IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図1
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図2
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図3
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図4
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図5
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図6
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図7
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図8
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図9
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図10
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図11
  • 特開-車両のサブタンク配設構造 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053510
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】車両のサブタンク配設構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20230406BHJP
   B60K 6/405 20071001ALI20230406BHJP
   B60K 6/44 20071001ALI20230406BHJP
【FI】
B60K1/00 ZHV
B60K6/405
B60K6/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162583
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和真
(72)【発明者】
【氏名】篠田 智巳
【テーマコード(参考)】
3D202
3D235
【Fターム(参考)】
3D202AA01
3D202EE00
3D202EE21
3D202EE23
3D235AA02
3D235BB06
3D235BB17
3D235BB18
3D235BB45
3D235CC01
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC32
3D235DD02
3D235DD12
3D235DD17
3D235DD19
3D235FF25
3D235FF47
3D235HH16
3D235HH22
3D235HH25
3D235HH26
(57)【要約】
【課題】車両前部にサブタンクを配設する際に、その配設構造を簡易かつ出来る限りコンパクトにする。
【解決手段】制御ユニット20は、上側から見て、一部が駆動ユニットハウジング100の車両前側の部分と重複しかつ残部が該一部よりも車両後側で駆動ユニットハウジング100と重複するように、電気駆動ユニット10の上部に配設されており、制御ユニット20の一部の車両側方でかつ制御ユニット20の残部の車両前側には、上側から見て、駆動ユニットハウジング100の一部が露出した露出領域が形成されており、サブタンク40は、制御ユニット冷却用ラジエータ32の車両後側において、露出領域に制御ユニット20と車幅方向及び車両前後方向に相隣接して配設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を利用して車両を駆動する電気駆動ユニットと、該電気駆動ユニットを制御する制御ユニットと、該制御ユニットを冷却する冷媒を貯留するサブタンクとを備え、前記電気駆動ユニット、前記制御ユニット、及び前記サブタンクが車両前部のパワーユニットルームに配設された車両のサブタンク配設構造であって、
前記電気駆動ユニットよりも車両前側に配置され、前記サブタンクに貯留される冷媒を冷却するラジエータを更に備え、
前記電気駆動ユニットは、駆動モータと、該駆動モータからの動力を変速する減速機と、前記駆動モータを駆動させる電力を生成する発電機とが、前記ハウジング内に配設されて構成されており、
前記制御ユニットは、上側から見て、一部が前記ハウジングの車両前側の部分と重複しかつ残部が該一部よりも車両後側で前記ハウジングと重複するように、前記電気駆動ユニットの上部に配設されるとともに、前記残部の車幅方向の長さが前記一部の車幅方向の長さよりも長く、
前記制御ユニットの前記一部の車両側方でかつ前記制御ユニットの前記残部の車両前側には、上側から見て、前記ハウジングの一部が露出した露出領域が形成されており、
前記サブタンクは、前記ラジエータの車両後側において、前記露出領域に前記制御ユニットと車幅方向及び車両前後方向に相隣接して配設されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記制御ユニットは、前記駆動モータと電気的に接続されたモータ用インバータ部と、前記発電機と電気的に接続された発電用インバータ部と、電源電力を変圧して前記モータ用インバータ部に出力する電圧コンバータ部と、
を有し、
前記モータ用インバータ部と前記発電用インバータ部とは、車幅方向に並んで配設され、
前記電圧コンバータ部は、前記モータ用インバータ部及び前記発電用インバータ部のうちの一方のインバータ部の車両前側に配設され、
