(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005325
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230111BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20230111BHJP
A61K 8/21 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q11/00
A61K8/24
A61K8/20
A61K8/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107153
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩平
(72)【発明者】
【氏名】石黒 敬二
(72)【発明者】
【氏名】川延 勇介
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB172
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB471
4C083AB472
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC432
4C083AC611
4C083AC612
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD302
4C083AD352
4C083AD532
4C083CC41
4C083DD22
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】経時においても製剤変色が抑制され、保存安定性に優れ、使用感も良い水溶性縮合リン酸又はその塩含有の口腔用組成物を提供する。
【解決手段】(A)水溶性縮合リン酸又はその塩、(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、及び(C)水溶性スズ塩を含有する口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩、
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩
及び
(C)水溶性スズ塩
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【請求項2】
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩が、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩が、ピロリドンカルボン酸ナトリウムである請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
(C)水溶性スズ塩が、塩化スズ及びフッ化スズから選ばれる1種以上である請求項1~3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量と(C)成分のスズイオンとしての含有量との量比を示す(C)/(B)が質量比として0.01~0.6である請求項1~4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項6】
(A)成分の含有量が0.1~5質量%、(B)成分の含有量が0.5~10質量%,
(C)成分の含有量がスズイオンとして0.02~1.8質量%である請求項1~5のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項7】
歯磨剤である請求項1~6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時においても製剤変色が抑制され、保存安定性に優れる水溶性縮合リン酸又はその塩含有の口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性縮合リン酸又はその塩は、歯牙の着色汚れの一種であるステイン汚れを除去する作用を有し、歯牙のステイン汚れ除去成分として口腔用組成物に用いられ、そのステイン汚れ除去効果を改善して応用する技術も提案されている(特許文献1;特許第6673348号公報)。
水溶性縮合リン酸又はその塩を配合した歯磨剤等の口腔用組成物は、経時的に製剤変色を生じるという問題があり、例えば、特許文献2(特許第3862006号公報)では、水溶性ポリリン酸塩に、特定条件で処理されたゼオライトを併用して配合することで経時変色を抑制している。しかし、配合組成等によっては製剤変色が抑えられないこともあり、水溶性縮合リン酸又はその塩による製剤変色の抑制に関しては未だ改善の余地があるのが現状であった。
【0003】
ところで、ピロリドンカルボン酸又はその塩は、歯牙の象牙質のステイン汚れ等の着色汚れ除去成分として有効であり(特許文献3;特許第6474375号公報)、特許文献4(国際公開第2018/043717号)には、ピロリドンカルボン酸又はその無機塩基塩と水溶性ピロリン酸又はその塩とが配合された、歯牙の象牙質の表面と表層下の着色抑制効果に優れる口腔用組成物が提案されているが、製剤変色に関しては検討されておらず言及もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6673348号公報
【特許文献2】特許第3862006号公報
【特許文献3】特許第6474375号公報
【特許文献4】国際公開第2018/043717号
【特許文献5】特開2008-143910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、経時においても製剤変色が抑制されて保存安定性に優れ、使用感も良い水溶性縮合リン酸又はその塩含有の口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、水溶性縮合リン酸又はその塩とピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩とが配合された口腔用組成物に、水溶性スズ塩を添加すると、経時でも製剤変色が顕著に抑制されて製剤外観が安定に維持され、保存安定性に優れ、また、金属味が抑えられて使用感も良いことを知見した。即ち、本発明では、(A)水溶性縮合リン酸又はその塩、(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、及び(C)水溶性スズ塩を含有する口腔用組成物とすることによって、(A)及び(B)成分による歯牙のステイン汚れ除去等の作用効果が発揮されると共に、経時においても製剤変色が抑制されて保存安定性に優れ、使用感も良好となることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
更に詳述すると、(A)成分配合の口腔用組成物に、歯牙のステイン汚れ除去等の作用効果の改善のために、(B)成分、特にピロリドンカルボン酸のアルカリ金属塩を併用して配合すると、経時において、(A)成分単独の場合を上回る著しい製剤変色が発生し、製剤外観が顕著に悪化するという問題が生じたが、(C)成分を添加すると、上記のように製剤変色が悪化することなく顕著に抑制され、保存後も製剤外観を安定に保つことができた。この場合、(A)及び(B)成分の併用系において、意外にも、(C)成分が変色抑制剤として作用し、これにより、(C)成分による金属味が感じられることなく、良い使用感を確保し、製剤変色を防止して優れた保存安定性を与えることができた。
