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特開2023-53126金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053126
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20230404BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018674
(22)【出願日】2023-02-09
(62)【分割の表示】P 2021088330の分割
【原出願日】2008-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
(72)【発明者】
【氏名】山本 久敏
(57)【要約】
【課題】成行注文を含むリピートイフダンオーダーを行うことができ、煩雑な手続無しに顧客のリスクを低減できる金融商品取引管理装置を提供する。
【解決手段】金融商品取引管理システム1Aの金融商品取引管理装置1は、注文情報を生成する注文情報生成部16、生成された注文情報に基づく売買注文を約定させる約定情報生成部14を備え、注文情報生成部16は第一注文情報、第二注文情報を含む注文情報群を生成し、約定情報生成部14は所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、注文情報生成部16は、所定の第一注文価格で二回目以降の第一注文を行う第一注文情報、所定の第二注文価格で二回目以降の第二注文を行う第二注文情報を生成し、約定情報生成部14は二回目以降の第一注文、二回目以降の第二注文の約定処理を繰返す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、
該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、
該注文情報生成手段において生成された前記注文情報に基づいて、前記売買注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段とを備え、
前記注文情報生成手段は、
一の前記売買注文申込情報に基づいて、所定の前記金融商品の売り注文または買い注文の一方を行う第一注文情報と、該金融商品の売り注文または買い注文の他方を行う第二注文情報とを含む注文情報群を生成し、
前記約定情報生成手段は、
生成された前記第一注文情報の処理を行うことで、前記金融商品の所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、
生成された前記第二注文情報の処理を行うことで所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、
前記注文情報生成手段は、
前記所定の第一注文価格で二回目以降の前記第一注文を行う前記第一注文情報と、前記所定の第二注文価格で二回目以降の前記第二注文を行う前記第二注文情報とを生成し、
前記約定情報生成手段は、
生成された前記第一注文情報に基づく前記二回目以降の前記第一注文の約定処理と、生成された前記第二注文情報に基づく前記二回目以降の前記第二注文の約定処理とを繰返す
ことを特徴とする金融商品取引管理装置。
【請求項2】
前記注文情報生成手段が生成した前記注文情報を記録する注文情報記録手段を備え、
前記約定情報生成手段は、前記注文情報記録手段に記録された個々の前記注文情報のうち、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品の約定を行う処理と、前記第二注文情報に基づいて前記金融商品の約定を行う処理とを、予め定められた回数だけ繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項3】
前記注文情報群は、前記金融商品の売り注文または買い注文の前記他方を逆指値で行う逆指値注文情報を含み、
前記注文情報生成手段は、前記逆指値注文情報に基づく前記逆指値注文が約定されたときに、前記第一注文情報に基づく指値注文および前記第二注文情報に基づく指値注文を停止し、
前記約定情報生成手段は、前記逆指値注文情報に基づいて約定を行った場合、該逆指値注文情報を生成した前記売買注文申込情報に対応して生成される前記第一注文情報および第二注文情報のうち、前記逆指値注文情報の生成時点で未生成である前記注文情報を、全て前記注文情報記録手段から消去するキャンセル処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項4】
前記約定情報生成手段は、一旦成立した前記金融商品の注文に対するキャンセル要求があった場合、該キャンセル要求のあった注文に対応する前記第一注文情報および/又は前記第二注文情報および/又は前記逆指値注文情報のうち、約定前の前記注文情報を全てキャンセル処理することを特徴とする請求項3に記載の金融商品取引管理装置。
【請求項5】
特定顧客の預金残高情報を記録する顧客口座情報記録手段を備え、
前記注文情報記録手段には、前記第一注文情報および前記第二注文情報の注文価格に基づく金額情報が属性情報として記録され、
前記注文情報生成手段は、前記注文価格に基づく金額情報を前記預金残高情報と比較し、該預金残高情報の値が前記注文価格に基づく金額情報の値以上である場合に、前記第一注文情報および第二注文情報を生成することを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の金融商品取引管理装置。
【請求項6】
金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理システムであって、
前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、
該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、
該注文情報生成手段において生成された前記注文情報に基づいて、前記売買注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段とを備え、
前記注文情報生成手段は、
一の前記売買注文申込情報に基づいて、所定の前記金融商品の売り注文または買い注文の一方を行う第一注文情報と、該金融商品の売り注文または買い注文の他方を行う第二注文情報とを含む注文情報群を生成し、
前記約定情報生成手段は、
生成された前記第一注文情報の処理を行うことで、前記金融商品の所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、
生成された前記第二注文情報の処理を行うことで所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、
