(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053011
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】履物踵支持装置
(51)【国際特許分類】
A43B 11/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A43B11/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017347
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2021547196の分割
【原出願日】2020-01-24
(31)【優先権主張番号】62/805,037
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キルゴア,エリザベス エー.
(72)【発明者】
【氏名】オーランド,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】オーウィングス,アンドリュー エー.
(57)【要約】
【課題】足を入れるのを容易にした履物製品を提供する。
【解決手段】履物製品は、踵領域を備える足受入キャビティを画定するアッパーと、踵領域の後部の周囲に外側側部から内側側部に延びる踵支持装置とを含む。踵支持装置は、複数のスラット及びベースを含み得、複数のスラットは、長さ及び/又は幅の漸進的勾配、及び/又は、履物アッパーへの取り付けのために装置から延びる1つ以上のペグ、及び/又は、アッパーの踵カラーの延長部のキャビティ内に配置され得る引き伸ばされたチップを提供する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物製品に足を入れるのを容易にするための装置であって:
制御バー及び前記制御バーの下にあるベース;を有し、
前記制御バーは、複数のスラットを含み、前記複数のスラットは、最上部スラットと、前記最上部スラットより前記ベースに近い最下部スラットと、前記最上部スラットと前記最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み;
前記複数のスラットの各スラットは:
中央セグメントと;
前記中央セグメントから前記ベースの内側側部に接続された内側端部に延びる内側アームと;
前記中央セグメントから前記ベースの外側側部に接続された外側端部に延びる外側アームと;を有し、
前記複数のスラットの前記中央セグメントは、前記最下部スラットから前記最上部スラットに幅が漸進的に増加し、前記少なくとも1つの中間スラットの前記中央セグメントは、前記最下部スラットの前記中央セグメントより幅が広く、前記最上部スラットの前記中央セグメントは、前記少なくとも1つの中間スラットの前記中央セグメントより幅が広く;
前記制御バーは、除荷位置と、少なくとも1つの中央セグメントが前記除荷位置より前記ベースに近い荷重位置との間で弾性的に曲げることができる、
装置。
【請求項2】
前記複数のスラットの前記内側アームは、前記最下部スラットから前記最上部スラットに幅が漸進的に増加する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のスラットの前記外側アームは、前記最下部スラットから前記最上部スラットに幅が漸進的に増加する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記最上部スラットの前記中央セグメントは、引き伸ばされたチップを有し、
前記引き伸ばされたチップの上面が、前方及び下方に増加する傾斜を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内側アーム及び前記外側アームから離れる方向に前記複数のスラットのうちの1つの前記中央セグメントから延びるペグをさらに有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ペグは、前記最下部スラットから延びる、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ペグは、前記中央セグメントの厚い領域から外側に延びる、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ペグは第1のペグであり、さらに:
前記ベースの後部から外側に延びる第2のペグを有する、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ベースの内側側部から延びる第3のペグと;
前記ベースの外側側部から延びる第4のペグと;をさらに有する、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ベースは、前記ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、前記ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含み、
前記比較的薄い部分は、前記ベースの後部の中央において、前記比較的厚い部分より高い高さを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記比較的厚い部分は、前記ベースの内側側部及び外側側部において、前記比較的薄い部分より高い高さを有する、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
履物製品であって:
踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーであって、前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し、前記アッパーは、内側層と外側層とを含み、前記内側層及び前記外側層は内部キャビティを画定する、アッパーと;
踵領域の後部の周囲に延び、制御バー及びベースを含む踵支持装置であって、前記制御バー及び前記ベースの両方は、前記内部キャビティ内にある、踵支持装置;とを有し、
前記制御バーは、複数のスラットを含み、前記複数のスラットは、最上部スラットと、前記最上部スラットより前記ベースに近い最下部スラットと、前記最上部スラットと前記最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み;
前記複数のスラットの各スラットは:
中央セグメントと;
前記中央セグメントから前記ベースの内側側部に接続された内側端部に延びる内側アームと;
前記中央セグメントから前記ベースの外側側部に接続された外側端部に延びる外側アームと;を有し、
前記制御バーは、除荷位置と、少なくとも1つの中央セグメントが前記除荷位置より前記ベースに近い荷重位置との間で弾性的に曲げることができる、
履物製品。
【請求項13】
前記複数のスラットの前記中央セグメントは、前記最下部スラットから前記最上部スラットに幅が漸進的に増加する、
請求項12に記載の履物製品。
【請求項14】
前記複数のスラットのうちの1つのスラットの前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含む、
請求項13に記載の履物製品。
【請求項15】
前記アッパーは、前記踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有し;
前記最上部スラットの前記中央セグメントは、前記引き伸ばされたチップを有し;
前記引き伸ばされたチップは、前記踵カラーの前記テーパ状延長部において前記内部キャビティ内に配置される、
請求項14に記載の履物製品。
【請求項16】
前記引き伸ばされたチップの上面が、前記足受入キャビティに向かって下向き且つ内向きに傾斜する、
請求項15に記載の履物製品。
【請求項17】
前記ベースは、前記ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、前記ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含み、
前記アッパーは、前記ベースの前記比較的薄い部分に縫い付けられる又は接着される、
請求項13に記載の履物製品。
【請求項18】
前記踵支持装置は、前記アッパーの開口部を通って延び、前記アッパーの表面で固定されるペグを含む、
請求項13に記載の履物製品。
【請求項19】
履物製品に足を入れるのを容易にするための装置であって:
制御バー及び前記制御バーの下にあるベース;を有し、
前記制御バーは、複数のスラットを含み、前記複数のスラットは、最上部スラットと、前記最上部スラットより前記ベースに近い最下部スラットと、前記最上部スラットと前記最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み;
