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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053464
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】車両の外装パネル構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20230406BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162513
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】守山 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】倉本 英介
(57)【要約】
【課題】外装パネル材に対して支持剛性を確保した状態で補強部材を接合しながら、補強部材の接合に起因した外装パネル材の外面での凹凸の発生を抑え、且つ、ワックスがけ時などにユーザーが外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能な車両の外装パネル構造を提供する。
【解決手段】車両の外装パネル構造は、ドアアウターパネル10、補強部材11、およびブラケット13を備える。ブラケット13は、ドアアウターパネル10の内面10bに沿う第2接合面部13bでドアアウターパネル10に接合され、ドアアウターパネル10の内面から当該ドアアウターパネル10の厚み方向に離間した第1接合面部13aで補強部材11の補強外周縁部11aに接合されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における外観の一部を構成する外面を有する外装パネル材と、
前記外装パネル材の内面に沿って配設され、前記外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対して前記外装パネル材を補強する補強面部を有する補強部材と、
を備える車両の外装パネル構造であって、
前記補強部材の前記補強面部は、
前記外装パネル材の内面に沿って互いに離間し、それぞれが前記外装パネル材の内面に接合された複数の接合部と、
前記外装パネル材の内面に沿った状態で延び、隣接する前記接合部同士を連結する連結部と、
を有し、
前記補強部材は、前記外装パネル材の内面に沿うように、前記補強面部の外周縁に設けられた補強外周縁部をさらに有し、
前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、
前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて押圧力が未入力か、あるいは入力された前記押圧力が所定値未満である場合には互いに隙間を空けて離間し、
前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて前記所定値以上の押圧力の入力があった場合には互いに当接する、
よう構成されており、
該外装パネル構造は、前記外装パネル材における内面のパネル外周縁部と前記補強部材における前記補強外周縁部との間に配設され、前記パネル外周縁部と前記補強外周縁部との接合を行う接合中間部をさらに備え、
前記接合中間部は、前記補強部材における前記補強面部よりも高い剛性を有するよう形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の外装パネル構造において、
前記接合中間部は、前記外装パネル材および前記補強部材とは別部材であり、前記パネル外周縁部および前記補強外周縁部のそれぞれに対して接合されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の外装パネル構造において、
前記接合中間部は、前記補強部材における少なくとも前記補強面部よりも高いヤング率を有する材料から形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材の前記補強面部は、樹脂材料から形成され、
前記外装パネル材は、軽合金または樹脂材料から形成され、
前記接合中間部は、軽合金から形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記接合中間部は、
前記補強部材における前記補強外周縁部に接合される第1接合面部と、
前記外装パネル材における前記パネル外周縁部に接合される第2接合面部と、
前記第1接合面部と前記第2接合面部とを連結する連結面部と、
が一体形成されてなり、
前記連結面部は、前記外装パネル材の厚み方向において、前記第1接合面部が前記外装パネル材の内面から離間するように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項6】
請求項5に記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材における前記パネル外周縁部と前記接合中間部における前記第2接合面部とは、ヘミング加工により接合されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材の前記補強面部を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材は、互いに隣り合う3つの前記接合部と、これら3つの前記接合部同士を連結する3つの前記連結部とが三角形をなすように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記補強部材の前記補強面部を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、
