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特開2023-52972キャリア組立方法、及び、キャリア組立装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023052972
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】キャリア組立方法、及び、キャリア組立装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20230404BHJP
   G01R 31/27 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/27
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017023
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2018091984の分割
【原出願日】2018-05-11
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 敏之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和也
(57)【要約】
【課題】機械的な位置決め機構を有するハンドラを用いてファインピッチのDUTの試験を可能とする試験用キャリアの組立方法を提供する。
【解決手段】キャリア組立方法は、試験用キャリア1の第1の貫通孔11を介してDUT90を撮像する工程と、その画像情報から第1の貫通孔11に対するDUT90のバンプ92’の相対位置を取得する工程と、バンプ92’の相対位置に基づいて、試験用キャリア1のキャリア本体10に対してDUT90を相対移動させる工程と、を備え、試験用キャリア1におけるポゴピン21に対する第1の貫通孔11の設計上の相対位置は、DUT90におけるパッド91に対するバンプ92’の相対位置に対応している。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアを組み立てるキャリア組立方法であって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持するキャリア本体と、
前記DUTを覆うと共に前記キャリア本体に固定される蓋部材と、を備え、
前記キャリア本体は、
前記DUTの端子に対応するように設けられた複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記DUTに対向するように設けられ、前記DUTを前記試験用キャリアに対して位置決めするための位置決め用の第1の貫通孔と、を有し、
前記第1の貫通孔は、外部から前記第1の貫通孔を介して前記DUTの特徴点を見ることが可能なように、前記キャリア本体を貫通しており、
前記キャリア組立方法は、
前記第1の貫通孔を介して前記DUTを撮像する第1の工程と、
前記第1の工程で撮像された画像情報から、前記第1の貫通孔に対する前記DUTの前記特徴点の相対位置を取得する第2の工程と、
前記特徴点の相対位置に基づいて、前記キャリア本体に対して前記DUTを相対移動させる第4の工程と、を備え、
前記接触子に対する前記第1の貫通孔の設計上の相対位置は、前記DUTにおける前記端子に対する前記特徴点の相対位置に対応しているキャリア組立方法。
【請求項2】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアを組み立てるキャリア組立方法であって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持するキャリア本体と、
前記DUTを覆うと共に前記キャリア本体に固定される蓋部材と、
個体を識別するための識別子と、を備え、
前記キャリア本体は、
前記DUTの端子に対応するように設けられた複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記DUTに対向するように設けられ、前記DUTを前記試験用キャリアに対して位置決めするための位置決め用の第1の貫通孔と、を有し、
前記第1の貫通孔は、外部から前記第1の貫通孔を介して前記DUTの特徴点を見ることが可能なように、前記キャリア本体を貫通しており、
前記キャリア組立方法は、
前記第1の貫通孔を介して前記DUTを撮像する第1の工程と、
前記第1の工程で撮像された画像情報から、前記第1の貫通孔に対する前記DUTの前記特徴点の相対位置を取得する第2の工程と、
リーダによって前記識別子を読み取り、前記識別子に対応した固体固有情報を記憶した記憶装置から、前記リーダによって読み取られた前記識別子に対応した固体固有情報を読み出す第3の工程と、
