(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053360
(43)【公開日】2023-04-12
(54)【発明の名称】組織係合装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021977
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2020545099の分割
【原出願日】2019-04-30
(31)【優先権主張番号】62/674,774
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デュエル、クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダニー シュー-フアン
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】シム、ローサ
(57)【要約】
【課題】医療装置及び医療装置を使用する方法を提供する。
【解決手段】組織係合装置は、枢動点で第1のジョー及び第2のジョーに連結された本体部分を含む第1の駆動部材であって、本体部分が第1の姿勢と第1の圧縮姿勢との間で移動される第1の駆動部材と、枢動点及び固定点で第1の駆動部材に連結された第2の駆動部材であって、第2の姿勢と第2の圧縮姿勢との間で移動される第2の駆動部材とを含む。さらに、第1の駆動部材を第1の姿勢から第1の圧縮姿勢に移動させること及び第2の駆動部材を第2の姿勢から第2の圧縮姿勢に移動させることのうちの少なくともいずれか一方により、第1のジョー及び第2のジョーは閉鎖姿勢と開放姿勢との間で移動される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枢動点および固定点の間に延びて前記枢動点において第1のジョー及び第2のジョーに連結された本体部分を含む第1の駆動部材であって、前記本体部分が第1の姿勢と第1の圧縮姿勢との間で移動される、前記第1の駆動部材と、
前記枢動点及び前記固定点において前記第1の駆動部材に連結され、且つ第2の姿勢と第2の圧縮姿勢との間で移動される第2の駆動部材と
を備え、
前記本体部分に対して圧縮力を付与することにより前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させて前記第1のジョー及び前記第2のジョーを閉鎖姿勢から開放姿勢へと移動させること、および前記第2の駆動部材に対して圧縮力を付与することにより前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させて前記第1のジョー及び前記第2のジョーを閉鎖姿勢から開放姿勢へと移動させることが可能に構成されている、組織係合装置。
【請求項2】
前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させること及び前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び第2のジョーを前記閉鎖姿勢から前記開放姿勢へと移動させる、請求項1に記載の組織係合装置。
【請求項3】
前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動された時及び前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動された時、前記本体部分及び前記第2の駆動部材はそれぞれ、前記枢動点及び前記固定点の間で延伸されている、請求項1又は2に記載の組織係合装置。
【請求項4】
前記第2の駆動部材は、前記第1の駆動部材に直交して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項5】
前記本体部分、前記第1のジョー、及び第2のジョーは、一体的に形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項6】
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、湾曲部を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項7】
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、円形である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項8】
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、卵形の2次元形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項9】
前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーを、前記枢動点を中心に回動させること、および前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーを、前記枢動点を中心に回動させることが可能に構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の組織係合装置。
【請求項10】
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の周囲に配置された圧縮膜をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の組織係合装置。
【請求項11】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉鎖姿勢に付勢されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の組織係合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、及び医療装置を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、組織操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な体内医療装置が、医療用途、例えば血管内用途のために開発されてきている。これらの装置には、ガイドワイヤー、カテーテルなどが含まれる。これらの装置は、さまざまな異なる製造方法により製造され、さまざまな方法に従って使用される。公知の医療機器及び方法にはそれぞれ、いくらかの利点と欠点とがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置の設計、材料、製造方法、及び代替的用途を提供する。例示的な組織係合装置は、枢動点で第1のジョー及び第2のジョーに連結された本体部分を含む第1の駆動部材であって、本体部分が第1の姿勢と第1の圧縮姿勢との間で移動するように構成された第1の駆動部材と、枢動点及び固定点で第1の駆動部材に連結された第2の駆動部材であって、第2の姿勢と第2の圧縮姿勢との間で移動するように構成された第2の駆動部材とを含む。さらに、第1の駆動部材を第1の姿勢から第1の圧縮姿勢に移動すること、第2の駆動部材を第2の姿勢から第2の圧縮姿勢に移動すること、又はその双方は、第1のジョー及び第2のジョーを閉鎖姿勢と開放姿勢の間で移動させる。
