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特開2023-53286喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置
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  • 特開-喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置 図1
  • 特開-喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置 図2
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  • 特開-喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置 図4A
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  • 特開-喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置 図7A
  • 特開-喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053286
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/95 20200101AFI20230404BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20230404BHJP
【FI】
A24F40/95
A24F40/50
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020517
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2021179968の分割
【原出願日】2017-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】藤田 創
(57)【要約】
【課題】充電モードと直接加熱モードとの切り替えを円滑に行う。
【解決手段】喫煙システムは、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷及び該負荷へ給電可能な電源を備える二次装置と、前記二次装置との接続時に前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置と、前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モード及び前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードを実行可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードへの遷移である第1遷移と前記第2モードから前記第1モードへの遷移である第2遷移の少なくとも一方において、前記第1モードと前記第2モードとの間に、給電に関する既定の変数を変更するための遷移時間を有する遷移モードを実行する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ給電可能な電源を備える二次装置と、
前記二次装置との接続時に前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置と、
を含む喫煙システムであって、
前記喫煙システムは、
前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モード及び前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードを実行可能であり、
前記第1モードから前記第2モードへ遷移する場合に、前記給電に関する変数を変更する、
喫煙システム。
【請求項2】
前記給電に関する変数は、前記一次装置から前記二次装置への給電量である、
請求項1に記載の喫煙システム。
【請求項3】
前記第1モードにおいて、前記一次装置から前記負荷へ第1給電量で給電し、
前記第2モードにおいて、前記一次装置から前記電源へ前記第1給電量より小さい第2給電量で給電する、
請求項2に記載の喫煙システム。
【請求項4】
前記第1モードは、前記エアロゾル源を霧化又は前記香味源を加熱する加熱モードであり、
前記第2モードは、前記電源を充電する充電モードである、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の喫煙システム。
【請求項5】
前記喫煙システムは、
所定のユーザ操作が入力されたことに応じて、前記第1モードから前記第2モードに遷移する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の喫煙システム。
【請求項6】
前記喫煙システムは、
前記第1モードにおいて、前記一次装置から前記負荷及び前記電源に同時に給電可能である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の喫煙システム。
【請求項7】
前記喫煙システムは、さらに、
前記一次装置から前記負荷への給電を行える状態と行えない状態を切り替え可能な手段を含み、
前記喫煙システムは、
前記手段を制御して、前記第1モードから前記第2モードへ遷移する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の喫煙システム。
【請求項8】
前記手段は、前記一次装置と前記負荷との間に設けられたスイッチであり、
前記喫煙システムは、
前記スイッチをオン状態にするように制御して、前記第1モードから前記第2モードへ遷移する、
請求項7に記載の喫煙システム。
【請求項9】
前記喫煙システムは、さらに、
前記一次装置と前記電源との間に設けられ、前記一次装置から前記電源へ向かう方向を順方向とするダイオードを含み、
前記手段は、前記一次装置の出力電圧と前記負荷の電圧との相対電圧を調整可能な電圧調整回路であり、
前記喫煙システムは、
前記負荷の電圧が前記一次装置の出力電圧よりも高くなるように前記電圧調整回路を制御して、前記第1モードから前記第2モードへ遷移する、
請求項7に記載の喫煙システム。
【請求項10】
喫煙システムにおいて、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ給電可能な電源を備える二次装置と、前記二次装置との接続時に前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置との間における給電を制御するための制御方法であって、
前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モードから、前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードへ遷移するステップと、
前記遷移する場合に、前記給電に関する変数を変更するステップと、
を含む制御方法。
【請求項11】
エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ給電可能な電源と、
前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置との接続時に、前記一次装置との間における給電を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モードから、前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードへ遷移する場合に、前記給電に関する変数を変更する、
二次装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙システム、給電制御方法、プログラム、一次装置、及び二次装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生物品を電気ヒータで加熱する加熱装置を、所定回数の喫煙の度に、携帯式の充電器で充電する喫煙システムが知られている(例えば特許文献1参照)。特に、エアロゾル発生物品からエアロゾルを放出するのに多くの電力が必要となる場合、充電の間は喫煙ができないため、連続した喫煙をすることは不可能であった。
【0003】
この問題に対処するために、例えば特許文献2に開示されるように、充電器から直接ヒータへ給電してエアロゾルを発生させることが考えられる。この場合、従来のように充電器から加熱装置の内蔵充電池を充電するモードと、充電器からヒータへ直接給電するモードとを切り替える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-527222号公報
