IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カール・ツアイス・メディテック・アーゲーの特許一覧

<>
  • 特開-眼科手術視覚化システム 図1
  • 特開-眼科手術視覚化システム 図2
  • 特開-眼科手術視覚化システム 図3
  • 特開-眼科手術視覚化システム 図4
  • 特開-眼科手術視覚化システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053017
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】眼科手術視覚化システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A61F9/007 200C
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017437
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2018166633の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】10 2017 121 085.7
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506085066
【氏名又は名称】カール・ツアイス・メディテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ハウガー
(57)【要約】
【課題】 眼科手術視覚化システムを提供する。
【解決手段】 システム10は、イメージセンサ40と物体領域14の画像を生成する結像系と画像処理ルーチンを含むコンピュータユニット62と画像表示装置64と眼54内の部分52をイメージセンサ上の結像面58と共役である中間像面56内に結像する検眼ルーペ50とを有する。画像処理ルーチンは、イメージセンサによって捕捉され検眼ルーペで生成さた第一の部分を、イメージセンサ上の結像面内の物体領域の画像の第二の部分であって、イメージセンサによって捕捉され、検眼ルーペの外側の結像経路によって生成されており、第一の部分と相補的な第二の部分から分離して、第一の部分を像面内にあり、2つのミラー軸を中心とした第一の部分のミラー反転した自己同型写像においてミラー反転された第一の部分に変換し、ミラー反転された第一の部分と相補的な第二の部分とを合体させて合成物体領域画像を形成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、イメージセンサ(40
、46)を含み、前記イメージセンサ(40、46)上の結像面(58、60)内に光学
結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するための結像系を含み、前記
物体領域(14)の画像(68)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって
捕捉されており、かつ像面を有する画像(68)を処理するための画像処理ルーチンを含
むコンピュータユニット(62)を含み、および前記コンピュータユニット(62)内で
処理された画像の画像データを視覚化するための画像表示装置(64)を含む眼科手術視
覚化システム(10、10’、10’’)であって、
患者の眼(54)内にある部分(52)を、前記イメージセンサ(40、46)上の前
記結像面(58、60)と共役である中間像面(56)内に結像するための検眼ルーペ(
50)であって、前記画像処理ルーチンは、前記物体領域(14)の前記画像(68)の
第一の部分(70)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって捕捉され、か
つ前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路によって生成されている第一の部分
(70)を、前記イメージセンサ(40、46)上の前記結像面(58、60)内の前記
物体領域(14)の前記画像(68)の第二の部分(72)であって、前記イメージセン
サ(40、46)によって捕捉され、かつ前記検眼ルーペ(50)の外側に延びる結像ビ
ーム経路によって生成されており、および前記第一の部分(70)と相補的である第二の
部分(72)から分離して、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分
(70)を、前記画像(68)の前記像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸
(86、88)を中心とした前記第一の部分(70)のミラー反転に対応する自己同型写
像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換し、および前記ミラー反転され
た第一の部分(70’)と、前記第一の部分(70)と相補的である前記第二の部分(7
2)とを合体させて、画像表示装置(64)に供給される合成物体領域画像(68’)を
形成する役割を果たす、検眼ルーペ(50)によって特徴付けられる眼科手術視覚化シス
テム(10、10’、10’’)。
【請求項2】
前記画像処理ルーチンは、前記患者の眼(54)の網膜の一部の形態の画像情報に応じ
て、網膜視覚化ルーチンにおいて前記画像(68)の前記第一の部分(70)に関する画
像データの排他的処理をトリガする、画像データの評価ステージを含み、前記画像データ
の評価ステージでは、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分(70
)は、前記画像(68)の前記像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸(86
、88)を中心とした前記第一の部分(70)のミラー反転に対応する自己同型写像にお
いてミラー反転された第一の部分(70’)に変換され、かつ前記画像表示装置(64)
に網膜視覚化ルーチン物体領域画像として出力されることを特徴とする、請求項1に記載
の眼科手術視覚化システム。
【請求項3】
眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、第一のイメージセンサ
(40)を含み、前記第一のイメージセンサ(40)上の結像面(58、60)内に光学
結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するための結像系を含み、前記
物体領域(14)の画像(68)であって、前記第一のイメージセンサ(40)によって
捕捉されており、かつ像面を有する画像(68)を処理するための画像処理ルーチンを含
むコンピュータユニット(62)を含み、および前記コンピュータユニット(62)内で
処理された前記第一のイメージセンサ(40)の画像(68)の画像データを視覚化する
ための画像表示装置(64)を含む眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)
であって、
第二のイメージセンサ(46)、および前記第二のイメージセンサ(46)上の結像面
(58、60)内に光学結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するた