前記特徴点の相対位置と前記個体固有情報に基づいて、前記キャリア本体に対して前記DUTを相対移動させる第4の工程と、
前記個体固有情報は、前記接触子に対する前記第1の貫通孔の相対位置の誤差に対応した補正値を含むキャリア組立方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキャリア組立方法であって、
前記蓋部材は、前記DUTに対向するように設けられ、前記蓋部材を貫通するDUT吸着用の第2の貫通孔を有し、
前記キャリア組立方法は、前記第1の工程よりも前に、吸着保持装置によって前記蓋部材を吸着保持すると共に、前記第2の貫通孔を介して前記DUTを吸着保持する第5の工程を備え、
前記第4の工程は、前記吸着保持装置を移動させることを含むキャリア組立方法。
【請求項4】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置であって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持するキャリア本体と、
前記DUTを覆うと共に前記キャリア本体に固定される蓋部材と、を備え、
前記キャリア本体は、
前記DUTの端子に対応するように設けられた複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記DUTに対向するように設けられ、前記DUTを前記試験用キャリアに対して位置決めするための位置決め用の第1の貫通孔と、を有し、
前記第1の貫通孔は、外部から前記第1の貫通孔を介して前記DUTの特徴点を見ることが可能なように、前記キャリア本体を貫通しており、
前記キャリア組立装置は、
前記第1の貫通孔を介して前記DUTを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像情報から、前記第1の貫通孔に対する前記DUTの前記特徴点の相対位置を取得する画像処理部と、
前記キャリア本体に対して前記DUTを相対移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記特徴点の相対位置に基づいて前記駆動部を制御し、
前記接触子に対する前記第1の貫通孔の設計上の相対位置は、前記DUTにおける前記端子に対する前記特徴点の相対位置に対応しているキャリア組立装置。
【請求項5】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置であって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持するキャリア本体と、
前記DUTを覆うと共に前記キャリア本体に固定される蓋部材と、
個体を識別するための識別子と、を備えており、
前記キャリア本体は、
前記DUTの端子に対応するように設けられた複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記DUTに対向するように設けられ、前記DUTを前記試験用キャリアに対して位置決めするための位置決め用の第1の貫通孔と、を有し、
前記第1の貫通孔は、外部から前記第1の貫通孔を介して前記DUTの特徴点を見ることが可能なように、前記キャリア本体を貫通しており、
前記キャリア組立装置は、
前記第1の貫通孔を介して前記DUTを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像情報から、前記第1の貫通孔に対する前記DUTの前記特徴点の相対位置を取得する画像処理部と、
前記キャリア本体に対して前記DUTを相対移動させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記識別子を読み取るリーダと、
前記識別子に対応した個体固有情報を記憶した記憶部と、を備え、
前記個体固有情報は、前記接触子に対する前記第1の貫通孔の相対位置の誤差に対応した補正値を含んでおり、
前記制御部は、前記特徴点の相対位置と前記個体固有情報に基づいて前記駆動部を制御するキャリア組立装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のキャリア組立装置であって、
前記蓋部材は、前記DUTに対向するように設けられ、前記蓋部材を貫通するDUT吸着用の第2の貫通孔を有し、
前記キャリア組立装置は、前記蓋部材を吸着保持すると共に、前記第2の貫通孔を介して前記DUTを吸着保持する吸着保持部を備えており、
前記駆動部は、前記吸着保持部を移動させるキャリア組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(以下、単に「DUT」(Device Under Test)との称する。)の試験を行う際に、DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリア、及び、その試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファインピッチの端子を有するDUTの試験に用いられる電子部品搬送装置(以下単に「ハンドラ」とも称する。)として、画像処理技術を用いてソケットに対してDUTを位置決めするものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第03/075023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のハンドラでは、画像処理のためにDUTやソケット等を撮像する複数のカメラを必要としたり、高精度な位置決めのために精密な移動機構を必要とするため、ハンドラ自体が高価である。また、上記のハンドラでは、同時側定数(同時に試験を実行可能なDUTの数)が数個程度に制限されているため、生産性に劣ってしまう。そのため、ファインピッチのDUTの試験に上記のハンドラを用いると、試験工程のコスト増加を招来してしまう、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、機械的な位置決め機構を有するハンドラを用いてファインピッチのDUTの試験を可能とする試験用キャリア、及び、その試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る試験用キャリアは、DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアであって、前記DUTを保持するキャリア本体と、前記DUTを覆うと共に前記キャリア本体に固定される蓋部材と、を備え、前記キャリア本体は、前記DUTの端子に対応するように設けられた複数の接触子と、前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、前記DUTに対向するように設けられた位置決め用の第1の貫通孔と、を有しており、前記第1の貫通孔は、外部から前記第1の貫通孔を介して前記DUTの一部を見ることが可能なように、前記キャリア本体を貫通している試験用キャリアである。
【0007】
[2]上記発明において、前記外部端子のピッチは、前記接触子のピッチよりも広くてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記接触子は、前記DUTの端子を押圧するポゴピンを含み、前記DUTは、前記ポゴピンの押圧力によって、前記ポゴピンと前記蓋部材との間に挟持されてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記キャリア本体は、前記接触子を保持する保持板と、前記保持板に重ねられたインタポーザと、を含み、前記インタポーザは、前記外部端子と、前記接触子に対向するように設けられた内部端子と、前記内部端子と前記外部端子とを接続する配線パターンと、を有してもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記試験用キャリアは、前記蓋部材を前記キャリア本体に着脱可能に固定するラッチ機構を備えてもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記試験用キャリアは、個体を識別するための識別子を備えてもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記蓋部材は、前記DUTに対向するように設けられ、前記蓋部材を貫通する吸着用の第2の貫通孔を有してもよい。
【0013】
[8]本発明に係るキャリア組立装置は、上記の試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置であって、前記第1の貫通孔を介して前記DUTを撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像情報から、前記第1の貫通孔に対する前記DUTの特徴点の相対位置を取得する画像処理部と、前記キャリア本体に対して前記DUTを相対移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記特徴点の相対位置に基づいて前記駆動部を制御するキャリア組立装置である。
【0014】
[9]上記発明において、前記キャリア組立装置は、前記識別子を読み取るリーダと、前記識別子に対応した個体固有情報を記憶した記憶部と、を備え、前記個体固有情報は、前記接触子に対する前記第1の貫通孔の相対位置の誤差に対応した補正値を含んでおり、前記制御部は、前記特徴点の相対位置と前記個体固有情報に基づいて前記駆動部を制御してもよい。
【0015】