前記注文情報生成手段は、
前記所定の第一注文価格で二回目以降の前記第一注文を行う前記第一注文情報と、前記所定の第二注文価格で二回目以降の前記第二注文を行う前記第二注文情報とを生成し、
前記約定情報生成手段は、
生成された前記第一注文情報に基づく前記二回目以降の前記第一注文の約定処理と、生成された前記第二注文情報に基づく前記二回目以降の前記第二注文の約定処理とを繰返す
ことを特徴とする金融商品取引管理システム。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至5の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替等、金融商品の取引を管理、支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
外国為替等の金融商品の取引方法としては、成行注文と指値注文とが知られている。成行注文とは、注文時の価格で取引を行う注文形態である。一方、指値注文とは、予め顧客から売買値段の指定を受けておき、その金融商品の価格が指定された価格になったときに取引を行う注文形態である。通常、指値注文の場合、金融商品の取扱業者は対象となる金融商品が指定された金額まで下がったときに当該金融商品の買い注文を行い、あるいは、指定された金額まで上がったときに当該金融商品の売り注文を行う。従来、この金融商品の指値注文をコンピュータシステムを用いて行う発明が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-99787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、金融商品の指値注文においては、イフダンオーダーが行われることも多い。本願明細書において、イフダンオーダーとは、順位のある2つの注文を同時に出し、第一順位の注文(以下「第一注文」と称する。)が成立したら、自動的に第二順位の注文(以下「第二注文」と称する。)が有効になる注文形式のことを言う。実際の金融商品取引においては、一の顧客が特定の金融商品について複数のイフダンオーダーを並行して行う場合もある。
【0005】
これに対して、特許文献1のシステムには、イフダンオーダーの指値注文に対応できないという問題がある。また、特許文献1のシステムには、利用客が複数のイフダンオーダーを並行して行いたい場合には、それぞれのイフダンオーダーを個別に注文していかなければならず、顧客の注文手続が煩雑になるという問題がある。
【0006】
一方、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合には、当該金融商品を所持する取引者は、損害を最小限に留めるべく当該金融商品の売却を望む場合が多い。しかし、特許文献1のシステムでは、利用客は、指値注文の買い注文によって取得した金融商品を将来の相場の状況に応じて自動的に売却することはできず、またイフダンオーダーを相場の状況に応じて自動的に中止させることができないという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献1のシステムには、成行注文でイフダンオーダーを行いたい場合に対応できないという問題もある。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、金融商品の成行注文において、システム利用客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを行うことができ、また将来の相場の状況に応じてイフダンオーダーを自動的に中止させることができて、システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを低減させることができる金融商品取引管理装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置であって、前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、該注文情報生成手段において生成された前記注文情報に基づいて、前記売買注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段とを備え、前記注文情報生成手段は、一の前記売買注文申込情報に基づいて、所定の前記金融商品の売り注文または買い注文の一方を行う第一注文情報と、該金融商品の売り注文または買い注文の他方を行う第二注文情報とを含む注文情報群を生成し、前記約定情報生成手段は、生成された前記第一注文情報の処理を行うことで、前記金融商品の所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、生成された前記第二注文情報の処理を行うことで所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、前記注文情報生成手段は、前記所定の第一注文価格で二回目以降の前記第一注文を行う前記第一注文情報と、前記所定の第二注文価格で二回目以降の前記第二注文を行う前記第二注文情報とを生成し、前記約定情報生成手段は、生成された前記第一注文情報に基づく前記二回目以降の前記第一注文の約定処理と、生成された前記第二注文情報に基づく前記二回目以降の前記第二注文の約定処理とを繰返すことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記注文情報生成手段が生成した前記注文情報を記録する注文情報記録手段を備え、前記約定情報生成手段は、前記注文情報記録手段に記録された個々の前記注文情報のうち、前記第一注文情報に基づいて前記金融商品の約定を行う処理と、前記第二注文情報に基づいて前記金融商品の約定を行う処理とを、予め定められた回数だけ繰り返すことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記注文情報群は、前記金融商品の売り注文または買い注文の前記他方を逆指値で行う逆指値注文情報を含み、前記注文情報生成手段は、前記逆指値注文情報に基づく前記逆指値注文が約定されたときに、前記第一注文情報に基づく指値注文および前記第二注文情報に基づく指値注文を停止し、前記約定情報生成手段は、前記逆指値注文情報に基づいて約定を行った場合、該逆指値注文情報を生成した前記売買注文申込情報に対応して生成される前記第一注文情報および第二注文情報のうち、前記逆指値注文情報の生成時点で未生成である前記注文情報を、全て前記注文情報記録手段から消去するキャンセル処理を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記約定情報生成手段は、一旦成立した前記金融商品の注文に対するキャンセル要求があった場合、該キャンセル要求のあった注文に対応する前記第一注文情報および/又は前記第二注文情報および/又は前記逆指値注文情報のうち、約定前の前記注文情報を全てキャンセル処理することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、特定顧客の預金残高情報を記録する顧客口座情報記録手段を備え、前記注文情報記録手段には、前記第一注文情報および前記第二注文情報の注文価格に基づく金額情報が属性情報として記録され、前記注文情報生成手段は、前記注文価格に基づく金額情報を前記預金残高情報と比較し、該預金残高情報の値が前記注文価格に基づく金額情報の値以上である場合に、前記第一注文情報および第二注文情報を生成することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理システムであって、前記金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、該注文入力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段と、該注文情報生成手段において生成された前記注文情報に基づいて、前記売買注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段とを備え、前記注文情報生成手段は、一の前記売買注文申込情報に基づいて、所定の前記金融商品の売り注文または買い注文の一方を行う第一注文情報と、該金融商品の売り注文または買い注文の他方を行う第二注文情報とを含む注文情報群を生成し、前記約定情報生成手段は、生成された前記第一注文情報の処理を行うことで、前記金融商品の所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、生成された前記第二注文情報の処理を行うことで所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、前記注文情報生成手段は、前記所定の第一注文価格で二回目以降の前記第一注文を行う前記第一注文情報と、前記所定の第二注文価格で二回目以降の前記第二注文を行う前記第二注文情報とを生成し、前記約定情報生成手段は、生成された前記第一注文情報に基づく前記二回目以降の前記第一注文の約定処理と、生成された前記第二注文情報に基づく前記二回目以降の前記第二注文の約定処理とを繰返すことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを請求項1乃至5の何れか一つに記載の金融商品取引管理装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、請求項6に記載の発明によれば、金融商品の売買注文を行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力受付手段と、注文入力受付手段が受け付けた売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生成する注文情報生成手段において生成された注文情報に基づいて、売買注文を約定させる処理を行う約定情報生成手段とを備え、注文情報生成手段は、一の売買注文申込情報に基づいて、所定の金融商品の売り注文または買い注文の一方を行う第一注文情報と、金融商品の売り注文または買い注文の他方を行う第二注文情報とを含む注文情報群を生成し、約定情報生成手段は、生成された第一注文情報の処理を行うことで、金融商品の所定の相場価格を所定の第一注文価格として一回目の第一注文を成行で約定させ、生成された第二注文情報の処理を行うことで所定の第二注文価格として一回目の第二注文を約定させ、注文情報生成手段は、所定の第一注文価格で二回目以降の第一注文を行う第一注文情報と、所定の第二注文価格で二回目以降の第二注文を行う第二注文情報とを生成し、約定情報生成手段は、生成された第一注文情報に基づく二回目以降の第一注文の約定処理と、生成された第二注文情報に基づく二回目以降の第二注文の約定処理とを繰返す。これにより、指値注文により金融商品の売買を行う顧客の利便性を向上させつつ、金融商品の指値注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを繰り返し行うことができて、システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを低減させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、注文情報生成手段が生成した注文情報を記録する注文情報記録手段と、注文情報に基づいて金融商品の約定を行う約定情報生成手段とを備え、第一注文情報、第二注文情報に基づいて金融商品の約定を行う約定情報生成手段を備え、約定情報生成手段は、注文情報記録手段に記録された個々の注文情報のうち第一注文情報に基づいて金融商品の約定を行う処理と第二注文情報に基づいて金融商品の約定を行う処理とを複数回繰り返し行う。これにより、金融商品の指値注文において、システムを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを行うことができ、また将来の相場の状況に応じてイフダンオーダーを自動的に中止させることができて、システムを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを低減させることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、逆指値注文情報に基づく逆指値注文が約定されたときに、第一注文情報に基づく指値注文および第二注文情報に基づく指値注文を停止し、約定情報生成手段は、逆指値注文情報に基づいて約定を行った場合、逆指値注文情報を生成した売買注文申込情報に対応して生成される第一注文情報および第二注文情報のうち、逆指値注文情報の生成時点で未生成である注文情報を、全て注文情報記録手段から消去するキャンセル処理を行う。これにより、簡単な処理で、指値取引によって生ずる損害を最小限に留めることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、一旦成立した金融商品の注文に対するキャンセル要求があった場合、キャンセル要求のあった注文に対応する第一注文情報および/又は第二注文情報および/又は逆指値注文情報のうち、約定前の注文情報を全てキャンセル処理する。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、特定顧客の預金残高情報を記録する顧客口座情報記録手段を備え、注文情報記録手段には第一注文情報および第二注文情報の注文価格に基づく金額情報が属性情報として記録され、注文情報生成手段は注文価格に基づく情報を預金残高情報と比較し、預金残高情報の値が注文価格に基づく金額情報の値以上である場合に、第一注文情報および第二注文情報を生成する。これにより、支払いが確実にできる場合にのみイフダンオーダーによる指値注文を受け付け、支払い不能による商取引上の支障が生ずることなくシステムを運用できる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本発明の金融商品取引管理装置をプログラム化し、多様なコンピュータハードウェア上で実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の金融商品取引管理システムにおけるシステム構成図及び金融商品取引管理装置の機能ブロック図である。
