプモータ、及びモータインターフェースを備える。いくつかの実施形態では、耐久ユニットはさらに、少なくとも1つのセンサ、通信モジュール、及び、例えば、透析治療プロセス及びモータを制御するためのコントローラを備える。
【0305】
いくつかの例示的な実施形態によれば、使い捨てユニット1006は、キャリア、接続モジュール、随意的に、自動接続モジュールを備える。いくつかの実施形態では、接続モジュールはまた、消毒モジュールである。加えて、使い捨てユニット1006は、耐久ユニット1004のモータインターフェースにフィットするように形状設定及び寸法設定されるポンプロータを備える。いくつかの実施形態では、使い捨てユニット1006は、少なくとも1つのセンサ、例えば、治療の臨床パラメータ及び/又は装置1002に接続された患者の臨床パラメータを測定するための臨床センサを備える。
【0306】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置1002は、患者の臨床パラメータ、例えば、体重1008、血圧1010、及び/又は心拍数1009を測定する。いくつかの実施形態では、装置1002は、測定したパラメータ値及び他の情報を装置のメモリに又は遠隔メモリ1012に書き込む。いくつかの実施形態では、装置1002は、遠隔メモリ1012から治療計画及び治療パラメータを読み出す。加えて、装置は、記憶した情報を医師1016に及び/又は患者1018に送信する。いくつかの実施形態では、医師1016は、情報、例えば、提案される治療プロトコル又は提案されるプロトコル修正を、遠隔メモリ1012に又は直接に装置1002のメモリに送信する。
【0307】
例示的なシステム
本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療の送達のためのシステムを示す
図11への参照を行う。
【0308】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ポータブル腹膜透析システム(PPDS)、例えば、システム1100は、少なくとも1つのバッグ、例えば、透析液バッグ1103と、装置1102のコネクタに接続される排出された透析液のバッグ1104とを備える。いくつかの実施形態では、異なる患者カテーテルチューブ1106が、装置1102の異なるコネクタに接続される。
【0309】
本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析治療をモニタリングする及び/又は制御するためのシステムを示す
図12への参照を行う。
【0310】
いくつかの例示的な実施形態によれば、新しい透析液溶液の貯蔵区画1202が、フローブレーカ1208を介してコネクタ1205、例えば、yコネクタに接続される。いくつかの実施形態では、使用済み透析液の貯蔵区画が、フローブレーカ1206を介してコネクタ1205に接続される。いくつかの実施形態では、フローブレーカ208及び1205は、貯蔵区画とコネクタ1205との間の流路を閉鎖するのに用いられる。いくつかの実施形態では、コネクタ1205は、各区画への流路を自動的に消毒する。
【0311】
いくつかの例示的な実施形態によれば、コネクタ1205は、蠕動ポンプ1210のロータと関連付けられるポンプチュービングの遠位端に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ、例えば、圧力センサ1212が、ポンプチュービング内の流体の圧力を感知する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流量センサ、例えば、流量センサ1214が、ポンプチュービング内の流速及び/又は流体体積を感知する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの腹膜炎センサ、例えば、腹膜炎センサ1216が、前述のように腹膜腔内の腹膜炎の発生を感知する。いくつかの実施形態では、ポンプチュービング内の流体は、加熱ユニット1218を通過する。いくつかの実施形態では、加熱ユニット1218は、ポンプチュービング内の新鮮な透析液流体を、患者のカテーテルに注入される前に所望の温度に加熱する。
【0312】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者カテーテル1221は、患者の腹膜腔1222にコネクタ1120で接続する。いくつかの実施形態では、コネクタ1120は、ポンプチュービングの近位端に接続される。いくつかの実施形態では、コネクタ1120は、患者カテーテルをポンプチュービングの近位端に自動的に又は半自動的に接続する。加えて又は随意的に、コネクタ1120は、患者のカテーテルとポンプチュービングとの間の流路を自動的に又は半自動的に消毒する。
【0313】
例示的な透析液試験モジュール
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、透析液試験手段を示す
図13A~
図13Gへの参照を行う。
【0314】
