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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053267
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 125
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020187
(22)【出願日】2023-02-13
(62)【分割の表示】P 2018171254の分割
【原出願日】2018-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150348
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 信一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀尚
(72)【発明者】
【氏名】東 広樹
(72)【発明者】
【氏名】野田 真由美
(57)【要約】
【課題】案内ローラが印刷面に触れることなく印刷および乾燥を並行して行うことにより、インクの脱落や滲みを防止して、鮮明な文字および画像を形成することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、回転軸Oを有し、長尺状の被印刷物100の裏面100aを支持しながら回転軸Oに対して反時計回り方向に回転する円柱状のドラム10と、ドラム10上に配置された長尺状の被印刷物100の表面100bに対向するように配置され、長尺状の被印刷物100の表面100b上に4種類のインクのそれぞれを塗布して印刷を行う4つのインクジェットヘッド20a~20dと、ドラム10の回転方向に対して4つのインクジェットヘッド20a~20dの各々の下流側に配置され、長尺状の被印刷物100の表面100bを乾燥させる4つの乾燥部30a~30dと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に回転する回転軸を有し、長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら搬送する回転支持体と、
前記回転支持体上に支持された長尺状の被印刷物の表面に対向するように配置され、前記長尺状の被印刷物の表面上に複数のインクのそれぞれを塗布して印刷を行う複数のインクジェットヘッドと、
前記長尺状の被印刷物の搬送方向に対して前記複数のインクジェットヘッドの各々の下流側に配置され、前記長尺状の被印刷物の表面を乾燥させる複数の乾燥部と、
前記搬送方向に対して、前記回転支持体の上流側であって、前記回転支持体と前記長尺状の被印刷物を挟持するような位置に配置され、前記長尺状の被印刷物の表面を支持しながら搬送する第1搬送ローラと、
前記搬送方向に対して、前記回転支持体の下流側であって、前記回転支持体の近傍に配置され、前記長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら搬送する第2搬送ローラと、を備える印刷装置。
【請求項2】
前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記長尺状の被印刷物を前記回転支持体上に吸着させる吸着部をさらに備える、請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記回転支持体は、前記長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら前記回転軸に対して所定の方向に回転する円柱状のドラムである、請求項1~3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備え、
前記加熱部は、前記ドラムを発熱させる構成であり、発熱した該ドラムが前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備え、
前記加熱部は、前記ドラムを加熱するドラム加熱手段が前記ドラムの内部に配設されているとともに、加熱された前記ドラムを介して前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する、請求項4に記載の印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の印刷装置に関し、印刷および乾燥を並行して行うインクジェット方式の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の印刷装置が複数提案されている。たとえば、特許文献1には、搬送中の帯状の被印刷物にシワや伸縮が発生していない状態で、該被印刷物にインクを滴下することにより、印刷不良の発生を抑制することが可能な印刷装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の印刷装置は、帯状の長尺状の被印刷物を送り出す給紙部と、給紙部から送り出された長尺状の被印刷物にインクを塗布するインクジェット塗布部と、インクジェット塗布部によりインクが塗布された長尺状の被印刷物を巻き取る巻取部とを備えている。インクジェット塗布部は、長尺状の被印刷物が張架される加熱ローラと、長尺状の被印刷物における加熱ローラにより張架されている箇所にインクを滴下するインクジェットヘッドとを有している。
【0004】
