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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005322
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】粉末振出しキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/04 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B65D47/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107150
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 健太
(72)【発明者】
【氏名】欅 真歩
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA15
3E084AA24
3E084AB07
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB02
3E084DC03
3E084FA02
3E084FB08
3E084FC04
3E084GA07
3E084GB07
3E084HB02
3E084HC01
3E084HD01
(57)【要約】
【課題】複数の貫通孔への粉末の固着を防止し得る粉末振出しキャップを提供する。
【解決手段】粉末振出しキャップ1は、粉末Pを収容する容器Bに取り付けられる蓋本体2と、蓋本体2に対して開閉自在の上蓋3と、蓋本体2および上蓋3を接続するヒンジ4とを備える。蓋本体2は、容器Bから粉末Pが振り出される複数の貫通孔20を有する。上蓋3は、蓋本体2に対して閉じられた際に複数の貫通孔20に挿入される複数の封止突起31を有する。複数の封止突起31は、容器Bの内部に連通する中空部30が形成された筒形状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を収容する容器に取り付けられる蓋本体と、
前記蓋本体に対して開閉自在の上蓋と、
前記蓋本体および上蓋を接続するヒンジとを備え、
前記蓋本体が、前記容器から粉末が振り出される複数の貫通孔を有し、
前記上蓋が、前記蓋本体に対して閉じられた際に複数の貫通孔に挿入される複数の封止突起を有し、
前記複数の封止突起が、前記容器の内部に連通する中空部が形成された筒形状であることを特徴とする粉末振出しキャップ。
【請求項2】
蓋本体に対して上蓋を開く方向へ付勢する板ばねを備えることを特徴とする請求項1に記載の粉末振出しキャップ。
【請求項3】
板ばねが、上蓋に接続された一端部と、蓋本体の上面に接続された他端部とを有することを特徴とする請求項2に記載の粉末振出しキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を収容する容器に取り付けられて、当該粉末を振り出す粉末振出しキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩および/またはコショウなどの粉末の調味料は、容器に収容されて、保管および使用される。当該粉末を使用する際には、前記容器に取り付けられた粉末振出しキャップの上蓋を蓋本体から開き、使用者が容器を傾けることで、当該蓋本体に形成された貫通孔から粉末が振り出される。
【0003】
粉末の調味料は、一般に湿気を吸いやすく、湿気を吸えば固着してしまう。このため、気密性を保持する容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された容器(粉末食品小出し振り掛け容器)は、当該特許文献1の図3に示すラミネートフィルム4で密封されるとともに、当該特許文献1の図2に示す粉末振出しキャップ(キャップ5)が取り付けられている。そして、この粉末振出しキャップ(キャップ5)は、当該特許文献1の図9に示す粉末が振り出される3つの貫通孔(小出し口5-2)を有し、これらの貫通孔(小出し口5-2)は、当該特許文献1の図10に示す上蓋(ヒンジ蓋部5-4)の封止突起(突起5-3)が挿入されて封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-51567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の容器(粉末食品小出し振り掛け容器)は、一旦ラミネートフィルム4を開封すると、粉末(粉末食品)が湿気を吸収して貫通孔(小出し口5―2)に固着するという問題がある。特に、前記特許文献1の容器(粉末食品小出し振り掛け容器)のように、貫通孔(小出し口5―2)が複数であれば、粉末(粉末食品)の過剰な振り出しを防止するために、貫通孔(小出し口5―2)が必然的に小さくなるので、貫通孔(小出し口5―2)に粉末(粉末食品)が固着しやすい。粉末(粉末食品)が貫通孔(小出し口5―2)に固着すれば、上蓋(ヒンジ蓋部5-4)が閉じにくくなり、これによって、貫通孔だけでなく容器(粉末食品小出し振り掛け容器)の内部の粉末(粉末食品)まで湿気を吸収することになる。
