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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053448
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】面取りツール
(51)【国際特許分類】
   B23B 5/16 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
B23B5/16
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162487
(22)【出願日】2021-10-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】595031063
【氏名又は名称】株式会社クロイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】中田 周一
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045DA04
3C045EA14
(57)【要約】
【課題】従来より均一な面取り加工を行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の面取りツール10Aは、ワーク94のうち隣合う周面96A及び平面96Bに当接する第1ローラ35A及び第2ローラ36Aと、周面96A及び平面96Bの間の角部96Dに宛がわれる切削刃51とを備えたヘッド部30を有する。そして、角部96Dに沿ってワーク94に対して切削刃51、第1ローラ35A及び第2ローラ36Aが相対移動しながら角部96Dを面取り加工する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークのうち隣合う第1面及び第2面に当接した状態で、それら第1面及び第2面の間の角部に沿って前記ワークに対して相対移動する位置決当接部と、
前記位置決当接部と共に前記ワークに対して相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃と、を有する面取りツール。
【請求項2】
前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、
前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する請求項1に記載の面取りツール。
【請求項3】
前記ヘッド部を、前記回転支持軸と交差する任意の方向に移動可能に支持しかつ、前記移動可能な範囲の原点位置に付勢するフローチング機構を有する請求項2に記載の面取りツール。
【請求項4】
支持ベースと、
前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、
前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、
前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項2又は3に記載の面取りツール。
【請求項5】
前記支持ベースは、NC旋盤のツール保持部に取り付け可能に形成され、
前記位置決当接部は、前記第1面及び前記第2面として、NC旋盤の主軸に保持されるワークの周面とそれと隣合う平面とに当接する請求項4に記載の面取りツール。
【請求項6】
前記位置決当接部は、前記第1面上を回転しながら相対移動する第1ローラと、前記第2面上を回転しながら相対移動する第2ローラとを有する請求項1から5の何れか一の請求項に記載の面取りツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークの角部を面取り加工する面取りツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の面取りツールとして、ロボットやNC旋盤等の産業機械に取り付けられて、ワークの角部に沿って相対移動しながらワークの角部を面取り加工するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-32116号公報(図3図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、産業機械に対する面取りツール又はワークの取り付け位置・姿勢のばらつきにより、面取りツールがワークの角部に沿って相対移動している間に、ワークの角部に対する面取りツールの位置・向きがばらついく場合がある。そのような場合、上述した従来の面取りツールでは、面取り加工量がばらつくことが問題になっていた。そこで、本開示では、従来より均一な面取り加工を行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ワークのうち隣合う第1面及び第2面に当接した状態で、それら第1面及び第2面の間の角部に沿って前記ワークに対して相対移動する位置決当接部と、前記位置決当接部と共に前記ワークに対して相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃と、を有する面取りツールである。