[10]上記発明において、前記キャリア組立装置は、前記蓋部材を吸着保持すると共に、前記第2の貫通孔を介して前記DUTを吸着保持する吸着保持部を備えており、前記駆動部は、前記吸着保持部を移動させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キャリア本体に形成された第1の貫通孔を介して外部からDUTの一部を見ることができるので、画像処理技術を用いてDUTの端子を試験用キャリアの接触子に対して高精度に位置決めしてから、当該試験用キャリアを介して試験装置によってDUTを試験することができる。このため、機械的な位置決め機構を有するハンドラを用いてDUTを試験することができ、延いてはDUTの試験工程の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態における試験対象であるDUTを示す底面図である。
図2図2は、本発明の実施形態における試験用キャリアを上方から見た斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態における試験用キャリアを下方から見た斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態における試験用キャリアの分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態における試験用キャリアを示す断面図であり、図2のV-V線に沿った図である。
図6図6は、本発明の実施形態における試験用キャリアを示す分解断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態における試験用キャリアのポゴピンを示す断面図であり、図6のVII部の拡大図である。
図8図8は、本発明の実施形態における試験用キャリアの変形例を示す断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態におけるキャリア組立装置の構成を示すブロック図である。
図10図10は、本発明の実施形態における試験用キャリアの組立方法の工程図である。
図11図11(a)は、アライメント前のDUTを撮像した画像を示す図であり、図11(b)は、アライメント中のDUTを撮像した画像を示す図であり、図11(c)は、アライメント後のDUTを撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態における試験対象であるDUTを示す底面図である。
【0020】
本実施形態におけるDUT90は、半導体ウェハがダイシングされて形成されたダイであり、試験用キャリア1を用いてこのDUT90の電気的特性の試験が行われる。
【0021】
このDUT90は、図1に示すように、当該DUT90の外縁に沿って配列されたパッド91と、当該DUT90の中央に配列されたバンプ92と、を有している。パッド91は、DUT90の試験のための端子であり、比較的広いピッチで配列されている。これに対し、バンプ92は、当該DUT90の基板等への実装のための端子であり、パッド91のピッチよりも狭いピッチで配列されている。複数のバンプ92は、矩形状に配列されている。なお、DUT90の構成は特に上記に限定されない。本実施形態におけるパッド91が、本発明におけるDUTの端子の一例に相当する。
【0022】
本実施形態では、半導体ウェハがダイシングされてDUT90が形成されると、先ず、キャリア組立装置100(図9参照)を用いてDUT90を試験用キャリア1に収容する。そして、試験用キャリア1にDUT90を収容したままの状態で、この試験用キャリア1を試験装置(不図示)に搬送する。次いで、この試験用キャリア1を介してDUT90と試験装置を電気的に接続して、DUT90の試験を実行する。そして、この試験が終了したら、試験用キャリア1を分解してDUT90を取り出す。なお、DUT90が取り出された試験用キャリア1は、別のDUT90の試験に再利用される。
【0023】
因みに、パッケージングされた既存のデバイスの試験工程では、多数の当該デバイスを同時に搬送するためにテストトレイが用いられている。本実施形態では、試験用キャリア1の外形をこうした既存のデバイスの外形と合わせることで、当該既存のデバイス用のテストトレイを試験用キャリア1の搬送にも使用することができる。
【0024】
次に、本実施形態における試験用キャリア1の構成について、図2図7を参照しながら説明する。
【0025】
図2及び図3は本実施形態における試験用キャリアを示す斜視図、図4は本実施形態における試験用キャリアの分解斜視図、図5は本実施形態における試験用キャリアを示す断面図、図6は本実施形態における試験用キャリアを示す分解断面図、図7は本実施形態における試験用キャリアのポゴピンを示す断面図である。
【0026】
本実施形態における試験用キャリア1は、図2図6に示すように、DUT90を保持するキャリア本体10と、そのDUT90を覆うと共にキャリア本体10に固定される蓋部材60と、を備えている。この試験用キャリア1では、キャリア本体10と蓋部材60との間にDUT90を挟むことで、DUT90が試験用キャリア1の内部に収容される。