【0006】
そこで、本発明は、複数の貫通孔への粉末の固着を防止し得る粉末振出しキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第1の発明に係る粉末振出しキャップは、粉末を収容する容器に取り付けられる蓋本体と、
前記蓋本体に対して開閉自在の上蓋と、
前記蓋本体および上蓋を接続するヒンジとを備え、
前記蓋本体が、前記容器から粉末が振り出される複数の貫通孔を有し、
前記上蓋が、前記蓋本体に対して閉じられた際に複数の貫通孔に挿入される複数の封止突起を有し、
前記複数の封止突起が、前記容器の内部に連通する中空部が形成された筒形状である。
【0008】
また、第2の発明に係る粉末振出しキャップは、第1の発明に係る粉末振出しキャップにおいて、蓋本体に対して上蓋を開く方向へ付勢する板ばねを備えるものである。
【0009】
さらに、第3の発明に係る粉末振出しキャップは、第1または第2の発明に係る粉末振出しキャップにおける板ばねが、上蓋に接続された一端部と、蓋本体の上面に接続された他端部とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
前記粉末振出しキャップによると、蓋本体に対して上蓋を閉じる際に、貫通孔に固着した粉末が封止突起で容易に刮(こそ)ぎ落とされるので、複数の貫通孔への粉末の固着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る粉末振出しキャップと粉末振出しキャップが取り付けられた容器の斜視図である。
図2】同粉末振出しキャップの複数の貫通孔および封止突起ならびにこれらの近傍を示す拡大縦断面図である。
図3図2の貫通孔に固着した粉末が封止突起で刮(こそ)ぎ落とされる状態を示す拡大縦断面図である。
図4】同粉末振出しキャップの蓋本体に対して上蓋が90°で開いた状態の平面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図5の蓋本体に対して上蓋を閉じるために使用者が指で押している状態の断面図である。
図7】同粉末振出しキャップの蓋本体に対して上蓋が所定角度で開いた状態の断面図である。
図8図7の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る粉末振出しキャップについて、図面に基づき説明する。
【0013】
図1に示すように、前記粉末振出しキャップ1は、粉末Pを収容する容器Bに取り付けられる蓋本体2と、この蓋本体2に対して開閉自在の上蓋3と、当該蓋本体2および上蓋3を接続するヒンジ4とを備える。
【0014】
前記蓋本体2は、前記容器Bから粉末Pが振り出される複数の貫通孔20を有する。前記上蓋3は、前記蓋本体2に対して閉じられた際に複数の貫通孔20に挿入される複数の封止突起31を有する。複数の封止突起31は、前記容器Bの内部に連通する中空部30が形成された筒形状である。前記封止突起31が筒形状であることにより、図2に示すように、前記貫通孔20に粉末Pが固着した場合、図3に示すように、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で容易に刮(こそ)ぎ落とされる。なぜなら、前記封止突起31は、中空部30が形成されない場合に比べて、貫通孔20に固着した粉末Pに接する面積が小さいので、当該粉末Pに作用する圧力が高くなるからである。前記貫通孔20に固着した粉末Pの外縁部は、封止突起31で高い圧力で押し込まれることにより容器Bの内部に落下する。前記貫通孔20に固着した粉末Pの外縁部以外(つまり中央部)は、当該外縁部とともに落下するか、当該外縁部が落下することにより貫通孔20の内面との連なりを失って落下する。
【0015】
以下、前記粉末振出しキャップ1の好ましい構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、前記貫通孔20と封止突起31の数が同数で、且つ、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、全ての貫通孔20に全ての封止突起31が挿入される。また、複数の貫通孔20は、大きさが2種類以上あり、平面視で、大きい方の貫通孔20Lが小さい方の貫通孔20Sに囲われるように配置される。
