(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005330
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】監視システム、及び操作器
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20230111BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20230111BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H04L12/28 400
G05B19/05 L
H04Q9/00 301C
H04Q9/00 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107160
(22)【出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東出 功一
(72)【発明者】
【氏名】金子 茉里奈
【テーマコード(参考)】
5H220
5K033
5K048
【Fターム(参考)】
5H220AA09
5H220BB11
5H220CC09
5H220CX05
5H220JJ12
5H220JJ50
5K033AA02
5K033BA08
5K033CA15
5K033DA01
5K033DA11
5K033DB16
5K033EA03
5K048AA08
5K048BA51
5K048CB01
5K048DA09
5K048DC03
5K048EB02
5K048EB03
(57)【要約】
【課題】 操作器による通信に起因するトラフィックへの影響を抑制しつつ、操作器が操作を受け付けた場合の応答性の悪化も抑制可能とする。
【解決手段】 汎用コントローラ1は、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を取得する取得部13と、取得部13により取得された操作器60の総数を、少なくともシリアル通信線30Aに接続されている操作器60に送信する送信部14と、を備える。操作器60は、汎用コントローラ1の送信部14から送信された操作器60の総数を受信する受信部61と、受信部61により受信された操作器60の総数に基づいて、自機が汎用コントローラ1にアクセス可能な周期を算出する周期算出部62と、周期算出部62により算出された周期に従って、汎用コントローラ1にアクセスするアクセス部63と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、
シリアル通信線により前記コントローラにデイジーチェーン接続された1台以上のデバイスと、を含んで構成された監視システムであって、
前記デバイスのうち少なくとも1台は、前記コントローラにアクセス可能な操作器で構成され、
前記コントローラは、
前記シリアル通信線に接続されている前記操作器の総数を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記操作器の総数を、少なくとも前記シリアル通信線に接続されている操作器に送信する送信部と、を備え、
前記操作器は、
前記コントローラの送信部から送信された前記操作器の総数を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記操作器の総数に基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する周期算出部と、
前記周期算出部により算出された周期に従って、前記コントローラにアクセスするアクセス部と、
を備えた監視システム。
【請求項2】
前記周期算出部は、
前記受信部により受信された前記操作器の総数が多いほど、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を長く算出することを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記コントローラの取得部は、前記シリアル通信線に接続されている前記デバイスの総数をさらに取得し、
前記コントローラの送信部は、前記取得部により取得された前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を、少なくとも前記シリアル通信線に接続されている操作器に送信し、
前記操作器の受信部は、
前記コントローラの送信部から送信された、前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を受信し、
前記操作器の周期算出部は、
前記受信部により受信された前記操作器の総数及び前記デバイスの総数に基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記操作器は、
ユーザの指示に応じて、自機が監視の対象とするエリアの数を示すエリアタイプを設定するエリア設定部を備え、
前記操作器の周期算出部は、
前記受信部により受信された前記操作器の総数及び前記デバイスの総数と、前記エリア設定部により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する
ことを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記取得部により取得された前記操作器の総数及び前記デバイスの総数に基づいて、当該各総数の情報を含む合成値を生成する生成部を備え、
前記コントローラの送信部は、
前記生成部により生成された合成値を、前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を示す値として、少なくとも前記シリアル通信線に接続されている操作器に送信し、
前記操作器の受信部は、前記コントローラの送信部から送信された合成値を受信し、
前記操作器の周期算出部は、前記受信部により受信された合成値を変換して、前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を導出し、
当該導出した前記操作器の総数及び前記デバイスの総数に基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する
ことを特徴とする請求項3記載の監視システム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記取得部により取得された前記操作器の総数及び前記デバイスの総数に基づいて、当該各総数の情報を含む合成値を生成する生成部を備え、
前記コントローラの送信部は、
前記生成部により生成された合成値を、前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を示す値として、少なくとも前記シリアル通信線に接続されている操作器に送信し、
前記操作器の受信部は、前記コントローラの送信部から送信された合成値を受信し、
前記操作器の周期算出部は、前記受信部により受信された合成値を変換して、前記操作器の総数及び前記デバイスの総数を導出し、
当該導出した前記操作器の総数及び前記デバイスの総数と、前記エリア設定部により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する
ことを特徴とする請求項4記載の監視システム。
【請求項7】
前記生成部は、