【0004】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第2の駆動部材は、第1の駆動部材にほぼ直交して配置される。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、本体部分、第1のジョー及び第2のジョーは、一体的な部材にて形成される。
【0005】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、本体部分及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、弓状部分を含む。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、本体部分及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、ほぼ円形である。
【0006】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、本体部分及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、ほぼ卵形である。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の移動は、枢動点を中心に第1のジョー及び第2のジョーを回転させる。
【0007】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、本体部分及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の周囲に配置された圧縮膜をさらに備える。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1のジョー及び第2のジョーは、閉鎖姿勢に付勢される。
【0008】
別の組織係合装置は、第1のジョーを有する第1の端部と、第2のジョーを有する第2の端部と、第1のジョー及び第2のジョーの間に位置するループ領域とを含む第1の駆動部材であって、第1のジョー、第2のジョー、及びループ領域が第1の平面内にある第1の駆動部材と、枢動点及び固定点で第1の駆動部材にピン留めされた第2の駆動部材であって、第1の平面から偏倚された第2の平面にある第2の駆動部材とを備え、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の駆動は、第1のジョー及び第2のジョーを閉鎖姿勢と開放姿勢との間で移動させる。
【0009】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第2の平面は、第1の平面に対してほぼ直交して配置される。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材と、第1のジョーと、第2のジョーとは、一体的な部材にて形成される。
【0010】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、弓状部分を含む。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、ほぼ円形である。
【0011】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、ほぼ卵形である。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の駆動は、枢動点を中心に第1のジョー及び第2のジョーを回転させる。
【0012】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の周囲に配置された圧縮膜をさらに備える。
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1のジョー及び第2のジョーは、閉鎖姿勢に付勢される。
【0013】
別の組織係合部材は、一対のジョーに連結された駆動アセンブリであって、一対のジョーは、駆動アセンブリから離間して延び、駆動アセンブリは、第1の接続点で第2の駆動部材に連結された第1の駆動部材を含み、第1の駆動部材は、第1の平面内にあり、第2の駆動部材は、第1の平面から偏倚された第2の平面にあり、駆動アセンブリの駆動は、一対のジョーを第1の姿勢と第2の開放姿勢との間で移動させる。
【0014】
上記の実施形態の任意の1つに代替的又は追加的に、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、弓状部分を含む。
いくつかの実施形態の上記概要は、本発明の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図したものではない。以下の図面及び詳細な説明が、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0015】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】
図1に示す例示的な組織係合装置を示す斜視図。
【
図6】
図1に示す例示的な組織係合装置を示す斜視図。
【
図7】
図1に示す例示的な組織係合装置を示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、それらのうちの特別なものが例示することを目的として図面に示され且つ詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、本発明を説明する特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、本発明の趣旨及び範囲に含まれるすべての変更物、均等物、及び代替物を網羅することにある。
【0018】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられない限り以下の定義が適用されるものとする。
本明細書では、すべての数値は、明示されているか否かにかかわらず、「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、当業者が列挙された値と同等であると考える(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を一般に指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数値が含まれる。
【0019】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに他に指示しない限り複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は(or)」という用語は、内容が明らかに他に指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に使用される。
