(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053484
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20230406BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230406BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230406BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20230406BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
H01L29/80 U
H01L29/80 H
H01L21/28 301B
H01L29/44 L
H01L29/50 J
H01L21/288 E
H01L21/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162544
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 翔平
(72)【発明者】
【氏名】河西 亮
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB36
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD08
4M104DD52
4M104DD53
4M104DD72
4M104DD94
4M104FF02
4M104FF13
4M104FF17
4M104GG12
4M104HH20
5F102GB01
5F102GB02
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GS02
5F102GS04
5F102GT01
5F102GV06
5F102GV08
5F102HB01
5F102HB07
5F102HB09
5F102HC01
5F102HC16
5F102HC24
(57)【要約】
【課題】良好な生産性を確保しながら、エッチングストッパの腐食を防止できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板の上面に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上面にエッチングストッパを形成する工程と、前記基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、前記開口部を通じて、前記基板及び前記半導体層に前記基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、を有する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の上面にエッチングストッパを形成する工程と、
前記基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、
前記開口部を通じて、前記基板及び前記半導体層に前記基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチングストッパと同時にゲート電極を形成する工程を有する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチングストッパ及び前記ゲート電極を形成する工程は、前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜を形成する工程を有する請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1金属膜はNi膜である請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属膜の上面にPd膜を形成する工程と、
前記Pd膜の上面にAu膜を形成する工程と、
を有する請求項3又は請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板は、SiC基板であり、
前記半導体層は、窒化物半導体層である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記めっき膜を除去する工程の後、前記シード膜を除去する工程を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記シード膜を除去する工程の後、前記エッチングストッパの下面と、前記貫通孔の内壁面と、前記基板の下面とに導電膜を形成する工程を有する請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
SiC基板の上面に窒化物半導体層を形成する工程と、
前記窒化物半導体層の上面に、前記窒化物半導体層にショットキー接触するNi膜を含むゲート電極及びエッチングストッパを同時に形成する工程と、
前記SiC基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、
前記開口部を通じて、前記SiC基板及び前記窒化物半導体層に、前記SiC基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、
前記めっき膜を除去する工程の後、前記シード膜を除去する工程と、
