(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053454
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】エアコン室外機用架台
(51)【国際特許分類】
F24F 1/60 20110101AFI20230406BHJP
【FI】
F24F1/60
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162496
(22)【出願日】2021-10-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】591277533
【氏名又は名称】バクマ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 康幸
(57)【要約】
【課題】より安全に組み立てることができるエアコン室外機用架台を提供する。
【解決手段】エアコン室外機用架台1は、矩形枠状をなす枠体10と、枠体10の各角部に締結部材39Aにより固定される複数の脚材30A~30Dと、を備える。脚材30Aは、締結部材39Aが緩められた状態で、展開状態と収納状態の間で回動可能に構成されている。脚材30Aには、締結部材39Aが通過するL字状の長孔35が形成されている。長孔35は、脚材30Aの長手方向に沿って延びるスライド許容孔部37Aと、スライド許容孔部37Aに交わる方向に延び、スライド許容孔部37Aの端部に位置する回動許容孔部37Bと、を備える。脚材30Aは、収納状態において締結部材39Aがスライド許容孔部37Aに位置するときには回動不能に枠体10に接触し、締結部材39Aが回動許容孔部37Bに位置するときには回動可能に枠体10から離れるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形枠状をなす枠体と、
前記枠体の各角部に締結部材により固定される複数の脚材と、を備え、
前記脚材には、前記締結部材が通過するL字状の長孔が形成され、
前記脚材は、前記締結部材が緩められた状態で、前記枠体に交わる方向に延びる展開状態と前記枠体に沿う方向に延びる収納状態の間で、前記締結部材を中心に回動可能に構成され、
前記長孔は、
前記脚材の長手方向に沿って延びるスライド許容孔部と、
前記スライド許容孔部に交わる方向に延び、前記展開状態において前記枠体から遠い前記スライド許容孔部の端部に位置する回動許容孔部と、を備え、
前記脚材は、前記収納状態において前記締結部材が緩められた状態で、前記締結部材が前記スライド許容孔部に位置するときには回動不能に前記枠体に接触し、前記締結部材が前記回動許容孔部に位置するときには回動可能となるように前記枠体から離れるように構成されている、
エアコン室外機用架台。
【請求項2】
前記脚材は、前記展開状態においては、前記枠体の前記角部に沿うように互いに直交しつつ連結される第1壁部及び第2壁部を備え、
前記第1壁部には前記長孔である第1長孔が形成され、
前記第2壁部には前記第1長孔とは異なる前記長孔である第2長孔が形成され、
前記第1長孔と前記第2長孔は、前記第1壁部及び前記第2壁部の間の境界線を対称軸として対称に形成されている、
請求項1に記載のエアコン室外機用架台。
【請求項3】
前記枠体は、
それぞれ第1方向に沿って延び、前記第1方向に直交する第2方向に並べられる一対の第1辺部材と、
それぞれ前記第2方向に沿って延び、前記第1方向に並べられる一対の第2辺部材と、
前記一対の第1辺部材の各端部と前記一対の第2辺部材の各端部を固定的に連結する複数の連結部と、を備え、
前記締結部材である第1締結部材は、前記展開状態において、前記第1長孔を通過しつつ前記第1壁部を前記枠体の前記角部の前記第1方向に沿って延びる面に固定し、
前記第1締結部材とは異なる前記締結部材である第2締結部材は、前記展開状態において、前記第2長孔を通過しつつ前記第2壁部を前記角部の前記第2方向に沿って延びる面に固定し、
前記第1締結部材が取り外された前記脚材は、前記第2辺部材に沿うように前記第2締結部材を中心に回動可能に構成され、
前記第2締結部材が取り外された前記脚材は、前記第1辺部材に沿うように前記第1締結部材を中心に回動可能に構成されている、
