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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053243
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】制御装置および変速システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 25/08 20060101AFI20230404BHJP
   B62M 6/45 20100101ALN20230404BHJP
   B62M 9/123 20100101ALN20230404BHJP
   B62M 9/133 20100101ALN20230404BHJP
【FI】
B62M25/08
B62M6/45
B62M9/123
B62M9/133
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019755
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2019019436の分割
【原出願日】2019-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 充彦
(57)【要約】
【課題】人力駆動車の快適な走行に貢献できる制御装置および変速システムを提供する。
【解決手段】制御装置は、人力駆動車の変速装置を変速条件に応じて制御する制御部を備え、前記変速条件は、ケイデンスが第2閾値以上の状態から前記ケイデンスが前記第2閾値未満の状態になることを含み、前記制御部は、前記変速条件が満たされることに応じて、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速を実行するように前記変速装置を制御し、前記人力駆動車の車速が所定速度未満、かつ、前記変速条件が満たされる場合、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の変速装置を変速条件に応じて制御する制御部を備え、
前記変速条件は、ケイデンスが第2閾値以上の状態から前記ケイデンスが前記第2閾値未満の状態になることを含み、
前記制御部は、
前記変速条件が満たされることに応じて、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速を実行するように前記変速装置を制御し、
前記人力駆動車の車速が所定速度未満、かつ、前記変速条件が満たされる場合、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態に関する走行情報に応じて、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記走行情報は、前記ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、前記車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記走行情報は、前記車速を含み、
前記制御部は、前記車速が前記所定速度以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記走行情報は、前記ケイデンスを含み、
前記制御部は、前記ケイデンスが所定ケイデンス以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項3または4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記所定ケイデンスは、前記第2閾値に基づいて設定される、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記走行情報は、前記トルクを含み、
前記制御部は、前記トルクが第1トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項3から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1トルクは、70Nm以上かつ100Nm未満の範囲に含まれる、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
第1モードと、前記第1モードとは異なる第2モードとを含み、
前記第1モードにおいて、前記トルクが前記第1トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、
前記第2モードにおいて、前記トルクが前記第1トルクよりも大きい第2トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する、請求項7または8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2トルクは、100Nm以上である、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記車速が前記所定速度未満になるように前記車速が変化すると、前記人力駆動車の変速比が指定変速比となるように前記変速装置を制御し、
前記第2モードにおいて、前記人力駆動車の変速比が前記指定変速比以上を維持するように前記変速装置を制御する、請求項9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車速が前記所定速度未満になるように前記車速が変化すると、前記人力駆動車の変速比が指定変速比となるように前記変速装置を制御する、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記車速が前記所定速度未満、かつ、前記人力駆動車に搭乗する搭乗者のスタンディングスティルによる負荷が前記人力駆動車に入力される場合、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、加速度が所定加速度以上であることに応じて、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する、請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記車速が前記所定速度未満の状態において、前記人力駆動車の変速比が大きくなるシフトアップ変速を許可するように前記変速装置を制御する、請求項1から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記シフトアップ変速を常に許可するように前記変速装置を制御する、請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記変速装置と、を備える変速システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および変速システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車の変速装置を制御する変速システムが知られている。従来の変速システムは、人力駆動車のクランクの回転数および閾値に基づいて規定される変速条件に応じて、クランクの回転数が所定の範囲内に維持されるように変速装置を制御する。特許文献1は、従来の変速システムの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平10-511621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適に走行できることが望ましい。
本発明の目的は、人力駆動車の快適な走行に貢献できる制御装置および変速システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の変速装置を変速条件に応じて制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車の車速が所定速度域にある所定状態において、前記人力駆動車の変速比が小さくなるシフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御し、前記人力駆動車の走行状態に関する走行情報に応じて、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第1側面の制御装置によれば、所定状態における不要なシフトダウン変速が抑制され、走行情報に応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記走行情報は、ケイデンス、前記人力駆動車のクランクに作用するトルク、前記車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。
