(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053241
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/95 20230101AFI20230404BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230404BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20230404BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20230404BHJP
【FI】
H10K59/95
H10K50/10
H10K50/844
H10K59/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019745
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2021077486の分割
【原出願日】2014-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】青木 謙治
(57)【要約】
【課題】発光パネルを保持部材に保持させるときの作業性を向上させる。
【解決手段】発光パネル100は、基板110、発光部120、及び被覆部材140を備えている。発光部120は基板110の第1面に形成されている。被覆部材140も基板110の第1面に形成されており、発光部120を被覆している。発光パネル100は、被覆部材140が保持部材200に対向する向きに、保持部材200に保持されている。そして被覆部材140は凸部142を有している。凸部142は、基板110の縁112よりも基板110の中心の近くに位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光パネルと、
前記発光パネルを保持する保持部材と、
を備え、
前記発光パネルは、
基板と、
前記基板の第1面に形成された発光部と、
前記基板の前記第1面に形成され、前記発光部を被覆する被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、前記基板の縁よりも前記基板の内側に位置していて第1の方向に延在する凸部を有しており、
前記保持部材は、
前記被覆部材と対向していて前記第1の方向の断面において湾曲した湾曲面を有するベース部と、
前記ベース部に設けられた保持部と、
を備え、
前記発光パネルの前記第1の方向の端部が前記ベース部と前記保持部との間に位置しており、
前記発光パネルは、前記第1の方向に沿って湾曲しており、
前記発光パネルの前記第1の方向の中央部において、前記凸部は、前記ベース部の前記湾曲面に接触しており、
前記発光パネルの前記第1の方向の前記端部において、前記発光パネルのうち前記湾曲面に対向する面は、前記ベース部の前記湾曲面から離間しており、
前記発光パネルの前記第1の方向の前記端部において、前記発光パネルのうち前記湾曲面に対向する面の逆側の面は、前記保持部に接触している、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記保持部は、前記基板の前記縁に沿って形成された部分を含む、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記発光部は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する有機層と、を有する、発光装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記発光部を封止して前記被覆部材によって被覆された封止膜をさらに備える発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光装置において、
前記封止膜は、無機絶縁膜によって形成されている、発光装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記被覆部材は、樹脂によって形成されている、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機層を発光層として使用した発光装置の開発が進んでいる。このような発光装置は、曲げることができる基板を使用した場合、曲げることができる。
【0003】
なお、特許文献1~3には、液晶表示装置などの表示装置において、表示パネルを曲げた状態で保持するための保持部材が記載されている。これら保持部材は、表示パネルを保持する部分が湾曲している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-086560号公報
【特許文献2】特開2010-145731号公報
【特許文献3】特開2007-272107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示パネルなどの発光パネルを保持部材に保持させる場合、保持部材の一面上で発光パネルをスライドさせる必要がある。本発明者は、この工程の作業性を向上させることを検討した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、発光パネルを保持部材に保持させるときの作業性を向上させることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、発光パネルと、
前記発光パネルを保持する保持部材と、
を備え、
前記発光パネルは、
基板と、
前記基板の第1面に形成された発光部と、
前記基板の第1面に形成され、前記発光部を被覆する被覆部材と、
を備え、
前記発光パネルは、前記被覆部材が前記保持部材に対向する向きに、前記保持部材に保持されており、
前記被覆部材は、前記基板の縁よりも前記基板の中心に近い部分に凸部を有している発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2の点線αで囲んだ領域を拡大した図から保持部材を除いた図である。
【
図5】発光装置の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す斜視図である。