前記複数のスラットの各スラットは:
中央セグメントと;
前記中央セグメントから前記ベースの内側側部に接続された内側端部に延びる内側アームと;
前記中央セグメントから前記ベースの外側側部に接続された外側端部に延びる外側アームと;を有し、
前記複数のスラットの前記中央セグメントは、前記最下部スラットから前記最上部スラットに幅が漸進的に増加し;
前記制御バーは、除荷位置と、少なくとも1つの中央セグメントが前記除荷位置より前記ベースに近い荷重位置との間で弾性的に曲げることができ;
前記ベースは、前記ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、前記ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含み、
前記比較的薄い部分は、前記ベースの後部の中央において、前記比較的厚い部分より高い高さを有する、
装置。
【請求項20】
前記比較的厚い部分は、前記ベースの内側側部及び外側側部において、前記比較的薄い部分より高い高さを有する、
請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月13日に出願された米国仮出願第62/805,037号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により援用される。
【0002】
本開示は、概して、足の進入を容易にするように構成された踵支持装置を備える履物製品に関する。
【背景技術】
【0003】
伝統的に、履物を足に置くことは、履物のアッパーの足首開口を伸ばし、足の挿入中に後部を保持するために、特に、比較的柔軟なアッパー及び/又は足首開口の後方に可撓性の織物に固定されたヒールカウンターを有さないアッパーの場合に、片手又は両手の使用を必要とすることが多い。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書に説明された図面は、例示のみを目的としており、本質的に概略的であり、本開示の範囲を限定することではなく、例示することを意図している。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【
図8】
図1の踵支持装置が使用位置にある履物製品の外側側面図である。
【0013】
【
図9】踵支持装置がアクセス位置にある
図8の履物製品の外側側面図である。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【
図14】
図10の踵支持装置がアクセス位置にある履物製品の外側側面図である。
【0019】
【
図15】踵支持装置が使用位置にある
図14の履物製品の外側側面図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【
図23】
図18の踵支持装置がアクセス位置にある履物製品の外側側面図である。
【0028】
【
図24】踵支持装置が使用位置にある
図23の履物製品の外側側面図である。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書では、手を使わない方法で比較的容易な足の出し入れを可能にする種々の踵支持装置及び踵支持装置を有する履物製品が開示される。一例では、履物製品は、アッパー及び踵支持装置を含み得る。アッパーは、踵領域を有する足受入キャビティを画定し得る。踵支持装置は、アッパーの後部に配置され得、踵領域の後部の周囲に延び(広がり)得る。例えば、踵支持装置は、アッパーの後部に配置され得、アッパーの後方部分の位置に固定され得る、又はその両方であり得る。踵支持装置は、複数のスラット(slats)及びベースを含み得る。各スラットは、中央セグメントと、中央セグメントからベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有し得る。各スラットは、ベースに向かって除荷位置(unloaded position)から荷重位置(loaded position)に押し下げられるときに、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ得る。中央セグメントは、荷重位置においてよりも除荷位置においてベースからさらに離間され得る。複数のスラットは、最上部スラットと、最上部スラットよりベースに近い最下部スラットと、最上部スラットと最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み得る。複数のスラットは、最下部スラットから最上部スラットまでの幅の漸進的勾配(progressive gradient)を含み得る。加えて、いくつかの例示的な踵支持装置では、複数のスラットは、最下部スラットから最上部スラットまでの長さの漸進的勾配を含み得る。例えば、最下部スラットは、少なくとも1つの中間スラットよりも短く且つ薄くなり得、少なくとも1つの中間スラットは、最上部スラットよりも短く且つ薄くなり得る。各スラットは、下向きの荷重が中央セグメントに加えられるとき、一端で固定され、中央セグメントで自由になる梁と同様に振る舞う(act)と考えられ得る。このようなスラットの中央セグメントへの所与の下向きに加えられた荷重に対して、下向きのたわみは、より短いスラットに対してよりもより長いスラットに対してより大きく、より広いスラットに対してよりもより狭いスラットに対してより大きく(例えば、長さは、スラットの長手方向中心軸に沿って測定され、厚さは、スラットの長手方向中心軸に垂直に測定される)、より狭いスラットの断面積は、より広いスラットの断面積より小さいと仮定する。従って、幅の漸進的勾配、長さの漸進的勾配、又はその両方を有する複数のスラットを備える装置を構成することは、各スラットが、所与の荷重の下で、同様の量たわむ傾向があることを可能にし得る。
【0034】
本開示の一態様では、踵支持装置は、アッパーの開口部を通って延び、アッパーの表面で固定されるペグを含み得る。例えば、開口部の外側に延びるペグの一部は、高周波溶接によって又は他の方法で、アッパーの外面に固定され得る。いくつかの実施形態では、アッパーは、内側層及び外側層を含み得る。開口部は、外側層を通って延び得る。踵支持装置は、内側層と外側層との間に配置され得る。一例では、ペグは、複数のスラットの最下部スラットの中央セグメントから外側に延び、複数のスラットから外側に延びる唯一のペグであり得る。スラットの最下部のものは最も薄いスラットであるので、ペグがより大きい直径を有することを可能にするために、ペグが延びるスラットの最下部のものの中央セグメントは、そこからペグが延びる厚い領域を有し得る。他の例では、ペグは、スラットの異なるものの中央セグメントから外側に延び得る及び/又は1つ以上の追加のペグが、ベースの後部ろから又はベースの側部から外側に延び得る。
【0035】
本開示の別の態様では、複数のスラットのうちの1つのスラットの中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップ(elongated tip)を含み得る。引き伸ばされたチップは、下向きの力を加え、アッパーの足受入キャビティ内に移動する間にその上に足が載り(rest)得る表面積を増加させるのに役立つ。例えば、引き伸ばされたチップは、複数のスラットの最上部スラットから延び得る。いくつかの実装では、アッパーは、引き伸ばされたチップを受けるように構成される。例えば、アッパーは、足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し得る。アッパーは、踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有し得る。踵カラーのテーパ状延長部は、引き伸ばされたチップに重なり得る。踵カラーのテーパ状延長部は、内部キャビティを形成し得、引き伸ばされたチップは、踵カラーのテーパ状延長部の内部キャビティ内に配置され得る。引き伸ばされたチップの上面は、足受入キャビティに向かって下向き且つ内向きに傾斜し得る。いくつかの実施形態では、引き伸ばされたチップの上面の傾斜は、履物製品の長手方向正中線(longitudinal midline)に沿って前方方向に増加し得、ランプ(傾斜)(ramp)を提供する。これは、足を足受入キャビティに入れるのを容易にするのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、中央セグメントの外周は、引き伸ばされたチップにおいて不連続点(discontinuity point)を有し得る。言い換えると、外周は、引き伸ばされたチップにおいて外向きに曲がる(angles)。例えば、引き伸ばされたチップの両側に不連続点があり得る。引き伸ばされたチップの位置は、外周に不連続のない中央セグメントと比較して、不連続点(複数可)のため、上からより容易に決定され、踵支持装置の押し下げ及び足受入キャビティ内への足の挿入の間に、足の踵が、引き伸ばされたチップと位置合わせされ得、かつ、引き伸ばされたチップ上に載り得ることの使いやすさを向上させる。