前記シード膜を除去する工程の後、前記エッチングストッパの下面と、前記貫通孔の内壁面と、前記SiC基板の下面とに導電膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に半導体層が形成され、半導体層の上に金属製のエッチングストッパが形成され、基板及び半導体層にエッチングストッパに達する貫通孔が形成され、基板の下面に貫通孔を通じてエッチングストッパに接続された裏面電極が形成された半導体装置が知られている。このような半導体装置を製造する場合、基板の下面に金属マスクを形成して基板のエッチングを行うことで、貫通孔を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第01/07687号
【特許文献2】特開2019-145546号公報
【特許文献3】特開2020-17647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体層の上にはエッチングストッパの他に電極が形成される。エッチングストッパを電極と同時に同じ材料を用いて形成すると、金属マスクを除去する際にエッチングストッパが腐食されやすい。エッチングストッパは、半導体層に形成されるトランジスタ等の半導体素子に接続されるため、エッチングストッパが腐食されると、半導体素子の特性に影響が及ぶおそれがある。
【0005】
エッチングを基板と半導体層との界面の近傍で一旦停止して金属膜を除去し、その後に、貫通孔をエッチングストッパに到達させることで、エッチングストッパの腐食を防止することは可能である。しかしながら、基板のエッチングレートを低く制御しなければ、エッチングを基板と半導体層との界面の近傍で停止することは困難であり、基板のエッチングレートを低くした場合には、エッチングにかかる時間が長くなる。また、電極とは異なる材料を用いてエッチングストッパを形成することで、エッチングストッパの腐食を防止することは可能である。しかしながら、この場合には、エッチングストッパを形成するための工程が必要となり、生産性が低下する。
【0006】
本開示は、良好な生産性を確保しながら、エッチングストッパの腐食を防止できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の半導体装置の製造方法は、基板の上面に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上面にエッチングストッパを形成する工程と、前記基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、前記開口部を通じて、前記基板及び前記半導体層に前記基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、良好な生産性を確保しながら、エッチングストッパの腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その11)である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その12)である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その13)である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その14)である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その15)である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その16)である。
【
図17】
図17は、アノード反応を生じさせる構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法は、基板の上面に半導体層を形成する工程と、前記半導体層の上面にエッチングストッパを形成する工程と、前記基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、前記開口部を通じて、前記基板及び前記半導体層に前記基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、を有する。
【0012】
めっき膜を電解液中でのアノード反応により除去するため、めっき膜の除去の際のエッチングストッパの腐食を防止できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記エッチングストッパと同時にゲート電極を形成する工程を有してもよい。エッチングストッパをゲート電極と同時に形成することで、別々に形成する場合と比較して高い生産性が得られる。
【0014】
〔3〕 〔2〕において、前記エッチングストッパ及び前記ゲート電極を形成する工程は、前記半導体層にショットキー接触する第1金属膜を形成する工程を有してもよい。この場合、良好なゲート制御性を得やすい。
【0015】
〔4〕 〔3〕において、前記第1金属膜はNi膜であってもよい。Niは、仕事関数が大きくショットキー障壁を形成しやすい材料である。
【0016】
〔5〕 〔3〕又は〔4〕において、前記第1金属膜の上面にPd膜を形成する工程と、前記Pd膜の上面にAu膜を形成する工程と、を有してもよい。この場合、低抵抗の配線を構成しやすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記基板は、SiC基板であり、前記半導体層は、窒化物半導体層であってもよい。この場合、高耐圧で高速動作が可能な高電子移動度トランジスタを構成しやすい。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記めっき膜を除去する工程の後、前記シード膜を除去する工程を有してもよい。シード膜は、例えばドライエッチングにより除去でき、シード膜の除去の際にもエッチングストッパの腐食を防止できる。
【0019】
