(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053463
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】車両の外装パネル構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20230406BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162512
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】守山 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】倉本 英介
(57)【要約】
【課題】外装パネル材の外面への歪に起因した凹凸の発生を抑えながら、ワックスがけ時などにユーザーが外方から外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能な車両の外装パネル構造を提供する。
【解決手段】車両の外装パネル構造は、外装パネル材と補強部材11とを備える。補強部材11は、複数の接合部110と複数の連結部111とを有する。複数の接合部110は、外装パネル材の内面に沿って互いに離間し、それぞれが外装パネル材の内面に接合されている。連結部111は、外装パネル材の内面に沿った状態で延び、隣接する接合部110同士を連結する。外装パネル材の内面と連結部111とは、外装パネル材の外面から厚み方向内側に向けて所定値以上の押圧力を受けた場合に互いに当接し、それ以外の場合には互いに離間している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における外観の一部を構成する外面を有する外装パネル材と、
前記外装パネル材の内面に沿って配設され、前記外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対して前記外装パネル材を補強する補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、
前記外装パネル材の内面に沿って互いに離間し、それぞれが前記外装パネル材の内面に接合された複数の接合部と、
前記外装パネル材の内面に沿った状態で延び、隣接する前記接合部同士を連結する連結部と、
を有し、
前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、
前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて押圧力が未入力か、あるいは入力された前記押圧力が所定値未満である場合には互いに隙間を空けて離間し、
前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて前記所定値以上の押圧力の入力があった場合には互いに当接する、
よう構成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の外装パネル構造において、
前記連結部を当該連結部が延びる方向に対して直交する方向に断面視する場合に、前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿う基部と、当該基部から前記外装パネル材の内面に向けて突出する第1突出部と、前記基部から前記外装パネル材の内面とは反対側に向けて突出する第2突出部と、を有し、全体として十字断面形状を有する、
車両の外装パネル構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の外装パネル構造において、
前記第1突出部および前記第2突出部のそれぞれは、前記接合部から放射状に延びるように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車両の外装パネル構造において、
前記連結部を当該連結部が延びる方向に対して直交する方向に断面視する場合に、前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿う基部と、当該基部から前記外装パネル材の内面に向けて突出する突出部と、を有し、全体としてT字断面形状を有する、
車両の外装パネル構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の外装パネル構造において、
前記突出部は、前記接合部から放射状に延びるように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材を前記外装パネル材の厚み方向内側から平面視する場合に、
前記接合部は、六角形の外観形状を有し、
前記連結部は、前記接合部の各々から六方向に向けて放射状に延びるよう形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材は、互いに隣り合う3つの前記接合部と、これら3つの接合部同士を連結する3つの前記連結部とが三角形をなすように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面からの当該外装パネル材における厚み方向内側への押圧力が加わっていない状態で、前記外装パネル材の板厚の5倍以下の隙間が空いた状態で離間している、
車両の外装パネル構造。
【請求項9】
請求項1から請求項7の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面からの当該外装パネル材における厚み方向内側への押圧力が加わっていない状態で、前記外装パネル材の板厚の2倍以下の隙間が空いた状態で離間している、
車両の外装パネル構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材は、ドアアウターパネルであり、