前記取得部により取得された前記操作器の総数と前記デバイスの総数とをそれぞれ16進数に変換し、当該16進数に変換した前記操作器の総数を上位1バイトとし、当該16進数に変換した前記デバイスの総数を下位1バイトとして合成して得た2バイトの値を10進数に変換することで、合成値を生成することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
シリアル通信線により、コントローラにデイジーチェーン接続された1台以上のデバイスのうちの少なくとも1台を構成する操作器であって、
自機が接続されている前記シリアル通信線と同一のシリアル通信線に接続されている操作器の総数を取得する取得部と、
前記取得部により取得された操作器の総数に基づいて、自機が前記コントローラにアクセス可能な周期を算出する周期算出部と、
前記周期算出部により算出された周期に従って、前記コントローラにアクセスするアクセス部と、
を備えた操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視システム、及び当該監視システムを構成する操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルオートメーションシステムでは、オープンプロトコルであるBACnet(Building Automation and Control Network)通信が広く普及している(例えば特許文献1)。BACnet通信で使用される通信プロトコルとしては、イーサネット上でBACnetサービスを通信するための「BACnet IP」プロトコルと、データ伝送の物理層にRS485を使用する「BACnet MS/TP(Master Slave Token Passing)」プロトコルとが知られている。このうち、「BACnet MS/TP」プロトコルは、マスタスレーブ通信方式とトークンパッシング通信方式との2つの通信方式を組み合わせて通信を行うプロトコルである。
【0003】
BACnet MS/TPプロトコルでは、物理層であるRS485通信の規約によって、マスタノードである汎用コントローラ(ジェネラルコントローラ)と、スレーブノードであるセカンダリデバイス(フィールド機器)とが、シリアル通信線(MSTPライン)を介してデイジーチェーン方式(いわゆる数珠つなぎ)で接続される。汎用コントローラは、シリアル通信線が接続可能な2つのポート(第1のポート及び第2のポート)を備えており、それぞれのポートにシリアル通信線が接続されている。そして、汎用コントローラは、それぞれのシリアル通信線を介して、各シリアル通信線に接続されたセカンダリデバイスの状態を監視している。
【0004】
具体的には、このシステムでは、ネットワーク上をトークン(通信権)がシリアルアドレス順に巡回し、このトークンを獲得したノードが他のノードとの通信を行うことができる。汎用コントローラは、トークンを獲得したタイミングで、各シリアル通信線上に接続されたセカンダリデバイスの状態情報を取得する(スキャン)ことにより、セカンダリデバイスの状態を監視する。このとき、汎用コントローラは、セカンダリデバイスの状態を監視するマスタノードとして、主体的に通信を行うことが必要である。一方で、セカンダリデバイスは、汎用コントローラによる通信の妨げとならないようにするため、トークンを獲得しても、自発的に通信を行う回数を最小限にすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、セカンダリデバイスは、その一部が操作器で構成される場合がある。操作器は、例えばビル等の建物の居室内に設置され、当該居室を空調可能なセカンダリデバイス(例えば空調機)のON/OFFを切り替えたり、当該居室の温度及び湿度等を表示部に表示する機器である。操作器は、例えばユーザから、空調機を起動(ON)する指示を受け付けると、自ら汎用コントローラにアクセスし、汎用コントローラが保持している空調機のポイント情報(発停情報)を更新することにより、空調機を起動させる。このように、操作器は、ユーザからの操作を受け付けると、BACnet MSTPプロトコルのマルチマスタ機能を利用して、自ら汎用コントローラにアクセスし、汎用コントローラが保持している情報(ポイント情報)を取得又は更新することにより、セカンダリデバイスを間接的に操作する。
【0007】
操作器は、オープンプロトコルであるBACnet通信に対応することで、自社製品だけではなく、BACnet通信をサポートするデバイスのポイント情報の表示及び操作が可能となるように設計されている。一方、操作器は、コストダウンのために、イーサネット上で通信するBACnet IPプロトコルではなく、シリアル通信を行うBACnet MS/TPプロトコルを採用している。したがって、操作器も、他のセカンダリデバイスと同様、汎用コントローラとの間で低帯域のネットワークを共有するため、自発的に通信を行う回数をできるだけ低減しなければならない。そこで、操作器による通信に起因するトラフィックへの影響を抑えるため、操作器が汎用コントローラにアクセスする周期をどのように設定するかが重要となる。
【0008】
ところで、操作器は、同一のシリアル通信線に最大で10台まで接続することができる。そこで、例えば、汎用コントローラに対する操作器のアクセス周期を、同一のシリアル通信線に対する操作器の最大接続台数を見越して設定する方法が考えられる。つまり、同一のシリアル通信線に対し、最大接続台数である10台の操作器が接続されていると仮定して、その場合に、それぞれの操作器が汎用コントローラにアクセスしてもよいと考えられる周期を算出する。そして、算出した周期を各操作器に設定し、当該設定した周期を固定して使用するという方法である。
【0009】
上記の方法で算出したアクセス周期は、同一のシリアル通信線に対する操作器の最大接続台数を見越して算出されたものであるため、各操作器が自発的に汎用コントローラにアクセスする回数は低減する。したがって、各操作器による通信に起因するトラフィックへの影響は抑制可能となる。その一方、当該設定された周期は、同一のシリアル通信線に対する操作器の最大接続台数を見越して算出された周期であるため、各操作器がユーザから何らかの操作を受け付けた場合の応答性が悪化し、ユーザのニーズに対応できなくなるおそれがあった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、操作器による通信に起因するトラフィックへの影響を抑制しつつ、操作器が操作を受け付けた場合の応答性の悪化も抑制可能な監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る監視システムは、コントローラと、シリアル通信線によりコントローラにデイジーチェーン接続された1台以上のデバイスと、を含んで構成された監視システムであって、デバイスのうち少なくとも1台は、コントローラにアクセス可能な操作器で構成され、コントローラは、シリアル通信線に接続されている操作器の総数を取得する取得部と、取得部により取得された操作器の総数を、少なくとも前記シリアル通信線に接続されている操作器に送信する送信部と、を備え、操作器は、コントローラの送信部から送信された操作器の総数を受信する受信部と、受信部により受信された操作器の総数に基づいて、自機がコントローラにアクセス可能な周期を算出する周期算出部と、周期算出部により算出された周期に従って、コントローラにアクセスするアクセス部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、上記のように構成したので、操作器による通信に起因するトラフィックへの影響を抑制しつつ、操作器が操作を受け付けた場合の応答性の悪化も抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る汎用コントローラの構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る操作器の構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る汎用コントローラの動作例を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係る操作器の動作例を説明する図である。
