IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 向井 徹の特許一覧 ▶ 有吉 みよ子の特許一覧

<>
  • 特開-袋入り冷凍用食品 図1
  • 特開-袋入り冷凍用食品 図2
  • 特開-袋入り冷凍用食品 図3
  • 特開-袋入り冷凍用食品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053453
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】袋入り冷凍用食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20230406BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20230406BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B65D77/00 C
A23L3/36 A
A23G3/34 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162494
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】521429502
【氏名又は名称】向井 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(71)【出願人】
【識別番号】522057939
【氏名又は名称】有吉 みよ子
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】有吉 みよ子
【テーマコード(参考)】
3E067
4B014
4B022
【Fターム(参考)】
3E067AA01
3E067AB01
3E067AB16
3E067AC01
3E067BA13A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB01
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
4B014GE11
4B014GP12
4B014GP25
4B022LA03
4B022LB03
4B022LB04
4B022LT10
(57)【要約】
【課題】冷凍後に食べやすいように、袋に収容した状態で容易に砕くことができる袋入り冷凍用食品を提供する。
【解決手段】縦方向の線状シール部14により仕切られた複数の収容室16~24を備えた収容袋12に、固形物と液状物とを含む食品が収容され、冷凍後、外部から手で押圧することにより収容された食品を砕いて、砕かれた食品を排出可能な袋入り冷凍用食品10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向の線状シール部により仕切られた複数の収容室を備えた収容袋に、固形物と液状物とを含む食品が収容された袋入り冷凍用食品であって、
冷凍後、外部から手で押圧することにより収容された食品を砕いて、該砕かれた食品を排出可能なことを特徴とする袋入り冷凍用食品。
【請求項2】
前記収容袋の内寸が縦100~300mm、横100~300mmであることを特徴とする請求項1記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項3】
前記収容袋の最大厚さが40mm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項4】
前記収容袋に収容された食品の量が80~350gであることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項5】
前記収容袋の内寸が縦180~200mm、横110~130mmであると共に、該収容袋に収容された食品の量が140~160gであることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項6】
前記線状シール部が、収容袋内部の上端部から所定距離をあけてシールされ、前記複数の収容室の上方に、該複数の収容室と連通する上部収容室を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項7】
前記線状シール部が2以上設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項8】
前記線状シール部の間隔が20~100mmであることを特徴とする請求項7記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項9】
前記収容袋に収容された食品は、前記固形物に含まれる水分を除く水分量が10~70質量%であることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【請求項10】
