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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053088
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】赤外線発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/30 20100101AFI20230405BHJP
   H01L 33/06 20100101ALI20230405BHJP
【FI】
H01L33/30
H01L33/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018074
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2021513333の分割
【原出願日】2019-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】520163407
【氏名又は名称】天津三安光電有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 均富
(72)【発明者】
【氏名】蕭 志宏
(57)【要約】
【課題】元の赤外光エピタキシャル構造は、フリップ生産によりボンディングの歩留まりが低い及びメサエッチという問題点があり、フリップ発光ダイオードの製造を実現できなく、本発明は赤光エピタキシャル構造中の活性層の一部を赤外線エピタキシャル構造中の活性層に変えることにより、赤外線フリップ発光ダイオードの製造を実現できる。
【解決手段】本発明は、半導体発光シリーズを備え、該半導体発光シリーズは、井戸層及び障壁層が交互に積層された量子井戸構造の活性層と、前記活性層を挟む第1の導波層及び第2の導波層と、前記第1の導波層及び第2の導波層を隔てて前記活性層を挟む第1のカバー層及び第2のカバー層と、を有し、前記第1の導波層及び第2の導波層は、組成式が(AlX3Ga1-X3Y1In1-Y1P(0-Y1組成、0<Y1≦1)の化合物半導体により組成される赤外線発光ダイオードを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光シリーズを備え、
該半導体発光シリーズは、井戸層及び障壁層が交互に積層された量子井戸構造の活性層と、前記活性層を挟む第1の導波層及び第2の導波層と、前記第1の導波層及び第2の導波層を隔てて前記活性層を挟む第1のカバー層及び第2のカバー層と、を有し、
前記第1の導波層及び第2の導波層は、組成式が(AlX3Ga1-X3)Y1In1-Y1Pの化合物半導体により組成され、式中0≦X3≦1、0<Y1≦1であることを特徴とする赤外線発光ダイオード。
【請求項2】
前記井戸層は、組成式が(InX1Ga1-X1)Asの化合物半導体により構成され、障壁層は、組成式が(AlX2Ga1-X2)Asの化合物半導体により構成され、式中0≦X1≦1、0≦X2≦1であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項3】
前記第1のカバー層及び第2のカバー層は、組成式が(AlX4Ga1-X4)Y2In1-Y2Pの化合物半導体により組成され、式中0≦X4≦1、0<Y2≦1であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項4】
前記半導体発光シリーズ上にある電流拡散層を更に備え、前記電流拡散層は、GaPであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項5】
前記電流拡散層と接合する透明基板を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項6】
前記井戸層及び障壁層のペア数は、10ペア以下、1ペア以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項7】
前記井戸層数におけるInの組成にあるX1は、0.1≦X1≦0.3に設定されることを特徴とする請求項2に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項8】
前記井戸層の厚さは、4~15nmであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記透明基板は、GaP、サファイアまたはSiCにより構成されることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記半導体発光シリーズが射出する光の波長は、680~1100nmであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記電流拡散層の厚さは、3~10μmであることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記電流拡散層の表面は粗面化されて、粗面が形成されていて、該粗面の粗さは、100~300nmであることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記粗面に透明ボンディング層を蒸着し、前記透明基板は、該透明ボンディング層を介して前記電流拡散層にボンディングされていることを特徴とする請求項5または請求項12に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記透明ボンディング層の材料は、SiOであり、その厚さは、1~5μmであることを特徴とする請求項13に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