めの第二の結像系であって、前記コンピュータユニットにおける前記画像処理ルーチンは
、前記物体領域(14)の画像(68)を処理するようにも設計され、前記画像は、前記
第二のイメージセンサ(46)によって捕捉されており、前記第二の結像系は、画像処理
ルーチンを有し、
前記画像表示装置(64)は、前記コンピュータユニット(62)内で処理された前記
第二のイメージセンサ(46)の画像(68)の画像データを視覚化するようにも設計さ
れる、第二のイメージセンサ(46)および第二の結像系、
患者の眼(54)内にある部分(52)を、前記第一のイメージセンサ(40)上の前
記結像面(58)と共役である中間像面(56)内に結像し、かつ患者の眼(54)内に
ある部分(52)を、前記第二のイメージセンサ(46)上の前記結像面(60)と共役
である中間像面(56)内に結像するための検眼ルーペ(50)であって、前記画像処理
ルーチンは、前記物体領域(14)の前記それぞれの画像の前記第一の部分(70)であ
って、前記第一のイメージセンサ(40)および前記第二のイメージセンサ(46)によ
って捕捉され、かつそれぞれ前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路によって
生成されている第一の部分(70)を、前記第一および第二のイメージセンサ(40、4
6)上の前記結像面(58、60)内の前記物体領域(14)の前記それぞれの画像(6
8)の第二の部分(72)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって捕捉さ
れ、かつそれぞれ前記検眼ルーペ(50)の外側に延びる結像ビーム経路によって生成さ
れており、および前記第一の部分(70)と相補的である第二の部分(72)から分離し
て、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記それぞれの第一の部分(70)を、
前記画像(68)の前記像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸(86、88
)を中心とした前記第一の部分(70)のミラー反転に対応する自己同型写像においてそ
れぞれミラー反転された第一の部分(70’)に変換し、および前記ミラー反転された第
一の部分(70’)と、前記ミラー反転された第一の部分(70’)と相補的である前記
第二の部分(72)とをそれぞれ合体させて、前記画像表示装置(64)に供給される合
成物体領域画像(68’)を形成する役割を果たす、検眼ルーペ(50)
によって特徴付けられる眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)。
【請求項4】
前記画像処理ルーチンは、前記患者の眼(54)の網膜の一部の形態の画像情報に応じ
て、網膜視覚化ルーチンにおいて前記物体領域(14)の前記それぞれの画像(68)の
前記第一の部分(70)に関する画像データの排他的処理をトリガする、画像データの評
価ステージを含み、前記画像データの評価ステージでは、前記物体領域(14)の前記そ
れぞれの画像(68)の前記第一の部分(70)は、前記画像の前記像面内にありかつ相
互に垂直である2つのミラー軸(86、88)を中心とした前記第一の部分(70)のミ
ラー反転に対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換
され、かつその後、前記画像表示装置(64)にそれぞれの網膜視覚化ルーチン物体領域
画像として出力されることを特徴とする、請求項3に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項5】
前記第一の結像系は、前記第二の結像系より大きい倍率で前記物体領域(14)を結像
することを特徴とする、請求項4に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項6】
前記第一のイメージセンサ(40)は、前記物体領域(14)の第一の立体的な部分的
画像を捕捉する役割を果たし、かつ前記第二のイメージセンサ(46)は、前記物体(1
4)の第二の立体的な部分的画像を捕捉する役割を果たし、および前記画像表示装置(6
4)は、前記第一のイメージセンサ(40)と前記第二のイメージセンサ(46)との、
前記コンピュータユニット(62)内で処理された画像(68)の画像データを立体的に
視覚化するように設計されることを特徴とする、請求項3~5の何れか一項に記載の眼科
手術視覚化システム。
【請求項7】
前記画像処理ルーチンは、画像処理によって前記検眼ルーペ(50)のレンズ端部を認
識するためのアルゴリズムを含み、かつ前記物体領域(14)の前記画像(68)におい
て前記検眼ルーペ(50)の縁部(82)によって取り囲まれる区域を、前記検眼ルーペ
(50)を通過する結像ビーム経路で生成された前記物体領域(14)の前記画像(68
)の第一の部分として定義することを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の眼
科手術視覚化システム。
【請求項8】
前記検眼ルーペ(50)は、検眼ルーペ支持体(49)上に保持され、および前記検眼
ルーペ(50)の縁部(82)を認識するための前記アルゴリズムは、前記検眼ルーペ支
持体(49)の少なくとも1つの部分の特徴的な色にマッチされる色評価ルーチンを含む
ことを特徴とする、請求項7に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項9】
前記画像処理ルーチンは、画像処理によって前記患者の眼(54)の瞳孔を認識するた
めのアルゴリズムを含み、かつ前記物体領域(14)の前記画像(68)において前記検
眼ルーペ(50)の前記レンズ縁部によって取り囲まれる区域を、前記検眼ルーペ(50
)を通過する結像ビーム経路で生成された前記物体領域(14)の前記画像(68)の第
一の部分として定義することを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の眼科手術
視覚化システム。
【請求項10】
患者の眼(54)を視覚化するための画像データを提供する方法であって、
患者の眼(54)の画像(68)を画像処理ルーチンに供給するステップと、
画像処理ルーチンにおいて前記画像(68)を処理して画像データを形成するステップ

を含む方法において、
前記患者の眼(54)の前記画像(68)は、検眼ルーペ(50)を少なくとも部分的
に通過する結像ビーム経路で捕捉され、および
前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路で生成されている、前記物体領域(
14)の前記画像(68)の前記捕捉された第一の部分(70)は、前記物体領域(14
)の前記画像(68)の第二の部分(72)であって、前記検眼ルーペ(50)の外側に
延びる結像ビーム経路で生成されており、かつ前記第一の部分(70)と相補的である第
二の部分から分離され、
前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分(70)は、前記画像(6
8)の像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸(86、88)を中心とした前