請求項2に記載のエアコン室外機用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコン室外機用架台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のエアコン据付け台は、両側の縦材及び前後の横材を四角形に組み合わせて構成されたエアコン支持枠と、エアコン支持枠の四隅部から下方へ延出した脚材と、を備える。縦材及び横材は、軸体により回動可能に連結され、エアコン支持枠は直線状にまで折り畳み可能となる。脚材もエアコン支持枠に回動可能に連結され、エアコン支持枠とともに直線状に折り畳み可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成においては、エアコン据付け台を組み立てるべく、エアコン支持枠を直線状から四角形に展開する際に、意図せずに、脚材がエアコン支持枠から回動するおそれがあり、安全な組み立てが困難であった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より安全に組み立てることができるエアコン室外機用架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るエアコン室外機用架台は、矩形枠状をなす枠体と、前記枠体の各角部に締結部材により固定される複数の脚材と、を備え、前記脚材には、前記締結部材が通過するL字状の長孔が形成され、前記脚材は、前記締結部材が緩められた状態で、前記枠体に交わる方向に延びる展開状態と前記枠体に沿う方向に延びる収納状態の間で、前記締結部材を中心に回動可能に構成され、前記長孔は、前記脚材の長手方向に沿って延びるスライド許容孔部と、前記スライド許容孔部に交わる方向に延び、前記展開状態において前記枠体から遠い前記スライド許容孔部の端部に位置する回動許容孔部と、を備え、前記脚材は、前記収納状態において前記締結部材が緩められた状態で、前記締結部材が前記スライド許容孔部に位置するときには回動不能に前記枠体に接触し、前記締結部材が前記回動許容孔部に位置するときには回動可能となるように前記枠体から離れるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エアコン室外機用架台において、より安全に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る展開状態のエアコン室外機用架台の正面図であり、(b)は当該エアコン室外機用架台の平面図であり、(c)は当該エアコン室外機用架台の側面図であり、(d)は(b)の一部を拡大した図である。
【
図2】(a)は本発明の一実施形態に係る収納状態のエアコン室外機用架台の正面図であり、(b)は当該エアコン室外機用架台の平面図であり、(c)は当該エアコン室外機用架台の側面図であり、(d)は(a)の一部を拡大した図である。
【
図3】(a)~(c)は本発明の一実施形態に係る収納状態から展開状態に移行する際の脚材の正面図である。
【
図4】(a)は
図1(a)の一点鎖線で示す範囲4aの拡大図であり、(b)は
図1(c)の一点鎖線で示す範囲4bの拡大図である。
【
図5】(a)は本発明の一実施形態に係る展開状態のエアコン室外機用架台の背面図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る収納状態のエアコン室外機用架台の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るエアコン室外機用架台の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)~(c)に示すように、エアコン室外機用架台1は、矩形枠状をなす枠体10と、枠体10に掛け渡されてエアコン室外機(図示略)を支持する複数のベース部材20と、複数の脚材30A~30Dと、複数の脚材30A~30Dを枠体10の各角部に回動可能に取り付ける締結部材39A,39Bと、脚材30A~30Dの先端部に設けられて設置面に接触する複数の接地部材40と、を備える。
【0010】