図2は
図1のA-A断面図であり、
図3は
図2の点線αで囲んだ領域を拡大した図から保持部材200を除いた図である。
図4は
図1のB-B断面図である。本実施形態に係る発光装置10は、発光パネル100及び保持部材200を備えている。発光パネル100は、
図2に示すように、基板110、発光部120、及び被覆部材140を備えている。発光部120は基板110の第1面に形成されている。被覆部材140も基板110の第1面に形成されており、発光部120を被覆している。発光パネル100は、被覆部材140が保持部材200に対向する向きに、保持部材200に保持されている。そして被覆部材140は凸部142を有している。凸部142は、基板110の縁112よりも基板110の中心の近くに位置している。以下、詳細に説明する。
【0011】
まず、
図1を用いて発光パネル100及び保持部材200について説明する。発光パネル100は細長い形状(例えば長方形)であり、一部(本図に示す例では一端側)を除いて保持部材200の保持部220と重なっている。発光パネル100のうち保持部220と重なっていない領域には、端子部が形成されている。端子部は、発光パネル100に設けられた引出配線を介して、発光部120に接続している。また、端子部はフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)やリードフレームなどの導電部材300に接続している。導電部材300は、発光パネル100を制御回路に接続する。
【0012】
保持部材200は、ベース部210及び保持部220を備えている。ベース部210は板状の部材であり、細長い形状を有している。ベース部210は、湾曲している。そして、ベース部210のうち発光パネル100に対向する面は、湾曲面になっている。また、ベース部210の幅は、発光パネル100の幅よりわずかに広い。そして、ベース部210には、保持部220が設けられている。保持部220は、断面がLを上下に逆にした形状を有しており、少なくともベース部210の2つの長辺のそれぞれに設けられている。本図に示す例において、保持部220は、発光パネル100の縁のうち、2つの長辺及び1つの短辺に沿って形成されている。
【0013】
ベース部210は、例えばステンレス(SUS)やアルミニウムなどの金属、又は樹脂で形成されており、保持部220は、例えばSUSやアルミニウムなどの金属、又は樹脂で形成されている。保持部220は、例えばベース部210の縁をプレス加工することにより形成されていてもよいし、ベース部210とは別の部材をベース部210に取り付けることにより形成されていても良い。
【0014】
そして、詳細を後述するように、保持部220とベース部210の間に発光パネル100の縁を挟みながら、発光パネル100をベース部210の湾曲面に沿って移動させることにより、発光パネル100は湾曲した状態で保持部材200に保持される。このとき発光パネル100は、保持部材200のうち保持部220が形成されていない部分、すなわちベース部210のうち残りの1つの短辺からベース部210と保持部220の間に挿入される。
【0015】
次に、
図2及び
図3を用いて発光パネル100の断面構造を説明する。
図3は、
図2の要部を拡大した図である。発光パネル100は、基板110、発光部120、封止膜130、及び被覆部材140を備えている。
【0016】
基板110は、ガラス基板や樹脂基板などの透明基板である。発光パネル100は可撓性を有しており、その厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。基板110が樹脂基板である場合、基板110は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基板110が樹脂基板である場合、水分や酸素が基板110を透過することを抑制するために、基板110の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiNxやSiONなどの無機材料からなるバリア層が形成されている。
【0017】
発光部120は、
図3に示すように、第1電極122、有機層124、及び第2電極126を有している。第2電極126は第1電極122と重なっている。有機層124は、第1電極122と第2電極126の間に位置している。
【0018】
第1電極122は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極122の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極122は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極122は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。
【0019】
有機層124は発光層を有している。有機層124は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層124は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層124のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極122と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層124の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層124のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0020】
第2電極126は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極126は遮光性を有している。第2電極126の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。ただし、第2電極126は、第1電極122の材料として例示した材料を用いて形成されていてもよい。第2電極126は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0021】