前記第1の導波層及び第2の導波層におけるAlの組成にあるX3は、0.2≦X3≦0.8、0.3≦Y1≦0.7に設定されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記第1のカバー層及び第2のカバー層におけるAlの組成にあるX4は、0.2≦X4≦0.8、0.3≦Y1≦0.7に設定されることを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
主要出光面が、前記透明基板の電流拡散層と接合する面の反対側の面であることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
第1の電極及び第2の電極を更に含み、前記第1の電極及び第2の電極は、発光ダイオードの主要出光面の反対側の面に設置されることを特徴とする請求項17に記載の発光ダイオード。
【請求項19】
前記第1の電極及び第2の電極は、オーミック電極であることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
取付基板と、前記取付基板に取り付けられている少なくとも1つの発光ダイオードとを含む発光ダイオードパッケージにおいて、少なくとも1つのまたは複数のまたは全部の前記発光ダイオードが、請求項1~19のいずれか一項に記載の発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードパッケージ
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の発光ダイオードを備えることを特徴とする発光装置。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか一項に記載の発光ダイオードを備えることを特徴とする遠隔操縦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体光電子技術領域に関し、より具体的には、赤外線発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線発光ダイオードは、赤外線を発するダイオードであり、セキュリティ監視、ウェアラブルデバイス、赤外線通信、赤外線遠隔操縦装置、センサー用光源及び夜間照明などの領域、特に気体検出に応用されている。フリップ技術は、発光効率を上げ、熱放散性能を上げ、パッケージの信頼性及び歩留まりを上げる利点があるので、フリップ技術は重要なチップ技術である。
【0003】
一般の赤外線の三元エピタキシャルシステムにおいて、p型半導体層は、一般的にp型AlGaAs材料である。現行のフリップボンディング技術で作ると、透明ボンディング層のSiO材料とエピタキシャルAlGaAs材料との付着度が悪く、基材を外した後、エピタキシャル層が透明ボンディング層から脱落しやすく、ボンディングの歩留まりが非常に低くなり、ひいてはボンディングすら実現できない。また、赤外線の三元エピタキシャルシステムのメサエッチには、ウェットエッチング方法を使用することが必要である。しかし、今の赤光フリップ生産で使用されているのはドライエッチング方法であり、これは適用できない。赤外線のエピタキシャル層の組成が変わらない状況において、今の赤外線フリップ生産の製造を実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題点を鑑みて、本発明は、赤光エピタキシャル構造中の活性層を赤外線エピタキシャル構造の活性層に変えることにより、他のエピタキシャル構造には赤光のエピタキシャル構造を適用し、今のフリップ生産のステップを変える必要がなく、赤外線フリップ生産を実現でき、一定の実用性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明は、半導体発光シリーズを備え、該半導体発光シリーズは、井戸層及び障壁層が交互に積層された量子井戸構造の活性層と、前記活性層を挟む第1の導波層及び第2の導波層と、前記第1の導波層及び第2の導波層を隔てて前記活性層を挟む第1のカバー層及び第2のカバー層と、を有し、前記第1の導波層及び第2の導波層は、組成式が(AlX3Ga1-X3)Y1In1-Y1Pの化合物半導体により組成される(式中0≦X3≦1、0<Y1≦1である)ことを特徴とする赤外線発光ダイオードを提供する。
【0006】
好ましくは、前記井戸層は、組成式が(InX1Ga1-X1)Asの化合物半導体により構成され、障壁層は、組成式が(AlX2Ga1-X2)Asの化合物半導体により構成され、式中0≦X1≦1、0≦X2≦1である。
【0007】
好ましくは、前記第1のカバー層及び第2のカバー層は、組成式が(AlX4Ga1-
X4)Y2In1-Y2Pの化合物半導体により組成され、式中0≦X4≦1、0<Y2
≦1である。
【0008】
好ましくは、前記半導体発光シリーズ上にある電流拡散層を更に備え、前記電流拡散層は、GaPである。
【0009】
好ましくは、前記電流拡散層と接合する透明基板を更に備える。
【0010】
好ましくは、前記井戸層及び障壁層のペア数は、10ペア以下、1ペア以上である。
【0011】
好ましくは、前記井戸層数におけるInの組成にあるX1は、0.1≦X1≦0.3に設定される。
【0012】
好ましくは、前記井戸層の厚さは、4~15nmである。
【0013】
好ましくは、前記透明基板は、GaP、サファイアまたはSiCにより構成される。
【0014】
好ましくは、前記半導体発光シリーズが射出する光の波長は、680~1100nmである。
【0015】
好ましくは、前記電流拡散層の厚さは、3~10μmである。
【0016】
好ましくは、前記電流拡散層の表面は粗面化されて、粗面が形成されていて、該粗面の粗さは、100~300nmである。
【0017】
好ましくは、前記粗面に透明ボンディング層を蒸着し、前記透明基板は、該透明ボンディング層を介して前記電流拡散層にボンディングされている。
【0018】