【特許文献2】特表2015-500647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで広く知られているように、給電対象の特性や用途に応じて、給電量(レート)を適切な値とすることが好ましい。よって一般に充電池を充電する際の給電量とヒータへ給電する際の給電量は異なる。そのため、充電器から内蔵充電池を充電するモードとヒータへ直接給電するモードとのモード遷移時に、特許文献2のように特段の配慮をせずに即座にモードを切り替えた場合、充電池を劣化させたりヒータが充分に機能しないおそれがある。また、加熱装置にエアロゾル発生物品が取り付けられる前にヒータへの直接給電を開始した場合、充電器の電力を浪費するおそれもある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、充電モードと直接加熱モードとの切り替えを、安全性やユーザの使い勝手を担保しつつも円滑に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷及び該負荷へ給電可能な電源を備える二次装置と、前記二次装置との接続時に前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置と、前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モード及び前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードを実行可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードへの遷移である第1遷移と前記第2モードから前記第1モードへの遷移である第2遷移の少なくとも一方において、前記第1モードと前記第2モードとの間に、給電に関する既定の変数を変更するための遷移時間を有する遷移モードを実行する、喫煙システムである。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記制御部は、前記第1遷移と前記第2遷移の双方において前記遷移モードを実行する、喫煙システムである。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第1遷移における前記遷移モードの遷移時間と前記第2遷移における前記遷移モードの遷移時間は長さが異なる、喫煙システムである。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記第1遷移における前記遷移モードの遷移時間は前記第2遷移における前記遷移モードの遷移時間よりも短い、喫煙システムである。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記既定の変数は、前記一次装置から前記二次装置への給電量であり、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記一次装置から前記負荷へ第1給電量で給電し、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、給電量を前記第1給電量から減少させる処理を前記一次装置に対して実施すると共に、前記一次装置から前記電源への給電は行わず、前記第2モードにおいて、前記一次装置から前記電源へ前記第1給電量より小さい第2給電量で給電する、ように各モードを実行する、喫煙システムである。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記一次装置から前記電源への給電を行える状態と行えない状態を切り替え可能な手段を備え、前記既定の変数は、前記一次装置から前記二次装置への給電量であり、前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記一次装置から前記負荷へ第1給電量で給電し、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、前記手段を制御して前記一次装置から前記電源への給電を行えない状態にすると共に、給電量を前記第1給電量から減少させる処理を前記一次装置に対して実施し、前記第2モードにおいて、前記手段を制御して前記一次装置から前記電源への給電を行える状態にすると共に、前記一次装置から前記電源へ前記第1給電量より小さい第2給電量で給電する、ように各モードを実行する、喫煙システムである。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記手段は、前記一次装置と前記電源との間に設けられた開閉器であり、前記制御部は、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、前記開閉器を開くように制御することにより前記一次装置と前記電源を電気的に遮断し、前記第2モードにおいて、前記開閉器を閉じるように制御することにより前記一次装置と前記電源を電気的に接続する、喫煙システムである。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記一次装置と前記電源との間に設けられ、前記一次装置から前記電源へ向かう方向を順方向とするダイオードを備え、前記手段は、前記一次装置の出力電圧と前記電源の電圧との相対電圧を調整可能な調整器であり、前記制御部は、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、前記一次装置の出力電圧が前記電源の電圧よりも高くなるように前記調整器を制御し、前記第2モードにおいて、前記電源の電圧が前記一次装置の出力電圧よりも高くなるように前記調整器を制御する、喫煙システムである。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記制御部は、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、給電量を前記第1給電量から前記第2給電量へ漸減させる処理を前記一次装置に対して実施すると共に、前記一次装置から前記負荷へ前記漸減する給電量で給電する、喫煙システムである。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記制御部は、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、前記一次装置から前記電源及び前記負荷への給電は行わない、喫煙システムである。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記一次装置と前記電源及び前記
負荷との間に設けられ、前記一次装置から前記電源及び前記負荷への給電を行える状態と行えない状態を切り替え可能な開閉器を備え、前記制御部は、前記第1遷移の前記遷移モードにおいて、前記開閉器を開くように制御することにより前記一次装置と前記電源及び前記負荷とを電気的に遮断する、喫煙システムである。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記一次装置は、拘束状態で前記二次装置と前記一次装置との接続を保持でき且つ非拘束状態で前記接続を解除できる拘束部を備え、前記制御部は、前記拘束部の状態に基づいて前記第1遷移と前記第2遷移を識別する、喫煙システムである。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記制御部は、前記第2遷移の前記遷移モードを、前記非拘束状態において前記負荷とエアロゾル源を含むエアロゾル発生物品との接触が行われるまで持続させる、喫煙システムである。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、喫煙システムにおいて一次装置から二次装置への給電を制御するための方法であって、前記二次装置に設けられた、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷へ前記一次装置から給電する第1モードと、前記二次装置に設けられた、前記負荷へ給電可能な電源へ前記一次装置から給電する第2モードのうちの一方を実行中のモードとして認識するステップと、前記実行中のモードから、前記第1モードと前記第2モードのうちの他方へ遷移させる指示を受け付けるステップと、前記指示に応答して、前記第1モードから前記第2モードへの遷移である第1遷移と前記第2モードから前記第1モードへの遷移である第2遷移の少なくとも一方において、前記第1モードと前記第2モードとの間に、給電に関する既定の変数を変更するための遷移時間を有する遷移モードを実行するステップと、を含む給電制御方法である。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、上記方法を喫煙システムに実行させるプログラムである。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷及び該負荷へ給電可能な電源を備える二次装置との接続時に、前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置であって、前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モード及び前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードを実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードへの遷移である第1遷移と前記第2モードから前記第1モードへの遷移である第2遷移の少なくとも一方において、前記第1モードと前記第2モードとの間に、給電に関する既定の変数を変更するための遷移時間を有する遷移モードを実行する、一次装置である。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱する負荷及び該負荷へ給電可能な電源を備え、前記負荷及び前記電源へ給電可能な一次装置と接続可能な二次装置であって、前記一次装置から前記負荷へ給電する第1モード及び前記一次装置から前記電源へ給電する第2モードを実行可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードへの遷移である第1遷移と前記第2モードから前記第1モードへの遷移である第2遷移の少なくとも一方において、前記第1モードと前記第2モードとの間に、給電に関する既定の変数を変更するための遷移時間を有する遷移モードを実行する、二次装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、充電モードと直接加熱モードとの切り替えを、安全性やユーザの使い勝手を担保しつつも円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の電気回路図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の複数の動作モードに対する電気回路200の状態遷移を示す。