前記収容袋に収容された食品がぜんざいであることを特徴とする請求項1~9のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍させて用いる袋入り冷凍用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍させて用いる冷凍用食品に関して、食べやすいように工夫された様々な冷凍用食品が提案されている。例えば、内部に冷凍固化された冷凍菓子を収納可能な袋体形状を有し、外部から加圧することにより内部の冷凍菓子を抽出するための抽出口を有する冷凍菓子用袋体容器において、抽出口及びその近傍部分が袋体の内部に折り込まれ、折り込まれた状態における折り込み部は、その内側面側が相互に接着され、接着力は、通常の状態では接着状態が維持され、加圧による冷凍菓子の抽出の際に内部の冷凍菓子から受ける押圧力によって剥がれる強さに設定された冷凍菓子用袋体容器に収容される冷凍用食品が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の冷凍用食品などの従来の冷凍用食品は、固形物や液状物をそのまま収容して冷凍するものであり、全体が固く凍ってしまうため、容器から取り出すことが困難であるといった問題や、そのままでは食べにくいという問題があった。また、冷凍に時間を要するため、手軽に食すことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-289012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、冷凍後に食べやすいように、袋に収容した状態で容易に砕くことができる袋入り冷凍用食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、冷凍用食品の開発を行う中で、線状シール部により仕切られた複数の収容室を備えた収容袋に固形物と液状物とを含む食品を収容することにより、冷凍後に収容袋を線状シール部で折り曲げて丸めて手で押圧することにより容易に砕くことができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]縦方向の線状シール部により仕切られた複数の収容室を備えた収容袋に、固形物と液状物とを含む食品が収容された袋入り冷凍用食品であって、
冷凍後、外部から手で押圧することにより収容された食品を砕いて、該砕かれた食品を排出可能なことを特徴とする袋入り冷凍用食品。
[2]前記収容袋の内寸が縦100~300mm、横100~300mmであることを特徴とする上記[1]記載の袋入り冷凍用食品。
[3]前記収容袋の最大厚さが40mm以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の袋入り冷凍用食品。
[4]前記収容袋に収容された食品の量が80~350gであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
[5]前記収容袋の内寸が縦180~200mm、横110~130mmであると共に、該収容袋に収容された食品の量が140~160gであることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【0008】
[6]前記線状シール部が、収容袋内部の上端部から所定距離をあけてシールされ、前記複数の収容室の上方に、該複数の収容室と連通する上部収容室を備えていることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
[7]前記線状シール部が2以上設けられていることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
[8]前記線状シール部の間隔が20~100mmであることを特徴とする上記[7]記載の袋入り冷凍用食品。
[9]前記収容袋に収容された食品は、前記固形物に含まれる水分を除く水分量が10~70質量%であることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
[10]前記収容袋に収容された食品がぜんざいであることを特徴とする上記[1]~[9]のいずれか記載の袋入り冷凍用食品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の袋入り冷凍用食品は、袋に収容した状態で容易に砕くことができることから、冷凍後に容易に食すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の説明図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の食品を収容する前の収容袋の説明図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の使用説明図であり、(a)は冷凍後に外部から食品を押圧する状態を示し、(b)は食品を排出する状態を示す。
図4】本発明の第二実施形態に係る袋入り冷凍用食品の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の袋入り冷凍用食品は、縦方向の線状シール部により仕切られた複数の収容室を備えた収容袋に、固形物と液状物とを含む食品が収容された袋入り冷凍用食品であって、冷凍後、外部から手で押圧することにより収容された食品を砕いて、砕かれた食品を排出可能なことを特徴とする。なお、本発明においては、収容袋の食品を排出する側を「上側」として、上下方向を縦方向、左右方向を横方向という。
【0012】
本発明の袋入り冷凍用食品は、冷凍後に食べやすいように、袋に収容した状態で冷凍された食品を容易に砕くことができることから、老人や子供などの力の弱い者でも手軽に食すことができる。すなわち、本発明の袋入り冷凍用食品は、冷凍後に、冷凍された食品を袋に収容した状態で、線状シール部に沿って折り曲げて丸めることができるので持ちやすく、さらに、手で揉んだり、割ったり、握り潰すことで容易に砕くことができ、手軽に食すことができる。