前記接合部は、六角形の外観形状を有し、
前記連結部は、前記接合部の各々から六方向に向けて放射状に延びるように形成されている、
車両の外装パネル構造。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の車両の外装パネル構造において、
前記外装パネル材は、ドアアウターパネルであり、
前記ドアアウターパネルを前記車両のドア開口を塞ぐように配した場合に、前記ドア開口に重複する領域に前記補強面部が配設され、
該外装パネル構造は、前記外装パネル材を当該外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材を覆うように配設され、前記補強外周縁部で接合されるインナーパネルをさらに備える、
車両の外装パネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外装パネル構造に関し、特に外装パネル材と当該外装パネル材を補強する補強部材との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両においては、継続的に軽量化が求められている。このための一方策として、車両の外装パネル材の薄肉化が図られている。このように外装パネル材の薄肉化を図ることにより、車両の軽量化を図ることはできるが、ユーザーが洗車やワックスがけを行う際に外装パネル材が凹んでしまい外観品質の観点から好ましくない。このような問題に対して、特許文献1に開示の構造を採用することも考えられる。
【0003】
特許文献1には、ドアアウターパネルと、複数の第1補強部材および複数の第2補強部材とを備える外装パネル構造が開示されている。複数の第1補強部材のそれぞれは、車両前後方向に延びる長尺状部材であって、ドアアウターパネルの内面に沿うように湾曲され、ドアアウターパネルの内面に接合されている。複数の第2補強部材のそれぞれは、車両上下方向に延びる長尺状部材であって、ドアアウターパネルの内面に沿うように湾曲され、ドアアウターパネルの内面に接合されている。
【0004】
上記のような第1補強部材および第2補強部材を採用して外装パネル材の補強を行うことができ、洗車時やワックスがけ時などにおける外装パネル材の凹みを抑えることができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/146789号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外装パネル材の凹みを抑制するための補強という観点から、外装パネル材の内面に対しては支持剛性を確保して補強部材を接合する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の構造を採用しようとする場合には、外装パネル材の内面への第1補強部材および第2補強部材の接合により、車両の外観を形成する外装パネル材の外面に凹凸が現れてしまうことで外観品質の低下を招くことが懸念される。即ち、車両(特に、乗用自動車)では、空力特性や外観品質の向上などを図るために複雑な形状をもって外装パネル材の外面が構成されているため、特許文献1に開示の第1補強部材および第2補強部材を外装パネル材の内面の全域に亘って均一に密着させることが困難である。このため、車両の外装パネルにおいて、上記特許文献1に開示の構造を採用しようとした場合には、外装パネル材の一部が第1補強部材および第2補強部材の接合により内側(第1補強部材および第2補強部材の側)に引き込まれるなどして歪んでしまい、車両外観を形成する外装パネル材の外面に凹凸が現れてしまうことになると考えられる。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、外装パネル材に対して支持剛性を確保した状態で補強部材を接合しながら、補強部材の接合に起因した外装パネル材の外面での凹凸の発生を抑え、且つ、ワックスがけ時などにユーザーが外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能な車両の外装パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る車両の外装パネル構造は、外装パネル材と、補強部材とを備える。前記外装パネル材は、車両における外観の一部を構成する外面を有する。前記補強部材は、前記外装パネル材の内面に沿って配設され、前記外装パネル材の厚み方向に入力される押圧力に対して前記外装パネル材を補強する補強面部を有する。
【0010】
本態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材の前記補強面部は、複数の接合部と、連結部とを有する。前記複数の接合部は、前記外装パネル材の内面に沿って互いに離間し、それぞれが前記外装パネル材の内面に接合されている。前記連結部は、前記外装パネル材の内面に沿った状態で延び、隣接する前記接合部同士を連結する。前記補強部材は、前記外装パネル材の内面に沿うように、前記補強面部の外周縁に設けられた補強外周縁部をさらに有する。
【0011】
前記外装パネル材の内面と前記連結部とは、前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて押圧力が未入力か、あるいは入力された前記押圧力が所定値未満である場合には互いに隙間を空けて離間し、前記外装パネル材の外面から当該外装パネル材における厚み方向内側に向けて前記所定値以上の押圧力の入力があった場合には互いに当接する、よう構成されている。
【0012】
本態様に係る車両の外装パネル構造は、前記外装パネル材における内面のパネル外周縁部と前記補強部材における前記補強外周縁部との間に配設され、前記パネル外周縁部と前記補強外周縁部との接合を行う接合中間部をさらに備える。前記接合中間部は、前記補強部材における前記補強面部よりも高い剛性を有するよう形成されている。