上記第2側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記走行情報は、前記車速を含み、前記制御部は、前記車速が前記所定速度域外になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第3側面の制御装置によれば、車速に応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0008】
前記第2または第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記走行情報は、前記ケイデンスを含み、前記制御部は、前記ケイデンスが所定ケイデンス以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第4側面の制御装置によれば、ケイデンスに応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記所定ケイデンスは、前記変速条件を規定する前記シフトダウン変速用の閾値に基づいて設定される。
上記第5側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0010】
前記第2から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記走行情報は、前記トルクを含み、前記制御部は、前記トルクが第1トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第6側面の制御装置によれば、トルクに応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記走行状態は、前記加速度をさらに含み、前記制御部は、前記加速度が所定加速度以上であれば、前記トルクに関わらず前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第7側面の制御装置によれば、人力駆動車に搭乗する搭乗者の要求に応じた不要なシフトダウン変速が抑制されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0012】
前記第6または第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記第1トルクは、70Nm以上かつ100Nm未満の範囲に含まれる。
上記第8側面の制御装置によれば、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0013】
前記第6から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記所定状態において、前記人力駆動車に搭乗する搭乗者のスタンディングスティルによる負荷が前記人力駆動車に入力される場合においても、前記シフトダウン変速を抑制するように前記変速装置を制御する。
上記第9側面の制御装置によれば、トルクに応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除される場合、そのトルクがスタンディングスティルによる負荷であればシフトダウン変速の抑制が継続される。このため、不要なシフトダウン変速が抑制され、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0014】
前記第6から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、第1モードと、前記第1モードとは異なる第2モードとを含み、前記第1モードにおいて、前記トルクが前記第1トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御し、前記第2モードにおいて、前記トルクが前記第1トルクよりも大きい第2トルク以上になると、前記シフトダウン変速の抑制を解除するように前記変速装置を制御する。
上記第10側面の制御装置によれば、各種のモードに応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記第2トルクは、100Nm以上である。
上記第11側面の制御装置によれば、第2モードにおいて、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、前記所定状態になるように前記車速が変化すると、前記人力駆動車の変速比が指定変速比となるように前記変速装置を制御し、前記第2モードにおいて、前記人力駆動車の変速比が前記指定変速比以上を維持するように前記変速装置を制御する。
上記第12側面の制御装置によれば、変速装置によるスムーズな変速が実現されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。また、第2モードにおける人力駆動車の変速比が指定変速比以上を維持するため、不要なシフトダウン変速を抑制できる。
【0017】
前記第1から第11側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記所定状態になるように前記車速が変化すると、前記人力駆動車の変速比が指定変速比となるように前記変速装置を制御する。
上記第13側面の制御装置によれば、変速装置によるスムーズな変速が実現されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0018】
前記第12または第13側面に従う第14側面の制御装置において、前記制御部は、前記所定状態になるように前記車速が小さくなると、前記人力駆動車の変速比が前記指定変速比となるように前記変速装置を制御する。
上記第14側面の制御装置によれば、変速装置によるスムーズな変速が実現されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0019】
前記第1から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御装置において、前記所定速度域は、所定速度未満の速度域を含む。
上記第15側面の制御装置によれば、所定状態における不要なシフトダウン変速が抑制されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0020】
前記第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記制御部は、前記所定状態において、前記人力駆動車の変速比が大きくなるシフトアップ変速を許可するように前記変速装置を制御する。
上記第16側面の制御装置によれば、変速装置によるスムーズな変速が実現されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の制御装置において、前記制御部は、前記シフトアップ変速を常に許可するように前記変速装置を制御する。
上記第17側面の制御装置によれば、変速装置によるスムーズな変速が実現されるため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0022】
本発明の第18側面に従う変速システムは、前記制御装置と、前記変速装置と、を備える。
上記第18側面の変速システムによれば、所定状態における不要なシフトダウン変速が抑制され、走行情報に応じたタイミングでシフトダウン変速の抑制が解除されるため、変速装置によるスムーズな変速を実現できる。このため、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の制御装置および変速システムによれば、人力駆動車の快適な走行に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態の変速システムを含む人力駆動車の側面図。
図2図1の制御装置と各種の要素との電気的な接続関係を示すブロック図。
図3図1の変速装置の制御に用いられる変速条件の一例を示すマップ。
図4図1の制御装置が実行する第1自動変速制御の一例を示すフローチャート。
図5図1の制御装置が実行する第1切替制御の一例を示すフローチャート。
図6図1の制御装置が実行する指定変速制御の一例を示すフローチャート。
図7図1の制御装置が実行する第1変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
図8】第2実施形態の変速システムにおいて、制御装置が実行する第2変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
図9】第3実施形態の変速システムにおいて、制御装置が実行する第3変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
図10】第4実施形態の変速システムにおいて、制御装置が実行する第2自動変速制御の一例を示すフローチャート。
図11図10の制御装置が実行する第2切替制御の一例を示すフローチャート。