【
図6】実施の形態2に係る汎用コントローラの構成例を示す図である。
【
図7】実施の形態2に係る操作器の構成例を示す図である。
【
図8】実施の形態2に係る汎用コントローラの動作例を説明する図である。
【
図9】実施の形態2に係る操作器の動作例を説明する図である。
【
図10】実施の形態2において、操作器が汎用コントローラから取得するポイント情報(オブジェクト)と、当該ポイント情報を取得するために必要なトランザクション数との関係を、エリアタイプ別に示した表である。
【
図11】ポイント情報を取得するために必要な周期をエリアタイプ毎に示した表である。
【
図12】実施の形態3に係る汎用コントローラの構成例を示す図である。
【
図13】実施の形態3に係る操作器の構成例を示す図である。
【
図14】実施の形態3において、合成値から操作器の総数及びセカンダリデバイスの総数を導出する手順の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る監視システム100の構成例を示す図である。
【0015】
監視システム100は、汎用コントローラ(第1のコントローラ)1と、シリアル通信線30A、30Bにより汎用コントローラ1に接続された1台以上のセカンダリデバイス50とを含んで構成されている。セカンダリデバイス50は、汎用コントローラ1に対し、シリアル通信線30A、30Bを介してデイジーチェーン方式で接続されている。
【0016】
汎用コントローラ1は、シリアル通信線30A、30Bを介してセカンダリデバイス50の状態を監視する。具体的には、汎用コントローラ1は、上記で述べたように、シリアル通信線30が接続可能な2つのポート(第1のポート11及び第2のポート12)を備えており、第1のポート11にシリアル通信線30Aが、第2のポート12にシリアル通信線30Bが、それぞれ接続されている。そして、汎用コントローラ1は、それぞれのシリアル通信線30A、30Bを介して、各シリアル通信線30A、30Bに接続されたセカンダリデバイス50の状態を監視している。なお、ここでは、汎用コントローラ1には2本のシリアル通信線30A、30Bが接続されている例を説明するが、汎用コントローラ1には1本のシリアル通信線(例えばシリアル通信線30A)が接続されていてもよい。
【0017】
また、監視システム100では、上記で述べたように、ネットワーク上をトークン(通信権)がシリアルアドレス順に巡回し、このトークンを獲得したノードが他のノードとの通信を行う。汎用コントローラ1は、トークンを獲得したタイミングで、シリアル通信線30A、30Bに接続された各セカンダリデバイス50の状態情報(生死情報)を取得する(スキャン)ことにより、各セカンダリデバイス50の状態を監視する。また、汎用コントローラ1は、トークンを獲得したタイミングでセカンダリデバイス50にアクセスし、当該デバイス50が保持している状態情報以外の各種情報(以下、保持情報という)を取得する。汎用コントローラ1は、取得した保持情報を、セカンダリデバイス50のポイント情報として管理する。なお、シリアルアドレスは、予めエンジニアにより汎用コントローラ1の2つのポート(第1のポート11及び第2のポート12)、及び各セカンダリデバイス50に割り当てられている。
【0018】
セカンダリデバイス50は、汎用コントローラ1により状態情報又は保持情報が取得される対象となるフィールド機器である。セカンダリデバイス50は、例えば空調制御における可変風量制御装置(Variable Air Volume;VAV)を制御するコントローラ、空調制御におけるファンコイルユニット(Fan Coil Unit;FCU)を制御するコントローラ、及び操作器60等で構成される。このうち、操作器60は、ユーザからの操作を受け付け、当該操作に応じて自ら汎用コントローラ1及び統合コントローラ(第2のコントローラ)80にアクセスすることが可能なデバイスである。
【0019】
なお、統合コントローラ80は、汎用コントローラ1をはじめとする下位のコントローラを統合的に管理する上位コントローラであり、シリアル通信線30A、30Bとは異なる通信線70を介して汎用コントローラ1に接続されている。統合コントローラ80は、汎用コントローラ1が監視の対象とするセカンダリデバイス50(例えば空調機など)のスケジュール情報を保持している。統合コントローラ80は、このスケジュール情報に従い、汎用コントローラ1に対してセカンダリデバイス50のON/OFF(発停)等を指示する。なお、通信線70は、「BACnet IP」プロトコルによるイーサネット通信が可能な通信線であり、統合コントローラ80と汎用コントローラ1とは、通信線70を介してイーサネット通信が可能である。
【0020】
次に、汎用コントローラ1の構成例について説明する。汎用コントローラ1は、
図2に示すように、第1のポート11と、第2のポート12と、取得部13と、送信部14と、受信部15と、応答部16と、転送部17と、記憶部18とを備えている。
【0021】
第1のポート11は、シリアル通信線30Aの端部が接続される物理ポート(端子)である。第2のポート12は、シリアル通信線30Aとは異なるシリアル通信線30Bの端部が接続される物理ポート(端子)である。
【0022】
取得部13は、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数を取得する。例えば、取得部13は、記憶部18に記憶されている接続デバイス情報に基づいて、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を取得する。また、取得部13は、上記接続デバイス情報に基づいて、シリアル通信線30Bに接続されている操作器60の総数を取得する。
【0023】
ここで、接続デバイス情報は、シリアル通信線30A及び30Bを介して汎用コントローラ1にどのようなセカンダリデバイス50が接続されているかを示す情報であり、この情報により、取得部13は、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数を取得することができる。接続デバイス情報は、例えばエンジニアがエンジニアリングツールを用いて予め汎用コントローラ1に入力し、記憶部18に記憶させておく。
【0024】
なお、取得部13による操作器60の総数の取得方法はこれに限られない。例えば、取得部13は、汎用コントローラ1の外部の装置から、シリアル通信線30A及び30Bのそれぞれに接続されている操作器60の総数を読み込むことで、操作器60の総数を取得してもよい。
【0025】
送信部14は、取得部13により取得された、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数を、少なくともシリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60に送信する。
【0026】
