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特開2023-53519竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053519
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/16 20060101AFI20230406BHJP
   B02C 13/18 20060101ALI20230406BHJP
   B02C 13/26 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B02C13/16
B02C13/18 Z
B02C13/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162601
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】595011238
【氏名又は名称】クボタ環境エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳彦
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065AA14
4D065AA16
4D065AA18
4D065BB03
4D065BB04
4D065BB07
4D065EB02
4D065EC02
4D065ED06
4D065ED29
4D065EE12
(57)【要約】
【課題】シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に配されたチョークリングを径方向外側に引き抜くことができる竪型破砕機のチョークリングの交換方法を提供する。
【解決手段】投入フードと、シェルと、破砕機構と、ディスチャージリングと、シェルとディスチャージリングとの間に配され、破砕機構との間で被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備え、投入フードとシェルとディスチャージリングとで中空空間を形成するとともに、中空空間を回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサを備えた竪型破砕機のチョークリングの交換方法であって、スペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除する挟持圧軽減工程と、挟持圧軽減工程の後にスペーサを取外すスペーサ離脱工程と、スペーサ離脱工程により確保された空間を用いてチョークリングを交換するチョークリング交換工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕対象物を投入する投入フードと、前記投入フードの下端に配置されたシェルと、前記シェルの中心に設けた回転軸の周りに回転する破砕機構と、前記シェルと前記破砕機構との間で破砕された被破砕物が落下するディスチャージリングと、前記シェルの下部フランジと前記ディスチャージリングの上部フランジとの間に配され、前記破砕機構との間で前記被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備えており、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングとで中空空間を形成するとともに、前記中空空間を前記回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサを備えた竪型破砕機のチョークリングの交換方法であって、
前記チョークリングの交換時に、前記スペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除する挟持圧軽減工程と、
前記挟持圧軽減工程の後に前記スペーサを取外すスペーサ離脱工程と、
前記スペーサ離脱工程により確保された空間を用いて前記チョークリングを交換するチョークリング交換工程と、
を含む竪型破砕機のチョークリングの交換方法。
【請求項2】
前記チョークリング交換工程は、前記スペーサ離脱工程により確保された前記拡張空間を利用して、前記ディスチャージリングの上部フランジから前記シェルの下部フランジとの間に、前記チョークリングを交換するために必要となる空間を確保して、前記チョークリングを交換する工程である請求項1記載の竪型破砕機のチョークリングの交換方法。
【請求項3】
チョークリング交換工程の後に、前記部材間に前記スペーサを装着して前記部材間の挟持圧を回復させるスペーサ組込工程を含む請求項1または2記載の竪型破砕機のチョークリングの交換方法。
【請求項4】
破砕対象物を投入する投入フードと、前記投入フードの下端に配置されたシェルと、前記シェルの中心に設けた回転軸の周りに回転する破砕機構と、前記シェルと前記破砕機構との間で破砕された被破砕物が落下するディスチャージリングと、前記シェルの下部フランジと前記ディスチャージリングの上部フランジとの間に配され、前記破砕機構との間で前記被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備えており、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングとで中空空間を形成する竪型破砕機であって、
前記中空空間を前記回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサを備えており、
前記スペーサは、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングを構成する各部材のうち、何れかの隣接する部材間または部材内に装着されている竪型破砕機。
【請求項5】
前記スペーサは、複数のスペーサ片に分割構成されている請求項4記載の竪型破砕機。
【請求項6】
前記スペーサの外側端縁に外方に突出する突出片部を備えている請求項5記載の竪型破砕機。
【請求項7】
前記スペーサの厚みは、少なくとも被破砕物の衝撃により先端側に生じる前記チョークリングの歪の想定最大変形代より厚く構成されている請求項4から6の何れかに記載の竪型破砕機。
【請求項8】
前記投入フードは、前記投入フードの周囲に設けた支持部を介して、前記竪型破砕機の周囲に構築された支持フレームに支持され、
前記スペーサは、前記投入フードの下部フランジと前記シェルの上部フランジとの間に装着されている請求項4から7の何れかに記載の竪型破砕機。
