(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053429
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】車両用ルーフ構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/06 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
B62D25/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162450
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】染谷 紀樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 学
(72)【発明者】
【氏名】保井 猛
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB59
3D203BB62
3D203BB63
3D203CA07
3D203CA53
3D203CB09
3D203CB10
3D203CB26
(57)【要約】
【課題】安定した品質で、組立および交換作業も容易な車両用ルーフ構造を提供する。
【解決手段】車両用ルーフ構造1は、車両上部の骨格を構成し、開口部24を有する枠状のルーフ骨格部材2と、開口部24を覆うようにボルト31によりルーフ骨格部材2に固定された樹脂製のルーフパネル3と、開口部24の周縁部に沿ってルーフパネル3とルーフ骨格部材2との間に配置され、ルーフパネル3とルーフ骨格部材2との隙間をシールするウェザーストリップ6と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ルーフ構造であって、
車両上部の骨格を構成し、開口部を有する枠状のルーフ骨格部材と、
前記開口部を覆うようにボルトにより前記ルーフ骨格部材に固定された樹脂製のルーフパネルと、
前記開口部の周縁部に沿って前記ルーフパネルと前記ルーフ骨格部材との間に配置され、前記ルーフパネルと前記ルーフ骨格部材との隙間をシールするウェザーストリップと、を有する車両用ルーフ構造。
【請求項2】
前記ルーフパネルは、前記ルーフ骨格部材のうち前記開口部に隣接する上面に前記ボルトにより固定され、前記ウェザーストリップは、前記ルーフパネルと前記ルーフ骨格部材の前記上面との間に配置されている、請求項1に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項3】
前記ボルトは、前記ウェザーストリップの径方向内側で該ウェザーストリップに近接する位置に配置されている、請求項2に記載の車両用ルーフ構造。
【請求項4】
前記ウェザーストリップは、クリップにより前記ルーフ骨格部材に着脱可能に取り付けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用ルーフ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体のさらなる軽量化のために、ルーフの大部分が樹脂製のルーフパネルから構成された車両が知られている。樹脂製のルーフパネルは、一般に、ルーフに形成されたルーフ開口部の周縁部に沿って塗布された接着剤により車体に接合されている(例えば、特許文献1参照)。この接着剤は、車体とルーフパネルとの間の水密性を確保する機能も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製のルーフパネルの車体への接合は、車両の最終組立工程で行われることから、車両全体を高温の乾燥炉に入れて接着剤を硬化させることができない。そのため、接着剤の硬化時間が必然的に長くなり、接合部の品質管理が難しくなってしまう。また、破損などにより樹脂製のルーフパネルの交換が必要になった場合、ルーフパネルから接着剤を剥離する作業が必要になるため、分解や分別がしにくく、このことはリサイクル性の点でも好ましくない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、安定した品質で、組立および交換作業も容易な車両用ルーフ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明の車両用ルーフ構造は、車両上部の骨格を構成し、開口部を有する枠状のルーフ骨格部材と、開口部を覆うようにボルトによりルーフ骨格部材に固定された樹脂製のルーフパネルと、開口部の周縁部に沿ってルーフパネルとルーフ骨格部材との間に配置され、ルーフパネルとルーフ骨格部材との隙間をシールするウェザーストリップと、を有している。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によれば、安定した品質で、組立および交換作業も容易な車両用ルーフ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ルーフ構造の斜視図である。
【
図2】本実施形態の車両用ルーフ構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ルーフ構造の斜視図である。
図2(a)は、
図1のA-A線に沿った断面図、
図2(b)は、
図1のB-B線に沿った断面図、
図2(c)は、
図1のC-C線に沿った断面図である。
【0011】
車両用ルーフ構造(以下、単に「ルーフ構造」ともいう)1は、車両上部(ルーフ)の骨格を構成するルーフ骨格部材2を有している。ルーフ骨格部材2は、車両幅方向の両端部に配置された一対のルーフサイドレール21と、車両前方側の端部に配置されたフロントヘッダーパネル22と、車両前方側の端部に配置されたリアルーフレール23と有している。ルーフサイドレール21は、車両前後方向に延び、フロントヘッダーパネル22およびリアルーフレール23は、それぞれ車両幅方向に沿って一対のルーフサイドレール21間に架け渡されている。これにより、ルーフ骨格部材2は枠状に構成され、その内側にルーフ開口部24が形成されている。
