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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052899
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】窓アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20230404BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230404BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20230404BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J7/00 301D
G02F1/15 502
E06B9/24 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015481
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2021119155の分割
【原出願日】2017-05-04
(31)【優先権主張番号】62/333,103
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/340,936
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/352,508
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/379,163
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509335373
【氏名又は名称】ビュー, インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】195 S. Milpitas Blvd., Milpitas, CA 95035 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュリヴァスタヴァ、ダイリャ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ステファン クラーク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1の表面および第2の表面を有する透明なペインを含むスマートウィンドウを提供する。
【解決手段】集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体において、第2の表面S2に隣接する第1の透明導電性酸化物(TCO)層214と、第2のTCO層216と、第1のTCO層と第2のTCO層との間のECスタック212と、を含むエレクトロクロミックデバイス210は、第2の表面にわたって配設されており、第2の表面に配設された少なくとも1つのアンテナ構造体230、232を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に透明な状態と色合いが付けられた状態との間で遷移するよう構成されたスマートウィンドウであって、
第1の実質的に透明な伝導層と、
前記第1の実質的に透明な伝導層上のイオン貯蔵層と、
前記イオン貯蔵層の、前記第1の実質的に透明な伝導層と反対側の面上の電解質層と、
前記電解質層の、前記イオン貯蔵層と反対側の面上のエレクトロクロミック層と、
前記エレクトロクロミック層の、前記電解質層と反対側の面上の第2の実質的に透明な伝導層と、
無線電力伝送を受信し、且つ、前記受信した電力を使用して前記スマートウィンドウに、前記実質的に透明な状態と前記色合いが付けられた状態との間で遷移させるように構成されたアンテナ層と、を備え、
前記エレクトロクロミック層の前記第1の実質的に透明な伝導層上への正投影は、前記アンテナ層の前記第1の実質的に透明な伝導層上への正投影を実質的に覆う、スマートウィンドウ。
【請求項2】
前記アンテナ層は、前記受信した電力を使用して、前記実質的に透明な状態と前記色合いが付けられた状態との間の前記遷移に対し直接給電する、請求項1に記載のスマートウィンドウ。
【請求項3】
前記アンテナ層は、前記受信した電力を使用して、前記実質的に透明な状態と前記色合いが付けられた状態との間の前記遷移に対し給電するよう構成されたバッテリまたはキャパシタを充電する、請求項1に記載のスマートウィンドウ。
【請求項4】
前記アンテナ層は、前記受信した電力を使用して、前記スマートウィンドウに関連付けられている他のアクティブデバイスに対し給電する、請求項1から3のいずれか一項に記載のスマートウィンドウ。
【請求項5】
前記他のアクティブデバイスは、モーションセンサ、光センサ、ヒートセンサ、モイスチャセンサおよび/または無線通信センサを含む、請求項4に記載のスマートウィンドウ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Window Antennas」と題され、2016年5月6日に出願された米国仮特許出願第62/333,103号、「Window Antennas」と題され、2016年5月24日に出願された米国仮特許出願第62/340,936号、「Window Antennas」と題され、2016年6月20日に出願された米国仮特許出願第62/352,508号、および「Window Antennas」と題され、2016年8月24日に出願された米国仮特許出願第62/379,163号の利益を主張するものであり、それらの出願のすべては、あらゆる目的で、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2014年11月25日に出願され、「Window Antenna」と題された米国仮特許出願第62/084,502号の利益を主張する、2015年11月24日に出願されたPCT特許出願番号PCT/US15/62387の一部継続であり、これらの出願の両方は、それらの全体が参照により、またあらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、建物または他の構造体用のエレクトロクロミック窓に使用され得るエレクトロクロミックデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロクロミズムとは、材料が、異なる電子状態に刺激されたとき、1つ以上の光学的性質における可逆性電気化学的媒介変化を呈する現象である。エレクトロクロミック材料、およびそれらから作られたデバイスは、例えば、家庭用、商業用、または他の用途の窓に組み込まれ得る。このようなエレクトロクロミック窓の色、透過率、吸光度、または反射率は、エレクトロクロミック材料における変化を誘発することによって、例えば、エレクトロクロミック材料にわたって電圧を印加することによって、変更され得る。このような能力は、窓を通過し得る様々な波長の光の強度に対する制御を可能にすることができる。例えば、窓のエレクトロクロミックデバイスに印加された第1の電圧が、窓を暗くさせ得、一方第2の電圧が、窓を明るくさせ得る。
【0004】
エレクトロクロミックデバイスは、ほとんどの制御可能な光学的に切り替え可能なデバイスのように、光学遷移を駆動し、かつ/または光学状態を維持するように、電気刺激の印加(例えば、制御式印加電圧および/もしくは電流の形態における)を制御するための電気接続を含む。エレクトロクロミックデバイスは、窓表面などの表面の面を覆う極めて薄い層として実装されることが多い。このようなデバイスは、通常、エレクトロクロミック電極を覆い、デバイスの面にわたり印加電圧を分布させて、完全かつ効率的な光透過をもたらす、多くの場合、1つ以上の層の形態における透明な導体を含む。
【発明の概要】
【0005】
本開示の1つの態様は、デバイスまたはデバイスを含む資産の場所をモニタリングすることに関係し、ここでは、デバイスは、アンテナによって検出されるように構成されている。デバイスまたは資産をモニタリングするための方法は、(a)1つ以上の第1のアンテナがデバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断することであって、1つ以上のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、(b)1つ以上の第1のアンテナによる第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第1の場所を判断することと、(c)(a)の後に、1つ以上の第2のアンテナがデバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断することであって、1つ以上の第2のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、(d)少なくとも1つ以上の第2のアンテナによる第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第2の場所を判断することと、(e)デバイスが前記第1の場所から前記第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を含む。
【0006】
代替的に、特定の実施形態において、デバイスまたは資産をモニタリングするための方法は、(a)デバイスが1つ以上のアンテナから第1の電磁伝送を受信したと判断することであって、1つ以上の第1のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、(b)デバイスによる第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第1の場所を判断することと、(c)(a)の後に、デバイスが1つ以上の第2のアンテナから第2の電磁伝送を受信したと判断することであって、1つ以上の第2のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、(d)デバイスによる第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第2の場所を判断することと、(e)デバイスが、第1の場所から第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を含み得る。
【0007】
これらの方法は、様々なさらなる動作、またはさらなる動作の組み合わせを含み得る。例えば、デバイスが第1の場所から第2の場所に移動する際に仮想境界を越えたと判断した後に、警告が送信され得、または、警報がトリガされ得る。別の例において、デバイスが第1の場所から第2の場所に移動する際に仮想境界を越えたと判断した後に、デバイスの場所および/または移動が、補助システムに送信され得る。補助システムは、セキュリティシステム、建物管理システム、建物用の照明システム、在庫システム、および安全システムであり得る。さらに別の例において、デバイスが第1の場所から第2の場所に移動する際に仮想境界を越えたと判断した後、デバイスの移動が阻止され得る。
【0008】
場合によっては、(e)仮想境界が、時間、デバイスもしくは資産のタイプ、および/またはデバイスもしくは資産に関連する個人に付与された許可に基づいて変わる前に、仮想境界の場所が判断され得る。場合によっては、仮想境界の場所は、修正またはリセットされ得る。場合によっては、デバイスの第1の場所は、約1m以下、約10cm以下、または約5cm以下の解像度まで判断され得る。
【0009】
第1および第2のアンテナは、第1および第2の電磁伝送の伝送または受信を制御する論理を有する少なくとも1つのネットワークコントローラまたはマスタコントローラを有するネットワークの一部であり得る。これらの場合のうちのいくつかにおいて、マスタコントローラは、(b)および(d)における第1および第2の電磁伝送の受信からの情報を使用して、デバイスが第1の場所から第2の場所へ移動する際に仮想境界を越えたか否かを判断する。
【0010】
デバイスは、1つ以上の通信プロトコルにおいて動作するように構成され得る。例えば、デバイスは、Bluetooth(登録商標)ビーコンを発生させるように構成された伝送機、またはWi-Fi(登録商標)信号、Zigbee(登録商標)信号、もしくは超広帯域(UWB:Ultra-WideBand)信号を伝送するように構成された伝送機を有し得る。デバイスが、パルスベースの超広帯域(UWB)信号を伝送および/または受信するように構成されたマイクロ位置特定チップを有する場合があり、パッシブまたはアクティブの無線周波数識別(RFID:Radio Frequency IDentification)タグを有する場合もある。場合によっては、デバイスは、モバイルデバイスであり得る。
【0011】
デバイスの場所が、本明細書に説明される様々な手段によって判断され得る。例えば、既知の場所にある1つ以上の第1のアンテナからの信号の到着時間を測定することによって、受信信号の強度を測定して、1つ以上の第1および/または第2のアンテナに対するデバイスの近接性を判断することによって、かつ/またはデバイスによって感知された慣性情報または磁気情報を使用することによって、デバイスの第1および/または第2の場所が判断され得る。場合によっては、GPSデータを使用することなく、デバイスの第1および/または第2の場所が判断され得る。
【0012】
場合によっては、第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つは、モノポールアンテナ、ストリップラインもしくはパッチアンテナ、シェルピンスキーアンテナ、またはフラクタルアンテナであり得る。場合によっては、第2のアンテナのうちの少なくとも1つは、第1のアンテナのうちの少なくとも1つと同じである。アンテナは、異なる角度関係で到着する信号を受信するように配向され得る。場合によっては、光学的に切り替え可能な窓のうちの少なくとも1つの表面にグランドプレーンが設けられ得る。場合によっては、モニタリング対象の資産は、医療デバイスまたは医療用品であり得る。
【0013】
本開示の別の態様は、それぞれが1つ以上の第1のアンテナを有する1つ以上の第1の受信機を介して、電力がエレクトロクロミックデバイスに送達されるようになっている建物上に配置されたエレクトロクロミックデバイスへの無線伝送によって電力を送達する方法に関係する。無線電力送達は、伝送機に、電磁伝送によって電力を第1のアンテナのうちの1つ以上に無線伝送させ、その無線伝送された電力を、第1のアンテナのうちの1つ以上を有する第1の受信機のうちの1つ以上において、受信することによって行われる。無線伝送された電力を受信する第1のアンテナは、エレクトロクロミックデバイスを含む1つ以上のエレクトロクロミック窓上に、かつ/またはエレクトロクロミックデバイスを制御するように構成された1つ以上の窓コントローラ上に配置され得る。
【0014】
この方法は、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを有する1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上のさらなるエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、(b)において、電力を1つ以上の第2のアンテナに無線伝送することと、(c)において、その無線伝送された電力を1つ以上の第2の受信機において受信することであって、1つ以上の第2の受信機が第2のアンテナのうちの1つ以上を有する、受信することと、をさらに含み得る。場合によっては、伝送機に、第1および第2のアンテナ間で、電力を伝送することを交互に行わせることによって、(b)において、無線電力が伝送され得る。
【0015】
場合によっては、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを有する1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上の非エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、(b)において、電力を1つ以上の第2のアンテナに無線伝送することと、(c)において、その無線伝送された電力を、1つ以上の第2の受信機において受信することであって、1つ以上の第2の受信機が第2のアンテナのうちの1つ以上を有する、受信することと、も含み得る。
【0016】
場合によっては、この方法は、さらなる動作または動作の組み合わせを含む。例えば、方法は、受信電力でエレクトロクロミックデバイスの光学遷移を駆動すること、受信電力をバッテリまたはコンデンサに貯蔵し、バッテリまたはコンデンサに貯蔵された電力を放電して、エレクトロクロミックデバイスの光学遷移を駆動すること、および/または、受信機のうちの1つ以上において受信された無線伝送された電力が、エレクトロクロミックデバイスの光学遷移に給電するために使用されるか、またはエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵されるかを判断すること、を含み得る。
【0017】
場合によっては、受信機は、整流器および変換器を含み得る。場合によっては、電力がエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することが、マイクロ位置特定チップを使用してエレクトロクロミックデバイスの位置を判断することを含む。場合によっては、1つ以上の第1のアンテナは、約1mm~25mmである長さおよび幅の寸法を有するパッチアンテナである。
【0018】
1つ以上の第1のアンテナが、第2のアンテナのうちの1つ以上である場合があり、1つ以上の第1の受信機が、第2の受信機のうちの1つ以上である場合もある。場合によっては、伝送機は、建物内の規定の場所に、建設的干渉パターンを形成する電磁伝送を同時に送達するように構成されたアンテナアレイを含む。
【0019】
本開示の別の態様は、電磁遮蔽用に使用され得る窓に関係する。窓は、(a)第1の表面および第2の表面を有する1つ以上の透明なライトと、(b)1つ以上のライトの第1の表面上に配置され、かつ第2の表面に隣接する第1の導電層、第2の導電層、および第1の導電層と第2の導電層との間のエレクトロクロミック層を含むエレクトロクロミックデバイス(ECD:ElectroChromic Device)と、(c)1つ以上のライトの第1の表面または第2の表面にわたって配設された少なくとも1つの導電アンテナ構造体と、(d)少なくとも1つの隣接する反射防止層を有する、少なくとも1つの導電層(例えば、銀層)を有する電磁遮蔽体であって、1つ以上のライトの第1の表面、第2の表面、または別の表面間に、またはそれに隣接して位置している、電磁遮蔽体と、を含む。
【0020】
実施形態によっては、電磁遮蔽体は、それぞれが少なくとも1つの隣接する反射防止層を有する少なくとも2つの導電層を含み得、反射防止層は、互いに物理的に接触していない。
【0021】
本開示の別の態様は、窓構造体に関する。窓は、(a)第1の表面および第2の表面を有する1つ以上の透明なライトと、(b)1つ以上のライトの第1の表面上に配置され、かつ第2の表面に隣接する第1の伝導層、第2の伝導層、および第1の伝導層と第2の伝導層との間のエレクトロクロミック層を含むエレクトロクロミックデバイス(ECD)と、(c)少なくとも1つの反射防止層とともに、少なくとも1つの導電層を有する電磁遮蔽膜であって、1つ以上のライトの第1の表面、第2の表面、または別の表面に載置される、またはそれに隣接している、電磁遮蔽膜と、を含む。
【0022】
実施形態によっては、電磁遮蔽膜は、(1)電磁遮蔽層は、それぞれが少なくとも1つの隣接する反射防止層を有する少なくとも2つの導電層を有し、反射防止層は、互いに物理的に接触していない、(2)電磁遮蔽膜の少なくとも導電層が銀層である、(3)電磁遮蔽膜は、ライトに載置されているときには、約25~1000μmの総厚を有する、(4)電磁遮蔽膜は、1つ以上のライトの第1の表面、第2の表面、または別の表面に載置されていないときには可撓性である、といった項目のうちの1つ以上によって説明される。
【0023】
実施形態によっては、導電層は、少なくとも2つの金属副層または金属合金副層を含む。これらの金属副層または金属合金副層のうちの1つ以上は、屈折率整合副層であり得る。
【0024】
本開示の別の態様は、デバイスまたはデバイスを含む資産の場所をモニタリングするためのシステムに関し、デバイスは、アンテナによって検出されるように構成される。システムは、建物における光学的に切り替え可能な窓および/窓コントローラ上に配置された複数のアンテナと、位置特定論理であって、(a)複数のアンテナのうちの1つ以上の第1のアンテナがデバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断することと、b)1つ以上の第1のアンテナによる第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第1の場所を判断することと、(c)(a)の後に、複数のアンテナのうちの1つ以上の第2のアンテナがデバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断することと、(d)少なくとも1つ以上の第2のアンテナによる第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第2の場所を判断することと、(e)デバイスが第1の場所から第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を行うように構成された、位置特定論理と、を有するネットワークを含む。
【0025】
実施形態によっては、位置特定論理は、デバイスが第1の場所から第2の場所に仮想境界を越えたと判断した後に、警告を送信し、警報をトリガし、かつ/または補助システムと通信するように構成され得る。実施形態によっては、位置特定論理は、時間、ユーザに付与された許可、および/またはユーザに付与された許可に基づいて、仮想境界を調節するように構成され得る。
【0026】
実施形態によっては、デバイスの第1および/または第2の場所は、約1メートル以下、または場合によっては、約10cm以下の解像度まで判断され得る。デバイスの第1および/または第2の場所を判断することは、受信信号の強度を測定して、1つ以上の第1および/または第2のアンテナに対するデバイスの近接性を判断することを含み得る。代替的にまたはさらに、デバイスの第1および/または第2の場所を判断することは、デバイスによって感知される慣性情報または磁気情報を使用することを含み得る。
【0027】
実施形態によっては、第1および第2のアンテナは、位置特定論理を含む少なくとも1つのネットワークコントローラまたはマスタコントローラを有するネットワークの一部である。実施形態によっては、第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つは、モノポールアンテナ、ストリップラインもしくはパッチアンテナ、シェルピンスキーアンテナ、またはフラクタルアンテナである。実施形態によっては、第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つは、光学的に切り替え可能な窓のうちの少なくとも1つの表面上に配置されたグランドプレーンを含む。場合によっては、デバイスは、パルスベースの超広帯域(UWB)信号を伝送および/または受信するように構成されたマイクロ位置特定チップを含む。
【0028】
本開示の別の態様は、無線伝送により、電力をエレクトロクロミックデバイスに送達するためのシステムに関する。このシステムは、(a)電磁伝送によって電力を無線伝送するための伝送機と、(b)それぞれが1つ以上の第1のアンテナを有する1つ以上の第1の受信機であって、1つ以上の第1のアンテナが、(i)エレクトロクロミックデバイスを含む1つ以上のエレクトロクロミック窓上に、かつ/または(ii)エレクトロクロミックデバイスを制御するように構成された窓コントローラ上に配置されている、1つ以上の第1の受信機と、(c)電力が1つ以上の第1の受信機を介してエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断して、伝送機に、電磁伝送によって第1のアンテナのうちの1つ以上に電力を無線伝送させるように構成またはプログラムされた論理デバイスと、を含む。
【0029】
実施形態によっては、論理デバイスは、電力が、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを有する1つ以上の第2の受信機を介して、1つ以上のさらなるエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断するように構成またはプログラムされ得る。電力が1つ以上のさらなるエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断されると、論理デバイスは、伝送機に、第1および第2のアンテナ間で、電力を伝送することを交互に行わせ得る。
【0030】
実施形態によっては、論理デバイスは、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを有する1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上の非エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断するように構成またはプログラムされる。実施形態によっては、論理デバイスは、受信機のうちの1つ以上において受信された無線伝送された電力が、エレクトロクロミックデバイスの光学遷移に給電するのに使用されるか、またはエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵されるかを判断するように構成またはプログラムされる。
【0031】
本開示の別の態様は、デバイスまたはデバイスを含む資産の場所をモニタリングするためのシステムに関し、デバイスは、アンテナによって検出されるように構成される。このシステムは、建物における光学的に切り替え可能な窓および/窓コントローラ上に配置された複数のアンテナと、位置特定論理であって、(a)複数のアンテナのうちの1つ以上の第1のアンテナがデバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断することと、(b)1つ以上の第1のアンテナによる第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第1の場所を判断することと、(c)(a)の後に、複数のアンテナのうちの1つ以上の第2のアンテナがデバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断することと、(d)少なくとも1つ以上の第2のアンテナによる第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、デバイスの第2の場所を判断することと、(e)デバイスが第1の場所から第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を行うように構成された位置特定論理と、を有するネットワークを含む。
【0032】
本開示の特定の態様は、コンピュータ上で実行されると、ユーザとインタフェースし、ユーザが考えられる資産のリストから望ましい資産を選択することを可能にするインタフェースを提示する格納された命令を有し、位置特定論理から資産の第1の場所または第2の場所(いずれかその時点の場所)を受信し、かつユーザを第1の場所または第2の場所に案内するための命令を、ユーザインタフェース上に表示するコンピュータプログラム製品に関係する。
【0033】
本開示の別の態様は、エレクトロクロミックデバイスコーティングと、金属層を含む遮蔽スタックとを含む絶縁ガラスユニット(IGU:Insulated Glass Unit)に関し、遮蔽スタックは、金属層を接地することによって電磁放射を遮断するように選択的に制御される。IGUは、IGUとの間で情報および/または無線電力を受信および/または伝送するためのアンテナを有し得る。場合によっては、金属層は、アンテナ用のグランドプレーンとして働く。
【0034】
実施形態によっては、エレクトロクロミックデバイスコーティングおよび遮蔽体スタックは、少なくとも1つの共通層を共有する。実施形態によっては、金属層は、エレクトロクロミックデバイスコーティングの光学遷移を制御するようにも構成される窓コントローラによって選択的に接地され得る。実施形態によっては、IGUの1つまたは両方のライトは、積層構造体を有する。場合によっては、エレクトロクロミックデバイスは、非積層のライト上にあり、遮蔽スタックは、積層ライト上にある。場合によっては、エレクトロクロミックデバイスおよび遮蔽スタック両方が、積層デバイス上にある。
【0035】
窓アンテナのこれらおよび他の特徴は、関連の図面を参照して「発明を実施するための形態」でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】複数のエレクトロクロミック窓を制御し、駆動するためのシステムの例の描写を示す。
図1B】複数のエレクトロクロミック窓を制御し、駆動するためのシステムの別の例の描写を示す。
図1C】いくつかの実装形態による、複数のIGUを制御するように動作可能なネットワークシステム120の例のブロック図を示す。
図1D】EC窓コントローラの概略図である。
図2A】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2B】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2C】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2D】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2E】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2F】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2G】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2H】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2I】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図2J】いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送する、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3A】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3B】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3C】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3D】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3E】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3F】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3G】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3H】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3I】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図3J】いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出す、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図4A】いくつかの実装形態による、内部環境および外部環境との間で信号を送受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図4B】いくつかの実装形態による、内部環境および外部環境との間で信号を送受信することができる集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図5A】いくつかの実装形態による、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図5B】いくつかの実装形態による、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の断面図を示す。
図6A】いくつかの実装形態による、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造の例の平面図を示す。平面図は、例えば、壁または建物正面に設置された窓を有する部屋に立っている建物の占有者が見て、窓の全体像の正面から捉えられる。
図6B】いくつかの実装形態による、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造の例の平面図を示す。平面図は、例えば、壁または建物正面に設置された窓を有する部屋に立っている建物の占有者が見て、窓の全体像の正面から捉えられる。
図7A】いくつかの実装形態による、集積多構造アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の上面図を示す。
図7B】いくつかの実装形態による、集積多構造アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の上面図を示す。
図7C】板状逆Fアンテナ(PIFA:Planar Inverted-F Antenna)配設の上面図を示す。
図7D】板状逆Fアンテナ(PIFA)配設の断面図を示す。
図8A】シェルピンスキーフラクタル窓アンテナについての例および情報を示す。
図8B】シェルピンスキーフラクタル窓アンテナについての例および情報を示す。
図8C】シェルピンスキーフラクタル窓アンテナについての例および情報を示す。
図8D】いくつかの実装形態による、集積フラクタルベースのアンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の上面図を示す。
図8E】いくつかの実装形態による、集積フラクタルベースのアンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体の例の上面図を示す。
図9A】窓用のモノポールアンテナの例の簡略図を示す。
図9B】複数のアンテナがライトおよび/または他の窓構造体上に設けられる実施形態の例を示す。
図9C】複数のアンテナがライトおよび/または他の窓構造体上に設けられる実施形態の例を示す。
図9D】パッチアンテナとグランドプレーンストリップとがライトの同じ表面上に配置されることの例を示す。
図10A】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図10B】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図10C】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図10D】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図10E】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図10F】アンテナ構造体とグランドプレーンとに別々の接続を提供するための様々な相互接続構造体を示す。
図11A】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11B】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11C】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11D】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11E】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11F】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11G】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図11H】アンテナコントローラ(受信機論理および/または伝送機論理)が、場合によっては窓コントローラとともに、窓上に設けられ、窓上のアンテナ素子と通信するための信号を送達するように配設される、設計を示す。
図12】いくつかの実装形態による、集積アンテナを有するエレクトロクロミック窓構造体アレイの例を示す。
図13A】従来のセルタワーネットワークと、アンテナガラスが嵌められた建物がセルタワーとして働くセルラネットワークとをそれぞれ描写する。
図13B】従来のセルタワーネットワークと、アンテナガラスが嵌められた建物がセルタワーとして働くセルラネットワークとをそれぞれ描写する。
図14A】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14B】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14C】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14D】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14E】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14F】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図14G】窓アンテナを使用して、建物または他の施設における切り替え可能な窓を立ち上げるための特定の実施形態の態様を描写する。
図15A】建物内のデバイス/ユーザの移動をモニタリングするのに構成された窓/コントローラネットワークの様々な例を描写する。
図15B】建物内のデバイス/ユーザの移動をモニタリングするのに構成された窓/コントローラネットワークの様々な例を描写する。
図15C】建物内のデバイス/ユーザの移動をモニタリングするのに構成された窓/コントローラネットワークの様々な例を描写する。
図15D】建物内のデバイス/ユーザの移動をモニタリングするのに構成された窓/コントローラネットワークの様々な例を描写する。
図16】電磁遮蔽をもたらすのに、IGU構造体において使用され得る2つの遮蔽スタックを描写する。
図17】無線電力伝送用に構成されている部屋の室内を描写する。
図18】無線電力送達用の伝送機の構成要素を示す。
図19】無線電力送達用の受信機の構成要素を示す。
図20】2つの導電層を有する遮蔽スタック、および3つの導電層を有する遮蔽スタックを示す。
図21】電磁遮蔽をもたらすのに、ライトの表面に載置され得る遮蔽膜を描写する。
【0037】
様々な図面における類似の参照番号および名称は、類似の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の「発明を実施するための形態」は、開示された態様を説明する目的で、特定の実施形態または実装形態を対象とする。しかしながら、本明細書における教示は、多くの様々なやり方で適用、実装され得る。以下の「発明を実施するための形態」では、添付図面を参照する。開示された実装形態は、当業者に、実装形態を実施することを可能にさせるように十分詳細に説明されているが、これらの例が限定的ではなく、他の実装形態が使用されてもよく、また開示された実装形態に、それらの趣旨および範囲を逸脱することなく変更がなされてもよいことが理解されるべきである。なお、開示された実施形態は、エレクトロクロミック窓(スマートウィンドウとも呼ばれる)に焦点を当てるが、本明細書に開示された概念は、例えば、とりわけ、液晶デバイスおよび懸濁粒子デバイスを含む他のタイプの切り替え可能な光学デバイスに適用し得る。例えば、エレクトロクロミックデバイスではなく、液晶デバイスまたは懸濁粒子デバイスがが、開示された実装形態のうちのいくつかまたはすべてに組み込まれる可能性がある。さらに、「or(または)」という接続詞は、本明細書では、特に断りのない限り、適宜、両立的意味にあることが意図され、例えば、「A、B or C(A、B、またはC)」という句は、「A」、「B」、「C」、「AおよびB」、「BおよびC」、「AおよびC」、および「A、B、およびC」の可能性を含むことが意図される。
【0039】
窓コントローラネットワーク
図1Aは、複数のエレクトロクロミック窓102を制御し、駆動するためのシステム100の例の描写を示す。システム100は、本明細書の他の個所で説明される1つ以上の窓アンテナの動作を制御するのにも採用され得る。システム100は、商業用オフィスビルまたは住宅用建物などの建物104での使用に適合され得る。実装形態によっては、システム100は、建物104全体、または建物104の構内用の単一の全体的かつ効率的なエネルギー制御システムとして、最新の暖房、換気、および空調(HVAC:Heating Ventilation、and Air Conditioning)システム106、内部照明システム107、セキュリティシステム108、および電力システム109と連携して機能するように設計される(以下、「のように設計された」、「のように適合された」、「のように構成された」、「のようにプログラムされた」、「のように動作可能である」、および「ができる」は、適宜、同じ意味で使用され得る)。システム100のいくつかの実装形態は、ビルマネジメントシステム(BMS:Building Management System)110との統合に特によく適している。BMS110は、建物に設置されて、HVACシステム、照明システム、電力システム、エレベータ、火災システム、およびセキュリティシステムなどのその建物の機械設備および電気設備をモニタリングし、制御することができるコンピュータベースの制御システムである。BMS110は、占有者によって、または建物管理者もしくは他の担当者によって設定された嗜好に従って、建物104における状態を維持するためのハードウェア、および関連のファームウェアまたはソフトウェアを含むことができる。ソフトウェアは、例えば、インターネットプロトコルまたはオープンスタンダードに基づくものとすることができる。
【0040】
BMSは、通常、大きな建物において使用され得、そこでは、BMSは、その建物内の環境を制御する機能を果たす。例えば、BMS110は、建物104内の照明、温度、二酸化炭素レベル、および湿度を制御することができる。例えば炉または他のヒータ、エアコン、送風機、および通気孔を含む、BMS110によって制御される多数の機械デバイスまたは電気デバイスが、そこにあることができる。建物環境を制御するために、BMS110は、ルールに従って、または条件に応じて、これらの様々なデバイスをオン、オフにすることができる。このようなルールおよび条件は、例えば、建物管理者または担当者によって、選択または指定され得る。BMS110の1つの主要な機能は、暖房および冷房のエネルギー損失およびエネルギー費用を最小限に抑えながら、建物104の占有者にとって快適な環境を維持することである。実装形態によっては、BMS110は、例えば、エネルギーを節約し、建物運用費用を削減するために、モニタリングし、制御するだけではなく、様々なシステム間の相乗効果を最適化するように構成され得る。
【0041】
いくつかの実装形態は、代替的にまたはさらに、例えば、熱センサ、光センサ、もしくは他のセンサを通して、あるいは、例えば、HVACシステムもしくは内部照明システムからの入力、またはユーザ制御からの入力を通して感知されたフィードバックに基づき、応答的にまたは反応的に機能するように設計される。さらなる情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2014年4月22日に発行された米国特許第8,705,162号において確認され得る。実装形態によっては、伝統的なまたは従来のHVACまたは内部照明システムを有する、商業用構造体および住宅用構造体両方を含む既存の構造体に利用されることも可能である実装形態によっては、古い住宅での使用に後付けされることも可能である。
【0042】
システム100は、複数の窓コントローラ114を制御するように構成されたネットワークコントローラ112を含む。例えば、ネットワークコントローラ112は、数十、数百、または数千でも窓コントローラ114を制御することができる。今度は、各窓コントローラ114が、1つ以上のエレクトロクロミック窓102を制御し、駆動することができる。実装形態によっては、ネットワークコントローラ112は、エレクトロクロミック窓の最終色合い状態などの高レベルの命令を発行し、窓コントローラは、これらのコマンドを受信して、電気刺激を印加することによって、色合い状態遷移を適宜駆動しかつ/または色合い状態を維持するように、それらの窓を直接制御する。各窓コントローラ114が駆動することができるエレクトロクロミック窓102の枚数およびサイズは、それぞれのエレクトロクロミック窓102を制御する窓コントローラ114上の負荷の電圧特性および電流特性によってほぼ制限される。実装形態によっては、各窓コントローラ114が駆動することができる最大窓サイズは、所望の時間フレーム内でエレクトロクロミック窓102における所望の光学遷移を引き起こすための電圧、電流、または電力の所要量によって制限される。このような所要量は、一方で、窓の表面積の関数である。実装形態によっては、この関係は、非線形である。例えば、電圧、電流、または電力の所要量は、エレクトロクロミック窓102の表面積と非線形に上がることがある。例えば、場合によっては、第1の伝導層214および第2の伝導層216(例えば、図2A参照)のシート抵抗が、第1または第2の伝導層の長さおよび幅にわたる距離に従って非線形に上がることから、この関係は、少なくとも部分的に、非線形である。しかしながら、実装形態によっては、等しいサイズおよび形状の複数のエレクトロクロミック窓102を駆動するのに必要とされる電圧、電流、または電力の所要量間の関係は、駆動されるエレクトロクロミック窓102の枚数に正比例する。