【0036】
別の態様では、踵支持装置は、製造中の踵支持装置へのアッパーの容易且つ正確な固定を可能にするように構成され得る。例えば、踵支持装置のベースは、ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含み得る。アッパーは、ベースの比較的薄い部分に縫い合わされ得る又は接着され得る。その相対的な薄さのために、縫針は、アッパーから踵支持装置への縫製中に比較的薄い部分をより容易に貫通し得る。加えて、比較的薄い部分の境界は、ベースのより厚い部分とのコントラストのために容易に明らかになり得、縫い合わせ又は接着プロセスの間に比較的薄い部分に対するアッパーの正確な位置合わせ及び配置を容易にする。
【0037】
構成において、履物製品は、アッパー及び踵支持装置を含み得る。アッパーは、踵領域を有する足受入キャビティを画定し得、アッパーは、足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し得、アッパーは、踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有し得る。踵支持装置は、踵領域の後部の周囲に広がり得、制御バーとベースとを含み得る。制御バーは、中央セグメントと、中央セグメントからベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有し得る。制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ得、除荷位置から荷重位置までベースに向かって押し下げることができ得る。中央セグメントは、荷重位置においてよりも除荷位置においてベースからさらに離間され得る。中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含み得る。踵カラーのテーパ状延長部は、引き伸ばされたチップに重なり得る。踵カラーのテーパ状延長部は、内部キャビティを形成し得、引き伸ばされたチップは、踵カラーのテーパ状延長部の内部キャビティ内に配置され得る。例えば、テーパ状延長部は、内部キャビティが引き伸ばされたチップの形状及び寸法と密接に一致するように構成、成形、及び寸法決定され得、テーパ状延長部は、踵支持装置の引き伸ばされたチップの周りのアッパーに密着するのを助けるポケットとして機能する。
【0038】
構成において、履物製品は、アッパー及び踵支持装置を含み得る。アッパーは、踵領域を有する足受入キャビティを画定し得、アッパーは、足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し得る。踵支持装置は、踵領域の後部の周囲に広がり得、制御バーとベースとを含み得る。制御バーは、中央セグメントと、中央セグメントからベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有し得る。制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ得、除荷位置から荷重位置までベースに向かって押し下げることができ得る。中央セグメントは、荷重位置よりも除荷位置でベースからさらに離間され得る。中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含み得る。アッパーは、アーム及び引き伸ばされたチップの少なくとも1つに重なり得る。幾つかの実装形態では、アッパーは、アーム及び引き伸ばされたチップのそれぞれに重なり得る。
【0039】
図面を参照すると、同様の参照番号は、図面全体を通じて同様のコンポーネントを指し、踵支持装置の実施形態は、履物製品への足の侵入を潜在的にハンズフリー方式で促進するのに有利な種々の特徴を有するように示されている。
図1は、複数のスラット12及びベース14を含む踵支持装置10を示す。スラット12は、本明細書では、まとめて制御バーと呼ぶこともできる。本明細書に開示される踵支持装置のいくつかの実施形態では、制御バーと称され得る単一のスラットのみが存在してもよい。装置10は、複数のスラット12の各スラットと、内側16から外側18へ装置10の後部20のまわりに延びる連続アーク(continuous arc)として構成されたベース14とを備える、一体の単一のワンピースのコンポーネントとして示されている。
【0040】
装置10の材料は、上述したように、荷重位置又はアクセス位置に弾性曲げによって弾性変形し、装置10をストレスのない位置(除荷位置、ストレスのない位置、又は使用位置と呼ばれる)に戻す弾性エネルギなどのポテンシャルエネルギを貯蔵する能力を提供するように選択される。装置10のための例示的な材料は、プラスチック(熱可塑性プラスチックなど)、複合材料、及びナイロンを含む。装置10のための例示的な材料は、米国ペンシルベニア州King of PrussiaのArkema, Inc.から入手可能なPEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミドである。装置10のための別の例示的な材料は、ガラス繊維強化ポリアミドである。ガラス繊維強化ポリアミドの例としては、米国ペンシルベニア州King of PrussiaのArkema, Inc.から入手可能なRISLAN(登録商標)BZM 7 0 TLがある。このようなガラス繊維強化ポリアミドは、ISO 1183試験法での1.07グラム/立方センチメートルの密度、ISO 868試験法でのショアーDスケールでの75の瞬間硬度(instantaneous hardness)、ISO 527試験法での1800MPa引張弾性率(tensile modulus)(相対湿度50%、23℃で15日間コンディショニングされた試料)、ISO 178試験法での1500Mpaの曲げ弾性率(相対湿度50%、23℃で15日間コンディショニングした試料)を有し得る。装置10のための別の例示的な材料は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP200F又はRTP201Fのような、ナイロン12(ガラス繊維有り又は無し)である。装置10のための別の例示的な材料は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP2300又はRTP2301のような硬質熱可塑性ポリウレタン(ガラス繊維有り又は無し)である。装置のためのさらに別の例は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP800又はRTP801などのアセタール(ポリオキシメチレン(POM))(ガラス繊維有り又は無し)である。上記に具体的に命名された材料は、例としてのみ意図されるものであり、排他的リストとして意図されるものではなく、提供された説明全体と組み合わせて、本明細書に開示された1つ以上の構造的実施形態に従って形成されたときに有用であり得る類似の特性を有する代替的な材料に関して、当業者に知らせる。
【0041】
図1に示すように、複数のスラット12は、最上部スラット12A、第1の中間スラット12B、第2の中間スラット12C、及び最下部スラット12Dを含む合計4つのスラットを含む。第1の中間スラット12Bは、最上部スラット12Aと第2の中間スラット12Cとの間に配置される。第2の中間スラット12Cは、第1の中間スラット12Bと最下部スラット12Dとの間に配置される。本開示の範囲内では、複数のスラット12は、合計3つのスラットに対して中間スラット12B又は12Cのうちの1つのみを含むことができ、又は合計4つより多いスラットに対して2より多い中間スラットを含むことができる。
【0042】
各スラット12A~12Dは、中央セグメント22と、中央セグメント22からベース14へ下方に且つ前方に延びる内側アーム24と、中央セグメント22からベース14へ下方に且つ前方に延びる外側アーム26とを有する。単一のスラットのみ又は複数のスラットを含む本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、各スラットは、中央セグメントからベースに延びる内側アームのみ又は外側アームのみを含んでもよい。内側アーム24及び外側アーム26の下端は、アーム24、26が、本明細書に記載されているように、ベース14へのそれらの接続部近傍で弾性曲げ可能な接合部として機能するように、ベース14と一体的に形成される。
図1に示された除荷位置(使用位置とも呼ばれる)では、隣接するスラットは、スロット21(例えば、エアギャップ)によって互いに分離される。
【0043】