前記ドアアウターパネルを前記車両のドア開口を塞ぐように配した場合に、前記ドア開口に重複する領域に前記補強部材が配設されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材は、軽合金または樹脂材料から形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材は、樹脂材料から形成されている、
車両の外装パネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外装パネル構造に関し、特に外装パネルを補強する補強部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両においては、継続的に軽量化が求められている。このための一方策として、車両の外装パネル材の薄肉化が図られている。このように外装パネル材の薄肉化を図ることにより、車両の軽量化を図ることはできるが、ユーザーが洗車やワックスがけを行う際に外装パネル材が凹んでしまい外観品質の観点から好ましくない。このような問題に対して、特許文献1に開示の構造を採用することも考えられる。
【0003】
特許文献1には、外装パネル材としてのドアアウターパネルと、複数の第1補強部材および複数の第2補強部材とを備える外装パネル構造が開示されている。複数の第1補強部材のそれぞれは、車両前後方向の延びる長尺状部材であって、ドアアウターパネルの内面に沿うように湾曲され、ドアアウターパネルの内面に接合されている。複数の第2補強部材のそれぞれは、車両上下方向に延びる長尺状部材であって、ドアアウターパネルの内面に沿うように湾曲され、ドアアウターパネルの内面に接合されている。
【0004】
上記のような第1補強部材および第2補強部材を採用して外装パネル材の補強を行うことができ、洗車時やワックスがけ時などにおける外装パネル材の凹みを抑えることができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両(特に、乗用自動車)では、空力特性や外観品質の向上などを図るために複雑な形状をもって外装パネルの外面が構成されているため、特許文献1に開示の第1補強部材および第2補強部材を外装パネル材の内面の全域に亘って均一に密着させることが困難である。このため、車両の外装パネルにおいて、上記特許文献1に開示の構造を採用しようとした場合には、外装パネル材の一部が第1補強部材および第2補強部材の接合により内側(第1補強部材および第2補強部材の側)に引き込まれるなどして歪んでしまい、車両外観を形成する外装パネル材の外面に凹凸が現れてしまうことになると考えられる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、外装パネル材の外面への歪に起因した凹凸の発生を抑えながら、ワックスがけ時などにユーザーが外方から外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能な車両の外装パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る車両の外装パネル構造は、外装パネル材と補強部材とを備える。前記外装パネル材は、車両における外観の一部を構成する外面を有する。前記補強部材は、前記外装パネル材の内面に沿って配設され、前記外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対して前記外装パネル材を補強する。
【0009】
前記補強部材は、複数の接合部と連結部とを有する。前記複数の接合部は、前記外装パネル材の内面に沿って互いに離間し、それぞれが前記外装パネル材の内面に接合されている。前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿った状態で延び、隣接する前記接合部同士を連結する。
【0010】
本態様において、前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて押圧力が未入力(押圧力が入力されていない)か、あるいは入力された前記押圧力が所定値未満である場合には互いに隙間を空けて離間し、前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて前記所定値以上の押圧力の入力あった場合に互いに当接する、よう構成されている。
【0011】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、定常時(押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である状態)において、補強部材における複数の接合部のみが外装パネル材の内面に接合されていて、連結部は外装パネル材の内面に接合されていない。このため、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、正確に外装パネル材の内面形状に合わせて補強部材の連結部が形成されていなくても、外装パネル材の外面に歪による凹凸を生じさせ難い。
【0012】
しかも、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面に上記所定値以上の押圧力が入力された場合において、補強部材の連結部と外装パネル材の内面とが互いに当接する。このため、例えばワックスがけ時や洗車時などにユーザーが外装パネル材の外面から上記所定値以上の押圧力で押圧した場合にも、補強部材の連結部が外装パネル材の内面に当接することにより当該外装パネル材が大きく凹むことが抑制される。よって、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、車両の外観品質の観点から優れる。
