(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053432
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】封液循環装置
(51)【国際特許分類】
B29C 48/76 20190101AFI20230406BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20230406BHJP
B04C 5/20 20060101ALI20230406BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B29C48/76
B01D23/02 A
B04C5/20
F04B37/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162459
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 元治
【テーマコード(参考)】
3H076
4D053
4D116
4F207
【Fターム(参考)】
3H076AA21
3H076AA35
3H076BB11
4D053AA03
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4F207KA01
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(57)【要約】
【課題】封液に含まれる異物の除去が可能でありながらも、メンテナンス性を向上し得る封液循環装置を提供する。
【解決手段】封液循環装置1は、水封式の真空ポンプ2の封液排出口2bに接続される封液排出路11を経た封液に含まれる異物を捕捉するフィルター19を、封液通過状態で交換可能に保持するフィルター保持部20と、該フィルター保持部の下流側に設けられ、該封液をオーバーフローさせるオーバーフロー口27及び該封液を返送する封液返送路12が接続される返送口26が設けられたオーバーフロー槽25と、該封液返送路の下流側に設けられ、前記真空ポンプに封液を給送する封液給送路13に組み込まれる循環ポンプ16と、該循環ポンプによって循環される封液の循環経路10内に封液を補給する補給路8と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水封式の真空ポンプの封液排出口に接続される封液排出路を経た封液に含まれる異物を捕捉するフィルターを、封液通過状態で交換可能に保持するフィルター保持部と、該フィルター保持部の下流側に設けられ、該封液をオーバーフローさせるオーバーフロー口及び該封液を返送する封液返送路が接続される返送口が設けられたオーバーフロー槽と、該封液返送路の下流側に設けられ、前記真空ポンプに封液を給送する封液給送路に組み込まれる循環ポンプと、該循環ポンプによって循環される封液の循環経路内に封液を補給する補給路と、を備えていることを特徴とする封液循環装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記フィルター保持部は、前記封液が通過する通過部が設けられ、前記フィルターが上面側に載置される載置部を備えており、
前記封液排出路の下流側端部は、前記載置部の上方側において該載置部に封液を流下させるように設けられていることを特徴とする封液循環装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記フィルター保持部は、前記オーバーフロー槽の上端開口を覆う蓋部材であることを特徴とする封液循環装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記封液返送路の下流側端部が上端側部位に接続され、封液に含まれる異物を旋回させながら沈降させて下端の排出口から排出可能とされた分離部を備えていることを特徴とする封液循環装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記分離部は、前記循環ポンプが組み込まれる封液給送路の上流側端部が接続される熱交換タンク内に設けられ、該熱交換タンク内には、冷却媒体を通過させる冷却路が前記分離部の外周側を囲むように螺旋状に設けられていることを特徴とする封液循環装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記補給路には、流量調整部が組み込まれていることを特徴とする封液循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水封式の真空ポンプに接続される封液循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、押出成形機等の成形機や種々の加工機において材料(原料)から発生するガスなどを吸引する水封式の真空ポンプが知られている。このような真空ポンプにおいては、ガスを含む封液が汚水として排出される。