【0013】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、定常時(押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である状態)において、補強部材の補強面部における複数の接合部のみが外装パネル材の内面に接合されていて、連結部が外装パネル材の内面に接合されていない。このため、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、正確に外装パネル材の内面形状に合わせて連結部が形成されていなくても、外装パネル材の外面に歪による凹凸を生じさせ難い。
【0014】
しかも、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面に蒸気所定値以上の押圧力が入力された場合において、補強部材の連結部と外装パネル材の内面とが互いに当接する。このため、例えばワックスがけ時や洗車時などにユーザーが外装パネル材の外面から上記所定値以上の押圧力で押圧した場合にも、補強部材の連結部が外装パネル材の内面に当接することにより当該外装パネル材が大きく凹むことが抑制される。よって、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、車両の外観品質の観点から優れる。
【0015】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材のパネル外周縁部と補強部材の補強外周縁部とが間に接合中間部を挟んだ状態で接合され、接合中間部が補強部材の補強面部よりも高い剛性を有するように形成されている。よって、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の外面に歪による凹凸が生じるのを抑制しながら、外装パネル材の内面に対して補強部材を高い支持剛性をもって接合することができる。
【0016】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記接合中間部は、前記外装パネル材および前記補強部材とは別部材であり、前記パネル外周縁部および前記補強外周縁部のそれぞれに対して接合されている、としてもよい。
【0017】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、接合中間部が外装パネル材および補強部材とは別部材として構成されているので、接合中間部を補強部材の補強面部に対して高い剛性を有するように形成するのが容易であり、外装パネル材の内面に対して補強部材を高い支持剛性をもって接合するのに優位である。
【0018】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記接合中間部は、前記補強部材における少なくとも前記補強面部よりも高いヤング率を有する材料から形成されている、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、ヤング率が少なくとも補強面部よりも高い材料を用いて接合中間部を形成することにより、接合中間部の厚みを厚くしなくても外装パネル材の内面に対して補強部材を高い支持剛性をもって接合することができる。
【0020】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材の前記補強面部は、樹脂材料から形成され、前記外装パネル材は、軽合金または樹脂材料から形成され、前記接合中間部は、軽合金から形成されている、としてもよい。
【0021】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材が軽合金または樹脂材料から形成されており、補強部材が樹脂材料から形成されているので、車両の外装パネル構造の軽量化、即ち、車両の軽量化を図るのに優位である。
【0022】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造では、接合中間部が軽合金から形成されているので、外装パネルの内面形状や補強部材の補強外周縁部の形状などに合わせて接合中間部の形状を種々に加工するのに優位である。また、接合中間部を軽合金から形成することで、例えば、鉄鋼材などを用いて形成する場合に比べて軽量化を図るのに優位である。
【0023】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記接合中間部は、第1接合面部と、第2接合面部と、連結面部とが一体形成されていてもよい。前記第1接合面部は、前記補強部材における前記補強外周縁部に接合される。前記第2接合面部は、前記外装パネル材における前記パネル外周縁部に接合される。前記連結面部は、前記第1接合面部と前記第2接合面部とを連結する。
【0024】
また、上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記連結面部は、前記外装パネル材の厚み方向において、前記第1接合面部が前記外装パネル材の内面から離間するように形成されている、としてもよい。
【0025】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の内面から内側に離間した部分で補強部材の補強外周縁部と接合中間部の第1接合面部とが接合されているので、仮に補強外周縁部と第1接合面部との接合に起因する歪が生じても、外装パネル材の外面に影響を及ぼし難く、外装パネル材の外面に凹凸が生じるのを抑制することができる。
【0026】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材における前記パネル外周縁部と前記接合中間部における前記第2接合面部とは、ヘミング加工により接合されている、としてもよい。