【0013】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記連結部を当該連結部が延びる方向に対して直交する方向に断面視する場合に、前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿う基部と、当該基部から前記外装パネル材の内面に向けて突出する第1突出部と、前記基部から前記外装パネル材の内面とは反対側に向けて突出する第2突出部と、を有し、全体として十字断面形状を有する、としてもよい。
【0014】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、補強部材の連結部が十字断面形状を有するので、例えば補強部材を樹脂材料から形成するような場合に、連結部の長手方向に向けて良好に溶融樹脂を流動させることができる。また、例えば補強部材を金属材料から形成する場合にも、引き抜き加工や押し出し加工において断面方向での歪を小さく抑えることができ、連結部を良好に形成することができる。
【0015】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、基部に加えて第1突出部および第2突出部を有する構造の連結部を採用することにより、基部だけで連結部を構成する場合に比べて、外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対する高い剛性を確保するのにも有効である。
【0016】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記第1突出部および前記第2突出部のそれぞれは、前記接合部から放射状の延びるように形成されている、としてもよい。
【0017】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、第1突出部および第2突出部が接合部から放射状に延びるように形成されているので、外装パネル材への押圧力の入力により外装パネル材の内面と連結部とが当接した場合の、連結部から接合部へ、さらには接合部から連結部へと荷重を効率的に分散させることができる。
【0018】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記連結部を当該連結部が延びる方向に対して直交する方向に断面視する場合に、前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿う基部と、当該基部から前記外装パネル材の内面に向けて突出する突出部と、を有し、全体としてT字断面形状を有する、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、補強部材の連結部がT字断面形状を有するので、上記同様に、樹脂材料および金属材料の何れから補強部材を形成する場合においても、良好な生産性を確保することができる。
【0020】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、基部に加えて突出部を有する構造の連結部を採用することにより、基部だけで連結部を構成する場合に比べて、外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対する高い剛性を確保するのにも有効である。
【0021】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記突出部は、前記接合部から放射状に延びるように形成されている、としてもよい。
【0022】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、突出部が接合部から放射状に延びるように形成されているので、外装パネル材への押圧力の入力により外装パネル材の内面と連結部とが当接した場合の、連結部から接合部へ、さらには接合部から連結部へと荷重を効率的に分散させることができる。
【0023】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材を前記外装パネル材の厚み方向内側から平面視する場合に、前記接合部は、六角形の外観形状を有し、前記連結部は、前記接合部の各々から六方向に向けて放射状に延びるよう形成されている、としてもよい。
【0024】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、連結部が接合部から六方向に向けて放射状に延びるように形成されているので、連結部に入力された押圧力(外装パネル材の厚み方向に入力された押圧力)を接合部から当該接合部に連結された他の連結部へと均等に分散させることができる。
【0025】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材は、互いに隣り合う3つの前記接合部と、これら3つの接合部同士を連結する3つの前記連結部とが三角形をなすように形成されている、としてもよい。
【0026】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、互いに隣り合う3つの接合部とこれらを連結する3つの連結部とが三角形をなすように形成されているので、簡易な構造を採用しながら、外装パネル材の内面に沿った方向での補強部材の変形などを抑制することができる。
【0027】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面からの当該外装パネル材における厚み方向内側への押圧力が加わっていない状態で、前記外装パネル材の板厚の5倍以下の隙間が空いた状態で離間している、としてもよい。
【0028】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面から押圧力が入力されていない状態において、外装パネル材の内面と連結部との隙間を外装パネル材の板厚の5倍以下に設定しているので、洗車時やワックスがけ時などの押圧力により外装パネル材の内面と連結部とを当接状態とすることができ、外装パネル材の外面の凹みを小さく抑えるのに有効である。