例えば、下記特許文献1には、ベント式押出機のベント孔より排出されるダストを含む気体を吸引する水封式真空ポンプの水と空気の浄化方法が開示されている。この浄化方法では、円筒部とその下に続く円錐部からなる形状をした分離装置においてポンプで使用した工業用水に含まれる夾雑物の一部を分離、沈降させ、円錐部の下端に達し、反転して上昇した水流に含まれる夾雑物を円筒部の内部上方のフィルターで阻止する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された浄化方法では、分離装置の上方に設けた補給水タンクから分離装置内に給水することによりフィルターを洗浄する際にポンプを停止させる必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、封液に含まれる異物の除去が可能でありながらも、メンテナンス性を向上し得る封液循環装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る封液循環装置は、水封式の真空ポンプの封液排出口に接続される封液排出路を経た封液に含まれる異物を捕捉するフィルターを、封液通過状態で交換可能に保持するフィルター保持部と、該フィルター保持部の下流側に設けられ、該封液をオーバーフローさせるオーバーフロー口及び該封液を返送する封液返送路が接続される返送口が設けられたオーバーフロー槽と、該封液返送路の下流側に設けられ、前記真空ポンプに封液を給送する封液給送路に組み込まれる循環ポンプと、該循環ポンプによって循環される封液の循環経路内に封液を補給する補給路と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る封液循環装置は、上述のような構成としたことで、封液に含まれる異物の除去が可能でありながらも、メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る封液循環装置の一例及びこれを備えた封液循環システムの一例を模式的に示す概略システム図である。
【
図2】(a)、(b)は、同封液循環装置が備えるオーバーフロー槽の一例を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1では、液体(封液)等が通過する経路となる管路(配管)等を実線にて模式的に示している。
以下の実施形態では、本実施形態に係る封液循環装置を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0010】
図1及び
図2は、本実施形態に係る封液循環装置の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る封液循環装置1は、
図1に示すように、循環経路10を介して水封式の真空ポンプ2に封液を循環させる構成とされている。
真空ポンプ2は、例えば、円形ケーシング内に封液(封水)が入れられ、このケーシングに対して偏心させた位置に羽根車(インペラー)が取り付けられた構成とされていてもよい。この真空ポンプ2においては、羽根車を回転させることで遠心力によってリング状の封水が形成され、この封水と羽根とによって囲まれた空間の容積変化によって吸い込み、圧縮、吐出がなされる構成とされていてもよい。水封式の真空ポンプ2としては、種々の公知の構成とされたものの採用が可能である。
【0011】
この真空ポンプ2の吸込口が接続される接続対象3としては、成形工程や加工工程において種々のガスや水蒸気などが発生する成形機や加工機などでもよい。接続対象3としては、例えば、押出成形機や射出成形機等の合成樹脂成形機でもよい。例えば、ベント式の押出成形機または射出成形機のベント孔や射出成形機のシリンダ等に、真空ポンプ2の吸込側が接続されてもよい。この場合は、合成樹脂成形機において溶融される樹脂材料から発生するガスを真空ポンプ2の吸込対象としてもよい。真空ポンプ2の下流側に、適宜の気液分離部が設けられ、この気液分離部において、真空ポンプ2によって吸い込んだガスが排気されてもよい。
【0012】
封液循環装置1は、
図1及び
図2に示すように、真空ポンプ2の封液排出口2bに接続される封液排出路11を経た封液に含まれる異物を捕捉するフィルター19を、封液通過状態で交換可能に保持するフィルター保持部20を備えている。このような構成とすれば、フィルター保持部20に保持されたフィルター19によって真空ポンプ2から排出される封液に含まれる油等の異物を捕捉することができる。また、真空ポンプ2から排出される封液を通過させた状態でフィルター19を交換することができる。これにより、真空ポンプ2やその接続対象3となる押出成形機等の装置、後記する循環ポンプ16等を停止させる必要がなく、メンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