前記露出領域は、前記電圧コンバータ部の車両側方でかつ前記モータ用インバータ部及び前記発電用インバータ部のうちの他方のインバータ部の車両前側に形成されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記電気駆動ユニットの車両側方には、エンジンが配設されており、
前記露出領域は、車幅方向における、前記電圧コンバータ部と前記エンジンとの間に位置しており、
前記サブタンクは、前記制御ユニットを冷却する冷媒を貯留する第1サブタンクと、前記エンジンを冷却する冷媒を貯留する第2サブタンクとが一体形成されているとともに、前記第1サブタンクと前記第2サブタンクとが車幅方向に並ぶように配設され、
前記第1サブタンクは、車幅方向における前記電圧コンバータ部に近い側に位置し、
前記第2サブタンクは、車幅方向における前記エンジンに近い側に位置することを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記露出領域には、前記サブタンクを取り付けるための取付ブラケットが配設されており、
前記取付ブラケットは、前記電圧コンバータ部及び前記他方のインバータ部のそれぞれに固定されかつ前記電圧コンバータ部と前記他方のインバータ部とを跨ぐように形成されており、
前記サブタンクは、前記取付ブラケットの上にマウント支持されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記制御ユニットにおける前記他方のインバータ部の上部には、前記電源電力を伝達するハーネスを支持するためのハーネスブラケットが設けられており、
前記ハーネスブラケットは、前記他方のインバータ部への取付部分から上側に延びた後車両前側に向かって延びており、
前記サブタンクの上部は、前記ハーネスブラケットの車両前側の部分に取付支持されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項6】
請求項5に記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記サブタンクの上部には、車両後側に向かって突出する突出部が設けられており、
前記ハーネスブラケットは、前記突出部に下側からボルトで固定されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の車両のサブタンク配設構造において、
前記サブタンクは、前記電気駆動ユニットの上面との間に隙間が形成されるように配設されており、
前記サブタンクと前記電気駆動ユニットとの間の隙間には、車両部品が配設されていることを特徴とする車両のサブタンク配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、車両のサブタンク配設構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電力を利用して車両を駆動させる電気駆動ユニットを有する車両が多く生産されている。電気駆動ユニットは、車両前部のパワーユニットルームに配置されることが多い。
【0003】
電気駆動ユニットを備えた車両では、電気駆動ユニットの作動を制御するための制御ユニットが必要となる。例えば、特許文献1では、制御ユニットを電気駆動ユニットの上部に配置することで、電気駆動ユニットと制御ユニットとを出来る限りコンパクトに配置するようにしている。
【0004】
一方で、制御ユニットは適切に冷却する必要があるため、制御ユニットを冷却するための冷媒を貯留するサブタンクを、電気駆動ユニットと同様にパワートレインルームに配設する構造が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
特許文献2では、パワートレインが搭載され車両後方側にダッシュパネルが配置されているエンジンルーム内にモータを駆動するインバータ部(制御ユニット)及び冷却水を貯蔵するリザーブタンク(サブタンク)が配置され、リザーブタンクがインバータ部とダッシュパネルとの間に配置され、インバータ部の後側面にはハーネスが結合されるハーネスコネクタ部が設けられた構造が開示されている。
【0006】
特許文献2では、車両前突時にインバータ部がリザーブタンクと相対移動した際に、リザーブタンクを、車幅方向におけるハーネスから離れる方向に移動させるための突部を、インバータ部とリザーブタンクとが対向する当該インバータ部及び当該リザーブタンクの各面に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-72813号公報
【特許文献1】特開2014-105656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車両前部には、複数の車両部品が配置されるため、各車両部品を出来る限りコンパクトに配設したいという要求がある。特許文献2のように、サブタンクを制御ユニットの車両後側に配置する構造では、車両前後方向に比較的広い領域が必要になる。また、車両衝突時における制御ユニットとサブタンクとの相対移動を規制する構造が必要となり、サブタンクの配設構造が複雑になってしまう。
【0009】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両前部にサブタンクを配設する際に、その配設構造を簡易かつ出来る限りコンパクトにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、電力を利用して車両を駆動する電気駆動ユニットと、該電気駆動ユニットを制御する制御ユニットと、該制御ユニットを冷却する冷媒を貯留するサブタンクとを備え、前記電気駆動ユニット、前記制御ユニット、及び前記サブタンクが車両前部のパワーユニットルームに配設された車両のサブタンク配設構造を対象として、前記電気駆動ユニットよりも車両前側に配置され、前記サブタンクに貯留される冷媒を冷却するラジエータを更に備え、前記電気駆動ユニットは、駆動モータと、該駆動モータからの動力を変速する減速機と、前記駆動モータを駆動させる電力を生成する発電機とが、前記ハウジング内に配設されて構成されており、前記制御ユニットは、上側から見て、一部が前記ハウジングの車両前側の部分と重複しかつ残部が該一部よりも車両後側で前記ハウジングと重複するように、前記電気駆動ユニットの上部に配設されるとともに、前記残部の車幅方向の長さが前記一部の車幅方向の長さよりも長く、前記制御ユニットの前記一部の車両側方でかつ前記制御ユニットの前記残部の車両前側には、上側から見て、前記ハウジングの一部が露出した露出領域が形成されており、前記サブタンクは、前記ラジエータの車両後側において、前記露出領域に前記制御ユニットと車幅方向及び車両前後方向に相隣接して配設されている、という構成とした。