【0027】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材のパネル外周縁部と接合中間部の第2接合面部とが従来から車両の製造において採用されているヘミング加工により接合されているので、特殊な加工方法を用いて接合する場合に比べて製造コストの上昇を抑えることができる。
【0028】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材の前記補強面部を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材は、互いに隣り合う3つの前記接合部と、これら3つの前記接合部同士を連結する3つの前記連結部とが三角形をなすように形成されている、としてもよい。
【0029】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、互いに隣り合う3つの接合部とこれらを連結する3つの連結部とが三角形をなすように連結されているので、簡易な構成を採用しながら、外装パネル材の内面に沿った方向での補強面部の変形などを抑制することができる。よって、ワックスがけ時などに外装パネル材に対して押圧力が入力された場合に補強部材の補強面部による補強により外装パネル材の歪による凹凸の発生を抑制するのに優位である。
【0030】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記補強部材の前記補強面部を前記外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記接合部は、六角形の外観形状を有し、前記連結部は、前記接合部の各々から六方向に向けて放射状に延びるように形成されている、としてもよい。
【0031】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、補強部材の補強面部における連結部が接合部から六方向に向けて放射状に延びるように形成されているので、ワックスがけ時などに外装パネル材から連結部に対して入力された押圧力を接合部から当該接合部に連結された他の連結部へと均等に分散させることができる。
【0032】
上記態様に係る車両の外装パネル構造において、前記外装パネル材は、ドアアウターパネルであり、前記ドアアウターパネルを前記車両のドア開口を塞ぐように配した場合に、前記ドア開口に重複する領域に前記補強面部が配設され、該外装パネル構造は、前記外装パネル材を当該外装パネル材の厚み方向から平面視する場合に、前記補強部材を覆うように配設され、前記補強外周縁部で接合されるインナーパネルをさらに備える、としてもよい。
【0033】
上記態様に係る車両の外装パネル構造では、外装パネル材の具体例としてドアアウターパネルを採用し、ドアの内側において補強部材を覆い隠すようにインナーパネルが接合されるので、ドアを閉めた状態では車室内側から補強部材が見えることはなく美観の観点から優れる。
【発明の効果】
【0034】
上記の各態様に係る外装パネル構造では、外装パネル材に対して支持剛性を確保した状態で補強部材を接合しながら、補強部材の接合に起因した外装パネル材の外面での凹凸の発生を抑え、且つ、ワックスがけ時などにユーザーが外装パネル材を押圧した場合にも外装パネル材の凹みを小さく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態に係るドアを外側から見た斜視図である。
図2】ドアを内側から見た平面図である。
図3】ドアアウターパネルを内側から見た平面図である。
図4】補強部材の構成を示す斜視図である。
図5図4のA部を拡大して示す斜視図であって、(a)は外側から見た図、(b)は内側から見た図である。
図6図5(a)のVI-VI線断面を示す断面図である。
図7図5(a)のVII-VII線断面を示す断面図である。
図8】ドアアウターパネルと補強部材の連結部とを示す断面図であって、(a)はドアアウターパネルに対して連結部の接触部が非接触の状態、(b)はドアアウターパネルに対して連結部の接触部が接触した状態を示す。
図9図2のIX-IX線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0037】
1.ドア1の構成
本発明の実施形態では、車両の外装パネル構造をドア1に適用した構成を一例とする。なお、図示を省略するが、ドア1は、当該ドア1を閉めた状態で車体のドア開口を閉塞する。また、以下の説明で用いる図において、ドア1の車室内側に設けられるドアインナーパネルの図示を省略する。
【0038】
ドア1の構成について、図1から図3を用いて説明する。なお、図1では、一構成要素であるドアアウターパネル(外装パネル材)10の一部を省略して図示している。
【0039】
図1および図2に示すように、ドア1は、ドアアウターパネル(外装パネル材)10と、補強部材11と、ドアインパクトバー12と、ブラケット(接合中間部)13とを備える。ドアアウターパネル10は、車両における外観の一部を構成する外面10aを有する。本実施形態では、ドアアウターパネル10は軽合金(一例としてアルミニウム合金)から形成されている。なお、ドアアウターパネル10の構成材料については、樹脂材料を採用することも可能である。
【0040】
補強部材11は、枠状の補強外周縁部11aと、当該補強外周縁部11aの内側に設けられた補強面部11bとが一体形成されている。補強部材11の補強面部11bは、当該補強面部をドアアウターパネル10の厚み方向から平面視する場合に、略網目状に形成されている。図2に示すように、補強部材11の補強面部11bは、ドアハンドルが配設される部分を除き、ドアアウターパネル10の内面10bの全体に亘り沿うように形成されている。本実施形態では、補強部材11は、樹脂材料から形成されている。
【0041】
