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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053292
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】作業台車
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20230405BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020595
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2020062670の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219358
【氏名又は名称】東亜グラウト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】張 満良
(72)【発明者】
【氏名】藤森 英男
(57)【要約】
【課題】既設管路の内部で幾つかの異なる作業を行う際に、これらの作業に適した装置を選択的に取り付けることが可能な作業台車を提供する。
【解決手段】マンホールに接続された管路Bの内部で作業するための作業台車Aであって、複数のローラー10a、20aと、マンホールに接続された管路に対して予め設定された作業を行うための作業装置を取り付ける取付座と、走行方向の端部に設けられた回動支持部22cを有する走行部材10、20と、弓型に形成され、長手方向の一方側の端部22aに他方側に向けて配置されたカメラと、他方側の端部22bにカメラと略同一軸心上に形成された軸部を有する支持フレーム22と、を有し、支持フレームを、軸部を介して走行部材の端部に設けた回動支持部に片持梁状に取り付けることで、該支持フレームが回動支持部に回動可能に支持されると共にカメラが走行部材側に向けて配置されることで、鉛直方向を基準として作業を監視できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールに接続された管路の内部で作業するための作業台車であって、
複数のローラーと、マンホールに接続された管路に対して予め設定された作業を行うための作業装置を取り付ける取付座と、走行方向の端部に設けられた回動支持部を有する走行部材と、
弓型に形成され、長手方向の一方側の端部に他方側に向けて配置されたカメラと、他方側の端部であって該カメラと略同一軸心上に形成された軸部を有する支持フレームと、を有し、
前記支持フレームを、前記軸部を介して前記走行部材の走行方向の端部に設けた回動支持部に片持梁状に取り付けることで、該支持フレームが該回動支持部に回動可能に支持されると共にカメラが略同一軸上に配置されることを特徴とする作業台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管路の内部で幾つかの異なる作業を行う際に、目的の作業に適した装置を選択的に取り付けることが可能な作業台車に関し、特に、既設管路に破断誘導部を形成する際に利用して有利な作業台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設の下水道用の管路では、地盤沈下や地震等の影響を受けて管路に曲がりが生じたり、管路を構成する管に折れなどの破損が生じることがある。下水道用の管路に破損が生じた場合、この破損箇所から地下水が流れ込んで下流側の処理設備に大きな負担を強いることになるばかりでなく、路面陥没の原因にもなるため、速やかに補修する必要があり、膨大な費用が発生する。特に、地震時にマンホール管口部や、管の接続部等に大きな破損が生じるので、管路の地震対策が求められている。
【0003】
このため、最近では、新設管路の場合、予め管口部に可とう継手を設けることや、既設管路の場合、該管路を構成する管の所定箇所の内周面に溝からなる誘導目地を形成し、この誘導目地に破損の起点を誘導し、地震動を吸収させる工法が耐震策として行われている。
【0004】
内面に形成した誘導目地を起点として管路が破損した場合、この破損箇所から地下水が管路内に浸入することを阻止する必要がある。このため、誘導目地に対向させて弾性スリーブを配置すると共に該弾性スリーブを高い強度を有する金属スリーブによって管路の内周面に圧接させることで、地下水の誘導目地からの浸入を阻止し得るように構成している(例えば特許文献1参照)。
【0005】