【0006】
請求項2の発明は、前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する請求項1に記載の面取りツールである。
【0007】
請求項3の発明は、前記ヘッド部を、前記回転支持軸と交差する任意の方向に移動可能に支持しかつ、前記移動可能な範囲の原点位置に付勢するフローチング機構を有する請求項2に記載の面取りツールである。
【0008】
請求項4の発明は、支持ベースと、前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項2又は3に記載の面取りツールである。
【0009】
請求項5の発明は、前記支持ベースは、NC旋盤のツール保持部に取り付け可能に形成され、前記位置決当接部は、前記第1面及び前記第2面として、NC旋盤の主軸に保持されるワークの周面とそれと隣合う平面とに当接する請求項4に記載の面取りツールである。
【0010】
請求項6の発明は、前記位置決当接部は、前記第1面上を回転しながら相対移動する第1ローラと、前記第2面上を回転しながら相対移動する第2ローラとを有する請求項1から5の何れか一の請求項に記載の面取りツールである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の面取りツールによれば、位置決当接部が、ワークのうち角部の両側の第1面及び第2面に当接することで、切削刃が角部に対して位置決めされた状態で面取り加工が行われる。これにより、本開示の面取りツールでは、面取り加工中にワークの角部に対する位置・向きがばらついても、従来より均一な面取り加工が可能になる。
【0012】
ここで、面取り加工中のワークの角部に対する面取りツールとの位置・向きのばらつきは、産業機械の弾性変形やフローチング機構や産業機械の駆動源であるサーボモータのサーボ剛性等によって吸収してもよいし、請求項2~5の構成のように面取りツール自体に備えた回転支持機構、フローチング機構によって吸収してもよい。
【0013】
また、位置決当接部は、ワークに対して摺接するものでもよいし、請求項6の構成のように、ワークの第1面と第2面の上を回転しながら相対移動する第1ローラと第2ローラとを有したものであってもよい。請求項6の構成によれば、ワークに対して面取りツールがスムーズに相対移動して面取り加工が安定する。
【0014】
請求項4の面取りツールでは、切削刃の相対移動方向に延びる中継部材の先端部と基端部とに回転支持機構とフローチング機構とを備えたことで、ワークと面取りツールとの干渉を回避しながらも、回転支持機構とフローチング機構とをコンパクトに纏めることができる。
【0015】
面取りツールは、例えば、マシニングセンターで使用される複数のツールの1つとして利用してもよいし、産業用ロボットの先端に取り付けてもよいし、或いは、産業用ロボットのワークを保持させ、その産業用ロボットとセットで使用される専用の治具に取り付けてもよい。また、請求項5の構成のように、面取りツールのベース部がNC旋盤のツール保持部に保持される構造としてもよい。そうすれば、ワークをNC旋盤の主軸に保持させてワークを回転させて面取り加工を効率よく行うことができる。
【0016】
<付記>
上記請求項1~6の面取りツールは、位置決当接部がワークの第1面と第2面とに当接して切削刃がワークに二次元的に位置決めされる構成であるが、位置決当接部がワークの第1面及び第2面のうち第1面のみの当接する構成にしても、従来よりワークの角部に対する切削刃の位置が安定し、従来より均一な面取りが可能になる。具体的には、下記特徴A1~A4の構成としても従来より均一な面取り加工が可能になる。
【0017】
[特徴A1]
ワークのうち隣合う第1面と第2面との間の角部に沿って相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃を有する面取りツールにおいて、
前記第1面に当接して、前記第1面に対してそれと直交する方向で前記切削刃を位置決めする位置決当接部を備える面取りツール。
【0018】
[特徴A2]
前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、
前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する特徴A1に記載の面取りツール。
【0019】
[特徴A3]
前記ヘッド部を、前記回転支持軸と交差する架空の移動許容面における任意の位置に移動可能に支持しかつ前記移動許容面の原点位置に付勢するフローチング機構を有する特徴A2に記載の面取りツール。
【0020】
[特徴A4]