記第一の部分(70)のミラー反転に対応する自己同型写像においてミラー反転された第
一の部分(70’)に変換され、および前記ミラー反転された第一の部分(70’)は、
前記第一の部分(70)と相補的である前記第二の部分(72)と合体されて、合成物体
領域画像(68’)に関する画像データを形成することを特徴とする方法。
【請求項11】
コンピュータユニット(62)上において、請求項10に記載の方法を実行するための
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサを含む眼科手術視覚化システムであって、イメージセンサ上
の結像面内の光学結像ビーム経路で物体領域の画像を生成するための結像系を含み、物体
領域の画像であって、イメージセンサによって捕捉されており、かつ像面を有する画像の
ための画像処理ルーチンを含むコンピュータユニットを含み、およびコンピュータユニッ
ト内で処理された画像の画像データを視覚化するための画像表示装置を含む眼科手術視覚
化システムに関する。本発明は、第一のイメージセンサを含む眼科手術視覚化システムで
あって、第一のイメージセンサ上の結像面内に光学結像ビーム経路で物体領域の画像を生
成するための結像系を含み、第二のイメージセンサを含み、第二のイメージセンサ上の結
像面内に光学結像ビーム経路で物体領域の画像を生成するための第二の結像系を含み、物
体領域の画像であって、第一のイメージセンサによって捕捉されており、かつ像面を有す
る画像を処理し、および物体領域の画像であって、第二のイメージセンサによって捕捉さ
れており、かつ像面を有する画像を処理するための画像処理ルーチンを含むコンピュータ
ユニットを含み、およびコンピュータユニットで処理された第一のイメージセンサおよび
第二のイメージセンサの画像の画像データを視覚化するための画像表示装置を含む眼科手
術視覚化システムにも関する。さらに、本発明は、患者の眼を可視化するための画像デー
タを提供する方法と、コンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサを含み、かつ物体領域の画像であって、イメージセンサによって捕捉さ
れている画像のための画像処理ルーチンを含むコンピュータユニットを含む眼科手術視覚
化システムは、(特許文献1)から知られている。
【0003】
眼科手術視覚化システムは、眼科手術において、例えば患者の眼の後方部分に対する外
科的介入の場合に使用される。
【0004】
(特許文献2)には、顕微鏡主要対物レンズの下に顕微鏡の鏡筒の延長線に沿って配置
された検眼アタッチメントモジュールを備える手術顕微鏡を含む眼科手術視覚化システム
が記載されている。この検眼アタッチメントモジュールは、1つまたは複数の検眼ルーペ
を含み、これは、患者の眼の眼底の倒立像、すなわち上下および前後が逆になった像を第
一の中間像面内に生成する役割を果たす。画像正立および瞳交換のための光学系により、
この第一の中間像面の画像は正立像にされ、第二の中間像面内に横方向に正しく結像され
る。この第二の中間像面の像は、観察者により、眼科手術視覚化システムにおいて、顕微
鏡主要対物レンズ、および顕微鏡主要対物レンズと、検眼アタッチメントモジュール内の
画像正立および瞳交換系との間に配置される移動式レンズを通じて見られ得る。検眼アタ
ッチメントモジュールにより、観察者は、患者の眼の内部の関心対象領域を観察できる。
【0005】
検眼ルーペを使用して眼科手術視覚化システムで物体領域を検査する観察者には、検眼
ルーペ内の部分と検眼ルーペの外側の部分とで異なる向きを有する物体領域の画像が視覚
的に提示される。その結果、特にいわゆる硝子体網膜手術において、検眼ルーペを通じて
見られる物体領域の部分は、観察者に対して横方向に正しく提示されるのに対し、検眼ル
ーペに隣接して位置する物体領域の部分は、観察者から見て横方向に正しく結像されない
【0006】
しかしながら、観察者が、検眼ルーペの、顕微鏡鏡筒と反対の側にある物体領域の区域
と、検眼ルーペを通して認識されない区域との両方を1つの同じ画像向きで観察できるこ
とが望ましい。なぜなら、これにより、観察者は、前記観察者がトロカールを通じて内視
鏡ライトガイドを患者の眼内に挿入する眼科手術中、観察画像に関してミラー反転された
状態でライトガイドを移動させる必要がなくなるからである。これは、患者の眼の一部が
観察者に対して検眼ルーペを通じて横方向に正しく表示されないと、観察者、すなわち基
本的に外科医は、外部から患者の眼の内部に向けた、すなわち観察画像の縁部からその中
心に向けた器具の術野への供給を、眼科手術視覚化システムによる手術の場合に器具の実
際の移動に対応するであろうものと異なって認識するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2009 030 504 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第41 14 646 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景に対し、本発明の目的は、設定倍率とは関係なく、患者の眼の一部が患
者の眼の内側にある場合の物体領域の観察を容易にし、異なる画像向きを有する画像部分
を有する観察画像が工程中に視覚化されない、眼科手術視覚化システムを開発することで
ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1および3に明記されている眼科手術視覚化システムと、請求項1
0に明記されている、患者の眼を視覚化するための画像データを提供する方法とによって
達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0010】
本発明は、イメージセンサ、およびイメージセンサ上の結像面内に光学結像ビーム経路
で物体領域の画像を生成するための結像系の提供と、眼科手術視覚化システムにおけるコ
ンピュータユニットであって、物体領域の画像であって、イメージセンサによって捕捉さ
れており、かつ像面を有する画像を処理するための画像処理ルーチンを含むコンピュータ
ユニットの提供とを提案する。この眼科手術視覚化システムには、コンピュータユニット
内で処理された画像の画像データを視覚化するための画像表示装置がある。眼科手術視覚
化システムは、患者の眼内にある部分を、イメージセンサ上の結像面と共役である中間像
面内に結像するための検眼ルーペを含む。画像処理ルーチンは、物体領域の画像の第一の
部分であって、イメージセンサによって捕捉され、かつ検眼ルーペを通過する結像ビーム
経路によって生成されている第一の部分を、イメージセンサ上の結像面内の物体領域の画
像の第二の部分であって、イメージセンサによって捕捉され、かつ検眼ルーペの外側に延
びる結像ビーム経路によって生成されており、および第一の部分と相補的である第二の部
分から分離して、物体領域の画像の第一の部分を、画像の像面内にありかつ相互に垂直で
ある2つのミラー軸を中心とした第一の部分のミラー反転に対応する自己同型写像におい
てミラー反転された第一の部分に変換し、およびミラー反転された第一の部分と、第一の
部分と相補的である第二の部分とを合体させて、画像ディスプレイに供給される合成物体
領域画像を形成する役割を果たす。
【0011】