いくつかの例示的な実施形態によれば、PPDDユニット、例えば、使い捨てユニット1301は、ポンプチュービングと、チュービング端にある少なくとも1つのコネクタ、例えば、消毒コネクタを備える。いくつかの実施形態では、ポンプチュービング1302は、ロータ1308と関連付けられ、少なくとも1つのコネクタ、例えば、チュービング1302の2つの端にあるコネクタ1304及び1314を備える。いくつかの実施形態では、流量調整器、例えば、クランプ、例えば、流量調整器1306及び1312が、チュービング1302上にコネクタの隣に配置される。いくつかの実施形態では、流量調整器が閉じられるときに、流体は、ポンプチュービングへ又はポンプチュービングから流れない。いくつかの実施形態では、流量調整器が少なくとも半開にされるときにのみ、流体がポンプチュービングに流入する及びポンプチュービングから流出することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流量調整器は、例えば、患者のカテーテルへの及び/又は患者のカテーテルから排液バッグへの、新鮮な透析液の流れを制御することを可能にする。
【0315】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの試験経路、例えば、チューブ1310及びチューブ1309は、例えば、ポンプチュービング1302からチューブ1310のうちの少なくとも1つへ又はチューブ1309へ流体を流すべく、ポンプチュービングに流体接続される。いくつかの実施形態では、試験経路のうちのいくつかは、排出された透析液を試験するために用いられ、試験経路のうちのいくつか、例えば、チューブ1309は、新鮮な透析液を試験するために用いられる。いくつかの実施形態では、試験経路のうちの1つへの流れは、弁又は流量調整器により制御される。随意的に、弁又は流量調整器は、腹膜透析装置、例えば、装置202により自動的に又は半自動的に制御される。
【0316】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13D及び
図13Eに示すように、試験経路、例えば、使い捨てユニット1316のチューブ1326及び1328のそれぞれは、スケール、例えば、スケール1330及び1331を備える。いくつかの実施形態では、スケール、例えば、カラースケールは、比色反応を用いて流体中の化学物質及び/又は生体要素のレベルを視覚的に推定するのに用いられる。いくつかの実施形態では、カラースケールは、透析液の色又は色の指示を含む。
【0317】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13F及び
図13Gに示すように、試験経路内の流体内容物が、少なくとも1つのセンサにより分析される。いくつかの実施形態では、PPDDユニット、例えば、装置1332の使い捨てユニット1334は、少なくとも1つの試験経路、例えば、チューブ1337及び1338を含む。いくつかの実施形態では、使い捨てユニット1334は、PPDMユニット、例えば、耐久ユニット1336の内部に配置される。いくつかの実施形態では、耐久ユニット1336は、使い捨てユニット1334が耐久ユニット1336の内部に配置されるときに、センサ1340が近位にあり、随意的に少なくとも1つの試験経路と位置合わせされるように配置される少なくとも1つのセンサを備える。いくつかの実施形態では、センサ1340は、随意的に特定の波長の光の吸光度を測定する。いくつかの実施形態では、センサ1340は分光光度計である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサ1340は、500~650nmの波長範囲内、例えば、500~600nmの範囲内、550~620nmの範囲内、530~630nmの範囲内、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の試験経路を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。加えて又は代替的に、センサ1340又は少なくとも1つの付加的なセンサは、150~350nmの波長範囲内、例えば、150~250nm、200~300nm、250~350nm、又は任意の中間波長範囲内、より小さい波長範囲内、又はより大きい波長範囲内の試験経路を通過する光の吸収及び/又は散乱を測定する。
【0318】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ又は試験要素は、例えば、ポンプチュービングへ流れる流体の化学特性及び/又は生物学的特性を測定するべく、試験経路に接続される。
【0319】
ポータブル腹膜透析装置の例示的な使い捨てユニット
いくつかの例示的な実施形態によれば、ポータブル腹膜透析システム(PPDS)は、ポータブル腹膜透析マシン(PPDM)、例えば、耐久ユニットと、ポータブル腹膜透析使い捨て部分(PPDS)、例えば、使い捨てユニットを備える。随意的に、PPDSは、ポータブル腹膜患者管理(PPPM)システムを備える。いくつかの実施形態では、耐久ユニットは、モータ、随意的に、電気モータ及び電気配線を備える。いくつかの実施形態では、使い捨てユニットは、少なくとも1つのコネクタ付きのチューブを備える。いくつかの実施形態では、使い捨てユニットは、使い捨て要素の少なくともほとんど、例えば、チューブと少なくとも1つのコネクタを耐久ユニットとは別個のハウジングに封入された状態に保つ単一のユニットとして形状設定及び寸法設定される。いくつかの実施形態では、別個のハウジングは、例えば、システムの使い捨て要素を保護しながら、使い捨てユニットと耐久ユニットとの容易な組み立てを可能にする。加えて、別個のハウジングは、ユーザによる使い捨て要素のさらなる組み立ての必要なしにすぐに使用できる製品として使い捨てユニットを販売することを可能にする。