前記位置決当接部は、前記相対移動に伴って前記第1面を回転しながら相対移動する第1ローラである特徴A1~A3に記載の面取りツール。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る面取りツールとワークの斜視図
図2】面取りツールの正断面図
図3】ユニバーサルジョイント機構の平断面図
図4】ユニバーサルジョイント機構の一部を拡大した側断面図
図5】面取りツールの一部を拡大した正断面図
図6】面取りツールのヘッド部の前側の斜視図
図7】面取りツールのヘッド部の後側の斜視図
図8】ヘッド部本体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図8を参照して本開示の一実施形態に係る面取りツール10Aについて説明する。図1に示すように、本実施形態の面取りツール10Aは、NC旋盤90のツール保持部93に保持されて、主軸91の回転軸J1と平行な横方向H1と、主軸91の回転軸J1に対して水平に直交する前後方向H2とに位置制御される。また、面取りツール10Aは、図1に示された第1姿勢と、それとは上下が逆の第2姿勢との任意の姿勢でツール保持部93に保持されるようになっている。なお、本実施形態のNC旋盤90では、ツール保持部93は上下方向に移動しないが、上下方向に移動するものであってもよい。
【0023】
面取り加工の対象となるワーク94は、円筒部95の一端から側方の円板状のフランジ96が張り出した構造をなしている。また、ワーク94は、円筒部95を、主軸91のチャック92が有する複数の爪92Aに三方又は四方から把持されて主軸91に芯出しされ、回転駆動される。そして、図1に示した第1姿勢の面取りツール10Aにより、フランジ96の表裏の一方の平面96Bと外側の周面96Aとの間の角部96Dが面取り加工され、図示しない第2姿勢の面取りツール10Aによりフランジ96の他方の平面96Cと周面96Aとの間の角部96Eが面取り加工される。
【0024】
以下、特記しない限り、面取りツール10Aが第1姿勢である場合の「上方」、「下方」等を単に「上方」、「下方」等という。また、面取りツール10Aのうち主軸91に近い側を単に「前側」、その反対側を「後側」等とい、面取りツール10Aが第1姿勢で、面取りツール10Aを前側から見て「左側」、「右側」を単に「左側」,「右側」ということとする。
【0025】
面取りツール10Aのうちツール保持部93に保持されるベース部11は、第1~第3のベース部品12,13,14を主要部として備える。第1のベース部品12は、横方向H1から見るとL字形をなし、前後方向H2に延びる角梁部12Aと、その前端から起立する角柱部12Bとを有する。そして、例えば、角梁部12Aが、ツール保持部93の矩形孔93Aに前方から挿入され、かつ、セット螺子93Bを側方から突き当てられて抜け止めされている。
【0026】
第2のベース部品13は、平断面が正方形の直方体部13Aの下端部から右側方に突片部13Bが張り出した形状をなし、突片部13Bが角柱部12Bの上面に重ねて固定されている。
【0027】
第3のベース部品14は、第2のベース部品13の直方体部13Aと同じ平断面形状をなして、その下面に重ねて固定される直方体部14Aを有する。また、図2に示すように、直方体部14Aの下面からは、扁平な円柱部14Bが突出し、その円柱部14Bの上端部が段付き縮径されて係合溝部14Cになっている。
【0028】
直方体部13A,14Aには、上下に延びる共通の中心軸上を有するバネ収容孔16とジョイント孔15と貫通孔20とが形成されている。
【0029】
ジョイント孔15は、直方体部13Aの下面から下端寄り位置に亘って形成され、図3に示すように、軸方向から見ると正多角形(例えば、正六角形)の各角部を外側に円弧状に僅かに膨出させた形状をなし、正多角形の各辺に相当する平面部15Aと各角部の膨出部分に相当する曲面部15Bとを中心軸回りに交互に並べて備える。
【0030】
図2に示すように、バネ収容孔16は、ジョイント孔15の上端から直方体部13Aの上端寄り位置に亘って形成され、バネ収容孔16の内径は、ジョイント孔15の内接円(図示せず)の内径より小さくなっている。
【0031】
貫通孔20は、第3のベース部品14を上下に貫通し、上端寄り位置に段差部を備え、それより上側が小径部20Aをなし、下側が大径部20Bになっている。また、小径部20Aの内径は、ジョイント孔15の内接円(図示せず)の内径より小さくなっている。
【0032】
また、第3のベース部品14の上面には、貫通孔20の開口を包囲するように環状溝18が形成されている。そして、図4に示すように、ジョイント孔15の平面部15Aが、環状溝18の上方に位置して、環状溝18内の空間がジョイント孔15内の空間に連通している。また、環状溝18と貫通孔20との間の環状突部19における環状溝18側の上端角部は、C面取りされてテーパー部19Tになっている。なお、環状突部19における環状溝18側の上端角部は、R面取りされた構造としてもよい。