【0017】
図2に示すように、一層好ましい構成として、前記封止突起31の肉厚t,Tは、貫通孔20の内径d,Dに対して15%以上30%以下である。すなわち、t/dおよびT/Dは、15%以上30%以下である。より一層好ましくは、t/dが20%以上30%以下、および/または、T/Dが15%以上25%以下である。これにより、前記封止突起31が適切に高い圧力を粉末Pに作用させることで、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で一層容易に刮(こそ)ぎ落とされるからである。図3に示すように、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、各封止突起31は、各貫通孔20の内面に粉末Pが残りにくくするために、当該内面(より一層好ましくは当該内面の全面)に接する。また、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、各封止突起31は、各貫通孔20の下端から突出しない。言い換えれば、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、各封止突起31の下端は、各貫通孔20の下端に位置し、または、各貫通孔20の内部に位置する。各封止突起31が各貫通孔20の下端から突出しないことにより、前記蓋本体2に対する上蓋3の開閉が繰り返されても、すなわち、各貫通孔20に各封止突起31の挿入および抜去が繰り返されても、各貫通孔20が拡がらない。各貫通孔20は、使用により拡がらないので、固着した粉末Pが安定して封止突起31で容易に刮(こそ)ぎ落とされる。
【0018】
図4および図5に示すように、前記蓋本体2は、容器Bの上端部を外側および内側から挟み込む外筒部21および内筒部22と、当該外筒部21および内筒部22を接続する上板23を有する。前記外筒部21および内筒部22は、前記容器Bの上端部を外側および内側から挟み込むことで、前記蓋本体2を容器Bに取り付ける。前記上板23は、前記蓋本体2に対して閉じられた上蓋3に覆われる低板部24と、前記蓋本体2に対して閉じられた上蓋3の上面と同一面になる高板部25と、前記低板部24および高板部25を接続する傾斜板部26とを有する。図4に示すように、前記低板部24は、前述した複数の貫通孔20が形成された板材である。前記高板部25は、平面視で、前記低板部24よりも大面積の板材であり、外周縁が優弧状である。前記傾斜板部26は、平面視が1本の直線状ではなく、前記ヒンジ4が接続された2つの直線状部27と、2つの直線状部27の間に形成されたコの字状部28とからなる。
【0019】
図5に示すように、前記粉末振出しキャップ1は、前記蓋本体2に対して上蓋3を少なくとも開く方向へ付勢する板ばね5を備える。この板ばね5は、前記上蓋3に接続された一端部51と、前記蓋本体2の上面に接続された他端部52とを有する。前記板ばね5は、前記蓋本体2の上面に他端部52が接続されることで、前記傾斜板部26のような傾斜した部分に他端部52が接続されるよりも、高い付勢力を発揮する。なぜなら、前記板ばね5は、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、前記傾斜板部26のような傾斜した部分に他端部52が接続されるよりも、前記蓋本体2の上面に他端部52が接続される方が撓(しな)るからである。前記板ばね5の他端部52が接続される部分は、前記蓋本体2の上面のうち、例えば、前記低板部24の上面におけるコの字状部28に囲われた部分である。図6に示すように、前記板ばね5は、前記蓋本体2に対して上蓋3を開く方向へ付勢することで(白抜矢印を参照)、前記蓋本体2に対して上蓋3を閉じる際に、使用者Uに強い力が要ることを意識させる。このため、前記蓋本体2に対して上蓋3が一層強い力で閉じられるので、一層強い力で封止突起31が貫通孔20に挿入され、その結果、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で一層容易に刮(こそ)ぎ落とされる。これは、前記板ばね5の付勢力が高いほど顕著である。
【0020】
前記板ばね5は、前記蓋本体2に対して上蓋3を閉じる方向へも付勢するものでもよい。図7に示すように、このような板ばね5は、前記蓋本体2に対して上蓋3が所定角度で開かれた状態(図7の実線で示す)だと付勢しないが、前記蓋本体2に対して上蓋3が所定角度未満だと開く方向へ付勢し(図7の右上に向いた白抜矢印で示す)、前記蓋本体2に対して上蓋3が所定角度超だと閉じる方向へ付勢する(図7の左下に向いた白抜矢印で示す)。
