(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000533
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】コミュニケーションレビュー・フィードバックシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221222BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20221222BHJP
G10L 15/30 20130101ALI20221222BHJP
G10L 15/06 20130101ALI20221222BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G06Q50/10
G10L15/10 500T
G10L15/30
G10L15/06 300Z
G09B19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101420
(22)【出願日】2021-06-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和3年1月14日 Foodtech Venture NEXTにて基本構想をプレゼンテーション 2.令和3年4月14日 ママトコオンライン講座にて基本構想をプレゼンテーション 3.令和3年5月11日 ママトコオンライン講座にて基本構想をプレゼンテーション 4.令和3年4月7日~令和3年5月12日 基本構想のYouTube動画を限定公開
(71)【出願人】
【識別番号】518378271
【氏名又は名称】株式会社Hacksii
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 未来
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザのコミュニケーション能力やコミュニケーション技術を高めるためのシステムの提供。
【解決手段】本発明に係るシステムは、ユーザ端末とネットワークを介して通信する管理サーバを備えている。管理サーバは、ユーザ端末からの送信要求に応じてコンテンツサーバから特定のコンテンツデータをユーザ端末に配信するコンテンツ配信手段と、ユーザがコンテンツの視聴を始めると視聴中のユーザの音声の録音を開始して記録する音声記録手段と、音声記録手段に記録されたユーザ音声データを分析するユーザ音声分析手段と、ユーザ音声分析手段による分析結果をユーザに送信するフィードバック配信手段を備えている。ユーザ音声分析手段は、キーワード分類データベースを参照して、ユーザ音声データ中のキーワードをポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定し、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画、スライド、音声等のコンテンツデータを格納したコンテンツサーバと、ネットワークに接続された管理サーバと、この管理サーバと前記ネットワークを介して通信するユーザ端末とからなり、
前記管理サーバは、
ネットワークを介して前記ユーザ端末と送受信する通信手段と、
ユーザ情報を管理するユーザ情報管理手段と、
前記ユーザ端末からの送信要求に応じて前記コンテンツサーバから特定のコンテンツデータを前記ユーザ端末に配信するコンテンツ配信手段と、
ユーザが前記ユーザ端末に配信されたコンテンツの視聴を始めると視聴中のユーザの音声の録音を開始して記録する音声記録手段と、
前記音声記録手段に記録されたユーザ音声データを分析するユーザ音声分析手段と、
該ユーザ音声分析手段による分析結果を前記ユーザに送信するフィードバック配信手段と、を備え、
前記ユーザ音声分析手段には、会話に用いられる言葉が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースが格納されており、
前記ユーザ音声分析手段は、前記キーワード分類データベースを参照して、前記ユーザ音声データ中のキーワードをポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定し、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックする、ことを特徴とするコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項2】
前記キーワード分類データベースには、前記ポジティブワードとネガティブワードが、語句が与える効果や影響の観点に基づいた複数のカテゴリに区分されて格納されている、請求項1に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項3】
前記管理サーバは、会話に用いられる言葉のポジティブワードとネガティブワードの分類を人工知能によりを行うAI手段をさらに備え、該AI手段は、前記キーワード分類データベースを更新する、請求項1または2に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記フィードバック結果に関するユーザからの質問等を受け付けるフォローアップ手段をさらに備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項5】