【0033】
図2に示すように、ジョイント孔15には、中継部材21が有する連結盤22が受容されている。その中継部材21は、断面円形をなして上下方向に延びる本体部21Aと、本体部21Aの上端部から側方に張り出す前述の連結盤22と、本体部21Aの下端部から段付き状に縮径されて下方の延長された軸受嵌合部21Bと、さらに、軸受嵌合部21Bの下端部からさらに縮径されて下方に延長された螺子部21Cとを有する。そして、連結盤22がジョイント孔15に嵌合されている。
【0034】
連結盤22は、軸方向から見ると、ジョイント孔15に対応した正多角形(例えば、正六角形)の各角部を面取りした形状をなし、正多角形の各辺に相当する摺接部22Aと各角部の面取部22Bとを中心軸回りに交互に並べて備える。また、図4に示すように、摺接部22Aは、外側に円弧状に膨らんだ形状をなしている。より具体的には、摺接部22Aは、上下方向の中央より僅かに下寄り位置が連結盤22の中心軸から最も離れるように外側に円弧状に湾曲している。また、対向配置された摺接部22Aは、共通の円筒面に含まれている。さらに、対向する複数対の摺接部22Aを含んだ複数の円筒面の中心軸は、1点の傾動中心点P1(図5)で交差している。なお、複数の面取部22Bの外面は、連結盤22の中心軸(上下方向)と平行でかつ連結盤22の周方向で丸みを帯びた円筒面になっているが、平坦面であってもよいし、連結盤22の中心軸方向で丸みを帯びた円筒面又は、連結盤22の中心軸方向と周方向の両方向で丸みを帯びた球面になっていてもよい。
【0035】
また、図2に示すように、連結盤22は、軸長がジョイント孔15の軸長より短くなっている。そして、図3に示すように、連結盤22がジョイント孔15に嵌合されて、連結盤22の各摺接部22Aがジョイント孔15の各平面部15Aに線接触するか、或いは、クリアランスの範囲で線接触可能に隣接し、面取部22Bはジョイント孔15の曲面部15Bから離間している。これにより、中継部材21は、図5に示すように前述の傾動中心点P1を中心にしてベース部11に対して任意の方向に傾動可能でかつ、中継部材21の軸芯回りに回転不能に連結されている。即ち、ベース部11のジョイント孔15と中継部材21の連結盤22とを主要部として、中継部材21の上端部をベース部11に連結するユニバーサルジョイント機構11Jが構成されている。以下、中継部材21の上端部を「基端部」、下端部を「先端部」という。
【0036】
バネ収容孔16には、圧縮コイルバネ17(特許請求の範囲の「弾性部材」に相当する)が収容されて連結盤22とバネ収容孔16の内部上面との間で圧縮されている。これにより、連結盤22が第3のベース部品14の環状突部19に押しつけられ、中継部材21は、その中心軸が、ジョイント孔15、バネ収容孔16及び貫通孔20の共通の中心軸と重なる原点姿勢に付勢されている。そして、この圧縮コイルバネ17とユニバーサルジョイント機構11Jとにより、中継部材21の先端部に取り付けられる後述のヘッド部30を、任意の方向に移動可能に支持しかつ原点位置に付勢するフローチング機構11Fが形成されている。
【0037】
図2に示すように、中継部材21の本体部21Aは、ベース部11の貫通孔20に遊嵌されかつ貫通孔20から下方に突出している。また、中継部材21の軸受嵌合部21Bには、1対のベアリング23のインナー23Aが軸方向に並べて嵌合され、螺子部21Cに螺合したナット24によって抜け止めされている。そして、1対のベアリング23のアウター23Bがヘッド部30に固定されている。
【0038】
ヘッド部30は、概ね直方体状のヘッド部本体31と、その上面に重ねて固定される上面蓋40とを備える。ヘッド部本体31には、上面に開放する嵌合孔31Aが形成されて、上面蓋40には、嵌合孔31Aの同軸上に貫通孔40Aが形成されている。そして、中継部材21の本体部21Aが、上面蓋40の貫通孔40Aを遊嵌状態で貫通し、ヘッド部本体31の嵌合孔31Aに1対のベアリング23のアウター23Bが上下に並べて嵌合され、それらの上にリング状のスペーサ23Sが嵌合されている。そして、嵌合孔31Aの下端寄り位置に備えた段差面31Bと上面蓋40とにアウター23Bとスペーサ23Sとが挟まれて、上述の如く、アウター23Bがヘッド部30に固定されている。また、これにより、ヘッド部30が中継部材21の先端部に回転可能に支持されている。即ち、本実施形態では、1対のベアリング23を主要部としてヘッド部30を回転可能に支持する回転支持機構30Sが構成されている。なお、ベアリング23の代わりに滑り軸受を使用してもよい。
【0039】
上面蓋40には、上面における貫通孔40Aの開口縁から円筒部41が起立している。そして、ゴム製で漏斗形のカバー42の下端部が円筒部41の外側に嵌合されると共に、カバー42の上部がベース部11の円柱部14Bの外側に嵌合され、さらに、カバー42の上端から内側に張り出す環状突部がベース部11の係合溝部14Cに回転可能に係合している。そして、カバー42が捻れ変形することで、ヘッド部30の中継部材21に対する回転を許容している。なお、カバー42の上端部又は下端部が円柱部14B又は円筒部41に対して摺動回転することで、ヘッド部30の中継部材21に対する回転を許容してもよい。