図2A】同上金融商品取引管理装置の注文テーブルのフィールド定義の模式図である。
図2B】同上金融商品取引管理装置の顧客口座情報テーブルのフィールド定義の模式図である。
図2C】同上金融商品取引管理装置の通貨ペア注文条件テーブルのフィールド定義の模式図である。
図3】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文を成立させる際の処理手順を示すフローチャートである。
図4A】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートである。
図4B】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートである。
図5】クライアント端末の表示部に表示される第二の入力画面のイメージ図である。
図6】同上金融商品取引管理装置がクライアント端末の表示部に表示させる注文情報群表示画面のイメージ図である。
図7】同上金融商品取引管理装置における、イフダンオーダーによる指値注文に基づく約定処理を模式的に表したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の一の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、n個(n≧1)のクライアント端末2~2とを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末2~2は、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。本実施形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。これにより、イフダンオーダーによって指値注文による取引を行う需要の高い金融商品について金融商品取引管理システム1Aを適用し、金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客の利便性を一層高めることができる。
【0025】
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者が管理し運用するサーバコンピュータであり、Webサーバ機能、大容量のデータを保存するデータベース機能を備えている。クライアント端末2,・・・,2は、金融商品の売買を行う個人又は法人が所持し使用する、データ通信機能を有する通信端末であって、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末等がこれに該当する。クライアント端末2,・・・,2は、マウスやキーボード等各種指示を入力するために用いられる操作部21
,・・・,21、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり操作部21,・・・,21から入力された各種指示等や各種画像を表示する表示部22,・・・,22を有している。なお、クライアント端末2,・・・,2、操作部21,・・・,21、表示部22,・・・,22は同じ構成を持つので、以下、区別する必要がある場合を除き、クライアント端末2、操作部21、表示部22とする。
【0026】
図1には図示しないが、金融商品取引管理装置1は少なくとも1のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、及び、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)、起動用ブートプログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)、各種プログラムやデータ等が記録されるハードディスク等の補助記憶装置、データの送受信に用いる通信インターフェース等が設けられている。補助記憶装置には、OS(Operating System)用プログラム、各種アプリケーションプログラム、データベースに記録されたデータ等が記録されており、これらのプログラムやデータはCPUの演算処理により、ハードウェア資源と協働して各種機能を実現する。
【0027】
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、注文入力受付部(注文入力受付手段)12、入出金情報生成部13、約定情報生成部(約定情報生成手段)14、口座情報生成部15、注文情報生成部(注文情報生成手段)16、データベース(DB)接続基底部17、価格情報受信管理部19を有している。
【0028】
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。
【0029】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0030】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文、指値注文のイフダンオーダーに加え、成行注文のイフダンオーダーも含まれる。
【0031】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。
【0032】
口座情報生成部15は、顧客の預金残高情報を生成し、預金残高情報を証拠金情報(即ち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)として管理する機能を有する。なお、口座情報生成部15において生成される預金残高に関する情報は、現実の預金残高と整合性を取るために、銀行等の金融機関が提供する、顧客の現実の預金残高に関する情報と定期的に照合される。
【0033】
データベース接続基底部17は、データ処理部10において生成、加工処理されたデータとデータベース18にて記録されるデータとの変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行うと共に、データ処理部10とデータベース18との間でデータを交信するために必要な処理を行う。
【0034】