ここで、相互に相補的である物体領域の画像の部分は、相互に分離され、かつ合体され
たときに物体領域の画像をもたらす画像部分を意味するものと理解される。
【0012】
本発明による眼科手術視覚化システムはまた、第一のイメージセンサ、および第一のイ
メージセンサ上の結像面内に光学結像ビーム経路で物体領域の画像を生成するための結像
系と、第二のイメージセンサ、および第二のイメージセンサ上の結像面内に光学結像ビー
ム経路で物体領域の画像を生成するための第二の結像系と、また、物体領域の画像であっ
て、第一のイメージセンサによって捕捉されており、かつ像面を有する画像を処理し、お
よび物体領域の画像であって、第二のイメージセンサによって捕捉されており、かつ像面
を有する画像を処理するための画像処理ルーチンを有するコンピュータユニットとを含む
。したがって、この眼科手術視覚化システムにおけるコンピュータユニット内で処理され
た第一のイメージセンサおよび第二のイメージセンサの画像の画像データを視覚化するた
めの画像表示装置がある。本発明によるこの眼科手術視覚化システムは、同様に、患者の
眼内にある部分を、第一のイメージセンサ上の結像面と共役である中間像面内に結像し、
かつ患者の眼内にある部分を、第二のイメージセンサ上の結像面と共役である中間像面内
に結像するための検眼ルーペを含む。眼科手術視覚化システムにおいて、画像処理ルーチ
ンは、物体領域のそれぞれの画像の第一の部分であって、第一のイメージセンサおよび第
二のイメージセンサによって捕捉され、かつそれぞれ検眼ルーペを通過する結像ビーム経
路によって生成されている第一の部分を、第一および第二のイメージセンサ上の結像面内
の物体領域のそれぞれの画像の第二の部分であって、イメージセンサによって捕捉され、
かつそれぞれ検眼ルーペの外側に延びる結像ビーム経路によって生成されており、および
第一の部分と相補的である第二の部分から分離して、物体領域のそれぞれの画像のそれぞ
れの第一の部分を、画像の像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸を中心とし
た第一の部分のミラー反転に対応する自己同型写像においてそれぞれミラー反転された第
一の部分に変換し、およびミラー反転された第一の部分と、ミラー反転された第一の部分
と相補的である第二の部分とをそれぞれ合体させて、画像表示装置に供給される合成物体
領域画像を形成する役割を果たす。
【0013】
第一の結像系の倍率および第二の結像系の倍率は、同じであるかまたは異なり得る。
【0014】
本発明によれば、例えば、第一の結像系は、物体領域を第二の結像系より大きい倍率で
結像するようになされ得る。このようにして、フォーマットに当てはめる方式において患
者の眼の網膜を第一のイメージセンサ上に結像させ、患者の眼の強膜の画像を第二のイメ
ージセンサに供給することが可能である。ここで、本発明による眼科手術視覚化システム
の場合、物体領域の第一の立体的な部分的画像は、複数の第一のイメージセンサによって
捕捉され、および物体領域の第二の立体的な部分的画像は、複数の第二のイメージセンサ
によって捕捉され、第一の立体的な部分的画像および第二の立体的な部分的画像は、異な
る倍率を有し、第一の立体的な部分的画像と第二の立体的な部分的画像とは、合体されて
、画像表示装置に供給される立体的な全体画像を形成するるようになされ得ることに留意
すべきである。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において、画像処理ルーチンは、患者の眼の網膜の一部の形
態の画像情報に応じて、網膜視覚化ルーチンにおいて画像の第一の部分に関する画像デー
タの排他的処理をトリガする、画像データの評価ステージを含み、画像データの評価ステ
ージでは、物体領域の画像の第一の部分は、画像の像面内にありかつ相互に垂直である2
つのミラー軸を中心とした第一の部分のミラー反転に対応する自己同型写像においてミラ
ー反転された第一の部分に変換され、かつ画像表示装置に網膜視覚化ルーチン物体領域画
像として出力されるようになされる。このようにして、例えば、患者の眼の網膜の画像の
みが物体領域画像として表示されるべきである場合、2つのビデオストリーム内の画像デ
ータの不必要な処理を回避することが可能である。
【0016】
眼科手術視覚化システムにおける画像処理ルーチンは、画像処理によって検眼ルーペの
レンズ縁部を認識するためのアルゴリズムを含み得、前記アルゴリズムは、物体領域の画
像において検眼ルーペのレンズ縁部によって取り囲まれる区域を、検眼ルーペを通過する
結像ビーム経路で生成された物体領域の画像の第一の部分として定義する。
【0017】
眼科手術視覚化システムにおける検眼ルーペは、好ましくは、特徴的な色を有する少な
くとも1つの部分を有する検眼ルーペ支持体上に保持され、検眼ルーペの縁部を認識する
ためのアルゴリズムは、検眼ルーペ支持体のその少なくとも1つの部分の特徴的な色にマ
ッチされる色評価ルーチンを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、画像処理によって患者の眼の瞳孔を認識するためのアル
ゴリズムを含み、かつ物体領域の画像において検眼ルーペのレンズ縁部によって取り囲ま
れた区域を、検眼ルーペを通過する結像ビーム経路で生成された物体領域の画像の第一の
部分として定義する画像処理ルーチンを提供する。
【0019】
患者の眼を視覚化するための画像データを提供する本発明による方法は、患者の眼の画
像を画像処理ルーチンに供給するステップと、画像処理ルーチンにおいて画像を処理して
画像データを形成するステップとを含む。ここで、患者の眼の画像は、検眼ルーペを少な
くとも部分的に通過する結像ビーム経路で捕捉される。ここで、イメージセンサによって
捕捉され、かつ検眼ルーペを通過する結像ビーム経路によって生成されている、物体領域
の画像の前記第一の部分は、イメージセンサ上の結像面内の物体領域の画像の第二の部分
から分離され、前記第二の部分は、イメージセンサによって捕捉され、かつ検眼ルーペの
外側に延びる結像ビーム経路によって生成されており、および第一の部分と相補的であり
、物体領域の画像の第一の部分は、画像の像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラ
ー軸を中心とした第一の部分のミラー反転に対応する自己同型写像においてミラー反転さ
れた第一の部分に変換され、およびミラー反転された第一の部分は、第一の部分と相補的
である第二の部分と合体されて、合成物体領域画像に関する画像データを形成する。
【0020】
本発明によるコンピュータプログラムは、コンピュータユニット上において、上記の方
法を実行するためのプログラムコード手段を含む。
【0021】
本発明のさらなる詳細は、図を参照する例示的実施形態の以下の説明から明らかとなる
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第一の眼科手術視覚化システムを患者の眼と共に示す。
図2】眼科手術視覚化システムのイメージセンサで捕捉された患者の眼の画像を示す。
図3】眼科手術視覚化システムのコンピュータユニットの画像処理ルーチンのフローチャートを示す。
図4】第二の眼科手術視覚化システムを示す。