【請求項9】
前記投入フードは、前記投入フードの周囲に設けた支持部を介して、前記竪型破砕機の周囲に構築された支持フレームに支持された上部投入フードと、前記上部投入フードにフランジ接続された下部投入フードとで構成され、
前記スペーサは、上部投入フードの下部フランジと前記下部投入フードの上部フランジとの間に装着されている請求項4から7の何れかに記載の竪型破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄された家電製品、粗大・不燃ごみ、金属スクラップなどを破砕する竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の家電製品などの廃棄物を、資源として再利用するなどのために破砕処理する装置として竪型破砕機が用いられている。
【0003】
竪型破砕機は、破砕対象物を投入する投入フードと、投入フードの下端に配置されたシェルと、シェルの中心に設けた回転軸の周りに回転する破砕機構と、シェルと破砕機構との間で破砕された被破砕物が落下するディスチャージリングと、シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に配され、破砕機構との間で被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備えている。
【0004】
破砕機構は、回転軸周りに回転するロータと、ロータの上部に備えたブレーカとで構成され、ロータは上下三段に設置された円盤と、円盤の外周部で遊転自在に軸支された複数の破砕グラインダを備えている。破砕対象物はブレーカで粗破砕された後に、シェルの内側に備えたシェルライナと破砕グラインダとの間で細破砕される。
【0005】
特許文献1には、シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に可動チョークリングより肉厚の部材を介在して、分割された各可動チョークリングをそれぞれシェルの半径方向に進退自在とし、かつ、各可動チョークリングの外端を両フランジから外側に突出させ、その各可動チョークリングの前記突出端とシェルの外側とをねじ式あるいはシリンダ式のジャッキにより連結して、そのジャッキにより各可動チョークリングを前記半径方向に進退し得るようにした破砕機の粒度調整装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に半径方向へ進退動自在な可動チョークリングを複数箇所設け、この可動チョークリングの内周縁を複数の切欠きを有する櫛歯縁として形成し、各可動チョークリングにはこれを半径方向に進退動させる移動手段と、可動チョークリングを所定位置で上記下部フランジおよび上部フランジ間に一体に固定する固定手段を備えた破砕機の粒度調整機構が開示されている。
【0007】
そして、当該粒度調整機構は、可動チョークリングを櫛歯縁を有する上チョークリング板と円弧状の周縁を有する下チョークリング板の2枚のリング板から形成し、下チョークリング板の円弧状周縁を上チョークリング板の櫛歯縁の切欠きと任意の位置で重なるように下チョークリング板を上チョークリング板に対して移動自在に重ねて設け、ロータと櫛歯縁内周端との間を設定粒度以下の所定隙間に設定し、かつ粒度の微調整ができるように構成した破砕機の粒度調整機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5-74641号公報
【特許文献2】特開2003-117414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
何れもチョークリングを径方向に出退させることで、破砕機構の下端とチョークリングの内側先端縁との間に形成される空隙のサイズを調節して、当該空隙からディスチャージリングに落下する破砕物の粒度を調整するように構成されている。
【0010】
そして、チョークリングが摩耗すると、ディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジをジャッキアップして、両フランジ間に僅かな隙間を形成して、チョークリングを径方向外側に引き抜き、新たなチョークリングと交換していた。
【0011】
しかし、シェルライナと破砕機構との間で破砕された被破砕物がディスチャージリングに落下する際に、チョークリングの内側先端領域に被破砕物が落下衝突すると、経時的にチョークリングの内側先端が下方に傾斜する歪が生じるという現象がみられる場合があった。
【0012】
この場合、チョークリングを交換するために、歪の生じたチョークリングを径方向外側に引き抜こうとしても、チョークリングに生じた歪領域が両フランジ間に形成される僅かな隙間に引っ掛かって径方向外側に引き抜くとことができない、という問題が生じる。
【0013】
竪型破砕機に備えたシェルの直上には、大型で重量物である投入フードが設置され、竪型破砕機のフレームは基礎により拘束されているため、両フランジ間の隙間が十分に確保できるまでジャッキアップすることが困難なためである。
【0014】
そのような場合には、シェルの内部に設置した重量の破砕機構を、ホイストを用いて引き上げてシェルから取り除いた後に、作業者がシェルの内部に進入して、両フランジ間に形成された僅かな隙間からチョークリングを径方向内側に引き抜き、新たなチョークリングを装着し、その後に再度破砕機構をシェルの内部に設置する、という非常に煩雑な作業が必要となっていた。
【0015】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に必要な大きさの隙間を確保して、チョークリングを径方向外側に引き抜くことができる竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、本発明による竪型破砕機のチョークリングの交換方法の第一の特徴構成は、破砕対象物を投入する投入フードと、前記投入フードの下端に配置されたシェルと、前記シェルの中心に設けた回転軸の周りに回転する破砕機構と、前記シェルと前記破砕機構との間で破砕された被破砕物が落下するディスチャージリングと、前記シェルの下部フランジと前記ディスチャージリングの上部フランジとの間に配され、前記破砕機構との間で前記被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備えており、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングとで中空空間を形成するとともに、前記中空空間を前記回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサを備えた竪型破砕機におけるチョークリングの交換方法であって、前記チョークリングの交換時に、前記スペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除する挟持圧軽減工程と、前記挟持圧軽減工程の後に前記スペーサを取外すスペーサ離脱工程と、前記スペーサ離脱工程により確保された空間を用いて前記チョークリングを交換するチョークリング交換工程と、を含む点にある。