その際、送信部14は、BACnetの「COVNotificationサービス」を利用して、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50に対して一斉送信(ブロードキャスト配信)する。同様に、送信部14は、BACnetの「COVNotificationサービス」を利用して、シリアル通信線30Bに接続されている操作器60の総数を、シリアル通信線30Bに接続されているセカンダリデバイス50に対して一斉送信(ブロードキャスト配信)する。
【0027】
なお、送信部14による送信は、予め設定された当該送信の周期(以下、「送信周期」という)に従って行われる。例えば、送信周期が60秒である場合、汎用コントローラ1がトークンを獲得しても、その時点で、送信部14による前回の送信完了時から60秒以上経過していなければ、送信部14は当該トークンを獲得した時点では操作器60の総数の一斉送信は行わない。一方、汎用コントローラ1がトークンを獲得した時点で、前回の送信完了時から60秒以上経過していれば、送信部14は当該トークンを獲得した時点で操作器60の総数を一斉送信する。
【0028】
受信部15は、操作器60の後述するアクセス部63から送信された、自機又は統合コントローラ80に対するアクセス要求を受信する。
【0029】
応答部16は、受信部15により受信されたアクセス要求が、自機に対する要求であった場合に、当該アクセス要求に応答する。例えば、応答部16は、受信部15により受信されたアクセス要求が、自機に対する温度及び湿度、並びにCO2濃度等の取得要求であった場合その応答として、要求された温度及び湿度、並びにCO2濃度等の情報を操作器60に送信する。
【0030】
転送部17は、受信部15により受信されたアクセス要求が統合コントローラ80に対するものであった場合に、当該アクセス要求を通信線70を介して統合コントローラ80に転送する。
【0031】
取得部13、送信部14、受信部15、応答部16、及び転送部17の機能は、例えば汎用コントローラ1が備える不図示のCPU(Central Processing Unit)が、メモリに展開された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0032】
記憶部18は、汎用コントローラ1が使用する各種情報を記憶する。例えば、記憶部18は、取得部13により取得された、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数、及び各デバイスに割り当てられたシリアルアドレスの情報等を記憶する。記憶部18は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリ等で構成される。なお、
図2では、記憶部18が汎用コントローラ1の内部に設けられた場合を示しているが、記憶部18は汎用コントローラ1の外部に設けられていてもよい。
【0033】
次に、操作器60の構成例を
図3に示す。なお、ここでは一例として、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の構成例について説明するが、シリアル通信線30Bに接続されている操作器60の構成例についても同様である。
【0034】
操作器60は、
図3に示すように、受信部61と、周期算出部62と、アクセス部63と、記憶部64と、表示部65とを備えている。
【0035】
受信部61は、汎用コントローラ1の送信部14から送信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数(自機を含む)を受信する。また、受信部61は、汎用コントローラ1の応答部16から送信された情報、すなわち、アクセス部63からのアクセスに対する応答として送信された情報(例えば温度及び湿度、並びにCO2濃度等の情報)を受信する。受信部61は、受信した操作器60の総数、及びアクセス部63からのアクセスに対する応答として受信した情報を記憶部64に記憶してもよい。
【0036】
周期算出部62は、受信部61により受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数に基づいて、自機が汎用コントローラ1にアクセス可能な周期(以下、「アクセス周期」という)を算出する。なお、周期算出部62は、受信部61により受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数が多いほど、アクセス周期を長く算出する。周期算出部62は、算出したアクセス周期を記憶部64に記憶してもよい。
【0037】
アクセス部63は、周期算出部62により算出されたアクセス周期に従い、汎用コントローラ1にアクセスする。
【0038】
例えば、アクセス部63は、トークンを獲得した時点で、前回の汎用コントローラ1に対するアクセス完了時から、アクセス周期が経過しているか否かを確認する。その結果、アクセス周期が経過していれば、アクセス部63は当該トークンを獲得した時点で汎用コントローラ1へアクセス可能となる。一方、当該トークンを獲得した時点でアクセス周期が経過していなければ、アクセス部63は当該トークンを獲得した時点では汎用コントローラ1へアクセスしない。
【0039】
記憶部64は、操作器60が使用する各種情報を記憶する。例えば、記憶部64は、受信部61により受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数、及び、アクセス部63からのアクセスに対する応答として受信部61により受信された情報、並びに、周期算出部62により算出されたアクセス周期を記憶する。記憶部64は、例えばHDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリ等で構成される。なお、
図3では、記憶部64が操作器60の内部に設けられた場合を示しているが、記憶部64は操作器60の外部に設けられていてもよい。
【0040】
表示部65は、受信部61が汎用コントローラ1の応答部16から受信した情報(例えば温度及び湿度、並びにCO2濃度等)を表示する。また、表示部65は、空調機のON/OFFを操作するための画面、あるいは空調機のスケジュール情報を変更するための画面等の各種画面を表示する。
【0041】
次に、
図4を参照しながら、実施の形態1に係る汎用コントローラ1の動作例を説明する。なお、ここでは一例として、汎用コントローラ1がシリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50及び操作器60と通信を行う場合の処理例について説明する。
【0042】
まず、取得部13は、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を取得する(ステップST401)。
【0043】
次に、送信部14は、ステップST401で取得部13により取得された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50及び操作器60に一斉送信し(ステップST402)、処理を終了する。なお、送信部14は、ステップST402において、自機がトークンを獲得しており、かつ前回の操作器60の総数の送信完了時から、送信周期(例えば60秒)を経過している場合に、操作器60の総数の一斉送信を行う。
【0044】
次に、
図5を参照しながら、実施の形態1に係る操作器60の動作例を説明する。なお、ここでは一例として、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の動作例について説明する。
【0045】
まず、受信部61は、汎用コントローラ1の送信部14から送信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数を受信する(ステップST501)。
