(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053149
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】座標位置決め機械
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
G01B5/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019029
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2020544950の分割
【原出願日】2019-02-25
(31)【優先権主張番号】18305200.0
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス デュプレ
(57)【要約】
【課題】座標位置決め機械の要素またはその周囲に取り付くように適合されたアダプタ。
【解決手段】機械は、機械の可動部分に関連付けられたターゲット点と機械の固定部分に関連付けられたピボット点が既知の距離間隔だけ互いに分離されるピボットポーズに制御され、そのポーズに対する誤差値は、既知の距離間隔と、機械の既存のモデルパラメータから予想される距離間隔に基づいて決定される。機械は、複数の異なるターゲットポーズに制御され、各ターゲットポーズについて、ターゲット点とピボット点の間の距離間隔(S)が測定され、そしてそのポーズに対する誤差値が、測定された距離間隔(S)および既存のモデルパラメータからそのポーズに予想される距離間隔に基づいて決定される。全体的な誤差の大きさは誤差値から決定され、既存のパラメータのセットよりも全体的な誤差の大きさが低くなる新しいパラメータのセットが決定される。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標位置決め機械(1)の要素(4、4a、4b)またはその周囲に取り付くように適合されたアダプタであって、
前記要素(4、4a、4b)は、肝心点(8)を有し、
前記アダプタ(24)は、前記要素(4、4a、4b)および/または前記要素(4、4a、4b)の周りに取り付けられたとき、前記肝心点(8)と実質的に一致する中心点(28)を有する少なくとも部分球形の支持表面(20)を備えるアダプタ。
【請求項2】
前記要素(4、4a、4b)はツールである請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記肝心点(8)は、ツール(4、4a、4b)のツール中心点である、請求項2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ(24)は、一般的な方法で複数の異なるインサート(26,26a、26b)を受け入れるように適合され、前記インサート(26,26a、26b)は、異なるそれぞれの要素(4、4a、4b)または要素(4、4a、4b)のタイプを受け入れるべく適合され、それにより前記アダプタ(24)がさまざまな異なる要素(4、4a、4b)または要素(4、4a、4b)のタイプと共に使用されるのを可能にする請求項1~3のいずれか一項に記載のアダプタ。
【請求項5】
各インサート(26,26a、26b)は、その対応する要素(4、4a、4b)の外形に合致するように、内部で成形され;
および/または各インサート(26,26a、26b)は、要素(4、4a、4b)および/またはその周辺に取り付けられたとき、前記肝心点(8)が前記アダプタ(24)の少なくとも部分球面の中心に実質的に一致するのを保証するために、その対応する要素(4、4a、4b)の肝心点(8)の位置を考慮して適合される請求項4に記載のアダプタ。
【請求項6】
少なくともいくつかの前記インサート(26,26a、26b)は、前記要素(4、4a、4b)のCADモデルに基づいて3D印刷され;
および/またはインサート(26,26a、26b)は、溶接ツール、ドリルビットなどの機械加工ツールおよび較正シャフトから選択された複数の要素(4、4a、4b)に対し、提供される請求項4または5に記載のアダプタ。
【請求項7】
測定デバイス(11)と、請求項1~6のいずれか一項に記載のアダプタ(24)とを備えるキットであって、
前記測定デバイス(11)は、前記測定デバイス(11)の測定点(18)が前記アダプタ(24)の中心点と実質的に一致し、そして結合要素(27)が支持表面(20)の少なくとも所定の部分または作動部分を超えて移動するときもそのまま留まるように、前記アダプタ(24)の支持表面(20)に結合し、それに抗して支持するように適合された結合要素(27)を備えるキット。
【請求項8】
前記測定デバイス(11)は、測定デバイス(11)の2つの測定点(16,18)間の距離間隔の測定結果を提供するように適合され;
および/または前記測定デバイス(11)は、ボールバーなどの長さ測定デバイスである、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記結合要素(27)は、カップの形態であり、前記測定点(18)は、前記カップ(27)の少なくとも部分的球面の中心であり;および/または前記カップ(27)は、前記アダプタ(24)の少なくとも部分的球面(20)と結合するように適合される請求項7または8に記載のキット。
【請求項10】
前記測定デバイス(11)は、(i)一端にボール(15)を、他端にカップ(27)を備えるか、または(ii)両端にカップ(27)を備える請求項7,8,または9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
前記結合は、運動学的または少なくとも疑似運動学的である請求項7~10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
請求項4に従属したときに、前記キットは、前記インサート(26,26a、26b)を備える請求項7~11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
座標位置決め機械を較正する方法であって、
請求項7~12のいずれか一項に記載のキットを取ること、
前記要素(4、4a、4b)がまだ前記座標位置決め機械にある状態で、前記アダプタ(24)を前記要素(4、4a、4b)および/または要素(4、4a、4b)の周りに取り付けること、
前記測定デバイス(11)の前記結合要素(27)が前記アダプタ(24)の少なくとも部分的球面(20)の支持表面に抗して支持するように、前記測定デバイス(11)を前記アダプタ(24)に結合すること、
そして、測定操作(S8、S10)中に、前記測定デバイス(11)の前記測定点(18)が前記アダプタ(24)の中心点(28)と一致し、前記測定デバイス(11)の前記結合要素(27)が、前記アダプタの少なくとも部分的球面(20)の支持表面の少なくとも所定のまたは作動部分を超えて移動するとき、そのまま留まるように前記測定操作(S8、S10)を実行すること、
を含む方法。
【請求項14】
請求項2に従属したときに、(a)第1の操作と前記測定操作(S8、S10)のためのアダプタ(24)の取り付けとの間で前記ツール(4、4a、4b)を取り外すことなく、前記測定操作(S8、S10)用の前記アダプタ(24)を取り付ける前に、前記ツール(4、4a、4b)を使用する前記第1の操作(S8、S10)を実行すること;および/または(b)前記アダプタ(24)を取り付ける前または前記アダプタ(24)を取り外した後、および前記ツールを取り外すことなく、接触または非接触のツールセッターなどを使用して前記ツールの長さを決定するなど、前記ツールに対してさらに測定操作を実行することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13もしくは14に記載の方法を実行するように設計された座標位置決め機械であって、コンピュータまたは機械コントローラによって実行されたとき、前記コンピュータまたは機械コントローラに請求項13もしくは14に記載の方法、または請求項13もしくは14に記載の方法を実行するようにコンピュータまたは機械コントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令が格納されたコンピュータ可読媒体を実行させる、座標位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め機械に関する。本発明は、特に、限定されないが、関節式ロボットの少なくともいくつかの態様の較正に関する。
【背景技術】
【0002】
関節式ロボットは、組み立て、溶接、塗装、プリント回路基板のピックアンドプレース、パッケージングおよびラベリング、パレタイジング(パレット搭載)、および製品検査などの製造用途で一般的に使用されている。関節式ロボット(または単に「ロボット」)は、添付図面の
図1に概略的に示されており、固定ベース2からツール4を支持する可動フランジ3まで延びる関節式アーム1を備えている。典型的には、フランジ3には、ツール4が便利に交換可能であることを許容するカップリング(継手)が設けられている。
【0003】
アーム1は、機械的リンケージを形成する複数の回転継手6によって接続された複数のリンク5を備えている。
図1に示される例では、7つの回転継手6が存し、接続されたリンク5の長手方向軸に直交する回転軸を有する回転継手と、接続されたリンク5の長手方向軸に平行な回転軸を有する回転継手が交互にある。産業用ロボットの最も一般的な配置は、6つの回転継手を有することであるが、ロボットには1つ以上の線形継手を有する場合もある。複数の継手を使用することは、ツール4を作業領域の周りに移動させ、それをさまざまな異なるポーズに操作する際の適応性を許容する。適応性の程度は、アームにおける関節の数を増減することによって、もたらされ得る。
【0004】
しかしながら、追加の継手(したがって追加の適応性)を有するということは、各継手が位置誤差または不確実性に寄与し、そしてリンケージの連続性の故に、これらの誤差は累積するという不都合な点を有している。これらの誤差または不確実性を精密に示すために、ロボットを較正できることが重要である。
【0005】
任意のタイプの非デカルト機械の較正は重要な課題であり、これは、互いに対して固定されておらず、そしてツールを作業領域において位置させるために、複雑な方法で組み合わせることができる、複数の回転継手を有している
図1に示されるような関節式アームに対しては、実際にそうである。デカルト機械の較正は、典型的には、より簡単である。何故なら、このような機械は、各軸が互いに独立している状態で、直交配列で相互に固定された3つの明確に画定された軸を有しているからである。非デカルト機械では、各軸の位置および方向が他の各軸の位置および方向に依存し、その結果、較正は各異なる機械のポーズに対して異なる。
【0006】
レーザートラッカーを使用した較正は可能であるが、典型的に高価であり、現場での実施には時間がかかる。他の多くのタイプの較正技法は、関連する機械のパラメータのモデルを特定するという目標を共通に有している。このモデルでは、機械のジオメトリを特徴付けるために、複数のパラメータが使用される。較正されない値は、最初に機械のジオメトリの開始の点として、これらのパラメータに割り当てられている。較正の間、機械は(機械パラメータの現在の推定値に基づき)さまざまな異なるポーズに移動される。各ポーズについては、較正された測定デバイスが実際のポーズを測定するべく使用され、その結果、想定された機械ポーズと実際の機械ポーズとの間の誤差の指標が決定され得る。
【0007】
機械を較正する課題は、ひいては、既知の数値最適化または誤差最小化手法を使用して、誤差を最小化する機械のさまざまなパラメータについての値のセットを決定することになる。このような手法の例は、よく知られているLevenberg-Marquardtアルゴリズムであり、これは、最小二乗法を使用して、最適化された各パラメータに従って、誤差の導関数を知る誤差を最小にする(非特許文献1および非特許文献2参照)。最尤法に基づくものを含む他の手法もまた可能である。
【0008】
図1に示されるようなロボットの場合、これらの機械パラメータは、各ロボットリンク5の長さや、各回転継手6の回転角度オフセット(エンコーダーからの角度と実際の角度を与える較正されたオフセット)、および継手のコンプライアンスや摩擦などのさまざまな機械的パラメータのような、種々の幾何学的パラメータを含み得る。これらのすべての機械パラメータがわかっている状態で、適切に較正される場合、さまざまな継手6が異なるそれぞれの位置に移動するべく、ロボットコントローラ7によって命令されたとき、ツール6が実際にどの位置になるかをより確実に予測することが可能である。言い換えると、そのような較正から得られる機械パラメータは、機械ジオメトリのより正確な特性評価を提供する。