【0011】
この構成によると、制御ユニットは、上側から見て、少なくとも一部がL字状をなす。そして、サブタンクは、該L字の内側に形成された露出領域に配設される。これにより、サブタンクを出来る限りコンパクトに配設することができる。
【0012】
また、サブタンクが車幅方向及び車両前後方向の両方において、制御ユニットと相隣接しているため、車両の前突時及び側突時の両方において、制御ユニットとサブタンクとが一体的に移動する。これにより、サブタンクの配設構造を簡単にすることができる。
【0013】
また、サブタンクがラジエータの近くに配設されるため、サブタンクとラジエータとを接続する配管の構造を簡単にすることができる。結果として、サブタンクの配設構造を簡単にすることができる。
【0014】
したがって、車両前部に制御ユニットとサブタンクとを配設する際に、その配設構造を簡易かつ出来る限りコンパクトにすることができる。
【0015】
前記車両のサブタンク配設構造の一実施形態では、前記制御ユニットは、前記駆動モータと電気的に接続されたモータ用インバータ部と、前記発電機と電気的に接続された発電用インバータ部と、電源電力を変圧して前記モータ用インバータ部に出力する電圧コンバータ部と、を有し、前記モータ用インバータ部と前記発電用インバータ部とは、車幅方向に並んで配設され、前記電圧コンバータ部は、前記モータ用インバータ部及び前記発電用インバータ部のうちの一方のインバータ部の車両前側に配設され、前記露出領域は、前記電圧コンバータ部の車両側方でかつ前記モータ用インバータ部及び前記発電用インバータ部のうちの他方のインバータ部の車両前側に形成されている。
【0016】
この構成によると、制御ユニットの構成要素をサブタンクの周囲にコンパクトに配置することができる。これにより、サブタンクの配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0017】
前記一実施形態において、前記電気駆動ユニットの車両側方には、エンジンが配設されており、前記露出領域は、車幅方向における、前記電圧コンバータ部と前記エンジンとの間に位置しており、前記サブタンクは、前記制御ユニットを冷却する冷媒を貯留する第1サブタンクと、前記エンジンを冷却する冷媒を貯留する第2サブタンクとが一体形成されているとともに、前記第1サブタンクと前記第2サブタンクとが車幅方向に並ぶように配設され、前記第1サブタンクは、車幅方向における前記電圧コンバータ部に近い側に位置し、前記第2サブタンクは、車幅方向における前記エンジンに近い側に位置する、という構成でもよい。
【0018】
この構成によると、2種類のサブタンクが一体形成されて、露出領域に配設されることで、サブタンクの配設構造をよりコンパクトにすることができる。また、第1サブタンクを制御ユニットと隣接させ、第2サブタンクをエンジンと隣接させることで、各サブタンクと冷却対象との間の配管構造を簡単にすることができる。これにより、サブタンクの配設構造をより簡単にすることができる。
【0019】
前記一実施形態において、前記露出領域には、前記サブタンクを取り付けるための取付ブラケットが配設されており、前記取付ブラケットは、前記電圧コンバータ部及び前記他方のインバータ部のそれぞれに固定されかつ前記電圧コンバータ部と前記他方のインバータ部とを跨ぐように形成されており、前記サブタンクは、前記取付ブラケットの上にマウント支持されている、という構成でもよい。
【0020】
この構成によると、サブタンクを露出領域に安定して配置させることができる。これにより、サブタンクの配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0021】
取付ブラケットが設けられた前記一実施形態において、前記制御ユニットにおける前記他方のインバータ部の上部には、前記電源電力を伝達するハーネスを支持するためのハーネスブラケットが設けられており、前記ハーネスブラケットは、前記他方のインバータ部への取付部分から上側に延びた後車両前側に向かって延びており、前記サブタンクの上部は、前記ハーネスブラケットの車両前側の部分に取付支持されている、という構成でもよい。
【0022】
この構成によると、サブタンクを露出領域により安定して配置することができる。また、サブタンクの自重による荷重を取付ブラケットとハーネスブラケットとで分散させることができるため、取付ブラケットの大きさを出来る限り小さくすることができる。これにより、サブタンクの配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0023】
サブタンクがハーネスブラケットに取付支持された前記一実施形態において、前記サブタンクの上部には、車両後側に向かって突出する突出部が設けられており、前記ハーネスブラケットは、前記突出部に下側からボルトで固定されている、という構成でもよい。
【0024】
この構成によると、ハーネスブラケットでサブタンクの自重による荷重を適切に受けることができる。これにより、取付ブラケットの大きさを小さくしやすくなり、サブタンクの配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0025】