【0029】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面から押圧力が入力されていない状態において、外装パネル材の内面と連結部との隙間を外装パネル材の板厚の5倍以下という非常に狭い隙間としているので、外装パネル材に生じる振動を摩擦減衰する効果も奏することができる。
【0030】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面からの当該外装パネル材における厚み方向内側への押圧力が加わっていない状態で、前記外装パネル材の板厚の2倍以下の隙間が空いた状態で離間している、としてもよい。
【0031】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面から押圧力が入力されていない状態において、外装パネル材の内面と連結部との隙間を外装パネル材の板厚の2倍以下に設定しているので、洗車時やワックスがけ時などの押圧力により外装パネル材の内面と連結部とを当接状態とすることができ、外装パネル材の外面の凹みをさらに小さく抑えるのに有効である。
【0032】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面から押圧力が入力されていない状態において、外装パネル材の内面と連結部との隙間を外装パネル材の板厚の2倍以下というさらに狭い隙間としているので、外装パネル材に生じる振動を摩擦減衰するのにさらに効果的である。
【0033】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材は、ドアアウターパネルであり、前記ドアアウターパネルを前記車両のドア開口を塞ぐように配した場合に、前記ドア開口に重複する領域に前記補強部材が配設されている、としてもよい。
【0034】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の具体例としてドアアウターパネルを採用することができる。車両のドアに上記態様に係る車両の外装パネル構造を採用することにより、ドアアウターパネル(外装パネル材)の薄肉化を図った場合においても、洗車時などにユーザーがドアアウターパネルを押圧しても当該ドアアウターパネルの凹みを小さく抑えることが可能となる。
【0035】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材は、軽合金または樹脂材料から形成されている、としてもよい。
【0036】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材が軽合金または樹脂材料から形成されているため、洗車時等にユーザーが押圧力を加えた際に厚み方向に凹みやすいが、補強部材により凹みが小さく抑えられる。
【0037】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材は、樹脂材料から形成されている、としてもよい。
【0038】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、補強部材が樹脂材料から形成されているので、外装パネル材の内面に沿うように配設するのが容易であるとともに、製造が容易で、且つ、軽量化を図るのに優位である。
【発明の効果】
【0039】
上記の各態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面への歪に起因した凹凸の発生を抑えながら、ワックスがけ時などにユーザーが外方から外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るドアを外側から見た斜視図である。
【
図5】
図4のA部を拡大して示す斜視図であって、(a)は外側から見た図、(b)は内側から見た図である。
【
図6】
図5(a)のVI-VI線断面を示す断面図である。
【
図7】
図5(a)のVII-VII線断面を示す断面図である。
【
図8】ドアアウターパネルと補強部材の連結部とを示す断面図であって、(a)はドアアウターパネルに対して連結部の接触部が非接触の状態、(b)はドアアウターパネルに対して連結部の接触部が接触した状態を示す。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るドアの構成のうち、ドアアウターパネルと補強部材の連結部とを示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係るドアの構成のうち、ドアアウターパネルと補強部材とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0042】
[第1実施形態]
1.ドア1の構成
本発明の第1実施形態では、車両の外装パネル構造をドア1に適用した構成を一例とする。なお、図示を省略するが、ドア1は、当該ドア1を閉めた状態で車体のドア開口を閉塞する。
【0043】
ドア1の構成について、
図1から
図3を用いて説明する。なお、
図1では、一構成要素であるドアアウターパネル(外装パネル材)10の一部を省略して図示している。
【0044】
図1および
図2に示すように、ドア1は、ドアアウターパネル10と、補強部材11と、ドアインパクトバー12とを備える。ドアアウターパネル10は、車両における外観の一部を構成する外面10aを有する。本実施形態では、ドアアウターパネル10は軽合金(一例としてアルミニウム合金)から形成されている。なお、ドアアウターパネル10の形成材料については、樹脂材料を採用することも可能である。
【0045】
補強部材11は、ドアアウターパネル10の板厚方向に平面視する場合に、略網目状に形成されている。