また、第1電極122の縁は絶縁層128によって覆われている。絶縁層128は、例えばポリイミドなどの感光性の樹脂によって形成されている。第1電極122のうち絶縁層128で囲まれた領域の内側に、有機層124が形成されている。このため、発光部120の発光領域は、絶縁層128によって確定されることになる。そして絶縁層128が設けられることにより、発光部120の縁において第1電極122と第2電極126が短絡することを防止できる。
【0022】
封止膜130は、基板110の第1面に形成されており、発光部120を封止している。封止膜130は、成膜法、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法又はCVD法を用いて形成されている。ALD法で形成されている場合、封止膜130は、例えば酸化アルミニウムなどの酸化金属膜によって形成されており、その膜厚は、例えば10nm以上200nm以下、好ましくは、50nm以上100nm以下である。CVD法で形成されている場合、封止膜130は、酸化シリコン膜などの無機絶縁膜によって形成されており、その膜厚は、例えば0.1μm以上10μm以下である。封止膜130が設けられることにより、発光素子102は水分等から保護される。封止膜130は、スパッタリング法で形成されても良い。この場合、封止膜130は、SiO2又はSiNなど絶縁膜によって形成される。その場合、膜厚は10nm以上1000nm以下である。
【0023】
被覆部材140は、基板110の第1面に形成されており、封止膜130及び発光部120を覆っている。また、被覆部材140は物理的な傷・汚れから封止膜130及び発光部120を保護する役割も有する。被覆部材140は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂によって形成されている。被覆部材140の厚さは、例えば50μm以上200μm以下である。被覆部材140は、例えばマスクを用いて樹脂を所望の領域に塗布したり、ニードルを用いて樹脂を所望の領域に塗布することにより、形成される。
【0024】
また、被覆部材140は凸部142を有している。凸部142の高さは、例えば50μm以上150μm以下である。凸部142は、基板110の縁112よりも基板110の中心側に位置している。より詳細には、凸部142の上面は曲面になっている。そして、基板110に垂直な方向から見た場合において、凸部142の上端143は、縁112と有機層124の間に位置している。ただし、凸部142の上端143は平面であってもよい。この場合、この面の全体が縁112と有機層124の間に位置しているのが好ましい。なお、凸部142は、被覆部材140となる樹脂を塗布する際に、凸部142となるべき部分を他の部分より厚くすることにより、形成される。
【0025】
次に、
図4を用いて、発光装置10の長手方向(第1の方向)の断面構造について説明する。
図1及び本図に示すように、ここで、ベース部210のうち発光パネル100に対向する面は湾曲面になっている。このため、保持部材200は、発光パネル100を、曲げ応力が加わった状態で保持する。一方、発光パネル100は弾性を有しているため、発光パネル100は直線状に戻ろうとする。このため、発光パネル100の長手方向の端部は、保持部材200の保持部220に接する。一方、発光パネル100の長手方向の中央部は、保持部材200のベース部210に接する。具体的には、発光パネル100の長手方向の端部において、基板110のうち発光部120とは逆側の面は、保持部220に接しているが、被覆部材140の凸部142は、ベース部210に接していない。また発光パネル100の長手方向の中央部において、被覆部材140の凸部142はベース部210に接しているが、基板110のうち発光部120とは逆側の面は、保持部220に接していない。ただし、いずれの場所においても凸部142がベース部210に接していてもよいし、基板110の3辺のすべてが保持部220に接していてもよい。
【0026】
図5は、発光装置10の製造方法を説明するための図である。まず、発光パネル100及び保持部材200を準備する。
【0027】
次いで、
図5(a)に示すように保持部材200のベース部210に力を加え、ベース部210の湾曲面を平面に近づける。
【0028】
次いで、
図5(b)に示すように、ベース部210の湾曲面を平面に近づけた状態を維持しながら、保持部材200に発光パネル100を差し込む。このとき、発光パネル100の被覆部材140には凸部142が形成されているため、保持部材200のベース部210と発光パネル100との接触面積は小さくなる。このため、保持部材200に発光パネル100を差し込むときの作業負荷は小さくなる。また、被覆部材140の凸部142は基板110の縁112よりも内側に位置しているため、被覆部材140と保持部220の接触面積及び被覆部材140と保持部材200の接触面積はさらに小さくなる。従って、保持部材200に発光パネル100を差し込むときの作業負荷は、さらに小さくなる。
【0029】
また、基板110に垂直な方向から見た場合において、被覆部材140の上端143は、基板110の縁112と有機層124の間に位置している。従って、保持部材200に発光パネル100を差し込むときに、上端143に加わった力に起因して発光部120に破損が生じることを抑制できる。
【0030】
その後、
図5(c)に示すように、保持部材200のベース部210を開放する。これにより、ベース部210は湾曲し、これに伴って発光パネル100も湾曲する。
【0031】
以上、本実施形態によれば、発光パネル100の被覆部材140には凸部142が形成されているため、保持部材200に発光パネル100を差し込むとき、保持部材200のベース部210と発光パネル100との接触面積は小さくなる。このため、保持部材200に発光パネル100を差し込むときの作業負荷は小さくなる。
【0032】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
10 発光装置
100 発光パネル
110 基板
120 発光部
122 第1電極
124 有機層
126 第2電極
130 封止膜
140 被覆部材
142 凸部
143 上端
200 保持部材
210 ベース部
220 保持部