【0043】
図1Bは、複数のエレクトロクロミック窓102を制御し、駆動するためのシステム100の別の例の描写を示す。図1Bに示されるシステム100は、図1Aを参照して示され、説明されたシステム100と同様である。図1Aのシステムとは対照的に、図1Bに示されるシステム100は、マスタコントローラ111を含む。マスタコントローラ111は、複数のネットワークコントローラ112と通信し、それと連携して機能し、これらのネットワークコントローラ112のそれぞれは、図1Aを参照して説明された複数の窓コントローラ114をアドレス指定することができる。実装形態によっては、マスタコントローラ111は、高レベルの命令(エレクトロクロミック窓の最終色合い状態など)をネットワークコントローラ112に発行し、次に、ネットワークコントローラ112が、この命令を対応する窓コントローラ114に伝達する。
【0044】
実装形態によっては、建物または他の構造体の様々なエレクトロクロミック窓102および/またはアンテナが、それぞれがエレクトロクロミック窓102の部分集合を含む、ゾーンまたはゾーン群にグループ分けされるのが有利である。例えば、各ゾーンは、それらの場所に基づき、同じまたは同様の光学的状態に色合いが付けられる必要がある建物の具体的な場所またはエリアにおけるエレクトロクロミック窓102のセットに対応し得る。より具体的な例として、北面、南面、東面、および西面といった4つの面または側を有する建物を考えてみる。建物が10階建てであることも考えてみる。このような教説的な例では、各ゾーンは、特定の階に、また4つの面のうちの特定の1つにあるエレクトロクロミック窓102のセットに対応することができる。実装形態によっては、各ネットワークコントローラ112は、1つ以上のゾーンまたはゾーン群をアドレス指定することができる。例えば、マスタコントローラ111は、特定のゾーンまたはゾーン群に対する最終色合い状態コマンドを、ネットワークコントローラ112のうちのそれぞれ1つ以上に発行することができる。例えば、最終色合い状態コマンドは、目標ゾーンのそれぞれの抽象的な識別情報を含むことができる。次に、最終色合い状態コマンドを受信する指定のネットワークコントローラ112が、ゾーンの抽象的な識別情報を、ゾーンにおけるエレクトロクロミック窓102に印加される電圧または電流のプロファイルを制御する、それぞれの窓コントローラ114の固有のネットワークアドレスにマッピングすることができる。
【0045】
エレクトロクロミック窓が、例えば、1つ以上の目的のために構成されたアンテナを有し得るという追加の態様では、色合い付け目的用の窓のゾーンは、アンテナ関係の機能用のゾーンに対応してもしなくてもよい。例えば、マスタおよび/またはネットワークコントローラが、色付け目的用の窓の2つの別個のゾーン、例えば建物の片側の窓の2つの階を特定し得、この場合、各階は、顧客の嗜好に基づいて異なる色合い付けアルゴリズムを有する。同時に、これらの2つの色合い付けゾーンは、アンテナ伝送および/または受信目的用の単一のゾーンであり得、「アンテナゾーン」は、単独でかゾーンとしてかを問わず、他の窓を含み得る。アンテナ-ECガラスは、色合い付け可能なコーティングとアンテナとの別々の機能を提供することにより、幅広い機能性を有効にする。アンテナは、色合い付け可能なコーティング機能だけでなく、本明細書でより詳細に説明される他の機能も果たし得る。
【0046】
光学的に切り替え可能な窓および関連のアンテナ用のネットワークシステムの態様は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年10月29日に出願された米国仮特許出願第62/248,181号にさらに説明されている。
【0047】
多くの場合、光学的に切り替え可能な窓は、建物の外被のかなりの部分を形成または占めることができる。例えば、光学的に切り替え可能な窓は、会社のオフィスビル、他の商業用ビル、または住宅用建物の壁、ファサード、また屋根でさえものかなりの部分を形成することができる。様々な実装形態において、光学的に切り替え可能な窓を制御するに、コントローラの分散型ネットワークが使用されることが可能である。図1Cは、いくつかの実装形態による、窓アンテナを有する複数のIGU302を制御するように動作可能なネットワークシステム300の例のブロック図を示す。例えば、IGU302のそれぞれは、図1Aおよび図1Bを参照して上に説明されたIGU100と同じまたは同様とすることができる。ネットワークシステム300の1つの主要な機能は、IGU302内のECD(または他の光学的に切り替え可能なデバイス)の光学的状態および/または窓アンテナの伝送特性および/または受信特性を制御することである。実装形態によっては、窓302のうちの1つ以上は、例えば、各窓が2つ以上の独立して制御可能なECDまたはゾーンを含む、マルチゾーン化窓とすることができる。様々な実装形態において、ネットワークシステム300は、IGU302に提供される電力信号の電気特性を制御するように動作可能である。例えば、ネットワークシステム300は、IGU302内のECDに印加される電圧を制御するための色合い付け命令(本明細書では「色合いコマンド」とも呼ばれる)を発生させ、伝達することができる。
【0048】
実装形態によっては、ネットワークシステム300の別の機能には、IGU302からステータス情報(以下、「情報」は、「データ」と同じ意味で使用される)を取得することがある。例えば、所与のIGUのステータス情報には、IGU内のECDの識別情報、またはECDのその時の色合い状態についての情報を含めることができる。ネットワークシステム300は、IGU302上またはIGU302内に統合されるか、建物内、建物上、またはその周りの様々な他の場所に位置するかを問わず、温度センサ、フォトセンサ(本明細書では光センサとも呼ばれる)、湿度センサ、空気流量センサ、または占有センサなどの様々なセンサ、およびアンテナからデータを取得するようにも動作可能であり得る。
【0049】
ネットワークシステム300は、様々な能力または機能を有する任意の適切な個数の分散型コントローラを含むことができる。実装形態によっては、様々なコントローラの機能および配設が、階層的に規定される。例えば、ネットワークシステム300は、複数の分散型窓コントローラ(WC:Window Controller)304、複数のネットワークコントローラ(NC:Network Controller)306、およびマスタコントローラ(MC:Master Controller)308を含む。実装形態によっては、MC308は、数十または数百のNC306と通信し、それらを制御することができる。様々な実装形態において、MC308は、1つ以上の有線リンクまたは無線リンク316(以下、総称して「リンク316」と呼ばれる)上で、NC306に高レベルの命令を発行する。命令には、例えば、それぞれのNC306によって制御されるIGU302の光学的状態における遷移を引き起こすための色合いコマンドを含めることができる。今度は、各NC306が、1つ以上の有線リンクまたは無線リンク314(以下、総称して「リンク314」と呼ばれる)上で、いくつかのWC304と通信し、それらを制御することができる。例えば、各NC306は、数十または数百のWC304を制御することができる。今度は、各WC304が、1つ以上の有線リンクまたは無線リンク312(以下、総称して「リンク312」と呼ばれる)上で、1つ以上のそれぞれのIGU302と通信するか、それを駆動するか、それとも制御することができる。
【0050】
MC308は、色合いコマンド、ステータス要求コマンド、データ(例えば、センサデータ)要求コマンド、または他の命令を含む通信を発行することができる。実装形態によっては、MC308は、ある所定の時刻に(曜日または年によって変わることがある)、あるいは特定の事象、状態、または事象もしくは状態の組み合わせの検出に基づいて(例えば、取得されたセンサデータによって、あるいはユーザによって、またはアプリケーションもしくはこのようなセンサデータとこのような要求との組み合わせによって開始された要求の受信に基づいて、決定されるに従って)、このような通信を周期的に発行することができる。実装形態によっては、MC308が、1つ以上のIGU302から成るセットにおける色合い状態変化を引き起こすことを決定すると、MC308は、所望の色合い状態に対応する色合い値を発生させるか、または選択する。実装形態によっては、IGU302のセットは、第1のプロトコル識別子(ID:IDentifier)(例えば、BACnet ID)と関連付けられる。次に、MC308は、色合い値および第1のプロトコルIDを含む、本明細書では「一次色合いコマンド」と呼ばれる通信を発生させ、第1の通信プロトコル(例えば、BACnet互換プロトコル)を介してリンク316上で伝送する。実装形態によっては、MC308は、特定の1つ以上のWC304を制御する特定のNC306に一次色合いコマンドをアドレス指定し、今後は、その1つ以上のWC304が、IGU302のセットを遷移するように制御する。NC306は、色合い値および第1のプロトコルIDを含む一次色合いコマンドを受信し、この第1のプロトコルIDを1つ以上の第2のプロトコルIDにマッピングする。実装形態によっては、第2のプロトコルIDのそれぞれが、WC304のうちの対応する1つを識別する。NC306は、続いて、色合い値を含む二次色合いコマンドを、第2の通信プロトコルを介してリンク314上で、識別されたWC304のそれぞれに伝送する。実装形態によっては、次に、二次色合いコマンドを受信したWC304のそれぞれが、色合い値に基づいて内部メモリから電圧プロファイルまたは電流プロファイルを選択して、そのそれぞれに接続されたIGU302を色合い値と一致する色合い状態に駆動する。次に、WC304のそれぞれが、電圧信号または電流信号を発生させ、それを、そのそれぞれに接続されたIGU302にリンク312上で提供し、電圧プロファイルまたは電流プロファイルを印加する。
【0051】
実装形態によっては、様々なIGU302は、それぞれがIGU302の部分集合を含む、EC窓ゾーンにグループ分けされ得るのが有利である。実装形態によっては、各IGU302ゾーンは、1つ以上のそれぞれのNC306と、これらのNC306によって制御される1つ以上のそれぞれのWC304とによって制御される。いくつかのより具体的な実装形態において、各ゾーンは、単一のNC306と、この単一のNC306によって制御される2つ以上のWC304とによって制御され得る。別の言い方をすれば、ゾーンは、IGU302の論理上のグループ分けに相当することができる。例えば、各ゾーンは、それらの場所に基づいてともに駆動される、建物の具体的な場所またはエリアにおけるIGU302のセットに対応し得る。より具体的な例として、北面、南面、東面、および西面といった、4つの面または側を有する建物を考えてみる。また建物が、10階建てであることも考えてみる。このような教説的な例では、各ゾーンは、特定の階に、また4つの面のうちの特定の1つにあるエレクトロクロミック窓100のセットに対応することができる。さらにまたは代替的に、各ゾーンは、1つ以上の物理的特性(例えば、サイズまたは年数などのデバイスパラメータ)を共有するIGU302のセットに対応し得る。実装形態によっては、IGU302のゾーンは、例えば、セキュリティ指定または業務階層(例えば、管理者のオフィスと境を接するIGU302は、1つ以上のゾーンにグループ分けされ得る一方、非管理者のオフィスと境を接するIGU302は、1つ以上の異なるゾーンにグループ分けされ得る)などの1つ以上の非物理的特性に基づきグループ分けされ得る。
【0052】
このような実装形態によっては、各NC306は、IGU302のすべてを1つ以上のそれぞれのゾーンのそれぞれにアドレス指定することができる。例えば、MC308は、一次色合いコマンドを、目標ゾーンを制御するNC306に発行することができる。一次色合いコマンドには、目標ゾーンの抽象的な識別情報(以下、「ゾーンID」とも呼ばれる)を含めることができる。このような実装形態によっては、ゾーンIDは、ちょうど上の例で説明されたものなどの第1のプロトコルIDとすることができる。このような場合、NC306が、色合い値およびゾーンIDを含む一次色合いコマンドを受信し、そのゾーンIDを、ゾーン内のWC304に関連付けられた第2のプロトコルIDにマッピングする。他の実装形態によっては、ゾーンIDは、第1のプロトコルIDよりも高いレベルの抽象化とすることができる。このような場合、NC306は、最初に、ゾーンIDを1つ以上の第1のプロトコルIDにマッピングし、続いて、その第1のプロトコルIDを第2のプロトコルIDにマッピングすることができる。本明細書に提示されるネットワークの例は、光学的に色合い付け可能な窓を制御するための色合いコマンドに関係するが、これらの例は、IGUに関連する窓アンテナにおけるアンテナ動作を制御するためのコマンドにも関係すると理解されるべきである。
【0053】
ユーザまたは第三者のネットワークとのインタラクション
実装形態によっては、MC308は、1つ以上の有線リンクまたは無線リンク318(以下、「リンク318」)を介して、1つ以上の外向きネットワーク310(以下、総称して「外向きネットワーク310」と呼ばれる)に結合される。このような実装形態によっては、MC308は、取得されたステータス情報またはセンサデータを、外向きネットワーク310における、または外向きのネットワーク310によってアクセス可能な遠隔のコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、データベースに伝達することができる。実装形態によっては、このような遠隔デバイス内で実行する、第三者アプリケーションまたはクラウドベースのアプリケーションを含む様々なアプリケーションが、MC308からのデータにアクセスする、またはMC308にデータを提供することができる。実装形態によっては、正規のユーザまたはアプリケーションは、様々なIGU302の色合い状態を修正するという要求を、ネットワーク310を介してMC308に伝達することができる。実装形態によっては、MC308は、色合いコマンドまたはアンテナ制御コマンドを発行する前に、まず、この要求を認めるべきか否かを判断することができる(例えば、電力考慮事項に基づいてか、またはユーザが相応の承認を有しているか否かに基づいて)。次に、MC308は、色合い値を計算するか、決定するか、選択するか、それとも発生させて、この色合い値を、一次色合いコマンドまたは他のコマンドで伝送して、関連のIGU302における色合い状態遷移を引き起こすことができる。
【0054】
例えば、ユーザは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)などのコンピューティングデバイスからこのような要求を送ることができる。このような実装形態によっては、ユーザのコンピューティングデバイスは、MC308と、また場合によっては、MC308内で実行するマスタコントローラプリケーションと通信することができるクライアント側アプリケーションを実行することができる。他の実装形態によっては、クライアント側アプリケーションは、MC308と同じまたは異なる物理デバイスまたは物理システムにおいて、別個のアプリケーションと通信することができ、次に、この別個のアプリケーションが、マスタコントローラアプリケーションと通信して、所望の色合い状態修正をもたらす。実装形態によっては、ユーザを認証し、ユーザによって送られた要求を承認するのに、マスタコントローラアプリケーションまたは他の別個のアプリケーションが使用され得る。実装形態によっては、ユーザは、色合いが付けられるIGU302を選択するか、または特定のやり方でそれらのアンテナを制御してもらい(例えば、Wi-Fiサービスを有効にするために)、クライアント側アプリケーションを介して部屋番号を入力することによって、選択したものをMC308に知らせることができる。
【0055】
さらにまたは代替的に、実装形態によっては、ユーザのモバイルデバイスまたは他のコンピューティングデバイスは、様々なWC304と無線で通信することができる。例えば、ユーザのモバイルデバイス内で実行するクライアント側アプリケーションは、色合い状態制御信号を含む無線通信をWC304に伝送して、WC304に接続されたそれぞれのIGU302の色合い状態または他の状態を制御することができる。例えば、ユーザは、クライアント側アプリケーションを使用して、ユーザが占有している(または、将来のある時点でユーザまたは他者が占有することになる)部屋に隣接するIGU302の色合い状態または他の状態を維持または修正することができる。このような無線通信は、様々な無線ネットワークトポロジおよびプロトコル(図6Aおよび図6BのWC600を参照して以下により詳細に説明される)を使用して、発生するか、フォーマットされるか、または伝送され得る。
【0056】
このような実装形態によっては、ユーザのモバイルデバイス(または他のコンピューティングデバイス)からそれぞれのWC304に送信された制御信号が、それぞれのNC306からWC304によって以前に受信された色合い値または他の値を上書きすることができる。言い換えれば、WC304は、色合い値に基づいてではなく、ユーザのコンピューティングデバイスからの制御信号に基づいて、印加電圧をIGU302に与えることができる。例えば、WC304に格納され、WC304によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、正規ユーザのコンピューティングデバイスからの1つ以上の制御信号がNC306から受信された色合い値に優先することを指図することができる。需要が高い場合などの他の場合によっては、NC306からの色合い値などの制御信号は、ユーザのコンピューティングデバイスからWC304によって受信されるいずれの制御信号にも優先し得る。他の場合によっては、制御アルゴリズムまたはルールセットは、特定のユーザ、またはユーザグループもしくはユーザクラスのみからの色合い上書きが、このようなユーザに付与された許可とともに、場合によっては、時刻またはIGU302の場所を含む他の要素にも基づいて、優先し得ることを規定し得る。
【0057】
実装形態によっては、正規ユーザのコンピューティングデバイスからの制御信号の受信に基づいて、MC308は、既知のパラメータの組み合わせについての情報を使用して、場合によっては、電力考慮事項にも注意を払いながら、典型的なユーザにとって望ましい照明状態をもたらす色合い値を計算するか、決定するか、選択するか、それとも発生させることができる。他の実装形態によっては、MC308は、コンピューティングデバイスを介して色合い状態または他の状態の変化を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザに対して定められた事前設定嗜好に基づいて、色合い値または他の値を判断することができる。例えば、ユーザは、色合い状態または他の状態の変化を要求するのに、パスワードを入力するか、それともログインするか、または承認を得るように要求され得る。このような場合、MC308は、パスワード、セキュリティトークンに基づいて、または特定のモバイルデバイスもしくは他のコンピューティングデバイスの識別子に基づいて、ユーザの同一性を判断することができる。ユーザの同一性を判断した後、次に、MC308は、そのユーザ用の事前設定嗜好を検索し、この事前設定嗜好を、単独で、または他のパラメータ(電力考慮事項、または様々なセンサからの情報など)と併せて使用して、色合いを付けるか、それともそれぞれのIGU302を制御するのに使用するための色合い値を発生させ、伝送することができる。
【0058】
壁デバイス
実装形態によっては、ネットワークシステム300は、壁スイッチ、調光器、または他の色合い状態制御デバイスも含むことができる。このようなデバイスは、壁載置式実装形態に限定される必要はないが、以下、総称して「壁デバイス」とも呼ばれる(例えば、このようなデバイスは、天井または床に位置することも、または机もしくは会議テーブル上もしくは内に統合されることも可能である)。例えば、建物のオフィス、会議室、または他の部屋のうちのいくつかまたはすべてが、隣接するIGU302の色合い状態を制御する際に使用するために、このような壁デバイスを含むことができる。例えば、特定の部屋に隣接するIGU302が、ゾーンにグループ化され得る。壁デバイスのそれぞれは、部屋に隣接するIGU302の色合い状態、または他の関数もしくはパラメータを制御するように、エンドユーザ(例えば、それぞれの部屋の占有者)によって操作され得る。例えば、その日の特定の時刻に、外側から部屋に入る光エネルギー量を低減するために(例えば、AC冷房要求を低減するめに)、隣接するIGU302が、暗い状態に色合いが付けられ得る。ここで、ユーザがその部屋を使用することを望んでいると仮定する。様々な実装形態において、ユーザは、暗い状態からより明るい色合い状態への色合い状態遷移を引き起こすための制御信号を伝達するように壁デバイスを操作することができる。
【0059】
実装形態によっては、各壁デバイスは、ユーザに、部屋に隣接するIGU302の特定の色合い状態を選択すること、またはIGU302のその時の色合い付けレベルを上げるまたは下げることを可能にさせる、1つ以上のスイッチ、ボタン、調光器、ダイヤル、または他の物理ユーザインタフェース制御を含むことができる。さらにまたは代替的に、壁デバイスは、ユーザに、特定の色合い状態を選択することを可能にさせる(例えば、仮想ボタンを選択することによって、ドロップダウンメニューから選択することによって、または色合いレベルもしくは色合い付けパーセンテージを入力することによって)、または、色合い状態を修正することを可能にさせる(例えば、「暗くする」仮想ボタン、「明るくする」仮想ボタンを選択することによって、または仮想ダイヤルを回すか、もしくは仮想バーをスライドさせることによって)タッチスクリーンインタフェースを有するディスプレイを含むことができる。他の実装形態によっては、壁デバイスは、ユーザに、スマートフォン、マルチメディアデバイス、タブレットコンピュータ、または他のポータブルコンピューティングデバイス(例えば、カリフォルニア州クパチーノのApple(登録商標)、Inc.製のIPHONE(登録商標)、IPOD(登録商標)、またはIPAD(登録商標))などのポータブルデバイスを、物理的かつ通信可能にドッキングさせることを可能にさせるドッキングインタフェースを含むことができる。このような実装形態では、ユーザは、後でドッキングインタフェースを通して壁デバイスによって受信され、続いてMC308、NC306、またはWC304に伝達される、ポータブルデバイスへの入力を介して色合い付けレベルを制御することができる。このような実装形態では、ポータブルデバイスは、壁デバイスによって提示されるAPIと通信するためのアプリケーションを含み得る。
【0060】
例えば、壁デバイスは、色合い状態変化の要求をMC308に伝送することができる。実装形態によっては、MC308は、最初に、要求を認めるべきか否かを判断することができる(例えば、電力考慮事項に基づいて、またはユーザが相応の承認/許可を有するか否かに基づいて)。次に、MC308は、色合い値を計算するか、判断するか、選択するか、それとも発生させ、この色合い値を一次色合いコマンドで伝送して、隣接するIGU302における色合い状態遷移を引き起こすことができる。このような実装形態によっては、各壁デバイスは、1つ以上の有線リンクを介してMC308と接続され得る(例えば、CANもしくはイーサネット(登録商標)互換回線などの通信回線上で、または電力線通信技法を使用する電力線上で)。他の実装形態によっては、各壁デバイスは、1つ以上の無線リンクを介してMC308と接続され得る。他の実施形態によっては、壁デバイスは、顧客向きネットワークなどの外向きネットワーク310と接続され得(例えば、1つ以上の有線接続または無線接続を介して)、次に、この外向きネットワーク310が、リンク318を介してMC308と通信する。壁デバイスは、単独で、またはアンテナ構成型エレクトロクロミック窓とともに、セルラ信号リピータとして働き得る。
【0061】
実施形態によっては、MC308は、壁デバイスをIGU302と関連付ける以前にプログラムされたか、または見つけられた情報に基づいて、壁デバイスに関連付けられたIGU302を識別することができる。実装形態によっては、MC308に格納され、MC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、壁デバイスからの1つ以上の制御信号が、MC308によって以前に発生した色合い値に優先することを規定することができる。需要が高い時間(例えば、高い電力需要)などの他の場合によっては、MC308に格納され、MC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、MC308によって以前に発生した色合い値が、壁デバイスから受信されたいずれの制御信号にも優先することを規定することができる。
【0062】
他の実装形態または場合によっては、壁デバイスからの色合い状態変更要求または制御信号の受信に基づいて、MC308は、場合によっては、電力考慮事項にも注意を払いながら、既知のパラメータの組み合わせについての情報を使用して、典型的なユーザにとって望ましい照明状態をもたらす色合い値を発生させることができる。他の実装形態によっては、MC308は、壁デバイスを介して色合い状態変化を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザ用に定められた事前設定嗜好に基づいて、色合い値を発生させることができる。たとえば、ユーザは、壁デバイスへのアクセスを獲得するのに、パスワードを壁デバイスに入力するよう、またはIBUTTONもしくは他の1-Wireデバイスなどのセキュリティトークンもしくはセキュリティフォブを使用するよう要求され得る。このような場合、MC308は、パスワード、セキュリティトークン、またはセキュリティフォブに基づいて、ユーザの同一性を判断し、このユーザ用の事前設定嗜好を検索し、この事前設定嗜好を、単独で、または他のパラメータ(電力考慮事項、または様々なセンサからの情報など)と併せて使用して、それぞれのIGU302用の色合い値を計算するか、判断するか、選択するか、それとも発生させることができる。
【0063】
他の実装形態によっては、壁デバイスは、色合い状態変更要求を相応のNC306に伝送することができ、次に、このNC306が、この要求かまたはこの要求に基づいた通信をMC308に伝達する。例えば、各壁デバイスは、MC308に対してちょうど説明されたものなどの1つ以上の有線リンクを介して、または無線リンク(以下に説明されるものなどの)を介して、対応するNC306と接続され得る。他の実装形態によっては、壁デバイスは、要求を相応のNC306に伝送することができ、次に、このNC306が、以前にMC308から受信された一次色合いコマンド、または以前にNC306によって発生した一次もしくは二次の色合いコマンドを上書きすべきか否かを自ら判断する(以下に説明されるように、NC306は、実装形態によっては、最初に、MC308から色合いコマンドを受信することなく、色合いコマンドを発生させることができる)。他の実装形態によっては、壁デバイスは、要求または制御信号を、隣接するIGU302を制御するWC304に直接伝達することができる。例えば、各壁デバイスは、MC308に対してちょうど説明されたものなどの1つ以上の有線リンクを介して、または無線リンク(図6Aおよび図6BのWC600を参照して以下に説明されるものなど)を介して、対応するWC304と接続され得る。
【0064】
いくつかの具体的な実装形態において、壁デバイスからの制御信号が、以前にNC306によって発生した色合い値よりも優先されるべきであるか否を判断するのは、NC306である。上に説明されたように、実装形態によっては、壁デバイスは、NC306と直接通信することができる。しかしながら、他の実装形態によっては、壁デバイスは、要求を、MC308に直接、またはWC304に直接伝達することができ、次に、このMC308またはWC304が、この要求をNC306に伝達する。なお他の実装形態において、壁デバイスは、要求を顧客向きネットワーク(建物の所有者または運営者によって管理されるネットワークなどの)に伝達することができ、次に、この顧客向きネットワークが、この要求(またはそれに基づく要求)を、直接にでも、MC308経由で間接にでも、NC306に渡す。実装形態によっては、NC306に格納され、NC306によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、壁デバイスからの1つ以上の制御信号が、以前にNC306によって発生した色合い値に優先することを規定することができる。需要が高い時間(例えば、高い電力需要)などの他の場合によっては、NC306に格納され、NC306によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、NC306によって以前に発生した色合い値が、壁デバイスから受信されたいずれの制御信号にも優先することを規定することができる。
【0065】
MC308に関連して上に説明されたように、他の実施形態によっては、壁デバイスからの色合い状態変更要求または制御信号の受信に基づいて、NC306は、場合によっては電力考慮事項にも注意を払いながら、既知のパラメータの組み合わせについての情報を使用して、典型的なユーザにとって望ましい照明状態をもたらす色合い値を発生させることができる。他の実装形態によっては、NC306は、壁デバイスを介して色合い状態変更を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザ用に定められた事前設定嗜好に基づいて、色合い値を発生させることができる。MC308に関連して上に説明されたように、ユーザは、壁デバイスへのアクセスを獲得するのに、壁デバイスにパスワードを入力するよう、またはIBUTTONもしくは1-Wireデバイスなどのセキュリティトークンもしくはセキュリティフォブを使用するよう要求され得る。このような場合、NC306は、MC308と通信して、パスワード、セキュリティトークン、またはセキュリティフォブに基づいてユーザの同一性を判断し、ユーザ用の事前設定嗜好を検索し、この事前設定嗜好を、単独で、または他のパラメータ(電力考慮事項、または様々なセンサからの情報など)と併せて使用して、それぞれのIGU302用の色合い値を計算するか、判断するか、選択するか、それとも発生させることができる。
【0066】
実装形態によっては、MC308は、外部データベース(または「データストア」もしくは「データウェアハウス」)320に結合される。実装形態によっては、データベース320は、有線ハードウェアリンク322を介してMC308と結合されたローカルデータベースとすることができる。他の実装形態によっては、データベース320は、内部プライベートネットワークを介して、または外向きネットワーク310上で、MC308によってアクセス可能な遠隔データベースまたはクラウドベースのデータベースとすることができる。実装形態によっては、他のコンピューティングデバイス、システム、またはサーバも、例えば外向きネットワーク310を介して、データベース320に格納されたデータを読み取るためのアクセスを有することができる。さらに、実装形態によっては、1つ以上の制御アプリケーションまたは第三者アプリケーションも、外向きネットワーク310を介して、データベースに格納されたデータを読み取るためのアクセスを有することができる。場合によっては、MC308は、MC308によって発行され色合い値を含むすべての色合いコマンドの記録を、データベース320に格納する。MC308は、ステータスデータおよびセンサデータを収集し、それをデータベース320に格納することもできる。このような場合、WC304は、IGU302からセンサデータおよびステータスデータを収集し、これらのセンサデータおよびステータスデータを、リンク316を介したMC308への伝達に向けて、それぞれのNC306にリンク314を介して伝達することができる。さらにまたは代替的に、NC306またはMC308そのものが、建物内の光センサ、温度センサ、または占有センサとともに、建物上か、その周りか、それともその外部に(例えば、建物の屋根上に)位置付けられた光センサまたは温度センサなどの様々なセンサに接続されることも可能である。実装形態によっては、NC306またはWC304はまた、ステータスデータまたはセンサデータを、格納に向けて、データベース320に直接伝送することができる。
【0067】
他のシステムまたはサービスとの統合
実施形態によっては、ネットワークシステム300は、建物全体または建物の構内用の一体型で効率的なエネルギー制御システムとして、最新の暖房、換気、および空調(HVAC)システム、内部照明システム、セキュリティシステム、または電力システムと連携して機能するように設計されることも可能である。ネットワークシステム300のいくつかの実装形態は、ビルマネジメントシステム(BMS)324との統合に適している。BMSは、大まかに言えば、HVACシステム(炉または他のヒータ、エアコン、送風機、および通気孔を含む)、照明システム、電力システム、エレベータ、火災システム、およびセキュリティシステムなどの建物の機械装備および電気装備をモニタリングし、制御するために、建物に設置され得るコンピュータベースの制御システムである。BMSは、占有者によって、または建物管理者などによって設定された嗜好に従って、建物における状態を維持するためのハードウェア、ならびに関連のファームウェアおよびソフトウェアを含むことができる。ソフトウェアは、例えば、インターネットプロトコルまたはオープンスタンダードに基づくものとすることができる。BMSは、通常、大きな建物で使用され得、そこでは、BMSは、建物内部の環境を制御する機能を果たす。例えば、BMSは、建物内部の照明、温度、二酸化炭素レベル、および湿度を制御することができる。建物環境を制御するために、BMSは、ルールに従って、または条件に応じて、様々な機械デバイスおよび電気デバイスをオンまたはオフにすることができる。このようなルールおよび条件は、例えば、建物管理者または担当者によって、選択または明示され得る。BMSの1つの機能は、暖房および冷房のエネルギー損失およびエネルギー費用を最小限に抑えながら、建物の占有者にとって快適な環境を維持することである。実装形態によっては、BMSは、モニタリングし、制御するだけでなく、例えばエネルギーを節約し、建物運用費用を低減するために、様々なシステム間の相乗効果を最適化するようにも構成され得る。
【0068】
さらにまたは代替的に、ネットワークシステム300のいくつかの実装形態は、スマートサーモスタットサービス、警告サービス(例えば、火災検出)、セキュリティサービス、または他の器具オートメーションサービスとの統合に適している。ホームオートメーションサービスの一例としては、カリフォルニア州パロアルトのNest Labs製のNEST(登録商標)がある(NEST(登録商標)は、カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle Inc.の登録商標である)。本明細書において使用される際、BMSへの言及は、実装形態によっては、このような他のオートメーションサービスにも及ぶか、またはそれに置き換えられることもある。
【0069】
実装形態によっては、MC308と、BMS324などの別個のオートメーションサービスとは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API:Application Programming Interface)を介して通信することができる。例えば、APIは、MC308内のマスタコントローラプリケーション(またはプラットフォーム)と連携して、またはBMS324内のビルマネジメントアプリケーション(またはプラットフォーム)と連携して実行することができる。MC308とBMS324とは、1つ以上の有線リンク326上で、または外向きネットワーク310を介して通信することができる。場合によっては、BMS324は、IGU302を制御するための命令をMC308に伝達することができ、次に、このMC308が、一次色合いコマンドを発生させ、相応のNC306に伝送する。実装形態によっては、NC306またはWC304も、BMS324と直接通信することができる(有線/ハードウェアリンクを通してか、無線データリンクを通して無線でかを問わず)。実装形態によっては、BMS324は、MC308、NC306、およびWC304のうちの1つ以上によって収集されたセンサデータ、ステータスデータ、および関連のタイムスタンプデータなどのデータを検索することもできる。例えば、MC308は、このようなデータをネットワーク310上に公開することができる。このようなデータがデータベース320に格納される他の実装形態によっては、BMS324は、データベース320に格納されたデータのうちのいくつかまたはすべてへのアクセスを有することができる。
【0070】
窓コントローラ
窓を制御するのに使用されるコントローラは、View,Inc.の様々な特許および出願に説明されている。このような出願の例には、2015年10月29日に出願された米国仮特許出願第62/248,181号、2014年11月24日に出願された米国仮特許出願第62/085,179号、2012年4月17日に出願された米国特許出願第13/449,248号、および2012年4月17に出願された米国特許出願第13/449,251号が含まれ、それらの出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
図1Dは、アンテナを制御する(例えば、電磁放射信号をアンテナとの間で伝送および/または受信する)ための論理および他の特徴を含み得る窓コントローラ199の例を描写する。コントローラ199は、低電圧を、(1)IGUのECライトのECデバイスおよび/または(2)窓アンテナの電力要求に変換するように構成された電力変換器を含む。この電力は、通常、ドライバ回路(パワードライバ)を介してECデバイスに供給される。一実施形態において、コントローラ199は、リダンダントパワードライバを有し、それにより、それが故障した場合には、バックアップがあり、コントローラが交換または修理される必要はない。窓アンテナ用のパワードライバを含み得る送受信機論理が、コントローラ199に含まれ得る。明示的に示されないが、描写されたパワードライバのうちの1つは、窓アンテナ電極に指定の信号を伝送させるように構成され得る。
【0072】
コントローラ199も、遠隔コントローラ(図1Dでは「マスタコントローラ」として描写される)との間でコマンドを送受信するための通信回路(図1Dでは、「通信」と表示される)を含む。通信回路も、ローカル論理デバイス(例えば、マイクロコントローラ)との間で入力を送受信する働きをする。一実施形態において、電力線が、例えば、イーサネットなどのプロトコルを介して、通信を送受信するのにも使用される。マイクロコントローラは、例えば、1つ以上のセンサおよび/またはユーザから受信された入力に基づいて、少なくとも1つのECライトを制御するための論理を含む。この例では、センサ1~3は、例えば窓枠においてまたは窓枠に近接して、例えば、コントローラ199の外部にある。代替的に、センサは、もしあれば、例えば建物の屋根に、遠隔に位置している。一実施形態において、コントローラは、少なくとも1つ以上の内部センサを有する。例えば、コントローラ199は、さらに、または代替的に、「オンボード」センサ4および5を有し得る。一実施形態において、コントローラは、例えば、ECデバイスを通して1つ以上の電気パルスを送信し、フィードバックを分析することから得られた電流-電圧(I/V)データを使用することによって、ECデバイスをセンサとして使用する。このタイプのセンシング能力は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる、「Multipurpose Controller for Multistate Windows」と題され、Brownらが名を連ねる米国特許出願第13/049,756号に説明されている。窓組立体は、PVセルも含み得、コントローラは、電力を発生させるためだけではなく、フォトセンサとしてもPVセルを使用し得る。マイクロコントローラは、窓アンテナ機能を制御するための論理も有し得る。
【0073】
一実施形態において、コントローラは、1つ以上の制御機能を果たすのに、プログラムおよび/またはハードコードされた、相応の論理を含むチップ、カード、またはボードを含む。コントローラ199の電力機能および通信機能は、単一のチップ、例えば、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、または同様のデバイスにおいて組み合わせられ得る。このような集積回路は、単一のプログラマブルチップにおいて論理、制御、および電力の機能を組み合わせることができる。EC窓(またはIGU)が2つのECペインを有する一実施形態では、論理は、2つのECペインのそれぞれを独立して制御するように構成される。この論理は、IGU上に配置された1つ以上のアンテナの伝送および/または受信も制御し得る。一実施形態において、2枚のECペイン、およびオプションの窓アンテナのそれぞれの機能は、相乗的に制御され、すなわち、それにより、各デバイスが、他のデバイスを補完するように制御される。例えば、光透過、断熱効果、アンテナ信号伝送、および/または他の性質の所望のレベルは、個々のデバイスおよび/またはアンテナのそれぞれの状態の組み合わせを介して制御される。例えば、他のデバイスが、1つのECデバイスの透明電極を介して、抵抗加熱用に使用される間に、その1つのデバイスが色付き状態を有することがある。別の例において、2つのECデバイスの色付き状態が、組み合わされた透過率が所望の結果になるように制御される。
【0074】
コントローラ199は、制御機能および給電機能などの無線能力も有し得る。例えば、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee、EnOcean、LiFi(Light Fidelity)などの無線通信とともに、RFおよび/またはIRなどの無線制御が、マイクロコントローラに命令を送信するのに、またマイクロコントローラが、例えば、他の窓コントローラおよび/またはビルマネジメントシステム(BMS)にデータを送り出すために使用され得る。制御通信および/または電力を送信および/または受信するのに、窓アンテナが採用され得る。様々な無線プロトコルが、適宜使用され得る。最適な無線プロトコルは、窓がどのように電力を受信するように構成されるかによって決まり得る。例えば、窓が、比較的少ない電力しか生み出さない手段を通して自己給電される場合、比較的少ない電力しか使用しない通信プロトコルが使用され得る。同様に、窓が、例えば24V電力で永続的に配線される場合、電力を節約することについての心配がそれほどなく、比較的多くの電力を必要とする無線プロトコルが使用され得る。ZigBeeは、比較的多くの電力を使用するプロトコルの例である。Wi-FiおよびBluetooth Low Energyは、比較的少ない電力しか使用しないプロトコルの例である。比較的少ない電力しか使用しないプロトコルは、窓が間欠的に給電される場合にも有益であり得る。LiFiとは、Wi-Fi_33と同様の双方向、高速、かつネットワーク化された無線通信技術であるLight Fidelityを指す。LiFiは、光信号(例えば、可視光、赤外光、近紫外光など)を利用して、情報を無線で伝える。光信号は、人間の知覚にとっては、速すぎるかつ/または暗すぎることがあるが、このような信号は、相応の受信機には容易に感知され得る。場合によっては、LiFi信号が、高いデータ伝送速度を可能にする材料でコーティングされ得る(それとも材料を含み得る)1つ以上の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)によって発生し得る。材料の例には、ペロブスカイトが含まれ得る。1つの特定の材料の例には、セシウム鉛臭化物(CsPbBr)があり、それは、ナノ結晶形態で提供され得る。
【0075】
無線通信は、EC窓、および必要に応じて窓アンテナをプログラミングしかつ/または動作させること、センサからEC窓からのデータを収集することとともに、無線通信に向けての中継点としてEC窓を使用することのうちの少なくとも1つのために、窓コントーラにおいて使用され得る。EC窓から収集されたデータには、ECデバイスが活性化された(周期的に動作した)回数、経時のECデバイスの効率などのカウントデータが含まれ得る。これらの無線通信特徴のそれぞれは、先に上の言及による「Multipurpose Controller for Multistate Windows」と題された、発明者としてBrownらが名を連ねる、米国特許出願第13/049,756号に説明されている。
【0076】
特定の実施形態において、窓/アンテナコントローラと通信する、かつ/またはそれに給電するのに、光が使用される。すなわち、例えば、ダイオードレーザによって、少し離れて発生した光は、光ファイバケーブルまたは自由空間などの相応の光伝送媒体を介して、窓コントローラに電力信号および/または制御信号を伝送する。窓コントローラに適したフォトニック伝送方法の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年8月23日に出願され、「PHOTONIC-POWERED EC DEVICES」と題されたPCT出願番号PCT/US13/56506に説明されている。特定の実施形態において、電力は、フォトニック方法によってもたらされる一方、通信は、エレクトロクロミック窓または関連のIGU構成要素のライト上にパターン化された1つ以上の窓アンテナを介してもたらされる。別の実施形態において、電力は、フォトニック方法を通してもたらされる一方、通信は、Wi-Fi、またはアンテナを使用する別の無線通信方法を介してもたらされる。
【0077】
図1Dの実施形態に戻ると、コントローラ199は、RFIDタグ、および/または、必要に応じてプログラムマブルメモリであり得るソリッドステートシリアルメモリ(例えば、I2CまたはSPI)などのメモリも含み得る。無線周波数識別(RFID)は、質問器(またはリーダ)、およびタグ(またはラベル)を伴う。RFIDタグは、電磁波を介して通信を使用して、例えば、対象の識別および追跡の目的で、端末と対象との間でデータを交換する。いくつかのRFIDタグは、数メートル離れたところから、リーダの見通し線を越えて読み取り可能である。
【0078】