前記車両のサブタンク配設構造において、前記サブタンクは、前記電気駆動ユニットの上面との間に隙間が形成されるように配設されており、前記サブタンクと前記電気駆動ユニットとの間の隙間には、車両部品が配設されている、という構成でもよい。
【0026】
この構成によると、サブタンクと電気駆動ユニットとの隙間を有効活用して、車両部品を配設することができる。これにより、車両前部における車両部品の配設構造をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、車両前部にサブタンクを配設する際に、その配設構造を簡易かつ出来る限りコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、例示的な実施形態に係るサブタンクが配設された車両の駆動系を示す概略図である
図2図2は、車両前部を上側から見た平面図である。
図3図3は、パワーユニットを前側かつ右上側から見た斜視図である。
図4図4は、パワーユニットの正面図である。
図5図5は、図3のV-V線相当の平面で切断した断面図である。
図6図6は、サブタンクを省略したパワーユニットを前側かつ左上側から見た斜視図である。
図7図7は、制御ユニット及びサブタンクを前側かつ左上側から見た斜視図である。
図8図8は、図7からサブタンクを除いた図である。
図9図9は、制御ユニット及びサブタンクを後側かつ左上側から見た斜視図である。
図10図10は、図7のX-X線相当の平面で切断した断面図である。
図11図11は、図7のXI-XI線相当の平面で切断した断面図である。
図12図12は、図7のXII-XII線相当の平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、車両に対する前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。左右方向は、後側から前側を見たときの左側を左といい、右側を右という。
【0030】
図1は、本実施形態に係るサブタンク40(図2等参照)が配設された車両1の駆動系を概略的に示す。この図1は、車両1の駆動系を概略的に示しているだけであり、図1における各構成要素の配置は、該各構成要素の実際の配置を限定するものではない。
【0031】
車両1は、シリーズハイブリッド車両であって、電力を利用して車両1を駆動するための電気駆動ユニット10と発電用のエンジンEとからなるパワーユニットPを備える。電気駆動ユニット10は、駆動モータ11と、駆動モータ11からの動力を変速する減速機12と、駆動モータ11を駆動させる電力を生成する発電機13とを有する。エンジンEは、主に発電機13を駆動させて発電するために利用され、車両1を走行させるための動力は駆動モータ11により生成される。駆動モータ11により生成された動力は、減速機12により変速された後、デファレンシャル装置6を介して、駆動輪7(ここでは前輪)に伝達される。
【0032】
車両1は、発電機13により発電された電力が蓄積(充電)される高圧バッテリB1と低圧バッテリB2とを備える。発電機13と高圧バッテリB1との間には、発電用インバータ22が設けられている。発電用インバータ22は、発電機13と高圧バッテリB1とに電気的に接続されている。発電機13からの発電電力は、発電用インバータ22を介して高圧バッテリB1に供給される。駆動モータ11と高圧バッテリB1との間には、モータ用インバータ21が設けられている。モータ用インバータ21は、駆動モータ11及び高圧バッテリB1に電気的に接続されている。モータ用インバータ21は、高圧バッテリB1からの電力を、駆動モータ11を駆動するための電力に変換して、駆動モータ11に出力する。高圧バッテリB1と低圧バッテリB2との間には、DCDCコンバータ23が設けられている。DCDCコンバータ23は、高圧バッテリB1と低圧バッテリB2とに電気的に接続されている。高圧バッテリB1からの電力は、DCDCコンバータ23を介して低圧バッテリB2に供給される。発電機13からの発電電力は、発電用インバータ22及びDCDCコンバータ23を介して低圧バッテリB2に供給される。モータ用インバータ21、発電用インバータ22、及びDCDCコンバータ23は、電気駆動ユニット10を制御する制御ユニット20を構成する。
【0033】
次に、図2図12を参照しながら、車両1におけるパワーユニットP及びサブタンク40の配設構造について詳細に説明する。また、図5図10図12の断面図では、図面を簡単にするために、駆動モータ11等の構造を省略又は簡略化している。
【0034】
パワーユニットPは、車両1の前部に形成されたパワーユニットルーム2に配設されている。詳しくは。車両1は、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム3を備え、この左右のフロントサイドフレーム3の間に、パワーユニットPを配設するためのパワーユニットルーム2が形成されている。パワーユニットPは、左右のフロントサイドフレーム3に支持部材4を介して支持されている。
【0035】
図示は省略しているが、各フロントサイドフレーム3の後部は、後側に向かって徐々に下側に傾斜するキック部となっている。車室とパワーユニットルーム2とを区画するダッシュパネル5は、前後方向における該キック部と略同じ位置に設けられている。
【0036】
図2及び図3に示すように、パワーユニットPの前側には、2つのラジエータ31,32が配設されている。相対的に前側に位置するラジエータ31は、制御ユニット20を冷却する冷媒を冷却するための制御ユニット冷却用ラジエータ31である。相対的に後側に位置するラジエータ32は、エンジンを冷却する冷媒を冷却するためのエンジン冷却用ラジエータ32である。2つのラジエータ31,32は、内部に各冷媒が流通しており、該各冷媒を走行風を利用して冷却する。
【0037】
図3及び図4に示すように、電気駆動ユニット10と制御ユニット20とは、上下方向に並んで配設されている。具体的には、制御ユニット20は、電気駆動ユニット10の上部に配設されている。
