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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023053527
(43)【公開日】2023-04-13
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A41B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162611
(22)【出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】500412529
【氏名又は名称】株式会社ホリホック
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】浦井 博幸
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA02
3B018AC08
3B018AD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、足のくるぶし下方から土踏まずまで密着することで位置ずれ、しわ、たるみの発生を防止するとともに、足全体に対するフィット感を向上させた靴下を提供する。
【解決手段】靴下のかかと部3は、足のかかと周辺のくるぶし下方を覆う上方部10と、かかとを密着して覆う中央部20と、足裏の土踏まずを覆う前方部30と、を有し、上方部10は、くるぶし下方に沿って密着して覆うために、第1の目数減少領域11と、第1の筒編領域12と、第2の目数減少領域13と、から形成されることを特徴とする靴下。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はき口からつま先部にかけて全体が略L字状になるように形成された靴下であって、
かかと部は、足のかかと周辺のくるぶし下方を覆う上方部と、かかとを密着して覆う中央部と、足裏の土踏まずを覆う前方部と、を有し、
前記上方部は、くるぶし下方に沿って密着して覆うために、第1の目数減少領域と、第1の筒編領域と、第2の目数減少領域と、から形成され、
前記中央部は、前記上方部の前記第2の目数減少領域から続いて第2の筒編領域と、目数増減領域と、第3の筒編領域と、から形成され、
前記前方部は、前記中央部の前記第3の筒編領域から続いて第3の目数増加領域から形成されることを特徴とする靴下。
【請求項2】
はき口からつま先部にかけて全体が略L字状になるように形成された靴下であって、
かかと部は、足のかかと周辺のくるぶし下方を覆う上方部と、かかとを密着して覆う中央部と、足裏の土踏まずを覆う前方部と、を有し、
前記上方部は、くるぶし下方に沿って密着して覆うために、第1の目数増加領域と、第1の筒編領域と、第2の目数減少領域と、から形成され、
前記中央部は、前記上方部の前記第2の目数減少領域から続いて第2の筒編領域と、目数増減領域と、第3の筒編領域と、から形成され、
前記前方部は、前記中央部の前記第3の筒編領域から続いて第3の目数増加領域から形成されることを特徴とする靴下。
【請求項3】
上方部の第1の目数減少領域の最大の横幅は、足甲側までに到達する長さを有するとともに、前方部の第3の目数増加領域の最大の横幅と同じ長さにすることを特徴とする請求項1記載の靴下。
【請求項4】
上方部の第2の目数減少領域の最大の横幅は、足甲側までに到達する長さを有するとともに、前方部の第3の目数増加領域の最大の横幅と同じ長さにすることを特徴とする請求項2記載の靴下。
【請求項5】
脚部は、かかと部近傍の編地にゴム糸を挿入したゴム編み領域を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の靴下。
【請求項6】
脚部は、膝下から足首まで覆う編地を有し、前記編地においてはき口からくるぶしの頂点を超えない部分までにゴム糸を挿入したゴム編み領域を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用中の位置ずれ、しわ、たるみを防止する構造を備えた靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足全体に対する締付けを少なくしながらフィットするように、はき口からつま先部にかけて略L字状に形成し、着用中の位置ずれやしわ、たるみの発生を防止する立体形状を形成した靴下が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1-4において、靴下のかかと部に編目の増加や減少する編地を組み合わせて立体形状を形成し、かかと周辺に位置ずれ、しわ、たるみを防止する構造を備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-242262号公報(特許第5204026号)
【特許文献2】特開2012-251290号公報(特許第5603387号)
【特許文献3】特開平6-346301号公報
【特許文献4】特開2014-148760号公報(特許第6171130号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した靴下において、かかと部周辺に位置ずれを防止する立体形状としたことによる構造のみでは、足の足甲、くるぶし、かかと、及び、土踏まずにおいて、位置ずれ、しわ、たるみが生じてしまう欠点を有するものであった。
【0006】