好ましくは、前記透明ボンディング層の材料は、SiOであり、その厚さは、1~5μmである。
【0019】
好ましくは、前記第1の導波層及び第2の導波層におけるAlの組成にあるX3は、0.2≦X3≦0.8、0.3≦Y1≦0.7に設定される。
【0020】
好ましくは、前記第1のカバー層及び第2のカバー層におけるAlの組成にあるX4は、0.2≦X4≦0.8、0.3≦Y1≦0.7に設定される。
【0021】
好ましくは、主要出光面が、前記透明基板の電流拡散層と接合する面の反対側の面である。
【0022】
好ましくは、第1の電極及び第2の電極を更に含み、前記第1の電極及び第2の電極は、発光ダイオードの主要出光面の反対側の面に設置される。
【0023】
好ましくは、前記第1の電極及び第2の電極は、オーミック電極である。
【0024】
本発明は、取付基板と、前記取付基板に取り付けられている少なくとも1つの発光ダイオードとを含む発光ダイオードパッケージにおいて、少なくとも1つのまたは複数のまたは全部の前記発光ダイオードが、上記の発光ダイオードである発光ダイオードパッケージを同時に提供する。
【0025】
本発明は、上記の発光ダイオードを備える発光装置を提供する。
【0026】
本発明は、上記の発光ダイオードを備える遠隔操縦装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
上記のように、本発明で設計された発光ダイオードは、以下の有益な効果を含む。
【0028】
赤光エピタキシャルシステム中の活性層部分を赤外線エピタキシャルシステムのInGaAs/AlGaAs材料に変えることにより、従来のフリップ生産のステップを変えない状況で、赤外線発光ダイオードのフリップ生産を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例1の発光ダイオードの断面説明図である。
図2】本発明の実施例1の発光ダイオードの活性層の説明図である。
図3】本発明の実施例1の発光ダイオードに使用するエピタキシャルチップの断面説明図である。
図4】本発明の実施例1の発光ダイオードに使用するボンディングチップの断面説明図である。
図5】本発明の実施例1の発光ダイオードを使用して形成されたパッケージの構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、特定の具体実施例で本発明の実施方式について詳しく説明する。本領域の技術者は本明細書に開示されている内容により簡単に本発明の他のメリット及び機能を理解できる。本発明は、他の異なる具体的な実施例により実施または応用できる。本明細書の各細部内容も異なる角度及び応用により、本発明の精神に反しない状況で各修飾及び変化を行える。
【0031】
説明すべきなのは、本実施例に提供した図面は、要旨を表示する方法で本発明の基本構想を説明するものであり、即ち図面には、実際に実施する時の構成要件の数、形状、寸法に基づいて描いたものではなく、本発明に関わる構成要件のみを表すものである。実際に実施する時の各構成要件の形態、数量、比率は適宜に変更でき、構成要件の構成形態もより複雑であり得る。
【0032】
実施例1
本発明は、図1に示す断面説明図のように、透明基板001、透明ボンディング層002、電流拡散層003、下部カバー層004、下部導波層005、活性層006、上部導波層007、上部カバー層008、第1の電極009、第2の電極010による積重ね層を含む発光ダイオード10を提供する。
【0033】
以下、各構造積重ね層について詳しく説明する。
【0034】
エピタキシャル成長層とも称する化合物半導体層1は、図3に示されるように、PN接合型の半導体発光シリーズ2及び電流拡散層003が順次に積層された構造を有する。該化合物半導体層1の構造においては、他の周知の機能層を含み、例えば、オーミック電極の接触抵抗を低減するための接触層、発光ダイオードの駆動電流を平面全体内に拡散させるためのn型電流拡散層、が挙げられる。更に、化合物半導体層1は、GaAs基板にエピタキシャル成長により形成される層であることが好ましい。
【0035】
本実施例における主要出光面は、前記透明基板001の電流拡散層003と接合する面の反対側の面である。
【0036】
透明基板001は、透明ボンディング層002を介して化合物半導体層1の主要の光取出し面と反対する面にボンディングされている。本実施例における透明ボンディング層は、SiO材料であり、蒸着により電流拡散層003に透明ボンディング層002が形成
されている。該透明基板001は、半導体発光シリーズ2を機械的に支持する十分な強度を有し、且つ半導体発光シリーズ2から射出する光が透過することができ、活性層006からの発光波長に対して光学的に透明な材料により構成されたものである。なお、耐湿性が優れる化学的に安定した材料が好ましく、例えば、腐食されやすいAlなどを含まない材料を採用することが好ましい。
【0037】
透明基板001は、熱膨張率係数が半導体発光シリーズ2に近く、耐湿性が優れる基板であり、伝熱性能が良好なGaP、SiCまたはサファイア基材は好ましい。十分な機械強度で半導体発光シリーズ2を支持できるように、透明基板の厚さは50μm以上であることが好ましい。なお、化合物半導体層1にボンディングした後に透明基板001を機械的に加工しやすいようにするために、厚さは300μmを超えないことが好ましい。本実施例において、透明基板001は、サファイア基板である。
【0038】
半導体発光シリーズ2は、図1に示されるように、電流拡散層003に少なくとも順次にp型の下部カバー層(第1のカバー層)004、下部導波層005、活性層006、上部導波層007、n型の上部カバー層(第2のカバー層)008を積層することにより構成される。高強度の発光を得るために、半導体発光シリーズ2は、電荷担体が活性層006内で発光するよう制限するための、活性層006の下側及び上側で向かい合うように配置される下部カバー層004及び下部導波層005と、上部導波層007及び上部カバー層008とのダブルヘテロ接合構造を含むように形成されることが好ましい。