【0013】
[収容袋]
(収容室)
収容室は、収容袋内に縦方向の線状シール部により仕切られた複数の空間である。これら複数の収容室に食品を分けて収容できるため、袋内での食品の偏りを減らすことができ、冷凍後も厚さを均一にすることができる。
【0014】
線状シール部は、袋の表側フィルムシートと裏側フィルムシートとがシールされた部分であり、縦方向に設けられている。線状シール部の形状としては、収容袋内を仕切ることができれば特に制限されるものではなく、例えば、直線状、ジグザグ状、波状等を挙げることができる。
【0015】
線状シール部のシールの態様としては、収容袋の縦方向に全部シールされている態様であってもよいし、途中までシールされている態様であってもよい。途中までシールされている態様としては、収容袋の縦方向に収容袋内部の上端部又は下端部の少なくとも一方から所定距離をあけてシールされているものであってもよいが、収容袋の縦方向に収容袋内部の上端部から所定距離をあけてシールされているものが好ましい。すなわち、複数の収容室の上方に、複数の収容室と連通する上部収容室を備えていることが好ましい。これにより、排出時に、食品が上部収容室を経由することになり、食品の詰まりを防止して容易に排出することができる。また、冷凍前に食品の収容室間の移動を容易とし、袋内での食品の偏りを抑制することができる。線状シール部の収容袋内部の上端部又は下端部からの距離としては、5~80mmが好ましく、10~60mmがより好ましく、20~40mmがさらに好ましい。
【0016】
線状シール部は、より容易に冷凍された食品を砕くことができることから、横方向に所定間隔をあけて2以上設けられていることが好ましく、具体的には、2~10設けられていることが好ましく、2~6設けられていることがより好ましく、3~5設けられていることがさらに好ましい。線状シール部の数が10以内であると製造コストを抑えて効率的に製造できる。線状シール部の間隔(隣り合う線状シール部との距離又は両端の線状シール部においては収容袋内部の側端部まで距離)としては、20~100mmが好ましく、25~80mmがより好ましく、30~60mmがさらに好ましい。
【0017】
収容袋の内寸としては、食品の種類や使用目的に応じて適宜設定することができるが、縦50~500mm、横50~500mmが好ましく、縦80~400mm、横80~400mmがより好ましく、縦100~300mm、横100~300がさらに好ましく、縦160~240mm、横100~180が特に好ましく、縦180~200mm、横110~130が最も好ましい。
【0018】
収容袋に収容された食品の量(内容量)としては、食品の種類や使用目的に応じて適宜設定することができるが、袋に収容した状態で手で容易に砕くことを考慮すると、40~1000gが好ましく、60~600gがより好ましく、80~350gがさらに好ましく、120~200gが特に好ましく、140~160gが最も好ましい。
【0019】
収容袋の最大厚さ(食品収容時の最大厚さ)としては、通常60mm以下であり、40mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましく、10mm以下が特に好ましく、8mm以下が最も好ましい。収容袋の最大厚さがこの範囲であることにより、収容袋に収容された食品を薄い状態で冷凍できることから、冷凍後は容易に砕くことができ、食べやすい。また、薄い状態で冷凍できることから、食品を早く冷凍でき、手軽に食すことができる。
【0020】
具体的に、本発明の袋入り冷凍用食品の好ましい形態としては、収容袋の内寸が縦180~200mm、横110~130mmであると共に、収容袋に収容された食品の量が140~160gであるものを挙げることができる。
【0021】
収容袋の形状としては、食品を収容可能な形状であり、例えば、正面視して四角形である。収容袋の形態としては、例えば、平袋、スタンド袋等の形態であってもよい。また、収容袋は、食品収容前には、食品を収容する収容口(収容辺)を有しており、食品収容後に収容口(収容辺)がシールされるものである(図1及び図2参照)。収容袋の製袋の形式としては、特に制限されるものではなく、例えば、二方袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、底ガゼット袋等の公知の形式を挙げることができる。また、シールの方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着等の熱溶着による方法、接着剤を用いる方法を挙げることができる。また、収容袋の収容口(収容辺)にはチャック部を設けてもよい。
【0022】
収容袋は、冷凍できるものであれば特に制限されるものではなく、1つのフィルム(シート)からなる収容袋や、複数のフィルムを積層加工(ラミネート)した積層フィルムからなる収容袋ものであってもよいが、収容袋の内側が溶着容易なフィルムと、収容袋の外側が、例えば、防水性、耐熱性、耐寒性、引張性、遮光性、耐候性等の機能性を有する機能性フィルムを含む積層フィルムからなる収容袋であることが好ましい。収容袋の材質としては、例えば、溶着容易なフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィルムを挙げることができ、機能性を有する機能性フィルムとしては、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂フィルムのほか、シリカ蒸着フィルム、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム等を挙げることができる。