図2に示すように、補強部材11は、ドアハンドルが配設される部分を除き、ドアアウターパネル10の内面10bの全体に亘り沿うように形成されている。本実施形態では、補強部材11は、樹脂材料から形成されている。
【0046】
ドアインパクトバー12は、長尺状の部材であって、車両前後方向におけるドア1の前端部と後端部とを結ぶように形成されている。
図3に示すように、ドアインパクトバー12は、角筒形状の部材であり、一例として金属材料から形成されている。そして、ドアインパクトバー12は、補強部材11を間に挟んでドアアウターパネル10の内面10bに沿うように配設されている。
【0047】
2.補強部材11の詳細構成
補強部材11の詳細構成について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0048】
図4に示すように、補強部材11は、複数の接合部110と複数の連結部111とが一体形成されてなる構成を有する。
図5(a)に示すように、接合部110は、一方の面がドアアウターパネル10の内面10bに接合される。接合部110とドアアウターパネル10の内面10bとの接合は、一例として接着剤を用いてなされている。これについては、後述する。
図5(a)、(b)に示すように、接合部110は、平面視において略六角形の外観形状を有する。
【0049】
図4に戻って、連結部111は、隣接する接合部110同士を連結している。本実施形態では、3つの接合部110と3つの連結部111とで三角形の平面形状をなすように、複数の接合部110と複数の連結部111とが配設されている。1つの接合部110からは、六方向に向けて放射状に延びるように、6つの連結部111が接続されている。
【0050】
図5(a)に示すように、各連結部111は、ドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる長尺状の基部111aと、基部111aからドアアウターパネル10の内面10bに向けて突出し、基部111aと同様にドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる突出部111bとを有する。また、
図5(b)に示すように、各連結部111は、基部111aからドアアウターパネル10の内面10bとは反対側に向けて突出し、基部111aと同様にドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる突出部111cも有する。各連結部111において、基部111aと突出部111b,111cとは一体形成されている。
【0051】
図5(a)、(b)に示すように、連結部111における突出部111b,111cは、接合部110から放射状に延びるように形成されている。なお、
図5(b)に示すように、突出部111cは、接合部110におけるドアアウターパネル10とは反対側となる背面110bにおいて、当該接合部110に接続される6つの連結部111の突出部111c同士が接続されている。
【0052】
なお、
図4に示すように、本実施形態では、隣り合う接合部110同士の間隔Pが50mm~150mmの範囲内で設定されている。これは、車両の洗車時やワックスがけ時を考慮したものであって、ユーザーの掌のサイズを想定して設定された数値範囲である。
【0053】
3.ドアアウターパネル10に対する接合部110および連結部111の配置
ドアアウターパネル10に対する接合部110および連結部111の配置について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0054】
上述のように、本実施形態では、連結部111が基部111aと突出部111b,111cとを有する。このため、
図6に示すように、連結部111は、横断面において十字断面形状を有する。連結部111の横幅(基部111aの幅)はW1であり、突出部111b,111cの横幅はW2である。また、突出部111bの端部(接触部111d)から突出部111cの端部までの高さはH1であり、基部111aの高さ(厚み)はH2である。W1は5mm~7mm(一例として6mm)であり、W2は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。また、H1は4mm~5mm(一例として4.5mm)であり、H2は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10の外側から所定値以上の押圧力が入力されていない状態において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとの間に隙間G1が空いている。隙間G1は、ドアアウターパネル10の板厚T1に対して5倍以下に設定されている。具体的に、隙間G1は、0mmを超え3.0mm以下の範囲内で設定されている。なお、隙間G1については、所定値以上の押圧力が入力された場合のドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えるという観点から、ドアアウターパネル10の板厚T1に対して2倍以下に設定することがより好ましい。
【0056】
図7に示すように、接合部110は、ドアアウターパネル10の内面10bに対して接合面110aが接合されている。ドアアウターパネル10の内面10bに対する接合面110aの接合は、接着部112によりなされている。接着部112は、接着剤の固化により形成されており、ドアアウターパネル10の内面10bとの接着面112aと接合部110との接着面112b,112cとを有する。なお、接合部110は、ドアアウターパネル10への外方からの押圧力の有無にかかわらずドアアウターパネル10の内面10bに接合されている。
【0057】