【0039】
活性層006は、図2に示されるように、発光ダイオードの発光波長を調整するために、量子井戸構造を形成する。即ち、活性層006は、両端に障壁層012、井戸層011及び障壁層012の多層構造を有する。1層の井戸層011及び1層の障壁層012の1対をペア層とする場合、ペア層数が5対である量子井戸構造は、5層の井戸層011及び6層の障壁層012により構成される。
【0040】
活性層006の厚さは、0.02~2μmの範囲にあることが好ましい。活性層006の伝導タイプは特に限定されず、ドーピングなし、p型、n型のいずれも選択できる。発光効率を上げるために、結晶性が良好なドーピングなしまたは電荷担体濃度が3*10
cm-3より低いものが好ましい。活性層006の結晶性の向上により、エピタキシャル成長の欠陥が低減して、エピタキシャル欠陥における光の吸収を抑え、発光効率が向上する。
【0041】
井戸層011は、組成式がInX1Ga1-X1As(0≦X1≦1)の化合物半導体により構成される。Inの組成は、0.1≦X1≦0.3が好ましい。井戸層011のInの組成X1を該範囲に設定することにより、発光ダイオードの発光波長が680~1100nmの範囲内にあることを実現できる。井戸層011の厚さが一定の場合、井戸層011のInの組成(X1)が高いほど、発光波長が長い。
【0042】
井戸層011の厚さは、3~30nmの範囲がより適合であり、4~15nmの範囲が好ましい。
【0043】
障壁層012は、組成式が(AlX2Ga1-X2)As(0≦X2≦1)の化合物半導体により構成される。障壁層012における光の吸収を防止するために、障壁層012は、バンドギャップが井戸層より大きい。なお、障壁層012を結晶性の角度から見ると、Alの濃度が低いことが好ましい。従って、障壁層012のAlの組成は、0.05~0.5の組成が好ましい。
【0044】
障壁層012の厚さは、井戸層011の厚さと同じかまたはそれより厚いことが好まし
い。障壁層012の厚さを、トンネル効果が生じる範囲内で十分に厚くすることにより、トンネル効果による井戸層011の結合と拡散の制限の両方に配慮でき、電荷担体の封入効果が増え、電子と正孔の発光再結合の確率が大きくなり、発光効率が向上できる。
【0045】
本発明の発光ダイオードにおいて、井戸層011と障壁層012との多層構造中、井戸層011と障壁層012とが交互に積層するペア層数は10ペア層以下であるが、1ペア層でもよい。即ち、活性層006に0~10層の井戸層011を含むことが好ましい。多重量子井戸構造の活性層の場合、量子井戸層の数が少ないほど、電子と正孔が封入されるエリアが狭くなって、電子と正孔の発光再結合の確率が大きくなり、また、井戸層011と障壁層012との間に格子不整合が存在するので、ペア層数が多すぎると、結晶欠陥が生じて、発光効率が低下する。従って、井戸層011及び障壁層012のペア層数は、10ペア以下が好ましい。
【0046】
活性層006と下部カバー層004または上部カバー層008との結合面積は、20000~90000μmであることが好ましい。
【0047】
下部導波層005と上部導波層007とのそれぞれは、活性層006の下面と上面とに設置されている。具体的には、活性層006の下面に下部引導層005が設置されており、活性層006の上面に上部引導層007が設置されている。
【0048】
下部引導層005及び上部引導層007は、(AlX3Ga1-X3Y1In1-Y1P(0≦X3≦1、0<Y1≦1)の化合物半導体により組成され、式中Alの組成X3は、バンドギャップが障壁層と相当またはより大きい組成が好ましく、0.2~0.8の範囲が好ましく、Y1は0.3~0.7の範囲が好ましい。
【0049】
下部引導層005及び上部引導層007は、活性層006と下部カバー層004及び上部カバー層008との間の欠陥の拡大を低減させるために設置される。下部導波層005及び上部導波層007の厚さは、10nm以上が好ましく、20nm~100nmがより好ましい。
【0050】
下部導波層005及び上部導波層007の伝導タイプは特に限定されず、ドーピングなし、p型、n型のいずれも選択できる。発光効率を上げるために、結晶性が良好なドーピングなしまたは電荷担体濃度が3*1017cm-3より低いものが好ましい。
【0051】
下部カバー層004及び上部カバー層008は、図1に示されるように、それぞれが下部導波層005の下面と上部導波層007の上面とに設置されている。下部カバー層004及び上部カバー層008は、(AlX4Ga1-X4Y2In1-Y2P(0≦X4≦1、0<Y2≦1)の化合物半導体により構成され、バンドギャップが障壁層より大きい材料が好ましく、バンドギャップが下部導波層004及び上部導波層006より大きい材料がより好ましい。上記の条件を満足するために、(AlX4Ga1-X4Y2In1-Y2PのAlの組成X4は0.2~0.8の組成を有することが好ましい。また、Y2は0.3~0.7が好ましい。X4はカバー層として機能を発揮し、且つ、発光波長に対して透明となる範囲で選択する。カバー層は厚膜なので、基板の格子整合の角度から見ると、Y2は、結晶生長が良好に進行できる範囲が好ましい。
【0052】
下部カバー層004及び上部カバー層008は、極性が異なるように組成される。下部カバー層004及び上部カバー層008の電荷担体濃度及び厚さは、周知の適合の範囲を採用することができ、条件を最適化することが好ましく、それにより活性層006の発光効率が向上できる。また、下部カバー層004及び上部カバー層008の組成を制御することにより、化合物半導体層1の反りを低減させることができる。
【0053】
具体的には、下部カバー層004として、例えばMgがドーピングされたp型の(Al
X4aGa1-X4a)Y2aIn1-Y2aP(0.2≦X4a≦0.8、0.3<Y2a≦0.7)により構成された半導体材料を使用することが好ましい。また、電荷担体濃