【0023】
[食品]
上記収容袋に収容された食品は、固形物と液状物とを含む食品である(以下、本発明の食品という)。本発明の食品は、通常、流通時や保管時は、常温の状態で運搬や保管されるものであり、家庭や飲食店において、冷凍して使用されるものであるが、流通前に冷凍することを妨げるものではない。本発明の食品は、液状物中に、所定の大きさの固形物が多数含まれた混合物であることから、冷凍した場合、液状物のみを冷凍したもののように全体が固く凍ってしまうことがなく、砕きやすいという性質を有する。
【0024】
固形物は、固形の物体として形態が保たれているものであり、水分を含むものであってもよい。
【0025】
固形物の大きさとしては、収容袋の大きさに応じて適宜設定することができるが、少なくとも収容室に収容できる程度の大きさのものであり、ひと口サイズ以下のものが好ましい。具体的には、最大長さが1~50mmのものが好ましく、2~40mmのものがより好ましく、3~10mmのものがさらに好ましく、3~8mmのものが特に好ましく、このような最大長さの固形物が、固形物全体の50質量%以上含まれるものが好ましく、70質量%以上含まれるものがより好ましく、80質量%以上含まれるものがさらに好ましい。また、固形物は、液状物中に例えば、10以上含まれるものであり、30以上含まれることが好ましく、50以上含まれることがより好ましく、100以上含まれることがさらに好ましい。
【0026】
固形物としては、生鮮食品や加工食品を挙げることができる。生鮮食品としては、穀物、豆類、芋類、野菜、山菜、海藻、種実類、果物等の植物性食品や、肉類、魚介類、卵類等の動物性食品を挙げることができる。また、加工食品としては、食用粉類、野菜加工品、果実加工品、豆類の調製品、菓子類、香辛料等の農産加工品や、食肉製品、酪農製品、加工卵製品等の畜産加工品や、加工魚介類、加工海藻類等の水産加工品や、発酵食品、油脂類、調味料等のその他の加工品を挙げることができる。また、固形物は、上記生鮮食品や加工食品をカットしたり潰したりしてサイズを調整したものであってもよい。
【0027】
好ましい固形物としては、具体的に例えば、煮小豆、トマト、イチゴ、キウイ、ベリー、オレンジ、メロン、パイナップル、ぶどう、マンゴー、桃、さくらんぼ等を挙げることができる。
【0028】
液状物としては、完全に液体のものから、ジェル体(ゲル体)、ペースト体なども含まれる。例えば、水、砂糖水(シロップ)、食塩水、酢、オリーブオイル、ワイン、果汁等を挙げることができる。
【0029】
具体的に本発明の食品としては、具体的に例えば、ぜんざい(小豆、砂糖、水等の混合物)、コンポート(果肉、水、シロップ、ワイン等の混合物)などを挙げることができる。
【0030】
本発明の食品の水分量(固形物に含まれる水分を除く)としては、食品の種類に合わせて適宜設定することができるが、通常10~80質量%であり、15~70質量%であることが好ましく、20~60質量%であることがより好ましく、25~50質量%であることがさらに好ましい。具体的に、食品がぜんざいの場合、固形物としての煮小豆が100g、液状物としての水が50gのもの(水分量33質量%)を挙げることができる。また、食品が桃のコンポートの場合、固形物としての桃の果肉が100g、シロップ及びワインが60gのもの(水分量38質量%)を挙げることができる。
【0031】
食品の水分量の計測方法としては、固形物が落下せず、液状物が落下する所定の目開きを有するメッシュ体(フィルター)に食品を載置して濾して計測する方法を挙げることができる。具体的には、目開き1000μmmのメッシュ体の上に、食品を、水分が十分に落下する時間(例えば、15分)放置して、メッシュ体を通過し、落下したものを液状物として計測する方法を挙げることができる。なお、この計測方法を用いる場合、メッシュ体上の残留物を固形物とし、固形分に含まれる水分は、食品の水分量に含まない。
【0032】
[製造方法]
上記本発明の袋入り冷凍用食品の製造方法について説明する。
まず、固形物と液状物とを含む本発明の食品を、複数の収容室を備えた収容袋に収容する。この際、本発明の食品を各収容室に均一に収容することが好ましい。
【0033】
次に、食品を投入した収容口をシールする。食品の包装方法としては、収容袋内の空気による熱伝導の低下、殺菌効率の低下を抑制できる点で、脱気包装又は真空包装が好ましい。必要に応じて、加熱殺菌処理を行う。
【0034】
加熱殺菌処理としては、食品に付着したカビ、酵母、細菌などの微生物を殺菌することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、加熱空気による乾熱殺菌、蒸気や熱水による湿熱殺菌等を挙げることができるが、加圧状態で湿熱殺菌を行う加熱加圧処理(レトルト処理)が好ましい。加熱殺菌処理を行うことにより、袋内の食品を殺菌でき、常温での長期保存が可能となる。
【0035】
本発明の冷凍用食品は、流通時や保管時は、通常、常温であり、冷凍状態で輸送する必要がなく、輸送費用を抑えることができる。
【0036】
[使用方法]
続いて、上記本発明の袋入り冷凍用食品の使用方法について説明する。
まず、袋入り冷凍用食品をそのまま冷凍する。これにより、冷凍された食品(冷凍済食品)を収容した袋入り冷凍済食品とすることができる。
次に、袋入り冷凍済食品を外部から手で押圧する。この際、収容袋の線状シール部に沿って折り畳んで丸めた状態にすることにより、内部の冷凍済食品を揉んだり割ったり握りつぶしたりして容易に砕くことができる。