【0017】
投入フードとシェルとディスチャージリングとで形成される中空空間を、スペーサを介して回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成しておけば、チョークリングの交換時に、挟持圧軽減工程を実行してスペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除した後に、スペーサ離脱工程によりスペーサを取外すと、スペーサにより確保された拡張空間だけディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを余分に持ち上げ可能な空間が確保できる。つまり、スペーサの厚みだけ隙間が広がることになり、径方向内側先端部に歪が生じたチョークリングであっても、径方向外側に引き抜くことができるようになる。
【0018】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記チョークリング交換工程は、前記スペーサ離脱工程により確保された前記拡張空間を利用して、前記ディスチャージリングの上部フランジから前記シェルの下部フランジとの間に、前記チョークリングを交換するために必要となる空間を確保して、前記チョークリングを交換する工程である点にある。
【0019】
拡張空間を形成するスペーサが、投入フードとシェルとディスチャージリングとで形成される中空空間の何れに配置されていても、スペーサにより確保された拡張空間だけディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを余分に持ち上げ可能な空間が確保でき、先端が下方に屈曲したチョークリングであっても径方向外方に引き抜くために必要な隙間を確保することができる。
【0020】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、チョークリング交換工程の後に、前記部材間に前記スペーサを装着して前記部材間の挟持圧を回復させるスペーサ組込工程を含む点にある。
【0021】
チョークリングを交換した後に、挟持圧軽減工程で挟持圧を軽減または解除した部材間にスペーサを装着して、部材間の挟持圧を回復させることで、スペーサの交換作業が終了する。
【0022】
本発明による竪型破砕機の第一の特徴構成は、破砕対象物を投入する投入フードと、前記投入フードの下端に配置されたシェルと、前記シェルの中心に設けた回転軸の周りに回転する破砕機構と、前記シェルと前記破砕機構との間で破砕された被破砕物が落下するディスチャージリングと、前記シェルの下部フランジと前記ディスチャージリングの上部フランジとの間に配され、前記破砕機構との間で前記被破砕物が落下する隙間を形成するチョークリングと、を備えており、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングとで中空空間を形成する竪型破砕機であって、前記中空空間を前記回転軸に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサを備えており、前記スペーサは、前記投入フードと前記シェルと前記ディスチャージリングを構成する各部材のうち、何れかの隣接する部材間または部材内に装着されている点にある。
【0023】
破砕処理により先端が下方に屈曲したチョークリングを交換するために、シェルの下部フランジと前記ディスチャージリングの上部フランジとの間に十分な隙間を確保する必要がある。しかし、シェルの直上に配され、支持フレームを介して固定された投入フードを含めて、ディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを持ち上げるのは困難である。そのような場合に、投入フードとシェルとディスチャージリングを構成する各部材のうち、何れかの隣接する部材間または部材内にチョークリングを交換するために必要となる空間を確保するスペーサを装着しておけば、当該スペーサを取り除くことで形成される空間だけディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを持ち上げる持ち上げ代を確保することができる。
【0024】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記スペーサは、複数のスペーサ片に分割構成されている点にある。
【0025】
スペーサは、投入フードとシェルとディスチャージリングとで形成される中空空間を回転軸に沿う方向へ拡張する部材であり、一体で構成すると非常に大型で大重量の部材となり、スペーサを装着または離脱する作業自体が重機などを要する非常に手間の掛るものとなる。しかし、複数のスペーサ片に分割構成しておけば、各スペーサ片は小型で軽量に形成できるので、作業性が向上する。
【0026】
同第三の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記スペーサの外側端縁に外方に突出する突出片部を備えている点にある。
【0027】
通常の使用状態ではスペーサが上下から挟持する部材で圧接された状態であるので、スペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除しても、スペーサが上下の部材に固着して容易に離脱することができない場合もある。しかし、スペーサの外側端縁に外方に突出する突出片部を形成しておけば、当該突出片部に打撃などの機械的力を加え、或いは当該突出片部に工具を絡ませるなどして、スペーサを離脱させることができる。
【0028】
同第四の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記スペーサの厚みは、少なくとも被破砕物の衝撃により先端側に生じる前記チョークリングの歪の想定最大変形代より厚く構成されている点にある。
【0029】
スペーサの厚みを、チョークリングの歪の想定最大変形代より厚く形成しておくことにより、チョークリングを径方向外方に適切に引き抜くことができる。