図1および図2に示すように、ドアインパクトバー12は、長尺状の部材であって、車両前後方向におけるドア1の前端部と後端部とを結ぶように形成されている。詳細な図示を省略するが、ドアインパクトバー12は、角筒形状の部材であって、一例として金属材料から形成されている。そして、ドアインパクトバー12は、補強部材11の補強面部11bを間に挟んでドアアウターパネル10の内面10bに沿うように配設されている。
【0042】
図3に示すように、ブラケット13は、枠状の部材であって、ドアアウターパネル10における内面10bのパネル外周縁部10cに接合されている。ブラケット13における第1接合面部(ドアアウターパネル10の内面10bから離間した面)13aには、図3では図示を省略する補強部材11が補強外周縁部11aで固定される。
【0043】
なお、本実施形態において、ブラケット13は、補強部材11の補強面部11bよりも高いヤング率を有する材料から形成されており、これにより補強部材11の補強面部11bよりも高い剛性を有する。本実施形態において、ブラケット13の構成材料としては、例えば軽合金(一例としてアルミニウム合金)が採用されている。ただし、ブラケット13の構成材料については、樹脂材料を採用することも可能である。この場合には、ブラケット13の厚みを補強部材11の補強面部11bの厚みよりも厚くすることで、補強部材11の補強面部11bよりも高い剛性を有するよう形成することが必要となる。
【0044】
また、本実施形態では、ブラケット13をドアアウターパネル10および補強部材11とは別部材として形成することとしているが、ブラケット13をドアアウターパネル10の一部として一体形成することや、逆に、ブラケット13を補強部材11の一部として一体形成することも可能である。
【0045】
2.補強部材11の詳細構造
補強部材11の詳細構造について、図4および図5を用いて説明する。
【0046】
上述のように、補強部材11は、略網目状に形成された補強面部11bと、当該補強面部11bの周囲を囲むように形成された補強外周縁部11aとを有する。そして、補強部材11においては、補強外周縁部11aと補強面部11bとが一体形成されている。
【0047】
図4に示すように、補強部材11の補強面部11bは、複数の接合部110と複数の連結部111とを有する。複数の接合部110と複数の連結部111とは、一体形成されている。図5(a)に示すように、接合部110は、ドアアウターパネル10の内面10bに接合される接合面110aを有する。接合部110の接合面110aとドアアウターパネル10の内面10bとの接合は、一例として接着によりなされる。図5(a)、(b)に示すように、接合部110は、平面視において略六角形の外観形状を有する。
【0048】
図4に戻って、連結部111は、隣接する接合部110同士を連結している。本実施形態では、隣接する3つの接合部110とこれらを連結する3つの連結部111とで三角形の平面形状をなすように、複数の接合部110と複数の連結部111とが配設されている。接合部110からは、六方向に向けて放射状に延びるように、6つの連結部111が連結されている。
【0049】
図5(a)に示すように、各連結部111は、ドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる長尺状の基部111aと、基部111aからドアアウターパネル10の内面10bに向けて突出し、基部111aと同様にドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる突出部111bとを有する。また、図5(b)に示すように、各連結部111は、基部111aからドアアウターパネル10の内面10bとは反対側に向けて突出し、基部111aと同様にドアアウターパネル10の内面10bに沿うように延びる突出部111cも有する。各連結部111において、基部111aと突出部111b,111cとは一体形成されている。
【0050】
図5(a)、(b)に示すように、連結部111における突出部111b,111cは、接合部110から放射状に延びるように形成されている。なお、図5(b)に示すように、突出部111cは、接合部110におけるドアアウターパネル10の内面10bとは反対側となる背面110bにおいて、当該接合部110に接続される6つの連結部111の突出部111c同士が接続されている。
【0051】
なお、図4に示すように、本実施形態では、隣り合う接合部110同士の間隔Pが50mm~150mmの範囲内で設定されている。これは、車両の洗車時やワックスがけ時を考慮したものであって、ユーザーの掌のサイズを想定して設定された数値範囲である。
【0052】
3.ドアアウターパネル10に対する接合部110および連結部111の配置
ドアアウターパネル10に対する接合部110および連結部111の配置について、図6および図7を用いて説明する。
【0053】
上述のように、本実施形態では、連結部111が基部111aと突出部111b,111cとを有する。このため、図6に示すように、連結部111は、横断面において十字断面形状を有する。連結部111の横幅(基部111aの幅)はW1であり、突出部111b,111cの横幅はW2である。また、突出部111bの端部(接触部111d)から突出部111cの端部までの高さはH1であり、基部111aの高さ(厚み)はH2である。W1は5mm~7mm(一例として6mm)であり、W2は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。また、H1は4mm~5mm(一例として4.5mm)であり、H2は1mm~2mm(一例として1.5mm)である。
【0054】
