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特開2023-53421ネットワーク中継装置、および接続経路選択方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053421
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ネットワーク中継装置、および接続経路選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/00 20220101AFI20230406BHJP
   H04L 45/741 20220101ALI20230406BHJP
   H04L 45/74 20220101ALI20230406BHJP
【FI】
H04L12/721 A
H04L12/781
H04L12/749
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021156335
(22)【出願日】2021-09-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 純平
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA13
5K030HD06
5K030HD09
5K030KA05
5K030LB05
(57)【要約】
【課題】通常は速度の速いIPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続し、IPv4overIPv6で障害の発生する通信端末装置からの通信はPPPoE接続でIPv4インターネットに接続することのできるネットワーク中継装置を提供する。
【解決手段】PPPoEサーバを介してIPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、第1のルータを介してIPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、IPv4インターネットへの接続経路を決定する接続経路選択部と、を備え、接続経路選択部は、PBR(Policy Based Routing)により接続経路を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置であって、
PPPoEサーバを介して前記IPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、
IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、前記第1のルータを介して前記IPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、
前記IPv4インターネットへの接続経路を決定する接続経路選択部と、を備え、
前記接続経路選択部は、PBR(Policy Based Routing)により前記接続経路を選択するネットワーク中継装置。
【請求項2】
前記PBRでは、送信元の前記通信端末装置のMACアドレスまたはSSIDによって前記接続経路が選択される、請求項1に記載のネットワーク中継装置。
【請求項3】
さらに、前記MACアドレスと前記通信端末装置の機種名との対応表を備え、
前記MACアドレスから前記対応表を用いて決定された前記通信端末装置の前記機種名、または前記SSIDに基づき前記接続経路が選択される、請求項2に記載のネットワーク中継装置。
【請求項4】
さらに、前記通信端末装置の前記機種名または前記SSIDと前記接続経路との関係を設定する機種別経路選択一覧表を備え、
前記接続経路の選択は、前記機種名または前記SSIDと前記機種別経路選択一覧表とによって行われる、請求項3に記載のネットワーク中継装置。
【請求項5】
前記機種別経路選択一覧表における、前記機種名、または前記SSIDと選択される前記接続経路との対応は、前記通信端末装置の利用者によって設定される、請求項4に記載のネットワーク中継装置。
【請求項6】
さらに、前記通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定部を備え、
前記接続経路の選択は、前記機種名および前記通信の種類に基づき選択される、請求項4または5に記載のネットワーク中継装置。
【請求項7】
さらにIPv6接続部を備え、IPv6通信インターフェースを備えた前記通信端末装置と接続され、ISP(インターネットサービスプロバイダー)の第2のルータを介して、または、IPv6閉域網とVNE(Vertual Network Enabler)の有するネットワークとを経由して、IPv6インターネットと接続される、請求項1から6のいずれか1項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項8】
前記通信端末装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ネットワークカメラ、IoT家電、およびネットワークサーバの少なくとも1つを含み、
IPアドレスの固定が必要な前記通信端末装置、および、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う前記通信端末装置は、前記PPPoEの前記接続経路が選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項9】
IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置の接続経路選択方法であって、
前記ネットワーク中継装置は、PPPoEサーバを介して前記IPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、前記第1のルータを介して前記IPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、を備え、
前記接続経路選択方法は、
送信元の前記通信端末装置のMACアドレスを抽出する、MACアドレス抽出工程と、
前記MACアドレスを用いて前記通信端末装置の機種名を特定する、通信端末装置特定工程と、
特定された前記機種名に対して、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断する、機種別接続経路判断工程と、