なお、特許文献5(特開2008-143910号公報)には、抗菌剤としてスズイオンを含む薬剤とポリホスフェート抗歯石剤とを含有する局所用口腔用組成物が開示されているが、製剤変色に関して言及されてもいない。これに対して、本発明は、(C)成分による、(A)及び(B)成分の併用系での製剤変色の抑制、それによる口腔用組成物の保存安定性(外観安定性)の改善である。
【0008】
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩、
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩
及び
(C)水溶性スズ塩
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩が、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムから選ばれる1種以上である〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩が、ピロリドンカルボン酸ナトリウムである〔1〕又は〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕
(C)水溶性スズ塩が、塩化スズ及びフッ化スズから選ばれる1種以上である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
(B)成分の含有量と(C)成分のスズイオンとしての含有量との量比を示す(C)/(B)が質量比として0.01~0.6である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
(A)成分の含有量が0.1~5質量%、(B)成分の含有量が0.5~10質量%,
(C)成分の含有量がスズイオンとして0.02~1.8質量%である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
歯磨剤である〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、経時においても製剤変色が抑制されて保存安定性に優れ、使用感も良い(A)及び(B)成分含有の口腔用組成物を提供できる。この口腔用組成物は、歯牙のステイン汚れ除去効果を有することから、歯の清掃、美白用として有効である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の口腔用組成物は、(A)水溶性縮合リン酸又はその塩、(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩、及び(C)水溶性スズ塩を含有する。
【0011】
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩は、歯牙のステイン汚れ除去効果を有する。
水溶性縮合リン酸又はその塩は、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸等の直鎖状のポリリン酸又はその塩、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等の環状のポリリン酸又はその塩が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。水溶性縮合リン酸又はその塩としては、具体的にピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等を使用できる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせてもよく、また、市販品を使用できる。
【0012】
(A)水溶性縮合リン酸又はその塩の配合量は、組成物全体の0.1~5%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.3~2%である。配合量が0.1%以上であると、歯牙のステイン汚れ除去効果が十分に得られ、5%以下であると、十分に変色が抑制される。
【0013】
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩は、歯牙、特に象牙質のステイン汚れ除去効果を有する。
ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩としては、ピロリドンカルボン酸、そのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のピロリドンカルボン酸のアルカリ金属塩を使用し得る。
ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩は、市販品を使用できる。例えば、ピロリドンカルボン酸ナトリウムは、味の素ヘルシーサプライ(株)製のAJIDEW(登録商標)N-50等を用いることができる。
【0014】
(B)ピロリドンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩の配合量は、組成物全体の0.5~10%が好ましく、より好ましくは1~5%である。配合量が0.5%以上であると、歯牙のステイン汚れ除去効果が十分に得られ、10%以下であると、十分に変色が抑制される。
【0015】
(C)水溶性スズ塩は、(A)及び(B)成分の併用系による製剤変色を抑制する変色抑制剤として作用する。
水溶性スズ塩としては、例えば塩化スズ、フッ化スズ、酢酸スズ、グルコン酸スズ、シュウ酸スズ、硫酸スズ、乳酸スズ、酒石酸スズ、クエン酸スズ、リンゴ酸スズ、リン酸スズ等が挙げられるが、中でも塩化スズ、フッ化スズが好ましい。
塩化スズは、塩化スズ(II)(塩化第一スズ)を用いることができ、塩化スズ(II)二水和物等の水和物でもよい。フッ化スズは、フッ化スズ(II)(フッ化第一スズ)、フッ化スズ(IV)(フッ化第二スズ)を用いることができる。特にう蝕予防効果を付与することができる点から、フッ化スズ(II)(フッ化第一スズ)が好ましい。
これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせてもよく、また、市販品を使用できる。
【0016】
(C)水溶性スズ塩の配合量は、スズイオンとして組成物全体の0.02~1.8%が好ましく、より好ましくは0.1~0.9%である。スズイオンとしての含有量が0.02%以上であると、変色抑制効果が十分に発揮され、1.8%以下であると、それ自身の金属味が十分に抑えられる。
【0017】
本発明において、(C)/(B)((C)成分のスズイオンとしての配合量/(B)成分の配合量)は、質量比として0.01~0.6が好ましく、より好ましくは0.04~0.3である。(C)/(B)の質量比が上記範囲内であると、変色抑制効果が一層優れ、また、金属味がより抑えられる。0.01以上であると、変色抑制効果がより優れ、0.6以下であると、金属味がより抑えられて更に良い使用感となる。
【0018】
本発明の口腔用組成物は、ペースト状、ジェル状、液体状等の形態、特にペースト状、液体状の形態で、練歯磨、ジェル状歯磨、液体歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、洗口剤、マウスウォッシュ、マウススプレー剤等に調製して使用することができる。特に練歯磨等の歯磨剤として好適である。調製方法は、形態や剤型に応じた常法を採用できる。