図5】第三の眼科手術視覚化システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示される第一の眼科手術視覚化システム10は、手術顕微鏡12を含み、これは
、物体領域14の立体的観察に使用される。手術顕微鏡12は、顕微鏡主要対物レンズ系
18を備える結像光学ユニット16を含み、前記結像光学ユニットは、本体20内に受け
られる。手術顕微鏡12には照明装置22があり、これは、物体領域14を、顕微鏡主要
対物レンズ系18を通過する照明ビーム経路23で照明することを容易にする。手術顕微
鏡12は、アフォーカル拡大系24を有し、その中を通るように第一の立体的な部分的観
察ビーム経路26および第二の立体的な部分的観察ビーム経路28が案内される。手術顕
微鏡12は、本体20の境界面29に接続される両眼鏡筒30を有し、前記両眼鏡筒は、
観察者の左眼および右眼35a、35bのための第一の接眼レンズ32と、第二の接眼レ
ンズ34とを有する。手術顕微鏡12の顕微鏡主要対物レンズ系18は、第一の立体的な
部分的観察ビーム経路26および第二の立体的な部分的観察ビーム経路28によって通過
される。手術顕微鏡12には、第一の対物レンズ系38と第一のイメージセンサ40とを
備える第一の画像捕捉装置36がある。画像捕捉装置36は、第一の立体的な部分的観察
ビーム経路26から画像情報を捕捉する役割を果たす。第二の画像捕捉装置42により、
手術顕微鏡12内において第二の立体的な部分的観察ビーム経路28からの画像情報を捕
捉できる。第二の画像捕捉装置42は、第二の対物レンズ系44を有し、かつ第二のイメ
ージセンサ46を含む。
【0024】
検眼ルーペ支持体49内に受けられる検眼ルーペ50を含む検眼アタッチメントモジュ
ール48は、手術顕微鏡12に接続される。検眼ルーペ50は、患者の眼54の内部にあ
る部分52を、患者の眼54の天然の水晶体および角膜を通じて、第一のイメージセンサ
40上の結像面58および第二のイメージセンサ46上の結像面60と共役である中間像
面56内に結像する役割を果たす。
【0025】
検眼ルーペ支持体49は緑色に染色され、この緑色は、患者の眼54の色合いおよび眼
科手術中に使用される手術器具の色合いと容易に区別でき、かつ物体領域14内で容易に
識別可能である。本発明の代替的実施形態では、検眼ルーペ支持体49は、特に黄色に染
色され得ることに留意すべきである。検眼ルーペ支持体49は任意の他の適当な色も有し
得、その色が、眼科手術中に物体領域14内において、例えば血液および体内組織等の体
液および手術器具を有する画像の背景に関して容易に見られることを可能にする。
【0026】
眼科手術視覚化システム10は、物体領域14の画像であって、第一のイメージセンサ
40および第二のイメージセンサ46によって捕捉されている画像のための画像処理ルー
チンを含むコンピュータユニット62を有する。コンピュータユニット62には画像表示
装置としてモニタ64が接続され、これは、3D画像情報の視覚化のために具現化される
。眼科手術視覚化システム10のコンピュータユニット62は、入力インタフェースとし
てのキーボード66によって制御され得る。
【0027】
眼科手術視覚化システムの改変型実施形態では、3D画像情報の視覚化のための第一お
よび第二のモニタも提供され得ることに留意すべきである。したがって、例えば、物体領
域の全体画像が第一のモニタに表示され得、および患者の眼の拡大部分が第二のモニタに
表示され得る。
【0028】
図2は、結像面58における患者の眼の画像68を検眼ルーペ50および手術器具59
と共に示し、前記画像は、画像捕捉装置36によって捕捉されている。画像68は、検眼
ルーペ50を通過する結像ビーム経路によって生成される第一の部分70を有し、かつ第
一の部分70と相補的であり、物体領域14から到来すると検眼ルーペ50を通過して案
内される結像ビーム経路によって生じる第二の部分72を有する。
【0029】
コンピュータユニット62の画像処理ルーチンの技術的機能は、まず、物体領域14の
画像68の第一の部分であって、イメージセンサ40上の画像捕捉装置36によって捕捉
され、かつ検眼ルーペ50を通過する結像ビーム経路によって生成されている第一の部分
を、第一のイメージセンサ40上の結像面58内の物体領域14の画像68の第二の部分
72であって、第一のイメージセンサ40上に結像され、かつ検眼ルーペ50の外側に延
びる結像ビーム経路によって生成されており、および第一の部分70と相補的である第二
の部分から分離することからなる。それに対応して、コンピュータユニット62における
画像処理ルーチンは、物体領域14の画像68に対応する画像の第一の部分であって、第
二の画像捕捉装置42によって捕捉され、かつ検眼ルーペ50を通過する結像ビーム経路
によって生成されている第一の部分を、第二のイメージセンサ46上の結像面60におけ
る物体領域14の画像68に対応する画像の第二の部分72であって、第一のイメージセ
ンサ40によって捕捉され、かつ検眼ルーペ50の外側に延びる結像ビーム経路によって
生成されており、および第一の部分70と相補的である第二の部分から分離する、すなわ
ち分けるように設計される。
【0030】
さらに、コンピュータユニット62における画像処理ルーチンの機能は、物体領域14
の画像の第一の部分70に対して画像反転動作を行うことにあり、これは、患者の眼54
の内部に配置された部分52の画像であって、検眼ルーペ50によって中間像面56にお
いて生成されている画像が中間像面56において上下および前後が逆である、すなわち倒
立像にされているからである。さらに、物体領域14の画像の第一の部分70と物体領域
14の画像の第二の部分72を合体させて、その後、眼科手術視覚化システム10のモニ
タ64上に表示され得る合成された横方向に正しい正立物体画像を形成することは、コン
ピュータユニット62における画像処理ルーチンの機能である。
【0031】
図3は、画像処理ルーチンのフローチャート74を示す。コンピュータユニット62の
画像処理ルーチンは、画像部分分離ステージ76を有し、それにイメージセンサ40、4
6の画像が供給される。画像処理ルーチンの画像部分分離ステージ76は、検眼ルーペ5
0のレンズ縁部を認識するためのアルゴリズムを含み、前記アルゴリズムは、画像処理に
より、イメージセンサ40、46に供給された画像において検眼ルーペ支持体49の構造
を認識する。このために、画像部分分離ステージ76のアルゴリズム内において、検眼ル
ーペ支持体49の特徴的色にマッチされる色評価機能がある。
【0032】
画像処理ルーチンは、フィルタステージ78を含む。フィルタステージ78では、次に
、画像のイメージセンサ40、46によって捕捉された画像部分がリングフィルタ80に
よって畳み込まれ、その後、そこから画像の像点集合を特定するために、捕捉された画像
内でフィルタ中心81とフィルタ半径r1およびr2とが変化され、前記集合は、検眼ル
ーペ50を取り囲む検眼ルーペ支持体49の部分に対応する。畳み込み関数が極値をとる
リングフィルタ80のフィルタ内半径r1は、検眼ルーペ50の1つの縁部82として決
定される。その後、次のステップにおいて、このようにして特定された検眼ルーペ50の
縁部82に基づき、図2に示される物体領域14の画像の第一の部分70の区域が確立さ
れて、その後、さらなるステップにおいて、これらの第一の部分70を、図2に示される
物体領域14の画像内の第二の部分72の区域から分離する。