前記フォローアップ手段は、前記ユーザから送信された日常会話等の録音データを受信し、前記ユーザ音声分析手段に、前記録音データ中のキーワードを、ポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定させ、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックさせる、請求項4に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項6】
前記フィードバックには、前記ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例が含まれる、請求項1~5のいずれか1項に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項7】
前記フィードバックには、前記ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例に関するコメントが含まれる、請求項6に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項8】
前記ユーザ情報管理手段には、ユーザのIDやパスワード、ユーザからのコンテンツ送信要求記録、音声記録、フォローアップ記録がデータとして記憶されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える管理サーバ。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える各手段の機能をコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのコミュニケーション能力やコミュニケーション技術を高めるための、ネットワークを利用したコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間が互いに意思や感情や思考を伝達し合うコミュニケーションの一手段として、言葉を用いた会話があり、この会話は、育児、教育、営業、医療や看護など、日常生活のあらゆる場面においてなされるもので、会話を介したコミュニケーションは生活してゆくうえで不可欠な要素である。
【0003】
例えば、「自分はこうゆう人間だ」という自己イメージの殆どは生まれてから6歳までの幼児期に形成されると考えられているから、親や保育士や幼稚園教師からの子供への言葉がけがとても重要になってくる。また、学校教育の場においても、教師からの学童や学生への言葉がけが不適切であると、勉学意欲を低下させてしまうという問題が生じ得る。さらに、職場における同僚同士や上司と部下のコミュニケーションが適切になされないと、組織の意思疎通の円滑化が図れない。また、医師や看護師や介護士などの医療・福祉関係者のコミュニケーション能力や技術が不足すると、患者や介護サービス利用者の治療やリハビリへの意欲などを低下させてしまう。
【0004】
このような事情を背景として、ネットワークを利用した、ユーザのコミュニケーション能力の向上を支援するためのサービスの提供のためのシステムが提案されている。例えば、特開2004-199547号公報(特許文献1)は、撮像された映像情報の各場面に対して入力されたコメントを管理サーバで管理し、さらに分類されたコメントを場面に対応させた状態で表示可能なようにユーザ端末に配信することにより、場面に登場する人物等の相互行為分析を行える相互行為分析システムを開示している。また、特許第6132378号明細書(特許文献2)は、人同士がユーザと相手方との性格・趣向の違いを理解してうまく意思疎通を果たすために必要なアドバイス情報を表示する機能を実現させるためのプログラムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-199547号公報
【特許文献2】特許第6132378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示のシステムでは、ユーザが会話技術やコミュニケーション技術を速やかに習得するためには、他のユーザから提供されたコメントの内容を自分なりに理解・解釈して自己フィードバックする必要があり、提供されたコメントが妥当なものであるのか、妥当だとすればそれは何故なのかの判断は自らが行う必要がある。また、特許文献2に開示のプログラムの利用は、コミュニケーションをとる相手方の性格や趣向に制限されてしまうから、客観性が十分に担保されないうえに汎用性に欠けるという難点がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、コミュニケーションをとる相手方を制限することなく、ユーザのコミュニケーション能力やコミュニケーション技術を高めるための客観的な指標をユーザにフィードバックするためのシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムは、動画、スライド、音声等のコンテンツデータを格納したコンテンツサーバと、ネットワークに接続された管理サーバと、この管理サーバと前記ネットワークを介して通信するユーザ端末とからなり、前記管理サーバは、ネットワークを介して前記ユーザ端末と送受信する通信手段と、ユーザ情報を管理するユーザ情報管理手段と、前記ユーザ端末からの送信要求に応じて前記コンテンツサーバから特定のコンテンツデータを前記ユーザ端末に配信するコンテンツ配信手段と、ユーザが前記ユーザ端末に配信されたコンテンツの視聴を始めると視聴中のユーザの音声の録音を開始して記録する音声記録手段と、前記音声記録手段に記録されたユーザ音声データを分析するユーザ音声分析手段と、該ユーザ音声分析手段による分析結果を前記ユーザに送信するフィードバック配信手段と、を備え、前記ユーザ音声分析手段には、会話に用いられる言葉が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースが格納されており、前記ユーザ音声分析手段は、前記キーワード分類データベースを参照して、前記ユーザ音声データ中のキーワードをポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定し、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックする、ことを特徴とする。