〔8〕 〔7〕において、前記シード膜を除去する工程の後、前記エッチングストッパの下面と、前記貫通孔の内壁面と、前記基板の下面とに導電膜を形成する工程を有してもよい。この場合、導電膜を裏面電極として使用でき、また、導電膜を通じて放熱することができる。
【0020】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、SiC基板の上面に窒化物半導体層を形成する工程と、前記窒化物半導体層の上面に、前記窒化物半導体層にショットキー接触するNi膜を含むゲート電極及びエッチングストッパを同時に形成する工程と、前記SiC基板の下面に、シード膜及びめっき膜を含み、平面視で前記エッチングストッパの内側に開口部を備えた金属マスクを形成する工程と、前記開口部を通じて、前記SiC基板及び前記窒化物半導体層に、前記SiC基板の前記下面から前記エッチングストッパに達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程の後、電解液中でのアノード反応により前記めっき膜を除去する工程と、前記めっき膜を除去する工程の後、前記シード膜を除去する工程と、前記シード膜を除去する工程の後、前記エッチングストッパの下面と、前記貫通孔の内壁面と、前記SiC基板の下面とに導電膜を形成する工程と、を有する。
【0021】
めっき膜を電解液中でのアノード反応により除去するため、めっき膜の除去の際のエッチングストッパの腐食を防止できる。また、高耐圧で高速動作が可能な高電子移動度トランジスタを構成しやすい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0023】
本開示の実施形態はGaN系高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT)を含む半導体装置の製造方法に関する。
図1~
図16は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0024】
本実施形態では、まず、
図1に示すように、例えば有機金属気相成長(metal organic chemical vapor deposition:MOCVD)法により、基板1の上面にGaを含む窒化物半導体層10を形成する。窒化物半導体層10は、例えば、チャネル層及びバリア層を含む。基板1は、例えばGaN系半導体の成長用基板であり、一例では半絶縁性のSiC基板である。例えば、チャネル層はGaN層であり、バリア層はAlGaN層である。窒化物半導体層10は半導体層の一例である。例えば、基板1の厚さを100μm程度とし、窒化物半導体層10の厚さを0.4μm程度とする。
【0025】
次に、
図2に示すように、ソース用の開口部21Sと、ドレイン用の開口部21Dと、ゲート用の開口部21Gとを備えた第1絶縁膜21を、窒化物半導体層10の上面に形成する。第1絶縁膜21は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。
【0026】
次に、
図3に示すように、開口部21Sの内側にソース電極31を形成し、開口部21Dの内側にドレイン電極32を形成する。ソース電極31及びドレイン電極32の形成では、まず、ソース電極31及びドレイン電極32を構成する複数の金属層を蒸着し、例えばTa層を蒸着した後にAl層を蒸着して積層構造を形成する。その後、この積層構造を熱処理して合金化(アロイ)を行う。ソース電極31は、窒化物半導体層10が露出する開口部31Sを備えるように形成する。
【0027】
次に、
図4に示すように、ソース用の開口部22Sと、ゲート用の開口部22Gとを備えた第2絶縁膜22を、ソース電極及びドレイン電極32を覆うように、第1絶縁膜21及び窒化物半導体層10の上面に形成する。第2絶縁膜22は、例えばSiN膜である。
【0028】
次に、
図5に示すように、開口部22G及び開口部21Gを通じて窒化物半導体層10にショットキー接触するゲート電極33を形成すると共に、開口部31Sの内側において、窒化物半導体層10の上面にエッチングストッパ30を形成する。
図6に示すように、ゲート電極33及びエッチングストッパ30の形成は、窒化物半導体層10の上面にNi膜71を形成し、Ni膜71の上面にPd膜72を形成し、Pd膜72の上面にAu膜73を形成する。つまり、エッチングストッパ30及びゲート電極33を、同じ材料を用いて同時に形成する。Ni膜71は、GaN系HEMTのゲート電極33において良好なショットキー障壁を形成するために好ましい。Au膜73は、電気抵抗の低減のために好ましい。Pd膜72は、Ni膜71とAu膜73との間の相互拡散の抑制のために好ましい。例えば、Ni膜71の厚さを60nm程度とし、Pd膜72の厚さを40nm程度とし、Au膜73の厚さを350nm程度とする。
【0029】
次に、
図7に示すように、第2絶縁膜22、エッチングストッパ30及び窒化物半導体層10を覆う第3絶縁膜41を形成し、エッチングストッパ30に達する開口部41Aを第3絶縁膜41に形成し、エッチングストッパ30に接触する配線42を開口部41A内に形成する。配線42は、例えばソース電極31に電気的に接続される。配線42の形成と同時に、ドレイン電極32に電気的に接続される配線(図示せず)と、ゲート電極33に電気的に接続される配線(図示せず)とを形成してもよい。
【0030】
次に、
図8に示すように、基板1の下面の上にシード膜51を形成する。シード膜51は、後にドライエッチングにより除去される。このため、シード膜51の材料は、エッチングガスと反応して生成する物質の沸点が低い材料であることが好ましい。シード膜51の材料としては、Ti、Nb、Ta及びWが挙げられる。
【0031】
次に、