IPv4overIPv6で接続可能な場合にはIPv4overIPv6で接続し、IPv4overIPv6接続で障害が発生する可能性がある場合にはPPPoEで接続する、接続経路選択工程とを備える、接続経路選択方法。
【請求項10】
前記接続経路選択方法は、さらに前記通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定工程を備え、
前記機種別接続経路判断工程は前記通信端末装置の前記機種名、および前記通信端末装置から送信される前記通信の種類により、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断する、請求項9に記載の接続経路選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPv4通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置、およびネットワーク中継装置の接続経路を選択する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IPv4/IPv6混在ネットワーク環境において、IPv4通信端末装置と接続されるネットワーク中継装置に関しては、以下の特許が出願されている。
【0003】
特許文献1(特開2015-164287号公報)には、IPv4パケットの中継についての適切な動作モードを簡易に設定する装置および方法が開示されている。
特許文献1に記載のネットワーク中継装置は、ルータ機能部として動作する第1の動作モードとブリッジ機能部として動作する第2の動作モードとのうち、いずれかの動作モードに設定されて動作してIPパケットを中継するパケット中継処理部と、パケット中継処理部の動作モードを、第1の動作モードと第2の動作モードとのうち、いずれか一方を選択的に設定する動作モード設定部と、IPv4overIPv6トンネルを終端するトンネリング処理部と、かかるトンネルを終端するネットワーク中継装置とは異なる他のネットワーク中継装置との間で、かかるトンネルを介した通信試験を行なう通信試験部とを備え、動作モード設定部は、通信試験の結果、通信が可能であると、パケット中継処理部の動作モードを第1の動作モードに設定する。
【0004】
特許文献2(特許第6532975号号公報)には、負荷の少ない形で増設可能なIPv4overIPv6による接続サービスが開示されている。
【0005】
特許文献2に記載の接続サービスは、電気通信事業者が管理しIPv6で構成される共用型IP網に設けられる共用型IP網接続制御装置と、接続事業者が管理するISP網に設けられる事業者接続制御装置と、ISP網3の共用型IP網2側の端部に設けられるゲートウェイリレールータと、ユーザネットワークの共用型IP網側の端部に設けられる顧客構内設備とを備え、顧客構内設備は共用型IP網接続制御装置に中継されて事業者接続制御装置からIPv4アドレスを割り当てられ、顧客構内設備とゲートウェイリレールータとの間でIPv6カプセルによるトンネリングを行い、接続事業者の振り分けを終端ではない共用型IP網接続制御装置で行うものとする。
【0006】
特許文献3(特開2004-007412号公報)には、PPPoEに対応可能なゲートウェイ装置及びその制御方法に関して、接続された端末が、PPPoEとIPoEとの間で使用するプロトコルを選択すると共に、複数のPPPoEセッションを同時に選択する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3に記載のゲートウェイ装置では、ネットワークアドレス、プロトコル種別、IPoEで用いられる宛先IPアドレス及びPPPoEで用いられるPPPoEセッションの検索インデックスが登録されたIPoE/PPPoEフォワーディングテーブルを設け、入力されたフレームのIPパケットのヘッダ情報に含まれる宛先IPアドレスと一致するIPoE/PPPoEフォワーディングテーブル上のネットワークアドレスに応じてプロトコル種別を選択し、選択されたプロトコル種別がPPPoEの場合には当該ネットワークアドレスに対応する検索インデックスからPPPoEセッションも選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-164287号公報
【特許文献2】特許第6532975号公報
【特許文献3】特開2004-007412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、一般的な家庭ではISP(インターネットサービスプロバイダー)と契約することにより、IPv4またはIPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続することができる。IPv4overIPv6とは、家庭内のネットワーク中継装置とVNE(Virtual Network Enabler)のネットワークに設置されたBR(Border Relay)との間でIPv6トンネルを構築し、VNEを通じてIPv4インターネットに接続する方式である。
このうち、従来の接続方式であるPPPoE方式でIPv4インターネットに接続した場合には、ISPのネットワーク終端装置を通過するため、通信量が増加すると、このネットワーク終端装置が混雑してボトルネックとなることで、通信速度が遅くなる場合がある。
【0010】
一方、IPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続した場合には、通信速度はPPPoE方式でIPv4インターネットに接続した場合よりも速くなることが期待できる。しかし、家庭内の通信端末装置との接続において、使用できるポート番号が限定される、固定IPアドレスを使用できないなどの課題がある。具体的には、一部のオンラインゲームで支障がある、サーバ設置ができない、一部のネットワークカメラなどにおいて、自宅に設置したカメラに外部からアクセスできない、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPNが使えないなどの障害が確認されている。
特に、IPv4overIPv6の通信で障害が発生する通信端末装置と障害が発生しない通信端末装置とが併存するネットワーク環境においては、IPv4overIPv6接続用のルータと、PPPoE接続用のルータとの2台を設置して、IPv4overIPv6接続用のルータをPPPoEブリッジ設定し、かつ、各ルータに接続される端末の割り当てを行うなど、複雑なネットワーク構成が必要であった。