図4A】直接加熱モードから充電モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移を示すタイミングチャートの一例である。
図4B】充電モードから直接加熱モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移を示すタイミングチャートの一例である。
図4C】直接加熱モードから充電モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移を示すタイミングチャートの別の例である。
図4D】充電モードから直接加熱モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移を示すタイミングチャートの別の例である。
図5】本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の制御部(制御部134及び/又は154)が喫煙システム100の動作モードを切り替える制御を実施するための例示的な処理500を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の制御部(制御部134及び/又は154)が喫煙システム100の動作モードを切り替える制御を実施するための別の例示的な処理600を示すフローチャートである。
図7A】二次装置140に設けられた空気取込流路810の一例を示す。
図7B】一次装置120に設けられた空気取込流路820の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の構成図である。図1は喫煙システム100が備える各エレメントを概略的且つ概念的に示すものであり、それら各エレメント及び喫煙システム100の厳密な配置、形状、寸法、位置関係等を示すのではないことに留意されたい。
【0028】
図1に示されるように、喫煙システム100は、一次装置120及び二次装置140を備える。喫煙システム100は、二次装置140が一次装置120に対して電気的に接続された第1の使用形態と、二次装置140が一次装置120から電気的に切り離された第2の使用形態とをとることができるように構成される。例えば、図1に例示された喫煙システム100において、二次装置140は一次装置120の連結ポート122に挿入されることで一次装置120に対して電気的に接続され、連結ポート122から抜き取られることで一次装置120から電気的に切り離される。別の例として、一次装置120と二次装置140との電気的な接続及び非接続は、例えばUSBケーブルなどの導電性ケーブルの着脱によって行われてもよい。
【0029】
二次装置140は、喫煙のためのエアロゾル発生物品160を電気的に加熱することによって香味成分を含んだエアロゾル又は蒸気を発生させる装置である。喫煙者であるユーザは、二次装置140から発生したエアロゾル又は蒸気を吸引することができる。一次装置120は、第1の使用形態において二次装置140に電力を供給するための装置である。第1の使用形態において、一次装置120は、二次装置140に内蔵された二次電源148を充電することができる。二次装置140は、第2の使用形態においては、内蔵された二次電源148によって動作することが可能である。喫煙システム100は、例えば二次電源148が所定量消費された場合に、第2の使用形態から第1の使用形態に戻される。第1の使用形態に戻された時、二次装置140は、一次装置120から電力の供給を受けることにより、二次電源148への再充電が行われるようにすることができるだけでな
く、一次装置120から供給される電力を利用して直接的にエアロゾル発生物品160の加熱を行うこともできる。
【0030】
図1に示されるように、二次装置140は、エアロゾル発生物品保持部142、負荷144、駆動回路146、二次電源148、ユーザ操作部152、制御部154、及びメモリ156を備える。二次装置140は、例えば、ユーザがエアロゾル又は蒸気を吸引するのに適した形状と寸法を有するように構成される。ユーザは、例えば二次装置140を指の間に保持して、喫煙を行うことができる。一例として、二次装置140の外形形状は、概略的に、紙巻きたばこに類似の円柱形状であってよいが、これは限定的と解されるべきでなく、任意の他の形状及び寸法をとることもできる。
【0031】
エアロゾル発生物品保持部142は、エアロゾル発生物品160を保持することができるように構成された空間である。したがって、エアロゾル発生物品保持部142は、エアロゾル発生物品160に応じた形状を有することが可能である。例えば、エアロゾル発生物品160は、紙巻きたばこと同程度の直径の円柱状スティックに成形された固体のエアロゾル基材を含んでよい。図1には、このようなエアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142に挿入された二次装置140が示されている。エアロゾル基材は、例えば、加熱することによって香喫味成分を放出する刻みたばこ又は粒状若しくは粉末状のたばこ原料を円柱形状に加工し、これに液体のエアロゾル源を添加することによって構成される。な、本実施形態においては、エアロゾル基材及び/又はエアロゾル源が香味源として機能する。図1に示されるように、エアロゾル発生物品160は、その一方の端部及びエアロゾル基材を含む主部がエアロゾル発生物品保持部142の内部に収容され、他方の端部がエアロゾル発生物品保持部142から飛び出した形で、エアロゾル発生物品保持部142に保持される。ユーザは、エアロゾル発生物品160のエアロゾル発生物品保持部142から飛び出した端部を口に咥えることで、喫煙を行うことができる。
【0032】
なお、使い勝手を考慮すると二次装置140は、既存の紙巻きたばこに近い形状に構成されることが好ましい。また、二次装置140は空洞状のエアロゾル発生物品保持部142を有しているため、二次装置140の内部において電装品の配置には制約が加わる。その結果、二次電源148も小型のものが好ましく、その容量も比較的小さくなってしまう。一方、一次装置120はこのような制約がないため、二次電源148を複数回充電できるように、一次電源126は二次電源148と比べて十分に大きな容量を有していることが好ましい。例えば、一次電源126は二次電源148と比べて5~40倍の容量を有していることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。また、一次電源126と二次電源148は共にリチウムイオン二次電池から構成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0033】
エアロゾル発生物品160及びエアロゾル発生物品保持部142は、図1に示されるのとは異なるように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生物品160は、香味成分(香味源)を含有した液体状のエアロゾル源であってもよい。一例として、香味成分(香味源)を含有した液体状のエアロゾル源は、ニコチン成分を含有したグリセリン又はプロピレングリコール等のポリオールである。本実施形態においては、エアロゾル源が香味源として機能する。エアロゾル発生物品160が香味成分(香味源)を含有したエアロゾル源である場合、エアロゾル発生物品保持部142は、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミック等の繊維状又は多孔質性の素材から構成され、繊維間の隙間や多孔質材料の細孔に液体としてのエアロゾル源を保持する。あるいは、エアロゾル発生物品保持部142は、液体を収容するタンクとして構成されてもよい。このような構成において、二次装置140は、付加的に吸口部材を備える。ユーザは、吸口部材を口に咥えることで、発生したエアロゾル又は蒸気を吸引することができる。
【0034】
負荷144は、エアロゾル発生物品保持部142に保持されたエアロゾル発生物品160を電気的に加熱するための加熱素子である。負荷144は、エアロゾル発生物品160を加熱することができるように、エアロゾル発生物品160に接して、又はエアロゾル発生物品160の近傍に配置される。負荷144は、二次装置140が一次装置120から切り離された第2の使用形態においては、二次装置140に内蔵された二次電源148から給電されることにより、エアロゾル発生物品160を加熱する。また負荷144は、二次装置140が一次装置120に接続された第1の使用形態においては、一次装置120から給電されることによりエアロゾル発生物品160を加熱する。なお、エアロゾル発生物品160がエアロゾル源及びエアロゾル基材を含む場合は、上述したようにエアロゾル発生物品160を負荷144で加熱することで、エアロゾル源を昇温し、エアロゾルを発生させる。一方、エアロゾル発生物品160が香味成分(香味源)を含有した液体状のエアロゾル源である場合は、エアロゾル源を負荷144で直接加熱することで、エアロゾルを発生させてもよい。
【0035】
負荷144とエアロゾル発生物品160を接触させるための任意の配置が用いられてよい。一例として、負荷144は、エアロゾル発生物品保持部142の内壁の表面に露出するように配置されるのであってよい。この配置によれば、エアロゾル発生物品保持部142へ挿入されたエアロゾル発生物品160は、その外周表面(例えば円柱状スティックの側面)において負荷144と接触するので、エアロゾル発生物品160を外周から加熱することができる。また別の例として、エアロゾル発生物品保持部142へエアロゾル発生物品160が挿入された時に負荷144が(例えばエアロゾル基材を突き刺すことによって)エアロゾル基材の中へ入り込むのであってもよい。このような構成によれば、負荷144はエアロゾル発生物品160をその内部から加熱することができる。なお、負荷144は、エアロゾル発生物品160と直接接触するのではなく、エアロゾル発生物品160を加熱することができる程度にエアロゾル発生物品160の近傍に配置されるのであってもよい。
【0036】