度は、7*1017~3*1018cm-3の範囲が好ましく、厚さは、0.1~1μmの範囲が好ましい。
【0054】
一方、上部カバー層008として、例えばSiがドーピングされたn型の(AlX4b
Ga1-X4b)Y2bIn1-Y2bP(0.2≦X4b≦0.8、0.3<Y2b≦0.7)により構成された半導体材料を使用することが好ましい。また、電荷担体濃度は、
7*1017~3*1018cm-3の範囲が好ましく、厚さは、0.1~1μmの範囲が好ましい。
【0055】
下部カバー層004及び上部カバー層008の極性は、結合する化合物半導体のデバイス構造に応じて選択できる。
【0056】
また、半導体発光シリーズ2の構成層の上方には、オーミック電極の接触抵抗を低減するための接触層、デバイス駆動電流を半導体発光シリーズ全体に平面的に拡散させるための電流拡散層、その反対にデバイス駆動電流の流通エリアを制限する電流阻止層などの周知の層構造を設置できる。
【0057】
電流拡散層003は、半導体発光シリーズ2の下方に設置され、該電流拡散層003は、化合物半導体層1がGaAs基板でエピタキシャル成長する時活性層006による応力変形を低減できる。
【0058】
電流拡散層003は、活性層006からの発光波長に対して光学的に透明な材料を応用でき、例えばGaPである。電流拡散層003の厚さは、3~10μmの範囲が好ましい。電流拡散層003の厚さが3μmより小さいと、電流の拡散が不充分になり、電流拡散層003の厚さが10μmより大きいと、発光ダイオードの製造コストが増える。
【0059】
電流拡散層003は、溶液エッチングの方法で粗面化され、粗面化後に不規則な錐状表面が形成される。蒸着の方法で粗面に透明ボンディング層002を形成する。電流拡散層003の粗面化により、粗面化処理後、電流拡散層003と透明ボンディング層002とのボンディング効果が向上する。本実施例において、透明ボンディング層は、SiOであり、厚さが1~5μmである。化合物半導体層1は、透明ボンディング層002を介して透明基板001にボンディングされた。
【0060】
第1の電極009及び第2の電極010は、発光ダイオードの主要出光面の反対側の面に設置される。前記第1の電極及び第2の電極は、オーミック電極である。第1の電極(n型オーミック電極)は、上部カバー層008の上方に設置され、例えばAuGe、Ni合金/Auで形成された合金を使用できる。また、第2の電極(p型オーミック電極)は、露出した電流拡散層003の表面に、AuBe/Au、またはAuZn/Auで形成された合金を使用できる。
【0061】
本実施例の発光ダイオードにおいて、第2の電極とするp型オーミック電極010を電流拡散層003に形成することが好ましい。即ち、p型GaPにより構成された電流拡散層に、良好なオーミック接触を得られるので、動作電圧を低減できる。
【0062】
以下、実施例1に述べた発光ダイオードの製造方法を説明する。
【0063】
先ず、図3に示されるように、生長基板であるGaAs基板013に化合物半導体層1を形成する。該化合物半導体層1には、GaAsにより構成された緩衝層014、選択エッチングに使用するために設置された腐食停止層015、Siがドーピングされたn型の(AlX5Ga1-X5)Y3In1-Y3P(0≦X5≦1、0<Y3≦1)により構成された接触層016、n型の上部カバー層008、上部導波層007、活性層006、下部導波層005、p型の下部カバー層004、Mgがドーピングされたp型GaPにより構成された電流拡散層003が順次に積層される。
【0064】
GaAs基板013は、周知の製造方法で製造された市販の単結晶基板を使用することができる。GaAs基板013のエピタキシャル成長を行う表面は、平滑のものが好ましい。品質の安定性から見ると、GaAs基板013の表面の面配向が、エピタキシャル成長しやすく、且つ量産された(100)面及び(100)から±20°以内でずれた基板は好ましい。GaAs基板013の面配向の範囲は、(100)方向から(0-1-1)方向に15°±5°ずれることがより好ましい。
【0065】
GaAs基板013に成長した化合物半導体の結晶の質を向上させるために、GaAs基板013は転位密度が低いものが好ましい。具体的には、例えば、10000個cm-2以下が望ましく、1000個cm-2以下が好ましい。GaAs基板は、n型のもので、一般的にSiがドーピングされ、電荷担体濃度が1*1017~5*1018cm-3の範囲が好ましい。
【0066】
GaAs基板013の厚さは、基板の寸法に応じて適宜の範囲を有する。GaAs基板013の厚さが比較的に薄いと、化合物半導体の製造過程において破裂が生じやすい。一方、GaAs基板013の厚さが厚すぎると、材料のコストが増える。従って、GaAs基板013の寸法が大きい場合、例えば直径が75mmである場合、製造過程での破裂を防止するために、GaAs基板013の厚さは、250~500μmが好ましい。同じく、直径が50mmである場合、200~400μmが好ましく、直径が100mmである場合、350~600μmが好ましい。
【0067】
GaAs基板013の基板寸法に応じて基板を厚くすることにより、活性層006による化合物半導体層1の反りを低減させることができる。エピタキシャル成長中の温度分布が均一になるので、活性層の面内の波長分布の均一性が向上できる。
【0068】
緩衝層014は、GaAs基板013及び半導体発光シリーズ2の構成層の欠陥の拡散を低減するために設置される。緩衝層014の材料は、エピタキシャル成長を行う基板と同じ材料が好ましい。従って、本実施例において、緩衝層014は、GaAs基板013と同じ材料のGaAsである。なお、欠陥の拡大を低減するために、緩衝層014は、GaAs基板013と異なる材料により構成された多層膜を使用することもできる。緩衝層014の厚さは、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上が好ましい。