図6に示すように、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10の外側から押圧力が入力されていない状態において、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとの間に隙間G1が空いている。隙間G1は、ドアアウターパネル10の板厚T1に対して5倍以下に設定されている。具体的に、隙間G1は、0mmを超え3.0mm以下の範囲内で設定されている。なお、隙間G1については、押圧力が入力された場合のドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えるという観点から、ドアアウターパネル10の板厚T1に対して2倍以下に設定することがより望ましい。
【0055】
図7に示すように、接合部110は、ドアアウターパネル10の内面10bに対して接合面110aが接合されている。ドアアウターパネル10の内面10bに対する接合面110aの接合は、接着部112によりなされている。接着部112は、接着剤の固化により形成されており、ドアアウターパネル10の内面1bとの接着面112aと接合部110との接着面112b,112cとを有する。なお、接合部110は、ドアアウターパネル10への外方からの押圧力の有無にかかわらずドアアウターパネル10の内面10bに接合されている。
【0056】
なお、上述のように、接合部110における背面(接合面110aとは反対側の面)110bには、接続される連結部111の突出部111cが延伸形成されている。接合部110の背面110bにおいては、複数の突出部111cが集合し、円筒形状に形成されている。なお、接合部110の背面110bにおいて、接合部110と連結部111の突出部111cとは一体形成されている。
【0057】
4.押圧力の有無によるドアアウターパネル10と連結部111との状態変化
ユーザーにより洗車時やワックスがけ時などにドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合と、ドアアウターパネル10に対して押圧力が入力されていない(押圧力が未入力の場合)か、入力された押圧力が所定値未満である場合とのそれぞれで、ドアアウターパネル10と連結部111との状態変化について図8を用いて説明する。
【0058】
先ず、ドアアウターパネル10に対して外方から押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合について、図8(a)を用いて説明する。図8(a)に示すように、ドアアウターパネル10に対して外方から押圧力が入力されていないか、入力された押圧力が所定値未満である場合には、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとが隙間G1を空けて離間した状態にある(離間状態)。
【0059】
次に、ドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合について、図8(b)を用いて説明する。なお、本実施形態における「所定値以上の押圧力」とは、洗車時やワックスがけ時などにおいて、ユーザーが掌でドアアウターパネル10を押圧した場合などの押圧力を指す。具体的に、上記における「所定値」としては、例えば、100N以下の値を採用することができる。
【0060】
図8(b)に示すように、ドアアウターパネル10に対して外方から所定値以上の押圧力が入力された場合には(矢印B)、ドアアウターパネル10が内側に向けて凹む。これにより、ドアアウターパネル10の内面10bと連結部111の接触部111dとは、当接する(当接状態)。なお、ドアアウターパネル10の凹み量については、隙間G1の分と連結部111の撓み分とを足し合わせた量である。
【0061】
押圧力の入力が無くなった場合には、ドアアウターパネル10および連結部111の弾性復元力により、図8(a)で示す状態へと戻る。
【0062】
5.ドアアウターパネル10と補強部材11との接合構造
上述のように、補強部材11は、補強面部11bに複数の接合部110を有し、複数の接合部110がドアアウターパネル10の内面10bに接合されているが、複数の接合部110とドアアウターパネル10の内面10bとの接合のみで支持剛性を確保した状態でドアアウターパネル10に接合がなされているのではない。ドアアウターパネル10と補強部材11との間での支持剛性を確保した接合構造について、図9を用いて説明する。
【0063】
図9に示すように、補強部材11は、当該補強部材11の補強外周縁部11aがドアアウターパネル10の外周縁を構成するパネル外周縁部10cに接合されることにより、支持剛性を確保した状態でドアアウターパネル10に接合されている。補強部材11とドアアウターパネル10とは、間にブラケット(接合中間部)13が介在した状態で接合されている。
【0064】
ブラケット13は、第1接合面部13aと、第2接合面部13bと、連結面部13cとが一体形成されてなる構造を有し、図9に示す断面において、全体としてクランク状の断面形状を有する。第1接合面部13aは、補強部材11における補強外周縁部11aに沿う平面部である。第2接合面部13bは、ドアアウターパネル10の内面10bに沿う平面部である。連結面部13cは、第1接合面部13aと第2接合面部13bとに接続されているとともに、第1接続面部13aがドアアウターパネル10の内面10bから離間するように、ドアアウターパネル10の内面10bに対して交差する方向に延びるよう形成されている。
【0065】
ブラケット13の第1接合面部13aと補強部材11の補強外周縁部11aとは、ボルトBLTとナットNTとの締結(機械締結)により接合されている。ただし、補強部材13の第1接合面部13aと補強部材11の補強外周縁部11aとの接合方法については、これに限定を受けるものではなく、例えば、リベットを用いた締結での接合や、接着剤を用いた接合などとすることもできる。
【0066】