【0027】
キャリア本体10は、保持板20と、保持板20の下面に重ねられたインタポーザ30と、保持板20の上面に取り付けられた筒状体40と、を備えている。
【0028】
保持板20は、複数のポゴピン21を保持している。このポゴピン21は、DUT90のパッド91に対向するようにピッチP図4参照)で配列されている。それぞれのポゴピン21は、図7に示すように、プランジャ22と、固定部23と、コイルスプリング24と、を備えている。
【0029】
ポゴピン21は、保持板20の保持孔201にそれぞれ挿入されている。そして、プランジャ22のフランジ221が保持孔201の段差202に係止することで、プランジャ22の上限位置が制限されている。この上限位置において、プランジャ22の先端が保持孔201の上側の開口203から突出している。固定部23は、保持孔201の反対側の開口204に位置する後端部231と、当該後端部231から先端(上方)に向かって延在する軸部232と、を備えている。この軸部232がコイルスプリング24に挿入されており、プランジャ22のフランジ221と固定部23の後端部231との間にコイルスプリング24が介在している。DUT90が試験用キャリア1に収容されると、プランジャ22がDUT90のパッド91に接触して、コイルスプリング24の弾性力によってプランジャ22がパッド91を押圧し、DUT90はポゴピン21に保持される。
【0030】
また、この保持板20には、当該保持板20を貫通する4つの開口25が形成されている。それぞれの開口25は、DUT90の下面に矩形状に配列された複数のバンプ92の中で角部に位置しているバンプ92(以下単に「バンプ92’」とも称する。)に対向するように配置されている(図1、及び、図11(a)~図11(c)参照)。本実施形態では、試験用キャリア1の組立時に、このバンプ92’を、試験用キャリア1に対するDUT90の位置決めのための特徴点として利用する。
【0031】
インタポーザ30は、保持板20の下面に重ねられており、螺子締め等によって保持板20に固定されている。図4図6に示すように、このインタポーザ30は、内部端子31と、外部端子32と、配線パターン33と、を有している。
【0032】
内部端子31は、インタポーザ30の上面に設けられている。この内部端子31は、保持板20に保持されたポゴピン21に対向するようにピッチPで配列されており、当該ポゴピン21の固定部23がこの内部端子31に接触している。
【0033】
外部端子32は、インタポーザ30の下面に設けられており、試験用キャリア1の外部に露出している。この外部端子32は、DUT90の試験の際に試験装置のソケットのコンタクトピン(不図示)が電気的に接続される端子であり、内側端子31のピッチPよりも広いピッチP図3参照)で配列されている(P>P)。内側端子31と外側端子32は配線パターン33によって接続されている。
【0034】
また、図3に示すように、このインタポーザ30には、当該インタポーザ30を貫通する4つの開口34が形成されている。それぞれの開口34は、上述の保持板20の開口25と実質的に一致するように配置されている。従って、この開口25,34によって、キャリア本体10を直線状に貫通する第1の貫通孔11が形成されている。この第1の貫通孔11を介して、DUT90の一部(具体的にはバンプ92’)を外部から見ることが可能となっている。
【0035】
図8は本実施形態における試験用キャリアの変形例を示す断面図である。なお、図8に示すように、第1の貫通孔11に透明な閉塞部材13を挿入して当該第1の貫通孔11を閉塞してもよい。この透明な閉塞部材13を構成する材料の具体例としては、例えばポリカーボネート(PC)等の透明な樹脂やガラス等を例示することができる。閉塞部材13で第1の貫通孔11を閉塞することで、試験用キャリア1の内部空間が密閉され、当該内部空間の清浄度のクラスを低くすることができる。これにより、ハンドリングする環境が高い清浄度(Class5~6/クラス100~1000)を必要とするベアダイに近いデバイス或いはベアダイ自体を、清浄度が低い環境(Class7/クラス10000)にあるハンドラを使用して試験することができる。
【0036】
図2図6に戻り、筒状体40は、保持板20の上面に設けられており、螺子締め等によって保持板20に固定されている。この筒状体40は、DUT90の外形よりも大きな内孔41を持つ角筒形状を有しており、保持板20に保持されたDUT90の周囲を囲むことが可能となっている。この筒状体40の側面には、蓋部材60のラッチ70(後述)に対応するように凹部42が形成されている。この凹部42にラッチ70が係止することで、キャリア本体10に蓋部材60が着脱可能に固定される。
【0037】