【0009】
例えば、前記キーワード分類データベースには、前記ポジティブワードとネガティブワードが、語句が与える効果や影響の観点に基づいた複数のカテゴリに区分されて格納されている。
【0010】
前記管理サーバは、会話に用いられる言葉のポジティブワードとネガティブワードの分類を人工知能によりを行うAI手段をさらに備え、該AI手段は、前記キーワード分類データベースを更新するように構成してもよい。
【0011】
また、前記管理サーバは、前記フィードバック結果に関するユーザからの質問等を受け付けるフォローアップ手段をさらに備えているように構成してもよい。
【0012】
さらに、前記フォローアップ手段は、前記ユーザから送信された日常会話等の録音データを受信し、前記ユーザ音声分析手段に、前記録音データ中のキーワードを、ポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定させ、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックさせるように構成してもよい。
【0013】
例えば、前記フィードバックには、前記ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例が含まれる。
【0014】
また、前記フィードバックには、前記ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例に関するコメントが含まれるように構成してもよい。
【0015】
さらに、前記ユーザ情報管理手段には、ユーザのIDやパスワード、ユーザからのコンテンツ送信要求記録、音声記録、フォローアップ記録がデータとして記憶されているように構成してもよい。
【0016】
本発明に係る管理サーバは、上記のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える管理サーバである。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、上記のコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える各手段の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。
【0018】
さらに、本発明に係る記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、ユーザのコミュニケーション能力やコミュニケーション技術を高めるための、ネットワークを利用したコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムで実行される各処理を示すフローチャートである。
【
図4】コミュニケーション能力を高めるトレーニングツールとして配信されるスライドの例を示す図である。
【
図5】ユーザへのフォローアップの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムの実施の形態を説明する。
【0022】
[システムの構成概要]
図1は、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムの全体構成を示す図である。コンテンツサーバ2には動画、スライド、音声等のコンテンツデータ(画像データや音声データ)が格納されており、インターネットなどのネットワーク1に管理サーバ3が接続している。このシステムの利用者は、マイク付きのパーソナルコンピュータやタブレットやスマートフォンといったユーザ端末4により、ネットワーク1を介して管理サーバ3と通信する。コンテンツサーバ2は、色々な動画、スライド、音声等のコンテンツデータを記憶しており、必要に応じ内容が更新されるようになっている。このシステムのユーザは、ユーザ端末4から、コンテンツサーバ2に格納されている特定のコンテンツの配信を管理サーバ3に対して要求する。この配信要求を受け付けた管理サーバ3は、要求されたコンテンツをユーザ端末4に配信し、ユーザの視聴を可能とする。
【0023】
図2は、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える管理サーバ3の構成例を示すブロック図である。管理サーバ3は、ネットワーク1を介してユーザ端末4と送受信する通信手段31と、ユーザのIDやパスワード、ユーザからのコンテンツ送信要求記録、音声記録、フォローアップ記録などのユーザ情報をデータとして記憶し管理するユーザ情報管理手段32と、ユーザ端末4からの送信要求に応じてコンテンツサーバ2から送信要求された特定のコンテンツデータを通信手段31を介してユーザ端末4に配信するコンテンツ配信手段33と、ユーザがユーザ端末4に配信されたコンテンツの視聴を始めると視聴中のユーザの音声の録音を開始して記録する音声記録手段34と、音声記録手段34に記録されたユーザ音声データを分析するユーザ音声分析手段35と、このユーザ音声分析手段35による分析結果をユーザに送信するフィードバック配信手段36を備えている。
【0024】