最下部スラット12Dの中央セグメント22Dは、最上部スラット12Aの中央セグメント22Aよりもベース14に近く、また、第1及び第2の中間スラット12B及び12Cの中央セグメント22B及び22Cよりもベース14に近く配置される。本明細書でさらに説明するように、複数のスラット12が、履物製品に入る足の力のような力によってベース14に向かって下方に押し下げられると、スラットの各々は、ベース14に向かって弾性的に曲がり、隣接するスラット12は、中央セグメント22において互いに接触するようになり得る。
図9に示される荷重位置にあるとき、スロット21は閉じ、隣接するスラット12は、中央セグメント22において互いに接触する。
【0044】
複数のスラット12は、最下部スラット12Dから最上部スラット12Aに幅及び長さの漸進的勾配を含む。言い換えると、
図1及び
図2を参照すると、スラット12の厚さ及び長さは、最下部スラット12Dから最上部スラット12Aにスラット12の進行の順に増加する。最下部スラット12Dは、最小の厚さT4及び最短の長さL4を有する。第2の中間スラット12Cは、厚さT4より大きい厚さT3と、長さL4より長い長さL3とを有する。第1の中間スラット12Bは、厚さT3より大きい厚さT2と、長さL3より長い長さL2とを有する。最上部スラット12Aは、厚さT2より大きい厚さT1と、長さL2より長い長さL1とを有する。1つの非限定的な例では、厚さT1は5mmであり得、厚さT2は4.5mmであり得、厚さT3は4mmであり得、厚さT4は2.5mmであり得る。非限定的な例では、スラットの幅の範囲は、論じられた進行のオーダーで1.5mm~6.5mmであり得る。ビーム状物体(スラット12A、12B、12D、及び12Dのいずれかなど)の曲げモーメントは、その厚さ及びその長さ(例えば、厚さはスラットの長手方向軸に垂直に測定され、長さはスラットの長手方向軸に沿って測定される)に比例するため、装置10を複数のスラット12で構成することにより、最上部スラット12Aの上部から最下部スラット12Dの下部まで延びる厚さを有する単一の厚いスラットを使用する場合よりも、より低い力で曲げることができる。各スラット12A、12B、12C、及び12Dは、加えられる荷重(例えば、
図9における力F)の下で曲げられ、その個々の厚さ及び長さに比例してたわむ(より厚いスラットは、同じ長さのより薄いスラットよりも、所与の荷重の下でより少なくたわみ、より長いスラットは、同じ厚さのより短いスラットよりも、所与の荷重の下でより多くたわむ)。従って、各スラットは、より大きい全体の厚さの単一のスラットよりも、より小さい力の下で所与の量たわむ。スラット12A、12B、12C、及び12Dは、最上部スラット12Aに下向き荷重が加えられるとき、中央セグメント22において互いに接触する。しかしながら、スラット12A、12B、12C、及び12Dは、所望の量のたわみに対する曲げ力の要求が単一のワイドスラットの例のものまで増加しないようにそれらが接触するところで互いにスライドする(例えば、それらは各々、1つの大きなビームではなく、別個のビームとして作用する)。
【0045】
図2に明らかなように、スラット12A、12B、12C、及び12Dは、最下部スラット12Dから最上部スラット12Aに長さが増加し、ここで、長さは、ベース14におけるそれぞれの内側アーム24の端部からベース14におけるそれぞれの外側アーム26の端部まで測定される。最下部スラット12Dは、最下部スラット12Dがベース14により近く、その端部が隣接する中間スラット12Cの端部の後方に位置し、中央セグメント22が比較的垂直に積み重ねられているので、隣接する中間スラット12Cよりも短い。同様に、第2の中間スラット12Cは、中間スラット12Bよりも短く、第1の中間スラット12Bは、最上部スラット12Aよりも短い。したがって、最下部スラット12Dは中間スラット12Cよりも短くて薄く、この中間スラット12Cは中間スラット12Bよりも短くて薄く、この中間スラット12B、最上部スラット12Aよりも短くて薄い。
【0046】
図3及び
図4に最も良く示されているように、各スラットは、中央セグメント22よりも、それぞれの内側アーム24(
図3)の端部及びそれぞれの外側アーム26(
図4)の端部(例えば、ベース14の近く)で厚い。言い換えると、各スラットは、その長さに沿って厚さが変化し、中央セグメント22では最小厚さ、内側アーム24及び外側アーム26の端部では最大厚さである。加えて、端部における内側アーム24及び外側アーム26の各々の断面積は、各断面積がそれぞれのスラット12A、12B、12C、又は12Dの長さ(例えば、長手方向の中心軸)に垂直に取られるところの中央セグメント22の断面積よりも大きい。最上部スラット12Aは、その端部において厚さT1よりも大きい厚さT1Aを有する。例えば、厚さT1Aは、厚さT1よりも1mm大きくなり得る。中間スラット12Bは、その端部において厚さT2よりも大きい厚さT2Aを有する。例えば、厚さT2Aは、厚さT2よりも1mm大きくなり得る。中間スラット12Cは、その端部において厚さT3よりも大きい厚さT3Aを有する。例えば、厚さT3Aは、厚さT3よりも1mm大きくなり得る。最下部スラット12Dは、その端部において厚さT4よりも大きい厚さT4Aを有する。例えば、厚さT4Aは、厚さT4よりも1mm大きくなり得る。加えて、端部における厚さは、T4A、T3A、T2A、T1Aの順で増加し、T4Aが最も薄く、T1Aが最も厚い。中央セグメント22がアクセス位置(
図9に示されている)に押し下げられたときに、ベース14に最も近い内側アーム24及び外側アーム26の部分が最も急激な曲げを受けるので、これらの部分を中央セグメント22よりも厚くする(及び中央セグメントよりも対応するより大きい断面積を有する)ことによって、これらの部分における応力は、薄いアームと比較して、低減される。
【0047】
図5は、踵支持装置10の背面図である。踵支持装置10の図から明らかなように、ベース14は、ベース14の最も上の範囲30に隣接する比較的厚い部分14Aと、ベース14の最も下の範囲32に隣接する比較的薄い部分14Bとを含む。比較的薄い部分14Bは、比較的薄い部分14Bを通ってベースにアッパーの下方の範囲を縫う(例えば、縫い合わせる)ことによって、装置10が履物アッパーに固定されるのを可能にするために十分薄い。代替的に又は加えて、ベース14をアッパーに接着され得る。幾つかの構成では、ベース14は、ミッドソールになど、履物アッパーの下にあるソール構造に縫い付けられ得る及び/又は接着され得る。比較的厚い部分14A及び比較的薄い部分14Bを有するベース14を有する踵支持部(踵支持装置110のような)が、
図14のように履物製品140のアッパー42内に固定されている場合、比較的薄い部分14Bは、足の裏の外方にあり、比較的厚い部分14Aよりも足の裏に近いので、比較的太い部分よりも高い柔軟性のために、より高い快適性を提供し得る。様々な実施形態では、装置は、アッパーの後部に配置され得る又は後部にあり得る。いくつかの実施形態では、装置10は、アッパーの最も外側の層の外面でアッパーに固定され得る。例えば、装置10の内側34(
図1及び
図6に示す)は、アッパーの外側層の外面に配置され得る。代替的には、装置10は、装置10の内側34がアッパーの内側層の外側表面に固定され、装置10の外側36の外方のアッパーの外側層(
図1及び
図5に示される)を有して、装置がほとんど又は完全に覆われ、履物の外側から見ることができないように、アッパーの層の間(例えば、アッパー内)に配置され得る。
図7は、装置10の底面図である。
【0048】
図8は、履物製品40を示しており、踵支持装置10は、使用位置とも呼ばれる、除荷位置にある。踵支持装置10は、履物アッパー42の内側層54の後部41に固定され、履物製品40の踵領域44の後部43の周囲に外側側部18(図示)から装置10の内側側部16が配置された内側側部に広がる(extends)。履物製品40はまた、中足部(midfoot)領域46及び前足部(forefoot)領域48を含む。装置10及びアッパー42は、下にあるソール構造45に固定される。アッパー42は、踵領域44、中足部領域46、及び前足部領域48に延在し、ソール構造45の上に足受入キャビティ50を形成する。アッパー42は、踵カラー51と、足受入キャビティ50と連通し、それを通って足60(
図9参照)が挿入され得る踵カラー51の開口52とを有する。踵支持装置10は、アッパー42の内側層54(隠線で表される)と外側層56との間に配置されるので、隠線で示される。代替的には、装置10は、いくつかの実施形態では、履物40上(例えば、履物の外側)で見ることができるように、外側層56の外側に固定され得る。
【0049】
図9に示すように、複数のスラット12は、
図8の除荷位置から、アクセス位置とも呼ばれる