二次電源148は、第2の使用形態において二次装置140を動作させるのに用いられる電源である。二次電源148は、駆動回路146を介して負荷144へ給電することが可能である。負荷144への給電により二次電源148の残容量は減少するが、二次電源148は、第1の使用形態において一次装置120によって充電されることで、残容量を回復することができる。
【0037】
ユーザ操作部152は、ユーザから二次装置140に対する操作を受け付けることができるように構成される。二次装置140に対するユーザ操作は、例えば、二次装置140を起動するための起動指示、及び負荷144への給電を実行するための給電指示を含む。ユーザ操作部152は、起動指示を入力するための起動指示部と給電指示を入力するための給電指示部とを別個に備えてもよいし、起動指示と給電指示の両方を受け付け可能な1つの指示部を備えるのであってもよい。一例として、ユーザ操作部152は、ユーザが物理的に操作することが可能なボタン、スイッチ、ツマミ、レバー、タッチセンサ等として構成される。
【0038】
制御部154は、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータとして構成された電子回路モジュールであり、メモリ156に格納されたコンピュータ実行可能命令に従って二次装置140の動作を制御するようにプログラムされる。メモリ156は、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの情報記憶媒体である。メモリ156には、コンピュータ実行可能命令のほか、二次装置140の制御に必要な設定データが格納される。
【0039】
図1及び図2を参照して、一次装置120は、連結ポート122、給電回路124、一次電源126、ユーザ操作部132、制御部134、及びメモリ136を備える。一次装
置120のこれら各エレメントは、例えば、一次装置120の本体部120Aに備えられている。一次装置120は更に、図1においては蓋として描かれている拘束部120Bを備える。図1に示されるように、蓋120Bは、ヒンジ120Cにより本体部120Aに係合されて本体部120Aの上部に取り付けられており、本体部120Aを開閉することができる。図1には、蓋120Bを開かれた状態の一次装置120が示されている。蓋120Bは、閉じられた状態にある時、連結ポート122に挿入された二次装置140が連結ポート122から脱落しないように、二次装置140を拘束する。蓋120Bは、スライド開閉式の蓋であってもよい。また、拘束部120Bは、蓋としての形態ではなく、二次装置140の動きを拘束可能な他の部材(例えば、ツメを二次装置140に係合させる構造や、磁石による吸着を利用した構造など)によって構成されてもよい。
【0040】
連結ポート122は、喫煙システム100の第1の使用形態において二次装置140を収容するための空間である。連結ポート122に二次装置140が挿入されると、二次装置140の接続端子146-1が、連結ポート122内に配置された一次装置120側の接続端子124-2と接触する。接続端子146-1は二次装置140の駆動回路146の一部をなす端子であり、接続端子124-2は一次装置120の給電回路124の一部をなす端子である。これにより、二次装置140が一次装置120に対して電気的に接続される。
【0041】
一次電源126は、第1の使用形態において二次装置140へ電力を供給するのに用いられる電源である。一次電源126は、第1の使用形態において喫煙システム100が後述する充電モードで駆動される場合、給電回路124及び駆動回路146を介して二次装置140の二次電源148を充電する。一次電源126はまた、第1の使用形態において喫煙システム100が後述する直接加熱モードで駆動される場合には、給電回路124及び駆動回路146を介して二次装置140の負荷144へ給電することが可能である。これにより、二次装置140の負荷144は、二次装置140に内蔵された二次電源148の残容量が回復するのを待つことなく、二次装置140が連結ポート122に挿入されると直ちに、一次電源126から給電を受けることで、エアロゾル発生物品160の加熱を行うことができる。二次装置140への給電によって一次電源126の残容量は減少するが、一次電源126は、外部接続端子(不図示)を介して外部の充電装置(不図示)によって充電されることで、残容量を回復することができる。
【0042】
ユーザ操作部132は、ユーザから一次装置120に対する操作を受け付けることができるように構成される。一次装置120に対するユーザ操作は、例えば、二次装置140への給電を許可するための動作指示を含む。一例として、ユーザ操作部132は、ユーザが物理的に操作することが可能なボタン、スイッチ、ツマミ、レバー、タッチセンサ等として構成される。
【0043】
制御部134は、マイクロプロセッサ又はマイクロコンピュータとして構成された電子回路モジュールであり、メモリ136に格納されたコンピュータ実行可能命令に従って一次装置120の動作を制御するようにプログラムされる。メモリ136は、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの情報記憶媒体である。メモリ136には、コンピュータ実行可能命令のほか、一次装置120の制御に必要な設定データが格納される。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の電気回路図を示す。図2に示されるように、喫煙システム100の電気回路200は、一次装置120の給電回路124及び二次装置140の駆動回路146を含む。一次装置120の給電回路124は、DC/DCコンバータ124-1及び接続端子124-2を備える。DC/DCコンバータ124-1は、制御部(一次装置120の制御部134及び/又は二次装置140の制御部154)による制御に従って一次電源126の電圧を昇圧又は降圧し、それにより一次
装置120の出力電圧を調整する。また、一般的にDC/DCコンバータは、出力電圧を制御する電圧制御モードと、出力電流(電力)を制御する電流(電力)モードを有しているため、DC/DCコンバータ124-1は、一次装置120の出力電流(電力)を調整してもよい。二次装置140の駆動回路146は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、第4スイッチSW4、及び接続端子146-1を備える。各スイッチSW1、SW2、SW3、SW4は、例えばトランジスタ等の電気的スイッチであり、制御部(二次装置140の制御部154及び/又は一次装置120の制御部134)によってオン状態とオフ状態をそれぞれ個別に切り替えるように制御される。電気回路200は、一次装置120の連結ポート122に挿入された二次装置140が二次装置140側の接続端子146-1と一次装置120側の接続端子124-2を介して一次装置120と電気的に接続されることによって構成されている。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の複数の動作モードに対する電気回路200の状態遷移300を示す。喫煙システム100は、通常喫煙モード、通常非喫煙モード、充電モード、及び直接加熱モードの4つのモードで動作することが可能である。通常喫煙モードは、二次装置140を一次装置120から電気的に切り離して単独で動作させることにより喫煙を行うモードである。通常非喫煙モードは、二次装置140を一次装置120から切り離したまま喫煙を停止するモードである。充電モードは、二次装置140を一次装置120に接続して一次装置120の一次電源126から二次装置140の二次電源148への充電を行うモードである。直接加熱モードは、二次装置140を一次装置120に接続して一次装置120の一次電源126から二次装置140の負荷144への直接的な給電を行うことにより、喫煙を行うモードである。通常喫煙モードと通常非喫煙モードは、第2の使用形態に対応し、充電モードと直接加熱モードは、第1の使用形態に対応する。
【0046】
図3に示されるように、通常喫煙モードにおいて、制御部は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオン状態に設定し、第3スイッチSW3をオフ状態に設定する。これにより、二次装置140の二次電源148から負荷144への給電が行われて、エアロゾル発生物品160が負荷144により加熱される。したがって、ユーザは第2の使用形態において喫煙を行うことができる。また制御部は、通常非喫煙モードにおいて、全てのスイッチSW1、SW2、SW3、SW4をオフ状態に設定する。これにより、負荷144への給電が遮断されて、エアロゾル発生物品160の加熱が停止される。充電モードでは、制御部は、第3スイッチSW3をオン状態に設定し、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第4スイッチSW4をオフ状態に設定する。これにより、一次装置120の一次電源126から二次装置140の二次電源148への給電が行われて、二次電源148が充電される。一方、直接加熱モードにおいて、制御部は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態に設定し、第3スイッチSW3及び第4スイッチSW4をオフ状態に設定する。これにより、一次装置120の一次電源126から負荷144への直接的な給電が行われて、エアロゾル発生物品160が負荷144により加熱される。したがって、第1の使用形態においてもユーザは喫煙を行うことができる。
【0047】
このように、喫煙システム100は、二次装置140の駆動回路146が備える各スイッチのオン状態とオフ状態を制御することで動作モードを切り替えることができる。喫煙システム100は更に、二次装置140が一次装置120に接続された第1の使用形態において、充電モードと直接加熱モードとの間でモードを切り替える際には、充電モードから直ちに直接加熱モードへ、あるいは直接加熱モードから直ちに充電モードへ移行するのではなく、その途中に遷移モードを実行するように構成される。即ち、喫煙システム100の第1の使用形態における動作モードの切り替えは、充電モードから遷移モードを経由して直接加熱モードへ移行することにより、又は直接加熱モードから遷移モードを経由し