また、特許文献1に記載の印刷装置には、インクジェット塗布部において、隣接する各加熱ローラの間にある長尺状の被印刷物、および、加熱ローラから送り出された長尺状の被印刷物を案内するための複数の案内ローラが設けられており、これらの案内ローラにより長尺状の被印刷物の向きが変えられて、併設された加熱ローラで乾燥させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-63027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、各色のインクジェット塗布部のすぐ下流側に案内ローラが配置され、案内ローラが被印刷物の印刷面と接触するように回転するため、未乾燥のインクが案内ローラに押しつけられることに起因して、印刷表面から脱落し、または被印刷物の実質的な範囲に広がって滲み、印刷された文字や画像が不鮮明になるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、案内ローラが印刷面に接触することなく印刷および乾燥を並行して行うことにより、インクの脱落や滲みを防止して、鮮明な文字および画像を形成することができる印刷装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0009】
(1)本発明の印刷装置は、所定の方向に回転する回転軸を有し、長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら搬送する回転支持体と、前記回転支持体上に支持された長尺状の被印刷物の表面に対向するように配置され、前記長尺状の被印刷物の表面上に複数のインクのそれぞれを塗布して印刷を行う複数のインクジェットヘッドと、前記長尺状の被印刷物の搬送方向に対して前記複数のインクジェットヘッドの各々の下流側に配置され、前記長尺状の被印刷物の表面を乾燥させる複数の乾燥部と、前記搬送方向に対して、前記回転支持体の上流側であって、前記回転支持体と前記長尺状の被印刷物を挟持するような位置に配置され、前記長尺状の被印刷物の表面を支持しながら搬送する第1搬送ローラと、前記搬送方向に対して、前記回転支持体の下流側であって、前記回転支持体の近傍に配置され、前記長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら搬送する第2搬送ローラと、を備える。
【0010】
上記構成によると、長尺状の被印刷物の表面に対してインクジェットヘッドにより塗布されたインクが、該インクジェットヘッドの下流側に配置された乾燥部により乾燥させることによって、被印刷物の表面に被印刷物を移動させるベルトやベルトを案内する案内ローラが印刷面に直接接触することなく印刷および乾燥を平行して行うことができるため、インクの脱落や滲みを防止して、鮮明な文字および画像を形成することができる。
【0011】
(2)本発明の印刷装置は、好ましくは、前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備える。このように構成すれば、加熱部により被印刷物を裏面側から効果的に加熱できるため、被印刷物に塗布されたインクに含まれる水分を蒸発させて効果的に乾燥させることができる。
【0012】
(3)本発明の印刷装置は、好ましくは、前記長尺状の被印刷物を前記回転支持体上に吸着させる吸着部をさらに備える。このように構成すれば、被印刷物が回転支持体の表面から浮くことを防止することができる。
【0013】
(4)本発明の印刷装置において、好ましくは、前記回転支持体は、前記長尺状の被印刷物の裏面を支持しながら前記回転軸に対して所定の方向に回転する円柱状のドラムである。このように構成すれば、被印刷物をドラムの表面に沿わせることによって、被印刷物がベルトの表面から浮くことを防止することができる。
【0014】
(5)本発明の印刷装置において、好ましくは、前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備え、前記加熱部は、前記ドラムを発熱させる構成であり、発熱した該ドラムが前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する。このように構成すれば、発熱したドラムの熱を被印刷物の裏面に直接的に伝えることができるため、より効果的に被印刷物を乾燥させることができる。
【0015】
(6)本発明の印刷装置において、好ましくは、前記回転支持体上に支持された前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する加熱部をさらに備え、前記加熱部は、前記ドラムを加熱するドラム加熱手段が前記ドラムの内部に配設されているとともに、加熱された前記ドラムを介して前記長尺状の被印刷物の裏面を加熱する。このように構成すれば、ドラム加熱手段によりドラムを介して被印刷物の裏面に容易に熱を伝えることができるため、効果的に被印刷物を乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る態様によれば、案内ローラが印刷面に触れることなく印刷および乾燥を並行して行うことにより、インクの脱落や滲みを防止して、鮮明な文字および画像を形成することができる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷装置を示す概略構成図である。
図2】第1の実施形態に係る印刷装置の吸着部を説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る印刷装置の乾燥部を示す断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る印刷装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る印刷装置の実施形態を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。また、被印刷物の流れ方向の上流側を単に「上流側」といい、被印刷物の流れ方向の下流側を単に「下流側」という場合がある。
【0019】
[第1の実施形態]
図1図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る印刷装置1について説明する。印刷装置1は、図1および図2に示すように、長尺状の被印刷物100の裏面100aを支持しながら搬送する回転支持体としての円柱状のドラム10と、円柱状の支持ローラ12と、円柱状の支持ローラ14とを備えている。
【0020】