【0011】
特許文献1に記載のネットワーク中継装置は、IPv4パケットを中継するパケット中継処理部と、IPv4overIPv6トンネルを終端するトンネリング処理部と、IPv4overIPv6トンネルを介した通信試験を行なう通信試験部とを備え、通信試験の結果によって動作モードを選択する。したがって、PPPoE方式でIPv4インターネットに接続することもできるし、IPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続することもできる。
しかし、特許文献1に記載の通信試験は、ネットワーク中継装置が設置されているネットワーク接続形態が第1から第4の接続形態のうちのいずれであるかを判定するための試験であり、いったん接続方式が決定されると、使用中に接続方式を変更することは想定されていない。
したがって、特許文献1に記載のネットワーク中継装置の利用者は、通信速度が遅くなる場合があることを覚悟したうえで、PPPoE方式でIPv4インターネットに接続するか、もしくは、一部のオンラインゲームで支障がある、サーバ設置ができない、一部のネットワークカメラなどにおいて、自宅に設置したカメラに外部からアクセスできないなどの障害をあきらめて、IPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続するの、いずれかを選択しなければならない。
【0012】
特許文献2に記載の発明はIPv6アクセスネットワークにおいてIPv4ネットワーク事業者接続をする際の通信方式に関する発明であって、IPv6の共用型IP網を経由してIPv4overIPv6を提供するにあたり、負荷が少なく、ネットワークの制約も少なくして、ユーザエクスペリエンスを向上させやすい環境を提供するものであるが、従来のPPPoE方式によるIPv4インターネットへの接続については記載されていない。
【0013】
特許文献3に記載の発明は、企業内に構築されたネットワークと外部ネットワークとの相互間の通信を実現するために用いられる、IPoEとPPPoEの双方に対応可能なゲートウェイ装置の発明であるが、PPPoEとIPoEのどちらでインターネットに接続するかをどのようにして決定するかについては特に記載されていない。また、特許文献3には、IPv4overIPv6についても記載されていない。
【0014】
本発明の主な目的は、IPv4overIPv6の通信で障害が発生する通信端末装置と障害が発生しない通信端末装置とが併存するネットワーク環境においても、簡単にインターネット接続をすることができるネットワーク中継装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置において、通常は速度の速いIPv4overIPv6でIPv4インターネットに接続し、IPv4overIPv6で障害の発生する通信端末装置からの通信はPPPoE接続でIPv4インターネットに接続することのできるネットワーク中継装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、通信端末装置からの通信の種類を特定し、IPv4overIPv6で障害の発生する種類の通信に対してはPPPoE接続でIPv4インターネットに接続することのできるネットワーク中継装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)
一局面に従うネットワーク中継装置は、IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置であって、PPPoEサーバを介してIPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、第1のルータを介してIPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、IPv4インターネットへの接続経路を決定する接続経路選択部と、を備え、接続経路選択部は、PBR(Policy Based Routing)により接続経路を選択する。
【0016】
通常の場合、通信のルーティングは送信先IPアドレスとルーティングテーブルとを用いて決定される。しかし、IPv4インターネットに接続するためのルーティングパスとして、PPPoEサーバを介したルーティングとIPv4overIPv6トンネルを経由したルーティングの2種類がある場合は、送信先IPアドレスによってどちらのルーティングを選択するかを決めることはできない。
しかし、ネットワーク中継装置は、送信元のIPアドレスおよびMACアドレスを把握しており、送信元のIPアドレスおよび/またはMACアドレスによって、IPv4overIPv6で障害の発生する通信端末装置からの通信であるかどうかを判断することができる。そして、通常はIPv4overIPv6トンネルを経由したルーティングを使用し、IPv4overIPv6で障害の発生する通信端末装置からの通信である場合には、PPPoEサーバを介してIPv4インターネットに接続することで、高速で、かつ障害の発生しないネットワーク中継装置を実現することができる。
また、IPv4overIPv6の通信で障害が発生する通信端末装置と障害が発生しない通信端末装置とが併存する場合であっても、通信端末装置ごとにルータの設定を変更したり、複数のルータを用いて特殊なネットワークを構築したりする必要なく、簡単にインターネット接続をすることができる。
なお、本発明におけるPBR(Policy Based Routing)とは、通常のIPルーティングのように送信先IPアドレスだけを元に転送先を決定するのではなく、それ以外のさまざまな情報を用いてパケット(ユニキャスト)のルーティングを制御する機能である。
【0017】
(2)
第2の発明にかかるネットワーク中継装置は、一局面に従うネットワーク中継装置において、PBRでは、送信元の通信端末装置のMACアドレスまたはSSIDによって接続経路が選択されてもよい。
【0018】
PBRにおいて用いることのできる情報としては、例えば、送信元のIPアドレスと送信元のMACアドレスが候補となる。しかし、IPアドレスは、同じ通信端末装置であっても通信端末装置の再接続等によって変化する場合がある。したがって、送信元の通信端末装置のIPアドレスを用いて接続経路を選択する場合は、DHCPでMACアドレスにより固定的にIPを割り当てるか、クライアント側で手動で固定IPを割り当てる必要がある。