図9の荷重位置に、加えられた力Fの下で押し下げることができる。中央セグメント22における最上部スラット12A上の足60の加えられる力F(例えば、アッパー42を通る)の下で、スラット12A~12Dは、中央セグメント22が除荷位置よりもベース14に近づくように押し下げられる。アッパー42は、足首開口52が使用位置よりも大きい範囲に(例えば、上から及び後部から)開口するように、足首開口52の後部で装置10によって下方に引っ張られ、足60がより容易に足受入キャビティ50に入ることを可能にする。例えば、足首開口52を伸ばす又は開くための手又は他のツールの使用が回避され得る。アッパー42が伸張可能な材料である場合、足首開口52は、使用位置よりもアクセス位置においてより大きくなり得る。各スラット12A~12Dは、複数のスラット12がベース14に向かって押し下げられるとき、
図8の除荷位置と
図9の荷重位置との間で弾性的に曲がる。足60が入ることを完了すると、スラット12A~12Dの内部バイアス力(internal biasing forces)が装置10を除荷位置に戻し、スラット12A~12Dを曲げるように足60によって蓄えられたエネルギ入力を解放する。装置10及びアッパー42の後部は、除荷位置に戻る際、足60の踵部の後部の上に上方に滑る。
【0050】
いくつかの実施形態では、踵支持装置は、アッパーの開口部を貫通して延び、アッパーの表面で固定される少なくとも1つのペグを含み得る。例えば、
図10を参照すると、踵支持装置110が、最下部スラット12Dの中央セグメント22から延びる単一のペグ62のみを含むことを除いて、踵支持装置10に対して全ての点で同様である踵支持装置110が示されている。
図11は、最下部スラット12D上の単一のペグ62の位置を最も良く示す。最下部スラット12Dの中央セグメント22の一部は、ペグ62がそこから延びる厚くなった(thickened)領域64を有する。厚くなった領域64は、ペグ62がそこから延びる最下部スラット12Dの部分が、最下部スラット12Dの中央セグメント22の隣接部分と同じくらいに薄い場合に可能となるよりも大きい直径のペグ62の使用を可能にする。例えば、隣接する部分は、約2.5mmの厚さT4を有することができるが、厚くなった領域64は、ペグ62が4mmの直径を有することを可能にし得る。
図12及び13は、装置110の外側側面図及び内側側面図を示す。
【0051】
図14及び15は、履物製品140のアッパー42に取り付けられたときの装置110を示す。ペグ62は、アッパー42の開口部(aperture)61を通って延び、アッパー42の外側表面63に溶接される(例えば、高周波溶接によって)。ペグ62の構造、並びにペグ62をアッパー42に溶接するための履物140の製造方法は、参照によりその全体が援用される2019年11月20日に出願された、所有者が共通の同時継続中の米国特許出願第16/689,590号に記載されているとおりである。開口部61は、外側層56を通って延びており、ペグ62が部分的に溶融してアッパー42の外側表面63に溶接するときに形成されるペグ62の拡大ヘッド(enlarged head)によって覆われる。ペグ62は、最下部スラット12Dから延びているので、ペグが外側層に溶接されると、ペグはアッパー42の外側層56を最下部スラット12Dに固定する。外側層56及び内側層54は、反転された継ぎ目(inverted seam)で縫い合わせることによりなど、装置110の上の足首開口52で互いに接合される。
【0052】
装置110が、
図14に示されるように、足60の力Fの下で押し下げられると(例えば、足60の加えられた荷重の下で)、足60は、足60が足入れ中に内側層54に接触し、内側層54に対してスライドするときに、内側層54に下向きの引っ張りを与える。ペグ62は、最下部スラット12Dの中心で外側層56のアンカーポイントとして作用し、内側層54は、外側層56に固定されるので、内側層54上の摺動する足60の内方への引張りは、ペグ62に伝達され、ペグ62と内側層54との間に延びる外側層56の一部は、矢印F1によって
図14に示すように、最上部スラット12Aの上部の上に且つ内側層54とともに下向きの方向に引っ張られる。スラット12A~12Dは、いったんスロット21が閉じると、力Fによる装置10の押し下げの間に互いに対して前後方向にスライドするので、最下部のペグ62から内側層54へ上げて超える(up and over)アッパー42の引っ張りは、スラット12A~12Dの全てを互いに対する横方向の傾き(side-to-side tipping)がほとんど又は全くないユニットとして動かし続けるのを助ける。対照的に、ペグ62が装置110上の唯一のペグであるが、最下部スラット12Dではなく中間スラット12C(又はスラット12A又は12Bのいずれか1つ)から延びる場合、最下部スラット12Dは、ペグ62におけるアッパー42のアンカーポイントより下にあるので、足60によって生成されるアッパー42の引張力を受けなくなり得る。これにより、スラット12Dは、このような実施形態では、押し下げ及び足入れの間に、他のスラット12A、12B、及び12Cに対して横方向の動きに対してより敏感になる。
【0053】
他の実施形態では、踵支持装置から延びる2つ以上のペグ62があってもよい。本明細書に示され説明されているような踵支持装置から延びる少なくとも2つの離間したペグ62を設けることは、製造中に踵支持装置の履物アッパーに対する正確な位置決めを可能にし、そこでは履物アッパーは、複数のペグ62と同じ相対的間隔で配置された同数の開口部を有するように構成される。例えば、
図16は、追加のペグ62がベース14の後部から外側に延びることを除いて、全ての点で踵支持装置110と同様である踵支持装置210の実施形態を示す。この下部ペグ62がアッパー42の対応する開口部を通って延び、外側層56の外側表面63に溶接されるとき、それは、アッパーのベース14への縫い合わせ又は接着に加えて、アッパー42の外側層56をベース14に固定するのに役立つ。
図17は、トータル又は4つのペグ62のために3つの追加のペグが追加されることを除いて、踵支持装置110に対する全ての態様において同様である踵支持装置310の実施形態を示す。最下部スラット12Dから延びるペグ62及びベース14の後部から延びるペグ62に加えて、ペグ62は内側側部16においてベース14から延び、ペグ62は外側側部18においてベース14から延びる。最下部スラット12Dに1つのペグ62、ベース14の後部に1つのペグ62、ベース14の内側側部に1つのペグ62、ベース14の外側側部18に1つのペグ62を有する4つのペグ62を設けることによって、4つのペグ62は、それらのすべてが同一平面上にあるわけではない、4つの離間された位置の第1の配置で離間される。これは、装置310が、2つ又は3つのペグのみを有する装置よりも短い時間で、製造中に、同じ第1の配置で離間された4つの開口部を有するアッパーに対してより正確に位置決めされることができるか、又はかかるアッパーに対してより正確に位置決めされることができる。
【0054】
幾つかの踵支持装置は、足入れの容易さをさらに高めるために、最上部スラットの中央セグメントから後方に延びる引き伸ばされたチップを含み得る。
図18は、最上部スラット12Aの中央セグメント22が、中央セグメント22から後方に延びる引き伸ばされたチップ70を含むことを除いて、踵支持装置10に対するすべての態様において同様の踵支持装置410を示す。引き伸ばされたチップ70の上面72は、踵支持装置410が、
図24に示すように履物製品440のアッパー42の後部の所定の位置に配置され、その位置に固定されるとき、足受入キャビティ50に向かう方向に下向き且つ内向きに傾斜する。この下向き且つ内向きの傾斜は、足60を
図23の足受入キャビティ50に導く足60のためのランプ(ramp)を提供する。
図18では、上面72は、そこで上面72の傾斜が前方方向(例えば、装置10の後部20から前部74に向かう方向)に増加し、装置410が固定される履物製品440の長手方向正中線LMに沿って取られる不連続点P1を有してもよい(
図23及び25参照)。例えば、点P1の後方の表面72の傾斜は一定であるが(例えば、不連続点P1の後方の表面72の部分は平坦である)、不連続点P1の前方の表面72の部分72Aの傾斜は非線形である。表面72の傾斜のこの変化は、引き伸ばされたチップ70のランプ(傾斜)効果をさらに増大させる。代替的には、上面72は、不連続点を伴わずに延びてもよく、不連続点は、上面72上でより後方に延びてもよく、又は、傾斜が変化する1より多い不連続点が上面72上に存在してもよい。図示されるように、不連続点P1の後方の上面72は、踵支持装置410が
図18の除荷位置にあるときに、内側アーム24(
図20)及び外側アーム26(
図21)がそうするのと同様に、水平面に対してほぼ同じ角度で延びる。またさらに、引き伸ばされたチップ70は、
図20及び21に示されるよりも前方又は後方に傾く(tip)ように構成されてもよく、これは、表面72に沿った不連続点における曲率の大きな変化を生じさせ得る。
【0055】
図18はまた、最上部スラット12Aの中央セグメント22の外周76が、引き伸ばされたチップ70がスラット12Aの残りの部分から広がる(diverges)引き伸ばされたチップ70の両側に不連続点P2及びP3を有することを示す。不連続点P2及びP3はまた、