さらに、印刷装置1は、被印刷物100の表面100b上に4種類のインクのそれぞれを塗布して印刷を行う4つのインクジェットヘッド20a、20b、20cおよび20dと、被印刷物100の表面100bを乾燥させる4つの乾燥部30a、30b、30cおよび30dと、ドラム10上に吸着された被印刷物100の裏面100aを加熱する加熱部(図示せず)と、被印刷物100をドラム10上に吸着させることにより被印刷物100の浮きを防止する吸着部(図示せず)とを備えている。
【0021】
円柱状のドラム10は、被印刷物100の搬送方向に対して、支持ローラ12と支持ローラ14との間に配置されている。このドラム10は、モータ等の動力装置(図示せず)により回転軸Oに対して反時計回り方向に回転駆動することにより被印刷物100を搬送する。
【0022】
支持ローラ12は、ドラム10の上流側でかつ下方に配置されている。この支持ローラ12は、ドラム10の回転に伴って回転軸Oに対して時計回り方向に回転することによって、被印刷物100の表面100bを支持しながら搬送する。
【0023】
支持ローラ14は、ドラム10の下流側でかつ下方に配置されている。この支持ローラ14は、ドラム10および支持ローラ12が回転するのに伴って、被印刷物100の裏面100aを支持しながら、回転軸Oに対して反時計回り方向に回転する。
【0024】
被印刷物100は、上述の支持ローラ12、ドラム10および支持ローラ14の間に接触した状態で架け渡されている。そして、被印刷物100は、張力が付与された状態で支持ローラ12からドラム10を介して支持ローラ14へ搬送される。これらのドラム10の回転軸O、支持ローラ12の回転軸Oおよび支持ローラ14の回転軸Oは、それぞれ平行である。
【0025】
4つのインクジェットヘッド20a~20dは、それぞれドラム10に吸着された被印刷物100の表面100bに対向して離間して配置されている。また、4つのインクジェットヘッド20a~20d同士は、それぞれ、ドラム10の回転軸Oに対して等角度間隔で配置されている。また、4つのインクジェットヘッド20a~20dは、被印刷物100の表面100bに互いに異なる4種類のインクを塗布することにより印刷を行う。これらの4種類のインクは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、および、イエロー(Y)により構成されている。
【0026】
4つの乾燥部30a~30dは、それぞれ、ドラム10に吸着された被印刷物100の表面100bに対向して離間して配置されているとともに、4つのインクジェットヘッド20a~20dの下流側に配置されている。たとえば、乾燥部30aは、インクジェットヘッド20aの下流側に隣接して配置されており、インクジェットヘッド20aにより塗布されたインクを乾燥させる。なお、乾燥部30b~30dに関しても同様の構成である。また、4つの乾燥部30a~30d同士は、それぞれ、ドラム10の回転軸Oに対して等角度間隔で配置されている。
【0027】
4つの乾燥部30a~30dの各々は、図3に示すように、外側管状本体部34と、外側管状本体部34の内部に配置された内側管状本体部36とを有する温風噴射ノズル32により構成されている。被印刷物100の表面100bを加熱するための温風が、図3の破線矢印で示すように、温風発生源(図示せず)から内側管状本体部36を通って被印刷物100の表面100bに吹き付けられ、塗布されたインクに含まれる水を蒸発させ、インクの定着を促進させる。
【0028】
一方、被印刷物100の表面100bに吹き付けられた温風は、外側管状本体部34と内側管状本体部36との間に形成された排気流路38から排気される。この排気流路38は減圧ポンプ(図示せず)と流体連通し、温風は排気流路38から吸引されて外部に排気される。
【0029】
吸着部(図示せず)は、図2に示すように、ドラム10の表面10bに複数の吸気孔を設けることにより、真空ポンプで減圧された空気を吸気孔に案内して、ドラム10上の被印刷物100を真空吸着する吸引力Sを発生させている。これにより、被印刷物100がドラム10からずれることを抑制できる。具体的には、被印刷物100が、ドラム10の表面10bに対する垂直方向、搬送方向、および、幅方向へずれることを抑制できる。これにより、被印刷物100の所定の位置にインクを塗布することができる。
【0030】
加熱部(図示せず)は、ドラム10を加熱するドラム加熱手段としての加圧蒸気供給手段がドラム10の内部に配置されている。この加熱部(加圧蒸気供給手段)は、たとえば、ドラム10の所定の位置(箇所)から内部の空間に加圧蒸気が供給されることによって、ドラム10全体が加熱され、被印刷物100の裏面100aに熱が伝達される。
【0031】
上記説明した第1の実施形態によれば、以下の効果(1)~(4)を得ることができる。
【0032】
(1)第1の実施形態による印刷装置1では、4つのインクジェットヘッド20a~20dの各々をドラム10上に配置された長尺状の被印刷物100の表面100bに対向するように配置するとともに、長尺状の被印刷物100の表面100b上に4種類のインクのそれぞれを塗布して印刷を行う。さらに、4つの乾燥部30a~30dの各々をドラム10の回転方向に対して4つのインクジェットヘッド20a~20dの各々の下流側に配置するとともに、長尺状の被印刷物100の表面100bを乾燥させる。これらにより、被印刷物100の表面100bに被印刷物100を移動させるベルトやベルトを案内する案内ローラが印刷面に直接接触することなく印刷および乾燥を平行して行うことができる。このため、インクの脱落や滲みを防止して、鮮明な文字および画像を形成することができる。
【0033】
(2)第1の実施形態による印刷装置1では、ドラム10を加熱するドラム加熱手段(加圧蒸気供給手段)がドラム10の内部に配設されているとともに、加熱されたドラム10を介して長尺状の被印刷物100の裏面100aを加熱することによって、ドラム加熱手段によりドラムを介して被印刷物100の裏面100aに容易に熱を伝えることができるため、効果的に被印刷物100を乾燥させることができる。
【0034】