て充電モードへ移行することにより行われる。充電モードから直接加熱モードへ移行する方向と直接加熱モードから充電モードへ移行する方向の双方において遷移モードが介在してもよいし、あるいはいずれか一方の方向においてのみ遷移モードが介在するのであってもよい。
【0048】
遷移モードは、一次装置120から二次装置140への給電に関する変数を変更する処理を行うモードである。給電に関する変数は、非限定的な例として、一次装置120から二次装置140への給電量(即ち一次装置120の一次電源126からの放電レート)を含む。例えば、給電対象の特性や用途に応じて、給電量(レート)は適切な値とすることが好ましいため、充電モードにおける一次装置120から二次装置140への給電量は、直接加熱モードにおける一次装置120から二次装置140への給電量と異なっている。
【0049】
例えば、二次装置140の二次電源148としてリチウムイオン二次電池を用いた場合、電極、電解液、活物質、又は導電助剤といった材料やその構造によって差異はあるものの、リチウムイオン二次電池はレート依存性という性質を有する。このレート依存性とは、充電レートまたは放電レートの大きさと、リチウムイオン二次電池の劣化に及ぼす影響との相関関係を指す。なお、ここでいうリチウムイオン二次電池の劣化とは、例えば新品時(工場出荷時)の充電可能容量または放電可能容量に対する、現在の充電可能容量または放電可能容量の比によって表される。一般的な傾向として、レートが大きくなるほど、リチウムイオン二次電池の劣化に及ぼす影響が加速度的に大きくなる。また、同じレートであっても、放電が劣化に及ぼす影響に比べ、充電が劣化に及ぼす影響の方が2~3倍程度大きい。従って、充電モードにおける一次装置120から二次装置140への給電量は、充電される二次電源140の劣化を抑制するために比較的小さな値に制御されることが好ましい。
【0050】
一方の直接加熱モードでは、一次電源126から主に負荷144への給電を行うので、上述したような二次電源140の劣化抑制に配慮した制約は存在しない。むしろエアロゾルが生成される温度までエアロゾル発生物品160を加熱する必要があるため、直接加熱モードにおける一次装置120から二次装置140への給電量は、比較的大きな値に制御されることが好ましい。より詳細に検討するならば、一次装置120の一次電源126にもリチウムイオン二次電池を用いた場合、一次装置120から二次装置140への給電量を大きな値に制御すると、一次電源126自体の有するレート依存性によって一次電源126に劣化が生じるのか否かが懸念される。ここで、一次電源126は、上述したように二次電源148を複数回充電できるように二次電源148と比べて十分に大きな容量を有していることが好ましいが、広く知られているように、一般に二次電池は容量が大きいほどレートは小さくなる。また、一次電源126は二次装置140に対して放電を行うが、上述したように、放電は充電と比較して劣化に及ぼす影響が小さい。したがって、一次装置120から二次装置140への給電量を大きな値に制御しても、これを適切な範囲に調整すれば一次電源126の劣化は十分に抑制できる。
【0051】
このような充電モードと直接加熱モードにおける一次装置120から二次装置140への給電量の差を埋めるために、喫煙システム100は、遷移モードにおいて、一次装置120から二次装置140への給電量を、動作モード切り替え前のモード(充電モードと直接加熱モードの一方)の給電量から切り替え後のモード(充電モードと直接加熱モードの他方)の給電量へと変更する処理を実行する。給電量の変更は、例えば、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1からの出力電圧や出力電流(電力)を制御することによって実現される。このように遷移モードにおいて喫煙システム100が給電量の変更処理を実施することにより、第1の使用形態における充電モードと直接加熱モードとの切り替えを円滑に行うことができる。
【0052】
遷移モードが持続する時間(以下、遷移時間と称する)の長さは、様々な値に設定されてよい。例えば、動作モードを直接加熱モードから充電モードへ切り替える場合の遷移時間は、単に、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1が出力電圧や出力電流(電圧)を変更するのに要する時間に設定されてよい。この時間の長さは、DC/DCコンバータ124-1の電気的な処理にのみ依存し、典型的には1秒未満であり得る。また例えば、動作モードを充電モードから直接加熱モードへ切り替える場合には、遷移モードは、DC/DCコンバータ124-1によって電圧が変更された後、更に、ユーザが喫煙開始の準備としてエアロゾル発生物品160を二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142に挿入するまで延期されてもよい。この場合の遷移時間は、ユーザの人為的操作を待つ必要があるため、典型的には1秒より長く、例えば数秒から数十秒であると想定される。
【0053】
図4Aは、直接加熱モードから充電モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移の一例を示すタイミングチャートである。図4Aを参照すると、喫煙システム100は、初めに直接加熱モードで動作している。上述したように、直接加熱モードにおいて制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態に、第3スイッチSW3をオフ状態にそれぞれ設定する。また制御部は、一次装置120の給電回路124のDC/DCコンバータ124-1を制御することによって、エアロゾル発生物品160が所定の目標温度に加熱又は保持されるように一次装置120から二次装置140の負荷144への給電量を調整する。
【0054】
喫煙システム100は次に、例えば所定のユーザ操作がユーザ操作部132又は152に入力されたことを契機として、遷移モードへ移行する。例えば、ユーザは、喫煙システム100を直接加熱モードから充電モードへ切り替える指示を、ユーザ操作部132又は152を介して入力する。制御部は、このようなユーザ操作を受けると、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態からオフ状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をそのままオフ状態に維持することによって、喫煙システム100を遷移モードへ移行させる。制御部はまた、遷移モードにおいて、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を直接加熱モード用の給電量から充電モード用の給電量へ変更する。前述したように、一般に充電池(二次電源148)の充電時に許容される最大の給電量(充電レート)は、ヒータ(負荷144)の加熱に必要な給電量よりも小さい。最大許容レートよりも大きいレートで充電が行われると、二次電源148の性能が劣化するおそれがある。したがって制御部は、一次装置120からの給電量が直接加熱モード用の高い給電量から充電モード用の低い給電量へと減少するように、DC/DCコンバータ124-1を制御する。給電量が下がりきるには有限の時間(例えば1秒未満)がかかるが、図4Aの遷移モードでは二次装置140の駆動回路146の第3スイッチSW3がオフ状態に設定されるため、充電モード用の低い給電量へ下がりきる前の比較的高い給電量によって二次装置140の二次電源148が充電されてしまうことを回避することができる。また、給電量が充電モード用の低い給電量へ下がるのにかかる時間はごく短いので、実質上、直接加熱モードから充電モードへの素早い切り替えを実現できる。
【0055】
所定の長さの遷移時間が経過すると、喫煙システム100は遷移モードから充電モードへ移行する。充電モードにおいて、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を引き続き遷移モードと同じオフ状態に保持すると共に、第3スイッチSW3をオフ状態からオン状態に変更する。これにより、一次装置120から二次装置140の二次電源148へ充電モード用の低い給電量による給電が行われて、二次電源148が充電される。なお、直接加熱モードから遷移モードを介した充電モードへの一連の移行において、第4スイッチSW4は継続してオフ状態に制御されている。
【0056】
図4Bは、充電モードから直接加熱モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移の一例を示すタイミングチャートである。図4Bを参照すると、喫煙システム100は、初めに充電モードで動作している。上述したように、充電モードにおいて制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態に、第3スイッチSW3をオン状態にそれぞれ設定する。また制御部は、一次装置120の給電回路124のDC/DCコンバータ124-1を制御することによって、一次装置120から二次装置140の二次電源148への給電量を所定の低い値に調整する。
【0057】
喫煙システム100は次に、例えば所定のユーザ操作がユーザ操作部132又は152に入力されたことを契機として、遷移モードへ移行する。例えば、ユーザは、喫煙システム100を充電モードから直接加熱モードへ切り替える指示を、ユーザ操作部132又は152を介して入力する。制御部は、このようなユーザ操作を受けると、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態からオン状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をオン状態からオフ状態に変更することによって、喫煙システム100を遷移モードへ移行させる。制御部はまた、遷移モードにおいて、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を充電モード用の低い給電量から直接加熱モード用の高い給電量へ変更する(例えば、図4Bに示されるように充電モード用の低い給電量から直接加熱モード用の高い給電量へ漸増させる)。図4Aの場合と異なり、切り替え後のモードである直接加熱モードでは負荷144への給電量には特段の制約がないことから、図4Bにおける遷移モードでは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオン状態に設定される。これにより、一次装置120から二次装置140の負荷144への給電が遷移モードにおいて開始され、エアロゾル発生物品160をいち早く加熱することができる。なお、充電モードから遷移モードを介した直接加熱モードへの一連の移行において、第4スイッチSW4は継続してオフ状態に制御されている。