【0021】
前記上蓋3は、前記封止突起31の他に、これらの封止突起31が突出するように設けられた蓋板32と、この蓋板32の周縁に設けられた弧状係合部33とを有する。図8に示すように、前記蓋板32は、平面視で劣弧および弦を有する弓形状である。また、前記蓋板32は、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、前記低板部24に面するものの、当該低板部24に接しない。前記弧状係合部33は、前記蓋本体2に対して上蓋3が閉じられた際に、前記外筒部21の外周縁の一部21eに係合する部分である。前記蓋板32は、前記2つの直線状部27に面する端部に、前記ヒンジ4が接続されている。また、前記蓋板32は、前記コの字状部28に面する端部に、前記板ばね5の一端部51が接続されている。前記ヒンジ4の位置が、前記蓋本体2に対して上蓋3が開閉する際の回転中心となる。
【0022】
以下、前記粉末振出しキャップ1の作用について説明する。
【0023】
前記粉末振出しキャップ1は、粉末Pを使用しない際に、蓋本体2に対して上蓋3を閉じた状態にしておくことで、容器Bに収容された粉末Pが湿気を吸わないようにする。一方、前記粉末振出しキャップ1は、粉末Pを使用する際に、図1に示すように、蓋本体2に対して上蓋3を開けた状態にしておくことで、貫通孔20から粉末Pを振り出せるようにする。貫通孔20は複数あるので、粉末Pの過剰な振り出し防止するために、各貫通孔20は比較的小さい。このため、図2に示すように、貫通孔20に粉末Pが固着しやすい。
【0024】
前記粉末振出しキャップ1は、粉末Pが使用された後に、蓋本体2に対して上蓋3を閉じることで、再び、容器Bに収容された粉末Pが湿気を吸わないようにする。この蓋本体2に対して上蓋3を閉じる際に、図3に示すように、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で刮(こそ)ぎ落とされる。特に、封止突起31は、筒形状であることにより、粉末Pに高い圧力を作用させるので、前記貫通孔20に固着した粉末Pを容易に刮(こそ)ぎ落とす。
【0025】
このように、前記粉末振出しキャップ1によると、蓋本体2に対して上蓋3を閉じる際に、貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で容易に刮(こそ)ぎ落とされるので、複数の貫通孔20への粉末Pの固着を防止することができる。
【0026】
また、前記蓋本体2に対して上蓋3を開く方向へ付勢する板ばね5により、前記蓋本体2に対して上蓋3が一層強い力で閉じられることになり、その結果、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31で一層容易に刮(こそ)ぎ落とされるので、複数の貫通孔20への粉末Pの固着を一層防止することができる。
【0027】
さらに、前記板ばね5の一端部51が上蓋3に接続されているとともに他端部52が蓋本体2の上面に接続されていることにより、前記板ばね5の付勢力が高くなるので、前記蓋本体2に対して上蓋3がより一層強い力で閉じられることになる。その結果、前記貫通孔20に固着した粉末Pが封止突起31でより一層容易に刮(こそ)ぎ落とされるので、複数の貫通孔20への粉末Pの固着をより一層防止することができる。
【0028】
ところで、前記実施の形態では、前記貫通孔20が平面視で真円形として図示したが、楕円形など他の円形でもよく、角形など他の形状でもよい。勿論、前記封止突起31は、貫通孔20に対応であることが好ましい。
【0029】
また、前記実施の形態では、前記貫通孔20および封止突起31が同数であることが好ましいとして説明したが、いずれも複数であればよい。例えば、前記貫通孔20および封止突起31は、いずれも複数であれば、異なる数でもよい。
【0030】
さらに、前記実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。前記発明を実施するための形態で説明した前記粉末振出しキャップ1の構成うち、「課題を解決するための手段」での第1の発明として記載した構成以外については、任意の構成であり、適宜削除および変更することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
P 粉末
B 容器
1 粉末振出しキャップ
2 蓋本体
3 上蓋
4 ヒンジ
5 板ばね
20 貫通孔
30 中空部
31 封止突起
51 一端部
52 他端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8