データベース18は、金融商品取引管理装置1にて用いられるデータを記録する。本実施形態におけるデータベース18はリレーショナルデータベースによって形成するが、例えばオブジェクトデータベース等、大量のデータの記録や書換えに適したものであればどのような形式を用いてもよい。データベース18には、「注文情報記録手段」としての注文テーブル181、「顧客口座情報記録手段」としての顧客口座情報テーブル182、通貨ペア注文条件テーブル183、シーケンス番号テーブル184が記録されている。シーケンス番号テーブル184には注文情報(後述)ごとに一意に付されるシーケンス番号が記録される。
【0035】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22にされる画像データを作成し、作成した画像データをクライアント端末2に送信する。
【0036】
価格情報受信管理部19は、金融商品取引管理装置1にて扱う金融商品の価格についての情報を取得して保存し、保存した情報に対し、データ処理部10にて用いるために必要な処理を行う。本実施形態においては、価格情報受信管理部19は外為の相場価格の情報を取得・保存する。
【0037】
図2Aは注文テーブル181のフィールド定義の模式図、図2Bは顧客口座情報テーブル182のフィールド定義の模式図、図2Cは通貨ペア注文条件テーブル183のフィールド定義の模式図である。これらの図に示す通り、各テーブル181,182,183は項目数分のフィールドを有し、フィールドの名称(フィールド名)、文字や数値や日時等のデータ型(型)、ビット長等のデータ長(長さ)、空欄不可指定(Not Null)、デフォルト値の有無(デフォルト値)、データの項目名(備考)等が規定される。
【0038】
上述の金融商品取引管理装置1においては、金融商品の指値取引が行われる際、一の予約注文によって、同一種類の複数の金融商品の指値注文を複数のイフダンオーダーによって行うことができる。
【0039】
次に、本実施形態の金融商品取引管理システム1Aを用いて成行リピートイフダンオーダーを行うときの取引手順について説明する。
【0040】
図3は、本実施形態の金融商品取引管理装置1における、成行リピートイフダンオーダーを行う際の処理手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて注文時の処理手順を説明する。
【0041】
金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客は、クライアント端末2を用いて金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスのあったクライアント端末2の表示部22に、第一の入力画面(図示せず)、及び図5にイメージ図を示す第二の入力画面40を表示させる。
【0042】
第一の入力画面(図示せず)には、取引可能な通貨ペアの選択ボタンと、売買形態の選択ボタンと、取引形態(成行注文、指値注文、イフダンオーダーの指値注文、イフダンオーダーの成行注文および逆指値注文)の選択ボタンと、注文の有効期限(特定の年、月、あるいは無期限、等)を選択する有効期限選択ボタンと、各選択ボタンによる選択内容を確定させるための「選択」ボタン(いずれも図示せず)が設けられている。顧客は、売買を希望する通貨ペア、例えば日本円と米国ドルの通貨ペアの選択ボタンをクリックし、希望する売買形態、例えば「買い」の新規注文(即ち、新しくポジション(外貨の持高)を持つための注文)を選択する選択ボタンをクリックし、イフダンオーダーの成行注文の選択ボタンをクリックし、注文の有効期限として「無期限」を選択し、更に「選択」ボタンをクリックすると、金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に第二の入力画面を表示させる。
【0043】
図5に示す通り、第二の入力画面40には第一の入力画面(図示せず)において入力された事項、即ち、日本円と米国ドルの通貨ペアを示す表示41、注文の売り/買いの区別を示す表示42、注文形式が成行イフダンであることを示す表示43および有効期限が無期限であることの表示49に加えて、取引業者が提供するサービスの種類を入力する欄44、一注文における一ポジションごとの金額を入力するポジション金額入力欄45、一ポジションの第一注文が約定した後に一ポジションの第二注文が約定した際の利益額を指定するための利益額入力欄46、「逆指値注文情報」としての逆指値注文の約定価格を入力する逆指値注文価格入力欄47および注文形式としてリピートイフダンを指定するためのリピートイフダン入力欄48が表示される。顧客は、第二の入力画面40の各入力欄44~48によって、各種の指定を行う。
【0044】
ここで、成行リピートイフダンとは、リピートイフダンを成行注文に適用した注文方法である。即ち、通常のリピートイフダンでは、イフダンオーダー(第一注文として指値買い注文または指値売り注文の一方を行ったのち、第二注文として指値買い注文または指値売り注文の他方を行う取引方法)を、自動的に複数回繰り返す。これに対して、成行リピートイフダンでは、一回目のイフダンでは、第一注文で買い注文または売り注文の一方を成行で行ったのち、第二注文で買い注文または売り注文の他方を指値で行う。第二注文の指値は、予め指定することとしてもよいし、成行注文の価格等に応じて自動的に設定されることとしても良い。本実施形態では、第二注文は、第一注文とは反対の売買方向であり且つ同じ注文金額となるように、自動的に決定される。また、第二注文の指値価格は、価格自体を予め指定しても良いが、成行価格との比率または金額差が予め設定された値となるように自動的に決定することもできる。この第二注文の約定の後、指値の第一注文(このときの指値価格は一回目の成行注文での約定価格とする)と指値の第二注文とからなるイフダンが、複数回繰り返される。加えて、本実施形態では、逆指値注文も行われる。この逆指値注文も、第一注文とは反対の売買方向であり且つ同じ注文金額となるように指定される。逆指値注文の指値価格も、価格自体を予め指定しても良いが、成行価格との比率または金額差が予め設定された値となるように自動的に決定することもできる。
【0045】
なお、図5には示されていないが、第二の入力画面40には、成行リピートイフダンオーダーをキャンセルするための注文キャンセルボタン(図示せず)を設けることが望ましい。
【0046】
図5に示す状態で顧客が第二の入力画面40の注文確認ボタン(図示せず)をクリックすると、第一の入力画面(図示せず)、第二の入力画面40にそれぞれ入力された注文内容が金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12に入力される(図3のステップS1)。
【0047】