【0069】
接触層016は、電極との接触抵抗を低減するために設置される。接触層016の材料は、バンドギャップが活性層006より大きい材料が好ましく、AlGaInPをうまく使用できる。また、接触層016の電荷担体濃度の下限値は、電極との接触抵抗を低減するために5*1017cm-3以上が好ましく、1*1018cm-3以上がより好ましい。電荷担体濃度の上限値は、結晶性の低下を引き起こしやすくなる2*1019cm-3以下が好ましい。接触層016の厚さは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。接触層016の厚さの上限値は特に限定せず、エピタキシャル成長のコストを適宜の範囲内に設定するために5μm以下が好ましい。
【0070】
そして、図4に示されるように、溶液エッチングの方法で、化合物半導体層1の電流拡
散層003の表面を粗面化して、粗面を形成する。粗面の表面に透明ボンディング層002を蒸着する。本実施例において、透明ボンディング層の材料は、SiOであり、厚さは2μmである。前記透明ボンディング層002は、堆積された後、仕上げ磨き処理を経て、平坦面に形成される。上記の構造を透明基板001にボンディングする。本実施例において、前記透明基板001は、サファイア基板である。
【0071】
エピタキシャル成長基材GaAs基板013と緩衝層014及び腐食停止層015は、薄化、化学腐食除去を経て、接触層016を露出し、接触層016上に第1の電極009を製造する。接触層016、上部カバー層008、上部引導層007、活性層006、下部引導層005、p型の下部カバー層004の規定範囲に対して選択的にエッチング除去を行い、電流拡散層003を露出させ、該露出した電流拡散層003上に第2の電極010を製造する。
【0072】
最後に、透明基板を研磨して薄化し、レーザー切断により独立の発光ダイオードを形成した。
【0073】
また、本発明は、図5に示されるパッケージを同時に提供する。少なくとも1つの本発明実施例1の発光ダイオードを取付基板30に取り付ける。取付基板30は絶縁性基板であり、取付基板30の一方の表面には、電気的に隔離された第1の電極端子301及び第2の電極端子302を有する。発光ダイオード10は、取付基板30の一方の表面に位置し、発光ダイオード10の第1の電極009及び第2の電極010のそれぞれは、第1の結合部303及び第2の結合部304を介して、第1の電極端子301及び第2の電極端子302に連接される。第1の結合部303及び第2の結合部304は、溶接材料、例えば共晶溶接材料またはリフロー溶接材料を含むが、それらに限らない。
【0074】
具体的な実施例を用いて本発明の効果を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0075】
本実施例においては、本発明で設計された発光ダイオードの例を具体的に説明する。本実施例で製造された発光ダイオードは、InGaAs構成の井戸層及びAlGaAs構成の障壁層の量子井戸構造で構成された活性層を有する赤外線発光ダイオードである。本実施例において、GaAs基板に成長した化合物半導体層を透明基板に結合させて発光ダイオードを製造した。
【0076】
実施例1の発光ダイオードにおいて、活性層とカバー層の結合面積は60000μm(300μm*200μm)である。
【0077】
実施例1の発光ダイオードは、先ず、Siがドーピングされたn型のGaAs単結晶により構成されたGaAs基板に、化合物半導体層で製造された発光波長が830nmのエピタキシャルチップを順次に積層した。GaAs基板は、(100)面から(0-1-1)方向へ15°傾いた面を成長面とし、電荷担体濃度を2*1018cm-3に設定した。また、GaAs基板の厚さは、約0.5μmである。化合物半導体層として、SiがドーピングされていないGaAsにより構成された緩衝層と、Ga0.5In0.5Pにより構成された腐食阻止層と、Siがドーピングされた (Al0.6Ga0.4)0.5In
.5Pにより構成されたn型の接触層と、SiがドーピングされたAl0.5In0.5Pにより構成されたn型の上部カバー層と、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pにより構成された上部導波層と、In0.2Ga0.8As/Al0.2Ga0.8
のペアにより構成された井戸層/障壁層と、(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pにより構成された下部導波層と、MgがドーピングされたAl0.5In0.5Pにより構成されたp型の下部カバー層と、(Al0.4Ga0.6)0.5In0.5Pにより構
成された薄膜である中間過渡層と、Mgがドーピングされたp型のGaPにより構成された電流拡散層とを含む。
【0078】
本実施例において、有機金属化学気相成長装置(MOCVD装置)を採用し、直径が100mm、厚さが350μmのGaAs基板に化合物半導体層をエピタキシャル成長させて、エピタキシャルチップを形成した。エピタキシャル成長層を成長させる際に、III族構成元素の原料として、トリメチルアルミニウム((CH)Al)、トリメチルガリウム((CH)Ga)、トリメチルインジウム((CH)In)を使用する。Mgのドーピング原料として、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(bis-(C)
Mg)を使用する。Siのドーピング原料として、ジシラン(Si)を使用する。また、V族構成元素の原料として、ホスファン(PH)、アルシン(AsH)を使用する。各層の成長温度としては、P型GaPにより構成された電流拡散層が750℃以上で成長し、その他の各層は680~750℃で成長する。
【0079】