【0038】
図4及び図5に示すように、電気駆動ユニット10の駆動モータ11、減速機12、及び発電機は、駆動ユニットハウジング100内に収容されている。駆動ユニットハウジング100は、複数の部材が一体化されて構成されている。駆動ユニットハウジング100は、第1ハウジング101、第2ハウジング102、及びエンドカバー103を有する。第1ハウジング101の右側に第2ハウジング102が配置され、第2ハウジング102の右側部分がエンドカバー103により閉じられている。第1ハウジング101、第2ハウジング102、及びエンドカバー103は、車幅方向の端部同士が溶接により結合されている。これにより、第1ハウジング101、第2ハウジング102、及びエンドカバー103が一体化されて駆動ユニットハウジング100が構成されている。
【0039】
図5に示すように、駆動ユニットハウジング100の左側には、ダンパ装置111を収容するダンパハウジング110が設けられている。ダンパ装置111は、エンジンEの動力を発電機13に伝達する際の振動を抑制するための装置である。ダンパハウジング110は、左側に壁部110aを有している。この壁部110aは、駆動ユニットハウジング100の収容部とダンパハウジング110の収容部とを区切るための壁部110aである。
【0040】
ダンパハウジング110の左側には、エンジンEが配設されている。つまり、エンジンEは、電気駆動ユニット10の左側に配設されている。
【0041】
第1ハウジング101及び第2ハウジング102は、駆動ユニットハウジング100内を複数の部屋に区切るための区画壁101a,102aをそれぞれ有する。図5に示すように、駆動モータ11は、エンドカバー103と第2ハウジング102の区画壁102aとで区切られた部屋に収容されている。減速機12は、第2ハウジング102の区画壁102aと第1ハウジング101の区画壁101aとで区切られた部屋に収容されている。発電機13は、第1ハウジング101における区画壁101aよりも左側の領域、より詳しくは、第1ハウジング101における区画壁101aとダンパハウジング110における壁部110aとの間に形成された領域に収容されている。
【0042】
制御ユニット20は、制御ユニットハウジング200を有する。制御ユニットハウジング200は、図4図12にそれぞれ示すように、上側ハウジング201と、下側ハウジング202とを有する。上側ハウジング201は、下端部に上側フランジ201aを有し、下側ハウジング202は、上端部に下側フランジ202aを有する。上側ハウジング201と下側ハウジング202とは、上側フランジ201aと下側フランジ202aとが上下に突き合わされた状態で、複数のボルト60が締結されることで互いに固定されている。図6に示すように、下側ハウジング202は、駆動ユニットハウジング100に、ボルト61により締結されている。これにより、電気駆動ユニット10と制御ユニット20とが固定されている。
【0043】
制御ユニットハウジング200は、図6に示すように、上側から見て、L字状をなしている。具体的には、制御ユニットハウジング200の後部は、車幅方向に沿って、駆動ユニットハウジング100と同程度延びており、制御ユニットハウジング200の前部は、前記後部の左側の部分から前側に向かって延びている。つまり、制御ユニットハウジング200は、後部の車幅方向の長さが前部の車幅方向の長さよりも長い。制御ユニットハウジング200は、上側から見て、前部が駆動ユニットハウジング100の前側部分と重複しかつ後部が前部よりも後側で駆動ユニットハウジング100と重複する。制御ユニットハウジング200の後部は、モータ用インバータ21と発電用インバータ22とが収容されるインバータ部収容部とされ、制御ユニットハウジング200の前部は、DCDCコンバータ23が収容されるコンバータ部収容部とされている。インバータ部収容部の左側部分には、発電用インバータ22が収容され、インバータ部収容部の右側部分には、モータ用インバータ21が収容されている。つまり、モータ用インバータ21と発電用インバータ22とは車幅方向に並んで配設され、DCDCコンバータ23は、モータ用インバータ21の前側に配設されている。以下の説明では、制御ユニット20におけるモータ用インバータ21が配置された部分を制御ユニットハウジング200も含めてモータ用インバータ部221といい、制御ユニット20における発電用インバータ22が配置された部分を制御ユニットハウジング200も含めて単に発電用インバータ部222といい、制御ユニット20におけるDCDCコンバータ23が配置された部分を制御ユニットハウジング200も含めて単にDCDCコンバータ部223という。
【0044】
図5図10に示すように、モータ用インバータ部221及びDCDCコンバータ部223は、上側を蓋部203が覆っている。蓋部203は、図5に示すように、DCDCコンバータ部223に形成された孔部205を覆う蓋部である。
【0045】
図示は省略するが、モータ用インバータ部221からは下側に向かってバスバーが延びており、発電用インバータ部222からも下側に向かってバスバーが延びている。これにより、モータ用インバータ21は駆動モータ11と電気的に接続され、発電用インバータ22は発電機13と電気的に接続される。
【0046】
制御ユニット20が、上側から見てL字状をなしていることにより、図6に示すように、DCDCコンバータ部223の左側でかつ発電用インバータ部222の前側には、上側から見て、駆動ユニットハウジング100の一部が露出した露出領域Rが形成される。露出領域Rは、DCDCコンバータ部223とエンジンEとの間に位置している。この露出領域Rに、制御ユニット20を冷却する冷媒を貯留するためのサブタンク40が配設される。つまり、サブタンク40は、電気駆動ユニット10及び制御ユニット20とともに、車両1のパワーユニットルーム2に配設されている。尚、詳しくは後述するが、露出領域Rには、車両部品としての電動パーキングロックアクチュエータ7も配設されている。