このように、管路に生じる虞のある破損の位置を規定する部位(破断誘導部)は、誘導目地単独で実現し得るものではなく、弾性スリーブ、金属スリーブなども必要となり、更に誘導目地に充填されるシール材も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-223444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、既設管路に破断誘導部を構成する場合、誘導目地を形成する作業、誘導目地にシール材を充填する作業、弾性スリーブの内径側に配置された金属スリーブを拡径する作業など、幾つかの作業が必要となる。そして、これら各作業は互いに共通する要素がないため、夫々の作業を独立した装置を利用して行っているのが実情である。
【0008】
特に、小径管によって敷設された既設管路の場合や、既設管路に形成すべき誘導目地の位置がマンホールの管口から遠く離隔している場合、該管路の内周面に誘導目地を形成し、この誘導目地にシール材を充填し、シール材が充填された誘導目地に対向させて弾性スリーブを配置して金属スリーブを拡径する一連の作業を行うことは容易ではない。
【0009】
このため、幾つかの作業に共通して利用することができる装置があると有利であり、このような装置の開発が求められている。
【0010】
本発明の目的は、既設管路の内部で幾つかの異なる作業を行う際に、これらの作業に適した装置を選択的に取り付けることが可能な作業台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る作業台車は、マンホールに接続された管路の内部で作業するための作業台車であって、複数のローラーと、マンホールに接続された管路に対して予め設定された作業を行うための作業装置を取り付ける取付座と、走行方向の端部に設けられた回動支持部を有する走行部材と、弓型に形成され、長手方向の一方側の端部に他方側に向けて配置されたカメラと、他方側の端部であって該カメラと略同一軸心上に形成された軸部を有する支持フレームと、を有し、前記支持フレームを、前記軸部を介して前記走行部材の走行方向の端部に設けた回動支持部に片持梁状に取り付けることで、該支持フレームが該回動支持部に回動可能に支持されると共にカメラが略同一軸上に配置されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る作業台車では、既設管路を構成する管の内周面に対する幾つかの作業を合理的に行うことができる。
【0013】
即ち、既設管路を構成する管の内周面に対し予め設定された作業に適した装置を取付座に取り付けた作業台車を、既設管路内に於ける作業すべき位置まで走行させた後、アウトリガーを作動させることで目的の作業位置で固定することができる。そして、昇降部材によって取付座を既設管路の内周面に接近させ、取り付けた装置を稼働させつつ駆動モーターによって弓型フレームを回転させることで、該装置によって内周面に目的の作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例に係る作業台車の構成を説明する側面図である。
図2図1のIIa、IIb断面図である。
図3】取付座に切削装置を取り付けた作業台車の側面図である。
図4】取付座にシール材充填装置を取り付けた作業台車の側面図である。
図5】取付座に金属スリーブの拡径装置を取り付けた作業台車の側面図である。
図6図5の平面図である。
図7図5のVII断面図である。
図8】既設管路内で作業台車を走行させる部材の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る作業台車は、既設管路(以下単に「管路」という)を構成する管の内周面に対して幾つかの作業を行う際に、目的の作業に適した装置を選択的に取り付け、該装置を管路の内部に於ける作業位置に移動させることが可能なように構成されている。
【0016】
作業台車を構成する弓型フレームは、両端に回転中心となる軸部が形成され、この軸部の間に該軸部の軸心から偏心した基台部が形成されている。また、基台部には、作業装置を取り付ける取付座と、この取付座を昇降させる昇降部材が配置されている。このため、予め管路に対する目的の作業を合理的に行うことが可能な作業装置を取付座に取り付けておくことで、昇降部材を操作して作業装置を管路の内周面に対して接近させ、或いは離隔させることが可能である。そして、駆動モーターを操作することで、弓型フレームを軸部を中心として回転させることが可能となる。
【0017】
従って、予め目的の作業を行うための作業装置を取り付けた作業台車を、管路に於ける目的の作業位置まで移動させておき、作業装置及び昇降部材、駆動モーターを稼働させることで、作業装置による目的の作業を行うことが可能となる。
【0018】
作業台車を目的の位置まで移動させるための手段は特に限定するものではない。例えば、二つの走行部材の何れかに走行モーターを取り付けて自走し得るように構成しても良く、棒状の部材によって管路内に押し込むことで走行させたり、ワイヤによって引っ張ることで走行させても良い。即ち、自力で走行するか、他力を利用するかを限定するものではない。
【0019】