図12図10の制御装置が実行する第4変速抑制制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
図1を参照して、変速システム10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、トレッキングバイクである。人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、車輪W、ハンドルH、および、ドライブトレインBをさらに含む。車輪Wは、前輪WFおよび後輪WRを含む。
【0026】
ドライブトレインBは、例えばチェーンドライブタイプである。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部のそれぞれに設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルPDが回転可能に取り付けられる。ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0027】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪WRのハブHRに設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aに搭乗する搭乗者によってペダルPDに加えられる人力駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪WRに伝達される。
【0028】
電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進をアシストするように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルPDに加えられる人力駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、モータE1を含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBTから供給される電力によって動作する。
【0029】
変速システム10は、制御装置12と、変速装置20とを備える。制御装置12は、例えば電動補助ユニットEのハウジングE2内に収容される。制御装置12は、バッテリBTから供給される電力によって動作する。
【0030】
変速装置20は、例えばシフトレバーSLの操作に応じて機械的または電気的に駆動されるように構成される。変速装置20が電気的に駆動される場合、変速装置20は、バッテリBTから供給される電力、または、変速装置20に搭載される専用の電源から供給される電力によって動作する。シフトレバーSLは、第1シフトレバーSL1および第2シフトレバーSL2の少なくとも1つを含む(図2参照)。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。第1シフトレバーSL1が操作されると、人力駆動車Aの変速比が大きくなるように変速装置20が動作する。第2シフトレバーSL2が操作されると、人力駆動車Aの変速比が小さくなるように変速装置20が動作する。
【0031】
変速装置20は、外装変速機を含む。一例では、変速装置20は、フロントディレーラ22およびリアディレーラ24の少なくとも1つを含む。フロントディレーラ22は、フロントスプロケットD1付近に設けられる。フロントディレーラ22の駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるフロントスプロケットD1が変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。人力駆動車Aの変速比は、フロントスプロケットD1の歯数とリアスプロケットD2の歯数との関係に基づいて規定される。一例では、人力駆動車Aの変速比は、フロントスプロケットD1の回転速度に対するリアスプロケットD2の回転速度の割合で定義される。すなわち、人力駆動車Aの変速比は、リアスプロケットD2の歯数に対するフロントスプロケットD1の歯数の割合で定義される。リアディレーラ24は、フレームA1のリアエンドA3に設けられる。リアディレーラ24の駆動に伴って、チェーンD3が巻き掛けられるリアスプロケットD2が変更され、人力駆動車Aの変速比が変更される。
【0032】
フロントディレーラ22およびリアディレーラ24の双方が人力駆動車Aに搭載される場合、シフトレバーSLは、一対の第1シフトレバーSL1および一対の第2シフトレバーSL2を含んでいてもよい。一方の第1シフトレバーSL1が操作されると、人力駆動車Aの変速比が大きくなるようにフロントディレーラ22が動作する。他方の第1シフトレバーSL1が操作されると、人力駆動車Aの変速比が大きくなるようにリアディレーラ24が動作する。一方の第2シフトレバーSL2が操作されると、人力駆動車Aの変速比が小さくなるようにフロントディレーラ22が動作する。他方の第2シフトレバーSL2が操作されると、人力駆動車Aの変速比が小さくなるようにリアディレーラ24が動作する。変速装置20は、外装変速機に代えて内装変速機を含んでいてもよい。この場合、内装変速機は、例えば後輪WRのハブHRに設けられる。変速装置20は、外装変速機に代えて無段変速機を含んでいてもよい。この場合、無段変速機は、例えば後輪WRのハブHRに設けられる。
【0033】
図2を参照して、制御装置12の具体的な構成について説明する。
制御装置12は、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて制御する制御部14を備える。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。制御部14は、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて自動的に制御する第1自動変速制御を実行する。制御部14は、シフトレバーSLの操作に応じて変速装置20を制御することもできる。制御部14は、人力駆動車Aの変速装置20以外に、人力駆動車Aに搭載される各種のコンポーネントをさらに制御してもよい。制御装置12は、各種の情報を記憶する記憶部16をさらに備える。記憶部16は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部16は、例えば制御のための各種プログラム、および、予め設定される情報等を記憶する。
【0034】
図3に示されるように、変速条件は、参照値RVおよび閾値THに基づいて規定される。参照値RVは、人力駆動車Aに関する車両情報を含む。車両情報は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報、および、人力駆動車Aの走行環境に関する環境情報の少なくとも1つを含む。走行情報は、ケイデンス、人力駆動車AのクランクCに作用するトルク、車速、加速度、および、パワーの少なくとも1つを含む。ケイデンスは、クランクCの回転数と同義である。パワーは、ケイデンスとトルクとの積である。環境情報は、路面の状態に関する路面情報、空気抵抗に関する空気抵抗情報、天候に関する天候情報、および、気温に関する気温情報の少なくとも1つを含む。本実施形態では、参照値RVは、ケイデンスを含む。制御部14は、例えば人力駆動車Aに搭載される各種のセンサによって参照値RVを取得する。
【0035】
閾値THは、第1閾値TH1および第2閾値TH2を含む。制御部14は、参照値RVと第1閾値TH1との関係に応じて、人力駆動車Aの変速比が大きくなるシフトアップ変速を実行するように変速装置20を制御する。制御部14は、参照値RVと第2閾値TH2との関係に応じて、人力駆動車Aの変速比が小さくなるシフトダウン変速を実行するように変速装置20を制御する。第1閾値TH1は、第2閾値TH2とは異なる。この場合、第1閾値TH1および第2閾値TH2は、所定の範囲を有する。一例では、第1閾値TH1は、第2閾値TH2に対して所定値PVだけ異なる。所定値PVは、所定の範囲を規定する所定幅である。本実施形態では、第1閾値TH1は、第2閾値TH2よりも大きい。一例では、制御部14は、参照値RVが第1閾値TH1以上になるとシフトアップ変速を実行するように変速装置20を制御し、参照値RVが第2閾値TH2未満になるとシフトダウン変速を実行するように変速装置20を制御する。
【0036】
制御部14は、参照値RVが第1閾値TH1以上、かつ、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比の場合、人力駆動車Aの変速比を維持するように変速装置20を制御する。人力駆動車Aの最大変速比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最大の変速比である。制御部14は、参照値RVが第2閾値TH2未満、かつ、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比の場合、人力駆動車Aの変速比を維持するように変速装置20を制御する。人力駆動車Aの最小変速比は、フロントスプロケットD1とリアスプロケットD2との関係に基づく最小の変速比である。