【0058】
図4Cは、直接加熱モードから充電モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移の別の例を示すタイミングチャートである。図4Cのタイミングチャートは、遷移モードにおいて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオン状態に設定される点のみが図4Aのタイミングチャートと異なる。制御部は、直接加熱モードにおいて所定のユーザ操作を受けると、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態に、第3スイッチSW3をオフ状態にそれぞれ維持したまま、喫煙システム100を遷移モードへ移行させる。遷移モードにおいて、制御部は、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を直接加熱モード用の高い給電量から充電モード用の低い給電量へ漸減させる。
【0059】
二次装置140の負荷144がエアロゾル発生物品160と物理的に直接接触するように構成されている喫煙システム100においては、ユーザが喫煙を終了してエアロゾル発生物品160をエアロゾル発生物品保持部142から取り去った後に、エアロゾル発生物品160の成分が負荷144の表面に残留することがある。この残留成分をそのまま放置した場合、負荷144の信頼性や加熱能力に悪影響を及ぼすおそれもある。図4Cに示される遷移モードでは、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオン状態に設定されるため、直接加熱モードが終了した後にも負荷144の加熱が継続して行われる。これにより、負荷144の表面に残留したエアロゾル発生物品160の成分を蒸散させて、負荷144をクリーニングすることができる。
【0060】
遷移モードを持続させる遷移時間は、例えば、負荷144のクリーニングを十分効果的
に行うのに必要と想定される所定の長さの時間に設定されるのであってよい。そのような所定の長さの遷移時間が経過すると、喫煙システム100は遷移モードから充電モードへ移行する。充電モードにおいて、制御部は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態からオフ状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をオフ状態からオン状態に変更する。これにより、一次装置120から二次装置140の二次電源148への充電が行われる。なお、直接加熱モードから遷移モードを介した充電モードへの一連の移行において、第4スイッチSW4は継続してオフ状態に制御されている。
【0061】
図4Dは、充電モードから直接加熱モードへの切り替え時における喫煙システム100の状態の推移の別の例を示すタイミングチャートである。図4Dのタイミングチャートは、遷移モードにおいて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態に設定される点が図4Bのタイミングチャートと異なる。制御部は、充電モードにおいて所定のユーザ操作を受けると、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を充電モードと同じオフ状態にそのまま維持すると共に、第3スイッチSW3をオン状態からオフ状態に変更することによって、喫煙システム100を遷移モードへ移行させる。制御部はまた、遷移モードにおいて、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を充電モード用の低い給電量から直接加熱モード用の高い給電量へ変更する。しかしながら、図4Bの場合と異なり、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオフ状態であるため、負荷144への給電は、遷移モードが持続している間は留保される。例えば、充電モードから遷移モードへの切り替え直後には、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にまだエアロゾル発生物品160が取り付けられていないことがあり得る。そのような状況において、負荷144への給電が留保されることにより、負荷144の空焚きを防止することができる。
【0062】
図4Dの例において、遷移モードは、例えば、エアロゾル発生物品保持部142へのエアロゾル発生物品160の取り付けが行われるまで持続するのであってよい。または、遷移モードの持続時間は、エアロゾル発生物品保持部142へのエアロゾル発生物品160の取り付けとは無関係に設定されてもよい。換言すれば、エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が取り付けられる前後に亘って、遷移モードは持続してもよい。一例として、二次装置140の二次電源148の充電状態の取得又は推定の完了まで、遷移モードは持続してもよい。制御部は、エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が取り付けられたことを検知すると、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態からオン状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をオフ状態に維持する。これにより、喫煙システム100は遷移モードから直接加熱モードへ移行し、一次装置120から二次装置140の負荷144への給電が行われる。なお、充電モードから遷移モードを介した直接加熱モードへの一連の移行において、第4スイッチSW4は継続してオフ状態に制御されている。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の制御部(制御部134及び/又は154)が喫煙システム100の動作モードを切り替える制御を実施するための例示的な処理500を示すフローチャートである。処理500は、二次装置140が一次装置120に接続されている第1の使用形態、又は二次装置140が一次装置120から切り離されている第2の使用形態のいずれかにおいて開始される。
【0064】
処理500が開始されると、まずステップS502において、制御部は、二次装置140が一次装置120に接続されているか否かを判定する。例えば、制御部は、二次装置140の接続端子146-1と一次装置120の接続端子124-2との電気的な接触を検知することにより、二次装置140が一次装置120の連結ポート122に挿入されているか否か、即ち二次装置140が一次装置120に接続されているか否かを判定すること
ができる。処理500は、二次装置140が一次装置120に接続されている場合はステップS504へ進み、接続されていない場合はステップS524へ進む。
【0065】
二次装置140が一次装置120に接続されている場合、即ち喫煙システム100が第1の使用形態にある場合、ステップS504において、制御部は、一次装置120の拘束部120Bが拘束状態にあるか非拘束状態にあるかを判定する。拘束部120Bの拘束状態とは、一次装置120と連結ポート122に挿入された二次装置140との電気的接続が保持されるように、拘束部120Bが二次装置140を拘束している状態である。また拘束部120Bの非拘束状態とは、拘束部120Bが連結ポート122に挿入された二次装置140を拘束しておらず、したがって一次装置120と二次装置140の電気的接続を解除することも可能となっている状態である。例えば、拘束部120Bが蓋である構成において、蓋120Bが閉じられている状態は拘束状態であり、蓋120Bが開いた状態は非拘束状態である。制御部は、例えば、拘束部120Bの動きに連動した機械的スイッチからの信号に基づいて、拘束部120Bが拘束状態にあるか非拘束状態にあるかを判定することができる。あるいは、一次装置120が、主電源ボタンをオンにすると蓋120Bが自動的に開き、主電源ボタンをオフにすると蓋120Bが自動的に閉じるように構成されていてもよい。処理500は、拘束部120Bが非拘束状態にある場合はステップS506へ進み、拘束状態にある場合はステップS516へ進む。なお、蓋120Bは、スライド開閉式の蓋であってもよい。また、拘束部120Bは、蓋としての形態ではなく、二次装置140の動きを拘束可能な他の部材(例えば、ツメを二次装置140に係合させる構造や、磁石による吸着を利用した構造など)によって構成されてもよい。
【0066】