【0047】
以下、サブタンク40の構成及びサブタンクの40の配設構造について詳細に説明する。
【0048】
サブタンク40は、図3及び図4に示すように、箱状をなしている。タンク上部41とタンク下部42とを有する。タンク上部41の下端部及びタンク下部42の上端部には、それぞれフランジが形成されており、該フランジ同士が重ね合わされて溶接されることでサブタンク40が形成されている。タンク上部41の車幅方向の中央には、下側に向かって凹む凹部43が設けられている。この凹部43は、タンク上部41とタンク下部42とを溶接する際に、タンク上部41をタンク下部42に対して押さえつけるための治具が配置される部分である。
【0049】
サブタンク40は、制御ユニット20を冷却する冷媒を貯留する第1サブタンク51と、エンジンを冷却する冷媒を貯留する第2サブタンク52とが一体形成されている。第1サブタンク51と第2サブタンク52とは車幅方向に並んでいる。具体的には、サブタンク40の凹部43よりも右側の部分が第1サブタンク51であり、右側の部分が第2サブタンク52である。つまり、第1サブタンク51は、車幅方向におけるDCDCコンバータ部223に近い側に位置し、第2サブタンク52は、車幅方向におけるエンジンEに近い側に位置している。図5に示すように、サブタンク40の内部において、凹部43の位置には、サブタンク40の内部を、第1サブタンク51の領域と第2サブタンク52の領域とに区切る区画壁44が設けられている。また、第1サブタンク51内及び第2サブタンク52内には、補強リブ46がそれぞれ設けられている。
【0050】
図7に示すように、第1サブタンク51は、タンク下部42における前側の部分で、第1下側配管71を介して制御ユニット20と接続されている。また、第1サブタンク51は、タンク下部42における前側の部分に、第1サブタンク51内の冷媒を不図示のウォータポンプに向かって排出する第1排出口51aを有する。制御ユニット冷却用ラジエータ31から排出された冷媒(冷却水)は、後側に送られて車両後部に配置された車載充電器を冷却した後、前側に戻されてパワーユニットルーム2に配設された制御ユニット20に流入して、制御ユニット20を冷却する。その後、冷媒は、第1下側配管71を通って第1サブタンク51内に流入して、第1排出口51aからウォータポンプに向かって排出された後、制御ユニット冷却用ラジエータ31に圧送される。このことから、制御ユニット冷却用ラジエータ31は、第1サブタンク51に貯留される冷媒を冷却しているといえる。また、第1サブタンク51は、タンク上部41における前側の部分に、第1サブタンク51と制御ユニット冷却用ラジエータ31とを接続する第1上側接続配管72(図3参照)が接続される第1接続部51bを有する。第1上側接続配管72は、制御ユニット冷却用ラジエータ31から抜かれた空気を第1サブタンク51に送る配管である。
【0051】
図7に示すように、第2サブタンク52は、タンク下部42における前側の部分に、第2サブタンク52内の冷媒をエンジンEに送るための第2排出口52aを有する。また、第2サブタンク52は、タンク上部41の前側の部分に、第2サブタンク52とエンジンEの冷却経路とを接続するための第2上側接続配管73(図3参照)が接続される第2接続部52bを有する。エンジン冷却用ラジエータ32から流出した冷媒の一部は、第2上側接続配管73を介して第2サブタンク52に流入して、第2排出口52aを通ってエンジンEに流入する。
【0052】
前述したように、サブタンク40は、露出領域Rに制御ユニット20と車幅方向及び前後方向に相隣接して配設されている。具体的には、サブタンク40は、DCDCコンバータ部223と車幅方向に相隣接して配設されるとともに、発電用インバータ部222と前後方向に相隣接して配設される。
【0053】
図5図8に示すように、露出領域Rには、サブタンク40を取り付けるための取付ブラケット80が設けられている。サブタンク40は、取付ブラケット80にマウント支持された状態で、露出領域Rに配設されている。
【0054】
取付ブラケット80は、図8に示すように、DCDCコンバータ部223に向かって延びる第1腕部81と、発電用インバータ部222に向かって延びる第2腕部82と、ダンパハウジング110に向かって延びる第3腕部83と、第1腕部81の左側端部、第2腕部82の前端部、及び第3腕部83の右側端部が集合した集合部84とを有する。つまり、取付ブラケット80は、DCDCコンバータ部223と発電用インバータ部222とを跨ぐように形成されている。また、取付ブラケット80は、制御ユニット20とダンパハウジング110とを跨ぐように形成されている。
【0055】
第1腕部81は、図8及び図10に示すように、集合部84から右側に向かって真っ直ぐに延びて、DCDCコンバータ部223の位置で、下側ハウジング202に沿って上側に向かって延びた後、上側フランジ201aに載置するように右側に向かって折り曲げられている。第1腕部81の右側端部は、上側フランジ201aに、ボルト62が上側から締結されることで固定されている。
【0056】
第2腕部82は、図8及び図11に示すように、集合部84から後側に向かって真っ直ぐに延びて、発電用インバータ部222の位置で、下側ハウジング202に沿って上側に向かって延びた後、上側フランジ201aに載置するように後側に向かって折り曲げられている。第2腕部82の後端部は、上側フランジ201aに、ボルト63が上側から締結されることで固定されている。
【0057】
第3腕部83は、図6及び図8に示すように、集合部84から左側に向かって真っ直ぐに延びた後、左側に向かって後側に傾斜して延びている。第3腕部83は、左側に向かって後側に傾斜した傾斜部83aの左側端部から再び左側に向かって真っ直ぐに延びている。図5及び図6に示すように、ダンパハウジング110の上部には、上側に向かって突出する上側突出部112が設けられており、第3腕部83は、上側突出部112の位置で上側に向かって延びた後、上側突出部112の頂部に載置するように左側に向かって折り曲げられている。第3腕部83の左側端部は、ダンパハウジング110の上側突出部112に、ボルト64が上側から締結されることで固定されている。