これに対して、送信元の通信端末装置のMACアドレスを用いて、接続経路を選択するのであれば、送信元の通信端末装置に固有のMACアドレスを指定するだけでよいので、接続経路を選択する通信端末装置の特定が簡単かつ確実である。
なお、ネットワーク中継装置のLAN側インターフェースに無線アクセスポイントが接続されている場合は、無線アクセスポイントのSSID(Service Set Identifier)ごとにIPv4overIPv6接続とするか、PPPoE接続とするかが決まっていることがある。このような場合には、送信元のMACアドレスではなく、無線アクセスポイントのSSIDによって接続経路を選択してもよい。
【0019】
(3)
第3の発明にかかるネットワーク中継装置は、第2の発明にかかるネットワーク中継装置において、さらに、MACアドレスと通信端末装置の機種名との対応表を備え、MACアドレスから対応表を用いて決定された通信端末装置の機種名、またはSSIDに基づき接続経路が選択されてもよい。
【0020】
IPv4overIPv6で障害の発生する通信端末装置のMACアドレスをネットワーク中継装置に設定する場合、利用者が障害の発生する通信端末装置を特定し、そのMACアドレスを入力することもできるが、一般のネットワーク中継装置の利用者にとっては障害の発生する通信端末装置のMACアドレスを調べてネットワーク中継装置に入力するのはやや困難である。
一方、MACアドレスと通信端末装置の機種名との対応に関しては、例えばインターネットセキュリティソフトなどから提供されており、MACアドレスから機種名を特定することができる。
なお、MACアドレスと通信端末装置の機種名との対応表は、インターネットで接続可能なサーバ上に存在し、ネットワーク中継装置が対応表のあるサーバにアクセスして検索するようにしてもよい。
【0021】
(4)
第4の発明にかかるネットワーク中継装置は、第3の発明にかかるネットワーク中継装置において、さらに、通信端末装置の機種名またはSSIDと接続経路との関係を設定する機種別経路選択一覧表を備え、接続経路の選択は、機種名またはSSIDと機種別経路選択一覧表とによって行われてもよい。
【0022】
ネットワーク中継装置に機種別経路選択一覧表を備えることによって、通信端末装置からネットワーク中継装置にパケットが送信された場合、ネットワーク中継装置は、まず、送信元MACアドレスから対応表により機種名を特定し、次に、特定された機種名またはSSIDから機種別経路選択一覧表により選択すべき接続経路を特定することができる。
【0023】
(5)
第5の発明にかかるネットワーク中継装置は、第4の発明にかかるネットワーク中継装置において、機種別経路選択一覧表における、機種名、またはSSIDと選択される接続経路との対応は、通信端末装置の利用者によって設定されてもよい。
【0024】
通信端末装置の利用者は、該当する通信端末がIPv4overIPv6で接続すべきか、または、PPPoEで接続すべきかについて理解している場合も多い。また、ネットワーク中継装置のLAN側インターフェースに無線アクセスポイントが接続されている場合には、無線アクセスポイントのSSIDごとにどちらの接続経路を選択すべきかについては、通常、利用者が理解している。
このような場合には、機種名、またはSSIDと選択される接続経路との対応について、利用者が設定することは容易であり、また確実でもある。利用者が設定する場合、使用中に障害が発生すれば設定を変更することもできる。
ただし、機種別経路選択一覧表の初期値については、ネットワーク中継装置が、適切と思われる初期値を設定することが望ましい。
例えば、一部のサーバ、ネットワークカメラなど、IPアドレスの固定が必要な通信端末装置、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う通信端末装置では、IPoEの仕組みによって特定の機能等が使えないという不都合が生じる場合があるため、初期設定としてPPPoEを選択してもよい。
この場合、設定された初期値で機種別の経路選択を行い、障害が発生した場合に利用者が設定を変更してもよい。
【0025】
(6)
第6の発明にかかるネットワーク中継装置は、第4または第5の発明にかかるネットワーク中継装置において、さらに、通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定部を備え、接続経路の選択は、機種名および通信の種類に基づき接続経路が選択されてもよい。
【0026】
例えば、通信端末装置がゲーム機の場合、オンラインゲームなどでは、同じゲーム機であってもIPv4overIPv6で通信すると障害の出るゲームと障害の出ないゲームとがある。これは、オンラインゲームの中で用いられている通信の種類が異なるためである。したがって、ネットワーク中継装置に通信の種類を認識する通信種類特定部と通信別経路選択一覧表とを備えることにより、ゲーム機単位ではなく、ゲームの種類に合わせて接続機能を選択することが可能となる。
なお、接続機能選択の精度および速度の面から、接続機能の選択に当たっては、まず、機種別経路選択一覧表において、通信の種類によって障害の出る可能性のある機種であるかどうかを判定し、それら、障害の出る可能性のある機種に対してのみ通信の種類を認識する機能を働かせることが望ましい。
【0027】
(7)
第7の発明にかかるネットワーク中継装置は、一局面から第6の発明にかかるネットワーク中継装置において、さらにIPv6接続部を備え、IPv6通信インターフェースを備えた通信端末装置と接続され、ISP(インターネットサービスプロバイダー)の第2のルータを介して、または、IPv6閉域網とVNE(Vertual Network Enabler)の有するネットワークとを経由して、IPv6インターネットと接続されてもよい。
【0028】
今後は、IPv6通信インターフェースを備えた通信端末装置が増加し、また、IPv4とIPv6の両方を備えた通信端末装置において、IPv6を使用する利用者が増加すると思われる。
したがって、ネットワーク中継装置は、IPv6通信インターフェースを備えた通信端末装置とも接続されるとともに、IPv6インターネットにも接続されることが望ましい。
なお、IPv6インターネットとの接続においては、IPv6閉域網とVNEの有するネットワークとを経由して接続される態様と、直接ISPの第2のルータを介して接続される態様があるが、第5の発明にかかるネットワーク中継装置はどちらの態様にも対応できることが望ましい。
【0029】
(8)