したがって、本発明は、足のくるぶし下方から土踏まずまでフィットする立体形状を形成し、位置ずれ、しわ、たるみの発生を防止するとともに、足に対してのフィット感を向上させた靴下を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、はき口からつま先部にかけて全体が略L字状になるように形成された靴下であって、
かかと部は、足のかかと周辺のくるぶし下方を覆う上方部と、かかとを密着して覆う中央部と、足裏の土踏まずを覆う前方部と、を有し、
前記上方部は、くるぶし下方に沿って密着して覆うために、第1の目数減少領域と、第1の筒編領域と、第2の目数減少領域と、から形成され、
前記中央部は、前記上方部の前記第2の目数減少領域から続いて第2の筒編領域と、目数増減領域と、第3の筒編領域と、から形成され、
前記前方部は、前記中央部の前記第3の筒編領域から続いて第3の目数増加領域から形成されることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、はき口からつま先部にかけて全体が略L字状になるように形成された靴下であって、
かかと部は、足のかかと周辺のくるぶし下方を覆う上方部と、かかとを密着して覆う中央部と、足裏の土踏まずを覆う前方部と、を有し、
前記上方部は、くるぶし下方に沿って密着して覆うために、第1の目数増加領域と、第1の筒編領域と、第2の目数減少領域と、から形成され、
前記中央部は、前記上方部の前記第2の目数減少領域から続いて第2の筒編領域と、目数増減領域と、第3の筒編領域と、から形成され、
前記前方部は、前記中央部の前記第3の筒編領域から続いて第3の目数増加領域から形成されることを特徴とするものである。
【0009】
また、上述した構成に加え、上方部の第1の目数減少領域の最大の横幅は、足甲側までに到達する長さを有するとともに、前方部の第3の目数増加領域の最大の横幅と同じ長さにすることが好ましい。
【0010】
また、上述した構成に加え、上方部の第2の目数減少領域の最大の横幅は、足甲側までに到達する長さを有するとともに、前方部の第3の目数増加領域の最大の横幅と同じ長さにすることが好ましい。
【0011】
また、上述した構成に加え、脚部は、かかと部近傍の編地にゴム糸を挿入したゴム編み領域を有することが好ましい。
【0012】
また、上述した構成に加え、脚部は、膝下から足首まで覆う編地を有し、前記編地においてはき口からくるぶしの頂点を超えない部分までにゴム糸を挿入したゴム編み領域を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、足のくるぶし下方から土踏まずまで密着することで着用中の位置ずれ、しわ、たるみの発生を防止するとともに、足全体に対するフィット感を向上させた靴下を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の靴下の一例を示す正面図である。
図2図1の靴下のかかと部周辺の展開図である。
図3図1の靴下を足にはかせた状態を示す(a)正面図、及び、(b)斜視図である。
図4】第2実施形態の靴下の一例を示す正面図である。
図5図4の靴下のかかと部周辺の展開図である。
図6図4の靴下を足にはかせた状態を示す(a)正面図、及び、(b)斜視図である。
図7】第3実施形態の靴下である図1の靴下の脚部にゴム編領域の構成を加えた状態を示す正面図である。
図8図7の靴下のかかと部周辺の展開図である。
図9図7の靴下を足にはかせた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る靴下について図1-3に基づいて詳細に説明する。なお、後述する靴下の立体形状を構成する編地は、筒編領域、目数増加領域、目数減少領域、及び、目数増減領域を組み合わせたものである。この筒編領域は、針釜を一定方向で回転運動させ、すべての針を編み立てに関与させることで筒状に形成した編地である。また、目数減少領域は、針釜を所定の回転角の範囲で往復回転運動させ、編み立てに関与させる針数を徐々に減少して目数を減らして形成した逆台形状の編地であり、目数増加領域は、針釜の所定の回転角の範囲で往復回転運動させ、編み立てに関与させる針数を徐々に増加して目数を増やして形成した台形状の編地である。また、目数増減領域は、上述した筒編領域を介さずに目数増加領域及び目数減少領域を組み合わせた編地である。
【0016】
靴下は、図1に示すように、はき口1と、膝下から足首まで覆う脚部2と、かかと周辺を覆うかかと部3と、足甲及び足裏を覆う本体部4と、つま先を覆うつま先部5と、を有し、はき口1からつま先部5にかけて全体が略L字状になるように形成されたものである。
【0017】
脚部2及び本体部4は、筒編領域から形成される。
つま先部5は、後述するかかと部3の中央部20と同様に、目数増減領域を組み合わせてなる編地を本体部4の前方側の開口を閉じるように縫着して形成される。
【0018】
かかと部3は、足のかかと周辺のくるぶしK下方を覆う上方部10と、かかとを密着して覆う中央部20と、足裏の土踏まずを覆う前方部30と、から形成される。
【0019】
かかと部3のより詳細な構造について図2の展開図に基づいて説明する。
上方部10は、くるぶしK下方に沿って密着して覆うために、第1の目数減少領域11と、第1の筒編領域12と、第2の目数減少領域13と、から形成される。
【0020】
この第1の目数減少領域11の脚部2側に位置する頂点AB間の最大の横幅W1は、第2の目数減少領域13の頂点CD間の最大の横幅W2に比べ大きく、足甲側までに到達する長さを有するとともに、後述する前方部30の第3の目数増加領域31の頂点GH間の最大の横幅W4と同じ長さとなるように形成する。このとき、第2の目数減少領域13の縦幅h2は、第1の目数減少領域11の縦幅h1の1から1.25倍程度の範囲の長さとすることが好ましい。
【0021】