【0040】
図2に示すように、中継部材21の先端部には、中心からずれた位置に係合凹部21Kが形成され、ヘッド部本体31における嵌合孔31Aの底部には、係合凹部21Kとの対向位置に、係合凹部21Kより内径が大きな係合凹部31Kが形成されている。そして、係合凹部21Kに圧入されたピン43が、係合凹部31Kに遊嵌されている。これにより、ピン43と係合凹部31Kの内面とのクリアランスの範囲で、ヘッド部本体31が中継部材21して僅かに回転可能になっている。なお、上述したピン43をエラストマー製で棒状部材に交換して係合凹部21K,31Kの両方に圧入し、その棒状部材により、ヘッド部本体31の中継部材21に対する回転可能を許容しながらも原点位置に付勢される構成としてもよい。
【0041】
図6に示すように、ヘッド部本体31の前面には、下辺部分を段付き状に突出させて下辺突部32が形成されている。また、ヘッド部本体31の前面には、下辺部分の右側端部を切除して前面と下面と右側方とに開放する第1凹部33Aが形成されると共に、下辺部分の右側端部を切除して前面と下面とに開放する第2凹部33Bが形成されている。さらに、第1凹部33Aと第2凹部33Bとの間に残された第1突壁34Aを、図示しない貫通孔が横方向H1に貫通している。そして、その貫通孔を利用して第1コロ35が第1突壁34Aに取り付けられている。
【0042】
第1コロ35は、支持シャフト35Bの一端部にベアリングが嵌合された構造をなし、そのベアリングのアウターが第1ローラ35Aとして使用される。また、支持シャフト35Bのうち第1ローラ35Aから側方の延びる部分には、第1ローラ35A寄り位置に図示しない段差面が形成されて、段差面より先端側が第1ローラ35A側より外径が小さい雄螺子部になっている。さらに、支持シャフト35Bの一端面には、六角孔35C(図7参照)が穿孔されている。
【0043】
そして、第1ローラ35Aが第1凹部33Aに受容されると共に、支持シャフト35Bの雄螺子部が第1突壁34Aの図示しない貫通孔に挿通されて第2凹部33B内に配置されたナット37Bに締め付けられている。そして、第1ローラ35Aの外周面の略半分が、ヘッド部本体31の前面31F(下辺突部32を除く)から前方に位置している。
【0044】
ヘッド部本体31の上面前縁部の右側端部から第2突壁34Bが起立し、その第2突壁34Bとの干渉を回避するために上面蓋40の右前角部には、切り欠き40Cが形成されている。そして、第2コロ36が第2突壁34Bに取り付けられている。具体的には、第2コロ36は、第1コロ35と同一構造をなして、第2ローラ36Aと、支持シャフト36Bと、六角孔36Cと、雄螺子部等を有する。そして、図8に示すように、第2ローラ36Aが第2突壁34Bの前側に配置されると共に、雄螺子部が第2突壁34Bの貫通孔34Cに通されて、第2突壁34Bの後側でナット37Bと螺合している。また、図2に示すように、第2ローラ36Aは、その外周面に左側方から接する鉛直線L1が第1ローラ35Aの外周面に幅方向の途中位置に重なるように配置されている。
【0045】
図6に示すように、ヘッド部本体31の前面の左側部における上下方向の途中位置には、ヘッド部本体31の前面と側面とに開放する横長の凹部52が形成されている。凹部52は、第2突壁34Bの壁厚程度の深さをなし、その凹部52の内側で前方を向く面の右側端部には、前後方向H2の延びる支持孔52A(図8参照)の一端が開口している。また、支持孔52Aに側方から連通する螺子孔52Bがヘッド部本体31の右側面に開口している。そして、支持孔52Aに切削チップ50が嵌合されて、螺子孔52Bに螺合した図示しないセット螺子にて抜け止めされかつ回り止めされている。
【0046】
図8に示すように、切削チップ50は、前後方向H2に延びかつ途中位置から後側が段付き状に縮径された嵌合部50Kになっている。そして、嵌合部50Kの全体が支持孔52Aに嵌合されている。切削チップ50の前端部は、テーパー部50Tとなってヘッド部本体31の前面31F(下辺突部32を除く)から前方に突出している。また、テーパー部50Tには、径方向に延びる図示しない段差部が形成され、その段差部の内面とテーパー部50Tのテーパー面との間のエッジ部が切削刃51(図6参照)になっている。そして、図8に示すように、第2ローラ36Aの外周面に左側方から接する鉛直線L1が、切削刃51と重なるように配置されている。
【0047】