なお、上述のように、接合部110における背面(接合面110aとは反対側の面)110bには、接続される連結部111の突出部111cが延伸形成されている。接合部110の背面110bにおいては、複数の突出部111cが集合し、円筒形状に形成されている。なお、接合部110の背面110bにおいて、接合部110と連結部111の突出部111cとは一体形成されている。
【0058】
4.押圧力の有無によるドアアウターパネル10と連結部111との状態変化
ユーザーによる洗車時やワックスがけ時などにドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合と、ドアアウターパネル10に対して押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合とのそれぞれで、ドアアウターパネル10と連結部111との状態変化について
図8を用いて説明する。
【0059】
先ず、ドアアウターパネル10に対して外方から押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合について、
図8(a)を用いて説明する。
図8(a)に示すように、ドアアウターパネル10に対して外方から押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合には、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとが隙間G1を空けて離間した状態にある(離間状態)。
【0060】
次に、ドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合について、
図8(b)を用いて説明する。なお、本実施形態における「所定値以上の押圧力」とは、洗車時やワックスがけ時などにおいて、ユーザーが掌でドアアウターパネル10を押圧した場合などの押圧力を指す。具体的に、上記における「所定値」としては、例えば、100N以下の値を採用することができる。
【0061】
図8(b)に示すように、ドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合には(矢印B)、ドアアウターパネル10が内側に向けて凹む。これにより、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとは、当接する(当接状態)。なお、ドアアウターパネル10の凹み量については、隙間G1の分と連結部111の撓み分とを足し合わせた量である。
【0062】
押圧力の入力が無くなった場合には、ドアアウターパネル10および連結部111の弾性復元力により、
図8(a)で示す状態へと戻る。
【0063】
5.効果
本実施形態に係るドア1では、定常時(ドアアウターパネル10の外面10aから押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合)において、補強部材11における複数の接合部110のみが互いに離間した状態で(隙間G1を空けた状態)ドアアウターパネル10の内面10bに接合されていて、連結部111はドアアウターパネル10の内面10bに接合されていない。このため、ドア1では、正確にドアアウターパネル10の内面10bの形状に合わせて補強部材11の連結部111が形成されていなくても、ドアアウターパネル10の外面10aに歪による凹凸を生じさせ難い。
【0064】
しかも、ドア1では、ドアアウターパネル10の外面10aに所定値以上の押圧力の入力があった場合において、補強部材11の連結部111とドアアウターパネル10の内面10bとが互いに当接する。このため、例えばワックスがけ時や洗車時などにユーザーがドアアウターパネル10の外面10aから所定値以上の押圧力で押圧した場合にも、補強部材11の連結部111がドアアウターパネル10の内面10bに当接することにより当該ドアアウターパネル10が大きく凹むことが抑制される。よって、ドア1では、当該ドア1を備える車両の外観品質の観点から優れる。
【0065】
また、本実施形態に係るドア1では、補強部材11の連結部111が十字断面形状を有するので、補強部材11を樹脂材料から形成する場合に、連結部111の長手方向に向けて良好に溶融樹脂を流動させることができる。なお、補強部材111を金属材料から形成する場合にも、引き抜き加工や押し出し加工において断面方向での歪を小さく抑えることができ、連結部111を良好に形成することができる。
【0066】
また、ドア1では、基部111aに加えて突出部(第1突出部)111bおよび突出部(第2突出部)111cを有する構造の連結部111を採用することにより、基部111aだけで連結部111を構成する場合に比べて、ドアアウターパネル10の厚み方向に入力される押圧力に対する高い剛性を確保するのにも有効である。
【0067】
また、本実施形態に係るドア1では、突出部111b,111cが接合部110から放射状に延びるように形成されているので、ドアアウターパネル10への押圧力の入力によりドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとが当接した場合の、連結部111から接合部110へ、さらには接合部110から連結部111へと荷重を効率的に分散させることができる。
【0068】
また、本実施形態に係るドア1では、連結部111が接合部110から六方向に向けて放射状に延びるように形成されているので、連結部111に入力された押圧力(ドアアウターパネル10の外面10aから厚み方向内側に向けて入力された押圧力)が接合部110から当該接合部110に連結された他の連結部111へと均等に分散させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るドア1では、3つの接合部110とこれら3つの接合部110を連結する3つの連結部111とが三角形をなすように形成されているので、簡易な構造を採用しながら、ドアアウターパネル10の内面10bに沿った方向での補強部材11の変形などを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10の外面10aからの押圧力が入力されていない状態において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111との間の隙間G1をドアアウターパネル10の板厚T1の5倍以下(より好ましくは2倍以下)に設定しているので、洗車時やワックスがけ時などの押圧力によりドアアウターパネル10の内面10bと連結部111とを当接状態とすることができ、ドアアウターパネル10の外面10aの凹みを小さく抑えるのに有効である。