本発明に係る作業台車は、取付座に取り付けた作業装置を、管路を構成する管の内周面に対し、接触させ或いは接近させると共に、内周面に沿って回転させることが可能なように構成されている。このため、管の内周面に対し部分的に或いは全周にわたって接触して行う作業、例えば、内周面の清掃、切削、シール材の充填、などの作業を行う際に利用することが好ましい。
【0020】
以下、本発明に係る作業台車の好ましい実施例について図1図2を用いて説明する。作業台車Aは、夫々複数のローラー10a、20aを設けた二つの走行部材10、20を有しており、これらの走行部材10、20に弓型フレーム30が回転可能に支持されることで構成されている。
【0021】
本実施例に於いて、作業台車Aは、図8に示す押込み棒17によって管路Bの内部に押し込まれて走行し、予め設定された作業位置に到達するように構成されている。ここで、押込み棒17の構成について説明する。押込み棒17は、単位長さを有する複数の棒状体17aを長手方向に接続した本体部と、この本体部の一端にT字状に取り付けられたハンドル17bを有して構成されている。
【0022】
押込み棒17の本体部を構成する夫々の棒状体17aの所定位置には、穴17cが形成されており、この穴17cを後述する一方の走行部材10の連結部材12に結合させることで、作業台車Aとの一体化をはかるように構成されている。また、棒状体17aの側面には押込み長さの目安となる目盛17dが形成されており、この目盛17dによって作業台車Aの管路Bに於ける押込み長さを知ることが可能である。
【0023】
上記の如き押込み棒17によって作業台車Aを管路B内に押込むことが可能であるため、管路Bに対する目的の作業位置がマンホールに近いものの、管路Bの径が小さく作業員が該管路Bに入り込むことができないような場合に利用して有利である。
【0024】
作業台車Aの一方の走行部材10には、弓型フレーム30を回転させるための駆動モーター11が配置されている。また、走行部材10には押込み棒17を連結するための連結部材12が突起状に形成されている。この連結部材12は押込み棒17が差し込まれて連結し得るように構成されており、所定位置に押込み棒17と結合し且つ離脱することが可能な、例えばプランジャーのような結合部材12aが配置されている。
【0025】
他方の走行部材20には管路Bの内部を撮影するカメラを内蔵したカメラケース21が配置されている。このカメラケース21は、弓型に形成された支持フレーム22の一方側の端部22aに取り付けられている。また、支持フレーム22の他方側の端部22bは、走行部材20に設けられた回動支持部22cに対し回動可能に支持されている。支持フレーム22は、走行部材20に対し片持梁状に突出して配置されている。このため、支持フレーム22は、走行部材20に於ける弓型フレーム30が配置された側の反対側に配置されている。
【0026】
特に、カメラケース21と回動支持部22cは、略同一軸心(好ましくは管路Bの中心軸)上に配置されており、且つ支持フレーム22が弓型に形成されていることから、該支持フレーム22の弓となる部分が常に前記軸心よりも下方にある。このため、作業台車Aの傾斜の有無に関わらず、カメラケース21に内蔵されたカメラによる撮像は、常に管路Bの頂部が上方に位置することとなる。即ち、撮影された画像は常に縦方向が鉛直方向と略一致することとなる。
【0027】
尚、カメラケース21の内部に配置されたカメラが、常に鉛直方向を認識し得る機能を有するものであると、支持フレーム22の回動に伴うカメラの姿勢に対応した鉛直方向と、該カメラの機能による鉛直方向との比較により、より正確に鉛直方向を規定した画像を得ることが可能となる。
【0028】
二つの走行部材10、20には夫々アウトリガー13、23が配置されている。アウトリガー13、23はローラー10a、20aが設けられた面の反対側の面に配置されており、これらのアウトリガー13、23を作動させたとき、各ローラー10a、20aと協働して作業台車Aを管路Bの内周面に固定することが可能である。
【0029】
弓型フレーム30は、長手方向の両端であって同一の回転軸31上に夫々軸部30a、30bが形成されており、これらの軸部30a、30bの間で且つ回転軸31から偏心した位置に基台部30cが形成されている。軸部30aは一方の走行部材10に形成された回転支持部材14により回転可能に支持されており、軸部30bは他方の走行部材20に形成された回転支持部材24に回転可能に支持されている。
【0030】
従って、弓型フレーム30は、回転軸31と一致した両端の軸部30a、30bを中心として回転し、この回転に伴って基台部30cが偏心回転し得るように構成されている。このため、作業台車Aを管路Bに設置する際に、回転軸31を管路Bの軸心と略一致させることで、弓型フレーム30を管路Bの軸心に略一致させて回転させることが可能となる。
【0031】