ユーザ情報管理手段32には、ユーザのIDやパスワード、ユーザからのコンテンツ送信要求記録、音声記録、フォローアップ記録などがデータとして記憶されている。これにより、アクセスしてきたユーザが会員登録されているか、これまでにどのようなコンテンツを視聴してきたか、過去の会話ではどのような語句を用いる傾向がみられたか、コミュニケーション能力や技術がどのように向上してきたかなどといったことの確認が可能となる。
【0025】
ユーザ音声分析手段35には、会話に用いられる語句が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースが格納されている。ここで肯定的な語句(ポジティブワード)とは、声掛けされる者にとって共感や自律や肯定や尊重などを感じさせる語句であり、否定的な語句(ネガティブワード)とは、声掛けされる者にとって押し付けや否定や比較や過干渉などを感じさせる語句である。ユーザ音声分析手段35は、このようなキーワード分類データベースを参照して、ユーザ音声データ中のキーワードをポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定し、その判定結果を、通信手段35を介してユーザ端末4に送信してユーザにフィードバックする。
【0026】
上述のポジティブワードとネガティブワードは、語句が与える効果や影響の観点に基づいた複数のカテゴリに区分されてキーワード分類データベースに格納するようにしてもよい。例えば、コミュニケーションの相手に、「共感」を感じさせる語句や、他者からの支配や制約などを受けていない「自律」を感じさせる語句や、自分が「肯定」されていると感じさせる語句や、「尊重」されていることを感じさせる語句などを、ポジティブワードとして、「共感」、「自律」、「肯定」、「尊重」といった複数のカテゴリに区分してキーワード分類データベースに格納する。同様に、コミュニケーションの相手に「押し付け」を感じさせる語句や、自分が「否定」されていると感じさせる語句や、他者と「比較」されていることを感じさせる語句や、相手に信頼されていないのではないかと感じさせるような「過干渉」な語句などを、ネガティブワードとして、「押し付け」、「否定」、「比較」、「過干渉」といった複数のカテゴリに区分してキーワード分類データベースに格納する。
【0027】
このように、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムは、動画、スライド、音声等のコンテンツデータを格納したコンテンツサーバと、ネットワークに接続された管理サーバと、この管理サーバと前記ネットワークを介して通信するユーザ端末とからなり、前記管理サーバは、ネットワークを介して前記ユーザ端末と送受信する通信手段と、ユーザ情報を管理するユーザ情報管理手段と、前記ユーザ端末からの送信要求に応じて前記コンテンツサーバから特定のコンテンツデータを前記ユーザ端末に配信するコンテンツ配信手段と、ユーザが前記ユーザ端末に配信されたコンテンツの視聴を始めると視聴中のユーザの音声の録音を開始して記録する音声記録手段と、前記音声記録手段に記録されたユーザ音声データを分析するユーザ音声分析手段と、該ユーザ音声分析手段による分析結果を前記ユーザに送信するフィードバック配信手段と、を備え、前記ユーザ音声分析手段には、会話に用いられる言葉が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースが格納されており、前記ユーザ音声分析手段は、前記キーワード分類データベースを参照して、前記ユーザ音声データ中のキーワードをポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定し、その判定結果を前記ユーザ端末に送信してユーザにフィードバックするシステムとされている。なお、
図2に示した管理サーバ3は、上記各手段に加え、AI手段37とフォローアップ手段38を備えている。
【0028】
AI手段37は、音声記録手段34に記録されたユーザ音声データなどを解析して、会話で用いられる語句のポジティブワードとネガティブワードの分類を人工知能によりを行う手段である。このAI手段37は、ユーザ音声分析手段35に格納されているキーワード分類データベースを更新して、データベースに蓄積されるポジティブワードとネガティブワードの豊富化を図る。
【0029】
フォローアップ手段38は、上述のフィードバック結果に関するユーザからの質問等を受け付ける手段である。例えば、フィードバックの結果に疑問があるような場合、ユーザはその疑問を質問というかたちで問い合わせることができる。また、このフォローアップ手段38は、例えば、ユーザから送信された日常会話等の録音データを受信し、ユーザ音声分析手段35に、録音データ中のキーワードを、ポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定させ、その判定結果を通信手段31を介してユーザ端末4に送信してユーザにフィードバックさせるようにすることもできる。
【0030】
このようなユーザへのフィードバックには、例えば、音声記録手段34に記録されたユーザ音声データ中のネガティブワード、すなわち、ユーザが会話で用いたネガティブワードのポジティブワードへの変換例を含ませることができる。このような変換例の提供を受けたユーザは、自らが会話でどのようなネガティブな言葉を用いがちであるかの気づきの機会が与えられるだけではなく、どのようなポジティブワードを用いることで会話の相手に良い印象等を与えることができるようになるのかを学習することができる。
【0031】
このようなフィードバックに加え、ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例に関するコメントを含ませてもよい。例えば、「ダメだよ」というネガティブワードを「いいね」というポジティブワードに変換する例に関し、「ダメだよと言われた子供は、正解やルールを強要されたように感じて萎縮したり、失敗や間違いを恐れるようになる傾向があります。」といったようなコメントとともに、「こうしたほうがいいと思うよ。」などの言い換え例を付けてフィードバックするといった具合である。