【0037】
制御部14は、複数の変速モードを含む。複数の変速モードは、変速条件に応じて変速装置20を自動的に制御するオートモードと、シフトレバーSLの操作に応じて変速装置20を制御するマニュアルモードとを含む。制御部14は、例えばオートモードにおいて第1自動変速制御を実行する。制御部14は、オートモードにおいてシフトレバーSLが操作される場合、シフトレバーSLの操作に応じて変速装置20を制御してもよい。制御部14は、マニュアルモードにおいて、変速条件に応じて変速装置20を自動的に制御しない。複数の変速モードは、オートモードおよびマニュアルモードに代えてまたは加えて、変速条件が互いに異なる1つまたは複数のオートモードをさらに含んでいてもよい。複数の変速モードは、オートモードおよびマニュアルモードに代えてまたは加えて、変速条件に応じてシフトアップ変速のみを自動的に制御するオートモード、および、変速条件に応じてシフトダウン変速のみを自動的に制御するオートモードの少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。各種の変速モードに関する情報は、例えば記憶部16に記憶される。
【0038】
制御部14は、第1切替操作に応じて変速モードを切り替える第1切替制御を実行する。本実施形態では、制御部14は、第1切替操作が入力されると、オートモードとマニュアルモードとを切り替える。第1切替操作は、搭乗者が人力駆動車Aの走行中に行う通常の操作とは異なる操作を含む。このため、搭乗者による誤操作を抑制できる。制御部14は、例えば第1切替条件から第4切替条件の少なくとも1つが成立すると、第1切替操作が入力されたと判定する。
【0039】
制御部14は、第1シフトレバーSL1と第2シフトレバーSL2とが連続して操作されると、第1切替条件が成立すると判定する。一例では、制御部14は、所定期間内において、第1シフトレバーSL1と第2シフトレバーSL2とが交互に4回以上連続して操作されると、第1切替条件が成立すると判定する。具体的には、制御部14は、所定期間内において、第1シフトレバーSL1が操作され、次に第2シフトレバーSL2が操作され、次に第1シフトレバーSL1が操作され、次に第2シフトレバーSL2が操作されると、第1切替条件が成立すると判定する。第1切替条件の成立を規定するシフトレバーSL1、SL2の操作パターンは、適宜変更可能である。制御部14は、所定期間内におけるシフトレバーSL1、SL2の操作に応じて変速装置20を制御しない。
【0040】
制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態において、第2シフトレバーSL2が複数回連続して操作されると、第2切替条件が成立すると判定する。一例では、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態において、第2シフトレバーSL2が1回操作されると警告音が報知され、第2シフトレバーSL2が2回連続して操作されると現在の人力駆動車Aの変速比に関する情報が報知され、第2シフトレバーSL2が3回連続して操作されると第2切替条件が成立する。第2シフトレバーSL2の操作によって報知される各種の情報は、例えば人力駆動車Aに搭載されるサイクルコンピュータ等の報知装置によって報知される。制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態において、第2シフトレバーSL2が3回連続して操作され、第2切替条件が成立すると判定した後も、第2シフトレバーSL2が操作される毎に第2切替条件が成立すると判定してもよい。この例では、現在の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態において、第2シフトレバーSL2が3回連続して操作された後、第2シフトレバーSL2が操作される毎に変速モードが暫定的に切り替えられ、第2シフトレバーSL2の長押し操作または所定時間の経過によって第2切替条件が成立すると判定してもよい。この場合、変速モードは、第2シフトレバーSL2が長押し操作された時点、または、所定時間が経過した時点における暫定の変速モードに設定される。この例では、暫定の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、第2切替条件の成立に伴ってマニュアルモードからオートモードに切り替えた場合、第1シフトレバーSL1が操作されると第2切替条件が成立すると判定し、マニュアルモードに復帰させてもよい。制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最大変速比の状態において、上述の内容と同様に第1シフトレバーSL1が複数回連続して操作されると、第2切替条件が成立すると判定してもよい。
【0041】
制御部14は、人力駆動車Aのアシスト比が最も小さいアシストモードにおいて、アシストモードを変更可能なアシスト操作部が操作されると、第3切替条件が成立すると判定する。アシスト操作部は、人力駆動車Aのアシスト比が大きくなるようにアシストモードを変更可能な第1アシスト操作部、および、人力駆動車Aのアシスト比が小さくなるようにアシストモードを変更可能な第2アシスト操作部を含む。アシスト操作部は、例えば人力駆動車Aに搭載されるサイクルコンピュータ等に設けられる。一例では、制御部14は、人力駆動車Aのアシスト比が最も小さいアシストモードにおいて、第2アシスト操作部が操作される毎に変速モードが暫定的に切り替えられ、第1アシスト操作部の操作によって第3切替条件が成立すると判定する。この場合、変速モードは、第1アシスト操作部が操作された時点における暫定の変速モードに設定される。この例では、暫定の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、人力駆動車Aのアシスト比が最も小さいアシストモードにおいて、第2アシスト操作部が操作される毎に第3切替条件が成立すると判定してもよい。この例では、現在の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、人力駆動車Aのアシスト比が最も大きいアシストモードにおいて、上述の内容と同様にアシスト操作部が操作されると、第3切替条件が成立すると判定してもよい。
【0042】
制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態、かつ、ペダルPDを逆回転させた状態において、シフトレバーSLが操作されると、第4切替条件が成立すると判定する。一例では、制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態、かつ、ペダルPDを180度以上逆回転させた状態において、第2シフトレバーSL2が操作される毎に変速モードが暫定的に切り替えられ、第1シフトレバーSL1の操作によって第4切替条件が成立すると判定する。この場合、変速モードは、第1シフトレバーSL1が操作された時点における暫定の変速モードに設定される。この例では、暫定の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最小変速比の状態、かつ、ペダルPDを180度以上逆回転させた状態において、第2シフトレバーSL2が操作される毎に第4切替条件が成立すると判定してもよい。この例では、現在の変速モードに関する情報が報知装置によって報知されてもよい。制御部14は、人力駆動車Aの変速比が最大変速比の状態、かつ、ペダルPDを逆回転させた状態において、上述の内容と同様にシフトレバーSLが操作されると、第4切替条件が成立すると判定してもよい。
【0043】