【0033】
フィルタステージ78によって画像の第二の部分72から分離された物体領域14の画
像の第一の部分70は、その後、画像処理ルーチン内のミラー反転ステージ84に供給さ
れる。ミラー反転ステージ84において、イメージセンサ40、46の画像の第一の部分
70は、画像68の像面内にありかつ相互に垂直である2つのミラー軸86、88を中心
としたミラー反転による自己同型写像によってミラー反転された第一の部分70’に変換
される。代替的実施形態では、ミラー反転ルーチンの自己同型写像はまた、像面に垂直で
ある回転軸の周囲での第一の部分70の回転として具現化され得ることに留意すべきであ
る。さらに、例えば、このような自己同型写像としてポイントミラー反転を提供すること
が可能である。
【0034】
ミラー反転された第一の部分70’は、その後、画像処理ルーチンにおいて合体ステー
ジ90に転送され、そこで、ミラー反転された第一の部分70’と、イメージセンサ40
、46によって捕捉されている物体領域14の画像の第二の部分72とが再び合成されて
、合成物体領域画像68’を形成する。合成画像の画像データは、次に物体領域14の立
体的画像としてモニタ64上で視覚化される。
【0035】
コンピュータユニット62における画像処理ルーチンは、第一のイメージセンサ40ま
たは第二のイメージセンサ46によって捕捉された画像データに関する画像データの評価
ステージを含み得、前記評価ステージは、捕捉された画像情報、例えば患者の眼54の網
膜の一部の形態の画像情報に応じて、第一または第二のイメージセンサ40、46によっ
て提供される画像データの処理を抑制すること留意すべきである。
【0036】
例えば、患者の眼54の網膜の画像のみが物体領域画像として表示されることを意図さ
れる場合、捕捉された画像情報に応じてトリガされる網膜視覚化ルーチンであって、物体
領域14のそれぞれの画像の第一の部分70は、画像の像面内にありかつ相互に垂直であ
る2つのミラー軸を中心とした第一の部分のミラー反転に対応する自己同型写像において
ミラー反転された第一の部分に変換され、かつその後、モニタ64の形態の画像表示装置
に網膜視覚化ルーチン物体領域画像として出力される、網膜視覚化ルーチンを含む画像処
理ルーチンにより、画像データの不必要な処理が回避され得ることにも留意すべきである
【0037】
図4は、第二の眼科手術視覚化システム10’を示す。眼科手術視覚化システム10’
におけるアセンブリおよび要素が上述の眼科手術視覚化システム10におけるアセンブリ
および要素に対応する限り、これらは、参照記号として同じ番号によって示される。眼科
手術視覚化システム10’には映り込みデータ92のための装置があり、これは、コンピ
ュータユニット62に接続され、かつ第一および第二の立体的な部分的観察ビーム経路2
6、28内の表示情報を、両眼鏡筒30において視認可能な物体領域14の画像に重ねて
表示することを容易にする。
【0038】
図5は、第三の眼科手術視覚化システム10’’を示す。眼科手術視覚化システム10
’’におけるアセンブリおよび要素が上述の眼科手術視覚化システム10におけるアセン
ブリおよび要素に対応する限り、これらは、参照記号として同じ番号によって示される。
眼科手術視覚化システム10および10’の手術顕微鏡12と異なり、眼科手術視覚化シ
ステム10’’の手術顕微鏡12は、第一のイメージセンサ40および第二のイメージセ
ンサ46による物体領域14の立体的な捕捉のための純粋にデジタル式の手術顕微鏡であ
る。
【0039】
第一の眼科手術視覚化システム10のコンピュータユニット62と同様に、第二および
第三の眼科手術視覚化システム10’、10’’のコンピュータユニット62も物体領域
の画像を処理するための画像処理ルーチンを含み、前記画像は、イメージセンサ40、4
6によって捕捉されており、画像処理ルーチンは、図3に基づく上述の機能を有する。
【0040】
要約すれば、本発明の下記の好ましい特徴に特に留意すべきである:眼科手術視覚化シ
ステム10は、イメージセンサ40、46を含み、かつ物体領域14の画像68をイメー
ジセンサ40、46上の結像面58、60に光学結像ビーム経路で生成するための結像系
を含む。眼科手術視覚化システム10は、コンピュータユニット62を含み、これは、物
体領域14の画像68であって、イメージセンサ46によって捕捉されており、かつ像面
を有する画像68のための画像処理ルーチンを含むコンピュータユニット62と、コンピ
ュータユニット62内で処理された画像68の画像データを視覚化するための画像表示装
置64とを含む。本発明によれば、眼科手術視覚化システム10、10’、10’’は、
患者の眼54内にある部分52を、イメージセンサ40、46上の像面58、60と共役
である中間像面56内に結像するための検眼ルーペ50を有する。画像処理ルーチンは、
物体領域の画像68の第一の部分70であって、イメージセンサ40、46によって捕捉
され、かつ検眼ルーペ50を通過する結像ビーム経路によって生成されている第一の部分
を、イメージセンサ40、46上の結像面60内の物体領域14の画像68の第二の部分
72であって、イメージセンサ40、46によって捕捉され、かつ検眼ルーペ50の外側
に延びる結像ビーム経路によって生成されており、および第一の部分と相補的である第二
の部分から分離して、物体領域14の画像68の第一の部分70を、画像68の像面内に
ありかつ相互に垂直である2つのミラー軸86、88を中心とした第一の部分70のミラ
ー反転に対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分70’に変換し、お
よびミラー反転された第一の部分70’と、第一の部分70と相補的である画像68の第
二の部分72とを合体させて、画像ディスプレイに供給される合成物体領域画像を形成す
る役割を果たす。
【符号の説明】
【0041】
10、10’、10’’’ 眼科手術視覚化システム
12 手術顕微鏡
14 物体領域
16 結像光学ユニット
18 顕微鏡主要対物レンズ系
20 本体
22 照明装置
23 照明ビーム経路
24 アフォーカル拡大系
26 第一の立体的な部分的観察ビーム経路
28 第二の立体的な部分的観察ビーム経路
29 インタフェース
30 両眼鏡筒
32 第一の接眼レンズ
34 第二の接眼レンズ
35a 左眼
35b 右眼
36 第一の画像捕捉装置
38 第一の対物レンズ系
40 第一のイメージセンサ
42 第二の画像捕捉装置
44 第二の対物レンズ系
46 第二のイメージセンサ
48 検眼アタッチメントモジュール
49 検眼ルーペ支持体
50 検眼ルーペ
52 部分
54 患者の眼
56 中間像面
58 結像面
59 手術器具
60 結像面
62 コンピュータユニット
64 画像表示装置(モニタ)
66 キーボード
68 画像
68’ 合成物体領域画像
70 第一の部分
70’ ミラー反転された第一の部分
72 第二の部分
74 フローチャート
76 画像部分分離ステージ
78 フィルタステージ
80 リングフィルタ
81 フィルタ中心
82 縁部
84 ミラー反転ステージ
86、88 ミラー軸
90 結合ステージ
92 映り込みデータ
r1、r2 フィルタ半径