ステップS1のあとで、注文入力受付部12は、入力された注文の内容を確認する。具体的には、第一の入力画面(図示せず)において選択された期限を確認し、さらに、入力されたデータの注文価格について検査を行う(ステップS2)。この実施形態では、第一注文の価格は成行注文によって決定されるので、第二注文の価格のみが設定される。第二注文の指値価格が予め指定されているときは、この価格を価格情報受信管理部19に受信された現在の為替相場価格と対比して、適正価格か否かが検査される。
【0048】
第二注文の価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。具体的には、図2Bに示す“amnt”フィールド182aに対応して記録された数値データが証拠金情報として取得される。
【0049】
注文入力受付部12は、取得された証拠金情報と顧客の注文総額(即ち、各入力欄44~48に入力された内容に基づいて算出される注文総額)とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する。注文情報生成部16は、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)の場合にのみ、注文情報を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみイフダンオーダーによる指値注文を受け付けることができる。
【0050】
ここで、この実施の形態においては、注文情報生成部16は、第一注文を新規の成行注文の注文情報として生成し、第二注文を決済の指値注文の注文情報として生成し、逆指値注文を決済の逆指値注文の注文情報として生成する。第二注文を決済の指値注文の注文情報として生成することにより、第一順位の注文情報によって生じた注文による利益を第二順位の注文情報によって逐次確定させ、注文手続や金融商品取引管理システム1A内における情報処理の煩雑化を防止できる。更に、逆指値注文を決済の逆指値注文の注文情報として生成することにより、逆指値注文を、真に逆指値注文が必要とされる、顧客が指値取引によって生ずる損害を最小限に留める為に決済手続を行う場面のみに限定できて、逆指値注文の乱用防止と金融商品取引管理システム1A内における情報処理の煩雑化を防止とを図ることができる。
【0051】
証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、注文条件が上述したもの以外の成行注文の各種条件を満たしているか否かを確認する(ステップS6)。
【0052】
成行注文の各種条件を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0053】
成行注文の各種条件を満たしている場合(ステップS7の“No”)、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、確認画面(図示せず)を表示させる。確認画面(図示せず)には第二の入力画面40にて顧客によって入力、選択された注文条件が列記されており、列記された内容で間違いない場合にクリックする承認ボタン(図示せず)が設けられている。
【0054】
顧客が操作部21の操作により承認ボタン(図示せず)をクリックすると、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16はステップS1にて入力されたデータに基づいて注文情報を生成する(ステップS8)。具体的には、上記手順において入力された複数のデータを、注文価格を単位としてまとめ、各情報の単位に、シーケンス番号テーブル184に記録された注文にシーケンス番号を付与することで各注文情報を形成する。なおこのとき、シーケンス番号テーブル184には、注文情報に使用されたシーケンス番号を未使用の番号と識別するための情報が付与される。一回のステップS8の手順にて形成される複数の注文情報は、注文情報群(以下単に「注文情報群」と称する。)を形成する。
【0055】
注文情報生成部16は、生成された注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS9)。具体的には、図2Aに示す各フィールド名に対応させて、該当する注文情報(即ち“備考”カラム181aの項目に対応するデータ)が記録される。例えば、ステップS8にて付与されたシーケンス番号は、“ord_seq”フィールド181bに対応する。“cust_seq”フィールド181cは顧客ごとに一意に定められた顧客番号に“style_id”フィールド181dは商品名に、それぞれ対応する。“ccy_pair_id”フィールド181eは、通貨ペア毎に一意に定められたID番号に対応する。このID番号と通貨ペアとの組合わせは、データベース中に別途設けられたIDテーブル(図示せず)中に記録されている。“buy_sell_id”フィールド181fは売り注文、買い注文のいずれであるかを示すデータ、“ord_rate”フィールド181gは注文価格、“limit_time”フィールド181hには注文期限が対応する。“ord_cond”フィールド181iは注文種別(例えば、成行注文、指値注文、逆指値注文等の種別を識別するための識別情報)に対応する。“new_close”フィールド181jは新規注文、継続注文のいずれであるかを示すデータに対応する。“ifd_ord_seq”フィールド181kはイフダンオーダーのシーケンス番号に記録される。“repeat_flag”フィールド181mは、注文種別が成行リピートイフダンオーダーであることを識別するための識別情報が記録される。以上の手順より、本実施の形態における注文処理は完了する。
【0056】
注文処理が完了すると、注文情報生成部16はまず最初の注文情報群(以下「第一の注文情報群」と称する。)を生成する。なお、この生成された時点において、注文情報群に含まれる、第一注文は有効な注文情報(顧客から正式に依頼された注文のこと。本明細書において同じ。)として生成されているが、同じ注文情報群に含まれる、第二順位の注文情報としての第二注文情報は、無効な注文情報(すなわち、当該注文情報を用いた一連の処理が開始されていない注文情報。本明細書において同じ。)として生成されている。注文情報の有効/無効の設定を行うためには、例えば注文テーブル181に専用のフラグ(図示せず)を設ければよい。
【0057】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に図6にイメージ図を示す注文情報群表示画面50を表示させる。同図に示す通り、注文情報群表示画面50には、生成された、第一の注文情報群50Aに含まれる「注文情報」のひとつである、「第一注文情報」としての第一注文51a、同じく第一の注文情報群50Aに含まれる「注文情報」のひとつである、「第二注文情報」としての第二注文51b、同じく第一の注文情報群50Aに含まれる「注文情報」のひとつである、「逆指値注文情報」としての逆指値注文51cが表形式で表示される。これらの注文51a,51b,51cは上述の第一の入力画面(図示せず)、第二の入力画面40(図5参照)において入力欄、選択欄に入力、選択された情報が表示されている。