また、この筒状体40の側面には、二次元バーコード50が貼り付けられている。この二次元バーコード50は、試験用キャリア1のID(Identification)を表しており、当該試験用キャリア1の個体を識別するために用いられる。本実施形態では、この二次元バーコード50は、後述のように、キャリア組立装置100によってDUT90を試験用キャリア1に対して位置決めする際に、個々の試験用キャリア1に固有の誤差を加味するために使用される。なお、試験用キャリア1のIDを表す手段は、試験用キャリア1の個体を識別可能な識別子であれば、二次元バーコードに特に限定されない。
【0038】
また、この二次元バーコード50の用途は、特に上記に限定されない。例えば、二次元バーコード50が、データベース上において試験用キャリア1の電気的な抵抗値と関連付けられていてもよい。或いは、二次元バーコード50が、データベース上においてDUT90自身や当該DUT90の試験結果と関連付けられてもよい。これにより、ユーザが、DUT90の試験に使用した試験用キャリア1を照合することができ、DUT90の良好なトレーサビリティ(デバイストラッキング)を確保することができる。また、不良のDUT90が特定の試験用キャリア1で頻発している場合には、当該試験用キャリア1自体の不良を把握することもできる。
【0039】
蓋部60は、板状の本体部61と、本体部61から下方に向かって凸状に突出するプッシャ62と、本体部61の両端から下方に向かって突出する一対のラッチ70と、を備えている。
【0040】
プッシャ62は、保持板20に保持されたDUT90の上面に接触して、当該DUT90を押圧する。なお、プッシャ62によるDUT90の押付量は、キャリア本体10の筒状体40が蓋部材60の本体部61に当接することで制限されており、この状態において、DUT90のパッド91に対するポゴピン21の押圧力が最適な値となるように設定されている。
【0041】
本体部61の略中央には、本体部61及びプッシャ62を貫通する第2の貫通孔63が形成されている。この第2の貫通孔63は、キャリア組立装置100(後述)によるDUT90の吸着保持に使用される。
【0042】
ラッチ70は、本体部61の両端でシャフト71によって回転可能に支持されており、下方に向かってそれぞれ延在している。それぞれのラッチ70は、特に図示しないバネによって、内側に向かって付勢されている。それぞれのラッチ70の先端には、内側に向かって突出する爪部72が設けられている。この爪部72がキャリア本体10の凹部42に係止することで、蓋部材60がキャリア本体10に固定される。
【0043】
次に、以上に説明した試験用キャリア1を組み立てるキャリア組立装置100の構成について、図9を参照しながら説明する。図9は本実施形態におけるキャリア組立装置の構成を示すブロック図である。
【0044】
本実施形態におけるキャリア組立装置100は、図9に示すように、第1の吸着保持部110と、第2の吸着保持部120と、減圧部130と、駆動部140と、カメラ150と、画像処理部160と、リーダ170と、制御部180と、記憶部190と、を備えている。
【0045】
第1の吸着保持部110は、減圧部130に接続されており、キャリア本体10を吸着保持することが可能となっている。第2の吸着保持部120も、減圧部130に接続されており、蓋部材60を吸着保持することが可能となっている。特に限定されないが、第1及び第2の吸着保持部110,120の具体例としては、例えば、吸着パッドを例示することができる。また、減圧部130としては、例えば、真空ポンプを例示することができる。
【0046】
本実施形態では、反転された状態でキャリア本体10が第1の吸着保持部110に保持されると共に、蓋部材60も反転された状態で第2の吸着保持部120に保持される。また、本実施形態では、蓋部材60上にDUT90が載置されており、当該DUT90は、蓋部材60の第2の貫通孔63を介して、第2の吸着保持部120によって蓋部材60と共に吸着保持されている。
【0047】
本実施形態では、第2の吸着保持部120に駆動部140が接続されている。この第2の吸着保持部120は、駆動部140が有するアクチュエータによって、XYZ方向に移動可能であると共にZ軸を中心としたθ方向の回転が可能となっており、第1の吸着保持部110に対して相対的に移動及び回転することが可能となっている。なお、第1の吸着保持部110が第2の吸着保持部120に対して移動可能であってもよいし、第1及び第2の吸着保持部110,120の両方が移動可能であってもよい。
【0048】
カメラ150は、第1の吸着保持部110によって保持されたキャリア本体10の第1の貫通孔11を介して、DUT90の一部を撮像する。具体的には、カメラ150は、キャリア本体10の第1の貫通孔11と、DUT90が有するバンプ92の中で角部に位置するバンプ92’と、を包含する画像を撮像する(図11(a)~図11(c)参照)。カメラ150によって取得された画像情報は、画像処理部160に送信される。
【0049】