駆動モーター11による弓型フレーム30の駆動方式については限定するものではなく、例えばタイミングベルトやチェンなどの通常の伝動機構を利用することで良い。本実施例では、駆動モーター11に中間軸11aを介して歯車11bを取り付けると共に弓型フレーム30の軸部30aに歯車11bと噛合する歯車11cを取り付けることで、駆動モーター11によって弓型フレーム30を回転させるように構成している。
【0032】
弓型フレーム30の基台部30cには昇降部材32が配置されており、この昇降部材32に取付座33aが配置されている。図2に示すように、基台部30cは、ウエブ30c1とフランジ30c2からなる溝型に形成されており、このウエブ30c1に昇降部材32が取り付けられている。また、基台部30cを形成するフランジ30c2の長手方向の両端に、該フランジ30c2を利用して軸部30a、30bが形成されている。
【0033】
昇降部材32は取付座33aを昇降させて該取付座33aに取り付けた作業装置を管路Bの内周面に対し、接近又は離隔させるものである。このため、この機能を有するものであれば構造を限定するものではなく、例えば圧力流体を供給することで取付座33aを昇降させるシリンダーを有する構造を採用することが可能である。
【0034】
本実施例では、パンタグラフ式のジャッキによって昇降部材32を構成している。この昇降部材32は、弓型フレーム30の基台部30cに於ける走行部材10側の所定位置に固定片32aが固定されており、走行部材20側に図示しない雌ねじが形成された移動片32bが配置されている。これらの固定片32a、移動片32bには夫々一対のリンク片32cが回動可能に取り付けられている。そして、リンク片32cの固定片32aと対向する端部側に取付座33aが取り付けられ、移動片32bと対向する端部側に摺動片33bが取り付けられている。
【0035】
更に、基台部30cには昇降用ねじ34aを取り付けた昇降モーター34が配置されている。昇降用ねじ34aは、移動片32bに形成された雌ねじに螺合し、先端部分が固定片32aに対して回転可能に支持されている。このため、昇降モーター34を所望の方向に回転させると、この回転に伴って移動片32bが固定片32aに接近或いは離隔する方向に移動し、この移動に伴って取付座33a、摺動片33bが昇降する。このとき、取付座33aは管路Bの半径方向に略直線的に昇降するが、摺動片33bは管路Bの半径方向への昇降に対し、管路Bの管軸方向への移動が合成される。従って、摺動片33bは、上昇する際には取付座33aに接近し、下降する際には取付座33aから離隔する。
【0036】
従って、作業台車Aに取り付けるべき作業装置を取付座33aに固定すると共に摺動変33bに載置しておき、昇降部材32を作動させることで、取り付けた作業装置を管路Bの半径方向に略直線的に昇降させることが可能である。
【0037】
また、一方の走行部材10の所定位置にはカメラ15が配置されており、前述したカメラケース21に収容された図示しないカメラと共に、管路Bに於ける作業台車Aの位置や、作業装置の監視、作業の進行の確認を行うことが可能なように構成されている。
【0038】
尚、図に於いて25は、走行部材20に設けたローラー20aよりも径の大きいローラーであり、作業台車Aを管路B内に走行させる際に障害物が存在していた場合、この障害物を乗り越えることが容易となるように配置されたものである。
【0039】
上記の如く構成された作業台車Aでは、昇降部材32によって取付座33a、摺動片33bを下降させておき、この取付座33aに作業装置を取り付けて固定する。その後、連結部材12に押込み棒17を連結して作業員が図示しないマンホールから管路B内に設定された作業位置まで走行させることが可能である。
【0040】
そして、目的の作業に対応させてアウトリガー13、23を作動させて作業台車Aを管路Bの内周面に固定する。その後、作業装置を稼働させつつ昇降部材32によって作業装置を内周面に接近させることで、目的の作業が開始される。更に、目的の作業に応じて、駆動モーター11を稼働させて弓型フランジ30を軸心31を中心として回転させることで、作業装置を管路Bの内周面に沿って移動させつつ、目的の作業を行うことが可能である。
【0041】
次に、作業台車Aに目的の作業を行うための作業装置を取り付けた実施例について説明する。先ず、図3に示す作業装置は切削装置Cであり、管路Bの内周面に誘導目地となる溝を形成する際に利用して有利である。
【0042】
切削装置Cは、管路Bの内周面に溝を形成するために、予め設定された幅(厚さ)を有する切削具41と、切削具41を駆動する駆動モーター42とを有しており、この駆動モーター42はベース板43に取り付けられている。そしてベース板43の一方の端部側が昇降部材32の取付座33aに固定されており、他方の端部側が摺動片33bに載置されている。
【0043】