【0009】
以前は、ロボットの較正手順の一部を形成するために、Renishaw plcによって製造および販売されているQC20-W ballbarなどのボールバーを使用することが考えられていた。例えば、そのような手順は、非特許文献3「単一の入れ子式ボールバーを使用した絶対ロボット較正」(Precision Engineering、2014)に記載されている。この記事では、2つのカスタムメイドの治具が使用され、それぞれは3つのボールバー接続点を有していると説明されている。1つの入れ子式ボールバーが2」つの治具の接続点の異なるペア間に順番に接続され、治具の1つがコントローラによって他の治具に対して72の異なるポーズのそれぞれに移動するように命令される。測定値は、誤差最小化技術を使用して機械のパラメータを決定し、それによって、機械を較正するために使用される。
【0010】
ロボットの較正技術に関するさらなる背景は、以下に見出される。
(a)非特許文献4(「オフラインで生成されたロボットプログラムの較正方法」Gustav著)、
(b)非特許文献5(Frank Shaopeng Chengによる「ロボットの位置決め精度を高めるためのロボット参照フレームの較正」)、
(c)非特許文献6 (Gregoriによる「Etalonnage de Robots Industriels」)、
(d)非特許文献7(Adel Olabiによる「Amelioration de la precision des robots industriels pour des applications d’usinage a grande vitesse」)、
(e)非特許文献8(A.Y. Elatta et alによる「ロボット較正の概要」)、
(f)非特許文献9(KhaLilおよびE Dombreによる「ロボットのモデリング、識別および制御」)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5297238号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0003647号
【特許文献3】独国特許第3504464号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kenneth Levenbergによる「A Method for the Solution of Certain Non-Linear Problems in Least Squares」、1944年、Quarterly of AppLied Mathematics、2:164-168頁
【非特許文献2】Donald Marquardtによる「An Algorithm for Least-Squares Estimation of Nonlinear Parameters」、1963年、SIAM Journal on AppLied Mathematics、11(2):431-441頁
【非特許文献3】Albert Nubiolaによる「Absolute Robot Calibration with a Single Telescoping Ballbar」 2014年、Precision Engineering誌
【非特許文献4】Gustav Bergstromによる「Method for calibration of off-line generated robot program」 2011年、Master of Science Thesis, Chalmers University of Technology, Goteborg, Sweden, , Report No. EX099/2011
【非特許文献5】Frank Shaopeng Chengによる「Calibration of Robot Reference Frames for Enhanced Robot Positioning Accuracy」、a chapter in“Robot Manipulators” Edited by Marco Ceccarelli, ISBN 978-953-7619-06-0)
【非特許文献6】Gregoriによる「Etalonnage de Robots Industriels」、2010年7月、Projet de fin d ’etudes、Ingenierie Industrielle、Universite du Quebec
【非特許文献7】Adel Olabiによる「Amelioration de la precision des robots industriels pour des applications d’usinage a grande vitesse」、2011年、Arts et Metiers ParisTech, https://pastel.archives-ouvertes.fr/pastel-006490l9からダウンロード可能
【非特許文献8】A.Y. Elatta et alによる「An Overview of Robot Calibration」、2004年、Information Technology Journal 3 (1): 74-78頁
【非特許文献9】KhaL1lおよびE Dombreによる「Modeling, Identification and Control of Robots」ISBN 978-1-903996-66-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ロボット、または少なくともロボットのジオメトリの特定の態様を較正する、改善された方法および/または簡略化された方法を提供することが望ましい。
【0014】
特許文献1は、ロボット上のツール制御フレームを較正する方法を説明しており、その一実施形態では、プローブがロボットのツールに取り付けられ、デジタル化プレートによって非接触式に感知される。特許文献2は、測定デバイスとしてボールバーを使用する機械のエンドエフェクタにおける位置誤差を修正する方法を開示している。特許文献3は、三脚配置における3本の入れ子式測定ロッドの使用を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、座標位置決め機械を較正する方法であって、
機械のジオメトリは、パラメトリックモデルによって特徴付けられ、較正方法は、既存のモデルパラメータのセットよりも優れて機械のジオメトリを特徴付けるモデルパラメータの新しいセットを決定するべく意図され、この方法は、
機械の可動部分に関連付けられたターゲット点と機械の固定部分に関連付けられたピボット点が既知の距離間隔だけ互いに分離されるピボットポーズに機械を制御すること、既知の距離間隔および既存のモデルパラメータからそのポーズに予想される距離間隔に基づいて、そのポーズに対する誤差値を決定すること、
機械を複数の異なるターゲットポーズに制御すること、
各ターゲットポーズについて、ターゲット点とピボット点との間の距離間隔を測定するために長さ測定デバイスを使用すること、そして、測定された距離間隔と既存のモデルパラメータからおよびピボットポーズからそのポーズに予想される距離間隔に基づいて、そのポーズについての誤差値を決定すること、誤差値から全体的な誤差の大きさを決定すること、および既存のパラメータのセットよりも全体的な誤差の大きさが低くなるであろう新しいパラメータのセットを決定すること、を備える方法が提供される。
【0016】
この方法は、新しいパラメータのセットに基づいて誤差値の新しいセットを決定すること、およびそれらの誤差値からさらに新しいパラメータのセットを決定することを含むことができる。これは、例えば、全体的な誤差測定値が所定の閾値を下回るまで、必要なだけ繰り返えされてもよい。
【0017】
既知の距離間隔は、ゼロの値またはゼロ能力ベクトルである場合がある。言い換えれば、ターゲット点およびピボット点は、ピボットポーズで実質的に一致する可能性がある。
【0018】
この方法は、モデルパラメータのサブセットのみのための新しい値を決定することを含み得る。モデルパラメータの残りの部分は、較正方法の目的のために正しいと想定されてもよく、または、機械のジオメトリを既存のモデルパラメータのセットよりも優れて特徴付けるモデルパラメータの新しいセットを決定するために、サブセットのパラメータのみが変化された状態で、少なくとも方法の実行中は変更されずに留まってもよい。
【0019】
モデルパラメータのサブセットは、機械のツール中心点、例えばツール中心点の位置に関連してもよい。
【0020】
測定された距離間隔は、1次元の距離間隔、つまり換言すると1自由度の距離間隔であってもよい。
【0021】
ターゲット点とピボット点の間の距離は、長さ測定デバイスによって測定されてもよい。
【0022】
長さ測定デバイスは、ボールバーであってもよい。
【0023】
ターゲットポーズは、ピボットポーズの前または後に実行されてもよいが、ピボットポーズは、ターゲットポーズの前に実行されることが好ましい。これは、機械をピボットポーズに制御するステップによって、ピボット位置は少なくとも部分的に設定されるためである。
【0024】
ピボット点とターゲット点の間の既知の距離間隔は、調整可能なピボットを使用することで達成され得る。調整可能なピボットは、ターゲット点がピボット点の近傍で機械によって移動されるので、ピボット点がそれらの間の既知の関係でターゲット点に結合し、それによって既知の距離間隔を与える状態で、ピボット点のいくらかの動きを許容する。ピボットは、後続のターゲットポーズ測定のためにその位置にロックされてもよい。調整可能なピボットは、少なくとも横方向の並進運動を許容し得る。調節可能なピボットは、ピボットの回転を可能にし得る。
【0025】
測定された距離間隔は、その代わりに、2つの自由度の距離間隔である場合がある。測定された距離間隔は、例えば三脚によって測定された3つの自由度の距離間隔であり得る。測定された距離間隔は、代わりに、4つの自由度の距離間隔である場合がある。測定された距離間隔は、代わりに、5つの自由度の距離間隔である場合がある。測定された距離間隔は、その代わりに、例えば六脚によって測定された、6つの自由度の距離間隔であり得る。測定された距離間隔は、1次元から6次元のベクトルと見なされてもよい。ターゲット点は機械の可動部分に関連し、そしてピボット点は機械の固定部分に関連すると述べられている場合、これらは、代わりに、それぞれターゲット部分およびピボット部分と見なされてもよく、その結果、それらの間の回転関係(距離間隔)が定義され得、ただの並進関係(距離間隔)だけではありない。
【0026】
N次元の距離間隔の場合、上記の各「誤差値」は、実際には、N個の対応する個別の誤差値を含むことが理解されよう。したがって、ピボットポーズおよび各ターゲットポーズに対して決定された「誤差値」は、それぞれが1つまたは複数の「誤差値」を有する「誤差」または「誤差測定」と見なされるか、および/または、その代わりに参照される。
【0027】
機械はロボットであってもよい。機械は関節式ロボットであってもよい。機械は、6軸の多関節産業用ロボットであってもよい。ロボットは、回転か線形か、その組み合わせか、直列か並列か、またはその組み合わせかを問わず、3つ以上の軸を有する座標位置決め機械と見なされてもよい。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、座標位置決め機械の要素またはその周囲に取り付くように適合されたアダプタが提供され、この要素は、肝心点を有し、そこで、アダプタは、要素および/または要素の周りに取り付けられたとき、肝心点と実質的に一致する中心点を有する少なくとも部分球形の支持表面を備えている。
【0029】
要素はツールの場合がある。要素は、機械の移動端にあるツールであってもよい。要素は、機械によって運ばれるおよび/または使用されるおよび/または操作されるツールであってもよい。
【0030】
肝心点は、ツールのツール中心点である場合がある。
【0031】
アダプタは、一般的な方法で複数の異なるインサートを受け入れるように適合されてもよく、インサートは、異なるそれぞれの要素または要素のタイプを受け入れるべく適合されている。これは、アダプタがさまざまな異なる要素または要素のタイプと共に使用されるのを可能にする。
【0032】
各インサートは、その対応する要素の外形に合致するように、内部で成形されてもよい。
【0033】
各インサートは、要素および/またはその周辺に取り付けられたとき、肝心点がアダプタの少なくとも部分球面の中心に実質的に一致するのを保証するために、その対応する要素の肝心点の位置を考慮して適合されてもよい。
【0034】
少なくともいくつかのインサートは、要素のCADモデルに基づいて3D印刷されてもよい。
【0035】