【0046】
次に、周期算出部62は、受信部61により受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数に基づいて、自機のアクセス周期を算出する(ステップST502)。このとき、周期算出部62は、受信部61により受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数が多いほど、アクセス周期を長く算出する。
【0047】
次に、アクセス部63は、汎用コントローラ1にアクセスし(ステップST503)、処理を終了する。なお、アクセス部63は、ステップST503において、自機がトークンを獲得しており、かつ前回の汎用コントローラ1に対するアクセス完了時から、ステップST502で算出したアクセス周期を経過している場合に、汎用コントローラ1にアクセスする。また、このステップST503における処理は必須ではなく、操作器60(アクセス部63)が汎用コントローラ1に対するアクセスを要する場合(例えば汎用コントローラ1から温度及び湿度等の情報を取得する場合)に実行されればよい。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、監視システム100は、汎用コントローラ1と、シリアル通信線により汎用コントローラ1にデイジーチェーン接続された1台以上のセカンダリデバイス50と、を含んで構成され、セカンダリデバイス50のうち少なくとも1台は、汎用コントローラ1にアクセス可能な操作器60で構成される。
汎用コントローラ1は、シリアル通信線30A、30Bに接続されている操作器60の総数を取得する取得部13と、取得部13により取得された操作器60の総数を、少なくともシリアル通信線30A、30Bに接続されている操作器60に送信する送信部14と、を備える。
操作器60は、汎用コントローラ1の送信部14から送信された操作器60の総数を受信する受信部61と、受信部61により受信された操作器60の総数に基づいて、自機が汎用コントローラ1にアクセス可能な周期を算出する周期算出部62と、周期算出部62により算出された周期に従って、汎用コントローラ1にアクセスするアクセス部63と、を備える。これにより、監視システム100では、操作器60による通信に起因するトラフィックへの影響を抑制しつつ、操作器60が操作を受け付けた場合の応答性の悪化も抑制可能となる。
【0049】
また、監視システム100によれば、操作器60は、自機が接続されているシリアル通信線と同一のシリアル通信線に接続されている操作器60の総数に応じて、アクセス周期を動的に算出するため、エンジニアは操作器60に対して個別に周期の設定作業等を行う必要がなくなる。これにより、エンジニアリング作業の負荷も軽減する。
【0050】
また、周期算出部62は、受信部61により受信された操作器60の総数が多いほど、自機が汎用コントローラ1にアクセス可能な周期を長く算出する。これにより、操作器60は、自機が接続されているシリアル通信線と同一のシリアル通信線に多くの操作器60が接続されている場合に、アクセス可能な周期を長く算出して、トラフィックへの影響を効果的に抑制することができる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1では、操作器60の周期算出部62が、自機が接続されているシリアル通信線と同一のシリアル通信線に対する操作器60の総数に基づいて、自機のアクセス周期を算出する例を説明した。実施の形態2では、周期算出部62が、操作器60の総数に加え、自機が接続されているシリアル通信線と同一のシリアル通信線に接続されているセカンダリデバイス50の総数と、後述のエリアタイプとに基づいて、自機のアクセス周期を算出する例を説明する。
【0052】
図6は、実施の形態2に係る汎用コントローラ1bの構成例を示す図である。実施の形態2に係る汎用コントローラ1bは、実施の形態1に係る汎用コントローラ1に対し、取得部13が取得部13bに変更され、送信部14が送信部14bに変更されている。汎用コントローラ1bのその他の構成については、実施の形態1に係る汎用コントローラ1と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
取得部13bは、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数を取得する。また、取得部13bは、シリアル通信線30A及び30Bに接続されているセカンダリデバイス50の総数を取得する。なお、セカンダリデバイス50の総数には、操作器60の総数が含まれる。また、セカンダリデバイス50の総数は、実施の形態1で説明した接続デバイス情報に基づいて取得可能である。
【0054】
送信部14bは、取得部13bにより取得された、シリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60の総数と、シリアル通信線30A及び30Bに接続されているセカンダリデバイス50の総数とを、少なくともシリアル通信線30A及び30Bに接続されている操作器60に送信する。
【0055】
その際、送信部14bは、実施の形態1の送信部14と同様に、BACnetの「COVNotificationサービス」を利用して、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数及びセカンダリデバイス50の総数を、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50に対して一斉送信(ブロードキャスト配信)する。同様に、送信部14bは、BACnetの「COVNotificationサービス」を利用して、シリアル通信線30Bに接続されている操作器60の総数及びセカンダリデバイス50の総数を、シリアル通信線30Bに接続されているセカンダリデバイス50に対して一斉送信(ブロードキャスト配信)する。
【0056】
なお、送信部14bによる送信は、実施の形態1の送信部14と同様に、送信周期(例えば60秒)に従って行われる。
【0057】
図7は、実施の形態2に係る操作器60bの構成例を示す図である。実施の形態2に係る操作器60bは、実施の形態1に係る操作器60に対し、受信部61が受信部61bに変更され、周期算出部62が周期算出部62bに変更され、エリア設定部66が追加されている。操作器60bのその他の構成については、実施の形態1に係る操作器60と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
なお、ここでは一例として、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの構成例について説明するが、シリアル通信線30Bに接続されている操作器60bの構成例についても同様である。
【0059】
受信部61bは、汎用コントローラ1bの送信部14bから送信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60の総数と、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数とを受信する。
【0060】
エリア設定部66は、ユーザの指示に応じて、エリアタイプを設定する。ここで、エリアタイプとは、操作器60bに予め備えられた設定情報であり、操作器60bが監視の対象とするエリアの数を示す情報である。
【0061】