【0030】
同第五の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記投入フードは、前記投入フードの周囲に設けた支持部を介して、前記竪型破砕機の周囲に構築された支持フレームに支持され、前記スペーサは、前記投入フードの下部フランジと前記シェルの上部フランジとの間に装着されている点にある。
【0031】
重量物である投入フードを支持フレームに支持することで、支持フレームに対して投入フードを上方に持ち上げることができ、投入フードの下部フランジとシェルの上部フランジとの間に装着したスペーサを容易く取り外すことができ、当該スペーサが占めていた空間を、ディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを持ち上げるための空間として利用することができる。
【0032】
同第六の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記投入フードは、前記投入フードの周囲に設けた支持部を介して、前記竪型破砕機の周囲に構築された支持フレームに支持された上部投入フードと、前記上部投入フードにフランジ接続された下部投入フードとで構成され、前記スペーサは、上部投入フードの下部フランジと前記下部投入フードの上部フランジとの間に装着されている点にある。
【0033】
重量物である投入フードを支持フレームに支持することで、支持フレームに対して投入フードを上方に持ち上げることができ、投入フードの下部フランジと下部投入フードの上部フランジとの間に装着したスペーサを容易く取り外すことができ、当該スペーサが占めていた空間を、ディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジを持ち上げるための空間として利用することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明した通り、本発明によれば、シェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に必要な大きさの隙間を確保して、チョークリングを径方向外側に引き抜くことができる竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】竪型破砕機の一部切欠き説明図
図2】竪型破砕機の要部の縦断面を示す説明図
図3】スペーサがシェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に配置された竪型破砕機の要部の縦断面を示す説明図
図4】スペーサがシェルの下部フランジとディスチャージリングの上部フランジとの間に配置された竪型破砕機の要部の横断面を示す説明図
図5】(a)は図4に示すスペーサをハッチングした要部の横断面を示す説明図、(b)はスペーサの平面図
図6】(a)はシェルの下部フランジとチョークリングとの間にスペーサが配置された状態を示す要部断面図、(b)はスペーサを配置する前の状態を示す要部断面図
図7】(a)~(c)は態様が異なるチョークリングとスペーサの設置状態を示す要部説明図
図8】竪型破砕機の背面視の概略の説明図
図9】竪型破砕機の側面視の概略の説明図スペーサSPは、投入フード40の下部フランジ40Aとシェル7の上部フランジ7Bとの間に装着されている。
図10】(a)はシェルの上部フランジの平面図、(b)はシェルの上部フランジの周方向に分割形成されたスペーサの平面図、(c)はシェルの上部フランジの上面に配されたスペーサの平面図、(d)は投入フードの下部フランジとシェルの上部フランジとの間にガスケットを介してボルトで締結されたスペーサを示す要部の断面図
図11】(a)は下部投入フードの上部フランジの平面図、(b)は下部投入フードの上部フランジの周方向に分割形成されたスペーサの平面図、(c)は下部投入フードの上部フランジの上面に配されたスペーサの平面図、(d)は上部投入フードの下部フランジと下部投入フードの上部フランジとの間にガスケットを介してボルトで締結されたスペーサを示す要部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明による竪型破砕機のチョークリングの交換方法および竪型破砕機を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、竪型破砕機1は、大型の家電製品などの廃棄物を資源として再利用するなどのために破砕処理する装置である。竪型破砕機1は、コンクリート製の床に固定された装置フレーム2に、破砕処理部5と、破砕処理部5を駆動する電動モータ3などを備えている。
【0037】
破砕処理部5は、装置フレーム2に固定された筒状のディスチャージリング6と、ディスチャージリング6の上部に配置された筒状のシェル7と、シェル7の中心部に配置された回転軸4に取付けた破砕機構8などを備えている。回転軸4は、電動モータ3にベルトなどの動力伝達機構を介して駆動連結されている。
【0038】
シェル7の上部には投入フード40が設けられ、ベルト式のコンベア機構(図示せず)により搬送された破砕対象物が投入フード40の側壁に形成された投入口11からシェル7に落下投入される。なお、投入フード40の天面には爆風排除ダクト12が設けられ、投入フード40の背面には破砕機構8を吊り上げるホイストなどのクレーン機構を持ち込む開閉扉(図示せず)を備えている。
【0039】
竪型破砕機1の周囲には、複数本の縦フレームF1と、縦フレームF1間に掛け渡された複数本の横フレームFとで構成される支持フレームFが構築されている。複数の横フレームF2の間には、作業者の足場となる床部材(図示していない)が載置されている。横フレームF2として例えばH型鋼などが用いられている。そのような支持フレームFの一部に、重量物である投入フード40が支持部を介して支持されている。なお、図1に示す支持フレームFは理解を容易にするための例示であり、実際に設置された支持フレームFの構成とは異なる。
【0040】
図2には、破砕処理部5の縦断面が例示されている。シェル7は下方から上方にかけて次第に拡径する円筒形状に形成され、内側には複数のシェルライナ13が所定の間隔で配置されている。シェルは一般構造用圧延鋼材SSで構成され、シェルライナ13は耐摩耗鋳物で構成されている。なお、本実施形態では、シェル7との表現は、シェルライナ13を含む概念で使用している。
【0041】