【0020】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明する実施形態が1つ以上の特定の要素、構造及び/又は特性を含むことを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような列挙は、すべての実施形態が特定の要素、構造及び/又は特性を含むことを必ずしも意味していない。さらに、特定の要素、構造及び/又は特性が一実施形態に関連して説明されている場合には、そのような要素、構造及び/又は特性は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、反対のことが明確に述べられていない限り、別の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0021】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。異なる図面の類似する要素には同一番号が付されている。図面は、必ずしも縮尺通りではないが、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0022】
血管内処置、消化管及び/又は胆道に沿った処置、胸部処置などを含む多くの医療処置では、体内の徐去する組織(例えば「標的組織」)にアクセスする為に医療機器が使用される。例えば、現在の医療処置(例えば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、経口内視鏡的筋層切除術(POEM)、胆嚢摘出術、ビデオ補助胸腔鏡下手術(VATS))では、医師は、内視鏡又は同様の医療機器を用いて癌性病変にアクセスして除去する。さらに、処置の一部として、医師は、標的組織部位にアクセスするとともに内視鏡の内部を通って切除装置を配備して標的組織を切除することができる内視鏡を使用する。加えて、いくつかの例では、内視鏡は、医師が組織切除術を視覚化し実行することを支援する要素を組み込んでいる。例えば、いくつかの内視鏡は、スコープを進行させて標的組織部位に隣接して配置させた際に、体管腔を照明するように構成された照明及び/又はカメラを含む。さらに、いくつかの内視鏡は、その内部を貫通して切断部材又は他の付属の医療装置を配備し、使用することができるルーメン(例えば、作業チャンネル)を備える。
【0023】
医師は体内(例えば消化管、腹腔、胸腔内など)から癌性病変を摘出することに熟練してきてはいるが、摘出方法は、依然として非効率的で時間がかかる。例えば、いくつかの場合には、組織切除術の視覚化が十分でないため、組織切除術が長時間化している。別例では、医師が切除しようとする実際の組織が術中に医師が使用する器具の経路を妨害する場合がある。したがって、いくつかの例では、標的組織の視覚化を改善するとともに、医師が使用する切除器具の妨害を軽減することを支援する医療装置を利用することが望ましい。よって、いくつかの例では、医師が切除する組織領域を持ち上げて後退させる組織牽引装置を使用することが望ましい。本明細書では、標的組織を持ち上げて後退するように構成された組織牽引装置、組織係合装置、及び送達システムなどの医療装置を開示する。
【0024】
図1は、例示的な組織牽引装置10を示す平面図である。組織牽引装置10は、第2の係合部材12bに連結された第1の係合部材12aを含む。係合部材12a,12bはそれぞれ、クリップ、クラスプ、ファスナー、クランプなどと呼ばれ得る。簡潔化のために、以下の説明は、係合部材12aについて行うが、係合部材12bは、係合部材12aについて説明した要素及び機能のすべてを含むことが理解できる。
【0025】
さらに、
図1は、第1の係合部材12aがテザー部材14によって第2の係合部材12bに連結されることを示す。テザー部材14は、第1の端部及び第2の端部を含み、第1の端部及び第2の端部はそれぞれ、連結部材15を介して係合部材12a,12bに連結される。テザー部材14は、バンド、ロープ、コード、ひも、ストラップ、ストランドなどと呼ばれ得る。テザー部材14は、様々な断面形状を備え得る。例えば、テザー部材14は、円形、長方形、三角形などであってよい。さらに、テザー部材14は、生体吸収性であってよい。さらに、テザー部材14は、ラテックス、ニトリル(登録商標)ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレン、ポリクロロプレン(例えば、ネオプレン(登録商標))、ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、ポリイソプレンなどのエラストマー材料で形成されてもよい。テザー部材14は、第1の非延伸(例えば、弛緩)姿勢から第2の延伸姿勢まで延伸させることができる。組織牽引装置10は、延伸姿勢にあるとき、組織牽引装置10は緊張しているため、第1の係合部材12aを第2の係合部材12bに向かって引く牽引力を備えることが理解できる。
【0026】
図2は、第1の係合部材12aの斜視図を示す。係合部材12aは、本体部分16を含む。本体部分16は、枢動点22で第1のジョー18及び第2のジョー20に連結される。本体部分16、第1のジョー18及び第2のジョー20の組み合わせは、本明細書では、第1の駆動部材13と呼ばれる。第1のジョー18及び第2のジョー20はそれぞれ、湾曲部30を含む。湾曲部30は、標的組織部位に隣接する組織を把持及び/又は係合するために使用される。いくつかの例では、湾曲領域30は、「歯」と説明される。さらに、
図2は、湾曲部30が1個の、表面が平坦な歯部材を含むことを示すが、これは限定を意図していない。むしろ、湾曲部30は、1つ以上の歯を含んでもよい。
図2には示していないが、歯は、互いに間隔をおいて配置されたり互いにかみ合ったりすることができると考えられる。歯のさまざまな異なる組み合わせ及び向きが考えられる。
【0027】
図2は、本体部分16が第1のジョー18と第2のジョー20との間に配置されることを示す。本体部分16は、弓状部分を含む。いくつかの場合には、本体部分16は、湾曲部、ループ部、円弧部などを含む。例えば、本体部分16は、ほぼ円形である。しかしながら、これは限定を意図していない。むしろ、本体部分16は多くの異なる形状を含み得ることが理解できる。例えば、本体部分16は、長方形、卵形、正方形、六角形、多角形などであり得る。
【0028】
さらに、上記のように、本体部分16は、第1のジョー18が離間して延びる第1の端部領域21と、第2のジョー20が離間して延びる第2の端部領域23とを含む。いくつかの例では、本体部分16、第1のジョー18及び第2のジョー20は、一体的構造として形成される。言い換えれば、本体部分16、第1のジョー18及び第2のジョー20は、1つの連続した材料片として形成される。しかしながら、別例では、第1のジョー18及び第2のジョー20のうちの少なくともいずれか一方は、本体部分16とは別体の構成要素であり、第1のジョー18及び第2のジョー2はそれぞれ、本体部分16の第1の端部領域21及び第2の端部領域23に別々に取り付けられる。
【0029】
図2は、第1の係合部材12aが、第2の取り付け部分24bに隣接して配置された第1の取り付け部分24aを含む枢動点22を備えることをさらに示す(取り付け部分24bは、