溶接ツール、ドリルビットなどの機械加工ツールおよび較正シャフトから選択された複数の要素に対し、インサートが提供されてもよい。
【0036】
本発明の別の態様によれば、本発明の第2の態様のアダプタと共に、測定デバイスを備えるキット(例えば、部品のキット)が提供される。測定デバイスは、測定デバイスの測定点がアダプタの中心点と実質的に一致し、そして結合要素が支持表面の少なくとも所定の部分または作動部分を超えて移動するときもそのまま留まるように、アダプタの支持表面に結合し、それに抗して支持するように適合された結合要素を備えている。
【0037】
測定デバイスは、測定デバイスの2つの測定点間の距離間隔の測定結果を提供するように適合されてもよい。
【0038】
測定デバイスは、長さ測定デバイスであってもよい。
【0039】
測定デバイスは、ボールバーであってもよい。
【0040】
結合要素は、カップの形態であってもよい。
【0041】
測定点は、カップの少なくとも部分的球面の中心、またはカップの支持点を通過する少なくとも部分的球面であってもよい(例えば、カップが3つの接触点を含む場合)。
【0042】
カップは、アダプタの少なくとも部分的球面と結合するように適合されてもよい。
【0043】
測定デバイスは、一端にボールを、他端にカップを備えてもよい。
【0044】
測定デバイスは、両端にカップを備えてもよい。
【0045】
結合は、運動学的または少なくとも疑似運動学的であってもよい。
【0046】
結合要素は、接触面が支持表面の実質的な部分(例えば、錐体または球の一部)を覆う疑似運動学的であってもよい。これは、結合要素がボールアダプタの溝または穴をまたぐのに役立つ。
【0047】
キットは、上記のインサートを備えてもよい。
【0048】
本発明の別の態様によれば、座標位置決め機械を較正する方法が提供され、方法は、前述の態様によるキットを取ること、要素がまだ座標位置決め機械にある状態で、アダプタを要素および/または要素の周りに取り付けること、測定デバイスをアダプタに結合すること、測定デバイスの結合要素がアダプタの少なくとも部分球面の支持表面に抗して支持するように、測定デバイスをアダプタに結合すること、そして、測定操作中に、測定デバイスの測定点がアダプタの中心点と一致し、測定デバイスの結合要素が、アダプタの少なくとも部分的球形の支持表面の少なくとも所定のまたは作動部分を超えて移動するとき、そのまま留まるように測定操作を実行すること、を含んでいる。
【0049】
この方法は、第1の操作と測定操作のためのアダプタの取り付けとの間でツールを取り外すことなく、測定操作用のアダプタを取り付ける前に、ツールを使用する第1の操作を実行することを含んでもよい。
【0050】
この方法は、アダプタを取り付ける前またはアダプタを取り外した後、およびツールを取り外すことなく、接触または非接触のツールセッターなどを使用してツールの長さを決定するなど、ツールに対してさらに測定操作を実行することを含むことができる。
【0051】
「実質的に一致する」という用語の意味は、本発明が使用される状況、ならびに予想および/または必要とされる精度に依存するとして、当業者によって理解されるであろう。この用語は、「必要な許容範囲内で一致する」または「所定の許容範囲内で一致する」を意味すると解釈されてもよい。例えば、「実質的に一致する」は、いくつかの用途において、5mm以内、またはより好ましくは2mm以内、またはより好ましくは1mm以内、またはより好ましくは0.5mm以内、またはより好ましくは0.1mm以内を意味し得る。
【0052】
本発明の第2の態様の実施形態によれば、所定のツール中心点を有するツール、座標位置決め機械のまたは座標位置決め機械用のツールおよび/またはその周囲に嵌合するように適合されたアダプタであって、当該アダプタは、中心を有する少なくとも部分的に球形の支持表面を含み、その中心は、ツールおよび/またはツールの周りに取り付けられたときに、ツールのツール中心点と一致するか、またはツールの中心点からの既知のオフセットであるアダプタを提供する。ツールのツール中心点は、ツールの形態や形状によって、またはそれらに応じて本質的に画定される。このようなアダプタと共に使用するための測定デバイスもまた提供されており、測定デバイスは、測定デバイスの測定点が一致するか、または測定デバイスの測定点がアダプタの中心からの既知のオフセットであり、結合要素が支持表面の少なくとも所定の部分または作動部分を超えて移動するとき、そのままに留まるように、アダプタの支持表面に結合しそしてそれに抗して支持するように適合された結合要素を有している。測定デバイスは、長さ測定デバイスであってもよい。測定デバイスは、デバイスの2つの測定点の間の距離間隔の測定を提供するように適合されてもよい。測定デバイスは、ボールバーであってもよい。測定点は、測定デバイスの端部にあるボールの中心、または測定デバイスが結合するボールであってもよい。結合要素は、カップの形態であってもよい。測定デバイスは、一端にボールを、他端にカップを、または両端にカップを有することができ、カップは、アダプタの少なくとも部分的球面と結合するように適合されている。結合は、運動学的または少なくとも疑似運動学的であってもよい。
【0053】
本発明の第3の態様によれば、ボールバーに追加の移動範囲を提供するように構成されたボールバー用の延長部分が提供される。この態様のボールバーは、代わりに、別のタイプの長さ測定デバイスでもよい。これは、例えばモジュラーシステムの一部として、オーバートラベル拡張機能を提供する。延長部分は、移動範囲を拡張するが測定範囲は拡張しないように適合されてもよい。延長部分は、測定範囲の両側に追加の移動範囲を提供するように適合されてもよい。延長部分は、測定範囲の一方の側のみに追加の移動範囲を提供するように適合されてもよい。延長部分は、ボールバーのボールの1つとして機能するボールを備えることができる。測定部分、標準端部分および延長部分を備えるモジュール式システムが提供され得、測定部分は、第1のタイプのボールバーを形成するべく、測定部分が標準端部分に結合可能であり、そして第2のタイプのボールバーを形成するべく、延長部分に別個に結合可能である。
【0054】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータまたは機械コントローラによって実行されたとき、コンピュータまたは機械コントローラに本発明の第1の態様による方法または第2の態様に関連する方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。プログラムは、キャリア媒体で搬送されてもよい。キャリア媒体は、記憶媒体であってもよい。キャリア媒体は、伝送媒体であってもよい。
【0055】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様による方法または第2の態様に関連する方法による方法を実行するようにコンピュータまたは機械コントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令が格納されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
ここで、例として、添付の図面が参照される。
【
図1】
図1は、前述された、関節式ロボットの概略図である。
【
図2】
図2は、ツールの中心点(TCP)が同じ位置に留まるように、取り付けられたツールを動かすロボットを概略的に示している。
【
図3】
図3は、TCPを識別するために、以前に検討された方法を示している。
【
図4】
図4は、TCPを識別するために、以前に検討された方法を示している。
【
図5】
図5は、本発明の第1の態様の第1の実施形態による方法のステップを示している。
【
図6】
図6は、本発明の第1の態様の第1の実施形態による方法のステップを示している。
【
図7】
図7は、本発明の第1の態様の第1の実施形態による方法のステップを示している。
【
図8】
図8は、本発明の第1の態様の第1の実施形態による方法のステップを示している。
【
図9】
図9は、本発明の第1の態様の第1の実施形態による方法のステップを示している。
【
図11】
図11は、正しくないTCP位置が、方法からの測定にどのように影響するかを示す概略図である。
【
図12】
図12は、
図2に類似しているが、ツール自体からオフセットされたツール中心点を有する溶接ツールを示している。
【
図13】
図13は、調整可能なピボットではなく、固定ピボットが示されている点で、
図9とは異なっている。
【
図14】
図14は、本発明の第1の態様の第1の実施形態の方法で起こり得る、不都合な点を説明するのに使用するための図である。
【
図15】
図15は、本発明の第1の態様の第1の実施形態の方法で起こり得る、不都合な点を説明するのに使用するための図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタの概念を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図18】
図18は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図19】
図19は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図20】
図20は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図21】
図21は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図22A】
図22Aは、ボールバーであって、両方の端部に1つのボール有しているタイプのボールバーが示されている。
【
図22B】
図22Bは、ボールバーであって、一方の端部に1つのボールを有し、他方にカップを有して、本発明の第1の態様の第2の実施形態で使用されるタイプのボールバーが示されている。
【
図23】
図23は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図24】
図24は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図25】
図25は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図26】
図26は、本発明の第2の態様の実施形態によるボールアダプタを使用する、本発明の第1の態様の第2の実施形態による方法のステップを図解する図である。
【
図27】
図27は、汎用ボールアダプタが、異なるツール用の様々なインサートを受け入れるように適合されているモジュール式ボールアダプタシステムを示している。
【
図28】
図28は、汎用ボールアダプタが、異なるツール用の様々なインサートを受け入れるように適合されているモジュール式ボールアダプタシステムを示している。
【
図29】
図29は、汎用ボールアダプタが、異なるツール用の様々なインサートを受け入れるように適合されているモジュール式ボールアダプタシステムを示している。
【
図30】
図30は、汎用ボールアダプタが、異なるツール用の様々なインサートを受け入れるように適合されているモジュール式ボールアダプタシステムを示している。
【
図31】
図31は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図32】
図32は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図33】
図33は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図34】
図34は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図35】
図35は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図36】
図36は、延長部分が、ボールバーに追加の移動範囲を提供するために使用される、本発明の第3の態様の第1の実施形態を示している。
【
図37】
図37は、モジュール式ボールバーの配置を示している。
【
図38】
図38は、モジュール式ボールバーの配置を示している。
【
図39】
図39は、モジュール式ボールバーの配置を示している。
【
図40】
図40は、
図37~39のモジュール式ボールバー配置での本発明の第3の態様を具体化する延長部の使用を概略的に示している。
【
図41】
図41は、
図37~39のモジュール式ボールバー配置での、本発明の第3の態様を具体化する延長部の使用を概略的に示している。
【
図42】
図42は、
図37~39のモジュール式ボールバー配置での、本発明の第3の態様を具体化する延長部の使用を概略的に示している。
【
図43】
図43は、