破砕機構8は、回転軸4周りに回転するロータ17と、ロータ17の上部に備えたブレーカ14とで構成されている。ブレーカ14は、回転軸4から径方向に延出形成された一対のブレーカアーム15,16を備えている。ロータ17は上下三段に設置された円盤18を備え、円盤18の外周部で複数の破砕グラインダ19が遊転自在に軸支されている。
【0042】
ブレーカ14およびロータ17が回転軸4と一体に回転することで、シェル7の内部に投入された破砕対象物が先ずブレーカアーム15,16で打撃されて粗破砕され、続いて粗破砕物がロータ17に備えた破砕グラインダ19とシェルライナ13との間で細破砕される。なお、シェルライナ13は、シェル7の内側に配され、破砕機構との間で被破砕物を破砕する構造物であれば、シェル7の内側を被覆するように配した構造物に限らず、シェル7の内側から径方向内側に突出するような突起物を備えていてもよい。
【0043】
シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6Aとの間にチョークリング20が設置されている。被破砕物CMは、ロータ17の最下段の円盤18とその外周に配置されたチョークリング20との間に形成される空隙Sからディスチャージリング6に落下する。ディスチャージリング6に落下した被破砕物CMは、ディスチャージリング6に設置され回転軸4と一体に回転するスイーパ6Sによってディスチャージリング50の内部で掃引されて、ディスチャージリング6の側壁の形成された開口から装置フレーム2に形成された排出口60へ排出される。
【0044】
被破砕物CMがディスチャージリング6に落下する際に、チョークリング20の内側先端領域に被破砕物CMが落下衝突することにより、経時的にチョークリング20の内側先端が下方に傾斜する歪が生じる。歪により空隙Sのサイズが大きくなると、被破砕物CMの粒径が大きくなる虞があるため、歪の無いチョークリング20と交換する必要が生じる。なお、歪が生じたチョークリング20は、交換後に板金や肉盛りなどの処理により修復して再利用することができる。
【0045】
チョークリング20を交換するために、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aからシェル7の下部フランジ7Aを持ち上げることにより、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aとシェル7の下部フランジ7Aとの間に僅かな空間(隙間)を形成して、当該空間(隙間)を介してチョークリング20を径方向外側に引き抜くことになる。
【0046】
しかし、チョークリング20の内側先端が下方に傾斜していると、チョークリング20に生じた歪領域が両フランジ間に形成された僅かな隙間に引っ掛かって、チョークリング20を径方向外側に引き抜くとことができない。
【0047】
そのため、竪型破砕機1は、投入フード40とシェル7とディスチャージリング6とで形成される筒状の中空空間を、回転軸4に沿う方向へ拡張する拡張空間を形成するスペーサSPを備えている。
【0048】
チョークリング20の交換時には、先ずスペーサSPを取り除き、スペーサSPにより確保されている空間を利用して、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aとシェル7の下部フランジ7Aとの間に隙間を形成し、その隙間からチョークリング20を引く抜くことになる。以下、具体的に説明する。
【0049】
[スペーサの第1の態様]
以下に第1の態様を説明する。
図3には、スペーサを備えた竪型破砕機1の要部の縦断面が示され、図4には、竪型破砕機1の要部の横断面が示されている。図4では、シェル7の内部に備えた破砕機構8が省略されている。また、図5(a)は、図4に示すスペーサSPをハッチングした横断面の要部が示されている。
【0050】
図3に示すように、シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6Aとの間にスペーサSPを装着している。本実施形態では、チョークリング20の上面にスペーサSPが配置されているが、スペーサSPは、チョークリング20の上方または下方の何れに配してもよい。
【0051】
図4および図5(a)に示すように、シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6Aとの間に、平面視で略三角形のチョークリングガイド22が60°の間隔で6箇所に設けられ、各チョークリングガイド22の間に平面視が略矩形の6枚のチョークリング20およびスペーサSPが重畳配置されている。なお、チョークリングガイド22およびチョークリング20の数は特に6枚に限定されるものではない。
【0052】
チョークリングガイド22は、チョークリング20の抜き差し方向をガイドするとともに、シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6Aとの間を一定距離に保持するディスタンスピースの役目をする部材であり、ボルトにより下部フランジ7Aに締付固定されている。チョークリングガイド22の厚みはチョークリング20およびスペーサSPを合わせた厚みと同じ厚みに設定されている。
【0053】
チョークリング20は平面視で略矩形形状の平板でなり、両側辺は互いに平行に形成されている。さらに、チョークリング20の径方向内縁部はロータ17に備えた円盤18の外周との間に僅かな隙間が形成されるように弧状に形成されるとともに弧状部に櫛歯状の多数の切欠き20Cが形成されている。
【0054】
チョークリング20は、位置調節機構30により上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間でチョークリングガイド22の左右側部に沿って径方向に出退可能に取り付けられ、チョークリング20の径方向内縁に形成された櫛歯とロータ17に備えた最下段の円盤18の外縁との隙間Sが調整され、隙間Sから落下する程度に被破砕物CMの破砕粒径が調節される。
【0055】
各チョークリング20には、両側辺と平行に左右一対の長孔20Aが穿設されるとともに、一対の長孔20Aの間に長孔20Aより大径の長孔20Bが穿設されている。一対の長孔20Aは、破砕時の衝撃でチョークリング20が移動しないようにボルト23とナット24を介して両フランジ6A,7Aの間で締付固定するためのボルト挿通孔となる(図3参照。)。
【0056】