GaAsにより構成された緩衝層は、その厚さが約0.3μmである。接触層は、電荷担体濃度を1*1018cm-3に設定し、層の厚さが約3μmである。上部カバー層は、電荷担体濃度を1*1018cm-3に設定し、層の厚さが約0.5μmである。上部引導層は、ドーピングなし、且つその厚さが約80nmである。井戸層は、ドーピングなし、且つその厚さが約5.5nmのIn0.2Ga0.8Asであり、障壁層は、ドーピングなし、且つその厚さが約15nmのAl0.2Ga0.8Asである。下部引導層は、ドーピングなし、且つその厚さが約0.2μmである。下部カバー層の電荷担体濃度は1.5*1018cm-3であり、層の厚さが約0.4μmである。中間層の電荷担体濃度は1*1018cm-3であり、GaPにより構成された電流拡散層は、電荷担体濃度が4*1
18cm-3であり、層の厚さが約8μmである。
【0080】
そして、溶液エッチングの方法で、化合物半導体層の電流拡散層GaPの表面に粗面化を行って、粗面を形成する。粗面の表面に透明ボンディング層SiOを蒸着し、その厚さが約2μmである。前記透明ボンディング層は、堆積された後、仕上げ磨き処理を経て、平坦面に形成された。上記の構造を透明サファイア基板にボンディングした。
【0081】
そして、薄化、化学腐食でエピタキシャル成長基材GaAs基板と緩衝層及び腐食停止層を除去して、接触層を露出し、接触層上に第1の電極を製造した。フォトリソグラフィマスクの方法により、選択的に上部カバー層、上部引導層、活性層、下部引導層、p型の下部カバー層の一部をエッチング除去し、電流拡散層を露出させ、該露出した電流拡散層上に第2の電極を製造した。
【0082】
最後に、サファイア基板を研磨して薄化すること及びレーザー切断により独立の発光ダイオードチップを形成した。
【0083】
実験の結果によると、基材を除去した後、エピタキシャル層とボンディング層との間の付着性が良好であり、ボンディング層を介して透明基板に安定に連接する。
【0084】
実施例2
実施例1との違いは、本実施例では、上部導波層及び下部導波層の材料をAlGaAsに設定し、それ以外は実施例1と同じ条件で発光ダイオードの製造を行う。
【0085】
実施例1及び2の発光ダイオードに対して光電子性能テストを行った。その特性結果は以下表1に示される。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1において、n型及びp型オーミック電極の間に電流を通すと、ピーク発光波長が830nmの赤外線が射出した。また、表1に示されるように、実施例1において、順方向で5ミリアンペア(mA)の電流時の順方向電圧(Vf)は、化合物半導体層を構成する電流拡散層及び透明基板の接合界面の低抵抗特性及び各オーミック電極の良好なオーミック接触特性を表し、そのVf1は1.95Vである。順方向電流を5mAに設定した時、発光の出力パワー(P)は、2mWである。実施例2の発光ダイオードに対してテストを行ったところ、順方向電流が5mAである時、発光出力パワー(P)及び順方向電圧(Vf)のそれぞれは、1mW、3.0Vである。実験結果によると、導波層がAlInPである時、AlGaAsを導波層として使用する時に比べて、その光出力パワー(P)が高く、順方向電圧(Vf)が低く、これはカバー層AlGaInPに導波層AlGaASをエピタキシャル成長する時に、その界面に欠陥が生じて、発光ダイオードの発光効率及び順方向電圧が影響されたことが原因である。
【0088】
上記実施例は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施例に対して若干の変更や修飾が可能で有る。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【符号の説明】
【0089】
001 透明基板
002 透明ボンディング層
003 電流拡散層
004 下部カバー層
005 下部導波層
006 活性層
007 上部導波層
008 上部カバー層
009 第1の電極
010 第2の電極
011 井戸層
012 障壁層
013 GaAs基板
014 緩衝層
015 腐食停止層
016 接触層
10 発光ダイオード
1 化合物半導体層
2 半導体発光シリーズ
301 第1の電極端子
302 第2の電極端子
303 第1の結合部
304 第2の結合部
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板に取り付けられている半導体発光シリーズを備え、
該半導体発光シリーズは、井戸層及び障壁層が交互に積層された量子井戸構造の活性層と、前記活性層を挟む第1の導波層及び第2の導波層と、前記第1の導波層及び第2の導波層を隔てて前記活性層を挟む第1のカバー層及び第2のカバー層と、を有し、
前記第1の導波層及び第2の導波層は、組成式が(AlX3Ga1-X3Y1In1-Y1Pの化合物半導体により組成され、式中0≦X3≦1、0<Y1≦1であり、
また、前記半導体発光シリーズを前記透明基板にボンディングする透明ボンディング層と、
前記半導体発光シリーズと前記透明ボンディング層との間に設置されている電流拡散層と、を更に備え、
前記電流拡散層は、前記透明ボンディング層と接続する界面が粗面に形成されており、
前記透明ボンディング層は、前記透明基板にボンディングする界面が平坦面であり、前記平坦面の粗さは、前記粗面の粗さより小さいことを特徴とする赤外線発光ダイオード。
【請求項2】
前記井戸層は、組成式が(InX1Ga1-X1)Asの化合物半導体により構成され、障壁層は、組成式が(AlX2Ga1-X2)Asの化合物半導体により構成され、式中0≦X1≦1、0≦X2≦1であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項3】
前記第1のカバー層及び第2のカバー層は、組成式が(AlX4Ga1-X4)Y2In1-Y2Pの化合物半導体により組成され、式中0≦X4≦1、0<Y2≦1であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項4】