図4により明確に示されている)。いくつかの例では、第1の取り付け部分24aの形状は、第2の取り付け部分24bの形状と鏡映しの関係にある。さらに、いくつかの例では、第1の取り付け部材24aは、本体部分の第1の端部領域21から離間して延び、第2の端部領域23は、本体部分16の第2の端部領域23から離間して延びる。
【0030】
第1の取り付け部材24aは、第1の開口部26aを含み、第2の取り付け部材24bは、第2の開口部26bを含む(
図2には示していないが、
図3に示す)。第1の開口部26a及び第2の開口部26bはそれぞれ、第1の取り付け部材24a及び第2の取り付け部材24bの各壁厚を貫通して延びる。
【0031】
さらに、
図2は、第1の係合部材12aが第2の駆動部材32を含むことを示す。いくつかの例では、第2の駆動部材は、枢動点22で第1の駆動部材13の本体部分16に連結される。例えば、
図2は、第2の駆動部材32が、第1の取り付け部分24a及び第2の取り付け部分26bに隣接して配置された第3の開口部(
図2には示していないが、
図5により明確に示す)を含む突起34を含むことを示す。さらに、
図2は、第1の取り付け部材24aと、第2の取り付け部材24bと、第2の駆動部材32(突起34を介して)とが第1のピン28を介して互いに連結されることを示す。言い換えると、第1の取り付け部材24aと、第2の取り付け部材24bと、第2の駆動部材32とは、ピン28が、第1の取り付け部分24aの第1の開口部26a、第2の取り付け部材24bの第2の開口部26b、及び第2の駆動部材32の第3の開口部の中を貫通して延びるように位置合わせされる。
【0032】
しかしながら、別例では、第1の取り付け部材24a、第2の取り付け部材24b、及び第2の駆動部材32(突起34を介して)は、別の設計構成を用いて互いに結合されてもよい。さらに、ピン28の代わりに別の設計構成が使用されてもよい。例えば、リビングヒンジ、干渉要素、封入結合及び/又はピボットボールを含む設計構成が使用され得る。
【0033】
さらに、
図2は、第2の駆動部材32が接続点35で第1の駆動部材13の本体部分16に連結されることを示す。例えば、
図2は、第2の駆動部材32がピン36を介して第1の駆動部材13の本体部分16に連結されることを示す。
図2は、第2の駆動部材32がピン36を介して第1の駆動部材13の本体部分16に連結されることを示すが、これは限定を意図していない。むしろ、第2の駆動部材32を第1の駆動部材13の本体部分16に連結するために、様々な取り付け技術が用いられると考えられる。例えば、第2の駆動部材32は、第1の駆動部材13の本体部分16に溶接、接着等されてもよいと考えられる。
【0034】
さらに、係合部材12aは、第1の駆動部材13及び/又は第2の係合部材32が第1のジョー18及び第2のジョー20を閉鎖姿勢(例えば、第1のジョー18及び第2のジョー20が互いに接触する姿勢にある)に付勢するように設計されることが理解できる。例えば、第1のジョー18及び第2のジョー20の端部は、閉鎖姿勢にある間、互いに接触する。閉鎖姿勢にある間、第1のジョー18及び第2のジョー20をともに配置することにより、閉鎖姿勢にある時に前負荷力を発生させることができる。
【0035】
図3は、第1の係合部材12aの側面図を示す。上記のように、
図3は、第1の駆動部材13の本体部分16から離間して延びる一対のジョー(例えば、第2のジョー20に対面する第1のジョー18)を示す。
図3は、第1のジョー18及び第2のジョー20の湾曲領域30はそれぞれ、互いに向かって内向きに湾曲することをさらに示す。さらに、
図3は、第1の取り付け部分24aが本体部分16の第1の端部領域21から離間して延びることを示す。上記のように、
図3は、ピン部材28が第1の取り付け部分24aの第1の開口部26a内に配置されることを示す。
図3は、第2の駆動部材32がピン部材36を介して接続点35で本体部分16に連結されることをさらに示す。
図3から、いくつかの例では、第2の駆動部材32は、第1の駆動部材13の本体部分16に対してほぼ直交して配置されることが理解できる。
【0036】
いくつかの場合には、特定のアスペクト比を備えるように第1の駆動部材13の本体部分16を設計することが望ましい場合がある。本明細書で説明するように、本体部分16のアスペクト比は、本体部分の長さ(おおよそピン部材36からピン部材28までの距離)と本体部分の「幅」(おおよそ本体部分16の幅であって、ピン部材36とピン部材28との間に延びる長手方向軸線に対してほぼ直交する幅)との比として定義することができる。いくつかの例では、本体部分16のアスペクト比は、少なくとも3:2でなければならない(例えば、ピン部材36とピン部材28との間の距離は、上記のように、本体部分16の「幅」の1.5倍でなければならない)。さらに、いくつかの例では、アスペクト比は、3:2より大きい必要がある。
【0037】
図4は、第1の係合部材12aの他方の側面を示す。
図4は、
図3に示す側面図の反対側の側面を示し、
図3に示す側面図と鏡映しの関係にある。したがって、
図3と同様に、
図4は、第2のジョー20に対面する第1のジョー18を示し、第1のジョー18及び第2のジョー20は、第1の駆動部材13の本体部分16から離間して延びる。
図4は、第1のジョー18及び第2のジョー20の湾曲部分30がそれぞれ、互いに向かって内向きに湾曲することをさらに示す。さらに、
図4は、第2の取り付け部24bが本体部分16の第2の端部領域23から延びることを示す。上記のように、
図4は、ピン部材28が第2の取り付け部分24bの第2の開口部26b内に配置されることを示す。
図4は、第2の駆動部材32がピン部材36を介して接続点35で本体部分16に連結されることを示す。
図4から、いくつかの例では、第2の駆動部材32は、第1の駆動部材13の本体部分16に対してほぼ直交して配置されることが理解できる。
【0038】
図5は、第1の駆動部材13及び第2の駆動部材32を含む組織係合部材12aの分解図を示す。上記のように、第1の駆動部材13は、本体部分16と、第1のジョー18と、第2のジョー20とを含む。さらに、
図5は、第1の開口部26aが第1の取り付け部材24a内を貫通して延びることをより明確に示す。さらに、
図5は、第4の開口部38であって、ピン36(上記)がその内部を貫通して延びる第4の開口部38を示す。
図5から、本体部分16と、第1のジョー18と、第2のジョー20とは、同一平面内にあることが理解できる。
【0039】
さらに、
図5は、第2の駆動部材32が、第2の駆動部材32から延びる突起34を含むことを示す。
図5は、第3の開口部37が突起34の壁厚を貫通して延びることをさらに示す。さらに、
図5は、第2の駆動部材32が、第5の開口部50を含み、ピン36がその内部を貫通して延びることを示す。上記のように、本体部分16の第4の開口部38が第5の開口部40に整合されることにより、ピン36は、その内部を貫通して延びて第1の駆動部材13の本体部分16を第2の駆動部材32に連結可能にする。
【0040】
図5から、第2の駆動部材32は、第1の駆動部材13が存在する平面から偏倚された単一平面内に存在することがさらに理解できる。上記のように、いくつかの例では、第1の駆動部材13が存在する平面は、第2の駆動部材が存在する平面に対してほぼ直交する。しかしながら、これは限定を意図していない。むしろ、第1の駆動部材13が存在する平面は、第2の駆動部材が存在する平面に対してほぼ偏倚されていると考えられる。
【0041】
上記のように、
図5は、第1の取り付け部分24aと、第2の取り付け部分24bと、第2の駆動部材32の突起34とを連結するために使用されるピン部材42を示す。以下でさらに詳細に説明するように、ピン42の円筒形の設計により、第1の取り付け部分24a、第2の取り付け部分24b及び/又は第2の駆動部材32は、ピンを中心に回転可能である。
【0042】
図6,7は、第1の駆動部材13及び第2の駆動部材32のうちの少なくとも一方が第1のジョー18、及び第2のジョーを相対的に移動させるように係合部材12bが設計されることを示す。例えば、係合部材12aは、臨床医がマニピュレータ(図示せず)を用いて、第1駆動部材13、第2の駆動部材32、又はその双方を把持して圧搾することにより、第1のジョーが第2のジョーに対して移動されるように設計される。
【0043】
例えば、
図6は、拡張姿勢に開かれた組織牽引装置12aの第1のジョー18及び第2のジョー20を示す。さらに、
図6は、第1のジョー18及び第2のジョー20が、第1の駆動部材13の本体部分16が駆動(例えば、圧縮、圧搾など)されたとき、拡張姿勢に開放されることを示す。
図6に示す矢印17は、第1の駆動部材13の本体部分16の駆動(例えば、圧縮)を示す。さらに、本体部分16が駆動(例えば、圧縮)されると、本体部分は、第1の姿勢(例えば、
図2に示すほぼ円形の姿勢)から第2の姿勢(例えば、
図6に示すほぼ卵形の姿勢)に変形することが理解できる。上記のように、別の姿勢も考えられる。第1の駆動部材13の本体部分16に付与された圧縮力の解放により、第1のジョー18及び第2のジョー20を閉鎖して、
図2~5に関して説明した姿勢に復帰できることがさらに理解できる。
【0044】
図6は、第1の駆動部材13の本体部分16が圧縮されると、本体部分16が延伸することを示す。本体部分16が延伸することにより、第1の取り付け部分24a及び第2の取り付け部分24bは、ピン部材28を中心に回転(例えば、枢動)されることが理解できる。ピン部材28を中心に第1の取り付け部分24a及び第2の取り付け部分24bが回転することにより、第1のジョー18は、第2のジョー20に対して移動することがさらに理解できる(本体部分16を延伸することにより、ジョーは、閉鎖姿勢から開放姿勢に移動する)。
【0045】
図6,7は、拡張姿勢に開放された組織牽引装置12aの第1のジョー18及び第2のジョー20を示す。さらに、
図7は、第2の駆動部材32が駆動(例えば、圧縮、圧搾など)された時、第1のジョー18及び第2のジョー20が拡張姿勢に開くことを示す。
図7に示す矢印19は、第2の駆動部材32の駆動(例えば、圧縮)を示す。さらに、
図7から、駆動部材32が駆動(例えば、圧縮)されると、駆動部材32は、第1の姿勢(例えば、
図2に示すほぼ円形の姿勢)から第2の姿勢(例えば、
図7に示すほぼ卵形の姿勢)に変形することが理解できる。上記のように、別の構成も考えられる。第2の駆動部材32に付与された圧縮力が解放されることにより、第1のジョー18及び第2のジョー20を閉鎖して、
図2~5に関して説明した構成に復帰することがさらに理解できる。
【0046】
図7は、第2の駆動部材32が圧縮されると、第2の駆動部材32が延伸することを示す。第2の駆動部材32を延伸すると、対応して第1の駆動部材13の本体部分16が延伸するため(第2の駆動部材32が枢動点22と接続点35の双方で第1の駆動部材13に連結されているため)、上記のように、ピン部材28を中心に第1の取り付け部分24a及び第2の取り付け部分24bを回転(例えば、旋回)させることができる。ピン部材28を中心に第1の取り付け部分24a及び第2の取り付け部分24bが回転することにより、第1のジョー18は、第2のジョー20に対して移動することがさらに理解できる(本体部分16を延伸することにより、ジョーは閉鎖姿勢から開放姿勢に移動する)。
【0047】
さらに、上記説明から、第1の駆動部材13及び第2の駆動部材32の両方の駆動が本体部分16を延伸することにより、ジョーは、閉鎖姿勢から開放姿勢に移動することが理解できる。この特徴は、臨床医が係合部材12aを様々な異なる角度から掴むことを可能にするために重要であり、そのすべては、ジョーを開くことを許容する。さらに、係合部材12aを様々な異なる角度から把持できることにより、臨床医が特定の角度で組織牽引装置10を把持するために組織牽引装置10を特定の向きに移動させなければならないことに費やす時間を短縮できる。
【0048】
その目的を達成する為に、
図8は、いくつかの例では、係合部材12aの一部が駆動膜(破線70で示す)を含むことを示す。
図8に示すように、膜70は、本体部分16の一部及び/又は第2の駆動部材32の周囲に延びる。例えば、膜70は、第1のジョー18及び第2のジョー20を覆わずに、本体部分16及び第2の駆動部材32の周囲に延びる。膜70は、第1の駆動部材13、第2の駆動部材32、又はその双方の駆動を支援することが理解できる。例えば、膜70を第1の駆動部材13、第2の駆動部材32、又は第1の駆動部材13及び第2の駆動部材32の双方に固定して、膜70を圧縮/圧搾することにより、第1の駆動部材13、第2の駆動部材32、又はその双方を駆動してジョー部材を開くことができる。
【0049】
図9は、別の例示的な組織係合装置112を示す。組織係合装置112は、上記組織係合装置12aと形態及び機能の点で類似する。例えば、組織係合装置112は、枢動位置122で1つ以上の駆動部材に連結された第1のジョー118及び第2のジョー120を含む。いくつかの例(
図9に示す例など)では、第1のジョー118及び第2のジョー120はそれぞれ、第1の駆動部材132及び第2の駆動部材133にそれぞれ直接取り付けられる。さらに、
図9は、いくつかの例では、第1のジョー118は、第1の駆動部材132と一体的構造として形成されることを示す。同様に、
図9は、いくつかの例では、第2のジョー120は、第2の駆動部材133と一体的構造として形成されることを示す。
図9は、第1の駆動部材132及び第2の駆動部材133が、フレームワーク166内に形成された第1の回転点150及び第2の回転点152で、それぞれ第1のジョー118及び第2のジョー120に移行することをさらに示す。
【0050】
さらに、
図9は、係合部材112が第3の駆動部材116及び第4の駆動部材117を含むことを示す。
図9に示すように、第3の駆動部材116及び第4の駆動部材117のそれぞれの一端は、第3の回転点154及び第4の回転点156でフレームワーク166にそれぞれ連結される。以下でさらに詳細に説明するように、フレームワーク166は、フレームワーク166に連結された第3の駆動部材116及び第4の駆動部材117の各端部の回転を許容するように設計される。さらに、
図9は、第1の駆動部材132、第2の駆動部材133、第3の駆動部材116及び第4の駆動部材117の端部がそれぞれ、接続点136で別の部材に連結されることを示す。