第8の発明にかかるネットワーク中継装置は、一局面から第7の発明にかかるネットワーク中継装置において、通信端末装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ネットワークカメラ、IoT家電、およびネットワークサーバの少なくとも1つを含み、IPアドレスの固定が必要な通信端末装置、および、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う通信端末装置は、PPPoEの接続経路が選択されてもよい。
【0030】
本発明のネットワーク中継装置は、ゲーム機、ネットワークカメラなど、IPv4overIPv6で通信すると障害の出る可能性のある通信端末装置にも対応できるので、高速のIPv4overIPv6での通信と、幅広い通信端末装置での使用とを両立させることができる。
【0031】
(9)
他の局面に従う接続経路選択方法は、IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置の接続経路選択方法であって、ネットワーク中継装置は、PPPoEサーバを介してIPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、第1のルータを介してIPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、を備え、接続経路選択方法は、送信元の通信端末装置のMACアドレスを抽出する、MACアドレス抽出工程と、MACアドレスを用いて通信端末装置の機種名を特定する、通信端末装置特定工程と、特定された機種名に対して、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断する、機種別接続経路判断工程と、IPv4overIPv6で接続可能な場合にはIPv4overIPv6で接続し、IPv4overIPv6接続で障害が発生する可能性がある場合にはPPPoEで接続する、接続経路選択工程とを備える。
【0032】
他の局面に従う接続経路選択方法では、送信元の通信端末装置のMACアドレスを抽出し、MACアドレスと通信端末装置の種類との対応表を用いて通信端末装置の種類を特定し、その通信端末がIPv4overIPv6で接続可能である場合には、IPv4overIPv6で接続し、IPv4overIPv6接続で障害が発生する可能性がある場合はPPPoEサーバを介してIPv4インターネットに接続することによって、利用者に負担をかけることなく、障害のない状態でIPv4インターネットに接続することができる。
なお、MACアドレスと通信端末装置の種類との対応表は、インターネットで接続可能なサーバ上に存在し、ネットワーク中継装置が対応表のあるサーバにアクセスして検索するようにしてもよい。
【0033】
(10)
第10の発明にかかる接続経路選択方法は、他の局面に従う接続経路選択方法において、接続経路選択方法は、さらに通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定工程を備え、機種別接続経路判断工程は通信端末装置の機種名、および通信端末装置から送信される通信の種類により、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断してもよい。
【0034】
例えば、通信端末装置がゲーム機の場合、オンラインゲームなどでは、同じゲーム機であってもIPv4overIPv6で通信すると障害の出るゲームと障害の出ないゲームとがある。これは、オンラインゲームの中で用いられている通信の種類が異なるためである。したがって、ネットワーク中継装置に通信の種類を認識し、その通信がIPv4overIPv6接続の場合に障害が発生するかどうかを判断することで、より正確な障害有無の判断をすることができる。
なお、接続機能選択の精度および速度の面から、接続機能の選択に当たっては、まず、機種別接続経路判断工程において、通信の種類によって障害の出る可能性のある機種であるかどうかを判定し、それら、障害の出る可能性のある機種に対してのみ通信の種類を認識する機能を働かせることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1の実施形態のネットワーク中継装置の構成を示す模式図である。
図2】第1の実施形態のネットワーク中継装置を用いた第1のネットワーク接続態様を示す模式図である。
図3】第1の実施形態のネットワーク中継装置を用いた第2のネットワーク接続態様を示す模式図である。
図4】第1の実施形態のネットワーク中継装置における接続経路選択のフローを示す模式図である。
図5】第1の実施形態のネットワーク中継装置におけるMACアドレス/装置対応表55の一例を示す表である。
図6】第1の実施形態のネットワーク中継装置における機種別経路選択一覧表の一例を示す表である。
図7】第2の実施形態のネットワーク中継装置の構成を示す模式図である。
図8】第2の実施形態のネットワーク中継装置における接続経路選択のフローを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0037】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態のネットワーク中継装置100の構成を示す模式図であり、図2はネットワーク中継装置100を用いた第1のネットワーク接続態様を示す模式図であり、図3はネットワーク中継装置100を用いた第2のネットワーク接続態様を示す模式図である。また、図4はネットワーク中継装置100における接続経路選択のフローを示す模式図であり、図5はネットワーク中継装置100におけるMACアドレス/装置対応表55の一例を示す表であり、図6はネットワーク中継装置100における機種別経路選択一覧表57の一例を示す表である。
【0038】
(ネットワーク中継装置100の構成)
図1に示すように、ネットワーク中継装置100は、データ中継処理部10とインターフェース部30と接続経路選択部50とで構成されている。
データ中継処理部10は、IPv4のパケットをPPPoE接続によりISP(インターネットサービスプロバイダ)のPPPoEサーバ130を介してIPv4インターネット120に接続するPPPoE接続部15と、IPv4のパケットを、IPv4overIPv6トンネル140を経由し、ISPの第1のルータ150を介してIPv4インターネット120に接続するIPv4overIPv6接続部20と、IPv6のパケットをISPの第2のルータ170を介してIPv6インターネット160に接続するIPv6接続部25とを備える。なお、IPv4overIPv6接続部20およびIPv6接続部25はIPv6閉域網180およびVNE(Vertual Network Enabler)190を経由してそれぞれ、IPv4インターネット120およびIPv6インターネット160に接続してもよい。