【0058】
なお、ステップS3において第二注文の注文価格が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)、又は、ステップS5において証拠金の額が注文総額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)、注文入力受付部12は、入力された注文に対応した各注文情報を生成すること無しにエラー処理を行い(ステップS10)、処理を終了する。このエラー処理では、注文の受付が拒絶されたことを示す文字情報の表示等が行われる。
【0059】
図4A及び図4Bは、本実施形態の金融商品取引管理装置1における、イフダンオーダーによる指値注文の成立後の処理手順を示すフローチャートであり、図7は、本実施形態の金融商品取引管理装置1における、指値注文に基づく約定を模式的に表したタイムチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。
【0060】
注文処理の完了後、金融商品取引管理装置1の価格情報受信管理部19は為替相場の情報取得を継続する。
【0061】
本実施形態では、図7に示す通り、注文処理が完了した時点t1で、約定情報生成部14は当該ポジションの第一注文51aを約定させる処理を行う(ステップS21)。この処理では、約定情報生成部14が、当該注文の約定が行われたことを内部に記憶する。この記憶は、例えば約定の成立/不成立を示すフラグを用いて行うことができる。そして、約定情報生成部14の命令により、口座情報生成部15が、当該約定の売買額に応じて、上述の証拠金情報を書き換える。さらに、約定情報生成部14は、入出金情報生成部13に、入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載させる。その後、実際の売買が行われる。そして、約定情報生成部14は、クライアント端末2の表示部22に約定の成立を表示し、さらに、第一注文51aの属性情報を構成する注文価格情報51d(図6参照)に基づいてクライアント端末の銀行口座の入出金処理を行う。なお、後述の第二注文に係る約定処理(ステップS25参照)も、ステップS21の約定処理と同様である。
【0062】
第一注文51aに基づく成行注文が約定すると、約定情報生成部14はデータベース18中の対応するデータを書き換える。具体的には、注文テーブル181の当該成行注文に関する注文情報である、第一注文51aのデータが削除され、顧客口座情報テーブル182の“amnt”フィールド182aのデータが約定した価格分だけ増減される。ここで、本実施形態の第一注文は、一回目は成行注文で行われるが、二回目以降は指値注文で行われる。このため、約定情報生成部14は、当該成行注文の約定価格を、二回目以降の第一注文の指値価格に設定する。
【0063】
次に、第一注文51aに基づく成行注文が約定すると、約定情報生成部14は、第一の注文情報群51Aにおける第二注文51bと逆指値注文51cとを無効な注文情報から有効な注文情報に変更する(ステップS22)。
【0064】
この後、米国ドルの相場販売価格72が逆指値注文51cの約定価格まで下落することがなく(ステップS23の“No”)、図7に示すように、米国ドルの相場販売価格72が上昇し、特定時点t2において米国ドルの相場購入価格71が第二注文51bの約定価格と同じ価格になると(ステップS24の“Yes”)、約定情報生成部14は当該ポジションの第二注文51bに基づく指値注文を約定させると共に、逆指値注文51cをキャンセルする処理を行う(ステップS25)。そして、約定情報生成部14はデータベース18中の対応するデータを書き換える。これにより、顧客はt1時点の買い注文とt2時点の売り注文の差額分の利益を得られることになる。
【0065】
図7のt2時点においてステップS1での入力により生成された注文情報が全て約定していない場合には(ステップS26の“No”)、口座情報生成部15が再度顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。そして、注文入力受付部12は、再度、取得された証拠金情報と顧客の注文総額とを対比し、証拠金の額が注文総額以上であるか否かを確認する(ステップS27)。証拠金の額が注文総額を下回る場合(ステップS28の“Yes”)には、注文総額以上になるまで処理は保留され、証拠金の額が注文総額以上である場合(ステップS28の“No”)、注文情報生成部16は新たな注文情報群(以下「第二の注文情報群」と称する。)を生成する(ステップS29)。注文情報生成部16は、ステップS9と同様に、生成された第二の注文情報群を注文テーブル181に記録する(ステップS30)。ステップS29において第二の注文情報群が生成されると、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に表示された注文情報群表示画面50に、第一の注文情報群に含まれる第一注文51a、第二注文51b、逆指値注文51cに代えて、新たに生成された第二の注文情報群(図示せず)に含まれる第一注文、第二注文、逆指値注文(いずれも図示せず)を表示させる。そして、ステップS21以降の処理が繰り返される。
【0066】
当該処理では、全てのポジションの個数分の注文情報群が形成される。また、当該処理は、ステップS21,S25の処理が、指示されたポジションの個数分の回数繰り返されるまで、継続する(ステップS26の“No”)。そして、ステップS21,S22の処理が上記入力されたポジションの個数分の回数繰り返された後(ステップS26の“Yes”)、全ての処理手順が終了する。
【0067】
なお、約定せずに注文期限が経過した指値注文は全てキャンセルされ、注文テーブル181から削除される。
【0068】
一方、ステップS22の処理ののち、米国ドルの相場販売価格72が逆指値注文51cの約定価格まで下落した場合(ステップS23の“Yes”)、約定情報生成部14は逆指値注文51cの約定を行う(ステップS31)。即ち、約定情報生成部14は、ステップS22で有効な注文情報に変更された第二注文51bに基づく指値注文を逆指値注文の約定価格で約定させて決済する処理を行う。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
【0069】