上記の如く構成された切削装置Cでは、作業台車Aを管路Bの内周面に溝を形成すべき位置まで走行させた後、アウトリガー13、23によって内周面に固定する。その後、昇降部材32によってベース板43を上昇させて切削具41を管路Bの内周面に接近させつつ、駆動モーター42によって切削具41を回転させることで、管路Bの内周面に対する切削を開始することが可能である。そして、走行部材10に配置された駆動モーター11を駆動して弓型フレーム30を回転させることで、管路Bの内周面に全周にわたって溝を形成することが可能である。更に、弓型フレーム30の回転に伴って昇降部材32によるベース板43を上昇させることで、管路Bの内周面に所望の深さの溝を形成すること可能である。
【0044】
図4に示す作業装置はシール材充填装置Dであり、切削装置Cによって形成された溝にシール材を充填する際に利用して有利である。シール材充填装置Dは、シール材充填ガン46と、シール材充填がん46に取り付けた充填ノズル47と、を有しており、このシール材充填ガン45がベース板48に取り付けられている。そしてベース板47の一方の端部側が昇降部材32の取付座33aに固定されており、他方の端部側が擦動部材33bに載置されている。特に、充填ノズル47の近傍であって該充填ノズル47の先端部分を視野にいれたカメラ49が配置されている。
【0045】
上記の如く構成されたシール材充填装置Dでは、カメラ49によって管路Bの内周面に形成された溝を監視しつつ、充填ノズル47を溝に対向させるように作業台車Aを走行させる。その後、昇降部材32によってベース板48を上昇させて充填ノズル47を溝に差し込んでシール材を充填する、溝に対するシール材の充填状況を監視しつつ、走行部材10に配置された駆動モーター11を駆動して弓型フレーム30を回転させることで、管路Bの内周面に形成された溝にシール材を充填することが可能である。
【0046】
図5図7に示す作業装置は拡径装置Eであり、例えば管路Bの内周面に形成された溝にシール材を充填した後、この溝に対向させて弾性スリーブと金属スリーブを配置し、金属スリーブを拡径させて弾性スリーブを内周面に圧接させるために利用して有利である。具体的には、特許文献1に記載されているように、一次拡径が終了した金属スリーブに設けた楔を互いに接近させるのに伴って金属スリーブを二次拡径するものである。
【0047】
拡径措置Eは、一対の当接部材51と、この当接片51を互いに離隔又は接近させる往復駆動部材52と、当接部材51の移動方向を案内するガイド部材53とを有しており、ガイド部材53がベース板54に取り付けられている。また、ベース板54の所定位置には二つのカメラ55が配置されている。そしてベース板54の一方の端部側が昇降部材32の取付座33aに固定されており、他方の端部側が摺動片33bに載置されている。特に往復駆動部材52としての構造を限定するものではないが、油圧シリンダーであることが好ましい、
【0048】
上記の如く構成された拡径装置Eでは、一対の当接部材51を充分に離隔させた状態で、昇降部材32によって当接部材51を金属スリーブの内径よりも低い高さに設定しておき、作業台車Aを金属スリーブの内部まで走行させる。次に、アウトリガー13、23を作動させることなく、昇降部材32を作動させて夫々の当接部材を図示しない楔に対向させる。その後、往復駆動部材52を操作して当接部材51を互いに接近させると、夫々の当接部材51は楔に当接し、更なる当接部材51の接近に伴って、楔による金属スリーブの拡径が進行する。そして、金属スリーブが十分に拡径したとき、弾性スリーブを管路Bの内周面に圧接させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る作業台車は、取付座に異なる作業装置を選択的に取り付けることが可能である。このため、例えば管路の内周面に対する誘導目地の切削や、誘導目地に対するシール材の充填、誘導目地に対向させて弾性スリーブ及び金属スリーブを設置する作業を行う際に利用して有利である。
【符号の説明】
【0050】
A 作業台車
B 管路
C 切削装置
D シール材充填装置
E 拡径装置
10、20 走行部材
10a、20a、25 ローラー
11 駆動モーター
11a 中間軸
11b、11c 歯車
12 連結部材
12a 結合部材
13、23 アウトリガー
14、24 回転支持部材
15、49、55 カメラ
17 押込み棒
17a 棒状体
17b ハンドル
17c 穴
17d 目盛
21 カメラケース
22 支持フレーム
22a、22b 端部
22c 回動支持部
30 弓型フレーム
30a、30b 軸部
30c 基台部
30c1 ウエブ
30c2 フランジ
31 回転軸
32 昇降部材
32a 固定片
32b 移動片
32c リンク片
33a 取付座
33b 擦動片
34 昇降モーター
34a 昇降用ねじ
41 切削具
42 駆動モーター
43、48、54 ベース板
46 シール材充填ガン
47 充填ノズル
51 当接部材
52 往復駆動部材
53 ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8