最後に、袋入り冷凍済食品の上部を開封して、砕かれた冷凍済食品を皿などに排出して食す。なお、袋を手に持った状態でそのまま直接食してもよい。
【0037】
以下、図面を用いて本発明の袋入り冷凍用食品の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に制限されるものではない。
【0038】
ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の説明図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の食品を収容する前の収容袋の説明図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品の使用説明図であり、(a)は冷凍後に外部から食品を押圧する状態を示し、(b)は食品を排出する状態を示す。なお、便宜上、図1及び図3においては、収容袋内の食品を省略している。
【0039】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る袋入り冷凍用食品10は、収容袋12に食品が収容されている。
【0040】
袋入り冷凍用食品10は、外寸が縦230mm程度、横140mm程度、内寸が縦190mm程度、横120mm程度の正面視して四角形に形成されており、周囲の四辺が溶着されている。収容袋12は、横方向に40mm程度間隔をあけて2つの線状シール部14a,14bが設けられている。線状シール部14a,14bは、それぞれ、収容袋12内部の上端部から30mm程度、収容袋12内部の下端部から40mm程度隙間をあけて縦方向に直線状に設けられている。
【0041】
収容袋12は、線状シール部14a,14bにより仕切られた3つの左収容室16、中収容室18、右収容室20を備えている。また、それらの収容室の上方には上部収容室22、それらの収容室の下方には下部収容室24を備えている。
【0042】
図2に示すように、食品収容前の収容袋12は、2枚のポリエチレンシートの両側部と底部がシールされた三方袋に形成されており、食品収容後に、上部(収容口)がシールされ真空包装される。
【0043】
上記のような構成の袋入り冷凍用食品10の製造方法及び使用方法についての一例を図面を用いて説明する。
【0044】
袋入り冷凍用食品10の製造方法としては、収容袋12に食品としてぜんざい150gを収容する。この際、収容室16~20になるべく均一に収容する。ぜんざいは、固形物である煮小豆100gと、液状物である水50gとの混合物であり、食品の水分量(固形物に含まれる水分を除く)は、約33質量%である。続いて、収容袋12の上部(収容口)をシールし、真空包装する。続いて、袋入り冷凍用食品10を、60分間120℃で加熱殺菌処理する。これにより、常温での長期保存が可能となり、冷凍状態での輸送や保存が不要となり、輸送コストや保存コストを抑えることができる。
【0045】
袋入り冷凍用食品10の使用方法としては、まず、ぜんざいを収容した袋入り冷凍用食品10をそのまま3時間程度冷凍する。これにより、収容袋12内のぜんざいが冷凍され、冷凍ぜんざい(冷凍済食品)26となる。
次に、図3(a)に示すように、冷凍ぜんざい26を収容した袋入り冷凍済食品28を、収容袋12の線状シール部14a,14bに沿って折り畳んで丸めた状態にして、外部から手で押圧して揉んだり割ったり握りつぶしたりして冷凍ぜんざい26を砕く。
最後に、図3(b)に示すように、袋入り冷凍済食品28の上部を開封して、砕かれた冷凍ぜんざい26を排出する。
このように袋入り冷凍用食品10は、短い時間で冷凍でき、冷凍後も袋に収容した状態で容易に砕くことができるので、子供や老人など幅広い年代で手軽に食すことができるものである。
【0046】
次に、本発明の第二実施形態に係る袋入り冷凍用食品について説明する。なお、上記袋入り冷凍用食品10と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、収容袋の底部までシールされた線状シール部が4つ設けられている点で上記実施形態と異なる。
【0047】
ここで、図4は、本発明の第二実施形態に係る袋入り冷凍用食品の説明図である。なお、便宜上、収容袋内の食品を省略している。
【0048】
図4に示すように、第二実施形態に係る袋入り冷凍用食品30は、例えば、内寸が横200mm、縦190mm程度の大きさであり、収容袋32に食品250g(例えば、桃のコンポート)が収容される。収容袋32は、横方向に40mm間隔をあけて4つの線状シール部34a~34dが設けられている。線状シール部34a~34dは、それぞれ、収容袋32内部の上端部から30mm程度隙間をあけて収容袋32の下端部まで縦方向に直線状に設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の袋入り冷凍用食品は、誰でも手軽に食することができる食品であることから、産業上有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 袋入り冷凍用食品(第一実施形態)
12 収容袋
14 線状シール部
16 左収容室
18 中収容室
20 右収容室
22 上部収容室
24 下部収容室
26 冷凍ぜんざい(冷凍済食品)
28 袋入り冷凍済食品
30 袋入り冷凍用食品(第二実施形態)
32 収容袋
34 線状シール部

図1
図2
図3
図4