図9に示すように、貫通孔を形成する予定の領域を覆うマスク61をシード膜51の下面に形成する。マスク61は、例えばフォトレジストマスクである。
【0032】
次に、
図10に示すように、シード膜51の下面でマスク61から露出した部分の上にめっき膜52を形成する。めっき膜52の材料としては、Ni、Ni合金、Zn、Zn合金、Cu、Cu合金、Pt及びPt合金が挙げられる。
【0033】
次に、
図11に示すように、マスク61を除去する。更に、シード膜51のめっき膜52から露出する部分を除去する。この結果、シード膜51及びめっき膜52を含み、貫通孔を形成する予定の領域に開口部50Aを備えた金属マスク50が基板1の下面に形成される。
【0034】
次に、
図12に示すように、金属マスク50を用いて、基板1及び窒化物半導体層10のドライエッチングを行うことにより、エッチングストッパ30に達する貫通孔62を基板1及び窒化物半導体層10に形成する。このドライエッチングでは、例えば、SF
6及びO
2の混合ガスを用い、SF
6の流量を65sccmとし、O
2の流量を130sccmとし、処理チャンバ内の圧力を0.5Paとし、バイアスパワーを400Wとする。このドライエッチングは、例えば時間制御により停止する。例えば、
図13に示すように、貫通孔62はAu膜73の厚さ方向の途中まで達していてもよい。貫通孔62がNi膜71又はPd膜72の厚さ方向の途中まで達していてもよい。
【0035】
次に、
図14に示すように、めっき膜52を除去する。めっき膜52は、電解液中でのアノード反応により除去する。ここで、めっき膜52を除去する方法について説明する。
図17は、アノード反応を生じさせる電気化学反応装置の一例を示す図である。
【0036】
図17に示す電気化学反応装置200の一例では、処理層91内に電解液92が入れられ、電解液92中に陽極94及び陰極95が挿入されている。陽極94は金属製である。陽極94は直流電源93の正極に接続され、陰極95は直流電源93の負極に接続される。この例では、金属製の陽極94から金属の陽イオン96が溶け出し、電解液92中の陽イオン96が金属として陰極95の表面に析出する。従って、陽極94にめっき膜52を用いることで、めっき膜52を溶解させて除去できる。このようなアノード反応は、逆めっきとよばれることがある。電解液92の成分は、めっき膜52の材料に応じて決定する。
【0037】
次に、
図15に示すように、シード膜51を除去する。シード膜51は、例えばCF
4を用いたドライエッチングにより除去できる。電解液中でのアノード反応によりめっき膜52を除去する際に、シード膜51も合わせて除去しても良い。
【0038】
次に、
図16に示すように、エッチングストッパ30の下面と、貫通孔62の内壁面と、基板1の下面とに導電膜63を形成する。導電膜63は、例えば半導体装置100の裏面電極として用いられる。導電膜63は、例えば図示されていない配線層を設け、金属製のエッチングストッパ30を介して電気的にソース電極31に接続される。導電膜63を接地することで、ソース電極31に接地電位が印加される。導電膜63は、例えばAu膜を含む。導電膜63の形成では、シード膜の形成及びめっき膜の形成を行ってもよい。
【0039】
このようにして半導体装置100を製造できる。
【0040】
この製造方法では、めっき膜52を電解液中でのアノード反応により除去するため、めっき膜52の除去の際のエッチングストッパ30の腐食を防止できる。
【0041】
なお、貫通孔62を形成した後に、酸性溶液を用いてめっき膜52を除去する場合には、貫通孔62に露出するNi膜71が腐食されてしまう。
【0042】
基板1と窒化物半導体層10との界面の近傍でエッチングを一旦停止し、めっき膜52を除去し、その後に、貫通孔62をエッチングストッパ30に到達させることも考えられる。この場合、基板1のエッチングレートを低く制御しなければ、エッチングを基板1と窒化物半導体層10との界面の近傍で停止することは困難である。そして、基板1のエッチングレートを低くした場合には、エッチングにかかる時間が長くなる。
【0043】
また、ゲート電極33とは異なる材料を用いてエッチングストッパ30を形成することで、エッチングストッパ30の腐食を防止することも考えられる。この場合、ゲート電極33を形成する工程の他に、エッチングストッパ30を形成するための工程が必要となり、生産性が低下する。
【0044】
基板1がSiC基板であり、窒化物半導体層10が形成されていることで、高耐圧で高速動作が可能なHEMTを構成しやすい。本実施形態では、基板1がSiC基板であっても、貫通孔62を形成するためのエッチングを時間制御によりエッチングストッパ30で容易に停止できるため、貫通孔62を高速で形成できる。
【0045】
また、シード膜51は、例えばドライエッチングにより除去できるため、シード膜51の除去の際にもエッチングストッパ30の腐食を防止できる。更に、導電膜63は裏面電極として使用できる。また、導電膜63を通じてHEMTで発生した熱を基板1の下面側に伝達しやすい。導電膜63をヒートスプレッダ等に接合することで、放熱性を向上できる。
【0046】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1:基板
10:窒化物半導体層
21:第1絶縁膜
21D、21G、21S:開口部
22:第2絶縁膜
22G、22S:開口部
30:エッチングストッパ
31:ソース電極
31S:開口部
32:ドレイン電極
33:ゲート電極
41:第3絶縁膜
41A:開口部
42:配線
50:金属マスク
50A:開口部
51:シード膜
52:めっき膜
61:マスク
62:貫通孔
63:導電膜
71:Ni膜
72:Pd膜
73:Au膜
91:処理層
92:電解液
93:直流電源
94:陽極
95:陰極
96:陽イオン
100:半導体装置
200:電気化学反応装置