制御部14は、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後にシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第1変速抑制制御を実行する。制御部14は、人力駆動車Aの車速が所定速度域にある所定状態において、人力駆動車Aの変速比が小さくなるシフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。所定速度域は、所定速度未満の速度域を含む。具体的には、所定速度域は、0km/h以上かつ所定速度未満の速度域を含む。所定速度は、15km/h以下である。好ましくは、所定速度は、12km/h以下である。本実施形態では、所定速度は、12km/hである。所定速度域は、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。一例では、搭乗者がペダルPDを漕ぎ始める状態、および、搭乗者がペダルPDを漕ぐ速度を緩める状態等が所定状態に含まれる。制御部14は、シフトダウン変速を抑制している期間において、変速条件に応じたシフトダウン変速、および、第2シフトレバーSL2の操作に応じたシフトダウン変速の少なくとも1つを抑制するように変速装置20を制御する。本実施形態では、制御部14は、シフトダウン変速を抑制している期間において、変速条件に応じたシフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。制御部14は、シフトダウン変速を抑制している期間において、第2シフトレバーSL2の操作に応じたシフトダウン変速を許可するように変速装置20を制御してもよい。制御部14は、所定状態において、人力駆動車Aの変速比が大きくなるシフトアップ変速を許可するように変速装置20を制御する。一例では、制御部14は、シフトアップ変速を常に許可するように変速装置20を制御する。
【0044】
制御部14は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。シフトダウン変速の抑制を解除するための条件に用いられる走行情報は、車速を含む。一例では、制御部14は、車速が所定速度域外になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。所定速度域外は、所定速度域とは異なる速度域を含む。本実施形態では、所定速度域外は、12km/h以上の速度域を含む。制御部14は、シフトダウン変速の抑制を解除すると、変速条件に応じたシフトダウン変速を許可するように変速装置20を制御する。
【0045】
制御部14は、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御する指定変速制御を実行する。指定変速比は、例えば搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶される。制御部14は、所定状態になるように車速が変化すると、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御する。「所定状態になるように車速が変化する」という表現には、車速が所定速度域に変化する状態、および、車速が所定速度域に変化する直前の状態の少なくとも1つが含まれる。一例では、制御部14は、所定状態になるように車速が小さくなると、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御する。「所定状態になるように車速が小さくなる」という表現には、車速が所定速度域まで小さくなる状態、および、車速が所定速度域まで小さくなる直前の状態の少なくとも1つが含まれる。制御部14は、指定変速制御とは別に、人力駆動車Aが停車する直前、人力駆動車Aの停車時、または、人力駆動車Aの発進時において、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御してもよい。
【0046】
制御部14は、人力駆動車Aの停車時において、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御する場合、変速先のフロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2にチェーンD3を掛け替える準備として、フロントディレーラ22のムーバブルメンバおよびリアディレーラ24のムーバブルメンバの少なくとも1つが動作するように変速装置20を制御する。この場合、人力駆動車Aの発進に伴いフロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2が回転することによって、人力駆動車Aの変速比が指定変速比に変更される。
【0047】
図2に示されるように、人力駆動車Aは、各種の情報を検出する検出装置DDをさらに含む。検出装置DDは、例えば人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報を検出するように構成される。一例では、検出装置DDは、走行情報を検出可能な各種のセンサを含む。本実施形態では、検出装置DDは、ケイデンスに関する情報を検出可能なセンサ、および、車速に関する情報を検出可能なセンサを含む。検出装置DDは、検出した走行情報を制御部14に出力する。制御部14は、検出装置DDから走行情報を取得し、走行情報に応じて各種の制御を実行する。
【0048】
図4を参照して、制御装置12が実行する第1自動変速制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第1自動変速制御を実行する。制御部14は、ステップS11において、参照値RVを取得する。一例では、制御部14は、検出装置DDからケイデンスに関する情報を取得する。制御部14は、ステップS12において、参照値RVが第1閾値TH1以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS12において、参照値RVが第1閾値TH1以上であると判定した場合、ステップS13の処理に移行する。
【0049】
制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比か否かを判定する。制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS13において、現在の人力駆動車Aの変速比が最大変速比でないと判定した場合、ステップS14の処理に移行する。制御部14は、ステップS14において、人力駆動車Aの変速比が大きくなるように変速装置20を制御する。
【0050】
制御部14は、ステップS12において、参照値RVが第1閾値TH1未満であると判定した場合、ステップS15の処理に移行する。制御部14は、ステップS15において、参照値RVが第2閾値TH2未満か否かを判定する。制御部14は、ステップS15において、参照値RVが第2閾値TH2以上であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS15において、参照値RVが第2閾値TH2未満であると判定した場合、ステップS16の処理に移行する。
【0051】
制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比か否かを判定する。制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比であると判定した場合、ステップS11に処理を戻す。制御部14は、ステップS16において、現在の人力駆動車Aの変速比が最小変速比でないと判定した場合、ステップS17の処理に移行する。制御部14は、ステップS17において、人力駆動車Aの変速比が小さくなるように変速装置20を制御する。以上の処理を経て、ステップS11からステップS17の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS11からステップS17の処理を含む第1自動変速制御を繰り返し実行する。
【0052】
図5を参照して、制御装置12が実行する第1切替制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第1切替制御を実行する。制御部14は、ステップS21において、第1切替操作が入力されたか否かを判定する。具体的には、制御部14は、第1切替条件から第4切替条件の少なくとも1つが成立すると、第1切替操作が入力されたと判定する。制御部14は、ステップS21において、第1切替操作が入力されていないと判定した場合、ステップS21の処理を繰り返す。制御部14は、ステップS21において、第1切替操作が入力されたと判定した場合、ステップS22の処理に移行する。制御部14は、ステップS22において、変速モードを切り替える。一例では、制御部14は、オートモードとマニュアルモードとを切り替える。以上の処理を経て、ステップS21からステップS22の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS21からステップS22の処理を含む第1切替制御を繰り返し実行する。制御部14は、第1切替制御を実行しなくてもよい。
【0053】
図6を参照して、制御装置12が実行する指定変速制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って指定変速制御を実行する。制御部14は、ステップS31において、走行情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDから車速に関する情報を取得する。制御部14は、ステップS32において、所定状態になるように車速が小さくなったか否かを判定する。制御部14は、ステップS32において、所定状態になるように車速が小さくなっていないと判定した場合、ステップS31に処理を戻す。制御部14は、ステップS32において、所定状態になるように車速が小さくなったと判定した場合、ステップS33の処理に移行する。制御部14は、ステップS33において、人力駆動車Aの変速比が指定変速比となるように変速装置20を制御する。以上の処理を経て、ステップS31からステップS33の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS31からステップS33の処理を含む指定変速制御を繰り返し実行する。制御部14は、指定変速制御を実行しなくてもよい。