【0032】
図3は、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムで実行される各処理を示すフローチャートである。
【0033】
ユーザは、サービス提供者の開設するWEBページなどにアクセスして、所望するコンテンツの配信を要求する。例えば、WEBページには、コンテンツサーバ2に格納されている配信可能なコンテンツのリストが、育児、遊び、学校教育、ビジネス、医療・介護などといったジャンルごとに分類されて表示される。ユーザは、興味のあるジャンルに列挙されているコンテンツリストの中から、配信を希望するコンテンツを選択して配信要求する。
【0034】
管理サーバ3はユーザからのコンテンツ配信要求を受け取り(S301)、ユーザにIDやパスワードの入力を要求し、入力されたユーザ情報をユーザ情報管理手段32で照合するなどした後、コンテンツサーバ2に格納されている配信要求された特定のコンテンツを選択し(S302)、通信手段31を介してユーザ端末4に配信する(S303)。このようなコンテンツは、動画やスライドなどの画像データや、それらの画像データに対応付けられた音声データであってよい。
【0035】
ユーザが配信されたコンテンツのスタートボタンをクリックすると、管理サーバ3はユーザ側でのコンテンツの視聴が開始されたと判断し(S304)、ユーザ端末4のマイクロフォンから集められるユーザ側の音声の録音を開始し(S305)、視聴が終了するまで音声録音を継続し、録音されたユーザ音声データは音声記録手段に記録される(S306)。
【0036】
ユーザ音声分析手段35は、ユーザ音声データを分析してユーザ音声データの中からキーワードを抽出し(S307)、会話に用いられる言葉が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースを参照して、抽出したキーワードがポジティブワードであるかネガティブワードであるかを判定する(S308)。
【0037】
判定結果は評価シートとして纏められ(S309)、通信手段35を介してユーザ端末4に送信されることでユーザにフィードバックする(S310)。
【0038】
このようなフィードバックを受けたユーザは、自らの会話を客観的に振り返る機会が与えられ、より好ましいコミュニケーションをとるにはどのような語句を用いればよいのかを学ぶこととなる。例えば、育児中の母親であれば、自分が無意識のうちに、つい否定的な言葉で子供に声掛けをしていることの気付きの機会が与えられ、そのような否定的な言葉ではなくより肯定的な言葉で声掛けするように心がけるようになる。
【0039】
このような本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムは、組織の意思疎通の円滑化による組織連携強化や管理職が部下への声掛けを円滑に行えるようにするための社内教育、教育の場において教師が学童や学生へ適切な言葉掛けができるようにするためのコミュニケーショントレーニング、医師、看護師や介護士などの医療関係者が、患者や介護サービス利用者に対して治療やリハビリへの意欲を湧かせる言葉掛けができるようにするための研修のツールといった様々な利用が可能である。
【0040】
上述したコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える各手段の機能はコンピュータにより実現され、そのようなコンピュータは、コミュニケーションレビュー・フィードバックシステムが備える各手段の機能をコンピュータに実現させるプログラムを実行する。
【0041】
そのようなプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0042】
以下に、実施例により、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムをより具体的に説明する。
【実施例0043】
本実施例では、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムを、子供の自己肯定感を高めるためのコミュニケーション能力を高めるトレーニングツールとして利用する態様として説明する。
【0044】
近年では、子育てに関して多くの情報が飛び交い、迷いながら子育てをしている人が増えている。「自己肯定感」は、自分は価値のある人間であると思える感覚であり、勉学や人間関係の形成に必要な力の土台となるものである。感性と想像力が豊かな幼児期にこそ、脳を鍛え、自己肯定感を高めておくことが大切である。その観点から、生まれてから6歳までの時期は、才能の芽を開花させるための基礎づくりの時期といえる。「自分はこんな人間だ」という自己イメージは80%が幼児期に形成されると考えられているが、この自己イメージの殆どは親の影響によってかたちづくられるから、親から子供への言葉掛けがとても重要になってくる。
【0045】
親が子供に「あなたは〇〇だ。」と言葉がけすると、子供は「ああ、自分は〇〇なのか。」と自己のイメージを形成してゆく。したがって、子供には、良い自己イメージが育まれてゆくように、否定的な言葉や表現ではなく、肯定的な言葉や表現を使うことが大切である。「子供を認める言葉」を「OK言葉」(ポジティブワード)、「子供を否定する言葉」を「NG言葉」(ネガティブワード)と定義づけると、日常生活の中で親がつい使いがちなNG言葉をOK言葉に変えることで、子供はストレートにそのOK言葉を吸収し、潜在意識にストックしてゆく。