ほとんどのRFIDタグは、少なくとも2つの部分を含む。1つの部分は、情報の格納および処理、無線周波数(RF:Radio-Frequency)信号の変調および復調、ならびに他の特殊化機能用の集積回路である。もう1つの部分は、信号を送受信するためのアンテナである。
【0079】
RFIDタグには3つのタイプがあり、電源がなく、信号伝送を開始するために外部電磁界を必要とするパッシブRFIDタグと、バッテリを含み、リーダが成功裏に識別されると信号を送信することができるアクティブRFIDタグと、起動するのに外部電源を必要とするが、より広い範囲をもたらすかなり高い順方向リンク能力を有する電池付きパッシブ(BAP:Battery Assisted Passive)RFIDタグと、の3つのタイプである。
【0080】
一実施形態において、RFIDタグまたは他のメモリは、保証情報、設置情報(例えば、窓の絶対位置および相対位置、ならびに窓の向き)、供給元情報、バッチ/在庫情報、ECデバイス/IGU特性、アンテナ特性(例えば、IGU上のアンテナ個数、アンテナタイプ(モノポール、ストリップライン、パッチ、ダイポール、フラクタルなど)、周波数範囲、放射パターン(全方向性、半円筒形ビームなど)、およびアンテナサイズ)、ECデバイス周期動作情報、および顧客情報といったデータタイプのうちの少なくとも1つでプログラムされる。ECデバイス特性およびIGU特性の例には、例えば、窓電圧(V)、窓電流(I)、ECコーティング温度(TEC)、ガラス可視透過(%Tvis)、%色合いコマンド(BMSからの外部アナログ入力)、デジタル入力状態、およびコントローラステータスが含まれる。これらのそれぞれは、コントローラからBMS、または窓管理システムもしくは他の建物デバイスに提供され得るアップストリーム情報に相当する。窓電圧、窓電流、窓温度、および/または可視透過レベルが、窓上のセンサから直接検出され得る。コントローラが、実際に、建物デバイスによって変更が要求された可能性のある色合い変更を実施するよう動作をとったことを示す%色合いコマンドが、BMSまたは他の建物デバイスに提供され得る。窓が、色合い動作が開始された後、状態を変更するのに数分(例えば、10分)必要とすることがあると、HVACシステムなどの他の建物システムが、色合い動作がとられていることを認識していない可能性があることから、これは、重要であり得る。したがって、HVAC動作は、色合い付け動作が建物の環境に影響を及ぼすのに十分な時間を確実に有するようにするのに相応な期間延期され得る。スマートウィンドウ/アンテナに関する手動動作がとられたことを、デジタル入力ステータス情報により、BMSまたは他のシステムに告げ得る。最後に、コントローラステータスにより、当該のコントローラが、動作可能状態であるかないか、またはその全体的な機能に関するなんらかの他のステータスを有している、ということを、BMSまたは他のシステムに知らせ得る。
【0081】
コントローラに提供され得るBMSまたは他の建物システムからのダウンストリームデータの例には、窓駆動構成パラメータ、ゾーンメンバシップ(例えば、建物内のどのゾーンに、このコントローラ部があるか)、%色合い値、デジタル出力ステータス、およびデジタル制御(色合い、脱色、自動、再起動など)が含まれる。窓駆動パラメータが、窓状態を変更するための制御シーケンス(事実上、アルゴリズム)を定め得る。窓駆動構成パラメータの例には、脱色-色遷移ランプレート、脱色-色遷移電圧、初期着色ランプレート、初期着色電圧、初期着色電流限度、着色保持電圧、着色保持電流限度、色-脱色遷移ランプレート、色-脱色遷移電圧、初期脱色ランプレート、初期脱色電圧、初期脱色電流限度、脱色保持電圧、脱色保持電流限度が含まれる。このような窓駆動パラメータのアプリケーションの例は、2011年3月16日に出願され、「Controlling Transitions In Optically Switchable Devices」と題された米国特許出願第13/049,623号、および2012年4月17日に提出され、「Controller for Optically-Switchable Windows」と題された米国特許出願第13/449,251号に提示されており、これらの出願の両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0082】
述べられたように、窓コントローラは、窓アンテナを制御するための論理(例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェア)を含み得る。論理は、1つ以上の窓上に位置し得る、1つ以上の窓アンテナを制御するための1つ以上の送受信機を含み得る。Bluetooth(またはBluetooth Low Energy)などの比較的低電力のアプリケーションにおいて使用される窓アンテナでは、送受信機は、窓コントローラと共同設置され得、時には、図11A図11Cに描写される担体などの同じ筐体にあり得る。このようなアプリケーションでは、特にアンテナ通信が低または中程度の帯域幅しか消費しない場合、アンテナ送受信機は、上に説明されたもののうちの1つなどの窓ネットワーク上で通信し得る。当然のことながら、Bluetoothのような低電力アプリケーションの場合でさえ、アンテナ論理が、窓コントローラ上に配置される必要はない。さらに、窓アンテナとの通信用に、並列ネットワークが使用され得る。
【0083】
Wi-Fiサービス(例えば、Wi-Fiホットスポット)などの他のアプリケーションでは、アンテナ制御論理も、窓コントローラ筐体に配備され得る。アンテナアプリケーションが比較的小さな帯域幅しか消費しない場合、アンテナネットワークとの通信用に、窓ネットワークが採用され得る。例えば、アンテナ送受信機とインタフェースするのに、窓ネットワークのCANバスが使用され得る。アンテナアプリケーションが、窓ネットワークが受け入れることができるよりもっと帯域幅を消費するなどの他の場合には、アンテナアプリケーション用に、別個のネットワークが建物に配備されてもよい。このような場合、またアンテナ制御論理が窓コントローラに設けられる場合、コントローラは、アンテナ送受信機をアンテナネットワークに接続するためのRJ45ジャック(コネクタ)などのネットワークアダプタを含み得る。
【0084】
比較的高い電力、高い帯域幅、および/または電気通信事業者(例えば、AT&T、Verizon、Sprint、およびT-Mobile)による制御を必要とするアンテナアプリケーションでは、アンテナ制御論理およびネットワークが窓制御システム(窓ネットワークおよびコントローラ)とは完全に独立して提供され得る。アンテナが電気通信事業者にサービスを提供している場合、電気通信事業者は、ネットワークと送受信機とが別々であることを要求することが多い。このようなサービスには、例えば、セルラリピーティングが含まれる。例えば、窓アンテナは、セルラリピータ、例えばローカル基地局に配備され得る。このような場合、窓アンテナ送受信機は、ローカル窓コントローラと共同設置される必要はない。しかしながら、大抵、例えば約30フィート以内で、窓アンテナに近接してアンテナ制御論理を設けることが望ましいであろう。
【0085】
IGU構造、概要
以下の説明では、各エレクトロクロミック窓202は、「一体型ガラスユニット(IGU)」202と呼ばれ、また「絶縁ガラスユニット(IGU)」とも呼ばれる。この申し合わせは、例えば、IGUをエレクトロクロミックペインまたはエレクトロクロミックライトを保持するための基礎構築物として働かせることが一般的であり、また望ましい場合があることから、当然と思われる。さらに、IGU、特に二重ペインまたは三重ペインの窓構成を有するIGUは、単一のペイン構成よりも優れた断熱性を提供する。しかしながら、この申し合わせは、単に便宜上のものであり、限定的であることが意図されない。確かに、以下に説明されるように、実装形態によっては、エレクトロクロミック窓の基本単位は、エレクトロクロミックコーティング、エレクトロクロミックスタック、またはエレクトロクロミックデバイスが形成され、またエレクトロクロミックデバイスを駆動するために関連の電気接続が結合される個所である、透明材料のペインまたは基板を含むと考えられ得る。エレクトロクロミックIGUは、2014年3月4日に出願された米国特許出願第14/196,895号、2014年11月26日に出願された米国仮特許出願第62/085,179号、および2015年7月17日に提出された米国仮特許出願第62/194,107号に説明されており、それらの出願のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当然のことながら、本明細書に開示されたアンテナ構造体およびアンテナ機能は、IGUに限定されるものではなく、場合によっては、IGUまたは同様の構造体の一部ではない単一のエレクトロクロミックライトを含む任意の他の窓構造体に広げられることがある。特に断りのない限り、IGU実施形態の説明は、非IGU背景に広げられることがある。2つ以上のライトを必要とするいくつかの実施形態でさえ、例えば、IGUの一部ではない2つの平行ライトを採用する実施形態や、エレクトロクロミックライトと、エレクトロクロミックライトの多くのまたはいずれの可視領域もあいまいにしない平行構造体とを採用する実施形態といった、非IGU背景において実装され得る。
【0086】
IGU内のアンテナ
様々な実装形態は、概して、1つ以上のアンテナを含むエレクトロクロミックIGUに関する。本開示に説明される発明の対象の特定の実装形態は、以下の可能性のある利点のうちの1つ以上を実現するように実装され得る。いくつかの実装形態は、エレクトロクロミックデバイス(または、他の切り替え可能な光学デバイス)と1つ以上のアンテナとしての両方を含むIGUに関する。実装形態によっては、本明細書に説明される様々なアンテナ構造体は、エレクトロクロミックデバイスそのものの上に形成されるか、下に形成されるか、内に形成されるか、それともそれと統合され得る。他の実装形態によっては、様々なアンテナ構造体が、エレクトロクロミックデバイスと同じペイン上に、但しエレクトロクロミックデバイスが形成される表面と反対の表面上に形成され得る。他の実装形態によっては、例えば、2つ以上のペインを含むIGUにおいて、エレクトロクロミックデバイスとは異なるペイン上に、様々なアンテナ構造体が形成され得る。場合によっては、1つ以上のアンテナまたはアンテナ構成要素(例えば、グランドプレーン)が、それ自体が窓ライトの一部ではない構造体または特徴上に形成される。例えば、アンテナまたはアンテナ構成要素は、IGUスペーサ、窓コントローラ、ネットワークコントローラ、マスタコントローラ、窓コントローラとエレクトロクロミックデバイスとの間のコネクタなどの電気コネクタ、窓枠要素、無目、縦仕切りなどの上に配置され得る。
【0087】
以下の用語は、窓アンテナの態様を提示するために、本明細書全体にわたって使用される。
【0088】
アンテナ構成要素
アンテナは、アンテナに電気信号を提供するか、またはアンテナから電気信号を受信するための、「送受信機」において組み合わされる場合のある関連の伝送機および/または受信機を有する。伝送機および受信機は、通常、回路基板または集積回路上の回路として実装される。実施形態によっては、伝送機および/または受信機は、窓コントローラ、または光学的に切り替え可能な窓ネットワークの他の制御要素に配備される。
【0089】
アンテナは、少なくとも2つのアンテナ電極を有し、それらのアンテナ電極のうちの少なくとも1つは、本明細書ではアンテナ構造体と呼ばれ、このアンテナ電極は、伝送(伝送回路から電気信号を受信し、周囲の空間に電磁信号を放射する)と、受信(周囲の空間から電磁信号を受信し、信号の電気的表現を受信回路に転送する)との2つの役割のうちのいずれかまたは両方を果たすことができる。
【0090】
第2の電極は、接地されるか、または給電される。両方の電極が給電されるアンテナでは、それらは、相補信号を受信し得る。これは、ダイポールアンテナの場合によく見られる。第2の電極が接地される場合、それは、グランドプレーンとして実装され得る。
【0091】
グランドプレーンは、通常、アンテナ構造体電極の近くに位置し、アンテナ構造体が、グランドプレーンの場所を越えて放射を送ることを阻止し、かつ/またはアンテナ構造体が、グランドプレーンの方向からアンテナ構造体へ向かってくる放射を受けることを阻止する。当然のことながら、アンテナ構造体とグランドプレーンとは、互いに接触してはならない。多くの設計において、それらは、固体、液体、または気体であり得る窓ライトまたは他の絶縁構造体などの誘電体層によって分離される。実施形態によっては、それらは、自由空間、例えばIGUの屋内によって分離される。様々な実施形態において、グランドプレーンは、エレクトロクロミックライトを有するIGUの一部であるライト、このようなエレクトロクロミックライト、または別のライト上の層または部分層として実装される。ライト上に実装される場合、グランドプレーンは、ライトの大面積面上、またはライトの1つ以上の縁上に層として設けられ得る。場合によっては、グランドプレーンは、エレクトロクロミックライトまたはIGUに関連する非ライト構造体上に実装される。このような非窓構造体の例には、窓コントローラ、IGUスペーサ、ならびに、縦仕切りおよび無目などの枠組み部材または構造部材が含まれる。
【0092】
各電極は、伝送機または受信機の端子に接続される。接続はすべて、相互接続または伝送線によってなされる(これらの用語は、本明細書では同じ意味で使用される)。
【0093】
パッシブアンテナ素子は、一次アンテナ構造体と併せて、またアンテナ構造体によって放出された(または受信された)放射分布を調整する目的で使用される場合がある。パッシブアンテナ素子は、アンテナ回路に電気的に接続されない。パッシブアンテナ素子は、それらがアンテナ回路に電気的に接続されないことを除いて、アクティブアンテナ素子(例えば、アンテナ構造体およびグランドプレーン)と同様に、窓構造体上に配置され得る八木アンテナとしてよく知られているいくつかのアンテナ構造体において使用される。
【0094】
ここで明らかなように、IGUは、無線周波数(RF)信号を、建物内、または建物内の部屋などの外部環境にブロードキャスト(またはより一般的には伝送)するように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。実装形態によっては、IGUは、戸外か、それとも建物または建物内の部屋の外側からなど、外部環境からRF信号を受信するように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。実装形態によっては、IGUは、RF信号を、建物または建物内の部屋から外方へなど、外部環境にブロードキャストして出すように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。実装形態によっては、IGUは、RF信号を、建物または建物内の部屋の内側からなど、内部環境から受信するように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。さらに、実装形態によっては、IGUは、RF信号を、内部環境および外部環境両方との間で、ブロードキャストするか、または受信する能力を含むことができる。またさらに、実装形態によっては、IGUは、IGUの1つの側から、IGUを通って、IGUの反対側に出る、RF信号の伝送を阻止するための能力を含むことができる。
【0095】
エレクトクロミックIGUおよびエレクトロクロミックデバイス
図2A図2Jは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるエレクトロクロミック窓構造体202の例の断面図を示す。これらの例は、本開示の範囲内で使用可能なエレクトロクロミックIGU構造体およびエレクトロクロミックライト構造体のほんの一部を提示しているので、それらは、多少なりとも限定的と考えられるべきではない。これらおよび以下の図に関して示され、説明されるエレクトロクロミック窓構造体202の例のそれぞれは、IGUとして構成され得、以下、IGU202と呼ばれる。図2Aは、第1の表面S1および第2の表面S2を有する第1のペイン(本明細書では「ライト」とも呼ばれる)204を含むIGU202の実装形態の例をより詳細に示す。実装形態によっては、第1のペイン204の第1の表面S1は、戸外または外側環境などの外部環境に面する。IGU202は、第1の表面S3および第2の表面S4を有する第2のペイン206も含む。実装形態によっては、第2のペイン206の第2の表面S4は、家、建物、もしくは車両の内側環境、または家、建物、もしくは車両内の部屋または区画などの内部環境に面する。
【0096】
実装形態によっては、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれは、少なくとも可視スペクトルの光に対して透明または半透明である。例えば、ペイン204および206のそれぞれは、ガラス材料、特に建築用ガラス、または、例えば、酸化ケイ素(SO)系ガラス材料などの他の耐破砕性ガラス材料で形成され得る。より具体的な例として、第1のペイン204および第2ペイン206のそれぞれは、ソーダ石灰ガラス基板またはフロートガラス基板とすることができる。このようなガラス基板は、例えば、約75%シリカ(SiO)とともに、NaO、CaO、およびいつかの少量の添加剤から構成され得る。しかしながら、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれは、適切な光学的性質、電気的性質、熱的性質、および機械的性質を有するいずれの材料ででも形成され得る。例えば、第1のペイン204および第2のペイン206のうちの1つまたは両方として使用され得る他の適切な基板には、他のガラス材料とともに、可塑性材料、半可塑性材料、熱可塑性材料(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、SAN(スチレンアクリロニトリルコポリマー)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリエステル、ポリアミド)、または鏡材料を含めることができる。実装形態によっては、例えば焼き戻し、加熱、または化学強化によって、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれが強化され得る。
【0097】
大抵、第1のペイン204および第2のペイン206、ならびに全体としてのIGU202のそれぞれは、直方体である。しかしながら、他の実装形態によっては、他の形状(例えば、円形、楕円形、三角形、曲線形、凸形、凹形)が可能であり、望ましい場合がある。具体的な実装形態によっては、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれの長さ「L」は、約20インチ(in.)~約10フィート(ft.)の範囲とすることができ、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれの幅「W」は、約20in.~約10ft.の範囲とすることができ、第1のペイン204および第2のペイン206のそれぞれの厚さ「T」は、約1ミリ(mm)~約10mmの範囲とすることができる(特定のユーザ、管理者、管理責任者、建造業者、設計者、または所有者のニーズに基づいて、他の長さ、幅、または厚さが、それより小さくても大きくても、可能であり、望ましい場合がある)。さらに、IGU202は、2つのペイン(204および206)を含むが、他の実装形態によっては、IGUは、3つの以上のペインを含むことができる。なお、実装形態によっては、ペインのうちの1つ以上が、それ自体、2つ、3つ、またはそれより多い層またはサブペインの積層構造体であるとすることができる。
【0098】
第1のペイン204と第2のペイン206とは、スペーサ218によって互いに離間され、内部容積208を形成する。内部容積208が、アルゴン(Ar)で満たされる実装形態の場合があるが、内部容積208が、別の希ガス(例えば、クリプトン(Kr)またはキセノン(Xn))、別の(非希)ガス、または気体の混合物(例えば、空気)などの別の気体で満たされ得る実装形態の場合もある。内部容積208をAr、Kr、またはXnなどの気体で満たすことで、これらの気体の低熱伝導性により、IGU202を通る伝導熱伝達を低減させることができるとともに、それらの原子量増加により音響絶縁を向上させることができる。他の実装形態によっては、内部容積208から、空気または他の気体を取り除いて空にすることができる。スペーサ218が、内部容積208の厚さ、すなわち、第1のペイン204と第2のペイン206との間の間隔、をほぼ決定する。実装形態によっては、第1のペイン204と第2のペイン206との間の間隔「C」は、約6mm~約30mmの範囲である。スペーサ218の幅「D」は、約5mm~約15mmの範囲とすることができる(他の幅が可能であり、望ましい場合もあるが)。
【0099】
断面図には示されないが、スペーサ218は、IGU202のすべての側(例えば、IGU202の上側、底側、左側、および右側)の周りに形成され得る。例えば、スペーサ218は、発泡体または可塑性材料で形成され得る。しかしながら、図5Bに示されるIGUの例などの他の実装形態によっては、スペーサは、金属または他の伝導材料、例えば金属管構造体で形成され得る。第1の一次シール220が、スペーサ218のそれぞれと、第1のペイン204の第2の表面S2とを接着させ、気密封止する。第2の一次シール222が、スペーサ218のそれぞれと、第1のペイン206の第2の表面S3とを接着させ、気密封止する。実装形態によっては、一次シール220および222のそれぞれは、例えばポリイソブチレン(PIB)などの接着シーラントで形成され得る。実施形態によっては、IGU202は、スペーサ218の外側のIGU204全体の周りの境界を気密封止する二次シール224をさらに含む。この目的のために、スペーサ218が、距離「E」だけ、第1のペイン204および第2のペイン206の縁から挿入され得る。距離「E」は、約4mm~約8mmの範囲とすることができる(他の距離も可能であり、望ましい場合があるが)。実装形態によっては、二次シール224は、例えば、水に抵抗し、組立体に構造上の支持を加える、高分子材料などの接着シーラントで形成され得る。
【0100】
図2Aに示される実装形態では、エレクトクロミック(EC)デバイス(ECD)210が、第1のペイン204の第2の表面S2上に形成される。以下で説明されるように、他の実装形態によっては、ECD210は、別の適切な表面、例えば、第1のペインの第1の表面S1、第2のペイン206の第1の表面S3、または第2のペイン206の第2の表面S4上に形成され得る。エレクトロクロミックデバイスの例は、例えば、2011年5月11日に出願された米国特許第8,243,357号、2010年6月11日に出願された米国特許第8,764,951号、および2013年2月8日に出願された米国特許第9,007,674号に提示されており、それぞれの特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。図2Aでは、ECD210は、ECスタック212を含み、ECスタック212そのものは、いくつかの層を含む。例えば、ECスタック212は、エレクトロクロミック層、イオン伝導層、および対向電極層を含むことができる。実装形態によっては、エレクトロクロミック層は、無機固体材料で形成される。エレクトロクロミック層は、電気化学的に陰極の材料または電気化学的に陽極の材料を含む、いくつかのエレクトロクロミック材料のうちの1つ以上を含むことができるか、またはそれで形成され得る。例えば、エレクトロクロミック層としての使用に適する金属酸化物には、数ある材料の中でも、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化銅(CuO)、酸化イリジウム(Ir酸化クロム(Cr)、酸化マンガン(Mn)、酸化バナジウム(V酸化ニッケル(Ni)、および酸化コバルト(Co)を含めることができる。実装形態によっては、エレクトロクロミック層は、約0.05μm~約1μmの範囲の厚さを有することができる。
【0101】
実装形態によっては、対向電極層は、無機固体材料で形成される。対向電極層は、大抵、ECデバイス210が、例えば透明状態にあるときに、イオンの受け皿として働くことができるいくつかの材料または材料層のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、対向電極層に適した材料には、酸化ニッケル(NiO)、タングステン酸ニッケル(NiWO)、ニッケルバナジウム酸化物、ニッケルクロム酸化物、ニッケルアルミニウム酸化物、ニッケルマンガン酸化物、ニッケルマグネシウム酸化物、酸化クロム(Cr)、酸化マンガン(MnO)、およびプルシアンブルーを含めることができる。実装形態によっては、対向電極層は、上に説明された第1のエレクトロクロミック層とは反対の極性の第2のエレクトロクロミック層である。例えば、第1のエレクトロクロミック層が、電気化学的に陰極の材料から形成される場合、対向電極層は、電気化学的に陽極の材料で形成され得る。実装形態によっては、対向電極層は、約0.05μm~約1μmの範囲の厚さを有することができる。
【0102】
実装形態によっては、イオン伝導層は、ECスタック212が光学的状態間で遷移するときにイオンが運ばれる媒体として働く(例えば、電解質のように)。実装形態によっては、イオン伝導層は、エレクトロクロミック層および対向電極層に関連のイオンに対して高く伝導性であるが、通常の動作中に無視できる電子移動が起こるような十分に低い電子伝導率も有する。高いイオン伝導性を有する薄いイオン伝導層は、速いイオン伝導、またその結果として、高性能ECデバイス210のための速いスイッチングを可能にする。実装形態によっては、イオン伝導層は、約0.01μm~約1μmの範囲の厚さを有することができる。実装形態によっては、イオン伝導層も無機固体である。例えば、イオン伝導層は、1つ以上のケイ酸塩、シリコン酸化物(ケイ素-アルムニウム-酸化物を含む)、タングステン酸化物(タングステン酸リチウムを含む)、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、およびホウ酸塩から形成され得る。これらの材料は、リチウムを含む様々なドーパントでドープされることも可能で、例えば、リチウムドープケイ素酸化物には、リチウムケイ素-アルミニウム-酸化物が含まれる。
【0103】
他の実装形態によっては、エレクトロクロミック層および対向電極層は、間にイオン伝導層なしで、互いに直に隣接して、時には直接接触して形成される。例えば、実装形態によっては、別個のイオン伝導層を組み込むのではなく、エレクトロクロミック層と対向電極層との間の界面領域が利用され得る。適切なデバイスのさらなる説明は、2012年10月30日に発行された米国特許第8,300,298号および2012年5月2日に出願された米国特許出願第13/462,725号に確認され、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実装形態によっては、ECスタック212も、1つ以上のパッシブ層などの1つ以上のさらなる層を含むことができる。例えば、パッシブ層は、特定の光学的性質を向上させるため、湿りを与えるため、または耐擦傷性をもたらすために使用され得る。実装形態によっては、第1のTCO層214および第2のTCO層216には、反射防止層、または保護酸化物層もしくは保護窒化層が施され得る。さらに、他のパッシブ層は、ECスタック212を気密封止する働きをすることもできる。
【0104】
実装形態によっては、適切なエレクトロクロミック材料および対向電極材料の選択が、関連の光学遷移を左右する。動作中、エレクトロクロミック層の厚さにわたって発生した電圧を受けて、エレクトロクロミック層は、対向電極層との間で、イオンを移動させるか、または交換して、エレクトロクロミック層における所望の光学遷移をもたらし、また実装形態によっては、対向電極層における光学遷移ももたらす。もう1つの具体的な例において、ECスタック212の厚さにわたる適切な電位の印加に反応して、対向電極層は、自分が保持しているイオンのすべてまたは一部をエレクトロクロミック層に移動させて、エレクトロクロミック層における光学遷移を引き起こす。このような実装形態によっては、例えば、対向電極層がNiWOから形成される場合、対向電極層も、自分がエレクトロクロミック層に移動させたイオンの損失により光学的に遷移する。電荷がNiWOで作られた対向電極層から取り除かれると(すなわち、イオンが、対向電極層からエレクトロクロミック層に運ばれる)、対向電極層が、反対方向に遷移するようになる。
【0105】
脱色状態または透明状態と色付き状態または不透明状態との間の遷移は、実施され得る光学遷移またはエレクトロクロミック遷移の数ある中でも、ほんのいくつかの例にすぎないことも認識されたい。このような遷移には、反射率、偏光状態、散乱密度などにおける変化を含む。本明細書において別段の定めがない限り(上記の考察を含む)、脱色から不透明への遷移(または間の中間状態へ、中間状態から)に言及するときはいつも、説明される対応するデバイスまたはプロセスは、例えば、パーセント透過(%T)から%Tへの遷移などの中間状態遷移、非反射から反射への遷移(または間の中間状態へ、中間状態から)、脱色から着色への遷移(または間の中間状態へ、中間状態から)、および色から色への遷移(または間の中間状態へ、中間状態から)などの他の光学状態遷移に及ぶ。さらに、「bleached(脱色)」という用語は、光学的に中立な状態、例えば無着色、透明、または半透明を指すことがある。なお、本明細書において別段の定めがない限り、エレクトロクロミック遷移の「color(色)」とは、いずれの特定の波長または波長範囲にも限定されない。
【0106】
大抵、エレクトロクロミック層におけるエレクトロクロミック材料の着色化または他の光学遷移は、材料への可逆的なイオン挿入(例えば、インターカレーション)および対応する電荷平衡型電子の注入によって引き起こされる。通常、光学遷移の原因となるイオンのうちのいくらかの割合が、エレクトロクロミック材料中で不可逆的に結合している。不可逆的に結合したイオンのうちのいくつかまたはすべてが、材料中の「隠れ電荷」を補うのに使用され得る。実装形態によっては、適したイオンには、リチウムイオン(Li+)および水素イオン(H+)(すなわち、プロトン)が含まれる。他の実装形態によっては、他のイオンが適している可能性がある。リチウムイオンの、例えば酸化タングステン(WO3-y(0<y≦~0.3))へのインターカレーションは、酸化タングステンを透明状態から青色状態に変えさせる。
【0107】
実装形態によっては、ECスタック212は、透明状態と不透明状態または色合い付き状態との間を可逆的に周期動作する。実装形態によっては、ECスタック212が透明状態にあるとき、そのスタック内の利用可能なイオンが主に対向電極層に存在するようなECスタック212にわたって電位が印加される。ECスタック212にわたる電位の大きさが小さくなると、または電位の極性が逆転すると、イオンは、イオン伝導層をわたってエレクトロクロミック層に戻され、エレクトロクロミック材料を不透明状態、色合い付き状態、または暗状態に遷移させる。実装形態によっては、エレクトロクロミック層と対向電極層とは、相補的な色付け層である。相補的な実施形態の一例として、イオンが対向電極層の中へ移動するとき、または移動した後、対向電極層が、明るくまたは透明になり、同様に、イオンがエレクトロクロミック層の外に移動するとき、または移動した後、エレクトロクロミック層は、明るく、または透明になる。反対に、極性が切り替えられるか、または電位が下げられ、イオンが対向電極層からエレクトロクロミック層の中に移動すると、対向電極およびエレクトロクロミック層両方が、暗くなるか、または色付きになる。
【0108】
他の実装形態によっては、ECスタック212が不透明状態にあるとき、そのスタック内の使用可能なイオンが主に対向電極層に存在するようなECスタック212に電位が印加される。このような実装形態では、ECスタック212にわたる電位の大きさが小さくなるか、またはその極性が逆転すると、イオンは、イオン伝導層をわたってエレクトロクロミック層に戻り、エレクトロクロミック材料を透明状態またはより明るい状態に遷移させる。エレクトロクロミック層およびイオン伝導層は、相補的な色付け層とすることもできる。
【0109】
ECD210も、ECスタック212の第1の表面に隣接する第1の透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conductive Oxide)層214、およびECスタック212の第2の表面に隣接する第2のTCO層216を含む。例えば、第1のTCO層214が、第2の表面S2上に形成され得、ECスタック212が、第1のTCO層214上に形成され得、第2のTCO層216が、ECスタック212上に形成され得る。実装形態によっては、第1のTCO層214および第2のTCO層216は、1つ以上の金属酸化物、および1つ以上の金属がドープされた金属酸化物で形成され得る。例えば、いくつかの適した金属酸化物およびドープ金属酸化物には、数ある中でも、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、フッ化酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウム酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、およびドープ酸化ルテニウムを含めることができる。本書類では、このような材料は、TCOと呼ばれるが、この用語は、数ある適した材料の中でも、非酸化物とともに、導電性金属窒化物などの特定の薄い金属材料および特定の非金属材料、ならびに複合導体などの透明で、導電性である酸化物にも及ぶ。実装形態によっては、第1のTCO層214および第2のTCO層216は、少なくとも、ECスタック212によってエレクトロミズムが呈される波長の範囲で実質的に透明である。実装形態によっては、第1のTCO層214および第2のTCO層216は、それぞれ、例えばスパッタリングを含む物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)プロセスによって堆積され得る。実施形態によっては、第1のTCO層214および第2のTCO層216は、それぞれ、約0.01ミクロン(μm)~約1μmの範囲の厚さを有することができる。透明導電性材料は、通常、エレクトロクロミック材料または対向電極材料の電子伝導性よりもかなり優れた電子伝導性を有する。
【0110】
第1のTCO層214および第2のTCO層216は、ECスタック212の厚さにわたって電位(電圧)を印加して、ECスタック212またはECスタック212内の層の1つ以上の光学的性質(例えば、透過率、吸光度、または反射率)を修正するために、ECスタック212のそれぞれの第1および第2の表面にわたって電荷を分布させる働きをする。第1のTCO層214および第2のTCO層216が、外領域から内領域への比較的小さなオーム損の状態で、ECスタック212の外側表面領域からECスタック212の内側表面領域に電荷を均一に分布させる働きをするのが望ましい。したがって、一般に、第1のTCO層214および第2のTCO層216のシート抵抗を最小限に抑えることが望ましい。言い換えれば、一般に、第1のTCO層214および第2のTCO層216のそれぞれが、それぞれの層214および216のすべての位置にわたって実質的に等電位層として挙動するのが望ましい。このようにして、第1のTCO層214および第2のTCO層216は、ECスタック212の厚さにわたって電位を均一に印加して、脱色状態またはより明るい状態(例えば、透明状態、半透明状態、または透光状態)から、色付き状態またはより暗い状態(例えば、色合いの付いた状態、それほど透明ではない状態、またはそれほど透光ではない状態)へ、またその逆のECスタック212の遷移をもたらす。
【0111】
第1のバスバー226が、第1の電気(例えば、電圧)信号を第1のTCO層214に分布させる。第2のバスバー228が、第2の電気(例えば、電圧)信号を第1のTCO層214に分布させる。他の実装形態によっては、第1のバスバー226および第2のバスバー228のうちの1つが、第1のTCO層214および第2のTCO層216のうちのそれぞれ1つを接地させることができる。図示の実装形態では、第1のバスバー226および第2のバスバー228のそれぞれは、ECスタック212の境界に沿う第1のペイン204のそれぞれの長さに沿って配向されるように、プリントされるか、パターン化されるか、それとも形成される。実装形態によっては、第1のバスバー226および第2のバスバー228のそれぞれは、導電性インク、例えば銀インクを線の形態で堆積させることによって形成される。実装形態によっては、第1のバスバー226および第2のバスバー228のそれぞれは、第1のペイン204の全長(またはほぼ全長)に沿って延在する。
【0112】
図示の実装形態では、第1のTCO層214、ECスタック212、および第2のTCO層216は、第1のペイン204の絶対的な縁までは延在しない。例えば、実装形態によっては、第1のTCO層214、ECスタック212、および第2のTCO層216が、約8mm~約10mmの範囲とすることができる距離「G」まで(他の距離も可能であり、それが望ましいこともあるが)、第1のペイン204のそれぞれの縁から分離されるか、または挿入されるような、これらの層の一部を除去するのに、レーザエッジデリート(LED:Laser Edge Delete)または他の工程が使用され得る。さらに、実装形態によっては、第1のバスバー226が第1のTCO層214上に形成されるのを可能にして、第1のバスバー226と第1のTCO層214との間の導電性結合を可能にするように、第1のペイン2014の1つの側に沿ったECスタック212および第2のTCO層216の縁部分が、除去される。第2のバスバー228が、第2のバスバー228と第2のTCO層216との間の導電性結合を可能にするように、第2のTCO層216上に形成される。実装形態によっては、図2Aに示されるように、第1のバスバー226および第2のバスバー228は、それぞれのスペーサ218と第1のペイン204との間の領域に形成される。例えば、第1のバスバー226および第2のバスバー228のそれぞれは、それぞれのスペーサ218の内縁から、少なくとも、約2mm~約3mmの範囲にあるとすることができる距離「F」だけ挿入され得る(他の距離も可能であり、それが望ましいこともあるが)。この配設の1つの理由は、バスバーを見えないようにするためである。バスバーの位置付けおよびLEDのさらなる説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2014年1月2日に出願された米国特許出願第61/923,171号に確認される。
【0113】
IGUSおよびライト上のストリップラインアンテナの例
図2Aに示される実装形態では、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232は、距離Gによって画定される挿入領域内に形成される。実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、ストリップラインアンテナとして構成される。実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、導電性インク、例えば銀インクを線の形態で堆積させることによって形成される。他の実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、導電性(例えば、銅)箔を塗布するか、もしくは接着させることによって、または適したPVDもしくは他の堆積プロセスを使用して形成され得る。他の実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、第1のTCO層214を、導電性ストリップラインを電気的に絶縁するようにパターン化することによって形成される。実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、第1のペイン204の長さの一部に沿って延在する。第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれの長さは、アンテナ構造体が伝送または受信するように設計されているそれぞれの信号の波長によって、ほぼ決められる。例えば、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれの長さは、関連の信号の4分の1の波長の整数に等しいとすることができる。実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、所望の周波数の信号を担持するのに適した幅と、所望の周波数の信号を担持するのに適した厚さとを有する。実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれの幅および厚さは、アンテナ構造体によって担持される信号の波長の整数倍(またはそれの分数)に相当し得る。アンテナ構造体が窓ライトの可視領域の少なくとも一部を占める実施形態では、アンテナ構造体を画定する線は、IGUを通して見る個人には実質的には見えないほど細くされ得る。図2A図2J、3A~図3J図4Aおよび図4B、ならびに図5Aおよび図5Bの例は、本開示の範囲内で使用可能な窓アンテナ設計のほんの一部を提示するだけなので、それらは、多少なりとも限定的と考えられるべきではない。
【0114】
実装形態によっては、例えば各アンテナがモノポールアンテナである場合のように、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、個々にアドレス指定可能であるか、または独立して駆動され得る。例えば、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、信号を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造232に送信するのに、または第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から信号を受信するのに、対応する窓コントローラに、または別のコントローラもしくはデバイスに、導電バス、導電線、または導電相互接続(以下、適宜、同じ意味で使用される)を介して、電気的に接続され得る。さらに、実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、他とは異なるパラメータセット(例えば、伝送または受信される該当の1つ以上の信号に応じた、異なる長さ、幅、または厚さ)を有することができる。他の実装形態によっては、IGU202は、アンテナ構造体230および232のうちの1つのみ、または2つより多いアンテナ構造230および232を含むことができる。実装形態によっては、アンテナのうちの1つが、信号を受信するように設定され、もう1つのアンテナが、信号を伝送するように設定される。実装形態によっては、2つのアンテナ構造体は、それらがダイポールアンテナの一部である場合のように、相補制御式に駆動される。
【0115】
実装形態によっては、グランドプレーンおよび/またはアンテナ構造体は、エレクトロクロミックデバイスと同じ表面上に作製される。一例では、グランドプレーンとエレクトロクロミックデバイスとを組み合わせたスタックは、ガラス基板の隣の平坦な切れ目のないグランドプレーンと、グランドプレーンの隣の絶縁層と、絶縁体の上にあるエレクトロクロミックスタックの第1の透明導電層と、透明導電層の上にあるエレクトロクロミックデバイスの残りとを、含む。エレクトロクロミックデバイススタックは、従来の作製手順によって製造され得る。この手法では、下部のグランドプレーンは、特定のガラス製造者によって施されるTEC(フッ化酸化スズ)層である可能性があり、またはエレクトロクロミックデバイス製造者によって施される可能性があり、またはその2つの組み合わせである可能性がある。例えば、既存のTECが、ガラス製造者によって、より厚くなるように、またはその製造者からのTECと、TECの上に置かれる透明導体の薄いさらなる層との組み合わせを含むように、修正される可能性がある。
【0116】
実装形態によっては、図2AのIGU202は、第1のペイン204の第1の表面S1上にグランドプレーン234をさらに含む。グランドプレーン234は、アンテナ構造体230および232を指向性にするように機能することができる。例えば、上に説明されたように、図2A図2Jは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の例の断面図を示す。このように、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232と内部環境との間にグランドプレーン234を形成するか、それとも含むことによって、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、内部環境に対して指向性であるようになることができ、すなわち、内部環境の中のみへ信号を伝送するか、または内部環境のみから信号を受信することができる。このような指向性が必要とされないか、または望ましくない場合、グランドプレーン234は、含まれない。実装形態によっては、グランドプレーン234は、示されるように、表面S1のほぼ全面にわたって延在することができる。他の実装形態によっては、グランドプレーン234は、それぞれ第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232に近接して、表面S1の領域に沿い、それにわたってのみ延長することができる。実装形態によっては、グランドプレーン234は、薄膜金属または金属合金とともに導電性酸化物も含む、上に説明されたもののうちのいずれかなどの導電性材料で形成され得る。通常、グランドプレーンがIGUの可視窓エリアにあるとき、グランドプレーンは、きれいな状態にあるときの窓を通して見る占有者の能力を大幅には低下させない光透過率を有する。
【0117】
図2Bは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図2Bを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、第1のTCO層214のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図2Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を第1のTCO層214から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の下で、第1のTCO層214上に設けられる。実施形態によっては、2つのアンテナのうちの1つのみが、第1のTCO層214上に設けられる。例えば、アンテナ構造体232が、基板204上に直接設けられ得る。