画像処理部160は、この画像情報に対して画像処理を行うことで、第1の貫通孔11の中心12の位置を検出すると共に、バンプ92’の位置を検出することで、第1の貫通孔11の中心12に対するバンプ92’の相対位置を取得する(図11(a)~図11(c)参照)。なお、バンプ92’の相対位置の基準は、第1の貫通孔11に関する部位であれば、当該第1の貫通孔11の中心12に特に限定されない。
【0050】
また、試験用キャリア1に対するDUT90の位置決めのために画像処理部160によって取得されるDUT90の特徴点は、DUT90において特徴的な部分であれば、上述のバンプ92’に特に限定されない。特に図示しないが、例えば、位置決め用のアライメントマークをDUT90に形成しておき、このアライメントマークをDUT90の特徴点として利用してもよい。
【0051】
リーダ170は、第1の吸着保持部110によって保持されたキャリア本体10の二次元バーコード50を読み取るバーコードリーダである。このリーダ170によって読み取られたID情報は、制御部180に送信される。制御部180は、この試験用キャリア1のID情報に対応した補正値を記憶部190から読み出す。
【0052】
記憶部190には、試験キャリア1のIDにそれぞれ対応した複数の補正値を有する補正値テーブルが予め記憶されている。この補正値は、加工によって生じたポゴピン21に対する第1の貫通孔11の相対位置の誤差に対応した補正値であり、個々の試験用キャリア1に固有の値である。具体的には、この補正値は、以下のように求められる。すなわち、先ず、試験用キャリア1を実際に計測することで、ポゴピン21の中心に対する第1の貫通孔11の中心12の実際の相対位置(x、y)を求める(図1参照)。次いで、ポゴピン21の中心に対する第1の貫通孔11の中心12の設計上の相対位置(x,y)と実際の相対位置(x、y)との差(Δx,Δy)(=x-x、y-y)を求め、この差(Δx,Δy)を上述の補正値として設定する。補正値テーブルは、個々の試験用キャリア1のIDに対して当該試験用キャリア1の補正値が個別に対応付けられることで構成されている。なお、ポゴピン21の中心に対する第1の貫通孔11の中心12の設計上の相対位置(x,y)は、DUT90におけるパッド91の中心に対するバンプ92’の中心の相対位置に対応している(図1参照)。
【0053】
さらに、制御部180は、画像処理部160によって取得されたバンプ92’の相対位置と、上述の補正値とに基づいて、キャリア本体10に対してDUT90を位置決めするように、駆動部140を制御する。画像処理部160、制御部180、及び、記憶部190は、例えば、コンピュータによって実現することができる。
【0054】
以下に、このキャリア組立装置100を用いてDUT90を試験用キャリア1に収容する手順について、図10及び図11(a)~図11(c)を参照しながら説明する。
【0055】
図10は本実施形態における試験用キャリアの組立方法の工程図、図11(a)はアライメント前にカメラにより第1の貫通孔を介してDUTの下面を撮像した画像を示す図、図11(b)はアライメント中にカメラにより第1の貫通孔を介してDUTの下面を撮像した画像を示す図、図11(c)は、アライメント後にカメラにより第1の貫通孔を介してDUTの下面を撮像した画像を示す図である。
【0056】
先ず、図10のステップS10において、試験用キャリア1のキャリア本体10を反転させた状態で第1の吸着保持部110に吸着保持させる。同様に、図10のステップS20において、蓋部材60とDUT90を反転させた状態で第2の吸着保持部120に吸着保持させる。
【0057】
次いで、図10のステップS30において、駆動部140によって第2の吸着保持部120をZ軸方向に沿って上昇させて、DUT90のパッド91とキャリア本体10のポゴピン21を近接させる。特に限定されないが、例えば、この状態において、パッド91とポゴピン21との間の間隔は0.05mm程度である。
【0058】
次いで、図10のステップS40において、図11(a)に示すように、カメラ150によって第1の貫通孔11を介してDUT90の一部を撮像して、その画像情報を画像処理部160に送信する。画像処理部160は、この画像情報から、第1の貫通孔11の中心12に対するバンプ92’の中心の相対位置を取得する。画像処理部160は、このバンプ92’の相対位置を制御部180に送信する。
【0059】
次いで、図10のステップS50において、キャリア本体10に付与された二次元バーコード50をリーダ170によって読み取り、制御部180が、そのID情報に対応した補正値を記憶部190から読み出す。
【0060】
次いで、図10のステップS60において、制御部180は、画像処理部160によって取得されたバンプ92’の相対位置に基づいて、駆動部140を制御する。本実施形態では、制御部180は、バンプ92’の中心を第1の貫通孔11の中心12に一致させるように、駆動部140を制御する。駆動部140は、制御部180からの指示に従って第2の吸着保持部120をXY平面上で移動させ、これにより、DUT90のバンプ92’ の中心が第1の貫通孔11の中心12に位置する(図11(b)参照)。