図19の背面図、及び内側及び外側の図にも示されている。不連続点P2及びP3を設けることにより、不連続点のない最上部スラット12Aの同じ湾曲に続く引き伸ばされたチップよりも、最上部スラット12Aからより鋭く且つ明瞭に延びるので、引き伸ばされたチップ70の位置は、足入れ前に人によって容易に視覚的に位置特定される(located)。例えば、最上部スラット12Aの外周76に不連続点のない代替的な引き伸ばされたチップ70Aが、
図22の踵支持装置510の最上部スラット12Aから後方に延びて示されている。踵支持装置510は、代替的な引き伸ばされたチップ70Aを除いて、踵支持装置410と同一に構成される。最上部スラット12Aの外周76に不連続点がないことを特徴とする代替的な引き伸ばされたチップ70Aは、装置510の荷重位置への押し下げ中に足をセットするための、より広い広がり(expanse)(例えば、より広い引き伸ばされたチップ70A)の利点を提供する。
【0056】
図25は、長手方向正中線LMで履物440を通って取られた断面図である。アッパー42は、踵カラー51から後方に延び、引き伸ばされたチップ70を覆うテーパ状延長部42Aを有する。装置410は、アッパー42内に配置されるので、アッパー42はまた、最上部スラット12Aの内側アーム24及び外側アーム26の各々を覆う。他の実施形態では、アッパー42は、代わりに、引き伸ばされたチップの内側アーム又は外側アームなど、装置410のアームのみに重なり得る。さらに別の実施形態では、アッパーは、装置のアーム又は複数のアームではなく、引き伸ばされたチップのみに重なってもよい。テーパ状延長部42Aは、内部キャビティ78を形成し、引き伸ばされたチップ70は、内部キャビティ78内に配置される。より具体的には、内側層54及び外側層56は、反転された継ぎ目57で互いに縫い合わせられ、引き伸ばされたチップ70及びパッド80は、内部キャビティ78内に配置される。いくつかの実施形態では、引き伸ばされたチップ70と踵カラー51の延長部42Aとの嵌合(interfitting)は、アッパー42を装置410に対して固定するのに十分であり、それにより、アッパー42は、アクセス位置への押し下げ中に装置410によって下方に移動し、押し下げ力F(例えば、荷重)が除去された後に使用位置へ戻り、アッパー42へのスラット12のペグ62又は他の取り付け物が含まれないようにする。
【0057】
図26は、ペグ62が最下部スラット12Dから後方に延びることを除いて、踵支持装置410に対するすべての態様において同様の踵支持装置610を示す。ペグ62は、アッパー42の外側層56の開口部を通って延び得、アッパー42の外側層56に、
図14及び
図15において踵支持装置110に関して説明したのと同じ方法(例えば、高周波溶接又は他の方法)で固定され得るとともに同じ利点を提供し得る。
図27は、追加のペグ62がベース14の後部から後方に延びることを除いて、踵支持装置610に対する全ての態様において同様である踵支持装置710の実施形態を示す。この下部ペグ62は、それが外側層56の対応する開口部を通って延び、外側層56の外側表面63に溶接されるときに、ベース14にアッパー42の外側層56を固定するのに役立つ。
図28は、トータル又は4つのペグ62のために3つの追加のペグが追加されることを除いて、踵支持装置610に対する全ての態様において同様である踵支持装置810の実施形態を示す。最下部スラット12Dから延びるペグ62及びベース14の後部から延びるペグ62に加えて、ペグ62は内側側部16でベース14から延び、ペグ62は外側側部18でベース14から延びる。4つのペグ62は、
図17の踵支持装置310の4つのペグ62と同様の方法でアッパー42に固定され得る。
【0058】
本明細書に記載した踵支持装置の特徴及び利点は、説明したように、機能性の増大及び履物へ入ることの容易さを可能にするために、組み合わせて又は別々に提供され得る。加えて、所有者が共通の同時係属中の以下の出願は、その全体が参照により援用される:2017年10月25日に出願された米国非仮出願第15/793,008号(現在は米国特許出願公開第2018/0110292号として公開);2018年6月14日に出願された米国非仮出願第16/008,797号(現在は米国特許出願公開第2018/0289109号として公開);2019年11月20日に出願された米国非仮出願第16/689,590号;及び2019年11月20日に出願された米国非仮出願第16/689,665号。
【0059】
以下の条項は、本明細書に開示された履物製品の例示的な構成を提供する。
【0060】
条項1. 履物製品であって:踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーと;前記アッパーの後方部分に及び/又はその中に配置され、並びに/又は、前記アッパーの後方部分の所定位置に及び/又はその中に固定され、踵領域の後部の周囲に延び、複数のスラット及びベースを含む、踵支持装置と;を有し、各スラットは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースに向かって下方且つ前方に延びるアームとを有し;前記各スラットは、除荷位置と荷重位置との間で前記除荷位置から前記荷重位置に前記ベースに向かって押し下げられるときに弾性的に曲げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間され;前記複数のスラットは、最上部スラットと、前記最上部スラットより前記ベースに近い最下部スラットと、前記最上部スラットと前記最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み;前記複数のスラットは、前記最下部スラットから前記最上部スラットまでの長さ及び/又は幅の漸進的勾配を含む、履物製品。
【0061】
条項2. 前記最下部スラットは、前記少なくとも1つの中間スラットよりも短く且つ薄く;前記少なくとも1つの中間スラットは、前記最上部スラットよりも短く且つ薄い、条項1に記載の履物製品。
【0062】
条項3. 前記踵支持装置は、前記アッパーの開口部を通って延び、前記アッパーの表面で固定される少なくとも1つのペグを含む、条項1又は2に記載の履物製品。
【0063】
条項4. 前記アッパーは、内側層と外側層とを含み、前記開口部は、前記外側層を通って延び、前記踵支持装置は、前記内側層と前記外側層との間に配置される、条項3に記載の履物製品。
【0064】
条項5. 前記少なくとも1つのペグは、前記複数のスラットのうちの1つのスラットの前記中央セグメントから延びる、条項3に記載の履物製品。
【0065】
条項6. 少なくとも1つのペグが単一のペグである、条項5に記載の履物製品。
【0066】
条項7. 前記単一のペグは、前記複数のスラットのうち前記最下部スラットから外方に延びる、条項6に記載の履物製品。
【0067】
条項8. 前記中央セグメントのうちの1つが、後方に延びる引き伸ばされたチップを含む、条項1乃至7のいずれかに記載の履物製品。
【0068】
条項9. 前記引き伸ばされたチップは、前記複数のスラットのうちの前記最上部スラットから延びる、条項8に記載の履物製品。
【0069】
前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し;前記アッパーは、前記踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有し;前記踵カラーの前記テーパ状延長部は、前記引き伸ばされたチップに重なる、条項8に記載の履物製品。
【0070】
条項11. 前記踵カラーの前記テーパ状延長部は内部キャビティを形成し、前記引き伸ばされたチップは前記踵カラーの前記テーパ状延長部の前記内部キャビティ内に配置される、条項10に記載の履物製品。
【0071】
条項12. 前記引き伸ばされたチップの上面が、前記足受入キャビティに向かって下向き且つ内向きに傾斜する、条項10に記載の履物製品。
【0072】
条項13. 前記引き伸ばされたチップの前記上面の傾斜は、前記履物製品の長手方向正中線に沿って前方方向に増加し、ランプを提供する、条項12に記載の履物製品。
【0073】
条項14. 前記引き伸ばされたチップの前記上面は不連続点を含む、条項12に記載の履物製品。
【0074】
条項15. 前記中央セグメントの外周は、前記引き伸ばされたチップにおいて不連続点を有する、条項12に記載の履物製品。
【0075】
条項16. 前記中央セグメントの外周は、前記引き伸ばされたチップに不連続点がないことを特徴とする、条項12に記載の履物製品。
【0076】
条項17. 前記ベースは、前記ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含む、条項1乃至条項16のいずれかに記載の履物製品。
【0077】