【0118】
図2Cは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するIGU202の別の例の断面図を示す。図2Cを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、第2のTCO層216のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図2Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を第2のTCO層216から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の下で、第2のTCO層216上に設けられる。実施形態によっては、2つのアンテナのうちの1つのみが、第2のTCO層216上に設けられる。例えば、アンテナ構造体230が、基板204上または第1のTOC層214上に直接設けられ得る(しかし、絶縁層236によってそれから分離される)。
【0119】
図2Dは、いくつかの実装形態による、内部環境の中に信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するIGU202の別の例の断面図を示す。図2Dを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造232が、第2のTCO216をパターン化することによって形成されるという違いを除いて、図2Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。例えば、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232をパターン化するために、また第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を、第2のTCO層216の周囲部分から電気的に絶縁するために、1つ以上のレーザスクライビング加工、レーザアブレーション加工、またはエッチング加工が使用され得る。描写された実施形態では、アンテナ構造体230は、2つのストリップラインを含む。
【0120】
図2Eは、いくつかの実装形態による、内部環境の中に信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図2Eを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、グランドプレーン234上に形成され、今度は、グランドプレーンが、第2のTCO層216上に形成されるという違いを除いて、図2Cを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。グランドプレーン234を第2のTCO層216から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層238が、第2のTCO層216上に、またグランドプレーン234の下に設けられる。絶縁ストリップ236が、アンテナ構造体230および232をグランドプレーン234から絶縁する。
【0121】
図2Fは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図2Fを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、グランドプレーン234が、第1のペイン204の第2の表面S2とECデバイス210との間に形成されるという違いを除いて、図2Eを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。グランドプレーン234を第1のTCO層214から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層238が、第1のTCO層214の形成の前にグランドプレーン234上に最初に形成される。描写された実施形態では、絶縁ストリップ236とともに、アンテナ構造体230および232が、第2のTCO216上に存在する。他の実施形態において、アンテナ構造体のうちの1つまたは両方が、第1のTCO214上に存在する。
【0122】
図2Gは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図2Gを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、第2のペイン206の第1の表面S3のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図2Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。場合によっては、アンテナ構造体は、銀インクなどの導電性材料をプリントすることによって形成される。実装形態によっては、図2GのIGU202は、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体234にわたって配置されたグランドプレーン234をさらに含む。グランドプレーン234を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、グランドプレーン234の形成の前に、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232にわたって最初に形成される。他の実装形態によっては、グランドプレーン234は、第1のペイン204の第1の表面S1上か、またはECデバイス210の下またはそれにわたって、第1のペイン204の第2の表面S2上に配置され得る。
【0123】
図2Hは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる、集積アンテナを有するIGU202の別の例の断面図を示す。図2Hを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、導電性酸化物層(例えば、第1のTCO層214および第2のTCO層216と同じ材料など)からパターン化されるという違いを除いて、図2Gを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0124】
図2Iは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図2Iを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造232とが、第1のペイン204の第1の表面S1のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図2Gを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。場合によっては、アンテナ構造体は、銀インクストリップなどの導電性ストリップである。実装形態によっては、図2IのIGU202は、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造234にわたって形成されたグランドプレーン234をさらに含む。グランドプレーン234を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、グランドプレーン234の形成の前に、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232にわたって最初に形成される。
【0125】
図2Jは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを有するIGU202の別の例の断面図を示す。図2Jを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造232が、導電性酸化物層(例えば、第1のTCO層214および第2のTCO層216と同じ材料など)からパターン化されるという違いを除いて、図2Iを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0126】
図3A図3Jは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の例の断面図を示す。図2A図2Jを参照して示され、説明された特徴の多くは、図3A~3Jの実施形態に適用可能であるが、グランドプレーンとアンテナ構造体との相対位置が逆になっている。図3Aを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、グランドプレーン234が、第2のペイン206の第1の表面S3上に形成されるという違いを除いて、図2Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。他の実装形態によっては、グランドプレーン234は、第2の平面206の第2の表面S4上に形成され得る。
【0127】
図3Bは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Bを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造230と第2のアンテナ構造232とが、第1のTCO層214のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図3Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を第1のTCO層214から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の形成の前に、第1のTCO層214上に最初に形成される。
【0128】
図3Cは、いくつかの実装形態による、屋外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Cを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、第2のTCO層216のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図3Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を第2のTCO層216から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の形成の前に、第2のTCO層216上に最初に形成される。
【0129】
図3Dは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Dを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、第2のTCO層216をパターン化することによって形成されるという違いを除いて、図3Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。例えば、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232をパターン化するために、また第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232を、第2のTCO層216の周囲部分から電気的に絶縁するために、レーザスクライビング加工またはエッチング加工が使用され得る。
【0130】
図3Eは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Eを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、グランドプレーンが第1のアンテナ構造230および第2のアンテナ構造232にわたって形成されるという違いを除いて、図3Cを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。グランドプレーン234を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層238が、グランドプレーン234の形成の前に、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232上に最初に形成される。
【0131】
図3Fは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Fを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造230、第2のアンテナ構造232、絶縁層236、およびグランドプレーン234が、ECデバイス210の形成下で、また形成の前に、第1のペイン204の第2の表面S2上形成されるという違いを除いて、図3Eを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0132】
図3Gは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Gを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造230と第2のアンテナ構造232とが、第2のペイン206の第1の表面S3のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図3Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。実装形態によっては、図3GのIGU202は、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体234と表面S3との間に形成されたグランドプレーン234をさらに含む。グランドプレーン234を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または他の絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の形成の前に、グランドプレーン234にわたって形成される。他の実装形態によっては、グランドプレーン234は、第2のペイン206の第2の表面S4上に形成され得る。
【0133】
図3Hは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Hを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、導電性酸化物層(例えば、第1のTCO層214および第2のTCO層216と同じ材料など)からパターン化されるという違いを除いて、図3Gを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0134】
図3Iは、いくつかの実装形態による、外部環境に信号を伝送して出すか、または外部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Iを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造230と第2のアンテナ構造232とが、第1のペイン204の第1の表面S1のそれぞれの縁領域上に形成されるという違いを除いて、図3Gを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。実装形態によっては、図2IのIGU202は、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体234の下に、表面S1にわたって形成されるグランドプレーン234をさらに含む。グランドプレーン234を第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232から電気的に絶縁するために、誘電体材料層または絶縁材料層236が、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232の形成の前に、グランドプレーン234にわたって形成される。
【0135】
図3Jは、いくつかの実装形態による、内部環境の中へ信号を伝送するか、または内部環境から信号を受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の別の例の断面図を示す。図3Jを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、導線性酸化物層(例えば、第1のTCO層214および第2のTCO層216と同じ材料など)からパターン化されるという違いを除いて、図3Iを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0136】
図4Aおよび図4Bは、いくつかの実装形態による、内部環境および外部環境との間で、信号を送受信することができる集積アンテナを備えるIGU202の例の断面図を示す。このような機能性を有する様々な実施形態では、グランドプレーンの屋内側の1つのアンテナ構造体とグランドプレーンの屋外側のもう1つのアンテナ構造体との間に、少なくとも1つのグランドプレーンが配置される。屋内向きアンテナ構造体は、アンテナ構造体の屋内側のさらなるグランドプレーンによって塞がれない。同様に、屋外向きアンテナ構造体は、アンテナ構造体の屋外側のさらなるグランドプレーンによって塞がれない。実装形態によっては、複数のグランドプレーンが、屋内向きアンテナ構造体と屋外向きアンテナ構造との間に配置される。
【0137】
特定の実施形態は、(i)アンテナ構造体を形成するための窓上の導電性材料のパッチと、(ii)パッチアンテナ構造体に平行または垂直(または、間の任意の角度)であり得るグランドプレーンと、を有するパッチアンテナに関係する。パッチアンテナは、本明細書の他の個所で説明されるストリップラインアンテナと同様のモノポールアンテナとして構成され得る。ストリップラインは、通常、比較的細いが(それが形成される表面に対して平行な寸法において)、パッチは、比較的幅が広く、例えば、最も狭い寸法(すなわち、それが形成される表面に対して平行な寸法)が少なくとも約0.5インチである。他の実施形態において、パッチは、その最も狭い寸法で少なくとも約1インチ、または少なくとも約2インチ、または少なくとも約3インチである。特定の実施形態において、パッチアンテナ構造体は、本明細書に開示されたストリップラインアンテナ構造体に相応した厚さ(それが形成される表面に対して直接垂直な)を有する導電性材料の切れ目のないパターン化されていないパッチである。実施形態によっては、パッチアンテナ構造体は、パターン化され、例えば、いくつかのフラクタルアンテナ構造体である。別段の定めがない限り、ストリップラインアンテナ構造体のいずれの考察も、パッチアンテナ構造体に等しく当てはまる。
【0138】
同じ平面上のグランドプレーンおよびアンテナ構造体
図2A図4Bの実施形態は、様々な層上のグランドプレーンおよびアンテナ構造体を示す。これに当てはまらなくてもよい。実装形態によっては、グランドプレーンとアンテナ構造体とは、単一の層の異なる領域を占有する。例えば、TCO層は、TCOの被接地部分がグランドプレーンとして働き、1つ以上の別々に接続された線がアンテナ構造体として働くように、パターン化され、電気的に接続され得る。このような設計は、例えば、スペーサまたは窓枠構造体などのオフライト構造体上に平坦なグランドプレーンを設けることが都合が悪い場合に適切であり得る。当業者には理解されるように、層上のグランドプレーンとアンテナ構造体との相対的なサイズ、位置、および向きに応じて、伝送または受信の際の放射が、分布される。例えば、上で説明されたように、窓アンテナから伝送される放射は、グランドプレーンから離れて向けられ得る。図9Dは、フラクタルパッチアンテナ995とストリップグランドプレーン993とがライトの同じペインに配備される例を提示する。ライトの側面の全面または一部を覆う矩形を含む、他の形状およびサイズのグランドプレーンを採用する例もある。他の形態のパッチアンテナ、ストリップラインアンテナなどの他のアンテナ構造体を採用する例もある。
【0139】
窓アンテナ用のアンテナ設計のクラス
エレクトロクロミックデバイスに対するアンテナ構造体の場所
様々なIGUアンテナ設計は、通常、1つ以上のクラスに分類される。1つのクラスにおいて、エレクトロクロミックデバイスそのものが、アンテナまたはそれの一部を含むように修正される。このような実施形態では、アンテナは、ガラス基板に隣接して配置された透明導体層(例えば、フッ化酸化スズすなわち「TEC」層)、またはガラス表面と反対のエレクトロクロミックスタックの上に設けられた上部透明導体層(例えば、酸化インジウムスズすなわち「ITO」層)などのデバイスの透明導体層内または上に作製され得る。エレクトロクロミックデバイスでは、2つの透明導体層のそれぞれが、エレクトロクロミックデバイスのスイッチング中に、透明導電層を反対の極性にさせる自らのバスバーに接続される。アンテナがこれらの層のうちの1つの内にまたは1つの上に設けられる場合、アンテナは、導電層の周囲部分から電気的に絶縁される必要があり、アンテナ伝送線用にさらなる電気接続が設けられる必要がある。例えば、アンテナデザインパターンは、レーザスクライビングまたはエッチングによって、事実上、描かれ、周囲の導電層から電気的に絶縁され得る。実施形態によっては、バスバーは、1つ以上のセグメントがエレクトロクロミックデバイス遷移に給電し、異なるセグメントがアンテナに/から電気信号を伝送または受信するようにセグメント化される。
【0140】
別のクラスでは、エレクトロクロミックデバイスと統合されているスタックの層にアンテナ構造体が作製されるが、この層は、エレクトロクロミックデバイスの色合い付けまたはスイッチングに関連する機能を直接には果たさない。一例では、導電性材料の別個の層が、エレクトロクロミックデバイススタックを含む基板上に堆積される。実施形態によっては、さらなる層が、エレクトロクロミックデバイススタックが作製される基板(ガラス)の側に堆積され、この層の形成は、エレクトロクロミックデバイススタック層の堆積に統合され得る。例えば、エレクトロクロミックデバイスの上に(ガラス基板から離れた側の)、アンテナ構造体は、上部透明導体層にわたる絶縁層、および絶縁層にわたるプリントパターンまたはパターン化導電層として実装され得、この場合、パターンは、アンテナ構造体を画定する。実施形態によっては、アンテナ構造体専用の別個の導電層に基板が設けられ、エレクトロクロミックデバイスの作製中に別個に堆積される必要はない。専用アンテナ構造層がどのように作製されるかに関わらず、それは、層内または層上にアンテナ構造体用の別個の電気的接続を含むことになる。これとは別に、エレクトロクロミックデバイスのスイッチングを駆動する働きをする2つの透明導電層は、光スイッチングを駆動するのに必要とされる極性の電圧を印加するための標準バスバーまたは他の接続を有することになる。
【0141】
別のクラスでは、エレクトロクロミックデバイススタックの透明導電層のうちの1つの一部が、下地基板から剥がされ、続いて、露出エリア上にアンテナ構造体が形成される(例えば、CVD技法、ロールマスクリソグラフィ技法、または導電性インク印刷技法により)。特定の実施形態において、TCOの除去される部分は、エレクトロクロミックライトの縁に、または縁の近くに位置している。
【0142】
別のクラスでは、アンテナ構造体が、エレクトロクロミックデバイスを有する表面以外のIGU表面上に配置される。このような他の表面は、エレクトロクロミックデバイススタックが存在するライト表面の反対側の表面であり得る。このような実施形態によっては、エレクトロクロミックライトは、現在のECD設計には含まれていないさらなる層またはペインを含む、アンテナ構造体を含む積層構造体を含む。他の実施形態において、アンテナ構造体は、IGUの別個のライトの表面上に形成される。
【0143】
スペーサ上のアンテナ
図5Aおよび図5Bは、いくつかの実装形態による、集積アンテナ備えるIGU202の他の例の断面図を示す。図5Aを参照して示され、説明されるIGU202では、1つ以上の第1のアンテナ構造体540が、スペーサ218のうちの第1のスペーサの屋内側表面上に形成される一方、1つ以上の第2のアンテナ構造体542が、スペーサ218のうちの第2のスペーサの屋内側表面に形成される。第1のアンテナ構造体540および第2のアンテナ構造体542は、接着層544および546をそれぞれ使用して、スペーサ218に接着され得る。例えば、第1のアンテナ構造体542および第2のアンテナ構造体544は、マイラーテープまたは他の接着テープ上に載置されるか、それとも堆積または形成された導電性箔で形成され得る。図5Bを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、図5BのIGU202が、発泡体スペーサまたは他の絶縁スペーサ218ではなく、金属スペーサ548を含むという違いを除いて、図5Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。このような実装形態では、スペーサ548そのものが、グランドプレーンとして機能し得る。代替的に、スペーサまたはそれの一部が適切に構成される場合(サイズ、形状、場所、導体材料)、スペーサは、放射アンテナ電極として駆動され得る。
【0144】
電極構造および放射性を特徴とする窓アンテナ設計
モノポールアンテナの例
モノポールアンテナは、図8Aおよび図8Bに示される形状など、いくつかのフラクタルアンテナにおいて採用される三角形などの他の形状を含み得るが、単極、線、またはパッチであるアンテナ構造体を有する。窓実装形態では、アンテナ構造体が、窓表面上にストリップラインまたはパッチとして(例えば、TCO、銅金属、または銀インクの細い線として)設けられることが多い。第2の電極は、アンテナ構造体を形成する線の軸に垂直に配向されたグランドプレーンである。「perpendicular(垂直に)」という用語は、電極が正確に90度離れている向きとともに、電極が正確に90度離れていない向き(例えば、それらが、約85~90度、または約75~90度、または約60~90度にある)も含むように意図される。グランドプレーンは、アンテナ構造体の端のうちの1つを越えて配置され、それにより、気体(例えば、IGU内部を満たす空気もしくは気体)または他の誘電体が、アンテナ構造体のその端をグランドプレーンから分離する。アンテナ構造体が窓上に配置される場合、グランドプレーンは、窓枠、縦仕切りもしくは無目などの建物枠組み構成要素、IGUのスペーサ、または窓もしくは上述の要素のいずれかに接着された別個の導電性のほぼ平面の構造体などの隣接する構造体上に設けられ得る。窓アンテナにおいて適用するためのモノポールアンテナの基本構造体が、図9Aに描写され、この基本構造体は、導電性材料のストリップ(アンテナ構造体952)が設けられるライト950と、アンテナ構造体に実質的に垂直に配向される別個のグランドプレーン954とを含む。図9Dは、ここでは、アンテナ構造体としてのフラクタルパッチと、グランドプレーンとしての同一平面上の導電性ストリップとを備える、モノポールアンテナも描写する。
【0145】
モノポールアンテナは、単一周波数または狭帯域の周波数の放射を伝送する(かつ/または受信する)。印加に対して、周波数拡散が選択される。通常、この拡散が狭いほど、アンテナは、より効率的に電力を使用する。しかしながら、Wi-Fiなどのいくつかの伝送プロトコルは、周波数の拡散(例えば、2.40GHz~2.49GHz)を採用し、それは、アンテナが相当する範囲にわたって伝送または受信するのに、望ましい場合がある。モノポールアンテナの長さは、それでモノポールアンテナが使用されるRF波の波長によって決まってくる。例えば、1/4波長モノポールは、電波の波長の約1/4の長さを有する。
【0146】
モノポールアンテナは、通常、全方向に、例えば、アンテナ構造体の線の軸を中心として約360度で、放射を伝送する(かつ/または受信する)。信号強度は、モノポール軸を中心として均一またはほぼ均一に分布され得る。グランドプレーンを越える信号があると、モノポールアンテナは、ほとんど放射しない(または受信しない)。さらに、モノポールアンテナは、グランドプレーンから離れて、モノポール軸の方向に限られた信号のみを放射する(または受信する)。モノポールアンテナ構造体が、ライトなどの平坦な表面上に配置される場合、この構造体は、構造体の左右とともに、ライトの平面の内外にも放射する。この指向性は、モノポール設計が、全方向性の方位角伝送または受信が望まれる多くの用途に使用されることを可能にする。
【0147】
窓上に実装されるモノポールアンテナは、作製が比較的容易である。モノポールアンテナは、ガラス窓の平面上の導電性材料のストリップと、その窓上の導電性材料のストリップまたはパッチの軸に直交して位置するグランドプレーンとによって実装され得る。グランドプレーンは、多くの様々なやり方で実装され得る。例えば、グランドプレーンは、アルミニウム無目の一部または縦仕切りなどの導電性枠組み構造体の一部とすることができる。グランドプレーンは、ライトに添着され、モノポールアンテナ構造体の終端から分離された、金属または導電性材料のシートなどのグランドプレーンであるように特に作製された導電性シートであってもよい。グランドプレーンは、窓枠もしくは絶縁ガラス加工ユニット、またはモノポール構造体を有するガラスペインの周囲の他の構造体上に形成された、またはそれに添着された導電性材料のこのような平坦な部分でもあり得る。実装形態によっては、グランドプレーンは、モノポール電極アンテナ構造体と同じライト上に配置される。他のモノポールアンテナ実施形態と同様に、グランドプレーンは、アンテナ構造体の軸方向終端からずれているが、この場合、グランドプレーンは、アンテナ構造体が存在する表面(図9D参照)でもまたは平行な表面でも、ライトの平坦な面上に形成される。他の実施形態において、グランドプレーンは、ライトの縁上に配置される。例えば、グランドプレーンは、モノポール電極構造体の終端に隣接するライトの縁上に配置される金属ストリップなどの導電性ストリップであり得る。場合によっては、このようなグランドプレーンは、アンテナの放射パターンを制約するために適宜、ライトの2つ以上の縁上に配置される。
【0148】
モノポールアンテナは、エレクトロクロミック窓の背景において様々な用途を有する。例えば、モノポールアンテナは、建物の内側または外側両方に信号をブロードキャストするのに採用され得る。モノポールアンテナはまた、建物の内側からでも、または外側からでも信号を受信し得る。Bluetoothビーコン(IEEE802.15.1、2.4~2.485GHz)、Wi-Fiリピータ(IEEE802.11、主に2.4ギガヘルツ、および5ギガヘルツ)、ZigBeeネットワーク通信(IEEE802.15.4、915MHz、米国において)などを生み出すのに、全方向性モノポールアンテナが採用され得る。
【0149】
変形形態のモノポールアンテナは、アンテナのアンテナ構造が単極、パッチ、または線であるという点で、全方向性モノポールアンテナの設計と同様の設計を有する。また、全方向性モノポールアンテナのように、モノポールアンテナは、グランドプレーンを有するが、グランドプレーンは、モノポールアンテナ構造体の軸に平行に配向される。「parallel(平行)」という用語は、電極が正確に0度離れている向きとともに、電極が正確に0度離れていない向き(例えば、それらが、約0~5度、または約0~15度、または約0~30度にある)も含むように意図される。アンテナ構造体が窓上に配置される場合、アンテナ構造体と同じ表面上に、またはアンテナ構造体を有する窓の反対の表面などの平行な表面上に、またはIGU、もしくは複数のペインの他の組立体の別個の窓の表面のうちの1つの上に、グランドプレーンが配置される。例として、図2A~4Bに示される構造体が、平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナとして実装され得る。
【0150】
全方向性モノポールアンテナのように、平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナは、単一周波数または狭帯域の周波数の放射を伝送する(かつ/または受信する)。
【0151】
全方向性モノポールアンテナとは異なり、平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナは、通常、放射を指向的に、例えば、アンテナ構造体のラインの軸の1つの側を中心として約180度で、伝送する(かつ/または受信する)。信号強度は、180度の周りに均一またはほぼ均一に分布され得る。グランドプレーンを越える信号があれば、モノポールアンテナは、ほとんど放射しない(または受信しない)。放射分布は、最も強い信号がグランドプレーンと反対方向にある、ローブであり得る。場合によっては、放射分布は、アンテナ構造体の軸の長さに沿って薄切りされた円筒のほぼ半分を形成する。
【0152】
平行なグランドプレーンを有するモノポールアンテナは、エレクトロクロミック窓の背景において様々な用途を有する。例えば、Bluetoothビーコン(IEEE802.15.1、2.4~2.485GHz)、Wi-Fiリピータ(IEEE802.11、主に2.4ギガヘルツ、および5ギガヘルツ)、ZigBeeネットワーク通信(IEEE802.15.4、915MHz、米国において)などを生み出すのに、平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナが採用され得る。
【0153】
平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナ配設またはパッチアンテナ配設の一実施形態は、アンテナが接地端からの中間距離から給電される板状逆Fアンテナ(PIFA)を成す。この設計は、給電の場所(例えば、給電バスバーの場所)を選択することによって、選択的インピーダンス整合を可能にしながら、標準のモノポールアンテナまたはPIFAアンテナよりもアンテナが短く、コンパクトになることを可能にする。図7Cおよび7Dは、ライトなどの基板700をともに挟むパッチアンテナ701およびグランドプレーン704として実装されるPIFAアンテナ構造体を示す。PIFAアンテナは、例えば、窓コントローラに電気的に接続されるバスバーによってもたらされる給電702と、また、例えば、グランドプレーン704に電気的に接続されるバスバーによってもたらされる短絡703とを有する。図7Cおよび7Dに描写される相対的な構造上の寸法は、単に説明の便宜上であり、好ましい実施形態を表すものではない。
【0154】
ダイポールアンテナの例
ダイポールアンテナは、電磁エネルギーを放射する(または受信する)両方のアンテナ構造体である2つの電極を含む。このような電極のそれぞれは、モノポールのように、単極、パッチ、または線である。また、窓実装形態におけるモノポールアンテナと同様に、ダイポール電極は、窓表面上にストリップラインとして(例えば、TCO、銅金属、または銀インクの細い線として)設けられ得る。通常、ダイポールアンテナの線またはパッチは、平行である。「parallel(平行)」という用語は、電極が正確に0度離れている向きとともに、電極が正確に0度離れていない向き(例えば、それらが、約0~5度、または約0~15度、または約0~30度にある)も含むように意図される。ダイポールアンテナは、グランドプレーンを備えるようにも、備えないようにも、設計され得る。グランドプレーンが有る場合、グランドプレーンは、第3の電極であり得、全方向性モノポールアンテナおよび限定方向性モノポールアンテナにおける配置と同様に、ダイポールアンテナの極に垂直に、または平行に配向され得る。個々のダイポール電極は、単一のグランドプレーンを共有し得る。ダイポール設計では、グランドプレーンは、モノポールアンテナに対して上に説明された導電性枠組み構造体または他の特別に設計された構造体に設けられ得る。
【0155】
ダイポールアンテナは、通常、電極の長さが同じか、または実質的に同じである場合、単一周波数または狭帯域の周波数で動作する。このような場合、波長は、ダイポールアンテナ構造体長さの約2倍の長さであり得る。アンテナ構造体が有する長さにより、アンテナ構造体は、それぞれが異なる極(電極)に関連する、異なる周波数の放射を放射する(または受信する)。
【0156】
ダイポールアンテナは、アンテナの2つの極に実質的に平行であり、かつ2つの極間に位置する平面上に比較的高い強度を有する2つのローブにおける最大放射強度(または信号受信効率)で指向的に動作する。ダイポール窓アンテナの印加には、モノポールアンテナに対するものが含まれるが、指向性がより強いか、または都市の高層ビルの下層階など、より強い信号が必要とされる場合がある。このような場所は、複数のRF源から激しいノイズおよび干渉を受ける可能性がある。
【0157】
図6Aは、図2Aまたは図2Bを参照して示され、説明されたものなどのIGU202の上面図または平面図を示す。図6AのIGU202では、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造232は、ダイポールアンテナとして中央接続される。実装形態によっては、図6AのIGU202は、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232に対してインピーダンス整合またはフィルタ処理をもたらすための整合回路650および652をさらに含む。例えば、整合回路650および652のそれぞれは、1つ以上のインダクタ、コンデンサ、抵抗器および/または変圧器などの1つ以上の受動回路素子を含むことができる。図6Bを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232がモノポールアンテナとして電気的に接続されるという違いを除いて、図6Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0158】
図6Bを参照すると、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、同じパラメータ(特に長さ)を有し、同相の同じ周波数の信号で駆動される場合、それらの間に建設的干渉が生じるようになる。しかしながら、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とが、同じパラメータ(特に長さ)を有し、180度位相がずれた同じ周波数の信号で駆動される場合、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232との組み合わせは、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれが半波長ダイポールとして機能する折返しダイポールとして機能するようになる。さらに、第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232とのパラメータが異なる場合、または、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれに印加される信号の周波数または位相が異なる場合、全体としての第1のアンテナ構造体230と第2のアンテナ構造体232との組み合わせの指向性を調節するのに使用され得る建設的干渉および破壊的干渉両方が生じるようになる。大抵、複数のアンテナデザインパターン(例えば、様々な周波数で伝送するための)を含む実装形態では、窓は、複数のデザインパターンが、例えばネットワークコントローラによって、独立してアドレス指定され得るように構成される。場合によっては、窓および/またはコントローラが、どのアンテナを使用するか、またどの電力および位相を適用するかを動的に選択するように構成され得る。さらに、フラクタルアンテナが使用される実装形態では、コントローラは、フラクタルアンテナの周波数動作範囲を調節するのにも使用され得る。
【0159】
実施形態によっては、アンテナ構造体230および232、または図8Bのものなどの他のアンテナ構造体は、IGUスペーサによって覆い隠され、それによりライトの可視領域において見えないような1つ以上のライトの縁に近接して、IGU内に位置する。このように、アンテナ構造体は、スペーサによって隠されていなければ、それらを見えるようにする線幅および他の寸法、ならびに光学的性質を有することができる。実施形態によっては、IGUスペーサがアンテナ構造体を覆い隠す場合には、それが、非導電性材料から作られることに留意されたい。
【0160】
図7Aおよび図7Bは、いくつかの他の実施形態による、アンテナ構造体およびアンテナパターンの異なる例を示す。図7Aを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のダイポール接続型アンテナ構造体230および第2のダイポール接続型構造体232がそれぞれ、同じ信号によって駆動される複数のダイポール接続型アンテナ構造体を含むという違いを除いて、図6Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。図示の実装形態では、アンテナ構造体のそれぞれは、当該信号の4分の1波長の異なる整数に等しい長さを有する。いくつかの同様の実装形態では、1つ以上のアンテナ構造体が、八木アンテナまたは対数周期アンテナとして実装され得る。図7Bを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のダイポール接続型アンテナ構造体230および第2のダイポール接続型構造体232がそれぞれ、同じ信号によって駆動されるダイポール接続型アンテナ構造体アレイを含むという違いを除いて、図7Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。
【0161】
八木アンテナは、線に沿って分布する複数の平行素子を含む。平行素子は、クロスバーに取り付けられ得る。これらの素子のうちの少なくとも1対は、ダイポール対として駆動され、伝送線によってアンテナ回路(伝送機または受信機)に接続される。図7Aおよび図7Bを参照されたい。平行素子の中には、伝送機または受信機に電気的に接続されない少なくとも1つの寄生素子があり、放射パターンを修正するための電波を再放射する共振子として働く。平行素子の別のものには、被駆動素子のうちの1つの側に位置する反射器がある。素子間の標準的な間隔は、具体的な設計に応じて、波長の約1/10~1/4で変わってくる。導波器の長さは、被駆動素子の長さよりわずかに短い一方、反射器は、わずかに長い。
【0162】
八木アンテナは、ダイポールアンテナと同じ周波数特性を有する。八木アンテナは、電極の長さが同じまたは実質的に同じである場合、単一周波数または狭帯域の周波数を有する。このような場合、波長は、ダイポールアンテナ構造体長さの約2倍の長さであり得る。アンテナ構造体が有する長さにより、アンテナ構造体は、それぞれが異なる極(電極)に関連する、異なる周波数の放射を放射する(または受信する)。放射パターンは、メインローブが素子の平面において、素子に垂直な軸に沿う状態で、実質的に一方向である。窓への印加には、強い指向性成分が必要とされるものが含まれる。八木アンテナが、アンテナ構造体の平面の方向に偏波された放射を送受信することに留意されたい。ブロードキャスト放射が水平方向に偏波される場合には、天窓または他の水平配向の窓上に配置された八木アンテナが適切であり得る。
【0163】
対数周期アンテナは、徐々に長さが長くなる複数のダイポール被駆動素子を有するアンテナ構造体を有する。例えば、図7Aおよび図7Bを参照されたい。各ダイポール被駆動素子は、窓表面上に形成され得る一対の平行導電性ストリップまたは線を含む。ダイポール素子は、伝送機または受信機からの給電線に並列に接続された線に沿って互いに近くに配置される。ダイポール素子は、周波数のシグマ関数に従う間隔で離間される。ダイポール素子における線の長さは、アンテナの全体帯域幅の様々な周波数における共振に対応する。対数周期アンテナのあらゆる線素子がアクティブであり、すなわち給電線に電気的に接続されている。グランドプレーンが有る場合、グランドプレーンは、モノポールアンテナにおける配設と同様に、対数周期アンテナのダイポール素子に垂直に、または平行に配向され得る。
【0164】
対数周期アンテナは、被駆動ダイポール素子の長さによって部分的に決定された広帯域の周波数を伝送および/または受信する。対数周期アンテナは、指向性が強く、狭いビーム放射パターンを有することが多い。放射パターンは、対数周期アンテナの周波数範囲にわたってほぼ一定である。窓アンテナへの印加には、八木アンテナなどの他のダイポールアンテナに適切な印加が含まれる。
【0165】
フラクタルアンテナの例
フラクタルアンテナは、フラクタル形状のアンテナ構造体を有する。適した形状の一例には、シェルピンスキーフラクタル形状がある。他の例には、コッホ曲線およびヒルベルト-ペアノ曲線が含まれる。例えば、図8Aおよび図8Bを参照されたい。フラクタルアンテナは、スペイン、バルセロナのFractus社を含む様々な会社によって設計され、作られている。窓実装形態において、フラクタルアンテナは、窓表面上にフラクタルデザインとして提供されることが多い(例えば、TCO、銅金属、または銀インクの薄いパターン)。実施形態によっては、第2の電極は、モノポールアンテナに対して上に説明されたアンテナ構造体を形成する線の軸に垂直に配向されたグランドプレーンである。実装形態によっては、グランドプレーンは、平行グランドプレーンを有するモノポールアンテナのようなフラクタルアンテナ構造体の軸に平行に配向される。フラクタルアンテナにより占有される窓エリアは、比較的小さく、例えば、最も長い寸法(例えば、約20mm×30mm)で約4インチ以下程度である場合がある。
【0166】
フラクタルアンテナは、フラクタル構造体に応じて、単一または複数の周波数を有し得る。フラクタルアンテナは、モノポールアンテナまたはモノポールアンテナ群の特性を有するように設計され得る。フラクタルアンテナは、モノポールアンテナまたはモノポールアンテナ群の特性を有するように設計され得ることから、グランドプレーンがどこに位置するかに応じて、全方向性モノポールアンテナまたはモノポールアンテナの指向性特性を有し得る。フラクタルアンテナの利点は、それらが窓上の比較的小さなスペースを占有しながら、複数の周波数において効率的に動作できることにある。図8Aに示されるように、シェルピンスキーフラクタルの繰り返し構造は、それぞれが異なる周波数を有するモノポールアンテナの複数の反復をもたらす。実施形態によっては、様々な周波数が、窓アンテナごとに異なる印加をもたらすことができ、または、様々な周波数が、印加ごとに異なる動作帯域をもたらすことができる。
【0167】