【0058】
取付ブラケット80における集合部84の位置及び傾斜部83aの左側端部の位置には、サブタンク40をマウント支持するためのマウント部材85がそれぞれ設けられている。マウント部材85は、図5に示すように、取付ブラケット80に固定されるファスナー85aと、ファスナー85aに取り付けられたマウントラバー85bとで構成されている。マウントラバー85bの外周部には溝部が形成されている。サブタンク40のタンク下部42の底部には、一対の爪部42aが形成されており、各爪部42aがマウントラバー85bの溝部と係合することで、サブタンク40が取付ブラケット80にマウント支持される。このように、サブタンク40が取付ブラケット80にマウント支持されることで、サブタンク40と取付ブラケット80との着脱が容易になる。
【0059】
図4に示すように、取付ブラケット80は、電気駆動ユニット10と上下に離間するように配設されている。このため、サブタンク40が取付ブラケット80にマウント支持されたときには、サブタンク40は、電気駆動ユニット10の上面との間に隙間が形成されるように配設される。このサブタンク40と電気駆動ユニット10との間の隙間には、電動パーキングロックアクチュエータ7が配設されている。これにより、電動パーキングロックアクチュエータ7が電気駆動ユニット10の上部に配設されるようになり、電動パーキングロックアクチュエータ7に故障が生じたときであっても、迅速に故障対応することができるようになる。
【0060】
図7図9に示すように、発電用インバータ部222の上部には、バッテリBからの電源電力をDCDCコンバータ23に伝達するためのハーネスH(図3参照)を支持するためのハーネスブラケット90が設けられている。ハーネスブラケット90は、上側ハウジング201に複数のボルト65により固定される固定部91と、固定部91の前側端部から上側に向かって延びかつ実際にハーネスHを支持するハーネス支持部92と、ハーネス支持部92の上端部から前側に向かって折り曲げられた折曲部93とを有する。
【0061】
図9及び図12に示すように、サブタンク40のタンク上部41は、後側かつ上側の稜部における左右の両端部に、後側に向かって突出する後側突出部45がそれぞれ設けられている。後側突出部45は、ハーネスブラケット90の折曲部93とボルト66により接続されている。具体的には、図12に示すように、ハーネスブラケット90の折曲部93は、各後側突出部45の下側にそれぞれ配置されて、後側突出部45に下側からボルト66及びナット67で固定されている(図12では、右側の後側突出部45と折曲部93との接続のみを示す)。これにより、サブタンク40の上部は、ハーネスブラケット90の折曲部93に取付支持される。
【0062】
このように、サブタンク40を下側及び上側から支持することにより、冷媒が供給されて重量が比較的大きくなった状態であっても、サブタンク40を適切に支持することができる。
【0063】
ハーネスHは、図12に示すように、ハーネスケース94に覆われた状態で、ハーネス支持部92とサブタンク40との間の位置に支持されている。ハーネスケース94は、上側ハウジング201の発電用インバータ部222における前面部よりも後側に位置している。
【0064】
ここで、車両1の前部には、複数の車両部品が配設されるため、車両1の前部にサブタンク40を配設する際には、その配設構造を簡易かつ出来る限りコンパクトにすることが求められている。これに対して、本実施形態によると、制御ユニット20は、上側から見て、DCDCコンバータ部223が駆動ユニットハウジング100の前側の部分と重複しかつモータ用インバータ部221及び発電用インバータ部222がDCDCコンバータ部223よりも後側で駆動ユニットハウジング100と重複するように、電気駆動ユニット10の上部に配設されており、DCDCコンバータ部223の側方(ここでは左側)でかつ発電用インバータ部222の前側には、上側から見て、駆動ユニットハウジング100の一部が露出した露出領域Rが形成されており、サブタンク40は、制御ユニット冷却用ラジエータ31の車両後側において、露出領域Rに制御ユニット20と車幅方向及び車両前後方向に相隣接して配設されている。これにより、制御ユニット20は、上側から見て、少なくとも一部がL字状をなすように配設され、サブタンク40は、制御ユニット20が形成するL字の内側に形成された露出領域Rに配設される。この結果、サブタンク40を出来る限りコンパクトに配設することができる。また、サブタンクが車幅方向及び前後方向の両方において、制御ユニット20と相隣接しているため、車両の前突時及び側突時の両方において、制御ユニット20とサブタンクとが一体的に移動する。これにより、サブタンク40の配設構造を簡単にすることができる。また、サブタンク40が制御ユニット冷却用ラジエータ31の近くに配設されるため、サブタンク40と制御ユニット冷却用ラジエータ31とを接続する配管の構造を簡単にすることができる。結果として、サブタンク40の配設構造を簡単にすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、電気駆動ユニット10の側方(ここでは左側)には、エンジンEが配設されており、露出領域Rは、車幅方向における、DCDCコンバータ部223とエンジンEとの間に位置しており、サブタンク40は、制御ユニット20を冷却する冷媒を貯留する第1サブタンク51と、エンジンEを冷却する冷媒を貯留する第2サブタンク52とが一体形成されているとともに、第1サブタンク51と第2サブタンク52とが車幅方向に並ぶように配設され、第1サブタンク51は、車幅方向におけるDCDCコンバータ部223に近い側に位置し、第2サブタンク52は、車幅方向におけるエンジンEに近い側に位置する。