【0320】
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る、別個のハウジングを備えるPPDSの使い捨てユニットを示す
図13H~
図13Mへの参照を行う。
【0321】
いくつかの例示的な実施形態によれば、PPDS装置の使い捨てユニット、例えば、使い捨てユニット1350は、チューブ1356と、少なくとも1つのコネクタ、例えば、チューブ1356の2つの端に存在するYセットコネクタ1358及びカテーテルコネクタ1360を備える。随意的に、コネクタのうちの少なくとも1つは、例えば、外部コネクタに接続されるときに殺菌材料が2つのコネクタ間の境界面と相互作用する自己殺菌コネクタである。加えて、使い捨てユニット1350は、ロータの翼の遠位端に位置する少なくとも1つの円筒形接触部材、例えば、円筒形接触部材1363を有するロータ1362を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの円筒形接触部材、随意的に、転動可能な円筒形接触部材が、チューブ1356の少なくとも一部と直接接触する。いくつかの実施形態では、使い捨て要素は、使い捨てユニットのハウジング、例えば、2部品ハウジングの内面に作製された、形状設定された溝又は凹部内に配置される。いくつかの実施形態では、溝又は凹部は、2部品ハウジングの少なくとも1つの部品の内面に、例えば、ベース部1352に作製される。いくつかの実施形態では、2部品ハウジングは、ベース部1352と適合するように形状設定及び寸法設定された相補的なカバー部1354を備える。いくつかの実施形態では、カバー部1354は、ベース部1352内の使い捨て要素の三次元形状又は外形の少なくとも一部と適合する溝又は凹部を備える。
【0322】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Iに示すように、ベース部1352とカバー部が使い捨てユニット1350のハウジング1352へ組み立てられる。いくつかの実施形態では、ハウジング1352の軸方向の長さ1366は、少なくとも10cm、例えば、12cm、15cm、19cm、20cm、25cm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。いくつかの実施形態では、ハウジング1351の幅1364は、少なくとも1cm、例えば、1.5cm、2cm、2.5cm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。
【0323】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ハウジングは、耐久ユニットへ容易に組み立てる及び/又は外部チューブを使い捨てユニットの少なくとも1つのコネクタへ容易に組み立てることができるように形状設定される。いくつかの実施形態では、例えば、
図13Jに示すように、カバー部1354の外面は、例えば、不適切な位置合わせに起因する組み立て間違いを低減するべく、使い捨てユニットのコネクタへの外部チューブの組み立て方向及び/又は耐久ユニットへの使い捨てユニットの組み立て方向を示すための少なくとも1つのマークを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマーク1353は、例えば、カバー部を示す。いくつかの実施形態では、カバー部1354は、ロータの上の開口部、例えば、開口部1355を備える。いくつかの実施形態では、開口部1355は、例えば、ロータの回転方向を見ることができるようにする。
【0324】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Kに示すように、ベース部1352は、耐久ユニットのモータシャフトを通すことができるように形状設定及び寸法設定された開口部1368を備える。いくつかの実施形態では、モータシャフトは、開口部1368を通り、ロータ、随意的に、使い捨てユニットのハウジング内の使い捨てロータに接続される。
【0325】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Lに示すように、ハウジングのカバー部1354は、少なくとも2つの接続部材1372及び1374、例えば、少なくとも2つのねじ付き留め具又はねじを介してハウジングのベース部1352に機械的に接続される。いくつかの実施形態では、ねじ付き留め具は、ねじ及び/又はボルトを含む。いくつかの実施形態では、2つの接続部材は、ピンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの接続部材のそれぞれは、カバー部の開口部、例えば、開口部1365を通して、ベース部の開口部、例えば、ベース部開口部1376へ貫入する。随意的に、ベース部開口部は、接続部材上の雄ねじと相補的な雌ねじを備える。
【0326】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Lに示すように、ロータ1362の翼のそれぞれ、例えば、翼1361は、ロータ翼の開口部及び円筒形接触部材1363の開口部を通るように形状設定及び寸法設定されたピン、ねじ、又はボルトにより、円筒形接触部材、例えば、円筒形接触部材1363に接続される。