【0039】
本実施形態では、ネットワーク中継装置100のデータ中継処理部10とインターフェース部30と接続経路選択部50とはそれぞれ別々のハードウエアとして構成されているが、所定のプログラムに基づいてCPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)が動作することによって、ネットワーク中継装置100の機能の少なくとも一部が実現されてもよい。
【0040】
インターフェース部30は、PPPoEサーバ130、第1のルータ150、第2のルータ170などと接続するWAN側I/F35と、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ネットワークカメラ、およびネットワークサーバなどの通信端末装置110と接続するLAN側I/F(インターフェース)40とを備える。
通信端末装置110は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ネットワークカメラ、IoT家電、およびネットワークサーバの少なくとも1つを含む。IPアドレスの固定が必要な通信端末装置110、および、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う通信端末装置110は、PPPoE接続経路が選択される必要がある。
通常、ネットワーク中継装置100における接続経路の選択は送信先のIPアドレスに基づいて行われる。しかし、PPPoE接続経路とIPv4overIPv6接続経路との接続経路の選択は送信先のIPアドレスによって行うことはできない。このため、接続経路選択部50は、PBR(Policy Based Routing)により、送信元の情報に基づいて接続経路を選択する。
【0041】
具体的には、通信端末装置110から送信されたIPv4データのIPアドレス、MACアドレスなどの情報を抽出し、IPv4データをPPPoE接続経路を介して送信するか、IPv4overIPv6接続経路を介して送信するかを選択する制御部60と、MACアドレスをもとに通信端末装置110の機種名を特定するためのMACアドレス/装置対応表55と、通信端末装置110の機種名またはSSIDと接続経路との関係を設定する機種別経路選択一覧表57とを備える。
【0042】
(第1のネットワーク接続態様)
図2に、ネットワーク中継装置100を用いた第1のネットワーク接続態様を示した。
ネットワーク中継装置100のLAN側にはIPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置110、および/またはIPv6通信インターフェースを備えた通信端末装置110が接続されている。なお、通信端末装置110はIPv4通信インターフェースとIPv6通信インターフェースとの両方を備え、必要に応じてIPv4通信、もしくはIPv6通信を行ってもよい。
【0043】
ネットワーク中継装置100のWAN側には、ISPのPPPoEサーバ130に接続されるIPv4接続経路、ISPの第1のルータ150に接続されるIPv4overIPv6接続経路、およびISPの第2のルータ170に接続されるIPv6接続経路が接続されている。ネットワーク中継装置100と第1のルータ150との間はIPv4overIPv6トンネル140が設けられ、ネットワーク中継装置100と第1のルータ150とで終端されている。トンネルを終端するとは、IPv4パケットをIPv6パケットへカプセル化し、IPv6パケットからIPv4パケットを抽出することを意味する。
また、PPPoEサーバ130および第1のルータ150はIPv4インターネット120に、第2のルータ170はIPv6インターネット160に接続されている。
ネットワーク中継装置100は、接続経路選択部50の判断により、データ中継処理部10のうちの1つの接続部を選択し、選択された接続部が対応する接続経路を経由してIPv4インターネット120またはIPv6インターネット160にデータを送信する。
【0044】
(第2のネットワーク接続態様)
図3に、ネットワーク中継装置100を用いた第2のネットワーク接続態様を示した。
第2の接続態様では、PPPoEサーバ130に接続されるIPv4接続経路は第1の接続態様と同じであるが、IPv4overIPv6接続経路、およびIPv6接続経路がNTTのフレッツ網などのIPv6閉域網180およびVNE190(Vertual Network Enabler)を経由してインターネットに接続されている点が異なる。
ネットワーク中継装置100と第4のルータ210との間はIPv4overIPv6トンネル140が設けられ、ネットワーク中継装置100と第4のルータ210とで終端されている。第3のルータ200はIPv6閉域網180の入口のルータ装置である。
第4のルータ210は、AFTR(Address Family Translate Router)などのIPv4overIPv6トンネル140を終端する装置であり、第5のルータ220は、CGN(Carrier Grade NAT)などのIPv4プライベートアドレスとIPv4グローバルアドレスとの間の相互の変換を行なう機能を備えている。
ネットワーク中継装置100のLAN側の接続態様は第1のネットワーク接続態様と同じである。
【0045】
(接続経路選択のフローチャート)
図4に第1の実施形態のネットワーク中継装置100における接続経路選択のフローチャートを示す。以下、各ステップについて説明する。
(S1)通信端末装置110からの送信データ受信まで待機。
(S2)送信データを受信すると送信元のMACアドレスを抽出。
(S3)抽出したMACアドレスとMACアドレス/装置対応表55(図5参照)とを用いて、送信元の通信端末装置110の機種名を特定する。
(S4)通信端末装置110の機種名またはSSIDと接続経路との関係を設定する機種別経路選択一覧表57(図6参照)を参照して、送信元の通信端末装置110で障害が発生するかどうかを確認する。
(S5)送信元の通信端末装置110の機種で障害が発生する可能性のある場合は、PPPoE接続経路を選択する。なお、機種別経路選択一覧表57において通信の種類によっては障害が発生する可能性のある場合にも、PPPoE接続経路を選択することが望ましい。