図2に関して説明したものと同様に、様々な設計、構成、構造などを用いて、第1の駆動部材132、第2の駆動部材133、第3の駆動部材116及び第4の駆動部材117を、接続点136で互いに連結することができる。
【0051】
図10は、第1の回転点150、第2の回転点152、第3の回転点154及び第4の回転点156を含むフレームワーク166の斜視図を示す。さらに、
図10は、第1の回転点150が、第1の駆動部材132と第1のジョー118との組み合わせ構造を含み、組み合わせ構造は、ピン接続158を介してフレームワーク166に連結されることを示す。同様に、
図10は、第2の回転点152が、第2の駆動部材133と第2のジョー120の組み合わせ構造を含み、組み合わせ構造は、ピン接続160を介してフレームワーク166に連結されることを示す。さらに、
図10は、第3の駆動部材116は、ピン接続162を介してフレームワークに結合され、第4の駆動部材117は、ピン接続164を介してフレームワークに結合されることを示す。これらのピン接続158、160、162、164はそれぞれ、それらに取り付けられた構造を回転可能にすることが理解できる。例えば、ピン接続158は、第1の駆動部材132及び第1のジョー118の両方の端部領域の回転を可能にする。同様に、ピン接続160は、第2の駆動部材133及び第2のジョー120の両方の端部領域の回転を可能にする。同様に、ピン接続162は、第3の駆動部材116の端部領域の回転を可能にし、ピン接続164は、第4の駆動部材117の端部領域の回転を可能にする。
【0052】
上記と同様に、第1の駆動部材132、第2の駆動部材133、第3の駆動部材116及び/又は第4の駆動部材117の任意の組み合わせを組み合わせて駆動することにより、第1の駆動部材132、第2の駆動部材133、第3の駆動部材116及び/又は第4の駆動部材117のうちの1つ以上を延伸することができる(例えば、長くする)。言い換えると、第1の駆動部材132、第2の駆動部材133、第3の駆動部材116及び/又は第4の駆動部材117の任意の組み合わせを駆動することにより、枢動点122と接続点136(
図9に示す)との間の距離を延伸することができる。さらに、この延伸により、第1のピン接続158及び/又はピン接続160それぞれにおいて、第1の駆動部材132及び/又は第2の駆動部材133のうちの1つ以上の端部領域を回転させることができる。第1の駆動部材132及び/又は第2の駆動部材133の回転は、第1のジョー118及び/又は第2のジョー120の回転を引き起こすことが理解できる。第1のジョー118及び第2のジョー120の回転は、ジョーの閉鎖姿勢から開放姿勢への移動(及び駆動力が除去された時の開放姿勢から閉鎖姿勢への移動)に対応する。
【0053】
図11は、別の例示的な組織係合装置212を示す。組織係合装置212は、上記組織係合装置12aに形態及び機能の点で類似する。例えば、組織係合装置212は、枢動位置222で1つ以上の駆動部材に連結された第1のジョー218及び第2のジョー220を含む。いくつかの例(
図11に示す例など)では、第1のジョー118及び第2のジョー120はそれぞれ、第1の駆動部材232及び第2の駆動部材233に直接取り付けられる。さらに、
図11は、いくつかの例では、第1のジョー218は、第1の駆動部材232と一体的構造として形成されることを示す。同様に、
図11は、いくつかの例では、第2のジョー220は、第2の駆動部材233と一体的構造として形成されることを示す。
図11は、第1の駆動部材232及び第2の駆動部材233はそれぞれ、フレームワーク266内に形成された第1の回転点250及び第2の回転点252で、第1のジョー218及び第2のジョー220にそれぞれ移行することをさらに示す。
【0054】
加えて、
図11は、係合部材212が第3の駆動部材216及び第4の駆動部材217を含むことを示す。
図11に示すように、第3の駆動部材216及び第4の駆動部材217のそれぞれの一方の端部領域は、第3の回転点254及び第4の回転点256でフレームワーク266にそれぞれ連結される。以下でさらに詳細に説明するように、フレームワーク266は、フレームワーク266に連結された第3の駆動部材216及び第4の駆動部材217の各端部が回転できるように設計される。さらに、
図11は、第1の駆動部材232、第2の駆動部材233、第3の駆動部材216及び第4の駆動部材217それぞれの端部は、接続点236で別の部材に連結されることを示す。
図2について説明したものと同様に、様々な設計、構成、構造などを用いて、第1の駆動部材232、第2の駆動部材233、第3の駆動部材216及び第4の駆動部材217を接続点236で互いに連結することができる。
【0055】
また、
図11は、第1の回転点250が第1の駆動部材232と第1のジョー218の組み合わせ構造を含み、組み合わせ構造がフレームワーク266に連結されることを示す。同様に、
図11は、第2の回転点252が第2の駆動部材233と第2のジョー220の組み合わせ構造を含み、その組み合わせ構造がフレームワーク266に連結されることを示す。
【0056】
上記と同様に、第1の駆動部材232、第2の駆動部材233、第3の駆動部材216及び/又は第4の駆動部材217の任意の組み合わせを駆動することにより、第1の駆動部材232、第2の駆動部材233、第3の駆動部材216及び/又は第4の駆動部材217のうちの1つ以上を延伸することができる(例えば、長くする)ことが理解できる。言い換えると、第1の駆動部材232、第2の駆動部材233、第3の駆動部材216、及び/又は第4の駆動部材217の任意の組み合わせを駆動することにより、枢動位置222と接続点236との間の距離を延伸することができる。さらに、この延伸により、第1のピン接続部258及び/又は第2の駆動部材260のそれぞれで、第1の駆動部材232及び/又は第2の駆動部材233のうちの1つ以上の端部領域を回転させることができる。第1の駆動部材232及び/又は第2の駆動部材233の回転は、第1のジョー218及び/又は第2のジョー220の回転させることが理解できる。第1のジョー218及び第2のジョー220の回転は、ジョーの閉鎖姿勢から開放姿勢(及び駆動力が除去されたときの開放姿勢から閉鎖姿勢)への移動に対応する。
【0057】
特定の図面及び/又は実施形態に関して説明された組織牽引システム、組織係合部材又はそれらの構成要素の特徴は、その特定の例に限定されないことに留意されたい。むしろ、単一の例に関して開示された要素又は例のすべては、本明細書に開示された任意の別の例に組み込まれ得ると考えられる。
【0058】
本明細書で説明した組織牽引システム10及び様々な装置の様々な要素に使用可能な材料は、医療装置に一般的に関連するものを含み得る。簡潔化を目的として、以下の説明は、組織牽引システム10を参照して行うが、説明は、本明細書で説明した別の類似の装置にも適用され得る為、これは、本明細書で説明した装置及び方法を組織牽引システム10にのみ限定することを意図していない。
【0059】