封液循環装置1は、このフィルター保持部20の下流側に設けられ、封液をオーバーフローさせるオーバーフロー口27及び封液を返送する封液返送路12が接続される返送口26が設けられたオーバーフロー槽25を備えている。このような構成とすれば、フィルター19によって捕捉されずに通過した封液よりも比重の小さい油等の異物を、オーバーフロー槽25のオーバーフロー口27から排出させることができる。また、オーバーフロー口27よりも上流側においてフィルター19によって油等の異物が捕捉されているので、オーバーフローさせる封液に含まれる異物量の軽減やオーバーフローさせる封液量を減少させることができ、環境負荷を軽減することができる。
封液循環装置1は、封液返送路12の下流側に設けられ、真空ポンプ2に封液を給送する封液給送路13に組み込まれる循環ポンプ16を備えている。このような構成とすれば、封液を循環させて再利用することができる。
封液循環装置1は、この循環ポンプ16によって循環される封液の循環経路10内に封液を補給する補給路8を備えている。このような構成とすれば、オーバーフローされた封液量に応じて封液を補給することができる。
【0014】
本実施形態では、封液循環装置1は、
図1に示すように、封液返送路12の下流側端部が上端側部位に接続され、封液に含まれる異物を旋回させながら沈降させて下端の排出口39から排出可能とされた分離部35を備えている。このような構成とすれば、フィルター19及びオーバーフロー槽25において除去されずに通過した封液よりも比重の大きい、例えば、シリカやスケール等の異物を、分離部35において分離させて排出させることができる。これらフィルター19、オーバーフロー槽25及び分離部35によって真空ポンプ2から排出される封液に含まれる異物を効果的に除去することができる。これにより、循環ポンプ16の吸込側に向かう封液に含まれる異物が効果的に除去され、循環ポンプ16を保護することができる。本実施形態では、この分離部35は、循環ポンプ16が組み込まれる封液給送路13の上流側端部が接続される熱交換タンク30内に設けられている。この熱交換タンク30内には、冷却媒体を通過させる冷却路34が分離部35の外周側を囲むように螺旋状に設けられている。このような構成とすれば、熱交換タンク30内の冷却路34によって封液を言わば間接的に冷却することができる。また、分離部35を収容するタンクを熱交換タンク30として機能させることができ、これらを別々に設けた構成と比べて、コンパクト化を図ることができる。また、分離部35内において旋回しながら降下した後に上昇する封液を、その外周側の冷却路34によって効果的に冷却することができる。
【0015】
つまり、循環経路10は、
図1に示すように、本実施形態では、封液排出路11、オーバーフロー槽25、封液返送路12、分離部35が設けられた熱交換タンク30及び封液給送路13を含んだ構成とされている。
この循環経路10内に封液を補給する補給路8には、本実施形態では、流量調整部9が組み込まれている。このような構成とすれば、補給路8を介して循環経路10内に補給される封液量を流量調整部9によって調整することができる。これにより、例えば、オーバーフローされる封液の汚水レベルに応じてオーバーフローさせる封液量を調整することができる。この補給路8は、後記する封液供給源4に接続される供給路6から分岐するように設けられている。図例では、この補給路8の下流側端部は、封液返送路12の途中部位に接続されている例を示しているが、循環経路10内の適所に接続されてもよい。
流量調整部9としては、フローメーターやニードルバルブ等の適宜の流量調整弁でもよく、手動で補給量の調整が可能な手動調整弁でもよい。
【0016】
封液排出路11は、上流側端部が真空ポンプ2の封液排出口2bに接続され、下流側端部がフィルター19の上流側に位置するように設けられている。本実施形態では、
図2(a)、(b)に示すように、フィルター保持部20は、封液が通過する通過部23が設けられ、フィルター19が上面側に載置される載置部22を備えている。封液排出路11の下流側端部を構成する吐水部24は、載置部22の上方側において載置部22に封液を流下させるように設けられている。このような構成とすれば、封液排出路11の下流側端部を構成する吐水部24から流下する封液に含まれる異物を、その下方側の載置部22に載置されたフィルター19によって捕捉することができる。また、フィルター19は、封液排出路11の吐水部24の下方側において載置部22に載置されることとなるので、例えば、経路の途中部位やオーバーフロー槽25の途中部位等に組み込まれてスライド等させて交換する必要がある構成と比べて、極めて容易に交換することができる。また、フィルター19の汚れ具合を作業者に容易に認識させることができる。