(S6)送信元の通信端末装置110の機種で障害が発生しない場合は、より通信速度の速いIPv4overIPv6接続経路を選択する。
(S7)選択した接続経路でデータをIPv4インターネット120に送信する。
【0046】
(MACアドレス/装置対応表55)
図5に、MACアドレス/装置対応表55の一例を示す。MACアドレス/装置対応表55では、それぞれのMACアドレスに対して、通信端末装置110のベンダーおよび機種名が検索できるようになっている。
なお、MACアドレス/装置対応表55は、インターネットで接続可能なサーバ上に存在し、ネットワーク中継装置100が対応表のあるサーバにアクセスして検索するようにしてもよい。
【0047】
(機種別経路選択一覧表57)
図6に機種別経路選択一覧表57の一例を示す。図6では、装置機種名またはSSIDごとにIPv4overIPv6で接続すべきか、PPPoEで接続すべきかが記載されている。また、通信の種類によってはPPPoEで接続する必要がある場合はそのことも記載されている。
機種別経路選択一覧表57についても、インターネットで接続可能なサーバ上に存在し、ネットワーク中継装置100が対応表のあるサーバにアクセスして検索するようにしてもよい。
【0048】
通信端末装置110の利用者は、該当する通信端末装置110がIPv4overIPv6で接続すべきか、または、PPPoEで接続すべきかについて理解している場合も多い。また、ネットワーク中継装置100のLAN側インターフェース40に無線アクセスポイントが接続されている場合には、無線アクセスポイントのSSIDごとにどちらの接続経路を選択すべきかについては、通常、利用者は理解している。
このような場合には、IPv4overIPv6で接続すべきか、または、PPPoEで接続すべきかを、利用者は容易に判断することができるし、また、その判断は確実でもあるので、機種別経路選択一覧表57の接続経路欄は利用者が記入してもよい。利用者が設定する場合、使用中に障害が発生すれば設定を変更することもできる。
ただし、機種別経路選択一覧表57の初期値は、ネットワーク中継装置100が、機種ごとに、適切と思われる初期値を自動で設定することが望ましい。
例えば、一部のサーバ、ネットワークカメラなど、IPアドレスの固定が必要な通信端末装置、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う通信端末装置では、IPoEの仕組みによって特定の機能等が使えないという不都合が生じる場合があるため、初期設定としてPPPoEを選択してもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
図7は第2の実施形態のネットワーク中継装置100aの構成を示す模式図であり、図8は第2の実施形態のネットワーク中継装置100aにおける接続経路選択のフローを示す模式図である。ネットワーク接続態様、MACアドレス/装置対応表55、機種別経路選択一覧表57は第1の実施形態のネットワーク中継装置100と同じである。
【0050】
(ネットワーク中継装置100aの構成)
図7に記載の第2の実施形態のネットワーク中継装置100aは第1の実施形態のネットワーク中継装置100に対して、接続経路選択部50に、通信種類特定部65および通信別経路選択一覧表59が追加されている。
例えば、通信端末装置110がゲーム機の場合、オンラインゲームなどでは、同じゲーム機であってもIPv4overIPv6で通信すると障害の出るゲームと障害の出ないゲームとがある。これは、オンラインゲームの中で用いられている通信の種類が異なるためである。したがって、ネットワーク中継装置100に通信の種類を認識する機能を備えることにより、ゲーム機単位ではなく、ゲームの種類に合わせて接続機能を選択することが可能となる。
【0051】
第2の実施形態のネットワーク中継装置100aは、接続経路選択部50に、通信種類特定部65を備えて送信元の通信端末装置110から送信された通信の種類を認識する。
さらに、ゲーム機などの場合について、IPv4overIPv6で通信すると障害の発生する通信の種類を記載した通信別経路選択一覧表59によって、認識された通信の種類が障害の発生する通信であるかどうかを判断し、障害の発生する通信である場合は、PPPoE接続経路を選択する。通信の種類の認識にあたっては、例えば、TCP/UDPのポート番号、あるいは、IPv4ヘッダのTOS(Type of Service)フィールドなど、QoS(Quality of Service)の制御においてルーターがパケットの優先度を決めるのに用いるパラメータを参考にすることができる。
なお、接続経路選択の精度および速度の面から、接続経路の選択に当たっては、まず、機種別経路選択一覧表57で、通信の種類によってはPPPoEで接続する必要がある機種であるかどうかを判定し、それら、通信の種類によってはPPPoEで接続する必要がある通信端末装置110に対してのみ通信の種類を認識する機能を働かせることが望ましい。
また、機種別経路選択一覧表57においてユーザが経路を選択した場合には、通信種類特定部65が選択した経路よりもユーザが選択した経路を優先して接続してもよい。
【0052】
(接続経路選択のフローチャート)
図8に第2の実施形態のネットワーク中継装置100aにおける接続経路選択のフローチャートを示す。図8のフローチャートは図4のフローチャートに対して、S13-S15ステップが追加されており、その他は図4のフローチャートと同一である。
第1の実施形態では、S4ステップにおいてIPv4overIPv6接続で障害が発生する装置の場合にはPPPoE接続経路が選択されたが、第2の実施形態では、S4ステップにおいて障害が発生する装置であると判定された場合にも、さらに、すべての通信において障害が発生する装置であるかどうかを判断する(S13ステップ)。例えば、IPアドレスを固定する必要のあるネットワークカメラはすべての通信において障害が発生する装置に相当する。一方、ネットワークゲーム機では、通信の種類によっては障害の発生しない場合もあるので、すべての通信において障害が発生する装置ではないと判断される。そして、すべての通信において障害が発生する装置の場合にはPPPoE接続経路を選択する(S5ステップ)。
すべての通信において障害が発生する装置ではないと判断された場合には、通信種類特定部65によって通信の種類を特定する(S14ステップ)。