長孔20Bは、シェル7を持上げるためのジャッキボルト25を挿通するための挿通孔となる。シェル7の下部フランジ7Aに穿設されたねじ孔にジャッキボルト25を螺合させ、ジャッキボルト25の下端が長孔20Bを挿通してディスチャージリング6の上部フランジ6Aに当接させる。この状態で、さらにジャッキボルト25を回転させることにより上部フランジ6Aから下部フランジ7A、つまりシェル7が持上げられる(図3参照。)。このようにしてチョークリング20に掛る荷重を無くした状態で、チョークリング20の半径方向位置を調整できるように、長孔20Aおよび長孔20Bが形成されている。
【0057】
位置調節機構30は、下部フランジ7Aに溶着された基部31に回転自在に保持されたねじボルト32と、ねじボルト32に螺合された移動コマ33を備え、移動コマ33が取付部34を介してチョークリング20に固定されている。ねじボルト32は基部31に対して回転自在であるが、水平方向への移動はできないように保持されている。ねじボルト32の頭部をレンチのような工具で回転させるとねじボルト32に螺合する移動コマ33が水平方向に移動し、これによって移動コマ33が取り付けられているチョークリング20が半径方向に移動するように構成されている。
【0058】
上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間には、チョークリング20に加えてチョークリング20の引抜代を確保するスペーサSPが設けられている。上述したように、チョークリング20は位置調節機構30により上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間で径方向に出退可能に構成され、スペーサSPはチョークリング20に重畳して配置されるとともに上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間で位置決め固定されている。
【0059】
図5(a),(b)に示すように、スペーサSPは径方向内側および外側が弧状に形成され、左右端部がチョークリング20の左右端部と合致するように平行に形成されている。スペーサSPの径方向外側には、下部フランジ7Aの外側端縁より外側に突出する二つの突出片部SP5が形成されている。さらに、上述したボルト23およびジャッキボルト25が挿通可能な開孔SP3,SP4が形成されている。
【0060】
チョークリング20に形成された長孔20A,20Bと異なり、スペーサSPに形成された開孔SP3,SP4は丸孔であるために径方向への移動は阻止され、下部フランジ7Aと上部フランジ6Aとの間の所定位置に位置決め固定される。
【0061】
この例では、スペーサSPの径方向の内側縁部SP1は下部フランジ7Aの内縁と面一またはやや突出した位置で、被破砕物CMが衝突することがない位置に固定されている。また、スペーサSPの径方向の外側縁部SP2は下部フランジ7Aの外側縁と面一になるように固定され、突出片部SP5が下部フランジ7Aの外側縁から突出するように配置されている。なお、スペーサSPの径方向の内側縁部SP1は下部フランジ7Aの内縁より径方向外側に引退していてもよい。この場合、スペーサSPの径方向に沿う幅は、下部フランジ7Aおよび上部フランジ6Aの径方向の幅の半分程度までの幅に構成しておけばよい。
【0062】
図6(a),(b)に示すように、チョークリング20の内側縁部が下方に歪むと、上述したジャッキボルト25を用いてシェル1を持上げることで、下部フランジ7Aと上部フランジ6Aとの間に隙間を形成して、チョークリング20を径方向外側に引き抜き、新たなチョークリング20と交換する作業が必要になる。
【0063】
下部フランジ7Aと上部フランジ6Aとの間に形成される隙間は1mmから2mm程度に過ぎないため、歪んだ部位が引っ掛かって引抜が困難となる場合が生じる。そのような場合でも、予め下部フランジ7Aと上部フランジ6Aとの間にスペーサSPを介在させると、スペーサSPを取り除くことにより、下部フランジ7Aと上部フランジ6Aとの隙間がスペーサSPの厚みだけ広くなり、良好にチョークリング20を引き抜くことができるようになる。
【0064】
本実施形態では、チョークリング20は耐摩耗鋼板で構成され、その厚みは25mmに設定されている。また、スペーサSPはSUSで構成され、その厚みは5mmに設定されている。
【0065】
スペーサSPの厚みは、少なくとも被破砕物CMの衝撃により先端側に生じるチョークリング20の歪の想定最大変形代より厚く構成されていればよい。なお、想定最大変形代は、竪型破砕機1の破砕容量、竪型破砕機1で破砕される破砕対象物の種類、チョークリング20の材質や厚みにより定まる値であり、固定値ではない。例えば、2mmから10mmの範囲、好ましくは4mmから6mmの範囲に設定される。スペーサSPの厚みは、後述する第2の態様、第3の態様も同様である。
【0066】
チョークリング20の交換時には、6枚のチョークリング20の其々にジャッキボルト25を挿通して、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aからシェル7を均等に持ち上げ、交換対象となるチョークリング20に備えた位置調節機構30を取り外す。
【0067】
その後、ジャッキボルト25を引き抜き、さらにスペーサSPを取り外して隙間を広げた後に、チョークリング20の交換作業を行なう。スペーサSPが下部フランジ7Aやチョークリング20に密着している場合には、突出片部SP5に形成された孔部に治具を挿通して引張力を加え、或いは突出片部SP5に機械的衝撃を与えることで容易に密着状態が解消できる。
【0068】
チョークリング20を交換すると、再度スペーサSPを装着するとともに位置調節機構30を組み付けて、位置調節機構30によりチョークリング20を所定位置に位置決めした後に、ジャッキボルト25を挿通して上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間の隙間を維持した後に、他のスペーサSPに対して、同様の作業を繰り返す。
【0069】
なお、ジャッキボルト25に代えて、小型の油圧ジャッキを用いてシェル7を均等に持ち上げることも可能である。この場合、中心角が略120度となる3か所に油圧ジャッキを設置することが好ましい。
【0070】
上述した実施形態では、図7(a)に示すように、径方向内縁部に櫛歯状の切欠き20Cが形成された一枚物のチョークリング20を備えた態様を説明したが、チョークリング20の構成はこの例に限るものではない。
【0071】