図8Bは、グランドプレーン802に垂直に配向されたシェルピンスキーフラクタルアンテナ構造体801を有するモノポール窓アンテナを示す。特定の実装形態において、シェルピンスキーフラクタルアンテナ構造体801は、ライト表面上に作製され、グランドプレーン802は、スペーサ、または縦仕切りもしくは無目などの窓枠要素上に実装される。
【0168】
図8Cは、ライトなどの基板をともに挟むパッチアンテナ(図8Bの「フラクタルパッチ」)および平行グランドプレーンとして実装されるシェルピンスキーフラクタルアンテナ構造体を示す。寸法の例が図に示される。一般に、シェルピンスキーフラクタルアンテナは、例えば、約5インチ以下、または約2インチ以下の頂点寸法までの基部を有する小さな寸法のパッチにおいて実装され得る。
【0169】
図8Dおよび図8Eを参照して示され、説明されるIGU202は、少なくとも、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232が、フラクタルアンテナとしてパターン化されるか、それとも形成されるという違いを除いて、図6Aを参照して示され、説明されたIGU202と同様である。より具体的には、図8DのIGU202では、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、コッホ曲線としてパターン化され、図8EのIGU202では、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232のそれぞれは、ヒルベルト-ペアノ曲線としてパターン化される。このような実装形態によっては(また、上に説明された他の実装形態でも)、アンテナ構造230および232が、銀または他の導電性材料ナノプリンティング技法、ロールマスクフォトリソグラフィ技法、または他の技法を使用して、パターン化され得るのが有利である。これらおよび他の実装形態において、一般に、人間の目にすぐにまたは容易に見えることができないように、アンテナ構造体が、かなり狭いか、それとも透明であることが望ましい。他の実装形態によっては、第1のアンテナ構造体230および第2のアンテナ構造体232は、グリークキーアンテナを含む他のタイプのアンテナを形成するようにパターン化され得る。
【0170】
単一の窓、IGU、または窓および関連の構造体(枠、縦仕切り、無目など)上の複数のアンテナ
特定の実施形態において、窓および/または窓関連の構成要素は、複数のアンテナを含む。多くのアンテナ構造体の小型で邪魔にならない構成が与えられると、単一の窓(ライト)および/または関連の窓構成要素上に複数のアンテナが設けられ得る。例えば、フラクタルアンテナは、寸法当たり約2インチとすることができる。窓組立体の1つ以上のライトに加えて、アンテナは、1つ以上の窓および/またはアンテナコントローラ、IGUスペーサ、窓枠(縦仕切りおよび無目を含む)などの上に配置され得る。場合によっては、アンテナは、窓コントローラの回路基板上に設けられる。場合によっては、エレクトロクロミック窓、アンテナ構造体、グランドプレーン、およびコントローラなどの2つ以上の要素を接続する導体を提供するのに使用されている接着ストリップ上に、アンテナが設けられる。このような接着ストリップの例が、図11D図11G、および図11Hに示される。明らかなように、特定の設計では、それぞれが自らの放射パターンを有する2つ以上のアンテナを採用する。このような実施形態では、設計は、干渉および/またはヌル領域の可能性に対処し得る。
【0171】
図9Bは、本明細書に説明されるライトのうちの多くのように、エレクトロクロミックライトとすることができるライト909が、それぞれが別々に制御されるが、単一のグランドプレーン911を共有する、フラクタルアンテナ913および汎用パッチアンテナ915を含む例を提示する。特定の実施形態において、2つのアンテナは、異なるグランドプレーンを採用する。実装形態によっては、2つのアンテナは、ダイポールアンテナとして働くように相補式に駆動される。他の実装形態において、アンテナは、ともに稼働しないが、bluetoothビーコンの提供およびWi-Fiサービスの提供など、別個のアプリケーションを提供する。描写された構成では、グランドプレーン911は、ライト909と関連のアンテナ913および915に実質的に垂直である。
【0172】
図9Cは、ライト970が、ライトの表面上に配置された3つのシェルピンスキーフラクタルアンテナ980、982、および984を有する例を提示する。図示されないが、1つ以上の関連のグランドプレーンは、ライト970を有するIGUの一部であり得る、ライト970または平行ライトの平行表面上に設けられ得る。コントローラ975は、ライト970上に、またはそれに近接して配置され得る。一例において、コントローラ975は、図11A図11Fに関係して考察されるような窓取り付け式担体を使用して実装される。描写された例では、コントローラ975内に通信インタフェース974が設けられる。インタフェース974は、ライト970のアンテナと、アンテナを動作させるためのマスタコントローラまたは他の命令源との間の通信をもたらし得る。実装形態によっては、インタフェース974は、CANバスとインタフェースで接続するように構成される。当然のことながら、他の通信プロトコルも使用され得る。コントローラ975も、アンテナを制御するための論理を含む。このような論理は、個々のアンテナ用の受信/伝送論理を務め得る。示されたように、論理ブロック978は、アンテナ984を制御し、論理ブロック976は、アンテナ980および982を制御する。実装形態によっては、アンテナ980および982は、ダイポールアンテナとして、ともに動作する。
【0173】
アンテナ構成要素を伝送機/受信機論理に接続するための相互接続
説明されたように、アンテナ構造体は、例えば、窓表面の平面上の透明導電性酸化物の線などの導電性材料の線として実装され得るが、誘電体によってグランドプレーンから分離される。説明されたように、少なくともアンテナ構造体は、それぞれ、アンテナコントローラにおいて実装され得る、伝送機および/または受信機論理に電気的に結合される必要がある。さらに、グランドプレーンは、もしあれば、アースに接続される必要がある。様々なタイプの電気接続(または「相互接続」)が、これらの目的のために使用され得、これらのタイプは、アンテナ構成要素およびコントローラが存在する窓の部分に応じて変わってくる。
【0174】
1つ以上のライトの縁の周りの相互接続
アンテナ電極が異なる表面に位置する(例えば、それらの両方がライトの同じ表面上に位置しない)アンテナ設計では、窓またはIGUの一部の間または一部の周りを通る電気接続が必要とされ得る。例えば、IGU表面S4とS3との間、表面S4とS2との間、表面S4とS1との間、表面S3とS2との間、表面S3とS1との間、表面S2とS1との間、スペーサ表面といずれかのIGUライト表面との間、または窓枠要素(縦仕切りまたは無目を含む)とIGUライト表面のうちのいずれかとの間に、電気接続が必要とされ得る。電気接続は、必要な接続を行うのに適宜送られるワイヤ、ケーブル、テープ、導電性ブロックなどの形態を取り得る。場合によっては、相互接続は、IGUスペーサの内部または下を貫通する。場合によっては、相互接続は、接続を必要とするアンテナ電極間のライト、スペーサ、または他の表面の縁の形状/表面に適合する。いくつかの例が以下に提示される。これらの例のうちのいずれかは、本明細書で説明される他のタイプの相互接続を採用することに及ぶことがある。
【0175】
様々な実施形態において、2つの相互接続が、IGUまたは他の関連の窓構造体上のコネクタから出る。コネクタは、IGUの他の場所または遠隔地に位置するアンテナコントローラ(受信機および/または伝送機論理)に接続する。図10A図10Fは、窓またはIGU上またはその近くに位置するコネクタ、ならびにグランドプレーンおよびアンテナ構造体に走る別個の電気接続の例を提示する。
【0176】
図10Aは、シールド同軸ケーブルなどのケーブル1003がライトの縁に付いているライト1001の断面を示す。ケーブル1003は、アンテナ受信機および/または伝送機(図示せず)と電気的に連通する。ケーブル1003の接地遮蔽体1005は、ライト1001上のグランドプレーン1007に接続し、ケーブル1003の中心導体1009は、ライト1001上のストリップラインまたはパッチアンテナ1011に接続する。グランドプレーン1007とアンテナ構造体1011とは、ライト1001の対向する面上にある。この実施形態では、ケーブル1003がライト1001に達して、遮蔽体1005が、グランドプレーン1007およびアンテナ構造体1011の別個の場所に達するように導体1009から分離されまで、ケーブル1003は、アンテナ伝送機/受信機からのその完全性(接地遮蔽体1105が中心導体1009を取り囲む)を保持する。描写された実施形態では、ケーブル1003は、ライト1001の縁に付き、そこから、接地コネクタと信号/電源コネクタとに分かれる。代替の実施形態において、ケーブル1003は、ライト1001の面、またはグランドプレーンおよびアンテナ構造体に近接する他の場所に付く。
【0177】
図10Bは、ケーブル1003が、縁ではなくライト1001の面に付く、関係する実施形態を示す。この例では、ライト1001は、平行ライト1013およびスペーサ1015を含む絶縁ガラスユニットの一部を形成する。アンテナ構造体1011は、スペーサ1015の外縁のすぐ外側に位置する。スペーサ1015が導電性ではないか、または例えば非導電性材料でコーティングされる場合、アンテナ構造体1011は、スペーサの下に完全にまたは部分的に設けられ得る。
【0178】
図10Cは、同様の例ではあるが、アンテナ受信機/伝送機からアンテナ構造体1011およびグランドプレーン1007に、線1019を接続するための標準MCXコネクタなどの小型コネクタ1017に依拠する例を提示する。接続を必要な接続にするために、多くのタイプの小型(例えば、約1インチよりも大きな寸法のない)コネクタが使用可能である。コネクタ1017がケーブル1003の接地遮蔽体を含まないので、グランドプレーン1007をコネクタ1017のアース端子に繋げるのに、別個の導電線1021が使用される。導電線1021を実装するのに、様々なオプションが使用可能である。これらのうちの1つが、図10Dおよび図10Eに示される。そこに示されるように、導電線1021は、それがコネクタ1017からグランドプレーン1007に延在することから、ライト1001の縁に適合するストリップである。導電線1021は、金属箔、例えば銅箔などの可鍛性材料のストリップであり得る。代替的に、導電線1021は、図11Dおよび図11Gに描写されるものと同様の導体を含む可撓性テープであり得るが、必ずしも1本よりも多い導体線を必要とするものではない。図10Eに示される詳細では、線1021は、はんだ1025を介してグランドプレーン1007に接続する。当然のことながら、はんだの代わりに摩擦取り付け具、導電性インクなどが使用され得る。図10Dおよび図10Eに示されるように、導電線1023は、コネクタ1017からアンテナ素子1011までの距離にまたがる。特定の実施形態において、線1023は、透明導電材料または導電性インクのストリップである。ライト表面上の通電導電線が以下に説明される。
【0179】
図10Fは、導電線1023を介してパッチアンテナ1011への電気接続をもたらすための実施形態を示す。この実施形態では、ワイヤ1029または他の自立型導電線が、ライト1001を含むIGUのスペーサ1027を貫通する。ワイヤ1029は、はんだまたは他の接続を介して導電線1023に付き得る。
【0180】
ライト表面上の相互接続
グランドプレーンとアンテナ構造体とが同じ平面上に位置する場合、適する相互接続設計の一例が、図9Dに示される。そこに示されるように、フラクタルパッチアンテナ995とグランドプレーンストリップ993とは、ライト991の1つの表面(例えば、S2)上に配置される。送受信機は、中心導体998、およびその中心導体を取り囲む接地シースを有するケーブル997を介してグランドプレーンおよびパッチアンテナ構造体に接続する。グランドプレーンストリップ993は、例えば、ストリップ993にはんだ付けされ得る短いコネクタ999を介してケーブルシースに電気的に接続される。アンテナ構造体995は、はんだまたは他の適切な接続を介して中心導体998に電気的に接続される。
【0181】
アンテナ構造体とグランドプレーンまたは伝送機などの別の要素との間の窓表面上に伝送線が設けられる場合、伝送線は、放射しないように設計される必要がある。このために、伝送線は、中央の伝送線が信号搬送線であり、周囲の伝送線がアース線である、3本の平行線として実装され得る。
【0182】
このような設計は、アンテナ構造体が、グランドプレーン、伝送機、または受信機が接続されるライトの縁から比較的遠い窓の領域上に位置する場合に、必要とされ得る。例えば、アンテナ構造体は、縦仕切りまたは無目などの導電性枠組み構造体からある程度離れている必要があり得る。
【0183】
同軸ケーブル布線などの従来のケーブル布線では、遮蔽は、ケーブルの内部における導体の周りの接地遮蔽体で達成される。伝送線がライトの表面上のある程度の距離にまたがるここに説明される窓実施形態では、接地導電性ストリップを中央の信号伝導線のいずれかの側に置くことによって、同様の遮蔽構造体が設けられ得る。図11Gに示されるテープなどの電気接続を、但し平坦な表面上に設けるのに、可撓性テープが採用される場合、同様の3つの導体構造体が採用され得る。
【0184】
コントローラとアンテナ構成要素との間の相互接続
実装形態によっては、エレクトロクロミック窓コントローラまたは他の論理とともに実装され得るアンテナコントローラ(例えば、受信機および/または伝送機制御論理)は、IGUのペイン上に、例えば、建物の内部からアクセスされ得る表面上に位置付けられ得る。例えば、2つのペインを有するIGUの場合、コントローラは、表面S4上に設けられ得る。図11A図11Cは、様々なコントローラ構成要素が、感圧接着剤(例えば、両面テープなど、図示せず)または異なる接着剤(例えば、エポキシ接着剤または他の接着剤)により、インボードライト1100bの表面S4上に取り付けられ得る基部1107に載置され得る担体1108に設けられる、実施形態を描写する。様々な場合において、担体1108は、アンテナ内に通常見られる構成要素のすべて、および必要に応じて窓コント-ラを収容し得る。
【0185】
図11Aでは、IGUは、示されるように、表面S1~S4を有するアウトボードライト1100aおよびインボードライト1100bを含む。ライト1100aと1100bとは、一次シール材料(図示せず)を通してライト1100aおよび1100bに気密封止されるスペーサ1101によって分離される。バスバー1102は、スペーサ1101の縁を越えて周方向外方に延在するバスバーリード線1103とともに、スペーサ1101の下を、例えばその長さ(このページの平面の内外)に沿って走る。担体1108は、基部1107とぴったり合い、それに嵌合する。この例では、基部1107は、ケーブル1127を介してコネクタ1117に接続される。コネクタ1117は、場合によってはM8であり得る。ケーブル1127は、電力および/または通信情報をIGUに送達し得る。電力および/または通信情報は、いずれか使用可能な接続を通して、基部1107から担体1108に転送され得る。図11Aでは、電力および/または通信情報は、それぞれ、基部1107および担体1108上の1つ以上の接続1125および1126を通して、基部1107から担体1108に転送され得る。
【0186】
担体1108は、様々な構成要素1111a、1111b、および1111cが設置されたプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)1109を含む。構成要素1111a~cは、通常、当業者によって使用され、また、例えば図2Eに関係して説明された、いくつかの異なる構成要素であり得る。回路基板上の様々な構成要素は、回路基板の片面上にすべて設けられることがあるが、回路基板の両面上に設けられることもある。コントローラは、例えば、同じ平面において、積み重ね形式か、または左右に並んで、1つより多い回路基板を有し得る。
【0187】
バネ負荷ポゴピン1110a、1110b、および1110cなどの一連の電気接続構造体は、担体1108から基部1107を通して、基部1107の下方に位置する構成要素に電力を供給し得る。電気接続構造体は、永続的または一時的な電気接続を提供し得る。電気接続構造体は、接着、冶金接合、摩擦などによる確実な取り付けをもたらし得る。場合によっては、バネ負荷(例えば、ポゴピンの場合)、担体1108/基部1107/ライト1100b間の全体的な接続からの圧力などによって、摩擦がもたらされ得る。以下の例は、ポゴピンを提示するが、これは、単に一例である。例えば、信頼性を高め、腐食を防止するために、接続に、金メッキが施され得る。
【0188】
例えば、ポゴピン1110aは、EC膜(図示せず)およびバスバー1102が設けられているS4からS2へ電力を送る電気接続1106に電力を供給する。電気接続1106は、バスバーリード線1103に電力を供給し得る。電気接続1106は、導電線(例えば、銅インク、銀インクなど)でパターン化された薄いテープ、リボンケーブル、別のタイプのケーブル、その上またはその中の導電線でパターン化されたクリップ、または異なるタイプの電気接続であり得る。同様の接続が、アンテナ構成要素に設けられ得る。
【0189】
インボードライト1100bと電気接続1106との間にシール材1105が設けられる場合があり得、これは、IGUの内部が確実に気密封止状態を維持する助けとなり得る。このような場合によっては(図示せず)、このシール材1105(または別のシール材)は、電気接続1106をスペーサ1101の隣の所定位置に保つのを助けるように、スペーサ1101の外周にずっと沿って延在し得る。シール材1105は、感圧シール材または別の種類のシール材であり得る。スペーサ1101および電気接続1106の外側周方向に位置するのは、二次シール材1104である。代替的に、コネクタ1106は、内側ペインの縁に巻き付くのではなく、内側ペインを通る孔を貫通し得、例えば、この場合、1106が基部において始まり、それにより、エンドユーザには見えない。この場合、1106(例えば、ワイヤ)の周りを封止して、1106と、1106が貫通する内側ライトにある孔との間を封止するのに、1105のようなシール材が使用され得る。
【0190】
第2のポゴピン1110bが、担体1108と構成要素1115との間の電気接続をもたらし得る一方、第3のポゴピン1110cが、担体1108と構成要素1116との間の電気接続をもたらし得る。様々な実施形態において、構成要素1115および1116が、表面S4上にパターン化されるアンテナの一部を形成し得る。例えば、構成要素1115は、アンテナのグランドプレーン用のアース接続をもたらし得、構成要素1116は、アンテナ構造体の一部(例えば、ストリップ線、フラクタル素子、対数周期素子など)であり得る。実施形態によっては、グランドプレーンおよび/またはアンテナ構造体は、S1~S4のうちのいずれか1つまたはすべての上に、IGUのスペーサ上に、窓/またはアンテナコントローラそのものの上に、枠、縦仕切り、もしくは無目上に、またはIGUもしくは窓に関連する別の構成要素上に設けられ得る。アンテナへの電気接続は、ガラス表面上またはペイン間、例えばスペーサ表面内または表面上の構成要素の場所に応じて、適宜構成される。
【0191】
図11A図11Cには、ポゴピンが3本しか示されていないが、様々な構成要素に給電するのに、またはアンテナなどから入力を受信するのに、必要に応じて、いずれの本数でもポゴピンが提供され得る。一例において、電気コネクタ1106と同様のPVコネクタに電力を供給するさらなるポゴピン(図示せず)が提供される。PVコネクタは、電気コネクタ1106と同じ形状/性質を有し得るが、バスバーに電力を送達する代わりに、PVコネクタは、表面S2上に位置付けられたPV膜から担体1108に電力を送達する。PV膜が表面S3上に位置付けられる場合、PVコネクタは、図11Bに示される電気コネクタ1120と同様に、表面S3上のPV膜から表面S4上の基部および/または担体に電力を送達するだけで済ますことができる。PVコネクタは、PVセルから説明された内蔵バッテリまたはスーパーキャパシタに電力を供給し得る。(a)担体および/または基部と(b)バスバー(またはバスバーと電気的に接続された導体)との間に電力を送るための本明細書に説明される機構およびハードウェアのうちのいずれかが、(a)担体および/または基部と(b)IGUのライトのうちの1つの上に位置付けられたPV膜との間に電気接続を確立するのにも使用され得る。
【0192】
担体1108は、基部1107全体にしっかり嵌合され得、場合によっては、所定位置に固定され得る(例えば、盗難を防止し、いずれの考えられる損傷も最小限に抑えるために)。マウスホール、細い切り込み、または他の開口が、ケーブル1127が走り得る担体1108に設けられ得る。ケーブル1127は、ケーブル1127(例えば、コネクタ1117がその中にあり、そこで電気接続を行う、枠に入り込む)を覆い隠すために、窓の枠の十分近くに位置付けられている担体によって、視界から隠され得る。
【0193】
図11Bは、図11Aに示されるものと同様の実施形態を提示し、2つの主要な違いのみが説明される。図11Bでは、ケーブル1127は、基部1107ではなく、担体1108に直接接続する(代替の実施形態では、図11Aのように構成され得るが)。したがって、電力および/または通信情報を基部1107から担体1108に持っていくための接続(図11Aの1125および1126など)は何も必要ない。この例では、基部1107には給電されなくてもよく、この場合、電力は、担体1108から、ポゴピン1110a~cを通して、電気接続1120に、(また構成要素1115および1116に)直接転送される。別の実施形態において、ポゴピン1110a~cのうちの1つ以上は、基部1107を突き抜ける代わりに、基部1107の上面で終端し得る。これにより、基部1107は、いずれかの使用可能な電気接続部を介して、基部1107の下方の構成要素に電力を転送し得る。一例において、基部1107は、導電トレースを含み、この導電トレースのそれぞれは、(a)ポゴピン1110a~cが基部1107に接触する点と、(b)関連のボゴピンによって給電される、基部1107の下方の構成要素(例えば、構成要素1115および1116、ならびに電気接続1106または1120)とを電気的に接続する。代替的にまたは加えて、基部は、基部の表面上にのみ設けられているではなく、基部を貫通する電気接続を含み得る。
【0194】
図11Aと比較した図11Bにおける別の違いは、電気接続1106が、異なる電気接続1120およびブロック1121に取り替えられることである。電気接続1120は、インボードライト1100bの縁の周りに、S4からS3に電力を持っていく。ブロック1121は、電力をS3からS2に持っていき、そこで、電力をバスバーリード線1103および/またはアンテナ構成要素に送達することができる。ブロック1121は、この目的を達成するために、導電性であり得、またはその上またはその中に導体を有し得る。一例において、ブロック1121は、ライト1100aと1100bとの間にしっかりと挿入するのが容易である材料で作られる。材料の例には、発泡体、ゴム、シリコンなどが含まれる。場合によっては、S2とS3とを電気的に接続するために、導電線がブロック上にプリントされ得、実装形態によっては、S2とS3との間にこの接続を作るために、ブロックが、裏面接着式リボンケーブルまたは可撓性プリント回路と対合される。
【0195】
電気接続1120は、電気接続1106に関して説明されたタイプの接続のうちのいずれかであり得る。気密封止を確実にするのに、スペーサ1101とブロック1121との間にシール材(図示せず)が設けられ得る。
【0196】
図11Cは、図11Bに示されるものと同様の実施形態を提示し、主な違いのみが説明される。図11Cでは、ブロック1121は、S3からS2に電力を持っていくワイヤ1122(または一連のワイヤ)に取り替えられる。同様の実施形態において、ワイヤ1122(または、他の電気接続)をスペーサ1101に固定するのに、ブロックまたはシート(図示せず)が設けられる。この技法は、二次シール1104が形成される場合、ワイヤ1122または他の電気接続具が確実に邪魔にならないようにし得る。代替の構成において、1つ以上のワイヤ1122は、1つ以上の孔を介してペイン1100bを貫通し、必要に応じて、水分がまたこの孔を通過することのないように気密シールを形成するのに、封止材が使用され得る。
【0197】
図11A図11Cのそれぞれにおいて、S4からS2に電力を提供する一組の電気接続が示される。しかしながら、各エレクトロクロミック窓が、2本(またはそれ以上)のバスバーを有し、電気接続が各バスバーに適切な電力接続をもたらすように構成されるべきであることを理解すべきである。さらに、電力および/またはデータをアンテナ素子に持っていく、かつ/またはアンテナ素子から持ってくるのに、電気接続設計のうちのいずれかが使用され得る。
【0198】
図11A~11Cに明示的には示されないが、基部1107および担体1108のうちのいずれかまたは両方は、IGU内のアンテナおよび/またはエレクトロクロミックライトについての情報など、関連のIGUに関係する情報を含むプログラマブルチップを含み得る。このような情報は、アンテナ構成(例えば、モノポール、ダイポール、ストリップライン、フラクタルなど)、アンテナの周波数特性、放射強度分布(例えば、全方向性)、伝送されたまたは受信された放射、アンテナの駆動パラメータ、窓のサイズ、窓および関連のエレクトロクロミックデバイスの材料、エレクトロクロミックデバイスに特有の電流制限および電圧制限、エレクトロクロミックデバイスに特有の制御アルゴリズムまたは他の制御パラメータ(例えば、必要とされる駆動電圧、保持電圧、およびランプ)、周期動作および他の寿命情報などのうちのいずれか1つ以上に関するものであり得る。チップが違う窓への間違った設置により不整合になる危険を排除するために、チップを基部1107に含めることが特に有益であり得る。このように、担体1108は、どの担体がどのIGUと対になるかが問題にはならないように、基本的に汎用/交換可能であり得る。この特徴により、設置の複雑さや誤りが大幅に低減され得る。同様に、コントローラ内に通常見られる他の構成要素のうちのいくつかが、所望に応じて、基部または他のドックに提供され得る(例えば、担体内に提供されるのとは対照的に)。他の個所で述べられるように、ドックそのものが、コントローラ内に通常見られる構成要素を含む場合、「the controller(コントローラ)」という用語は、ドック、担体、またはそれら両方を指すことがある。また、図11A図11Cには示されないが、基部1107または担体1108のうちのいずれかまたは両方は、ポート(例えば、USBポート、Mini-USBポート、Micro-USBポートなど)を含み得る。様々な実施形態において、ポートとインタフェースで接続するデバイス(例えば、USBドライブ)が、IGUのライトと平行である方向に挿入されるように、ポートが配向され得る。他の実施形態によっては、ポートとインタフェースで接続するデバイス(例えば、USBドライブ)が、IGUのライトに垂直である方向に挿入されるようにポートが配向され得る。例えばドックおよび/または担体が長方形状ではない、他の選択肢も可能である。
【0199】
図11Dは、導電線を有する可撓性テープ片の例を提示し、それは、ある意味では、可撓性プリント回路として見ることができる。導電性テープは、図11Aに示された電気接続1106用に使用される場合に有する可能性のある形状で示される。テープは、インボードライト1100bに巻き付き、スペーサ1101の外周にわたって延在し、アウトボードライト1100aのS2に載り、そこでは、テープは、パスバー当たり1本のリードで、バスバー/バスバーリード(図示せず)への給電接続をもたらすことができる。同様に、グランドプレーンなどのアンテナ構成要素、および1つ以上のアンテナ構造体への電気接続を設けるのに、可撓性テープが使用され得る。アンテナ構造体との接続用に使用される場合の実施形態によっては、テープは、図11Dに示される2つではなく、3つの導体を含み得る。例えば、図11Gに描写されるように、中心導体1191は、信号通信用に使用され、外側導体1193は、接地されて、中心導体が放射するのを防ぐ。大抵、テープは、IGUのいずれの表面間にも(例えば、S4-S3、S4-S2、S4-S1、S3-S1、S2-S1、およびS3-S2)、電力および/または通信を送達することができる。個々のアンテナ素子は、接続を通してアンテナコントローラ(受信機/または伝送機)に接続される。特定の実施形態において、可撓性テープは、自らが縦走するIGU構造体に自らが接着することを可能にする接着表面を含む。
【0200】
図11Eは、図11Aを参照して説明されたIGUの一部の図を提示する。基部1107は、インボードライト1100bに載置されて示される。電気接続1106は、電力をS4からS2に送達し、それにより、電力を、第1のバスバーリード1125aに、また第2のバスバーリード線1125に持っていく。第1のバスバーリード1125aが、第1のバスバーに電力を送達し得る一方、第2のバスバーリード線1125bが、第2のバスバーに電力を送達し得る。さらなるバスバーが提供される(例えば、1つのECライト内で様々なゾーンを画定するために)実施形態では、導電性テープ上の追加の線と、このようなテープに接続する追加のバスバーリードとが、設けられ得る。同様に、アンテナ構成要素など、窓組立体の他の電気構成要素が、S1、S2、S3、および/またはS4上に存在する場合、可撓性テープ回路は、これらのさらなる構成要素に電気接続するように構成され得る。基部1107は、いくつかの特徴1119を含んで、図11Eに示される。これらの特徴は、センサ(例えば、光センサ)を収容するように設けられた穴、窓要素への接続(例えば、ポゴピン)を収容するための穴、基部と担体との間で電力および/または通信情報を転送するための接続、適切ではない場合を除いて、担体が基部から確実に外れないようにするためのロック機構などを含むが、それらに限定されるわけではない様々な構成要素であり得る。基部が、例えば基部の1つの側に走る1つの可撓性回路テープタイプのコネクタとともに描写されるが、基部に走る他の可撓性テープ回路があり得る。例えば、1本のテープが描写されたように走り、別のテープが基部の別の側に走ることがある。この実施形態は、例えばS2、S3上に、コーティング、アンテナ構成要素などがその上にあるための接点を有するのを容易にし得るが、ただ1つの回路テープにこの接続のすべてを作らせる必要はない。しかしながら、特定の実施形態では、作製の簡略化のために、例えば、ただ1つの場所(可撓性回路)を使用して、ライト間の電気接続のすべてが作られる収束作製のために、ただ1つの回路テープが望ましい。実施形態によっては、テープコネクタは、3本以上の導電線を含み得る。テープコネクタは、いくつかの導電線を1つの場所に、また1つ以上の他の導電線を1つ以上の他の場所に向けるための1つ以上の分岐も含み得る。
【0201】
図11Fは、担体1108が基部上に設置される(図示せず)場合の図11Eの実施形態を示す。ケーブル1127は、IGUに電力および/または通信情報を提供し、基部1107に(図11Aに示されるように)、または担体1108に(図11Bおよび図11Cに示されるように)接続し得る。コネクタ1117は、ケーブル1128を介して電力および/または通信を提供し得る別のコネクタ1130と噛み合い得る。コネクタ1117および1130は、M8コネクタであり得、ケーブル1128は、本明細書に説明される幹線に直接接続し得る引込み線であり得る。ケーブル1127は、IGUケーブルとも呼ばれる窓ケーブルであり得る。図11Fは、担体1108(および/または基部1107)の様々な側を起点とするケーブル1127および電気接続1106を示すが、他の実施形態では、これらの2つの接続は、担体1108(および/または基部1107)の同じ側を起点とし得る。この実施形態では、電力へのハードワイヤード接続を有しているにも関わらず、コントローラが、IGUの例えばS4にすぐにアクセス可能であり、コントローラが、例えばモジュラ式のカートリッジタイプの形式で着脱自在とすることができるという利点をなお有する。
【0202】
一実施形態は、窓のペインに載置されたアンテナコントローラを有するエレクトロクロミック窓であり、アンテナコントローラは、基部および担体を有する。一実施形態において、アンテナコントローラは、カートリッジ形式を有し、この形式では、基部と担体とは、可逆的なインターロッキング方式で互いにドッキングする。一実施形態において、コントローラは、バッテリを含む。一実施形態において、バッテリは、コントローラから着脱自在である。一実施形態において、バッテリは、基部の一部である。別の実施形態において、バッテリは、担体の一部である。一実施形態において、バッテリは、扁平形電池である。一実施形態において、バッテリは、再充電可能である。一実施形態において、バッテリは、リチウムイオン系電池である。一実施形態において、担体および基部は、担体を基部から取り外すための耐タンパ機構を有する。一実施形態において、基部は、ペインに接着して取り付けられる。一実施形態において、基部は、回路テープまたはリボンケーブルを介してエレクトロクロミック窓のエレクトロクロミックデバイスと電気的に連通する。一実施形態において、基部は、回路テープまたはリボンケーブルを介して、エレクトロクロミック窓のアンテナと電気的に連通する。一実施形態において、基部は、回路テープまたはリボンケーブルを介して、エレクトロクロミック窓の1つ以上のアンテナ構成要素と電気的に連通する。一実施形態において、基部は、回路テープまたはリボンケーブルを介して、バスバーまたはエレクトロクロミック窓のセンサと電気的に連通する。一実施形態において、基部の頂部(ペインから最も外に向く)の表面は、基部が取り付けられるペインの表面から約1/2インチ以下、例えばペインの表面から約3/8インチ以下、例えばペインの表面から1/8インチ以下にある。一実施形態において、担体の頂部(ペインから最も外に向く)の表面は、基部とドッキングされる場合、担体が取り付けられるペインの表面から約1インチ以下、例えばペインの表面から約3/4インチ以下、例えばペインの表面から1/2インチ以下にある。一実施形態において、基部は、長方形である。一実施形態において、基部の形状は、基部が、エレクトロクロミック窓を支持する枠の角に嵌入できるように、少なくとも1つの直角を有する。一実施形態において、コントローラは、少なくとも1つのディスプレイを含む。ディスプレイは、例えば、LCDディスプレイおよびLEDディスクプレイなどであり得る。ディスプレイは、エレクトロクロミック窓の色合いレベル、またはアンテナ設定を示し得る。一実施形態において、コントローラは、制御スイッチ、例えばボタンおよび/またはキーパッドを含む。制御スイッチは、例えば、色合い状態および/またはアンテナ設定に対応し得る。コントローラは、色合いレベル変化、アンテナ状態、無線通信接続性、電力状態などを示すための1つ以上の表示灯、例えばLEDを含み得、これらの機能はまた、別個の表示灯の有無に関わらず、前述のディスプレイを介して表示され得る。一実施形態において、コントローラは、USBポートを含む。一実施形態において、コントローラは、光ファイバ通信ポートを含む。一実施形態において、コントローラは、同軸接続ポートを含む。一実施形態において、コントローラは、アンテナを含む。一実施形態において、コントローラは、無線通信、例えばBluetoothを有する。
【0203】
IGUは、通常、支持用の枠または枠組みシステムに設置される。個々のIGUが、個々のフレームに設置され得る一方、多数のIGUが、カーテンウォールまたは同様の構造体に設置され得、縦仕切りおよび無目が隣接する窓を隔てる。これらの構成要素のすべてが、IGUの枠を形成すると考えられ得る。いくつかの実施形態において、IGUを取り囲む枠に、穴、切り込み、または他の穿孔が設けられ得、1本以上のワイヤ/ケーブルが穿孔に送り込まれ得る。例えば、図11Fの背景において、ケーブル1127は、IGUを取り囲む枠内のこのような孔に通され得る。同様の実施形態において、ケーブル1127および電気接続1106両方は、担体1108(またはその下のドック)の同じ側を起点とし、IGUが設置されるフレームは、電気接続1106がインボードライト1100bの縁に巻き付いている個所に近接する穴を含む。この穴は、フレームの内縁に当接し得る担体1108(または、別の実施形態ではドック)の縁によって隠され得る。場合によっては、担体1108の外ケーシングは、間に何の空間ももたずに担体を枠に当接させることが容易であるような、ある程度の弾力性を有する材料(例えば、ゴム、柔軟なプラスチックなど)で作られ得る。他の実施形態において、担体のケースは、剛性であるが、担体が基部とドッキングされると、可撓性材料が、接続1106および/またはケーブル1127を覆い隠すように、発泡体またはゴムなどの可撓性材料が、ケーシングの1つの側および/または穴の周りの枠に施される。同様に、枠の縁に当接する担体の部分は、このような材料で作られ、担体の残りの部分は、異なる材料で作られ得る。ケーブル1127は、枠にある穴に通され、ケーブル1128を介して送達される電力および/または通信と接続され得る。このように、オンガラスコントローラは、極めてきれいな外観を有し、コントローラへの配線または電気接続が何もエンドユーザには見えず、コントローラの占有面積が小さいことから(例えば、4in未満、3in未満、または2in未満)、それは、窓の可視エリアの極わずかしか場所を取らない。
【0204】
図11Fは、別の実施形態を示すのにも使用され得る。例えば、1108は、担体(コントローラ)用のドックではなく、ユーザインタフェース、例えば制御パッド、例えばタッチパッド、キーバッド、またはタッチスクリーンディスプレイ(このため、例えば薄い)とすることができ、配線1106は、二次シールにおいて、ユーザインタフェースをコントローラに接続するのに使用される。これは、担体がコントローラ回路網およびユーザ制御インタフェースを含むが、コントローラ回路鋼をガラス間、例えば二次シールに移動させ、ユーザインタフェースをガラス上に保つ実施形態に類似している。したがって、配線1106は、ペイン間の上に説明されたバスバー、アンテナ、および他の特徴だけではなく、この例では、またペイン間にあるコントローラ回路網も、制御パッドに接続するであろう。ユーザインタフェースは、例えば接着剤で添着され得、着脱可能/交換可能であり得る。ユーザインタフェースは、例えば可撓性回路1106へのキーパッド接続のみを有して、非常に薄いものであり得、または制御パッドは、デジタルディスプレイ(また、薄く、例えば、可撓性とすることができる)であり得る。制御インタフェースは、少なくとも部分的に透明であり得る。一実施形態において、ユーザ制御インタフェースおよび回路1106は、単一の構成要素である。例えば、1106の背面上の接着シーラント1105(上に説明された)が、「ピール&スティック」フォームファクタに対して、例えば保護裏打ちにより、ユーザ制御インタフェースの背面上にもあり得る。例えば、作製中に、ペイン間のバスバー、アンテナ、コントローラ、および他の構成要素への適切な電気接点が、適宜、S2および/またはS3上の局所エリアに作られる。IGU形成中にライトが一つにまとめられると、局所エリアは、例えばS2およびS3両方の上に1つである場合、ぴったり合わせられる。次に、ユーザインタフェースが剥がされ、例えば、ペイン1100bの縁の周りに、S3から始まり、スペーサにわたり、S2上に、次にS4上へと、ガラス上に貼り付けられる。このように、収束的な(したがって効率的な)作製プロセスが実現される。
【0205】
図11Hは、アンテナ構造体に/から信号を提供するための第1の部分1152と、エレクトロクロミックデバイスのバスバーに電力を提供するための第2の部分1154とを有する可撓性テープ型相互接続1150を描写する。第1の部分1152内には、窓に関連するアンテナ構造体に/から信号を運ぶための中心導体1164が設けられる一方、外導体1160および1162が接地され、放射の通過を阻止する。第2の部分1154内には、エレクトロクロミックデバイス上の両方の極性の電極に給電するための導体1156および1158が設けられる。描写された相互接続は、第1の部分と第2の部分とが、分離し、それらの導体を、バスバーおよびアンテナ素子が存在し得る様々な場所に向けることを可能にする分岐を含む。特定の実施形態において、エレクトロクロミックデバイスおよびアンテナ構成要素を制御するためのすべての論理は、本明細書の他の個所に説明されるハイブリッド窓/アンテナコントローラなどのただ1つの場所に設けられる。この図には描写されないが、相互接続1150は、通常、ここに示される天地の端点を越えて延在する。
【0206】
窓アンテナアレイ
図12は、上に示されたまたは説明された実装形態のいずれかに関連して説明されたものなどのIGU202のアレイを示す。例えば、このようなアレイは、建物の側面または正面に配設され得る。それぞれのIGUのそれぞれ内のアンテナ構造体のそれぞれは、建設的干渉と破壊的干渉とを選択的にもたらし、最終的には、伝送信号のより細分の指向性をもたらすように、異なる信号または異なる位相で独立して制御され得る(例えば、上に説明されたネットワークコントローラおよび対応する窓コントローラによって)。さらに、このような配設は、外部環境または内部環境をマッピングするのに使用され得る。加えて、アンテナの配設またはアレイなどは、集合的に放送塔または受信塔として働くのに必要とされるゲインを提供することができ、それにより、他のブロードキャスト(例えば、セルラタワー)を不要にする。
【0207】
フェーズドアレイアンテナは、特定の領域に達するとともに、受信が望まれる領域を狭めるような特定の方向に沿って信号の伝送を向けるのに有利であり得る。このような指向性伝送または指向性受信は、ビームフォーミングまたは空間フィルタリングとも呼ばれる。フェーズドアレイを使用した空間フィルタリングは、大抵、特定の角度にある信号が建設的干渉を受ける一方、他の角度にある信号が破壊的干渉を受けるようなフェーズドアレイにいて、素子を組み合わせることによって達成される。上述のように、ビームフォーミングは、空間選択性を実現するために、伝送端および受信端両方で使用され得る。伝送時にアレイの指向性を変更するために、コントローラは、伝送アンテナ素子のそれぞれに提供される信号の位相および相対振幅を制御して、フェーズドアレイによって集合的に生み出された波面に、建設的干渉および破壊的干渉のパターンを作り出す。同様に、受信時、特定の空間領域内のまたは特定の方向に沿う情報を優先的に観察するか、それとも提供するように、様々なアンテナ素子からの情報が、組み合わされるか、それとも処理される。実装形態によっては、各アンテナに送信される(またはそれから受信される)各信号は、異なる「重み」によって増幅され得る。所望の感度パターンを実現するために、様々な異なる重み付けパターン(例えば、Dolph-Chebyshev)が使用され得る。例えば、制御された位置、方向、または幅を有するヌルおよびサイドローブとともに、制御された幅を有するメインローブ(「ビーム」)が生み出され得る。図13Aは、理論上の都会ゾーンおよび田舎ゾーンに対して実施的に完全な地理的カバレッジを維持するために、適切な重なりの必要に応じて位置付けられた、例えば4つのセルラタワーを有する従来のセルタワーネットワークを示す。図13Bは、建物のうちの3つを、その3つの建物のそれぞれおいて、アンテナ装備ガラス、例えば本明細書に説明されるエレクトロクロミックアンテナ装備ガラスを使用することによって、セルタワー代用物として使用することを描写する。このように、従来のセルタワーが取り除かれ得、例えば、完全なカバレッジを維持し、かつ多くの望まれない従来のセルタワーの景観を排除しながら、より広範な地理的カバレージが、実現され得る。さらに、必要に応じて、各建物の内部に信号をブーストし、かつ/またはセルラトラフィックを単方向または双方向にするのに、ECアンテナガラスが使用され得る。アンテナ窓は、セルタワーをある程度不要にし得る。
【0208】
適切な制御下で、アンテナを有するIGUアレイは、協調して稼働する。ある時点で、作動用にいくつかの窓アンテナが選択され、休止用に他が選択され、作動したアンテナは、指定の電力、周波数、および/または位相で放射が印加される。例として、一列に配設された隣接する窓上のアンテナは、指向性放射パターンを作り出すように選択的に作動させられ、給電され得る。建物正面にあるいくつかまたはすべての窓に送達される信号も、個々の窓の伝送性質および/または受信性質を調整するように制御され得る。さらに、いくつかの窓が複数のアンテナ構造パターン(例えば、様々な周波数を送受信するための)を含む実装形態では、図1Aおよび図1Bを参照して上に説明されたマスタコントローラ111またはネットワークコントローラ112などのコントローラは、どのアンテナを使用するか、動的に選択するように構成され得る。フラクタルアンテナを採用する実装形態では、コントローラが、個々のアンテナの動作周波数を微調整し得る。
【0209】
さらに、実装形態によっては、本明細書に説明されるアンテナ構造体およびアンテナが、それぞれのIGU102と窓コントローラ114、ネットワークコントローラ112、またはマスタコントローラ111との間で信号を伝達するのに使用され得る。例えば、実装形態によっては、窓コントローラ112は、本明細書に説明されるアンテナ構造体を介して、IGU102内の、それともIGU102に関連するドライバに、電圧または電流の駆動パラメータを伝達することができる。ドライバは、1つ以上の電源およびアースに接続され、窓コントローラ114から受信したパラメータを使用して、IGU102内のECDに給電することができる。別の例として、各IGU102が1つ以上のセンサ(例えば、温度センサ、電流センサ、電圧センサ、光センサ、または他の環境センサ)を含む実装形態では、窓コントローラ114は、本明細書に説明されるアンテナ構造体を介してセンサからセンサデータを無線で要求する、かつ/または受信することができる。他の実装形態によっては、窓コントローラ114は、本明細書に説明されるアンテナ構造体を介して、ネットワークコントローラ112またはマスタコントローラ111と通信することができ、その逆も可能である
【0210】
様々な実装形態において、本明細書に説明されるアンテナ構造体のうちのいくつかまたはすべては、以下に限定されるものではないが、Bluetooth無線技術規格によって使用されるそれらの周波数を含む、ISM帯域、特にセルラ通信用のISM帯域(例えば、700MHz、800MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、PCS、AWS、およびBRS/EBS帯域)、およびWi-Fi(例えば、2.4GHz UHF帯域および5GHz SHF帯域)などの選択された周波数範囲において動作するように構成される。このようなアンテナ構造体は、マイクロビーコン、ピコセル、およびフェムトセルとして機能することもできる。