【0327】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Mに示すように、組み立てられた使い捨てユニット1350は、ハウジングに、少なくとも2つの開口部である開口部1351及び1352を有する。いくつかの実施形態では、1つの開口部1353はカテーテルをカテーテルコネクタ1360に接続し、随意的に第2の開口部1351はYセットコネクタ1358を接続するように形状設定及び寸法設定される。いくつかの実施形態では、ハウジングの外面上の少なくとも1つのマークは、例えば、耐久ユニットへの使い捨てユニットの組み立て方向及び/又は向きを示す。
【0328】
使い捨てユニットと耐久ユニットの例示的な組み立て
ここで、本発明のいくつかの例示的な実施形態に係る、耐久ユニットへの使い捨てユニットの組み立てを示す
図13N~
図13Pへの参照を行う。
【0329】
いくつかの例示的な実施形態によれば、耐久ユニット、例えば、耐久ユニット1380は、随意的に内側アライナー、例えば、随意的にドア1382の内面に取り付けられる位置合わせスロット1384付きのドア1382を備える。いくつかの実施形態では、ドア1382の少なくとも一部は、例えば、使い捨てユニット、又は耐久ユニットの内部に配置される使い捨てユニットのロータの視覚化を可能にするべく透明である。いくつかの実施形態では、使い捨てユニット、例えば、使い捨てユニット1350は、例えば、
図13Nに示すように位置合わせスロット1384へ挿入されるように形状設定及び寸法設定される。いくつかの実施形態では、使い捨てユニット1350は、使い捨てユニット1350のハウジング上の少なくとも1つのマーク、例えば、
図13Jに示されたマーク1353により示される方向及び/又は向きに位置合わせスロットへ挿入される。
【0330】
いくつかの例示的な実施形態によれば、位置合わせスロット1384への使い捨てユニット1350の挿入後に、ドア1382が閉められる。いくつかの実施形態では、外部コネクタは、ドア1382を閉める前に又は位置合わせスロット1384への使い捨てユニット1350の挿入前に、開口部1351を通してYセットコネクタ1358に接続される。
【0331】
いくつかの例示的な実施形態によれば、例えば、
図13Oに示すように、ドア1382が閉められるときに、耐久ユニット1380のドロワ、例えば、ドロワ1386が耐久ユニットのハウジングから引き出される。随意的に、ドロワ1386は、ドア1382が閉じられるときに自動的に引き出される。いくつかの実施形態では、ドロワ1386は、カテーテル端1390を配置するための、上方開口部及び側方開口部1385、随意的に、U形側方開口部を備える。
【0332】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ドロワ1386が閉められるときに、カテーテル端1390がカテーテルコネクタ1360へ押し込まれる。いくつかの実施形態では、カテーテルがカテーテルコネクタ1360を通じて接続されるときに、随意的に透析装置1381により自動的に、消毒プロセスが開始される。
【0333】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析装置1381は、使い捨てユニットのチュービングを通して消毒材料を移動させ、透析液をシステムに接続されたカテーテルを通じて患者の腹膜の内外へ移動させるべく、モータ、例えば電気モータを作動する。いくつかの実施形態では、透析装置は、少なくとも1つのバッテリ、随意的に、再充電可能なバッテリを備える。いくつかの実施形態では、例えば、
図13Pに示すように、透析装置1381は、例えば、バッテリの充電を可能にするべく、再充電可能なバッテリに外部電源を接続するための充電プラグ1392を備える。代替的に、透析装置への外部電源の接続は、バッテリの代わりに又は加えて外部電源を用いて装置を作動することを可能にする。
【0334】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析装置1381のハウジングは、例えば、ベルト又はハーネスを透析装置に接続するための少なくとも1つのアダプタを備える。いくつかの実施形態では、ベルト又はハーネスは、透析装置を患者の身体部分に、例えば、患者の手、脚、肩、腿、及び/又は腰に固定するのに用いられる。
【0335】
いくつかの例示的な実施形態によれば、透析装置、例えば、透析装置1381、
図1に示された透析装置102、又は
図2に示された透析装置202は、ポータブルであり、ベルト、ハーネス、又は任意のアダプタにより患者の身体部分に固定されるように構成される。いくつかの実施形態では、透析装置は、モータ、例えば、電気モータと、バッテリ、随意的に、ロータに電気的に接続される再充電可能なバッテリとを含む耐久ユニットを備える。いくつかの実施形態では、耐久ユニットは、モータに及びバッテリに電気的に接続される制御回路を備える。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、バッテリの電力レベルに従ってモータの作動を制御する。いくつかの実施形態では、耐久ユニットは、少なくとも1つの人間が検出可能な指示、例えば、光指示及び/又は音指示による警告信号を提供するように構成された、制御回路に接続されるインターフェースを備える。いくつかの実施形態では、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときに、制御回路が、警告信号、例えば、バッテリを充電すること又はバッテリを交換することを示す信号を生成するべくインターフェースに信号を発する。代替的に又は加えて、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときに、制御回路はモータの動作を止める。