これにより、2種類のサブタンクが一体形成されて、露出領域Rに配設されることで、サブタンク40の配設構造をよりコンパクトにすることができる。また、第1サブタンク51を制御ユニット20と隣接させ、第2サブタンク52をエンジンEと隣接させることで、各サブタンク51,52と冷却対象との間の配管構造を簡単にすることができる。これにより、サブタンク40の配設構造をより簡単にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、露出領域Rには、サブタンク40を取り付けるための取付ブラケット80が配設されており、取付ブラケット80は、DCDCコンバータ部223及び発電用インバータ部222のそれぞれに固定されかつDCDCコンバータ部223と発電用インバータ部222とを跨ぐように形成されており、サブタンク40は、取付ブラケット80の上にマウント支持されている。これにより、サブタンク40を露出領域Rに安定して配置させることができる。この結果、サブタンク40の配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0067】
また、本実施形態では、サブタンク40は、タンク下部42に設けられた爪部42aが、取付ブラケット80に設けられたマウント部材85に係合することで、取付ブラケット80の上にマウント支持されている。これにより、サブタンク40と取付ブラケット80との着脱が容易になり、サービス性能を向上させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、取付ブラケット80は、制御ユニットハウジング200及びダンパハウジング110に、ボルト62~64が上側から締結されることで、制御ユニットハウジング200及びダンパハウジング110に取付固定されている。これにより、パワーユニットPが車両1の前部に配設された状態で、取付ブラケット80の着脱が容易になるため、サービス性能をより向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、制御ユニット20における発電用インバータ部222の上部には、電源電力を伝達するハーネスHを支持するためのハーネスブラケット90が設けられており、ハーネスブラケット90は、発電用インバータ部222への取付部分から上側に延びた後、前側に向かって延びており、サブタンク40の上部は、ハーネスブラケット90の前側の部分に取付支持されている。これにより、サブタンク40を露出領域Rにより安定して配置することができる。また、サブタンク40の自重による荷重を取付ブラケット80とハーネスブラケット90とで分散させることができるため、取付ブラケット80の大きさを出来る限り小さくすることができる。これにより、サブタンク40の配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、サブタンク40の上部には、後側に向かって突出する後側突出部45が設けられており、ハーネスブラケット90は、後側突出部45に下側からボルト66で固定されている。これにより、ハーネスブラケット90でサブタンク40の自重による荷重を適切に受けることができる。この結果、取付ブラケット80の大きさを小さくしやすくなり、サブタンク40の配設構造をよりコンパクトにすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、サブタンク40は、電気駆動ユニット10の上面との間に隙間が形成されるように配設されており、サブタンク40と電気駆動ユニット10との間の隙間には、電動パーキングロックアクチュエータ7が配設されている。これにより、サブタンク40と電気駆動ユニット10との隙間を有効活用して、電動パーキングロックアクチュエータ7を配設することができる。これにより、車両1の前部における車両部品の配設構造をコンパクトにすることができる。
【0072】
特に、電動パーキングロックアクチュエータ7の故障時には、電動パーキングロックアクチュエータ7によるパーキングロックの解除が優先される。本実施形態のように、サブタンク40と電気駆動ユニット10との間の隙間、すなわち、露出領域Rに設けられていれば、電動パーキングロックアクチュエータ7へのアクセスが容易になる。したがって、車両1のサービス性能を向上させることができる。
【0073】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0074】
例えば、前述の実施形態では、サブタンク40の上部は、ハーネスブラケット90により支持されていた。これに限らず、ハーネスブラケット90とは別に、サブタンク40の上部を支持するブラケットを配設してもよい。
【0075】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
ここに開示された技術は、電力を利用して車両を駆動する電気駆動ユニットと、電気駆動ユニットを制御する制御ユニットと、制御ユニットを冷却する冷媒を貯留するサブタンクとを、車両前部のパワーユニットルームに配設する際の、サブタンクの配設構造として有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 車両
2 パワーユニットルーム
10 電気駆動ユニット
11 駆動モータ
12 減速機
13 発電機
20 制御ユニット
31 制御ユニット冷却用ラジエータ
40 サブタンク
45 後側突出部
51 第1サブタンク
52 第2サブタンク
66 ボルト
80 取付ブラケット
90 ハーネスブラケット
100 駆動ユニットハウジング
221 モータ用インバータ部
222 発電用インバータ部
223 DCDCコンバータ部(電圧コンバータ部)
E エンジン
H ハーネス
R 露出領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12