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、イメージセンサ(40、46)、前記イメージセンサ(40、46)上の結像面(58、60)内に光学結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するための結像系、前記物体領域(14)の画像(68)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって捕捉されており、かつ像面を有する画像(68)を処理するための画像処理ルーチンを含むコンピュータユニット(62)と、前記コンピュータユニット(62)内で処理された画像の画像データを視覚化するための画像表示装置(64)と、を含む眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、
患者の眼(54)内にある部分(52)を、前記イメージセンサ(40、46)上の前記結像面(58、60)と共役である中間像面(56)内に結像するための検眼ルーペ(50)であって、前記画像処理ルーチンは、前記物体領域(14)の前記画像(68)の第一の部分(70)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって捕捉され、かつ前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路によって生成されている第一の部分(70)を、前記イメージセンサ(40、46)上の前記結像面(58、60)内の前記物体領域(14)の前記画像(68)の第二の部分(72)であって、前記イメージセンサ(40、46)によって捕捉され、かつ前記検眼ルーペ(50)の外側に延びる結像ビーム経路によって生成され、前記第一の部分(70)と相補的である第二の部分(72)から分離して、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分(70)を、前記画像面に対して垂直な回転軸の周りの前記第一の部分(70)の回転に対応する自己同型写像、あるいはポイントミラーに対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換し、および前記回転されたあるいはポイントミラー反転された第一の部分(70’)と、前記第一の部分(70)と相補的である前記第二の部分(72)とを合体させて、画像表示装置(64)に供給される合成物体領域画像(68’)を形成する役割を果たす、検眼ルーペ(50)によって特徴付けられる眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)。
【請求項2】
前記画像処理ルーチンは、前記患者の眼(54)の網膜の一部の形態の画像情報に応じて、網膜視覚化ルーチンにおいて前記画像(68)の前記第一の部分(70)に関する画像データの排他的処理をトリガする、画像データの評価ステージを含み、前記画像データの評価ステージでは、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分(70)は、前記画像面に対して垂直な回転軸の周りの前記第一の部分(70)の回転に対応する自己同型写像、あるいはポイントミラーに対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換され、かつ前記画像表示装置(64)に網膜視覚化ルーチン物体領域画像として出力されることを特徴とする、請求項1に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項3】
眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、第一のイメージセンサ(40)、前記第一のイメージセンサ(40)上の結像面(58)内に光学結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するための第一の結像系、前記物体領域(14)の画像(68)であって、前記第一のイメージセンサ(40)によって捕捉されており、かつ像面を有する画像(68)を処理するための画像処理ルーチンを含むコンピュータユニット(62)と、前記コンピュータユニット(62)内で処理された前記第一のイメージセンサ(40)の画像(68)の画像データを視覚化するための画像表示装置(64)と、を含む眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)であって、
第二のイメージセンサ(46)、および前記第二のイメージセンサ(46)上の結像面(58、60)内に光学結像ビーム経路で物体領域(14)の画像(68)を生成するための第二の結像系であって、前記コンピュータユニットにおける前記画像処理ルーチンは、前記物体領域(14)の画像(68)を処理するようにも設計され、前記画像は、前記第二のイメージセンサ(46)によって捕捉されており
前記画像表示装置(64)は、前記コンピュータユニット(62)内で処理された前記第二のイメージセンサ(46)の画像(68)の画像データを視覚化するようにも設計され、
患者の眼(54)内にある部分(52)を、前記第一のイメージセンサ(40)上の前記結像面(58)と共役である中間像面(56)内に結像し、かつ患者の眼(54)内にある部分(52)を、前記第二のイメージセンサ(46)上の前記結像面(60)と共役である中間像面(56)内に結像するための検眼ルーペ(50)であって、前記画像処理ルーチンは、前記物体領域(14)の前記それぞれの画像の第一の部分(70)であって、前記第一のイメージセンサ(40)および前記第二のイメージセンサ(46)によって捕捉され、かつそれぞれ前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路によって生成されている第一の部分(70)を、前記第一および第二のイメージセンサ(40、46)上の前記結像面(58、60)内の前記物体領域(14)の前記それぞれの画像(68)の第二の部分(72)であって、前記第一および第二のイメージセンサ(40、46)によって捕捉され、かつそれぞれ前記検眼ルーペ(50)の外側に延びる結像ビーム経路によって生成されており、および前記第一の部分(70)と相補的である第二の部分(72)から分離して、前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記それぞれの第一の部分(70)を、前記画像面に対して垂直な回転軸の周りの前記第一の部分(70)の回転に対応する自己同型写像、あるいはポイントミラーに対応する自己同型写像においてそれぞれミラー反転された第一の部分(70’)に変換し、および前記回転されたあるいはポイントミラー反転された第一の部分(70’)と、第一の部分(70’)と相補的である前記第二の部分(72)とをそれぞれ合体させて、前記画像表示装置(64)に供給される合成物体領域画像(68’)を形成する役割を果たす、検眼ルーペ(50)
によって特徴付けられる眼科手術視覚化システム(10、10’、10’’)。
【請求項4】