図37~39のモジュール式ボールバー配置での、本発明の第3の態様を具体化する延長部の使用を概略的に示している。
【
図51】
図51は、第3の態様の延長ピースが、第2の態様のボールアダプタと共に使用される実施形態を示される図である。
【
図52】
図52は、本発明の第1の態様の実施形態の基礎となる概念の概略図を提供する。
【
図53】
図53は、本発明の第1の態様の実施形態の基礎となる概念の概略図を提供する。
【
図54】
図54は、本発明の第1の態様の実施形態の基礎となる概念の概略図を提供する。
【
図55A】
図55Aは、ドリルビットに適用された本発明の第2の態様のボールアダプタの概念を示す図である。
【
図55B】
図55Bは、ドリルビットに適用された本発明の第2の態様のボールアダプタの概念を示す図である。
【
図56A】
図56Aは、較正シャフトに適用された本発明の第2の態様のボールアダプタの概念を示す図である。
【
図56B】
図56Bは、較正シャフトに適用された本発明の第2の態様のボールアダプタの概念を示す図である。
【
図57A】
図57Aは、ボールアダプタの概念が、ツールを取り外す必要なしに、複数の較正または測定操作が実行されるのをどのように可能にするかを示す図である。
【
図57B】
図57Bは、ボールアダプタの概念が、ツールを取り外す必要なしに、複数の較正または測定操作が実行されるのをどのように可能にするかを示す図である。
【
図58】
図58は、ツールへのグリップ取り付けのためのボールアダプタの実施例を示している。
【
図59】
図59は、ツールへのねじ取り付け用のボールアダプタの実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
ツール4を作業領域の周りに移動させるようにロボットをプログラミングする場合、重要な情報は、ツール4が取り付けられているロボットの部分(たとえば、フランジ3)に対するツール中心点(TCP)の位置である。ロボットのツール中心点の座標を設定することは、ロボットを設置する際の重要なステップであり、ロボットごとに行われる。ツールの中心点は、すべてのロボットの位置決めが画定される基準となる点であり、ツール座標系の原点を構成する。ツールの中心点は、例えば、アーク溶接ガンの先端、スポット溶接ガンの中心、またはグレーディングツールの端に対応する。したがって、ツールの中心点の位置は、関連する適用によって異なる。動作中において、所望のツールの向きで、所望の目標位置にジョグまたは移動されるのはツールの中心点である。
【0058】
図2は、ツールの中心点8が同じ位置に留まるように、ツール4を移動させるべく、教育を受けているロボットを概略的に示し、これは、ツールの中心点が正しく識別されたことを確認するために、通常、実行されるテストである。このようなテストは、「ツール方向テスト」として知られている。目的は、ツールの中心点を中心として動かずに回転する能力を測定することによって、ロボットの精度を評価することである。テストの結果は、ボールバーによって測定された距離の広がりまたは偏差である。ほとんどのロボットでは、ボールバーのターゲットボールを、ロボットの作業ツールの正確な位置に取り付けることはできない。したがって、ツールの方向テストでは、実際のロボット誤差ではなく、ターゲットボールと作業ツールの間の距離を測定する。次に、ロボット上のターゲットボールの実際の位置を測定し、ロボットのコントローラに入力する必要がある。
【0059】
しかしながら、ツールの方向テストのようにTCPの位置を単に検証するのではなく、本発明の実施形態の目的は、位置を測定(決定)することである。現在最も一般的に使用されている方法は、オペレータが2つのピンを異なる方向(1つは固定され、もう1つはTCPを参照するために、オペレータによって移動可能)で視覚的に整列させるピンツーピン(pin-to-pin)方法である。これは便利な方法であるが、オペレータに大きく依存するため、比較的不正確である。また、ツール4を取り外してピンに交換する必要がある。
【0060】
本発明の実施形態を使用してTCPを識別する方法を説明する前に、本発明の実施形態を文脈に入れるために、
図3および
図4を参照して、いくつかのさらなる背景が提供される。
【0061】
距離測定デバイス(ボールバーなど)を使用してロボットのツール中心点(TCP)を測定する場合、原理は、ツールのさまざまな方向で距離を測定し、これらの測定値からTCP座標を推定することである。
【0062】
1つの問題は、測定された距離を検討する方向を見つけることである。これには主に2つのアプローチがあり、(a)すべての測定は、測定デバイスが同じ方向を向いている状態で行われることを考慮すること、および(b)さまざまな方向で測定を行い、その情報からピボットセンターの位置を特定することである。
【0063】
第一のアプローチが
図3に示されている。この方法では、ボールバー10が、機械のベースに固定された第1のボールバーマウント12(これはボールバー10の「ピボット」と呼ばれる)とロボット自体に取り付けられた第2のボールバーマウント14との間に、取り付けられる。したがって、この例では、
図1および2のツール4は、ボールバーマウント14によって置き換えられており、ボールバーマウント14は、ボールバー10の一端のボールが運動学的または疑似運動学的に位置する磁気カップを有している。このような運動学的磁気カップは、標準的でよく知られたボールバーシステムの付属品であり、ボールがカップ内の既知で反復可能な位置に着座するのを許容し、そしてその結果、ボールバー10がマウントの周りを回転してもボールの中心が移動しない。ある本体を別の本体に対して配置する場合、運動学的設計の考慮事項は、最小限の数の制約を使用して、本体の運動の自由度を制約することで満たされ、特に過剰な制約の回避を伴う。過剰な拘束を行うと、2つの本体間に複数の接触点が生じることが可能になり、1つの本体が他の本体に対して複数の位置で静止することを許容することになる。したがって、いくつかの位置のどの位置で、本体が静止するのかわからないので、本体の位置は反復可能ではない(つまり、予測不可能すなわち明確に画定されない)。表面接触は、理論上、無限の点接触を有しているので、理想的な運動学的結合は点接触のみで構成される。しかしながら、実際には、支持表面の摩耗と負荷を減らすのにも役立つ小さな表面積で接触している場合は、疑似運動学的結合で十分である。
【0064】
この例の場合、
図3のボールバーマウント14は、ボールバー10のボールがツール4のTCPと一致する中心で、マウントの運動学的カップに着座するように構成されていると想定されているが、しかし、本発明の第2の態様の実施形態(以下でさらに説明する)は、そのような想定の必要性を回避する解決策を提供する。または、ツールのTCPとボール中心の位置の間のオフセットを構成するべく、適切なオフセット調整が以下の方法において行われてもよい。
【0065】
ロボットが同じTCPの周りを回転するように命令されたとき、コントローラのTCP座標の初期値が実際からそれほど遠くないと仮定すると、TCPはほとんど固定されたままである。次に、ボールバー10からのすべての測定は同じ方向に沿って実行されると考えられる(方向の偏差は、計算において許容できる二次誤差をもたらす)。これらの条件では、TCP座標の誤差がコントローラで識別され得、TCP座標は、前述のような誤差最小化手法を使用して、修正され得る。これは、5回または6回の測定の方がより良いけれども、理想的には、最低4回の測定を必要としている。
【0066】
この方法では、誤差最小化アルゴリズムへの入力として、次の情報が必要である。(a)測定が行われる方向D、(b)コントローラ内のTCPの座標、および(c)各測定についてのロボットの座標。
【0067】
上記において、ロボット座標は、ロボットが既に完全に較正されている(または理想的である)との仮定に基づいて、コントローラから決定されたデカルト座標である。換言すると、ロボット自体の誤差は無視されている。むしろ、この手順は、ロボットに相対的な座標であるTCP座標の誤差を識別するためのものである。上記の手順においては、方向の入力は、この方向を表すために使用されるフレームに混乱のリスクがあるので、問題になる可能性がある。
【0068】
2番目のアプローチは
図4に図解されている。ピボットマウント12の回転中心(ピボット点)の位置は不明であるので、TCP座標と合わせて識別する必要がある。これは、第2のアプローチにおいて、ボールバー10が様々な方向を指し、ピボット点がそれらの様々な方向の交点にある状態で測定を行うことによって達成される。ロボットは、最初のアプローチと同様に、これらの方向毎にTCPを中心に回転するように命令される。
【0069】
2番目のアプローチでは、TCP座標およびピボットセンターの位置が一緒に識別され得る。これには最低6回の測定が必要であるが、通常は9回から12回の測定の方が適している。この方法はまた、測定数を増やすことで、ロボットのより多くのパラメータを特定することが可能になるので、より精巧にすることもできる。
【0070】
2番目のアプローチでは、ロボットの位置とTCPの座標を測定毎にコントローラに入力することだけが要求される。このアプローチの複雑さは、必要とされる多数の測定と、球の表面の周りにロボットを駆動する必要性から生じる。
【0071】
次に、本発明の第1の態様の第1の実施形態による手法が、
図10が手順の概略フロー図を提供しつつ、
図5から11を参照して説明される。この実施形態の根底にある概念は、誤差最小化方法を使用してTCPを識別するための入力データとして、ピボットの位置でのロボット座標を使用するものとして要約され得る。これは、以前に検討された手法では行われない。
【0072】
図5に示されるように、手順を開始するために、ステップS1において、(ボールバー10のターゲットボールを支持するための)ターゲットマウント14がロボットアーム1のフランジに取り付けられ、そしてステップS2において、(ボールバー10のピボットボールを支持するための)調整可能なピボットマウント13が、ロボットの前のベース2に位置される。調整可能なピボットマウント13は、
図3および4の固定ピボットマウント12とほぼ同じであるが、固定ベース2に対して磁気カップが調整され得る点が異なる(ピボットマウント13にはユニバーサルピボットが使用され得るが、横方向の移動または並進を提供するために適合されているだけで十分である)。ステップS3において、ロボットにおける所望のTCPおよびゼロ(null)ベースフレームが(異なるツールおよび適用のためのTCPおよびベースフレームの様々な選択から)選択される。ステップS4では、残りの手順中にロボットの座標(点)を記録するために、ロボットコントローラに新しい空のプログラムが作成される。
【0073】
図6に示されるように、ステップS5において、ロボットは手動で調整可能なピボットマウント13に駆動される。ステップS5の前は、調整可能なピボットマウント13がロック解除されたままであり、磁気カップは重力の作用に逆らってカップを支持するのに十分な保持力によって緩く支持されている状態にあり、その結果、それは、比較的重要ではないバイアス力によって今なお回動され得る。磁気カップには、ボールバー10のピボットボールに一致または模倣するダミーボール15が存し、特に、ターゲットマウント14がその上に着座するのを許容するように、ピボットボールと同じサイズである。ピボットマウント13はまだロック解除されているので、ターゲットマウント14は特定の位置に正確に制御される必要はないが、調整可能なピボットマウント13の範囲内で大まかに駆動され、そしてピボットボールへ下向きに移動されてもよい。わずかな位置ずれがある場合でも、球状のダミーボール15に作用するターゲットマウント14の運動学的カップの性質は、これのために必要である移動が発生するのを許容するピボットマウント13での遊びを伴って、それらを既知の相対位置で結合させることを当然に生じさせる。自在にピボット可能であることに加えて、ピボットマウント13にはまた、さらなる適応性を許容するべく、Z方向に遊びがもたらされている。ピボットマウント13はまた、調整不可能であってもよいが、これは、ターゲットマウント14を、ダミーボール15を介してピボットマウント13に結合する際に、追加の精度が必要になる。
【0074】
