(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053509
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 1/06 20060101AFI20230406BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20230406BHJP
A41D 11/00 20060101ALI20230406BHJP
A41D 3/02 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A41D1/06 502E
A41D27/10 E
A41D1/06 M
A41D1/06 501Z
A41D11/00 J
A41D3/02 B
A41D1/06 502K
A41D1/06 502G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162582
(22)【出願日】2021-10-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 令和3年6月15日 刊行物 「FP-12 ファンプラスライトII」パンフレット 公開者 株式会社コヤナギ 発行日 令和3年6月15日 刊行物 株式会社ワークマン様向けパンフレット 公開者 株式会社コヤナギ 納品日 令和3年7月14日 納品場所 株式会社ワークマン 公開者 株式会社コヤナギ
(71)【出願人】
【識別番号】598172907
【氏名又は名称】株式会社コヤナギ
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 大典
【テーマコード(参考)】
3B031
3B035
【Fターム(参考)】
3B031AB03
3B031AB14
3B031AC15
3B031AC17
3B031AC20
3B035AA10
3B035AC06
3B035AC24
(57)【要約】
【課題】衣服全般に利用可能で、多用途の目的に適応し、袖口、裾等の丈または幅の調節が選択的にできる衣服を提供すること
【解決手段】調節部位1に、上下及び左右に対向して二組の留め具2を有する。留め具2は、凹凸が合う二片一組みの凹面片3と凸面片4が嵌合及び分離可能となっている。二組の凹面片3A、3B及び凸面片4A、4Bは、略四角形状を想定する角部に配置され、各凹面片3A、3B同士及び各凸面片4A、4B同士が互いに対角方向に配設されている。選択的に上下方向または左右方向の1対2組の留め具2、2を折り曲げて嵌合することで、衣服の使用状況に合わせて、丈または幅の調節が選択的にできるようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節部位に、上下及び左右に対向して二組の留め具を有し、留め具の一対の構成片は、上下方向または左右方向に着脱可能に四角形状の角部に配設され、丈または幅の調節が選択的にできることを特徴とする衣服。
【請求項2】
留め具は、凹凸面が嵌合する一対のスナップボタンであって、二組の各凹面片同士及び各凸面片同士が互いに対角方向に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
留め具は、フック面とループ面が係合する一対の面ファスナーであって、二組の各フック面片同士と各ループ面片同士が互いに対角方向に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項4】
留め具は、フックとループとの両方が植え込まれ、フック面とループ面との区別のない一対の面ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服に関するものであり、詳しくは袖口、裾等の丈または幅の調節が選択的にできる衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服の袖口や裾或いは上下左右寸法の調節をする目的で、例えば、実公昭27-8340号公報では、袖口を大経に形成し、その一部を折って折重片を形成し、折重片の先端とこれに対向する面とに係止具を取付、両者の中間部分を折目として折り返して係止することで、袖口の先端を手首の大きさに適応させることが開示されている。
【0003】
また、特開平11-335907号公報では、左右の足通し部の裾の部分を外側に折り曲げ可能に形成したズボンであって、前記裾の前端部を除く、後部から前部の部分を斜めに折り曲げる折り目が形成され、前記折り目で外側に折り返される折り返し部の折り返し状態を保持する折り返し保持手段を設けたことが開示され、折り目が斜めに形成されているので、雨をズボンの裾の一か所から流すことができるため、ズボンの汚れを防ぎ、靴の内部を濡らさずにできるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭27-8340号公報
【特許文献2】特開平11-335907公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の発明等は、一の目的において衣服の袖口や裾に工夫を凝らしたものであり、特定の衣服に限定され、また、多用途に対応できるものではない。
【0006】
そこで、本発明は衣服全般に利用可能で、多用途の目的に適応し、袖口、裾等の丈または幅の調節が選択的にできる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の衣服は、調節部位に、上下及び左右に対向して二組の留め具を有し、留め具の一対の構成片は、上下方向または左右方向に着脱可能に四角形状の角部に配設され、丈または幅の調節が選択的にできることを特徴とする。
【0008】
請求項1の衣服によれば、例えば、ズボンの裾に調節部位が設けられている場合、上下に対向する留め具を止めれば、ズボンの丈を調節することができる。また、左右に対向する留め具を止めれば、ズボンの裾幅(裾まわり)の調整することができる。つまり、衣服の使用状況に合わせて、丈または幅の調節が選択的にできるようになっている。
【0009】
例えば、工事現場等で使用される雨具のズボンは、雨の侵入を防ぐため、つま先側はズボンの裾が履物の甲を覆うことが望ましい。しかし、ズボンの裾が履物の甲を覆うことができるズボンの丈とすると、踵側では履物でズボンの裾を踏んでしまうことで、足が滑る等の思わぬ危険が発生する可能性がある。
図3に示すように、必要な時に裾の丈を調整できることによって、着用者の安全性を向上させることができる。
【0010】
また、例えば、工事現場等で使用される雨具のズボンは、裾幅(裾まわり)が大きいと、裾が引っかかってしまう等の思わぬ危険が発生する可能性がある。
図4に示すように、必要な時に裾幅(裾まわり)を調整できることによって、着用者の安全性を向上させることができる。