【0336】
いくつかの実施形態によれば、制御回路は、例えば、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときにモータを省電力モードで作動する。いくつかの実施形態では、制御回路は、随意的にモータを省電力モードで作動するときに、モータの少なくとも1つの作動パラメータ、例えば、回転速度及び/又は回転持続時間を修正する。いくつかの実施形態では、制御回路は、バッテリの電力レベルが所定の値よりも低いときにモータの作動を防ぐ。
【0337】
いくつかの実施形態によれば、バッテリが十分に充電されるときのバッテリの電力レベルは、少なくとも1つの透析治療セッション、例えば、2つの治療セッション、3つの治療セッション、4つの治療セッション、又は任意のより小さい数、中間数、又はより大きい数の治療セッションのために十分なものである。いくつかの実施形態では、治療セッションは、腹膜腔から透析液を少なくとも部分的に排出すること及び腹膜腔に新鮮な透析液を少なくとも部分的に注入することを含む。代替的に、治療セッションは、腹膜腔から透析液を少なくとも部分的に排出すること、腹膜腔に新鮮な透析液を少なくとも部分的に注入すること、及び腹膜腔内の透析液の滞留時間を含む。
【0338】
随意的に、透析装置は、ヒータ、例えば、透析液ヒータを含まない。いくつかの実施形態では、透析装置は、例えば、バッテリ電力を節約するために及び/又は透析システムの総重量を減らすためにヒータを含まない。
【0339】
いくつかの実施形態によれば、透析装置の重量は、500gr~5kg(5000gr)の範囲内、例えば、1kg、1.5kg、2kg、2.5kg、又は任意の中間重量、より小さい重量、又はより大きい重量である。随意的に、透析システムの重量は4000grを下回る。いくつかの実施形態では、装置の長さは、100mm~450mmの範囲内、例えば、100mm、150mm、170mm、200mm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。いくつかの実施形態では、装置の幅は、80mm~300mmの範囲内、例えば、100mm、130mm、150mm、又は任意の中間値、より小さい値、又はより大きい値である。
【0340】
いくつかの実施形態によれば、透析装置は、システムを患者の少なくとも1つの身体部分に、例えば、腰、脚、肩、又は腿に固定するように構成された少なくとも1つの接続部材、例えば、ハーネス、ベルト、又はアダプタを備える。
【0341】
取り外し可能なモジュールを有する例示的な腹膜透析システム
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、腹膜透析サイクラーベースを示す
図14A及び
図14Bへの参照を行う。
【0342】
いくつかの例示的な実施形態によれば、腹膜透析サイクラーベース、例えば、サイクラーベース1402は、制御ユニット1407付きのベースと、例えば、少なくとも1つのバッグ、例えば、バッグ1406及び1404をサイクラーベース1402に流体接続することを可能にするチュービングコネクタ1403とを備える。いくつかの実施形態では、バッグのそれぞれは、例えば、サイクラーベースからのバッグの取り外しを防ぐフック又はアンカー機構によりサイクラーベース1402に接続される。いくつかの実施形態では、サイクラーベース1402は、温度モニタリング及び/又は制御モジュール、例えば、バッグ内の流体温度をモニタリングするための及び/又は必要な場合に流体を加熱するためのモジュール1409を備える。
【0343】
いくつかの例示的な実施形態によれば、サイクラーベース1402は、制御ユニット1407により自動的に又は半自動的に制御される。いくつかの実施形態では、サイクラーベースは、バッグの中の流体又はチュービングを通って流れる流体の温度を制御する。
【0344】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に係る、取り外し可能な、随意的にポータブルの腹膜透析装置を示す
図14C及び
図14Dへの参照を行う。
【0345】
いくつかの例示的な実施形態によれば、取り外し可能な透析装置1408は、注入チューブ1412のための及び排出チューブ1414のための少なくとも2つのコネクタと、透析装置1408をサイクラーベース1402のチュービングコネクタ1403と流体接続するための少なくとも1つのコネクタを備える。いくつかの実施形態では、治療セッション、例えば、注入又は排出セッションが終わるときに、患者は、取り外し可能な装置1408とサイクラーベース1402を流体接続するチューブ1416を接続解除する。いくつかの実施形態では、取り外し可能な装置1408は、無線接続、例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、又は赤外線接続によりサイクラーベース1402に接続される。代替的に、取り外し可能な装置1408は、通信プラグによりサイクラーベース1402に接続される。
【0346】