組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素は、金属、金属合金、ポリマ(そのいくつかの例については以下で説明する)、金属-ポリマ複合材、セラミック、それらの組み合わせなど、または別の好適な材料で製造される。適したポリマの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(DSM Engineering Plastics社から入手可能なARNITEL(登録商標)など)、エーテル又はエステルベースのコポリマ(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)など))、ポリアミド(例えば、バイエル社から入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochem社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標)などの商品名で入手可能なPEBA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(REXELL(登録商標)など)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマ、その他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマ、ポリマ/金属複合材などが含まれる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。
【0060】
適切な金属及び金属合金の例には、304V、304L、316LV、17-4及び400シリーズのステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性及び/又は超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、その他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP-35N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOYB2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金などの別のニッケル合金;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003など);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせなど;又は別の好適な材料が含まれる。
【0061】
少なくともいくつかの実施形態では、組織牽引システム10の一部又は全部及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素も、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で製造され、又は放射線不透過性材料を含有し得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン又は別の画像化技術に比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素の使用者がその位置を決定するのを支援する。放射線不透過性材料の例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマ材料などが含まれるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルもまた組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素の設計に組み込まれて、同一の結果を達成し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)の適合性が、組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素に付与される。例えば、組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素、又はそれらの一部は、画像を実質的に歪ませず、実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)を生成しない材料で製造される。例えば、ある強磁性材料は、MRI画像にアーティファクトを生成する可能性があるため、適さない。組織牽引システム10及び/又は組織牽引システム10の他の構成要素又はその一部はまた、MRI機械が画像化できる材料で製造されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなどが含まれる。
【0063】
この開示は、多くの点で単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、寸法及び工程の構成に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の要素の任意の使用が他の実施形態で使用されることを含み得る。本発明の範囲は、言うまでもないが、添付の請求項によって表現された文言で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接触する閉鎖姿勢と、互いに離間する開放姿勢との間で移動可能に構成された第1のジョー及び第2のジョーと、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーを前記閉鎖姿勢から前記開放姿勢へと移動させるために異なる角度から把持可能な駆動アセンブリと、
を備える、組織係合装置。
【請求項2】
前記駆動アセンブリは、互いに直交する方向に延びるように配置された第1の駆動部材及び第2の駆動部材を備える、請求項1に記載の組織係合装置。
【請求項3】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、枢動可能に互いに連結されている、請求項2に記載の組織係合装置。
【請求項4】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、前記第1のジョー及び前記第2のジョーを前記閉鎖姿勢から前記開放姿勢へと移動させるために、別個に駆動可能である、請求項2に記載の組織係合装置。
【請求項5】
一対のジョーに連結された駆動アセンブリを備える組織係合装置であって、
前記一対のジョーは、前記駆動アセンブリから離間する方向に延び、
前記駆動アセンブリは、第1の駆動部材及び第2の駆動部材を含み、
前記第1の駆動部材は、第1の平面に沿って駆動され、
前記第2の駆動部材は、前記第1の平面に対して直交する方向に延びる第2の平面に沿って駆動され、
前記駆動アセンブリの駆動により、前記一対のジョーが第1姿勢と第2開放姿勢との間で移動する、組織係合装置。
【請求項6】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材のいずれか一方を、移動させることにより、前記一対のジョーが前記第1姿勢と前記第2開放姿勢との間で移動する、請求項5に記載の組織係合装置。
【請求項7】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、第1接続点において互いに連結されている、請求項5に記載の組織係合装置。