【0011】
請求項2の衣服は、請求項1に記載の発明において、留め具は、凹凸面が嵌合する一対のスナップボタンであって、二組の各凹面片同士及び各凸面片同士が互いに対角方向に配設されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の衣服によれば、請求項1の衣服と同様の作用に加えて、二組の各凹面片同士及び各凸面片同士が互いに対角方向に配設されていることで、上下に対向する留め具の着脱と、左右に対向する留め具の着脱とを選択することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、留め具は、フック面とループ面が係合する一対の面ファスナーであって、二組の各フック面片同士と各ループ面片同士が互いに対角方向に配設されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の衣服によれば、請求項1の衣服と同様の作用に加えて、二組の各フック面片同士と各ループ面片同士が互いに対角方向に配設されていることで、上下に対向する留め具の着脱と、左右に対向する留め具の着脱とを選択することができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1に記載の発明において、留め具は、フックとループとの両方が植え込まれ、フック面とループ面との区別のない一対の面ファスナーであることを特徴とする。
【0016】
請求項4の衣服によれば、請求項1の衣服と同様の作用に加えて、留め具が共通の一種類となるので、留め具の種類を確認することなく所定箇所に配置して、製造に必要な時間、手間を減らすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の衣服は、調節部位に、上下及び左右に対向して二組の留め具を有し、留め具の一対の構成片は、上下方向または左右方向に着脱可能に四角形状の角部に配設されているため、上下方向に対向する構成片も、左右方向に対向する構成片も、何れも一対の留め具の配置となり、選択的に合わせれば上下方向または左右方向の長さを長短でき、丈または幅の調節が可能と成る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の調節部位を有する衣服全体の平面図
【
図3】
図2の調節部位において、上下に対向する留め具を止めた状態の平面図
【
図4】
図2の調節部位において、左右に対向する留め具を止めた状態の平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、例えば、ズボンの裾付近の調節部位1に、上下及び左右に対向して二組の留め具2を有する。留め具2の一対の構成片である凹面片3と凸面片4は、上下方向または左右方向に着脱可能に四角形状の角部に配設されている。
【0021】
衣服には、被り物や履き物、手袋などを除いたもので、用途を問わず主にトップス(上着)やボトム(ズボン、スラックス、パンツ)等を言う。
【0022】
図2に示すように、留め具2は、衣服の外表面側に設けられている。本実施形態の留め具2は、凹凸が合う二片一組みの凹面片3と凸面片4が嵌合及び分離可能となっている一対のスナップボタンである。
【0023】
二組の留め具2を構成する凹面片3A、凹面片3B、凸面片4A及び凸面片4Bは、略四角形状を想定する角部に配置されている。各凹面片3A、3B同士、及び、各凸面片4A、4B同士は、互いに、略四角形状の対角方向に配設されている。つまり、凹面片と略四角形状の辺方向にそれぞれ隣り合うのは、凸面片となっており、凸面片と略四角形状の辺方向にそれぞれ隣り合うのは、凸面片となっている。
【0024】
したがって、上下方向に対向する凹面片3Aと凸面片4Aとの組、上下方向に対向する凸面片4Bと凹面片3Bとの組、左右方向に対向する凹面片3Bと凸面片4Aとの組、及び、左右方向に対向する凸面片4Bと凹面片3Aとの組は、何れも嵌合及び分離可能な一対のスナップボタンとなっている。
【0025】
調節部位1において、上下方向に対向する凹面片3Aと凸面片4Aとの組、及び、上下方向に対向する凸面片4Bと凹面片3Bとの組で、各組の凸面片と凹面片とを近づけて嵌合すると、
図3に示すように、裾の丈を調整した状態となる。
【0026】
また、調節部位1において、左右方向に対向する凹面片3Bと凸面片4Aとの組、及び、左右方向に対向する凸面片4Bと凹面片3Aとの組で、各組の凸面片と凹面片とを近づけて嵌合すると、
図4に示すように裾幅(裾まわり)を調整することができる。
【0027】
また、留め具が、フック面とループ面が係合する一対の面ファスナーであって、二組の各フック面片同士と各ループ面片同士が互いに対角方向に配設しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
さらに、フックとループの両方が植え込まれ、フック面とループ面との区別のない一対の面ファスナーとすれば、対角方向を気にせずに取り付け間違いを回避できる。
【0029】
上記実施形態では、ズボンの裾付近の調節部位1があり、一例として、裾の丈と裾幅(裾まわり)とを選択的に調整できる場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、トップスの袖や裾等の衣服の別の位置に調節部位があり、衣服の他の複数の寸法を選択的に調整できるようになっていてもよい。
【0030】
上記実施形態では、ズボンの裾付近の調節部位1が一つある場合に説明したが、これに限定されることはない。例えば、2個以上の複数箇所に調節部位があってもよい。例えば裾の丈の長さを調節するには、裾まわりに調節部位を複数個所に設け、ロールアップした状態の維持を確実に行えるようになっていてもよい。
【0031】
上記実施形態では、留め具2は、衣服の外表面側に設けられている場合に説明したが、これに限定されることはない。例えば、留め具は、衣服の内表面側に設けられていてもよい。
【0032】
上記実施形態では、
図2に示すように、凹面片3A、凹面片3B、凸面片4A及び凸面片4Bは、略四角形状を想定する角部に配置されている場合に説明したが、これに限定されることはない。例えば、留め具の構成片が角部に配置される略四角形状の大きさ等は、目的に合わせて自由に変更してもよい。
【0033】
上記実施形態では、留め具2は、スナップボタンである場合に説明したが、これに限定されることはない。例えば、ボタンとボタンホール等の別の留め具であってもよい。
【0034】
上記実施形態では、調節部位1に、二組の留め具2を有する場合に説明したが、これに限定されることはない。例えば、調節部位に三組以上の複数の留め具を有していてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 調節部位
2 留め具
3、3A、4A 凹面片
4、4B、4B 凸面片