この第1の筒編領域12は、第1の目数減少領域11及び第2の目数減少領域13の間をできるだけ近づけるようにできるだけ狭く形成することが好ましい。
【0022】
中央部20は、上方部10の第2の目数減少領域13から続いて第2の筒編領域21と、目数増減領域22と、第3の筒編領域23と、から形成される。
【0023】
目数増減領域22は、第2の筒編領域21に続いて目数を増加させた後に減少させた略六角形状の編地を2つ連続して形成される。この目数増減領域22は、土踏まず側に位置する頂点EF間に最大の横幅W3を有する。この頂点EF間の横幅W3は、第2の筒編領域21の針本数に相当する長さに対して5分の2程度の針本数に相当する長さとすることが好ましい。
【0024】
前方部30は、中央部20の第3の筒編領域23から続いて徐々に目数を増加させた第3の目数増加領域31から形成される。この第3の目数増加領域31は、第3の筒編領域23に続く横幅を中央部20の目数増減領域22の横幅W3とほぼ同程度の長さとし、そこから徐々に目数を増加させ、本体部4に続く頂点GH間に最大の横幅W4を有する。この頂点GH間の横幅W4は、中央部20の目数増減領域22の横幅W3に対して約1.8から2.2倍程度の長さにすることが好ましい。
【0025】
上述したかかと部3は、より具体的には、脚部2の筒編領域の針本数を144本とする場合、第1の目数減少領域11は、針本数を108から100になるまで徐々に減少して形成する。第2の目数減少領域13は、針本数を70から60になるまで徐々に減少して形成する。第3の目数増加領域31は、針本数を56から108になるまで徐々に増加して編成することで、立体形状が構成されるものである。
【0026】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の靴下について図4-6に基づいて説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、図面に符号のみを付し詳細な説明を省略する。
【0027】
上方部10は、図4、5に示すように、くるぶしK下方に沿って密着して覆うために、第1の目数増加領域11’と、第1の筒編領域12と、第2の目数減少領域13と、から形成される。第2の目数減少領域13の頂点CD間の最大の横幅W2は、脚部2側に位置する頂点A’B’間の横幅W1’に比べ大きく、足甲側までに到達する長さを有するとともに、前方部30の第3の目数増加領域31の頂点GH間の最大の横幅W4と同じ長さとなるように形成する。
【0028】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の靴下について、図7-9に基づいて説明する。この靴下は、上述した第1実施形態に加え、かかと部3近傍に4から8mm程度の高さ、かつ、足首周囲を一周する部分の編地にゴム糸を挿入してゴム編み領域40を有する。
【0029】
また、脚部2は、膝下から足首まで覆う筒編領域の編地を有し、その編地においてはき口1からくるぶしK(特に足首の内側のくるぶしK)の頂点を超えない部分までの編地にゴム糸を挿入してゴム編み領域41を有する。
【0030】
したがって、上述した第1実施形態及び第2実施形態の靴下は、図3、6に示す足にはかせた状態において、かかと部3における上方部10の第1の目数減少領域11の頂点AB、又は、第2の目数減少領域13の頂点CDが、前方部30の第3の目数増加領域31の頂点GHと、が足首の傾斜面Sに沿って同一線上に位置することで、足のくるぶしK下方から土踏まずまで密着することで位置ずれ、しわ、たるみの発生を防止するとともに、足全体に対するフィット感を向上させることが可能である。
【0031】
また、第2実施形態の靴下のかかと部3は、第1実施形態の上方部10の第1の目数減少領域11の代わりに第1の目数増加領域11’を設けるとともに、その第1の目数増加領域11’の横幅A’B’は、第2の目数減少領域13の横幅W2比べて小さくすることによって、くるぶしK下方に立体形状を設けられ、くるぶしK下方に対してより一層密着させることができ、しわやたるみの発生を防止することが可能である。
【0032】
また、第3実施形態の靴下の脚部2は、かかと部3近傍にゴム糸を挿入したゴム編み領域40を設けることで、伸縮性を付与した編地とし、くるぶしK下方に対して締付けることができ、それによってかかと部3の位置ずれをより一層防止することが可能である。
【0033】
また、第3実施形態の靴下の脚部2は、膝下から足首まで覆う編地を有し、その編地においてはき口1からくるぶしKの頂点を超えない部分までにゴム編み領域41を設けることで、足首の可動する膝下から足首までの位置ずれやたるみを防止することが可能である。
【0034】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、本実施形態の靴下は、より伸縮性の高いパイル編みの編地を使用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…はき口、2…脚部、3…かかと部、4…本体部、5…つま先部、
10…上方部、
11…第1の目数減少領域、W1…横幅、h1…縦幅、
11’…第1の目数増加領域、W1’…横幅、h1’…縦幅、
12…第1の筒編領域、
13…第2の目数減少領域、W2…横幅、h2…縦幅
20…中央部、
21…第2の筒編領域、
22…目数増減領域、W3…横幅、h3…縦幅、
23…第3の筒編領域、
30…前方部、
31…第3の目数増加領域、W4…横幅、h4…縦幅、
40、41…ゴム編み領域、
K…くるぶし。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9