【0017】
フィルター保持部20は、本実施形態では、オーバーフロー槽25の上端開口を覆う蓋部材である。このような構成とすれば、蓋部材となるフィルター保持部20によってオーバーフロー槽25内への異物の混入等の抑制が可能でありながらも、オーバーフロー槽25の上流側の離間した位置にフィルター保持部20が設けられた構成と比べて、コンパクト化を図ることができる。
このフィルター保持部20は、オーバーフロー槽25の上端開口を覆うように設けられた蓋本体21に、載置部22を設けた構成とされている。蓋本体21は、図例では、略円筒状とされたオーバーフロー槽25の形状に合わせて略円板状とされているが、このような形状に限られない。図例では、蓋本体21は、外周端部に下方側に向けて垂れ下がる上端覆い部を全周に亘って設けた構成とされている。
【0018】
載置部22は、蓋本体21の中央側部位に設けられている。この載置部22は、蓋本体21の上面から段下がり状に凹むように設けられている。この載置部22は、蓋本体21の中央側部位に設けられた貫通孔を下方側から覆うように設けられ、その外周端部の立上部が蓋本体21の下面側に接合されていてもよい。この載置部22のフィルター19が載置される部位となる底部は、図例では、略水平板状とされているが、このような態様に限られない。後記する吐水部24から流下する封液に含まれる異物をフィルター19において効果的に捕捉可能なように適宜の形状としてもよい。例えば、載置部22は、吐水部24から流下する封液を受ける部位から離れるに従い下るように傾斜する傾斜状とされていてもよい。後記するように載置部22の平面視における略中央部の上方側に吐水部24の吐水口24bが設けられている場合には、載置部22は、中央部から径方向外側に向かうに従い下るように傾斜する皿形状や略円錐体形状等とされていてもよい。また、蓋本体21の略全体が載置部22であってもよい。
【0019】
この載置部22には、多数の通過部23が設けられている。図例では、パンチングメタル状とされた載置部22のパンチング孔を通過部23とした例を示しているが、このような構成に限られない。通過部23としては、メッシュ状とされた載置部22の網目であってもよく、載置部22に形成されたスリット状の孔でもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
この載置部22に交換可能に載置されるフィルター19は、シート状とされ、載置部22を略全体に亘って覆う形状とされている。このフィルター19としては、油等を捕捉可能なペーパーフィルターや、その他、種々の繊維等からなる不織布フィルター等であってもよい。フィルター19の交換方法としては、一枚のフィルター19を載置部22に対して取り外し及び載置して交換する構成に限られない。例えば、ロール状とされたフィルター19を載置部22に向けて供給し、載置部22に載置されて汚れた部位を巻き取って交換するような構成でもよく、その他、種々の構成でもよい。このフィルター19及び載置部22の通過部23は、吐水部24から流下する封液が載置部22外に溢れることなく下流側のオーバーフロー槽25に流下するように適宜の構成とされていてもよい。
【0020】
吐水部24は、蓋本体21に対して適宜のブラケット等の固定部材によって固定されている。この吐水部24には、封液排出路11の下流側端部が接続される接続口24aと、封液を吐水する吐水口24bと、が設けられている。図例では、吐水部24は、載置部22の側方の蓋本体21に固定された固定部材に支持された部位から載置部22の平面視における中央側に向けて延びるように設けられている。吐水口24bは、吐水部24の延出方向先端部において載置部22の平面視における略中央部に向けて封液を吐水するように設けられている。吐水部24の吐水口24bとしては、このような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。例えば、吐水口24bは、フィルター19の大半に亘って拡散させるように封液を流下可能な構成とされていてもよく、また、下向きに開口した構成に限られず、上向きに開口して噴水状に吹出す構成とされていてもよい。
【0021】
オーバーフロー槽25は、底部と周壁部とを有した上方開口の筒状(図例では、略円筒状)とされている。このオーバーフロー槽25は、図例では、内径と高さ寸法とが概ね同寸法とされているが、このような構成に限られない。このオーバーフロー槽25の容積は、吐水部24から流下する封液の流量等に応じて適宜の容積であってもよい。