いくつかの例示的な実施形態によれば、取り外し可能な装置1408は、サイクラー装置1402の制御ユニット1407から、サイクラー装置に接続されたバッグの数及び/又はそれらの内容物に関する情報を受信する。いくつかの実施形態では、取り外し可能な装置1408は、決定された治療プロトコルに基づいて又は決定された治療パラメータに従って、サイクラーベース1402に接続されたバッグから、透析液注入のための特定のバッグを選択する。いくつかの実施形態では、透析液を排出するときに、取り外し可能な装置1408が、排出する流体の流れをサイクラーベースに接続された選択されたバッグへ誘導するべくサイクラーベース1402に信号を発する。
【0347】
本出願から生じる特許権の存続期間中に、腹膜透析治療をモニタリングする及び制御するための多くの関連する装置が開発されることが予想され、腹膜透析装置という用語の範囲は、すべてのこのような新しい技術を先験的に含むことを意図している。
【0348】
量又は値に関連して本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、「~の±10%以内」を意味する。
【0349】
「備える」、「含む」、「有する」という用語、及びそれらの活用は、「~を含むがそれらに限定されない」を意味する。
【0350】
「からなる」という用語は、「~を含み且つそれらに限定される」を意味する。
【0351】
「本質的に~からなる」という用語は、付加的な成分、ステップ、及び/又は部分が特許請求される組成、方法、又は構造の基本的な新規な特徴を実質的に変えない場合にのみ、組成、方法、又は構造が、付加的な成分、ステップ、及び/又は部分を含み得ることを意味する。
【0352】
本明細書で用いられる場合の単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、複数形の言及を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0353】
本出願の全体を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示される場合がある。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためであって、本発明の範囲を確固として限定すると解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、具体的に開示されたすべての可能な部分範囲、並びに、該範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、「1~6」などの範囲の説明は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などの具体的に開示された部分範囲、並びに、該範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有すると考えられるべきである。これは範囲の広さに関係なく当てはまる。
【0354】
本明細書で数値範囲(例えば、「10~15」、「10から15」、又はこれらの別のこのような範囲指示により結び付けられる数字の任意のペア)が示されるときにはいつでも、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、範囲限界を含む示された範囲限界内の任意の数字(小数又は整数)を含むように意図されている。第1の指示数字と第2の指示数字との「範囲/範囲にわたる/との間の範囲」及び第1の指示数字から第2の指示数字「まで(「to」、「up to」、「until」、又は「through」」の「範囲/範囲にわたる/までの範囲」という文言(又は別のこのような範囲を示す用語)は、本明細書で交換可能に用いられ、第1の及び第2の指示数字とそれらの間のすべての小数及び整数の数字を含むように意図されている。
【0355】
他に指定のない限り、本明細書で用いられる数字及びそれに基づく任意の数字範囲は、当業者に理解されるように妥当な測定及び丸め誤差の精度内での概算である。
【0356】
本明細書で用いられる場合の「方法」という用語は、化学分野、薬理学分野、生物学分野、生化学分野、及び医療分野の医師に公知であるか又は公知の様態、手段、技術、及び手順から容易に開発される様態、手段、技術、及び手順を含むがこれらに限定されない所与のタスクを達成するための様態、手段、技術、及び手順を指す。
【0357】
本明細書で用いられる場合の「治療すること」という用語は、症状の進行を止めること、実質的に抑制すること、遅らせること、又は逆行させること、症状の臨床的又は審美的状態を実質的に寛解させること、又は症状の臨床的又は審美的状態の発現を実質的に防ぐことを含む。
【0358】
明確にするために別個の実施形態との関連で説明される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供され得ることが分かる。逆に、簡潔さのために単一の実施形態との関連で説明される本発明の種々の特徴はまた、別々に又は任意の適切な部分的組み合わせで又は本発明の任意の他の説明した実施形態において適切なように提供され得る。種々の実施形態との関連で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは効力がないというわけではない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と考えられるべきではない。