【請求項8】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉鎖姿勢に付勢されている、請求項5に記載の組織係合装置。
【請求項9】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、枢動点において枢動可能に互いに連結されている、請求項5に記載の組織係合装置。
【請求項10】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、接続点において互いに連結され、且つ前記枢動点及び前記接続点の間に延びている、請求項9に記載の組織係合装置。
【請求項11】
前記一対のジョーは、前記枢動点を中心として前記第1姿勢及び前記第2開放姿勢の間で枢動する、請求項9に記載の組織係合装置。
【請求項12】
前記駆動アセンブリから延びるテザーをさらに備える、請求項5に記載の組織係合装置。
【請求項13】
一対のジョーに連結された駆動アセンブリを備える組織係合装置において、
前記一対のジョーは、前記駆動アセンブリから延び、
前記駆動アセンブリは、第1接続点において、枢動可能に第2の駆動部材に連結された第1の駆動部材を含み、
前記第1の駆動部材は、第1の平面内に位置しており、
前記第2の駆動部材は、前記第1の平面に対して直交する方向に延びる第2の平面内に位置しており、
前記駆動アセンブリの駆動により、前記一対のジョーが第1姿勢と第2開放姿勢との間で移動する、組織係合装置。
【請求項14】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材のいずれか一方を、移動させることにより、前記一対のジョーが第1姿勢と第2開放姿勢との間で移動する、請求項13に記載の組織係合装置。
【請求項15】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉鎖姿勢に付勢されている、請求項13に記載の組織係合装置。
【請求項16】
前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材は、枢動点及び接続点において枢動可能に互いに連結され、且つ前記枢動点及び前記接続点の間に延びている、請求項13に記載の組織係合装置。
【請求項17】
前記一対のジョーは、前記枢動点を中心として前記第1姿勢及び前記第2開放姿勢の間で枢動する、請求項16に記載の組織係合装置。
【請求項18】
前記駆動アセンブリから延びるテザーをさらに備える、請求項13に記載の組織係合装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
この開示は、多くの点で単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、寸法及び工程の構成に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の要素の任意の使用が他の実施形態で使用されることを含み得る。本発明の範囲は、言うまでもないが、添付の請求項によって表現された文言で定義される。
(付記)
(付記1)
枢動点および固定点の間に延びて前記枢動点において第1のジョー及び第2のジョーに連結された本体部分を含む第1の駆動部材であって、前記本体部分が第1の姿勢と第1の圧縮姿勢との間で移動される、前記第1の駆動部材と、
前記枢動点及び前記固定点において前記第1の駆動部材に連結され、且つ第2の姿勢と第2の圧縮姿勢との間で移動される第2の駆動部材と
を備え、
前記本体部分に対して圧縮力を付与することにより前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させて前記第1のジョー及び前記第2のジョーを閉鎖姿勢から開放姿勢へと移動させること、および前記第2の駆動部材に対して圧縮力を付与することにより前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させて前記第1のジョー及び前記第2のジョーを閉鎖姿勢から開放姿勢へと移動させることが可能に構成されている、組織係合装置。
(付記2)
前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させること及び前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び第2のジョーを前記閉鎖姿勢から前記開放姿勢へと移動させる、付記1に記載の組織係合装置。
(付記3)
前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動された時及び前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動された時、前記本体部分及び前記第2の駆動部材はそれぞれ、前記枢動点及び前記固定点の間で延伸されている、付記1又は2に記載の組織係合装置。
(付記4)
前記第2の駆動部材は、前記第1の駆動部材に直交して配置されている、付記1~3のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記5)
前記本体部分、前記第1のジョー、及び第2のジョーは、一体的に形成される、付記1~4のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記6)
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、湾曲部を備える、付記1~5のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記7)
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、円形である、付記1~6のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記8)
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方は、卵形の2次元形状を有する、付記1~7のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記9)
前記本体部分を前記第1の姿勢から前記第1の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーを、前記枢動点を中心に回動させること、および前記第2の駆動部材を前記第2の姿勢から前記第2の圧縮姿勢に移動させることにより、前記第1のジョー及び前記第2のジョーを、前記枢動点を中心に回動させることが可能に構成されている、付記1~8のいずれか1つに記載の組織係合装置。
(付記10)
前記本体部分及び前記第2の駆動部材のうちの少なくとも一方の少なくとも一部の周囲に配置された圧縮膜をさらに備える、付記1~9のいずれか一つに記載の組織係合装置。
(付記11)
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記閉鎖姿勢に付勢されている、付記1~10のいずれか1に記載の組織係合装置。