例えば、エリアタイプには、1エリア、4エリア、及び8エリアという3つのエリアタイプがある。ユーザは、操作器60bにより1つのエリアの監視を行う場合には、エリアタイプを1エリアに設定する。また、ユーザは、操作器60bにより4つのエリアの監視を行う場合には、エリアタイプを4エリアに設定する。同様に、ユーザは、操作器60bにより8つのエリアの監視を行う場合には、エリアタイプを8エリアに設定する。
【0062】
エリアタイプを4エリア、又は8エリアに設定した場合、ユーザは、操作器60bの表示部65に表示された画面から、所望のエリアを1エリアずつ個別に選択して、当該選択したエリアの温度及び湿度等を表示部65に表示させたり、あるいは当該選択したエリアを空調する空調機のON/OFF等を、表示部65を介して指示することができる。
【0063】
周期算出部62bは、受信部61bにより受信された操作器60の総数及びセカンダリデバイス50の総数と、エリア設定部66により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機のアクセス周期(汎用コントローラ1bにアクセスする周期)を算出する。
【0064】
次に、
図8を参照しながら、実施の形態2に係る汎用コントローラ1bの動作例を説明する。なお、ここでは一例として、汎用コントローラ1bがシリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50及び操作器60bと通信を行う場合の処理例について説明する。
【0065】
まず、取得部13bは、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数と、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数とを取得する(ステップST801)。
【0066】
次に、送信部14bは、ステップST801で取得部13bにより取得された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数と、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数とを、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50及び操作器60bに一斉送信し(ステップST802)、処理を終了する。なお、送信部14bは、ステップST802において、自機がトークンを獲得しており、かつ前回の操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数の送信完了時から、送信周期(例えば60秒)を経過している場合に、操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数の一斉送信を行う。
【0067】
次に、
図9を参照しながら、実施の形態2に係る操作器60bの動作例を説明する。なお、ここでは一例として、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの動作例について説明する。
【0068】
まず、受信部61bは、汎用コントローラ1bの送信部14bから送信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数と、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数とを受信する(ステップST901)。
【0069】
次に、周期算出部62bは、受信部61bにより受信された、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数と、エリア設定部66により設定されているエリアタイプとに基づいて、自機のアクセス周期を算出する(ステップST902)。
【0070】
次に、アクセス部63は、汎用コントローラ1bにアクセスし(ステップST903)、処理を終了する。なお、アクセス部63は、ステップST903において、自機がトークンを獲得しており、かつ前回の汎用コントローラ1bに対するアクセス完了時から、ステップST902で算出したアクセス周期を経過している場合に、汎用コントローラ1bにアクセスする。また、このステップST903における処理は必須ではなく、操作器60b(アクセス部63)が汎用コントローラ1bに対するアクセスを要する場合(例えば汎用コントローラ1bから温度及び湿度等の情報を取得する場合)に実行されればよい。
【0071】
次に、周期算出部62bによるアクセス周期の算出例について、自機がシリアル通信線30Aに接続されている場合を例に説明する。
【0072】
まず、周期算出部62bは、エリアタイプが1エリアに設定されている場合での、単位時間あたりのシリアル通信線30Aにおける空きトランザクション数を算出する。
【0073】
ここで、単位時間を30秒とし、シリアル通信線30Aに対するセカンダリデバイス50の最大接続数を50台とした場合を考える。このとき、汎用コントローラ1bは、少なくとも30秒に2回の割合で、シリアル通信線30Aに接続されている最大50台のセカンダリデバイス50の状態情報を取得(スキャン)する。したがって、周期算出部62bは、単位時間(30秒)あたりのシリアル通信線30Aにおける空きトランザクション数Trを式(1)により算出することができる。
Tr=(50-X)×2+Y (1)
なお、式(1)において、Xはシリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数、Yはシリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数である。
【0074】
次に、周期算出部62bは、アクセス周期Tminを式(2)により算出する。
Tmin=30/(Tr/Y) (2)
つまり、周期算出部62bは、式(1)で算出した空きトランザクション数Trを、操作器60bの総数Yで割ることで、1台あたりの操作器60bが使用することのできる空きトランザクション数を得る。そして、単位時間(30秒)をこの値で割ることで、1台あたりの操作器60bが1トランザクションを使用できる時間間隔、すなわちアクセス周期を得ることができる。
【0075】
なお、上記式(2)で算出したアクセス周期Tminは、エリアタイプが1エリアに設定されている場合のアクセス周期である。一方、エリアタイプが4エリア、又は8エリアに設定されている場合は、操作器60bは、複数のエリア分の情報を汎用コントローラ1bから取得する必要がある。しかしながら、MS/TPプロトコルにおいて1回の通信で送受信できるメッセージ長には制限があり、必要なすべての情報を汎用コントローラ1bから取得するためには、操作器60bは、汎用コントローラ1bとの間で複数回の通信を行う必要がある。
【0076】
このように、汎用コントローラ1bとの間で複数回の通信を行う場合、アクセス周期は、エリアタイプが1エリアに設定されている場合よりも長くする必要がある。そこで、エリアタイプが4エリア又は8エリアに設定されている場合のアクセス周期の算出方法について、
図10及び
図11を参照しながら説明する。
【0077】
図10は、操作器60bが汎用コントローラ1bから取得するポイント情報(オブジェクト)と、当該ポイント情報を取得するために必要なトランザクション数との関係を、エリアタイプ別に示した表である。
図10において、符号1001は、操作器60bが汎用コントローラ1bから取得するポイント情報(オブジェクト)の種類、符号1002はエリアタイプ、符号1003はトランザクション単位を示している。なお、ここでは、BACnet MSTPプロトコルのAPDU(Application Protocol Data Unit)長を考慮して、ポイント情報(オブジェクト)の合計数を17以下にしている。