【0046】
例えば、幼稚園の発表会の本番のお遊戯で踊りを間違えた子供に対して、「今日は大事なところで間違えて残念だったね。」と言葉がけすれば、それは「残念だった」というNG言葉の声がけにより失敗体験として潜在意識にストックされる。一方、「今日は大事なところで間違えちゃったけど最後まで舞台で踊って頑張ったね。」と言葉掛けすれば、それは「頑張った」というOK言葉の声掛けにより成功体験として潜在意識にストックされる。このようなOK言葉を日常的にかけてもらえた子供は、自分の存在が認められていると実感し、自己肯定感が育まれ、この自己肯定感が自信とやる気に繋がってゆく。
【0047】
図4は、コミュニケーション能力を高めるトレーニングツールとして配信されるスライドの例を示す図である。
【0048】
ユーザがトレーニングツールの提供者が開設するWEBページなどにアクセスすると、管理サーバ3は、ユーザにIDやパスワードの入力を要求し、入力されたユーザ情報をユーザ情報管理手段32で照合などする。この照合の後、管理サーバ3は、ユーザ端末4に、コンテンツサーバ2に格納されている配信可能なコンテンツのリストを表示させる。ユーザは、このリストにある様々なコンテンツの中から、配信を希望するコンテンツを選択する。ここに示した例では、ユーザは、コンテンツリストにある「料理」の分野の中から、「おうちの人と一緒にカレーを作ろう!」というタイトルのスライドの配信を要求している。管理サーバ3は、この配信要求を受け、コンテンツサーバ2に格納されている配信要求されたコンテンツである「おうちの人と一緒にカレーを作ろう!」というタイトルのスライドを選択し、通信手段31を介してユーザ端末4に配信する。
【0049】
ユーザが、配信されたコンテンツのスタートボタンをクリックすると、管理サーバ3はユーザ側でのコンテンツの視聴が開始されたと判断し、ユーザ端末4のマイクロフォンから集められるユーザ側の音声の録音を開始する。この自動録音は、ユーザ側の視聴が終了するまで継続され、録音されたユーザ音声データは音声記録手段34に記録される。
【0050】
図4に示した例では、「おうちの人と一緒にカレーをつくろう!」というタイトルのトレーニングツールは6枚のスライドから構成されており、何れのスライドにも音声データが対応付けられている。1枚目のスライド(
図4(a))には、このコンテンツのタイトル「おうちの人と一緒にカレーを作ろう!」が表示されるとともに、スタートボタンをクリックすると、「さあ、おうちの人と一緒にカレーを作ってみようね!」といった音声が流れる。ユーザ側で、「じゃあ、始めるよ!」(親)、「うんいいよ。楽しそうだね!」(子供)などといった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表1参照)。
【0051】
2枚目のスライド(
図4(b))には「食材を選んでみよう!」と表示がされるとともに、「カレーを作るのに必要な食材は何かな?おうちの人と相談しながら食材を選んでみよう!」などといった音声が流れる。ユーザ側で、「どんな食材がいいかな?どう思う?」(親)、「分かんないよ。ママが決めてよ。」(子供)、「自分で考えてみないとダメでしょう!」(親)、「うーん。。。」(子供)、「もう、仕方がないなー。まずはカレーのルーとお肉でしょ。それから、野菜は、玉ねぎと人参とじゃが芋がいるわね。お肉と野菜を冷蔵庫から出してくれる?」(親)、「お肉はどこ?野菜は?」(子供)、「お肉は上の冷蔵室の下の方。野菜は野菜室にあるでしょ。」(親)、「野菜室ってどこ?」(子供)、「下から2段目よ。」(親)、「お肉は豚肉と鶏肉があるけどどっちなの?」(子供)、「自分で決めていいよ。」(親)、「ママが決めてよ。」(子供)、「また?自分で決めなさいよ!」(親)、「うーん。。。」(子供)、「じゃあ豚肉でいいよ。全部ママが決めてるじゃない。少しは自分で決めないとダメなのよ。」(親)といった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表2参照)。
【0052】
3枚目のスライド(
図4(c))には「料理の手順を決めよう!」と表示がされるとともに、「カレーを作るにはどんなことが必要かな?おうちの人と相談しながら手順を決めよう!」などといった音声が流れる。ユーザ側で、「野菜は洗うの?」(子供)、「玉ねぎも人参もじゃが芋も、皮をむいてからね。」(親)、「お肉は洗うの?」(子供)、「お肉を洗うわけないでしょ。」(親)、「野菜はどうやって切ればいいの?」(子供)、「どうやって切ると思う?」(親)、「分からないよ。」(子供)、「難しいよね。あのね、玉ねぎは皮をむいて半分に切った後に1cmくらいの幅に切るのよ。」(親)、「人参は?」(子供)、「人参は皮をむいてから一口くらいの大きさに切るのよ。」(親)、「じゃあ、じゃが芋は?」(子供)、「どうすればいいと思う?」(親)、「分からないよ。」(子供)、「人参と同じように切ればいいのよ。ただ、じゃが芋はあく抜きってゆうのがいるのよ。一口くらいの大きさに切ったら水の中に3分くらい漬けておくのよ。」(親)、「お肉も切るの?」(子供)、「当たり前でしょ!」(親)、「どうやって?」(子供)、「野菜と同じように切るに決まってるでしょ。」(親)、「ふーん。」(子供)、「切った野菜とお肉はどうすればいいと思う?」(親)、「分からないよ。」(子)、「まず、フライパンで玉ねぎと人参を強火で炒めて、玉ねぎが柔らかくなったら中火にしてお肉を入れて炒めるの。」(親)、「じゃが芋は?」(子)、「じゃが芋は後からね。鍋に水を入れて、そこに炒めた玉ねぎと人参とお肉を入れて強火で炊いてゆくの。暫くしてから、そこにじゃが芋を入れて煮込むのよ。」(親)、「カレーのルーはいつ入れるの?」(子)、「じゃが芋を入れて煮込んだ後に入れるのよ。」(親)、「それで終わり?」(子)、「弱火で煮込んでとろみが出てきたら出来上がりよ。」(親)、といった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表3参照)。