一次装置120の拘束部120Bが非拘束状態にある場合、ステップS506において、制御部は、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されているか否かを判定する。例えば、二次装置140は、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142に挿入された時にエアロゾル発生物品160によって押される機械的スイッチを備える。機械的スイッチは、エアロゾル発生物品160によって押されたことを示す電気信号を制御部に供給する。制御部は、この信号に基づき、エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されているか否かを判定することができる。処理500は、エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されている場合はステップS508へ進み、挿入されていない場合はステップS506を繰り返す。本実施形態では、ステップS506において二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されていると判断された場合は、ステップS508で直接加熱モードを実行する。これに加えて、ステップS506とステップS508の間に、エアロゾル発生物品保持部142に挿入されたエアロゾル発生物品160の残量が充分にあるか否かを判断してもよい。エアロゾル発生物品160の残量が充分にない場合は、ステップS508において直接加熱モードを実行しても十分なエアロゾルを生成できないため、直接加熱モードを実行しないか、又はエアロゾル発生物品160の残量が無くなった時点で直接加熱を停止することとしてもよい。
【0067】
ステップS508において、制御部は、喫煙システム100を直接加熱モードで動作させるように制御を行う。より具体的には、上述したように、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態に、第3スイッチSW3をオフ状態にそれぞれ設定する。また制御部は、一次装置120の給電回路124のDC/DCコンバータ124-1を制御することによって、エアロゾル発生物品160が所定の目標温度に加熱又は保持されるように一次装置120から二次装置140の負荷144への給電量を調整する。このステップS508は、図4A及び図4Cのタイミングチャートに示された、直接加熱モードから充電モードへ喫煙システム100の動作を切り替える場合における最初に実施される直接加熱モードに対応する。ステップS508に
おいて、一次装置120から二次装置140の負荷144への給電が行われることにより、ユーザは、二次装置140を一次装置120に接続した第1の使用形態で喫煙を行うことができる。
【0068】
制御部は次いで、ステップS510において、一次装置120の拘束部120Bの状態が非拘束状態から拘束状態へ変化したか否か(例えば蓋120Bが閉じられたか否か)を判定する。例えば、ユーザは、拘束部120Bを非拘束状態から拘束状態へ変化させる(例えば蓋120Bを閉じる操作を行う)ことによって、喫煙システム100の動作モードを直接加熱モードから充電モードへ切り替える指示を喫煙システム100に与えることができる。処理500は、拘束部120Bの状態が拘束状態へ変化した場合はステップS512へ進み、非拘束状態のままである場合はステップS508へ戻る。
【0069】
なお、ステップS510において、拘束部120Bの状態が非拘束状態から拘束状態へ変化したか否かを判定することに代えて、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り除かれたか否かを判定することとしてもよい。そのような例において、処理500は、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り除かれた場合はステップS512へ進み、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142に挿入されたままである場合はステップS508へ戻る。
【0070】
拘束部120Bが拘束状態へ変更されると、ステップS512において、制御部は、喫煙システム100を直接加熱モードから遷移モードへ移行させるように制御を行う。例えば、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態からオフ状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をそのままオフ状態に維持する。制御部はまた、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を直接加熱モード用の高い給電量から充電モード用の低い給電量へ変更する。これは、図4Aのタイミングチャートの遷移モードにおいて実施される制御に対応する。このような遷移モードの制御により、高い給電量によって二次装置140の二次電源148が充電されてしまうことを回避することができる。あるいはまた、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオン状態に、第3スイッチSW3をオフ状態にそれぞれ維持したまま、一次装置120から二次装置140への給電量を直接加熱モード用の高い給電量から充電モード用の低い給電量へ漸減させてもよい。これは、図4Cのタイミングチャートの遷移モードにおいて実施される制御に対応する。このような遷移モードの制御により、高い給電量によって二次装置140の二次電源148が充電されてしまうことを回避することができると共に、負荷144のクリーニングを実施することができる。
【0071】
なお、負荷144に対するクリーニングの効果を高めるために、クリーニング実施中に確かにエアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り除かれているかを判断してもよい。一例として、制御部は、遷移モードにおいて負荷144に給電した際の負荷144の昇温速度に基づき、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り除かれているかを判断してもよい。エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り外された状態よりも、エアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部146に取り付けられた状態の方が、熱容量が大きく、したがって、負荷144に同じ電流又は電力を供給した時の負荷144の昇温速度は遅い。このような特性を利用すれば、専用のセンサを用いなくても、クリーニング実施中に確かにエアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142から取り除かれているか否かを高精度に判断できる。また一例として、制御部は、クリーニング実施中にエアロゾル発生物品160がエアロゾル発生物品保持部142に取り付けられていると判断された場合、エアロゾル発生物品160をエアロゾル発生物品保持部142から取り除くようユーザに促す通知を行ってもよい。また併せて通知を行う際には負荷144のクリーニングを
中断してもよい。
【0072】
喫煙システム100が遷移モードへ移行した後、例えば所定の長さの遷移時間が経過すると、制御部は、ステップS514において、喫煙システム100を遷移モードから充電モードへ移行させるように制御を行う。これにより、ユーザは、一次装置120を用いて二次装置140の二次電源148を充電することができる。ステップS514は、図4A及び図4Cのタイミングチャートにおける、モード切り替え後に実施される充電モードに対応する。処理500はその後ステップS504へ戻る。
【0073】
一方ステップS504の判定結果が、一次装置120の拘束部120Bが拘束状態にあることを示す場合、制御部は、ステップS516において、喫煙システム100を充電モードで動作させるように制御を行う。より具体的には、上述したように、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態に、第3スイッチSW3をオン状態にそれぞれ設定する。また制御部は、一次装置120の給電回路124のDC/DCコンバータ124-1を制御することによって、一次装置120から二次装置140の二次電源148への給電量を所定の低い値に調整する。このステップS516は、図4B及び図4Dのタイミングチャートに示された、充電モードから直接加熱モードへ喫煙システム100の動作を切り替える場合における最初に実施される充電モードに対応する。
【0074】
制御部は次いで、ステップS518において、一次装置120の拘束部120Bの状態が拘束状態から非拘束状態へ変化したか否か(例えば蓋120Bが開けられたか否か)を判定する。例えば、ユーザは、拘束部120Bを拘束状態から非拘束状態へ変化させる(例えば蓋120Bを開く操作を行う)ことによって、喫煙システム100の動作モードを充電モードから直接加熱モードへ切り替える指示を喫煙システム100に与えることができる。処理500は、拘束部120Bの状態が非拘束状態へ変化した場合はステップS520へ進み、拘束状態のままである場合はステップS516へ戻る。
【0075】
拘束部120Bが非拘束状態へ変更されると、ステップS520において、制御部は、喫煙システム100を充電モードから遷移モードへ移行させるように制御を行う。例えば、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオフ状態からオン状態に変更すると共に、第3スイッチSW3をオン状態からオフ状態に変更する。制御部はまた、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を充電モード用の低い給電量から直接加熱モード用の高い給電量へ変更する。これは、図4Bのタイミングチャートの遷移モードにおいて実施される制御に対応する。このような遷移モードの制御により、エアロゾル発生物品160をいち早く加熱することができる。
【0076】
喫煙システム100が遷移モードへ移行した後、例えば所定の長さの遷移時間が経過すると、制御部は、ステップS522において、喫煙システム100を遷移モードから直接加熱モードへ移行させるように制御を行う。ステップS522は、図4Bのタイミングチャートにおける、モード切り替え後に実施される直接加熱モードに対応する。ステップS522において、ユーザは、二次装置140を一次装置120に接続した第1の使用形態で喫煙を行うことができる。処理500はその後ステップS504へ戻る。
【0077】