ターゲットマウント14がダミーボール15を介してピボットマウント13に結合された状態で、調整可能なピボットは、方法の残りの部分のためのそれ以上の動きを防ぐべく、ロックされる。手順のこの時点では、ダミーボール15(したがって、ボールバー10が配置されたときのピボットボール)の正確な位置は重要ではない。何故なら、この位置におけるロボット座標は、ロボットプログラムのステップS6において記録されるからである。したがって、ステップS6では、第1の点が、ロボットプログラムにおいて、現在の位置、すなわちロボットがピボット位置で記録される。これは、ロボット座標が機械のモデルパラメータに基づいて決定されるのを可能にすべく、ロボット座標、またはさまざまなエンコーダーの読み取りを記録することになる。この位置では、ボールバーが存在しないので、ボールバー測定のゼロ値も(少なくとも概念的には)記録される。この点において、ボールバーは存在せず、したがって個別の測定は行われないが、ピボット点とターゲット点が一致する場合、これは事実上、長さゼロのボールバー測定(すなわち、以下でより詳細に説明されるように、誤差最小化方法について3つの情報を提供する3つの直交方向でゼロ)を提供している。ロボットの座標は、機械のポーズ、例えば、関節角度のセットまたはさまざまな関節エンコーダーからの読み取り値を完全に特徴付ける一連の情報と考えることができる。
【0075】
図7に示されているように、ステップS7では、距離間隔がボールバー10の取り付けを可能にするのに十分になるまで、ターゲットマウント14がピボットマウント13から離れるように動かされる。
図8に示されるように、ターゲットマウント14とピボットマウント13との間にボールバー10が取り付けられた状態で、ステップS8において、(ボールバー10のいずれかの端部における2つのボール間の距離間隔の)ボールバー測定が行われて記録され、そして新しい点がロボットプログラムに挿入される。ロボットプログラムに挿入された点は、その位置におけるロボット座標を備えている。
【0076】
ステップS9において、ロボットは、ステップS3で選択されたTCPの周りで、例えば、60°から90°、ターゲットマウント14を回転させるように命令され、そしてステップS10で、ロボットが新しい位置にある状態で別の点がロボットプログラムに挿入される。回転中に、(選択したTCP値またはロボット自体の誤差により)ターゲットマウント14の位置がずれる場合がある。偏差がボールバー10をその測定範囲外に駆動する場合、測定が行われ、ロボット座標が記録される前に、ユーザーは、ロボットを並進させて距離を調整し、ボールバー10を測定範囲に戻すことができる。
【0077】
方法は、(少なくとも4つの主方向の周りで)十分な回転が行われるまで、ターゲットマウント14を回転させ、そしてロボットプログラムに点を追加するプロセスを繰り返すべく、ステップS9に戻る。これは、
図9に示されている。この手順は、通常は5回または6回の測定が適しているが、最低4回の測定を必要とする。測定が多いほど、TCP座標はより正確になるが、手順は長くなる。測定は、ボールバー10が(必ずしも一定の方向ではない)任意の方向を指している状態で行うことができるが、1つのアプローチは、ステップS3で選択されたTCPを中心に回転するようにロボットに命令することである。
【0078】
十分な回転が行われたとき、方法はステップS11に続き、ロボットプログラムが処理のためにコントローラ(または他の何らかの処理ユニット)にアップロードされる。ステップS12では、ステップS3で選択されたTCPの座標が入力され、既にそこに記録されている場合はロボットプログラムから読み込まれる。ステップS13では、実際のTCP座標を計算するために、上述の誤差最小化方法が実行される。これについては、
図11を参照して、以下で詳しく説明される。プロセスの一部として、ピボットの中心の座標もまた決定されるが、ピボットマウント13は一時的にしか配置されないため、この情報はあまり重要ではない。ステップS14において、TCP座標は、コントローラにおいて更新された値で更新される。
【0079】
図11は、上記の手順の間に、正しくないTCP位置がボールバー10からの測定値に及ぼす影響と、これらが正しいTCP位置を決定するために、どのように使用されるかを示す略図である。(ロボットによって駆動される)ボールバー10のターゲットボール17は左側にあり、ピボットボール15は右側にあり、ボールバー10はその間にある(ボールバー10は、
図11では単純化のために実線で描かれている)。プログラムされたTCP(つまり、TCP識別手順が実行される前のTCP)は、ターゲットボールの物理的な中心(つまり、実際のTCP)がターゲットボール上の白い点として示された状態で、ターゲットボール上の黒い点として示されている。
【0080】
図11の例では、ロボットはプログラムされたTCPを中心に駆動され、TCPの固定された位置を維持しようとする(これは必須ではないが、この説明をより分り易くする)。ロボットが一番上の図の位置にある場合、ボールバー10はL
1の測定値を生成する。次に、ロボットが中央の図の位置まで回転される。プログラムされたTCPと実際のTCPは一致しないので、ボールバー10からの新しい測定値L
2は、実際にはL
1より小さくなる。同様に、ロボットが最も下の図の位置まで回転されると、ボールバー10からの新しい測定値L
3は、実際には、L
1とL
2の両方よりも大きい。プログラムされたTCPが既に正しい場合は、代わりに3つの測定値L
1、L
2、L
3がすべて同じであると予想されていた。代わりに、これらの各位置に関連付けられた誤差(予想されたボールバー測定値と実際のボールバー測定値の差)が存する。したがって、これらの誤差を最小化する傾向があるTCP位置の新しい値が決定され、これは、上記の誤差最小化方法によるものである。
【0081】
図5から11を参照して上で説明されたアプローチの場合、ボールバー測定毎のロボットの位置(つまり、ロボットの座標)のみならず、ピボット点でのロボットの位置(つまり、ロボットの座標)を記録することのみが要求されている。これは、
図3および4を参照してそれぞれ説明された1番目および2番目のアプローチと比較して、技術的に有利である。何故なら、これは、1番目のアプローチの利点(少数の測定)と2番目のアプローチの利点(堅牢性およびボールバーの方向を入力する必要を伴わない構成の容易さ)とを組み合わせているからである。この方法は、実行と指導が非常に簡単で、ロボットでのボールバーテストの迅速かつ簡単なセットアップ手順を提供する。また、コントローラでのTCP座標を更新または確認するために使用されてもよい。
【0082】
上述のように、本発明の第1の態様の基礎となる概念は、TCPを決定するために使用される数学的方法(例えば、最小二乗または最大尤度)の入力として、ピボットの位置でのロボット座標を使用するものとして要約され得る。これは、以前に検討された手法では行われない。ロボットがピボット位置にある場合は、もちろん、ボールバーが配置されていないので、その位置でのロボット座標に関連付くボールバーからの測定値は明らかにない。しかしながら、ピボット点では、ロボットの座標に関連付けるために、ボールバーからの長さゼロの測定が事実上存する。加えて、このゼロ長さ測定は、実際のボールバー測定についての場合である1つの軸(つまり、ボールバーの長手方向軸に沿っての)1つの軸ではなく、むしろ3つの直交軸に沿っての有効な測定と見なされ得る。したがって、この概念的なゼロ長さのボールバー測定は、少なくとも3つの追加の制約を提供することによって、誤差最小化ルーチンにおいて、特に有益である。
【0083】
方法は、最低4つのTCP方向(つまり、TCPの周りの4つの異なるボールバーの方向)で、単一のボールバー方向を使用すると、上では説明されたが、5つを使用すると、実装と教示がより完全で簡単になる。しかしながら、より少ないTCP方向を使用することも実際には可能であるが、少なくとも4つのTCP方向を使用するときに回避される問題的状況が発生する可能性があることに留意すべきである(例えば、無関係な回転が行われないなら、ボールバー10は平面内に留まる)。また、ボールバー10自体が既に較正されていることが好ましく、そうでなければ、少なくとも1つの追加の測定が方法において必要とされることにも留意されたい。
【0084】
ロボット自体に起因する最終的な誤差を考慮することも価値がある。上記の手順では、実際にはそうではない場合でも、ロボットが理想的(すなわち、正確に調整済み)であると想定されている。4つまたは5つのすべての測定における実際のロボット誤差が、TCP誤差による偏差を補償するというまれな事象では、方法は、TCPが正しいと結論付ける場合がある。実際、この方法は、実際のTCPではなく、テストの特定の構成で、ボールバーにより見られたTCPを識別すると考えられ得る。識別されたTCPは、ロボットの局部的な誤差を減らす傾向がある。これは、どの較正戦略でも、すべてのパラメータの解離を処理する必要があるので、どの方法にも当てはまる。ロボットから発生する最終的な誤差は、機械全体の較正戦略の何よりも問題である。
【0085】
上記の技術は、ロボットのツール中心点を識別する特定のタスクに限定されず、実際は、概してロボットジオメトリの識別に適用可能であることも理解されよう。
【0086】
概念は、ピボットの位置でのロボット座標を、TCP識別だけでなく、さらに概略的には、機械ジオメトリ識別(つまり、ロボットに限定されない、例えば、5軸座標測定機械)、ロボットジオメトリ識別のデータとして使用するものとして要約され得る。これは、ボールとボールの距離を測定するセンサー(例えば、ボールバー、三脚、ヘキサポッドなど)を使用した較正に有効である。これは、ロボットフランジに取り付けられたボールの位置(どこにあろうとも)を識別する。このボールが実際のエンドエフェクタに位置合わせされている場合、これは、(上記のとおり)TCPの座標を識別する。TCP識別手順は、概念の1つの適用例にすぎず、必要な測定とユーザー入力の数を減らすことによって、TCP識別を簡素化および高速化するという概念の利点を理解するのに役立つ、1つの例として説明されている。
【0087】
また、TCP識別手順の場合(単純なツール方向テストとは異なり)、固定点の周りを回転する必要はなく、TCPの位置に関係なく、TCPの周りにいくつかの異なる方向を提供する必要があるだけであることも注目される。一方、ツール(またはTCP)の配向テストでは、ロボットが、固定点を中心に回転するように命令され、このプロセス中にボールバーの偏差が測定されるという、ロボットジオメトリが正しいことを確認することである。ロボットが完璧であれば、ボールは動かず、偏差もありない。ロボットに幾何学的な誤差があると、ボールが動き、ボールバーの読みが変化する。テストの結果は、偏差の幅または広がりである。これは単なる検証であり、較正ではない。幾何学的な誤差は、アーム自体の誤差またはTCP座標の誤差である。
【0088】
概念はまた、ボールバーを使用した測定に限定されず、任意の距離測定デバイス(例えば、測定アーム、三脚など)が適している。この概念は、「距離間隔」が1次元(2点間の距離)であるか、または2次元または6次元までのものと見なされ得るかを考慮することで、さらに拡張され得る。言い換えれば、「距離間隔」は、1つの自由度から6つの自由度までのあらゆる間隔に関係することができる。例えば、6次元の距離間隔は、2つの物の間の相対的な距離だけでなく、互いに対する方向も特徴付ける。従来のボールバーは、(2点間の線に沿っての)1自由度での距離間隔を測定するが、三脚は3自由度での距離間隔を測定でき、ヘキサポッドは6自由度での距離間隔を測定できる。本明細書で使用される「距離間隔」という用語は、それに応じて解釈されるべきである。
【0089】
較正の観点からは、(ツールが取り付けられているロボットを基準にした)ツールの中心点の位置とピボットの位置の両方が、本発明を実施する方法の一部として、最適化されるべき機械パラメータと見なされ得る。誤差最小化方法の開始時に、ツールの中心点の現在の推定値(例えば、ツールの製造元から、またはツールのTCPの以前の較正から)があり、そして方法の目標は、TCPの新しい(より良い)推定値である。この点において、TCP位置は、較正の観点からは、他の機械パラメータと同様に考えることができ、ボールバー(または他の測定デバイス)からの測定値に「最適」を見つけるために、最適化中にさまざまなTCPパラメータが試行される。TCP位置の現在の推定値が間違っている場合、これは、測定デバイス(例えば、ボールバー)によって測定された距離間隔と現在のTCP位置に基づいて予想される(計算された)ものとの間の相違、すなわち、誤差において現れる。数学的最適化手順では、より小さい誤差値(または、測定値とパラメータから計算された値の差)となる、TCP位置のより良い推定値を見つけようとする。
【0090】