【0211】
4Gおよび5G無線移動体通信規格への移行に伴い、セルラサービス事業者は、大型高出力セルタワーに依拠するモデルから複数の小型電力伝送機に依拠するモデルに移行している。この動機の一部には、受信機への電力がセル伝送機からの距離の2乗で落ちることを認識して、あるエリアをカバレッジで覆い、容量を維持することがある。それぞれが特定の電力および周波数の伝送に調整され得る、建物の、または場合によっては複数の建物でさえも、その複数の窓を制御する開示された手法は、おそらく4G/5Gモデルと噛み合う。
【0212】
グランドプレーンおよび/またはアンテナ構造体用に使用される透明導電層の性質
考察された実施形態のうちのいくつかは、適切な性質を有する透明導電性材料のシートとしてグラウンドプレーンを採用し、またプリントまたはパターン化されたアンテナ構造体を採用する。多くの実施形態において、グランドプレーンは、IGUの可視領域にあり、このため、グランドプレーン材料は、その機能を提供するのに必要とされる厚さにおいて、実質的に透明でなければならない。
【0213】
例として、酸化インジウムスズから作製されたグランドプレーンは、2.54GHz信号の送信または受信に対して約1700nm以上の厚さを有してもよい。いくつかの金属イオンドープTCO材料が、高められた導電性を有し、それにより、より薄いグランドプレーンエリアを可能にし得る。金属イオンドーパントの例には、銀および銅が含まれる。
【0214】
特定の実施形態において、アンテナパターンは、エレクトロクロミックデバイススタックの層上に堆積された細い導電線によって画定される。薄い導体層は、導電性インクをプリントすること、またはワイヤメッシュなどのワイヤを敷設すること、などによって設けられ得る。メッシュまたはその他の方法によってプリントされるか、設けられるかを問わず、導電線は、窓を通して占有者が見ることに影響を与えないほど十分に細くなくてはいけない。
【0215】
ワイヤメッシュが使用される場合、それは、既製のメッシュとして提供されてもよく、その後、エレクトロクロミックデバイススタックの一部として働くか、またはそれと統合されている適切な導電層または絶縁層に積層されるか、それとも添着される。代替として、ワイヤメッシュを付着させるのに、ローリングマスクリソグラフィ技法が使用され得る。アンテナを画定するパターンは、ワイヤメッシュエリアの一部またはワイヤ全体を選択的に取り除くことによって作り出され得る。
【0216】
窓のアンテナ構造体の製造
本明細書の他の個所に示されているように、窓上のアンテナを製造するのに様々な技法が採用され得る。このような技法には、当業者には十分明らかなように、グランドプレーンのブランケット堆積、アンテナ構造またはグランドプレーンを形成するための導電層のエッチング、マスキング、リソグラフィなどが含まれる。アンテナ構造体およびグランドプレーンを形成するのに、様々な材料が使用され得、これらの材料のうちのいつかは、本明細書の他の個所で確認される。実施形態によっては、材料は、銀インクなどの導電性インクである。実施形態によっては、材料は、透明導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ)などの導電性透明材料である。
【0217】
特定の実施形態において、エレクトロクロミック窓の基板の1つ以上の表面上の1つ以上のアンテナは、ゾル-ゲルプロセスによって堆積された材料を含む。特定の実施形態において、ゾル-ゲルプロセスは、所望のアンテナに対応するパターンの薄膜として、ゲル化前駆体材料を基板に施すことを伴う。必要に応じた乾燥プロセスの後、薄膜が、アンテナを形成するように加熱される。基板が、局所的でも基板全体でも、薄膜の加熱をもたらすように加熱され得る。熱処理は、例えば100℃~400℃、例えば150℃~350℃、別の例では200℃~300℃の範囲とすることができる。加熱は、約30分~5時間、例えば約1時間~約3時間、行われ得る。
【0218】
ゾル-ゲルプロセスは、コロイド溶液から固体材料を生成するための方法である。この方法は、金属酸化物、例えば本明細書に説明されるアンテナ用のITOおよび他の酸化物の作製用に使用される。コロイド溶液は、ゲル化前駆体である離散粒子またはネットワークポリマーの一体型ネットワークを形成する。典型的なゲル化前駆体は、1つ以上の金属酸化物および/または金属アルコキシド、例えば酸化インジウムスズを含み、二酸化ケイ素などのシリコン酸化物を含み得る。一実施形態において、1つ以上の金属酸化物および/または金属アルコキシドは、アルミニウム、アンチモン、クロム、コバルト、銅、ガリウム、ゲルマニウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、タンタル、スズ、チタン、タングステン、銀、亜鉛、およびジルコニウムといった金属のうちの1つ以上に基づく。
【0219】
薄膜パターンは、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、マスクを使用しながらのスプレー塗布などによって、基板上に施され得る。特定の実施形態において、薄膜パターンは、窓基板上の局在的エリアであり、このエリアは、特別なパターン化を何も有していない。局在的エリアは、1つ以上のアンテナ、例えばアンテナ一式をパターン化するのに、それからの十分な寸法を有する。薄膜が熱処理された後、本明細書に説明されるアンテナを形成するために、薄膜が、例えばレーザアブレーションによってパターン化される。
【0220】
様々な他の堆積プロセスが採用され得る。例には、化学蒸着および物理蒸着が含まれる。これらの技法は、ライト上のマスクなどのパターン化に採用され得る。一例において、物理堆積プロセスまたは化学堆積プロセスは、このプロセスにおいて、フォトレジストをライトに塗布し、次にレジストをパターン化して、所望のアンテナパターンを現すという、伝統的なリフト-オフ技法とともに採用される。堆積後、プロセスは、TCOまたは他の導体が堆積される領域を除いて、ライトの背後に残るフォトレジストをリフトオフする。インクジェット印刷またはスクリーン印刷などの他のプロセスが採用され得、これらのプロセスは、例えば、ライトが、例えば保護絶縁トップコートとともに、そのコーティング装置を離れた後、ライト上またはエレクトロクロミックライト上に何も他のものがない状態で、ライトにわたって行われ得る。
【0221】
窓ネットワーク用のアプリケーション
窓アンテナは、光学的に切り替え可能な窓および/または関連のシステムに利益をもたらす様々なアプリケーション用に使用され得る。このようなアプリケーションの例には、パーソナライゼーションサービスおよび無線ネットワーク通信が含まれる。
【0222】
内部建物通信ノード/ハードウェアでは、窓アンテナは、Wi-Fiアンテナ、小型基地局、内部リピータ、ネットワークインタフェースなどの従来のアンテナのうちのいくつかまたはすべてに代わることができる。窓アンテナのこのような用途は、内部のセル、コンピュータ、および他のデバイスの接続性のために壁/天井にぶら下がっている従来の内部のアンテナを取り除くことによって、内部の見栄えを良くすることができる。さらに、窓アンテナは、セルタワーをある程度不要にし得る。
【0223】
パーソナライゼーションサービス
一般に、パーソナライゼーションサービスは、建物の領域(例えば、部屋およびロビー)を使用する特定の個人に適用可能な窓またはアンテナの状態を提供する。個人ごとに、異なる関連の窓パラメータを有することができる。例えば、第1の個人は、Wi-Fiサービス無効、また着信および発信の無線信号を阻止するセキュリティ特徴無効の比較的暗い部屋を好む可能性がある。第2の個人は、Wi-Fiサービス有効の有する明るい部屋を好む可能性がある。建物は、いずれの個人の嗜好にも合致しないすべての部屋に対して初期設定を有する可能性がある。例えば、初期設定は、Wi-Fiまたはセキュリティサービス無効、また時刻およびその時の天気状態に基づいた窓色合い状態設定である可能性がある。パーソナライゼーションサービスを使用して、占有者が、建物のある領域に入ると、窓/アンテナシステムは、その占有者が居ると判断し、占有者の個人設定を判断し、窓および/またはアンテナ設定を占有者の好みに適合するように調節する。パーソナライゼーションのうちのいくつかは、占有者の指向性移動、すなわち、建物のロビーを通ってオフィスに向かって歩くことを外挿法によって推定することによって、あるエリアへの占有者の到着に先立って実行され得る。
【0224】
一例において、建物の当該領域における窓アンテナは、占有者が入室しているか、または入室するところであるか判断する。この判断は、占有者のスマートフォンまたは他の無線通信デバイスとの通信を介してなされ得る。Bluetoothは、ユーザと局所窓アンテナとの間で通信するのに適したプロトコルの一例である。他のリンクプロトコルが使用されてもよい(例えば、UWB、Wi-Fi、ZigBee、RFなど)。実装形態において、占有者のスマートフォン(または他のデバイス)は、窓アンテナによって受信されたユーザIDを伝達する。次に、アンテナおよびネットワーク論理が、データベースまたは他の占有者パラメータ源で、占有者パラメータを探すことによって、占有者パラメータを決定する。別の実装形態において、占有者のスマートフォンまたは他の通信デバイスは、パラメータを格納し、それらを窓アンテナに伝送する。
【0225】
占有者に使用可能であり得るパーソナライゼーションサービスの例には、以下のうちの1つ以上が含まれる:
1.占有者の近傍の光学的に切り替え可能な窓の色合いレベル
2.通信遮蔽オン/オフ。例えば、アンテナ、グランドプレーンなどは、電磁通信が、窓、またはアンテナ、グランドプレーンなどを含む他の構造体を通過するのを阻止する状態に置かれ得る。
3.小売アプリケーション用のユーザの場所に基づく通知。実施形態によっては、建物のネットワークは、特定の顧客が建物内の特定の場所に居ると判断する。これは、顧客のモバイルデバイスとその場所にあるアンテナとの間の通信を検出することによって行われ得る。アンテナを介して伝達されたユーザIDに基づいて、建物/小売論理は、ユーザに通知を送信する(例えば、モバイルデバイスアプリケーションを介して)。この通知には、顧客およびアンテナの近傍の商品に関する情報が含まれ得る。このような情報には、販売促進(例えば、販売価格)、商品仕様、売り手情報、他の顧客による批評、専門の批評家による批評などを含み得る。顧客は、自分が、入手可能な情報のうちのいくつかもしくはすべてを受信する、または何も受信しないように、小売建物パラメータをパーソナライズし得る。
4.占有者が近傍で検出されると、BMSまたは他の建物システム/ネットワークを介して、サーモスタット、照明システム、ドアロックなどの非窓システムにパーソナライズ設定を伝達する。占有者は、このような設定をパーソナライズして、非窓設定のうちのいくつかもくはすべてへの設定の伝達を可能にするか、または何にも伝達しないことを可能にし得る。
5.無線充電回路、例えば誘導結合回路の近傍でユーザが検出されたときの占有者のモバイルなどの小型デバイスの無線充電。
【0226】
個人のパーソナライゼーションパラメータ(例えば、好ましい色合いレベルおよび好ましい通信遮蔽)のうちのいずれか1つ以上が、建物の窓および/またはアンテナネットワークの一部である記憶デバイスに格納され得る。場合によっては、記憶デバイスは、建物の窓および/またはアンテナネットワーク上にはないが、このデバイスは、建物のネットワークにアクセス可能である。例えば、記憶デバイスは、窓/アンテナネットワークとの通信リンクを有する遠隔地に存在し得る。記憶デバイスの遠隔地の例には、異なる建物、一般に使用可能なデータ記憶媒体(例えば、クラウド)、複数の建物の中央制御センター(例えば、2014年12月8日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第62/088,943号を参照)などが含まれる。実施形態によっては、個人のパーソナライゼーションパラメータは、ユーザのモバイルデバイス上でも、または局所窓もしくはアンテナコントローラ(すなわち、個人のパーソナライゼーションパラメータによって調節され得る光学的に切り替え可能な窓または窓デバイスの場所にあるコントローラ)上でも、ローカルに格納される。場合によっては、個人のモバイルデバイスは、パラメータをローカルに格納しないが、建物用の窓またはアンテナネットワークから分かれているセルラまたは他のネットワーク上でパラメータにアクセスすることができる。このような場合、パラメータは、必要に応じて、モバイルデバイスにダウンロードされ得るか、または遠隔記憶場所から、モバイルデバイスを介して、局所窓および/またはアンテナコントローラに提供され得る。パーソナライゼーションパラメータに対するローカルストレージまたはローカルアクセスは、建物の窓および/またはアンテナネットワークが使用不可になった場合(例えば、ネットワーク接続が一時的に切断される)、また建物にネットワークがない場合に有用である。
【0227】
窓制御ネットワークは、天気サービスなどのサービスを他の建物を含む第三者に提供し得る。このような情報は、局所の色合いを決定する際の元である建物/ネットワークによって、センサ、天気供給などを備えていない可能性のある第三者によって、使用され得る。元である建物は、このような情報を他の建物にプロードキャストするように構成された窓アンテナを含み得る。代替としてまたは加えて、他の建物は、このような情報を元である建物から受信し、この情報を、窓アンテナを介してさらに他の建物に伝送するように構成され得る。
【0228】
窓/アンテナネットワークは、侵入者がセルフォンまたは他のタイプの無線機を持ち歩いている場合に、建物の周囲、近傍、または内部の侵入者を検出するなどのセキュリティサービスを提供するように構成され得る。ネットワークは、例えば、エレクトロクロミック窓から読み取られた電流および/または電圧における変化を検出することによって、窓が壊された場合、それを検出するようにも構成され得る。
【0229】
建物特有のパーソナライゼーションサービスが、オフィス共有アプリケーション、ホテリングアプリケーション、および/または季節的もしくは定期的な住宅および会社の賃貸アプリケーションで使用され得る。一例において、多室建物全体にわたるアンテナは、訪問者がどの時点でもどこにいるかを判断し(例えば、本明細書の他の個所で説明されるジオポジショニング方法を使用して)、この場所情報をユーザのモバイルデバイス上に建物マップを表示するモバイルアプリケーションに提供する。このマップは、アンテナによって判断された訪問者のその時の場所で更新される。一例において、BluetoothまたはBluetooth Low Energy(BTLE)が、訪問者のモバイルデバイスと通信し、ユーザIDを判断し、ユーザIDのその時の場所を提供するために、窓アンテナによって使用されるプロトコルである。このようなアプリケーションには、特に複数の訪問者または学生が居る建物において、緊急の状況で有効になる特徴が含まれ得る。火災または地震などの災害や人質状況またはテロ状況などのセキュリティ事象が、モバイルアプリケーションをトリガし、アンテナが、内部の安全な場所に避難または入るための地図および命令を有効にする。
【0230】
実施形態によっては、多室建物全体にわたるアンテナは、訪問者がどの時点でもどこにいるかを判断し(本明細書の他の個所で説明されるジオポジショニング方法を使用して)、訪問者の場所を使用して、ユーザに選択肢または特徴を選択的に表示する。例えば、位置情報を使用することによって、モバイルアプリケーションを使用して、エレクトロクロミック窓の色合い状態を制御する訪問者には、訪問者のその時の場所に対応する窓が提示され得る。これは、建物の別のエリアにある窓、例えば異なる階の窓を最初に選り分けなければならないことにより、ユーザがすぐ近くの窓の色合い状態を制御するのを妨げられる可能性のある大きな建物において特に有利であり得る。実施形態によっては、アプリケーションは、より近く、より関係のある選択肢が最初に挙げられる順番で、すぐ近くのデバイス(例えば、エレクトロクロミック窓)に対応する選択肢を表示するだけのものもある。
【0231】
実施形態によっては、窓アンテナが設置されている建物の一部またはすべての占有者および/または借用者にWi-Fiまたは他のサービスを提供するのに、1つ上の窓アンテナが使用可能である。占有者/借用者がサービスに対して支払う場合、アンテナおよび関連のコントローラが、サービスを使用可能にするために有効にされる。占有者/借用者がサービスを断った場合、アンテナ/コントローラは、そのサービスに対して有効にされない。当然のことながら、アンテナ/コントローラは、占有者/借用者がサービスを断った場合でも、他のサービスに対して使用可能であり、使用され得る。
【0232】
ジオフェンシングおよびジオロケーション
窓ネットワークは、物理的な地理的領域に対応する仮想境界を作り出し、仮想境界に対するデバイスの位置をマッピングする方法であるジオフェンシング用に構成され得る。デバイスがこのような境界を越えると、アプリケーションは、ドアをロックする、またはロック解除するなどの特定の動作を取り得る。ジオフェンシングアプリケーションは、GPSを使用してデバイスの位置が判断される屋外使用に、大きく成長を遂げてきた。屋内使用では、GPSは、衛星への見通し内通信がないことから、通常、位置を判断するには不正確または実行不可能な方法である。GPS位置が使用されるとき、それはまた、多階建物のどの階(または他の高度構成要素)がジオフェンシングの対象となるデバイスを含むか判断できないことに悩まされる。
【0233】
ジオフェンシング用のよくあるアプリケーションには、モバイルデバイス上の対象を絞った広告、施錠および家電製品の制御、デバイスを持ち歩く子供が指定のエリアに入る、またはそこを離れると親に警告を発する子供位置特定サービスが含まれる。屋内ジオフェンシングアプリケーションの成長は、正確なGPS位置推定に頼ることができないことに悩まされてきた。屋内アプリケーションが、固定内部Wi-FiノードまたはBluetoothノードとの通信などの非GPS技法を採用した限りでは、このようなアプリケーションは、数十メートルにすぎないことが多い、不十分な場所解像度に悩まされてきた。
【0234】
本開示によれば、複数の窓および/または窓コントローラは、Bluetooth信号などの無線信号を伝送するように構成されたデバイスの位置を判断するように構成される。立ち上げまたは他の技法時に、各窓およびコントローラの位置が確立されることになる。既知の物理的位置の1つ以上の窓アンテナまたはコントローラから収集された近接性または位置情報を使用して、デバイスの位置は、例えば1メートルまたは1.5メートル程度の高い細分度で判断され得る。ジオフェンシングアプリケーションに使用されるのに適した窓アンテナの構造および機能は、本明細書全体にわたって説明される。さらに、ネットワークコントローラおよび/またはマスタコントローラを含むネットワークを含む窓コントローラおよび/またはアンテナのネットワークは、本明細書の他の個所で説明される。
【0235】
一般に、それらがジオフェンシングを介して追跡する窓アンテナおよびデバイスまたは資産は、様々な形態の無線電磁伝送、たとえば、時変の電場、磁場、または電磁場を介して通信するように構成され得る。電磁通信に使用されるよくある無線プロトコルには、Bluetooth、BLE、Wi-Fi、RF、および超広帯域(UWB)が含まれるが、これらに限定されるものではない。デバイスの位置は、受信強度または電力、到達時間または位相、周波数、および無線伝送信号の到着角度を含むがこれらに限定されない1つ以上のアンテナにおいて受信された伝送に関する情報から判断され得る。これらの測定基準からデバイスの位置を判断する際、場合によっては、建物の物理的なレイアウト、例えば壁および家具を考量する三角形分割アルゴリズムが実施され得る。さらに、ネットワークは、位置精度を向上させるために、デバイス上の内部センサ、磁気センサ、および他のセンサを利用し得る。例えば、感知された磁気情報を使用することで、資産が占有する空間のより正確な占有面積を判断するのに使用され得る資産の向きを判断することが可能になる。
【0236】
特定の実施形態において、デバイスおよび窓アンテナは、パルスベースの超広帯域(UWB)技術(ECMA-368およびECMA-369)を使用して、マイクロ位置特定チップを介して通信するように構成される。UWBは、短距離(最長230フィート)にわたって低電力(通常0.5mW未満)で大量のデータを伝送する無線技術である。UWB信号の規定特性は、それが、帯域幅スペクトルの少なくとも500MHz、またはその中心周波数の少なくとも20%を占めることである。UWBは、同時にいくつかの周波数チャネルにわたって、搬送波信号上で極めて正確にタイミングが取られたデジタル信号パルスをブロードキャストする。情報は、パルスのタイミングまたは位置付けを変調することによって伝送され得る。代替的に、情報は、パルスの極性、その振幅を符号化することによって、かつ/または直交パルスを使用することによって、伝送され得る。UWB技術は、低電力形式の情報プロトコルであることを除けば、他の無線プロトコルに優って、屋内ジオフェンシングアプリケーションにいくつかの利点を提供し得る。広範囲のUWBペクトルは、UWB信号が壁を含む様々な物質に浸透することを可能にする長い波長を有する低周波数を含む。これらの低浸透周波数を含む広範囲の周波数は、いくつかの波長が、通常、見通し内軌道を有するようになるので、マルチパス伝搬エラーの機会を少なくする。パルスベースのUWB通信の別の利点には、パルスが、通常、極めて短く(500MHz幅パルスでは、60cm未満、1.3GHz帯域幅パルスでは、23cm未満)、反射パルスが元のパルスと重なるようになる機会を少なくすることである。デバイスにマイクロ位置特定チップが装備されている場合、デバイスの相対位置は、10cmの精度範囲内で、場合によっては5cmの精度範囲内で判断され得る。
【0237】
デバイスの移動は、デバイスと、窓のアンテナおよび/またはアンテナネットワークとの間で送信される連続信号によって判断され得る。例えば、1つ以上の第1のアンテナに対応する第1の信号の伝送に関する情報が分析されると、第1の位置が判断され得る。同様に、後のある時点で、1つ以上の第2のアンテナに対応する第2の信号の伝送に関する情報が、第2の位置を判断するために分析される。連続伝送は、この第1および第2の伝送の場合のように、周波数、出力、および位相などの同じ信号特性のうちの多くを有することがあるが、それらが様々な時間および/または様々な位置で提供されるという点で、異なることがある。経時のデバイスの連続的な位置を比較することによって、デバイスの移動(位置、速度、および加速度)が推定または判断され得る。デバイスが動くのにも関わらず、第1の伝送を受信する第1のアンテナのうちのいくつかは、第2の伝送を受信する第2のアンテナのうちのいくつかを含み得ることに留意されたい。経時の位置測定値、引いては移動を追跡することにより、様々なジオフェンシング方法を行うことが可能になる。
【0238】
アンテナおよび/またはコントローラネットワークに関連して、本明細書に開示されたデバイスおよびタグは、通常、無線電磁アナログ信号または無線電磁デジタル信号を伝送および/または受信する能力を有するアンテナを含む電気構成要素である。場合によっては、デバイスは、ビーコン(例えば、iBeacon(登録商標))を、アンテナネットワークに送り出すように構成され、デバイスが1つの一方向伝送機として動作することを可能にし得る。デバイスは、すぐ近くのアンテナから電磁信号を受信する能力を有し得る。場合によっては、デバイスは、適切に構成されたアンテナネットワークからの電磁信号を分析して、デバイスの場所を部分的または完全に判断する能力を有し得る。場合によっては、デバイスは、受信電磁信号を遠隔処理システムに伝送して、デバイスの位置を判断し得る。追跡される資産または個人のアプリケーションおよび要件に応じて、デバイスは、特定のサイズである必要があり得る。例えば、デバイスは、いくつかのRFIDタグ、マイクロ位置特定チップ、またはBluetoothマイクロモジュールの場合と同様に、各寸法において数ミリメートル以下の程度に小さいことがあり、または、大型アンテナに対応して、1メートル以上の程度であることがある。デバイスは、資産の外部か内部かを問わず、資産と統合するための構造を含むこともある。デバイスは、バッテリまたは受動デバイスを含むという点で、またバッテリ以外の何らかの手段(例えば、窓アンテナから伝送される電磁波)によってエネルギーが与えられるという点で、能動であり得る。
【0239】
本明細書に述べられる資産は、ポータブル電子機器(PED:Portable Electronic Device)、例えばラップトップ、電話機、電子タブレットまたはリーダ、ビデオレコーダ、無線オーディオコンポーネント、電子スマートウォッチ、電子フィットネスリストバンド、無線機、スマートグラス、医療インプラント、およびカメラなどの有用な有形用品、すなわち、窓および/またはアンテナネットワークと通信することができるか、それともそれによって検出され得るデバイス(無線電磁信号を伝送および/または受信する能力を有する)を含む用品である。デバイスは、プリント回路基板への取り付け、資産の外部への接合、または資産のケーシングに組み込まれることを含むが、これらに限定されるものではない、方法または機構によって資産に統合される。資産には、アンテナおよび/またはコントローラネットワークと通信することができるRFIDタグまたはマイクロロケーションチップなどのデバイスと対合され得る非電子物品も含まれる。本明細書に説明されるユーザは、通常、スマートフォン、タブレット、IDバッジなどを携帯する場合など、自分にデバイスまたはタグを携帯する人である(ユーザが動物である場合もあるが)。動物が皮下RFIDチップを有することもある。場合によっては、デバイスは、ユーザまたはユーザの衣服に直接取り付けられる。開示された方法を使用して追跡され得るユーザと資産との多くの組み合わせがある。
【0240】
実施形態によっては、建物におけるデバイスの位置は、ネットワークまたはマスタコントローラなどの窓ネットワーク内の処理論理によって判断される。処理論理は、デバイスから伝送された信号についての情報を窓アンテナ(または、ネットワークに関連する他のソース)から受信する(例えば、様々な窓アンテナによって受信されるブロードキャスト信号についての情報)。別の実施形態において、窓アンテナは、自分が伝送された窓のシグネチャを含む信号をブロードキャストするように構成され、それにより、デバイスは、1つ以上の窓から信号を受信し、デバイス内の位置検出論理を使用して、その位置の決定を行う。代替の手法では、デバイスは、すぐ近くの窓アンテナについて自分が受信した情報を、このような情報を使用してデバイスの位置を判断する遠隔システムに送信する。このような場合、位置の決定は、GPS対応デバイス上で採用されるものと類似のやり方で実施され得る。さらに、位置データを精緻化するのに、これらの2つの方法の組み合わせがさらに使用され得る。
【0241】
一旦計算されると、デバイス位置は、デバイスの後続の移動の制御、警告の例えば担当者またはセキュリティシステムへの発行、および/またはデバイスのその時の位置および過去の位置のログ取りなどの様々な目的に使用され得る。当然のことながら、デバイスに関連するユーザまたは資産は、追跡の対象となる項目であり得る。位置情報は、窓ネットワークおよび/または関連のアンテナネットワーク上で格納および/または伝送され得る。実施形態によっては、アンテナおよび/またはコントローラネットワークは、ビルマネジメントシステム、照明システム、セキュリティシステム、在庫システム、および安全システムを含むがこれらに限定されるものではない1つ以上の補助システムに位置情報を伝送する。
【0242】
図15A図15Dは、建物の階の周囲の複数のアンテナ(アンテナ1507を含む)を使用するジオフェンシングの例を描写する。描写されないが、ジオフェンシングアプリケーションは、隣接するオフィス間の壁、天井などの建物の内部に位置するさらなるアンテナを採用し得る。参加するアンテナは、アンテナおよび/または窓コントローラネットワーク上に設けられる。アンテナ、ネットワーク、および/または関連の位置特定論理(ジオフェンシング用)は、特定の資産またはユーザが出入りを許可または拒否される、ジオフェンシングによって画定される領域を確立するように構成される。図は、特定のジオフェンシングアプリケーション用の領域の仮想境界を有する階計画を示す。
【0243】
図15Aを参照すると、ジオフェンシングアプリケーションは、資産またはユーザが居ることを可能にするように構成された許容領域1501と、資産またはユーザの出入りを拒否するように構成された不許容領域1502を画定する。描写された例では、デバイス1520は、資産またはユーザとともに動き、動きながらアンテナ1507と通信する。ジオフェンシングアプリケーションの位置特定論理は、デバイス1520が許容領域1501に入る、または不許容領域1502に入ると、記録を取り得る。描写された実施形態では、デバイス1520は、最初に、許容領域1501に関連する仮想境界にわたる中立領域から動く。この動きは、参照番号1503で示される。デバイス1520は、領域1501では許可されるので、警告または他の不都合な結果は、起こらない。もちろん、位置特定論理は、動き1503のログを取り得る。その後、動き1504によって示されるように、デバイス1520は、許容領域1501内を動く。領域1501内で、論理は、デバイスの移動をモニタリングし得る。
【0244】
図15Bを参照すると、デバイス1520は、許可領域1501の外側に動きし、不許可領域1502の仮想境界を越える。番号1506で描写された動きを参照されたい。この場合、位置特定論理は、デバイス1520が仮想境界を越えて不許可領域1502に入ると、それを検出してフラグを立てか、または他の動作を行う。この点で、位置特定論理および/または関連のネットワークエンティティは、位置特定論理がデバイス1520の不正な移動を検出すると、警告を送り出すように構成され得、これは、対象としている資産またはユーザが不正な動きを行ったことを意味する。例として、セキュリティシステムが有効にされ得、かつ/またはユーザが、許可領域1501に戻るよう彼/彼女に命令する通信を受信し得る。図15Bに描写されるように、デバイス1520は、領域1501の仮想境界を越えて動き、中立領域に入ることもあり得る参照番号1505によって描写される動きを参照されたい。この場合、この動きは、デバイス1520を禁止領域に持ち込んでいないので、動きが気付かれ、ログが取られることがある一方、この動きが、警告または不都合な結果を引き起こすことはない。
【0245】
図15Cに描写されるように、ジオフェンス(仮想周囲)の境界は、資産またはユーザに対して、さらなる出入りを可能にするか、または出入りを低減するように修正され得る。図15Cでは、図15Bの禁止エリア1502への出入りが、デバイス1520が新しい拡張許可領域1508を提供するように改められている。結果として、図15Bの例では問題となっていたデバイスの移動1506が、ここでは許される。この例で示唆されるように、出入りが許可されなかったエリアが資産またはユーザに許されるようになるように、またはその逆であるように、ネットワーク許可が、いつでも再構成され得る。
【0246】
図15Dを参照すると、領域間の移動は、ジオフェンスされたエリアの再構成またはリセットも引き起こし得る。例えば、図15Bおよび図15Cからの移動1506は、許容領域および不許容領域(それぞれ、境域1509および1510)の新しい構成を引き起こし得る。許容領域および不許容領域のこのような再構成は、入/出手続きの厳格な施行、およびさらなるセキュリティを可能にし得る。したがって、図15Dに見られるように、移動1511は、領域1509および1510へのジオフェンシングの再構成を引き起こした移動1506の結果として、もはや許されるものではない。この点で、ジオフェンスおよび仮想障壁は、初期の仮想境界が越えられた後、資産またはユーザによるさらなる移動を阻止するように構成され得る。
【0247】
実施形態によっては、ユーザが、デバイスがフロアプランまたはマップ上のどこに位置しているかの経過を遠隔で追うことを可能にするように、位置特定論理および関連のユーザソフトウェアが有効にされる。そうすることで、資産またはユーザの移動のログを取ることが可能であり得る。位置データは、いつ資産またはユーザが移動するべきか、または移動すべきではないかを判断するネットワーク論理回路と組み合わされ得る。階間または中二階への垂直移動も追跡され得る。
【0248】
建物全体にわたる資産の位置を素早く識別する能力は、特定の場面では極めて有用であり得る。例えば、ジオフェンシング用に構成された窓ネットワークを有する病院を考えてみる。この例では、資産には、アドレナリン自己注射器(エピネン)、除細動器、救急心臓薬などの時間依存性手当てを提供するのに使用される器具および医療用品が含まれ得る。窓ネットワーク上の資産を管理するエンティティの管理コンピュータ上で実行するソフトウェア、および/または病院内の資産の位置を受信するモバイルデバイスは、必要とされる最も近い資産を素早く見つけるために、医療スタッフによって使用され、早期医療処置を可能にし得る。同様の治療を必要とする多数の患者が同時に到着するときなど、資産の複数の模造品が必要とされる場合、ジオフェンシングの使用は、もし使用しなければ、必要な資産のさらなる模造品を探し求める医療スタッフによって無駄にされるであろう時間を短縮し得る。実施形態によっては、位置特定ソフトウェアが、資産が指定の保管場所にあるか否かに応じて、その資産が使用可能であるか否かを識別することができることがある。例えば、除細動器が指定の保管場所にない場合、位置特定ソフトウェアは、除細動器が使用中であると判断し、医療スタッフに次の最も近い除細動器を指示する。実施形態によっては、タグ付き資産は、例えば病院内のクラッシュカートまたは他の可動/移動運搬手段上で移動可能であり得る(かつ/またはクラッシュカートそのものが、マイクロ位置特定チップでタグ付けされる)。位置特定ソフトウェアは、その時の緊急事態に対処するために、クラッシュカートまたは最も近いクラッシュカートの位置を判断し、病院スタッフに、最も近いカートおよび/または彼らが必要である資産を有する最も近いカートを見つけることを可能にさせ得る。ジオフェンシングは、薬剤などの消耗資産の在庫を改善するためにも実施され得る。例えば、位置特定ソフトウェアは、薬剤が、その保管場所、例えば棚またはクラッシュカートから動かされると、その薬剤(例えば、緊急心臓薬)を、消費されるとして識別するように構成され得る。場合によっては、位置特定ソフトウェアは、資産がどれくらいの期間静止しているか、または資産が期限切れになっているか否か、もしくは整備点検が必要か否かをモニタリングし、スタッフに警告するように、さらに構成され得る。例えば、薬剤が特定の貯蔵寿命を有する場合、薬剤がその有効期限に近づくと、医療スタッフに通知されることがあり、または消火器が一定期間動かされていない場合、消火器は、整備が必要なことがある。ジオフェンシング技法を実施することにより、病院は、患者の手当てにとって決定的な意味をもつ様々な資産に対するより良い在庫およびアクセスを提供し得る。この例示的な例は、病院に関係するものであるが、ジオフェンシングの類似のアプリケーションが使用され得る他の多くの場面があり得る。他の例には、例えば倉庫内の在庫管理、組立ライン生産用の部品供給の追跡、および建物内の会社資産、例えば、コンピュータ、家具などの管理が含まれる。
【0249】
本明細書に説明されるセンシング技術を使用して(例えば、占有センサ、Bluetooth、RFID、Wi-Fiおよび/またはマイクロ位置特定チップをセンシングに実装して)、例えばセキュリティ担当者によって、なくなった資産の位置を突き止め、かつ/または盗難を検出するのに、ジオフェンシングが使用され得る。エレクトロクロミックガラスを使用するジオフェンシングは、エレクトロクロミックガラスが建物の肌、構造体の最も外側の障壁に相当し、構造体の内部全体を包囲することから(建物正面全体の周りに設置される場合)、資産および人々のセキュリティおよび追跡を強化する。本明細書に説明される方法は、本明細書に説明される技術を使用して、構造体の外部の事象を検出することもできる。
【0250】
一実施形態において、窓および/またはアンテナネットワークならびに関連の位置特定論理は、デバイスが許可を得ていないエリアを離れるかまたはそこに入ると、デバイス、担当者、および/またはセキュリティ担当者に警告を送信するように構成され得る。そうすることで、ラップトップ、タブレット、および、例えば無線タグを備えた他の貴重品などの資産のセキュリティを高め得る。
【0251】
一実施形態において、窓および/またはアンテナネットワークに対してユーザの同一性を認証するのに、モバイルデバイスにソフトウェアがインストールされ得る。このように、モバイルデバイスは、建物を通るユーザに対するデジタルキーの役割を果たすように構成される。このような例では、許可領域が、適合可能であり得る。例えば、ユーザが以前には許可されていなかった特定の領域への出入りを必要とする場合、ユーザは、立ち入りの承認を求めて、モバイルデバイス上で要求を行うことができることがある。図15Aを参照すると、階または他の建物空間は、最初に、ユーザに対する許可領域1501および不許可領域1502を含み得る。最初は不許可のエリアへの出入りが認められた後、ネットワークへの警告を引き起こすことなくエリア間の移動1506が行われ得る。さらに、安全のために、仮想境界の適合可能な再構成が、使用され得る。例えば、限られた占有者収容能力の作業スペースは、占有者収容能力限度に達すると、さらなるユーザを許可しない特定の領域を含み得る。加えて、資産、デバイス、または人によって、異なる出入り許可を有し得る。例えば、高レベルの出入り許可を有する誰かが、他者には制限されるように制定された領域を自由に歩くことがある。別の言い方をすれば、個人、資産、またはデバイス用に特に作り出された個々の領域があり得る。本明細書に説明される実施形態は、資産、デバイスおよび/または人員に関する領域構成、近づき易さ、細分性における大きな柔軟性を可能にする。また、窓は、建物の「肌」、すなわち外部境界に相当するので、内部領域の制御が、より効果的に実現される。
【0252】
ジオフェンシング用の窓および/またはアンテナネットワークのアプリケーションが、既存のセキュリティシステムにわたってさらなるセキュリティ層を加えることもあり得る。建物が多くのアンテナを有することから、1つの窓ペインまたはコントローラが故障し、位置特定デバイスと通信できない場合、無効なアンテナからの入力を必要とせずに、多くの他のアンテナが、なおもデバイスの追跡に参加することができることがある。そのような冗長システムの使用は、故障の影響を受けやすい可能性のある単一のセキュリティロックから成るシステムよりも有利であり得る。
【0253】
本明細書に説明されるように、窓アンテナは、窓ネットワーク内に設けられることが多い。このような場合、例えば、1つの階のカーテンウォール内の窓が働かなくなり、それにより、そのアンテナ機能が働かなくなった場合、ジオフェンス内の潜在的な「隙間」が、依然として機能する隣接する窓、および/または機能不全の窓の上方および/または下方の階からの1つ以上の窓によって埋められ得る。言い換えれば、実施形態は、窓が機能を停止した場合に、ジオフェンスが「自己回復」することを可能にする。窓が働かなくなると、窓が働かなくなったこと、および/またはジオフェンス領域を再確立するように動作が取られたことを知らせるために、相応の人、施設、および/またはコンピュータに警告が送信され得る。この警告には、影響を受けたジオフェンス化領域を調査するか、それとも点検して、例えば、窓が物理的に破られていないことを確認するという推奨事項が、必要に応じて含まれることがある。
【0254】
ジオフェンシング用の別のアプリケーションは、特定の条件下で建物の画定された部屋または領域における無線通信の使用を選択的に許可、不許可にする。例えば、機密情報が議論されている会議では、窓および/またはアンテナネットワークは、特定のユーザへの無線アクセスを取り除くように、または部屋の外側のデバイスへの無線通信を阻止するように構成され得る。窓および/またはアンテナネットワークは、施設の特定の領域内でカメラを有するデバイスを拒否するようにさらに構成され得るが、自分のカメラ付きデバイスを持ち歩いていない人の場合、これらの領域に無制限に出入りすることがある。
【0255】
1つ以上のアンテナ、グランドプレーンなどは、電磁通信信号が、アンテナを含む窓または他の構造体を通過するのを阻止するように操作され得る。特定の実施形態において、このような遮蔽特徴は、セキュリティが必要とされる建物の部屋または他の領域、すなわち、無線電磁通信がその領域に出入りするのを防止することが望ましい場所の周りに置かれる。場合によっては、制御システムは、スケジュールに従って、または特定の個人もしくは資産(およびそれらの関連の通信デバイス)のセキュア領域またはセキュア領域の近傍への登録などの定義済みイベントによってトリガされるのにつれて、遮蔽特徴を作動、停止にする。制御システムは、窓ネットワーク、アンテナネットワーク、セキュリティシステムなどにわたって命令を発行する。場合によっては、セキュリティが、手動で設定される。例えば、エレクトロクロミック窓が、例えばアンテナグランドプレーンとして、かつ/またはエレクトロクロミックデバイスの導体層の一部として、金属層を含み得る。通信「ロックダウン」または阻止構成の間、金属層は、通信を効果的に阻止するように(例えば、ファラデーケージを効果的に作り出す)、窓ゾーンにおいて接地され得る。
【0256】
場合によっては、窓が、電磁通信の特定の波長を選択的に阻止するように構成され、それにより、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、またはバンドパスフィルタとして作用し得る。言い換えれば、遮蔽は、特定の周波数範囲の通信の伝送および/または受信を阻止するが、ある状況では、十分にセキュアと見なされ得る他の周波数範囲の通信を可能にするように構成され得る。例えば、Wi-Fi通信を阻止しながら、800MHzで伝送される通信を許すことが可能であり得る。実施形態によっては、窓上のエレクトロクロミックデバイス、層、あるいは膜コーティングおよび/またはアンテナの物理的特性が、選択された帯域の電磁放射が、通過するか、阻止されるか、それとも選択的に変調されるのを可能にする。
【0257】
電磁遮蔽
構造体そのものが電磁信号を減衰させるとすると、窓および/またはアンテナは、構造体または建物に電磁遮蔽をもたすように構成され、事実上、建物、部屋、または空間をファラデーケージに変え得る(例えば、構造体が、鋼またはアルミニウムなどの導電性材料から作られるか、または、もし作られなければ、ファラデーケージとして阻止するように、正しく接地される)。遮蔽用に構成された窓は、例えば20MHz~10000MHzの周波数範囲にわたる電磁伝送をかなり減衰させることを特徴とするものであり得る。もちろん、より限られたまたは選択的な減衰を可能にし得るアプリケーションもある。例えば、遮蔽体の構造によっては、1つ以上の部分範囲が減衰から除外され得る。遮蔽するように構成された窓は、電磁干渉(EMI:ElectroMagnetic Interference)を防止するのに使用され、敏感な電磁伝送が遮蔽された空間において観察される、または無線通信を阻止し、外側のデバイスがその空間内から出てくる無線伝送上で傍受することが防止されるプライベート空間を作り出すことを可能にし得る。例えば、実施形態によっては、電磁放射は、選択された範囲にわたって約10dB~70dB、または選択された範囲にわたって約20dB~50dBまで減衰され得る。
【0258】
電磁放射の減衰をもたらすように、導電性材料の1つ以上の層がライトの表面と同一の広がりをもつように作られる場合、窓は、遮蔽用に構成され得る。場合によっては、電磁放射の減衰をもたらすように、導電層が接地されるか、または特定の電圧に保持される場合、遮蔽用に構成された窓の減衰効果が高められ得る。場合によっては、導電性材料の1つ以上の層は、アースまたは外部回路に接続されず、浮遊電位を有する。本明細書に説明されるように、減衰層は、遮蔽されることが求められる波長の放射に対応するように選択された間隔を有するメッシュであり得る。窓アプリケーション用の電磁遮蔽は、例えば、US5139850AおよびUS5147694Aにすでに説明されている。遮蔽構成の実施形態が、図16を参照して作られる。
【0259】
様々な実施形態において、遮蔽構造体は、電磁放射の伝送が阻止されるべきであるエリア全体に広がる導電性材料のシートを含む。例えば、構造体は、ライトのエリア全体に広がることがある。遮蔽構造体が金属などの不透明材料または反射材料(そのバルク形態において)で作られる場合、この構造体は、無線通信に一般的に使用される、より長い波長の放射を依然として強く減衰させながら、可視放射の減衰を最小限に抑えるように設計され得る。可視放射の減衰を最小限に抑えるための1つの方法は、銀層などの導電層の隣に反射防止層を含めることである。通常、反射防止層は、本明細書に説明されるように、自分が近接する導電層とは異なる屈折率を有するようになる。実施形態によっては、反射防止層の厚さおよび屈折率は、層界面で反射する光の破壊的干渉と、層界面を透過する光の建設的干渉とを生み出すように選択される。
【0260】
実施形態によっては、2つ以上の別個の金属層が、金属層間の中間層または反射防止層とともに採用され、可視領域のほとんどの放射を透過させながら、無線通信用に使用される周波数の電磁放射の透過をともに事実上減衰させる。少なくとも1つの導電層、少なくとも1つの反射防止層、および必要に応じて中間層を含む、電磁遮蔽用に使用される多層構造体は、本明細書では遮蔽スタックと呼ばれることになる。このような多層構造体の分離距離および厚さの例が、以下に提示される。
【0261】
遮蔽スタックの特定の例は、それぞれが少なくとも1つの導電層1602、少なくとも2つの反射防止層1601、および跨り層1602を有する、セクション1610および1611として、図16に示される。遮蔽スタック1611の場合、中間層領域1603が、2つの導電層を分離する。遮蔽スタックは、S1、S2、S3、S4、またはエレクトロクロミックデバイスのいずれかの表面、誘電体層、または窓アンテナ構造体を含む層など、基板のいずれかの表面(または内部領域)上に置かれ得る。遮蔽スタックがエレクトロクロミックデバイスまたはアンテナ層上に設けられる場合、ライトは、遮蔽スタックとデバイスまたはアンテナとを分離する絶縁層を含み得る。特定の実施形態において、遮蔽スタックは、ライト204の表面S2および/またはライト206の表面S3上に設けられる。
【0262】