【0012】
ルーフサイドレール21は、サイドアウター21aと、サイドアウター21aの車室内側に配置されたサイドインナー22bと、サイドアウター21aとサイドインナー22bとの間に配置されたルーフサイドレールリンフォース23cとから構成されている。これらが互いに接合されることで、ルーフサイドレール21は閉断面構造を有している。リアルーフレール23は、ルーフパネルエクステンション23aと、ルーフパネルエクステンション23aの車両前方側に配置されたフレームバックパネル23bとから構成されている。これらが互いに接合されることで、リアルーフレール23は閉断面構造を有している。
【0013】
また、ルーフ構造1は、ルーフ骨格部材2に形成されたルーフ開口部24を覆うルーフパネル3を有している。ルーフパネル3は樹脂製であり、好ましくは、ポリプロピレンコンパウンド製、不飽和ポリエステル樹脂をガラス繊維または炭素繊維に含浸させたシートであるシートモールディングコンパウンド(SMC)製、または、ポリカーボネート製であり、より好ましくは、ポリプロピレンコンパウンド製である。
【0014】
なお、ルーフパネル3の車両前方側にはウィンドシールドガラス4が設けられ、ウィンドシールドガラス4とルーフパネル3との間には、両者の隙間を隠すためのルーフモール5が配置されている。ウィンドシールドガラス4は、フロントヘッダーパネル22の上面に接着剤41で接合され、この接着剤41により、ウィンドシールドガラス4とフロントヘッダーパネル22との水密性も確保されている。
【0015】
一方、ルーフパネル3は、接着剤ではなく、ボルト31により、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23にそれぞれ固定され、すなわち、ルーフ骨格部材2に固定されている。具体的には、ルーフパネル3は、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23のうち、ルーフ開口部24に隣接する領域の上面に支持されている。そして、ルーフパネル3は、ルーフパネル3の下面に形成されたボルト孔32にボルト31が挿入されることで、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23にそれぞれ固定されている。ボルト孔32は、ルーフパネル3の周縁部の全周にわたって複数形成され、それに応じて、ボルト31は、ルーフ開口部24の周縁部の全周にわたって複数配置されている。
【0016】
加えて、ルーフパネル3とルーフ骨格部材2との間、具体的には、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23のうち、ルーフ開口部24に隣接する領域の上面との間には、ウェザーストリップ6が配置されている。ウェザーストリップ6は、ルーフ開口部24の周縁部に沿って環状に配置され、ルーフパネル3とルーフ骨格部材2(すなわち、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23)との隙間をシールして両者間の水密性を確保する機能を有している。ウェザーストリップ6は、樹脂製のクリップ61により、ルーフサイドレール21、フロントヘッダーパネル22、およびリアルーフレール23にそれぞれ着脱可能に取り付けられ、すなわち、ルーフ骨格部材2に着脱可能に取り付けられている。クリップ61は、環状のウェザーストリップ6の全周にわたって複数設けられている。
【0017】
このような構成により、接着剤が不要の単純な組立作業でルーフパネル3をルーフ骨格部材2に組み付けることが可能になり、組立工程に係る品質管理が容易になる。同様に、単純な作業でルーフパネル3をルーフ骨格部材2から取り外すことができるため、ルーフパネル3の交換も容易に行うことができる。その結果、部品の分解や分別も容易になり、リサイクル性を向上させることができる。また、ウェザーストリップ6も、クリップ61を取り外すだけでルーフ骨格部材2から取り外すことができ、このこともリサイクル性の点では好ましい。
【0018】
ルーフパネル3とルーフ骨格部材2との水密性をより強固に確保するために、ボルト31は、ウェザーストリップ6の径方向内側のできるだけウェザーストリップ6に近接する位置に配置されていることが好ましい。なお、ボルト31の設置位置は、ルーフパネル3をルーフ骨格部材2に十分な強度で固定できれば特に限定されず、任意に設定することができる。例えば、ボルト31同士の間隔は、等間隔であってもよく、等間隔でなくてもよい。また、ボルト31同士の間隔は、矩形状のルーフ開口部24の辺ごとに異なっていてもよく、すなわち、ルーフサイドレール21とフロントヘッダーパネル22とリアルーフレール23とで異なっていてもよい。同様に、クリップ61の設置位置も特に限定されず、任意に設定することができるが、ボルト31とクリップ61は、互いに近接する位置に配置されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0019】
1 車両用ルーフ構造
2 ルーフ骨格部材
21 ルーフサイドレール
21a サイドアウター
21b サイドインナー
21c ルーフサイドレールリンフォース
22 フロントヘッダーパネル
23 リアルーフレール
23a ルーフパネルエクステンション
23c フレームバックパネル
24 ルーフ開口部
3 ルーフパネル
31 ボルト
4 ウィンドシールドガラス
41 接着剤
5 ルーフモール
6 ウェザーストリップ
61 クリップ