これは、ピボット位置についても同様である。任意の妥当な開始点が、ピボット位置の位置のために使用されてもよい。ターゲット点が、(上記のように)最初の「ピボット」読み取りのピボット点と一致して配置されている場合、ターゲット点とピボット点との間の距離間隔は(3つの直交方向すべてにおいて、それにより、3つの追加の制約を提供する)ゼロでなければならないことが知られている。しかしながら、現在の機械パラメータは、実際にピボット点の現在の推定値とは異なる場所にターゲット点を配置する場合がある(その結果、それらの間に、予想よりも大きい、つまりゼロより大きい距離間隔が存在する)。現在の機械パラメータから決定されたターゲット点の位置とピボット点の現在の推定値との差は、機械較正方法における他の誤差値(または値)と同様に誤差値(または値)として扱われ得る。ゼロ距離間隔が存する場合(ターゲットがピボットに配置されている場合)よりむしろ、最初の「ピボット」読み取りのピボットおよびターゲットから既知のオフセットまたは距離間隔が存する場合も同様である。実際の距離間隔と推定された距離間隔の両方からのこれらの誤差値はすべて、最適化方法で使用される。最適化を実行することによって、これは、TCPの位置(最も有用なもの)およびピボットの位置(あまり重要ではない)の両方のより適切な推定をもたらす。
【0091】
これは、
図52から54に概略的に示されている。
図52A、53A、および54Aは、ピボットポーズの機械を示し、一方、
図52B、53B、および54Bは、ターゲットポーズの機械を示している。機械は、機械パラメータ{a、b、c、d、x}のセットによって特徴付けられるものとして概略的に示されている。ここで、{a、b、c}は関節部のそれぞれの長さ、「d」はツールの長さ、「x」は、機械のベースに対するピボットのx座標である。したがって、「d」はTCPパラメータであり、「x」はピボットパラメータである。もちろん、この例は非常に単純化されており、文字どおりに理解されるべきではない。何故なら、実際には、さらに多くの機械パラメータがあるからであり、複数のターゲットポーズが使用されている。
【0092】
図52Aおよび52Bは、それぞれ、実際にピボットポーズとターゲットポーズにあるときの機械の状態を表している。ターゲットとピボットの間の実際の距離間隔は、ピボットポーズのときに「s」であることが知られ、上述の実施形態では、この距離間隔はゼロである(すなわち、ターゲットはピボットと一致するように配置されている)。ターゲットとピボットの間の実際の距離は、(ボールバーまたはその他の測定デバイスによって)ターゲットポーズにおいて「S」と測定される。さまざまなパラメータ{a、b、c、d、x、s}または{a、b、c、d、x、S}、つまり、それぞれ距離間隔の「s」または「S」を含むパラメータが機械の閉じた計測ループを形成することがわかる。
【0093】
図53Aおよび53Bは、それぞれピボットポーズとターゲットポーズにあるときの機械パラメータの現在のセットから決定された機械の状態を表している。現在の機械パラメータは、{a、b、c、d
o、x
o}で、x
0<xおよびdo<dである。言い換えると、パラメータ{d、x}、つまりTCPパラメータとピボットパラメータの現在の推定値は正しくない。この方法の目的のために、他の機械パラメータ{a、b、c}、つまり、TCPおよびピボットパラメータ以外のパラメータは、正しいと見なされる(または、少なくとも方法に対して一定のままである)。ターゲットとピボットの間の予想される距離は、機械パラメータの現在のセットに基づいて、ピボットポーズ(
図53A)のときは「s
0」、そしてターゲットポーズ(
図53B)のときは「S
0」と計算される。したがって、実際の距離間隔と予想される距離間隔の間に差があり、それらの差に基づいて、ピボットポーズとターゲットポーズのそれぞれに関連する誤差e
oおよびE
o、そして順に、機械パラメータ{a、b、c、d
o、x
o}の現在のセットに関連する全体的な誤差Σ
oが決定され得る。
【0094】
測定された/既知のデータにより、よく適合するパラメータのセットを見つけるために、他のパラメータ{a、b、c}はそのままにしておきながら、より低い全体的な誤差Σ
1を与える新しいパラメータ{d
1、x
1}を見つけるために、パラメータ{d、x}が摂動される最適化が行われる。これは、
図54Aと54Bに概略的に示されており、ここで、ピボットパラメータの新しい推定値「x
1」は実際のピボットパラメータ「x」に近く、そしてTCPパラメータの新しい推定値「d
1」は実際のTCPパラメータ「d」に近く、距離間隔「s
1」と「S
1」も同様に、それぞれ既知/測定された値の「s」および「S」に近い状態にあることがわかる。この最適化は、例えば全体的な誤差Σが所定のしきい値を下回るまで、必要なだけ繰り返えされてもよい。パラメータが摂動される方向は、導関数に基づいてもよい。最適化の各ステップでは、個々の誤差が減少する傾向にあるが、全体的な誤差を減少させることを目的とした状態で、他の誤差が減少しながらいくつかの個別の誤差は増加するという可能性がある(しかしながら、これが方法において後でより大きな潜在的な誤差の減少に帰するのなら、全体的な誤差は増加するかもしれないということも可能ではあるけれども)。もちろん、前述の最小二乗法や最尤法など、任意の適切な最適化方法が使用されてもよい。
【0095】
比較として、
図3および4をそれぞれ参照して説明された2つの方法のうち、第1の方法は、ボールバー10の方向のみに依存し、ピボットの位置はまったく使用されない。2番目は、ピボットの位置を機械パラメータと見なすが、ピボットの位置での測定値を較正のためのデータとしては使用していない。したがって、より多くのボールバー測定を必要としている。本発明を実施する方法および第2の方法(
図4)の両方において、TCPおよびピボットの位置は最終的に決定される。
【0096】
この方法は、TCPおよびピボットの位置に関連するパラメータを含む、機械パラメータの完全なセットを最適化することに基づく、較正方法と見なされ得る。十分な読み取りがなされると、これは、例えば、回転継手やセクション長などに関連するパラメータを含んでいる機械の完全な較正をもたらす。しかしながら、機械パラメータの完全なセットのただサブセットだけが最適化される方法を検討することは有益である。換言すると、方法では、パラメータのセット全体が引き続き使用されるが、それらのいくつかのみが実際には最適化される(つまり、それらのいくつかのみについて、新しい値が決定される)。他のパラメータは、固定、つまり概念的には「正しい」ものとして扱われ、誤差の最小化(または同様の)方法中に変化することは考慮されない。したがって、TCP位置だけを調整するために、TCP機械パラメータのみが、(実際と概念の両方の)測定値によりよく適合するTCPパラメータのセットを決定するために、変更される。これにより、必要な測定が少なくなるため、較正手順が迅速になる。
【0097】
次に、本発明の第1の態様の第2の実施形態が、
図12~
図26を参照して説明される。これはまた、本発明の第2の態様の第1の実施形態を構成する。
【0098】
図12は
図2に類似しており、ロボットによってそのツールの中心点を中心に回転されるツールを示しているが、以降の説明を簡略化するために、
図12では、ツール4は、ツール自体からオフセットされたツール中心点を有する溶接ツールとして、概略的に描かれている。しかしながら、これは第2の態様の目的のためには必須ではない。
【0099】
図13は、上記のように実行されるTCP識別手順を概略的に示し、調整可能なピボットではなく、固定ピボット12が示されている点でのみ(以下で説明されるように、
図9の調整可能なピボットが代わりに使用され得るが)
図9とは異なっている。
図14に示されるように、第1の態様の第1の実施形態の方法の不都合な点は、実際のツール4が取り外され、そして代わりにボールバーマウント14が取り付けられる(または、修正されたボールバーマウントがツール14へ追加されそしてオフセットされる)必要があることである。これはオペレータにとって不便で時間がかかるだけでなく、
図15に概略的に示されるように、ボールバーマウント14の公称中心が、ツール4の実際のTCPからオフセットされるので、調整が行なわれねばならず、これにより、さらに複雑になって、誤差の原因となる可能性がある。
【0100】
図16に概略的に示されているように、本発明の第2の態様は、ツール4を覆って嵌り合うように適合され、TCP識別手順中に、ツール4が所定の位置に留まることを可能にするボールアダプタ24を導入している。ボールアダプタ24は、変更されたボールバー(以下を参照)に結合するように適合された球面(または少なくとも部分的に球面)の支持表面20と、ツール4にぴったりと嵌り合い、そして所定の位置に、例えば、摩擦嵌めによって留まるように適合されたスリーブ22を有している。球面支持表面20は、ボールアダプタ24が完全に挿入されてツール4に配置されたとき(
図16の最も右の部分)に、ツール4の肝心点に一致する中心28を有している。この例では、肝心点は、ツール4のツール中心点8であるが、別の例では、ツール4のツール中心点8は、周りに設けられる球面支持表面20の肝心点とは異なる場所にある場合がある。
【0101】
図16は、概念を概略的に図解することのみを目的としており、ボールアダプタ24とツール4の間の適切に設計された継手が、ユーザーがボールアダプタ24をツール4に置くときに、ボールアダプタ24の中心28がツール4の目的の点(例えば、ツールの中心点)8と確実に一致することを保証するべく使用され得ることが理解されよう。そのような例の1つは、
図27から30を参照して後に説明される。
【0102】
第1の態様の第2の実施形態および第2の態様の第1の実施形態によるTCP識別方法が、
図17から
図26を参照して、簡単に説明される。この方法は、第1の態様の第1の実施形態に関して上述した方法と非常に類似しているので、簡潔にするために、説明は類似点と相違点に焦点を当てる。
【0103】
この実施形態の開始点は、
図17に示されており、これは、上述の
図5と同等である。もちろん、この実施形態では、
図5のボールバーマウント14ではなく、ツール4がロボットの所定の位置に留まっている。さらに、上述のように、固定ピボットマウント12が使用されているが、
図9の調整可能なピボットマウント13が好ましいであろう。
図18は、ツール4のTCP8と一致するボール中心28を提供するために、ツール4を覆って取り付けられているボールアダプタ24を示している。
【0104】
図19は、ボールアダプタ24をピボットマウント12上に動かすように制御されているロボットを示しており、これは
図6に示されているものと同等である。固定ピボット12では、ボールアダプタ24を固定ピボットマウント12に位置合わせするのに、ロボットが高精度で制御される必要がある。それが、代わりに調整可能なピボットマウント13を使用することが望ましい理由である。しかしながら、
図6のダミーボール15は、必要とされない。何故なら、球形ターゲットボールがボールアダプタ24自体によって提供されているからである。前の実施形態と同様に、ロボットの座標は、ロボットがこの位置にある、すなわちピボット点にあるときに記録される。
【0105】
図20は、
図7に示されているものと同等であるボールバーのために道を譲るべく、ボールアダプタ24がピボットマウント12から遠ざけられるべく制御されているロボットを示している。
図21は、
図8と同等であり、ボールアダプタ24とボールバーマウント12との間の適所に位置されているボールバー11を示している。しかしながら、この実施形態のボールバー11は、以前のボールバー10のターゲットボール17が、ボールアダプタ24自体によって提供されているので、
図8に示されるものとは異なる。したがって、この実施形態におけるボールバー11のターゲット端には、ピボットマウント12の一部を形成するものと同様の磁気カップ27が設けられており、これはボールアダプタ24に対して結合している。ピボットボール15は、両方のタイプのボールバーに存在するが、ボールバー11のピボットボール15は、ボールアダプタ24の球面のサイズ(直径)と一致するサイズにする必要があることに注意のこと。これら2つのタイプのボールバーが、
図22Aおよび22Bで比較されている。前の実施形態と同様に、この実施形態では、ロボット座標およびボールバー測定がこの位置で記録される。
【0106】
図23から26は、ボールアダプタ24をそれぞれ(3つで十分であったが)4つの追加の方向に配置するように制御されているロボットを示しており、
図9に示されているものと同等である。
図9と同様に、さまざまな方向は同じ平面内にはありないが、代わりに、単一の平面から離れた3次元の変化を提供する。また、
図21および23~26のボールバー11のさまざまな位置では、ロボットはツール4のTCP8を空間内の同じ位置に維持しようとしていないことに注意のこと。何故なら、上述のように、このことは必要ではないからである。
【0107】
本発明の第1の態様の方法と同様に、本発明の第2の態様によるボールアダプタ24を使用すると、TCPを見つけるための手順が、存在しない場合よりも簡単になる。TCP座標を識別するプロセスは、ロボットの完全な較正に比べてロボットの較正のレベルが低いので、TCP識別手順は、実装が高速で簡単な場合にのみ、ユーザーに歓迎される。これにより、ユーザーが手順をより頻繁に実行するようになり、その結果、より正確に実行する機械に導く。
【0108】