前記電流拡散層は、GaPであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項5】
記井戸層及び障壁層のペア数は、10ペア以下、1ペア以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項6】
前記井戸層におけるInの組成にあるX1は、0.1≦X1≦0.3に設定されることを特徴とする請求項2に記載の赤外線発光ダイオード。
【請求項7】
前記井戸層の厚さは、4~15nmであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記透明基板は、GaP、サファイアまたはSiCにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記半導体発光シリーズが射出する光の波長は、680~1100nmであることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記電流拡散層の厚さは、3~10μmであることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記電流拡散層の粗面の粗さは、100~300nmであることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記透明ボンディング層の材料は、SiOであり、その厚さは、1~5μmであることを特徴とする請求項11に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記第1の導波層及び第2の導波層の組成式にあるX3、Y1は、0.2≦X3≦0.8、0.3≦Y1≦0.7に設定されることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記第1のカバー層及び第2のカバー層の組成式にあるX4、Y2は、0.2≦X4≦0.8、0.3≦Y≦0.7に設定されることを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
主要出光面が、前記透明基板の電流拡散層と接合する面の反対側の面であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
第1の電極及び第2の電極を更に含み、前記第1の電極及び第2の電極は、前記発光ダイオードの主要出光面の反対側の面に設置されることを特徴とする請求項15に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記第1の電極及び第2の電極は、オーミック電極であることを特徴とする請求項16に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
取付基板と、前記取付基板に取り付けられている少なくとも1つの発光ダイオードとを含む発光ダイオードパッケージにおいて、少なくとも1つの前記発光ダイオードが、請求項1~17のいずれか一項に記載の発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードパッケージ。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の発光ダイオードを備えることを特徴とする発光装置。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか一項に記載の発光ダイオードを備えることを特徴とする遠隔操縦装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
実施例1の発光ダイオードは、先ず、Siがドーピングされたn型のGaAs単結晶により構成されたGaAs基板に、化合物半導体層で製造された発光波長が830nmのエピタキシャルチップを順次に積層した。GaAs基板は、(100)面から(0-1-1)方向へ15°傾いた面を成長面とし、電荷担体濃度を2*1018cm-3に設定した。また、GaAs基板の厚さは、約0.5μmである。化合物半導体層として、SiがドーピングされていないGaAsにより構成された緩衝層と、Ga0.5In0.5Pにより構成された腐食阻止層と、Siがドーピングされた(Al0.6Ga0.4)0.5In0.5Pにより構成されたn型の接触層と、SiがドーピングされたAl0.5In0.5Pにより構成されたn型の上部カバー層と、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pにより構成された上部導波層と、In0.2Ga0.8As/Al0.2Ga0.8 Asのペアにより構成された井戸層/障壁層と、(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pにより構成された下部導波層と、MgがドーピングされたAl0.5In0.5Pにより構成されたp型の下部カバー層と、(Al0.4Ga0.6)0.5In0.5Pにより構成された薄膜である中間過渡層と、Mgがドーピングされたp型のGaPにより構成された電流拡散層とを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
001 透明基板
002 透明ボンディング層
003 電流拡散層
004 下部カバー層
005 下部導波層
006 活性層
007 上部導波層
008 上部カバー層
009 第1の電極
010 第2の電極
011 井戸層
012 障壁層
013 GaAs基板
014 緩衝層
015 腐食停止層
016 接触層
10 発光ダイオード
1 化合物半導体層
2 半導体発光シリーズ
301 第1の電極端子
302 第2の電極端子
303 第1の結合部
304 第2の結合部
30 取付基板