【0054】
図7を参照して、制御装置12が実行する第1変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第1変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS41において、走行情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDから車速に関する情報を取得する。制御部14は、ステップS42において、所定状態か否かを判定する。制御部14は、ステップS42において、所定状態でないと判定した場合、ステップS41に処理を戻す。制御部14は、ステップS42において、所定状態であると判定した場合、ステップS43の処理に移行する。制御部14は、ステップS43において、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。
【0055】
制御部14は、ステップS44において、車速が所定速度域外か否かを判定する。制御部14は、ステップS44において、車速が所定速度域外でないと判定した場合、ステップS45の処理に移行する。制御部14は、ステップS45において、ステップS41と同様に走行情報を取得し、ステップS44の処理に移行する。制御部14は、ステップS44において、車速が所定速度域外であると判定した場合、ステップS46の処理に移行する。制御部14は、ステップS46において、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。以上の処理を経て、ステップS41からステップS46の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS41からステップS46の処理を含む第1変速抑制制御を繰り返し実行する。
【0056】
<第2実施形態>
図8を参照して、第2実施形態の変速システム10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
制御部14は、第1変速抑制制御に代えてまたは加えて、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後にシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第2変速抑制制御を実行する。制御部14は、第1変速抑制制御と並行して第2変速抑制制御を実行することが好ましい。第2変速抑制制御では、シフトダウン変速の抑制を解除するための制御が第1変速抑制制御と異なる。
【0058】
制御部14は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。シフトダウン変速の抑制を解除するための条件に用いられる走行情報は、ケイデンスを含む。一例では、制御部14は、ケイデンスが所定ケイデンス以上になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。所定ケイデンスは、変速条件を規定するシフトダウン変速用の閾値THに基づいて設定される。換言すれば、所定ケイデンスは、変速条件を規定する第2閾値TH2に基づいて設定される。一例では、所定ケイデンスは、第2閾値TH2に相当するケイデンスと一致する。本実施形態では、所定ケイデンスは、55rpmである。所定ケイデンスは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。制御部14は、シフトダウン変速を解除すると、変速条件に応じたシフトダウン変速を許可するように変速装置20を制御する。
【0059】
図8を参照して、制御装置12が実行する第2変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第2変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS51において、走行情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDからケイデンスに関する情報、および、車速に関する情報を取得する。制御部14は、ステップS52およびステップS53において、図7に示されるステップS42およびステップS43と実質的に同じ処理を実行する。
【0060】
制御部14は、ステップS54において、ケイデンスが所定ケイデンス以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS54において、ケイデンスが所定ケイデンス未満であると判定した場合、ステップS55の処理に移行する。制御部14は、ステップS55において、ステップS51と同様に走行情報を取得し、ステップS54の処理に移行する。制御部14は、ステップS55において、走行情報としてケイデンスに関する情報のみを取得してもよい。制御部14は、ステップS54において、ケイデンスが所定ケイデンス以上であると判定した場合、ステップS56の処理に移行する。制御部14は、ステップS56において、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。
【0061】
以上の処理を経て、ステップS51からステップS56の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS51からステップS56の処理を含む第2変速抑制制御を繰り返し実行する。制御部14は、第1変速抑制制御と並行して第2変速抑制制御を実行する場合、ステップS46およびステップS56のいずれかの処理が実行されると、それぞれの変速抑制制御を終了する。
【0062】
<第3実施形態>
図9を参照して、第3実施形態の変速システム10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
制御部14は、第1変速抑制制御に代えてまたは加えて、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後にシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第3変速抑制制御を実行する。制御部14は、第1変速抑制制御と並行して第3変速抑制制御を実行することが好ましい。第3変速抑制制御では、シフトダウン変速の抑制を解除するための制御が第1変速抑制制御と異なる。
【0064】
制御部14は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。シフトダウン変速の抑制を解除するための条件に用いられる走行情報は、トルクを含む。一例では、制御部14は、トルクが第1トルク以上になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第1トルクは、70Nm以上かつ100Nm未満の範囲に含まれる。換言すれば、第1トルクは、70Nm以上かつ100Nm未満である。本実施形態では、第1トルクは、70Nmである。第1トルクは、30Nm以上かつ70Nm未満の範囲に含まれていてもよい。第1トルクは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。
【0065】
シフトダウン変速の抑制を解除するための条件に用いられる走行情報は、加速度をさらに含む。一例では、制御部14は、加速度が所定加速度以上であれば、トルクに関わらずシフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。所定加速度は、正の加速度を規定する加速度である。換言すれば、人力駆動車Aが加速している場合、加速度が所定加速度以上を示す。本実施形態では、制御部14は、トルクが第1トルク以上、かつ、加速度が所定加速度未満であれば、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。制御部14は、シフトダウン変速を解除すると、変速条件に応じたシフトダウン変速を許可するように変速装置20を制御する。
【0066】