上記のボールアダプタの概念は、さまざまな異なるツールに使用できる汎用のボールアダプタを提供することで、さらに便利で柔軟なものにすることができる。これは、各インサートを汎用のボールアダプタに取り付けて、さまざまなツール用にインサートをカスタマイズすることによって実現できる。もちろん、さまざまなタイプやツールのグループに合わせて、さまざまなタイプやサイズの汎用ボールアダプタが提供されてもよい。インサートは、用途に応じて、例えば、プラスチックなどのさまざまな異なる材料から、便利に3D印刷され得る。これは、
図27~30に示されている。
図27は、
図16に示されているような溶接ツールに適合するように、それ自体が内部的に形状付けられたインサート26を受け入れるように適合された汎用のボールアダプタ24を示している。
図28に示されるように、ボールアダプタ24に挿入されたとき、インサート26は、摩擦嵌合によって適所に保持され得るか、または追加の固定機能が提供されてもよい。次に、インサート26を備えたボールアダプタ24は、
図29に示されるように、ツール4上に配置される。この例では、インサート26はツール4にぴったり合うように設計されているので、オペレータは、ボールアダプタ24を止まるまでツール4に押し込むだけで、ボールアダプタ24がツール4に対して適切に配置されていること、特に、結果として、ボール中心28がツール4のTCP8と一致していることがわかる。ギャップをボールアダプタ24とロボットのフランジ3との間に設けることができるので、その結果、ツール4に対するボールアダプタ24の位置が、ボールアダプタ24とフランジ3との間ではなく、ボールアダプタ24とツール4との間の結合によって画定される(多くの場合、ボールアダプタ24はツール4のすべてを覆うのではなく、ツール4の先端のみを覆う。このような例については、
図55を参照して以下で説明される)。ツール4に直接取り付けると、セットアップが迅速になり、ツール4の位置に正確に着席しないボールアダプタ24から最終的な誤差を導入しないという利点がある。
【0109】
そのようなシステムのモジュール性は、
図30に概略的に示されており、2つの異なる設計のインサート26a、26bが2つの異なるタイプのツール4a、4bに適合し、両方の設計のインサート26a、26bが同じボールアダプタ24に適合するのを示している。異なるインサート26a、26bは、すべてが所定の位置にあるときに、TCPがボールアダプタ24の球表面20の中心と一致するのを保証するために、異なるツール4a、4bのそれぞれの異なるTCP位置を考慮するように設計され得る。このようにして、同じボールアダプタ24が、非常に異なる構成およびTCP位置を有する様々なツール4のために使用され得る。
【0110】
この汎用性は、
図55Aと55Bに示されている適用でさらに説明されている。この図は、機械のスピンドル9に取り付けられたドリル4cの端部に合うように成形されたカスタムインサート26cを示し、インサート26cが同じボールアダプタ24(または、たとえば異なるサイズの異なるボールアダプタである可能性がある)に嵌合する。インサート26cは、すべてが所定の位置にあるときに、TCPがボールアダプタ24の球表面20の中心28と一致するのを保証するため、ドリル4cのTCP位置を考慮するように適合されている。
【0111】
図56Aに示されるように、ドリル4c自体ではなく、インサート26はシャフト4dがボールアダプタ24のより広い凹部に嵌合するのを許容し、それにより、より広い凹部が異なる直径のさまざまな較正シャフト(または他のツール)に対応するのを可能にする状態で、較正シャフト4dが機械に取り付けられてもよい。あるいは、インサート26を使用すると、(ツール4でのボールアダプタ24のセンタリングに関して)位置的不確実性の潜在的に余分な要素をもたらすので、
図56Bに示されるように、インサート26を使用せずに、凹部が再度、TCPがボールアダプタ24の球表面20の中心28と一致するのを保証するように、シャフト4dのTCP位置を考慮するように適合された状態で、較正シャフト4dをボールアダプタ24に形成された凹部に直接に嵌合することもまた可能である。
【0112】
ボールアダプタ24と較正シャフト4dを含んでいる方法は、
図57Aおよび57Bに図解され、取り外し可能なボールアダプタ24が、必要に応じて(例えば、前述のTCP較正方法を実行するために)、較正シャフト4dを取り外す必要なく、どのようにして較正シャフト4dに配置され、そして別の操作を実行するために、その後、取り外されるのかを示している。
図57Aと57Bに示される例では、較正シャフト4dの長さは既に知られているので、さらなる操作は、(Renishaw plc製のNC-4非接触ツールセッターなどの)レーザーツールセッターの位置を確立させることである。
図57Aは、シャフト4dから取り外されているボールアダプタ24を概略的に示し、シャフト4dは、次に、機械によってツールセッター60のレーザービーム66に向かって操作され、レーザービーム66は、トランスミッタ要素62から放出され、そして受信機要素64によって受け取られる(および検出される)。
図57Bは、レーザービーム66とちょうど交差するシャフト4dを概略的に示し、それにより、それが受信機要素64に到達するのを阻止し、それにより、シャフト4dの端部が検出される。較正シャフト4dの代わりに、ドリル4cを取り外す必要なしに、ドリル4cの実際の長さがツールセッター60を使用して測定されるのを許容するような方法がドリル4cに対して直接に実行されてもよい。もちろん、必要に応じて、TCP較正の前に、代わりに、レーザーツールセッター60を使用することができる。
【0113】
図55に示されるようなインサートが、ボールアダプタ24にどのように配置され、固定されるかの例が、
図58に示されている。ボールアダプタ24は中空であり、ボール24の表面20と正確に中心合わせされているボアまたは凹部25を有している。弾力性のある(例えばプラスチック)インサート26cは、ボア25に滑り嵌めされ、ボール24とインサート26cとの間に錐体形の接触部23を備えている。ボール24は、締付けねじ29を介してインサート26cに固定されているので、錐体形接触部23は、インサート26cをツール4cに締め付け、それを把持し、所定の位置に保持する。インサート26cの内部ボアまたは凹部25は、必ずしもその先端ではなく、ツール4cの任意の点にボール24をセンタリングするように形作ることができる。インサート26cは、ほとんどの一般的なアーチファクトに適応するように円筒状の凹部を備えて作成され得るが、特定のケースでは、
図55Aに示されるように、インサート26cはまた、ツール4cの実際の形状に合わせるように作成されてもよい。
図59は、
図56の較正シャフト4dの端部にボール24が直接にねじ込まれ、
図58の錐体面23を必要とせずにボールを所定の位置に固定する方法を示しているが、このようなメカニズムも同じく採用されてもよい。
【0114】
要約すると、検証または較正の目的でロボットの位置を測定する必要がある場合、測定は、ロボットの実際の動作点に関連している場合にのみ意味がある。ほとんどの測定デバイスは、測定が必要な点の位置に物理的インターフェイスを配置する必要があるので、これはほとんどの測定デバイスの重要な問題である。さらに、ロボットのTCPは、多くの場合、ツールの物理要素上またはその近くにある。したがって、ここで説明する解決策の前は、ロボットのツールを取り外して測定デバイスと交換するか、実際のTCPから既知のオフセットに測定デバイスを取り付けるしかなかった。どちらの解決策も測定の不確かさをもたらし、および/またはセットアップ時に特別な注意を必要としている。
【0115】
変更せずにロボットのツールに取り付けられ、TCPの位置を直接に測定できる本明細書で提案されているような、ボールアダプタは、迅速で効率的なロボット較正を可能にする。上記のように、ロボットのTCPは、測定される点を機械的に中心とされるボールによって実現される。この解決策の不確実性の主な原因は、センタリングの品質であり、それは主にボールの製造品質に依存する。
【0116】
測定デバイスは、測定点とボール中心の正確な一致を保証する磁気アダプタでもってボールに接続することができる。精度は、コネクタの製造品質とボールの球形度に依存する。磁気アダプタは、3点または錐体を使用してボール上に着座できるので、それにより、再現可能な運動学的または疑似運動学的結合を提供する。3点接触は「計測学的に純粋」であるが、錐体はボールの小さな溝や穴をまたぐことができ、このことは、ボールにおける特殊機能が、機械加工操作を容易にすることを許容する。錐体はまた、ボールとの接触点においてより小さな拘束を生成する。
【0117】
TCPがツールの物理要素上またはその近くにあるとき、ボールは、ツールの最終要素の「周りに」それを配置するために中空に作られる(TCPに中心付けられる)。解決策では、ツールの形状に合致する変形可能なインサートを使用する。例えば、インサートは、中空ボールにねじ込まれ、そしてインサートをツールに締め付ける力を及ぼすコーンオンコーン(cone on cone)メカニズムを活性化させることができる(
図58を参照)。
【0118】
主要な円筒形の特徴を備えたツールに取り付ける汎用インサートを提供することが可能である。主に業界で使用されている直径(例えば、10mmから20mm)に対応したインサートがあるか、または、直径の大きい1つの汎用インサートで作られ得る。
【0119】
汎用インサートを使用できない場合は、ツールの形状に合致する特定のインサートを作成することが可能であり、これは、インサートのCAD(コンピュータ支援設計)モデルから3D印刷されてもよい。
【0120】
TCPがツールの最終要素から十分離れている場合、中空ボールは適切な長さの単純なシャフトでTCPが実現されるのを可能にする。例えば、TCPが切削ツールの先端である機械加工適用の場合、プレーンシャフトがスピンドルに取り付けられてもよい。較正後、シャフトはそのままにしてツールセッターの初期化に使用され、較正シャフトと切削ツールの間に較正の継続性を提供することができる。
【0121】
ボールアダプタは、主に、作業ツールおよび/またはその周囲に取り付けられるものとして説明されているが、アダプタは、座標位置決め機械またはそれに取り付けられたツールの任意の要素および/またはそれらの周囲に取り付けることができる。例えば、大型グリッパー、例えば、自動車製造工場でドア部品を取り扱うための装置は、グリッパーのツールフレームの位置を較正する目的で、グリッパーの異なる位置に複数の円筒形較正要素を備えることができる。本明細書に記載のボールアダプタは、これらの各円筒形較正要素に順に取り付けられ、次に、本明細書に記載の較正方法(例えば、
図19から26を参照)が実行される。円筒形の較正要素のそれぞれは、(例えば、その円形の端面の中心に)肝心点を持ち、ボールアダプタ(またはボールアダプタのインサート)は、ボールアダプタの中心点が実質的に肝心点に一致するように適合される。この例の肝心点は、そのようなツールの中心点ではない。これは、円柱状の較正要素はそのようなツールではないからである。また、グリッパーのツール中心点はグリッパーの単一の点に対応しておらず、例えば、グリッパーによって保持されているときの車のドアを含む参照のツールフレームで、それからのオフセットで定義されている可能性もある。
【0122】
ボールアダプタ24の少なくとも部分的に球形の支持表面20は、測定デバイス(例えば、ボールバー)11によって感知される表面であるため、感知面20と呼ぶこともできる。感知面20(少なくとも完全な形で、つまり完全な球として)は、肝心点(例えば、ツールの中心点)8を囲むか、またはカプセル化し、肝心点が種々の異なる方向から感知され、検知され、または計測されるのを効果的に許容している。感知面20(少なくとも完全な形で、すなわち、完全な球として)はまた、要素(例えば、ツール)4の少なくとも一部を取り囲むかまたは交差し、その結果、ボールアダプタ24が、ツール4の本体のための空間を作る穴、ボア、または窪みを備える中空である場合のみ、ボールアダプタ24を肝心点8に中心付けて配置することが可能である。これは、特許文献1の
図23に示されるプローブ46の感知面とは対照的である。特許文献1のは、平面デジタイジングプレートによって感知される限られた範囲の平面ディスクであり、(ツール43の先端である)肝心点を取り囲んでおらず、またはツール43と交差していない。
【0123】
ボールアダプタ24を使用すると、感知面20の各点は、アダプタ24が所定の位置にある場合に、ボールアダプタ24が取り付けられる要素(例えば、ツール4)の肝心点(例えば、TCP)8から等距離にある。測定デバイス(例えば、ボールバー)11の測定点は、測定操作中は常に、肝心点(例えば、TCP)8と実質的に一致する。このようにして、測定デバイス(例えば、ボールバー)11は、まるで測定デバイス(たとえば、ボールバー)11が肝心点(例えば、TCP)8に直接に接続されているかのように、肝心点(例えば、TCP)8に直接に効果的に「アドレスしている」。これは、特許文献1の