そして、約定情報生成部14は、逆指値注文51cに基づいて約定を行った場合、現在有効で約定前の注文情報と、逆指値注文情報を生成した売買注文申込情報に基づいて生成される注文情報群のうち、逆指値注文情報の生成時点で未生成である注文情報群とを全てキャンセル処理する。具体的には、約定情報生成部14は、現在有効な第二注文(即ち第二注文51b)をキャンセル処理し(ステップS32)、さらに、イフダンオーダーの繰り返しのために指定・設定された注文情報群のうち未生成の注文情報群(即ちここでは第二の注文情報群以降の注文情報群)を全てキャンセル処理する(ステップS33)。このようにキャンセル処理を行うことで、一の逆指値注文に基づいて、特定時点以降におけるイフダンオーダー等の指値注文による売買を全て中止させることができる。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動してしまい当面回復の見込みがない場合等において、指値取引を行う顧客が被る損害を最小限に留めることができる。本実施形態におけるキャンセル処理は、上述のエラー処理と同様であり、入力された注文に対応した各注文情報を生成すること無しに処理が停止される(ステップS10)。このキャンセル処理では、注文の受付がキャンセルされたことを示す文字情報の表示等が行われる。
【0070】
なお、本実施形態の金融商品取引管理装置1は、クライアント端末2から一度成立した指値注文の価格及び金額の変更の要求があった場合、当該要求が不正要求であるものとして入力エラー扱いで処理する。これにより、価格や金額の頻繁な要求で金融商品の売買元である銀行側の業務が過大になることを防止できる。
【0071】
一方、クライアント端末2の第三の入力画面(図示せず)において注文キャンセルボタン(図示せず)がクリックされる等、一度成立した注文のキャンセル要求があった場合、金融商品取引管理装置1の約定情報生成部14は、キャンセル要求のあったイフダンオーダーに含まれる注文情報群を抽出し、この注文情報群のうち約定未成立の第二注文や逆指値注文を全てキャンセルされたものとして処理する。例えば、図7におけるt2とt3の間の時点で、クライアント端末2の第三の入力画面(図示せず)からキャンセル要求が入力された場合、当該時点で有効だが約定未成立である、第二の注文情報群の第二注文51b及び逆指値注文51cはキャンセルされる。同様に、クライアント端末2から図7におけるt3とt4の間の時点でキャンセル要求が入力された場合、第一の注文情報群がキャンセルされる。キャンセルされた注文情報群のデータや注文情報のデータは、注文テーブル181から削除される。
【0072】
このように、一旦成立した金融商品の注文に対するキャンセル要求があった場合、キャンセル要求のあった注文に関する注文情報が含まれる注文情報群を抽出し、注文情報群に含まれる約定前の注文情報を全てキャンセル処理することにより、イフダンオーダーによる指値注文の取扱が煩雑化することを防止できる。
【0073】
なお、この実施の形態の上記構成に代えて、注文キャンセルボタン(図示せず)によるキャンセル要求により、更に、キャンセル要求のあった注文情報が含まれる注文情報群であって将来生成される予定の全ての注文情報群(例えば上記の例においては、時点t4と時点t5との間において未生成であって将来生成される予定である、第三の注文情報群以降の注文情報群)をキャンセル処理する構成としてもよい。
【0074】
なお、クライアント端末2から受けた注文が通常の成行注文である場合(すなわち、イフダンではない成行注文の場合)には、ステップS8にて注文情報が生成されると即座に約定情報生成部14が当該注文を約定させ、ステップS9の処理、及びステップS21以降の処理は行われない。
【0075】
以上示した通り、この実施の形態においては、金融商品取引管理装置1を利用する顧客が金融商品を売買する際、顧客がクライアント端末2側で一の注文手続きを行うことで、同一種類の複数価格の金融商品を複数のイフダンオーダーによって繰り返し注文することができ、かつ、当該顧客が将来的に所有する金融商品を逆指値注文によって売却することもできる。これにより、指値注文により金融商品の売買を行う顧客の利便性を向上させつつ、金融商品の指値注文において、金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数の成行イフダンオーダーを行うことができ、また将来の相場の状況に応じて該成行イフダンオーダーを自動的に中止させることができて、金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客の利便性を高めると共に成行イフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを低減させることができる。
【0076】
この実施の形態においては、注文情報に基づいて金融商品の約定を行う約定情報生成部14を備え、約定情報生成部14は、注文テーブル181に記録された注文情報群を形成する個々の注文情報のうち第一順位の注文情報に基づいて金融商品の約定を行い、約定と共に、第二順位の注文情報及び逆指値注文情報を無効から有効に変更する処理を複数回繰り返し行うことにより、クライアント端末2から受信されて注文テーブル181に記録された一の指示に基づいて、金融商品取引管理システム1A上で成行注文および複数のイフダンオーダーによる取引を実現でき、かつ、イフダンオーダーによる取引を逆指値注文によって中断させることを実現できる。これにより、金融商品の指値注文において、金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客が煩雑な注文手続を行うことなく複数のイフダンオーダーを行うことができ、また将来の相場の状況に応じてイフダンオーダーを自動的に中止させることができて、金融商品取引管理システム1Aを利用する顧客の利便性を高めると共にイフダンオーダーを行う際に顧客が被るリスクを低減させることができる。
【0077】
なお、上記実施形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱うものとしたが、これに限定されず、他の金融商品、例えば株式、債券を取扱う金融商品取引管理システムにおいても本発明を適用できる。
【0078】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態に限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1A・・・金融商品取引管理システム
1・・・金融商品取引管理装置
2、2~2・・・クライアント端末
12・・・注文入力受付部(注文入力受付手段)
14・・・約定情報生成部(約定情報生成手段)
16・・・注文情報生成部(注文情報生成手段)
51a・・・第一注文(第一注文情報)
51b・・・第二注文(第二注文情報)
51c・・・逆指値注文(逆指値注文情報)
181・・・注文テーブル(注文情報記録手段)
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7