実施形態によっては、遮蔽スタックは、各導電層が反射防止層1601によって挟まれる、2つ以上の導電層1602から成り得る。図20は、2つの導電層2012を含む遮蔽スタック、および3つの導電層2013を含む遮蔽スタックの例を示す。実施形態によっては、4つ以上の導電層が、単一の遮蔽スタックに使用され得る。
【0263】
遮蔽スタックと両立するIGU構造体には、図2A図5Bに描写されるIGU構造体のいずれも含まれるが、これらに限定されるものではない。大抵、遮蔽スタックは、本明細書においてグランドプレーンが説明されるいずれの場所にも配置され得る。事実、遮蔽スタックは、本明細書に説明される窓アンテナ用のグランドプレーンとして働くこともできる。特定の実施形態において、遮蔽スタックとエレクトロクロミックデバイススタックとは、特定の層を共有し得、すなわち、スタックは、エレクトロクロミックデバイス、遮蔽スタック、およびアンテナから選択される少なくとも2つの機能を含む多機能スタックである。
【0264】
実施形態によっては、遮蔽スタックは、エレクトロクロミックIGUの相手方ライト(IGU内の第2またはさらなるライト、例えばエレクトロクロミックライト以外)上に、または1つのライトがエレクトロクロミックデバイスコーティングを有し、その積層体のもう1つのライトが、例えば遮蔽スタックの金属層をスイッチで接地することによって、選択的にエレクトロクロミック放射を阻止する、または阻止しないための遮蔽スタックを有する積層体内の相手方ライトとして、配置される。この機能は、エレクトロクロミックデバイスのコントローラに組み込まれ得る。この構築物は、本明細書に説明されるアンテナを有しても、有さなくてもよい。一実施形態は、本明細書に説明されるエレクトロクロミックデバイスコーティングを有する1つのライトと、遮蔽スタックを有する別のライトとを含むエレクトロクロミック窓である。一実施形態において、遮蔽スタックは、遮蔽するように、またはしないように、接地機能で選択的に制御される。接地機能は、エレクトロクロミックデバイスのスイッチング機能も制御する窓コントローラによって制御され得る。遮蔽スタックとエレクトロクロミックデバイススタックとが異なる基板上にある実施形態では、窓は、IGU、積層体、またはそれらの組み合わせ、例えば、IGUの1つまたは両方のライトが積層体であるIGUの形態を取り得る。一例において、IGUの積層ライトが、遮蔽スタックを含む一方、IGUの非積層ライトが、エレクトロクロミックデバイスコーティングを含む。別の実施形態において、IGUの両方のライトは、積層体であり、この場合、1つの積層ライトが、遮蔽スタックを含み、もう1つの積層ライトが、エレクトロデバイスコーティングを含む。さらに他の実施形態において、単一の積層体は、エレクトロクロミックデバイスコーティングおよび遮蔽スタック両方を含む。積層体は、それ自体、IGUのライトであっても、なくてもよい。
【0265】
さらに別の実施形態において、遮蔽スタックは、以下で遮蔽膜と呼ばれる可撓性膜に組み込まれ、可塑性膜は、窓に接着されるか、それとも載置され得る。例えば、IGUは、IGUライトの表面S1またはS4に遮蔽膜を貼着することによって、電磁遮蔽用に構成され得る。代替的に、IGUの組み立て中に、IGUライトの表面S2またはS3に遮蔽膜を貼着することによって、窓が遮蔽用に構成され得る。遮蔽膜はまた、積層体に埋め込まれ、本明細書に説明されるエレクトロクロミックIGU用の相手方ライトとして使用され得る。例えば、IGUは、S2がエレクトロクロミック膜を有するように構築され得、IGU用の相手方ライトは、積層体を作り上げる2つのライトの内側に遮蔽膜を有する積層体である。
【0266】
遮蔽膜は、RF信号、IR信号、および/またはUV信号を阻止し得、例えば、メリーランド州オーウィングスミルズのSignals Defenseによって販売される、SD2500/SD2510、SD1000/SD1010、およびDAS Shield(商標)膜などの市販の膜は、本明細書に説明される実施形態に適している可能性がある。
【0267】
図21は、電磁遮蔽をもたらすために、ライトの表面上に載置され得る遮蔽膜2100の一実施形態を描写する。第1の膜層2101は、遮蔽スタック2102が堆積または形成され得る基板として使用される。次に、遮蔽スタックを第2の膜層2104に接合させるのに積層接着層2103が使用され、遮蔽スタック2101を可撓性膜内にカプセル化する。次に、遮蔽膜構造体をライトの表面に接合させるのに、載置用接着層2105が使用され得る。実施形態によっては、さらなる保護層が、表面2110上に位置し得る。保護層は、未亡人環境に応じて変わり、エポキシ、樹脂、または遮蔽膜構造体の適切な保護をもたらす任意の天然材料もしくは合成材料などの材料を含み得る。実施形態によっては、膜構造体2100は、図21に描写される例示的な実施形態とは異なることがある。例えば、実施形態によっては、載置用接着層は、遮蔽スタック2102を窓表面に直接接合させ、それにより、積層2103および第2の膜層2104の必要を排除し得る。特定の実施形態において、遮蔽膜の総厚は、ライトに載置されたときには、約25~1000μmである。
【0268】
多くの材料が、膜層2101および2104、積層用接着層2103、および載置用接着層2104に適している可能性がある。通常、選択される材料は、ライトの光学的性質が大幅に減退することのないように、可視光に対して透明であり、かなり低い曇価を有する必要がある。特定の実施形態において、膜層は、約300μm未満(例えば、約10μm~275μmの厚さ)であり、熱可塑性ポリマー樹脂から作られる。膜材料の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートが含まれる。当業者は、様々な許容可能な接着層および載置用接着層から選択し得る。遮蔽スタックの厚さ、IGUユニット内の膜の配置、または電磁遮蔽用に構成された窓から望まれる光学的性質に応じて、様様な接着剤が使用され得る。実施形態によっては、載置用接着層2104は、Ingrendion Inc.から入手可能なNational Starch80-1057などの感圧接着剤から作られ得る。他の適した接着剤の例には、Rohm&Haasから入手可能な触媒9H1H入りAdcote76R36、およびRohm&Haasから入手可能なAdcote89r3が含まれる。ガラス窓への設置前に遮蔽膜が輸送される場合、離型膜層が表面2111上に位置し得る。離型膜は、離型膜が取り除かれる設置時まで、載置用接着層2105を保護し得る。
【0269】
導電層1601は、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、白金、ならびにそれらの混合物、金属間化合物、および合金などのいくつかの導電性材料のうちのいずれかから作られ得る。導電層の厚さが増すと、シート抵抗が低くなり、通常、減衰効果が大きくなるが、厚さが増すと、材料費も高くなり、可視光透過率が低下する可能性がある。
【0270】
実施形態によっては、遮蔽スタック2102に使用されるものなどの導電層は、2つ以上の異なる金属副層の「金属サンドイッチ」構築物から作られるか、またはそれを含み得る。例えば、金属層には、例えばCuの単層の代わりに、Cu/Ag/Cu副層を含むものなどの「金属サンドイッチ」構築物が含まれ得る。別の例において、導電層には、金属副層が前述の金属のうちの1つである、NiCr/金属/NiCrの「金属サンドイッチ」構築物が含まれ得る。
【0271】
実施形態によっては、遮蔽スタックがエレクトロクロミックデバイスに隣接して位置する場合などは、導電層または副層が、金属合金である。金属のエレクトロマイグレーション耐性は、合金化によって高められ得る。金属導電層における金属層のエレクトロマイグレーション耐性を高めることにより、エレクトロクロミックスタックに移動し、デバイスの動作を潜在的に妨害するといった金属の傾向が抑えられる。金属合金を使用することによって、エレクトロクロミックスタックへの金属の移動が、遅くかつ/または低減され、エレクトロミックデバイスの耐久性を向上させることができる。例えば、少量のCuまたはPdの銀への添加により、銀のエレクトロマイグレーション耐性を大幅に高めることができる。一実施形態において、例えば、CuまたはPdを含む銀合金が導電層に使用され、エレクトロクロミックスタックへの銀の移動の傾向を抑え、このような移動が正常なデバイス動作を妨害するのを防止する。場合によっては、導電副層は、その酸化物が低抵抗率を有する合金を含み得る。一例において、金属層または副層は、密度を上げかつ/または抵抗率を下げるために、酸化物の調製中に化合物として別の材料(例えば、Hg、Ge、Sn、Pb、As、Sb、またはBi)をさらに含み得る。
【0272】
実施形態によっては、複合導電層の1つ以上の金属副層は、透明である。通常、透明金属層は、10nm未満の厚さ、例えば約5nm以下の厚さである。他の実施形態において、複合導体の1つ以上の金属層は、不透明であるか、または完全に透明ではない。
【0273】
場合によっては、遮蔽スタックを有するコーティングされたガラス基板を通る光透過を強化するために、反射防止層が導電層のいずれかの側に置かれる。通常、反射防止層は、誘電体材料または金属酸化物材料である。反射防止層の例には、酸化インジウムスズ(ITO)、In、TiO、Nb、Ta、SnO、ZnO、またはBiが含まれる。特定の実施形態において、反射防止層は、約15~80nm、または約30~50nmの範囲の厚さを有する酸化スズ層である。大抵、反射防止層の厚さは、導電層の厚さによって決まる。
【0274】
特定の実施形態において、反射防止層は、「隣接する導電金属層と反対の感受率」の材料の層である。反対の感受率の材料とは、概して、反対の符号を有する電気感受率を有する材料を指す。材料の電気感受率とは、印加電場中で分極する材料の能力を指す。感受率が大きいほど、電場を受けて材料が分極する能力が大きくなる。「反対の感受率」の層を含むことにより、波長吸収特性を変化させて、導電層の透明度を上げ、かつ/または結合層を透過した波長をシフトさせることができる。例えば、導電層は、金属層の透明度を上げるために、金属層に隣接する「反対の感受率」の高屈折誘電体材料層(例えば、TiO)を含むことができる。場合によっては、金属層に隣接する「反対の感受率」の付加層は、完全に透明でない金属層をより透明にさせることができる。例えば、約5nm~約30nm、または約10nm~約25nm、または約15nm~約25nmの範囲の厚さを有する金属層(例えば、銀層)は、それ自体では完全に透明ではないことがあるが、「反対の感受率」の反射防止層(例えば、銀層の上面上のTiO層)の隣に位置すると、結合層を通る透過は、金属層または誘電体層単独よりも高い。
【0275】
特定の実施形態において、複合導電層は、1つ以上の金属層と、実施形態によっては、「屈折率整合」副層とも呼ばれるもう1つの「色調整」副層とを含み得る。これらの色調整層は、大抵、1つ以上の金属層と「反対の感受性」の高屈折率低損失誘電体材料である。「色調整」層に使用され得る材料のいくつかの例には、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化インジウムスズなどが含まれる。これらの実施形態では、1つ以上の色調整層に使用される厚さおよび/または材料が、吸収特性を変化させて、材料層の組み合わせを透過する波長をシフトさせる。例えば、1つ以上の色調整層の厚さは、遮蔽スタックを透過する光の色を調整するように選択され得る。別の例において、調整層は、遮蔽スタックを通り、またそれにより、例えば電磁遮蔽用に構成された窓を通る特定の波長(例えば、黄色)の透過を低減するように選択、構成される。
【0276】
一実施形態において、遮蔽スタック1610は、約15~60nmの厚さを有する銀(または他の導電性材料)の単層を含む。銀の約15nmより厚い厚さは、例えば5オームパースクエア未満の低シート抵抗が実現されることを確実にする。特定の実施形態において、単導電銀層は、約20~30nmの厚さであり、それにより、十分に高い光透過率を維持しながら、通信周波数における電磁放射の十分な吸収を可能にするようになる。この実施形態では、銀層は、物理的接続(例えば、バスバー)によっても、または導電層と、導電層と少なくとも部分的に重なり合う金属枠との間の容量結合によっても、アースに電気的に結合され得る。
【0277】
別の実施形態において、遮蔽スタック1611は、それぞれが約7~30nmの厚さを有する銀(または他の導電性材料)の2つの層を含む。単一の、しかしより厚い銀層が使用される場合と比較して低減された光反射を有する遮蔽パネルが、所与の減衰のために生み出され得ることが確認されている。1つの導電層は、物理的接続(例えば、バスバー)によっても、または導電層と少なくとも部分的に重なり合う接地金属枠との間の容量結合によっても、アースに電気的に結合され得る。第2の導電層は、第1の接地導電層に容量結合され、それにより、第2の導電層をアースに接続し得る。実施形態によっては、第1および第2の導電層両方が、アースに物理的に接続される。実施形態によっては、両方の導電層は、浮遊電位を有する(すなわち、それらは、アースまたは規定の電位の源に電気的に接続されない)。この実施形態におけるほとんどの減衰は、第1の導電層における電磁放射の反射に起因する可能性がある。さらなる減衰は、導電層間の反射により到来波の経路長が大幅に長くなるのに従った、導電層(またはそれらの近接の反射防止層)間の中間層領域における吸収の結果として生じ、中間層内で反射する放射の著しい吸収をもたらす。
【0278】
別の実施形態において、スタック2012またはスタック2013などの遮蔽スタックは、浮遊電位を有する銀導電層を含み、各銀層は、約10nm~20nmの厚さを有する。酸化インジウムスズで作られ得る反射防止層は、1つの銀層に隣接する場合には約30nm~40nmの厚さを有し、2つの銀層間に挟まれる場合には約75nm~85nmの厚さを有し得る。
【0279】
中間層は、通信用に使用される、より長い波長を有する周波数を吸収しながら、可視スペクトルの短波電磁放射に対して透明である材料から作られ得る。中間層は、単層か、またはいくつかの材料層から成る複合体であり得る。絶縁気体層なしでエレクトロクロミック窓が作製される場合、またはIGUがライト206と208との間に配置されたさらなるライトを含む場合、ポリビニルブチラール(「PVB」)またはポリウレタンなどのキャストインプレイス樹脂が、それぞれがそれ上に導電層を有する、2つのペインをともに積層するための中間層として使用され得る。他の実施形態において、単一のライトは、中間層樹脂を使用して積層された2つ以上の薄いガラス(またはプラスチック)シートから構成され得る。PVBなどの樹脂が使用される場合の特定の実施形態において、中間層の厚さは、約0.25nm~1.5mmの範囲である。
【0280】
さらに別の実施形態において、1つの基板の外表面(例えば、S1またはS4)は、遮蔽スタックまたはそれの一部の目的を果たし得る導電性半導体金属酸化物層を含む透明耐摩耗性コーティングでコーティングされる。描写された実施形態では、ライトは、エレクトロクロミックスタックまたは窓アンテナを有さない表面など、ガラスの内部表面(例えば、S3またはS4)のうちの1つに置かれた、例えば約15~50nmの厚さを有する銀(または他の導電性材料)の単層を有する遮蔽スタック1610も含む。必要に応じて、2つの導電層間で反射する波の吸収を高めるように、金属酸化物層と遮蔽スタックとの間の任意の場所に、中間層が置かれ得る。場合によっては、金属酸化物層と遮蔽スタックとの間に隙間があるようなIGUの対向するライト上に、金属酸化物層および遮蔽スタックが置かれる。例として、耐摩耗性コーティングが、スズドープ酸化インジウム、ドープ酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物から作られ得る。この実施形態では、導電層および耐摩耗性コーティングは、物理的接続(例えば、バスバー)によっても、または、例えば、導電層と、その層に少なくとも部分的に重なる金属枠との間の容量結合によっても、アースに電気的に結合される。
【0281】
単導電層(例えば、1610)を有する遮蔽スタックが、半導体金属酸化物層と併用される場合、または2つの導電層を有する遮蔽スタック(例えば、1611)が使用される場合、所望の減衰効果を実現するのに必要とされる導電層間の間隔は、合成物(例えば、ガラス層、空気層、気体層、またはECデバイス層)、および2つの導電層間にある層の厚さによって決まり得る。
【0282】
電磁遮蔽に関して説明される層は、エレクトロクロミックデバイスを作製する際に使用されるものを含む様々な堆積プロセスを使用して作製され得る。場合によっては、遮蔽スタックを堆積させる際に使用されるステップが、エレクトロクロミックデバイスを堆積させる際の作製プロセスステップに統合され得る。大抵、半導体金属酸化物である遮蔽スタックまたは耐摩耗性コーティングは、作製プロセスにおける任意のステップで、基板204または206上に物理蒸着技法および/または化学蒸着技法によって堆積され得る。遮蔽スタックの個々の層(1601、1602、および1603)は、スパッタリングなどの物理蒸着技法によって堆積されるのによく適していることが多い。場合によっては、銀(または他の金属)層は、コールドスプレー、または金属インクによるコーティングなどの液体ベースのプロセスなどの技法によって堆積される。PVBなどの樹脂材料が使用される場合、2つの基板(必要に応じて、その上に1つ以上の層を有する)がともに接合される積層プロセスを通して形成され得る。
【0283】
無線通信
窓ネットワークは、有線でも無線でもよい。無線窓ネットワークでは、アンテナが、窓色合い状態、故障、慣用パターンなどに関する通信を送受信する。本明細書に説明されるものなどの窓アンテナは、必要な通信を送受信するのに使用され得る。無線窓ネットワーク設計の例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年11月24日に出願された、View Inc.の米国仮特許出願第62/085,179号に提示されている。特定の実施形態において、無線窓ネットワークは、窓を制御するための電力が、中央の建物電力源からではなく、局所的に提供される背景において提供される。例えば、窓の電力が、天窓または他の局所的な場所を通して光を受け取る光起電力源から、または窓上に配置された光起電力源からも来る場合、通信ネットワークは、配電ネットワークの基盤から切り離され得る。このような場合、無線通信ネットワークを使用することで、費用対効果が良くなる。
【0284】
立ち上げおよび現場モニタリング
窓またはIGU(この背景では、これら両方を指すのにIGUが使用されることになる)の立ち上げプロセス(自動化でも自動化でなくでも)は、IGUおよび/またはその関連の窓コントローラのIDを読み取り、伝送することを伴い得る。エレクトロクロミック窓のネットワークを立ち上げる/構成することに関係するさらなる情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年10月7に出願され、「APPLICATIONS FOR CONTROLLING OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題された米国特許出願14/391,122号に提示されている。
【0285】
場合によっては、構成されるIGUに関連するアンテナとの通信が、IGUを識別するのに使用される。この情報は、ネットワーク上で、例えばネットワークコントローラに、かつ/または他の窓コントローラに振り分けられる。この識別プロセスは、以下に述べられるように、ネットワーク上のすべてのエレクトロクロミック窓のマップまたは他のディレクトリを発生させる際の一ステップであり得る。様々な実施形態において、IGU識別/構成プロセスは、各IGUコントローラを独立してトリガまたは検出して、IGUの関連のコントローラに、信号をネットワークに送信させることを伴い得る。信号は、IGUの識別番号および/またはIGUに関連するコントローラの識別番号を含み得る。例えば、設置者が、建物内のそれらの物理的な場所にIGUを設置することになる。IGUは、IGUのID、およびIGUの特定の物理的特性/パラメータなどを含むチップまたはメモリを有することになる。
【0286】
トリガリングは、様々な機構を通して起こり得る。一例において、立ち上げられるIGUのうちのいくつかまたはすべては、アンテナが、IGUの近傍のユーザのモバイルデバイスまたは他のユーザ通信デバイスから通信を受信すると、IGUをトリガして、そのIDを送信するように構成されたアンテナ関連のアンテナ論理を含む。ユーザは、通信デバイスを立ち上げモードにすることができ、それにより、通信デバイスは、トリガリング信号を受信範囲の窓アンテナ(例えば、ユーザが訪れた部屋にあるすべてのIGU)に伝送する。ユーザ、またはユーザのモバイルデバイスに関連する立ち上げアプリケーションは、モバイルデバイスがどこに位置しているかを知っているので、受信範囲内のIGUをそれらの物理的な場所に関連付けることができる。実施形態によっては、ユーザは、IGUの窓アンテナとの通信が起こると、モバイルデバイスの場所を入力し得る。これは、受信範囲内のIGUが、それらの物理的な場所に関連付けられることも可能にする。
【0287】
一例において、エレクトロクロミック窓のネットワークは、10枚の窓を含み、5つの部屋のそれぞれに2枚の窓が設けられる。IGUが物理的に設置された後、ユーザ/設置者は、窓を立ち上げ、各IGUを識別し、IGUをネットワークにおけるその物理的な場所に関連付け得る。設置者は、電話機、タブレット、コンピュータなどの電子デバイスを使用して、窓を立ち上げるのを手助けし得る。電子デバイス上(または、またはそのデバイスによってアクセス可能な)プログラムは、ネットワーク上のすべてのエレクトロクロミック窓のリスト、ディレクトリ、および/またはマップを含み得る。設置者が、第1の部屋に入ると、設置者は、第1のエレクトロクロミック窓の近くに歩いて、それをトリガすることができ、それにより、関連の窓/アンテナコントローラに、窓の(および/またはコントローラの)識別情報とともにネットワーク上で信号を送信する。この信号の結果として、トリガされた窓に対する識別情報が電子デバイス上に現れ得る。ユーザは、それにより、識別情報を、自分がトリガした窓の物理的な場所に関連付けることができる。電子デバイス上のプログラムが窓のマップを発生させる(それとも利用する)一例では、この関連付けは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)において、例えば、トリガされた識別番号をマップ上の適切な場所にドラッグすることによって、またはトリガされた識別情報が現れるのを受けて、マップ上の相応の場所をクリックすることによって、行われ得る。第1の窓がその物理的な場所に関連付けられた後、設置者は、第1の部屋にある第2の窓を、その近くに歩いて行く(それとも伝送をそれのアンテナに向ける)ことによって、トリガし、それにより、第2のIGU/コントローラの識別情報をそれの物理的な場所に関連付けることができる。次に、エレクトロクロミック窓が設置される他の部屋のそれぞれに対して、このプロセスが繰り返され得る。場合によっては、単に、部屋、または複数のIGUの大まかな近傍を識別するだけで十分である。このような場合、ユーザのデバイスからの電磁信号の伝送は、近傍の複数のIGUによって同時に受信され得る。IGUのそれぞれは、それのそれぞれのIDを立ち上げプログラムに伝送し、それにより、IGUの大まかな場所を判断することができる。場合によっては、ユーザは、1つの部屋から次の部屋に、または1つの領域から別の領域に移動し、この場合、ユーザの場所は、分かっているか、またはこの移動中に判断される。個々のIGUは、ユーザの伝送範囲内にある間に、複数回応答し得る。このように、IGUのうちの複数がユーザのデバイスからの伝送信号に同時に応答することがあっても、個々のIGUの見分けを付けることができる。
【0288】
別の例において、各エレクトロクロミックIGUは、IGUに関係する情報、例えばIGUおよび/または関連のコントローラの識別情報を伝送するビーコンを含み得る。場合によっては、Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコンが使用されることもある。設置者は、設置者がビーコンを読み取ることを可能にするための受信機を有し得る。電話機および他の電子デバイスは、普通、この目的で使用され得るBluetooth受信機を有する。任意の適切な受信機が使用され得る。設置者は、立ち上げ中にビーコンに関する情報を読み取り、各IGU/コントローラに対する識別情報をIGUの物理的な場所に関連付け得る。マップまたはディレクトリが、この関連付けを達成するのに使用され得る。
【0289】
同様の実施形態において、各IGUは、IGU上の構成要素に、IGUがトリガされたことを設置者/ユーザに通知させ得るネットワーク上でトリガされ得る。一例において、各IGUは、それの窓アンテナから特定の立ち上げ信号(例えば、特定の周波数、パルス列など)を伝送するように構成される。当該IGUまたは窓コントローラをトリガするのに、信号がネットワーク上で送信され得、それにより、IGUをトリガし、それの立ち上げ信号を伝送する。次に、ユーザのデバイスは、IGU固有の信号を受信することによって、当該IGUを識別することができる。このプロセスおよび情報に基づいて、設置者/ユーザは、各IGU/コントローラをそれの物理的な場所および識別情報と関連付けることができる。
【0290】
図14Aは、特定の実施形態による、エレクトロクロミック窓のネットワークを立ち上げる方法1400を描写するフローチャートである。例えば、すべてのIGUが、関連のコントローラを有するようになった後、動作1402において、すべての窓コントローラIDのリストが作成される。このステップは、図14C~14Eを参照して以下にさらに説明される。窓コントローラIDは、各窓についてのいくつかの個々の識別要素を含み得る。この情報は、例えば各窓組立体内のチップに、例えばドック(または配線ハーネス)に、格納される。一例において、窓IDは、CAN IDおよびLITE IDを含む。CAN IDは、CANバスシステム上の窓/窓コントローラの一意のアドレスに関係するものであり得、一方LITE IDは、エレクトロクロミックIGUおよび/またはそれの関連の窓コントローラの一意のシリアル番号に関係するものであり得る。LITE ID(または使用される他のID)は、窓のサイズ、エレクトロクロミックデバイスの性質、エレクトロクロミックデバイスを遷移させるときに使用されるパラメータなど、窓についての情報も含み得る。窓コントローラのリストが発生した後、動作1404において、個々の窓コントローラがトリガされる。トリガリングは、本明細書に説明される方法のいずれかを通して行われ得る。このトリガは、当該窓コントローラに、窓コントローラのIDとともに信号を送信させる。これを受けて、ネットワーク上でIGUが伝送したデータにアクセスするユーザまたはプログラムは、動作1406において、トリガされた窓コントローラのIDを窓の物理的な場所と関連付けることができる。動作1404および1406は、図14Fおよび図14Gの背景においてさらに説明される。動作1420において、立ち上げるべき窓がまだあるか否かが判断される。立ち上げるべき窓がまだある場合、この方法は、動作1404から繰り返される。この方法は、すべての窓が立ち上げられた時点で完了する。
【0291】
図14Bは、建物の東壁上に設置された5枚のエレクトロクロミック窓の物理的な場所の表現を提示する。「LOC ID」は、ここでは、任意にEast1~East5と表示された、当該窓の場所を指す。さらなるエレクトロクロミック窓が、建物の他の場所に設けられてもよい。図14Aの方法は、例えば図14C図14Gに関係して説明されるように、図14Bに示される窓組に対して行われ得る。
【0292】
図14Cは、図14Aの動作1404中に取られ得る特定のステップを示す。この例において、エレクトロクロミック窓のネットワークは、マスタコントローラ(MC)、2つ以上のネットワークコントローラ(NC~NC)、およびいくつかの窓コントローラ(WC~WC)を含む。分かりやすくするために、第1のネットワークコントローラ(NC)下で動作する窓コントローラに関する情報のみが示される。点線は、他の多くのネットワークコントローラおよび窓コントローラが存在し得ることを示す。初めに、ユーザが、窓コントローラを見つけさせるためのコマンドを、ユーザアプリケーション/プログラム/その他を介して開始し得る。ユーザアプリケーション/プログラムが、このコマンドをマスタコントローラに転送する。マスタコントローラは、ネットワークコントローラに窓コントローラを見つけるように指示し、ネットワークコントローラは、窓コントローラに自らを識別するよう指示する。これを受けて、窓コントローラは、自らのIDをネットワークコントローラに報告し、次に、ネットワークコントローラが、窓コントローラIDをマスタコントローラに報告し、マスタコントローラが、窓コントローラIDをユーザアプリケーション/プログラムに報告する。マスタコントローラおよび/またはユーザアプリケーション/プログラムは、この情報を集約して、すべての窓コントローラのリストを作成し得る。このリストには、どの窓コントローラが各ネットワークコントローラによって制御されるかを詳述する情報が含まれ得る。このリストは、図14Dに示されるように、ネットワーク上の当該コントローラすべての構成を示す図表としても提供され得る。図14Dに示されるネットワーク表現は、場合によっては、グラフィカルユーザインタフェース上に現れ得る。
【0293】
図14Eは、動作1404が完了し、窓コントローラIDのリストが作成された後に、ユーザに提示され得るユーザインタフェース特徴の例を描写する。図14Eの上部には、当該窓のマップが示される。このマップは、使用可能な任意の手段によって作成され得、場合によっては、各設置に対して特異的にプログラムされ得る。動作1404の後、各窓がどこに位置付けられているかは未だ分かっていない。したがって、マップは、まだ、窓のいずれにも、それに対するCAN IDまたはLITE IDを示さないで、むしろ立ち上げプロセス中にこの情報が投入されることになる空のフィールドを有することになる。図14Eの下部には、窓コントローラIDのリストが提供される。動作1404の後、窓ID(CAN IDおよびLITE IDのすべては、ほぼ分かっているが、それらの物理的な場所(LOC ID)とまだ関連付けられていない。このため、図14Eの下部には、投入されるにつれCAN IDおよびLITE IDが示されるが、LOC IDは、依然として空である。同様のリストが、様々なネットワークコントローラのそれぞれに提供され得る。
【0294】
図14Fは、一実施形態による、図14Aの動作1404および1406を行うための方法をより詳細に提示するフローチャートである。図14Fでは、この方法は、動作1404において始まり、そこでは、ユーザが窓コントローラをトリガし(例えば、EM伝送をIGUの窓アンテナへ向けることによって)、それにより、窓コントローラに、窓コントローラIDをそれの関連のネットワークコントローラに送信させる。動作1410において、ネットワークコントローラは、窓コントローラID付き信号を受信し、窓コントローラIDをマスタコントローラに送信する。次に、動作1412において、マスタコントローラは、窓コントローラID付き信号を受信し、窓コントローラIDをユーザアプリケーション/プログラム/その他に送信する。動作1414において、ユーザアプリケーション/プログラムは、トリガされた窓に対する窓コントローラIDを表示する。次に、動作1418において、ユーザは、トリガされた窓の窓IDを、トリガされた窓の物理的な場所と関連付け得る。一例において、ユーザは、動作1414で表示された窓IDを、窓のマップ上に表された通りのトリガされた窓の物理的な場所にドラッグする。図14Eを参照すると、例えば、窓コントローラがトリガされるのを受けて、特定の窓ID(例えば、CAN IDおよびLITE ID)が、ユーザアプリケーション/プログラムにおいて太字になるか、それともそれと分かるようになり得る。ユーザは、太字の窓IDに気付き、次に、それをマップ上の相応の場所にドラッグすることができる。逆に、ユーザは、当該窓を、マップからトリガされた窓ID上にドラッグしてもよい。同様に、ユーザは、トリガされた窓IDをクリックし、マップからの当該窓をクリックして、この2つを関連付けてもよい。様々な方法が使用され得る。
【0295】
図14Gは、East5に位置付けられた窓が識別され、それの当該窓ID/場所に関連付けられた後の、図14Eに示されるものと同様のグラフィカルユーザインタフェースの例を描写する。図14Bに示されるように、East5にある窓は、その上に設置されたWCを有する。したがって、WCに対するCAN ID(XXXX1)およびWCに対するLITE ID(YYYY1)が、East5の場所において、窓の下に表示される。同様に、図14Gの下部に示されるように、窓コントローラIDのリストには、ここでWCに対するLOC IDが含まれようになる。窓のすべてが識別され、建物内のそれらの位置と関連付けられるまで、トリガリングおよび場所/IDの関連付けステップが繰り返され得る。WCが最初にトリガされたという事実は、単に図を分かりやすくするために選ばれたものである。窓コントローラは、いずれの順序でもトリガされ得る。
【0296】
図14Fに戻ると、動作1420において、立ち上げるべき窓がまだあるか否かが判断される。そのような窓がない場合、この方法は、完了する。立ち上げるべき窓がまだある場合、方法は、動作1404で開始して、異なる窓に対して繰り返される。
【0297】
従来のアンテナは、葉における季節的変動、都市または住宅環境における新しい建物、天気パターンなどを含む、変わり行く環境条件に基づいて、調節または調整を必要とすることがある。このような調節は、変わり行く条件を考慮して、アンテナ放射パターンを修正する。さらに、複数のアンテナが同じ領域に放射する場合、ヌル領域が生じる可能性がある。ヌルを取り除くには、アンテナの慎重な調整が必要とされる。
【0298】
従来のアンテナの場合、設置されたアンテナの位置および/または向きを物理的に変更することによって、調節がなされる。本明細書に説明される窓アンテナは、窓を選択し、窓に給電するのに相応の命令を与える窓コントローラまたは制御システムからのコマンドを通して、放出された放射パターンを調節または調整することを可能にし、その時の要件および環境条件に対処する。コントローラが、どのアンテナに給電するかを選択し、それにより、アクティブアンテナの特定のパターンまたはアレイを規定することがある。別の手法では、コントローラは、伝送アンテナに給電する電気信号の周波数、電力、偏波、または他の性質を変える。
【0299】
このような調整は、エレクトロクロミック窓立ち上げ手順に結び付くことがある。手法によっては、設置者がエレクトロクロミック窓をセットアップするとき、設置者は、エレクトロクロミック窓を立ち上げ、光スイッチングパラメータを設定する。開示されたように、エレクトロクロミック窓がアンテナを含む場合、立ち上げでは、立ち上げられる建物の窓中の個々のアンテナに対する選択および/または給電特性を考慮することがある。窓の一部であるアンテナの較正および/または調整は、立ち上げの一環として働く。加えて、構造体内のアンテナの伝送特性に強い影響を及ぼす可能性のある変わり行く環境条件を考慮するように、モニタリングまたは定期的な立ち上げが行われ得る。エレクトロクロミック窓を含む建物の立ち上げおよびモニタリングは、2013年4月12日に出願された国際特許出願番号PCT/US13/36456、および2014年4月3日に出願された米国仮特許出願第61/974,677号にさらに説明され、それらの出願のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの出願は、設置時および/または後の評価中に決定された局所的条件に基づいて、光スイッチングを引き起こすための駆動電圧などの切り替え可能な光学窓コントローラ設定の設定および/または調節を説明している。
【0300】
場合によっては、アンテナを有する1つ以上の建物は、互いに、かつ/または、アンテナが同じまたは重複する周波数帯域の信号を伝送する従来の伝送アンテナと相互作用する。この例では、これらの複数の建物のうちの少なくとも1つは、アンテナからの放射を建物の窓上に伝送する。他の1つ以上の建物は、窓またはより従来的なセルタワー構造体を通して伝送し得る。
【0301】
非窓ネットワーク用途
上の説明から明らかなように、アンテナは、特定のアンテナの用途に応じて、様々な使用法を有するように設計されるか、組み立てられるか、それとも構成され得る。用途によっては、上に説明されたアンテナのうちの1つ以上が、リピータまたは「シグナルブースター」システムにおける使用に構成され得る。リピータ実装形態の一例において、IGU202は、1つ以上の第1のアンテナおよび1つ以上の第2のアンテナを含む。第1のアンテナは、建物の外部(または建物内の部屋)の外部環境から信号を受信するように構成され得る。例えば、受信信号は、基地局、セルラタワーまたは他の放送塔、衛星、または無線アクセスポイントもしくは「ホットスポット」から伝送される、セルラ信号、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN:Wireless Wide Area Network)信号、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:Wireless Local Area Network)信号、または無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN:Wireless Personal Area Network)信号とすることができる。第2のアンテナは、建物(または建物内の部屋)の内部の内部環境の中へ信号を伝送するように構成され得る。例えば、伝送信号は、セルラ信号、WLAN信号、またはWPAN信号とすることができる。このような実装形態によっては、アンテナ(窓色合い状態コントローラ内か、別個のアンテナコントローラ中かを問わず)用のコントローラは、増幅回路または増幅段とともに、アナログフィルタまたはデジタルフィルタなどの1つ以上のパッシブまたはアクティブのハードウェアまたはソフトウェアフィルタリング構成要素または回路も含むことができる。このような実装形態によっては、伝送信号は、受信信号の増幅バージョンである。さらに、受信信号は、増幅の前に、フィルタ処理され、様々な信号処理技法および信号処理プロセスを受けて、いずれの雑音または他の望まれない信号成分も、伝送信号において増幅されないようにすることができる(または、少なくとも、所望の周波数成分が伝送信号において増幅される程度に、増幅されるようにすることができる)。内部環境から受信された信号も、外部環境への送信に向けて、処理、増幅され得ることが察せられるであろう。
【0302】
用途によっては、上に説明されたアンテナのうちの1つ以上が、プロトコル変換器システムにおける使用に構成され得る。変換器実装形態の一例において、IGU202は、1つ以上の第1のアンテナおよび1つ以上の第2のアンテナを含む。第1のアンテナは、基地局、セルラタワーもしくは他の放送塔、衛星、または無線アクセスポイントもしくはホットスポットから伝送されるセルラ信号、WWAN信号、無線ローカルエリアネットワークWLAN信号、または無線パーソナルエリアネットワークWPAN信号など、第1の無線プロトコルに従って外部環境からの信号を受信するように構成され得る。第2のアンテナは、第2の無線プロトコルに従って建物の内部の内部環境の中へ信号を伝送するように構成され得る。例えば、伝送信号は、セルラ信号、WLAN信号、またはWPAN信号とすることができる。このような実装形態によっては、アンテナ(窓色合い状態コントローラ内か、別個のアンテナコントローラ中かを問わず)用のコントローラは、受信信号を、第2のアンテナ上の伝送の前に、第1の無線プロトコルから第2の無線プロトコルに変換するための変換回路または変換段を含むことができる。コントローラは、伝送の前に、変換された信号を増幅するための増幅器も含むことができる。例えば、セルラ信号が、外部環境から受信され、Wi-Fi信号に変換され、次に内部環境の中へ伝送され得る。内部環境から受信された信号も、外部環境への送信に向けて、変換されることが察せられるであろう。
【0303】
用途によっては、1つ以上のアンテナが、例えば、放送塔からか衛星からかを問わず、放送テレビジョン信号を受信するように構成され得る。このような用途によっては、受信テレビジョン信号は、次に、セットトップボックスまたはテレビそのものによる受信に向けて、同じまたは異なるプロトコルで、部屋の中に再ブロードキャストされ得る。同様に、1つ以上のアンテナは、例えば、放送塔からか衛星からかを問わず、ラジオ信号を受信するように構成され得る。このような用途によっては、受信ラジオ信号は、次に、無線機、ステレオシステム、コンピュータ、テレビ、または衛星ラジオによる受信に向けて、同じまたは異なるプロトコルで、部屋の中に再ブロードキャストされ得る。
【0304】
用途によっては、複数のアンテナが、セルラ信号、テレビジョン信号、または他のブロードキャスト信号のブロードキャスタとして働くことができる。このような例の1つでは、大きな建物の窓のうちのいくつかまたはすべての窓内のアンテナのうちのいくつかすべては、基地局用のGSM(登録商標)またはDCSセルラ放送塔として働くように構成され得る。このような実装形態は、伝統的な放送塔の使用を排除することができる。
【0305】
用途によっては、1つ以上のアンテナから成る群またはゾーンは、WLAN基地局もしくはWPAN基地局、アクセスポイント、またはホットスポットとして働くことができる。例えば、上に説明されたアンテナ群は、フェムトセル(例えば、4Gセルラおよび5Gセルラなど)またはピコセルとして機能することができる。このような実装形態によっては、アンテナ群用の1つ以上のコントローラは、ブロードバンド(DSLまたはケーブルなど)を介してサービスプロバイダのネットワークに接続することができる。フェムトセルは、サービスプロバイダが、基盤制限または減衰(建物の材料による、または所望の信号を阻止する他の建物によるなど)により、アクセスが制限または得られないことがある屋内または「セルエッジ」にサービスカバレッジを広げることを可能にする。
【0306】
用途によっては、上に説明されたアンテナのうちの1つ以上は、覆い隠しに利用され得る。例えば、建物の1つの窓内または多数の窓内の1つ以上のアンテナが、同じ建物の別の構造体、他の建物、または建物の外部の他の構造体などの物体からの反射を打ち消す場を放射し戻すように構成され得る。
【0307】
用途によっては、上に説明されたアンテナのうちの1つ以上は、マイクロフォンシステムに使用され得る。例えば、IGUは、1つ以上の音響-電気トランスデューサ、またはこのようなトランスデューサのアレイを、ライトの表面上に含めることができる。例えば、トランスデューサは、音響信号を、後で窓コントローラまたは別個のコントローラによって受信、処理され得る電気信号に変換する、電磁トランスデューサ(MEMSマイクロフォントランスデューサなど)とすることができる。例えば、スピーカフォン実装形態において、トランスデューサは、隣接する部屋の1人以上の占有者からの音響信号を取り出し、音響信号をコントローラによる信号処理に向けて電気信号に変換することができる。実装形態によっては、未処理または処理済みの電気信号は、例えば、電話会議における第三者への伝送に向けて、電話システムとインタフェースで接続するデバイスに無線送信され得る。さらに、実装形態によっては、電磁トランスデューサは、部屋の外側の外部環境(屋内か屋外かを問わず、例えば、廊下か隣接する部屋かを問わず)からの雑音などの背景雑音から音響信号を検出することができる。次に、雑音からの電気信号が、室内の占有者からの声に関連する周波数成分からの雑音に関連する周波数成分を取り除くように、コントローラまたは別個のデバイスによって処理され得る。他の実装形態によっては、建物内のユーザは、音響信号を、後にブロードキャストされ、続いてすぐ近くの窓内のアンテナによって感知される電気信号に変換する無線ヘッドセットなどのマイクロフォンを着用することができる。このような実装形態は、ユーザに、ユーザが建物の1つ以上の部屋または廊下を移動しても、電話機の使用なしに電話会議に参加することを可能にさせるであろう。例えば、ユーザは、様々なすぐ近くの窓中のアンテナから伝送された電気信号を受信し、これらの受信電気信号を、電話会議の他のユーザの声に相当する音響信号に変換すると考えられるヘッドフォンまたは他の音響イヤピースを着用することもできる。このような受信電気信号は、電話システムを通して受信され、続いて、様々なすぐ近くの窓中のコントローラおよびアンテナによって有線接続または無線接続を介して受信され得る。
【0308】
実装形態によっては、1つ以上の窓中の1つ以上のアンテナが、室内の様々なスピーカに信号を伝送するように構成されることも可能である。実装形態によっては、1つ以上の窓内の1つ以上のアンテナが、室内の様々なスピーカに無線で給電するように構成されることも可能である。実装形態によっては、1つ以上の窓内の1つ以上のアンテナが、室内の様々な照明機器に無線で給電するように構成されることも可能である。例えば、このような実装形態は、「無電極ランプ」、例えば、アンテナから伝送された無線周波数放出によって励起されると、光を生み出すIGUまたは他の窓構造体内にまたはそれに近接して1つ以上の蛍光管を提供することができる。
【0309】
用途によっては、1つ以上の窓中の1つ以上のアンテナが、電波を送受信して、部屋または建物の外部および/または内部の物体の範囲、角度、または速度を判断するように構成され得る。より具体的には、アンテナは、それらの経路内のいずれの物体でも、それから反射する電波またはマイクロ波を伝送することができる。窓内の同じまたは異なるアンテナは、これらの反射波を受信し、物体の性質を判断するように処理する。例えば、このようなレーダ実装形態は、外部環境または内部環境をマッピングするために使用され得る。このマッピング情報は、目的とする信号をもっとうまく受信するようにアンテナをもっとうまく向けるのに、または信号を目標(典型的な基地局の他に、それ自体がこのアンテナ技術を使用して基地局として構成され得る他の建物など)にもっとうまく的を絞って伝送するのに使用され得る。このようなレーダ実装形態は、セキュリティ用途にも有利であり得る。例えば、このようなレーダ実装形態は、侵入者/侵害者の存在、近接性、および移動さえも検出することができる。実際には、建物の周りに配設された複数の窓中の複数のアンテナは、協調して働き、建物の周りの侵害者の移動を追跡することができる。
【0310】
レーダ実装形態が、天気を検出するように構成されることも可能である。例えば、天気を検出、分類、および予測するのに、ドップラー効果がすでに測候所によって使用されている。このような天気情報は、色合い状態を判断するとともに、照明システム、HVACシステム、および警報システムまでも含む他のシステムにおける変化をトリガするためのマスタコントローラまたはネットワークコントローラへの別の入力として有用であり得る。