図1(b)に示すように、枠体10は、第1辺部材11A,11Bと、第2辺部材12A,12Bと、連結部13と、を備える。一対の第1辺部材11A,11Bは、X方向に沿って延び、X方向に直交するY方向に平行に並べられる。第2辺部材12A,12Bは、第1辺部材11A,11Bよりも長さが短く、Y方向に沿って延び、X方向に平行に並べられる。
連結部13は、第1辺部材11A,11BのX方向の両端と第2辺部材12A,12BのY方向の両端の計4箇所の角部を連結する。連結部13は、リベットであり、第1辺部材11A,11Bと第2辺部材12A,12Bを回動不能に連結する。
第1辺部材11A,11Bは横断面がコの字状をなす。第2辺部材12A,12Bは横断面がL字状をなす。本例では、第2辺部材12A,12Bは、互いに直交して連結する2つの板部を有し、一方の板部が第1辺部材11A,11BのX方向の端面に接触し、他方の板部が第1辺部材11A,11Bの上面に接触する。
また、
図1(d)に示すように、第1辺部材11A,11BのX方向の両端部には、ねじ穴11D,11Eが形成されている。ねじ穴11Dは、X方向に延びる壁部11Xに形成され、締結部材39Aが螺合する。ねじ穴11Eは、Y方向に延びる壁部11Yに形成され、締結部材39Bが螺合する。第2辺部材12A,12Bは、X方向に延びて壁部11Xに外側から重なる壁部12Xと、Y方向に延びて壁部11Yに外側から重なる壁部12Yと、を備える。壁部12X,12Yには、それぞれ、ねじ穴11D,11Eに重なる位置に、ねじ穴11D,11Eよりも大径である軸通過孔12D,12Eが形成されている。
第1辺部材11A,11Bの上面には、各ベース部材20の可動範囲にわたってX方向に長い複数の孔11Cが形成されている。
【0011】
図1(b)に示すように、複数、本例では、2つのベース部材20は、それぞれ、Y方向に沿って延び、X方向に平行に並べられる。各ベース部材20の一端は第1辺部材11Aの上面に位置し、各ベース部材20の他端は第1辺部材11Bの上面に位置する。ベース部材20は、孔11Cを通過するボルト29にて第1辺部材11A,11Bに固定される。各ベース部材20は、樹脂等の弾性部材により形成され、エアコン室外機(図示略)を支持する複数の支持部21を備える。
【0012】
複数、本例では4つの脚材30A~30Dは、
図1(a)~(c)に示す展開状態においては枠体10の各角部からZ方向に沿って延び、
図2(a)~(c)に示す収納状態においては第1辺部材11A,11Bに沿ってX方向に延びる。脚材30A~30Dは、展開状態においては、Z方向から見てL字板状をなす。脚材30A~30Dは、互いに同一の形状をなす。
【0013】
詳しくは、
図1(a)~(d)に示すように、脚材30A~30Dは、それぞれ、第1壁部31と、第1壁部31に直交する第2壁部32と、を備える。
第1壁部31には、第1壁部31の基端側に位置し、締結部材39Aが通過する長孔35が形成されている。
図4(a)に示すように、長孔35は、展開状態において、X方向に反転したL字状の貫通孔として形成されている。長孔35は、スライド許容孔部37Aと、回動許容孔部37Bと、を備える。
スライド許容孔部37Aは、脚材30A~30Dの長手方向に沿って延びる。スライド許容孔部37Aにおける回動許容孔部37Bから遠い端部は半円弧状をなす。スライド許容孔部37Aは、収納状態においてスライド許容孔部37A内を締結部材39A,39BがX方向に相対的に移動することにより、脚材30A~30Dをその長手方向(
図3(a)の矢印J2)に移動可能とするために形成されている。
図3(c)及び
図4(a)に示すように、回動許容孔部37Bは、スライド許容孔部37Aの先端部(接地部材40に近い端部)に位置し、スライド許容孔部37Aに直交する方向であって収納状態において上側に延びる。
回動許容孔部37Bにおけるスライド許容孔部37Aから遠い端部は半円弧状をなす。スライド許容孔部37Aと回動許容孔部37Bが連結する角部は円弧状をなしている。これにより、締結部材39Aがスライド許容孔部37Aと回動許容孔部37Bの間で円滑に移動可能となる。
図3(b)に示すように、回動許容孔部37Bは、締結部材39Aが位置することにより、締結部材39Aを中心とした脚材30A~30Dの回動を許容するように、第1辺部材11Aと第2壁部32の間に隙間Skを形成する。
【0014】