【0071】
また、ドア1では、ドアアウターパネル10の外面10aから押圧力が入力されていない状態において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111との隙間G1をドアアウターパネル10の板厚T1の5倍以下(より好ましくは2倍以下)という非常に狭い隙間としているので、ドアアウターパネル10に生じる振動を摩擦減衰する効果も奏することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るドア1では、「外装パネル材」の具体例としてドアアウターパネル10を採用することにし、ドアアウターパネル10の薄肉化を図った場合においても、上記のような補強部材11を備えることにより洗車時などにユーザーがドアアウターパネル10を押圧しても当該ドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10が軽合金(樹脂材料としてもよい)から形成されているため、洗車時等にユーザーが押圧力を加えた際に厚み方向に凹みやすいが、補強部材11を備えることにより凹みが小さく抑えられる。
【0074】
また、本実施形態に係るドア1では、補強部材11が樹脂材料から形成されているので、ドアアウターパネル10の内面10bに沿うように配設するのが容易であるとともに、製造が容易で、且つ、軽量化を図るのに優位である。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10の外面10aへの歪に起因した凹凸の発生を抑えながら、ワックスがけ時などにユーザーが外方からドアアウターパネル10を厚み方向内側に向けて所定値以上の押圧力で押圧した場合にもドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えることが可能である。
【0076】
なお、本実施形態では、ドア1を一例としたが、本発明では、ドア1以外にも車両における種々の外装パネル構造への適用が可能である。例えば、車両のルーフやフェンダー、さらにはボンネットなどの外装パネル構造にも適用が可能であり、その場合にも上記同様の効果を得ることができる。
【0077】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る車両の外装パネル構造について、
図9を用いて説明する。本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、車両のドア1を一例とする。そして、本実施形態に係るドア1は、補強部材における連結部211の断面形状に特徴を有し、それ以外の部分の構造については上記第1実施形態と同じであるので重複説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、連結部211は、ドアアウターパネル10の内面10bに沿うように紙面に直交する方向に延びる長尺状の基部211aと、基部211aからドアアウターパネル10の内面10bに向けて突出し、基部211aと同様にドアアウターパネル10の内面10bに沿うように紙面に直交する方向に延びる突出部211bとを有する。連結部211において、基部211aと突出部211bとは一体形成されている。
【0079】
図9に示すように、連結部211は、横断面においてT字断面形状を有する。連結部211の横幅(基部211aの幅)はW3であり、突出部211bの横幅はW4である。また、突出部211bの端部(接触部211d)から基部211aの上面までの高さはH3であり、基部211aの高さ(厚み)はH4である。W3は5mm~7mm(一例として6mm)であり、W4は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。また、H3は7mm~8mm(一例として7.5mm)であり、H4は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。
【0080】
図9に示すように、本実施形態に係るドア1でも、ドアアウターパネル10の外面10aに対して押圧力が入力されていない状態において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部211の接触部211dとの間に隙間G2が空いている。隙間G2は、ドアアウターパネル10の板厚T2に対して5倍以下に設定されている。具体的に、隙間G2は、0mmを超え3.0mm以下の範囲内で設定されている。なお、隙間G2については、押圧力が入力された場合のドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えるという観点から、ドアアウターパネル10の板厚T2に対して2倍以下に設定することがより好ましい。
【0081】
本実施形態に係るドア1では、補強部材における連結部211の断面形状が上記第1実施形態とは異なるが、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0082】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る車両の外装パネル構造について、