前記画像処理ルーチンは、前記患者の眼(54)の網膜の一部の形態の画像情報に応じて、網膜視覚化ルーチンにおいて前記物体領域(14)の前記それぞれの画像(68)の前記第一の部分(70)に関する画像データの排他的処理をトリガする、画像データの評価ステージを含み、前記画像データの評価ステージでは、前記物体領域(14)の前記それぞれの画像(68)の前記第一の部分(70)は、前記画像面に対して垂直な回転軸の周りの前記第一の部分(70)の回転に対応する自己同型写像、あるいはポイントミラーに対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換され、かつその後、前記画像表示装置(64)にそれぞれの網膜視覚化ルーチン物体領域画像として出力されることを特徴とする、請求項3に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項5】
前記第一の結像系は、前記第二の結像系より大きい倍率で前記物体領域(14)を結像することを特徴とする、請求項4に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項6】
前記第一のイメージセンサ(40)は、前記物体領域(14)の第一の立体的な部分的画像を捕捉する役割を果たし、かつ前記第二のイメージセンサ(46)は、前記物体領域(14)の第二の立体的な部分的画像を捕捉する役割を果たし、および前記画像表示装置(64)は、前記第一のイメージセンサ(40)と前記第二のイメージセンサ(46)との、前記コンピュータユニット(62)内で処理された画像(68)の画像データを立体的に視覚化するように設計されることを特徴とする、請求項3~5の何れか一項に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項7】
前記画像処理ルーチンは、画像処理によって前記検眼ルーペ(50)のレンズ端部を認識するためのアルゴリズムを含み、かつ前記物体領域(14)の前記画像(68)において前記検眼ルーペ(50)の縁部(82)によって取り囲まれる区域を、前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路で生成された前記物体領域(14)の前記画像(68)の第一の部分として定義することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項8】
前記検眼ルーペ(50)は、検眼ルーペ支持体(49)上に保持され、および前記検眼ルーペ(50)の縁部(82)を認識するための前記アルゴリズムは、前記検眼ルーペ支持体(49)の少なくとも1つの部分の特徴的な色にマッチされる色評価ルーチンを含むことを特徴とする、請求項7に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項9】
前記画像処理ルーチンは、画像処理によって前記患者の眼(54)の瞳孔を認識するためのアルゴリズムを含み、かつ前記物体領域(14)の前記画像(68)において前記検眼ルーペ(50)のレンズ縁部によって取り囲まれる区域を、前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路で生成された前記物体領域(14)の前記画像(68)の第一の部分として定義することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項10】
前記画像処理ルーチンは、前記イメージセンサによって捕捉された前記画像の前記部分がリングフィルタ(80)によって畳み込まれるフィルタステージ(78)を含み、前記フィルタの中心(81)ならびに前記フィルタの半径r1およびr2は、そこから画像の像点集合を特定するために前記補足された画像において変化し、前記集合は前記検眼ルーペ(50)を取り囲む前記検眼ルーペ支持体(49)の前記部分に対応し、このようにして特定された前記検眼ルーペ(50)の前記縁部(82)に基づき、その後これらの第一の部分(70)を前記物体領域(14)の前記画像内の前記第二の部分(72)の区域から分離するために、前記物体領域(14)の前記画像の前記第一の部分(70)の区域が次のステップにおいて確立されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項11】
前記画像処理ルーチンは、前記第一のイメージセンサによって捕捉された前記画像の前記部分がリングフィルタ(80)によって畳み込まれるフィルタステージ(78)を含み、前記フィルタの中心(81)ならびに前記フィルタの半径r1およびr2は、そこから画像の像点集合を特定するために前記補足された画像において変化し、前記集合は前記検眼ルーペ(50)を取り囲む前記検眼ルーペ支持体(49)の前記部分に対応し、このようにして特定された前記検眼ルーペ(50)の前記縁部(82)に基づき、その後これらの第一の部分(70)を前記物体領域(14)の前記画像内の前記第二の部分(72)の区域から分離するために、前記物体領域(14)の前記画像の前記第一の部分(70)の区域が次のステップにおいて確立されることを特徴とする、請求項3又は5に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項12】
観察ビーム経路と、コンピュータユニット(62)に接続され、前記観察ビーム経路(26、28)内の情報を前記物体領域(14)の画像に重ねて表示するように構成される、映り込みデータ(92)のための装置と、によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項13】
第1および第2の部分的観察ビーム経路と、コンピュータユニット(62)に接続され、前記第1および第2の部分的観察ビーム経路(26、28)内の情報を前記物体領域(14)の画像に重ねて表示するように構成される、映り込みデータ(92)のための装置と、によって特徴付けられる、請求項3又は6に記載の眼科手術視覚化システム。
【請求項14】
コンピュータが、患者の眼(54)を視覚化するための画像データを提供する方法であって、
イメージセンサ(40、46)が、患者の眼(54)の画像(68)を画像処理ルーチンに供給するステップと、
コンピュータユニット(62)が、画像処理ルーチンにおいて前記画像(68)を処理して画像データを形成するステップと
を含む方法において、
前記患者の眼(54)の前記画像(68)は、検眼ルーペ(50)を少なくとも部分的に通過する結像ビーム経路で捕捉され
前記検眼ルーペ(50)を通過する結像ビーム経路で生成されている、物体領域(14)の前記画像(68)の前記捕捉された第一の部分(70)は、前記物体領域(14)の前記画像(68)の第二の部分(72)であって、前記検眼ルーペ(50)の外側に延びる結像ビーム経路で生成されており、かつ前記第一の部分(70)と相補的である第二の部分から分離され、
前記物体領域(14)の前記画像(68)の前記第一の部分(70)は、前記画像面に対して垂直な回転軸の周りの前記第一の部分(70)の回転に対応する自己同型写像、あるいはポイントミラーに対応する自己同型写像においてミラー反転された第一の部分(70’)に変換され、前回転されたあるいはポイントミラー反転された第一の部分(70’)は、前記第一の部分(70)と相補的である前記第二の部分(72)と合体されて、合成物体領域画像(68’)に関する画像データを形成することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記コンピュータユニット(62)上において、請求項14に記載の方法を実行するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【外国語明細書】