例えば、図7(b)に示すように、櫛歯状の切欠き20Cを備えず、径方向内縁部に単に弧状に形成されたチョークリング20であっても、同様にスペーサSPを重畳することができる。また、図7(c)に示すように、上下に二枚のチョークリング20を備え、上側チョークリングが図7(a)に示したチョークリング20と同様の構成のチョークリングで構成し、下側に備えたチョークリングが図7(b)に示したチョークリング20と同様の構成の、径方向内縁部に単に弧状に形成されたチョークリングで構成し、下側に備えたチョークリングにより櫛歯状の切欠き20Cの深さを調整するように構成することもできる。
【0072】
[スペーサの第2の態様]
以下に第2の態様を説明する。
図8および図9に示すように、投入フード40は、シェル7の直上に設置される。投入フード40は、筒状の側壁の周囲に設けた複数の支持部41を介して、竪型破砕機1の周囲に構築された支持フレームF(横フレーム)に支持され、ボルトB1とナットN1で固定されている。
【0073】
スペーサSPは、投入フード40の下部フランジ40Aとシェル7の上部フランジ7Bとの間に装着されている。
【0074】
図10(a)から(d)に示すように、シェル7の上部フランジ7Bは、平面視で円環状に形成され、固定用のボルト孔7hが周方向に複数設けられている。投入フード40の下部フランジ10Aも、同様に平面視で円環状に形成され、ボルト孔7hに対応する位置にボルト孔が設けられている。
【0075】
シェル7の上部フランジ7Bの上面に沿って、周方向に複数のスペーサ片に分割形成されたスペーサSPが配置される。スペーサSPは、径方向内側SP1および外側SP2が弧状に形成され、外側が上部フランジ7Bの外面と面一になるように、また内側が上部フランジ7Bの内面より僅かに引退した位置になるように、径方向の幅が設定されている。また、左右の端縁が径方向に沿う形状に形成されている。
【0076】
スペーサSPの径方向外側には、上部フランジ7Bの外側端縁より外側に突出する二つの突出片部SP5が形成されている。突出片部SP5の数は特に限定されるものではない。さらに、スペーサSPの径方向内側には上述したボルトが挿通可能な開放端を備えた切欠きSP6が形成されている。
【0077】
スペーサSPは、シェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40Aとの間に、ガスケット40Pを介して上下から挟まれるように配置され、ボルトB2とナットN2で締付固定されている。
【0078】
スペーサSPをシェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40Aとの間から取り外す場合には、先ず、締付固定されたボルトB2を緩め、次に、支持フレームF(横フレーム)に支持部41を固定したボルトB1を緩める。その後、例えばホイストなどの牽引具を用いて投入フード40を支持フレームF(横フレーム)から吊り上げる。これにより、スペーサSPを挟持する部材であるシェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40A間の挟持圧が軽減または解除される。
【0079】
その後、スペーサSPを径方向外方に引き出して取り外すことで、シェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40Aとの間に空間を確保する。スペーサSPが下部フランジ40Aや上部フランジ7Bに密着している場合には、突出片部SP5に形成された孔部に治具を挿通して引張力を加え、或いは突出片部SP5に機械的衝撃を与えることで容易に密着状態が解消できる。
【0080】
さらに、第1の態様で説明したように、シェル7の下部フランジ7Aに形成されたジャッキボルト25用のねじ孔のそれぞれにジャッキボルト25をねじ込むことにより、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aからシェル7を均等に持ち上げ、交換対象となるチョークリング20に備えた位置調節機構30を取り外す。このとき、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aとシェル7の下部フランジ7Aの間には、スペーサSPの厚みと同等の厚みの隙間が形成されることになる。
【0081】
その後、ジャッキボルト25を引き抜き、一つのチョークリング20の交換作業を行なう。一つのチョークリング20を交換すると、再度位置調節機構30を組み付けて、位置調節機構30によりチョークリング20を所定位置に位置決めした後に、ジャッキボルト25を挿通して上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間の隙間を維持した後に、他のチョークリング20に対して、同様の作業を繰り返す。
【0082】
交換作業が終了すると、ジャッキボルト25を取り外して、シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6AとをボルトB2で締め付ける。
次に、シェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40Aとの間に、取り外した全てのスペーサSPを挿入して、ホイストなどを用いて吊り上げた投入フード40を引き下げる。シェル7の上部フランジ7Bと投入フード40の下部フランジ40Aとを各ボルトB2とナットN2で締付固定し、さらに、支持部41を支持フレームF(横フレーム)にボルトB1とナットN1で締付固定する。
【0083】
[スペーサの第3の態様]
以下に第3の態様を説明する。
図8及び図9に示すように、シェル7の直上に配される投入フード40は、投入フード40の周囲に設けた複数の支持部41を介して、竪型破砕機1の周囲に構築された支持フレームF(横フレームF2)に支持され、ボルトB1とナットN1で固定されている。投入フード40の構成は、スペーサSPの設置位置を除いて、上述した第2の態様と同じである。
【0084】
投入フード40は、上部投入フード44と下部投入フード46とに分割構成され、上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間に、スペーサSPが装着されている。
【0085】
図11(a)から(d)に示すように、下部投入フード46の上部フランジ46Bは、平面視で円環状部461と、破砕対象物を搬送するコンベア機構の搬入部となる矩形部462が連結された鍵穴形状に形成され、固定用のボルト孔46hが周方向に複数設けられている。上部投入フード44の下部フランジ44Aも、同様に平面視で円環状部と矩形部が連結された鍵穴形状に形成され、ボルト孔46hに対応する位置にボルト孔が設けられている。
【0086】