条項18. 前記アッパーは、前記ベースの前記比較的薄い部分に縫い付けられる又は接着される、条項17に記載の履物製品。
【0078】
条項19. 履物製品であって:踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーであって、前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し、前記アッパーは、前記踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有する、アッパーと;前記踵領域の後部の周囲に延び、制御バー及びベースを含む踵支持装置であって、前記制御バーは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有する、踵支持装置と;を有し、前記制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ、前記ベースに向かって前記荷重位置から前記荷重位置まで押し下げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間され;前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含み;前記踵カラーの前記テーパ状延長部は、前記引き伸ばされたチップに重なる、履物製品。
【0079】
条項20. 前記踵カラーの前記テーパ状延長部は内部キャビティを形成し、前記引き伸ばされたチップは前記踵カラーの前記テーパ状延長部の前記内部キャビティ内に配置される、条項19に記載の履物製品。
【0080】
条項21. 履物製品であって:踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーであって、前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有する、アッパーと;踵領域の後部の周囲に延び、制御バー及びベースを含む踵支持装置であって、前記制御バーは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有する、踵支持装置と;を有し、前記制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ、前記除荷位置から前記荷重位置へ前記ベースに向かって押し下げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間し;前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを有し;前記アッパーは、前記アーム及び前記引き伸ばされたチップの少なくとも1つと重なる、履物製品。
【0081】
条項22. 前記アッパーは、前記アーム及び前記引き伸ばされたチップの各々に重なる、条項21に記載の履物製品。
【0082】
種々の実施形態の説明を支援し、明確にするために、種々の用語が本明細書で定義される。特に断らない限り、以下の定義は、本明細書(特許請求の範囲を含む)全体にわたって適用される。加えて、言及された全ての参照は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0083】
「履物製品」、「履物製造品」、及び「履物」は、機械及び製造物品の両方であるとみなされ得る。組み立てられ、着用する準備が整った履物製品(例えば、靴、サンダル、ブーツなど)、並びに着用する準備が整った履物製品への最終的な組立の前の履物製品の個別のコンポーネント(例えば、ミッドソール、アウトソール、アッパーコンポーネントなどのような)は、本明細書では、単数又は複数のいずれかの「履物製品」と本明細書ではみなされ、代替的にそのように言及される。
【0084】
「1つの(「A」、「an」)」、「その(「the」)」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」は、少なくとも1つのアイテムが存在することを示すために交換可能に使用される。文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数のこのようなアイテムが存在してもよい。添付の請求項を含む、本明細書中の(例えば、量又は条件の)パラメータの全ての数値は、文脈に鑑みて別段の明示的又は明確な指示がない限り、全ての場合において、「約(about)」という用語が数値の前に実際に現れるか否かにかかわらず、「約」という用語によって修正されているものと理解されるべきである。「約」は、記載された数値がある程度の不正確さを許容することを示す(値の正確さへのいくつかのアプローチを伴う;値にほぼ又は合理的に近い;ほぼ)。「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味を有する当該技術分野において他の方法で理解されない場合、本明細書中で使用される「約」は、少なくともそのようなパラメータを測定および使用する通常の方法から生じ得る変化を示す。明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、値は、記載された値より5%より大きくなく、かつ、5%未満でもない場合には、その値は記載された値と「ほぼ」等しいとみなされる。加えて、範囲の開示は、全ての値及び範囲内のさらに分割された範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。
【0085】
用語「有する」、「含む」、及び「備える」は、包含的であり、記載された特徴、ステップ、動作、要素、又はコンポーネントの存在を明記するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、又はコンポーネントの存在又は追加を排除しない。ステップ、プロセス、及び動作の順序は、可能な場合には変更されてもよく、追加的又は代替的なステップが使用されてもよい。本明細書において使用されるとき、用語「又は」は、関連するリストされたアイテムのいずれか1つ及びすべての組み合わせを含む。「のうちのいずれか」は、参照されたアイテムの「のうちのいずれか1つ」を含む、参照されたアイテムのいずれかの可能な組み合わせを含むものと理解される。用語「のうちのいずれか」は、引用された請求項の「のうちのいずれか1つ」を含む、添付の請求項の引用された請求項のいずれかの可能な組み合わせを含むものと理解される。
【0086】
一貫性及び便宜性のために、図示した実施形態に対応するこの詳細な説明を通して方向性形容詞を使用することができる。当業者は、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上部」、「底部」などのような用語が、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することなく、図面に対して説明的に使用され得ることを認識するであろう。
【0087】
用語「長手方向」は、コンポーネントの長さが延びる方向を指す。例えば、靴の長手方向は、靴の前足部領域と踵領域との間に延びる。用語「前方(“forward)」又は「前方(anterior)」は、踵領域から前足部領域に向かう一般的な方向を指すために使用され、用語「後方(rearward)」又は「後方(posterior)」は、反対方向、すなわち、前足部領域から踵領域に向かう方向を指すために使用される。ある場合には、コンポーネントは、長手方向軸と、その軸に沿った前後の長手方向で識別され得る。長手方向又は軸は、前後方向又は軸とも呼ばれることがある。
【0088】
用語「横(transverse)」は、コンポーネントの幅が延びる方向を指す。例えば、靴の横方向は、靴の外側側部と内側側部との間に延びる。横方向又は軸は、横(lateral)方向又は軸、又は中外(mediolateral)方向又は軸とも呼ばれることがある。
【0089】
用語「垂直」は、横方向及び長手方向の両方に概ね垂直な方向を指す。例えば、ソールを地面上に平らに置いた場合には、垂直方向は、地面から上方に延び得る。これらの方向の形容詞の各々は、ソールの個々のコンポーネントに適用されてもよいことが理解されるであろう。用語「上方」又は「上方」は、コンポーネントの上部を指す垂直方向を指し、このコンポーネントの上部は、甲、締結領域及び/又はアッパーのスロートを含み得る。用語「下方」又は「下方」は、上向き方向とは反対の、コンポーネントの底部を指す垂直方向を意味し、概して、履物のソール構造の底部を指すことができる。
【0090】