図10を用いて説明する。本実施形態でも、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様に、車両のドア1を一例とする。そして、本実施形態に係るドア1は、補強部材31の構造に特徴を有し、それ以外の部分の構造については上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じであるので重複説明を省略する。
【0083】
本実施形態における補強部材31は、例えば金属板材をプレス加工および打ち抜き加工することで形成されてなる金属部を備える。補強部材31の金属部は、ドアアウターパネル10の内面10bに沿う方向に互いに離間する複数の接合部(ビード部)310と、隣り合う接合部310同士の間を連結する複数の連結部311とが一体形成されてなる。なお、補強部材31では、金属部における接合部310および連結部311を除く領域の一部が打ち抜き加工により除去されている。
【0084】
補強部材31は、接合部310の接合面310aをドアアウターパネル10の内面10bに接合する接着部312をさらに備える。接着部312は、上記第1実施形態の接着部112と同様に、接着剤が固化してなる部位である。なお、接合部310の接合面310aとドアアウターパネル10の内面10bとの接合方法については、接着剤を用いる方法以外に、溶接やロウ付けを採用してもよい。
【0085】
ドアアウターパネル10の外面10aに対して押圧力が入力されていない場合において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部311の接触部311d(ドアアウターパネル10の内面10bに対向する部分)との間に隙間G3が空いている。隙間G3は、ドアアウターパネル10の板厚T3に対して5倍以下に設定されている。具体的に、隙間G3は、0mmを超え6.0mm以下の範囲内で設定されている。なお、隙間G3については、押圧力が入力された場合のドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えるという観点から、ドアアウターパネル10の板厚T3に対して2倍以下に設定することがより好ましい。
【0086】
本実施形態に係るドア1では、補強部材31の構造が上記第1実施形態および上記第2実施形態とは異なるが、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0087】
[変形例]
上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記第3実施形態では、補強部材11,31において、接合部110,310と連結部111,211,311とが一体形成されてなることとしたが、本発明は、接合部と連結部とが必ずしも一体形成されている必要はない。ドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された際に、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部の接触部とが当接することでドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えることができる構成であれば接合部と連結部とを別部材で構成することも可能である。また、接合部と連結部とを互いに異なる材料から形成することも可能である。
【0088】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、補強部材11が平面視で略網目状をした形態を一例としたが、本発明は、必ずしも補強部材が平面視で略網目状とする必要はない。例えば、複数の接合部と複数の連結部とにより線状をなす形態を採用することもできる。また、複数の接合部の配置形態については、必ずしも等間隔に分散配置されている必要はなく、予め想定される外装パネル材への押圧力の強さに応じて領域ごとに密度を変えて配置することも可能である。
【0089】
上記第1実施形態では十字断面形状を有する連結部111を採用し、上記第2実施形態ではT時断面形状を有する連結部211を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、円形断面形状を有する連結部や、円環断面形状を有する連結部、さらには多角形断面形状を有する連結部などを採用することも可能である。
【0090】
上記第1実施形態および上記第2実施形態では、接合部110の平面視での形状を略六角形としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、四角形や八角形、あるいは円形や楕円形の平面形状を採用することも可能である。
【0091】
上記第1実施形態および上記第2実施形態では、接合部110に対して6つの連結部111,211が接続されてなる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。外装パネル材に対して外方から押圧力が入力された場合の荷重分散を考慮して、1つの接合部に対して2つ以上の連結部が接続されていればよい。
【0092】
上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記第3実施形態では、外装パネル材の一例としてドアアウターパネル10を採用したドア1に本発明の「車両の外装パネル構造」を適用したが、本発明は、ドア1以外にも、車両のルーフやフェンダー、さらにはボンネットなど種々の場所に適用が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 ドア(車両の外装パネル構造)
10 ドアアウターパネル(外装パネル材)
10a 外面
10b 内面
11,31 補強部材
110,310 接合部
111,211,311 連結部
111d,211d,311d 接触部
111a,211a 基部
111b,211b 突出部
112,312 接着部