特定された通信の種類がIPv4overIPv6で障害が発生する通信である場合にはPPPoE接続経路を選択し、そうでない場合はIPv4overIPv6接続経路を選択する(S15ステップ)。
【0053】
本発明において、通信端末装置110が『通信端末装置』に相当し、ネットワーク中継装置100、100aが『ネットワーク中継装置』に相当し、PPPoEサーバ130が『PPPoEサーバ』に相当し、IPv4インターネット120が『IPv4インターネット』に相当し、PPPoE接続部15が『PPPoE接続部』に相当し、IPv4overIPv6トンネル140が『IPv4overIPv6トンネル』に相当し、第1のルータ150が『第1のルータ』に相当し、IPv4overIPv6接続部20が『IPv4overIPv6接続部』に相当し、接続経路選択部50が『接続経路選択部』に相当し、通信種類特定部65が『通信種類特定部』に相当し、IPv6接続部25が『IPv6接続部』に相当し、第2のルータ170が『第2のルータ』に相当し、IPv6閉域網180が『IPv6閉域網』に相当し、VNE190が『VNEの有するネットワーク』に相当し、IPv6インターネット160が『IPv6インターネット』に相当する。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0055】
15 PPPoE接続部
20 IPv4overIPv6接続部
25 IPv6接続部
50 接続経路選択部
65 通信種類特定部
100 ネットワーク中継装置
110 通信端末装置
120 IPv4インターネット
130 PPPoEサーバ
140 IPv4overIPv6トンネル
150 第1のルータ
160 IPv6インターネット
170 第2のルータ
180 IPv6閉域網
190 VNE(Vertual Network Enabler)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置であって、
PPPoEサーバを介して前記IPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、
IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、前記第1のルータを介して前記IPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、
前記IPv4インターネットへの接続経路を決定する接続経路選択部と、を備え、
前記接続経路選択部は、PBR(Policy Based Routing)により前記接続経路を選択し、
前記PBRでは、送信元の前記通信端末装置のMACアドレスまたはSSIDによって前記接続経路が選択され、
さらに、前記MACアドレスと前記通信端末装置の機種名との対応表を備え、
前記MACアドレスから前記対応表を用いて決定された前記通信端末装置の前記機種名、または前記SSIDに基づき前記接続経路が選択される、ネットワーク中継装置。
【請求項2】
さらに、前記通信端末装置の前記機種名または前記SSIDと前記接続経路との関係を設定する機種別経路選択一覧表を備え、
前記接続経路の選択は、前記機種名または前記SSIDと前記機種別経路選択一覧表とによって行われる、請求項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項3】
前記機種別経路選択一覧表における、前記機種名、または前記SSIDと選択される前記接続経路との対応は、前記通信端末装置の利用者によって設定される、請求項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項4】
さらに、前記通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定部を備え、
前記接続経路の選択は、前記機種名および前記通信の種類に基づき選択される、請求項またはに記載のネットワーク中継装置。
【請求項5】
さらにIPv6接続部を備え、IPv6通信インターフェースを備えた前記通信端末装置と接続され、ISP(インターネットサービスプロバイダー)の第2のルータを介して、または、IPv6閉域網とVNE(Vertual Network Enabler)の有するネットワークとを経由して、IPv6インターネットと接続される、請求項1からのいずれか1項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項6】
前記通信端末装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ゲーム機、ネットワークカメラ、IoT家電、およびネットワークサーバの少なくとも1つを含み、
IPアドレスの固定が必要な前記通信端末装置、および、PPTPまたはL2TP/IPsecによるVPN接続を行う前記通信端末装置は、前記PPPoEの前記接続経路が選択される、請求項1からのいずれか1項に記載のネットワーク中継装置。
【請求項7】
IPv4通信インターフェースを備えた通信端末装置とIPv4インターネットとを中継するネットワーク中継装置の接続経路選択方法であって、
前記ネットワーク中継装置は、PPPoEサーバを介して前記IPv4インターネットに接続するPPPoE接続部と、IPv4overIPv6トンネルを経由して第1のルータと接続し、前記第1のルータを介して前記IPv4インターネットに接続するIPv4overIPv6接続部と、を備え、
前記接続経路選択方法は、
送信元の前記通信端末装置のMACアドレスを抽出する、MACアドレス抽出工程と、
前記MACアドレスを用いて前記通信端末装置の機種名を特定する、通信端末装置特定工程と、
特定された前記機種名に対して、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断する、機種別接続経路判断工程と、
IPv4overIPv6で接続可能な場合にはIPv4overIPv6で接続し、IPv4overIPv6接続で障害が発生する可能性がある場合にはPPPoEで接続する、接続経路選択工程とを備える、接続経路選択方法。
【請求項8】
前記接続経路選択方法は、さらに前記通信端末装置から送信される通信の種類を特定する通信種類特定工程を備え、
前記機種別接続経路判断工程は前記通信端末装置の前記機種名、および前記通信端末装置から送信される前記通信の種類により、IPv4overIPv6で接続可能かどうかを判断する、請求項に記載の接続経路選択方法。