(3)第1の実施形態による印刷装置1では、吸着部が長尺状の被印刷物100をドラム10上に吸着することによって、被印刷物100がドラム10の表面10bから浮くことを防止できるため、加熱部による被印刷物100の加熱効率を上げることができ、かつ、被印刷物100の表面100bと4つのインクジェットヘッド20a~20dとが接触することを防止できる。
【0035】
(4)第1の実施形態による印刷装置1では、円柱状のドラム10が長尺状の被印刷物100の裏面100aを支持しながら回転軸Oに対して反時計回り方向に回転することによって、被印刷物100をドラム10の表面10bに沿わせることによって、被印刷物100がドラム10の表面10bから浮くことを防止できる。このため、加熱部による被印刷物100の加熱効率を上げることができ、かつ、被印刷物100の表面100bと4つのインクジェットヘッド20a~20dとが接触することを防止できる。
【0036】
[第2の実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態に係る印刷装置2について説明する。この印刷装置2では、上記第1の実施形態に係る印刷装置1とは異なり、ドラム10と被印刷物100との間に無端状のベルト60を配置した例について説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との共通部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ詳説する。
【0037】
印刷装置2は、図4に示すように、ドラム10と支持ローラ14との間に無端状ベルト60が架け渡されており、ドラム10の表面10b上に無端状ベルト60の裏面60aが吸着されており、無端状ベルト60の表面60b上に被印刷物100の裏面100aが接触して配置されている。被印刷物100は、支持ローラ12の時計回り方向への回転と、ドラム10および支持ローラ14の反時計回り方向への回転とに伴って搬送される。また、無端状ベルト60は、ドラム10および被印刷物100に対して吸着する吸着ベルトであってもよい。なお、第2の実施形態のその他の構成は、上記した第1の実施形態の構成と同様である。
【0038】
上記説明した第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)~(4)に加えて、以下の効果(5)を得ることができる。
【0039】
(5)第2の実施形態による印刷装置2では、金属製のドラム10の表面10b上にゴムなどの滑りにくい材料からなる無端状ベルト60を配置した場合には、被印刷物100が搬送中に滑ってしまうことを抑制できるため、被印刷物100の表面100bの所定の位置にインクを塗布することができる。なお、ドラム10および無端状ベルト60の材質は特に限定されるものではなく、被印刷物100の材質に対応させて適宜選択すればよい。
【0040】
上記第1~第2の実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0041】
・上記第1~第2の実施形態では、インクジェットヘッドの一例として、4種類の異なる色のインクを塗布する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、インクジェットヘッドの種類は4種類以外に、1種類~3種類、または、5種類以上でも適用可能である。また、上記実施形態では、乾燥部の一例として、4つの乾燥部を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、乾燥部は4つ以外に、1つ~3つ、または、5つ以上でも適用可能である。なお、インクジェットヘッドの数と乾燥部の数とを同数にすることが好ましい。
【0042】
・上記第1~第2の実施形態では、乾燥部の一例として、温風噴射ノズルから温風を噴射して被印刷物の表面を乾燥させる例を示したが、本発明はこれに限られない、たとえば、輻射熱を直接照射するラジエントヒータ、赤外線光もしくはレーザ光を照射する光学式ドライヤ、または、IH式(誘導加熱式)ヒータでも適用可能である。
【0043】
・上記第1の実施形態では、加熱部の一例として、ドラムの内部の空間に加圧蒸気を供給することによってドラム全体を加熱する例を説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、金属製のドラムの外周または内周近傍にコイル部を配置して、このコイル部に高周波電流を供給することによって、金属製のドラムが誘導加熱(発熱)するIH式のヒータを適用することも可能である。この場合、加熱部により発熱したドラムが長尺状の被印刷物の裏面を加熱することによって、発熱したドラムの熱を被印刷物の裏面に直接的に伝えることができるため、より効果的に被印刷物を乾燥させることができる。加熱部のその他の構成としては、輻射熱を直接照射するラジエントヒータ、温風を噴射してドラムを加熱する構成、赤外線光もしくはレーザ光を照射する光学式ドライヤ、または、ドラムの内部に流体流路を形成して流路内に高圧蒸気、高温の水、高温の油等を循環あるいは案内する構成であってもよい。
【0044】
・上記第2の実施形態では、被印刷物を搬送するベルトの一例として、無端状ベルトを示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ベルトを供給する供給部とベルトを巻き取る巻取部とを備え、これらの間に架け渡された有端状ベルトでも適用可能である。
【0045】
・上記第1および第2の実施形態では、4つの乾燥部同士がそれぞれドラムの回転軸に対して等角度間隔で配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、印刷に使用されるインクの種類や乾燥に要する時間を考慮して、4つの乾燥部同士がそれぞれドラムの回転軸に対して異なる角度間隔で配置されていてもよい。
【0046】
・上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0047】
1、2 …印刷装置
10 …ドラム(回転支持体)
20a、20b、20c、20d …インクジェットヘッド
30a、30b、30c、30d …乾燥部
100 …被印刷物
100a …裏面
100b …表面

図1
図2
図3
図4