オーバーフロー槽25のオーバーフロー口27は、周壁部の上端側部位において開口するように設けられている。このオーバーフロー口27は、オーバーフロー槽25内の封液の液面(オーバーフローレベル)と載置部22との間に空間が形成されるように設けられている。図例では、オーバーフロー口27は、オーバーフロー槽25の底側から3/4程度の高さに位置するように設けられている例を示しているが、このような位置に限られない。このオーバーフロー口27には、適宜の排液路28が接続されてもよい。オーバーフロー槽25内の封液レベルの異常上昇を検知するレベル計を設け、このレベル計が検知すれば、異常信号を出力する構成としてもよい。これによれば、封液返送路12や排液路28の詰まり等の異常によってオーバーフロー槽25内の封液レベルが異常に上昇したことを作業者に認識させることもできる。
【0022】
オーバーフロー槽25の返送口26は、オーバーフロー口27よりも下方側において開口するように設けられている。本実施形態では、返送口26は、オーバーフロー槽25の周壁部の高さ方向(上下方向)途中部位において開口するように設けられている。このような構成とすれば、返送口26をオーバーフロー槽25の底部において開口させた構成と比べて、比較的に比重の大きい異物をオーバーフロー槽25の底側に沈殿(沈積)させることもできる。図例では、返送口26は、オーバーフロー槽25の上下方向概ね中央部に位置するように設けられている例を示しているが、このような位置に限られない。
封液返送路12は、上流側端部がオーバーフロー槽25の返送口26に接続されている。
図1に示すように、この封液返送路12の途中部位に、封液の通過を許容または遮断する弁を設けた例を示している。
【0023】
熱交換タンク30は、封液を満たした状態(満水状態)で貯留する構成とされ、底部、周壁部及び天部を有した筒状とされている。この熱交換タンク30には、
図1に示すように、封液の供給路6が接続される供給口31と、封液給送路13が接続される給送口32と、が設けられている。供給路6は、封液供給源4に接続される。この封液供給源4としては、水(清水)を供給する水道(工業用水道、上水道)であってもよい。この供給路6の途中部位には、供給弁6aが設けられている。この供給弁6aは、当該封液循環装置1を制御する制御部に信号線等を介して接続されて開閉制御される電磁弁等であってもよい。図例では、この供給弁6aよりも上流側に、フィルター5を設けた例を示している。
給送口32には、循環ポンプ16の吸込側に接続され、封液給送路13の上流側を構成する吸込側封液給送路14が接続される。図例では、給送口32を、周壁部の下端側部位において開口させるように設けた例を示しているが、このような位置に限られない。
【0024】
循環ポンプ16には、羽根車を収容するケーシングや羽根車を回転させる適宜のモーター等が設けられている。この循環ポンプ16の吐出側には、封液給送路13の下流側を構成する吐出側封液給送路15が接続される。この吐出側封液給送路15の下流側端部は、真空ポンプ2の封液供給口2aに接続される。この吐出側封液給送路15の適所には、循環ポンプ16の吐出圧を検出する圧力計17が設けられている。図例では、この吐出側封液給送路15の途中部位に、封液の通過を許容または遮断する弁を設けた例を示している。
熱交換タンク30の適所(例えば、天部)には、熱交換タンク30内の封液レベルの低下を検出するレベル計33が設けられている。このレベル計33は、熱交換タンク30内の封液レベルが満レベルから所定レベルに低下すれば、補給信号や異常信号を出力する構成とされていてもよい。
【0025】
冷却路34は、循環経路10を循環する封液を間接的に冷却するように熱交換タンク30内に設けられている。この冷却路34は、熱交換タンク30の天部から下方側に向けて垂れ下がるように直管状に設けられた部位の下端から上方側に向けて後記する分離部35の外周側を囲むように螺旋状に設けられている。この冷却路34の上流側端部は、冷却媒体供給路7に接続される。冷却媒体供給路7は、図例では、供給路6から分岐して設けられている。つまり、図例では、冷却媒体供給源を、封液供給源4とした例を示しているが、このような態様に限られず、他の供給源でもよく、また、水道に代えて、例えば、工場等に設置されるクーリングタワー等でもよく、さらには、エタノールやエチレングリコール、その他の冷却媒体等を供給する供給源でもよい。
【0026】
冷却媒体供給路7の途中部位には、冷却弁7aが設けられている。この冷却弁7aは、供給弁6aと同様、制御部に開閉制御される電磁弁等であってもよい。この冷却弁7aは、熱交換タンク30またはその下流側に設けられ封液の温度を検出する温度センサー18の検出温度に基づいて制御部によって開閉制御されてもよい。つまり、真空ポンプ2に給送される封液の温度が予め設定された所定温度以下となるように、冷却弁7aを開閉制御することで封液を冷却するようにしてもよい。図例では、熱交換タンク30と循環ポンプ16との間の封液給送路13(吸込側封液給送路14)に温度センサー18を設けた例を示しているが、このような位置に限られない。