【0053】
4枚目のスライド(
図4(d))には「カレーを作ってみよう!」と表示がされるとともに、「手順は決まったかな?いよいよカレーを作ってみよう!」などといった音声が流れる。ユーザ側で、「野菜はどうやって洗うの?」(子供)、「さっき教えたばかりでしょ!玉ねぎも人参もじゃが芋も、皮をむいてからでしょ。」(親)、「野菜はどうやって切ればいいの?」(子供)、「それもさっき教えたでしょ!玉ねぎは半分に切った後に1cmくらいの幅に切るのよ。人参とじゃが芋は一口くらいの大きさに切るのよ。お肉も同じようにね。」(親)、「このくらいの大きさでいいの?」(子供)、「違うでしょう。それじゃ大きすぎるでしょう!その半分くらいにしなさい。」(親)、「全部切り終わったよ。」(子供)、「よくできたね。頑張ったね。」(親)、「じゃあ玉ねぎとじゃが芋を炒めるね。」(子供)、「フライパンには油をひいたの?」(親)、「油?」(子供)、「サラダ油よ!」(親)、「ううん。」(子供)、「油をひかなきゃダメでしょ!」(親)、「ふーん。」(子供)、「玉ねぎが柔らかくなったから、そろそろお肉を炒めてね。」(親)、「お肉も炒めたから、次は鍋に水を入れて煮込むんだよね。」(子供)、「そろそろじゃが芋を入れて煮込んでもよさそうよ。」(親)、「あー。じゃが芋のあく抜き忘れちゃった!」(子供)、「仕方ないなー。」(親)、「じゃあ、このままじゃが芋を入れて煮込むね。」(子供)、「そろそろカレーのルーを入れてもよさそうよ。」(親)、「じゃあ入れるね。」(子供)、「とろみが出てきたよ。」(親)、「完成!」(子供)、といった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表4参照)。
【0054】
5枚目のスライド(
図4(e))には「作ったカレーを食べてみよう!」と表示がされるとともに、「カレーはちゃんとできたかな?作ったカレーをおうちの人と一緒に食べてみよう!」などといった音声が流れる。ユーザ側で、「さあできたよ。楽しいね。」(親)、「うん楽しい。お皿に入れて!」(子供)、「自分の分は自分でしなさい。」(親)、「スプーンは?」(子供)、「食器棚の右の引き出しの中よ。」(親)、「おいしいかな?」(子供)、「どうかなー。じゃが芋のあく抜き忘れたからなー。」(親)、「・・・」(子供)、「おいしい?」(親)、「おいしいと思うよ。」(子供)、「はじめてにしては上出来かもね。」(親)、「おいしくはないの?」(子供)、「もう少し煮込んだ方が良かったかもね。」(親)、「ふーん。」(子供)、といった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表5参照)。
【0055】
6枚目のスライド(
図4(f))には「作ったカレーについておうちの人と話してみよう!」と表示がされるとともに、「カレーはおいしかったかな?作ったカレーについておうちの人と話してみよう!」などといった音声が流れる。ユーザ側で、「はじめて料理したよ!」(子供)、「楽しかった?」(親)、「とっても楽しかったよ。でも、じゃが芋のあく抜き忘れたから失敗かな?」(子供)、「そうね。」(親)、「・・・」(子供)、「こんどは失敗しないようにしようね。」(親)、「うん。」(子供)、「また一緒に何か作ろうか。」(親)、「うん。こんどはオムライス作ってみたいな!」(子供)、といった会話がなされると、この会話が管理サーバ3に記録される(表6参照)。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
ユーザ音声分析手段35は、ユーザ音声データを分析してユーザ音声データの中からキーワードを抽出する。このキーワードの抽出は、会話に用いられる言葉が肯定的な語句と否定的な語句に分類されてポジティブワードとネガティブワードとして記憶されたキーワード分類データベースを参照して行われる。表7は、キーワード分類データベースに格納されたポジティブ(肯定)ワードとネガティブ(否定)ワードの分類例である。このようなポジティブ(肯定)ワードやネガティブ(否定)ワードには、肯定的な単語や否定的な単語のみではなく、肯定的な会話フレーズ(肯定的会話フレーズ)や否定的な会話フレーズ(否定的会話フレーズ)も含まれる。すなわち、本明細書で「ワード」というとき、単語だけではなくフレーズ(句)も包含する意味で用いられている。また、これらのポジティブ(肯定)ワードとネガティブ(否定)ワードは、ネガティブ(否定)ワードをポジティブ(肯定)ワードに言い換え可能なように、対応付けがなされている。
【0063】
【0064】
なお、上述したように、ポジティブワードとネガティブワードは、語句が与える効果や影響の観点に基づいた複数のカテゴリに区分されてキーワード分類データベースに格納するようにしてもよい。
【0065】
例えば、表7に示したキーワード分類データベースに格納されたポジティブ(肯定)ワードとネガティブ(否定)ワードの分類例では、「こうしたいんだよね」、「痛かったね」、「難しいよね」などの語句は、相手の気持ちを受けとめてその気持ちを消化する語句として「共感」というカテゴリに区分される。また、「楽しいね」、「ありがとう」、「ごめんね」などの語句は、自分の気持ちを表現することで相手の発言ハードルを下げる語句として「自律」というカテゴリに区分される。また、「いいね」、「素敵だね」、「なるほどね」などの語句は、相手を認めることで発言に対する安心感を与える語句として「肯定」というカテゴリに区分される。さらに、「どう思う?」などの語句は、相手の意見を聞くことで信頼を与える語句として「尊重」というカテゴリに区分される。