本実施形態の面取りツール10Aの構造に関する説明は、以上である。次に、この面取りツール10Aの作用効果について説明する。NC旋盤90にて予めティーチングしておいた面取り用プログラムを実行すると、ワーク94が回転駆動された状態で、例えば、面取りツール10Aは、第1ローラ35Aの左端部が、ワーク94の周面96Aの右端部に対向する待機位置に配置されてから前進し、第1ローラ35Aが周面96Aに当接する。そこから面取りツール10Aが左に移動し、これにより図6に示すように、第2ローラ36Aがワーク94の平面96Bに当接すると共に、切削刃51が平面96Bと周面96Aとの間の角部96Dに宛がわれる。また、第1ローラ35A及び第2ローラ36Aは、それらの周面96A及び平面96B上を回転しながら相対移動し、それら第1ローラ35A及び第2ローラ36Aによって切削刃51が角部96Dに対して位置決めされた状態で角部96Dに沿って相対移動しながら面取り加工を行う。
【0048】
このとき、ワーク94が主軸91に対して偏心していたり、傾いていたりして、ワーク94の回転位置によって面取りツール10Aに対する角部96Dの位置が変動していても、フローチング機構11F及び回転支持機構30Sにより、面取りツール10Aのヘッド部30が角部96Dの変動に追従して移動・回転し、角部96Dに対する切削刃51が一定の位置及び向きに保持されて面取り加工が行われる。
【0049】
詳細には、面取りツール10Aが有するフローチング機構11F及び回転支持機構30Sにより、ヘッド部30がワーク94に対して移動及び/又は回転し、第1ローラ35Aがワーク94の周面96Aに線当接すると共に、第2ローラ36Aがワーク94の平面96Bに線当接する位置及び向きに位置決めされる。即ち、本実施形態の面取りツール10Aでは、ワーク94の周面96Aと平面96Bとに線当接することで、ヘッド部30が二次元的に位置決めされると共に、ワーク94に対するヘッド部30の向きも定められる。そして、この位置決めされた状態が維持されて角部96Dに切削刃51が宛がわれ、ワーク94の回転によって切削刃51が角部96Dが延びる方向に相対移動して角部96Dが面取り加工される。
【0050】
上述したように本実施形態の面取りツール10Aによれば、第1ローラ35A及び第2ローラ36A(特許請求の範囲の「位置決当接部」に相当する)が、ワーク94のうち角部96Dの両側の周面96A及び平面96B(特許請求の範囲の「第1面及び第2面」に相当する)に当接することで、切削刃51が角部96Dに対して位置決めされた状態で面取り加工が行われ、従来より均一な面取り加工が可能になる。また、面取りツール10Aのうち位置決めのためにワーク94に当接する第1ローラ35A及び第2ローラ36Aは、それらの当接対象面を転動するので、ワーク94に対してスムーズに面取りツール10Aが相対移動して面取り加工が安定する。さらには、本実施形態の面取りツール10Aは、ワーク94の角部96Dに対する切削刃51の相対移動方向に延びる中継部材21の一端部と他端部とに回転支持機構30Sとフローチング機構11Fとを備えたことで、ワーク94と面取りツール10Aとの干渉を回避しながらも、回転支持機構30Sとフローチング機構11Fとをコンパクトに纏めることができる。
【0051】
なお、面取りツール10Aを、上下を逆してツール保持部93に付け直し、それ用に予めティーチングしておいた面取り用プログラムを実行すると、ワーク94のうち前述の周面96Aと前述とは反対側の平面96Cとに第1ローラ35A及び第2ローラ36Aとが線当接して切削刃51がワーク94に対して位置決めされて周面96Aと平面96Cとの間の角部96Eが面取りされる。
【0052】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の面取りツール10Aは、ワーク94の角部96Dと切削刃51との間の位置・向きの変動を吸収するためにフローチング機構11Fと回転支持機構30Sとの両方を備えていたが、回転支持機構のみ、又は、フローチング機構のみを備えた構成としてもよい。また、面取りツールにフローチング機構及び回転支持機構を備えずに、上述したNC旋盤90等の産業機械側にフローチング機構又は回転支持機構を備えた構成としてもよいし、産業機械の駆動源であるサーボモータのサーボ剛性によって上述の変動を吸収してもよい。
【0053】
(2)前記実施形態の面取りツール10Aにおいて、ヘッド部本体31に対して切削チップ50の位置及び向きを任意に変更するための調整機構を備えて、面取り加工の幅を任意に変更することができるようにしてもよい。
【0054】
(3)前記実施形態の面取りツール10Aの第1ローラ35Aと第2ローラ36Aの互いの回転軸の向き及び位置関係を変更するための調整機構を備えて、様々な角度で交差するワークの第1面と第2面とに第1ローラ35Aと第2ローラ35Bとを線当接させることができるようにしてもよい。
【0055】
(4)前記実施形態の面取りツール10Aに第1ローラ35Aのみを備え、第2ローラ36Aを排除した構成や、それとは逆に、第1ローラ35Aを排除し、第2ローラ36Aのみを備えた構成としてよい。この場合、第1ローラ35Aのみを備えた構成では、フローチング機構11Fの中継部材21を前後方向H2のみに移動可能とし、第2ローラ36Aのみを備えた構成では、フローチング機構11Fの中継部材21を横方向H1のみに移動可能とすればよい。その場合、回転支持機構30Sを備えても、備えなくてもよい。