この冷却路34の下流側端部は、天部等から熱交換タンク30外に導出され、適宜の冷却媒体排出路に接続されてもよい。
【0027】
分離部35は、円筒状とされた上端側の円筒状部と、その下方側に連なるように設けられ下端側に向かうに従い縮径状とされた略逆円錐台筒状部38と、を備えている。この分離部35の円筒状部には、内周壁に対して概ね接線方向に封液が導入されるように、内周壁において開口する導入口36が設けられている。この導入口36は、円筒状部に対して接線方向となるように接続され、封液返送路12の下流側端部が接続される適宜の接続管に設けられている。分離部35には、この円筒状部の軸心側において同軸状となるように内筒部37が設けられている。円筒状部の上端内周縁と内筒部37の上端外周縁とは環状の蓋部によって封止され、内筒部37の上端は、上方に向けて開口している。この内筒部37は、円筒状部の上端から下方側に向けて延出し円筒状部の大半に亘って設けられていてもよい。分離部35の下端部には、略逆円錐台筒状部38の下方側に連なるように排出筒部が設けられている。この排出筒部は、熱交換タンク30の底部を貫通するように設けられ、その下端の排出口39に適宜の排液路29が接続される構成でもよい。図例では、排液路29の途中部位に、排液の通過を許容または遮断する弁を設けた例を示している。
【0028】
上記構成とされた分離部35においては、導入口36を経て導入された封液が円筒状部の内周壁に沿って旋回しながら下方側に移動し、その際に、比較的に比重の大きな異物が下端側に向けて沈降する。また、分離部35に導入された封液は、旋回しながら下方側に移動した後、上昇し、内筒部37の下端開口から内筒部37を経て、その上端開口から排出され、熱交換タンク30内に移動する。分離部35の下端側に沈降した異物は、排液路29の弁を開放させることで排出可能とされている。
図例では、分離部35の上端部を、熱交換タンク30の天部外周部よりも上方側に向けて突出させるように設け、天部に分離部35の上端部の外周側を囲むように外筒部を設けた例を示しているが、このような例に限られない。
上記構成とされた封液循環装置1において、真空ポンプ2に封液を循環させる際には、供給弁6aを開放させて熱交換タンク30を含む循環経路10内に封液を供給し、また、循環ポンプ16を作動させて循環させるようにしてもよい。また、例えば、フィルター19の汚れ度合いを見ながら補給路8の流量調整部9を適宜、調整し、封液の補給量、つまり、オーバーフローさせる量を調整するようにしてもよい。
【0029】
本実施形態では、補給路8に流量調整部9を設けた例を示しているが、このような流量調整部9を設けていない構成としてもよい。
本実施形態では、熱交換タンク30内に分離部35を設けた例を示しているが、熱交換タンク30外に分離部35を設けた構成としてもよく、さらには、このような分離部35を設けていない構成としてもよい。
本実施形態では、循環経路10を循環する封液を冷却する冷却部を、熱交換タンク30内に設けられた冷却路34とした例を示しているが、このような態様に限られず、空冷式の冷却器としてもよく、さらには、間接的に冷却する構成に代えて、直接冷却式としてもよい。例えば、供給路6または補給路8を介して供給または補給される封液によって直接的に封液を冷却する構成としてもよい。
【0030】
本実施形態では、フィルター保持部16を、オーバーフロー槽25の蓋部材とした例を示しているが、このような構成に限られない。フィルター保持部16は、オーバーフロー槽25の上端開口の上方側において離間した位置に設けられていてもよく、または、オーバーフロー槽25内において架け渡されるように設けられていてもよい。この場合は、オーバーフロー槽25の側周面にフィルター19(またはフィルター19が載置された載置部22)を出し入れ自在とする開口が設けられていてもよい。フィルター19を封液通過状態で交換可能に保持するフィルター保持部16としては、その他、種々の構成とされていてもよい。上記した本実施形態に係る封液循環装置1が備える各部の具体的構成としては、上記した構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 封液循環装置
8 補給路
9 流量調整部
10 循環経路
11 封液排出路
12 封液返送路
13 封液給送路
16 循環ポンプ
19 フィルター
20 フィルター保持部
22 載置部
23 通過部
24 吐水部(封液排出路の下流側端部)
25 オーバーフロー槽
26 返送口
27 オーバーフロー口
30 熱交換タンク
34 冷却路
35 分離部
39 排出口
2 真空ポンプ
2b 封液排出口