【0061】
また、このステップS60において、制御部180は、記憶部190から読み出した補正値に基づいて駆動部140を制御する。駆動部140は、制御部180からの指示に従って第2の吸着保持部120をXY平面上でさらに移動させ、これにより、DUT90のバンプ92’ の中心が第1の貫通孔11の中心12から補正量(Δx,Δy)分だけ離れる(図11(c)参照)。これにより、個々の試験用キャリア1が有する誤差が加味されるので、パッド91がポゴピン21に対して高精度に位置決めされる。
【0062】
なお、実際には、このステップS60において、バンプ92’の相対位置に基づく駆動部140の制御と、補正値に基づく駆動部140の制御とが同時に実行される。また、ステップS60において、制御部180が、複数のバンプ92’の位置に基づいて、第2の吸着保持部120をθ方向に回転させるように駆動部140を制御してもよい。
【0063】
次いで、図10のステップS70において、駆動部140によって第2の吸着保持部120をZ軸方向に沿ってさらに上昇させて、キャリア本体10の筒状体40を蓋部材60の本体部61に当接させる。これにより、ポゴピン21によって最適な押圧力でDUT90のパッド91が押圧されると共に、ポゴピン21と蓋部材60によってDUT90が挟持される。また、駆動部140による第2の吸着保持部120の上昇に伴って、ラッチ70の爪部72が筒状体40の凹部42に係止して、蓋部材60がキャリア本体10に固定される。
【0064】
次いで、図10のステップS80において、搬送手段(不図示)によって試験用キャリア1を保持した状態で、第1及び第2の吸着保持部110,120の吸着が解除されて、試験用キャリア1へのDUT90の収容作業が完了する。
【0065】
以上のように、本実施形態では、キャリア本体10の第1の貫通孔11を介して外部からDUT90のバンプ92’を見ることができるので、キャリア組立装置100によってDUT90のパッド91を試験用キャリア1のポゴピン21に対して高精度に位置決めしてから、当該試験用キャリア1を介して試験装置によってDUT90を試験することができる。このため、当該DUT90の試験工程において、機械的な位置決め機構を有する既存の安価なハンドラを用いることが可能になると共に、同時側定数を顕著に増やすことができるので、ファインピッチのDUT90の試験工程のコスト低下を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、キャリア本体10の第1の貫通孔11に対するDUT90のバンプ92’の相対位置に基づいて、DUT90の端子91をキャリア本体10のポゴピン21に対して位置決めするので、ポゴピン21を撮像するカメラが不要であり、キャリア組立装置100の低コスト化を図ることもできる。
【0067】
さらに、本実施形態では、試験用キャリアがIDを示す二次元バーコード50を有しており、キャリア組立装置100が、そのID情報に基づいて、個々の試験用キャリア1に固有の誤差を加味して、DUT90の端子91をキャリア本体10のポゴピン21に対して位置決めする。このため、DUT90を試験用キャリア1に対して高精度に位置決めすることができる。
【0068】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0069】
例えば、上述の実施形態では、DUT90の具体例としてダイを例示したが、特にこれに限定されない。例えば、試験対象であるDUT90が、パッケージングされたデバイスであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…試験用キャリア
10…キャリア本体
11…第1の貫通孔
12…中心
13…閉塞部材
20…保持板
201…保持孔
202…段差
203,204…開口
21…ポゴピン
22…プランジャ
221…フランジ
23…固定部
231…後端部
232…軸部
24…コイルスプリング
25…開口
30…インタポーザ
31…内部端子
32…外部端子
33…配線パターン
34…開口
40…筒状体
41…内孔
42…凹部
50…二次元バーコード
60…蓋部材
61…本体部
62…プッシャ
63…第2の貫通孔
70…ラッチ
71…シャフト
72…爪部
90…DUT
91…パッド
92,92’…バンプ
100…キャリア組立装置
110…第1の吸着保持部
120…第2の吸着保持部
130…減圧部
140…駆動部
150…カメラ
160…画像処理部
170…リーダ
180…制御部
190…記憶部
図1
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