【0078】
また、
図10において、丸記号は、当該丸記号が付されているオブジェクトを操作器60bが1エリア分取得することを示している。また、四角記号は、当該四角記号が付されているオブジェクトを操作器60bが複数エリア分、一括(1トランザクション)で取得することを示している。例えば、エリアタイプが4エリアに設定されている場合、操作器60bは、四角記号が付されているオブジェクトを4エリア分、一括(1トランザクション)で取得する。また、エリアタイプが8エリアに設定されている場合は、操作器60bは、四角記号が付されているオブジェクトを8エリア分、一括(1トランザクション)で取得する。
【0079】
また、操作器60bは、
図10に示すように、エリアタイプに応じて、汎用コントローラ1bから取得するポイント情報(オブジェクト)を決定する。例えば、エリアタイプが4エリアに設定されている場合、操作器60bは、「0」、「1」、「2」というトランザクション単位で、必要な情報を取得する。具体的には、操作器60bは、トランザクション「0」では、四角記号が付されているポイント情報、すなわち「発停状態」、「温度設定値」、「温度設定値(2設定方式用)」、及び「冷暖状態」の4つのポイント情報を、4エリア分一括で取得する。
【0080】
また、トランザクション「1」では、操作器60bは、「発停状態」、「風量状態」、「温度設定上限/暖房上限」、及び「温度設定下限/冷房下限」の4つのポイント情報を、4エリア分一括で取得する。また、トランザクション「2」では、操作器60bは、「発停状態」を4エリア分一括で取得し、「室内温度」、「室内湿度」、「湿度設定値」、「CO2濃度」、「CO2濃度設定値」、「湿度設定上限」、及び「湿度設定下限」の7つのポイント情報を、1エリア分取得する。このように、操作器60bは、エリアタイプが4エリアに設定されている場合に必要なポイント情報をすべて取得するために、3トランザクション(3周期)を要することになる。
【0081】
同様に、エリアタイプが8エリアに設定されている場合、操作器60bは、必要なポイント情報をすべて取得するために、7トランザクション(7周期)を要することになる。以上をまとめると、
図11のようになる。
【0082】
図11は、ポイント情報を取得するために必要な周期をエリアタイプ毎に示した表である。例えば、発停情報を取得するだけの場合は、いずれのエリアタイプでも1周期(1トランザクション)で済む。一方、発停情報に加えて、さらに温度設定及び風量設定のための情報も取得する場合、エリアタイプが1エリアに設定されている場合は1周期で済むのに対し、エリアタイプが4エリアに設定されている場合は3周期、エリアタイプが8エリアに設定されている場合は7周期が、それぞれ必要となる。なお、
図10及び
図11において、発停情報と、温度設定及び風量設定のための情報とを考慮しているのは、以下のような理由による。すなわち、操作器60bは、少なくとも発停情報と、温度設定及び風量設定のための情報とについては、ユーザからの操作を受け付けた場合に遅延なく表示部65に表示させ、かつ設定変更等が可能な状態としておくことが望ましい。そのため、ここでは上記のように、発停情報と、温度設定及び風量設定のための情報とを取得するために必要な周期(トランザクション)を考慮している。
【0083】
以上を踏まえ、周期算出部62bは、エリアタイプが4エリアに設定されている場合の操作器60bのアクセス周期については、式(2)で算出したアクセス周期を3倍することで算出する。同様に、周期算出部62bは、エリアタイプが8エリアに設定されている場合の操作器60bのアクセス周期については、式(2)で算出したアクセス周期を7倍することで算出する。
【0084】
例えば、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数(X)が10、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数(Y)が4である場合を考える。このとき、周期算出部62bは、エリアタイプが1エリアに設定されている場合のアクセス周期Tminを、上記式(1)及び式(2)から1.429秒と算出する。
【0085】
また、周期算出部62bは、上記と同様に、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数(X)が10、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数(Y)が4であり、エリアタイプが4エリアに設定されている場合は、アクセス周期Tminを4.286秒(≒1.429×3)と算出する。
【0086】
また、周期算出部62bは、上記と同様に、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数(X)が10、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数(Y)が4であり、エリアタイプが8エリアに設定されている場合は、アクセス周期Tminを10.0秒(≒1.429×7)と算出する。
【0087】
なお、ここでは、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数(X)が10、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60bの総数(Y)が4である場合を例示した。しかしながら、当該2つの総数はこれに限らず、その他の値の場合であっても上記と同様にしてアクセス周期を算出可能である。
【0088】
以上のように、実施の形態2によれば、汎用コントローラ1bの取得部13bは、シリアル通信線30A、30Bに接続されているセカンダリデバイス50の総数をさらに取得し、汎用コントローラ1bの送信部14bは、取得部13bにより取得された操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数を、少なくともシリアル通信線30A、30Bに接続されている操作器60bに送信する。
操作器60bの受信部61bは、汎用コントローラ1bの送信部14bから送信された、操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数を受信し、操作器60bの周期算出部62bは、受信部61bにより受信された操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数に基づいて、自機が汎用コントローラ1bにアクセス可能な周期を算出する。これにより、監視システム100は、実施の形態1の効果に加え、セカンダリデバイス50の総数と、操作器60bの総数とに基づいてアクセス周期を算出することで、より実態に即した精緻なアクセス周期を算出することができる
【0089】
また、操作器60bは、ユーザの指示に応じて、自機が監視の対象とするエリアの数を示すエリアタイプを設定するエリア設定部66を備え、操作器60bの周期算出部62bは、受信部61bにより受信された操作器60bの総数及びセカンダリデバイス50の総数と、エリア設定部66により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機が汎用コントローラ1bにアクセス可能な周期を算出する。これにより、監視システム100は、実施の形態1の効果に加え、セカンダリデバイス50の総数と、操作器60bの総数と、エリアタイプとの3つのパラメータに基づいてアクセス周期を算出することで、より実態に即した精緻なアクセス周期を算出することができる。
【0090】
実施の形態3.