図4(b)に示すように、第2壁部32には、第2壁部32の上端側に位置し、締結部材39Bが通過する長孔36が形成されている。長孔36は、展開状態において、L字状の貫通孔として形成されている。長孔36は、第1壁部31と第2壁部32の間の境界線を対称軸Axとして長孔35(
図4(a)参照)と対称に形成されている。長孔36は、長孔35と同様に、スライド許容孔部37Aと、回動許容孔部37Bと、を備える。
【0015】
図4(a),(b)に示すように、締結部材39A,39Bは、それぞれボルトとワッシャからなる。ワッシャは、ボルトの軸部が挿通されるリング状をなし、長孔35,36の幅Wよりも大きい外径を有する。
図4(a)に示すように、締結部材39Aは、展開状態において、スライド許容孔部37Aの基端部(回動許容孔部37Bと反対側の端部)に位置する。この展開状態においては、例えば、締結部材39Bが取り外されて、かつ締結部材39Aが緩められていても、脚材30Aの第2壁部32が枠体10の角部に接触することにより、脚材30Aが回動することが規制される。
また、
図2(d)に示すように、締結部材39Aは、収納状態において、スライド許容孔部37Aの基端部(回動許容孔部37Bと反対側の端部)に位置する。この収納状態においては、締結部材39Aが緩められていても、脚材30Aの第2壁部32が枠体10(第1辺部材11A)の下面に接触することにより、脚材30Aが回動することが規制される。
【0016】
図1(a)に示すように、接地部材40は、脚材30A~30Dの先端部に設けられ、エアコン室外機用架台1が展開状態にあるときに設置面に接する。
接地部材40は、L字部材41と、ピン42と、を備える。ピン42は、L字部材41を脚材30A~30Dの先端部に回転可能に支持する。
L字部材41は、設置面に面接触する第1板部41aと、第1板部41aに直交する第2板部41bと、を備える。第2板部41bは、第2壁部32の外面に接する位置で、ピン42を中心に回転可能にピン42により支持される。
図5(b)に示すように、第2板部41bは、台形の上辺が円弧状に膨らんだ板状をなす。
【0017】
図2(b)及び
図5(b)に示すように、エアコン室外機用架台1が収納状態にあるとき、展開状態からピン42を中心にL字部材41を内側に90°回転させた状態とされる。この状態では、L字部材41の第1板部41aが第1辺部材11A,11Bを脚材30Aの第1壁部31との間で挟み込むように位置する。このため、収納状態において、接地部材40が第1辺部材11A,11Bに接触することが防止される。また、この状態では、第2板部41bの円弧状部が外側を向く。このため、エアコン室外機用架台1を運搬する際に、第2板部41bが外部の物体に接触しても、この物体を傷つけることが抑制される。
脚材30Aに限らず、他の脚材30B~30Dに取り付けられる接地部材40も、これと同様の構造及び機能を有する。
【0018】
次に、エアコン室外機用架台1の脚材30A~30Dを収納状態から展開状態とする組み立て作業について説明する。エアコン室外機用架台1は収納状態でエアコン室外機の取り付け場所に運ばれ、この取り付け場所で、この組み立て作業が作業者により行われる。
図2(b),(d)に示すように、収納状態においては、脚材30A~30Dは、第1辺部材11A,11Bに沿って延びた状態で締結部材39Aにより枠体10に固定されており、締結部材39Aがスライド許容孔部37Aの基端部(回動許容孔部37Bと反対側の端部)に位置する。また、収納状態においては、締結部材39Bはエアコン室外機用架台1に取り付けられていない。
【0019】
脚材30Aを展開するために、まず、
図3(a)の矢印J1に示すように、締結部材39Aが緩められる。この状態では、脚材30Aは、第1辺部材11Aとの間に回動に必要な隙間がなく、回動しない。次に、矢印J2に示すように、締結部材39Aがスライド許容孔部37A内を回動許容孔部37Bに向けてX方向に相対的に移動するように、脚材30Aを第1辺部材11Aに沿って移動させる。
そして、
図3(b)に示すように、締結部材39Aが回動許容孔部37Bに到達すると、脚材30Aが下方向に移動し、第1辺部材11Aと第2壁部32の間に隙間Skが形成される。隙間Skは、回動許容孔部37Bの長さに対応した長さに設定される。この隙間Skが形成されることにより、矢印J3に示すように、脚材30Aが締結部材39Aを中心に回動可能となる。これにより、