窓上または窓内のアンテナは、他の識別、パーソナライゼーション、承認、またはセキュリティの用途にも使用され得る。例えば、室内のアンテナは、部屋の占有者によって着用されるか、それとも携帯される、RFIDタグ、Bluetooth伝送機、または他の伝送機からの信号を検出して、占有者の同一性を判断するとともに、それらの同一性に関連する承認、許可、またはセキュリティの取り消しを判断するのにも使用され得る。
【0311】
無線電力伝送
エレクトロクロミック窓の1つの潜在的な欠点は、使用される電力が、少量であるのに、建物の電力源へのハードワイヤード接続を必要とすることである。これは、建造者が、例えば、オフィスビルに多数の窓を設置しているときに問題を引き起こす。窓に必要とされるハード配線に対応しなければならないことは、建造者が現代的な構造物を建てるために必要な物品の長いリストに対応する必要があるといったよくある障害である。また、エレクトロクロミック窓は、現代的な建物における照明、暖房、および占有者の快適性を向上させるエレガントな解決策を提供するが、ハードワイヤード電力源を必要とするエレクトロクロミック窓は、自動化エネルギー管理システムへの統合に対する障害を作り出す。したがって、ワイヤに関連するさらなる設置費用および危険は、新しい建設事業によっては、エレクトロクロミック窓の採用を遅らせる可能性があり、エレクトロクロミック窓の後付けがさらなる配線基盤を必要とすることから、後付けを妨げることがある。
【0312】
実施形態によっては、1つ以上のエレクトロクロミック窓に給電するのに、無線電力伝送が利用される。特定の実施形態において、通信目的で本明細書に説明されるものと同様に構築された窓アンテナは、無線電力を受信する(かつ必要に応じて伝送する)ために使用される。無線電力は、窓中のエレクトロクロミックデバイスに直接給電するのに、または代替の実施形態では、窓中のエレクトロクロミックデバイスの光学遷移に給電し、かつ/または光学状態を維持する内部バッテリまたはコンデンサを充電するのに使用され得る。一実施形態において、無線電力送信は、2つ以上のエレクトロクロミック窓に給電する受信機によって受信される。無線電力は、エレクトロクロミック窓の一部であるか、またはそれを直接サポートする他のアクティブデバイス、例えば運動センサ、光センサ、熱センサ、水分センサ、無線通信センサ、窓アンテナなどに給電するのにも使用され得る。
【0313】
無線電力伝送は、EC窓に供給するのに特に適しており、それは、EC窓遷移が、通常、数ボルト程度の低電位によって駆動されるからである。EC窓は、1日に数回しか遷移されないことが多い。また、無線電力伝送は、必要に応じて光学遷移を駆動するのに使用される関連のバッテリまたは他の電荷貯蔵デバイスを充電するのに使用され得る。様々な実施形態において、電荷貯蔵デバイスは、自らが給電する窓の上またはその近くに位置付けられる。
【0314】
無線電力伝送は、瞬間のまたは連続的なエネルギー伝達が必要とされる用途に使用を見出すが、相互接続ワイヤは、不便、扱いにくい、危険、または不可能である。実施形態によっては、電力は、RFを介して伝達され、EC窓と電気的に連通する受信機によって電位または電流に変換される。RFを介して電力を伝達する方法の1つの例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Michael A. Leabmanらによる、「Integrated Antenna Structure Arrays for Wireless Power Transmission」と題され、2016年1月21日に公開された公開番号2016/0020647を有する米国特許出願に説明されている。特定の実施形態は、2つ以上の無線電力伝送源(本明細書では、電力伝送機とも呼ばれる)を含み、すなわち、本発明は、ただ1つの無線電力伝送源しか使用されない実施形態に限定されない。本明細書に説明される無線電力伝送とは、電磁伝送を指し、主要な実施形態では、無線電力伝送とは、RF伝送を指す。
【0315】
図17は、無線電力伝送用に構成された部屋1704の内部を描写する。この例では、部屋は、建物の電気基盤に接続されている伝送機1701を含む。伝送機は、ワイヤ1705を通過する電流の形態の電力を、RF伝送を電気信号に変換し戻して、それらの関連のデバイスに給電する1つ以上の受信機1702(この場合、部屋1704内の各エレクトロクロミック窓またはIGUの角に位置する)に伝送される電気伝送に変換する。RF波の吸収および反射に起因する電力伝送における損失を低減するために、伝送機は、すべての受信機に対するサイトラインを有するのが好ましい天井または壁などの中心の場所に置かれ得る。描写された実施形態では、伝送機1701は、部屋の天井に位置する。電力を受信する電気デバイスは、RF伝送を使用可能な電気エネルギーおよび電力に変換するための少なくとも1つの関連の受信機を有する。1つ以上のIGUが伝送機から無線で電力を受信するように構成される場合、伝送機は、ラップトップまたはモバイルデバイスなどのさらなる電子デバイス1703に無線で給電するようにも構成され得る。これらのデバイスのそれぞれは、受信機を含み得る。
【0316】
前述のように、伝送機は、通常、給電されるデバイスに対して中心である場所に置かれる。多くの場合、これは、伝送機が、極近接して複数のIGUに給電できるような天井または壁に位置するようになることを意味する。無線伝送を向上させるために、伝送機は、RF伝送が受信機に向けられる指向性アンテナ設計を採用し得る。指向性アンテナには、八木アンテナ、対数周期アンテナ、コーナリフレクタアンテナ、パッチアンテナ、パラボラアンテナなどの設計が含まれる。場合によっては、アンテナ構造体は、特定の偏波で波を放出するように構成され得る。例えば、アンテナは、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、または楕円偏波を有し得る。
【0317】
典型的な伝送機は、空間において収束し得る制御された3次元ラジオ波を伝送するように、互いに独立して操作され得るアンテナアレイを含む。波は、受信機が位置する場所において、位相および/または振幅の調節を通して、建設的干渉パターン、またはエネルギーのポケットを形成するように制御され得る。特定の実施形態において、アンテナアレイは、平坦なパネルまたは放物線状パネル上の約1~4平方フィートの表面積をカバーする。アンテナは、行、列、または他のいずれの配設でも配設され得る。大抵、アンテナが多くなるほど、伝送された電力のより優れた指向性制御が可能になる。アンテナアレイが、約200個を超える構造体含む場合があり、またアンテナアレイが約400個を超える構造体から成ることもあり得る。典型的な伝送機は、伝送機に極近接して、例えば伝送機から10フィート未満しか離れないで位置するただ1つの受信機に約10ワットの電力を送達することができる可能性がある。複数のデバイスが同時に給電される場合、または受信機が伝送機から遠く離れて位置する場合、各受信機に送達される電力が、低減される可能性がある。例えば、電力が10~15フィートの距離で4つの受信機に同時に伝送される場合、各受信機に送達される電力が、1~3ワットに低減される可能性がある。
【0318】
実装形態によっては、伝送機は、1つ以上の無線周波数集積回路(RFIC:RadioFrequency Integrated Circuit)を含み、各RFICは、1つ以上のアンテナからのRF伝送の位相および/または大きさを調節することによって伝送を制御する。特定の実施形態において、各RFICは、1つ以上の受信機の場所にエネルギーのポケットを形成するように、アンテナがどのように制御されるべきかを判断するための論理を含むマイクロコントローラから、1つ以上のアンテナを制御するための命令を受信する。場合によっては、1つ以上の受信機の場所が、本明細書の他の個所に説明されるものなどのジオロケーション方法および測位方法を使用して、アンテナネットワークによって、伝送機に渡され得る。エレクトロクロミック窓または他のデバイスに無線電力を送達することに関係する情報を受信するために、伝送機は、窓アンテナネットワーク、または、例えば受信機位置情報を提供することができるアンテナネットワークまたは別のネットワークと通信するように構成され得る。特定の実施形態において、伝送機は、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBee、EnOceanなどのプロトコルによる無線通信用の構成要素を含む。
【0319】
実施形態によっては、伝送機は、人工磁気導体(AMC:Art ificial Magnetic Conductor)メタマテリアルと統合された板状逆Fアンテナ(PIFA)アレイを含む。PIFA設計は、小さなフォームファクタを提供することができ、AMCメタマテリアルは、エネルギー波が放出される配向を指示するための人工磁気反射器を提供することができる。伝送機を作り出すために、AMCメタマテリアルとともにどのようにPIFAアンテナが使用され得るかに関するさらなる情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年1月21日に公開された公開番号2016/0020647を有する米国特許出願で確認することができる。
【0320】
図18は、伝送機構造体の構成要素を示す。伝送機は、プラスチックまたは硬質ゴムなど、電磁波の通行を実質的に妨げない任意の適した材料から作られ得るハウジング1801によって包まれる。ハウジング内部に、伝送機は、連邦通信委員会(または他の政府無線通信規制機関)の規定に準拠する帯域幅のラジオ波を伝送するのに使用され得る複数のアンテナ1802を含む。伝送機構造体は、1つ以上のRFIC1803、少なくとも1つのマイクロコントローラ1804、および無線通信用の構成要素1805を含む。伝送機は、電力源1806、通常、建物の有線電気基盤にも接続される。
【0321】
実施形態によっては、無線通信用の構成要素1805は、伝送機の位置が、パルスベースの超広帯域(UWB)技術(ECMA-368およびECMA-369)を介して通信するアンテナネットワークによって判断されるのを可能にするマイクロ位置特定チップを含む。他の実施形態において、無線通信用の構成要素は、RFIDタグまたは別の同様のデバイスを含み得る。
【0322】
無線電力受信機は、伝送機と同じ室内の場所など、伝送機に極近接した様々な場所に位置し得る。エレクトロクロミック窓と対になった受信機の場合、受信機は、窓コントローラ内に、IGUに近接して(例えば、窓組立体の枠内側)、またはIGUから少しだけ離れて位置するが、窓コントローラに電気的に接続され得る。実施形態によっては、受信機のアンテナは、IGUの1つ以上のライト上に位置する。実施形態によっては、受信機構成要素は、アンテナ素子がプリント、エッチング、または積層されている非導電性基板(可撓性プリント回路基板など)上に組み立てられ、受信機は、ライトの表面に添着される。1つ以上のIGUが伝送機から無線で電力を受信するように構成される場合、伝送機は、ラップトップまたはモバイルデバイスなどのさらなる電子デバイスに無線で給電するようにも構成され得る。
【0323】
図19は、エレクトロクロミック窓とともに使用され得る受信機の構造を描写する。伝送機と同様に、受信機は、整流器に直列に、並列に、またはそれらの組み合わせで接続され得るアンテナ素子1902のうちの1つ以上を含む。次に、アンテナ素子は、次に、受信された交流RF波に対応する交流信号を、交流電圧を直流電圧に変換する整流回路1903に渡す。次に、直流電圧は、定電圧出力を提供するのに使用されるDC-DC変換器などの電力変換器1904に渡される。場合によっては、受信機は、後の使用にエネルギーを貯蔵するバッテリまたはスーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイス1906を含むか、またはそれに接続される。窓の場合、受電デバイス1907は、窓コントローラ、窓アンテナ、窓に関連するセンサ、またはエレクトロクロミックデバイスを含み得る。受信機がエネルギー貯蔵デバイスを含むかまたはそれに接続される場合、マイクロコントローラまたは他の適したプロセッサ論理が、受信電力がデバイス1907によってすぐに使用されるか、または後の使用に貯蔵されるか1906を判断するのに使用される。例えば、受信機が、受電デバイスによってその時必要とされるよりも多くのエネルギーを取り入れる場合(例えば、窓に色合いを付けるために)、余分なエネルギーがバッテリに貯蔵され得る。受信機は、窓ネットワーク、アンテナネットワーク、BMSなどと通信するように構成された無線通信インタフェースまたは無線通信モジュール1908をさらに含み得る。このようなインタフェースまたはモジュールを使用して、マイクロコントローラまたは受信機に関連する他の制御論理は、電力が伝送機から伝送されるよう要求することができる。実施形態によっては、受信機は、パルスベースの超広帯域(UWB)技術(ECMA-368およびECMA-369)を介して通信するマイクロ位置特定チップを含み、それにより、受信機の位置が、例えば、その位置を伝送機に提供することができる窓またはアンテナネットワークによって、判断されることを可能にする。伝送機および関連の伝送論理が、適切な場所(受信機の場所)に無線で電力を送達するのを補助するための他のタイプの位置特定デバイスまたはシステムが採用され得る。
【0324】
場合によっては、受信機構成要素のうちのいくつかまたはすべては、プラスチックまたは硬質ゴムなど、電磁伝送を可能にするのに適した任意の材料から作られ得るハウジング1801に格納される。主要な実施形態において、受信機は、窓コントローラとハウジングを共有する。場合によっては、無線通信構成要素1908、マイクロコントローラ1905、変換器1904、およびエネルギー貯蔵デバイス1906は、他の窓コントローラ動作と機能性を共有している。
【0325】
説明されたように、受信機は、位置情報を提供し、かつ/または伝送機に電力を伝送するよう命令する構成要素を有し得る。場合によっては、受信機、またはエレクトロクロミック窓または窓コントローラなどのすぐ近くの関連の構成要素は、受信機の場所を提供し、かつ/またはどこに電力伝送が送信されるべきであるかを伝送機に命令する。実施形態によっては、伝送機は、受信機からの命令に頼らずに電力伝送を決定し得る。例えば、伝送機は、設置中に、指定の時間間隔で移転する固定位置または可動位置における1つ以上の受信機の配置に対応する1つ以上の指定の場所に電力伝送を送信するように構成され得る。別の例において、電力伝送用の命令は、受信機以外のモジュールまたは構成要素によって、例えば、BMS、またはユーザによって操作される遠隔デバイスによって送信され得る。さらに別の例において、電力伝送用の命令は、フォトセンサおよび温度センサなどのセンサから収集されたデータから判断され得、そのデータからエレクトロクロミック窓の電力需要に対する関係が作られている。
【0326】
アンテナアレイ受信機は、別個の偏波、例えば、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、または楕円偏波を有するアンテナ素子を含み得る。既知の偏波のRF信号を放出する伝送機が1つの場合、受信機は、一致する偏波のアンテナ素子を有し得、RF伝送の向きがが分からない場合、アンテナ素子は、様々な偏波を有し得る。
【0327】
特定の実施形態において、受信機は、約5~10Vで受電デバイスに送達することができる約20~100個のアンテナを含む。主要な実施形態において、アンテナ素子は、約1mm~25mmでバラツキのある長さおよび幅の寸法を有するパッチアンテナである。場合によっては、メタマテリアルアンテナおよびダイポールアンテナを含む他のアンテナ設計が使用される。場合によっては、受信機のアンテナ間の間隔は極めて小さく、例えば5nm~15nmである。
【0328】
結論
1つ以上の態様において、説明された機能のうちの1つ以上は、本明細書に開示された構造体およびそれらの構造的均等物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、ハードウェア、デジタル電子回路機構、アナログ電子回路機構、コンピュータソフトウェア、ファームウェアにおいて実装され得る。本書類に説明された発明の対象の特定の実装形態は、窓コントローラ、ネットワークコントローラ、および/またはアンテナコントローラの動作を制御するために、またはそれらによる実行のためにコンピュータ記憶媒体上に符号化された、1つ以上のコントローラ、コンピュータプログラム、または物理的構造体、例えば、コンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとしても実装され得る。エレクトロクロミック窓として、またはそれ用に提示されたいずれの開示された実装形態も、より一般的には、切り替え可能な光学デバイス(窓、鏡などを含む)として、またはそれ用に実装され得る。
【0329】
本開示で説明された実施形態に対する様々な修正が、当業者にはすぐに明らかであることがあり、本明細書で定義された包括的な原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された本開示、原理、および新規な特徴に一致する最も広い範囲が認められることになっている。さらに、当業者であれば、図の説明を容易にするために「上部の」および「下部の」という用語が使用され、適切に指向されたページ上の図の向きに対応する相対位置を示すことがあり、実装されたデバイスの正しい向きを反映しないことがあることをすぐに察するであろう。
【0330】
別々の実装形態の背景において本明細書に説明される特定の特徴は、単一の実装形態で組み合わせて実装されることも可能である。逆に、単一の実装形態の背景において説明される様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで複数の実装形態において実装されることも可能である。また、特徴が、特定の組み合わせで役割を果たすとして上に説明され、最初はそのように主張もされることがあるが、場合によっては、主張された組み合わせからの1つ以上の特徴が、その組み合わせから削除されることが可能であり、主張された組み合わせが、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態に向けられてもよい。
【0331】
同様に、動作が特定の順序で図面に描写されているが、これは、必ずしも、望ましい結果を実現するために、動作が示された特定の順序で、または順次に行われることが必要とされること、または示された動作のすべてが行われることを意味するものではない。さらに、図面は、フロー図の形でプロセスのもう1つの例を概略的に描写することがある。しかしながら、描写されていない他の動作は、概略的に示されているプロセスの例に組み込まれ得る。例えば、示された動作の前、後、同時、またはいずれかの動作間に、1つ以上のさらなる動作が行われ得る。特定の状況では、マルチタスク処理および並列処理が有利なことがある。なお、上に説明された実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてこのような分離を必要とするとして理解されるべきではなく、説明されたプログラム構成要素およびシステムが、大抵、単一のソフトウェア製品にともに統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されることが理解されよう。さらに、他の実装形態は、以下の請求項の範囲内にある。場合によっては、請求項に列挙された動作は、異なる順序で行われ、なお望ましい結果を実現することができる。
[項目1]
デバイスまたは前記デバイスを含む資産の場所をモニタリングする方法であって、
(a)1つ以上の第1のアンテナが前記デバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断することであって、前記1つ以上の第1のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラに配置されている、判断することと、
(b)前記1つ以上の第1のアンテナによる前記第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第1の場所を判断することと、
(c)(a)の後に、1つ以上の第2のアンテナが前記デバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断することであって、前記1つ以上の第2のアンテナが、前記建物内の光学的に切り替え可能な窓または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、
(d)少なくとも1つ以上の前記第2のアンテナによる前記第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第2の場所を判断することと、
(e)前記デバイスが、前記第1の場所から前記第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を含む、方法。
[項目2]
デバイスまたは前記デバイスを含む資産の場所をモニタリングする方法であって、
(a)前記デバイスが1つ以上の第1のアンテナから第1の電磁伝送を受信したと判断することであって、前記1つ以上の第1のアンテナが、建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、
(b)前記デバイスによる前記第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第1の場所を判断することと、
(c)(a)の後に、前記デバイスが1つ以上の第2のアンテナから第2の電磁伝送を受信したと判断することであって、前記1つ以上の第2のアンテナが、前記建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置されている、判断することと、
(d)前記デバイスによる前記第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第2の場所を判断することと、
(e)前記デバイスが、前記第1の場所から前記第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断することと、を含む、方法。
[項目3]
前記デバイスが前記第1の場所から前記第2の場所に移動する際に前記仮想境界を越えたと判断した後に、警告を送信する、または警報をトリガすることをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
前記デバイスが前記第1の場所から前記第2の場所に移動する際に前記仮想境界を越えたと判断した後に、前記デバイスまたは資産の場所または移動を補助システムに伝達することをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
[項目5]
前記補助システムが、セキュリティシステム、建物管理システム、照明システム、在庫システム、および安全システムから成る群から選択される、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記デバイスが前記第1の場所から前記第2の場所に移動する際に前記仮想境界を越えたと判断した後に、前記デバイスのさらなる移動を阻止することをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
[項目7]
(e)の前に、前記仮想境界の場所を判断することをさらに含み、前記仮想境界の前記場所が、時間、前記デバイスもしくは資産のタイプ、および/または前記デバイスもしくは資産に関連する個人に付与された許可に基づいて変わる、項目1または2に記載の方法。
[項目8]
前記仮想境界の前記場所をリセットまたは修正することをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
[項目9]
前記デバイスの前記第1の場所が、約1メートル以下の解像度まで判断される、項目1または2に記載の方法。
[項目10]
前記デバイスの前記第1の場所が、約10cm以下の解像度まで判断される、項目1または2に記載の方法。
[項目11]
前記デバイスの前記第1の場所が、約5cm以下の解像度まで判断される、項目1または2に記載の方法。
[項目12]
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナが、前記第1の電磁伝送および前記第2の電磁伝送の伝送または受信を制御するための論理を備える少なくとも1つのネットワークコントローラまたはマスタコントローラを備えるネットワークの一部である、項目1または2に記載の方法。
[項目13]
前記マスタコントローラが、(b)および(d)における前記第1の電磁伝送および前記第2の電磁伝送の前記受信からの前記情報を使用して、前記デバイスが前記第1の場所から前記第2の場所に移動する際に前記仮想境界を越えたか否かを判断する、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記デバイスが、Bluetoothビーコンを発生させるように構成された伝送機を備える、項目1または2に記載の方法。
[項目15]
前記デバイスが、パルスベースの超広帯域(UWB)信号を伝送および/または受信するように構成されたマイクロ位置特定チップを備える、項目1または2に記載の方法。
[項目16]
前記デバイスが、モバイルデバイスである、項目1または2に記載の方法。
[項目17]
前記デバイスが、Wi-Fi信号、Zigbee信号、または超広帯域(UWB)信号を伝送するように構成された伝送機を備える、項目1または2に記載の方法。
[項目18]
前記デバイスが、パッシブまたはアクティブの無線周波数識別(RFID)タグを備える、項目1または2に記載の方法。
[項目19]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、GPSデータを使用することなく達成される、項目1または2に記載の方法。
[項目20]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、既知の場所において、前記1つ以上の第1のアンテナからの信号の到着時間を測定することを含む、項目1または2に記載の方法。
[項目21]
前記1つ以上の第1および/または第2のアンテナが、異なる角度関係で到着する信号を受信するように配向される、項目20に記載の方法。
[項目22]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、受信信号の強度を測定して、前記1つ以上の第1および/または第2のアンテナに対する前記デバイスの近接性を判断することを含む、項目1または2に記載の方法。
[項目23]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、前記デバイスによって感知された慣性情報または磁気情報を使用することをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
[項目24]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、モノポールアンテナである、項目1または2に記載の方法。
[項目25]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、ストリップラインまたはパッチを備える、項目1または2に記載の方法。
[項目26]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1が、フラクタルアンテナである、項目1または2に記載の方法。
[項目27]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、シェルピンスキーアンテナである、項目1または2に記載の方法。
[項目28]
前記第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、前記第1のアンテナのうちの少なくとも1つと同じである、項目1または2に記載の方法。
[項目29]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、前記光学的に切り替え可能な窓のうちの少なくとも1つの表面上に配置されたグランドプレーンを備える、項目1または2に記載の方法。
[項目30]
前記デバイスまたは前記資産が、医療デバイスまたは医療用品を含む、項目1または2に記載の方法。
[項目31]
電力を無線伝送によってエレクトロクロミックデバイスへ送達する方法であって、
(a)電力が、それぞれが1つ以上の第1のアンテナを備える1つ以上の第1の受信機を介して前記エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、
(b)伝送機に、電力を、電磁伝送によって前記1つ以上の第1のアンテナに無線伝送させることであって、前記1つ以上の第1のアンテナが、(i)前記エレクトロクロミックデバイスを含む1つ以上のエレクトロクロミック窓上に、かつ/または(ii)前記エレクトロクロミックデバイスを制御するように構成された1つ以上の窓コントローラ上に、配置され、前記1つ以上のエレクトロクロミック窓および/または前記1つ以上の窓コントローラが、建物に配置されている、無線伝送させることと、
(c)前記1つ以上の第1のアンテナを使用して、前記第1の受信機のうちの1つ以上において、前記無線伝送された電力を受信することと、を含む、方法。
[項目32]
それぞれが1つ以上の第2のアンテナを備える1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上のさらなるエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、
(b)において、電力を前記1つ以上の第2のアンテナに無線伝送することと、
前記1つ以上の第2のアンテナにより、(c)において、前記無線伝送された電力を1つ以上の第2の受信機において受信することと、をさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目33]
(b)において、伝送機に電力を無線伝送させることが、前記伝送機に、前記1つ以上の第1および第2のアンテナ間で、電力を伝送することを交互に行わせることを含む、項目32に記載の方法。
[項目34]
それぞれが1つ以上の第2のアンテナを備える1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上の非エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、
(b)において、電力を前記1つ以上の第2のアンテナに無線伝送することと、
前記1つ以上の第2のアンテナを使用して、(c)において、前記無線伝送された電力を前記1つ以上の第2の受信機において受信することと、をさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目35]
受信した前記電力で前記エレクトロクロミックデバイスの光学遷移を駆動することをさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目36]
受信した前記電力をバッテリまたはコンデンサに貯蔵することと、
前記バッテリまたはコンデンサに貯蔵された電力を放電して、前記エレクトロクロミックデバイスの光学遷移を駆動することと、をさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目37]
前記1つ以上の第1の受信機において受信された前記無線伝送された電力が、前記エレクトロクロミックデバイスの光学遷移に給電するために使用されるか、またはエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵されるかを判断することをさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目38]
前記1つ以上の第1の受信機のそれぞれが、整流器および変換器を備える、項目31に記載の方法。
[項目39]
電力が前記エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することが、マイクロ位置特定チップを使用して、前記エレクトロクロミックデバイスの位置を判断することをさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目40]
前記1つ以上の第1のアンテナのそれぞれが、約1mm~25mmである長さおよび幅の寸法を備えるパッチアンテナである、項目31に記載の方法。
[項目41]
1つ以上の前記第1のアンテナが、前記第2のアンテナのうちの1つ以上である、項目32または34に記載の方法。
[項目42]
1つ以上の前記第1の受信機が、前記第2の受信機のうちの1つ以上である、項目32または34に記載の方法。
[項目43]
前記伝送機が、前記建物内の規定の場所に建設的干渉パターンを形成する電磁伝送を同時に送達するように構成されたアンテナアレイを備える、項目31に記載の方法。
[項目44]
装置であって、
第1の表面および第2の表面を備える1つ以上の透明なライトと、
前記1つ以上のライトの第1の表面上に配置されたエレクトロクロミックデバイス(ECD)であって、
前記第2の表面に隣接する第1の導電層、
第2の導電層、および
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間のエレクトロクロミック層を含む、エレクトロクロミックデバイス(ECD)と、
前記1つ以上のライトの前記第1の表面または第2の表面にわたって配設された少なくとも1つの導電アンテナ構造体と、
少なくとも1つの隣接する反射防止層とともに、少なくとも1つの導電層を備える電磁遮蔽体であって、前記1つ以上のライトの前記第1の表面、前記第2の表面、もしくは別の表面間に、またはそれに隣接して位置する、電磁遮蔽体と、を備える装置。
[項目45]
前記電磁遮蔽体が、それぞれが少なくとも1つの隣接する反射防止層を備える少なくとも2つの導電層を備え、前記反射防止層が、互いに物理的に接触していない、項目44に記載の装置。
[項目46]
前記導電層が、銀層を含む、項目44に記載の装置。
[項目47]
窓構造体であって、
第1の表面および第2の表面を備える1つ以上の透明なライトと、
前記1つ以上のライトの第1の表面上に配置されたエレクトロクロミックデバイスであって、
前記第2の表面に隣接する第1の導電層、
第2の導電層、および
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間のエレクトロクロミック層を備える、エレクトロクロミックデバイスと、
少なくとも1つの隣接する反射防止層とともに、少なくとも1つの導電層を備える電磁遮蔽膜であって、前記1つ以上のライトの前記第1の表面、前記第2の表面、もしくは別の表面に、またはそれに隣接して載置されている、電磁遮蔽膜と、を備える、窓構造体。
[項目48]
前記電磁遮蔽膜が、それぞれが少なくとも1つの隣接する反射防止層を備える少なくとも2つの導電層を備え、前記反射防止層が、互いに物理的に接触していない、項目47に記載の窓構造体。
[項目49]
前記導電層が、銀層を含む、項目47に記載の窓構造体。
[項目50]
前記電磁遮蔽膜が、ライトに載置されたとき、約25μm~約1000μmの総厚を有する、項目47に記載の窓構造体。
[項目51]
前記電磁遮蔽膜が、前記1つ以上のライトの前記第1の表面、前記第2の表面、または別の表面に載置されていないときには可撓性である、項目47に記載の窓構造体。
[項目52]
前記導電層が、少なくとも2つの金属副層または金属合金副層を備える、項目47に記載の窓構造体。
[項目53]
少なくとも1つの金属副層または金属合金副層が、屈折率整合副層である、項目52に記載の窓構造体。
[項目54]
デバイスまたは前記デバイスを含む資産の場所をモニタリングするためのシステムであって、
建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラ上に配置された複数のアンテナを備えるネットワークと、
位置特定論理であって、
(a)前記複数のアンテナのうちの1つ以上の第1のアンテナが、前記デバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断する動作と、
(b)前記1つ以上の第1のアンテナによる前記第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第1の場所を判断する動作と、
(c)(a)の後に、前記複数のアンテナのうちの1つ以上の第2のアンテナが、前記デバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断する動作と、
(d)少なくとも1つ以上の前記第2のアンテナによる前記第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第2の場所を判断する動作と、
(e)前記デバイスが、前記第1の場所から前記第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断する動作と、を実行するように構成された、位置特定論理と、を備えるシステム。
[項目55]
前記位置特定論理が、前記デバイスが、前記第1の場所から前記第2の場所に前記仮想境界を越えたと判断した後に、警告を送信し、警報をトリガし、かつ/または補助システムと通信するようにさらに構成される、項目54に記載のシステム。
[項目56]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所が、約1m以下の解像度まで判断される、項目54に記載のシステム。
[項目57]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所が、約10cm以下の解像度まで判断される、項目54に記載のシステム。
[項目58]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、受信信号の強度を測定して、前記1つ以上の第1および/または第2のアンテナに対する前記デバイスの近接性を判断することを含む、項目54に記載のシステム。
[項目59]
前記デバイスの前記第1および/または第2の場所を判断することが、前記デバイスによって感知された慣性情報または磁気情報を使用することをさらに含む、項目54に記載のシステム。
[項目60]
位置特定論理が、時間、ユーザに付与された許可、および/またはユーザに付与された許可に基づいて前記仮想境界を調節するようにさらに構成される、項目54に記載のシステム。
[項目61]
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナが、前記位置特定論理を備える少なくとも1つのネットワークコントローラまたはマスタコントローラを備えるネットワークの一部である、項目54に記載のシステム。
[項目62]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、モノポールアンテナである、項目54に記載のシステム。
[項目63]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、ストリップラインまたはパッチを備える、項目54に記載のシステム。
[項目64]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、フラクタルアンテナである、項目54に記載のシステム。
[項目65]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、シェルピンスキーアンテナである、項目54に記載のシステム。
[項目66]
前記第1および/または第2のアンテナのうちの少なくとも1つが、前記光学的に切り替え可能な窓のうちの少なくとも1つの表面上に配置されたグランドプレーンを備える、項目54に記載のシステム。
[項目67]
前記デバイスが、パルスベースの超広帯域(UWB)信号を伝導かつ/または受信するように構成されたマイクロ位置特定チップを備える、項目54に記載のシステム。
[項目68]
電力を無線伝送によってエレクトロクロミックデバイスに送達するためのシステムであって、
電磁伝送により電力を無線伝送するための伝送機と、
それぞれが1つ以上の第1のアンテナを備える1つ以上の第1の受信機であって、前記1つ以上の第1のアンテナが、(i)前記エレクトロクロミックデバイスを含む1つ以上のエレクトロクロミック窓に、かつ/または(ii)前記エレクトロクロミックデバイスを制御するように構成された1つ以上の窓コントローラに、配置されている、1つ以上の第1の受信機と、
1つ以上の論理デバイスであって、
(a)電力が、1つ以上の第1の受信機を介して前記エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断することと、
(b)前記伝送機に、電磁伝送によって電力を前記第1のアンテナのうちの1つ以上に無線伝送させることと、を行うように構成またはプログラムされた、1つ以上の論理デバイスと、を備える、システム。
[項目69]
前記1つ以上の論理デバイスが、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを備える1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上のさらなるエレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断するように、さらに構成またはプログラムされる、項目68に記載のシステム。
[項目70]
前記1つ以上の論理デバイスが、前記伝送機に、前記1つ以上の第1のアンテナおよび前記1つ以上の第2のアンテナ間で、電力を伝送することを交互に行わせるように構成またはプログラムされる、項目69に記載のシステム。
[項目71]
前記1つ以上の論理デバイスが、それぞれが1つ以上の第2のアンテナを備える1つ以上の第2の受信機を介して、(a)において、電力が1つ以上の非エレクトロクロミックデバイスに送達されるべきであると判断するように、さらに構成またはプログラムされる、項目68に記載のシステム。
[項目72]
前記1つ以上の論理デバイスが、前記第1の受信機のうちの前記1つ以上において受信された前記無線伝送された電力が、前記エレクトロクロミックデバイスの光学遷移に給電するために使用されるか、またはエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵されるかを判断するように、さらに構成またはプログラムされる、項目68に記載のシステム。
[項目73]
デバイスまたは前記デバイスを含む資産の場所をモニタリングするためのシステムであって、
建物内の光学的に切り替え可能な窓および/または窓コントローラに配置された複数のアンテナを備えるネットワークと、
位置特定論理であって、
(a)前記複数のアンテナのうちの1つ以上の第1のアンテナが、前記デバイスから第1の電磁伝送を受信したと判断する動作と、
(b)前記1つ以上の第1のアンテナによる前記第1の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第1の場所を判断する動作と、
(c)(a)の後に、前記複数のアンテナのうちの1つ以上の第2のアンテナが、前記デバイスから第2の電磁伝送を受信したと判断する動作と、
(d)少なくとも1つ以上の前記第2のアンテナによる前記第2の電磁伝送の受信からの情報を分析することによって、前記デバイスの第2の場所を判断する動作と、
(e)前記デバイスが、前記第1の場所から前記第2の場所に移動することによって、仮想境界を越えたか否かを判断する動作と、を実行するように構成された、位置特定論理と、を備えるシステム。
[項目74]
ユーザとインタフェースするための非一時的な命令を格納するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品をさらに備え、前記命令が、
ユーザが、考えられる資産のリストから所望の資産を選択することを可能にするユーザインタフェースを提示するここと、
前記位置特定論理から、前記資産の前記第1の場所または第2の場所の、いずれかその時点の場所を受信することと
前記ユーザを前記第1の場所に、または前記第2の場所に案内するための命令を、前記ユーザインタフェースに表示することと、を含む、項目73に記載のシステム。
[項目75]
エレクトロクロミックデバイスコーティングと、金属層を備える遮蔽スタックと、を備える、絶縁ガラスユニット(IGU)であって、前記遮蔽スタックが、前記金属層を接地することによって、電磁放射を阻止するように構成されている、絶縁ガラスユニット(IGU)。
[項目76]
前記IGUとの間で情報および/または無線電力を受信かつ/または伝送するためのアンテナをさらに備える、項目75に記載のIGU。
[項目77]
前記金属層が、前記アンテナ用のグランドプレーンとしても働く、項目76に記載のIGU。
[項目78]
前記エレクトロクロミックデバイスコーティングおよび前記遮蔽スタックが、少なくとも1つの共通層を共有する、項目75に記載のIGU。
[項目79]
前記金属層が、前記エレクトロクロミックデバイスコーティングの光学遷移を制御するようにも構成されている窓コントローラによって選択的に接地されている、項目75に記載のIGU。
[項目80]
前記IGUの一方または両方のライトが、積層構造体を備える、項目75に記載のIGU。
[項目81]
前記エレクトロクロミックデバイスコーティングが、非積層ライト上にあり、前記遮蔽スタックが、積層ライト上にある、項目80に記載のIGU。
[項目82]
前記エレクトロクロミックデバイスコーティングと前記遮蔽スタックとの両方が、積層ライト上にある、項目80に記載のIGU。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
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図11H
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
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図14F
図14G
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図21
【外国語明細書】