ステップS502の判定結果が、二次装置140が一次装置120に接続されていないことを示す場合、即ち喫煙システム100が第2の使用形態にある場合、制御部は、ステップS524において、喫煙システム100のモードを通常喫煙モード又は通常非喫煙モードにする。例えば、制御部は、二次装置140の主電源ボタン(ユーザ操作部152)がオンになっている場合、喫煙システム100を通常喫煙モードで動作させる。これによ
り、二次装置140の二次電源148から負荷144への給電が行われ、ユーザは二次装置140を単独で用いて喫煙を行うことができる。また例えば、制御部は、二次装置140の主電源ボタンがオフになっている場合、喫煙システム100を通常非喫煙モードで動作させる。このように、二次装置140は一次装置120から切り離された第2の使用形態において単独で動作することができる。
【0078】
図6は、本発明の一実施形態に係る喫煙システム100の制御部(制御部134及び/又は154)が喫煙システム100の動作モードを切り替える制御を実施するための別の例示的な処理600を示すフローチャートである。処理600は、ステップS518において拘束部120Bの状態が非拘束状態へ変化した場合に実施されるステップS519及びステップS521を含む点が上述の処理500と異なる。
【0079】
ステップS519において、制御部は、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されたか否かを判定する。エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160を挿入する操作が行われると、処理600は(処理500に関して説明したのと同じ)ステップS522へ進み、直接加熱モードが実施される。一方、エアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160がまだ挿入されていなければ、処理600はステップS521へ進む。
【0080】
ステップS521において、制御部は、喫煙システム100を充電モードから遷移モードへ移行させるように制御を行う。例えば、制御部は、二次装置140の駆動回路146の第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を充電モードと同じオフ状態にそのまま維持すると共に、第3スイッチSW3をオン状態からオフ状態に変更する。制御部はまた、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御することにより、一次装置120から二次装置140への給電量を充電モード用の低い給電量から直接加熱モード用の高い給電量へ変更する。これは、図4Dのタイミングチャートの遷移モードにおいて実施される制御に対応する。このような遷移モードの制御により、負荷144の空焚きを防止することができる。
【0081】
ステップS521に引き続き、処理600は更にステップS519の判定を繰り返す。これにより、エアロゾル発生物品保持部142へのエアロゾル発生物品160の挿入がなされるまで、ステップS521の遷移モードが持続して実施される。喫煙システム100は、ユーザがエアロゾル発生物品160をエアロゾル発生物品保持部142へ挿入することを契機として、直接加熱モードへ移行するように動作することができる。
【0082】
なお、図5に示される処理500において、制御部(制御部134及び/又は154)は、拘束部120Bの状態に基づき、喫煙システム100を変更前のモード(直接加熱モード又は充電モード)から遷移モードへ移行させてもよい。また、図6に示される処理600において、制御部(制御部134及び/又は154)は、拘束部120Bの状態に加え、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されたか否かに基づき、喫煙システム100を充電モードから遷移モードへ移行させてもよい。これらに代えて、変更前のモードから遷移モードに移行するための条件を、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されたか否かのみにしてもよい。またはこれらに代えて、ユーザ操作部132又は152への入力を用いてもよい。
【0083】
上述したように、喫煙システム100の制御部(制御部134及び/又は154)は、拘束部120Bの状態、二次装置140のエアロゾル発生物品保持部142にエアロゾル発生物品160が挿入されたか否か、ユーザ操作部132又は152への入力といった具体的かつ直接的なユーザの操作が必要な条件を用いて、喫煙システム100を変更前のモ
ード(直接加熱モード又は充電モード)から遷移モードへ移行させる。これらに代えて、ユーザの操作に関係しない条件又はより間接的なユーザ操作に関する条件を用いて、喫煙システム100を変更前のモード(直接加熱モード又は充電モード)から遷移モードへ移行させてもよい。より間接的なユーザ操作に関する条件の一例として、エアロゾル発生物品160の残量が所定の閾値を下回ったか否かを用いてもよい。制御部(制御部134及び/又は154)は、エアロゾル発生物品保持部142に新品のエアロゾル発生物品160が挿入されてからの、喫煙の回数、又は二次電源148から負荷144への給電時間若しくは給電量の積算値を用いて、エアロゾル発生物品160の残量を推定してもよい。なお、エアロゾル発生物品160の残量の推定方法はこれらに限定されず、種々の方法を採用できる。または、エアロゾル発生物品160の残量を正確に測定できるセンサを用いてもよい。このようなセンサとして、例えば重量センサや光学センサを用いることができる。
【0084】
図7Aは、二次装置140に設けられた空気取込流路710の一例を示す。図7Bは、一次装置120に設けられた空気取込流路720の一例を示す。喫煙システム100は、第1の使用形態(直接加熱モード)において二次装置140を一次装置120の連結ポート122に挿入することにより喫煙を行うことができるように構成されるため、二次装置140が連結ポート122に挿入された状態でもエアロゾル発生物品160に十分な量の空気を供給するための構造が必要である。二次装置140に設けられた例示的な空気取込流路710は、空気がエアロゾル発生物品保持部142の開口側から取り込まれて負荷144の近傍へ流通することを可能にする。また一次装置120に設けられた例示的な空気取込流路720は、一次装置120の本体部120Aの底部から空気を取り込んで連結ポート122内の最奥部へ導くように構成される。空気取込流路720を介して連結ポート122内へ導かれた空気は、連結ポート122に挿入された二次装置140(図7Bにおいて不図示)の先端部分(エアロゾル発生物品保持部142と反対側の端部)に開口する、図7Aの空気取込流路710とは異なる流路として形成された二次装置140の空気取込流路を通って、二次装置140内部の負荷144の近傍へと更に導かれる。喫煙システム100は、空気取込流路710又は720のいずれか一方を備えるのであってもよいし、両方を備えるのであってもよい。このような空気取込流路710及び/又は720によれば、直接加熱モードにおいて二次装置140を一次装置120の連結ポート122に挿入して喫煙を行う場合であっても、二次装置140内のエアロゾル発生物品160に十分な量の空気を供給することができる。
【0085】
また、上述した実施形態においては、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4のそれぞれのオン状態とオフ状態を切り替えることで、直接加熱モード、遷移モード、及び充電モードにおける電力の流れを制御したが、各モードにおける電力の流れを制御する手段はこれに限られない。一例として、図2において二次装置140の接続端子146-1から負荷144につながる駆動回路146の主正母線と主負母線のそれぞれから分岐して二次電源148に至る回路上に、一次電源126から二次電源148への充電の方向を順方向とする逆流防止用ダイオードを設けてもよい。一次電源126から二次電源148への給電を停止する直接加熱モードでは、一次装置120からの出力電圧が二次電源148の端子間電圧より低くなるように、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御すればよい。一方、一次電源126から二次電源148へ給電する充電モードでは、一次装置120からの出力電圧が二次電源148の端子間電圧より高くなるように、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1を制御すればよい。
【0086】
なお、一次電源126の端子間電圧と二次電源148の端子間電圧との相対電圧を調整する手段は、一次装置120のDC/DCコンバータ124-1に限られない。例えば、二次装置140にもDC/DCコンバータを設けてもよい。または一次電源126と二次
電源148の少なくとも一方を複数の蓄電装置から構成し、これらの直列接続と並列接続を切り替えてもよい。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【0088】
例えば、上述した実施形態では、直接加熱モードにおける一次装置120は二次装置140の負荷144のみに給電し、充電モードにおける一次装置120は二次装置140の二次電源148のみに給電する例を説明したが、これに限定されず、二次装置140の負荷144と二次電源148に同時にそれぞれ電力の一部を給電してもよい。
【符号の説明】
【0089】
100 喫煙システム
120 一次装置
120A 本体部
120B 拘束部(蓋)
120C ヒンジ
122 連結ポート
124 給電回路
124-1 DC/DCコンバータ
124-2 接続端子
126 一次電源
132 ユーザ操作部
134 制御部
136 メモリ
140 二次装置
142 エアロゾル発生物品保持部
144 負荷
146 駆動回路
146-1 接続端子
148 二次電源
152 ユーザ操作部
154 制御部
156 メモリ
160 エアロゾル発生物品
200 電気回路
710 空気取込流路
720 空気取込流路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B