制御部14は、所定状態において、人力駆動車Aに搭乗する搭乗者のスタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力される場合においても、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。換言すれば、制御部14は、所定状態において、スタンディングスティルによる負荷がペダルPDに入力される場合、トルクに関わらずシフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。スタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力されたか否かは、例えば車速、トルク、および、ケイデンスに基づいて判定される。一例では、車速がSS車速未満の状態において、ケイデンスがSSケイデンス未満にも関わらず、トルクがSSトルク以上の場合、スタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力されたと判定される。SS車速、SSトルク、および、SSケイデンスは、例えば一般的なスタンディングスティルに関する情報に基づいて設定される。第3実施形態では、検出装置DDは、トルクに関する情報を検出可能なセンサ、および、加速度に関する情報を検出可能なセンサをさらに含む。
【0067】
図9を参照して、制御装置12が実行する第3変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第3変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS61において、走行情報を取得する。具体的には、制御部14は、検出装置DDからケイデンスに関する情報、車速に関する情報、トルクに関する情報、および、加速度に関する情報を取得する。制御部14は、ステップS62およびステップS63において、図7に示されるステップS42およびステップS43と実質的に同じ処理を実行する。
【0068】
制御部14は、ステップS64において、トルクが第1トルク以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS64において、トルクが第1トルク未満であると判定した場合、ステップS65の処理に移行する。制御部14は、ステップS65において、ステップS61と同様に走行情報を取得し、ステップS64の処理に移行する。制御部14は、ステップS65において、走行情報としてケイデンスに関する情報、トルクに関する情報、および、加速度に関する情報のみを取得してもよい。制御部14は、ステップS64において、トルクが第1トルク以上であると判定した場合、ステップS66の処理に移行する。制御部14は、ステップS66において、加速度が所定加速度以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS66において、加速度が所定加速度以上であると判定した場合、ステップS65の処理に移行する。制御部14は、ステップS66において、加速度が所定加速度未満であると判定した場合、ステップS67の処理に移行する。
【0069】
制御部14は、ステップS67において、スタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力されたか否かを判定する。制御部14は、ステップS67において、スタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力されたと判定した場合、ステップS65の処理に移行する。制御部14は、ステップS67において、スタンディングスティルによる負荷が人力駆動車Aに入力されていないと判定した場合、ステップS68の処理に移行する。制御部14は、ステップS68において、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。
【0070】
以上の処理を経て、ステップS61からステップS68の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS61からステップS68の処理を含む第3変速抑制制御を繰り返し実行する。制御部14は、第1変速抑制制御と並行して第3変速抑制制御を実行する場合、ステップS46およびステップS68のいずれかの処理が実行されると、それぞれの変速抑制制御を終了する。制御部14は、第1変速抑制制御および第2変速抑制制御と並行して第3変速抑制制御を実行してもよい。図9に示されるステップS61からステップS68の処理において、ステップS66およびステップS67の少なくとも1つの処理を省略してもよい。
【0071】
<第4実施形態>
図10から図12を参照して、第4実施形態の変速システム10について説明する。第3実施形態と共通する構成については、第3実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0072】
制御部14は、第1モードと、第1モードとは異なる第2モードとを含む。第1モードおよび第2モードは、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて自動的に制御するオートモードに含まれる。第1モードおよび第2モードは、変速装置20に関する制御態様が互いに異なる。一例では、第1モードおよび第2モードは、変速条件に応じて変速装置20を自動的に制御する制御態様、および、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する制御態様の少なくとも1つが互いに異なる。制御部14は、例えば第1モードにおいて、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて自動的に制御する第1自動変速制御を実行する。制御部14は、例えば第2モードにおいて、第1自動変速制御に代えて、人力駆動車Aの変速装置20を変速条件に応じて自動的に制御する第2自動変速制御を実行する。制御部14は、第1モードおよび第2モードに代えてまたは加えて、変速装置20に関する制御態様が互いに異なる1つまたは複数のモードをさらに含んでいてもよい。各種のモードに関する情報は、例えば記憶部16に記憶される。
【0073】
制御部14は、第2モードにおいて、第1自動変速制御と同様に参照値RVと閾値THとの関係に応じて変速装置20を制御する。制御部14は、第2モードにおいて、人力駆動車Aの変速比が指定変速比以上を維持するように変速装置20を制御する。一例では、制御部14は、第2モードにおいて、第2シフトレバーSL2の操作に応じて人力駆動車Aの変速比が指定変速比未満となるように変速装置20を制御する場合を除き、人力駆動車Aの変速比が指定変速比未満にならないように変速装置20を制御する。
【0074】
制御部14は、第1モードと第2モードとを自動的に切り替えてもよく、第1モードと第2モードとを手動的に切り替えてもよい。第1モードと第2モードとが自動的に切り替えられる場合、制御部14は、人力駆動車Aに関する車両情報、および、人力駆動車Aに搭乗する搭乗者に関する搭乗者情報の少なくとも1つに応じて第1モードと第2モードとを切り替える自動切替制御を実行する。搭乗者情報は、心拍数、筋電位、発汗量、および、体温の少なくとも1つを含む。第1モードと第2モードとが手動的に切り替えられる場合、制御部14は、第2切替操作に応じて第1モードと第2モードとを切り替える第2切替制御を実行する。
【0075】
本実施形態では、制御部14は、第2切替操作が入力されると、第1モードと第2モードとを切り替える。第2切替操作は、搭乗者が人力駆動車Aの走行中に行う通常の操作とは異なる操作を含む。このため、搭乗者による誤操作を抑制できる。制御部14は、例えば第5切替条件および第6切替条件の少なくとも1つが成立すると、第2切替操作が入力されたと判定する。
【0076】
制御部14は、人力駆動車Aに搭載される2つ以上の操作部が同時に操作されると、第5切替条件が成立すると判定する。一例では、制御部14は、第1シフトレバーSL1と第2シフトレバーSL2とが同時に操作されると、第5切替条件が成立すると判定する。好ましい例では、制御部14は、搭乗者がペダルPDを漕ぐ状態を含むペダリングがない状態において、第1シフトレバーSL1と第2シフトレバーSL2とが同時に操作されると、第5切替条件が成立すると判定する。制御部14は、第1シフトレバーSL1と第2シフトレバーSL2とが同時に操作される場合、シフトレバーSL1、SL2の操作に応じて変速装置20を制御しない。制御部14は、シフトレバーSL1、SL2の一方とアシスト操作部の一方とが同時に操作されると、第5切替条件が成立すると判定してもよい。
【0077】