一方、ブラケット13の第2接合面部13bとドアアウターパネル10のパネル外周縁部10cとは、ヘミング加工により接合されている。図9の拡大部分に示すように、ドアアウターパネル10のパネル外周縁部10cは、ブラケット13における第2接合面部13bの端縁部13dを包み込むようにパネル外周縁部10cが折り曲げ加工され、これによりブラケット13の第2接合面部13bとドアアウターパネル10のパネル外周縁部10cとの接合がなされている。
【0067】
なお、本実施形態では、ブラケット13を間に介在させてドアアウターパネル10と補強部材11とを接合しているために、当該接合による歪がドアアウターパネル10の外面10aに対して影響を及ぼし難い。よって、ドアアウターパネル10に対して支持剛性を確保した状態で補強部材11を接合しながら、当該接合に起因する凹凸がドアアウターパネル10の外面10aに現れるのを抑制することができる。
【0068】
なお、図示を省略しているが、ドア1においては、ブラケット13を挟んでドアアウターパネル10に接合された補強部材11を内側から覆い隠すようにインナーパネルが接合されている。これにより、ドア1を閉めた状態では、車室内側から補強部材11が見えることはないようになっている。
【0069】
6.効果
本実施形態に係るドア(外装パネル構造)1では、補強部材11の補強面部11bにおける複数の接合部110がドアアウターパネル10の内面10bに沿った方向に互いに離間した状態で当該ドアアウターパネル10の内面10bに接合され、連結部111は接合されていない。このため、ドア1では、正確にドアアウターパネル10の内面10bの形状に合わせて連結部111が形成されていなくても、ドアアウターパネル10の外面10aに歪による凹凸を生じさせ難い。
【0070】
しかも、ドア1では、補強部材11における補強面部11bの連結部110とドアアウターパネル10の内面10bとが、所定値以上の押圧力の入力があった場合に互いに当接する。このため、例えばワックスがけ時や洗車時などにユーザーがドアアウターパネル10の外面10aから所定値以上の押圧力で押圧した場合にも、補強部材11における補強面部11bの連結部111がドアアウターパネル10の内面10bに当接することにより当該ドアアウターパネル10が大きく凹むことが抑制される。よって、本実施形態に係るドア1では、車両の外観品質の観点から優れる。
【0071】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10のパネル外周縁部10cと補強部材11の補強外周縁部11aとが間にブラケット(接合中間部)13が介在した状態で接合され、ブラケット13が補強部材11の補強面部11bよりも高い剛性を有するように形成されている。よって、ドア1では、ドアアウターパネル10の外面10aに歪による凹凸が生じるのを抑制しながら、ドアアウターパネル10の内面10bに対して補強部材11を高い支持剛性をもって接合することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るドア1では、ブラケット13がドアアウターパネル10および補強部材11とは別部材として構成されているので、ブラケット13を補強部材11の補強面部11bに対して高い剛性を有するように形成するのが容易であり、ドアアウターパネル10の内面10bに対して補強部材11を高い支持剛性をもって接合するのに優位である。
【0073】
また、本実施形態に係るドア1では、ヤング率が少なくとも補強面部11bよりも高い材料(本実施形態では、一例としてアルミニウム合金などの軽合金)を用いてブラケット13を形成することにより、ブラケット13の厚みを厚くしなくてもドアアウターパネル10の内面10bに対して補強部材11を高い支持剛性をもって接合することができる。
【0074】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10がアルミニウム合金などの軽合金から形成されており、補強部材11が樹脂材料から形成されているので、ドア1の軽量化、即ち、車両の軽量化を図るのに優位である。なお、ドアアウターパネル10を一例とする外装パネル材については、樹脂材料から形成することもできる。
【0075】
また、ドア1では、ブラケット13がアルミニウム合金などの軽合金から形成されているので、ドアアウターパネル10の内面10bの形状や補強部材11の補強外周縁部11aの形状などに合わせてブラケット13の形状を種々に加工するのに優位である。また、ブラケット13を軽合金から形成することで、例えば、鉄鋼材などを用いて形成する場合に比べて軽量化を図るのに優位である。
【0076】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10の内面10bから内側(車室内側)に離間した部分で補強部材11の補強外周縁部11aとブラケット13の第1接合面部13aとが接合されているので、仮に補強外周縁部11aと第1接合面部13aとの接合に起因する歪が生じても、ドアアウターパネル10の外面10aに影響を及ぼし難く、ドアアウターパネル10の外面10aに凹凸が生じるのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態に係るドア1では、ドアアウターパネル10のパネル外周縁部10cとブラケット13の第2接合面部13bとが従来から車両の製造において採用されているヘミング加工により接合されているので、特殊な加工方法を用いて接合する場合に比べて製造コストの上昇を抑えることができる。
【0078】
また、本実施形態に係るドア1では、互いに隣り合う3つの接合部110とこれらを連結する3つの連結部111とが三角形をなすように連結されているので、簡易な構成を採用しながら、ドアアウターパネル10の内面10bに沿った方向での補強面部11bの変形などを抑制することができる。よって、ワックスがけ時などにドアアウターパネル10に対して所定値以上の押圧力が入力された場合に補強部材11の補強面部11bによる補強によりドアアウターパネル10の歪による凹凸の発生を抑制するのに優位である。