靴などの履物製品の「内部」は、靴が着用されたときに着用者の足が占める空間の部分を指す。コンポーネントの「内側」は、組み立てられた履物製品の中のコンポーネント又は履物製品の内部に向けて配向される(又は配向されるであろう)コンポーネントの側部又は表面を指す。「外側側部」又は「外側」は、組み立てられた靴の中の靴の内部から離れて配向される(又は配向されるであろう)コンポーネントの側部又は表面を指す。場合によっては、他のコンポーネントが、コンポーネントの内側側部と組み立てられた履物の中の内部との間にあってもよい。同様に、他のコンポーネントは、コンポーネントの外側側部と組み立てられた履物製品の外側の空間との間にあってもよい。さらに、用語「内側」及び「内側に」とは、靴などの履物のコンポーネント又は履物製品の内部に向かう方向を指し、用語「外方」及び「外方に」は、靴などの履物のコンポーネント又は履物製品の外側に向かう方向を指す。更に、用語「近位」は、履物のコンポーネントの中心により近い方向、又はユーザによって着用されるような足が履物製品の中に挿入されたときに足に近い方向を指す。同様に、用語「遠位」は、履物のコンポーネントの中心から離れた相対的位置、又はユーザによって着用されるような足が履物製品の中に挿入されたときに足から遠い相対的位置を指す。従って、用語近位及び遠位は、相対的な空間位置を記述するために、一般的に相反する用語を提供すると理解され得る。
【0091】
種々の実施形態が説明されてきたが、説明は、限定するものではなく例示的なものであることが意図されており、当業者には、実施形態の範囲内にあるもっと多くの実施形態及び実装形態が可能であることが明らかであろう。任意の実施形態の任意の特徴は、特に制限されない限り、他の任意の実施形態の任意の他の特徴又は要素と組み合わせて、又はそれらの代わりに使用することができる。従って、実施形態は、添付の請求項及びそれらの均等物に照らす場合を除き、限定されるべきではない。また、添付の請求項の範囲内で、種々の修正及び変更を行うことができる。
【0092】
本教示の多くの態様を実施するためのいくつかのモードが詳細に説明されているが、これらの教示が関係する技術に精通している者は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある本教示を実施するための様々な代替の態様を認識するであろう。上述の説明に含まれる、又は添付の図面に示される全ての事項は、当業者が、含まれる内容に基づいて、暗示されている、構造的に及び/又は機能的に均等である、又はその他の方法で明らかであると認識するであろう代替の実施形態の全範囲の説明的及び例示的なものとして解釈されるべきであり、明示的に描かれた実施形態及び/又は記載された実施形態のみに限定されるものではない。
【0093】
次の付記を記す。
(付記1) 履物製品であって:
踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーと;
前記アッパーの後方部分に配置され、踵領域の後部の周囲に延び、複数のスラット及びベースを含む、踵支持装置と;を有し、
各前記スラットは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースに向かって下方且つ前方に延びるアームとを有し;
前記各スラットは、除荷位置と荷重位置との間で前記除荷位置から前記荷重位置に前記ベースに向かって押し下げられるときに弾性的に曲げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間され;
前記複数のスラットは、最上部スラットと、前記最上部スラットより前記ベースに近い最下部スラットと、前記最上部スラットと前記最下部スラットとの間に配置される少なくとも1つの中間スラットとを含み;
前記複数のスラットは、前記最下部スラットから前記最上部スラットまでの幅の漸進的勾配を含む、
履物製品。
(付記2) 前記最下部スラットは、前記少なくとも1つの中間スラットよりも短く且つ薄く;
前記少なくとも1つの中間スラットは、前記最上部スラットよりも短く且つ薄い、
付記1に記載の履物製品。
(付記3) 前記踵支持装置は、前記アッパーの開口部を通って延び、前記アッパーの表面で固定されるペグを含む、
付記1又は2に記載の履物製品。
(付記4) 前記アッパーは、内側層と外側層とを含み、
前記開口部は、前記外側層を通って延び、
前記踵支持装置は、前記内側層と前記外側層との間に配置される、
付記3に記載の履物製品。
(付記5) 前記ペグは、前記複数のスラットのうちの前記最下部スラットの前記中央セグメントから延びる、
付記3に記載の履物製品。
(付記6) 前記ペグは、前記複数のスラットから外方に延びる唯一のペグである、
付記5に記載の履物製品。
(付記7) 前記ペグは、前記複数のスラットの前記最下部スラットの前記中央セグメントの厚い領域から外側に延びる、
付記5に記載の履物製品。
(付記8) 前記複数のスラットのうちの1つのスラットの前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含む、
付記1乃至7のいずれか1項に記載の履物製品。
(付記9) 前記引き伸ばされたチップは、前記複数のスラットのうちの前記最上部スラットから延びる、
付記8に記載の履物製品。
(付記10) 前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し;
前記アッパーは、前記踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有し;
前記踵カラーの前記テーパ状延長部は、前記引き伸ばされたチップに重なる、
付記8に記載の履物製品。
(付記11) 前記踵カラーの前記テーパ状延長部は内部キャビティを形成し、前記引き伸ばされたチップは前記踵カラーの前記テーパ状延長部の前記内部キャビティ内に配置される、
付記10に記載の履物製品。
(付記12) 前記引き伸ばされたチップの上面が、前記足受入キャビティに向かって下向き且つ内向きに傾斜する、
付記10に記載の履物製品。
(付記13) 前記引き伸ばされたチップの前記上面の傾斜は、前記履物製品の長手方向正中線に沿って前方方向に増加し、ランプを提供する、
付記12に記載の履物製品。
(付記14) 前記中央セグメントの外周は、前記引き伸ばされたチップにおいて不連続点を有する、
付記12に記載の履物製品。
(付記15) 前記ベースは、前記ベースの最も上の範囲に隣接する比較的厚い部分と、前記ベースの最も下の範囲に隣接する比較的薄い部分とを含み、
前記アッパーは、前記ベースの前記比較的薄い部分に縫い付けられる又は接着される、
付記1乃至14のいずれか1項に記載の履物製品。
(付記16) 履物製品であって:
踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーであって、前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有し、前記アッパーは、前記踵カラーから後方に延びるテーパ状延長部を有する、アッパーと;
踵領域の後部の周囲に延び、制御バー及びベースを含む踵支持装置であって、前記制御バーは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有する、踵支持装置と;を有し、
前記制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ、前記ベースに向かって前記荷重位置から前記荷重位置まで押し下げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間され;
前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを含み;
前記踵カラーの前記テーパ状延長部は、前記引き伸ばされたチップに重なる、
履物製品。
(付記17) 前記踵カラーの前記テーパ状延長部は内部キャビティを形成し、前記引き伸ばされたチップは前記踵カラーの前記テーパ状延長部の前記内部キャビティ内に配置される、
付記16に記載の履物製品。
(付記18) 前記踵支持装置は、前記アッパーの開口部を通って延び、前記アッパーの表面で固定されるペグを含む、
付記16又は17に記載の履物製品。
(付記19) 履物製品であって:
踵領域を備えた足受入キャビティを画定するアッパーであって、前記アッパーは、前記足受入キャビティへの開口を画定する踵カラーを有する、アッパーと;
踵領域の後部の周囲に延び、制御バー及びベースを含む踵支持装置であって、前記制御バーは、中央セグメントと、前記中央セグメントから前記ベースへ下方に且つ前方に延びるアームとを有する、踵支持装置と;を有し、
前記制御バーは、除荷位置と荷重位置との間で弾性的に曲げることができ、前記除荷位置から前記荷重位置へ前記ベースに向かって押し下げることができ、前記中央セグメントは、前記荷重位置においてよりも前記除荷位置において前記ベースからさらに離間し;
前記中央セグメントは、後方に延びる引き伸ばされたチップを有し;
前記アッパーは、前記アーム及び前記引き伸ばされたチップの少なくとも1つと重なる、
履物製品。
(付記20) 前記アッパーは、前記アーム及び前記引き伸ばされたチップの各々に重なる、
付記19に記載の履物製品。
【外国語明細書】