図23の配置には当てはまりない。特許文献1では、プローブ46の感知点(原点)は、ツール43の先端と同じ位置にあることができず、その代わりに、それをツール先端と同じ線に沿って、そこからオフセットすることが可能である。本発明を具現化する中空のボールアダプタ24では、これらの問題は、2つの点を実質的に一致させることによって解決されている。さらに、本発明を具現化する中空のボールアダプタ24を用いて、測定は、様々な異なる角度から測定デバイス(例えば、ボールバー)11によって行われ得る(測定操作中の様々な自由度での機械の動きを許容する)。一方、特許文献1の
図23の配置では、測定は、平面デジタル化プレートに対して固定された角度でプローブ46を用いて行われる。
【0124】
本発明の第2の態様の実施形態では、測定デバイスは、測定デバイスの測定点がアダプタの中心点と実質的に一致するように、アダプタの支持表面に結合し、それに抗して支持するように適合された結合要素を備え、アダプタの中心点は、アダプタが取り付けられている機械要素の肝心点と実質的に一致している。これにより、ボールアダプタは、測定デバイスの測定点、ボールアダプタの中心点、そして、ツールの肝心点のこれら3つの異なる点を1つにまとめる働きをする。これは、上記で概説した理由により、肝心点の位置を測定および/または較正しようとするときに、大きな技術的利点を提供する。
図22Bは、カップ27の形態の結合要素を備えた、ボールバー11の形態の測定デバイスの例を提供し、そしてカップ27の球状支持表面(または複数の支持点を通る球表面)の中心にある測定デバイス11の測定点18の位置を示しており、測定デバイス11は、他端にあるボール15の中心に第2の測定点16を有し、測定デバイス11は、2つの測定点16、18間の距離間隔の測定を提供する。
【0125】
次に、本発明の第3の態様の第1の実施形態が、
図31乃至
図36を参照して説明される。これは、本発明の第1および/または第2の態様と共に使用され得る。
【0126】
図31は、機械のベース2に固定された第1のボールバーマウント12(ボールバー10のための「ピボット」)とロボット自体に取り付けられた第2のボールバーマウント14との間に取り付けられたボールバー10を図解している。使用中、ボールバー10は、例えば、
図3または4を参照して上述された手順、または本発明の第1の態様の第1または第2の実施形態による手順を実行するために、機械の作業領域の周りで駆動される。また、ロボットは、ジョイスティックを使用して、オペレータによって手動で駆動される可能性が高い。
【0127】
一部のタイプのボールバーは、非常に正確であるが、
図32に示されるように、移動範囲が制限されていたり、測定範囲がさらに制限されていたりする(例えば、2mmの移動範囲と1mmの測定範囲)。上記のタイプのロボットの動きでは、極端な場合もあり、人間の制御下にある場合もあるので、そのようなボールバーをロボットに使用することは問題となる場合がある。特に、ボールバー10をその通常の移動範囲を超えて伸ばそうとする試みが行われ、その結果、ボールバー10が(過度に伸ばされた場合)外れるまたは(過度に圧縮された場合)損傷されるというリスクがある。本発明の第3の態様は、この問題に対処することを目的としている。
【0128】
図33は、本発明の第3の態様の第1の実施形態を概略的に示している。解決策は、測定部分40を有し、長さ測定を提供するように適合されているボール41を有するモジュール式ボールバー19を提供することであり、それには標準部分(図示せず)または独自のボール31を含む延長部分30のいずれかが取り付けられ得る。この実施形態では、延長部分30は、追加の移動範囲を提供するが、測定は提供しない。
図33の構成Aでは、ボールバー19は、その通常の測定範囲を超えて既に過度に伸ばされており、延長部分30は延長状態にある。ボールバー19が
図33の構成AからDに徐々に圧縮されるとき、延長部分30は圧縮を吸収し、ボールバー19からの測定値は変化しない。構成DからEまで、延長部分30が完全に圧縮され(これ以上圧縮できない)、そしてボールバー19が測定範囲に入り、この測定範囲で、測定が行われる(これは、ボール36により他端における圧縮によって示される)。ボールバー19が再び構成EからFに延張されると、それはまだ測定範囲内にあるが、構成Fの測定範囲の極限に達する。次に、構成FからIに、ボールバー19は再び延張範囲、延長部分30が延長している所、およびボールバー19からの測定値が変化しない所にある。
【0129】
図34から36は、ロボットで使用されている延長部品を備えたボールバー19を概略的に示している。
図34では、ボールバー19はその測定範囲の端(完全に圧縮された状態)にあり、
図33の構成Eに対応している。
図34では、ボールバー19は伸びており、依然としてその測定範囲内で動作しており、
図33の構成Fに対応する測定範囲の他端に移動している。最後に、
図36では、ボールバー19は、その測定範囲を超えて、
図33の構成G~Iに対応するオーバートラベル範囲まで伸びている。有利なことに、
図36において、ボールバー19は、延長部分30の動作により、一端においてボールバーマウント14から、または他端においてピボットマウント12から外れることはない。
【0130】
図33の延長部分30でもって、測定領域の一方の側へのオーバートラベル領域が効果的に存し、これは過度の延長は許容するが、過度の圧縮は許容しない。延長部分30が測定領域のいずれかの側にオーバートラベル領域またはバッファを提供することも、
図37~50を参照して以下で説明されるように可能であり、それは本発明の第3の態様の第2の実施形態に関連する。
【0131】
図37は、標準部分50に接続された測定部分40を備えた、すなわち、延長部分30がまだ所定の位置にない、モジュール式ボールバー19を示している。標準部分50は、ボールバー19の1つのボールを提供するためのボール51を有し、一方、他のボールは、測定部分40のボール41によって提供される。測定部分40は、固定プレート42と可動プレート43との間に配置された弾性(例えば、ばね)部材46を備え、ボール41は可動プレート43に固定されている。
【0132】
可動プレート43自体は、ストッパ44と45の間に配置されている(ストッパ45は、測定部分40の端壁によって提供されている)。測定部分40は、容量性手段によって、すなわち、容量性センサを使用して測定を提供するように適合され得るが、任意のタイプの測定方法が可能である。
【0133】
図37に示されるように、ボールバー19(より具体的には、ボールバー19の測定部分40)は、その測定範囲の中央にある。
図38は、測定範囲の一方の端にあるボールバー19(完全に圧縮され、プレート43がストッパ44に着座されている)を示し、一方、
図39は、測定範囲の一方の端にあるボールバー19(完全に延長され、プレート43がストッパ45に着座されている)を示している。
【0134】
図40は、延長部分30と交換されている標準端部分50を図解している。組み立てられたボールバー19は、延長部分30が測定部分40に解放可能に結合されており、
図41に図解されている。
図41に図解されるように、この実施形態の延長部分30は、ボール31、3つの可動プレート33a、33b、33c、3つのストッパ35a、35b、35c、2つの弾性(例えば、ばね)部材36a、36b、および複数の磁石37を有している。第2のプレート33bは、ボール31に接続されて移動し、第1のスプリング36aは、ハウジング34の端壁(ストッパ)39aと第1のプレート33aとの間に配置され、そして、第2のスプリング36bは、ハウジング34の他の端壁(ストッパ)39bと第3のプレート33cとの間に配置されている。
【0135】
図41に示されるような位置では、第2および第3のプレート33b、33cは、互いに対して着座され、磁石37によって互いにおよび第2のストッパ35bに対して保持されている。測定部分40の可動板43は、測定部分40の測定範囲の中央にあるため、この状態においてボールバー19が圧縮または延長すると、測定値の変化を生じさせる。したがって、ボールバー19は、延長部分が着座されている状態でその測定範囲内で動作している。
【0136】
図42は、プレート43がストッパ44に突き当たる点を超えて、ボールバー19が圧縮されたときに、何が起こるかを示している。延長部分30の第2のプレート33bは、第2のばね部材36bのバイアスに抗して第3のプレート33cを押し、第3のプレート33cを第2のストッパ35bの磁気引力から分離し、両方のプレートが延長部分30内で動くことを許容し、そして順にボール31がボール41に向かって移動することを許容する。これにより、延長部分30が、測定部分40に損傷を与えることなく、余分な圧縮を吸収するのを許容し、そしてボールバー19により大きな移動範囲を提供している。ボールバー19からの測定出力は変化しない。
【0137】
図43は、プレート43がストッパ45に突き当たる点を超えてボールバー19が延長されたときに何が起こるかを示している。延長部分30の第2のプレート33bは、第1のばね部材36aの付勢に抗して第1プレート33aを押し、それ自体が第2のストッパ35bに対して保持されている第3のプレート33cの磁気引力から離される。これは、両方のプレート33a、33bが延長部分30内で移動することを許容し、そして順に、ボール31がボール41から離れるように移動することを許容する。これは、延長部分30が、測定部分40に損傷を与えることなく、余分な延長を吸収するのを許容し、そして、ボールバー19により大きな移動範囲を提供する。ボールバー19からの測定出力は変化しない。
【0138】
図44乃至
図49は、延長部分30の主要部分、すなわち、ハウジング34、第3のプレート33c、第2のストッパ35bおよび第2のプレート33bを示している斜視図である。他の要素は、分かり易くするため、および混乱を避けるために、表示されていない。第2のストッパ35bは、ハウジング34に固定されている。
図50は、
図44のそれに対応する斜視図であるが、反対方向からのものである。また、お
図47および50において特徴付けられるのは、第3のプレート33cと第2のストッパ35bとの間の正確で予測可能な結合を保証する運動学的結合特徴部62aおよび62b(それぞれ、ボールおよびv溝)と同様に、第2のプレート33bと第3のプレート33cとの間の正確で予測可能な結合を保証する運動学的結合特徴部64aおよび64b(それぞれ、ボールおよびv溝)である。
【0139】
本発明の上記の第1から第3の態様のそれぞれは、独立して適用可能であり、別々にまたは任意の組み合わせで使用できることが理解されよう。例えば、第3の態様の延長部品は、
図51に概略的に図解されているように、第2の態様のボールアダプタと共に使用され得る。
図51では、モジュール式ボールバー19の延長部分30には、ボール31ではなくカップ27が設けられているため、結果として、カップ27がロボットのボールアダプタ24と結合できることが分かる、
第2の態様のボールアダプタは、第1の態様のTCP識別方法と併せて常に使用される必要はなく、他の用途での使用を見出すことも理解されるであろう。同様に、第3の態様の延長部品は、第1の態様のそのような方法での使用または第2の態様のボールアダプタでの使用に限定されないが、より一般的に有用である。第2の態様のボールアダプタは、測定デバイスとしてボールバーと一緒に常に使用される必要はないが、例えば、三脚ベースの測定デバイスと一緒に使用することができる。
【0140】
ロボット(または他のタイプの座標位置決め機械)の動作を制御するための機械コントローラもまた提供される。機械コントローラは、専用の電子制御システムであってもよく、および/またはコンピュータプログラムの制御下で動作するコンピュータを含んでもよい。例えば、機械コントローラは、座標位置決め機械に低レベルの命令を提供するリアルタイムコントローラと、リアルタイムコントローラを操作するPCとを備えてもよい。
【0141】
座標位置決め機械の動作は、機械で動作するプログラム、特に
図1に概略的に示されているコントローラなどの座標位置決め機械コントローラで動作するプログラムによって制御できることが理解されよう。そのようなプログラムは、コンピュータ可読媒体に格納することができ、または、例えば、インターネットのウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号で実施することができる。添付の特許請求の範囲は、それ自体でプログラムをカバーするものとして、またはキャリア上の記録として、または信号として、または任意の他の形式で解釈されるべきである。