実施の形態2では、汎用コントローラ1bの送信部14bが、シリアル通信線30A、30Bに接続されている操作器60bの総数とセカンダリデバイス50の総数とを送信する例を説明した。実施の形態3では、これらの総数の送信方法を工夫して通信量を削減する例を説明する。
【0091】
図12は、実施の形態3に係る汎用コントローラ1cの構成例を示す図である。実施の形態3に係る汎用コントローラ1cは、実施の形態2に係る汎用コントローラ1bに対し、送信部14bが送信部14cに変更され、生成部19が追加されている。汎用コントローラ1cのその他の構成については、実施の形態2に係る汎用コントローラ1bと同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
生成部19は、シリアル通信線30A、30Bに接続されている操作器60c(
図13参照)の総数と、セカンダリデバイス50の総数とに基づいて、これら2つの総数の情報を含む合成値(台数配信値)を生成する。
【0093】
例えば、生成部19は、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60cの総数と、セカンダリデバイス50の総数とをそれぞれ16進数に変換し、16進数に変換した操作器60cの総数を上位1バイト、16進数に変換したセカンダリデバイス50の総数を下位1バイトとして合成した2バイトの値を得る。次に、生成部19は、当該2バイトの値を10進数に変換することで、合成値(台数配信値)を生成する。この合成値(台数配信値)は、1つの値で2つの情報(操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数)を配信するために生成される。
【0094】
送信部14cは、生成部19により生成された合成値を、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を示す値として、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50及び操作器60cに対して一斉送信する。
【0095】
図13は、実施の形態3に係る操作器60cの構成例を示す図である。実施の形態3に係る操作器60cは、実施の形態2に係る操作器60bに対し、受信部61bが受信部61cに変更され、周期算出部62bが周期算出部62cに変更されている。操作器60cのその他の構成については、実施の形態2に係る操作器60bと同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0096】
受信部61cは、汎用コントローラ1cの送信部14cから送信された合成値を受信する。
【0097】
周期算出部62cは、受信部61cにより受信された合成値を変換して、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を導出する。この場合の導出手順は、上述した生成部19による合成値の生成手順の逆になる。例えば、汎用コントローラ1cの送信部14cから、合成値として「1040」という値を受信した場合の導出手順の例を
図14に示す。
【0098】
図14に示すように、周期算出部62cは、受信した「1040」を16進数に変換した「0410」という値を得る。次に、周期算出部62cは、その上位1バイトである「04」を10進数に変換して「4」という値を得るとともに、その下位1バイトである「10」を10進数に変換して「16」という値を得る。この「4」が、シリアル通信線30Aに接続されている操作器60cの総数を示し、「16」が、シリアル通信線30Aに接続されているセカンダリデバイス50の総数を示す。このようにして、周期算出部62cは、合成値から操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を導出する。
【0099】
そして、周期算出部62cは、上記で導出した操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数に基づいて、自機のアクセス周期を算出する。なお、周期算出部62cは、上記で導出した操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数と、エリア設定部66により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機のアクセス周期を算出してもよい。これらの場合のアクセス周期の算出方法は、実施の形態2と同様である。
【0100】
実施の形態3では、上記のように、まず生成部19が、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数という2つの情報を含む合成値を生成し、次に送信部14cが当該合成値をセカンダリデバイス50に対して一斉送信する。これにより、実施の形態3では、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を個別に送信する場合に比べて通信量(通信回数)を削減させることができる。
【0101】
また、送信部14cは、例えばBACnetに標準で規定されている「AI(Analog Input)オブジェクト」のインスタンス番号であって、汎用コントローラ1cと操作器60cとの間であらかじめ使用することを取り決めたインスタンス番号「60004」の現在値として、合成値を一斉配信することができる。なお、AIオブジェクトの現在値は、BACnetの規定上は実数型の値として規定されている。したがって、実施の形態3では、既存のBACnetの標準機能を有効に活用して通信量を削減させることができる。なお、上記では、インスタンス番号として「60004」を用いる例を説明したが、汎用コントローラ1cと操作器60cとの間であらかじめ使用することを取り決めたインスタンス番号であれば、これ以外のインスタンス番号を用いてもよい。また、上記では、オブジェクトタイプとして「AIオブジェクト」を用いる例を説明したが、実数型の現在値プロパティを持ち、且つCOVNotificationサービスを使用して送信できるオブジェクトタイプであれば、これ以外のオブジェクトタイプ(例えばAO(AnalogOutput)オブジェクト、又はAV(AnalogValue)オブジェクト)を用いてもよい。いずれにしても、エンジニアは、使用するオブジェクトタイプ及びインスタンス番号をあらかじめ汎用コントローラ1cの記憶部18に記憶させておき、送信部14cは、記憶部18に記憶されているオブジェクトタイプ及びインスタンス番号を用いて、合成値を一斉配信すればよい。
【0102】
以上のように、実施の形態3によれば、汎用コントローラ1cは、取得部13bにより取得されたシリアル通信線ごとの操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数に基づいて、当該各総数の情報を含む合成値を生成する生成部19を備え、汎用コントローラ1cの送信部14cは、生成部19により生成された合成値を、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を示す値として、対応するシリアル通信線30A、30Bを介して送信する。
操作器60cの受信部61cは、汎用コントローラ1cの送信部14cから送信された合成値を受信し、操作器60cの周期算出部62cは、受信部61cにより受信された合成値を変換して、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を導出し、当該導出した操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数に基づいて、自機が汎用コントローラ1cにアクセス可能な周期を算出する。
また、操作器60cの周期算出部62cは、受信部61cにより受信された合成値を変換して、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を導出し、当該導出した操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数と、エリア設定部66により設定されたエリアタイプとに基づいて、自機が汎用コントローラ1cにアクセス可能な周期を算出する。これにより、監視システム100は、実施の形態2の効果に加え、操作器60cの総数及びセカンダリデバイス50の総数を個別に送信する場合に比べて通信量(通信回数)を削減させることができる。
【0103】
また、生成部19は、取得部13bにより取得された操作器60cの総数とセカンダリデバイス50の総数とをそれぞれ16進数に変換し、当該16進数に変換した操作器60cの総数を上位1バイトとし、当該16進数に変換したセカンダリデバイス50の総数を下位1バイトとして合成して得た2バイトの値を10進数に変換することで、合成値を生成する。これにより、生成部19は、2つの総数の情報を含む合成値を効率よく生成することができる。
【0104】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1、1b、1c 汎用コントローラ
11 第1のポート
12 第2のポート
13、13b 取得部
14、14b、14c 送信部
15 受信部
16 応答部
17 転送部
18 記憶部
19 生成部
30A、30B シリアル通信線
50 セカンダリデバイス
60、60b、60c 操作器
61、61b、61c 受信部
62、62b、62c 周期算出部
63 アクセス部
64 記憶部
65 表示部
66 エリア設定部
70 通信線
80 統合コントローラ
100 監視システム