制御部14は、人力駆動車Aに搭載される2つの操作部のうち、一方の操作部が長押し操作されている間に他方の操作部が操作されると、第6切替条件が成立すると判定する。一例では、制御部14は、一方のシフトレバーSL1、SL2が長押し操作されている間に、他方のシフトレバーSL1、SL2が操作されると、第6切替条件が成立すると判定する。好ましい例では、制御部14は、ペダリングがない状態において、一方のシフトレバーSL1、SL2が長押し操作されている間に、他方のシフトレバーSL1、SL2が操作されると、第6切替条件が成立すると判定する。制御部14は、一方のシフトレバーSL1、SL2が長押し操作されている間に、他方のシフトレバーSL1、SL2が操作される場合、シフトレバーSL1、SL2の操作に応じて変速装置20を制御しない。制御部14は、一方のシフトレバーSL1、SL2が長押し操作されている間に、一方のアシスト操作部が操作されると、第6切替条件が成立すると判定してもよい。制御部14は、一方のアシスト操作部が長押し操作されている間に、一方のシフトレバーSL1、SL2が操作されると、第6切替条件が成立すると判定してもよい。
【0078】
制御部14は、例えば第1モードにおいて、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後にシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第3変速抑制制御を実行する。具体的には、制御部14は、第1モードにおいて、トルクが第1トルク以上になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。制御部14は、第1モードにおいて、第1変速抑制制御と並行して第3変速抑制制御を実行することが好ましい。制御部14は、例えば第2モードにおいて、第3変速抑制制御に代えて、シフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御し、その後にシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する第4変速抑制制御を実行する。制御部14は、第2モードにおいて、第1変速抑制制御と並行して第4変速抑制制御を実行することが好ましい。第4変速抑制制御では、シフトダウン変速の抑制を解除するための制御が第3変速抑制制御と異なる。
【0079】
制御部14は、第2モードにおいて、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。シフトダウン変速の抑制を解除するための条件に用いられる走行情報は、トルクを含む。一例では、制御部14は、第2モードにおいて、トルクが第1トルクよりも大きい第2トルク以上になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第2トルクは、100Nm以上である。本実施形態では、第2トルクは、100Nmである。第2トルクは、70Nm以上かつ100Nm未満の範囲に含まれていてもよい。第2トルクは、搭乗者が変更可能に記憶部16に記憶されてもよい。
【0080】
図10を参照して、制御装置12が実行する第2自動変速制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第2自動変速制御を実行する。制御部14は、ステップS71からステップS75において、図4に示されるステップS11からステップS15と実質的に同じ処理を実行する。制御部14は、ステップS76において、現在の人力駆動車Aの変速比が指定変速比か否かを判定する。制御部14は、ステップS76において、現在の人力駆動車Aの変速比が指定変速比であると判定した場合、ステップS71に処理を戻す。具体的には、制御部14は、現在の人力駆動車Aの変速比が指定変速比であると判定した場合、人力駆動車Aの変速比が指定変速比以上を維持するように変速装置20を制御する。制御部14は、ステップS76において、現在の人力駆動車Aの変速比が指定変速比でないと判定した場合、ステップS77の処理に移行する。制御部14は、ステップS77において、人力駆動車Aの変速比が小さくなるように変速装置20を制御する。以上の処理を経て、ステップS71からステップS77の処理を終了する。制御部14は、例えば第2モードにおける人力駆動車Aの走行中において、ステップS71からステップS77の処理を含む第2自動変速制御を繰り返し実行する。
【0081】
図11を参照して、制御装置12が実行する第2切替制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第2切替制御を実行する。制御部14は、ステップS81において、第2切替操作が入力されたか否かを判定する。具体的には、制御部14は、第5切替条件および第6切替条件の少なくとも1つが成立すると、第2切替操作が入力されたと判定する。制御部14は、ステップS81において、第2切替操作が入力されていないと判定した場合、ステップS81の処理を繰り返す。制御部14は、ステップS81において、第2切替操作が入力されたと判定した場合、ステップS82の処理に移行する。制御部14は、ステップS82において、第1モードと第2モードとを切り替える。以上の処理を経て、ステップS81からステップS82の処理を終了する。制御部14は、例えば人力駆動車Aの走行中において、ステップS81からステップS82の処理を含む第2切替制御を繰り返し実行する。第1モードと第2モードとが自動的に切り替えられる場合、制御部14は、第2切替制御を実行しなくてもよい。
【0082】
図12を参照して、制御装置12が実行する第4変速抑制制御について説明する。
制御部14は、例えば以下の処理に従って第4変速抑制制御を実行する。制御部14は、ステップS91からステップS93において、図9に示されるステップS61からステップS63と実質的に同じ処理を実行する。制御部14は、ステップS94において、トルクが第2トルク以上か否かを判定する。制御部14は、ステップS94において、トルクが第2トルク未満であると判定した場合、ステップS95の処理に移行する。制御部14は、ステップS94において、トルクが第2トルク以上であると判定した場合、ステップS96の処理に移行する。制御部14は、ステップS95からステップS98において、図9に示されるステップS65からステップS68と実質的に同じ処理を実行する。
【0083】
以上の処理を経て、ステップS91からステップS98の処理を終了する。制御部14は、例えば第2モードにおける人力駆動車Aの走行中において、ステップS91からステップS98の処理を含む第4変速抑制制御を繰り返し実行する。制御部14は、第1変速抑制制御と並行して第4変速抑制制御を実行する場合、ステップS46およびステップS98のいずれかの制御が実行されると、それぞれの変速抑制制御を終了する。制御部14は、第1変速抑制制御および第2変速抑制制御と並行して第4変速抑制制御を実行してもよい。図12に示されるステップS91からステップS98において、ステップS96およびステップS97の少なくとも1つの処理を省略してもよい。
【0084】
<変形例>
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う制御装置および変速システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制御装置および変速システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0085】
・制御部14の制御内容は、任意に変更可能である。第1例では、制御部14は、人力駆動車Aの車速が所定速度域にある所定状態において、シフトアップ変速およびシフトダウン変速を抑制するように変速装置20を制御する。この場合、制御部14は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトアップ変速およびシフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。第2例では、制御部14は、人力駆動車Aの車速が所定速度域にある所定状態において、シフトアップ変速を抑制するように変速装置20を制御する。この場合、制御部14は、人力駆動車Aの走行状態に関する走行情報に応じて、シフトアップ変速の抑制を解除するように変速装置20を制御する。
【0086】
・所定速度域は、任意に変更可能である。第1例では、所定速度域は、第1速度以上かつ第2速度未満の速度域を含む。第1速度は、0km/hよりも大きい。第1速度は、例えば3km/hである。第2速度は、所定速度と一致する。第2例では、所定速度域は、0km/hを含む。この場合、制御部14は、第1変速抑制制御において、車速が所定速度以上になると、シフトダウン変速の抑制を解除するように変速装置20を制御することが好ましい。
【0087】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクル、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0088】
10…変速システム、12…制御装置、14…制御部、20…変速装置、A…人力駆動車、C…クランク、TH…閾値、TH2…第2閾値(閾値)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12