【0066】
一方、「~しなさい」などの語句は、正解やルールを強要することで相手を萎縮させる語句として「押し付け」というカテゴリに区分される。また、「違うでしょう」などの語句は、意見を受け入れないことにより失敗や間違いを恐れるようになる語句として「否定」というカテゴリに区分される。また、「(誰々)はできてるよ」などの語句は、他人と比較することで判断軸が他者からの評価になる語句として「比較」というカテゴリに区分される。さらに、「~がやってあげる」などの語句は、場面に応じてはチャレンジの機会を奪うことで信頼されていないと感じるようになる語句として「過干渉」というカテゴリに区分される。
【0067】
このようにしてユーザ音声分析手段35により抽出されたキーワードは、上述のキーワード分類データベースを参照して、ポジティブワードであるかネガティブワードであるかが判定される。例えば、上記の親子の会話例の場合、子供の行為を否定するワードである「ダメ」というネガティブワードが頻繁に用いられている。また、「仕方がない」というワードも、子供は自分の行為が否定されたように感じるからネガティブワードである。また、「野菜は野菜室にあるでしょ。」「お肉を洗うわけないでしょ。」「当たり前でしょ!」「野菜と同じように切るに決まってるでしょ。」などといった言い方をされると、子供としては否定されたように感じるからこのようなフレーズもネガティブワードである。一方、「自分で決めていいよ。」「どうすればいいと思う?」「また一緒に何か作ろうか。」といった声がけは、子供が自分で判断することを促す声がけであるからポジティブワードである。
【0068】
このような判定結果は評価シートとして纏められ、通信手段35を介してユーザ端末4に送信されることでユーザにフィードバックされる。そのような評価シートには、会話でどのようなポジティブワードやネガティブワードが用いられていたかということのほか、コミュニケーション総数、ポジティブワードとネガティブワードの使用頻度(割合比率)、使用されたポジティブワードおよびネガティブワードのカテゴリ別の使用頻度の数値データ、これらの数値データを過去のデータと比較した結果、さらに、ネガティブワードを用いてなされた会話をポジティブワードを用いて言い換える例やコメントなどを付すことができる。
【0069】
例えば、「ダメ」というネガティブワードにつき、「ダメと言われた子供は、正解やルールを強要されたように感じて萎縮したり、失敗や間違いを恐れるようになる傾向があります。」といったようなコメントとともに、「・・・したほうがいいと思うよ。」などの言い換え例を付すことができる。また、「自分で決めていいよ。」というポジティブワードにつき、「子供の意見や判断を尊重する声がけは子供に信頼感を感じさせますね。」といったようなコメントを付したりすることができる。つまり、本発明におけるフィードバックには、ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例や、ユーザ音声データ中のネガティブワードのポジティブワードへの変換例に関するコメントを含ませることができる。
【0070】
このようなフィードバックを受けたユーザは、日常的な子供との会話の内容を客観的に見直す機会が与えられることとなる。上記の例の場合、自分は無意識のうちに、つい「ダメ」といった否定的な言葉で子供に声掛けしがちであることに気付き、そのような否定的な言葉ではなく、なるべく肯定的な言葉で声掛けするように心がけるようになる。
【0071】
なお、本発明のシステムにフォローアップ手段38を設けておくと、フィードバックについての質問等に限らず、フィードバックを受けたユーザが、自分の会話の内容が否定的なものから肯定的なものへと変化してコミュニケーション能力が向上しているかどうかをチェックすることもできる。
【0072】
図5は、ユーザへのフォローアップの一例を示すフローチャートである。例えば、上記フードバックを受けたユーザが、子供との日常会話を録音し(S311)、その音声の録音データを管理サーバ3に送信する(S312)。管理サーハ゛3はこの録音データを受信し(S313)て記録したうえで(S314)、ユーザ音声分析手段35に分析させ(S315)、録音データ中のキーワードを、ポジティブワード若しくはネガティブワードとして判定させ(S316)、評価シートとして纏め(S317)、評価の結果をユーザ端末4に送信してユーザに再度フィードバックさせる(S318)といったことが可能となる。このようなフォローアップを受けたユーザは、自らのコミュニケーション能力の向上を実感できる。
【0073】
上記実施例では、本発明に係るコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムを、子供の自己肯定感を高めるためのコミュニケーション能力を高めるトレーニングツールとして説明したが、本発明はこれに限られず、人が人に対して円滑で良好なコミュニケーションを図ることを支援するためのシステムとしての利用が可能である。
【0074】
例えば、組織の意思疎通の円滑化による組織連携強化や管理職が部下への声掛けを円滑に行えるようにするための社内教育、教育の場において教師が学童や学生へ適切な言葉掛けができるようにするためのコミュニケーショントレーニング、医師、看護師や介護士などの医療関係者が、患者や介護サービス利用者に対して治療やリハビリへの意欲を湧かせる言葉掛けができるようにするための研修のツールといった様々な利用が可能である。
本発明により、ユーザのコミュニケーション能力やコミュニケーション技術を高めるための、ネットワークを利用したコミュニケーションレビュー・フィードバックシステムの提供が可能となる。