この場合、口腔用組成物の目的、剤型等に応じて、上述した成分以外にも適宜なその他の任意成分を必要に応じて配合できる。任意成分は、例えば、界面活性剤、研磨剤、増粘剤、湿潤剤、溶剤、甘味剤、香料、防腐剤、着色剤、有効成分等が挙げられる。
以下に任意成分の具体例を示す。これら任意成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて配合でき、また、各任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とし得る。
【0019】
界面活性剤:
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、具体的には下記(i)~(iii)に示す。
(i)アニオン性界面活性剤
ラウリル硫酸塩等のアルキル硫酸塩、アシルサルコシン塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩(テトラデセンスルホン酸塩)が挙げられ、上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
(ii)ノニオン性界面活性剤
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライドが挙げられる。
(iii)両性界面活性剤
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.001~10%、特に0.1~5%がよい。
【0020】
研磨剤:
無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の2~50%、特に10~40%である。
【0021】
増粘剤:
キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カチオン化セルロース、カルボキシビニルポリマー等の有機増粘剤、増粘性シリカ等の無機増粘剤が挙げられる。増粘剤の配合量は、通常、組成物全体の0.1~10%、特に0.1~8%である。
【0022】
湿潤剤:
ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等の多価アルコールが挙げられる。湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の2~50%である。
【0023】
溶剤:
精製水、エタノール等の炭素数1~3の低級アルコールが挙げられる。なお、エタノールは、配合する場合は組成物全体の25%以下でもよく、配合しなくてもよい。
【0024】
甘味剤:
サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロースが挙げられる。
【0025】
香料:
メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
香料の配合量は、通常、組成物全体の0.01~2%である。
【0026】
防腐剤:
パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウムが挙げられる。
着色剤:
青色1号、青色2号、緑色3号、黄色4号、黄色5号、赤色106号、赤色227号、カラメル、酸化チタン、雲母チタンが挙げられる。
【0027】
任意の有効成分:
フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物、デキストラナーゼ等の酵素、アラントイン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、塩化ナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸銅、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオール、ゼオライト、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、グリセロリン酸カルシウム、オウバクエキスが挙げられる。
【実施例0028】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0029】
[実施例、比較例]
表1~3に示す組成の口腔用組成物(練歯磨)を常法によって調製し、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
なお、実施例の口腔用組成物は、いずれも歯牙のステイン汚れ除去効果を有していた。
【0030】
(1)保存安定性(変色のなさ)の評価方法
口腔用組成物について、50℃環境下で3ヶ月間保管後の製剤外観を目視で確認し、-5℃恒温槽で3ヶ月間保管した歯磨剤組成物を対照品とし、これと比較して、下記の評価基準に基づき保存安定性(変色のなさ)を評価した。
評価基準:
◎:対照品と比較して、変色がない。
○:対照品と比較して、変色が僅かに見られるが、問題ないレベルである。
△:対照品と比較して、変色が見られ、問題がある。
×:対照品と比較して、変色が著しく悪化し、問題がある。
【0031】
(2)金属味のなさの評価方法
口腔用組成物を蒸留水で3倍希釈した処置液を口に含み、30秒間すすいだ。その後、金属味のなさについて判定士5名が下記の評価基準に基づき評価した。5名の平均値を求め、下記の判定基準に基づき金属味のなさを判定した。
評価基準:
4点:金属味を全く感じない
3点:金属味を僅かに感じるが、許容範囲で問題ないレベルである
2点:金属味を感じる
1点:金属味を非常に強く感じる
判定基準:
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0032】
使用した原料の詳細を下記に示す。
(A)ヘキサメタリン酸ナトリウム;太平洋化学産業(株)製、メタリン酸ナトリウム
(A)ポリリン酸ナトリウム;太平洋化学産業(株)製、トリポリリン酸ナトリウム
(A)ピロリン酸ナトリウム;太平洋化学産業(株)製、ピロリン酸ナトリウム(無水)
(B)ピロリドンカルボン酸ナトリウム;
味の素ヘルシーサプライ(株)製、AJIDEW(登録商標)N-50
(C)塩化スズ;富士フィルム和光純薬(株)製、塩化スズ(II)二水和物
(C)フッ化スズ:富士フィルム和光純薬(株)製、フッ化スズ(II)
香料Aの組成の詳細は後述の通りである。
【0033】
【表1】
注;表中の(C)/(B)は、(C)成分のスズイオンとしての配合量/(B)成分の配合量の質量比である(以下同様)。
【0034】
【0035】
【0036】
香料Aの組成;
ペパーミント油 50
ペパーミント精製油(前溜部20%カット) 5
ペパーミント精製油(前溜部・後溜部15%カット) 5
スペアミント油 1
スペアミント精製油(前溜部20%カット) 1
和種ハッカ油 1
和種ハッカ精製油(前溜部30%カット) 1
メントール 10
カルボン 1
1,8-シネオール 1
アネトール 5
シンナミックアルデヒド 1
オイゲノール 1
メチルサリシレート 1
フレーバー1(表4) 1
フレーバー2(表5) 1
フレーバー3(表6) 1
フレーバー4(表7) 1
フレーバー5(表8) 1
フレーバー6(表9) 1
フレーバー7(表10) 1
溶剤(表11) 残
合計 100%
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】