図3(c)に示すように、脚材30Aを枠体10に直交する向きとする。そして、矢印J4に示すように、脚材30Aを枠体10に近づけるように移動させ、矢印J5に示すように、脚材30Aを下方に移動させる。これにより、
図4(a)に示すように、締結部材39Aがスライド許容孔部37Aの上端部に位置する。締結部材39Aは、この位置で回転させられることにより、脚材30Aの第1壁部31を枠体10に固定する。次に、
図4(b)に示すように、締結部材39Bを脚材30Aの第2壁部32に形成される長孔36のスライド許容孔部37Aの上端部に通過させる。そして、締結部材39Bは、この位置で回転させられることにより、脚材30Aの第2壁部32を枠体10に固定する。そして、
図3(c)の矢印J6に示すように、L字部材41が設置面に接触するように、ピン42を中心にL字部材41を回転させる。以上で、脚材30Aの展開が完了する。この脚材30Aの展開と同様に、脚材30B~30Dが展開される。
以上で、エアコン室外機用架台1が展開状態とされる。
【0020】
エアコン室外機用架台1を展開状態から収納状態とする場合には、上述した収納状態から展開状態とする手順と逆の手順で行われる。
さらに、この手順に限らず、展開状態において締結部材39A,39Bの何れか一方を選択的に取り外すことにより、脚材30A~30Dの回動方向を変えることができる。例えば、
図1(c)の矢印K1に示すように、脚材30Aに関して、締結部材39Aを回転させて取り外し、締結部材39Bを緩めることにより、矢印K2に示すように、締結部材39Bを中心に脚材30Aを第2辺部材12Aに沿うように回動させることが可能となる。このように脚材30Aを回動させる際には、締結部材39Bを長孔36の回動許容孔部37Bに位置させる。よって、脚材30Aは、上述した第1辺部材11Aに沿うように収納させる場合と同様に、第2辺部材12Aに沿うように収納させることができる。他の脚材30B~30Dも同様に、第2辺部材12A,12Bに沿うように収納させることができる。これにより、締結部材39A,39Bの何れを取り外しても、脚材30A~30Dを回動させて収納することができる。
【0021】
なお、
図1(c)及び
図2(c)は、エアコン室外機用架台1の右側面図であるが、
エアコン室外機用架台1の左側面図は、右側面図と同一であるため省略している。また、
図1(a)及び
図2(a)は、エアコン室外機用架台1の正面図であるが、エアコン室外機用架台1の背面図は、正面図と同一であるため省略している。
【0022】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)エアコン室外機用架台1は、矩形枠状をなす枠体10と、枠体10の各角部に締結部材39Aにより固定される複数の脚材30A~30Dと、を備える。各脚材30A~30Dは、締結部材39Aが緩められた状態で、枠体10に直交する方向に延びる展開状態と枠体10に沿う方向に延びる収納状態の間で、締結部材39Aを中心に回動可能に構成されている。各脚材30A~30Dには、締結部材39Aが通過するL字状の長孔35が形成されている。長孔35は、各脚材30A~30Dの長手方向に沿って延びるスライド許容孔部37Aと、スライド許容孔部37Aに交わる方向に延び、展開状態において枠体10から遠いスライド許容孔部37Aの端部に位置する回動許容孔部37Bと、を備える。各脚材30A~30Dは、収納状態において締結部材39Aがスライド許容孔部37Aに位置するときには回動不能に枠体10に接触し、締結部材39Aが回動許容孔部37Bに位置するときには回動可能に枠体10から離れるように構成されている。
この構成によれば、収納状態において、締結部材39Aが緩められても、締結部材39Aがスライド許容孔部37A内に位置すると、脚材30A~30Dは枠体10に接触することにより回動が規制される。よって、エアコン室外機用架台1を収納状態から展開状態へ組み立てる際に、意図せずに、脚材30A~30Dが回動することが抑制され、
エアコン室外機用架台1をより安全に組み立てることができる。
【0023】
(2)各脚材30A~30Dは、展開状態においては、枠体10の角部に沿うように互いに直交しつつ連結される第1壁部31及び第2壁部32を備える。第1壁部31には第1長孔の一例である長孔35が形成されている。第2壁部32には第2長孔の一例である長孔36が形成されている。長孔35と長孔36は、第1壁部31及び第2壁部32の間の境界線を対称軸Axとして対称に形成されている。