下部投入フード46の上部フランジ46Bの上面に沿って、周方向に複数のスペーサ片に分割形成されたスペーサSPが配置される。円環状部461に配されるスペーサSPは、径方向内側SP1および外側SP2が弧状に形成され、外側が上部フランジ7Bの外面と面一になるように、また内側が上部フランジ7Bの内面より僅かに引退した位置になるように形成されている。
【0087】
矩形部462に配されるスペーサSPは、平面視で矩形形状に形成され、外側が上部フランジ46Bの外面と面一になるように、また内側が上部フランジ46Bの内面より僅かに引退した位置になるように形成されている。
【0088】
各スペーサSPの径方向外側には、上部フランジ46Bの外側端縁より外側に突出する二つの突出片部SP5が形成されている。突出片部SP5の数は特に限定されるものではない。さらに、各スペーサSPの径方向内側には上述したボルトが挿通可能な開放端を備えた切欠きSP6が形成されている。
【0089】
図11(c)に示すように、スペーサSPは、上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間に、ガスケット46Pを介して上下から挟まれるようにして挿入され、ボルトB3とナットN3で締付固定されている。
【0090】
スペーサSPを上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間から取り出す場合には、先ず、締付固定されたボルトB3を緩め、次に、支持フレームF(横フレーム)に支持部41を固定したボルトB1を緩める。その後、例えばホイストなどの牽引具を用いて投入フード40を支持フレームF(横フレーム)から吊り上げる。これにより、スペーサSPを挟持する部材である上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間の挟持圧が軽減または解除される。
【0091】
その後、スペーサSPを径方向外方に引き出して取り外すことで、上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間に空間を確保する。スペーサSPが下部フランジ44Aや上部フランジ46Bに密着している場合には、突出片部SP5に形成された孔部に治具を挿通して引張力を加え、或いは突出片部SP5に機械的衝撃を与えることで容易に密着状態が解消できる。
【0092】
さらに、第1の態様で説明したように、シェル7の下部フランジ7Aに形成されたジャッキボルト25用のねじ孔のそれぞれにジャッキボルト25をねじ込むことにより、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aからシェル7を均等に持ち上げ、交換対象となるチョークリング20に備えた位置調節機構30を取り外す。このとき、ディスチャージリング6の上部フランジ6Aとシェル7の下部フランジ7Aの間には、スペーサSPの厚みと同等の厚みの隙間が形成されることになる。
【0093】
その後、ジャッキボルト25を引き抜き、一つのチョークリング20の交換作業を行なう。一つのチョークリング20を交換すると、再度位置調節機構30を組み付けて、位置調節機構30によりチョークリング20を所定位置に位置決めした後に、ジャッキボルト25を挿通して上部フランジ6Aと下部フランジ7Aとの間の隙間を維持した後に、他のチョークリング20に対して、同様の作業を繰り返す。
【0094】
交換作業が終了すると、ジャッキボルト25を取り外して、シェル7の下部フランジ7Aとディスチャージリング6の上部フランジ6AとをボルトB2で締め付ける。
次に、上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとの間に、取り外した全てのスペーサSPを挿入して、ホイストなどを用いて吊り上げた投入フード40を引き下げる。上部投入フード44の下部フランジ44Aと下部投入フード46の上部フランジ46Bとを各ボルトB3とナットN3で締付固定し、さらに、支持部41を支持フレームF(横フレーム)にボルトB1とナットN1で締付固定する。
【0095】
上述した第2および第3の態様では、スペーサSPがガスケットを介してフランジ間に装着される例を説明したが、ガスケットのみでスペーサSPとしての機能を発揮させる構成であってもよい。ガスケットを構成する材料として硬質の樹脂を好適に用いることができる。
【0096】
上述した第1から第3の態様で説明した何れの態様のスペーサであっても、適切にチョークリング20の交換作業を行なうことができる。すなわち、スペーサSPは、投入フード40とシェル7とディスチャージリング6を構成する各部材6,7,10のうち、何れかの隣接する部材間または部材内に装着されていればよい。
【0097】
以上の通り、本発明による竪型破砕機のチョークリングの交換方法は、チョークリングの交換時に、スペーサを挟持する部材間の挟持圧を軽減または解除する挟持圧軽減工程と、挟持圧軽減工程の後にスペーサを取外すスペーサ離脱工程と、スペーサ離脱工程により確保された空間を用いてチョークリングを交換するチョークリング交換工程と、を含む。
【0098】
そして、チョークリング交換工程は、スペーサ離脱工程により確保された拡張空間を利用して、ディスチャージリングの上部フランジからシェルの下部フランジとの間に、チョークリングを交換するために必要となる空間を確保して、チョークリングを交換する工程である。
【0099】
また、チョークリング交換工程の後に、部材間にスペーサを装着して部材間の挟持圧を回復させるスペーサ組込工程を含む。
【0100】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各部の具体的な構造、形状、サイズなどを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
1:竪型破砕機
2:装置フレーム
3:電動モータ
4:回転軸4
5:破砕処理部
6:ディスチャージリング
6A:上部フランジ
60:排出口
7:シェル
7A:シェルの下部フランジ
7B:シェルの上部フランジ
8:破砕機構
13:シェルライナ
14:ブレーカ
15,16:ブレーカアーム
17:ロータ
18:円盤
19:破砕グラインダ
20:チョークリング
40:投入フード
40A:投入フードの下部フランジ
40Aとシェル7の上部フランジ7Bとの間に装
40P:ガスケット
44:上部投入フード
44A:上部投入フードの下部フランジ
46:下部投入フード
46P:ガスケット
46B:下部投入フードの上部フランジ
SP:スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11