【0079】
また、本実施形態に係るドア1では、補強部材11の補強面部11bにおける連結部111が接合部110から六方向に向けて放射状に延びるように形成されているので、ワックスがけ時などにドアアウターパネル10から連結部111に対して入力された押圧力を接合部110から当該接合部110に連結された他の連結部111へと均等に分散させることができる。
【0080】
また、本実施形態に係るドア1では、図示を省略したインナーパネルがドア1の内側において補強部材11を覆い隠すように接合されるので、ドア1を閉めた状態では車室内側から補強部材11が見えることはなく美観の観点から優れる。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るドア(外装パネル構造)1では、ブラケット13を介在させてドアアウターパネル10に対して補強部材11を接合することにより、ドアアウターパネル10と補強部材11とを支持剛性を確保して接合しながら、補強部材11の接合に起因したドアアウターパネル10の外面10aでの凹凸の発生を抑え、且つ、ワックスがけ時などにユーザーがドアアウターパネル10を外方から所定値以上の押圧力で押圧した場合にもドアアウターパネル10の凹みを小さく抑えることが可能である。
【0082】
[変形例]
上記実施形態では、補強部材11において、補強外周縁部11aと補強面部11bとが一体形成されてなることとしたが、本発明は、補強外周縁部と補強面部とが必ずしも一体形成されている必要はない。ドアアウターパネルに対して支持剛性を確保した状態で補強部材を接合できれば、補強外周縁部と補強面部とを別部材として構成することも可能である。
【0083】
上記実施形態では、接合中間部の一例として、ドアアウターパネル10および補強部材11とは別部材のブラケット13を採用したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ドアアウターパネルのパネル外周縁部を延長した上で内側に折返すること接合中間部とすることも可能である。あるいは、補強部材における補強外周縁部を延長するとともに、補強面部よりも厚みを厚くすることで高い剛性を有する部分を構成して接合中間部とすることも可能である。
【0084】
上記実施形態では、ドアアウターパネル10とブラケット13とをヘミング加工により接合し、ブラケット13と補強部材11とをボルトBLTとナットNTとの締結により接合することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ドアアウターパネルとブラケットとの接合を溶接やロウ付けなどを採用することもできるし、リベットによる接合を行うこともできる。また、ブラケットと補強部材との接合についても、接着剤による接合やリベットによる接合を行うこともできる。
【0085】
上記実施形態では、アルミニウム合金などの軽合金から形成されたブラケット13を採用することとしたが、ブラケットを構成する材料については、これに限定を受けるものではない。例えば、樹脂材料からブラケットを形成することとしてもよい。特に、支持剛性を確保した状態でドアアウターパネルに補強部材を接合するという観点から、ブラケットを樹脂材料から形成する場合には、繊維強化樹脂(GFRP、CFRP、BFRP、AFRP、KFRP、ZFRPなど)を採用することが好ましい。
【0086】
上記実施形態では、補強部材11の補強面部11bが平面視で略網目状をした形態を一例としたが、本発明は、必ずしも補強部材の補強面部が平面視で略網目状である必要はない。例えば、複数の接合部と複数の連結部とにより線状をなす形態を採用することもできる。また、複数の接合部の配置形態については、必ずしも等間隔に分散配置されている必要はなく、予め予想される外装パネル材への押圧力の強さに応じて領域ごとに密度を変えて配置することも可能である。
【0087】
上記実施形態では、補強部材11における補強面部11bの連結部111が十字断面形状を有することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、円形断面形状を有する連結部や、円環断面形状を有する連結部、さらには多角形断面形状を有する連結部などを採用することも可能である。
【0088】
上記実施形態では、補強部材11における補強面部11bの接合部110が平面視で六角形状を有することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、四角形や八角形、あるいは円形や楕円形の平面形状を有する接合部を採用することも可能である。
【0089】
上記実施形態では、補強部材11の補強面部11bにおいて、1つの接合部110に対して6つの連結部111が接続されてなる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。外装パネル材に対して外方から押圧力が入力された場合の荷重分散を考慮して、1つの接合部に対して2つ以上の連結部が接続されていればよい。
【0090】
上記実施形態では、外装パネル材の一例としてドアアウターパネル10を採用したドア1に本発明の「車両の外装パネル構造」を適用したが、本発明は、ドア1以外にも、車両のルーフやフェンダー、さらにはボンネットなど種々の場所に適用が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 ドア(車両の外装パネル構造)
10 ドアアウターパネル(外装パネル材)
10a 外面
10b 内面
10c パネル外周縁部
11 補強部材
11a 補強外周縁部
11b 補強面部
13 ブラケット(接合中間部)
13d 端縁部
110 接合部
111 連結部
111a 基部
111b 突出部
111d 接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9