この構成によれば、各脚材30A~30Dと枠体10の各角部の対応関係がなく、各脚材30A~30Dを、何れの角部にでも取り付け可能となる。よって、脚材30A~30Dを枠体10の各角部に取り付ける際、脚材30A~30D間で取り違えることがなく、この取り付け作業が簡単となる。
【0024】
(3)枠体10は、それぞれ第1方向の一例であるX方向に沿って延び、X方向に直交する第2方向の一例であるY方向に並べられる一対の第1辺部材11A,11Bと、それぞれY方向に沿って延び、X方向に並べられる一対の第2辺部材12A,12Bと、一対の第1辺部材11A,11Bの各端部と一対の第2辺部材12A,12Bの各端部を固定的に連結する複数の連結部13と、を備える。第1締結部材の一例である締結部材39Aは、展開状態において、長孔35を通過しつつ第1壁部31を枠体10の角部のX方向に沿って延びる面に固定する。第2締結部材の一例である締結部材39Bは長孔36を通過しつつ第2壁部32を枠体10の角部のY方向に沿って延びる面に固定する。締結部材39Aが取り外された脚材30Aは、第2辺部材12Aに沿うように締結部材39Bを中心に回動可能に構成される。締結部材39Bが取り外された脚材30Aは、第1辺部材11Aに沿うように締結部材39Aを中心に回動可能に構成されている。
この構成によれば、各脚材30A~30Dを枠体10に固定する2つの締結部材39A,39Bの何れを取り外しても、各脚材30A~30Dが回動可能となる。
【0025】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0026】
(変形例)
上記実施形態においては、収納状態では、脚材30A~30Dが第1辺部材11A,11Bに沿うように収納されていたが、脚材30A~30Dのうち少なくとも何れか1つが第2辺部材12A,12Bに沿うように収納されてもよい。例えば、収納状態において、脚材30Aが第1辺部材11Aに沿い、脚材30Bが第2辺部材12Aに沿い、脚材30Cが第2辺部材12Bに沿い、脚材30Dが第2辺部材11Bに沿っていてもよい。これにより、展開時の脚材30A~30Dの回動方向を異ならせることができる。例えば、エアコン室外機用架台1の組み立て時に、まず、脚材30A~30Dを枠体10に直交するように回動させて、締結部材39Aにて仮止めする。そして、エアコン室外機用架台1を設置面に設置した後に、締結部材39Bの装着と締結部材39Aの増し締めを行う。脚材30A~30D毎に回動方向を異ならせることにより、締結部材39Aを仮止めした状態における、エアコン室外機用架台1の設置の安定度を高めることができる。
また、脚材30A~30Dの長さが第1辺部材11A,11B及び第2辺部材12A,12Bの長さに対して長い構成では、上述のように、脚材30A~30D毎に回動方向を異ならせることにより、脚材30A~30Dを収納する際に、脚材30A~30Dが互いに接触することが抑制される。
【0027】
上記実施形態においては、2つの長孔35,36の一方は省略されてもよい。2つの長孔35,36の一方は、L字状ではなく、締結部材39A,39Bのボルト軸部が通過する円形の孔であってもよい。
脚材30A~30Dの数又は長さは適宜変更可能である。また、枠体10の形状も適宜変更可能である。
また、上記実施形態においては、展開状態において、各脚材30A~30Dは2つの締結部材39A,39Bにより固定されていたが、2つの締結部材39A,39Bの何れか一方が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…エアコン室外機用架台、10…枠体、11A,11B…第1辺部材、11C…孔、11D,11E…ねじ穴、11X,11Y,12X,12Y…壁部、12A,12B…第2辺部材、12D,12E…軸通過孔、13…連結部、20…ベース部材、21…支持部、29…ボルト、30A~30D…脚材、31…第1壁部、32…第2壁部、35,36…長孔、37A…スライド許容孔部、37B…回動許容孔部、39A,39B…締結部材、40…接地部材、41…L字部材、41a…第1板部、41b…第2板部、42…ピン、Ax…対称軸、Sk…隙間