【0056】
(5)前記実施形態の面取りツール10Aは、特許請求の範囲の「位置決当接部」としてワーク94上を転動する第1ローラ35Aと第2ローラ36Aを備えていたが、「位置決当接部」はワーク上を摺動する構造になっていてもよい。なお、「位置決当接部」は、ワークに点当接するものでもよいが、線当接又は面当接するものが好ましい。
【0057】
(6)前記実施形態では、面取りツール10AがNC旋盤90のツール保持部93に取り付けられていたが、例えば、面取りツール10Aをロボットに取り付ける一方、ワーク94を治具に固定し、面取りツール10Aがワーク94の回りを旋回するように制御して面取り加工を行ってもよいし、ワーク94を別のロボットに把持させて面取りツール10Aを取り付けられたロボットとワーク94を把持するロボットとの協調制御によって面取り加工を行ってもよい。
【0058】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0059】
10A 面取りツール
11F フローチング機構
11J ユニバーサルジョイント機構
17 圧縮コイルバネ(弾性部材)
21 中継部材
30 ヘッド部
30S 回転支持機構
35A 第1ローラ
36A 第2ローラ
51 切削刃
90 NC旋盤
91 主軸
93 ツール保持部
94 ワーク
96A 周面
96B.96C 平面
96D,96E 角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークのうち隣合う第1面及び第2面に当接した状態で、それら第1面及び第2面の間の角部に沿って前記ワークに対して相対移動する位置決当接部と、
前記位置決当接部と共に前記ワークに対して相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃と、
前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、
前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する面取りツール。
【請求項2】
前記ヘッド部を、前記回動支持軸と交差する任意の方向に移動可能に支持しかつ、前記移動可能な範囲の原点位置に付勢するフローチング機構を有する請求項1に記載の面取りツール。
【請求項3】
支持ベースと、
前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、
前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、
前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項1又は2に記載の面取りツール。
【請求項4】
前記支持ベースは、NC旋盤のツール保持部に取り付け可能に形成され、
前記位置決当接部は、前記第1面及び前記第2面として、NC旋盤の主軸に保持されるワークの周面とそれと隣合う平面とに当接する請求項3に記載の面取りツール。
【請求項5】
前記位置決当接部は、前記第1面上を回転しながら相対移動する第1ローラと、前記第2面上を回転しながら相対移動する第2ローラとを有する請求項1からの何れか一の請求項に記載の面取りツール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ワークのうち隣合う第1面及び第2面に当接した状態で、それら第1面及び第2面の間の角部に沿って前記ワークに対して相対移動する位置決当接部と、前記位置決当接部と共に前記ワークに対して相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃と、前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する面取りツールである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項の発明は、前記ヘッド部を、前記回支持軸と交差する任意の方向に移動可能に支持しかつ、前記移動可能な範囲の原点位置に付勢するフローチング機構を有する請求項に記載の面取りツールである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項の発明は、支持ベースと、前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項又はに記載の面取りツールである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項の発明は、前記支持ベースは、NC旋盤のツール保持部に取り付け可能に形成され、前記位置決当接部は、前記第1面及び前記第2面として、NC旋盤の主軸に保持されるワークの周面とそれと隣合う平面とに当接する請求項に記載の面取りツールである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項の発明は、前記位置決当接部は、前記第1面上を回転しながら相対移動する第1ローラと、前記第2面上を回転しながら相対移動する第2ローラとを有する請求項1からの何れか一の請求項に記載の面取りツールである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
ここで、面取り加工中のワークの角部に対する面取りツールとの位置・向きのばらつきは、回転支持機構によって吸収することができ、さらに、請求項2~の発明では、フローチング機構によって吸収することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、位置決当接部は、ワークに対して摺接するものでもよいし、請求項の構成のように、ワークの第1面と第2面の上を回転しながら相対移動する第1ローラと第2ローラとを有したものであってもよい。請求項の構成によれば、ワークに対して面取りツールがスムーズに相対移動して面取り加工が安定する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項の面取りツールでは、切削刃の相対移動方向に延びる中継部材の先端部と基端部とに回転支持機構とフローチング機構とを備えたことで、ワークと面取りツールとの干渉を回避しながらも、回転支持機構とフローチング機構とをコンパクトに纏めることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
面取りツールは、例えば、マシニングセンターで使用される複数のツールの1つとして利用してもよいし、産業用ロボットの先端に取り付けてもよいし、或いは、産業用ロボットのワークを保持させ、その産業用ロボットとセットで使用される専用の治具に取り付けてもよい。また、請求項の構成のように、面取りツールのベース部がNC旋盤のツール保持部に保持される構造としてもよい。そうすれば、ワークをNC旋盤の主軸に保持させてワークを回転させて面取り加工を効率よく行うことができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
<付記>
上記請求項1~の面取りツールは、位置決当接部がワークの第1面と第2面とに当接して切削刃がワークに二次元的に位置決めされる構成であるが、位置決当接部がワークの第1面及び第2面のうち第1面のみの当接する構成にしても、従来よりワークの角部に対する切削刃の位置が安定し、従来より均一な面取りが可能になる。具体的には、下記特徴A1~A4の構成としても従来より均一な面取り加工が可能になる。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークのうち隣合う第1面及び第2面に当接した状態で、それら第1面及び第2面の間の角部に沿って前記ワークに対して相対移動する位置決当接部と、
前記位置決当接部と共に前記ワークに対して相対移動しながら前記角部を面取り加工する切削刃と、
前記位置決当接部と前記切削刃とを有するヘッド部と、
前記相対移動の移動方向に沿った回動支持軸を中心に前記ヘッド部を回転可能に支持する回転支持機構と、を有する面取りツール。
【請求項2】
前記ヘッド部を、前記回動支持軸と交差する任意の方向に移動可能に支持しかつ、前記移動可能な範囲の原点位置に付勢するフローチング機構を有する請求項1に記載の面取りツール。
【請求項3】
支持ベースと、
前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、
前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、
前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項2に記載の面取りツール。
【請求項4】
前記支持ベースは、NC旋盤のツール保持部に取り付け可能に形成され、
前記位置決当接部は、前記第1面及び前記第2面として、NC旋盤の主軸に保持されるワークの周面とそれと隣合う平面とに当接する請求項3に記載の面取りツール。
【請求項5】
前記位置決当接部は、前記第1面上を回転しながら相対移動する第1ローラと、前記第2面上を回転しながら相対移動する第2ローラとを有する請求項1から4の何れか一の請求項に記載の面取りツール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項3の発明は、支持ベースと、前記切削刃の前記相対移動方向に延びて、基端部を前記支持ベースに連結されると共に先端部を前記ヘッド部に連結される中継部材と、を備え、前記フローチング機構は、前記中継部材を前記支持ベースに対して任意の方向に傾動可能に連結するユニバーサルジョイント機構と、前記中継部材を傾動可能な範囲の原点姿勢に付勢する弾性部材とを含み、前記回転支持機構は、前記ヘッド部を前記中継部材に回転可能に連結する軸受けを含む、請求項2に記載の面取りツールである。